洗浄用スポンジローラ
【課題】スクラブ洗浄の際に被洗浄面を均一に洗浄する。
【解決手段】ロール体3は、湿潤状態で弾性を有する多孔質素材によって構成され、ロール体3の回転軸2は、ロール体3の内径部に挿通されロール体3を固定的に支持する。回転軸2を回転させるとともに、回転軸2と略平行に配置された平面状の被洗浄面11を、回転軸2と略直交する仮想平面内に配置された仮想回転軸12を中心に回転させることによって、回転する被洗浄面11にロール体3の外周部分を回転接触させてスクラブ洗浄を行う。ロール体3の外周部分は、被洗浄面11のうち仮想回転軸12に近接する内側領域13に接触する中央領域6と、被洗浄面11のうち仮想回転軸12から離間した外側領域14に接触する外端領域7とを含む。ロール体3が1回転する間のロール体3の外周部分の被洗浄面に対する接触強さは、中央領域6の方が外端領域7よりも低く設定されている。
【解決手段】ロール体3は、湿潤状態で弾性を有する多孔質素材によって構成され、ロール体3の回転軸2は、ロール体3の内径部に挿通されロール体3を固定的に支持する。回転軸2を回転させるとともに、回転軸2と略平行に配置された平面状の被洗浄面11を、回転軸2と略直交する仮想平面内に配置された仮想回転軸12を中心に回転させることによって、回転する被洗浄面11にロール体3の外周部分を回転接触させてスクラブ洗浄を行う。ロール体3の外周部分は、被洗浄面11のうち仮想回転軸12に近接する内側領域13に接触する中央領域6と、被洗浄面11のうち仮想回転軸12から離間した外側領域14に接触する外端領域7とを含む。ロール体3が1回転する間のロール体3の外周部分の被洗浄面に対する接触強さは、中央領域6の方が外端領域7よりも低く設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体電子デバイスウェハ、シリコンウェハ、ハードディスク等のエレクトロニクス部品の製造工程のうち、主に洗浄工程のスクラブ洗浄で用いられる洗浄用スポンジローラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のエレクトロニクス工業では、各種部品の精密度が飛躍的に進み、それに伴って製造環境の清浄性に関する要求も高まっている。特に部品表面の化学的汚染や付着粒子は、製品の歩留まりや動作の信頼性に大きな影響を与えるため、製造工程における洗浄工程の重要性は非常に大きく、様々な洗浄方法が開発、実施されている。
【0003】
例えば、半導体電子デバイスウェハ、シリコンウェハ、ハードディスク等の被洗浄体の表面(被洗浄面)を洗浄する方法として、スポンジローラによるスクラブ洗浄が知られている。スポンジローラは、回転軸と、回転軸の外周に固着された弾性を有する略円筒状のロール体とから構成されている。スクラブ洗浄とは、ロール体の外周部分を被洗浄面に接触させて、両者の接触部分に水その他の洗浄液を供給しながら回転軸を介してロール体を回転させることにより、擦り洗いするものである。また、円形状の被洗浄面をスクラブ洗浄する際には、効率的な洗浄を行うために被洗浄面を回転させることが多い。
【0004】
【特許文献1】特開2003−163196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、被洗浄面を回転させると、被洗浄面のうち回転中心に近接する内側領域と回転中心から離間した外側領域とでは、被洗浄面を1回転させる間の移動距離が大きく相違するため、ロール体に対する被洗浄面の単位面積当たりの接触時間は、内側領域では長くなり、外側領域では短くなる。このため、内側領域では外側領域に比べて過度の接触で洗浄面にダメージを与える可能性があった。また、内側領域のダメージを防ぐために回転速度や接触圧等の諸条件を低く設定すると、外側領域が十分に洗浄されない可能性が生じた。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、スクラブ洗浄の際に被洗浄面を均一に洗浄することが可能な洗浄用スポンジローラの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の洗浄用スポンジローラは、略円筒状のロール体と回転軸とを備える。
【0008】
ロール体は、湿潤状態で弾性を有する多孔質素材によって構成されている。回転軸は、ロール体の内径部に挿通され、ロール体を固定的に支持する。回転軸を回転させるとともに、回転軸と略平行に配置された平面状の被洗浄面を、回転軸と略直交するように回転させることによって、回転する被洗浄面にロール体の外周部分を回転接触させてスクラブ洗浄が行われる。
【0009】
ロール体の外周部分は、被洗浄面のうち内側領域に接触する中央領域と、被洗浄面のうち外側領域に接触する外端領域とを含む。ロール体が1回転する間の該ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さは、中央領域の方が外端領域よりも低く設定されている。
【0010】
ここで、ロール体が1回転する間の該ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低とは、ロール体が1回転する間にその外周部分が接触によって被洗浄面(停止状態の被洗浄面)に与える影響の度合いの大小であり、換言すると、ロール体が1回転する間にその外周部分が被洗浄面(停止状態の被洗浄面)を擦る仕事量の大小を意味する。
【0011】
ロール体が1回転する間の該ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低は、被洗浄面に対する外周部分の接触面積の大小によって設定してもよい。すなわち、ロール体の外周部分を、中央領域では被洗浄面との接触面積が小さく、外端領域では被洗浄面との接触面積が大きくなるように設定してもよい。なお、中央領域での被洗浄面との接触面積は、外端領域での接触面積の2/3以下に設定すると良い。
【0012】
また、ロール体が1回転する間の該ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低は、被洗浄面に対する外周部分の接触圧の高低によって設定してもよい。すなわち、ロール体の外周部分を、中央領域では被洗浄面との接触圧が低く、外端領域では被洗浄面との接触圧が高くなるように設定してもよい。なお、被洗浄面に対するロール体の中央領域の接触圧は、外端領域の接触圧の2/3以下に設定すると良い。
【0013】
上記構成では、回転する被洗浄面(内側領域及び外側領域)にロール体の外周部分を接触させた場合、ロール体の外周部分のうち、被洗浄面の内側領域と接触する中央領域の方が、被洗浄面の外側領域と接触する外端領域よりも被洗浄面の単位面積に対する接触時間が長くなる。一方、ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さは、中央領域の方が外端領域よりも低く設定されている。このように、ロール体の外周部分のうち、被洗浄面との接触時間が長い中央領域は被洗浄面に対する接触強さが低く設定され、被洗浄面との接触時間が短い外端領域は被洗浄面に対する接触強さが高く設定されているので、内側領域にダメージを与えることなく、被洗浄面の洗浄の均一化を図ることができる。
【0014】
また、ロール体が1回転する間の該ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低を、被洗浄面に対する外周部分の接触面積の大小によって設定する態様として、ロール体の外周部分に、ロール体の外周面から一体的に突出する複数の突起を設け、ロール体の外周面に対する複数の突起の専有面積の割合(突起の密度)を、中央領域の方が外端領域よりも低くなるように設定してもよい。
【0015】
上記構成では、中央領域の突起の密度を外端領域の突起の密度よりも低く設定するという比較的簡単な方法によって、ロール体の外周部分の洗浄能力の高低を設定することができる。
【0016】
さらに、複数の突起を、ロール体の外周面のほぼ全域において同じ配列パターンで配置し、突起の大きさを、中央領域の方が外端領域よりも小さくなるように設定してもよい。
【0017】
上記構成では、複数の突起がロール体の外周面のほぼ全域において同じ配列パターンで配置されているので、ロール体の外周面のほぼ全域において各突起間に良好に洗浄液を流通させることができる。
【0018】
また、ロール体が1回転する間の該ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低を、被洗浄面に対する外周部分の接触圧の高低によって設定する態様として、ロール体の中央領域を外端領域よりも軟質な素材によって形成してもよく、また、ロール体の外周部分に、ロール体の外周面から一体的に突出する複数の突起を設け、ロール体の外周面に対する突起の突出高さを、中央領域の方が外端領域よりも低くなるように設定してもよい。
【0019】
上記構成では、中央領域を外端領域よりも軟質な素材によって形成したり、中央領域の突起の高さを外端領域の突起の高さよりも低く設定するという比較的簡単な方法によって、ロール体の外周部分の洗浄能力の高低を設定することができる。
【0020】
さらに、ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低を、被洗浄面に対する外周部分の接触圧の高低によって設定する他の態様として、回転軸のうち、ロール体の中央領域を支持する中央部分の外径を、外端領域を支持する外端部分の外径よりも小さく設定してもよい。
【0021】
上記構成では、ロール体の外周面をフラットな円周面とした場合であっても、ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低を設定することができる。
【0022】
また、ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さを、中央領域から外端領域に向かって徐々に高くなるように設定してもよい。
【0023】
例えば、ロール体の外周部分に複数の突起を設け、ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低を突起の密度の高低によって設定する場合、突起の密度を、中央領域から外端領域へ向かう従って徐々に高くなるように設定してもよい。さらに、突起の密度を、被洗浄面の回転の中心からの半径の距離にほぼ比例して又は半径の距離の2乗にほぼ比例して徐々に高くなるように設定してもよい。
【0024】
また、ロール体の外周部分に複数の突起を設け、ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低を被洗浄面に対する突起の接触圧の高低によって設定する場合や、回転軸の中央部分の外径を外端部分の外径よりも小さく設定する場合、被洗浄面に対する突起の接触圧を、中央領域から外端領域へ向かう従って徐々に高くなるように設定してもよい。さらに、被洗浄面に対する突起の接触圧を、被洗浄面の回転の中心からの半径の距離にほぼ比例して又は半径の距離の2乗に比例して徐々に高くなるように設定してもよい。
【0025】
上記構成では、ロール体が1回転する間の該ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さが中央領域から外端領域に向かって徐々に高くなるように設定されているので、被洗浄面のほぼ全域においてダメージを抑えることができ、さらに洗浄の均一化を図ることができる。
【0026】
また、ロール体の外周部分に複数の突起を設けた場合、全突起の外端面の面積の合計は、各突起の外端上を通る仮想接触外周面の面積に対して、50%以下が好ましい。さらに、被洗浄面が直径300mmウェハの場合、突起の数は100以上であることが好ましい。
【0027】
また、適正含水状態におけるロール体の有する30%圧縮応力(物性値)は、2kPa以上20kPa未満であることが好ましい。
【0028】
また、ロール体の外周部分には、開口部を有する皮膜状の組織が存在してもよい。
【0029】
さらに、ロール体の材質は、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリウレタン樹脂、熱可塑性エラストマー、又は合成ゴムであってもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る洗浄用スポンジローラによれば、スクラブ洗浄の際に被洗浄面を均一に洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0032】
図1は本実施形態に係る洗浄用スポンジローラによって被洗浄面を洗浄する状態を示す斜視図、図2はロール体の外周面の一部を展開して示す平面図、図3は図2のIII−III線矢視断面図である。
【0033】
図1〜図3に示すように、スクラブ洗浄の対象となる被洗浄体10は、薄厚円盤状のウェハであり、被洗浄面11は、被洗浄体10の表面及び裏面である。
【0034】
スクラブ洗浄を行う上下一対の洗浄用スポンジローラ(以下、単にスポンジローラと称する)1は、それぞれ回転軸2と、回転軸2に装着されるロール体3とによって構成される。
【0035】
回転軸2は、略円柱状であり、金属やプラスチックなどの硬質な材料によって形成されている。
【0036】
ロール体3は、略円筒形状であり、含水状態で弾性を有するポリビニルアセタール系多孔質素材(PVAt系多孔質素材)から成る。PVAt系多孔質素材は、乾燥状態で硬化し、湿潤状態で軟化する。また、吸水性及び保水性に優れ、湿潤時に好ましい柔軟性と適度な反発弾性を示し、耐磨耗性にも優れている。回転軸2はロール体3の内径部に挿通され、ロール体3を固定的に支持する。例えば、回転軸2の外周面とロール体3の内周面とを接着剤によって固着してもよく、また、回転軸2の外径をロール体3の内径よりも大きく形成し、回転軸2をロール体3の内径部に圧入することにより、ロール体3の弾性力によってロール体3を回転軸2に固定的に支持させてもよい。このような固定的な支持により、ロール体3は、回転軸2と共に回転する。なお、ロール体3の素材としては、PVAt系樹脂の他、ポリウレタン樹脂や熱可塑性エラストマーや合成ゴムなどを用いることができる。
【0037】
PVAt系多孔質素材から成るロール体3は、例えば平均重合度500〜3000でケン化度80%以上のポリビニルアルコール(原料)を一種又はそれ以上混合して水溶液とし、この水溶液に架橋剤としてアルデヒド類、触媒として鉱酸類、及び気孔形成材として澱粉等を加え、これらの混合液を所定の型内に注入し、40〜80℃で反応させて型から取り出した後、水洗により気孔形成材等を除去することによって得られる。型から取り出した後のロール体3の外周部分を含む外面には、開口部を有する皮膜状の組織が存在する。
【0038】
なお、適正含水状態におけるロール体3の有する30%圧縮応力(物性値)は、2kPa以上20kPa未満であることが好ましい。適正含水状態とは、PVAt系多孔質素材が適正な弾力を発揮し得る含水状態をいい、含水率(乾燥状態に対する含水状態の重量%)が、およそ100%〜1000%の範囲で得られる。また、30%圧縮応力とは、適正含水状態のPVAt系多孔質素材を、両端面間の距離(長手方向の高さ)が30mmとなるように切断し、端面全体に荷重がかかるようにデジタル式荷重測定器にセットし、長手方向に30%(9mm)押し潰した時の荷重を計測し、該荷重を端面の面積で割った値として得られる。
【0039】
また、PVAt系多孔質素材としては、気孔率が85%以上95%以下、平均気孔径が10μm以上200μm以下のものが好適である。
【0040】
気孔率が85%より小さいと、湿潤時の柔軟性が不十分となり、また、気孔率が95%より大きいと、実用的強度に乏しく、何れも洗浄用途には適さないためである。また、平均気孔径が10μmよりも小さいと、湿潤時の弾性が不足して十分なブラッシング効果が得られず、200μmを超えると、目が粗すぎて精密洗浄には不適当なためである。
【0041】
なお、ここでいう気孔率とは、乾燥機で十分に乾燥された直方体のPVAt系多孔質素材を乾式自動密時計にて測定し、直方体の見掛け体積と真体積とから、次式(1)にて算出される値である。
【0042】
気孔率(%)=(見掛け体積−真体積)/見掛け体積×100 …(1)
【0043】
また、平均気孔径は、ASTM(Desirnation:D4404−84)に基づく測定値であり、具体的には、PORUS MATERIALS,INC社製水銀ポロシメータを用いた、水銀圧入法細孔測定によって求められる値である。
【0044】
スクラブ洗浄は、上下のスポンジローラ1の回転軸2を所定距離だけ離間させて略平行に配置し、被洗浄面11を回転軸2と略平行に配置した状態で上下のロール体3の間に被洗浄体10を挟み、被洗浄面11に洗浄液を供給し、回転軸2をそれぞれ回転させるとともに、回転軸2と略直交する仮想平面内に配置された仮想回転軸12を中心に被洗浄面11を回転させることにより行われる。すなわち、回転する被洗浄面11にロール体3の外周部分を回転接触させてスクラブ洗浄が行われる。
【0045】
ロール体3の外周部分(複数の突起5を含む外周面3a)は、中央領域6と、この中央領域6の外側2箇所に配置される外端領域7とを含む。中央領域6は、被洗浄面11のうち仮想回転軸12(被洗浄面11の回転中心)に近接する内側領域13に接触し、外端領域7は、被洗浄面11のうち仮想回転軸12(被洗浄面11の回転中心)から離間した外縁付近を含む外側領域14にそれぞれ接触する。回転軸2の回転によってロール体3が1回転する間のロール体3の外周部分の被洗浄面11に対する接触強さ(以下、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さと称する)は、中央領域6の方が外端領域7よりも低く設定されている。ここで、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低とは、ロール体3が1回転する間にその外周部分が接触によって被洗浄面11(停止状態の被洗浄面11)に与える影響の度合いの大小であり、換言すると、ロール体3が1回転する間にその外周部分が被洗浄面11(停止状態の被洗浄面11)を擦る仕事量の大小を意味する。また、この被洗浄面11に対する接触強さとは、回転軸2及び仮想回転軸12の回転速度などの他の条件とは無関係に、回転軸2に装着されたロール体3の材質や形状などによって決まるものであり、スポンジローラ1自身が有する固有の接触強さである。
【0046】
ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低は、被洗浄面11に対する外周部分の接触面積の大小によって設定してもよく、被洗浄面11に対する外周部分の接触圧の高低によって設定してもよい。本実施形態では、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低を、被洗浄面11に対する外周部分の接触面積の大小によって設定している。すなわち、ロール体3の外周部分を、中央領域6では被洗浄面11との接触面積が小さく、外端領域7では被洗浄面11との接触面積が大きくなるように設定している。なお、中央領域6での被洗浄面11との接触面積は、外端領域7での接触面積の2/3以下に設定することが好ましい。
【0047】
また、本実施形態では、ロール体3の外周面3a上に円柱状の複数の突起5が一体的に突出成形され、これら複数の突起5が被洗浄面11に回転接触する。ロール体3の外周面3aに対する複数の突起5の専有面積の割合(突起5の密度)は、中央領域6の方が外端領域7よりも低く設定されている。具体的には、複数の突起5は全て同一の寸法形状を有し、中央領域6の突起5の数が外端領域7の突起5の数よりも少なく設定されている。なお、突起5の寸法形状は任意に設定可能であり、例えば、図4に示すように図2の突起5よりも外径の小さい突起5を設けてもよい。
【0048】
本実施形態によれば、仮想回転軸12を中心として回転する被洗浄面11(内側領域13及び外側領域14)にロール体3の外周部分(突起5)を接触させた場合、ロール体3の外周部分のうち、被洗浄面11の内側領域13と接触する中央領域6の方が、被洗浄面11の外側領域14と接触する外端領域7よりも被洗浄面11の単位面積に対する接触時間が長くなる。一方、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さは、中央領域6の方が外端領域7よりも低く設定されている。このように、ロール体3の外周部分のうち、被洗浄面11との接触時間が長い中央領域6は被洗浄面11に対する接触強さが低く設定され、被洗浄面11との接触時間が短い外端領域7は接触強さが高く設定されているので、内側領域13へのダメージも少なく、外側領域14の洗浄力も保持されており、被洗浄面11の洗浄の均一化を図ることができる。
【0049】
また、中央領域6の突起5の密度を外端領域7の突起5の密度よりも低く設定する(具体的には、中央領域6の突起5の数を外端領域7の突起5の数よりも少なく設定する)という比較的簡単な方法によって、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低を設定することができる。
【0050】
なお、本実施形態の外端領域7は中央領域6に隣接しているが、両者を離間させてその間に中間領域を設け、中間領域の被洗浄面11に対する接触強さを中央領域6よりも高く且つ外端領域7よりも低く設定してもよい。また、この場合、中間領域における突起5の密度を、中央領域6から外端領域7へ向かう従って徐々に高くなるように設定してもよい。さらに、突起5の密度を、被洗浄面11の回転の中心(仮想回転軸12)からの半径の距離にほぼ比例して又は半径の距離の2乗にほぼ比例して徐々に高くなるように設定してもよい。このように、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さを中央領域6から外端領域7に向かって徐々に低くなるように設定することによって、被洗浄面11のほぼ全域においてダメージを抑えることができ、さらに洗浄の均一化を図ることができる。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態を、図5に基づいて説明する。図5は本実施形態に係るロール体の外周面の一部を展開して示す平面図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0052】
本実施形態のロール体3は、複数の突起5をロール体3の外周面3aのほぼ全域において同じ配列パターンで配置し、中央領域6の突起5を外端領域7の突起5よりも小さく設定している点で、第1実施形態と相違する。すなわち、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低は、第1実施形態と同様に、被洗浄面11に対する外周部分(突起5)の接触面積の大小によって設定されているが、第1実施形態では突起5の数によって接触面積の大小を設定しているのに対し、本実施形態では、突起5の大きさによって接触面積の大小を設定し、且つ外周面3aのほぼ全域において同じ配列パターンで突起5を配置している。
【0053】
また、中央領域6と外端領域7との間に中間領域8が設けられ、中間領域8の被洗浄面11に対する接触強さは中央領域6よりも高く且つ外端領域7よりも低く設定されている。具体的には、中間領域8の突起5は、中央領域6の突起5よりも大きく且つ外端領域7の突起5よりも小さく設定されている。
【0054】
本実施形態によれば、複数の突起5がロール体3の外周面3aのほぼ全域において同じ配列パターンで配置されているので、ロール体3の外周面3aのほぼ全域において各突起5間に良好に洗浄液を流通させてスクラブ洗浄を行うことができる。
【0055】
次に、本発明の第3実施形態を、図6及び図7に基づいて説明する。図6は本実施形態に係るロール体の外周面の一部を展開して示す平面図、図7は図6のVII−VII線矢視断面図である。なお、上記実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0056】
本実施形態では、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低を、被洗浄面11に対する外周部分(突起5)の接触圧の高低によって設定している点で第1及び第2実施形態と相違する。具体的には、中央領域6が外端領域7よりも軟質な素材によって形成されている。また、ロール体3の外周面3aのほぼ全域には、同一の寸法形状(大きさ及び高さ)を有する複数の突起5が同じ配列パターンで配置されている。なお、ロール体3を成形する際に中央領域6と外端領域7とを別々に成形し、回転軸2に装着した状態で両者を一体化させてもよく、ロール体3を成形する際に中央領域6と外端領域7とを一体的に成形してもよい。また、ロール体3の外周面3aに突起5を形成せず、ロール体3の外周面3aをフラットな円周面としてもよい。さらに、中央領域6と外端領域7との間に中間領域を設け、中間領域を、中央領域6よりも硬質で且つ外端領域7よりも軟質な素材によって形成してもよい。
【0057】
上記構成では、中央領域6を外端領域7よりも軟質な素材によって形成するという比較的簡単な方法によって、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低を設定することができる。
【0058】
次に、本発明の第4実施形態を、図8及び図9に基づいて説明する。図8は本実施形態に係るロール体の外周面の一部を展開して示す平面図、図9は図8のIX−IX線矢視断面図である。なお、上記実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0059】
本実施形態では、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低を、被洗浄面11に対する外周部分(突起5)の接触圧の高低によって設定している点で第3実施形態と共通し、中央領域6の突起5の高さ(外周面3aからの距離)を外端領域7の突起5の高さ(外周面3aからの距離)よりも低く設定することによって、外周部分(突起5)の接触圧の高低を設定している点で第3実施形態と相違する。
【0060】
ロール体3の外周面3aのほぼ全域には、同一の寸法形状(大きさ及び高さ)を有する複数の突起5が同じ配列パターンで配置されおり、中央領域6の突起5の高さは外端領域7の突起5の高さよりも低い。このため、ロール体3の外周部分を被洗浄面11に押し当てた際に、外端領域7の突起5の方が中央領域6の突起5よりも変形量が大きくなり、外端領域7の接触圧の方が中央領域6の接触圧よりも高くなる。
【0061】
なお、中央領域6と外端領域7との間に中間領域を設け、中間領域に、中央領域6よりも高く且つ外端領域7よりも低い突起を形成してもよい。また、中間領域における突起5の高さを、中央領域6から外端領域7へ向かう従って徐々に高くなるように設定してもよい。さらに、突起5の高さを、被洗浄面11の回転の中心(仮想回転軸12)からの半径の距離にほぼ比例して又は半径の距離の2乗にほぼ比例して徐々に高くなるように設定してもよい。
【0062】
本実施形態によれば、中央領域6の突起5を外端領域7の突起5よりも低く設定するという比較的簡単な方法によって、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低を設定することができる。
【0063】
次に、本発明の第5実施形態を、図10に基づいて説明する。図10は本実施形態に係るスポンジローラの断面図である。なお、上記実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0064】
本実施形態では、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低を、被洗浄面11に対する外周部分の接触圧の高低によって設定している点で第3及び第4実施形態と共通し、回転軸2の外径(太さ)によってロール体3の中央領域6の接触圧と外端領域7の接触圧とを変えている点で第3及び第4実施形態と相違する。
【0065】
本実施形態のロール体3の外周面3aは、上記実施形態のような突起5は有さず、フラットな円周面状である。回転軸2のうち、ロール体3の中央領域6を支持する中央部分15の外径は、外端領域7を支持する外端部分16の外径よりも小さく設定されている。このため、ロール体3の外周部分を被洗浄面11に押し当てた際に、外端領域7の方が中央領域6のよりも変形し難く、外端領域7の接触圧の方が中央領域6の接触圧よりも高くなる。
【0066】
上記構成では、ロール体3の外周面3aをフラットな円周面とした場合であっても、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低を設定することができる。
【0067】
なお、本実施形態のロール体3に、上記第1〜第4実施形態のような突起5を形成してもよい。
【0068】
また、図11に示すように、回転軸2の外径を外端部分16から中央部分15に向かって徐々に小さく(細く)なるように設定してもよく、図12に示すように、回転軸2の外端部分16にリング状又は柱状の突起部17を突設することにより、中央部分15の外径を外端部分16の外径よりも小さく設定してもよい。
【0069】
本発明は、一例として説明した上述の実施形態、及びその変形例に限定されることはなく、上述の実施形態等以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態に係る洗浄用スポンジローラによって被洗浄面を洗浄する状態を示す斜視図である。
【図2】図1のロール体の外周面の一部を展開して示す平面図である。
【図3】図2のIII−III線矢視断面図である。
【図4】第1実施形態の変形例を示すロール体の展開平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るロール体の外周面の一部を展開して示す平面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るロール体の外周面の一部を展開して示す平面図である。
【図7】図6のVII−VII線矢視断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係るロール体の外周面の一部を展開して示す平面図である。
【図9】図8のIX−IX線矢視断面図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係るスポンジローラの断面図である。
【図11】第5実施形態の変形例を示すスポンジローラの断面図である。
【図12】第5実施形態の他の変形例を示すスポンジローラの断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1…スポンジローラ、2…回転軸、3…ロール体、5…突起、6…中央領域、7…外端領域、8…中間領域、10…被洗浄体、11…被洗浄面、12…仮想回転軸、13…内側領域、14…外側領域、15…中央部分、16…外端部分、17…突起部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体電子デバイスウェハ、シリコンウェハ、ハードディスク等のエレクトロニクス部品の製造工程のうち、主に洗浄工程のスクラブ洗浄で用いられる洗浄用スポンジローラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のエレクトロニクス工業では、各種部品の精密度が飛躍的に進み、それに伴って製造環境の清浄性に関する要求も高まっている。特に部品表面の化学的汚染や付着粒子は、製品の歩留まりや動作の信頼性に大きな影響を与えるため、製造工程における洗浄工程の重要性は非常に大きく、様々な洗浄方法が開発、実施されている。
【0003】
例えば、半導体電子デバイスウェハ、シリコンウェハ、ハードディスク等の被洗浄体の表面(被洗浄面)を洗浄する方法として、スポンジローラによるスクラブ洗浄が知られている。スポンジローラは、回転軸と、回転軸の外周に固着された弾性を有する略円筒状のロール体とから構成されている。スクラブ洗浄とは、ロール体の外周部分を被洗浄面に接触させて、両者の接触部分に水その他の洗浄液を供給しながら回転軸を介してロール体を回転させることにより、擦り洗いするものである。また、円形状の被洗浄面をスクラブ洗浄する際には、効率的な洗浄を行うために被洗浄面を回転させることが多い。
【0004】
【特許文献1】特開2003−163196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、被洗浄面を回転させると、被洗浄面のうち回転中心に近接する内側領域と回転中心から離間した外側領域とでは、被洗浄面を1回転させる間の移動距離が大きく相違するため、ロール体に対する被洗浄面の単位面積当たりの接触時間は、内側領域では長くなり、外側領域では短くなる。このため、内側領域では外側領域に比べて過度の接触で洗浄面にダメージを与える可能性があった。また、内側領域のダメージを防ぐために回転速度や接触圧等の諸条件を低く設定すると、外側領域が十分に洗浄されない可能性が生じた。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、スクラブ洗浄の際に被洗浄面を均一に洗浄することが可能な洗浄用スポンジローラの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の洗浄用スポンジローラは、略円筒状のロール体と回転軸とを備える。
【0008】
ロール体は、湿潤状態で弾性を有する多孔質素材によって構成されている。回転軸は、ロール体の内径部に挿通され、ロール体を固定的に支持する。回転軸を回転させるとともに、回転軸と略平行に配置された平面状の被洗浄面を、回転軸と略直交するように回転させることによって、回転する被洗浄面にロール体の外周部分を回転接触させてスクラブ洗浄が行われる。
【0009】
ロール体の外周部分は、被洗浄面のうち内側領域に接触する中央領域と、被洗浄面のうち外側領域に接触する外端領域とを含む。ロール体が1回転する間の該ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さは、中央領域の方が外端領域よりも低く設定されている。
【0010】
ここで、ロール体が1回転する間の該ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低とは、ロール体が1回転する間にその外周部分が接触によって被洗浄面(停止状態の被洗浄面)に与える影響の度合いの大小であり、換言すると、ロール体が1回転する間にその外周部分が被洗浄面(停止状態の被洗浄面)を擦る仕事量の大小を意味する。
【0011】
ロール体が1回転する間の該ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低は、被洗浄面に対する外周部分の接触面積の大小によって設定してもよい。すなわち、ロール体の外周部分を、中央領域では被洗浄面との接触面積が小さく、外端領域では被洗浄面との接触面積が大きくなるように設定してもよい。なお、中央領域での被洗浄面との接触面積は、外端領域での接触面積の2/3以下に設定すると良い。
【0012】
また、ロール体が1回転する間の該ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低は、被洗浄面に対する外周部分の接触圧の高低によって設定してもよい。すなわち、ロール体の外周部分を、中央領域では被洗浄面との接触圧が低く、外端領域では被洗浄面との接触圧が高くなるように設定してもよい。なお、被洗浄面に対するロール体の中央領域の接触圧は、外端領域の接触圧の2/3以下に設定すると良い。
【0013】
上記構成では、回転する被洗浄面(内側領域及び外側領域)にロール体の外周部分を接触させた場合、ロール体の外周部分のうち、被洗浄面の内側領域と接触する中央領域の方が、被洗浄面の外側領域と接触する外端領域よりも被洗浄面の単位面積に対する接触時間が長くなる。一方、ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さは、中央領域の方が外端領域よりも低く設定されている。このように、ロール体の外周部分のうち、被洗浄面との接触時間が長い中央領域は被洗浄面に対する接触強さが低く設定され、被洗浄面との接触時間が短い外端領域は被洗浄面に対する接触強さが高く設定されているので、内側領域にダメージを与えることなく、被洗浄面の洗浄の均一化を図ることができる。
【0014】
また、ロール体が1回転する間の該ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低を、被洗浄面に対する外周部分の接触面積の大小によって設定する態様として、ロール体の外周部分に、ロール体の外周面から一体的に突出する複数の突起を設け、ロール体の外周面に対する複数の突起の専有面積の割合(突起の密度)を、中央領域の方が外端領域よりも低くなるように設定してもよい。
【0015】
上記構成では、中央領域の突起の密度を外端領域の突起の密度よりも低く設定するという比較的簡単な方法によって、ロール体の外周部分の洗浄能力の高低を設定することができる。
【0016】
さらに、複数の突起を、ロール体の外周面のほぼ全域において同じ配列パターンで配置し、突起の大きさを、中央領域の方が外端領域よりも小さくなるように設定してもよい。
【0017】
上記構成では、複数の突起がロール体の外周面のほぼ全域において同じ配列パターンで配置されているので、ロール体の外周面のほぼ全域において各突起間に良好に洗浄液を流通させることができる。
【0018】
また、ロール体が1回転する間の該ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低を、被洗浄面に対する外周部分の接触圧の高低によって設定する態様として、ロール体の中央領域を外端領域よりも軟質な素材によって形成してもよく、また、ロール体の外周部分に、ロール体の外周面から一体的に突出する複数の突起を設け、ロール体の外周面に対する突起の突出高さを、中央領域の方が外端領域よりも低くなるように設定してもよい。
【0019】
上記構成では、中央領域を外端領域よりも軟質な素材によって形成したり、中央領域の突起の高さを外端領域の突起の高さよりも低く設定するという比較的簡単な方法によって、ロール体の外周部分の洗浄能力の高低を設定することができる。
【0020】
さらに、ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低を、被洗浄面に対する外周部分の接触圧の高低によって設定する他の態様として、回転軸のうち、ロール体の中央領域を支持する中央部分の外径を、外端領域を支持する外端部分の外径よりも小さく設定してもよい。
【0021】
上記構成では、ロール体の外周面をフラットな円周面とした場合であっても、ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低を設定することができる。
【0022】
また、ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さを、中央領域から外端領域に向かって徐々に高くなるように設定してもよい。
【0023】
例えば、ロール体の外周部分に複数の突起を設け、ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低を突起の密度の高低によって設定する場合、突起の密度を、中央領域から外端領域へ向かう従って徐々に高くなるように設定してもよい。さらに、突起の密度を、被洗浄面の回転の中心からの半径の距離にほぼ比例して又は半径の距離の2乗にほぼ比例して徐々に高くなるように設定してもよい。
【0024】
また、ロール体の外周部分に複数の突起を設け、ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低を被洗浄面に対する突起の接触圧の高低によって設定する場合や、回転軸の中央部分の外径を外端部分の外径よりも小さく設定する場合、被洗浄面に対する突起の接触圧を、中央領域から外端領域へ向かう従って徐々に高くなるように設定してもよい。さらに、被洗浄面に対する突起の接触圧を、被洗浄面の回転の中心からの半径の距離にほぼ比例して又は半径の距離の2乗に比例して徐々に高くなるように設定してもよい。
【0025】
上記構成では、ロール体が1回転する間の該ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さが中央領域から外端領域に向かって徐々に高くなるように設定されているので、被洗浄面のほぼ全域においてダメージを抑えることができ、さらに洗浄の均一化を図ることができる。
【0026】
また、ロール体の外周部分に複数の突起を設けた場合、全突起の外端面の面積の合計は、各突起の外端上を通る仮想接触外周面の面積に対して、50%以下が好ましい。さらに、被洗浄面が直径300mmウェハの場合、突起の数は100以上であることが好ましい。
【0027】
また、適正含水状態におけるロール体の有する30%圧縮応力(物性値)は、2kPa以上20kPa未満であることが好ましい。
【0028】
また、ロール体の外周部分には、開口部を有する皮膜状の組織が存在してもよい。
【0029】
さらに、ロール体の材質は、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリウレタン樹脂、熱可塑性エラストマー、又は合成ゴムであってもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る洗浄用スポンジローラによれば、スクラブ洗浄の際に被洗浄面を均一に洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0032】
図1は本実施形態に係る洗浄用スポンジローラによって被洗浄面を洗浄する状態を示す斜視図、図2はロール体の外周面の一部を展開して示す平面図、図3は図2のIII−III線矢視断面図である。
【0033】
図1〜図3に示すように、スクラブ洗浄の対象となる被洗浄体10は、薄厚円盤状のウェハであり、被洗浄面11は、被洗浄体10の表面及び裏面である。
【0034】
スクラブ洗浄を行う上下一対の洗浄用スポンジローラ(以下、単にスポンジローラと称する)1は、それぞれ回転軸2と、回転軸2に装着されるロール体3とによって構成される。
【0035】
回転軸2は、略円柱状であり、金属やプラスチックなどの硬質な材料によって形成されている。
【0036】
ロール体3は、略円筒形状であり、含水状態で弾性を有するポリビニルアセタール系多孔質素材(PVAt系多孔質素材)から成る。PVAt系多孔質素材は、乾燥状態で硬化し、湿潤状態で軟化する。また、吸水性及び保水性に優れ、湿潤時に好ましい柔軟性と適度な反発弾性を示し、耐磨耗性にも優れている。回転軸2はロール体3の内径部に挿通され、ロール体3を固定的に支持する。例えば、回転軸2の外周面とロール体3の内周面とを接着剤によって固着してもよく、また、回転軸2の外径をロール体3の内径よりも大きく形成し、回転軸2をロール体3の内径部に圧入することにより、ロール体3の弾性力によってロール体3を回転軸2に固定的に支持させてもよい。このような固定的な支持により、ロール体3は、回転軸2と共に回転する。なお、ロール体3の素材としては、PVAt系樹脂の他、ポリウレタン樹脂や熱可塑性エラストマーや合成ゴムなどを用いることができる。
【0037】
PVAt系多孔質素材から成るロール体3は、例えば平均重合度500〜3000でケン化度80%以上のポリビニルアルコール(原料)を一種又はそれ以上混合して水溶液とし、この水溶液に架橋剤としてアルデヒド類、触媒として鉱酸類、及び気孔形成材として澱粉等を加え、これらの混合液を所定の型内に注入し、40〜80℃で反応させて型から取り出した後、水洗により気孔形成材等を除去することによって得られる。型から取り出した後のロール体3の外周部分を含む外面には、開口部を有する皮膜状の組織が存在する。
【0038】
なお、適正含水状態におけるロール体3の有する30%圧縮応力(物性値)は、2kPa以上20kPa未満であることが好ましい。適正含水状態とは、PVAt系多孔質素材が適正な弾力を発揮し得る含水状態をいい、含水率(乾燥状態に対する含水状態の重量%)が、およそ100%〜1000%の範囲で得られる。また、30%圧縮応力とは、適正含水状態のPVAt系多孔質素材を、両端面間の距離(長手方向の高さ)が30mmとなるように切断し、端面全体に荷重がかかるようにデジタル式荷重測定器にセットし、長手方向に30%(9mm)押し潰した時の荷重を計測し、該荷重を端面の面積で割った値として得られる。
【0039】
また、PVAt系多孔質素材としては、気孔率が85%以上95%以下、平均気孔径が10μm以上200μm以下のものが好適である。
【0040】
気孔率が85%より小さいと、湿潤時の柔軟性が不十分となり、また、気孔率が95%より大きいと、実用的強度に乏しく、何れも洗浄用途には適さないためである。また、平均気孔径が10μmよりも小さいと、湿潤時の弾性が不足して十分なブラッシング効果が得られず、200μmを超えると、目が粗すぎて精密洗浄には不適当なためである。
【0041】
なお、ここでいう気孔率とは、乾燥機で十分に乾燥された直方体のPVAt系多孔質素材を乾式自動密時計にて測定し、直方体の見掛け体積と真体積とから、次式(1)にて算出される値である。
【0042】
気孔率(%)=(見掛け体積−真体積)/見掛け体積×100 …(1)
【0043】
また、平均気孔径は、ASTM(Desirnation:D4404−84)に基づく測定値であり、具体的には、PORUS MATERIALS,INC社製水銀ポロシメータを用いた、水銀圧入法細孔測定によって求められる値である。
【0044】
スクラブ洗浄は、上下のスポンジローラ1の回転軸2を所定距離だけ離間させて略平行に配置し、被洗浄面11を回転軸2と略平行に配置した状態で上下のロール体3の間に被洗浄体10を挟み、被洗浄面11に洗浄液を供給し、回転軸2をそれぞれ回転させるとともに、回転軸2と略直交する仮想平面内に配置された仮想回転軸12を中心に被洗浄面11を回転させることにより行われる。すなわち、回転する被洗浄面11にロール体3の外周部分を回転接触させてスクラブ洗浄が行われる。
【0045】
ロール体3の外周部分(複数の突起5を含む外周面3a)は、中央領域6と、この中央領域6の外側2箇所に配置される外端領域7とを含む。中央領域6は、被洗浄面11のうち仮想回転軸12(被洗浄面11の回転中心)に近接する内側領域13に接触し、外端領域7は、被洗浄面11のうち仮想回転軸12(被洗浄面11の回転中心)から離間した外縁付近を含む外側領域14にそれぞれ接触する。回転軸2の回転によってロール体3が1回転する間のロール体3の外周部分の被洗浄面11に対する接触強さ(以下、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さと称する)は、中央領域6の方が外端領域7よりも低く設定されている。ここで、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低とは、ロール体3が1回転する間にその外周部分が接触によって被洗浄面11(停止状態の被洗浄面11)に与える影響の度合いの大小であり、換言すると、ロール体3が1回転する間にその外周部分が被洗浄面11(停止状態の被洗浄面11)を擦る仕事量の大小を意味する。また、この被洗浄面11に対する接触強さとは、回転軸2及び仮想回転軸12の回転速度などの他の条件とは無関係に、回転軸2に装着されたロール体3の材質や形状などによって決まるものであり、スポンジローラ1自身が有する固有の接触強さである。
【0046】
ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低は、被洗浄面11に対する外周部分の接触面積の大小によって設定してもよく、被洗浄面11に対する外周部分の接触圧の高低によって設定してもよい。本実施形態では、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低を、被洗浄面11に対する外周部分の接触面積の大小によって設定している。すなわち、ロール体3の外周部分を、中央領域6では被洗浄面11との接触面積が小さく、外端領域7では被洗浄面11との接触面積が大きくなるように設定している。なお、中央領域6での被洗浄面11との接触面積は、外端領域7での接触面積の2/3以下に設定することが好ましい。
【0047】
また、本実施形態では、ロール体3の外周面3a上に円柱状の複数の突起5が一体的に突出成形され、これら複数の突起5が被洗浄面11に回転接触する。ロール体3の外周面3aに対する複数の突起5の専有面積の割合(突起5の密度)は、中央領域6の方が外端領域7よりも低く設定されている。具体的には、複数の突起5は全て同一の寸法形状を有し、中央領域6の突起5の数が外端領域7の突起5の数よりも少なく設定されている。なお、突起5の寸法形状は任意に設定可能であり、例えば、図4に示すように図2の突起5よりも外径の小さい突起5を設けてもよい。
【0048】
本実施形態によれば、仮想回転軸12を中心として回転する被洗浄面11(内側領域13及び外側領域14)にロール体3の外周部分(突起5)を接触させた場合、ロール体3の外周部分のうち、被洗浄面11の内側領域13と接触する中央領域6の方が、被洗浄面11の外側領域14と接触する外端領域7よりも被洗浄面11の単位面積に対する接触時間が長くなる。一方、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さは、中央領域6の方が外端領域7よりも低く設定されている。このように、ロール体3の外周部分のうち、被洗浄面11との接触時間が長い中央領域6は被洗浄面11に対する接触強さが低く設定され、被洗浄面11との接触時間が短い外端領域7は接触強さが高く設定されているので、内側領域13へのダメージも少なく、外側領域14の洗浄力も保持されており、被洗浄面11の洗浄の均一化を図ることができる。
【0049】
また、中央領域6の突起5の密度を外端領域7の突起5の密度よりも低く設定する(具体的には、中央領域6の突起5の数を外端領域7の突起5の数よりも少なく設定する)という比較的簡単な方法によって、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低を設定することができる。
【0050】
なお、本実施形態の外端領域7は中央領域6に隣接しているが、両者を離間させてその間に中間領域を設け、中間領域の被洗浄面11に対する接触強さを中央領域6よりも高く且つ外端領域7よりも低く設定してもよい。また、この場合、中間領域における突起5の密度を、中央領域6から外端領域7へ向かう従って徐々に高くなるように設定してもよい。さらに、突起5の密度を、被洗浄面11の回転の中心(仮想回転軸12)からの半径の距離にほぼ比例して又は半径の距離の2乗にほぼ比例して徐々に高くなるように設定してもよい。このように、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さを中央領域6から外端領域7に向かって徐々に低くなるように設定することによって、被洗浄面11のほぼ全域においてダメージを抑えることができ、さらに洗浄の均一化を図ることができる。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態を、図5に基づいて説明する。図5は本実施形態に係るロール体の外周面の一部を展開して示す平面図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0052】
本実施形態のロール体3は、複数の突起5をロール体3の外周面3aのほぼ全域において同じ配列パターンで配置し、中央領域6の突起5を外端領域7の突起5よりも小さく設定している点で、第1実施形態と相違する。すなわち、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低は、第1実施形態と同様に、被洗浄面11に対する外周部分(突起5)の接触面積の大小によって設定されているが、第1実施形態では突起5の数によって接触面積の大小を設定しているのに対し、本実施形態では、突起5の大きさによって接触面積の大小を設定し、且つ外周面3aのほぼ全域において同じ配列パターンで突起5を配置している。
【0053】
また、中央領域6と外端領域7との間に中間領域8が設けられ、中間領域8の被洗浄面11に対する接触強さは中央領域6よりも高く且つ外端領域7よりも低く設定されている。具体的には、中間領域8の突起5は、中央領域6の突起5よりも大きく且つ外端領域7の突起5よりも小さく設定されている。
【0054】
本実施形態によれば、複数の突起5がロール体3の外周面3aのほぼ全域において同じ配列パターンで配置されているので、ロール体3の外周面3aのほぼ全域において各突起5間に良好に洗浄液を流通させてスクラブ洗浄を行うことができる。
【0055】
次に、本発明の第3実施形態を、図6及び図7に基づいて説明する。図6は本実施形態に係るロール体の外周面の一部を展開して示す平面図、図7は図6のVII−VII線矢視断面図である。なお、上記実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0056】
本実施形態では、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低を、被洗浄面11に対する外周部分(突起5)の接触圧の高低によって設定している点で第1及び第2実施形態と相違する。具体的には、中央領域6が外端領域7よりも軟質な素材によって形成されている。また、ロール体3の外周面3aのほぼ全域には、同一の寸法形状(大きさ及び高さ)を有する複数の突起5が同じ配列パターンで配置されている。なお、ロール体3を成形する際に中央領域6と外端領域7とを別々に成形し、回転軸2に装着した状態で両者を一体化させてもよく、ロール体3を成形する際に中央領域6と外端領域7とを一体的に成形してもよい。また、ロール体3の外周面3aに突起5を形成せず、ロール体3の外周面3aをフラットな円周面としてもよい。さらに、中央領域6と外端領域7との間に中間領域を設け、中間領域を、中央領域6よりも硬質で且つ外端領域7よりも軟質な素材によって形成してもよい。
【0057】
上記構成では、中央領域6を外端領域7よりも軟質な素材によって形成するという比較的簡単な方法によって、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低を設定することができる。
【0058】
次に、本発明の第4実施形態を、図8及び図9に基づいて説明する。図8は本実施形態に係るロール体の外周面の一部を展開して示す平面図、図9は図8のIX−IX線矢視断面図である。なお、上記実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0059】
本実施形態では、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低を、被洗浄面11に対する外周部分(突起5)の接触圧の高低によって設定している点で第3実施形態と共通し、中央領域6の突起5の高さ(外周面3aからの距離)を外端領域7の突起5の高さ(外周面3aからの距離)よりも低く設定することによって、外周部分(突起5)の接触圧の高低を設定している点で第3実施形態と相違する。
【0060】
ロール体3の外周面3aのほぼ全域には、同一の寸法形状(大きさ及び高さ)を有する複数の突起5が同じ配列パターンで配置されおり、中央領域6の突起5の高さは外端領域7の突起5の高さよりも低い。このため、ロール体3の外周部分を被洗浄面11に押し当てた際に、外端領域7の突起5の方が中央領域6の突起5よりも変形量が大きくなり、外端領域7の接触圧の方が中央領域6の接触圧よりも高くなる。
【0061】
なお、中央領域6と外端領域7との間に中間領域を設け、中間領域に、中央領域6よりも高く且つ外端領域7よりも低い突起を形成してもよい。また、中間領域における突起5の高さを、中央領域6から外端領域7へ向かう従って徐々に高くなるように設定してもよい。さらに、突起5の高さを、被洗浄面11の回転の中心(仮想回転軸12)からの半径の距離にほぼ比例して又は半径の距離の2乗にほぼ比例して徐々に高くなるように設定してもよい。
【0062】
本実施形態によれば、中央領域6の突起5を外端領域7の突起5よりも低く設定するという比較的簡単な方法によって、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低を設定することができる。
【0063】
次に、本発明の第5実施形態を、図10に基づいて説明する。図10は本実施形態に係るスポンジローラの断面図である。なお、上記実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0064】
本実施形態では、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低を、被洗浄面11に対する外周部分の接触圧の高低によって設定している点で第3及び第4実施形態と共通し、回転軸2の外径(太さ)によってロール体3の中央領域6の接触圧と外端領域7の接触圧とを変えている点で第3及び第4実施形態と相違する。
【0065】
本実施形態のロール体3の外周面3aは、上記実施形態のような突起5は有さず、フラットな円周面状である。回転軸2のうち、ロール体3の中央領域6を支持する中央部分15の外径は、外端領域7を支持する外端部分16の外径よりも小さく設定されている。このため、ロール体3の外周部分を被洗浄面11に押し当てた際に、外端領域7の方が中央領域6のよりも変形し難く、外端領域7の接触圧の方が中央領域6の接触圧よりも高くなる。
【0066】
上記構成では、ロール体3の外周面3aをフラットな円周面とした場合であっても、ロール体3の被洗浄面11に対する接触強さの高低を設定することができる。
【0067】
なお、本実施形態のロール体3に、上記第1〜第4実施形態のような突起5を形成してもよい。
【0068】
また、図11に示すように、回転軸2の外径を外端部分16から中央部分15に向かって徐々に小さく(細く)なるように設定してもよく、図12に示すように、回転軸2の外端部分16にリング状又は柱状の突起部17を突設することにより、中央部分15の外径を外端部分16の外径よりも小さく設定してもよい。
【0069】
本発明は、一例として説明した上述の実施形態、及びその変形例に限定されることはなく、上述の実施形態等以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態に係る洗浄用スポンジローラによって被洗浄面を洗浄する状態を示す斜視図である。
【図2】図1のロール体の外周面の一部を展開して示す平面図である。
【図3】図2のIII−III線矢視断面図である。
【図4】第1実施形態の変形例を示すロール体の展開平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るロール体の外周面の一部を展開して示す平面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るロール体の外周面の一部を展開して示す平面図である。
【図7】図6のVII−VII線矢視断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係るロール体の外周面の一部を展開して示す平面図である。
【図9】図8のIX−IX線矢視断面図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係るスポンジローラの断面図である。
【図11】第5実施形態の変形例を示すスポンジローラの断面図である。
【図12】第5実施形態の他の変形例を示すスポンジローラの断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1…スポンジローラ、2…回転軸、3…ロール体、5…突起、6…中央領域、7…外端領域、8…中間領域、10…被洗浄体、11…被洗浄面、12…仮想回転軸、13…内側領域、14…外側領域、15…中央部分、16…外端部分、17…突起部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿潤状態で弾性を有する多孔質素材によって構成された略円筒形状のロール体と、該ロール体の内径部に挿通されて該ロール体を固定的に支持する回転軸とを有し、該回転軸を回転させるとともに、前記回転軸と略平行に配置された平面状の被洗浄面を回転させることによって、該回転する被洗浄面に前記ロール体の外周部分を回転接触させてスクラブ洗浄を行う洗浄用スポンジローラであって、
前記ロール体の外周部分は、前記被洗浄面のうち内側領域に接触する中央領域と、前記被洗浄面のうち外側領域に接触する外端領域とを含み、
前記ロール体が1回転する間の該ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さが、前記中央領域の方が前記外端領域よりも低く設定されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄用スポンジローラであって、
前記ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さが、前記中央領域から前記外端領域に向かって徐々に高く設定されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の洗浄用スポンジローラであって、
前記ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低は、前記被洗浄面に対する前記外周部分の接触面積の大小によって設定されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【請求項4】
請求項3に記載の洗浄用スポンジローラであって、
前記ロール体の外周部分は、該ロール体の外周面から一体的に突出する複数の突起を有し、
前記ロール体の前記外周面に対する前記複数の突起の専有面積の割合は、前記中央領域の方が前記外端領域よりも低く設定されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【請求項5】
請求項4に記載の洗浄用スポンジローラであって、
前記複数の突起は、前記ロール体の前記外周面のほぼ全域において同じ配列パターンで配置され、
前記突起の大きさは、前記中央領域の方が前記外端領域よりも小さく設定されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の洗浄用スポンジローラであって、
前記ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低は、前記被洗浄面に対する前記外周部分の接触圧の高低によって設定されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【請求項7】
請求項6に記載の洗浄用スポンジローラであって、
前記ロール体の前記中央領域は、前記外端領域よりも軟質な素材によって形成されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の洗浄用スポンジローラであって、
前記ロール体の外周部分は、該ロール体の外周面から一体的に突出する複数の突起を有し、
前記ロール体の前記外周面に対する前記突起の突出高さは、前記中央領域の方が前記外端領域よりも低く設定されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【請求項9】
請求項6〜請求項8の何れかに記載の洗浄用スポンジローラであって、
前記回転軸は、前記ロール体の前記中央領域を支持する中央部分と、前記外端領域を支持する外端部分とを有し、
前記回転軸の前記中央部分の外径は、前記外端部分の外径よりも細く形成されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【請求項1】
湿潤状態で弾性を有する多孔質素材によって構成された略円筒形状のロール体と、該ロール体の内径部に挿通されて該ロール体を固定的に支持する回転軸とを有し、該回転軸を回転させるとともに、前記回転軸と略平行に配置された平面状の被洗浄面を回転させることによって、該回転する被洗浄面に前記ロール体の外周部分を回転接触させてスクラブ洗浄を行う洗浄用スポンジローラであって、
前記ロール体の外周部分は、前記被洗浄面のうち内側領域に接触する中央領域と、前記被洗浄面のうち外側領域に接触する外端領域とを含み、
前記ロール体が1回転する間の該ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さが、前記中央領域の方が前記外端領域よりも低く設定されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄用スポンジローラであって、
前記ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さが、前記中央領域から前記外端領域に向かって徐々に高く設定されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の洗浄用スポンジローラであって、
前記ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低は、前記被洗浄面に対する前記外周部分の接触面積の大小によって設定されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【請求項4】
請求項3に記載の洗浄用スポンジローラであって、
前記ロール体の外周部分は、該ロール体の外周面から一体的に突出する複数の突起を有し、
前記ロール体の前記外周面に対する前記複数の突起の専有面積の割合は、前記中央領域の方が前記外端領域よりも低く設定されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【請求項5】
請求項4に記載の洗浄用スポンジローラであって、
前記複数の突起は、前記ロール体の前記外周面のほぼ全域において同じ配列パターンで配置され、
前記突起の大きさは、前記中央領域の方が前記外端領域よりも小さく設定されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の洗浄用スポンジローラであって、
前記ロール体の外周部分の被洗浄面に対する接触強さの高低は、前記被洗浄面に対する前記外周部分の接触圧の高低によって設定されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【請求項7】
請求項6に記載の洗浄用スポンジローラであって、
前記ロール体の前記中央領域は、前記外端領域よりも軟質な素材によって形成されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の洗浄用スポンジローラであって、
前記ロール体の外周部分は、該ロール体の外周面から一体的に突出する複数の突起を有し、
前記ロール体の前記外周面に対する前記突起の突出高さは、前記中央領域の方が前記外端領域よりも低く設定されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【請求項9】
請求項6〜請求項8の何れかに記載の洗浄用スポンジローラであって、
前記回転軸は、前記ロール体の前記中央領域を支持する中央部分と、前記外端領域を支持する外端部分とを有し、
前記回転軸の前記中央部分の外径は、前記外端部分の外径よりも細く形成されている
ことを特徴とする洗浄用スポンジローラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−117765(P2009−117765A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292130(P2007−292130)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(500004069)アイオン株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(500004069)アイオン株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
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