説明

波長可変干渉フィルター、光学フィルターデバイス、光学モジュール、電子機器、及び波長可変干渉フィルターの製造方法

【課題】基板の撓みを抑制可能な波長可変干渉フィルター、光学フィルターデバイス、光学モジュール、電子機器、及び波長可変干渉フィルターの製造方法を提供する。
【解決手段】波長可変干渉フィルター5は、固定反射膜54を有する固定基板51と、可動反射膜55を有する可動基板52と、固定基板51及び可動基板52を接合する接合部53と、を具備し、可動基板52は、可動部521と、保持部522と、基板外周部525と、を備え、保持部522は、均一厚み寸法の平坦部522Aと、平坦部522Aの外周側に設けられ、基板外周部525に向かうに従って厚み寸法が増大する曲面部522Bと、を備え、接合部53は、固定基板51及び可動基板52の互いに対向する面のうち、各基板外周縁に沿った外周領域に設けられ、かつ、接合部53の内周縁53Aが、曲面部522Bの外周縁522Eよりも内側に設けられた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光から特定の波長の光を取り出す波長可変干渉フィルター、光学フィルターデバイス、光学モジュール、電子機器、及び波長可変干渉フィルターの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の基板の互いに対向する面に、それぞれ反射膜を所定のギャップを介して対向配置した波長可変干渉フィルターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の光フィルター(波長可変干渉フィルター)は、第1基板と第2基板とが接合され、これらの基板の互いに対向する面に、それぞれミラー(反射膜)が設けられている。また、この波長可変干渉フィルターでは、第1基板に平面視円環状の溝部と、この溝部に囲われる部分である可動部とを備えている。このような波長可変干渉フィルターでは、溝部を撓ませることで可動部を第2基板に対して進退させることが可能となる。
ここで、この波長可変干渉フィルターでは、上記溝部は、円環外周縁が第1基板及び第2基板の接合部分よりも内側(可動部側)となるように、形成されている。
【0004】
また、上述のような波長可変干渉フィルターは、以下のように製造されている。すなわち、第1基板及び第2基板に対して所定の加工を施して、形状を決定した後、各基板に反射膜や電極を形成する。この後、これらの基板を重ね合わせて、所定の荷重で加圧し、接合や接着等によって固定(加圧接合)し、波長可変干渉フィルターを製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−8644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガラス基板等により形成された第1基板に対して、溝部を形成する場合、通常、ウェットエッチングを実施する。ウェットエッチングでは、第1基板に、溝部の形成位置を開口したマスク層を形成した後、フッ酸等のエッチングガスにより基板をエッチングする。このようなウェットエッチングでは、マスク層の開口部分に対応して、溝部の底面を略平面状に形成することができるが、その周囲には、サイドエッチングにより曲面が形成される。
ここで、上記特許文献1では、溝部は、外周縁が第1基板及び第2基板の接合部分よりも内側に位置するように形成されている。このような構成の場合、第1基板及び第2基板を加圧接合する際に、溝部の曲面や傾斜面に沿ってモーメント力が作用し、溝部が第2基板側に撓んでしまう。この場合、荷重の大きさによっては、反射膜同士が接触してしまうという課題がある。
【0007】
本発明では、基板の撓みを抑制可能な波長可変干渉フィルター、光学フィルターデバイス、光学モジュール、電子機器、及び波長可変干渉フィルターの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の波長可変干渉フィルターは、第一基板と、前記第一基板に対向した第二基板と、前記第一基板に設けられた第一反射膜と、前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜と反射膜間ギャップを介して対向する第二反射膜と、前記第一基板及び前記第二基板を接合する接合部と、を具備し、前記第二基板は、前記第二反射膜が設けられる可動部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記可動部の外周側に設けられ、前記可動部を前記第一基板に対して進退可能に保持する保持部と、前記平面視において前記保持部の外周側に設けられる基板外周部と、を備え、前記保持部は、均一厚み寸法を有し、かつ当該厚み寸法が前記可動部及び前記基板外周部の厚み寸法よりも小さい平坦部と、前記平面視において前記平坦部の外周側に設けられ、前記平坦部から前記基板外周部に向かうに従って厚み寸法が増大する保持外周部と、を備え、前記接合部は、前記第一基板及び第二基板を基板厚み方向から見た平面視において、前記第一基板及び前記第二基板の互いに対向する面のうち、各基板外周縁に沿った外周領域に設けられ、かつ、当該接合部の内周縁が、前記保持外周部の外周縁よりも内側に設けられたことを特徴とする。
ここで、保持外周部は、平坦部から基板外周部に亘って、上面が曲面となる構成に加え、傾斜平面となる構成をも含むものである。すなわち、第二基板にエッチングにより保持部を形成する場合、その素材やエッチング方法により、保持外周部の形状が異なる。例えば、ウェットエッチングにより等方性エッチングを実施した場合は、サイドエッチングの影響により、エッチング面の断面視が曲線となる保持外周部が形成される。一方、例えばシリコン等の基材をKOH等により異方性エッチングする場合では、エッチング面の断面視が基板厚み方向に対して傾斜する直線となる保持外周部が形成される。
【0009】
本発明では、波長可変干渉フィルター(第一基板、第二基板、接合部)を基板厚み方向から見た平面視(以降、フィルター平面視と称することがある)において、第一基板及び第二基板を接合する接合部の内周縁が、保持部における保持外周部の外周縁よりも内側に位置し、保持外周部の一部が接合部と重なっている。
このような構成では、第二基板の撓みを軽減することができる。
つまり、波長可変干渉フィルターの製造時では、第一基板及び第二基板を接合する必要があり、第一基板及び第二基板を平行に維持し、かつ強い接合強度を得るためには、接合時に第一基板及び第二基板を互いに近接する方向に加圧する必要がある。この場合、第二基板の保持外周部が直接加圧されていない場合であっても、基板外周部に荷重が印加されると、その荷重の影響により、保持部の保持外周部に、第一基板側に撓もうとするモーメント力が発生する。これに対して、本発明では、上述のように、フィルター平面視において、保持外周部の一部と接合部とが重なる構成となる。この場合、この保持外周部と接合部とが重なる部分では、モーメント力が発生した場合でも、保持外周部の直下に接合部があるため、その力を受けることができ、保持外周部に撓みが発生しない。このため、第二基板の第一基板側への撓みを防止することができる。また、製造時において、荷重印加による反射膜同士の接触も防止できるため、反射膜の反射特性を維持することができる。
【0010】
本発明の波長可変干渉フィルターでは、前記接合部の内周縁は、前記第一基板及び前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記平坦部の内周縁よりも外側に設けられることが好ましい。
本発明は、第二基板の可動部が保持部によって第一基板に対して進退可能となる構成である。つまり、可動部よりも厚み寸法が小さい平坦部を撓ませることで、可動部を形状変化させることなく、可動部を第一基板側に変位させることが可能となる。したがって、平坦部全体が接合部に接合されてしまうと、可動部を撓ませることが困難となる。
これに対して、本発明では、接合部の内周縁が、平坦部の内周縁よりも外側に設けられる。このような構成では、反射膜間ギャップを変化させる際に、平坦部のうち接合部と重ならない領域を撓ませることで、当該可動部を第一基板側に変位させることができる。
【0011】
本発明の波長可変干渉フィルターでは、前記接合部の内周縁は、前記第一基板及び前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記保持外周部と重なる位置にあることが好ましい。
本発明では、接合部が、保持部の平坦部と重ならない。つまり、反射膜間ギャップを変化させる際、平坦部全体を撓ませることで、可動部を第一基板側に変位させることができる。このような構成では、フィルター平面視において、平坦部の一部が接合部と重なる構成に比べて、平坦部を撓ませやすくなる。また、接合部の内周縁と保持外周部の外周縁とが一致する構成、接合部の内周縁が保持外周部の外周縁よりも外側にある構成に比べて、加圧接合時に発生する、保持外周部を第一基板側に撓ませようとする力が抑えることができるため、第二基板の傾斜を抑制することができる。
【0012】
本発明の波長可変干渉フィルターでは、前記接合部の内周縁は、前記第一基板及び前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記平坦部及び前記保持外周部の境界位置にあることが好ましい。
本発明では、接合部が、フィルター平面視において、保持部の平坦部と重ならないため、上記発明と同様に、反射膜間ギャップを変化させる際に、平坦部を撓ませやすくなり、ギャップ調整を容易に実施することができる。これに加え、フィルター平面視において、保持外周部全体が接合部と重なるため、第一基板及び第二基板を加圧接合する際に、保持外周部にモーメント力が発生した場合でも、接合部によりモーメント力による撓みを防止することができ、第二基板の撓みを確実に防止することができる。
【0013】
本発明の波長可変干渉フィルターでは、前記第一基板は、前記第二基板に対向する面に形成された凹溝部を備え、前記接合部は、前記第一基板の前記第二基板に対向する面のうち、前記凹溝部の外周側領域全体に設けられることが好ましい。
本発明では、第一基板に凹溝部が設けられており、この凹溝部により、第一反射膜及び第二反射膜の反射膜間ギャップが形成される。このような構成において、接合部は、第一基板の凹溝部の外周側領域の一部に設けられていてもよい。しかしながら、接合部の面積が小さいと、第一基板及び第二基板の接合強度を十分に高めることができない。これに対して、本発明では、凹溝部の外周側領域全体に接合部を形成するため、十分な接合強度を得ることができる。
【0014】
本発明の光学フィルターデバイスは、第一基板、前記第一基板に対向した第二基板、前記第一基板に設けられた第一反射膜と、前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜と反射膜間ギャップを介して対向する第二反射膜、及び前記第一基板及び前記第二基板を接合する接合部を備えた波長可変干渉フィルターと、前記波長可変干渉フィルターを収納する筐体と、を具備した光学フィルターデバイスであって、前記第二基板は、前記第二反射膜が設けられる可動部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記可動部の外周側に設けられ、前記可動部を前記第一基板に対して進退可能に保持する保持部と、前記平面視において前記保持部の外周側に設けられる基板外周部と、を備え、前記保持部は、均一厚み寸法を有し、かつ当該厚み寸法が前記可動部及び前記基板外周部の厚み寸法よりも小さい平坦部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記平坦部の外周側に設けられ、前記平坦部から前記基板外周部に向かうに従って厚み寸法が増大する保持外周部と、を備え、前記接合部は、前記第一基板及び第二基板を基板厚み方向から見た平面視において、前記第一基板及び前記第二基板の互いに対向する面のうち、各基板外周縁に沿った外周領域に設けられ、かつ、当該接合部の内周縁が、前記保持外周部の外周縁よりも内側に設けられたことを特徴とする。
【0015】
本発明では、上述した発明と同様に、フィルター平面視において、接合部の内周縁が、保持部における保持外周部の外周縁よりも内側に位置しているので、保持外周部のうち、接合部と重なる部分において、第一基板側に撓もうとするモーメントを除外することができ、第二基板の撓みを軽減することができる。また、製造時において、荷重印加による反射膜同士の接触も防止できるため、反射膜の反射特性を維持することができる。
また、波長可変干渉フィルターが筐体内に収納されているため、外部からの衝撃が波長可変干渉フィルターに伝わりにくく、破損を防止することができる。
【0016】
本発明の光学モジュールは、第一基板と、前記第一基板に対向した第二基板と、前記第一基板に設けられた第一反射膜と、前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜と反射膜間ギャップを介して対向する第二反射膜と、前記第一基板及び前記第二基板を接合する接合部と、前記第一反射膜及び前記第二反射膜により取り出された光を検出する検出部と、を具備し、前記第二基板は、前記第二反射膜が設けられる可動部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記可動部の外周側に設けられ、前記可動部を前記第一基板に対して進退可能に保持する保持部と、前記平面視において前記保持部の外周側に設けられる基板外周部と、を備え、前記保持部は、均一厚み寸法を有し、かつ当該厚み寸法が前記可動部及び前記基板外周部の厚み寸法よりも小さい平坦部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記平坦部の外周側に設けられ、前記平坦部から前記基板外周部に向かうに従って厚み寸法が増大する保持外周部と、を備え、前記接合部は、前記第一基板及び第二基板を基板厚み方向から見た平面視において、前記第一基板及び前記第二基板の互いに対向する面のうち、各基板外周縁に沿った外周領域に設けられ、かつ、当該接合部の内周縁が、前記保持外周部の外周縁よりも内側に設けられたことを特徴とする。
【0017】
本発明では、上述した発明と同様に、フィルター平面視において、接合部の内周縁が、保持部における保持外周部の外周縁よりも内側に位置しているので、保持外周部のうち、接合部と重なる部分において、第一基板側に撓もうとするモーメントを除外することができ、第二基板の撓みを軽減することができる。また、製造時において、荷重印加による反射膜同士の接触も防止できるため、反射膜の反射特性を維持することができる。
これに加え、上述のように、第二基板の撓みがないため、第一反射膜及び第二反射膜の平行関係を精度よく維持することができ、高分解能で所望波長の光を取り出すことができる。したがって、このような光を検出部で検出することで、第一反射膜及び第二反射膜により取り出された所望波長の光の光量を正確に測定することができる。
【0018】
本発明の電子機器は、第一基板と、前記第一基板に対向した第二基板と、前記第一基板に設けられた第一反射膜と、前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜と反射膜間ギャップを介して対向する第二反射膜と、前記第一基板及び前記第二基板を接合する接合部と、を具備し、前記第二基板は、前記第二反射膜が設けられる可動部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記可動部の外周側に設けられ、前記可動部を前記第一基板に対して進退可能に保持する保持部と、前記平面視において前記保持部の外周側に設けられる基板外周部と、を備え、前記保持部は、均一厚み寸法を有し、かつ当該厚み寸法が前記可動部及び前記基板外周部の厚み寸法よりも小さい平坦部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記平坦部の外周側に設けられ、前記平坦部から前記基板外周部に向かうに従って厚み寸法が増大する保持外周部と、を備え、前記接合部は、前記第一基板及び第二基板を基板厚み方向から見た平面視において、前記第一基板及び前記第二基板の互いに対向する面のうち、各基板外周縁に沿った外周領域に設けられ、かつ、当該接合部の内周縁が、前記保持外周部の外周縁よりも内側に設けられたことを特徴とする。
【0019】
本発明では、上述した発明と同様に、フィルター平面視において、接合部の内周縁が、保持部における保持外周部の外周縁よりも内側に位置しているので、保持外周部のうち、接合部と重なる部分において、第一基板側に撓もうとするモーメントを除外することができ、第二基板の撓みを軽減することができる。また、製造時において、荷重印加による反射膜同士の接触も防止できるため、反射膜の反射特性を維持することができる。
これに加え、第二基板の撓みがないため、第一反射膜及び第二反射膜の平行関係を精度よく維持することができ、高分解能で所望波長の光を取り出すことができる。したがって、電子機器において、第一反射膜及び第二反射膜による光干渉により取り出された目的波長の光を検出し、その光量に基づいて、各種処理を実施する場合、正確な光量に基づいて、各種処理を実施でき、処理精度も向上させることができる。
【0020】
本発明の波長可変干渉フィルターの製造方法は、第一基板と、前記第一基板に対向した第二基板と、前記第一基板に設けられた第一反射膜と、前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜と反射膜間ギャップを介して対向する第二反射膜と、前記第一基板及び前記第二基板を接合する接合部と、を具備し、かつ、前記第二基板が、前記第二反射膜が設けられる可動部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記可動部の外周側に設けられ、前記可動部を前記第一基板に対して進退可能に保持する保持部と、前記平面視において前記保持部の外周側に設けられる基板外周部と、を備える波長可変干渉フィルターを製造する製造方法であって、前記第一基板を加工して、当該第一基板に前記第一反射膜を形成する第一基板形成工程と、前記第二基板を加工して、当該第二基板に第二反射膜を形成する第二基板形成工程と、前記第一基板及び前記第二基板を接合する接合工程と、を備え、前記第二基板形成工程は、エッチングにより、均一厚み寸法を有し、かつ当該厚み寸法が前記可動部及び前記基板外周部の厚み寸法よりも小さい平坦部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記平坦部の外周側に設けられ、前記平坦部から前記基板外周部に向かうに従って厚み寸法が増大する保持外周部と、を有し、かつ、前記保持外周部の外周縁が前記接合部の内周縁の外側に位置する保持部を形成し、前記接合工程は、前記第一基板及び第二基板を基板厚み方向から見た平面視において、前記接合部の内周縁が、前記保持外周部の外周縁よりも内側に位置するようにアライメント調整を行った後、前記第一基板及び前記第二基板を、前記接合部を介して加圧接合することを特徴とする。
【0021】
この発明では、第二基板形成工程において、保持部の保持外周部の外周縁が、接合部の内周縁よりも外側となるよう、第二基板をエッチングして保持部を形成する。そして、接合部では、保持部の保持外周部の外周縁が接合部の内周縁の外側となるように、アライメント調整した後、第一基板及び第二基板を加圧接合により接合する。このような加圧接合を実施することで、第一基板及び第二基板を強固に接合させることができる。また、加圧接合では、第一基板及び第二基板の接合箇所(接合部)を互いに接合させる方向に荷重を印加するため、保持部の保持外周部には、第一基板に向かって撓もうとするモーメント力が発生する。これに対し、本発明では、保持外周部の外周縁が接合部の内周縁よりも外側に位置し、フィルター平面視において、保持外周部の一部と接合部とが重なっている。したがって、フィルター平面視で、接合部と重なる保持外周部では、モーメント力を受けた場合でも、直下に接合部があるために、第一基板側に撓まない。すなわち、接合時における第二基板の撓みを軽減させることができ、反射膜同士の接触も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る第一実施形態の測色装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】第一実施形態の波長可変干渉フィルターの概略構成を示す平面図。
【図3】第一実施形態の波長可変干渉フィルターの概略構成を示す断面図。
【図4】第一実施形態の固定基板を可動基板側から見た平面図。
【図5】第一実施形態の可動基板を固定基板側から見た平面図。
【図6】第一実施形態の固定基板の製造工程を示す図。
【図7】第一実施形態の可動基板の製造工程を示す図。
【図8】第一実施形態の接合工程を示す図。
【図9】従来の波長可変干渉フィルターの接合工程における加圧接合時の力の係り方を示す図。
【図10】第一実施形態の波長可変干渉フィルターの接合工程における加圧接合時の力の係り方を示す図。
【図11】第二実施形態の光学フィルターデバイスの概略構成を示す断面図。
【図12】他の実施形態の波長可変干渉フィルターの概略構成を示す断面図。
【図13】他の実施形態における波長可変干渉フィルターを備えたガス検出装置を示す概略図。
【図14】図13のガス検出装置の制御系の構成を示すブロック図。
【図15】他の実施形態における波長可変干渉フィルターを備えた食物分析装置の概略構成を示す図。
【図16】他の実施形態における分光カメラの概略構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔1.測色装置の概略構成〕
図1は、本実施形態の測色装置1(電子機器)の概略構成を示すブロック図である。
測色装置1は、図1に示すように、検査対象Aに光を射出する光源装置2と、測色センサー3(光学モジュール)と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置4とを備える。そして、この測色装置1は、光源装置2から射出される光を検査対象Aにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサー3にて受光し、測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち検査対象Aの色を分析して測定する装置である。
【0024】
〔2.光源装置の構成〕
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図1には1つのみ記載)を備え、検査対象Aに対して白色光を射出する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれてもよく、この場合、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから検査対象Aに向かって射出する。なお、本実施形態では、光源装置2を備える測色装置1を例示するが、例えば検査対象Aが液晶パネルなどの発光部材である場合、光源装置2が設けられない構成としてもよい。
【0025】
〔3.測色センサーの構成〕
測色センサー3は、図1に示すように、波長可変干渉フィルター5と、波長可変干渉フィルター5を透過する光を受光する検出部31と、波長可変干渉フィルター5で透過させる光の波長を可変する電圧制御部32とを備える。また、測色センサー3は、波長可変干渉フィルター5に対向する位置に、検査対象Aで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー3は、波長可変干渉フィルター5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光を分光し、分光した光を検出部31にて受光する。
検出部31は、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、検出部31は、制御装置4に接続されており、生成した電気信号を受光信号として制御装置4に出力する。
【0026】
(3−1.波長可変干渉フィルターの構成)
図2は、波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す平面図であり、図3は、図2のIII-III線で断面した、波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す断面図である。
波長可変干渉フィルター5は、図2に示すように、例えば平面正方形状の板状の光学部材である。この波長可変干渉フィルター5は、図3に示すように、本発明の第一基板である固定基板51、および本発明の第二基板である可動基板52を備えている。これらの固定基板51及び可動基板52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。そして、これらの固定基板51及び可動基板52は、固定基板51の第一接合部513及び可動基板の第二接合部523が、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜などにより構成された接合膜53(接合部)により加圧接合されることで、一体的に構成されている。
【0027】
固定基板51には、本発明の第一反射膜を構成する固定反射膜54が設けられ、可動基板52には、本発明の第二反射膜を構成する可動反射膜55が設けられている。これらの固定反射膜54および可動反射膜55は、反射膜間ギャップG1を介して対向配置されている。
波長可変干渉フィルター5には、固定反射膜54および可動反射膜55の間の反射膜間ギャップG1の寸法を調整するのに用いられる静電アクチュエーター56が設けられている。この静電アクチュエーター56は、固定基板51に設けられた本発明の第一電極を構成する固定電極561と、可動基板52に設けられた本発明の第二電極を構成する可動電極562とにより構成されている。これらの電極561,562は、電極間ギャップG2(G2>G1)を介して対向する。ここで、これらの電極561,562は、それぞれ固定基板51及び可動基板52の基板表面に直接設けられる構成であってもよく、他の膜部材を介して設けられる構成であってもよい。
また、波長可変干渉フィルター5を固定基板51(可動基板52)の基板厚み方向から見た図2に示すような平面視において、固定基板51及び可動基板52の平面中心点Oは、固定反射膜54及び可動反射膜55の中心点と一致し、かつ後述する可動部521の中心点と一致する。なお、以降の説明に当たり、固定基板51または可動基板52の基板厚み方向から見た平面視、つまり、固定基板51、接合膜53、及び可動基板52の積層方向から波長可変干渉フィルター5を見た平面視を、フィルター平面視と称する。
【0028】
(3−1−1.固定基板の構成)
図4は、本実施形態の固定基板51を可動基板52側から見た平面図であり、図3をIV-IV線で断面した図である。
固定基板51は、厚みが例えば1mmに形成されるガラス基材を加工することで形成される。具体的には、図3に示すように、固定基板51には、エッチングにより電極配置溝511(本発明の凹溝部を構成)および反射膜設置部512が形成されている。この固定基板51は、可動基板52に対して厚み寸法が大きく形成されており、固定電極561および可動電極562間に電圧を印加した際の静電引力や、固定電極561の内部応力による固定基板51の撓みはない。
また、固定基板51の頂点C1、C3(図2、図4参照)には、切欠部514が形成されており、波長可変干渉フィルター5の固定基板51側に、後述する可動電極パッド564Pが露出する。
【0029】
電極配置溝511は、フィルター平面視で、固定基板51の平面中心点Oを中心とした半径R1の環状に形成されている。反射膜設置部512は、前記平面視において、電極配置溝511の中心部から可動基板52側に突出して形成される。ここで、電極配置溝511の溝底面のうち、曲率半径が5mm以上となる平坦面は、固定電極561が配置される電極設置面511Aとなる。また、反射膜設置部512の突出先端面は、反射膜設置面512Aとなる。
また、固定基板51には、電極配置溝511から、固定基板51の外周縁の頂点C1,C2,C3,C4に向かって延出する電極引出溝511Bが設けられている。
【0030】
電極配置溝511の電極設置面511Aには、固定電極561が配置される。より具体的には、固定電極561は、電極設置面511Aのうち、後述する可動部521に対向する領域内に設けられている。また、固定電極561上に、固定電極561及び可動電極562の間の絶縁性を確保するための絶縁膜が積層される構成としてもよい。
そして、固定基板51には、固定電極561の外周縁から、頂点C2、頂点C4方向に延出する固定引出電極563が設けられている。これらの固定引出電極563の延出先端部(固定基板51の頂点C2、C4に位置する部分)は、電圧制御部32に接続される固定電極パッド563Pを構成する。
なお、本実施形態では、電極設置面511Aに1つの固定電極561が設けられる構成を示すが、例えば、平面中心点Oを中心とした同心円となる2つの電極が設けられる構成(二重電極構成)などとしてもよい。
【0031】
反射膜設置部512は、上述したように、電極配置溝511と同軸上で、電極配置溝511よりも小さい径寸法となる略円柱状に形成され、当該反射膜設置部512の可動基板52に対向する反射膜設置面512Aを備えている。
この反射膜設置部512には、図2〜図4に示すように、固定反射膜54が設けられている。この固定反射膜54としては、例えばAg等の金属膜や、Ag合金等の合金膜を用いることができる。また、例えば高屈折層をTiO、低屈折層をSiOとした誘電体多層膜を用いてもよい。さらに、誘電体多層膜上に金属膜(合金膜)を積層した反射膜や、金属膜(合金膜)上に誘電体多層膜を積層した反射膜、単層の屈折層(TiOやSiO等)と金属膜(合金膜)とを積層した反射膜などを用いてもよい。
【0032】
また、固定基板51の光入射面(固定反射膜54が設けられない面)には、固定反射膜54に対応する位置に反射防止膜を形成してもよい。この反射防止膜は、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成することができ、固定基板51の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させる。
【0033】
そして、固定基板51の可動基板52に対向する面において、電極配置溝511,反射膜設置部512,電極引出溝511Bが形成されない領域は、平坦な第一接合部513を構成し、この第一接合部513上に接合膜53が設けられる。つまり、本実施形態では、接合膜53の内周縁53Aは、電極配置溝511の外周縁511Cと一致する。
【0034】
(3−1−2.可動基板の構成)
図5は、第一実施形態の可動基板を固定基板側から見た平面視であり、図3をV-V線で断面した図である。
可動基板52は、厚みが例えば1mmに形成されるガラス基材をエッチング加工することで形成されている。
具体的には、可動基板52は、図2、図5に示すようなフィルター平面視において、平面中心点Oを中心とした円形状の可動部521と、可動部521と同軸であり可動部521を保持する保持部522と、保持部522の外周側に設けられる基板外周部525と、を備えている。
【0035】
また、可動基板52には、図2、図5に示すように、頂点C2、C4に対応して、切欠部524が形成されており、波長可変干渉フィルター5を可動基板52側から見た際に、固定電極パッド563Pが露出する。
【0036】
可動部521は、保持部522よりも厚み寸法が大きく形成され、例えば、本実施形態では、可動基板52の厚み寸法と同一寸法に形成されている。この可動部521は、フィルター平面視において、少なくとも反射膜設置面512Aの外周縁の径寸法よりも大きい径寸法に形成されている。そして、この可動部521には、可動電極562及び可動反射膜55が設けられている。
なお、固定基板51と同様に、可動部521の固定基板51とは反対側の面には、反射防止膜が形成されていてもよい。このような反射防止膜は、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成することができ、可動基板52の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させることができる。
【0037】
可動電極562は、電極間ギャップG2(G2>G1)を介して固定電極561に対向し、固定電極561と同一形状となる環状に形成されている。また、可動基板52には、可動電極562の外周縁から可動基板52の頂点C1,C3に向かって延出する可動引出電極564を備えている。この可動引出電極564の延出先端部(可動基板52の頂点C1、C3に位置する部分)は、電圧制御部32に接続される可動電極パッド564Pを構成する。
可動反射膜55は、可動部521の可動面521Aの中心部に、固定反射膜54と反射膜間ギャップG1を介して対向して設けられる。この可動反射膜55としては、上述した固定反射膜54と同一の構成の反射膜が用いられる。
【0038】
保持部522は、可動部521の周囲を囲うダイアフラムであり、可動部521よりも厚み寸法が小さく、基板厚み方向に対する剛性が小さく形成されている。具体的には、保持部522は、厚み寸法が例えば20μmの均一厚みを有する環状の平坦部522Aと、平坦部522Aの外周側に連続する曲面部522B(本発明の保持外周部を構成)と、平坦部522Aの内周側に連続する曲面部522Cとを備えている。
なお、平坦部522Aの厚み寸法が均一であるとしたが、ここで述べる均一とは、発明の目的を達成可能な僅かな製造誤差を含むものであり、例えば、本実施形態では、曲率半径が少なくとも5mm以上となる部分を平坦部522Aとする。また、曲面部522B,曲面部522Cは、曲率半径が少なくとも5mm未満となる部分を指す。
このような保持部522は、可動基板52の固定基板51とは反対側の面をウェットエッチングすることで形成される。ウェットエッチングにより、可動基板52に保持部522を形成する場合、可動基板52の表面に平坦部522Aの形状に対応した開口を有するマスク層を形成し、HF等のエッチング液により可動基板52をエッチングする。これにより、マスク層の開口部分から基板厚み方向に沿って、平坦面を維持してエッチングされることで、厚み寸法が均一となる平坦部522Aが形成される。一方、ウェットエッチングでは、平坦部522Aの形成位置から基板厚みに直交する方向(横方向)に向かって、サイドエッチングが進行するため、マスク層の直下の部分において、曲面部522B、522Cが形成される。
【0039】
本実施形態では、平坦部522Aの外周縁522Dが平面中心点Oから半径R1となる位置に、また、曲面部522Bの外周縁522Eが平面中心点Oから半径R2(R2>R1)となる位置に、設けられる。つまり、本実施形態では、フィルター平面視において、曲面部522Bの外周縁522Eは、接合膜53の内周縁53Aよりも外側に位置し、平坦部522Aの外周縁522Dは、接合膜53の内周縁53Aと一致する。
なお、この平坦部522Aの外周縁522Dは、本発明における「平坦部及び保持外周面の境界位置」に相当する。
【0040】
このような保持部522は、可動部521よりも撓みやすく、僅かな静電引力により、平坦部522Aを撓ませることで、可動部521を固定基板51側に変位させることが可能となる。この際、可動部521は、保持部522よりも厚み寸法が大きく、剛性が大きくなるため、静電引力により可動基板52を撓ませる力が作用した場合でも、可動部521の撓みはほぼなく、可動部521に形成された可動反射膜55の撓みも防止できる。
なお、本実施形態では、ダイアフラム状の保持部522を例示するが、これに限定されず、例えば、平面中心点Oを中心として、等角度間隔で配置された梁状の保持部が設けられる構成などとしてもよい。
【0041】
(3−2.電圧制御手段の構成)
電圧制御部32は、固定電極パッド563P,可動電極パッド564Pに接続される。そして、電圧制御部32は、制御装置4からの入力される制御信号に基づいて、固定電極パッド563P,可動電極パッド564Pを所定の電位に設定することで、静電アクチュエーター56に電圧を印加して駆動させる。これにより、電極間ギャップG2に静電引力が発生し、保持部522の平坦部522Aが撓むことで、可動部521が固定基板51側に変位し、反射膜間ギャップG1を所望の寸法に設定することが可能となる。
【0042】
〔4.制御装置の構成〕
制御装置4は、測色装置1の全体動作を制御する。
この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、制御装置4は、図1に示すように、光源制御部41、測色センサー制御部42、および本発明の分析処理部を構成する測色処理部43などを備えて構成されている。
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御部32は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長のみを透過させるよう、静電アクチュエーター56への印加電圧を設定する。
測色処理部43は、検出部31により検出された受光量から、検査対象Aの色度を分析する。
【0043】
〔5.波長可変干渉フィルターの製造方法〕
次に、上記波長可変干渉フィルター5の製造方法について、図6、図7及び図8に基づいて説明する。
波長可変干渉フィルター5を製造するためには、固定基板51及び可動基板52をそれぞれ製造し、製造された固定基板51と可動基板52とを貼り合わせる。
【0044】
(5−1.固定基板製造工程)
まず、固定基板51の製造素材である厚み寸法が1mmの石英ガラス基板を用意し、この石英ガラス基板の表面粗さRaが1nm以下となるまで両面を精密研磨する。
【0045】
この後、図6(A)に示すように、固定基板51の可動基板52に対向する面にレジストを塗布して、塗布されたマスク層M1(レジスト)をフォトリソグラフィ法により露光・現像し、電極配置溝511を形成する箇所をパターニングする。この時、マスク層M1の開口部が電極設置面511Aの形状(半径R3〜R4の円環形状)と対応し、かつ、エッチング後の電極配置溝511の外周縁511Cが、平面中心点Oから半径R1となる位置となるよう、マスク層M1をパターニングする。
一般に、ウェットエッチングにより等方性エッチングを行う場合、エッチング深さと同寸法だけ横方向(基板厚み方向に直交する方向)にサイドエッチングが進行する。したがって、電極配置溝511の深さ寸法がHである場合、R4+H=R1となるよう、マスク層M1のパターニングを実施すればよい。
【0046】
次に、図6(B)に示すように、電極配置溝511を所望の深さ寸法Hにエッチングする。ここでのエッチングとしては、フッ酸系を用いたウェットエッチングを行う。このエッチング処理により、固定基板51の開口部からマスク層M1の直下部分にサイドエッチングが進行する。これにより、電極配置溝511の外周縁511Cが、平面中心点Oから半径R1の位置に形成される。なお、この時、電極配置溝511と同時に電極引出溝511Bが形成される。
【0047】
この後、電極配置溝511形成用のマスク層M1を除去した後、反射膜設置部512を形成するためのマスク層(レジスト)を形成し、反射膜設置面512Aが形成される箇所をパターニングする。この時、マスク層は、反射膜設置面512Aの形成位置のみが開口するパターンを形成してもよく、電極設置面511Aの内周縁(平面中心点Oから半径R3の円)の内側を開口したパターンを形成してもよい。
そして、図6(C)に示すように、反射膜設置面512Aが所望高さとなるようにエッチングし、レジストを除去する。これにより、電極配置溝511、及び反射膜設置部512が形成された固定基板51の基板形状が決定される。
【0048】
次に、固定基板51に固定電極561を形成する電極材料を成膜し、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることで、図6(D)に示すように、固定電極561を形成する。なお、この時、同時に、固定引出電極563も形成される。
また、固定電極561上に絶縁層を成膜する場合、固定電極561の形成後、例えばプラズマCVD等により固定基板51の可動基板52に対向する面全体に、例えば100nm程度の厚みのSiOを成膜する。そして、固定電極パッド563P上のSiOを、例えばドライエッチング等により除去する。
【0049】
次に、図6(E)に示すように、反射膜設置面512A上に固定反射膜54を形成する。ここで、本実施形態では、固定反射膜54として、Ag合金を用いる。固定反射膜54として、Ag合金等の金属膜やAg合金等の合金膜を用いる場合、固定基板51の電極配置溝511や反射膜設置部512が形成された面に、固定反射膜54の膜層を形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングする。
なお、固定反射膜54として誘電体多層膜を形成する場合では、例えばリフトオフプロセスにより成膜することができる。この場合、フォトリソグラフィ法などにより、固定基板51上のミラー形成部分以外にレジスト(リフトオフパターン)を形成する。この後、固定反射膜54を形成するための材料(例えば、高屈折層をTiO、低屈折層をSiOとした誘電体多層膜)をスパッタリング法または蒸着法等により成膜する。そして、固定反射膜54を成膜した後、リフトオフにより、不要部分の膜を除去する。
この後、図6(F)に示すように、固定基板51の第一接合部513に、接合膜53を構成するポリオルガノシロキサンを主成分としたプラズマ重合膜531を、例えばプラズマCVD法等により成膜する。このプラズマ重合膜531の成膜工程では、例えば、第一接合部513に対応する位置が開口したマスクを用いて、固定基板51の第一接合部513にプラズマ重合膜531を成膜する。ここで、プラズマ重合膜531の厚みとしては、例えば10nmから1000nmとすればよい。
以上により、固定基板51が製造される。
【0050】
(5−2.可動基板製造工程)
まず、図7(A)に示すように、可動基板52の形成素材である厚み寸法が1000μmの石英ガラス基板を用意し、このガラス基板の表面粗さRaが1nm以下となるまで両面を精密研磨する。そして、可動基板52の全面にマスク層M2(レジスト)を塗布し、塗布されたマスク層M2をフォトリソグラフィ法により露光・現像して、パターニングする。この時、マスク層M2の開口部が、保持部522の平坦部522Aの形状(半径R5〜R1の円環形状)と対向するよう、マスク層M2をパターニングする。ここで、本実施形態では、平坦部522Aの幅(R1−R5)が700μmとなるようにマスク層M2を形成する。
【0051】
次に、石英ガラス基板をウェットエッチングすることで、図7(B)に示すように、例えば厚さ20μmの保持部522と、可動部521とを形成する。ここで、上述のように、ウェットエッチングでは、エッチングの深さ寸法と同寸法だけ、サイドエッチングが進行するので、エッチング深さがhである場合、保持部522の曲面部522Bの外周縁522Eは、R2=R1+hの位置に形成される。
これにより、可動部521、保持部522、及び基板外周部525を有する可動基板52の基板形状が決定される。
【0052】
次に、図7(C)に示すように、可動面521Aに可動電極562を形成する。この可動電極562の形成では、上記固定基板51における固定電極561の形成と同様に、可動基板52上に電極材料を成膜し、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることで、可動電極562を形成する。なお、この際、可動引出電極564も同時に形成する。
この後、図7(D)に示すように、可動面521Aに可動反射膜55を形成する。この可動反射膜55の形成は、固定反射膜54と同様の方法により形成することができる。つまり、可動反射膜55として、Ag等の金属膜やAg合金等の合金膜を用いる場合、可動基板52に、可動反射膜55の膜層を形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングする。また、可動反射膜55として誘電体多層膜を形成する場合、例えばリフトオフプロセスにより成膜することができる。
【0053】
この後、図7(E)に示すように、可動基板52の第二接合部523に、ポリオルガノシロキサンを主成分としたプラズマ重合膜532を、例えばプラズマCVD法等により成膜する。このプラズマ重合膜532の成膜工程では、例えば、第二接合部523に対応する位置が開口したマスクを用いて、可動基板52の第二接合部523にプラズマ重合膜532を成膜する。ここで、プラズマ重合膜532の厚みとしては、例えば10nmから1000nmとすればよい。
以上により、可動基板52が製造される。
【0054】
(5−3.接合工程)
次に、前述の固定基板製造工程及び可動基板製造工程で形成された各基板を接合する。
図8は、接合工程を示す図である。
この接合工程では、まず、固定基板51の第一接合部513及び可動基板52の第二接合部523に形成されたプラズマ重合膜531,532に活性化エネルギーを付与するために、Oプラズマ処理またはUV処理を行う。Oプラズマ処理の場合は、O流量30cc/分、圧力27Pa、RFパワー200Wの条件で30秒間実施する。また、UV処理の場合は、UV光源としてエキシマUV(波長172nm)を用いて3分間処理する。
プラズマ重合膜531,532に活性化エネルギーを付与した後、2つの固定基板51,可動基板52のアライメントを行い、プラズマ重合膜531,532を介して第一接合部513及び第二接合部523を重ね合わせる。この時、保持部522の外周縁522Dと、電極配置溝511の外周縁511Cとが一致するように、固定基板51及び可動基板52を重ね合わせる。
そして、接合部分に例えば10kghの荷重を10分間かけ、加圧接合する。これにより、基板51,52同士が接合される。
【0055】
この加圧接合時では、可動基板52の可動部521や保持部522に荷重が印加されると、保持部522が撓み、固定反射膜54及び可動反射膜55が接触してしまうため、図8に示すように、可動基板52の基板外周部525に荷重を印加して、プラズマ重合膜531,532を接合し、接合膜53を形成する。
図9は、曲面部522Bの外周縁522Eが、接合膜53の内周縁53Aと重なっている場合における、加圧接合時の力の係り方を示す図である。また、図10は、本実施形態における加圧接合時の力の係り方を示す図である。
加圧接合において、基板外周部525に荷重を印加すると、曲面部522Bに印加した荷重に応じたモーメント力Fmが発生する。このモーメント力Fmは、保持部522の基板厚み方向に対する傾斜に応じて変化し、平坦部522Aに近づくに従って、基板厚み方向に直交する方向に作用するようになる。このため、図9に示すように、保持部522の外周縁522Eが、接合膜53の内周縁53Aと重なる場合や、接合膜53の内周縁53Aよりも内周側に位置する場合では、曲面部522Bを固定基板51側に撓ませようとする力F1が発生し、保持部522に撓みが生じる。このような場合、基板接合後に当該撓みが残留することがあり、この場合、反射膜間ギャップG1の初期寸法が小さくなる場合がある。また、荷重によっては、固定反射膜54及び可動反射膜55が接触してしまい、固定反射膜54や可動反射膜55の反射特性が悪化してしまうおそれもある。
【0056】
これに対して、本実施形態では、図10に示すように、曲面部522Bにモーメント力Fmが発生し、曲面部522Bを固定基板51側に撓ませようとする力F1が発生した場合でも、接合膜53や固定基板51(第一接合部513)によりその力を受けることができ、曲面部522Bに撓みが発生しない。このため、加圧接合時に保持部522が撓まず、可動基板52の傾斜も生じない。また、固定反射膜54及び可動反射膜55の接触も起こらない。
【0057】
〔6.実施形態の作用効果〕
本実施形態の波長可変干渉フィルター5では、フィルター平面視において、接合膜53の内周縁53Aが、曲面部522Bの外周縁522Eよりも内側に位置し、曲面部522Bは、接合膜53と重なっている。このような構成では、固定基板51及び可動基板52の加圧接合時において発生するモーメント力Fmにより、曲面部522Bを固定基板51側に撓ませようとする力F1が発生した場合でも、接合膜53や第一接合部513によりこれを受けることができる。このため、加圧接合時における可動基板52の撓みを軽減することができ、可動基板52の傾斜を防止することができる。また、製造時において、荷重印加による固定反射膜54及び可動反射膜55の接触も防止できるため、反射膜54,55の反射特性を維持することができる。
また、接合膜53の内周縁53Aが、平坦部522Aの外周縁522Dと一致するため、反射膜間ギャップG1を変化させる際に、平坦部522Aの全体を撓ませることで、容易に可動部521を変位させることができる。
【0058】
そして、固定基板51は、電極配置溝511を備え、電極配置溝511の外周側領域全体が第一接合部513を構成している。このような構成では、固定基板51及び可動基板52を接合する面積を大きくすることができ、接合強度を大きくすることができる。
【0059】
[第二実施形態]
次に、本発明に第二実施形態について、図面に基づいて説明する。
上記第一実施形態の測色装置1では、光学モジュールである測色センサー3に対して、波長可変干渉フィルター5が直接設けられる構成とした。この場合、測色センサー3に設けられた所定の配置位置に波長可変干渉フィルター5を設け、563P,564Pに対して配線を実施する。しかしながら、光学モジュールとしては、複雑な構成を有するものもあり、特に小型化の光学モジュールに対して、波長可変干渉フィルター5を直接設けることが困難な場合がある。本実施形態では、そのような光学モジュールに対しても、波長可変干渉フィルター5を容易に設置可能にする光学フィルターデバイスについて、以下に説明する。
図11は、本発明の第二実施形態に係る光学フィルターデバイスの概略構成を示す断面図である。
【0060】
図11に示すように、光学フィルターデバイス600は、波長可変干渉フィルター5を収納する筐体610を備えている。
この筐体610は、底部611と、リッド612と、入射側ガラス窓613(導光部)と、射出側ガラス窓614(導光部)と、を有する。
【0061】
底部611は、例えば単層セラミック基板により構成される。この底部611には、波長可変干渉フィルター5の可動基板52が固定される。また、底部611には、波長可変干渉フィルター5の反射膜54,55に対向する領域に、光入射孔611Aが開口形成されている。この光入射孔611Aは、波長可変干渉フィルター5により分光したい入射光(検査対象光)が入射される窓であり、入射側ガラス窓613が接合されている。なお、底部611及び入射側ガラス窓613の接合としては、例えば、ガラス原料を高温で熔解し、急冷したガラスのかけらであるガラスフリットを用いたガラスフリット接合を用いることができる。
【0062】
また、底部611の上面(筐体610の内部側)には、波長可変干渉フィルター5の各電極パッド563P,564Pに対応した数の端子部616が設けられている。また、底部611は、各端子部616が設けられる位置に、貫通孔615が形成されており、各端子部616は、貫通孔615を介して、底部611の下面(筐体610の外部側)に設けられた接続端子617に接続されている。
また、底部611の外周縁には、リッド612に接合される封止部619が設けられている。
【0063】
リッド612は、図11に示すように、底部611の封止部619に接合される封止部620と、封止部620から連続し、底部611から離れる方向に立ち上がる側壁部621と、側壁部621から連続し、波長可変干渉フィルター5の固定基板51側を覆う天面部622とを備えている。このリッド612は、例えばコバール等の合金または金属により形成することができる。
このリッド612は、封止部620と、底部611の封止部619とが、例えばレーザー封止等により接合されることで、底部611に接合されている。また、リッド612の天面部622には、波長可変干渉フィルター5の各反射膜54,55に対向する領域に、光射出孔612Aが開口形成されている。この光射出孔612Aは、波長可変干渉フィルター5により分光されて取り出された光が通過する窓であり、例えばガラスフリット接合等により射出側ガラス窓614が接合されている。
なお、筐体610内には、例えば窒素やアルゴンガス等の不活性ガスを封入する構成としてもよく、高い真空度に維持される構成としてもよい。このような構成とすることで、波長可変干渉フィルター5の反射膜54,55の劣化を防止できる。また、真空度を高い状態で維持される場合では、波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56に電圧を印加した際の、可動部521の応答性を向上させることができる。
【0064】
このような光学フィルターデバイス600では、筐体610により波長可変干渉フィルター5が保護されているため、異物や大気に含まれるガス等による波長可変干渉フィルター5の特性変化を防止でき、また、外的要因による波長可変干渉フィルター5の破損を防止できる。したがって、測色センサー等の光学モジュールや電子機器に対して、波長可変干渉フィルター5を設置する際や、メンテナンス時において、他の部材との衝突等による破損を防止できる。
また、例えば工場で製造された波長可変干渉フィルター5を、光学モジュールや電子機器を組み立てる組み立てライン等まで運搬する場合に、光学フィルターデバイス600により保護された波長可変干渉フィルター5では、安全に運搬することが可能となる。
また、光学フィルターデバイス600は、筐体610の外周面に露出する接続端子617が設けられているため、光学モジュールや電子機器に対して組み込む際にも容易に配線を実施することが可能となる。
なお、第二実施形態では、底部611に可動基板52が固定される構成を例示したが、これに限定されない。例えば、底部611に固定基板51が固定される構成などとしてもよい。
【0065】
[他の実施形態]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0066】
例えば、上記実施形態では、平坦部522Aの外周縁522Dと、接合膜53の内周縁53Aとを一致させる構成としたが、これに限定されず、図12に示す波長可変干渉フィルター5Aや波長可変干渉フィルター5Bのような構成としてもよい。
すなわち、図12(A)に示すように、フィルター平面視において、平坦部522Aの外周縁522Dと、曲面部522Bの外周縁522Eとの間に、接合膜53の内周縁53Aが位置する構成としてもよい。このような構成であっても、例えば曲面部522Bの外周縁522Eが接合膜53の内周縁53Aより内周側に位置する構成に比べて、可動基板52の撓みを防止することができる。
また、図9、図10に示すように、加圧接合時に曲面部522Bに係るモーメント力Fmは、曲面部522Bにおける傾斜角度に応じて変化し、曲面部522Bの外周縁522Eから平坦部522Aの外周縁522Dに近づくにつれて、基板厚み方向への力が小さくなる。したがって、曲面部522Bのうち、最も基板厚み方向への力が大きい外周縁522E近傍が接合膜53の直上に設けられていることで、十分に可動基板52の撓みを抑制することが可能となる。
【0067】
また、図12(B)に示すように、フィルター平面視において、接合膜53の内周縁53Aが、平坦部522Aの外周縁522Dから、平坦部522Aの内周縁522Fの間に設けられる構成としてもよい。
接合膜53の内周縁53Aが平坦部522Aの内周縁522Fと一致する場合や、内周縁522Fよりも内周側にある場合、可動部521を撓ませることができない。しかしながら、内周縁53Aが522Fよりも外周側にある場合、接合膜53と重なっていない領域の平坦部522Aを撓ませることで、可動部521を変位させることが可能となる。また、このような構成では、加圧接合時における可動基板52の撓みをより確実に防止することができる。
【0068】
更に、上記実施形態では、第一接合部513の全面に接合膜53が設けられる構成を例示したが、例えば第一接合部513の一部に接合膜53が設けられる構成などとしてもよい。この場合でも、接合膜53の内周縁53Aを電極配置溝511の外周縁511Cに一致させ、曲面部522Bが接合膜53と重なる位置に設けられることで、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
そして、上記実施形態では、第一基板である固定基板51と、第二基板である可動基板52とが、接合部である接合膜53により接合される構成とし、接合膜53としてプラズマ重合膜を用いてシロキサン結合させる構成と例示したが、これに限定されない。
例えば接合膜53としては、紫外線硬化性等の接着剤を用いてもよく、ガラス製の第一基板及び第二基板のうちいずれかに、接合膜としての金属膜を設け、この金属膜と他方の基板とを陽極接合させる構成などとしてもよい。
また、第一基板及び第二基板の間に他の層が介在しない構成としてもよい。この場合、第一基板及び第二基板の互いに対向する面のうち、基板同士が当接する領域が本発明の接合部となり、この接合部の内周縁が保持外周部の外周縁よりも内側に位置すればよい。このような接合としては、例えば、第一基板及び第二基板のうちいずれか一方がガラスであり、他方がシリコン等の導電部材である場合、これらの基板同士を直接陽極接合する構成が挙げられる。その他、第一基板及び第二基板の互いに対向する面を光学面に形成し、オプティカルコンタクト結合により、これらの基板を接合する構成等が挙げられる。
【0069】
また、上記実施形態では、保持部522が、平坦部522Aの周部に、曲面部522B,522Cが形成される構成を例示したが、これに限らない。例えば、可動基板52(第二基板)として、シリコン基板を用い、KOH等により異方性エッチングを実施する場合などでは、平坦部522Aの周部に、エッチング面の断面視が、基板厚み方向に対して傾斜する直線となるテーパ状の保持外周部が形成される。この場合であっても、接合膜53の内周縁53Aを平坦部522Aの外周縁522Dよりも外側に位置する構成とすることで、保持外周部を固定基板51側に撓ませようとする力を軽減でき、可動基板52の撓みを防止することができる。
【0070】
また、上記実施形態では、固定基板51側から入射した光に対して、固定反射膜54,可動反射膜55間で光干渉させ、取り出された光を可動基板52側から射出させる波長可変干渉フィルター5を例示したが、これに限定されない。
例えば、固定反射膜54,可動反射膜55間での光干渉により取り出された光を、再び固定基板51側に射出させる構成としてもよい。この場合、可動基板52として非透光性部材を用いてもよい。
【0071】
本発明の電子機器として、測色装置1を例示したが、その他、様々な分野により本発明の波長可変干渉フィルター、光学モジュール、電子機器を用いることができる。
例えば、特定物質の存在を検出するための光ベースのシステムとして用いることができる。このようなシステムとしては、例えば、本発明の波長可変干渉フィルターを用いた分光計測方式を採用して特定ガスを高感度検出する車載用ガス漏れ検出器や、呼気検査用の光音響希ガス検出器などのガス検出装置を例示できる。
このようなガス検出装置の一例を以下に図面に基づいて説明する。
【0072】
図13は、波長可変干渉フィルターを備えたガス検出装置の一例を示す概略図である。
図14は、図13のガス検出装置の制御系の構成を示すブロック図である。
このガス検出装置100は、図13に示すように、センサーチップ110と、吸引口120A、吸引流路120B、排出流路120C、および排出口120Dを備えた流路120と、本体部130と、を備えて構成されている。
本体部130は、流路120を着脱可能な開口を有するセンサー部カバー131、排出手段133、筐体134、光学部135、フィルター136、波長可変干渉フィルター5、および受光素子137(検出部)等を含む検出装置(光学モジュール)と、検出された信号を処理し、検出部を制御する制御部138、電力を供給する電力供給部139等から構成されている。また、光学部135は、光を射出する光源135Aと、光源135Aから入射された光をセンサーチップ110側に反射し、センサーチップ側から入射された光を受光素子137側に透過するビームスプリッター135Bと、レンズ135C,135D,135Eと、により構成されている。なお、波長可変干渉フィルター5を用いる構成を例示するが、上述した波長可変干渉フィルター5A,5Bを用いる構成としてもよい。さらに、このような波長可変干渉フィルター5(5A,5B)が収納された、第二実施形態のような光学フィルターデバイス600を用いる構成としてもよい。
また、図14に示すように、ガス検出装置100の表面には、操作パネル140、表示部141、外部とのインターフェイスのための接続部142、電力供給部139が設けられている。電力供給部139が二次電池の場合には、充電のための接続部143を備えてもよい。
さらに、ガス検出装置100の制御部138は、図14に示すように、CPU等により構成された信号処理部144、光源135Aを制御するための光源ドライバー回路145、波長可変干渉フィルター5を制御するための電圧制御部146、受光素子137からの信号を受信する受光回路147、センサーチップ110のコードを読み取り、センサーチップ110の有無を検出するセンサーチップ検出器148からの信号を受信するセンサーチップ検出回路149、および排出手段133を制御する排出ドライバー回路150などを備えている。
【0073】
次に、上記のようなガス検出装置100の動作について、以下に説明する。
本体部130の上部のセンサー部カバー131の内部には、センサーチップ検出器148が設けられており、このセンサーチップ検出器148でセンサーチップ110の有無が検出される。信号処理部144は、センサーチップ検出器148からの検出信号を検出すると、センサーチップ110が装着された状態であると判断し、表示部141へ検出動作を実施可能な旨を表示させる表示信号を出す。
【0074】
そして、例えば利用者により操作パネル140が操作され、操作パネル140から検出処理を開始する旨の指示信号が信号処理部144へ出力されると、まず、信号処理部144は、光源ドライバー回路145に光源作動の信号を出力して光源135Aを作動させる。光源135Aが駆動されると、光源135Aから単一波長で直線偏光の安定したレーザー光を射出される。また、光源135Aには、温度センサーや光量センサーが内蔵されており、その情報が信号処理部144へ出力される。そして、信号処理部144は、光源135Aから入力された温度や光量に基づいて、光源135Aが安定動作していると判断すると、排出ドライバー回路150を制御して排出手段133を作動させる。これにより、検出すべき標的物質(ガス分子)を含んだ気体試料が、吸引口120Aから、吸引流路120B、センサーチップ110内、排出流路120C、排出口120Dへと誘導される。
【0075】
また、センサーチップ110は、金属ナノ構造体が複数組み込まれ、局在表面プラズモン共鳴を利用したセンサーである。このようなセンサーチップ110では、レーザー光により金属ナノ構造体間で増強電場が形成され、この増強電場内にガス分子が入り込むと、分子振動の情報を含んだラマン散乱光、およびレイリー散乱光が発生する。
これらのレイリー散乱光やラマン散乱光は、光学部135を通ってフィルター136に入射し、フィルター136によりレイリー散乱光が分離され、ラマン散乱光が波長可変干渉フィルター5に入射する。そして、信号処理部144は、電圧制御部146を制御し、波長可変干渉フィルター5に印加する電圧を調整し、検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光を波長可変干渉フィルター5で分光させる。この後、分光した光が受光素子137で受光されると、受光量に応じた受光信号が受光回路147を介して信号処理部144に出力される。
信号処理部144は、上記のようにして得られた検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光のスペクトルデータと、ROMに格納されているデータとを比較し、目的のガス分子か否かを判定し、物質の特定をする。また、信号処理部144は、表示部141にその結果情報を表示させたり、接続部142から外部へ出力したりする。
【0076】
なお、上記図13及び図14において、ラマン散乱光を波長可変干渉フィルター5により分光して分光されたラマン散乱光からガス検出を行うガス検出装置100を例示したが、ガス検出装置として、ガス固有の吸光度を検出することでガス種別を特定するガス検出装置として用いてもよい。この場合、センサー内部にガスを流入させ、入射光のうちガスにて吸収された光を検出するガスセンサーを本発明の光学モジュールとして用いる。そして、このようなガスセンサーによりセンサー内に流入されたガスを分析、判別するガス検出装置を本発明の電子機器とする。このような構成でも、本発明の波長可変干渉フィルターを用いてガスの成分を検出することができる。
【0077】
また、特定物質の存在を検出するためのシステムとして、上記のようなガスの検出に限られず、近赤外線分光による糖類の非侵襲的測定装置や、食物や生体、鉱物等の情報の非侵襲的測定装置等の、物質成分分析装置を例示できる。
以下に、上記物質成分分析装置の一例として、食物分析装置を説明する。
【0078】
図15は、波長可変干渉フィルター5を利用した電子機器の一例である食物分析装置の概略構成を示す図である。なお、ここでは波長可変干渉フィルター5を用いているが、波長可変干渉フィルター5A,5Bを用いる構成としてもよい。さらに、このような波長可変干渉フィルター5(5A,5B)が収納された、第二実施形態のような光学フィルターデバイス600を用いる構成としてもよい。
この食物分析装置200は、図15に示すように、検出器210(光学モジュール)と、制御部220と、表示部230と、を備えている。検出器210は、光を射出する光源211と、測定対象物からの光が導入される撮像レンズ212と、撮像レンズ212から導入された光を分光する波長可変干渉フィルター5と、分光された光を検出する撮像部213(検出部)と、を備えている。
また、制御部220は、光源211の点灯及び消灯制御、点灯時の明るさ制御を実施する光源制御部221と、波長可変干渉フィルター5を制御する電圧制御部222と、撮像部213を制御し、撮像部213で撮像された分光画像を取得する検出制御部223と、信号処理部224と、記憶部225と、を備えている。
【0079】
この食物分析装置200は、システムを駆動させると、光源制御部221により光源211が制御されて、光源211から測定対象物に光が照射される。そして、測定対象物で反射された光は、撮像レンズ212を通って波長可変干渉フィルター5に入射する。波長可変干渉フィルター5は電圧制御部222の制御により所望の波長を分光可能な電圧が印加されており、分光された光が、例えばCCDカメラ等により構成される撮像部213で撮像される。また、撮像された光は分光画像として、記憶部225に蓄積される。また、信号処理部224は、電圧制御部222を制御して波長可変干渉フィルター5に印加する電圧値を変化させ、各波長に対する分光画像を取得する。
【0080】
そして、信号処理部224は、記憶部225に蓄積された各画像における各画素のデータを演算処理し、各画素におけるスペクトルを求める。また、記憶部225には、例えばスペクトルに対する食物の成分に関する情報が記憶されており、信号処理部224は、求めたスペクトルのデータを、記憶部225に記憶された食物に関する情報を基に分析し、検出対象に含まれる食物成分、およびその含有量を求める。また、得られた食物成分および含有量から、食物カロリーや鮮度等をも算出することができる。さらに、画像内のスペクトル分布を分析することで、検査対象の食物の中で鮮度が低下している部分の抽出等をも実施することができ、さらには、食物内に含まれる異物等の検出をも実施することができる。
そして、信号処理部224は、上述のようにして得られた検査対象の食物の成分や含有量、カロリーや鮮度等の情報を表示部230に表示させる処理をする。
【0081】
また、図15において、食物分析装置200の例を示すが、略同様の構成により、上述したようなその他の情報の非侵襲的測定装置としても利用することができる。例えば、血液等の体液成分の測定、分析等、生体成分を分析する生体分析装置として用いることができる。このような生体分析装置としては、例えば血液等の体液成分を測定する装置として、エチルアルコールを検知する装置とすれば、運転者の飲酒状態を検出する酒気帯び運転防止装置として用いることができる。また、このような生体分析装置を備えた電子内視鏡システムとしても用いることができる。
さらには、鉱物の成分分析を実施する鉱物分析装置としても用いることができる。
【0082】
さらには、本発明の波長可変干渉フィルター、光学モジュール、電子機器としては、以下のような装置に適用することができる。
例えば、各波長の光の強度を経時的に変化させることで、各波長の光でデータを伝送させることも可能であり、この場合、光学モジュールに設けられた波長可変干渉フィルターにより特定波長の光を分光し、受光部で受光させることで、特定波長の光により伝送されるデータを抽出することができ、このようなデータ抽出用光学モジュールを備えた電子機器により、各波長の光のデータを処理することで、光通信を実施することもできる。
【0083】
また、電子機器としては、本発明の波長可変干渉フィルターにより光を分光することで、分光画像を撮像する分光カメラ、分光分析機などにも適用できる。このような分光カメラの一例として、波長可変干渉フィルターを内蔵した赤外線カメラが挙げられる。
図16は、分光カメラの概略構成を示す模式図である。分光カメラ300は、図16に示すように、カメラ本体310と、撮像レンズユニット320と、撮像部330(検出部)とを備えている。
カメラ本体310は、利用者により把持、操作される部分である。
撮像レンズユニット320は、カメラ本体310に設けられ、入射した画像光を撮像部330に導光する。また、この撮像レンズユニット320は、図16に示すように、対物レンズ321、結像レンズ322、及びこれらのレンズ間に設けられた波長可変干渉フィルター5を備えて構成されている。
撮像部330は、受光素子により構成され、撮像レンズユニット320により導光された画像光を撮像する。
このような分光カメラ300では、波長可変干渉フィルター5により撮像対象となる波長の光を透過させることで、所望波長の光の分光画像を撮像することができる。
【0084】
さらには、本発明の波長可変干渉フィルターをバンドパスフィルターとして用いてもよく、例えば、発光素子が射出する所定波長域の光のうち、所定の波長を中心とした狭帯域の光のみを波長可変干渉フィルターで分光して透過させる光学式レーザー装置としても用いることができる。
また、本発明の波長可変干渉フィルターを生体認証装置として用いてもよく、例えば、近赤外領域や可視領域の光を用いた、血管や指紋、網膜、虹彩などの認証装置にも適用できる。
【0085】
さらには、光学モジュールおよび電子機器を、濃度検出装置として用いることができる。この場合、波長可変干渉フィルターにより、物質から射出された赤外エネルギー(赤外光)を分光して分析し、サンプル中の被検体濃度を測定する。
【0086】
上記に示すように、本発明の波長可変干渉フィルター、光学モジュール、および電子機器は、入射光から所定の光を分光するいかなる装置にも適用することができる。そして、本発明の波長可変干渉フィルターは、上述のように、1デバイスで複数の波長を分光させることができるため、複数の波長のスペクトルの測定、複数の成分に対する検出を精度よく実施することができる。したがって、複数デバイスにより所望の波長を取り出す従来の装置に比べて、光学モジュールや電子機器の小型化を促進でき、例えば、携帯用や車載用の光学デバイスとして好適に用いることができる。
【0087】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【符号の説明】
【0088】
1…測色装置(電子機器)、3…測色センサー(光学モジュール)、5,5A,5B…波長可変干渉フィルター、31…検出部、51…固定基板(第一基板)、52…可動基板(第二基板)、53…接合部、53A…接合部の内周縁、511…電極配置溝(凹溝部)、522D…平坦部の外周縁、522E…保持外周部の外周縁、522F…平坦部の内周縁、54…固定反射膜(第一反射膜)、55…可動反射膜(第二反射膜)、100…ガス検出装置(電子機器)、200…食物分析装置(電子機器)、300…分光カメラ(電子機器)、521…可動部、522…保持部、522A…平坦部、522B…曲面部(保持外周部)、600…光学フィルターデバイス、610…筐体、G1…反射膜間ギャップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板と、
前記第一基板に対向した第二基板と、
前記第一基板に設けられた第一反射膜と、
前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜と反射膜間ギャップを介して対向する第二反射膜と、
前記第一基板及び前記第二基板を接合する接合部と、
を具備し、
前記第二基板は、前記第二反射膜が設けられる可動部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記可動部の外周側に設けられ、前記可動部を前記第一基板に対して進退可能に保持する保持部と、前記平面視において前記保持部の外周側に設けられる基板外周部と、を備え、
前記保持部は、均一厚み寸法を有し、かつ当該厚み寸法が前記可動部及び前記基板外周部の厚み寸法よりも小さい平坦部と、前記平面視において前記平坦部の外周側に設けられ、前記平坦部から前記基板外周部に向かうに従って厚み寸法が増大する保持外周部と、を備え、
前記接合部は、前記第一基板及び第二基板を基板厚み方向から見た平面視において、前記第一基板及び前記第二基板の互いに対向する面のうち、各基板外周縁に沿った外周領域に設けられ、かつ、当該接合部の内周縁が、前記保持外周部の外周縁よりも内側に設けられた
ことを特徴とする波長可変干渉フィルター。
【請求項2】
請求項1に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
前記接合部の内周縁は、前記第一基板及び前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記平坦部の内周縁よりも外側に設けられた
ことを特徴とする波長可変干渉フィルター。
【請求項3】
請求項2に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
前記接合部の内周縁は、前記第一基板及び前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記保持外周部と重なる位置にある
ことを特徴とする波長可変干渉フィルター。
【請求項4】
請求項3に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
前記接合部の内周縁は、前記第一基板及び前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記平坦部及び前記保持外周部の境界位置にある
ことを特徴とする波長可変干渉フィルター。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
前記第一基板は、前記第二基板に対向する面に形成された凹溝部を備え、
前記接合部は、前記第一基板の前記第二基板に対向する面のうち、前記凹溝部の外周側領域全体に設けられる
ことを特徴とする波長可変干渉フィルター。
【請求項6】
第一基板、前記第一基板に対向した第二基板、前記第一基板に設けられた第一反射膜と、前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜と反射膜間ギャップを介して対向する第二反射膜、及び前記第一基板及び前記第二基板を接合する接合部を備えた波長可変干渉フィルターと、
前記波長可変干渉フィルターを収納する筐体と、を具備した光学フィルターデバイスであって、
前記第二基板は、前記第二反射膜が設けられる可動部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記可動部の外周側に設けられ、前記可動部を前記第一基板に対して進退可能に保持する保持部と、前記平面視において前記保持部の外周側に設けられる基板外周部と、を備え、
前記保持部は、均一厚み寸法を有し、かつ当該厚み寸法が前記可動部及び前記基板外周部の厚み寸法よりも小さい平坦部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記平坦部の外周側に設けられ、前記平坦部から前記基板外周部に向かうに従って厚み寸法が増大する保持外周部と、を備え、
前記接合部は、前記第一基板及び第二基板を基板厚み方向から見た平面視において、前記第一基板及び前記第二基板の互いに対向する面のうち、各基板外周縁に沿った外周領域に設けられ、かつ、当該接合部の内周縁が、前記保持外周部の外周縁よりも内側に設けられた
ことを特徴とする光学フィルターデバイス。
【請求項7】
第一基板と、
前記第一基板に対向した第二基板と、
前記第一基板に設けられた第一反射膜と、
前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜と反射膜間ギャップを介して対向する第二反射膜と、
前記第一基板及び前記第二基板を接合する接合部と、
前記第一反射膜及び前記第二反射膜により取り出された光を検出する検出部と、
を具備し、
前記第二基板は、前記第二反射膜が設けられる可動部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記可動部の外周側に設けられ、前記可動部を前記第一基板に対して進退可能に保持する保持部と、前記平面視において前記保持部の外周側に設けられる基板外周部と、を備え、
前記保持部は、均一厚み寸法を有し、かつ当該厚み寸法が前記可動部及び前記基板外周部の厚み寸法よりも小さい平坦部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記平坦部の外周側に設けられ、前記平坦部から前記基板外周部に向かうに従って厚み寸法が増大する保持外周部と、を備え、
前記接合部は、前記第一基板及び第二基板を基板厚み方向から見た平面視において、前記第一基板及び前記第二基板の互いに対向する面のうち、各基板外周縁に沿った外周領域に設けられ、かつ、当該接合部の内周縁が、前記保持外周部の外周縁よりも内側に設けられた
ことを特徴とする光学モジュール。
【請求項8】
第一基板と、
前記第一基板に対向した第二基板と、
前記第一基板に設けられた第一反射膜と、
前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜と反射膜間ギャップを介して対向する第二反射膜と、
前記第一基板及び前記第二基板を接合する接合部と、
を具備し、
前記第二基板は、前記第二反射膜が設けられる可動部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記可動部の外周側に設けられ、前記可動部を前記第一基板に対して進退可能に保持する保持部と、前記平面視において前記保持部の外周側に設けられる基板外周部と、を備え、
前記保持部は、均一厚み寸法を有し、かつ当該厚み寸法が前記可動部及び前記基板外周部の厚み寸法よりも小さい平坦部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記平坦部の外周側に設けられ、前記平坦部から前記基板外周部に向かうに従って厚み寸法が増大する保持外周部と、を備え、
前記接合部は、前記第一基板及び第二基板を基板厚み方向から見た平面視において、前記第一基板及び前記第二基板の互いに対向する面のうち、各基板外周縁に沿った外周領域に設けられ、かつ、当該接合部の内周縁が、前記保持外周部の外周縁よりも内側に設けられた
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
第一基板と、前記第一基板に対向した第二基板と、前記第一基板に設けられた第一反射膜と、前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜と反射膜間ギャップを介して対向する第二反射膜と、前記第一基板及び前記第二基板を接合する接合部と、を具備し、かつ、前記第二基板が、前記第二反射膜が設けられる可動部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記可動部の外周側に設けられ、前記可動部を前記第一基板に対して進退可能に保持する保持部と、前記平面視において前記保持部の外周側に設けられる基板外周部と、を備える波長可変干渉フィルターを製造する製造方法であって、
前記第一基板を加工して、当該第一基板に前記第一反射膜を形成する第一基板形成工程と、
前記第二基板を加工して、当該第二基板に第二反射膜を形成する第二基板形成工程と、
前記第一基板及び前記第二基板を接合する接合工程と、を備え、
前記第二基板形成工程は、エッチングにより、均一厚み寸法を有し、かつ当該厚み寸法が前記可動部及び前記基板外周部の厚み寸法よりも小さい平坦部と、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において前記平坦部の外周側に設けられ、前記平坦部から前記基板外周部に向かうに従って厚み寸法が増大する保持外周部と、を有し、かつ、前記保持外周部の外周縁が前記接合部の内周縁の外側に位置する保持部を形成し、
前記接合工程は、前記第一基板及び第二基板を基板厚み方向から見た平面視において、前記接合部の内周縁が、前記保持外周部の外周縁よりも内側に位置するようにアライメント調整を行った後、前記第一基板及び前記第二基板を、前記接合部を介して加圧接合する
ことを特徴とする波長可変干渉フィルターの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−76778(P2013−76778A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215597(P2011−215597)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】