説明

測位システム、端末装置、測位システムの制御方法、端末装置の制御方法、測位システムの制御プログラム及び端末装置の制御プログラム

【課題】GPS測位機能が組み込まれた端末装置をユーザの手に付けて歩行した場合、歩行に伴って手の位置が前後に振られるため、測位されたユーザの現在位置が微妙にずれることになる。
【解決手段】ユーザの歩行に伴い端末装置20が遥動状態にあるとき、遥動状態を検出した加速度センサ26aからの出力信号に基づいて、ユーザの腕が振られる基準周期時間29aを算出する。そして、端末装置20が遥動状態にあるときには、予め設定されている設定測位間隔29bを基に、基準周期時間29aの整数倍の時間の間隔で測位処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位システム、端末装置、測位システムの制御方法、端末装置の制御方法、測位システムの制御プログラム及び端末装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
位置情報衛星を利用して測位を行うGPS(Global Positioning System)が広く利用されている。GPSを利用した測位システムの中には、GPS測位機能を備える端末装置をユーザが所持し、ユーザの現在位置や移動経路をホスト装置において確認することができる測位システムが実用化されている。例えば、以下の特許文献1に記載されている測位システムでは、GPS測位機能を携帯電話等の端末装置に組み込み、この携帯電話等を所持しているユーザの現在位置や移動経路をホスト装置において把握できるようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−177772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1のような測位システムにおいて、GPS測位機能が組み込まれた携帯電話等をユーザが手に持って歩行した場合、歩行に伴って手の位置が前後に振られるため、測位されたユーザの現在位置が微妙にずれることになる。また、GPS測位機能を例えば腕時計に組み込み、ユーザがその腕時計を手首に付けて歩行した場合も、同様の問題が発生してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行う端末装置と、前記端末装置と通信が可能なホスト装置と、を含む測位システムであって、前記端末装置は、前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定部と、前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出部と、前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔を記憶する端末記憶部と、前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成する測位部と、前記生成された前記測位結果情報を前記ホスト装置へ送信する測位結果情報送信部と、を有し、前記ホスト装置は、前記端末装置から送信された前記測位結果情報を受信する測位結果情報受信部と、前記受信した測位結果情報に基づいて、前記端末装置の位置を含む情報を出力する端末情報出力部と、を有することを特徴とする測位システム。
【0007】
上記した測位システムによれば、端末装置において、遥動状態判定部により、携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、基準周期時間算出部が、端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する。そして、測位部が、測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔及び算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行い、測位結果情報送信部が、測位結果情報をホスト装置へ送信する。次に、ホスト装置において、測位結果情報受信部が、端末装置から送信された測位結果情報を受信し、端末情報出力部が、端末装置の位置を含む情報を出力する。
携帯された端末装置が遥動するとき、設定測位間隔及び遥動する周期から算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行う。このことから、端末装置が遥動するとき、基準周期時間に基づいて、端末装置が移動体に対して一定の位置にあるところで測位処理を行うことができる。このため、端末装置が遥動するときに、端末装置が移動体に対して近かったり遠かったりするような様々な位置で測位されるのを防ぐことができる。これにより、ホスト装置では、端末装置が遥動するときでも、移動体に対して一定の位置にある端末装置の位置を含む情報を出力することができる。
【0008】
[適用例2]
前記端末装置は、人体の腕に携帯されて、前記遥動状態判定部は、前記人体の歩行又は走行に伴い前記人体の腕が振られて前記端末装置が遥動するときに、前記端末装置が遥動状態にあると判定し、前記基準周期時間算出部は、前記人体の腕が振られる周期に基づいた前記基準周期時間を算出することを特徴とする上記測位システム。
【0009】
上記した測位システムによれば、人体の歩行又は走行に伴い腕に携帯された端末装置が遥動するときに、端末装置が遥動状態にあると判定し、基準周期時間算出部が、腕が振られる周期に基づいた基準周期時間を算出する。これにより、人体の歩行又は走行に伴い腕が前後に振られ、併せて端末装置も前後に振られる場合に、算出した基準周期時間に基づいて、体に対して一定の位置にある端末装置を測位することができる。
【0010】
[適用例3]
前記端末装置は、人体の足に携帯されて、前記遥動状態判定部は、前記人体の歩行又は走行に伴い前記人体の足が振られて前記端末装置が遥動するときに、前記端末装置が遥動状態にあると判定し、前記基準周期時間算出部は、前記人体の足が振られる周期に基づいた前記基準周期時間を算出することを特徴とする上記測位システム。
【0011】
上記した測位システムによれば、人体の歩行又は走行に伴い足に携帯された端末装置が遥動するときに、端末装置が遥動状態にあると判定し、基準周期時間算出部が、足が振られる周期に基づいた基準周期時間を算出する。これにより、人体の歩行又は走行に伴い足が前後に振られ、併せて端末装置も前後に振られる場合に、算出した基準周期時間に基づいて、体に対して一定の位置にある端末装置を測位することができる。
【0012】
[適用例4]
前記測位部は、前記携帯された端末装置が遥動状態にないと判定されたときに、前記記憶された設定測位間隔の時間の間隔において測位処理を行うことを特徴とする上記測位システム。
【0013】
上記した測位システムによれば、端末装置が遥動状態にないと判定されたとき、測位部が、設定測位間隔の時間の間隔において測位処理を行う。これにより、端末装置が遥動しないで移動体に対して一定の位置にあるとき、予め記憶された設定測位間隔通りに測位を行うことができる。
【0014】
[適用例5]
前記測位部は、前記基準周期時間の整数倍の時間の間隔において前記測位処理を行うことを特徴とする上記測位システム。
【0015】
上記した測位システムによれば、測位部が、基準周期時間の整数倍の時間の間隔において測位処理を行うことから、端末装置が遥動するときにも、移動体に対して一定の位置にあるところで測位処理を行うことができる。
【0016】
[適用例6]
前記遥動状態判定部は、前記端末装置の動きに起因する加速度を検出する加速度センサを有することを特徴とする上記測位システム。
【0017】
上記した測位システムによれば、端末装置が遥動状態にあるときに、加速度センサにより、端末装置の動きに起因する加速度を検出することができる。そして、検出した加速度に基づいて、端末装置が遥動する周期及び動きの強度等を算出することで、端末装置が遥動状態にあるか否かを判定することができる。
【0018】
[適用例7]
前記ホスト装置は、地図情報を記憶するホスト記憶部を更に有し、前記端末情報出力部は、前記受信した測位結果情報及び前記記憶された地図情報に基づいて、前記端末装置の位置を含む情報を出力することを特徴とする上記測位システム。
【0019】
上記した測位システムによれば、ホスト装置において地図情報を記憶し、端末情報出力部が、測位結果情報及び地図情報に基づいて、端末装置の位置を含む情報を出力する。これにより、端末情報出力部は、測位結果情報に対応した地図情報や、当該地図情報における端末装置の位置や移動経路等を出力することができる。
【0020】
[適用例8]
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行い、ホスト装置と通信が可能な端末装置であって、前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定部と、前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出部と、前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔を記憶する端末記憶部と、前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成する測位部と、前記生成された前記測位結果情報を前記ホスト装置へ送信する測位結果情報送信部と、を有することを特徴とする端末装置。
【0021】
上記した端末装置によれば、遥動状態判定部により、携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、基準周期時間算出部が、端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する。そして、測位部が、測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔及び算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行い、測位結果情報送信部が、測位結果情報をホスト装置へ送信する。
携帯された端末装置が遥動するとき、設定測位間隔及び遥動する周期から算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行う。このことから、端末装置が遥動するとき、基準周期時間に基づいて、端末装置が移動体に対して一定の位置にあるところで測位処理を行うことができる。このため、端末装置が遥動するときに、端末装置が移動体に対して近かったり遠かったりするような様々な位置で測位されるのを防ぐことができる。
【0022】
[適用例9]
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行う端末装置であって、前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定部と、前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出部と、前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔を記憶する端末記憶部と、前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成し、当該生成された測位結果情報を前記端末記憶部に記憶させる測位部と、前記記憶された測位結果情報に基づいて、前記端末装置の位置を含む情報を出力する端末情報出力部と、を有することを特徴とする端末装置。
【0023】
上記した端末装置によれば、遥動状態判定部により、携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、基準周期時間算出部が、端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する。そして、測位部が、測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔及び算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行い、端末記憶部が、測位結果情報を記憶する。次に、記憶された測位結果情報に基づいて、端末情報出力部が、端末装置の位置を含む情報を出力する。
携帯された端末装置が遥動するとき、設定測位間隔及び遥動する周期から算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行う。このことから、端末装置が遥動するとき、基準周期時間に基づいて、端末装置が移動体に対して一定の位置にあるところで測位処理を行うことができる。このため、端末装置が遥動するときに、端末装置が移動体に対して近かったり遠かったりするような様々な位置で測位されるのを防ぐことができる。これにより、端末装置が遥動するときでも、移動体に対して一定の位置にある端末装置の位置を含む情報を出力することができる。
【0024】
[適用例10]
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行う端末装置と、前記端末装置と通信が可能なホスト装置と、を含む測位システムの制御方法であって、前記端末装置は、前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定工程と、前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出工程と、前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔が記憶され、前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成する測位工程と、前記生成された前記測位結果情報を前記ホスト装置へ送信する測位結果情報送信工程と、を有し、前記ホスト装置は、前記端末装置から送信された前記測位結果情報を受信する測位結果情報受信工程と、前記受信した測位結果情報に基づいて、前記端末装置の位置を含む情報を出力する端末情報出力工程と、を有することを特徴とする測位システムの制御方法。
【0025】
上記した測位システムの制御方法によれば、端末装置において、遥動状態判定工程により、携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、基準周期時間算出工程により、端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する。そして、測位工程により、測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔及び算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行い、測位結果情報送信工程により、測位結果情報をホスト装置へ送信する。次に、ホスト装置において、測位結果情報受信工程により、端末装置から送信された測位結果情報を受信し、端末情報出力工程により、端末装置の位置を含む情報を出力する。
携帯された端末装置が遥動するとき、設定測位間隔及び遥動する周期から算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行う。このことから、端末装置が遥動するとき、基準周期時間に基づいて、端末装置が移動体に対して一定の位置にあるところで測位処理を行うことができる。このため、端末装置が遥動するときに、端末装置が移動体に対して近かったり遠かったりするような様々な位置で測位されるのを防ぐことができる。これにより、ホスト装置では、端末装置が遥動するときでも、移動体に対して一定の位置にある端末装置の位置を含む情報を出力することができる。
【0026】
[適用例11]
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行い、ホスト装置と通信が可能な端末装置の制御方法であって、前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定工程と、前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出工程と、前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔が記憶され、前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成する測位工程と、前記生成された前記測位結果情報を前記ホスト装置へ送信する測位結果情報送信工程と、を有することを特徴とする端末装置の制御方法。
【0027】
上記した端末装置の制御方法によれば、遥動状態判定工程により、携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、基準周期時間算出工程により、端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する。そして、測位工程により、測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔及び算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行い、測位結果情報送信工程により、測位結果情報をホスト装置へ送信する。
携帯された端末装置が遥動するとき、設定測位間隔及び遥動する周期から算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行う。このことから、端末装置が遥動するとき、基準周期時間に基づいて、端末装置が移動体に対して一定の位置にあるところで測位処理を行うことができる。このため、端末装置が遥動するときに、端末装置が移動体に対して近かったり遠かったりするような様々な位置で測位されるのを防ぐことができる。
【0028】
[適用例12]
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行う端末装置の制御方法であって、前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定工程と、前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出工程と、前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔が記憶され、前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成し、当該生成された測位結果情報を記憶させる測位工程と、前記記憶された測位結果情報に基づいて、前記端末装置の位置を含む情報を出力する端末情報出力工程と、を有することを特徴とする端末装置の制御方法。
【0029】
上記した端末装置の制御方法によれば、遥動状態判定工程により、携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、基準周期時間算出工程により、端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する。そして、測位工程により、測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔及び算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行い、測位結果情報を記憶する。次に、記憶された測位結果情報に基づいて、端末情報出力工程により、端末装置の位置を含む情報を出力する。
携帯された端末装置が遥動するとき、設定測位間隔及び遥動する周期から算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行う。このことから、端末装置が遥動するとき、基準周期時間に基づいて、端末装置が移動体に対して一定の位置にあるところで測位処理を行うことができる。このため、端末装置が遥動するときに、端末装置が移動体に対して近かったり遠かったりするような様々な位置で測位されるのを防ぐことができる。これにより、端末装置が遥動するときでも、移動体に対して一定の位置にある端末装置の位置を含む情報を出力することができる。
【0030】
[適用例13]
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行う端末装置と、前記端末装置と通信が可能なホスト装置と、を含む測位システムの制御プログラムであって、前記端末装置は、前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定機能と、前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出機能と、前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔が記憶され、前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成する測位機能と、前記生成された前記測位結果情報を前記ホスト装置へ送信する測位結果情報送信機能と、を有し、前記ホスト装置は、前記端末装置から送信された前記測位結果情報を受信する測位結果情報受信機能と、前記受信した測位結果情報に基づいて、前記端末装置の位置を含む情報を出力する端末情報出力機能と、を有することを特徴とする測位システムの制御プログラム。
【0031】
上記した測位システムの制御プログラムによれば、端末装置において、遥動状態判定機能により、携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、基準周期時間算出機能により、端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する。そして、測位機能により、測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔及び算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行い、測位結果情報送信機能により、測位結果情報をホスト装置へ送信する。次に、ホスト装置において、測位結果情報受信機能により、端末装置から送信された測位結果情報を受信し、端末情報出力機能により、端末装置の位置を含む情報を出力する。
携帯された端末装置が遥動するとき、設定測位間隔及び遥動する周期から算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行う。このことから、端末装置が遥動するとき、基準周期時間に基づいて、端末装置が移動体に対して一定の位置にあるところで測位処理を行うことができる。このため、端末装置が遥動するときに、端末装置が移動体に対して近かったり遠かったりするような様々な位置で測位されるのを防ぐことができる。これにより、ホスト装置では、端末装置が遥動するときでも、移動体に対して一定の位置にある端末装置の位置を含む情報を出力することができる。
【0032】
[適用例14]
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行い、ホスト装置と通信が可能な端末装置の制御プログラムであって、前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定機能と、前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出機能と、前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔が記憶され、前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成する測位機能と、前記生成された前記測位結果情報を前記ホスト装置へ送信する測位結果情報送信機能と、を有することを特徴とする端末装置の制御プログラム。
【0033】
上記した端末装置の制御プログラムによれば、遥動状態判定機能により、携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、基準周期時間算出機能により、端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する。そして、測位機能により、測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔及び算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行い、測位結果情報送信機能により、測位結果情報をホスト装置へ送信する。
携帯された端末装置が遥動するとき、設定測位間隔及び遥動する周期から算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行う。このことから、端末装置が遥動するとき、基準周期時間に基づいて、端末装置が移動体に対して一定の位置にあるところで測位処理を行うことができる。このため、端末装置が遥動するときに、端末装置が移動体に対して近かったり遠かったりするような様々な位置で測位されるのを防ぐことができる。
【0034】
[適用例15]
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行う端末装置の制御プログラムであって、前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定機能と、前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出機能と、前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔が記憶され、前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成し、当該生成された測位結果情報を記憶させる測位機能と、前記記憶された測位結果情報に基づいて、前記端末装置の位置を含む情報を出力する端末情報出力機能と、を有することを特徴とする端末装置の制御プログラム。
【0035】
上記した端末装置の制御プログラムによれば、遥動状態判定機能により、携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、基準周期時間算出機能により、端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する。そして、測位機能により、測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔及び算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行い、測位結果情報を記憶する。次に、記憶された測位結果情報に基づいて、端末情報出力機能により、端末装置の位置を含む情報を出力する。
携帯された端末装置が遥動するとき、設定測位間隔及び遥動する周期から算出した基準周期時間に基づいた時間の間隔において測位処理を行う。このことから、端末装置が遥動するとき、基準周期時間に基づいて、端末装置が移動体に対して一定の位置にあるところで測位処理を行うことができる。このため、端末装置が遥動するときに、端末装置が移動体に対して近かったり遠かったりするような様々な位置で測位されるのを防ぐことができる。これにより、端末装置が遥動するときでも、移動体に対して一定の位置にある端末装置の位置を含む情報を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る測位システムについて図面を参照して説明する。
【0037】
<測位システムの概略>
最初に、第1実施形態に係る測位システムの概略について説明する。
図1は、第1実施形態に係る測位システム10を示す概略図である。同図に示すように、測位システム10は、端末装置20及びホスト装置60を含んで構成される。
【0038】
端末装置20は、例えば、移動体としてのユーザM1の手首等の腕に携帯される腕時計であり、GPS(Global Positioning System)を利用しての測位処理が可能な構成となっている。端末装置20は、図1に示す位置情報衛星としての各GPS衛星12a,12b,12c,12d等から、衛星電波となる信号S1,S2,S3,S4等を受信し、各信号に含まれる航法メッセージを解析して測位を行う。ここで、図1では、手首に端末装置20を付けたユーザM1が、右手と左手とを交互に前後に振りながら白抜き矢印R1の方向に歩行している状態を示している。
【0039】
ホスト装置60は、端末装置20において測位した情報に基づいて、端末装置20の現在位置及び移動経路等を地図上に表示可能な構成となっている。ホスト装置60は、インターネット網80を介して端末装置20と接続可能であり、端末装置20において測位した情報を受信することができる。なお、端末装置20とホスト装置60との接続は、インターネット網80に限られない。
【0040】
<端末装置の機能構成>
次に、第1実施形態に係る端末装置20の機能構成について説明する。
図2は、端末装置20の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、端末装置20は、制御部21、通信部22、表示部23、操作部24、時計部25、遥動状態判定部26、基準周期時間算出部27、測位部28及び端末記憶部29を備えて構成されている。
【0041】
制御部21は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を備え、端末装置20における各部を統括的に制御する。通信部22は、制御部21の制御に基づいて、インターネット網80を介してホスト装置60との間でデータ通信を行う。通信部22には、ホスト装置60へ測位結果情報(後述)を送信する測位結果情報送信部22aが含まれる。
表示部23は、制御部21の制御に基づいて、時刻等の各種の情報を例えばLCD(Liquid Crystal Display)等に表示する。操作部24は、制御部21の制御に基づいて、端末装置20のユーザM1からの操作指示を、例えばボタン等により受け付け、操作指示に応じた信号を制御部21に供給する。時計部25は、計時機構を備えており、制御部21の制御に基づいて、時刻や所定の時間の間隔を計時する。
【0042】
遥動状態判定部26は、端末装置20の動きに起因する加速度を検出する加速度センサ26aを備える。この加速度センサ26aは、ユーザM1の歩行に伴って腕が前後に振られて端末装置20が遥動するときに加速度を検出する。そして、遥動状態判定部26は、制御部21の制御に基づいて、このときの加速度センサ26aからの出力信号により、端末装置20が遥動状態にあるか否かを判定する。端末装置20が遥動状態にあるときに、基準周期時間算出部27は、制御部21の制御に基づいて、加速度センサ26aからの出力信号により、ユーザM1の腕が振られる周期時間を示す基準周期時間29aを算出する。算出した基準周期時間29aは、端末記憶部29に保存する。なお、遥動状態判定部26及び基準周期時間算出部27における処理の詳細については後述する。
【0043】
測位部28は、制御部21の制御に基づいて、図示しないアンテナを介して、各GPS衛星12a等からの信号S1等を受信する。そして、受信した信号S1等に含まれる航法メッセージを解析して測位処理を行い、端末装置20の位置を示す測位結果情報29dを生成する。生成した測位結果情報29dは、端末記憶部29に保存する。また、測位部28では、実際に測位処理を行う時間の間隔を示す実測測位間隔29cを算出し、端末記憶部29に保存する。なお、測位部28において実測測位間隔29cを算出する処理の詳細については後述する。
【0044】
端末記憶部29は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリのような不揮発性メモリである。端末記憶部29には、基準周期時間29a、設定測位間隔29b、実測測位間隔29c及び測位結果情報29d等が保存される。ここで、設定測位間隔29bは、予め操作部24を介してユーザM1により設定された時間、又は端末装置20の初期値として設定されている時間であり、端末装置20が測位処理を行うべき時間の間隔が設定されている。
【0045】
次に、遥動状態判定部26及び基準周期時間算出部27における処理の詳細について説明する。
図3は、歩行時において腕が振られる動作状態を示す説明図である。同図に示すように、通常の歩行状態では、肩関節を支点として腕が身体の前後方向に振られる。ここでは、端末装置20の位置について、腕が身体の最も後ろに位置したときをPA、身体の中央に位置したときをPB、身体の最も前に位置したときをPCとしている。
図4は、加速度センサ26aの出力信号を示す説明図である。横軸tは時間の経過を示し、縦軸sは加速度センサ26aからの信号の出力を示す。加速度センサ26aは、ユーザM1の歩行に伴って腕が振られたときの加速度を検出し、図4に示すような略正弦波となるW1波の信号を出力する。図3において端末装置20がPA,PB,PCに位置したとき、加速度センサ26aからのそれぞれの出力信号は、図4のW1波上におけるPA,PB,PCの位置に対応する。つまり、図3に示す腕が1往復する周期は、図4のW1波上におけるPA,PB,PC,PB,PAに相当し、この周期の時間T1が基準周期時間29aに相当する。
【0046】
また、図4に示すW1波の振幅値は、ユーザM1の腕が振られる強度に連動する。このことから、ユーザM1の歩行に伴い端末装置20が遥動状態にあるか否かの判定は、W1波の振幅値が所定の大きさ以上であって、且つW1波の周期時間T1が所定の回数以上生じたときに、端末装置20が遥動状態にあると判定する。
【0047】
次に、測位部28において実測測位間隔29cを算出する処理の詳細について説明する。測位部28では、端末装置20が遥動状態にあるとき、端末装置20の測位位置が腕の振れによって身体の前後にばらつくのを防止するような実測測位間隔29cを算出する。具体的には、端末装置20の位置を測位するとき、必ず身体の一定の位置で測位できるような実測測位間隔29cを算出する。このため、実測測位間隔29cは、端末記憶部29に保存されている基準周期時間29aの整数倍の時間となる。
一方、端末装置20が遥動状態にないとき、実測測位間隔29cには、端末記憶部29に保存されている設定測位間隔29bをセットする。なお、ここで、設定測位間隔29bをセットしないで、算出済みの実測測位間隔29cをそのまま用いても良い。
【0048】
図5は、実測測位間隔29cの算出例を示す図である。同図では、基準周期時間が0.9秒の場合における設定測位間隔29b及び実測測位間隔29cの例を示している。ここでは、設定測位間隔29bが1秒のとき、実測測位間隔29cは、0.9秒×1を算出することで0.9秒となる。また、設定測位間隔29bが5秒のとき、実測測位間隔29cは、0.9秒×6を算出することで5.4秒となる。また、設定測位間隔29bが10秒のとき、実測測位間隔29cは、0.9秒×11を算出することで9.9秒となる。また、設定測位間隔29bが30秒のとき、実測測位間隔29cは、0.9秒×33を算出することで29.7秒となる。
【0049】
なお、上記では、遥動状態判定部26において、ユーザM1の歩行に伴い端末装置20が遥動状態にあるか否かを判定したが、これに限られず、ユーザM1の走行に伴い端末装置20が遥動状態にあるか否かを判定しても良い。この場合、ユーザM1の走行に伴い腕が振られる周期を基準周期時間29aとする。
また、上記では、ユーザM1の手首等の腕に携帯される端末装置20の例について説明したが、これに限られず、例えば、ユーザM1の足首等の足に携帯される端末装置20でも良い。この場合、端末装置20が遥動状態にあるか否かの判定は、ユーザM1の歩行や走行に伴って足が前後に振られて端末装置20が遥動するときに、加速度センサ26aからの出力信号により判定する。このとき、ユーザM1の歩行や走行に伴いユーザM1の足が振られる周期を基準周期時間29aとする。
また、端末装置20は、腕時計に限られず、例えば、携帯型電話装置、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Digital Assistance)、歩数計及び携帯可能なナビゲーション等でも良い。
【0050】
<ホスト装置の機能構成>
次に、第1実施形態に係るホスト装置60の機能構成について説明する。
図6は、ホスト装置60の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、ホスト装置60は、制御部61、出力部としての表示部62、操作部63、通信部64及びホスト記憶部65を備えて構成されている。
【0051】
制御部61は、図示しないCPU、RAM及びROM等を備え、ホスト装置60の各部を統括的に制御する。端末情報出力部としての表示部62は、制御部61の制御に基づいて、端末装置20の現在位置や移動経路等を示す地図画像、及び各種の操作メッセージ等を例えばCRT(Cathode Ray Tube)やLCD等に表示する。操作部63は、制御部61の制御に基づいて、ホスト装置60のユーザM1からの操作指示を、例えばキーボード、ボタン、マウス及びタッチパネル等により受け付け、操作指示に応じた信号を制御部61に供給する。
【0052】
通信部64は、制御部61の制御に基づいて、インターネット網80を介して端末装置20との間でデータ通信を行う。通信部64には、端末装置20から測位結果情報29dを受信する測位結果情報受信部64aが含まれ、受信した測位結果情報29dは、測位結果情報65bとしてホスト記憶部65に保存される。ホスト記憶部65は、例えばハードディスクのような外部記憶装置であり、地図情報65a及び測位結果情報65b等を保存する。
【0053】
<測位システムにおける動作>
次に、第1実施形態に係る測位システム10における動作について説明する。
最初に、端末装置20における動作について説明する。
図7は、第1実施形態に係る端末装置20における動作を示すフローチャートである。
【0054】
先ず、ステップS110では、端末装置20は、端末装置20に備えた加速度センサ26aにより、端末装置20が遥動する加速度を検出する。ユーザM1の歩行に伴って腕が前後に振られているときに、端末装置20も併せて遥動して加速度が検出される。
【0055】
ステップS120では、端末装置20は、ステップS110における加速度の検出の結果、端末装置20が遥動状態にあるか否かを判定する。端末装置20が遥動状態にある場合は、ステップS130へ進む。
他方、端末装置20が遥動状態にない場合は、ステップS150へ進み、端末記憶部29に保存されている設定測位間隔29bを端末記憶部29の実測測位間隔29cへセットし、ステップS160へ進む。即ち、端末装置20が遥動状態にない場合、端末装置20は、予め設定されている設定測位間隔29bにより測位処理を行うことになる。
【0056】
ステップS130では、端末装置20は、ステップS110における加速度センサ26aからの出力信号に基づいて、基準周期時間29aを算出して端末記憶部29に保存する。
【0057】
ステップS140では、端末装置20は、端末記憶部29に保存されている設定測位間隔29b及びステップS130において算出した基準周期時間29aに基づいて、実測測位間隔29cを算出して端末記憶部29に保存する。そして、ステップS160へ進む。
【0058】
ステップS160では、端末装置20は、時計部25における計時時間が、端末記憶部29に保存されている実測測位間隔29cに到達したか否かを判定する。計時時間が実測測位間隔29cに到達した場合は、次のステップS170へ進む。
他方、計時時間が実測測位間隔29cに到達していない場合は、ステップS110に戻り、端末装置20の遥動を検出する処理を繰り返す。
【0059】
ステップS170では、端末装置20は、各GPS衛星12a等からの各信号S1等を受信し、受信した信号S1等に含まれる航法メッセージを解析して測位処理を行う。測位処理により生成した端末装置20の位置を示す測位結果情報29dは、端末記憶部29に保存する。
【0060】
ステップS180では、端末装置20は、ステップS170において生成した測位結果情報29dを、インターネット網80を介してホスト装置60へ送信する。そして、ステップS110に戻り、端末装置20の遥動を検出する処理を繰り返す。
【0061】
次に、ホスト装置60における動作について説明する。
図8は、第1実施形態に係るホスト装置60における動作を示すフローチャートである。
【0062】
先ず、ステップS210では、ホスト装置60は、端末装置20からインターネット網80を介して送信された測位結果情報29dを受信する。受信した測位結果情報29dは、ホスト記憶部65に測位結果情報65bとして保存する。
【0063】
ステップS220では、ホスト装置60は、ホスト記憶部65に保存されている地図情報65aから、保存されている測位結果情報65bに基づいて地図情報を検索する。
【0064】
ステップS230では、ホスト装置60は、ステップS220において検索された地図情報に端末装置20の現在位置や移動経路等の情報を含んで画面表示する。なお、ここで、地図情報に、端末装置の移動経路の他に、端末装置の移動速度や移動距離等を算出して表示しても良い。
【0065】
なお、上記ステップS110及びS120は、遥動状態判定工程及び遥動状態判定機能に相当する。また、上記ステップS130は、基準周期時間算出工程及び基準周期時間算出機能に相当する。また、上記ステップS140〜S170は、測位工程及び測位機能に相当する。また、上記ステップS180は、測位結果情報送信工程及び測位結果情報送信機能に相当する。また、上記ステップS210は、測位結果情報受信工程及び測位結果情報受信機能に相当する。また、上記ステップS220及びS230は、端末情報出力工程及び端末情報出力機能に相当する。
【0066】
<効果>
上述したように、本実施形態における測位システム10では、ユーザM1の歩行に伴い端末装置20が遥動状態にあるとき、遥動状態を検出した加速度センサ26aからの出力信号に基づいて、ユーザM1の腕が振られる基準周期時間29aを算出する。そして、端末装置20が遥動状態にあるとき、予め設定されている設定測位間隔29bを基に、基準周期時間29aの整数倍の時間の間隔で測位処理を行う。
ユーザM1が歩行しているとき、設定測位間隔29bの時間の間隔において測位処理を行った場合、ユーザM1の腕が前後に振られることにより、端末装置20の測位位置も前後に振られて様々な位置で測位してしまう可能性がある。本実施形態における測位システム10では、予め設定されている設定測位間隔29bを基に、基準周期時間29aの整数倍の時間の間隔で測位処理を行うことから、ユーザM1の体の一定の位置、例えばユーザM1の腕が体の最も前方にある位置において測位処理を行うことができる。これにより、ユーザM1が歩行しているときに、測位位置がばらついてしまうのを防止することができる。
この結果、測位処理を行い生成された測位結果情報29dを受信するホスト装置60では、地図情報に端末装置20の移動経路、移動速度や移動距離等を表示するときに、端末装置20が遥動することによる悪影響を受けることなく、正確な情報を表示することができる。
【0067】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係る端末装置について図面を参照して説明する。
【0068】
最初に、第2実施形態に係る端末装置の概略について説明する。
図9は、第2実施形態に係る端末装置40を示す概略図である。同図に示すように、第2実施形態に係る端末装置40は、図1に示す第1実施形態に係る測位システム10と異なり、ホスト装置60を含まないで、端末装置40単独の構成となっている。この端末装置40は、第1実施形態に係る端末装置20と同様に、例えば、ユーザM1の手首等の腕に携帯される腕時計であり、GPSを利用しての測位処理が可能な構成となっている。なお、端末装置40は、第1実施形態に係る端末装置20と同様に、例えば、携帯型電話装置、PHS、PDA、歩数計及び携帯可能なナビゲーション等でも良い。また、ユーザM1の足首等の足に携帯される端末装置40でも良い。
【0069】
次に、第2実施形態に係る端末装置40の機能構成及び動作について説明する。
図10は、第2実施形態に係る端末装置40の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、端末装置40は、図2に示す第1実施形態に係る端末装置20の構成から、通信部22を省いた構成となっている。また、端末記憶部29には、地図情報29eが保存されている。
【0070】
図11は、第2実施形態に係る端末装置40における動作を示すフローチャートである。同図(a)に示すフローチャートは、図7に示す第1実施形態に係る端末装置20のフローチャートからステップS180の処理(測位結果情報29dをホスト装置60へ送信する処理)を省いた内容となっている。つまり、第2実施形態に係る端末装置40は、第1実施形態に係る端末装置20と異なり、ステップS170において生成した測位結果情報29dをホスト装置60へは送信しないで、その全てを端末装置40の端末記憶部29に保存する。
【0071】
また、図11(b)に示すフローチャートは、図8に示す第1実施形態に係るホスト装置60のフローチャートからステップS210の処理(送信された測位結果情報29dを受信する処理)を省いた内容となっている。つまり、第2実施形態に係る端末装置40は、端末装置40において、第1実施形態に係るホスト装置60と同様に、ステップS220において、端末記憶部29に保存されている地図情報29eから、保存されている測位結果情報29dに対応する地図情報を検索する。そして、ステップS230において、端末装置40は、ステップS220において検索された地図情報に端末装置40の現在位置や移動経路等の情報を含んで画面表示する。
【0072】
<効果>
上述したように、本実施形態における端末装置40では、ユーザM1の歩行に伴い端末装置40が遥動状態にあるとき、ユーザM1の腕が振られる基準周期時間29aを算出し、予め設定されている設定測位間隔29bを基に、基準周期時間29aの整数倍の時間の間隔で測位処理を行う。そして、生成した測位結果情報29dの全てを端末記憶部29に保存する。次に、端末装置40において、地図情報を検索し、端末装置40の現在位置や移動経路等の情報を含んで画面表示する。
この結果、端末装置40において、地図情報に端末装置40の移動経路、移動速度や移動距離等を表示するときに、端末装置40が遥動することによる悪影響を受けることなく、正確な情報を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1実施形態に係る測位システムを示す概略図。
【図2】端末装置の機能構成を示すブロック図。
【図3】歩行時において腕が振られる動作状態を示す説明図。
【図4】加速度センサの出力信号を示す説明図。
【図5】実測測位間隔の算出例を示す図。
【図6】ホスト装置の機能構成を示すブロック図。
【図7】第1実施形態に係る端末装置における動作を示すフローチャート。
【図8】第1実施形態に係るホスト装置における動作を示すフローチャート。
【図9】第2実施形態に係る端末装置を示す概略図。
【図10】第2実施形態に係る端末装置の機能構成を示すブロック図。
【図11】第2実施形態に係る端末装置における動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0074】
S1,S2,S3,S4…信号、10…測位システム、12a…GPS衛星、20,40…端末装置、21…制御部、22…通信部、22a…測位結果情報送信部、23…表示部、24…操作部、25…時計部、26…遥動状態判定部、26a…加速度センサ、27…基準周期時間算出部、28…測位部、29…端末記憶部、29a…基準周期時間、29b…設定測位間隔、29c…実測測位間隔、29d,65b…測位結果情報、29e…地図情報、60…ホスト装置、61…制御部、62…表示部、63…操作部、64…通信部、64a…測位結果情報受信部、65…ホスト記憶部、65a…地図情報、80…インターネット網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行う端末装置と、
前記端末装置と通信が可能なホスト装置と、を含む測位システムであって、
前記端末装置は、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定部と、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出部と、
前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔を記憶する端末記憶部と、
前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成する測位部と、
前記生成された前記測位結果情報を前記ホスト装置へ送信する測位結果情報送信部と、を有し、
前記ホスト装置は、
前記端末装置から送信された前記測位結果情報を受信する測位結果情報受信部と、
前記受信した測位結果情報に基づいて、前記端末装置の位置を含む情報を出力する端末情報出力部と、を有することを特徴とする測位システム。
【請求項2】
前記端末装置は、人体の腕に携帯されて、
前記遥動状態判定部は、前記人体の歩行又は走行に伴い前記人体の腕が振られて前記端末装置が遥動するときに、前記端末装置が遥動状態にあると判定し、
前記基準周期時間算出部は、前記人体の腕が振られる周期に基づいた前記基準周期時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の測位システム。
【請求項3】
前記端末装置は、人体の足に携帯されて、
前記遥動状態判定部は、前記人体の歩行又は走行に伴い前記人体の足が振られて前記端末装置が遥動するときに、前記端末装置が遥動状態にあると判定し、
前記基準周期時間算出部は、前記人体の足が振られる周期に基づいた前記基準周期時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の測位システム。
【請求項4】
前記測位部は、前記移動体に携帯された端末装置が遥動状態にないと判定されたときに、前記記憶された設定測位間隔の時間の間隔において測位処理を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の測位システム。
【請求項5】
前記測位部は、前記基準周期時間の整数倍の時間の間隔において前記測位処理を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の測位システム。
【請求項6】
前記遥動状態判定部は、前記端末装置の動きに起因する加速度を検出する加速度センサを有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の測位システム。
【請求項7】
前記ホスト装置は、地図情報を記憶するホスト記憶部を更に有し、
前記端末情報出力部は、前記受信した測位結果情報及び前記記憶された地図情報に基づいて、前記端末装置の位置を含む情報を出力することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の測位システム。
【請求項8】
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行い、ホスト装置と通信が可能な端末装置であって、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定部と、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出部と、
前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔を記憶する端末記憶部と、
前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成する測位部と、
前記生成された前記測位結果情報を前記ホスト装置へ送信する測位結果情報送信部と、を有することを特徴とする端末装置。
【請求項9】
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行う端末装置であって、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定部と、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出部と、
前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔を記憶する端末記憶部と、
前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成し、当該生成された測位結果情報を前記端末記憶部に記憶させる測位部と、
前記記憶された測位結果情報に基づいて、前記端末装置の位置を含む情報を出力する端末情報出力部と、を有することを特徴とする端末装置。
【請求項10】
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行う端末装置であって、
前記端末装置と通信が可能なホスト装置と、を含む測位システムの制御方法であって、
前記端末装置は、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定工程と、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出工程と、
前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔が記憶され、
前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成する測位工程と、
前記生成された前記測位結果情報を前記ホスト装置へ送信する測位結果情報送信工程と、を有し、
前記ホスト装置は、
前記端末装置から送信された前記測位結果情報を受信する測位結果情報受信工程と、
前記受信した測位結果情報に基づいて、前記端末装置の位置を含む情報を出力する端末情報出力工程と、を有することを特徴とする測位システムの制御方法。
【請求項11】
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行い、ホスト装置と通信が可能な端末装置の制御方法であって、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定工程と、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出工程と、
前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔が記憶され、
前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成する測位工程と、
前記生成された前記測位結果情報を前記ホスト装置へ送信する測位結果情報送信工程と、を有することを特徴とする端末装置の制御方法。
【請求項12】
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行う端末装置の制御方法であって、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定工程と、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出工程と、
前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔が記憶され、
前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成し、当該生成された測位結果情報を記憶させる測位工程と、
前記記憶された測位結果情報に基づいて、前記端末装置の位置を含む情報を出力する端末情報出力工程と、を有することを特徴とする端末装置の制御方法。
【請求項13】
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行う端末装置と、
前記端末装置と通信が可能なホスト装置と、を含む測位システムの制御プログラムであって、
前記端末装置は、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定機能と、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出機能と、
前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔が記憶され、
前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成する測位機能と、
前記生成された前記測位結果情報を前記ホスト装置へ送信する測位結果情報送信機能と、を有し、
前記ホスト装置は、
前記端末装置から送信された前記測位結果情報を受信する測位結果情報受信機能と、
前記受信した測位結果情報に基づいて、前記端末装置の位置を含む情報を出力する端末情報出力機能と、を有することを特徴とする測位システムの制御プログラム。
【請求項14】
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行い、ホスト装置と通信が可能な端末装置の制御プログラムであって、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定機能と、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出機能と、
前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔が記憶され、
前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成する測位機能と、
前記生成された前記測位結果情報を前記ホスト装置へ送信する測位結果情報送信機能と、を有することを特徴とする端末装置の制御プログラム。
【請求項15】
移動体に携帯されて位置情報衛星の衛星電波を利用して測位処理を行う端末装置の制御プログラムであって、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあるか否かを判定する遥動状態判定機能と、
前記携帯された端末装置が遥動状態にあると判定されたときに、前記端末装置が遥動する周期に基づいた基準周期時間を算出する基準周期時間算出機能と、
前記測位処理を行うべき時間の間隔を規定する設定測位間隔が記憶され、
前記記憶された設定測位間隔及び前記基準周期時間に基づいた時間の間隔において前記測位処理を行って前記端末装置の位置を含む測位結果情報を生成し、当該生成された測位結果情報を記憶させる測位機能と、
前記記憶された測位結果情報に基づいて、前記端末装置の位置を含む情報を出力する端末情報出力機能と、を有することを特徴とする端末装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−128146(P2009−128146A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302639(P2007−302639)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】