液晶表示装置
【課題】透過領域および反射領域のいずれについても良好な表示品質が得られる液晶表示装置を提供することである。
【解決手段】液晶表示装置50は一対の基板110,210間に液晶が挟持され複数の画素60を有する。一対の基板110,210のうちの一方の基板110は、透過領域62に設けられた透過表示用画素電極182および透過表示用共通電極178と、反射領域64に設けられた反射表示用画素電極190と、透過表示用スイッチング素子132および反射表示用スイッチング素子138と、を備える。一対の基板110,210のうちの他方の基板210は、反射領域64に設けられた反射表示用共通電極222を備える。各画素60は透過表示用画素電極182と反射表示用画素電極190とが分離して構成されている。
【解決手段】液晶表示装置50は一対の基板110,210間に液晶が挟持され複数の画素60を有する。一対の基板110,210のうちの一方の基板110は、透過領域62に設けられた透過表示用画素電極182および透過表示用共通電極178と、反射領域64に設けられた反射表示用画素電極190と、透過表示用スイッチング素子132および反射表示用スイッチング素子138と、を備える。一対の基板110,210のうちの他方の基板210は、反射領域64に設けられた反射表示用共通電極222を備える。各画素60は透過表示用画素電極182と反射表示用画素電極190とが分離して構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に係り、特に透過領域および反射領域を有する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半透過型の液晶表示装置として、液晶を挟持する一対の基板のそれぞれに電極が設けられ当該電極間の電界によって液晶を駆動する方式、いわゆる縦電界駆動方式を用いるものが一般的であった。透過領域と反射領域とでセルギャップ(液晶層の厚さ)が同じ場合、液晶層における光路は反射領域では透過領域の2倍になる。この場合、例えば透過領域では1/2波長(2分の1波長)光変調を用いるとともに反射領域では1/4波長(4分の1波長)光変調を用いる必要があり、例えば透過領域と反射領域とでセルギャップを異ならせることで対応している。
【0003】
なお、特許文献1,2には、透過領域および反射領域の両方を縦電界駆動方式で構成した半透過型液晶表示装置が記載されている。当該液晶表示装置では、透過領域および反射領域が1つの画素電極を共有し、当該画素電極に1つのスイッチング素子が接続されている。
【0004】
ところで、高視野角、高コントラスト、高速応答の透過表示で知られるFFS(Fringe Field Switching)、IPS(In-Plane Switching)等の、いわゆる横電界駆動方式の半透過型液晶表示装置が実用化されれば、従来に比べて良好な表示品質が期待できる。横電界方式では、画素電極と共通電極とを同じ基板に設け両電極間に生じる電界によって液晶分子を回転させることによって配向状態を制御する。
【0005】
【特許文献1】特開2003−270627号公報
【特許文献2】特開2004−198922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、透過領域および反射領域の両方をFFS方式で構成した半透過型では、反射領域でのコントラストが不十分になる場合がある。また、FFS方式の半透過型で上記のようにセルギャップを調整した場合、透過領域がノーマリブラック(Normally Black)となり、反射領域がノーマリホワイト(Normally White)となってしまう。
【0007】
ここで、反射領域を、画素電極と共通電極とが液晶層の両側の基板にそれぞれ設けられた方式、例えばECB(Electrically Controlled Birefringence)方式で構成することが考えられる。ECB方式は反射型液晶表示装置においてコントラストが良好であるため、FFS方式による反射領域に比べてコントラストを改善しうる。
【0008】
ところが上記と同様に、FFS方式の透過領域はノーマリブラックとなり、ECB方式の反射領域はノーマリホワイトとなってしまい、表示品質上、好ましくない。
【0009】
また、例えば特許文献1,2に記載された液晶表示装置のように透過領域と反射領域とで画素電極に印加される電圧が同じになる構成を、上記のFFS方式の透過領域とECB方式の反射領域とによる液晶表示装置に適用すると、表示品質上、好ましくない場合がある。この点を図11を参照して説明する。
【0010】
図11にFFS方式およびECB方式について透過率の電圧依存性の一例を示す。図11において、横軸の電圧は画素電極と共通電極との間の電圧を示している。また、図11ではFFS方式をノーマリブラックとして、ECB方式をノーマリホワイトとして図示している。
【0011】
図11によれば、透過領域と反射領域とで同じ電圧を印加すると、透過率(換言すれば輝度)が異なってしまう。一般に、透過率が最も低い表示(暗表示)と透過率が最も高い表示(明表示)との間の中間調表示では、透過率の差は視認されやすい。つまり、表示品質上、好ましくない。
【0012】
逆に、同じ透過率を得ようとすると、両方式で印加電圧が異なることが図11から分かる。この場合、透過領域と反射領域とで画素電極を共有する上記構成(特許文献1,2参照)では、例えば透過領域と反射領域とのそれぞれで共通電極への印加電圧を調整することが考えられる。しかし、一般に共通電極は複数の画素が共有するので、上記構成において全ての画素において良好な表示品質を得るのは難しいと考えられる。
【0013】
本発明の目的は、透過領域および反射領域のいずれについても良好な表示品質が得られる液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る液晶表示装置は、一対の基板間に液晶が挟持され複数の画素を有する液晶表示装置であって、前記一対の基板のうちの一方の基板は、透過領域に設けられた透過表示用画素電極および透過表示用共通電極と、反射領域に設けられた反射表示用画素電極と、透過表示用スイッチング素子および反射表示用スイッチング素子と、を備え、前記一対の基板のうちの他方の基板は、前記反射領域に設けられた反射表示用共通電極を備え、各画素は前記透過表示用画素電極と前記反射表示用画素電極とが分離して構成されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る他の液晶表示装置は、一対の基板間に液晶が挟持され複数の画素を有する液晶表示装置であって、前記一対の基板のうちの一方の基板は、透過領域に設けられた透過表示用画素電極および透過表示用共通電極と、反射領域に設けられた反射表示用画素電極と、透過表示用スイッチング素子および反射表示用スイッチング素子と、を備え、前記一対の基板のうちの他方の基板は、前記反射領域に設けられた反射表示用共通電極を備え、各画素は前記透過表示用画素電極と前記反射表示用画素電極のいずれか一方を含んで構成されていることを特徴とする。
【0016】
上記各構成によれば、透過領域による透過表示と反射領域による反射表示とを互いに独立に制御することができる。このため、透過領域および反射領域のいずれについても良好な表示品質を容易に得ることができる。
【0017】
前記透過表示用スイッチング素子と前記反射表示用スイッチング素子とは制御電極が別々の制御信号配線に電気的に接続されていることが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、透過表示用スイッチング素子と反射表示用スイッチング素子とを互いに独立に制御可能である。このため、透過表示用画素電極と反射表示用画素電極とに互いに独立して電位を印加することができる。したがって、透過領域と反射領域とを互いに独立に駆動することができる。
【0019】
前記透過表示用スイッチング素子と前記反射表示用スイッチング素子とは別々の表示データ配線に電気的に接続されていることが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、透過表示用画素電極と反射表示用画素電極とに互いに独立して電位を印加することができる。したがって、透過領域と反射領域とを互いに独立に駆動することができる。
【0021】
前記透過領域と前記反射領域とのうちで前記透過領域のみがカラーフィルタを含むことが好ましい。上記構成によれば、反射領域はカラーフィルタを含まない。このため、反射領域ではカラーフィルタによる光吸収が生じないので、明るい(高輝度の)反射表示が得られる。また、反射領域では、一方および他方の基板に画素電極および共通電極がそれぞれ設けられた構成による優れた反射表示特性が発揮される。したがって、良好な表示品質が得られる。
【0022】
前記透過表示用画素電極と前記透過表示用共通電極とは絶縁層を介して積層されて透過表示用保持容量素子を構成していることが好ましい。上記構成によれば、別個の保持容量素子を設けなくても安定的な駆動が可能である。このため、当該別個の保持容量素子の付加によって遮光面積が増加するのを抑制することができ、高い開口率が得られる。したがって、高輝度化が図られ、良好な表示品質が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態について詳細に説明する。
【0024】
図1に実施の形態に係る液晶表示装置50を説明する模式図を示す。液晶表示装置50は例えば、素子基板100と、素子基板100に対向して配置された対向基板200と、基板100,200間に挟持された液晶層300と、バックライト装置72と、駆動回路74とを含んで構成される。液晶表示装置50は半透過型であり、バックライト装置72からの出射光(バックライト光)を利用して透過表示光92を形成可能であるとともに外光を反射して反射表示光94を形成可能である。なお、図1では両表示光92,94を模式的に図示している。
【0025】
図1では、バックライト装置72が素子基板100側に配置され、表示光92,94を基板200側から取り出す構成を例示している。図1ではバックライト装置72と素子基板100とを離して図示しているが、これらを密着させることも可能である。
【0026】
駆動回路74は、基板100,200中の各種要素に信号、電位等を供給する回路をまとめて模式的に図示している。駆動回路74は、図1の例示では素子基板100に接続されているが、対向基板200または両基板100,200に接続することも可能である。また、駆動回路74の一部を基板100,200の一方または両方に設けることも可能である。
【0027】
図2に液晶表示装置50の画素60を説明する平面図を示す。図2には赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の画素60が行方向に配列された構成を例示している。図2に例示の構成では、各画素60が透過表示光92を形成する透過領域62と反射表示光94を形成する反射領域64とを有し、同じ画素60に設けられた透過領域62および反射領域64は同じ表示色(色相)で点灯する。
【0028】
なお、以下の説明では必要に応じて、符号“62”,“64”の末尾に表示色を示すアルファベットを付す表記方法を用いることにする。例えば赤色(R)を表示する透過領域62の符号を“62R”と表記する。また、例えば「赤色を表示する透過領域」を「赤色の透過領域」のように表現し、同等に「赤色を表示する画素」を「赤色の画素」のように表現する。
【0029】
図2に例示において、隣接する赤色、緑色および青色の画素60によってカラー表示のための1単位80が構成される。なお、カラー表示のための1単位80を「画素」と呼ぶ場合があり、この場合、画素60に相当する構成は「サブ画素」等と呼ばれる。なお、画素60の色および数は上記例示に限られるものではない。また、画素60の配列はデルタ型、マトリクス型等、種々に採用可能である。
【0030】
図3に透過領域62および反射領域64の構成例を説明する断面図を示し、当該構成例の等価回路図を図4に示す。ここでは、透過領域62がFFS方式で構成され、反射領域64がECB方式で構成される場合を例示する。
【0031】
図3に例示するように、液晶表示装置50は対向配置された一対の基板110,210を含み、当該一対の基板110,210の間に液晶層300が挟持されている。基板110,210は例えばガラス板等の透明基板で構成可能である。基板110および基板210は以下に例示する種々の要素が設けられて上記の素子基板100および対向基板200をそれぞれ構成する。
【0032】
液晶層300の厚さ、換言すれば基板100,200間の距離はセルギャップに対応する。セルギャップは、基板100,200間のスペーサ302の大きさによって調整可能である。
【0033】
液晶表示装置50は基板110の液晶層300側にバッファ層112を含んでいる。液晶表示装置50はバッファ層112の液晶層300側に、半導体層114,116と、絶縁膜118と、ゲート電極120,122,124,126と、ゲート配線140,141とを含んでいる。
【0034】
半導体層114,116はいずれもバッファ層112上に配置されており、ここでは、半導体層114は透過領域62内に設けられ、半導体層116は反射領域64内に設けられている。絶縁膜118は、半導体層114,116を覆ってバッファ層112上に配置されている。ゲート電極120,122,124,126は、絶縁膜118上に配置されている。
【0035】
ゲート電極120,122は絶縁膜118を介して半導体層114に対向している。これにより、半導体層114と絶縁膜118とゲート電極120との積層構造を含んでTFT(Thin Film Transistor)128が構成され、半導体層114と絶縁膜118とゲート電極122との積層構造を含んでTFT130が構成される。この場合、絶縁膜118はTFT128,130においてゲート絶縁膜を構成している。TFT128,130は電気的に直列接続されている(図3および図4参照)。同様に、半導体層116と絶縁膜118とゲート電極124との積層構造を含んでTFT134が構成され、半導体層116と絶縁膜118とゲート電極126との積層構造を含んでTFT136が構成される。TFT134,136は電気的に直列接続されている(図3および図4参照)。
【0036】
なお、TFT128,130,134,136は一般に画素トランジスタと呼ばれる。なお、後述の画素電極182,190に電気的接続される要素に対してソースという表現を用いるが、当該要素に対してドレインという表現を用いてもよい。
【0037】
ゲート配線140,141は、絶縁膜118上に配置されている。ゲート配線140は図3では不図示の位置においてTFT128,130のゲート電極120,122に繋がっており、同様にゲート配線141はTFT134,136のゲート電極124,126に繋がっている(図4参照)。
【0038】
ここで、TFT128,130をまとめて透過表示用スイッチング素子132と呼び、TFT134,136をまとめて反射表示用スイッチング素子138と呼ぶ場合、ゲート電極120,122を透過表示用スイッチング素子132の制御電極と呼ぶことができ、ゲート電極124,126を反射表示用スイッチング素子138の制御電極と呼ぶことができる。また、ゲート電極120,122に電気的に接続されているゲート配線140と、ゲート電極124,126に電気的に接続されているゲート配線141とをそれぞれ制御信号配線と呼ぶことができる。
【0039】
なお、各スイッチング素子132,138は他の構成、例えば1個または3個以上のTFT素子や、1個以上のMIM(Metal Insulator Metal)素子等で形成してもよい。また、スイッチング素子132,138を互いに異なる構成にすることも可能である。
【0040】
液晶表示装置50は、絶縁膜118上に保持容量配線142と、共通電極配線146と、層間絶縁膜148とを含んでいる。保持容量配線142は反射領域64において絶縁膜118を介して半導体層116の一部に対向して配置されており、これにより保持容量配線142と絶縁膜118と半導体層116との積層構造によって反射表示用の保持容量素子144(図3および図4参照)が構成されている。この場合、絶縁膜118は保持容量素子144において容量素子用絶縁膜を構成し、半導体層116の上記一部は保持容量素子144の対向電極を構成している。層間絶縁膜148によって、ゲート電極120,122,124,126と、ゲート配線140,141と、保持容量配線142と、共通電極配線146とが覆われている。
【0041】
液晶表示装置50は基板110の液晶層300側に、ドレイン配線160と、ソース電極162,164と、共通電極用中継電極166と、パッシベーション膜168と、絶縁層170とを含んでいる。
【0042】
図3には、ドレイン配線160および電極162,164,166が3層構造で構成される場合を例示している。ドレイン配線160は図3の例示では、層間絶縁膜148上に配置されているとともに、コンタクトホール150,154を介してTFT128,134のドレイン領域に電気的に接続されている。
【0043】
ソース電極162,164および中継電極166は図3の例示ではいずれも層間絶縁膜148上に配置されている。さらに、ソース電極162はコンタクトホール152を介してTFT130のソース領域に電気的に接続され、ソース電極164はコンタクトホール156を介してTFT136のソース領域に電気的に接続され、中継電極166はコンタクトホール158を介して共通電極配線146に電気的に接続されている。
【0044】
パッシベーション膜168は図3の例示では配線160および電極162,164,166を覆って層間絶縁膜148上に配置されている。絶縁層170は図3の例示ではパッシベーション膜168上に積層されている。絶縁層170の液晶層300側の表面は、透過領域62においては平坦に形成され、反射領域64においては凹凸に形成されている。
【0045】
液晶表示装置50は基板110の液晶層300側に、透過表示用共通電極178と、絶縁層180と、透過表示用画素電極182と、反射層188と、反射表示用画素電極190とを含んでいる。
【0046】
透過表示用共通電極178は、例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明導電材料で構成可能である。共通電極178は各透過領域62に設けられている。共通電極178は透過領域62ごとに設けることも可能であるし、例えば行方向に隣接する透過領域62の共通電極178を連結した形態にすることも可能である。
【0047】
共通電極178は、図3に例示するように、絶縁層170の上記平坦面上に配置されているとともにコンタクトホール172を介して中継電極166に電気的に接続されている。これにより、共通電極配線146から中継電極166を介して共通電極178へ電位が印加される(図3および図4参照)。
【0048】
絶縁層180は、透過表示用共通電極178を覆って絶縁層170上に配置されており、反射領域64において絶縁層170の凹凸上にも配置されている。凹凸上の絶縁層180は下地の凹凸に追従した凹凸形状をしている。
【0049】
透過表示用画素電極182は、各透過領域62に設けられ、絶縁層180を介して透過表示用共通電極178上に積層されているとともにコンタクトホール174を介してソース電極162に電気的に接続されている。これにより、ドレイン配線160からスイッチング素子132およびソース電極162を介して画素電極182へ電位が印加される(図3および図4参照)。画素電極182は、例えばITOやIZO等の透明導電材料で構成可能である。
【0050】
画素電極182には複数のスリット(または溝)184が設けられている。各スリット184は例えば行方向と略平行に(例えば行方向に対して例えば約5°〜10°傾いて)伸びている。この場合、後述の配向膜(図示せず)のラビング方向はスリット184の長手方向(換言すれば長辺方向)に略平行に設定されている。
【0051】
なお、スリット184の長手方向の設定は上記例示に限られるものではない。また、ここではスリット184の端部が画素電極182の外縁に到達していない形状を例示するが、スリット184の端部を画素電極182の外縁に到達させて当該画素電極182をくし歯形状にしてもよい。
【0052】
上記のように透過表示用画素電極182は絶縁層180を介して透過表示用共通電極178上に積層されている。このため、画素電極182と絶縁層180と共通電極178との積層構造によって透過表示用の保持容量素子186(図3および図4参照)が構成されている。保持容量素子186によれば、別個の保持容量素子を設けなくても、透過領域62での表示を安定させることができる。
【0053】
反射層188は、各反射領域64に設けられ、絶縁層180の上記凹凸上に配置されている。反射層188は絶縁層180,170の凹凸に追従した凹凸形状をしている。反射層188は外光を反射するものであり、この際、上記凹凸形状によって外光を散乱させることができる。反射層188は外光(ここでは可視光)を反射可能な材料、例えばアルミニウム・ネオジウム合金、銀等で構成可能である。
【0054】
反射表示用画素電極190は、各反射領域64に設けられ、反射層188の上記凹凸上に配置されている。ここでは画素電極190は反射層188等の上記凹凸に追従した凹凸形状をしている。画素電極190はコンタクトホール176を介してソース電極164に電気的に接続されており、これによりドレイン配線160からスイッチング素子138およびソース電極164を介して画素電極190へ電位が印加される(図3および図4参照)。画素電極190は例えばITOやIZO等の透明導電材料で構成可能である。
【0055】
液晶表示装置50は、基板210の液晶層300側に、遮光膜212と、透過表示用カラーフィルタ214と、反射表示用カラーフィルタ216と、オーバーコート層218と、トップコート層220と、反射表示用共通電極222とを含んでいる。
【0056】
遮光膜212は図3の例示では、基板210上に配置され、透過領域62および反射領域64に開口部が設けられている。なお、各画素60において、領域62,64を分断している部分を取り除き両領域62,64に広がった1つの開口部を設けることも可能である。遮光膜212は、黒色樹脂で構成可能である。
【0057】
透過表示用カラーフィルタ214は遮光膜212の透過領域62の開口部に設けられ、反射表示用カラーフィルタ216は遮光膜212の反射領域64の開口部に設けられている。カラーフィルタ214,216によって、表示光92,94がそれぞれ着色される。カラーフィルタ214,216の色(色相)は、その画素60の表示色(色相)に応じて選定されている。ここで、カラーフィルタ214,216に相当するカラーフィルタを、各画素60において領域62,64にまたがって設けてもよいし、表示色が同じ隣接画素60にまたがって設けてもよい。図3の例示ではカラーフィルタ214,216は基板210上に配置されている。
【0058】
オーバーコート層218は、図3の例示では、透過領域62および反射領域64の両方に設けられており、遮光膜212上およびカラーフィルタ214,216上に配置されている。トップコート層220は、反射領域64に設けられており、反射領域64の液晶層300の層厚すなわちセルギャップを調整する層厚調整膜(換言すればセルギャップ調整膜)である。例えば反射領域64のセルギャップが透過領域62の半分になるように、トップコート層220の厚さが設定されている。トップコート層220は、図3の例示ではオーバーコート層218上に配置されている。
【0059】
反射表示用共通電極222は、各反射領域64に設けられており、図3の例示ではトップコート層220上に配置されている。共通電極222は、反射領域64ごとに設けてもよいし、隣接する反射領域64にまたがって設けてもよい。共通電極222はITO、IZO等の透明導電材料で構成可能である。共通電極222は例えば、表示領域の外側の領域において素子基板100の不図示の配線に導電性粒子等を介して電気的に接続されており、これによって素子基板100側から共通電極222へ電位を印加可能である。なお、図4には反射表示用共通電極222へ電位を供給するための配線224を図示している。
【0060】
液晶表示装置50は各基板110,210の液晶層300側に不図示の配向膜を含んでいる。
【0061】
基板110に設けられた配向膜は画素電極182,190と絶縁層180と共通電極178と反射層188を覆って配置されており、基板210に設けられた配向膜は共通電極222とトップコート層220とオーバーコート層218とを覆って配置されている。いずれの配向膜も透過領域62および反射領域64の両方に設けられている。ここでは、基板110の配向膜は両領域62,64において同じ方向にラビングされ、ラビング方向はスリット184の長手方向に略平行に、例えば行方向に設定されている。また、基板210の配向膜は両領域62,64とも基板110のラビング方向と反対方向にラビングされている。この場合、液晶分子(ここでは誘電率異方性が正とする)は、両領域62,64において各配向膜付近でラビング方向に沿って配列するとともに液晶層300の厚さ方向についても同じ方向を向いて配列する。基板110と基板210のラビング方向Rは同じ方向にラビングされてもよい。
【0062】
FFS方式で構成される透過領域62では、各スリット184を通って形成される電極178,182間の電界を制御することによって、基板110に略平行な面内で液晶分子の回転が制御される。これに対して、ECB方式で構成される反射領域64では、反射表示用共通電極222と反射表示用画素電極190との間の電界によって、基板110,210に略垂直な面内で液晶分子の回転が制御される。このような液晶分子の配向制御と、次に説明する偏光層106,206および位相差層108,208の作用とによって、透過表示光92および反射表示光94の光量が制御される。
【0063】
液晶表示装置50において基板110には液晶層300と反対側(すなわち基板外側)に位相差層108と偏光層106とがこの順序で積層され、基板210上には液晶層300の反対側に位相差層208と偏光層206とがこの順序で積層されている。位相差層108,208および偏光層106,206は透過領域62と反射領域64との両方に設けられている。なお、図3では位相差層108,208を単層で例示しているが、複数の位相差層の積層体で構成することも可能である。この点は偏光層106,206についても同様である
【0064】
偏光層106,206の吸収軸の方向、位相差層108,208の遅相軸の方向等の設定により、液晶表示装置50では、FFS方式の透過領域62はノーマリブラック、すなわち電極178,182間の電圧がオフ電圧のときに透過率が最も低い表示(暗表示と呼ぶことにする)になり、ECB方式の反射領域64はノーマリホワイト、すなわち電極190,222間の電圧がオフ電圧のときに透過率が最も高い表示(明表示と呼ぶことにする)になる(図11参照)。
【0065】
なお、図4には、透過表示用画素電極182と透過表示用共通電極178とによる液晶容量192、および、反射表示用画素電極190と反射表示用共通電極222とによる液晶容量194も図示している。
【0066】
図4に示すように、上記構成によれば、ドレイン配線160から透過表示用スイッチング素子132および反射表示用スイッチング素子138を介して透過表示用画素電極182および反射表示用画素電極190へそれぞれ電位が印加される。かかる電位は各領域62,64の表示データに応じた電位であり、このためドレイン配線160を表示データ配線と呼ぶことができる。
【0067】
このとき、透過表示用スイッチング素子132および反射表示用スイッチング素子138は同じドレイン配線160に接続されている一方で、スイッチング素子132,138の制御電極は別々のゲート配線140,141に接続され互いに独立に制御可能である。このため、スイッチング素子132,138のオン状態の制御タイミングをずらすことによって、画素電極182,190に互いに独立して電位を印加することができる。つまり、透過領域62と反射領域64とを互いに独立に駆動することができ、透過表示光92および反射表示光94を互いに独立に調整することができる。
【0068】
したがって、透過領域62がノーマリブラック、反射領域64がノーマリホワイトである場合、すなわち両領域62,64の電圧−透過率特性が異なる場合であっても(図11参照)、透過表示光92および反射表示光94の輝度を容易に揃えることができ、良好な表示品質が得られる。特に輝度差が視認されやすい中間調表示において、表示品質を向上させることができる。また、FFS方式による広視野角で高コントラスト等の優れた透過表示特性と、ECB方式による高コントラスト等の優れた反射表示特性とがそれぞれ十分に発揮されて、良好な表示品質が得られる。
【0069】
なお、透過表示用共通電極178の電位と反射表示用共通電極222の電位とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。このとき、両共通電極178,222に同じ電位を印加する方が駆動回路74、基板100,200等の構造を簡略化できる。この点は、反射表示用の保持容量配線142の電位と反射表示用共通電極222の電位との関係についても同様である。
【0070】
透過領域62と反射領域64との独立駆動は、例えば図5および図6の等価回路図に相当する構成によっても可能である。
【0071】
図5の構成例では、上記の図4の構成に対してドレイン配線161が追加され、透過表示用スイッチング素子132と反射表示用スイッチング素子138とが別々のドレイン配線160,161に接続されている。このため、別々のドレイン配線160,161を介して画素電極182,190にそれぞれ電位を印加することができる。これにより、図4の構成例と同様に、透過領域62と反射領域64とを互いに独立に駆動することができる。
【0072】
図6の構成例では、上記の図5の構成からゲート配線141が取り除かれ、透過表示用スイッチング素子132の制御電極および反射表示用スイッチング素子138の制御電極がいずれもゲート配線140に接続されている。この場合、両スイッチング素子132,138は、同期してオン状態になるが、別々のドレイン配線160,161に接続されているので、透過領域62と反射領域64とを互いに独立に駆動することができる。
【0073】
ここで、図4および図6の構成例によれば、図5の構成例に比べて配線数が少ないので、構成が簡単である。また、図5および図6の構成例によれば、2本のドレイン配線160,161が設けられているので、スイッチング素子132,138の制御タイミングをずらす必要がない。このため、図4の構成例に比べて、スイッチング素子132,138の制御回路を簡略化できるし、高速駆動が可能である。
【0074】
図7にカラー表示のための1単位80の第2例を説明する平面図を示す。上記では各画素60は透過表示用画素電極182と反射表示用画素電極190とが分離して構成され、透過領域62と反射領域64とを独立に駆動する場合を説明した。かかる点に鑑みれば、透過領域62および反射領域64のそれぞれを上記における画素60に対応させることができる。すなわち、各画素60を透過表示用画素電極182と反射表示用画素電極190とのいずれか一方を含んで構成することができる。
【0075】
図7の例では、赤色の透過領域62R、緑色の反射領域64G、青色の透過領域62B、および白色(W)の反射領域64Wはそれぞれが画素60を構成するとともに、これら4つの領域62R,64G,62B,64Wによってカラー表示のための1単位80が構成されている。図7には4つの領域62R,64G,62B,64W、すなわち4つの画素60が同じ面積で2×2のマトリクス状に配列された構成を例示している。
【0076】
白色の反射領域64Wは、例えばカラーフィルタ216を省略することによって構成可能である。この場合、カラーフィルタ216による光吸収が生じないので、明るい(高輝度の)表示が得られる。
【0077】
ここで、透過領域62によって白色の画素60を構成することも可能である。これに対して、白色の反射領域64Wによれば、ECB方式の優れた反射表示特性、例えば高いコントラストが発揮される。また、カラーフィルタ214,216の省略による上記の高輝度化と相俟って、良好な表示品質が得られる。
【0078】
また、反射領域64によって赤色、緑色および青色の画素60を構成することも可能である。これに対して、透過領域62の適用により、高い開口率が得られるので、カラーフィルタ214による光吸収があっても、高輝度化を図ることができる。すなわち、FFS方式による透過領域62では、上記のように共通電極178と絶縁層180と画素電極182との積層構造によって保持容量素子186が構成され、別個の保持容量素子を設ける必要性が低い。このため、当該別個の保持容量素子の付加によって遮光面積が増加するのを抑制することができ、高い開口率、換言すれば高い輝度が得られる。したがって、良好な表示品質が得られる。
【0079】
図8にカラー表示のための1単位80の第3例を説明する平面図を示す。図8には、図2に例示した構成において3つの反射領域64を白色の画素60に替えた構成を例示している。また、図8には、3つの白色の反射領域64Wの合計面積と、赤色、緑色および青色の透過領域62R,62G,62Bそれぞれの面積とが互いに等しい構成を例示している。
【0080】
上記3つの白色の反射領域64Wは、異なる輝度で点灯させることもできるが、同じ輝度で点灯させることによって一体的に1個の白色の画素60として捉えることもできる。
【0081】
かかる点に鑑みれば図9の平面図に図示する第4例によってカラー表示のための1単位80を構成することも可能である。図9に例示の1単位80は、上記3つの白色の反射領域64Wが設けられた部分に、反射領域64の1個分の構造(図3参照)を形成することによって構成可能である。このとき、反射表示用画素電極190、反射表示用共通電極222等が上記3つの白色の反射領域64Wに対応する部分に広がっている。図9の構成例では、赤色、緑色および青色の画素60が行方向に配列され、これらの3つの画素60に隣接して白色の画素60が行方向に延在している。
【0082】
図8および図9に例示の構成によっても、上記と同様、良好な表示品質が得られる。また、図8の構成例は合計6つの領域62,64を有するので合計6個のスイッチング素子132,138が必要であるのに対し、図9の構成例によればスイッチング素子132,138は合計4個で済み、構造を簡略化することができる。
【0083】
上記の図2および図7〜図9の構成例では、カラー表示のための1単位80内において透過領域62と反射領域64とが列方向に配列されている。これに対して、図10に例示するように赤色、緑色および青色の各透過領域62R,62G,62Bと白色の反射領域64Wとを行方向に配列することも可能である。この配列によっても、上記と同様、良好な表示品質が得られる。
【0084】
なお、各色の領域62,64の位置関係、面積比等は図2および図7〜図9の例示に限定されるものではない。
【0085】
上記では透過領域62において画素電極182が液晶層300側に配置された構成を例示したが、共通電極178を液晶層300側に配置することも可能である。また、透過領域62をIPS(In-Plane Switching)方式で構成することも可能であり、この場合にもFFS方式と同様に良好なコントラストが得られる。なお、IPS方式の場合、共通電極178と画素電極182とは同層、例えば絶縁層170上に配置される。また、ECB方式に代えて、画素電極190と共通電極222とが液晶層300を介して対向する他の方式を反射領域64に適用してもよい。
【0086】
また、外付けの位相差層108,208に替えて、内蔵位相差層を用いてもよい。内蔵位相差層は例えば、トップコート層220と反射表示用共通電極222との間に位相差層を設けることによって、または、トップコート層220に替えて位相差層を設けることによって、構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】実施の形態に係る液晶表示装置を説明する模式図である。
【図2】実施の形態に係るカラー表示のための1単位の第1例を説明する平面図である。
【図3】実施の形態に係る透過領域および反射領域の第1の構成例を説明する断面図である。
【図4】図3の第1の構成例の等価回路図である。
【図5】実施の形態に係る透過領域および反射領域の第2の構成例を説明する等価回路図である。
【図6】実施の形態に係る透過領域および反射領域の第3の構成例を説明する等価回路図である。
【図7】実施の形態に係るカラー表示のための1単位の第2例を説明する平面図である。
【図8】実施の形態に係るカラー表示のための1単位の第3例を説明する平面図である。
【図9】実施の形態に係るカラー表示のための1単位の第4例を説明する平面図である。
【図10】実施の形態に係るカラー表示のための1単位の第5例を説明する平面図である。
【図11】FFS方式およびECB方式について透過率の電圧依存性の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
50 液晶表示装置、60 画素、62 透過領域、64 反射領域、110,210 基板、120,122,124,126 ゲート電極(制御電極)、128,130,134,136 TFT、132,138 スイッチング素子、140,141 ゲート配線(制御信号配線)、160,161 ドレイン配線(表示データ配線)、178 透過表示用共通電極、180 絶縁層、182 透過表示用画素電極、186 透過表示用保持容量素子、190 反射表示用画素電極、214,216 カラーフィルタ、222 反射表示用共通電極、300 液晶層。
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に係り、特に透過領域および反射領域を有する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半透過型の液晶表示装置として、液晶を挟持する一対の基板のそれぞれに電極が設けられ当該電極間の電界によって液晶を駆動する方式、いわゆる縦電界駆動方式を用いるものが一般的であった。透過領域と反射領域とでセルギャップ(液晶層の厚さ)が同じ場合、液晶層における光路は反射領域では透過領域の2倍になる。この場合、例えば透過領域では1/2波長(2分の1波長)光変調を用いるとともに反射領域では1/4波長(4分の1波長)光変調を用いる必要があり、例えば透過領域と反射領域とでセルギャップを異ならせることで対応している。
【0003】
なお、特許文献1,2には、透過領域および反射領域の両方を縦電界駆動方式で構成した半透過型液晶表示装置が記載されている。当該液晶表示装置では、透過領域および反射領域が1つの画素電極を共有し、当該画素電極に1つのスイッチング素子が接続されている。
【0004】
ところで、高視野角、高コントラスト、高速応答の透過表示で知られるFFS(Fringe Field Switching)、IPS(In-Plane Switching)等の、いわゆる横電界駆動方式の半透過型液晶表示装置が実用化されれば、従来に比べて良好な表示品質が期待できる。横電界方式では、画素電極と共通電極とを同じ基板に設け両電極間に生じる電界によって液晶分子を回転させることによって配向状態を制御する。
【0005】
【特許文献1】特開2003−270627号公報
【特許文献2】特開2004−198922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、透過領域および反射領域の両方をFFS方式で構成した半透過型では、反射領域でのコントラストが不十分になる場合がある。また、FFS方式の半透過型で上記のようにセルギャップを調整した場合、透過領域がノーマリブラック(Normally Black)となり、反射領域がノーマリホワイト(Normally White)となってしまう。
【0007】
ここで、反射領域を、画素電極と共通電極とが液晶層の両側の基板にそれぞれ設けられた方式、例えばECB(Electrically Controlled Birefringence)方式で構成することが考えられる。ECB方式は反射型液晶表示装置においてコントラストが良好であるため、FFS方式による反射領域に比べてコントラストを改善しうる。
【0008】
ところが上記と同様に、FFS方式の透過領域はノーマリブラックとなり、ECB方式の反射領域はノーマリホワイトとなってしまい、表示品質上、好ましくない。
【0009】
また、例えば特許文献1,2に記載された液晶表示装置のように透過領域と反射領域とで画素電極に印加される電圧が同じになる構成を、上記のFFS方式の透過領域とECB方式の反射領域とによる液晶表示装置に適用すると、表示品質上、好ましくない場合がある。この点を図11を参照して説明する。
【0010】
図11にFFS方式およびECB方式について透過率の電圧依存性の一例を示す。図11において、横軸の電圧は画素電極と共通電極との間の電圧を示している。また、図11ではFFS方式をノーマリブラックとして、ECB方式をノーマリホワイトとして図示している。
【0011】
図11によれば、透過領域と反射領域とで同じ電圧を印加すると、透過率(換言すれば輝度)が異なってしまう。一般に、透過率が最も低い表示(暗表示)と透過率が最も高い表示(明表示)との間の中間調表示では、透過率の差は視認されやすい。つまり、表示品質上、好ましくない。
【0012】
逆に、同じ透過率を得ようとすると、両方式で印加電圧が異なることが図11から分かる。この場合、透過領域と反射領域とで画素電極を共有する上記構成(特許文献1,2参照)では、例えば透過領域と反射領域とのそれぞれで共通電極への印加電圧を調整することが考えられる。しかし、一般に共通電極は複数の画素が共有するので、上記構成において全ての画素において良好な表示品質を得るのは難しいと考えられる。
【0013】
本発明の目的は、透過領域および反射領域のいずれについても良好な表示品質が得られる液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る液晶表示装置は、一対の基板間に液晶が挟持され複数の画素を有する液晶表示装置であって、前記一対の基板のうちの一方の基板は、透過領域に設けられた透過表示用画素電極および透過表示用共通電極と、反射領域に設けられた反射表示用画素電極と、透過表示用スイッチング素子および反射表示用スイッチング素子と、を備え、前記一対の基板のうちの他方の基板は、前記反射領域に設けられた反射表示用共通電極を備え、各画素は前記透過表示用画素電極と前記反射表示用画素電極とが分離して構成されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る他の液晶表示装置は、一対の基板間に液晶が挟持され複数の画素を有する液晶表示装置であって、前記一対の基板のうちの一方の基板は、透過領域に設けられた透過表示用画素電極および透過表示用共通電極と、反射領域に設けられた反射表示用画素電極と、透過表示用スイッチング素子および反射表示用スイッチング素子と、を備え、前記一対の基板のうちの他方の基板は、前記反射領域に設けられた反射表示用共通電極を備え、各画素は前記透過表示用画素電極と前記反射表示用画素電極のいずれか一方を含んで構成されていることを特徴とする。
【0016】
上記各構成によれば、透過領域による透過表示と反射領域による反射表示とを互いに独立に制御することができる。このため、透過領域および反射領域のいずれについても良好な表示品質を容易に得ることができる。
【0017】
前記透過表示用スイッチング素子と前記反射表示用スイッチング素子とは制御電極が別々の制御信号配線に電気的に接続されていることが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、透過表示用スイッチング素子と反射表示用スイッチング素子とを互いに独立に制御可能である。このため、透過表示用画素電極と反射表示用画素電極とに互いに独立して電位を印加することができる。したがって、透過領域と反射領域とを互いに独立に駆動することができる。
【0019】
前記透過表示用スイッチング素子と前記反射表示用スイッチング素子とは別々の表示データ配線に電気的に接続されていることが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、透過表示用画素電極と反射表示用画素電極とに互いに独立して電位を印加することができる。したがって、透過領域と反射領域とを互いに独立に駆動することができる。
【0021】
前記透過領域と前記反射領域とのうちで前記透過領域のみがカラーフィルタを含むことが好ましい。上記構成によれば、反射領域はカラーフィルタを含まない。このため、反射領域ではカラーフィルタによる光吸収が生じないので、明るい(高輝度の)反射表示が得られる。また、反射領域では、一方および他方の基板に画素電極および共通電極がそれぞれ設けられた構成による優れた反射表示特性が発揮される。したがって、良好な表示品質が得られる。
【0022】
前記透過表示用画素電極と前記透過表示用共通電極とは絶縁層を介して積層されて透過表示用保持容量素子を構成していることが好ましい。上記構成によれば、別個の保持容量素子を設けなくても安定的な駆動が可能である。このため、当該別個の保持容量素子の付加によって遮光面積が増加するのを抑制することができ、高い開口率が得られる。したがって、高輝度化が図られ、良好な表示品質が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態について詳細に説明する。
【0024】
図1に実施の形態に係る液晶表示装置50を説明する模式図を示す。液晶表示装置50は例えば、素子基板100と、素子基板100に対向して配置された対向基板200と、基板100,200間に挟持された液晶層300と、バックライト装置72と、駆動回路74とを含んで構成される。液晶表示装置50は半透過型であり、バックライト装置72からの出射光(バックライト光)を利用して透過表示光92を形成可能であるとともに外光を反射して反射表示光94を形成可能である。なお、図1では両表示光92,94を模式的に図示している。
【0025】
図1では、バックライト装置72が素子基板100側に配置され、表示光92,94を基板200側から取り出す構成を例示している。図1ではバックライト装置72と素子基板100とを離して図示しているが、これらを密着させることも可能である。
【0026】
駆動回路74は、基板100,200中の各種要素に信号、電位等を供給する回路をまとめて模式的に図示している。駆動回路74は、図1の例示では素子基板100に接続されているが、対向基板200または両基板100,200に接続することも可能である。また、駆動回路74の一部を基板100,200の一方または両方に設けることも可能である。
【0027】
図2に液晶表示装置50の画素60を説明する平面図を示す。図2には赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の画素60が行方向に配列された構成を例示している。図2に例示の構成では、各画素60が透過表示光92を形成する透過領域62と反射表示光94を形成する反射領域64とを有し、同じ画素60に設けられた透過領域62および反射領域64は同じ表示色(色相)で点灯する。
【0028】
なお、以下の説明では必要に応じて、符号“62”,“64”の末尾に表示色を示すアルファベットを付す表記方法を用いることにする。例えば赤色(R)を表示する透過領域62の符号を“62R”と表記する。また、例えば「赤色を表示する透過領域」を「赤色の透過領域」のように表現し、同等に「赤色を表示する画素」を「赤色の画素」のように表現する。
【0029】
図2に例示において、隣接する赤色、緑色および青色の画素60によってカラー表示のための1単位80が構成される。なお、カラー表示のための1単位80を「画素」と呼ぶ場合があり、この場合、画素60に相当する構成は「サブ画素」等と呼ばれる。なお、画素60の色および数は上記例示に限られるものではない。また、画素60の配列はデルタ型、マトリクス型等、種々に採用可能である。
【0030】
図3に透過領域62および反射領域64の構成例を説明する断面図を示し、当該構成例の等価回路図を図4に示す。ここでは、透過領域62がFFS方式で構成され、反射領域64がECB方式で構成される場合を例示する。
【0031】
図3に例示するように、液晶表示装置50は対向配置された一対の基板110,210を含み、当該一対の基板110,210の間に液晶層300が挟持されている。基板110,210は例えばガラス板等の透明基板で構成可能である。基板110および基板210は以下に例示する種々の要素が設けられて上記の素子基板100および対向基板200をそれぞれ構成する。
【0032】
液晶層300の厚さ、換言すれば基板100,200間の距離はセルギャップに対応する。セルギャップは、基板100,200間のスペーサ302の大きさによって調整可能である。
【0033】
液晶表示装置50は基板110の液晶層300側にバッファ層112を含んでいる。液晶表示装置50はバッファ層112の液晶層300側に、半導体層114,116と、絶縁膜118と、ゲート電極120,122,124,126と、ゲート配線140,141とを含んでいる。
【0034】
半導体層114,116はいずれもバッファ層112上に配置されており、ここでは、半導体層114は透過領域62内に設けられ、半導体層116は反射領域64内に設けられている。絶縁膜118は、半導体層114,116を覆ってバッファ層112上に配置されている。ゲート電極120,122,124,126は、絶縁膜118上に配置されている。
【0035】
ゲート電極120,122は絶縁膜118を介して半導体層114に対向している。これにより、半導体層114と絶縁膜118とゲート電極120との積層構造を含んでTFT(Thin Film Transistor)128が構成され、半導体層114と絶縁膜118とゲート電極122との積層構造を含んでTFT130が構成される。この場合、絶縁膜118はTFT128,130においてゲート絶縁膜を構成している。TFT128,130は電気的に直列接続されている(図3および図4参照)。同様に、半導体層116と絶縁膜118とゲート電極124との積層構造を含んでTFT134が構成され、半導体層116と絶縁膜118とゲート電極126との積層構造を含んでTFT136が構成される。TFT134,136は電気的に直列接続されている(図3および図4参照)。
【0036】
なお、TFT128,130,134,136は一般に画素トランジスタと呼ばれる。なお、後述の画素電極182,190に電気的接続される要素に対してソースという表現を用いるが、当該要素に対してドレインという表現を用いてもよい。
【0037】
ゲート配線140,141は、絶縁膜118上に配置されている。ゲート配線140は図3では不図示の位置においてTFT128,130のゲート電極120,122に繋がっており、同様にゲート配線141はTFT134,136のゲート電極124,126に繋がっている(図4参照)。
【0038】
ここで、TFT128,130をまとめて透過表示用スイッチング素子132と呼び、TFT134,136をまとめて反射表示用スイッチング素子138と呼ぶ場合、ゲート電極120,122を透過表示用スイッチング素子132の制御電極と呼ぶことができ、ゲート電極124,126を反射表示用スイッチング素子138の制御電極と呼ぶことができる。また、ゲート電極120,122に電気的に接続されているゲート配線140と、ゲート電極124,126に電気的に接続されているゲート配線141とをそれぞれ制御信号配線と呼ぶことができる。
【0039】
なお、各スイッチング素子132,138は他の構成、例えば1個または3個以上のTFT素子や、1個以上のMIM(Metal Insulator Metal)素子等で形成してもよい。また、スイッチング素子132,138を互いに異なる構成にすることも可能である。
【0040】
液晶表示装置50は、絶縁膜118上に保持容量配線142と、共通電極配線146と、層間絶縁膜148とを含んでいる。保持容量配線142は反射領域64において絶縁膜118を介して半導体層116の一部に対向して配置されており、これにより保持容量配線142と絶縁膜118と半導体層116との積層構造によって反射表示用の保持容量素子144(図3および図4参照)が構成されている。この場合、絶縁膜118は保持容量素子144において容量素子用絶縁膜を構成し、半導体層116の上記一部は保持容量素子144の対向電極を構成している。層間絶縁膜148によって、ゲート電極120,122,124,126と、ゲート配線140,141と、保持容量配線142と、共通電極配線146とが覆われている。
【0041】
液晶表示装置50は基板110の液晶層300側に、ドレイン配線160と、ソース電極162,164と、共通電極用中継電極166と、パッシベーション膜168と、絶縁層170とを含んでいる。
【0042】
図3には、ドレイン配線160および電極162,164,166が3層構造で構成される場合を例示している。ドレイン配線160は図3の例示では、層間絶縁膜148上に配置されているとともに、コンタクトホール150,154を介してTFT128,134のドレイン領域に電気的に接続されている。
【0043】
ソース電極162,164および中継電極166は図3の例示ではいずれも層間絶縁膜148上に配置されている。さらに、ソース電極162はコンタクトホール152を介してTFT130のソース領域に電気的に接続され、ソース電極164はコンタクトホール156を介してTFT136のソース領域に電気的に接続され、中継電極166はコンタクトホール158を介して共通電極配線146に電気的に接続されている。
【0044】
パッシベーション膜168は図3の例示では配線160および電極162,164,166を覆って層間絶縁膜148上に配置されている。絶縁層170は図3の例示ではパッシベーション膜168上に積層されている。絶縁層170の液晶層300側の表面は、透過領域62においては平坦に形成され、反射領域64においては凹凸に形成されている。
【0045】
液晶表示装置50は基板110の液晶層300側に、透過表示用共通電極178と、絶縁層180と、透過表示用画素電極182と、反射層188と、反射表示用画素電極190とを含んでいる。
【0046】
透過表示用共通電極178は、例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明導電材料で構成可能である。共通電極178は各透過領域62に設けられている。共通電極178は透過領域62ごとに設けることも可能であるし、例えば行方向に隣接する透過領域62の共通電極178を連結した形態にすることも可能である。
【0047】
共通電極178は、図3に例示するように、絶縁層170の上記平坦面上に配置されているとともにコンタクトホール172を介して中継電極166に電気的に接続されている。これにより、共通電極配線146から中継電極166を介して共通電極178へ電位が印加される(図3および図4参照)。
【0048】
絶縁層180は、透過表示用共通電極178を覆って絶縁層170上に配置されており、反射領域64において絶縁層170の凹凸上にも配置されている。凹凸上の絶縁層180は下地の凹凸に追従した凹凸形状をしている。
【0049】
透過表示用画素電極182は、各透過領域62に設けられ、絶縁層180を介して透過表示用共通電極178上に積層されているとともにコンタクトホール174を介してソース電極162に電気的に接続されている。これにより、ドレイン配線160からスイッチング素子132およびソース電極162を介して画素電極182へ電位が印加される(図3および図4参照)。画素電極182は、例えばITOやIZO等の透明導電材料で構成可能である。
【0050】
画素電極182には複数のスリット(または溝)184が設けられている。各スリット184は例えば行方向と略平行に(例えば行方向に対して例えば約5°〜10°傾いて)伸びている。この場合、後述の配向膜(図示せず)のラビング方向はスリット184の長手方向(換言すれば長辺方向)に略平行に設定されている。
【0051】
なお、スリット184の長手方向の設定は上記例示に限られるものではない。また、ここではスリット184の端部が画素電極182の外縁に到達していない形状を例示するが、スリット184の端部を画素電極182の外縁に到達させて当該画素電極182をくし歯形状にしてもよい。
【0052】
上記のように透過表示用画素電極182は絶縁層180を介して透過表示用共通電極178上に積層されている。このため、画素電極182と絶縁層180と共通電極178との積層構造によって透過表示用の保持容量素子186(図3および図4参照)が構成されている。保持容量素子186によれば、別個の保持容量素子を設けなくても、透過領域62での表示を安定させることができる。
【0053】
反射層188は、各反射領域64に設けられ、絶縁層180の上記凹凸上に配置されている。反射層188は絶縁層180,170の凹凸に追従した凹凸形状をしている。反射層188は外光を反射するものであり、この際、上記凹凸形状によって外光を散乱させることができる。反射層188は外光(ここでは可視光)を反射可能な材料、例えばアルミニウム・ネオジウム合金、銀等で構成可能である。
【0054】
反射表示用画素電極190は、各反射領域64に設けられ、反射層188の上記凹凸上に配置されている。ここでは画素電極190は反射層188等の上記凹凸に追従した凹凸形状をしている。画素電極190はコンタクトホール176を介してソース電極164に電気的に接続されており、これによりドレイン配線160からスイッチング素子138およびソース電極164を介して画素電極190へ電位が印加される(図3および図4参照)。画素電極190は例えばITOやIZO等の透明導電材料で構成可能である。
【0055】
液晶表示装置50は、基板210の液晶層300側に、遮光膜212と、透過表示用カラーフィルタ214と、反射表示用カラーフィルタ216と、オーバーコート層218と、トップコート層220と、反射表示用共通電極222とを含んでいる。
【0056】
遮光膜212は図3の例示では、基板210上に配置され、透過領域62および反射領域64に開口部が設けられている。なお、各画素60において、領域62,64を分断している部分を取り除き両領域62,64に広がった1つの開口部を設けることも可能である。遮光膜212は、黒色樹脂で構成可能である。
【0057】
透過表示用カラーフィルタ214は遮光膜212の透過領域62の開口部に設けられ、反射表示用カラーフィルタ216は遮光膜212の反射領域64の開口部に設けられている。カラーフィルタ214,216によって、表示光92,94がそれぞれ着色される。カラーフィルタ214,216の色(色相)は、その画素60の表示色(色相)に応じて選定されている。ここで、カラーフィルタ214,216に相当するカラーフィルタを、各画素60において領域62,64にまたがって設けてもよいし、表示色が同じ隣接画素60にまたがって設けてもよい。図3の例示ではカラーフィルタ214,216は基板210上に配置されている。
【0058】
オーバーコート層218は、図3の例示では、透過領域62および反射領域64の両方に設けられており、遮光膜212上およびカラーフィルタ214,216上に配置されている。トップコート層220は、反射領域64に設けられており、反射領域64の液晶層300の層厚すなわちセルギャップを調整する層厚調整膜(換言すればセルギャップ調整膜)である。例えば反射領域64のセルギャップが透過領域62の半分になるように、トップコート層220の厚さが設定されている。トップコート層220は、図3の例示ではオーバーコート層218上に配置されている。
【0059】
反射表示用共通電極222は、各反射領域64に設けられており、図3の例示ではトップコート層220上に配置されている。共通電極222は、反射領域64ごとに設けてもよいし、隣接する反射領域64にまたがって設けてもよい。共通電極222はITO、IZO等の透明導電材料で構成可能である。共通電極222は例えば、表示領域の外側の領域において素子基板100の不図示の配線に導電性粒子等を介して電気的に接続されており、これによって素子基板100側から共通電極222へ電位を印加可能である。なお、図4には反射表示用共通電極222へ電位を供給するための配線224を図示している。
【0060】
液晶表示装置50は各基板110,210の液晶層300側に不図示の配向膜を含んでいる。
【0061】
基板110に設けられた配向膜は画素電極182,190と絶縁層180と共通電極178と反射層188を覆って配置されており、基板210に設けられた配向膜は共通電極222とトップコート層220とオーバーコート層218とを覆って配置されている。いずれの配向膜も透過領域62および反射領域64の両方に設けられている。ここでは、基板110の配向膜は両領域62,64において同じ方向にラビングされ、ラビング方向はスリット184の長手方向に略平行に、例えば行方向に設定されている。また、基板210の配向膜は両領域62,64とも基板110のラビング方向と反対方向にラビングされている。この場合、液晶分子(ここでは誘電率異方性が正とする)は、両領域62,64において各配向膜付近でラビング方向に沿って配列するとともに液晶層300の厚さ方向についても同じ方向を向いて配列する。基板110と基板210のラビング方向Rは同じ方向にラビングされてもよい。
【0062】
FFS方式で構成される透過領域62では、各スリット184を通って形成される電極178,182間の電界を制御することによって、基板110に略平行な面内で液晶分子の回転が制御される。これに対して、ECB方式で構成される反射領域64では、反射表示用共通電極222と反射表示用画素電極190との間の電界によって、基板110,210に略垂直な面内で液晶分子の回転が制御される。このような液晶分子の配向制御と、次に説明する偏光層106,206および位相差層108,208の作用とによって、透過表示光92および反射表示光94の光量が制御される。
【0063】
液晶表示装置50において基板110には液晶層300と反対側(すなわち基板外側)に位相差層108と偏光層106とがこの順序で積層され、基板210上には液晶層300の反対側に位相差層208と偏光層206とがこの順序で積層されている。位相差層108,208および偏光層106,206は透過領域62と反射領域64との両方に設けられている。なお、図3では位相差層108,208を単層で例示しているが、複数の位相差層の積層体で構成することも可能である。この点は偏光層106,206についても同様である
【0064】
偏光層106,206の吸収軸の方向、位相差層108,208の遅相軸の方向等の設定により、液晶表示装置50では、FFS方式の透過領域62はノーマリブラック、すなわち電極178,182間の電圧がオフ電圧のときに透過率が最も低い表示(暗表示と呼ぶことにする)になり、ECB方式の反射領域64はノーマリホワイト、すなわち電極190,222間の電圧がオフ電圧のときに透過率が最も高い表示(明表示と呼ぶことにする)になる(図11参照)。
【0065】
なお、図4には、透過表示用画素電極182と透過表示用共通電極178とによる液晶容量192、および、反射表示用画素電極190と反射表示用共通電極222とによる液晶容量194も図示している。
【0066】
図4に示すように、上記構成によれば、ドレイン配線160から透過表示用スイッチング素子132および反射表示用スイッチング素子138を介して透過表示用画素電極182および反射表示用画素電極190へそれぞれ電位が印加される。かかる電位は各領域62,64の表示データに応じた電位であり、このためドレイン配線160を表示データ配線と呼ぶことができる。
【0067】
このとき、透過表示用スイッチング素子132および反射表示用スイッチング素子138は同じドレイン配線160に接続されている一方で、スイッチング素子132,138の制御電極は別々のゲート配線140,141に接続され互いに独立に制御可能である。このため、スイッチング素子132,138のオン状態の制御タイミングをずらすことによって、画素電極182,190に互いに独立して電位を印加することができる。つまり、透過領域62と反射領域64とを互いに独立に駆動することができ、透過表示光92および反射表示光94を互いに独立に調整することができる。
【0068】
したがって、透過領域62がノーマリブラック、反射領域64がノーマリホワイトである場合、すなわち両領域62,64の電圧−透過率特性が異なる場合であっても(図11参照)、透過表示光92および反射表示光94の輝度を容易に揃えることができ、良好な表示品質が得られる。特に輝度差が視認されやすい中間調表示において、表示品質を向上させることができる。また、FFS方式による広視野角で高コントラスト等の優れた透過表示特性と、ECB方式による高コントラスト等の優れた反射表示特性とがそれぞれ十分に発揮されて、良好な表示品質が得られる。
【0069】
なお、透過表示用共通電極178の電位と反射表示用共通電極222の電位とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。このとき、両共通電極178,222に同じ電位を印加する方が駆動回路74、基板100,200等の構造を簡略化できる。この点は、反射表示用の保持容量配線142の電位と反射表示用共通電極222の電位との関係についても同様である。
【0070】
透過領域62と反射領域64との独立駆動は、例えば図5および図6の等価回路図に相当する構成によっても可能である。
【0071】
図5の構成例では、上記の図4の構成に対してドレイン配線161が追加され、透過表示用スイッチング素子132と反射表示用スイッチング素子138とが別々のドレイン配線160,161に接続されている。このため、別々のドレイン配線160,161を介して画素電極182,190にそれぞれ電位を印加することができる。これにより、図4の構成例と同様に、透過領域62と反射領域64とを互いに独立に駆動することができる。
【0072】
図6の構成例では、上記の図5の構成からゲート配線141が取り除かれ、透過表示用スイッチング素子132の制御電極および反射表示用スイッチング素子138の制御電極がいずれもゲート配線140に接続されている。この場合、両スイッチング素子132,138は、同期してオン状態になるが、別々のドレイン配線160,161に接続されているので、透過領域62と反射領域64とを互いに独立に駆動することができる。
【0073】
ここで、図4および図6の構成例によれば、図5の構成例に比べて配線数が少ないので、構成が簡単である。また、図5および図6の構成例によれば、2本のドレイン配線160,161が設けられているので、スイッチング素子132,138の制御タイミングをずらす必要がない。このため、図4の構成例に比べて、スイッチング素子132,138の制御回路を簡略化できるし、高速駆動が可能である。
【0074】
図7にカラー表示のための1単位80の第2例を説明する平面図を示す。上記では各画素60は透過表示用画素電極182と反射表示用画素電極190とが分離して構成され、透過領域62と反射領域64とを独立に駆動する場合を説明した。かかる点に鑑みれば、透過領域62および反射領域64のそれぞれを上記における画素60に対応させることができる。すなわち、各画素60を透過表示用画素電極182と反射表示用画素電極190とのいずれか一方を含んで構成することができる。
【0075】
図7の例では、赤色の透過領域62R、緑色の反射領域64G、青色の透過領域62B、および白色(W)の反射領域64Wはそれぞれが画素60を構成するとともに、これら4つの領域62R,64G,62B,64Wによってカラー表示のための1単位80が構成されている。図7には4つの領域62R,64G,62B,64W、すなわち4つの画素60が同じ面積で2×2のマトリクス状に配列された構成を例示している。
【0076】
白色の反射領域64Wは、例えばカラーフィルタ216を省略することによって構成可能である。この場合、カラーフィルタ216による光吸収が生じないので、明るい(高輝度の)表示が得られる。
【0077】
ここで、透過領域62によって白色の画素60を構成することも可能である。これに対して、白色の反射領域64Wによれば、ECB方式の優れた反射表示特性、例えば高いコントラストが発揮される。また、カラーフィルタ214,216の省略による上記の高輝度化と相俟って、良好な表示品質が得られる。
【0078】
また、反射領域64によって赤色、緑色および青色の画素60を構成することも可能である。これに対して、透過領域62の適用により、高い開口率が得られるので、カラーフィルタ214による光吸収があっても、高輝度化を図ることができる。すなわち、FFS方式による透過領域62では、上記のように共通電極178と絶縁層180と画素電極182との積層構造によって保持容量素子186が構成され、別個の保持容量素子を設ける必要性が低い。このため、当該別個の保持容量素子の付加によって遮光面積が増加するのを抑制することができ、高い開口率、換言すれば高い輝度が得られる。したがって、良好な表示品質が得られる。
【0079】
図8にカラー表示のための1単位80の第3例を説明する平面図を示す。図8には、図2に例示した構成において3つの反射領域64を白色の画素60に替えた構成を例示している。また、図8には、3つの白色の反射領域64Wの合計面積と、赤色、緑色および青色の透過領域62R,62G,62Bそれぞれの面積とが互いに等しい構成を例示している。
【0080】
上記3つの白色の反射領域64Wは、異なる輝度で点灯させることもできるが、同じ輝度で点灯させることによって一体的に1個の白色の画素60として捉えることもできる。
【0081】
かかる点に鑑みれば図9の平面図に図示する第4例によってカラー表示のための1単位80を構成することも可能である。図9に例示の1単位80は、上記3つの白色の反射領域64Wが設けられた部分に、反射領域64の1個分の構造(図3参照)を形成することによって構成可能である。このとき、反射表示用画素電極190、反射表示用共通電極222等が上記3つの白色の反射領域64Wに対応する部分に広がっている。図9の構成例では、赤色、緑色および青色の画素60が行方向に配列され、これらの3つの画素60に隣接して白色の画素60が行方向に延在している。
【0082】
図8および図9に例示の構成によっても、上記と同様、良好な表示品質が得られる。また、図8の構成例は合計6つの領域62,64を有するので合計6個のスイッチング素子132,138が必要であるのに対し、図9の構成例によればスイッチング素子132,138は合計4個で済み、構造を簡略化することができる。
【0083】
上記の図2および図7〜図9の構成例では、カラー表示のための1単位80内において透過領域62と反射領域64とが列方向に配列されている。これに対して、図10に例示するように赤色、緑色および青色の各透過領域62R,62G,62Bと白色の反射領域64Wとを行方向に配列することも可能である。この配列によっても、上記と同様、良好な表示品質が得られる。
【0084】
なお、各色の領域62,64の位置関係、面積比等は図2および図7〜図9の例示に限定されるものではない。
【0085】
上記では透過領域62において画素電極182が液晶層300側に配置された構成を例示したが、共通電極178を液晶層300側に配置することも可能である。また、透過領域62をIPS(In-Plane Switching)方式で構成することも可能であり、この場合にもFFS方式と同様に良好なコントラストが得られる。なお、IPS方式の場合、共通電極178と画素電極182とは同層、例えば絶縁層170上に配置される。また、ECB方式に代えて、画素電極190と共通電極222とが液晶層300を介して対向する他の方式を反射領域64に適用してもよい。
【0086】
また、外付けの位相差層108,208に替えて、内蔵位相差層を用いてもよい。内蔵位相差層は例えば、トップコート層220と反射表示用共通電極222との間に位相差層を設けることによって、または、トップコート層220に替えて位相差層を設けることによって、構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】実施の形態に係る液晶表示装置を説明する模式図である。
【図2】実施の形態に係るカラー表示のための1単位の第1例を説明する平面図である。
【図3】実施の形態に係る透過領域および反射領域の第1の構成例を説明する断面図である。
【図4】図3の第1の構成例の等価回路図である。
【図5】実施の形態に係る透過領域および反射領域の第2の構成例を説明する等価回路図である。
【図6】実施の形態に係る透過領域および反射領域の第3の構成例を説明する等価回路図である。
【図7】実施の形態に係るカラー表示のための1単位の第2例を説明する平面図である。
【図8】実施の形態に係るカラー表示のための1単位の第3例を説明する平面図である。
【図9】実施の形態に係るカラー表示のための1単位の第4例を説明する平面図である。
【図10】実施の形態に係るカラー表示のための1単位の第5例を説明する平面図である。
【図11】FFS方式およびECB方式について透過率の電圧依存性の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
50 液晶表示装置、60 画素、62 透過領域、64 反射領域、110,210 基板、120,122,124,126 ゲート電極(制御電極)、128,130,134,136 TFT、132,138 スイッチング素子、140,141 ゲート配線(制御信号配線)、160,161 ドレイン配線(表示データ配線)、178 透過表示用共通電極、180 絶縁層、182 透過表示用画素電極、186 透過表示用保持容量素子、190 反射表示用画素電極、214,216 カラーフィルタ、222 反射表示用共通電極、300 液晶層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板間に液晶が挟持され複数の画素を有する液晶表示装置であって、
前記一対の基板のうちの一方の基板は、
透過領域に設けられた透過表示用画素電極および透過表示用共通電極と、
反射領域に設けられた反射表示用画素電極と、
透過表示用スイッチング素子および反射表示用スイッチング素子と、
を備え、
前記一対の基板のうちの他方の基板は、
前記反射領域に設けられた反射表示用共通電極を備え、
各画素は前記透過表示用画素電極と前記反射表示用画素電極とが分離して構成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
一対の基板間に液晶が挟持され複数の画素を有する液晶表示装置であって、
前記一対の基板のうちの一方の基板は、
透過領域に設けられた透過表示用画素電極および透過表示用共通電極と、
反射領域に設けられた反射表示用画素電極と、
透過表示用スイッチング素子および反射表示用スイッチング素子と、
を備え、
前記一対の基板のうちの他方の基板は、
前記反射領域に設けられた反射表示用共通電極を備え、
各画素は前記透過表示用画素電極と前記反射表示用画素電極のいずれか一方を含んで構成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液晶表示装置であって、
前記透過表示用スイッチング素子と前記反射表示用スイッチング素子とは制御電極が別々の制御信号配線に電気的に接続されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液晶表示装置であって、
前記透過表示用スイッチング素子と前記反射表示用スイッチング素子とは別々の表示データ配線に電気的に接続されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶表示装置であって、
前記透過領域と前記反射領域とのうちで前記透過領域のみがカラーフィルタを含むことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液晶表示装置であって、
前記透過表示用画素電極と前記透過表示用共通電極とは絶縁層を介して積層されて透過表示用保持容量素子を構成していることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項1】
一対の基板間に液晶が挟持され複数の画素を有する液晶表示装置であって、
前記一対の基板のうちの一方の基板は、
透過領域に設けられた透過表示用画素電極および透過表示用共通電極と、
反射領域に設けられた反射表示用画素電極と、
透過表示用スイッチング素子および反射表示用スイッチング素子と、
を備え、
前記一対の基板のうちの他方の基板は、
前記反射領域に設けられた反射表示用共通電極を備え、
各画素は前記透過表示用画素電極と前記反射表示用画素電極とが分離して構成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
一対の基板間に液晶が挟持され複数の画素を有する液晶表示装置であって、
前記一対の基板のうちの一方の基板は、
透過領域に設けられた透過表示用画素電極および透過表示用共通電極と、
反射領域に設けられた反射表示用画素電極と、
透過表示用スイッチング素子および反射表示用スイッチング素子と、
を備え、
前記一対の基板のうちの他方の基板は、
前記反射領域に設けられた反射表示用共通電極を備え、
各画素は前記透過表示用画素電極と前記反射表示用画素電極のいずれか一方を含んで構成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液晶表示装置であって、
前記透過表示用スイッチング素子と前記反射表示用スイッチング素子とは制御電極が別々の制御信号配線に電気的に接続されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液晶表示装置であって、
前記透過表示用スイッチング素子と前記反射表示用スイッチング素子とは別々の表示データ配線に電気的に接続されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶表示装置であって、
前記透過領域と前記反射領域とのうちで前記透過領域のみがカラーフィルタを含むことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液晶表示装置であって、
前記透過表示用画素電極と前記透過表示用共通電極とは絶縁層を介して積層されて透過表示用保持容量素子を構成していることを特徴とする液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−310180(P2008−310180A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159298(P2007−159298)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
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