説明

浄化装置および浄化方法

【課題】揮発性有機化合物を含む処理ガスを効率よく浄化することができる浄化装置を提供する。
【解決手段】浄化装置は、揮発性有機化合物を含むVOC含有ガスが供給される燃焼器3を備える。燃焼器3からの燃焼ガスにより駆動するタービン4を備える。タービン4の排気ガスを放出するための排気経路としての経路D,E,Fを備える。経路D,E,Fに配置され、揮発性有機化合物を分解するための触媒機器7を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄化装置および浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大気汚染の問題は、以前から注目されている。大気汚染の原因の1つに揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)が挙げられる。VOCは、揮発性を有する。VOCには、たとえば、トルエン、キシレンまたは酢酸エチルなどが含まれる。
【0003】
VOCは、たとえば、塗装を行なう塗装施設、接着を行なう接着施設、印刷を行なう印刷施設、または、洗浄を行なう洗浄施設などの有機化合物を使用する施設から排出される。VOCを処理するための処理装置には、VOCを回収する装置やVOCを分解する装置等が含まれる。VOCを回収する装置は、たとえば、吸着や吸収によりVOCを回収する。VOCを分解する装置は、たとえば、VOCを燃焼して分解する装置、生物により分解する装置またはプラズマにより分解する装置などが含まれる。
【0004】
近年におけるVOC含有ガスを処理する主な燃焼処理の方法として、触媒燃焼法と蓄熱燃焼法が挙げられる。蓄熱燃焼法は、砂、セラミックなどの耐熱性または蓄熱性を有する媒体を用いて、高温の雰囲気でVOCを媒体に接触させることによりVOCの分解を行なう方法である。触媒燃焼法は、白金、パラジウムなどの触媒を用いて、高温の雰囲気でVOCを触媒に接触させることによりVOCを分解する方法である。
【0005】
これらの方法においては、VOCを含有するガスを加熱する必要があり、また、送風のために大きな動力が必要となって、処理量が少なくなってしまうという問題があった。または、処理量を多くしようとすると、設備が大型になってしまうという問題があった。
【0006】
近年においては、ガスタービンを用いて、VOCを含む処理ガスをガスタービンのタービン用燃料とともに燃焼することにより、VOCを分解処理する方法が知られている。
【0007】
特開2002−4890号公報においては、ガスタービンを採用し、燃焼ガス温度を脱臭処理中、臭気ガスが分解される温度以上に制御するとともに、タービンで発生する動力を回転軸を介してコンプレッサに伝え、かつその軸力で第2コンプレッサを駆動して他の目的に利用可能な圧縮ガスを生成する脱臭・圧縮装置が開示されている。
【0008】
特開2004−37038号公報においては、過給機におけるコンプレッサの空気出口とタービンの排気ガス入口とを連絡する連絡管、排気管に燃焼器を装備し、有機廃棄物排出源から有機溶剤含有廃液を廃液供給管によって蒸留装置を経て燃焼器に供給すると共に、有機廃棄物排出源からの有機溶剤ガスを含む空気を、ダクトによって濃縮装置、吸気冷却装置を経てコンプレッサに吸引させ、圧縮した後に燃焼器に送り、燃焼器内で有機成分含有廃液を有機成分含有空気で燃焼させ、この燃焼により発生する燃焼ガスでタービンを回転させる廃液処理装置が開示されている。
【0009】
特開2001−70750号公報においては、処理対象の排ガス中に含まれる有機成分を濃縮して、有機成分濃度を高めた濃縮ガスを生成する濃縮装置と、この濃縮装置による生成濃縮ガスを燃焼用酸素含有ガスとして動力を発生させるガスタービンと、このガスタービンによる発生動力で発生する発電機とを備える排ガス処理システムが開示されている。
【特許文献1】特開2002−4890号公報
【特許文献2】特開2004−37038号公報
【特許文献3】特開2001−70750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ガスタービン装置のタービン用燃料にVOCを混入してVOCを処理する装置においては、燃料を燃焼するための燃焼器で高温場が生成される。VOCを含有する空気は、この高温場を通過するが、この高温場の通過時間が短時間であり、VOCを完全に燃焼させて、全てを二酸化炭素と水とに分解することは困難であるという問題があった。特に、VOCの濃度が高い場合には、VOCを完全に分解することは困難であるという問題があった。また、この方法においては、不完全燃焼によるCOが生成されるという問題もあった。
【0011】
ガスタービン装置においては、タービンに送られる燃焼ガスの温度を下げるために、燃焼器の希釈口から希釈空気が投入される。VOCを含む処理ガスをガスタービン装置の希釈空気として導入する装置においては、VOCを含む空気が燃焼器の高温場を通らずにタービンに送られる。このために、希釈空気に含まれるVOCを完全に分解することは困難であるという問題があった。
【0012】
本発明は、揮発性有機化合物を含む処理ガスを効率よく、かつ高い処理率で浄化することができる浄化装置および浄化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に基づく一の局面における浄化装置は、揮発性有機化合物を含む処理ガスをガスタービンの吸気に導入して上記処理ガスを浄化する揮発性有機化合物を含む処理ガスの浄化装置である。上記浄化装置は、上記処理ガスが供給される燃焼室と、上記燃焼室から燃焼ガスにより駆動するタービンと、上記タービンに接続されて排気ガスを排出する第1排気経路と、上記第1排気経路に配置され、加熱装置を有しない第1触媒機器とを備える。
【0014】
本発明に基づく他の局面における浄化装置は、上記一の局面における浄化装置の構成に加えて、さらに、上記処理ガスがガスタービンを介すことなく導入される第2触媒機器と、上記第1排気経路に配置され、上記第1触媒機器より放出された排気ガスにより上記第2触媒機器に導入される上記処理ガスを加熱する熱交換器とを備える。
【0015】
上記発明において好ましくは、上記第1排気経路に配置され、上記排気ガスの廃熱を回収する廃熱回収器を備える。
【0016】
本発明に基づく一の局面における浄化方法は、上記一の局面における浄化装置を用いて揮発性有機化合物を含む処理ガスを浄化する揮発性有機化合物を含む処理ガスの浄化方法であって、上記浄化方法は、上記タービンから排出される排気ガスを加熱することなくそのまま上記第1触媒機器に導入して浄化する。
【0017】
本発明に基づく他の局面における浄化方法は、上記他の局面における浄化装置を用いて揮発性有機化合物を含む処理ガスを浄化する揮発性有機化合物を含む処理ガスの浄化方法であって、上記浄化方法は、上記処理ガスを2つに分流し、一の分流された処理ガスを上記タービンの吸気に導入し、上記タービンから放出される排気ガスを加熱することなくそのまま上記第1触媒機器に導入し、上記第1触媒機器から放出される排気ガスで他の分流された処理ガスを加熱し、上記第2触媒機器に導入して浄化する。
【0018】
上記発明において好ましくは、上記第1触媒機器に導入される排気ガスの温度が250℃〜550℃である。
【0019】
上記発明において好ましくは、上記タービンに発電機を接続し、下記の工程を下記の順序で含む、発電機の電気出力を一定とするとともに、上記処理ガスを浄化する浄化方法であって、A.上記第1触媒機器の出口温度を検知する工程と、B.上記出口温度と上記第1触媒機器出口の目標温度として設定された第1目標温度とを比較する工程と、C.上記出口温度を上記第1目標温度に近づけるために要求される電気出力を調整する工程と、D.発電機の電気出力を要求される電気出力に近づけるために燃焼燃料の流量を調整する工程とを含む。
【0020】
上記発明において好ましくは、上記処理ガスの濃度および流量を測定することなく上記処理ガスを上記燃焼室に供給し、上記出力を調整するために燃焼燃料の流量を調整する。
【0021】
上記発明において好ましくは、上記タービンにインバータ制御が行なわれる発電機を接続し、下記の工程を下記の順序で含む、発電機の電気出力を可変とするとともに、上記処理ガスを浄化する浄化方法であって、A.上記第1触媒機器の出口温度を検知する工程と、B.上記出口温度と上記第1触媒機器出口の目標温度として設定された第2目標温度とを比較する工程と、C.上記出口温度を上記第2目標温度に近づけるために、上記燃焼器に供給される上記処理ガスの流量を調整して上記タービンの回転数を調整する工程とを含む。
【0022】
上記発明において好ましくは、上記処理ガスの温度および流量を測定することなく上記処理ガスを上記燃焼室に供給し、上記回転数を調整するために燃焼燃料の流量を調整する。
【0023】
上記発明において好ましくは、上記タービンにインバータ制御が行なわれる発電機を接続し、下記の工程を下記の順序で含む、発電機の回転数および電気出力を可変とするとともに、上記処理ガスを浄化する浄化方法であって、A.上記第1触媒機器の出口温度の第3目標温度と、上記第1触媒機器の出口流量の第3目標流量とを予め定める工程と、B.上記第3目標流量を得ることができる回転数で上記タービンを回転させるために、上記燃焼燃料の流量を調整する工程と、C.上記第3目標温度を得るために、上記インバータ制御によって上記発電機の電気出力を調整する工程とを含む。
【0024】
上記発明において好ましくは、上記処理ガスの濃度および流量を測定することなく上記処理ガスを上記燃焼室に供給し、上記回転数および上記電気出力を調整するために燃焼燃料の流量を調整する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、タービンから排出される排気ガスは高温であるので、排気ガスをさらに加熱する必要はなく、そのまま触媒機器に導入し、酸化させて浄化することができる。したがって、本発明によれば、揮発性有機化合物を含む処理ガスを効率よく、かつ高い処理率で浄化する浄化装置および浄化方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(実施の形態1)
図1および図2を参照して、実施の形態1における浄化装置および浄化方法について説明する。本実施の形態における浄化装置は、処理ガスとしてVOCを含有するガスを浄化するための装置である。本実施の形態における浄化方法においては、浄化装置を制御しながら浄化装置の運転を行なう。
【0027】
図1は、本実施の形態における浄化装置の模式図である。本実施の形態における浄化装置は、ガスタービン装置を備える。ガスタービン装置は、燃焼室としての燃焼器3を含む。燃焼器3には、タービン用燃料が供給される。タービン用燃料は、燃焼器3の燃焼燃料である。タービン用燃料は、たとえば、都市ガスなどのガス燃料または灯油などの液体燃料を含む。タービン用燃料は、タービン用燃料供給経路としての経路Mを通って燃焼器3に供給される。燃焼器3では、燃焼が生じて燃焼ガスが生成される。
【0028】
本実施の形態におけるガスタービン装置は、タービン4を備える。燃焼器3で生じた燃焼ガスは、経路Cを通ってタービン4に供給される。燃焼ガスにより、タービン4が駆動される。
【0029】
本実施の形態における浄化装置は、タービン4に接続された発電機6を備える。発電機6は、減速器5を介してタービン4に接続されている。タービン4で生成された回転力は、減速器5を介して発電機6に伝達される。発電機6においては、電気が生成される。
【0030】
本実施の形態における浄化装置は、タービン4の排気ガスを放出するための第1排気経路としての経路D,E,Fを備える。経路Dは、タービン4に接続されている。
【0031】
本実施の形態における浄化装置は、第1触媒機器として、タービン4からの排気ガスを浄化するための触媒機器7を備える。触媒機器7には、たとえば、白金またはパラジウムなどの触媒が含まれる。触媒としては、この形態に限られず、VOCを処理するための任意の触媒を採用することができる。
【0032】
触媒機器7は、第1排気経路としての経路D,E,Fの途中に配置されている。触媒機器7は、経路Dによってタービン4に接続されている。触媒機器7は、タービン4と直列に接続されている。タービン4の排気ガスは、触媒機器7を通ることにより浄化される。浄化された排気ガスは、経路Eに排出される。
【0033】
本実施の形態における浄化装置は、タービン4の排気ガスの熱を回収する廃熱回収器13を備える。廃熱回収器13は、たとえば、ボイラまたは熱交換器などを含む。廃熱回収器13は、第1排気経路としての経路D,E,Fの途中に配置されている。廃熱回収器13は、触媒機器7の下流側に配置されている。廃熱回収器13には、経路Eを通ってタービン4の排気ガスが導入される。廃熱回収器13は、タービン4の排気ガスの熱により熱交換を行なって、経路Gを流れる水などの物体を加熱することができるように形成されている。廃熱回収器13を通ったタービン4の排気ガスは、経路Fを通って大気中に放出される。
【0034】
廃熱回収器としては、タービンの排気ガスの熱を利用する機器であればよい。廃熱回収器としては、たとえば、温水ボイラ、吸収式冷凍機などが配置されていても構わない。
【0035】
本実施の形態における浄化装置は、VOC(揮発性有機化合物)を含む処理ガスが、燃焼器3に供給されるように形成されている。処理ガスであるVOC含有ガスは、塗装を行なう塗装施設、接着を行なう接着施設、印刷を行なう印刷施設、または、洗浄を行なう洗浄施設などの有機化合物を使用する施設などから排出される。本実施の形態におけるVOC含有ガスは、空気にVOCが含まれている。本実施の形態においては、タービン用燃料に、VOC含有ガスが混入されて用いられる。本実施の形態におけるガスタービン装置は、圧縮機2を備える。圧縮機2は、VOC含有ガスを加圧することができるように形成されている。
【0036】
本実施の形態における浄化装置は、処理ガスとしてのVOC含有ガスが、VOC含有ガス吸気経路としての経路Aを通って圧縮機2に吸気される。圧縮機2にて加圧された処理ガスは、経路Bを通って燃焼器3に供給される。燃焼器3においては、タービン用燃料とともにVOCが燃焼されることによりVOCが酸化される。本実施の形態においては、処理ガスに含まれるVOCは、タービンを駆動するための燃料として用いられている。
【0037】
本実施の形態における浄化装置は、タービン4の排気経路としての経路D,E,Fに、触媒機器7が配置されている。処理ガスに含まれるVOCは、燃焼器で全てを反応させることはできずに、タービン4から排出される排気ガスにはVOCが残存する。さらに、タービン4の排気ガスには、燃焼器3にて完全燃焼しなかったために生じるCOが含まれる。
【0038】
本実施の形態においては、触媒機器7に、タービン4の排気ガスを通すことにより、残存するVOCまたはCOを効果的に酸化させることができる。VOC含有ガスを触媒に接触させることによりVOCの酸化反応が生じて二酸化炭素と水に分解される。触媒にてVOCを分解するためには、たとえば、250℃以上、好ましくは350℃以上の温度が必要である。本実施の形態においては、タービン4の排気温度が350℃を超えている。このため、タービン4の排気を加熱したり、触媒機器7の触媒を加熱したりする機器を配置せずに、触媒機器7にてVOCやCO等を酸化することができる。
【0039】
たとえば、VOCとしてトルエンが含まれる処理ガスが、燃焼器3に供給された場合においては、タービン4の排気ガスには、残存するトルエンおよび不完全燃焼のCOが含まれる。しかし、触媒機器7を通すことにより、トルエン濃度をさらに低くすることができる。タービン4の排気中にVOCの未処理分が10%程度含まれている場合においても、触媒機器7を通った経路EにおいてはVOC濃度を2%以下にすることができる。
【0040】
ここで、VOC含有ガスの処理能力を、処理ガスのVOC濃度(単位ppmC)を分母に、処理ガスのVOC濃度から浄化されたガスのVOC濃度を減じたもの(単位ppmC)を分子にした比と定義すれば、本実施の形態における浄化装置は、処理能力が0.98以上になる。ここで、単位としてのppmCは、メタンに換算された大気中の炭化水素類の濃度を表わす単位である。本実施の形態における浄化装置は、たとえば、処理ガスのVOC濃度が21000ppmCの場合に、排出される浄化ガスのVOC濃度を400ppmC以下にすることができる。
【0041】
図2に、本実施の形態における浄化装置の燃焼器の拡大模式図を示す。VOCを含む処理ガスは、経路Bを通って燃焼器3に供給される。本実施の形態においては、燃焼器3の内部で高温になった燃焼ガスの温度を下げるために、VOC含有ガスが高温場の下流側に供給されている。
【0042】
経路Bは、経路B1および経路B2を含む。経路B1は、燃焼器3の入口に接続されている。経路B2は、燃焼器3のタービン用燃料およびVOCが燃焼する領域である高温場の下流側に接続されている。本実施の形態においては、経路B2を通ってVOC含有ガスが燃焼器3に導入されることにより燃焼した空気が希釈される。
【0043】
タービンに送られる燃焼ガスの理想的な温度は、たとえば、略1000℃である。燃焼器の内部における高温場の温度は、たとえば1500℃以上2000℃以下になる。燃焼器に希釈ガスが導入されることにより、燃焼ガスの温度を下げることができる。たとえば、燃焼器3の高温場の温度が略2000℃のときに、VOC含有ガスにより希釈されることにより、温度を略1000℃まで下げることができる。
【0044】
燃焼器に希釈ガスが供給されるガスタービン装置においては、希釈ガスの導入により、燃焼ガスの温度が下がってVOCの処理率が下がる。特に、希釈ガスとしてVOC含有ガスが導入された場合においては、希釈ガスに含まれるVOCの処理率が小さくなる。また、不完全燃焼によるCOの生成率が上がる。しかしながら、本実施の形態のように、タービンの排気経路に触媒機器を配置することにより、残存するVOCを処理することができる。またはCOを処理することができる。
【0045】
本実施の形態においては、タービン4の排気経路に、廃熱回収器13が配置されているため、タービン4の排気を有効に利用することができる。さらに、触媒機器7の内部で処理ガスが酸化されるときに熱が生じる。本実施の形態においては、触媒機器7が廃熱回収器13の上流側に配置されているため、この熱も廃熱回収器13に供給することができる。このように、本実施の形態においては、処理ガスを触媒で酸化するときに発する熱を有効利用することができる。
【0046】
燃焼器に供給するVOC含有ガスは、たとえば、VOCの爆発を考慮して、VOCの濃度上限値を定めることが好ましい。濃度上限値としては、たとえばVOCの爆発限界の1/4の濃度を採用することが好ましい。
【0047】
本実施の形態における浄化装置は、供給しているタービン用燃料の流量の変動量によりVOC含有ガスのうちVOCの流量を求めることができる。また、ガスタービン装置の吸気温度およびタービンの回転数からVOC含有ガス(空気とVOCとの総和)の流量を求めることができる。これらの結果からVOC含有ガスのVOC濃度を求めることができる。得られたVOC濃度により、たとえば、VOC濃度が上限を超えた場合には、VOC含有ガスの流量を減少させるなどの制御を行なうことができる。
【0048】
次に、本実施の形態における浄化方法について説明する。本実施の形態における浄化装置は、タービン4と発電機6との間に減速器5が配置されている。本実施の形態における浄化装置は、電気出力に関わらずに発電機6の回転数が一定である。発電機6で生じた電気は、電力を供給する系統に接続されている。
【0049】
本実施の形態においては、第1触媒機器としての触媒機器7の出口に、温度計測機器15が配置されている。本実施の形態においては、タービンの排気ガスの触媒機器7の出口温度を計測できるように形成されている。
【0050】
触媒機器7に含まれる触媒は、温度が高い方がVOCの処理率が高くなる。しかしながら、VOCが分解するときの発熱により温度が高くなり過ぎると、触媒自体が損傷する恐れがある。触媒機器7の出口温度の上限は、たとえば550℃である。このように、触媒機器を流れるガス温度は、上限を超えない範囲で高く設定することが好ましい。同様に、触媒機器7の出口温度は、上限を超えない範囲で高く設定することが好ましい。
【0051】
本実施の形態における浄化方法は、触媒機器の出口温度を優先させる。触媒機器の出口温度の目標値として第1目標温度を定める。温度計測機器15により触媒機器7の出口温度を検知して、出口温度と第1目標温度を比較する。次に、出口温度を第1目標温度に近づけるために、目標とする発電機6の電気出力である目標電気出力を変更する。次に、電気出力を目標電気出力に近づけるためにタービン用燃料の流量を調整する。この方法により、触媒機器でのタービンの排気ガスの温度を最適値に近づけることができ、効果的に浄化を行なうことができる。
【0052】
たとえば、運転中に触媒機器7の出口温度が低くなりすぎた場合においては、タービン4の排気温度を上げるために目標電気出力を上げる。次に、目標電気出力を上げるために、タービン用燃料の流量を増やす。タービン用燃料の供給が増えることにより、タービン4の排気温度を上昇させることができる。反対に運転中に触媒機器7の出口温度が高くなりすぎた場合においては、目標電気出力を下げて、タービン用燃料の流量を減らすことにより、タービン4の排気温度を下げることができる。
【0053】
本実施の形態における浄化装置は、タービンの排気ガスを加熱せずに、直接的に触媒機器に導入するように形成されているが、この形態に限られず、タービンの排気ガスまたは触媒機器の触媒を加熱するための加熱装置が配置されていても構わない。
【0054】
本実施の形態においては、触媒機器内部を通るガスの第1温度の管理を行なうために、触媒機器の出口温度を用いているが、この形態に限られず、触媒機器の内部を通るガスの温度を計測しても構わない。
【0055】
また、目標温度については、たとえば500℃などの一点の温度に限られず、たとえば450℃以上500℃以下の温度などの範囲を指定しても構わない。
【0056】
(実施の形態2)
図3を参照して、実施の形態2における浄化装置および浄化方法について説明する。本実施の形態における浄化方法においては、浄化装置を制御しながら浄化装置の運転を行なう。
【0057】
図3は、本実施の形態における浄化装置の模式図である。本実施の形態における浄化装置は、タービン4と発電機9との間に減速器が介在していない点で実施の形態1における浄化装置と異なる。すなわち、タービン4と発電機9とが直結されている。
【0058】
本実施の形態における発電機9は、高速発電機である。発電機9は、回転数が可変である。本実施の形態における発電機9は、インバータ制御されている。発電機9のインバータ制御を行なうことにより、タービン4の回転数を任意に設定することができる。
【0059】
本実施の形態における浄化装置は、VOC含有ガスのVOC濃度および流量を検知せずに、運転を行なうことができる。たとえば、VOC含有ガスにおいて、VOC濃度が爆発限界を考慮した制限値以下であることが分かっている場合においては、VOC含有ガスのVOC濃度および流量を検知せずに燃焼器に供給することができる。
【0060】
本実施の形態においては、タービン4の回転数は、VOC含有ガスのVOC濃度および流量に依存する。タービン4の回転数を検知して、タービン用燃料の流量を増減させることにより、タービン4の回転数を調整することができる。
【0061】
たとえば、VOC含有ガスのVOC濃度が上昇した場合においては、タービン4の回転数が上昇する。または、VOC含有ガスの流量が上昇した場合においては、タービン4の回転数が上昇する。タービン4の回転数が上昇したことを検知して、タービン用燃料の流量を減らすことにより、タービン4の回転数を元の回転数に戻すことができる。上記とは反対に、たとえば、VOC含有ガスに含まれるVOC濃度が低下した場合においては、タービン4の回転数が低下する。このときには、タービン用燃料の流量を増やすことにより、タービン4の回転数を元の回転数に戻すことができる。
【0062】
このように、本実施の形態においてはVOC含有ガスのVOC濃度および流量に応じたタービン用燃料の流量調整を行なうことができる。
【0063】
本実施の形態における浄化装置は、発電機のインバータ制御を行なうことにより、タービン4の回転数を任意に設定することができる。タービン4の回転数を高く設定したり低く設定したりした場合においても、所定の電気出力を取出すことができる。たとえば、タービン4の回転数を低く設定した場合においては、タービン4の排気流量は少なくなる。燃焼器に供給される空気流量が少なくなる。このときに、タービン4の排気温度は高くなる。逆に、タービン4の回転数を高く設定した場合には、燃焼器に導入される空気流量が多くなって排気温度が低くなる。本実施の形態における空気流量は、燃焼器に流入するVOC含有ガスの流量である。
【0064】
次に、本実施の形態における第1の浄化方法について説明する。第1の浄化方法は、発電機の回転数が可変であり、電気出力が一定である。発電機の電気出力を一定に保ちながら、触媒機器において効率よくVOCの処理を行なう浄化方法について説明する。
【0065】
本実施の形態においては、触媒機器7の内部を通過するタービンの排気ガスの温度としての第1温度を検知するために、触媒機器7の出口の温度を参照している。すなわち、本実施の形態においては、排気ガスの触媒機器7の出口温度を計測することにより、触媒機器7の内部を流れる排気ガスの温度を検知している。
【0066】
第1の浄化方法においては、触媒機器の出口温度を優先する。触媒機器の出口温度の目標値として第2目標温度を定める。温度計測機器15により触媒機器7の出口温度を検知して、出口温度と第2目標温度を比較する。次に、出口温度を第2目標温度に近づけるために、燃焼器3に供給されるVOC含有ガスの流量を調整する。VOC含有ガスの流量を調整するために、タービン4の回転数を調整する。次に、発電機9の出力を検知する。発電機9の出力を調整するためにタービン用燃料の流量を調整する。
【0067】
たとえば、運転中に触媒機器7の出口温度が下がった場合においては、タービン4の回転数を下げて燃焼器3に供給されるVOC含有ガスの流量を少なくする。VOC含有ガスの流量を少なくすることにより、タービン4の排気温度は上昇する。触媒機器7の出口温度は上昇する。このときに、発電機9の電気出力を検知して、たとえば、発電機9の電気出力が小さくなっている場合には、タービン用燃料の流量を増加させることにより電気出力を要求値どおりに戻す。
【0068】
このように、本実施の形態においては、触媒機器を流れるガスの温度を処理に好適な範囲内に維持しながら、高い効率で処理ガスの浄化を行なうことができる。また、電気出力を一定に保つことができる。
【0069】
第1浄化方法においては、第1触媒機器の出口温度を優先させる方法について説明を行なったが、この形態に限られず、第1触媒機器の出口温度および出口流量を優先させる浄化方法を行なっても構わない。第1触媒機器の出口温度および出口流量を測定する工程と、第1触媒機器の出口温度および目標温度を比較する工程と、第1触媒機器の出口流量と目標流量を比較する工程とを含む。出口温度を目標温度に近づけ、さらに、出口流量を目標流量に近づけるために、燃焼器に供給される処理ガスの流量を調整して、タービンの回転数を調整する工程を含んでいても構わない。ここで、第1触媒機器の出口流量は、ガスタービン装置の運転状況から求めることができる。または、タービンの排気経路に流量計を配置することにより得ても構わない。
【0070】
たとえば、第1触媒機器に含まれる触媒の量が多い場合には、単位時間に処理可能なVOCの処理量が増えるために、触媒の温度を若干低くしても、高効率で処理を行なうことができる。このような場合には、タービンの回転数をやや高めに設定することができる。すなわち、VOC含有ガスの供給量を高めに設定することができる。このように、第1触媒機器の最適な出口温度および出口流量に基づいて、タービンの回転数を調整しても構わない。
【0071】
次に、本実施の形態における第2の浄化方法について説明する。第2の浄化方法においては、タービンの回転数および発電機の電気出力は可変である。第2の浄化方法においても、第1の浄化方法と同様に、触媒機器7の内部を通過するタービンの排気ガスの温度としての第1温度を検知するために、触媒機器7の出口の温度を参照する。
【0072】
第2の浄化方法においては、第1触媒機器でVOCを高効率で処理することを優先する。第2の浄化方法においては、VOC含有ガスは、任意の濃度および流量が供給されている。触媒機器7の出口温度の目標値である第3目標温度と、触媒機器7の出口流量の目標値である第3目標流量とを予め定める。次に、この第3目標流量を得ることができる回転数でタービンを回転させるために、タービン用燃料の流量を調整する。
【0073】
触媒機器7の出口温度の第3目標温度を得るためには、タービン4の排気温度を調整する。タービン4の排気温度を調整するために、インバータ制御により発電機の電気出力を変更する。たとえば、電気出力を上昇するとインバータ制御により発電機が重たくなる。このとき、タービンの回転数は減少する傾向にあるため、回転数を維持するために、タービン用燃料を増加する。この結果、タービンの排気温度は上昇する。すなわち、発電機の電気出力を上げることにより排気温度が高くなる。逆に、電気出力を下げることにより排気温度を下げることができる。このように、インバータ制御により発電機の電気出力を変更することにより、タービンの排気温度を調整することができる。この結果、触媒機器の出口の温度を調整して第3目標温度に近づけることができる。
【0074】
本実施の形態においては、触媒機器を通る排気ガスの目標流量にとして、一点の流量を用いているが、この形態に限られず、目標流量として流量の範囲を指定しても構わない。
【0075】
上記以外の構成、作用および効果については、実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
【0076】
(実施の形態3)
図4および図5を参照して、実施の形態3における浄化装置、浄化方法について説明する。本実施の形態における浄化装置は、実施の形態1における浄化装置に加えて、ガスタービン装置を通らずに処理ガスの浄化を行なう装置を備える。
【0077】
図4は、本実施の形態における第1浄化装置の模式図である。本実施の形態における浄化装置は、第1排気経路としての経路D,E,Fを備える。浄化装置は、第1熱交換器としての熱交換器12を備える。熱交換器12は、経路D,E,Fの途中に配置されている。本実施の形態における触媒機器7は、第1排気経路のうち、熱交換器12よりも上流側に配置されている。
【0078】
浄化装置は、VOC含有ガスを供給するための給気経路として、経路H,I,Jを備える。給気経路としての経路H,I,Jには、ガスタービン装置は配置されていない。浄化装置は、VOCを酸化するための第2触媒機器として触媒機器11を備える。触媒機器11は、経路Jに接続されている。浄化装置は、触媒機器11からの処理ガスを排気するための第2排気経路としての経路K,Lを備える。
【0079】
触媒機器11は、VOCを処理するための触媒を含む。触媒は、たとえば、白金、またはパラジウムを含む。触媒としては、この形態に限られず、VOCを処理するための任意の触媒を採用することができる。
【0080】
熱交換器12は、タービンの排気経路と、タービンを通らない給気経路との熱交換を行なうように形成されている。熱交換器12は、経路Eを流れるタービン4の排気ガスと、経路Iを流れるVOC含有ガスとの熱交換が行なえるように形成されている。
【0081】
本実施の形態における浄化装置は、VOC含有ガスの給気経路に、処理ガスを加熱するための加熱機器10を備える。加熱機器10は、バーナ用燃料を燃焼することにより、触媒機器11に導入する処理ガスを加熱するように形成されている。バーナ用燃料は、経路Nを介して加熱機器10に供給される。
【0082】
本実施の形態における浄化装置は、VOCを含む処理ガスの給気経路と、触媒機器11を通った排気経路との熱交換を行なうための第2熱交換器として熱交換器8を含む。熱交換器8は、経路Hを流れる処理ガスと、経路Kを流れる排気ガスとの熱交換を行なうことができるように形成されている。
【0083】
本実施の形態における浄化装置において、ガスタービン装置の燃焼器にVOCを含む処理ガスを供給することにより、VOCを分解することができることは実施の形態1と同様である。また、タービン4の排気経路に触媒機器7を配置することにより、残存するVOCおよびCOを酸化できることも実施の形態1と同様である。
【0084】
本実施の形態における浄化装置は、第2触媒機器としての触媒機器11にVOC含有ガスが導入されることにより、VOCが分解される。VOC含有ガスは、熱交換器8,12において加熱される。また、VOC含有ガスは、温度が十分に上昇しない場合には、補助的に加熱機器10によって加熱される。
【0085】
本実施の形態における浄化装置は、ガスタービン装置を通らないVOC含有ガスの給気経路とガスタービン装置に接続されている第1排気経路とが熱交換器12によって熱交換するように形成されている。このため、熱交換器12において、タービン4の排気ガスの熱を用いて、第2触媒機器としての触媒機器11に導入されるVOC含有ガスを加熱することができる。
【0086】
触媒機器11に導入されるVOC含有ガスは、酸化可能な温度以上である必要がある。慣例的な触媒燃焼法においては、加熱機器によりVOC含有ガスを加熱することにより、温度を上昇させている。しかしながら、本実施の形態においてはガスタービン装置の排気熱を利用するために、VOC含有ガスを加熱する加熱機器の燃料や電力を少なくすることができる。または、VOC含有ガスを加熱するための加熱機器が不要になる。
【0087】
また、本実施の形態における浄化装置は、ガスタービン装置により浄化を行なう装置に加えて、ガスタービン装置を通らずに浄化を行なう装置を備えることにより、多量のVOC含有ガスの処理を行なうことができる。
【0088】
ガスタービン装置を含む浄化装置によって処理を行なうことができるVOC含有ガスの処理容量は、最大でガスタービンを駆動するときの燃焼の空気量になる。一方で、塗装用施設や印刷用施設などから排気されるVOC含有ガスは多量である場合があり、ガスタービンが必要とする燃焼用の空気量を超える場合がある。本実施の形態における浄化装置は、このような場合においても、多量のVOC含有ガスを処理することができる。
【0089】
このように、本実施の形態における浄化装置は、少ない燃料によって多量のVOCを含有するガスを処理することができる。
【0090】
本実施の形態における浄化装置は、ガスタービン装置に接続されている排気経路のうちタービン4と熱交換器12との間に触媒機器7が配置されている。触媒機器7においては酸化反応が生じて発熱する。本実施の形態においては、触媒機器7の下流側に熱交換器12が配置されているため、熱交換器12において、触媒機器7での発熱も有効に利用することができる。
【0091】
本実施の形態における浄化装置は、ガスタービン装置を通らない給気経路と、触媒機器11の排気を行なう第2排気経路との熱交換を行なうための熱交換器8を備える。触媒機器11においては、VOCが酸化されるときに発熱する。熱交換器8においては、触媒機器11で発する熱を含めてVOC含有ガスを効果的に加熱することができる。
【0092】
本実施の形態においては、VOC含有ガスの給気経路に加熱機器10が配置されている。加熱機器10は、たとえば、触媒機器11に導かれるVOC含有ガスの温度を測定して、この温度が触媒機器11の触媒の反応温度未満であれば加熱機器10を駆動する。触媒機器11に流入する処理ガスの温度が触媒の反応温度以上であれば、加熱機器10を停止する。このように、熱交換器8および熱交換器12での加熱が不十分な場合には、加熱機器10を駆動することにより、供給するVOCの処理ガスを高温に保つことができる。
【0093】
本実施の形態におけるガスタービン装置を含まない装置においても、VOC含有ガスの処理能力を0.98以上にすることができる。たとえば、VOC含有ガスに、21000ppmCのVOCが含まれている場合においても、排出される浄化ガスのVOC濃度を400ppmC以下にすることができる。
【0094】
次に、本実施の形態における浄化方法について説明する。図5に、本実施の形態における第2浄化装置の模式図を示す。第2浄化装置は、本実施の形態における第1浄化装置がVOC排出施設に接続されている。第2浄化装置においては、一のVOC排出施設などから排出される処理ガスを2つに分流する。
【0095】
塗装施設などのVOC排出施設からは、経路Pを通してVOC含有ガスが排出される。経路Pが、経路Aおよび経路Hに分流されている。経路Aの処理ガスは、ガスタービン装置の吸気に導入される。経路Hの処理ガスはガスタービン装置を通らずに第2触媒機器に接続される経路Hに導入される。このように、処理を行なうべきVOC含有ガスを2つに分流して、ガスタービン装置を含む装置およびガスタービン装置を含まない装置のそれぞれにVOC含有ガスを供給することにより、多量のVOC含有ガスを排出する施設においてもVOC含有ガスを処理することができる。
【0096】
本実施の形態においては、ガスタービン装置および第2触媒機器に導入されるVOC含有ガスは、一の発生源を2つに分流して導入しているが、この形態に限られず、互いに異なる2つの発生源からのVOC含有ガスをそれぞれに導入してもよい。
【0097】
その他の構成、作用および効果については、実施の形態1または2と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
【0098】
上述のそれぞれの図において、同一または相当する部分には、同一の符号を付している。
【0099】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】実施の形態1における浄化装置の模式図である。
【図2】実施の形態1における浄化装置の燃焼器の拡大模式図である。
【図3】実施の形態2における浄化装置の模式図である。
【図4】実施の形態3における浄化装置の模式図である。
【図5】実施の形態3における他の浄化装置の模式図である。
【符号の説明】
【0101】
2 圧縮機、3 燃焼器、4 タービン、5 減速器、6,9 発電機、7 (第1)触媒機器、8 (第2)熱交換器、10 加熱機器、11 (第2)触媒機器、12 (第1)熱交換器、13 廃熱回収器、15 温度計測機器、A〜N,P,B1,B2 経路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性有機化合物を含む処理ガスをガスタービンの吸気に導入して前記処理ガスを浄化する揮発性有機化合物を含む処理ガスの浄化装置であって、
前記浄化装置は、前記処理ガスが供給される燃焼室と、
前記燃焼室から燃焼ガスにより駆動するタービンと、
前記タービンに接続されて排気ガスを排出する第1排気経路と、
前記第1排気経路に配置され、加熱装置を有しない第1触媒機器と
を備える、浄化装置。
【請求項2】
前記浄化装置は、さらに、前記処理ガスがガスタービンを介すことなく導入される第2触媒機器と、
前記第1排気経路に配置され、前記第1触媒機器より放出された排気ガスにより前記第2触媒機器に導入される前記処理ガスを加熱する熱交換器と
を備える、請求項1に記載の浄化装置。
【請求項3】
前記第1排気経路に配置され、前記排気ガスの廃熱を回収する廃熱回収器を備える、請求項1または2に記載の浄化装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の浄化装置を用いて揮発性有機化合物を含む処理ガスを浄化する揮発性有機化合物を含む処理ガスの浄化方法であって、
前記浄化方法は、前記タービンから排出される排気ガスを加熱することなくそのまま前記第1触媒機器に導入して浄化する、浄化方法。
【請求項5】
請求項2に記載の浄化装置を用いて揮発性有機化合物を含む処理ガスを浄化する揮発性有機化合物を含む処理ガスの浄化方法であって、
前記浄化方法は、前記処理ガスを2つに分流し、一の分流された処理ガスを前記タービンの吸気に導入し、前記タービンから放出される排気ガスを加熱することなくそのまま前記第1触媒機器に導入し、前記第1触媒機器から放出される排気ガスで他の分流された処理ガスを加熱し、前記第2触媒機器に導入して浄化する、浄化方法。
【請求項6】
前記第1触媒機器に導入される排気ガスの温度が250℃〜550℃である、請求項4または5に記載の浄化方法。
【請求項7】
前記タービンに発電機を接続し、下記の工程を下記の順序で含む、発電機の電気出力を一定とするとともに、前記処理ガスを浄化する浄化方法であって、
A.前記第1触媒機器の出口温度を検知する工程と、
B.前記出口温度と前記第1触媒機器出口の目標温度として設定された第1目標温度とを比較する工程と、
C.前記出口温度を前記第1目標温度に近づけるために要求される電気出力を調整する工程と、
D.発電機の電気出力を要求される電気出力に近づけるために燃焼燃料の流量を調整する工程と
を含む、請求項4ないし6のいずれかに記載の浄化方法。
【請求項8】
前記処理ガスの濃度および流量を測定することなく前記処理ガスを前記燃焼室に供給し、前記出力を調整するために燃焼燃料の流量を調整する、請求項7に記載の浄化装置。
【請求項9】
前記タービンにインバータ制御が行なわれる発電機を接続し、下記の工程を下記の順序で含む、発電機の電気出力を可変とするとともに、前記処理ガスを浄化する浄化方法であって、
A.前記第1触媒機器の出口温度を検知する工程と、
B.前記出口温度と前記第1触媒機器出口の目標温度として設定された第2目標温度とを比較する工程と、
C.前記出口温度を前記第2目標温度に近づけるために、前記燃焼器に供給される前記処理ガスの流量を調整して前記タービンの回転数を調整する工程と
を含む、請求項4ないし6のいずれかに記載の浄化方法。
【請求項10】
前記処理ガスの温度および流量を測定することなく前記処理ガスを前記燃焼室に供給し、前記回転数を調整するために燃焼燃料の流量を調整する、請求項9に記載の浄化方法。
【請求項11】
前記タービンにインバータ制御が行なわれる発電機を接続し、下記の工程を下記の順序で含む、発電機の回転数および電気出力を可変とするとともに、前記処理ガスを浄化する浄化方法であって、
A.前記第1触媒機器の出口温度の第3目標温度と、前記第1触媒機器の出口流量の第3目標流量とを予め定める工程と、
B.前記第3目標流量を得ることができる回転数で前記タービンを回転させるために、前記燃焼燃料の流量を調整する工程と、
C.前記第3目標温度を得るために、前記インバータ制御によって前記発電機の電気出力を調整する工程と
を含む、請求項4ないし6のいずれかに記載の浄化方法。
【請求項12】
前記処理ガスの濃度および流量を測定することなく前記処理ガスを前記燃焼室に供給し、前記回転数および前記電気出力を調整するために燃焼燃料の流量を調整する、請求項4ないし11のいずれかに記載の浄化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−133751(P2008−133751A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319360(P2006−319360)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(599019269)株式会社トヨタタービンアンドシステム (7)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【出願人】(593193468)日本電技株式会社 (5)
【Fターム(参考)】