説明

液晶表示装置

【課題】外部光あるいはバックライト光の明るさの程度に拘わらず、遮光体の検知を確実に行うことのできる液晶表示装置の提供。
【解決手段】液晶表示パネルは、表示領域にマトリックス状に配置された複数の画素と表示領域に配置された複数の光センサ回路とを備え、複数の光センサ回路の各々は光センサ素子を有し、バックライトの光強度は、第1の強度と前記第1の強度と異なる第2の強度とを有し、第1の強度と第2の強度とは所定の期間毎に周期的に切り替わり、光センサ回路は、光量を検知する受光期間と受光期間に検知した光量を読み出す読み出し期間とを有し、受光期間は所定の期間の整数倍であり、光センサ素子は受光期間に光に対する感度を持つ光センサ動作状態と光に対する感度を持たない光センサ非動作状態とを有し、光センサ動作状態と前記光センサ非動作状態とはバックライトの光強度の切り替わりに同期して、所定の期間毎に周期的に切り替わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に係り、特に、バックライトを具備し、複数の画素の少なくとも一部に光センサ素子を備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶表示パネルとこの液晶表示パネルの背面に面光源となるバックライトとを備えて構成されるのが通常となっている。液晶表示パネルの表示領域に形成される複数の画素は、それぞれ、自発光することなく、液晶の分子の駆動によって光透過率を変化させる機能しか有さないからである。
【0003】
また、近年では、液晶表示パネルのたとえば全ての画素内に光センサ素子を具備させ、これにより表示領域内にマトリックス状に配置された光センサ素子によってたとえば従来のタッチパネルに代える機能を持たせるものが知られるに至っている。すなわち、液晶表示パネルの表示領域にたとえば指等の遮光体を接触(あるいは近づけ)させることによって、光センサ素子がこれを感知し、前記遮光体の位置のX、Y座標を演算し、この情報を表示装置に反映させるようになっている。
【0004】
このような技術は、たとえば下記特許文献1、特許文献2に開示がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−3857号公報
【特許文献2】特開2007−94606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した液晶表示装置においては、外部光とバックライトの光の強弱関係によって、たとえば指等の遮光体を光センサ素子が感知できなくなる不都合が生じることがある。
【0007】
図10ないし図12は上記不都合が生じる理由を示す説明図である。図10、図11は、それぞれ不都合が生じない場合、図12は、不都合が生じる場合を示している。なお、図10ないし図12は、それぞれ、液晶LCを挟持して対向配置される一対の基板SUB1、SUB2を備える液晶表示パネルPNLを示し、基板SUB1側にバックライトBLが配置されている。また、基板SUB1の液晶LC側への面には複数の光センサ素子LS(図中LS1、LS2、LS3、LS4で示す)が形成されている。これら光センサ素子LSはたとえば液晶表示パネルPNLの各画素(図中画素の構成は省略している)にそれぞれ設けられているものとする。また、光センサ素子LSは図示していないが後述のバックライト光Bに対しては遮光(図5の符号LI参照)がなされた構成となっている。そして、液晶表示パネルPNLの基板SUB2側の面にはたとえば指等からなる遮光体ITLが接触あるいは近接している。
【0008】
まず、図10に示すように、バックライト光Bに対して外部光Aが充分に明るい場合、遮光体ITLによって遮光されることなく外部光Aを検知する光センサ素子LS1、LS2と、遮光体ITLによってバックライト光Bからの反射光を検知する光センサ素子LS3、LS4とにおいて、検知する光の明るさに充分な差があり、光センサ素子LSは遮光体ITLを信頼性よく検知することができる。
【0009】
また、図11に示すように、外部光Aに対してバックライト光Bが充分に明るい場合でも、遮光体ITLによって遮光されることなく外部光Aを検知する光センサ素子LS1、LS2と、遮光体ITLによってバックライト光Bからの反射光を検知する光センサ素子LS3、LS4とにおいて、検知する光の明るさに充分な差があり、光センサ素子LSは遮光体ITLを信頼性よく検知することができる。
【0010】
しかし、図12に示すように、外部光Aとバックライト光Bの明るさがほぼ等しい場合、遮光体ITLによって遮光されることなく外部光Aを検知する光センサ素子LS1、LS2と、遮光体ITLによってバックライト光Bからの反射光を検知する光センサ素子LS3、LS4とにおいて、検知する光の明るさに充分な差がなくなり、光センサ素子LSは遮光体ITLを信頼性よく検知することができなくなってしまう。
【0011】
図12の場合をさらに詳述する。図13は、図12に示す光センサ素子LS2とLS3の部分を抜き出して示した図である。図13において、バックライト光Bは、図中(2)における断面通過で減衰し、図中(3)における遮光体ITLの反射によって減衰し、さらに、図中(4)における光センサ素子LS3までの断面通過で減衰する。ここで、理解を容易にするため、下記の要素に対して数値をあてはめてみる。
【0012】
すなわち、バックライトBLの光量=1000(自由単位)、図中(2)の経路における減衰=93%(液晶表示パネルPNLの透過率が7%であることを想定)、図中(3)の経路における減衰=80%(遮光体ITLの反射率が20%であることを想定)、図中(4)における減衰=50%とする。
【0013】
この場合、光センサ素子LS3に入射される光量Zは、次式(1)によって計算される。
【0014】
Z=1000×(1-0.93)×(1-0.8)×(1-0.5)=7
…… (1)
一方、外部光Aにおいて、図中(5)で示す光センサ素子LS2までの断面通過における減数を、図中(4)と同様に50%とすると、外部光Aの光量が14の場合において、光センサ素子LS2に入射される光量Z'は、次式(2)によって計算される。
【0015】
Z'=14×(1-0.5)=7=Z
このため、Z'=Zとなり、光センサ素子LSは、外部光Aとバックライト光Bを区別することができず、ひいては遮光体ITLを信頼性よく検知することができなくなってしまう。
【0016】
本発明の目的は、外部光あるいはバックライト光の明るさの程度に拘わらず、遮光体の検知を確実に行うことのできる液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の構成は、たとえば、以下のようなものとすることができる。
【0018】
(1)本発明は、液晶表示パネルとこの液晶表示パネルと対向配置されるバックライトを備える液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルは、表示領域にマトリックス状に配置された複数の画素と、前記表示領域に配置された複数の複数の光センサ回路とを備えて構成され、
前記複数の光センサ回路の各々は光センサ素子を有し、
前記バックライトの光強度は、第1の強度と前記第1の強度と異なる第2の強度とを有し、
前記第1の強度と前記第2の強度とは、所定の期間毎に周期的に切り替わることを特徴とする。
【0019】
(2)本発明は、(1)において、前記光センサ回路は、光量を検知する受光期間と、前記受光期間に検知した光量を読み出す読み出し期間とを有し、
前記受光期間は、前記所定の期間の整数倍であり、
前記光センサ素子は、前記受光期間に、光に対する感度を持つ光センサ動作状態と光に対する感度を持たない光センサ非動作状態とを有し、
前記光センサ動作状態と前記光センサ非動作状態とは、前記バックライトの光強度の切り替わりに同期して、前記所定の期間毎に周期的に切り替わることを特徴とする。
【0020】
(3)本発明は、(2)において、前記読み出し期間は、前記所定の期間であることを特徴とする。
【0021】
(4)本発明は、(2)または(3)において、前記複数の光センサ回路は、マトリクス状に配置され、
前記複数の光センサ回路のうち、同一列に配置された複数の光センサ回路は、順次前記読み出し期間をとり、前記同一列に配置された複数の光センサ回路は、前記光センサ素子が前記光センサ動作状態のときの前記バックライトの光強度が、奇数行に配置された光センサ回路と偶数行に配置された光センサ回路とで異なることを特徴とする。
【0022】
(5)本発明は、(1)から(4)において、前記所定の期間は1水平走査期間であることを特徴とする。
【0023】
(6)本発明は、(1)から(4)において、前記所定の期間は1水平走査期間の整数倍であることを特徴とする。
【0024】
(7)本発明は、(1)から(6)において、前記第1の強度は前記バックライトの光源が点灯した状態であり、前記第2の強度は前記光源が消灯した状態であることを特徴とする。
【0025】
(8)本発明は、(1)から(7)において、前記光センサ回路は、前記光センサ素子と容量素子とスイッチとを有し、前記光センサ素子と前記容量素子は、前記スイッチを介して直列接続されていることを特徴とする。
【0026】
(9)本発明は、(8)において、前記スイッチは薄膜トランジスタによって形成されていることを特徴とする。
【0027】
(10)本発明は、(1)から(9)において、前記光センサ回路は、前記複数の画素のそれぞれに形成されていることを特徴とする。
【0028】
(11)本発明は、(1)から(9)において、前記光センサ回路は、前記表示領域の一部の領域に配置されていることを特徴とする。
【0029】
なお、上記した構成はあくまで一例であり、本発明は、技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。また、上記した構成以外の本発明の構成の例は、本願明細書全体の記載または図面から明らかにされる。
【発明の効果】
【0030】
上述した液晶表示装置によれば、外部光あるいはバックライト光の明るさの程度に拘わらず、遮光体の検知を確実に行うことができるようになる。
【0031】
本発明のその他の効果については、明細書全体の記載から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の液晶表示装置のバックライトの変調およびこれに伴う光センサ素子の非動作のタイミングを示した図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の概略を示す平面図である。
【図3】本発明の液晶表示装置に具備される光センサ回路を示す図である。
【図4】本発明の液晶表示装置に具備される光センサ回路の動作を示す図である。
【図5】本発明の液晶表示装置に具備される画素選択用のトランジスタと光センサ素子の構成を示す断面図である。
【図6】本発明の液晶表示装置において表示領域に光センサ素子がマトリックス状に配置されていることを示す概略平面図である。
【図7】本発明の液晶表示装置の光センサ素子の受光タイミングおよび出力読み出しを示す図である。
【図8】本発明の液晶表示装置の光センサ回路において光センサ素子の感度を無にする実施例を示す概念的な回路図である。
【図9】本発明の液晶表示装置の光センサ回路において光センサ素子の感度を無にする実施例を示す具体的な回路図である。
【図10】従来の液晶表示装置の外部光のある状態によって不都合とならない態様を示す図である。
【図11】従来の液晶表示装置の外部光の他の状態によって不都合とならない態様を示す図である。
【図12】従来の液晶表示装置の外部光の状態によって不都合となる態様を示す図である。
【図13】従来の液晶表示装置の不都合な点をさらに詳述する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。なお、各図および各実施例において、同一または類似の構成要素には同じ符号を付し、説明を省略する。
【実施例1】
【0034】
(全体の概略構成)
図2は、各画素に光センサを配置した液晶表示装置の概略を示す平面図である。
【0035】
液晶表示パネルの主面には、マトリックス状に配置された複数の画素PIXが形成されている。これら各画素PIXの集合によって表示領域ARを構成するようになっている。各画素PIXの領域には、液晶表示の機能を有する領域と光検知の機能を有する領域を備えている。液晶表示の機能を有する領域には、ゲート信号線GLからの信号(走査信号)によってオンされる薄膜トランジスタTr1と、このオンされた薄膜トランジスタTr1を通してドレイン信号線DLからの信号が供給される画素電極(図示せず)と、この画素電極に供給される映像信号を長く蓄積させるための保持容量C1が備えられている。また、光検知の機能を有する領域には、まず、第2制御信号線CLK2と接地線GNDとの間に直列接続された光センサ素子LSと容量素子Cが形成されている。本実施例において、光センサ素子LSはホトダイオードで形成されている。容量素子Cは光センサ素子LSによって検出される電流を電圧に変換するようになっている。また、光センサ素子LSと容量素子Cの中間接続点にゲート電極が接続された薄膜トランジスタTr2を備え、この薄膜トランジスタTr2は第1制御信号線CLK1と信号線LLとの間に接続されている。表示領域ARの外側には、前記信号線LLと接地線GNDとの間に接続される薄膜トランジスタTr3が形成されている。なお、薄膜トランジスタTr2は、薄膜トランジスタTr3とともに読み出し回路を構成するようになっている。前記読み出し回路における薄膜トランジスタTr2と薄膜トランジスタTr3の中間接続点からはセンサ回路の出力が外部回路DRVに出力されるようになっている。この外部回路DRVはたとえば前記ドレイン信号線DLに映像信号を供給する機能も有している。第1制御信号線CLK1、第2制御信号線CLK2、および接地線GNDは図中x方向に走行され、x方向に並設される各画素PIXで共通になっている。信号線LLは図中y方向に走行され、y方向に並設される各画素PIXで共通になっている。尚、薄膜トランジスタTr3のゲート電極には、薄膜トランジスタTr3をオンにする所定のバイアス電圧Vbが印加される。
【0036】
このように構成した光センサ回路は、画素PIXを駆動するゲート信号線GLおよびドレイン信号線DLと共用させていないことから、液晶表示と非同期で行うことができる。しかし、センサ回路をゲート信号線GLおよびドレイン信号線DLと共用させ、液晶表示と同期させた構成とするようにしてもよい。
【0037】
ここで、前記光センサ素子LSを備えたセンサ回路の動作を説明する。図3は、図2に示した回路のうち、光センサ素子LS、容量素子C、薄膜トランジスタTr2、薄膜トランジスタTr3を抜き出して示した図である。薄膜トランジスタTr2と薄膜トランジスタTr3を含む図中点線で囲まれた部分はソースホロアを構成し、光センサ素子LSの光に対する電位変化をインピーダンス変換して出力させるようになっている。なお、図4は、前記センサ回路のタイミング図を示し、各箇所のタイミングは、図3に示した符号(CLK1、Vo等)に対応させて示している。図3、図4において、第2制御信号線CLK2をハイ(High)にして容量素子Cに電荷を蓄積させ、第2制御信号線CLK2をロウ(Low)になった時点からセンサ回路の動作(受光による検知)が開始する。光センサ素子LSが受光することによって、容量素子Cに蓄積された電荷が第2制御信号線CLK2にはき出され、容量素子Cの電位が下がるようになる。この電位の減少はセンサ回路の動作時間によって積分され、容量素子Cの電位は、動作時間中に受光した光の量に対応した値となる。そして、第1制御信号線CLK1がハイ(High)となった際に、薄膜トランジスタTr2と薄膜トランジスタTr3とからなるソースホロアが動作を開始し、その時のVo電位がソースホロアを介してセンサ出力OUTとなる。このことから、第2制御信号線CLK2がロウ(Low)になった時点から第1制御信号線CLK1がハイ(High)となる時点までがセンサ受光時間Tとなる。図4のVo、OUTに示す点線は、光が照射されていない時(暗状態)の出力となり、この差が受光した光の量に対応する。
【0038】
なお、図5は、光センサ素子LSの構成を示した概略的な断面図で、薄膜トランジスタTr1と比較して示している。薄膜トランジスタTr1は、たとえばトップゲート構造のMIS(Metal Insulator Semiconductor)トランジスタとなっており、その半導体層SC'はアモルファスSiあるいはポリSi等が用いられている。図中符号GTはゲート電極、DTはドレイン電極、STはソース電極である。なお、図2に示した薄膜トランジスタTr2、Tr3も同様の構成となっている。光センサ素子LSは、ダイオードとして形成され、その形成においては薄膜トランジスタTr1の形成と並行して形成されるのが通常となる。このため、半導体層SCは薄膜トランジスタTr1の半導体層SC'の材料と同様となる。図中符号KTはカソード電極、ATはアノード電極である。また、半導体層SCは中央においてi型層が形成され、たとえば、カソード電極KTに接続される領域はp型層、アノード電極ATに接続される領域はn型層となっている。なお、光センサ素子LSは、図中上側からの光Lのみを受光できるようにし、図示しないバックライトからの光を遮光させるために、基板SUB1と光センサ素子LSとの間に遮光膜LIが形成されている。
【0039】
(光センサ素子LSの受光タイミングおよび出力読み出し)
図6は、液晶表示パネルPNLの表示領域ARにおける光センサLSの配列状態を示した図である。光センサLSは、上述したように、たとえば液晶表示に係る各画素に形成されていることから、各画素と同様に、表示領域AR面にマトリックス状に形成される。
【0040】
図中x方向に並設される各画素からなる画素群には、それぞれ、共通の制御信号線CLK(図2に示した制御信号線CLK1、CLK2)が形成され、これら制御信号線CLKによってセンサ制御線群SCGを構成している。図中y方向に並設される各画素からなる画素群には、それぞれ、共通の信号線LL(図2に示した信号線LL)が形成され、これら信号線LLによってセンサ読み出し線群SRGを構成している。一つの制御信号線CLKによって制御される各画素(図中x方向に並設される各画素)は、受光を開始し、その出力が各信号線LLを通して読み出されるようになる。各光センサ素子LSの受光タイミングおよび出力読み出しは、液晶表示に係る画素への映像信号の書き込みの駆動と同様に、図中x方向に並設される各画素の画素群において、たとえば、……、n-1、n、n+1、n+2、n+3、n+4、……、の順に行われるようになっている。
【0041】
図7は、光センサ素の受光(検知)のタイミングと読み出しのタイミングとを、模式的に示す図である。図6は、図中上方においてセンサ読み出し期間SRのタイミングを、図中下方においてセンサ受光期間SDのタイミングを示している。まず、フレーム周波数f=60Hzのパネルとした場合に、1垂直期間Tvはいわゆる帰線期間をも含めて約16.6msになる。そして、図6において示した画素群の行のうち、便宜上、n-1、n、n+1、n+2、n+3、n+4の各行を考えた場合、この6行分の各光センサ素子LSにおけるセンサ読み出し期間SRは、1垂直期間Tvのうちの一部の期間(図中Toで示す)においてなされることになる。この場合、上述した6行分の各光センサ素子LSにおけるセンサ読み出し期間SRは、(n-1)行から(n+4)行にそれぞれ対応する1水平走査期間Th内にそれぞれ割り当てられて行われる。すなわち、各行における光センサ素子LSの読み出しも、各行における画素の駆動と同様に、この1水平走査期間Th内で行われるようになっている。ここで、光センサ素子LSから読み出されるデータ(出力)は、その読み出しの前までに当該光センサ素子LSが受光した光量によるデータとなっている。図7では、各行における光センサ素子LSにおいて、たとえば4水平走査期間前の時点でセンサ受光時間T(図4において符号Tに相当する)が開始され、各行における光センサ素子LSによって読み出されるデータは、この4水平走査期間内に受けた光量の積分値に相当する値になる。この実施例では、センサ受光時間としてたとえば4水平走査期間を採用しているが、この期間に限定されることはない。光センサ素子LSの感度、バックライトの光量、あるいは外部光の光量によって任意に変更し得る期間である。
【0042】
(バックライトの変調およびこれに伴う光センサ素子の非動作)
本実施例では、外部光あるいはバックライト光の明るさの程度に拘わらず、遮光体の検知を確実に行うことのできるようにするため、バックライト光の明るさを所定の周期で変調させ、更に、光センサを、感度を持った状態と感度を持たない状態とを切り替えて動作させている。
【0043】
図1は、上記動作を模式的に示す図である。図1は、バックライトの明るさの変調のタイミングを明確にするため、図7に示した図と併せて描画している。このため、図1において、図中上方においてセンサ読み出し期間SRのタイミングを、図中真中においてセンサ受光期間SDのタイミングを、図中下方においてバックライトの光量BLqを示している。
【0044】
図1に示すように、バックライトの光量BLqは、1水平走査期間Thごとに光量が大きい状態(H、第1の強度)と光量が小さい状態(L、第2の強度)とを交互に繰り返すように変調されている。この場合、バックライトの平均的な明るさはHとLの中間値に設定されることになる。
【0045】
そして、各行における光センサ素子LSのセンサ受光期間SDにおいて、感度を持たせる状態(光センサ動作状態、図中ハッチで示している)と感度を持たせない状態(光センサ非動作状態、図中符号NSで示している)とを1水平走査期間毎に形成している。これにより、たとえば(n-1)行の光センサ素子LSは、バックライトの光量BLqがHである4水平走査期間前および2水平走査期間前において感度を持った状態となり、バックライトの光量BLqがLである3水平走査期間前および1水平走査期間前において感度を持たない状態となっている。また、たとえばn行の光センサ素子LSは、バックライトの光量BLqがLである4水平走査期間前および2水平走査期間前において感度を持った状態となり、バックライトの光量BLqがHである3水平走査期間前および1水平走査期間前において感度を持たない状態となっている。
【0046】
このことから明らかとなるように、(n-1)行の光センサ素子LSの出力は、バックライトの光量BLqがHの際のデータのみとなり、n行の光センサ素子LSの出力は、バックライトの光量BLqがLの際のデータのみとなる。このことは、パネル全体において、奇数の行の各光センサ素子LSと偶数の行の各光センサ素子LSは異なった光量のバックライトに対して受光データを出力することになる。
【0047】
図8は、光センサ素子LSにおいて、感度を持った状態と感度を持たない状態を切り替え可能な回路構成を示す図で、図3と対応させて描画している。図8において、図3の場合と比較して異なる構成は、光センサ素子LSと容量素子Cとの間にスイッチSWを形成し、このスイッチSWのオン・オフによって、それぞれ、光センサ素子LSに感度を持った状態と感度を持たない状態を切り替えるようにしている。図8に示す光センサ回路は、上述したように、まず初期値として容量素子Cに電荷を蓄積させ、受光期間では、光センサLSが受けた光による光リークによって蓄積された前記電荷が抜け、結果として容量素子Cの両端の電位の変化を取り出すようになっている。このため、容量素子Cと光センサLSの経路を前記スイッチSWによって断つことにより、光センサLSの感度を無くす構成を容易に形成することができる。
【0048】
図9は、図8と対応させて描画した図であり、図8に示した前記スイッチSWを、薄膜トランジスタTr5によって構成していることを示している。薄膜トランジスタTr5は、上述した薄膜トランジスタTr1ないしTr4と同様のMIS型トランジスタであり、製造の工程において、薄膜トランジスタTr1ないしTr4の形成と並行して形成することができる。
【0049】
(バックライト)
バックライトBLは、たとえば、液晶表示パネルPNLに対向して配置される基板の前記液晶表示パネルPNL側の面に、複数の発光ダイオードを並設させたものを用いることができる。このようなバックライトは、電流制御によってバックライトの光量のコントロールを極めて簡単に行うことができるようになる。バックライトの光量の変調は充分に早い周期で行うことによって目視で感じることは無くなる。すなわち、バックライトの光量の変調の周期は16ms以下が好適となる。また、バックライトの光量の変調は、点灯および消灯を繰り返す、いわゆる±100%調光が好適である。しかし、これに限ることはない。
【0050】
(本実施例の効果)
上述した構成において、図13を再び用いて、本実施例の効果を説明する。図13に示したように、外部光Aは、図中(5)に示す経路を経て光センサ素子LS2に入射される。バックライト光Bは、図中(1)ないし(4)に示す経路を経て光センサ素子LS3に入射される。
【0051】
本実施例では、上述したように、偶数行における光センサ素子LSの受光時、および寄数行における光センサ素子LSの受光時において、バックライトBLの光量が変化するようになっている。
【0052】
このため、たとえば偶数行における光センサ素子LSの受光時に、図中(5)の経路を経て光センサ素子LS2が取得する外部光Aのデータと、図中(1)ないし(4)の経路を経て光センサ素子LS3が取得するバックライト光Bのデータがたとえ同一であったとしても、次の偶数行における光センサ素子LSの受光時には、光センサ素子LS2が取得する外部光Aのデータと光センサ素子LS3が取得するバックライト光Bのデータとが同一とならないようにすることができる。したがって、後者の場合において、光センサ素子LSは、遮光体ITLの検知を確実に行うことができるようになる。
【0053】
なお、このような構成は、バックライトBLの光量を変化させていることから、光センサが光を検知する精細度が垂直方向では1/2となってしまうが、たとえばタッチパネル用の光センサ素子として用いた場合においても、実用上差し支えない範囲となる。
【実施例2】
【0054】
上述した実施例では、1水平走査期間毎に、バックライトの光量の変調を行い、また、光センサ素子の感度の有無を変えるように構成したものである。しかし、これに限定されることはなく、たとえば、1水平走査期間の整数倍の期間毎に、バックライトの光量の変調を行い、また、光センサ素子の感度の有無を変えるように構成しても同様の効果が得られる。
【0055】
特に、光センサ素子の出力読み出しを、液晶表示に係る画素の駆動と非同期で行う場合においては、液晶表示に係る画素の駆動に関係なく行うことができる。すなわち、バックライトの光量の変調と光センサ素子の感度の有無が同期しておればよく、バックライトの光量の変調、および光センサ素子の感度の有無の切り替えは、一定時間ごとに行うようにできる。
【実施例3】
【0056】
上述した実施例では、光センサ素子LSは、液晶表示パネルPNLの表示領域ARにおける各画素に、それぞれ対応させて設けるようにしたものである。しかし、これに限らず、表示領域ARの一部の領域において、光センサ素子LSをマトリックス状に配置させ、この一部の領域においてのみタッチパネルの機能をもたせるように構成するようにしてもよい。この場合、表示領域ARの一部は、該表示領域ARの周辺の少なくとも一部であってもよい。表示領域ARの周辺はいわゆるソフトスイッチを複数表示する場合が多く、このソフトスイッチを選択する場合において指等の近接あるいは接触によって行うことが考えられるからである。
【0057】
以上、本発明を実施例を用いて説明してきたが、これまでの各実施例で説明した構成はあくまで一例であり、本発明は、技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。また、それぞれの実施例で説明した構成は、互いに矛盾しない限り、組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0058】
SUB1、SUB2……基板、LC……液晶、BL……バックライト、A……外部光、B……バックライト光、ITL……遮光体、SR……センサ読み出し期間、SD……センサ受光期間、BLq……バックライト光量、Tv……1垂直期間、Th……1水平走査期間、PNL……液晶表示パネル、AR……表示領域、PIX……画素、Tr1〜Tr4……薄膜トランジスタ、LS、LS1〜LS4……光センサ素子、C1……保持容量、C……容量素子、GL……ゲート信号線、DL……ドレイン信号線、CLK1……第1制御信号線、CLK2……第2制御信号線、GND……接地線、LL……信号線、LI……遮光膜、GT……ゲート電極、DT……ドレイン電極、ST……ソース電極、KT……カソード電極、AT……アノード電極、SC、SC'……半導体層、SCG……センサ制御線群、SRG……センサ読み出し線群、SW……スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルとこの液晶表示パネルと対向配置されるバックライトを備える液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルは、表示領域にマトリックス状に配置された複数の画素と、前記表示領域に配置された複数の複数の光センサ回路とを備えて構成され、
前記複数の光センサ回路の各々は光センサ素子を有し、
前記バックライトの光強度は、第1の強度と前記第1の強度と異なる第2の強度とを有し、
前記第1の強度と前記第2の強度とは、所定の期間毎に周期的に切り替わることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記光センサ回路は、光量を検知する受光期間と、前記受光期間に検知した光量を読み出す読み出し期間とを有し、
前記受光期間は、前記所定の期間の整数倍であり、
前記光センサ素子は、前記受光期間に、光に対する感度を持つ光センサ動作状態と光に対する感度を持たない光センサ非動作状態とを有し、
前記光センサ動作状態と前記光センサ非動作状態とは、前記バックライトの光強度の切り替わりに同期して、前記所定の期間毎に周期的に切り替わることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記読み出し期間は、前記所定の期間であることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記複数の光センサ回路は、マトリクス状に配置され、
前記複数の光センサ回路のうち、同一列に配置された複数の光センサ回路は、順次前記読み出し期間をとり、
前記同一列に配置された複数の光センサ回路は、前記光センサ素子が前記光センサ動作状態のときの前記バックライトの光強度が、奇数行に配置された光センサ回路と偶数行に配置された光センサ回路とで異なることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記液晶表示パネルは複数のゲート信号線を有し、
前記複数のゲート信号線は、1水平走査期間毎に順次走査信号が入力され、
前記所定の期間は前記1水平走査期間であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記液晶表示パネルは複数のゲート信号線を有し、
前記複数のゲート信号線は、1水平走査期間毎に順次走査信号が入力され、
前記所定の期間は1水平走査期間の整数倍であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記バックライトは光源を有し、
前記第1の強度は前記光源が点灯した状態であり、前記第2の強度は前記光源が消灯した状態であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記光センサ回路は、前記光センサ素子と容量素子とスイッチとを有し、
前記光センサ素子と前記容量素子は、前記スイッチを介して直列接続されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記スイッチは薄膜トランジスタによって形成されていることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記光センサ回路は、前記複数の画素のそれぞれに形成されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記光センサ回路は、前記表示領域の一部の領域に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−277378(P2010−277378A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129920(P2009−129920)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】