説明

液処理装置および液処理装置の洗浄方法

【課題】処理室内の付着物を洗浄可能な液処理装置および液処理装置の洗浄方法を提供すること。
【解決手段】ウエハWを液処理する液処理装置1において、ウエハWを水平に支持し回転可能なウエハ支持部材10と、ウエハ支持部材10の上方を覆いウエハ支持部材10と共にウエハWを液処理するための処理室Sを形成するカバー20と、カバー20の外周部23とウエハ支持部材10の外周部13との間を開放する開位置と、閉鎖する閉位置との間で、カバー20を昇降させる昇降機構132と、処理室S内に配置され、回転するウエハWに処理液を供給する液供給部材30(40)と、ウエハ支持部材10によりウエハWを支持していない状態で、カバー20の位置を閉位置に設定し、液供給部材30(40)により処理室S内に所定量の洗浄液を供給した後、カバー20の位置を開位置に変更する制御装置70とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を液処理する液処理装置および液処理装置の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造工程において、半導体ウエハやガラス基板などの基板を液処理する液処理装置が使用されている。液処理装置としては、基板を液処理するための処理室内において、基板を水平に支持して回転させ、回転する基板に処理液を供給するものがある。
【0003】
この液処理装置は、基板を回転させることにより処理液を外側に広げて液膜を形成し、処理液を基板の外方に離脱させる。回転する基板から遠心力で振り切られた処理液は、カップ内に回収される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−66400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、基板を回転させた状態で、基板表面に処理液を供給すると、基板の上方に処理液のミストや蒸気が飛散する。飛散したミストや蒸気が、処理室の壁面、または処理室内に配置される部材に付着すると、結晶化してしまうことがある。結晶物は、処理前の基板に落下し、パーティクルの原因となってしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、処理室内の付着物を洗浄可能な液処理装置および液処理装置の洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、
基板を液処理する液処理装置において、
前記基板を水平に支持し、回転可能な支持部材と、
該支持部材を回転させる回転機構と、
前記支持部材と一体的に回転可能に連結され、前記支持部材の上方を覆い前記支持部材と共に前記基板を液処理するための処理室を形成するカバーと、
前記カバーの外周部と前記支持部材の外周部との間を開放する開位置と、前記カバーの外周部と前記支持部材の外周部との間を閉鎖する閉位置との間で、前記カバーを昇降させる昇降機構と、
前記処理室内に配置され、前記回転する基板に処理液を供給する第1の液供給部材と、
前記支持部材により基板を支持していない状態で、前記カバーの位置を前記閉位置に設定し、前記第1の液供給部材により前記処理室内に所定量の洗浄液を供給した後、前記カバーの位置を前記閉位置から前記開位置に変更する制御装置とを有する液処理装置を提供する。
【0008】
また、本発明の第2の態様は、
基板を液処理する液処理装置の洗浄方法において、
前記液処理装置は、
前記基板を水平に支持し、回転可能な支持部材と、
該支持部材を回転させる回転機構と、
前記支持部材と一体的に回転可能に連結され、前記支持部材の上方を覆い前記支持部材と共に前記基板を液処理するための処理室を形成するカバーと、
前記カバーの外周部と前記支持部材の外周部との間を開放する開位置と、前記カバーの外周部と前記支持部材の外周部との間を閉鎖する閉位置との間で、前記カバーを昇降させる昇降機構と、
前記処理室内に配置され、前記回転する基板に処理液を供給する第1の液供給部材とを有し、
前記洗浄方法は、
前記支持部材により基板を支持していない状態で、前記カバーの位置を前記閉位置に設定し、前記第1の液供給部材により前記処理室内に所定量の洗浄液を供給した後、前記カバーの位置を前記閉位置から前記開位置に変更することにより、前記カバーの内側空間に溜まった前記洗浄液を排出する第1の洗浄工程を有する液処理装置の洗浄方法を提供する。
【0009】
また、本発明の第3の態様は、
基板を液処理する液処理装置の洗浄方法において、
前記液処理装置は、
前記基板を水平に支持し、前記基板と共に回転可能な支持部材と、
該支持部材を回転させる回転機構と、
前記支持部材と一体的に回転可能に連結され、前記支持部材の上方を覆い前記支持部材と共に前記基板を液処理するための処理室を形成するカバーと、
前記処理室内に配置され、前記回転する基板に上方から処理液を供給する第1の液供給部材と、
前記処理室内に配置され、前記回転する基板に下方から処理液を供給する第2の液供給部材とを有し、
前記洗浄方法は、
前記支持部材により基板を支持していない状態で、前記支持部材と前記カバーを一体的に回転させながら、前記第2の液供給部材から噴射された洗浄液を前記カバーにかけることにより、前記カバーを洗浄する洗浄工程を有する液処理装置の洗浄方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、処理室内の付着物を洗浄可能な液処理装置および液処理装置の洗浄方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による液処理装置を含む基板処理装置を示す上面図
【図2】本発明の一実施形態による液処理装置を示す断面図
【図3A】図2の液処理装置の要部の動作を示す断面図で、カバーが開位置、上側液供給部材が処理液供給位置、且つ、下側液供給部材が開放位置にある時の断面図
【図3B】図2の液処理装置の要部の動作を示す断面図で、カバーが閉位置、上側液供給部材が処理液供給位置、且つ、下側液供給部材が閉塞位置にある時の断面図
【図3C】図2の液処理装置の要部の動作を示す断面図で、カバーが待機位置、上側液供給部材が待機位置、且つ、下側液供給部材が開放位置にある時の断面図
【図4A】図3Aの一部拡大図
【図4B】図3Bの一部拡大図
【図5A】図2の液処理装置の要部の動作を示す上面図で、上側液供給部材と下側液供給部材が平行に配置される時の上面図
【図5B】図2の液処理装置の要部の動作を示す上面図で、上側液供給部材と下側液供給部材が斜めに配置される時の上面図
【図6】本発明の一実施形態による液処理装置の洗浄方法のフローチャート(1)
【図7】本発明の一実施形態による液処理装置の洗浄方法のフローチャート(2)
【図8】第1変形例による液処理装置の要部を示す断面図
【図9A】図8の液処理装置の要部の動作を示す拡大図で、カバーが開位置にある時の断面図
【図9B】図8の液処理装置の要部の動作を示す拡大図で、カバーが閉位置にある時の断面図
【図10】第2変形例による液処理装置の要部を示す断面図
【図11A】図10の液処理装置の要部の動作を示す拡大図で、カバーが開位置にある時の断面図
【図11B】図10の液処理装置の要部の動作を示す拡大図で、カバーが閉位置にある時の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一のまたは対応する構成については同一のまたは対応する符号を付して説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による液処理装置を含む基板処理装置を示す上面図である。
【0014】
基板処理装置100は、複数のウエハWを収容する複数の(図1では、4つの)ウエハキャリアCが載置されるキャリアステーションS1と、キャリアステーションS1と後述の液処理ステーションS3との間でウエハWを受け渡す搬出入ステーションS2と、本発明の一実施形態による液処理装置1が配置される液処理ステーションS3とを備える。
【0015】
搬出入ステーションS2には、ウエハキャリアCからウエハWを搬出してステージ101に載置し、また、ステージ101のウエハWを取り上げてウエハキャリアCへ搬入する搬送機構102を有している。搬送機構102は、ウエハWを保持する保持アーム103を有している。搬送機構102は、ウエハキャリアCの配列方向(図中のX方向)に延びるガイド104に沿って保持アーム103を移動することができる。また、搬送機構102は、X方向に垂直な方向(図中のY方向)および上下方向に保持アーム103を移動させることができ、水平面内で保持アーム103を回転させることができる。
【0016】
液処理ステーションS3は、Y方向に延びる搬送室105と、搬送室105の両側に設けられた複数の液処理装置1とを有している。搬送室105には、搬送機構106が設けられ、搬送機構106は、ウエハWを保持する保持アーム107を有している。搬送機構106は、搬送室105に設けられY方向に延びるガイド108に沿って保持アーム107を移動することがでる。また、搬送機構106は、保持アーム107をX方向に移動することができ、水平面内で回転させることができる。搬送機構106は、搬出入ステーションS2の受け渡しステージ101と各液処理装置1との間でウエハWを搬送する。
【0017】
上記構成の基板処理装置100においては、キャリアステーションS1に載置されるウエハキャリアCから搬送機構102によってウエハWが取り出されてステージ101に載置される。ステージ101上のウエハWは、液処理ステーションS3内の搬送機構106により液処理装置1に搬入され、ウエハWの表面が液処理される。液処理後に、ウエハWは、搬入時と逆の経路(手順)によりウエハキャリアCへ戻される。また、一のウエハWが液処理される間に、他のウエハWが他の液処理装置1へ順次搬送され、他のウエハWに対して液処理が行われる。このため、高いスループットで、ウエハWを液処理することができる。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態による液処理装置を示す概略断面図である。図3A〜図3Cは図2の液処理装置の要部の動作を示す断面図である。図3Aは、カバーが開位置、上側液供給部材が処理液供給位置、下側液供給部材が開放位置にある時の断面図である。図3Bは、カバーが閉位置、上側液供給部材が処理液供給位置、下側液供給部材が閉塞位置にある時の断面図である。図3Cは、カバーが待機位置、上側液供給部材が待機位置、下側液供給部材が開放位置にある時の断面図である。なお、図3Aにおいて、図面を見やすくするため、バルブV1〜V8、加熱装置H1、H2と制御装置70とを接続する信号ラインを破線で表す。なお、図3Bおよび図3Cでは、図面を見やすくするため、バルブV1〜V8などの図示を省略する。図4A、図4Bは、図3A、図3Bの一部拡大図である。図5A、図5Bは図2の液処理装置の要部の動作を示す上面図であって、図5Aは上側液供給部材と下側液供給部材が平行に配置される時の上面図、図5Bは上側液供給部材と下側液供給部材が斜めに配置される時の上面図である。図3B、図3C、図4A、図4B、図5Bは、ウエハのない状態を示す。
【0019】
液処理装置1は、図2に示すように、ウエハWを水平に支持するウエハ支持部材10と、ウエハ支持部材10を回転させるモータMと、ウエハ支持部材10と一体的に回転可能に連結され、ウエハ支持部材10と共にウエハWを液処理するための処理室Sを形成するカバー20とを有する。また、液処理装置1は、処理室S内に配置され、回転するウエハWに上方から処理液を供給する上側液供給部材30と、処理室S内に配置され、回転するウエハWに下方から処理液を供給する下側液供給部材40とを有する。さらに、液処理装置1は、ウエハ支持部材10の外周部13とカバー20の外周部23との間に形成される環状間隙G1を取り囲むカップ50とを備える。カップ50内は、例えば工場側の設備として設けられる排気機構Eによって排気される。
【0020】
この液処理装置1では、ウエハ支持部材10およびカバー20が処理室Sを形成した状態で、モータMがウエハ支持部材10、ひいては、カバー20やウエハWを回転させる。上側液供給部材30および下側液供給部材40は、回転するウエハWに処理液を供給する。回転するウエハWの上面に供給された処理液は、遠心力でウエハWの外方に振り切られ、環状間隙G1を通って、カップ50内に回収される。このとき、排気機構Eがカップ50内を排気することで、環状間隙G1を介して、処理室S内のウエハWの上方空間からカップ50に向かう気流を形成する。この気流は、処理液をカップ50へ搬送する役割を果たす。以下、液処理装置1の各構成について説明する。
【0021】
ウエハ支持部材10は、図2に示すように、ウエハWを水平に支持し、回転可能な部材である。ウエハ支持部材10は、水平に配置され、中心部に開口部11aが形成された環形状のプレート部11と、プレート部11の外縁から上方に延びる筒形状の外周部13とを有している。
【0022】
外周部13は、図4A、図4Bに示すように、プレート部11の外縁から上方に延びる筒状部13aと、筒状部13aの上面に接触する接触位置(図3B、図4B)と筒状部13aの上面から離間する離間位置(図3A、図4A)との間で移動自在な環状部13bとを有する。また、外周部13は、環状部13bから内方に延び、ウエハWの外縁部を支持する爪部13cと、環状部13bを接触位置から離間位置に向けて付勢する付勢部13dとを有する。
【0023】
付勢部13dは、例えばコイルバネなどで構成され、筒状部13aの上面に形成される凹部13eの内底面と、環状部13bとの間に配置される。付勢部13dおよび凹部13eは、筒状部13aの周方向に沿って、間隔をおいて複数組設けられている。付勢部13dの付勢力に抗して、環状部13bを押し下げることにより、環状部13bが離間位置(図3A、図4A)から接触位置(図3B、図4B)に移動する。環状部13bを押し下げる力がなくなると、付勢部13dの付勢力によって、環状部13bが接触位置から離間位置に戻り、環状部13bと筒状部13aの間に間隙G2が形成される。
【0024】
環状部13bからはピン部13fが下方に延びており、ピン部13fは凹部13eの内底面に形成されるガイド孔13gに上下に移動可能に支持されている。ガイド孔13gからのピン部13fの抜脱を防止するため、ピン部13fはガイド孔13gの内径よりも大きい外径の頭部13hを先端部に有している。
【0025】
環状部13bは、ウエハWの外径よりも僅かに大きい内径を有する。環状部13bから内方に延びる爪部13cは、環状部13bの周方向に沿って、間隔をおいて複数(図5A、図5Bでは12個)設けられている。爪部13cは、図3Aに示すように、ウエハWの下面周縁部に接して、ウエハWを水平に支持する。爪部13cに支持されるウエハWの上面と、環状部13bの上面とは略同一平面上に位置している。また、爪部13cに支持されるウエハWの下面と、環状部13bの下面とは略同一平面上に位置している。よって、ウエハWの上下面から振り切られる処理液が、環状部13bの上下面に沿って、環状間隙G1および間隙G2を通りやすく、外部に確実に排出される。
【0026】
環状部13bからは、処理室Sから外部に流出する気流を案内するガイド部15が外側斜め下方に延びている。ガイド部15は略円環形状を有し、ガイド部15には、切り欠き16が間隔をおいて複数(図5A、図5Bでは6個)設けられている。切り欠き16に後述するカバー20の連結ピン26が挿入されると、カバー20とウエハ支持部材10が一体的に回転可能となる。
【0027】
ウエハ支持部材10(より詳細にはプレート部11)には開口部11aが設けられている。ウエハ支持部材10には、開口部11aの周縁から下方に延びる筒形状の回転軸部材12が取り付けられている。
【0028】
カバー20は、図2に示すように、ウエハ支持部材10に一体的に回転可能に連結され、ウエハ支持部材10の上方を覆い、ウエハ支持部材10と共にウエハWを液処理するための処理室Sを形成する。処理室Sは略密閉されるので、液処理を安定して行うことができる。また、処理室Sの壁面を構成するウエハ支持部材10とカバー20が、一体的に回転するので、処理室Sの壁面に付着した処理液を遠心力で外側に振り切ることができる。
【0029】
カバー20は、水平に配置される環形状のプレート部21と、プレート部21の内縁から上方に延び、処理室S内に気体を流入させる筒形状のダクト部22と、プレート部21の外縁から下方に延びる筒形状の外周部23とを有している。外周部23には、複数の切り欠き16に挿抜可能な複数の連結ピン26が固定されている。連結ピン26は、切り欠き16に対応する位置で、後述のガイド部25に取り付けられている。
【0030】
カバー20のダクト部22は円筒形状を有し、ダクト部22の上方には、ファンフィルターユニット(FFU)などの気体供給機構Fが設けられている。気体供給機構Fにおいて不純物を除去した気体は、ダクト部22内においてダウンフローとなり、処理室Sに流入し、ウエハWの上方を通り、主に環状間隙G1を介して、処理室Sから外部に流出する。
【0031】
カバー20の外周部23は、例えば円筒形状に形成されており、ウエハWの外径よりも僅かに大きい内径を有する。外周部23は、ウエハ支持部材10の外周部13と対向配置されている。
【0032】
カバー20の外周部23の側部からは、気流を案内するガイド部25が外側斜め下方に延びている。ガイド部25と、ウエハ支持部材10のガイド部15とにより、環状間隙G1を通る気流や処理液が外側斜め下方に案内される。
【0033】
カバー20は、図2に示すように、カバー支持部材121を介して、リニアモータなどのカバー昇降機構122に接続されている。カバー20は、カバー昇降機構122によって、カバー20の外周部23とウエハ支持部材10の外周部13との間G1を開放する開位置(図3A、図4A)と、カバー20の外周部23とウエハ支持部材10の外周部13との間G1を閉鎖する閉位置(図3B、図4B)との間を上下に移動可能である。
【0034】
カバー20が開位置から閉位置に移動することにより、カバー20が環状部13bに接触して環状部13bを押し下げ、環状部13bが離間位置から接触位置に移動する。一方、カバー20が閉位置から開位置に移動することにより、カバー20が環状部13bから離間し、環状部13bを押し下げる力がなくなり、付勢部13dの付勢力によって、環状部13bが接触位置から離間位置に戻る。
【0035】
カバー20は、液処理装置1にウエハWが搬入されるとき、カバー昇降機構122によって開位置よりも上方の待機位置(図3C)まで上昇され、連結ピン26が切り欠き16から抜け出る。ウエハ支持部材10によりウエハWが支持されると、カバー昇降機構122によってカバー20が待機位置(図3C)と閉位置(図3B、図4B)の間の連結位置に下降され、連結ピン26が切り欠き16に挿入される。連結位置は、開位置と同じ位置であってよい。
【0036】
カバー20が開位置(連結位置)にあるとき、カバー20の外周部23とウエハ支持部材10の外周部13とは離間している。そのため、カバー20の外周部23とウエハ支持部材10の外周部13との間には環状間隙G1が形成されており、外周部13において、環状部13bと筒状部13aの間に間隙G2が形成されている。
【0037】
カバー20の上下方向の位置は、目的に応じて調節される。例えば、(1)回転するウエハWの上面および下面に処理液が供給されるとき、カバー20の位置は連結位置(図3A、図4A)に設定される。よって、回転するウエハWの上面から遠心力で振り切られた処理液が、環状間隙G1を通って、カップ50内に回収される。また、回転するウエハWの下面から振り切られた処理液が、間隙G2を通って、カップ50内に回収される。
【0038】
また、(2)処理室S内に洗浄液を供給し、溜めるとき、処理室Sの側方からの洗浄液の流出を制限するため、カバー20の位置は閉位置(図3B、図4B)に設定される。
【0039】
また、(3)洗浄液の液面が所定の高さになると(例えば、洗浄液の液面がプレート部21よりも高くなると)、カバー20が開位置(図3A、図4A)に移動され、カバー20の内側空間に溜まった洗浄液が環状間隙G1および間隙G2から一気に排出され、カバー20や上側液供給部材30に付着する異物が除去される。
【0040】
モータMは、図2に示すように、回転軸部材12を回転可能に保持している。モータMが作動すると、ウエハ支持部材10、ウエハ支持部材10に支持されるウエハW、およびウエハ支持部材10に連結されるカバー20が一体的に回転する。
【0041】
上側液供給部材30は、図3Bに示すように、ダクト部22の出口部22aよりも大きい円板形状の本体部31を有している。本体部31は、出口部22aの下側に対向配置され、出口部22aから処理室Sに流入する気流がウエハW上に形成される処理液の液膜を乱さないように、ダウンフローである気流の向きを変える役割を果たす。
【0042】
上側液供給部材30は、図5A、図5Bに示すように、本体部31の外周面から延びる2つの延長部32、33をさらに有している。延長部32、33はウエハWの径方向と平行に延びており、先端がウエハWの外縁部の上方に位置する。
【0043】
上側液供給部材30は、図3Aに示すように、処理室S内に配置され、回転するウエハWに上方から処理液を供給する。この処理液は、処理室S内を洗浄する洗浄液としても使用可能である。
【0044】
上側液供給部材30は、バルブV1、V2が途中に設けられる配管P1を介し、液供給源S1、S2と接続されている。液供給源S1は薬液を供給するものであり、液供給源S2は薬液を洗い流すリンス液を供給するものである。薬液とリンス液は、切り替え可能に、ノズル部35からウエハWに供給され、その供給量は、バルブV1、V2の開度の調節により調節可能である。
【0045】
ウエハWの洗浄処理においては、薬液として、例えばSPM(HSO+H)、SC1(NHOH+H+HO)、またはSC2(HCl+H+HO)などが用いられる。複数種類の薬液が用いられてもよく、複数の液供給源S1が設けられてもよい。リンス液としては、例えば脱イオン水(DIW)などが用いられる。
【0046】
また、現像処理においては、薬液として、現像液が用いられる。さらに、エッチング処理においては、フッ酸(HF)、バッファードフッ酸(BHF)、または硝酸(HNO)などを処理液として使用しても良い。
【0047】
ノズル部35は、配管P1から分岐した分岐管の末端に接続されている。ノズル部35は、本体部31および延長部32、33から下方に突出していてもよいし、本体部31および延長部32、33の内部に埋設されていてもよい。
【0048】
ノズル部35は、下方に向けて開口しており、ウエハWの上面に薬液またはリンス液を供給する。ノズル部35は、ウエハWの径方向に沿って間隔をおいて複数配列されている。なお、ノズル部35の設置数は1つでもよい。
【0049】
ノズル部35の設置数に関係なく、1つのノズル部35は、ウエハWの中央部に薬液またはリンス液を供給する。ウエハWの中央部に供給された処理液は外側に広がり液膜を形成する。
【0050】
また、上側液供給部材30は、バルブV3が途中に設けられる配管P3を介し、液供給源S3と接続されている。液供給源S3は、リンス液の乾燥溶媒として、例えばイソプロピルアルコール(IPA)などのアルコールを上側液供給部材30に供給する。乾燥溶媒は、ノズル部36からウエハWに向けて供給され、その供給量は、バルブV3の開度の調節により調節可能である。
【0051】
ノズル部36は、配管P3から分岐した分岐管の末端に接続されている。ノズル部36は、本体部31および延長部32、33から下方に突出していてもよいし、本体部31および延長部32、33の内部に埋設されていてもよい。
【0052】
ノズル部36は、下方に向けて開口しており、ウエハWの上面に乾燥溶媒を供給する。ノズル部36は、ウエハWの径方向に沿って間隔をおいて複数配列されている。なお、ノズル部36の設置数は1つでもよい。
【0053】
ノズル部36の設置数に関係なく、1つのノズル部36は、ウエハWの中央部に乾燥溶媒を供給する。ウエハWの中央部に供給された処理液は外側に広がり液膜を形成する。
【0054】
さらに、上側液供給部材30は、バルブV4が途中に設けられる配管P4を介し、ガス供給源S4と接続されている。ガス供給源S4から上側液供給部材30に供給されるガス(例えば窒素ガスや希ガスなどの不活性ガス、乾燥空気)は、ノズル部35からウエハWに向けて供給され、その供給量は、バルブV4の開度の調節により調節可能である。
【0055】
ガス供給源S4と、上側液供給部材30とを接続する配管P4の出口付近には、ガスを所定の温度に加熱する加熱装置H1が設けられている。加熱装置H1は、ガス供給源S4に設置されてもよい。
【0056】
上側液供給部材30は、図2に示すように、上側支持部材131を介して、上側昇降機構132に接続されており、上側昇降機構132によって上下に移動可能である。例えば、上側液供給部材30は、液処理装置1にウエハWが搬入されるとき、上側昇降機構132によって待機位置まで上昇され、ウエハ支持部材10によりウエハWが支持された後、上側昇降機構132によって下降され、処理液供給位置で停止する。
【0057】
下側液供給部材40は、図3Aに示すように、処理室S内に配置され、回転するウエハWに下方から処理液を供給する。この処理液は、処理室S内を洗浄する洗浄液としても使用可能である。
【0058】
下側液供給部材40は、上側液供給部材30と同様に、図2に示すように、バルブV5、V6が途中に設けられる配管P5を介し、液供給源S1、S2と接続されている。配管P5から分岐した各分岐管の末端には、ノズル部41が接続されている。ノズル部41は、上方に向けて薬液またはリンス液を吐出し、その吐出量はバルブV5、V6の開度の調節により調節可能である。
【0059】
また、下側液供給部材40は、バルブV7が途中に設けられる配管P7を介し、液供給源S3と接続されている。配管P7から分岐した各分岐管の末端には、ノズル部42が接続されている。ノズル部42は、上方に向けて乾燥溶媒を吐出し、その吐出量はバルブV7の開度の調節により調節可能である。
【0060】
さらに、下側液供給部材40は、バルブV8が途中に設けられる配管P8を介し、ガス供給源S4と接続されている。配管P8から分岐した各分岐管の末端には、ノズル部41が接続されている。ノズル部41は、上方に向けてガスを吐出し、その吐出量はバルブV8の開度の調節により調節可能である。配管P8の出口付近には、ガスを所定の温度に加熱する加熱装置H2が設けられている。加熱装置H2は、ガス供給源S4に設置されてもよい。
【0061】
下側液供給部材40は、図2に示すように、支持ロッド141を介して、リニアモータなどの下側昇降機構142に接続され、下側昇降機構142によって上下に移動可能である。支持ロッド141は、処理室Sの下部(本実施形態では、ウエハ支持部材10のプレート部11)に形成される開口部11aに挿通されている。
【0062】
下側液供給部材40は、シール部材44を介してウエハ支持部材10(詳細にはプレート部11)に接触することにより開口部11aを塞ぐ閉塞位置(図3B)と、上記接触を解除する、閉塞位置よりも上方の開放位置(図3A)との間で移動可能である。シール部材44は、Oリングまたはパッキンなどで構成され、開口部11aよりも大きな内径を有する。シール部材44は、下側液供給部材40側に固定されてもよいし、ウエハ支持部材10側に固定されてもよい。
【0063】
下側液供給部材40の上下方向の位置は、目的に応じて設定される。例えば、(1)ウエハWに処理液を供給するとき、ウエハ支持部材10の回転を許容するため、下側液供給部材40の位置は開放位置(図3A)に設定される。
【0064】
また、(2)処理室S内に洗浄液が溜められるとき、開口部11aからの洗浄液の流下を防止するため、下側液供給部材40の位置は閉塞位置(図3B)に設定される。
【0065】
また、(3)処理室S内から洗浄液がほとんどなくなると(例えば、ウエハ支持部材10に液滴が残る程度になると)、ウエハ支持部材10を回転させ、液滴を遠心力で外側に振り切るため、下側液供給部材40の位置は開放位置(図3A)に設定される。なお、液滴を遠心力で外側に振り切るときの下側液供給部材40の位置は、閉塞位置よりも上方の位置であればよく、ウエハWを液処理する時の位置と同じでも、異なってもよい。
【0066】
下側液供給部材40は、支持ロッド141と下側昇降機構142との間に介在する回動機構143によって、水平に回動可能である。下側液供給部材40は、上面視において、上側液供給部材30と平行に重なる位置(図5A)と、洗浄液を吐出する複数のノズル部41の少なくとも一部が上側液供給部材30と重ならない位置(図5B)との間で回動可能となっている。下側液供給部材40の回動位置は、目的に応じて設定される。
【0067】
例えば、(1)ウエハWの上面および下面に処理液を供給するとき、下側液供給部材40からの液圧と、上側液供給部材30からの液圧とが互いに打ち消し合うように、下側液供給部材40の回動位置は図5Aに示す位置に設定される。
【0068】
また、(2)ウエハ支持部材10によりウエハWを支持していない状態で、下側液供給部材40から洗浄液をカバー20に供給するとき、下側液供給部材40の回動位置は図5Bに示す位置に設置される。下側液供給部材40から供給される洗浄液と、上側液供給部材30から供給される洗浄液とが互いにぶつかるのを避けることができる。また、下側液供給部材40から供給される洗浄液の全部が、上側液供給部材30にぶつかるのを避けることができる。
【0069】
カップ50は、図2に示すように、環状間隙G1、間隙G2を取り囲み、処理室Sから排出される処理液を受け取る。カップ50は、処理液を気流の流れから分離するため、カップ50内の下部空間を外側環状空間51と内側環状空間52とに区画する円筒形状の仕切り部53を有している。外側環状空間51には、処理液を外部に排出する排液管54が接続されている。内側環状空間52には、排気管55を介して、排気機構Eが接続されている。
【0070】
排気機構Eは、真空ポンプなどで構成され、カップ50内を排気することで、環状間隙G1を介して、処理室S内のウエハWの上方空間から、カップ50へ流入する気流を形成する。この気流は、回転するウエハWから振り切られる処理液をカップ50内へ回収する役割を果たす。
【0071】
液処理装置1の所定の装置(例えば、モータM、バルブV1〜V8、加熱装置H1、H2、カバー昇降機構122、上側昇降機構132、下側昇降機構142、回動機構143)は、図2および図3Aに示すように、液処理装置1の動作を制御する制御装置70に、信号ラインを介して接続されている。
【0072】
制御装置70は、CPU、記録媒体などを含むコンピュータとして構成されている。制御装置70は、記録媒体に格納された各種プログラムをCPUに実行させることで、信号ラインを介して接続される装置を制御し、後述の液処理装置1の各種動作を実行させる。
【0073】
例えば、制御装置70は、ウエハ支持部材10によりウエハWを支持していない状態で、上側液供給部材30および/または下側液供給部材40から処理室S内に所定量の洗浄液を供給する。このように、請求項1に記載の「第1の液供給部材」は、上側液供給部材30であっても、下側液供給部材40であってもよい。
【0074】
この制御装置70は、処理室S内に洗浄液を供給し、溜める間、カバー20の位置を閉位置に設定し、下側液供給部材40の位置を閉塞位置に設定する。このとき、上側液供給部材30の位置は、特に限定されないが、例えば処理液供給位置に設定される。
【0075】
この制御装置70は、処理室S内への洗浄液の供給量を監視しており、処理室S内に溜まった洗浄液の液面が所定の高さになると(例えば、洗浄液の液面がカバー20のプレート部21よりも高くなると)、カバー20の位置を閉位置から開位置に変更し、処理室S内に溜まった洗浄液を環状間隙G1および間隙G2から外部に排出する。
【0076】
この制御装置70は、カバー20の位置を閉位置から開位置に変更した後に、ウエハ支持部材10を回転させることにより、ウエハ支持部材10に付着した洗浄液の液滴を流出口13iから流出させる。
【0077】
また、制御装置70は、ウエハ支持部材10によりウエハWを支持していない状態で、回転するカバー20に下側液供給部材40から噴射した洗浄液をかける。この制御装置70は、回転するカバー20に洗浄液をかける間、カバー20の位置を開位置、下側液供給部材40の位置を開放位置に設定する。なお、カバー20の位置は、閉位置よりも上方の位置であればよく、処理室S内に洗浄液を溜める時の位置と同じでも、異なってもよい。このとき、上側液供給部材30の位置は、特に限定されないが、例えば処理液供給位置に設定される。
【0078】
また、制御装置70は、ウエハ支持部材10によりウエハWを支持していない状態で、上側液供給部材30および/または下側液供給部材40から処理室S内にガスを供給する。この制御装置70は、処理室S内にガスを供給する間、カバー20の位置を開位置に設定する。上側液供給部材30の位置は、特に限定されないが、例えば処理液供給位置に設定される。下側液供給部材40の位置は、閉塞位置でも開放位置でもよい。
【0079】
次に、上記構成の液処理装置の液処理時の動作(液処理方法)について説明する。
【0080】
先ず、カバー昇降機構122がカバー20を待機位置(図3C)まで上昇させると共に、上側昇降機構132が上側液供給部材30を待機位置まで上昇させた後、図1に示す搬送機構106の保持アーム107により保持されたウエハWが液処理装置1に搬入される。ウエハWがウエハ支持部材10に受け渡され、保持アーム107が液処理装置1から退出すると、上側昇降機構132によって上側液供給部材30がウエハWの上面近傍の位置まで下降される。また、カバー昇降機構122によってカバー20が連結位置(図3A、図4A)まで下降され、カバー20とウエハ支持部材10が一体的に回転可能となる。カバー20は、ウエハ支持部材10の上方を覆い、ウエハ支持部材10と共にウエハWを液処理するための処理室Sを形成する。処理室Sの側方には、環状間隙G1、間隙G2が形成される。続いて、モータMがウエハ支持部材10、カバー20およびウエハWを一体的に回転させる。
【0081】
次いで、回転するウエハWの上面および下面に、上側液供給部材30および下側液供給部材40から処理液が供給される。具体的には、例えば、上側液供給部材30および下側液供給部材40から薬液(例えば、SPM)がウエハWに所定時間供給される。続いて、薬液を洗い流すリンス液が、上側液供給部材30および下側液供給部材40からウエハWに所定時間供給される。次いで、上側液供給部材30および下側液供給部材40から乾燥溶媒(例えば、IPA)がウエハWに所定時間供給される。乾燥溶媒の供給が停止された後、ウエハWが高速回転され、遠心力でリンス液が振り切られ、ウエハWの回転が停止される。
【0082】
ここで、回転するウエハWの上面から振り切られた処理液は、環状間隙G1を通り、カップ50内に回収される。また、回転するウエハWの下面から振り切られた処理液は、間隙G2を通り、カップ50内に回収される。なお、ウエハ支持部材10のプレート部11にこぼれ落ちた処理液は、遠心力によって外側に移動され、筒状部13aの下部に形成された流出口13i(図3A、図3B)から流出して、カップ50内に回収される。
【0083】
排気機構Eは、カップ50内を排気することにより、環状間隙G1を介して、処理室S内のウエハWの上方空間からカップ50へ向かう気流を形成する。この気流は、回転するウエハWから振り切られる処理液をカップ50へ搬入する役割を果たす。
【0084】
最後に、ウエハWを液処理装置1に搬入したときと、逆の手順で、ウエハWが液処理装置1から搬出され、ウエハWの液処理が終了する。ウエハWの液処理が終了したとき、図3Cに示すように、カバー20は待機位置、上側液供給部材30は待機位置、下側液供給部材40は開放位置にある。
【0085】
次に、図6に基づいて、上記構成の液処理装置1の洗浄時の動作(洗浄方法)について説明する。液処理装置1の洗浄は、ウエハWが液処理装置1から搬出された後に実施され、ウエハ支持部材10によりウエハWを支持していない状態で実施される。図6に示す洗浄方法は、制御装置70によって実現される。
【0086】
図6に示すステップS61では、処理室Sの側方から、洗浄液が流出するのを制限するため、カバー昇降機構122によって、カバー20が閉位置(図3B、図4B)まで下降され、環状部13bが接触位置まで移動される。また、処理室Sの下部に形成される開口部11aから洗浄液が流れ落ちるのを防止するため、下側昇降機構142によって、下側液供給部材40が閉塞位置(図3B)まで下降される。
【0087】
続いて、上側液供給部材30および/または下側液供給部材40によって、洗浄液(例えばDIW)が処理室S内に供給される(ステップS62)。上側液供給部材30および下側液供給部材40は、処理室S内に配置されているので、処理室S内に洗浄液を溜めることができ、さらに洗浄液の供給を続けることで、洗浄液を対流させたり、撹拌させたりすることができ、処理室S内の付着物を洗い流すことができる。
【0088】
洗浄液の液面が所定の高さになると(例えば、洗浄液の液面がカバー20のプレート部21よりも高くなると)、カバー昇降機構122によって、カバー20が閉位置(図3B、図4B)から開位置(図3A、図4A)まで上昇される(ステップS63)。その結果、カバー20の内側空間に溜まった洗浄液が環状間隙G1および間隙G2から一気に排出され、カバー20や上側液供給部材30に付着する異物が洗い流される。
【0089】
ステップS61〜S63は、複数回繰り返し行われてもよい。
【0090】
一方、ウエハ支持部材10の内側空間に溜まった洗浄液は、上側液供給部材30および/または下側液供給部材40による洗浄液の供給が停止されると、外周部13に形成される流出口13iから徐々に排出される。
【0091】
洗浄液の残存量がほとんどなくなると(例えば、ウエハ支持部材10に液滴が残る程度になると)、下側液供給部材40が閉塞位置(図3B)から開放位置(図3A)まで上昇される(ステップS64)。
【0092】
次いで、カバー20の位置が開位置に設定され、モータMによってウエハ支持部材10およびカバー20が一体的に回転される(ステップS65)。回転するカバー20に付着する液滴は、遠心力で外側に移動され、処理室Sの側方に形成される環状間隙G1から排出される。同様に、回転するウエハ支持部材10に付着する液滴は、遠心力で外側に移動され、処理室Sの側方に形成される流出口13iから排出される。
【0093】
本実施形態では、流出口13iが筒状部13aの下部に形成されており、流出口13i付近において筒状部13aの内周面が下方に行くほど外側(径方向外方)に向かう勾配を有しているので、筒状部13aに付着する液滴を遠心力で流出口13iから効率的に排出できる。
【0094】
最後に、処理室S内を乾燥させるため、上側液供給部材30および/または下側液供給部材40から処理室S内にガスが供給される(ステップS66)。ガスは、乾燥時間を短縮するため、所定の温度に加熱された上で、処理室S内に供給されることが好ましい。
【0095】
なお、ステップS65とステップS66は、その順序に制限はなく、同時に行われてもよい。
【0096】
次に、図7に基づいて、上記構成の液処理装置1の別の洗浄時の動作(洗浄方法)について説明する。図7に示す洗浄は、図6に示す洗浄と同様に、ウエハWが液処理装置1から搬出された後に実施され、ウエハ支持部材10によりウエハWを支持していない状態で実施される。図7に示す洗浄は、図6に示す洗浄と組み合わせて行われてもよいし、単独で行われてもよい。図7に示す洗浄と図6に示す洗浄が組み合わせて行われる場合、その順序に制限はなく、また、図6に示す洗浄の途中で、図7に示す洗浄が行われてもよい。図7に示す洗浄方法は、制御装置70によって実現される。
【0097】
図7に示すステップS71では、モータMによって、ウエハ支持部材10およびカバー20が一体的に回転される。このとき、カバー20を回転させるため、カバー20の位置が連結位置(開位置)(図3A、図4A)に設定され、処理室Sが形成されると共に、処理室Sの側方に環状間隙G1、間隙G2が形成されている。また、ウエハ支持部材10の回転を許容するため、下側液供給部材40の位置が開放位置に設定されている。
【0098】
次いで、回転するカバー20(詳細には、プレート部21)に向けて、下側液供給部材40から洗浄液(例えばDIW)が噴射され、洗浄液の衝撃力によってカバー20が物理的に洗浄される(ステップS72)。洗浄液の衝撃力は、バルブ(例えばバルブV6)の開度の調節により調節可能である。洗浄液は、遠心力で外側に移動し、プレート部21に付着した異物を洗い流す。異物を含んだ洗浄液は、主に環状間隙G1から排出される。
【0099】
下側液供給部材40の、洗浄液をシャワー状または霧状に噴射するノズル部41は、処理室Sの中心部から外縁部に向けて間隔をおいて複数配列されている。そのため、カバー20(詳細には、プレート部21)を全体的に洗浄することができる。
【0100】
複数のノズル部41の少なくとも一部が上側液供給部材30と重ならないように(図5B)、下側液供給部材40の回動位置が設定されている。そのため、カバー20を確実に洗浄することができる。
【0101】
また、回転するウエハ支持部材10(詳細には、プレート部11)に向けて、上側液供給部材30から洗浄液(例えばDIW)が噴射され、洗浄液の衝撃力によってウエハ支持部材10が物理的に洗浄される(ステップS72)。洗浄液の衝撃力は、バルブ(例えばバルブV2)の開度の調節により調節可能である。洗浄液は、遠心力で外側に移動し、プレート部11に付着した異物を洗い流す。異物を含んだ洗浄液は、主に流出口13iから排出される。
【0102】
上側液供給部材30の、洗浄液をシャワー状または霧状に噴射するノズル部35は、処理室Sの中心部から外縁部に向けて間隔をおいて複数配列されている。そのため、ウエハ支持部材10(詳細には、プレート部11)を全体的に洗浄することができる。
【0103】
なお、ステップS72では、回転するカバー20およびウエハ支持部材10の両方に向けて、第2および上側液供給部材40、30から洗浄液を噴射するとしたが、ウエハ支持部材10に対する洗浄液の噴射は行われなくてもよい。
【0104】
次いで、上側液供給部材30および下側液供給部材40からの洗浄液の供給が停止され(ステップS73)、一体的に回転されるウエハ支持部材10およびカバー20に付着した液滴が、遠心力で外方に振り切られる。
【0105】
最後に、処理室S内を乾燥させるため、上側液供給部材30および/または下側液供給部材40から処理室S内にガスが供給される(ステップS74)。ガスは、乾燥時間を短縮するため、所定の温度に加熱された上で、処理室S内に供給されることが好ましい。ここで、ウエハ支持部材10およびカバー20は回転されていなくてもよい。
【0106】
なお、ステップS73とステップS74は、その順序に制限はなく、同時に行われてもよい。
【0107】
[第1変形例]
図8は、第1変形例による液処理装置の要部を示す断面図である。図9A、図9Bは、図8の液処理装置の要部の動作を示す拡大図であって、図9Aはカバーが開位置にある時の断面図、図9Bはカバーが閉位置にある時の断面図である。図9A、図9Bは、ウエハのない状態を示す。
【0108】
液処理装置1Aは、ウエハWを水平に支持するウエハ支持部材10Aを有する。なお、液処理装置1Aにおいて、ウエハ支持部材10A以外の構成は、上記の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0109】
ウエハ支持部材10Aは、ウエハWを水平に支持し、ウエハWと共に回転可能な部材である。ウエハ支持部材10Aは、水平に配置され、中心部に開口部11aが形成された環形状のプレート部11と、プレート部11の外縁から上方に延びる筒形状の外周部13Aとを有している。
【0110】
外周部13Aは、プレート部11の外縁から上方に延びる筒状部13aと、筒状部13aの上面に接触する接触位置(図9B)と筒状部13aの上面から離間する離間位置(図9A)との間で移動自在な環状部13bとを有する。また、外周部13Aは、環状部13bから内方に延び、ウエハWの外縁部を支持する爪部13cと、環状部13bを接触位置から離間位置に向けて付勢する付勢部13d(図8)とを有する。
【0111】
本変形例の外周部13Aは、離間位置に位置する環状部13bから上方に離間した初期位置(図9A)と、環状部13bを介して筒状部13aに接触する押下位置(図9B)との間で移動自在なリング状部13jと、リング状部13jを押下位置から初期位置に向けて付勢する弾性部13kとをさらに有する。
【0112】
弾性部13kは、例えばコイルバネなどで構成され、筒状部13aの上面と、リング状部13jとの間に配置される。弾性部13kは、環状部13bの貫通孔13mに挿通されている。弾性部13kおよび貫通孔13mは、環状部13bの周方向に沿って、間隔をおいて複数組設けられている。
【0113】
弾性部13kの付勢力に抗して、リング状部13jを押し下げることにより、リング状部13jが初期位置(図9A)から押下位置(図9B)に移動する。リング状部13jを押し下げる力がなくなると、弾性部13kの付勢力によって、リング状部13jが押下位置から初期位置に戻り、リング状部13jと環状部13bの間に間隙G3が形成される。
【0114】
リング状部13jからはピン部13nが下方に延びており、ピン部13nは筒状部13aの上面に形成されるガイド孔13oに上下に移動可能に支持されている。ガイド孔13oからのピン部13nの抜脱を防止するため、ピン部13nはガイド孔13oの内径よりも大きい外径の頭部13pを先端部に有している。
【0115】
リング状部13jからは、処理室Sから外部に流出する気流を案内するガイド部17が外側斜め下方に延びている。ガイド部17は略円環形状を有し、ガイド部17には、カバー20に固定される連結ピン26を挿入させる切り欠きが形成されている。
【0116】
カバー20は、カバー昇降機構122によって、カバー20の外周部23とウエハ支持部材10Aの外周部13Aとの間を開放する開位置(図9A)と、カバー20の外周部23とウエハ支持部材10Aの外周部13Aとの間を閉鎖する閉位置(図9B)との間を上下に移動可能である。
【0117】
カバー20が開位置から閉位置に移動することにより、カバー20がリング状部13jに接触しリング状部13jを押し下げ、リング状部13jが初期位置から押下位置に移動する。一方、カバー20が閉位置から開位置に移動することにより、カバー20がリング状部13jから離間し、リング状部13jを押し下げる力がなくなり、弾性部13kの付勢力によって、リング状部13jが押下位置から初期位置に戻る。
【0118】
カバー20は、液処理装置1AにウエハWが搬入されるとき、カバー昇降機構122によって開位置よりも上方の待機位置まで上昇され、連結ピン26が切り欠き16から抜け出る。ウエハ支持部材10AによりウエハWが支持されると、カバー昇降機構122によってカバー20が待機位置と閉位置の間の連結位置に下降され、連結ピン26が切り欠き16に挿入される。連結位置は、開位置と同じ位置であってよい。
【0119】
カバー20が開位置(連結位置)にあるとき、カバー20の外周部23とウエハ支持部材10Aの外周部13Aとは離間している。そのため、カバー20の外周部23とウエハ支持部材10Aの外周部13Aとの間には環状間隙G1が形成されている。加えて、外周部13Aにおいて、リング状部13jと環状部13bとの間に間隙G3が形成されており、環状部13bと筒状部13aの間に間隙G2が形成されている。
【0120】
カバー20の上下方向の位置は、目的に応じて調節される。例えば、(1)回転するウエハWの上面および下面に処理液が供給されるとき、カバー20の位置は連結位置(図9A)に設定される。よって、回転するウエハWの上面から遠心力で振り切られた処理液が、環状間隙G1、間隙G3を通って、カップ50内に回収される。また、回転するウエハWの下面から振り切られた処理液が、間隙G2を通って、カップ50内に回収される。
【0121】
ここで、環状間隙G1は、カバー20の昇降によって調節可能である。よって、処理室S内のウエハWの上方空間から、環状間隙G1、間隙G3を通り、カップ50に向かう気流の状態を最適化することができる。加えて、環状間隙G1の調節時に、間隙G3は一定に保たれるので、気流を確実に通過させることができる。
【0122】
また、(2)処理室S内に洗浄液を溜めるとき、処理室Sの側方からの洗浄液の流出を制限するため、カバー20の位置は閉位置(図9B)に設定される。
【0123】
また、(3)洗浄液の液面が所定の高さになると(例えば、洗浄液の液面がプレート部21よりも高くなると)、カバー20が開位置(図9A)に移動され、カバー20の内側空間に溜まった洗浄液が環状間隙G1、間隙G2、間隙G3から一気に排出され、カバー20や上側液供給部材30に付着する異物が除去される。
【0124】
[第2変形例]
図10は、第1変形例による液処理装置の要部を示す断面図である。図11A、図11Bは、図10の液処理装置の要部の動作を示す拡大図であって、図11Aはカバーが開位置にある時の断面図、図11Bはカバーが閉位置にある時の断面図である。図11A、図11Bは、ウエハのない状態を示す。
【0125】
液処理装置1Bは、カバー20Bを有する。なお、液処理装置1Bにおいて、カバー20B以外の構成は、上記の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0126】
カバー20Bは、図10に示すように、ウエハ支持部材10に一体的に回転可能に連結され、ウエハ支持部材10の上方を覆い、ウエハ支持部材10と共にウエハWを液処理するための処理室Sを形成する。
【0127】
カバー20Bは、水平に配置される環形状のプレート部21と、プレート部21の内縁から上方に延び、処理室S内に気体を流入させる筒形状のダクト部22と、プレート部21の外縁から下方に延びる筒形状の外周部23Bとを有している。外周部23Bには、複数の切り欠き16に挿抜可能な複数の連結ピン26が固定されている。
【0128】
外周部23Bは、プレート部21の外縁から下方に延びる筒状部23aと、筒状部23aの下面に接触する押上位置(図11B)と筒状部23aの下面から離間する初期位置(図11A)との間で移動自在なリング状部23bとを有する。リング状部23bは、筒状部23aの周方向に沿って、間隔をおいて複数組設けられている。
【0129】
重力に抗して、リング状部23bを押し上げることにより、リング状部23bが初期位置から押上位置に移動する。リング状部23bを押し上げる力がなくなると、重力によって、リング状部23bが押下位置(図11B)から初期位置(図11A)に戻り、リング状部23bと筒状部23aの間に間隙G4が形成される。
【0130】
リング状部23bからはピン部23cが上方に延びており、ピン部23cは筒状部23aの下面に形成されるガイド孔23dに上下に移動可能に支持されている。ガイド孔23dからのピン部23cの抜脱を防止するため、ピン部23cはガイド孔23dの内径よりも大きい外径の頭部23eを先端部に有している。
【0131】
リング状部23bからは、処理室Sから外部に流出する気流を案内するガイド部25が外側斜め下方向に延びている。同様に、筒状部23aの下部からは、処理室Sから外部に流出する気流を案内するガイド部27が外側斜め下方向に伸びている。ガイド部25、27は略円環形状に形成されている。
【0132】
カバー20Bは、カバー昇降機構122によって、カバー20Bの外周部23Bとウエハ支持部材10の外周部13との間を開放する開位置(図11Aと同様であるので図示を省略)と、カバー20Bの外周部23Bとウエハ支持部材10の外周部13との間を閉鎖する閉位置(図11B)との間を上下に移動可能である。
【0133】
カバー20Bが開位置から閉位置に移動することにより、ウエハ支持部材10がリング状部23bに接触しリング状部23bを押し上げ、リング状部23bが初期位置から押上位置に移動する。一方、カバー20Bが閉位置から開位置に移動することにより、ウエハ支持部材10がリング状部23bから離間し、リング状部23bを押し下げる力がなくなり、重力によって、リング状部23bが押上位置から初期位置に戻る。
【0134】
カバー20Bは、液処理装置1BにウエハWが搬入されるとき、カバー昇降機構122によって開位置よりも上方の待機位置まで上昇され、連結ピン26が切り欠き16から抜け出る。ウエハ支持部材10によりウエハWが支持されると、カバー昇降機構122によってカバー20Bが待機位置と閉位置の間の連結位置に下降され、連結ピン26が切り欠き16に挿入される。連結位置は、開位置と同じ位置であってよい。
【0135】
カバー20Bが開位置(連結位置)にあるとき、カバー20Bの外周部23Bとウエハ支持部材10の外周部13とは離間している。そのため、カバー20Bの外周部23Bとウエハ支持部材10の外周部13との間には環状間隙G1が形成されている。加えて、外周部23Bにおいて、リング状部23bと筒状部23aとの間に間隙G4が形成されている。
【0136】
カバー20Bの上下方向の位置は、目的に応じて調節される。例えば、(1)回転するウエハWの上面および下面に処理液が供給されるとき、カバー20Bの位置は連結位置(図11A)に設定される。よって、回転するウエハWの上面から遠心力で振り切られた処理液が、環状間隙G1、間隙G4を通って、カップ50内に回収される。また、回転するウエハWの下面から振り切られた処理液が、間隙G2を通って、カップ50内に回収される。
【0137】
ここで、環状間隙G1は、カバー20Bの昇降によって調節可能である。よって、処理室S内のウエハWの上方空間から、環状間隙G1、間隙G4を通って、カップ50に向かう気流の状態を最適化することができる。加えて、環状間隙G1の調節時に、間隙G4は一定に保たれるので、気流を確実に通過させることができる。
【0138】
また、(2)処理室S内に洗浄液を溜めるとき、処理室Sの側方からの洗浄液の流出を制限するため、カバー20Bの位置は閉位置(図11B)に設定される。
【0139】
また、(3)洗浄液の液面が所定の高さになると(例えば、洗浄液の液面がプレート部21よりも高くなると)、カバー20Bが開位置(図11A)に移動され、カバー20Bの内部空間に溜まった洗浄液が一気に排出され、カバー20Bや上側液供給部材30に付着する異物が除去される。
【0140】
以上、本発明の実施形態および変形例について説明したが、本発明は、上記の実施形態および変形例に制限されない。本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変形や置換が可能である。
【0141】
例えば、液処理装置1、1Aは、回転するウエハWの上下面に処理液を供給する装置であるが、回転するウエハWの上面にのみ処理液を供給する装置であってもよい。この場合、下側液供給部材40がなくなるので、下側液供給部材40を支持する支持ロッド141を挿通させる開口部11aが不要になり、開口部11aから処理液が流れ落ちるのを防止する機構が不要になる。また、この場合、回転するウエハWの下面から振り切られる処理液を通す間隙G2が不要になる。
【0142】
また、図6に示すステップS61、S63では、カバー20の外周部23とウエハ支持部材10の外周部13との間を閉鎖、開放するため、カバー20が昇降されるとしたが、カバー20がウエハ支持部材10に対して相対的に昇降されればよく、例えば、ウエハ支持部材10が昇降されてもよい。
【0143】
また、図6に示すステップS61、S64では、ウエハ支持部材10の開口部11aを閉塞するため、あるいは、ウエハ支持部材10の回転を許容するため、下側液供給部材40が昇降されるとしたが、下側液供給部材40がウエハ支持部材10に対して相対的に昇降されればよく、例えば、ウエハ支持部材10が昇降されてもよい。
【0144】
また、洗浄液を噴射するノズル部35、41は、処理室Sの中心部から外縁部に向けて間隔をおいて複数配列されているが、処理室Sの中心部に対して対称な2点(外縁部の2点)の一方から他方に向けて間隔をおいて複数配列されていてもよい。
【0145】
また、回動機構143は、下側液供給部材40を水平に回動させるが、下側液供給部材40と上側液供給部材30を相対的に水平に回動させることができればよく、例えば、上側液供給部材30を水平に回動させてもよい。
【0146】
また、ウエハWは半導体ウエハに限らず、例えばFPD用のガラス基板であってもよい。
【符号の説明】
【0147】
1 液処理装置
10 ウエハ支持部材
11a 開口部
13 外周部
13a 筒状部
13b 環状部
13c 爪部
13d 付勢部
13j リング状部
13k 弾性部
20 カバー(間隙形成部材)
23 外周部
30 上側液供給部材
40 下側液供給部材
70 制御装置
122 カバー昇降機構
132 上側昇降機構
142 下側昇降機構
143 回動機構
W ウエハ(基板)
M モータ(回転機構)
G1 環状間隙
G2 間隙
G3 間隙
G4 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を液処理する液処理装置において、
前記基板を水平に支持し、回転可能な支持部材と、
該支持部材を回転させる回転機構と、
前記支持部材と一体的に回転可能に連結され、前記支持部材の上方を覆い前記支持部材と共に前記基板を液処理するための処理室を形成するカバーと、
前記カバーの外周部と前記支持部材の外周部との間を開放する開位置と、前記カバーの外周部と前記支持部材の外周部との間を閉鎖する閉位置との間で、前記カバーを昇降させる昇降機構と、
前記処理室内に配置され、前記回転する基板に処理液を供給する第1の液供給部材と、
前記支持部材により基板を支持していない状態で、前記カバーの位置を前記閉位置に設定し、前記第1の液供給部材により前記処理室内に所定量の洗浄液を供給した後、前記カバーの位置を前記閉位置から前記開位置に変更する制御装置とを有する液処理装置。
【請求項2】
前記支持部材の外周部および前記カバーの外周部には、それぞれ、前記支持部材の外周部と前記カバーの外周部との間に形成される環状間隙を通り前記処理室外に流出する気流を案内するガイド部が設けられる請求項1に記載の液処理装置。
【請求項3】
前記支持部材の外周部は、筒状部と、該筒状部の上面に接触する接触位置と該筒状部の上面から離間する離間位置との間で移動自在な環状部と、該環状部から内方に延びる、前記基板の外縁部を支持する爪部と、前記環状部を前記接触位置から前記離間位置に向けて付勢する付勢部とを有し、
前記カバーが前記開位置から前記閉位置に移動することにより、前記環状部が前記離間位置から前記接触位置に移動し、
前記カバーが前記閉位置から前記開位置に移動することにより、前記環状部が前記接触位置から前記離間位置に移動する請求項1または2に記載の液処理装置。
【請求項4】
前記支持部材の外周部は、前記離間位置に位置する前記環状部から上方に離間した初期位置と、前記環状部を介して前記筒状部に接触する押下位置との間で移動自在なリング状部と、該リング状部を押下位置から初期位置に向けて付勢する弾性部とをさらに有し、
前記カバーが前記開位置から前記閉位置に移動することにより、前記リング状部が前記初期位置から前記押下位置に移動し、
前記カバーが前記閉位置から前記開位置に移動することにより、前記リング状部が前記押下位置から前記初期位置に移動する請求項3に記載の液処理装置。
【請求項5】
前記支持部材の筒状部の下部には、前記処理室内の洗浄液を外部に流出させる流出口が形成されており、該流出口付近において、前記筒状部の内周面は、下方に行くほど外側に向かう勾配を有し、
前記制御装置は、前記カバーの位置を閉位置から開位置に変更した後、前記回転機構によって前記支持部材を回転させることにより、前記支持部材に付着した前記洗浄液の液滴を前記流出口から流出させる請求項3または4に記載の液処理装置。
【請求項6】
前記第1の液供給部材は、前記回転する基板に上方から処理液を供給する部材であり、
前記液処理装置は、
前記処理室内に配置され、前記回転する基板に下方から処理液を供給する第2の液供給部材と、
前記支持部材に形成される開口部に挿通され、前記第2の液供給部材を下方から支持する支持ロッドと、
該支持ロッドを介して、前記第2の液供給部材を、シール部材を介して前記支持部材に接触させることにより前記開口部を閉塞する閉塞位置と、該閉塞位置よりも上方の開放位置との間で昇降させる昇降機構とをさらに有し、
前記制御装置は、前記支持部材により基板を支持していない状態で、前記カバーの位置を前記閉位置に設定すると共に、前記第2の液供給部材の位置を前記閉塞位置に設定し、前記第1および/または前記第2の液供給部材により前記処理室内に所定量の洗浄液を供給する請求項1〜5のいずれか一項に記載の液処理装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記支持部材により基板を支持していない状態で、前記カバーの位置を、前記カバーの外周部と前記支持部材の外周部との間を開放する位置に設定すると共に、前記第2の液供給部材の位置を前記開放位置に設定し、回転する前記カバーに前記第2の液供給部材から噴射された洗浄液をかける請求項6に記載の液処理装置。
【請求項8】
前記第2の液供給部材は、洗浄液を噴射する複数のノズル部を有し、該複数のノズル部が、前記処理室の中心部から外縁部に向けて間隔をおいて配列されている請求項7に記載の液処理装置。
【請求項9】
前記第2の液供給部材と前記第1の液供給部材を相対的に水平に回動させる回動機構をさらに有する請求項8に記載の液処理装置。
【請求項10】
前記第1および/または第2の液供給部材は、ガスを吐出可能に構成されており、
前記制御装置は、前記支持部材により基板を支持していない状態で、前記第1および/または第2の液供給部材から前記処理室内にガスを供給する請求項6〜9のいずれか一項に記載の液処理装置。
【請求項11】
基板を液処理する液処理装置の洗浄方法において、
前記液処理装置は、
前記基板を水平に支持し、回転可能な支持部材と、
該支持部材を回転させる回転機構と、
前記支持部材と一体的に回転可能に連結され、前記支持部材の上方を覆い前記支持部材と共に前記基板を液処理するための処理室を形成するカバーと、
前記カバーの外周部と前記支持部材の外周部との間を開放する開位置と、前記カバーの外周部と前記支持部材の外周部との間を閉鎖する閉位置との間で、前記カバーを昇降させる昇降機構と、
前記処理室内に配置され、前記回転する基板に処理液を供給する第1の液供給部材とを有し、
前記洗浄方法は、
前記支持部材により基板を支持していない状態で、前記カバーの位置を前記閉位置に設定し、前記第1の液供給部材により前記処理室内に所定量の洗浄液を供給した後、前記カバーの位置を前記閉位置から前記開位置に変更することにより、前記カバーの内側空間に溜まった前記洗浄液を排出する第1の洗浄工程を有する液処理装置の洗浄方法。
【請求項12】
前記支持部材の外周部は、筒状部と、該筒状部の上面に接触する接触位置と該筒状部の上面から離間する離間位置との間で移動自在な環状部と、該環状部から内方に延びる、前記基板の外縁部を支持する爪部と、前記環状部を前記接触位置から前記離間位置に向けて付勢する付勢部とを有し、
前記カバーが前記開位置から前記閉位置に移動することにより、前記環状部が前記離間位置から前記接触位置に移動し、
前記カバーが前記閉位置から前記開位置に移動することにより、前記環状部が前記接触位置から前記離間位置に移動する請求項11に記載の液処理装置の洗浄方法。
【請求項13】
前記支持部材の外周部は、前記離間位置に位置する前記環状部から上方に離間した初期位置と、前記環状部を介して前記筒状部に接触する押下位置との間で移動自在なリング状部と、該リング状部を押下位置から初期位置に向けて付勢する弾性部とをさらに有し、
前記カバーが前記開位置から前記閉位置に移動することにより、前記リング状部が前記初期位置から前記押下位置に移動し、
前記カバーが前記閉位置から前記開位置に移動することにより、前記リング状部が前記押下位置から前記初期位置に移動する請求項12に記載の液処理装置の洗浄方法。
【請求項14】
前記支持部材の筒状部の下部には、前記処理室内の洗浄液を外部に流出させる流出口が形成されており、前記流出口付近において、前記筒状部の内周面は、下方に行くほど外側に向かう勾配を有し、
前記第1の洗浄工程において、前記カバーの位置が閉位置から開位置に変更された後、前記回転機構によって前記支持部材を回転させることにより、前記支持部材に付着した前記洗浄液の液滴を前記流出口から流出させる請求項12または13に記載の液処理装置の洗浄方法。
【請求項15】
前記第1の液供給部材は、前記回転する基板に上方から処理液を供給する部材であり、
前記液処理装置は、
前記処理室内に配置され、前記回転する基板に下方から処理液を供給する第2の液供給部材と、
前記支持部材に形成される開口部に挿通され、前記第2の液供給部材を下方から支持する支持ロッドと、
該支持ロッドを介して、前記第2の液供給部材を、シール部材を介して前記支持部材に接触させることにより前記開口部を閉塞する閉塞位置と、該閉塞位置よりも上方の開放位置との間で昇降させる昇降機構とをさらに有し、
前記第1の洗浄工程は、前記支持部材により基板を支持していない状態で、前記カバーの位置を閉位置に設定すると共に、前記第2の液供給部材の位置を閉塞位置に設定し、前記第1および/または第2の液供給部材により前記処理室内に所定量の洗浄液を供給する請求項11〜14のいずれか一項に記載の液処理装置の洗浄方法。
【請求項16】
前記支持部材により基板を支持していない状態で、前記カバーの位置を、前記カバーの外周部と前記支持部材の外周部との間を開放する位置に設定すると共に、前記第2の液供給部材の位置を前記開放位置に設定し、回転する前記カバーに前記第2の液供給部材から噴射された洗浄液をかけることにより、前記カバーを洗浄する第2の洗浄工程をさらに有する請求項15に記載の液処理装置の洗浄方法。
【請求項17】
前記第2の液供給部材は、洗浄液を噴射する複数のノズル部を有し、該複数のノズル部が、前記処理室の中心部から外縁部に向けて間隔をおいて配列されている請求項16に記載の液処理装置の洗浄方法。
【請求項18】
前記第2の洗浄工程では、上面視において、前記複数のノズル部の少なくとも一部が、前記第1の液供給部材と重ならない位置に配置されている請求項17に記載の液処理装置の洗浄方法。
【請求項19】
前記支持部材により基板を支持していない状態で、前記第1および/または第2の液供給部材から前記処理室内にガスを供給する乾燥工程をさらに有する請求項15〜18のいずれか一項に記載の液処理装置の洗浄方法。
【請求項20】
基板を液処理する液処理装置の洗浄方法において、
前記液処理装置は、
前記基板を水平に支持し、回転可能な支持部材と、
該支持部材を回転させる回転機構と、
前記支持部材と一体的に回転可能に連結され、前記支持部材の上方を覆い前記支持部材と共に前記基板を液処理するための処理室を形成するカバーと、
前記処理室内に配置され、前記回転する基板に上方から処理液を供給する第1の液供給部材と、
前記処理室内に配置され、前記回転する基板に下方から処理液を供給する第2の液供給部材とを有し、
前記洗浄方法は、
前記支持部材により基板を支持していない状態で、前記支持部材と前記カバーを一体的に回転させながら、前記第2の液供給部材から噴射された洗浄液を前記カバーにかけることにより、前記カバーを洗浄する洗浄工程を有する液処理装置の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【公開番号】特開2012−244130(P2012−244130A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116217(P2011−116217)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】