説明

測定顕微鏡

【課題】本発明は、比較的安価で狭視野なテレセントリックレンズなどの光学系レンズを使用して高精度、かつ全体を見渡した測定を行うことが可能となる測定顕微鏡に関するものである。
【解決手段】本発明は、ステージ1上に載置された被検物Bを撮影するために光学系レンズ5を装着した被検物撮影カメラ2と、前記被検物B周辺を含んで撮影する周辺撮影カメラ4とを設置し、前記周辺撮影カメラ4で撮影した映像内に前記被検物撮影カメラ2で撮影した映像を出力した測定顕微鏡Aである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検物の輪郭形状の測定ならびに指定する箇所の測定を行う測定顕微鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被検物の輪郭形状の測定を行う画像測定機として、特許文献1に記載の入力される移動指令に基づき2方向に移動させるステージ駆動手段と、前記ステージの座標を検出し出力するステージ座標検出手段と、エッジ検出領域を移動させる検出領域移動部と、前記ステージ駆動手段及び前記検出領域移動部に移動指令を出力する制御手段を備えた画像測定機が発案されている。
【0003】
また、測定の精度を高めることが課題として、広い視野、即ち低い倍率であること、高い分解能、即ち高い倍率であることが望まれる課題を解決したものとして、特許文献2に記載の対象レンズと、前記対象レンズからの光束を分岐する光分岐手段と、前記光分岐手段で分岐した一方の光束を高倍率側で変倍する第1の光学系と、前記光分岐手段で分岐した他方の光束を低倍率側で変倍する第2の光学系とを有する画像検査・測定装置が発案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−189512号公報
【特許文献2】特開平11−183124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような被検物の輪郭形状の測定を行う画像測定機や測定顕微鏡は、測定の精度を高めることが課題としてある。測定精度を高めるために測定したい被検物の測定対象箇所をズームレンズなどを使用して、ズームアップさせた状態で表示させるなど狭い視野内において測定するのが一般的であるが、この場合、測定精度は向上するものの、被検物の一部しか観察することができず全体のどの部分を測定しているのかが分かりにくい状態である。また、ステージ駆動手段を用いてX−Yステージを使用した場合、その可動範囲が広いにもかかわらず、測定対象物である被検物の測定対象箇所がズームされた状態のままになってしまうのでズームレンズの視野が狭いため、複数の被検物をステージに並べて順次測定していく場合、どの被検物を測定しているか分からなくなる問題がある。
【0006】
そこで、ズーム光学系の柔軟性を生かしたまま、かつ大きな変倍比を得ることができるものとして、特許文献2に記載の画像検査・測定装置が発案されているが、こちらは、低倍率側のズーム光学系レンズと高倍率側のズーム光学系レンズを適宜選択することで、全体で0.5〜50倍の変倍範囲とするものであるが、特許文献1と同様に測定対象物である被検物の測定対象箇所がズームアップされればされるほど、被検物のピンポイントは拡大表示されてズームレンズの視野が狭くなってしまい、全体のどの部分を測定しているのかが分かりにくい状態になるのは特許文献2の場合でも同様である。
【0007】
また、それらの問題を解決すべく案として、測定の精度を上げるためにカメラの画素数を高くする方法が考えられるが、画素数を上げると価格も上がり、転送速度が落ちるため画像更新速度が落ち、使いづらい問題が発生してしまう。更に、別の解決案としてテレセントリックレンズなどの高精度な光学系レンズを使用して画像の歪、および深度に対する画像の寸法変化を抑えるなどの方法があるが、広視野のテレセントリックレンズは累乗的に価格が上がり、重量や大きさも大きくなるため、高価で大掛かりな装置になってしまう問題がある。また、低視野のテレセントリックレンズにすると、価格は抑えることはできるが、その分視野が狭く被検物の全体が把握できない不具合が発生してしまう問題がある。
【0008】
本発明の目的は、上記課題を解決し、比較的安価で狭視野なテレセントリックレンズなどの光学系レンズを使用して高精度、かつ全体を見渡した測定を行うことが可能となる測定顕微鏡を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、入力される移動指令に基づき直交する2方向に移動させるステージ駆動部を有するステージと、前記ステージ上に載置された被検物の全体または一部を撮影するために光学系レンズを装着した被検物撮影カメラと、前記被検物撮影カメラで撮影した画像から被検物の輪郭形状を測定するためのプログラムを有する情報処理装置に接続可能な画像測定機であって、前記被検物撮影カメラと隣接する位置に前記被検物周辺を含んで撮影する周辺撮影カメラを設置し、前記周辺撮影カメラで撮影した映像内に前記被検物撮影カメラで撮影した映像を出力した測定顕微鏡である。
【0010】
本発明は、入力される移動指令に基づき直交する2方向に移動させるステージ駆動部を有するステージと、前記ステージ上に載置された被検物の全体または一部を撮影するために光学系レンズを装着した被検物撮影カメラと、前記被検物撮影カメラで撮影した画像から被検物の輪郭形状を測定するためのプログラムを有する情報処理装置に接続可能な画像測定機であって、前記被検物撮影カメラと近傍する位置に前記被検物周辺を含んで撮影する周辺撮影カメラを設置するとともに、前記周辺撮影カメラと同じ光軸内にビームスプリッタを設置し、前記周辺撮影カメラで撮影した映像内に前記被検物撮影カメラで撮影した映像を出力した測定顕微鏡である。
【0011】
本発明は、ステージ駆動部によりステージを移動させて前記被検物撮影カメラでステージの範囲を均等に移動しながらステージ全体を細かく撮影した画像において、前記画像毎にステージの撮影位置を把握するための数値を割りふり、前記画像同士を結合した状態で前記画像内の指定したドット位置を原点とし、次の指定したドット位置の距離を算出する測定顕微鏡である。
【0012】
本発明は、周辺撮影カメラで撮影した被検物が写し出された画像の中の前記被検物とステージの色調明度差を読み取って前記被検物の設置場所を認識し、前記被検物撮影カメラの撮影場所をステージ駆動部によりステージを移動させて前記被検物を前記被検物撮影カメラで真上から撮影した測定顕微鏡である。
【0013】
本発明は、前記被検物撮影カメラで撮影した被検物の画像は、前記光学レンズの視野範囲より中心に向って内側の範囲に写し出される画像を使用する測定顕微鏡である。
【0014】
本発明は、ステージを可動させながら前記被検物撮影カメラで順次撮影を実施していくステージの可動スピードとモニタなどに写し出される周辺撮影カメラや被検物撮影カメラの撮影前の映像や周辺撮影カメラ及び被検物撮影カメラで映し出される画像を同スピードで動かしながら、ステージの可動方向とモニタなどに写し出される周辺撮影カメラや被検物撮影カメラの撮影前の映像や周辺撮影カメラ及び前記被検物撮影カメラの可動方向とを同方向に動かすことにより、モニタなどに写し出される映像や撮影した画像を静止しているかのようにモニタ上で表示させる測定顕微鏡である。
【0015】
本発明は、前記合成画像を正確な座標位置を把握したまま、前記合成画像の拡大や縮小並びに移動や回転の操作を自在にした測定顕微鏡である。
【0016】
本発明は、前記合成画像の中から前記被検物の画像を識別し、前記被検物の形状を自動測定する機能を備えた測定顕微鏡である。
【0017】
本発明は、明度となるL値を変化する処理を前記合成画像に施すことで、前記被検物の形状のエッジを強調させた測定顕微鏡である。
【0018】
本発明は、前記被検物の形状をトレースしDXF形式で書き出しできる測定顕微鏡である。
【0019】
本発明は、DXF形式のデータをコンピュータに読み込んで、前記被検物の画像と透過させ差異の確認ができる測定顕微鏡である。
【0020】
本発明は、前記周辺撮影カメラが48万画素以上の画素数をもつカメラである測定顕微鏡である。
【0021】
本発明は、前記被検物撮影カメラが48万画素以上の画素数をもつカメラである測定顕微鏡である。
【0022】
本発明は、幅300mm×高さ300mm以下の被検物を測定する測定顕微鏡である。
【0023】
本発明は、前記光学系レンズがテレセントリックレンズである測定顕微鏡である。
【0024】
本発明は、前記ビームスプリッタがハーフミラーである測定顕微鏡である。
【0025】
本発明は、XYZの動きを自動化させることで前記被検物の撮影焦点を自動フォーカスにした測定顕微鏡である。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、入力される移動指令に基づき直交する2方向に移動させるステージ駆動部を有するステージと、前記ステージ上に載置された被検物の全体または一部を撮影するために光学系レンズを装着した被検物撮影カメラと、前記被検物撮影カメラで撮影した画像から被検物の輪郭形状を測定するためのプログラムを有する情報処理装置に接続可能な画像測定機であって、前記被検物撮影カメラと隣接する位置に前記被検物周辺を含んで撮影する周辺撮影カメラを設置し、前記周辺撮影カメラで撮影した映像内に前記被検物撮影カメラで撮影した映像を出力した測定顕微鏡であるので、測定の精度を高く維持したまま、広範囲を観察できるようにした周辺観察カメラとピンポイントを高性能で観察できるようにした被検物カメラを設置することで、双方の映像を合成することにより、高精度と広視野という両特徴を併せ持った測定顕微鏡を提供することができる。
【0027】
また、本発明は、入力される移動指令に基づき直交する2方向に移動させるステージ駆動部を有するステージと、前記ステージ上に載置された被検物の全体または一部を撮影するために光学系レンズを装着した被検物撮影カメラと、前記被検物撮影カメラで撮影した画像から被検物の輪郭形状を測定するためのプログラムを有する情報処理装置に接続可能な画像測定機であって、前記被検物撮影カメラと近傍する位置に前記被検物周辺を含んで撮影する周辺撮影カメラを設置するとともに、前記周辺撮影カメラと同じ光軸内にビームスプリッタを設置し、前記周辺撮影カメラで撮影した映像内に前記被検物撮影カメラで撮影した映像を出力した測定顕微鏡であるので、測定の精度を高く維持したまま、広範囲を観察できるようにした周辺観察カメラとピンポイントを高性能で観察できるようにした被検物カメラを設置することで、双方の映像を合成することにより、高精度と広視野という両特徴を併せ持った測定顕微鏡を提供することができる。
【0028】
更に、本発明は、ステージ駆動部によりステージを移動させて前記被検物撮影カメラでステージの範囲を均等に移動しながらステージ全体を細かく撮影した画像において、前記画像毎にステージの撮影位置を把握するための数値を割りふり、前記画像同士を結合した状態で前記画像内の指定したドット位置を原点とし、次の指定したドット位置の距離を算出する測定顕微鏡であるので、撮影した画像に写し出される前記被検物の外径寸法や内径寸法を測定したい時は、前記被検物が写った画像をマウス等でクリックし位置指定していくことで、容易に形状測定が出来てしまう測定顕微鏡を提供することができる。
【0029】
更に、本発明は、周辺撮影カメラで撮影した被検物が写し出された画像の中の前記被検物とステージの色調明度差を読み取って前記被検物の設置場所を認識し、前記被検物撮影カメラの撮影場所をステージ駆動部によりステージを移動させて前記被検物を前記被検物撮影カメラで真上から撮影した測定顕微鏡であるので、前記被検物の2次元形状を正確に画像として取り込むことができる測定顕微鏡を提供することができる。
【0030】
更に、本発明は、前記被検物撮影カメラで撮影した被検物の画像は、前記光学レンズの視野範囲より中心に向って内側の範囲に写し出される画像を使用する測定顕微鏡であるので、テレセントリックレンズなどを利用して高画質な画像を撮影する場合、画像の中心から外方向に向うにつれて歪曲が強く出てしまうため、歪曲になっていない画像の中心から歪曲が目立たない位置までの画像を使用することで、撮影した画像から正確な形状測定ができる測定顕微鏡を提供することができる。
【0031】
更に、本発明は、ステージを可動させながら前記被検物撮影カメラで順次撮影を実施していくステージの可動スピードとモニタなどに写し出される周辺撮影カメラや被検物撮影カメラの撮影前の映像や周辺撮影カメラ及び被検物撮影カメラで映し出される画像を同スピードで動かしながら、ステージの可動方向とモニタなどに写し出される周辺撮影カメラや被検物撮影カメラの撮影前の映像や周辺撮影カメラ及び前記被検物撮影カメラの可動方向とを同方向に動かすことにより、モニタなどに写し出される映像や撮影した画像を静止しているかのようにモニタ上で表示させる測定顕微鏡であるので、前記被検物を順次認識して前記被検物撮影カメラで順次撮影を行いながら隣接した画像の合成処理を行うなどステージが可動している最中でも、先に撮影が終わった前記被検物が写った画像が静止された状態でモニタ上でみることができるので、撮影が終わった前記被検物が写った画像を、画像の撮影がすべて撮り終わらないうちにでも、拡大や縮小、移動などの操作を行いながら測定作業を開始できる測定顕微鏡を提供することができる。
【0032】
また、本発明は、前記合成画像を正確な座標位置を把握したまま、前記合成画像の拡大や縮小並びに移動や回転の操作を自在にした測定顕微鏡であるので、XY座標の概念にとらわれず、1つの画像内で測定したい箇所をマウスや画面上に設置したカーソルポイントなどを利用して、自在に画像の拡大や縮小、ドラック&ドロップなどの操作で移動させたり見やすい方向に回転させるなど操作が簡単な上、画像の拡大、縮小、回転、移動などの操作後であっても、その状態のままで正確な形状寸法の測定を行うことができる測定顕微鏡を提供することができる。
【0033】
更に、本発明は、前記合成画像の中から前記被検物の画像を識別し、前記被検物の形状を自動測定する機能を備えた測定顕微鏡であるので、形状測定に慣れていない人など、誰でもが簡単に測定操作が出来てしまう測定顕微鏡を提供することができる。
【0034】
また、本発明は、明度となるL値を変化する処理を前記合成画像に施すことで、前記被検物の形状のエッジを強調させた測定顕微鏡であるので、エッジの強調処理で前記被検物の形状がより強調され、正確な寸法測定を実施することができる測定顕微鏡を提供することができる。
【0035】
更に、本発明は、前記被検物の形状をトレースしDXF形式で書き出しできる測定顕微鏡であるので、製品の形状を設計するために使用するCADソフトなどで、DXF形式で読み込み可能なソフトを使用すれば、形状をトレースしたデータを製品設計に活用することができる測定顕微鏡を提供することができる。
【0036】
また、本発明は、DXF形式のデータをコンピュータに読み込んで、前記被検物の画像と透過させ差異の確認ができる測定顕微鏡であるので、製品の形状設計などをDXF形式で書き出しできるCADソフトなどを使用して行ったデータを、本発明の測定顕微鏡に使用される前記情報処理装置に読み込み、各々の画像を透過させることで、形状の違いを判別することができるので、例えば、形状による不具合品を写し出される映像と比較して判定することも可能な測定顕微鏡を提供することができる。
【0037】
更に、本発明は、前記周辺撮影カメラが48万画素以上の画素数をもつカメラを使用した測定顕微鏡であるので、被検物を含む周辺視野が判別可能な映像を映し出すことができる測定顕微鏡を提供することができる。
【0038】
また、本発明は、前記被検物撮影カメラが48万画素以上の画素数をもつカメラを使用した測定顕微鏡であるので、被検物全体や被検物の一部分をピンポイントとして撮影し、映像にして映し出すことができる測定顕微鏡を提供することができる。
【0039】
更に、本発明は、前記周辺撮影カメラでステージ上に載置した被検物の有無を把握し、前記被検物の位置へ自動で移動を行い自動測定する機能を備えた測定顕微鏡であるので、
測定作業をラクにし、誰が使っても測定誤差が発生しにくい測定顕微鏡を提供することができる。
【0040】
また、本発明は、幅300mm×高さ300mm以下の被検物を測定する測定顕微鏡であるので、比較的大きな被検物であっても、測定することができる測定顕微鏡を提供することができる。
【0041】
更に、本発明は、前記光学系レンズがテレセントリックレンズを使用した測定顕微鏡であるので、被検物のピンポイントをより高性能で観察できるようにした測定顕微鏡を提供することができる。
【0042】
また、本発明は、前記ビームスプリッタがハーフミラーを使用した測定顕微鏡であるので、測定の精度を高く維持したまま、広範囲を観察できるようにした周辺観察カメラとピンポイントを高性能で観察できるようにした被検物カメラを設置することで、双方の映像を合成することにより、高精度と広視野という両特徴を併せ持った測定顕微鏡を提供することができる。
【0043】
更に、本発明は、XYZの動きを自動化させることで前記被検物の撮影焦点を自動フォーカスにした測定顕微鏡であるので、撮影する被検物の焦点が合っているかいないかを気にせず、同じ精度の画像を取り込むことができる操作性に優れた測定顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態1を示す概略構成図である。
【図2】図1の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す被検物撮影カメラと周辺撮影カメラの視野範囲を表した概略構成図である。
【図4】図3に示す周辺撮影カメラの異なる設置角度を表した概略構成図である。
【図5】図1に示す視野範囲をもとにモニタへ映し出した状態のイメージ図である。
【図6】本発明の異なる実施形態を示す概略構成図である。
【図7】図6に示す被検物撮影カメラと周辺撮影カメラの視野範囲を現した概略構成図である。
【図8】被検物を認識して被検物撮影カメラで順次自動撮影する手順1を示したイメージ図である。
【図9】図8に示す手順2を示したイメージ図である。
【図10】被検物撮影カメラで撮影した場合の撮影範囲内に写し出される歪曲を示すイメージ図である。
【図11】図10に示す撮影範囲から歪曲がない範囲を示したイメージ図である。
【図12】図8の異なる被検物を認識して被検物撮影カメラで順次自動撮影する手順1を示したイメージ図である。
【図13】図12に示す手順2を示したイメージ図である。
【図14】図13の異なる手順2を示したイメージ図である。
【図15】ステージ全体を沿って被検物撮影カメラで順次自動撮影するイメージ図である。
【図16】図15に示すステージの可動に対して、モニタの表示位置例を示すイメージ図である。
【図17】図16に示す太破線の箇所がモニタに写し出された状態を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1乃至図5に示すように、本発明の測定顕微鏡Aは入力される移動指令に基づき直交するXY方向の2方向に移動させるステージ駆動部1aにより可動が制御されるステージ1を有している。XY方向とは、ステージ1が左右水平方向へ稼働することをX方向Xといい、ステージ1が上下方向へ稼働することをY方向Yという。また、前記ステージ1上に載置された被検物Bの全体または一部を撮影できる高さへ被検物撮影カメラ2を設置し、前記被検物撮影カメラ2のレンズ装着部2aの上から被せるようにテレセントリックレンズなどの光学系レンズ5を装着する。前記被検物撮影カメラ2は48万画素以上の画素数をもつカメラを使用するのが望ましい。更に、前記被検物撮影カメラ2と隣接する位置に前記被検物B周辺を含んで撮影する周辺撮影カメラ4の設置を行う。前記周辺撮影カメラ4の光軸2bの角度45度の範囲内に被検物Bの撮影ポイントを含むようにすればよい。
【0046】
例えば、図3に示すように前記周辺撮影カメラ4が被検物B方向へ設置角度を傾けずに前記周辺撮影カメラ4の光軸4bの角度45度の範囲内に被検物Bの撮影ポイントがあれば、設置角度をつけずに、前記被検物撮影カメラ2の焦点が前記被検物Bと合致する光軸2bと前記周辺撮影カメラ4の焦点が前記被検物Bと合致する光軸4aが並行になるように前記周辺撮影カメラ4を横並びに設置してもよく、撮影する範囲が狭くなるようであれば、図4に示すように、前記被検物Bの測定したい部分に撮影ポイントを合わせ、前記被検物撮影カメラ2の焦点が前記被検物Bと合致する光軸2bと前記周辺撮影カメラ4の焦点が前記被検物Bと合致する光軸4aが交差する交点9の角度が45度以内に入るように前記被検物Bとその周辺が映し出される角度を見つけて設定を行うとよい。光軸2b、4aとは、レンズの中心を通る線のことをいう。
【0047】
図1及び図2に示すように、前記被検物撮影カメラ2は昇降機7などに固定し、前記被検物撮影カメラ2を昇降させても、ぶれないように固定させる。高さのある被検物Bを測定する場合、昇降機7に設置されたテレセントリックレンズなどの光学系レンズ5を装着した前記被検物撮影カメラ2と被検物Bがぶつからない高さへ上昇させることができる。また、昇降機7の昇降する作業は、手動で回しながら上げたり下げたりするのもよく、コンピュータ3による制御により、被検物Bの高さを察しして上昇や下降動作となるZ方向Zへ自動で適正な高さに設定できる方法でもよい。更に前記周辺撮影カメラ4はテレセントリックレンズなどの光学系レンズ5を装着した前記被検物撮影カメラ2に固定するのもよく、昇降機7に前記被検物撮影カメラ2と一緒に固定するのでもよい。
【0048】
また、本発明の測定顕微鏡Aは全体像撮影する周辺撮影カメラ4や光学系レンズ5を装着した被検物像撮影する前記被検物撮影カメラ2で撮影した映像をパソコンなどのコンピュータ3へ送信することで、被検物Bの位置を解析し、エッジを検出し、寸法を測定するなどのプログラムやその結果をパソコンなどのコンピュータ3のモニタ6へ表示したり、モニタ6で表示された被検物Bの映像をマウスやタッチパネルなどの入力手段で移動位置指令をすることでステージ1がXY方向で自動に稼働したり、昇降機7が自動で昇降稼働できるプログラムなど、これらのプログラムをパソコンなどのコンピュータ3へ組み込んでおくことで、USBなどの接続手段を用いて本発明の測定顕微鏡Aを直接パソコンなどのコンピュータ3へ接続するだけで使用できるものとなる。
【0049】
本発明の測定顕微鏡Aは測定の精度を高く維持するために、被検物Bをピンポイントで撮影できるようにするため、テレセントリックレンズなどの光学系レンズ5を装着した被検物撮影カメラ2を使用する。また、広範囲を撮影できるようにするため周辺撮影カメラ4と被検物撮影カメラ2を並行して2台以上設置し撮影を実施する。この状態で複数の映像を撮影することで、図5に示すように周辺撮影カメラ4で撮影した48万画素ぐらいの比較的低画質で撮影した被検物Bbとその周辺を映し出した映像の撮影範囲4bの中央付近に、被検物撮影カメラ2で撮影した高画質で撮影した被検物Baが映った映像の撮影範囲2cが合成された状態で映し出されようになる。
【0050】
また、前記周辺撮影カメラ4で撮影した映像と被検物撮影カメラ2で撮影した映像を合成する場合、2つ以上の異なるカメラを同位置に設置して撮影することはできないため、その撮影場所の位置相違により双方の映像にズレが生じてしまうが、合成による映像のズレについては、パソコンなどのコンピュータ3によりソフト上で補正をかける手段を行うことでズレを解消することができる。更に、図3に示すように周辺撮影カメラ4で撮影した映像で、ステージ1上以外で映し出される周りの映像については、パソコンなどのコンピュータ3によりソフト上で補正をかける手段を行うことで不要に映っている部分はカットした状態で映像の合成をかけることができる。よって、前記被検物Bの寸法を測定したい個所を被検物撮影カメラ2で撮影することで、高画質で撮影した被検物Bbを映し出すことができ、正確な測定位置を指定することができる。また、それ以外の被検物B部分は、前記周辺撮影カメラ4で映し出された映像を映し出すことになるので、48万画素ぐらいの比較的低画質で撮影した被検物Baを映し出すことができるので、例えば、前記被検物Bを複数個ステージ1の上に並べてマウスなどで選択したものを順次測定していく場合、どの被検物Bを測定しているか分からなくなる問題がなくなる。更に、被検物Bの測定対象箇所がズームアップされればされるほど、被検物Bのピンポイントは拡大表示されてズームレンズの視野が狭くなってしまうが、周辺撮影カメラ4により周りも映し出されているため、全体のどの部分を測定しているのかもひと目で把握することができる。よって、高精度と広視野という両特徴を併せ持った測定顕微鏡Aを提供することができる。
【0051】
次に、本発明の異なる実施形態を図6及び図7に示す。図6及び図7に示すように、テレセントリックレンズなどの光学系レンズ5を装着した前記被検物撮影カメラ2の下端に、外光を遮断するためのレンズボックス8を装着し、前記レンズボックス8の側面の一方向を開口し、前記開口した箇所へ周辺撮影カメラ4の装着を行う。また、前記レンズボックス8内には、前記周辺撮影カメラ4の撮影レンズ4cに対して、前記周辺撮影カメラ4と同じ光軸4a内であって、前記光軸4aが被検物B方向へ反射および屈折するようにハーフミラーなどのビームスプリッタ8aの設置を行うことで、図7に示すように前記周辺撮影カメラ4で被検物Bを撮影する場合、前記周辺撮影カメラ4から撮影される光軸4aと撮影範囲4bはハーフミラーなどのビームスプリッタ8aにあたり反射および屈折することで、被検物Bとその周辺を映し出すことができるものとなる。
【0052】
被検物撮影カメラ2と周辺撮影カメラ4については、48万画質以上の安価なCMOSカメラまたはCCDカメラなどを使用し、その内の1台へ視野サイズが縦9.4mm×横12.5mm以上で比較的安価なテレセントリックレンズなどの光学系レンズ5を装着することで、従来の画像測定機や測定顕微鏡のような高価な装置が、より安価で提供できるとともに、従来品より使いやすい測定顕微鏡Aを提供することができる。
【0053】
また、本発明の測定顕微鏡Aは図1及び図2に示すように、ステージ駆動部1aによりステージ1をXY方向へ移動させて前記被検物撮影カメラ2でステージ1の範囲を均等に移動しながらステージ1全体を細かく撮影していくことができる。更に、本発明の測定顕微鏡Aの前記被検物撮影カメラ2に用いられるテレセントリックレンズの表示できる範囲を32mm×24mmのものにした場合、テレセントリックレンズの特性上、表示ポイントの中心から外側に離れていくにつれて写し出される映像が図10に示すように円曲形状に歪んでしてしまう現状が発生してしまう。前記被検物撮影カメラ2を用いて撮影される高画質で撮影した被検物Baが写し出された画像データが円曲に歪んでしまう画像データを使用すると、指定する測定位置がずれている状態で指定してしまうことになるので、正確な測定ができない。そこで、例えば、テレセントリックレンズの表示できる範囲を32mm×24mmのものを使用する場合、図11に示すようにレンズによる歪の発生が起こっていない前記テレセントリックレンズの視野範囲より中心に向って内側であり、前記視野範囲の中心位置を中心点として周囲16mm×12mmの図13の太線の破線範囲に示す歪曲がない範囲2dの画像データを高画質で撮影した被検物Baを写し出す範囲として使用することで、正確な測定を行う測定顕微鏡Aを提供することができる。尚、レンズの歪を補正するプログラムを処理部に組み込むことで、歪の解消を行っても良い。
【0054】
例えば図8に示すように、まず、ステージ1の左上の端から順次自動撮影を実施していくため、ステージ1がXY方向へ可動して前記被検物撮影カメラ2の撮影レンズが図8に示す撮影範囲2c1内の歪曲がない範囲2d1で停止し撮影を実施する。次に図9に示すように撮影範囲2c内の歪曲がない範囲2d2で停止して自動撮影が行われ、その後順次、均等間隔にX方向へ可動をし、歪曲がない範囲2d3、歪曲がない範囲2d4、歪曲がない範囲2d5、歪曲がない範囲2d6と撮影が行われる。次に、下の段となる歪曲がない範囲2d7へXY方向にステージ1が可動しながら再び順次、均等間隔にX方向へ可動を行うことで自動撮影を順次実施していくことができる。この際、図9に示すように、撮影範囲2cの内側の斜線に示した部分である歪曲がない範囲2dを利用して画像の結合が実施できるように、ステージ1を可動させながら自動撮影を実施していくことで、精度の高い画像を取得することができる。また、前記被検物撮影カメラ2で撮影した多数の画像は、前記画像毎にステージ1の撮影位置を把握するための数値が割りふりされる。これは前記画像一枚づつに異なる撮影位置であることを認識させるためが目的である。ステージ1全体を撮影した多数の画像を結合しても、撮影位置の場所情報となる数値は結合する前の情報を把握できているので、前記画像内の指定したドット位置を原点とし、次の指定したドット位置の距離を算出することができる測定顕微鏡Aを提供することが可能になる。
【0055】
よって、図9に示すように、歪曲がない範囲2d1と歪曲がない範囲2d7には、被検物B1つが2枚の画像にまたがって撮影されているが、歪曲がない範囲2d1の撮影位置の場所情報を1−1とした場合、歪曲がない範囲2d7の撮影位置の場所情報は1−7とすることで、撮影した画像は異なる箇所の被検物Bを撮影したとコンピュータ3が認識することができる。歪曲がない範囲2d1の画像で指定したドット位置を原点として、次に指定する位置が歪曲がない範囲2d7の画像の距離を算出して前記被検体物Bの測定したい箇所の距離を測定することが可能になる。
【0056】
また、本発明の測定顕微鏡Aは、図12または図13に示すように、周辺撮影カメラ4で撮影した被検物Bが写し出された画像の中の前記被検物Bとステージ1の色調明度差を読み取って前記被検物Bの設置場所を認識し、前記被検物撮影カメラ2の撮影場所をステージ駆動部1aによりステージ1を移動させて前記被検物Bを前記被検物撮影カメラ2で真上から自動撮影していく機能を有している。例えば被検物Bが白色である場合、被検物Bを置載する前記ステージ1の色目を黒っぽい色目にすることで、周辺撮影カメラ4で前記被検物Bを撮影すると、黒っぽい色目のステージ1の撮影範囲4bの中に、白色の前記被検物Bが写ることになる。一般的に白色に近づくほど明度が高く、黒色に近づくほど明度が低くなるため、前記ステージ1と前記被検物Bの色調明度差を数値で読み取って、前記被検物Bの画像表示箇所をコンピュータ3が認識し、ステージ駆動部1aへ移動位置指令を出してステージ1がXY方向へ移動する。
【0057】
図12に示すように歪曲がない範囲2d2内に被検物Bとステージ1の明度差を感知したステージ駆動部1aはXY方向に可動して停止し撮影が実施される。次に、図13に示すように、被検物Bとステージ1の明度差を感知した歪曲がない範囲2d3の撮影が行われ、次に歪曲がない範囲2d4の撮影、歪曲がない範囲2d8の撮影と順次自動撮影を行っていく。更に、歪曲がない範囲2d同士で画像を結合していくことで、歪みのない正しく画像を取得することができる。これによって、ステージ1上に被検体物Bが置載されていないステージ1部分は、前記被検物撮影カメラ2で撮影が行われず、ステージ1上に被検体物Bが置載している箇所を順次自動撮影していくことができるので、撮影する時間を短縮でき、無駄な画像の取り込みをする必要がない測定顕微鏡Aを提供することができる。
【0058】
図14は、図13に示す撮影の異なる方法であるが、被検物Bの外径のみを測定したい場合、前記被検物の外径以外の箇所の撮影は不要であるので、図14に示すように被検物Bの外径から指定した距離内に写し出される画像を撮影しない設定にすることができる。これは、外径より何センチ以内の箇所の撮影範囲2cを撮影しないというモードを選択することで実現できる。但し、前記被検物撮影カメラ2で撮影しないだけであり、周辺撮影カメラ4で撮影された低画質で撮影した被検物Bbはモニタ6へは写しだされていることになるので、違和感はない測定顕微鏡Aを提供することができる。
【0059】
また、被検物Bとステージ1の色と色の境目をコンピュータ3が判定しやすくするために、明度となるL値を変化する処理をコンピュータ3が前記合成画像に施すことで、前記被検物Bの形状のエッジを強調させることができる。エッジの強調処理で前記被検物Bとステージ1の境目や、前記被検物Bの外径と内径の境目を強調させることができ、正確な寸法測定を実施することができる測定顕微鏡Aを提供することができる。これによって、例えば、マウスなどで測定したい箇所近辺をドラッグしながら外側や内側へ移動し離すことで、測定したい位置を、モニタ6に写し出される画面上で的確に指定しなくても、境目のエッジを的確にとらえて、測定をすることができる。色と色の境目を判定しやすくするための処理としては、明度となるL値を変化する処理以外に、彩度を変化させる処理やRGBによる色の違いにより色と色の境目を判定する方法をとってもよい。更に、色と色の境目の検出感度をあげるために、黒色は0、白色255の0〜255の範囲で、エッジ検出感度を高める設定を実施するモードを備えている。これは検体物Bまたはステージ1の明度を変化させ境目部分のエッジをより強調させる処理をコンピュータ3の処理部で実施させる機能である。
【0060】
更に、本発明の測定顕微鏡Aには、低画質で撮影した被検物Bbが写った画像をマウスなどでクリックすることで、コンピュータ3の処理部がクリック場所を認識し、クリックした中心位置に被検物撮影カメラ2がくるようにステージ1が可動し、ステージ1上に置載した前記被検物Bを真上から撮影することが可能であるので、測定したい被検物Bが歪曲がない範囲2d内にすべて入っている場合、自動撮影モードを使用せず、撮影したい箇所をマウスなどでクリックして撮影することもできる測定顕微鏡Aを提供することができる。
【0061】
また、撮影した合成画像はコンピュータ3の処理部に保存されるので、測定顕微鏡Aをパソコンに接続していなくても、取り込んだ合成画像のみの移動で弊社開発の専用測定プログラムソフトをパソコンにインストールすることで、オフライン操作にて画像の測定を行うことができる。更に、前記合成画像を用いることにより、マウス等のスクロールバーなどを利用し拡大や縮小を行ったり、画像データ自体をマウスで選択しながら移動させたり、画像データを回転させたりすることもできるので、測定者が見やすい大きさや測定しやすい位置に合成画像を表示させて正確な測定することができる測定顕微鏡Aである。
【0062】
また、複数個の被検物をステージ1に置載して自動撮影を実施する場合、すべての撮影が完了するまでには、コンピュータ3の能力によっても異なるが、数分と時間がかかってしまうため問題が発生してしまう。これを解決する機能として、本発明の測定顕微鏡Aには撮り終わった画像から順次測定を開始できる機能を有している。ステージ1を可動させながら前記被検物撮影カメラ2で順次左上から右に向って撮影を行うと、前記被検物撮影カメラ2で撮影している映像がモニタ6に写し出された場合、前記モニタ6内に写し出されている映像も同じように動いている映像が映し出されることになる。本発明の測定顕微鏡Aは、ステージ1を可動させながら前記被検物撮影カメラ2で順次撮影を実施していくステージ1の可動スピードとモニタ6などに写し出される周辺撮影カメラや被検物撮影カメラ2の撮影前の映像や周辺撮影カメラ4及び被検物撮影カメラ2で映し出された画像を同スピードで動かしながら、ステージ1の可動方向とモニタ6などに写し出される周辺撮影カメラ4や被検物撮影カメラ2の撮影前の映像や周辺撮影カメラ4及び前記被検物撮影カメラ2の可動方向とを同方向に動かす処理をコンピュータ3で行うプログラムに組み込んでいる。
【0063】
よって、図15に示すように、前記被検物Bを順次認識して前記被検物撮影カメラ2で順次撮影を行いながら隣接した画像の合成処理を行うなどステージ1が可動している最中でも、モニタ6などに写し出される周辺撮影カメラ4や被検物撮影カメラ2の撮影前の映像や周辺撮影カメラ4及び被検物撮影カメラ2で撮影した画像を静止しているかのようにモニタ6上に表示させることができる。また、先に撮影が終わった前記被検物B、例えば図16内の太線の破線で囲った位置を図17のように移動して画像の拡大や縮小などの操作をしながらマウスなどで測定したい箇所を選択して測定を開始していくことができる。よって、画像の撮影がすべて撮り終わらない状態であっても、撮影が終わったところから、測定者は測定作業を順次実施していくことができる。
【0064】
更に、本発明の測定顕微鏡Aは、同じ被検物Bをステージ1上に複数個設置して、順次自動測定を開始する機能を有している。予め準備した被検物Bようの形状データをコンピュータ3に認識させることで、類似する形状のものをコンピュータ3が識別して順次測定を実施していくものであり、形状測定に慣れていない人など、誰でもが簡単に測定操作が出来てしまう測定顕微鏡Aを提供することができる。
【0065】
また、前記被検物Bの外径や内径などの形状の位置をコンピュータ3が認識してトレースすることで、DXF形式で書き出す機能を有している。これにより、製品の形状を設計するために使用するCADソフトなどで、DXF形式で読み込み可能なソフトを使用すれば、形状をトレースしたデータを製品設計に活用することができる測定顕微鏡Aを提供することができる。
【0066】
更に、DXF形式のデータをコンピュータ3に読み込んで、前記被検物Bの画像と透過させ差異の確認ができる機能を有している。これにより、製品の形状設計などをDXF形式で書き出しできるCADソフトなどを使用して行ったデータを、本発明の測定顕微鏡Aに使用されるコンピュータ3に読み込み、各々の画像を透過させることで、形状の違いを判別することができるので、例えば、形状による不具合品を写し出される映像と比較して判定することも可能な測定顕微鏡Aを提供することができる。
【0067】
また、コンピュータ3内に取り込んだ前記合成画像は、データとしての受け渡しが可能であるので、例えば、測定サンプルが手持ちに届いていない場合や本発明の測定顕微鏡Aが設置されていない環境の場所にいるものでも、本発明の測定顕微鏡Aを使用して取り込まれた合成画像データを通信回線などを利用して受信することで、本発明の測定顕微鏡Aを操作するソフトウエアをパソコンヘインストールするだけで、測定作業を実施してしまえる機能も有している。
【0068】
更に、本発明の測定顕微鏡Aは、より安価で持ち運びが可能なサイズのものを提供できることを課題としてあげ、100分の1mm単位の形状測定を可能にするために発明したものである。よって、前記被検物Bの測定できるサイズは、幅300mm×高さ300mm以下の被検物であることが望ましいが、それ以上のサイズの被検物Bを測定する場合でも、被検物撮影カメラ2と周辺撮影カメラ4の精度を上げ、テレセントリックレンズなどの光学系レンズ5の中で視野サイズが広い光学系レンズ5へ付け替えることで、幅300mm×高さ300mm以上の被検物Bの測定や、100分の1mm単位以上の測定も可能にすることができるものである。尚、本発明の測定顕微鏡Aの一例を紹介しただけであるので、この仕様に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0069】
1 ステージ
1a ステージ駆動部
2 被検物撮影カメラ
2a レンズ装着部
2b 光軸
2c 撮影範囲
2d 歪曲がない範囲
3 コンピュータ
4 周辺撮影カメラ
4a 光軸
4b 撮影範囲
4c 撮影レンズ
5 光学系レンズ
6 モニタ
7 昇降機
8 レンズボックス
8a ビームスプリッタ
9 交点
A 測定顕微鏡
B 被検物
Ba 高画質で撮影した被検物
Bb 低画質で撮影した被検物
X X方向
Y Y方向
Z Z方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される移動指令に基づき直交する2方向に移動させるステージ駆動部を有するステージと、前記ステージ上に載置された被検物の全体または一部を撮影するために光学系レンズを装着した被検物撮影カメラと、前記被検物撮影カメラで撮影した画像から被検物の輪郭形状を測定するためのプログラムを有する情報処理装置に接続可能な画像測定機であって、前記被検物撮影カメラと隣接する位置に前記被検物周辺を含んで撮影する周辺撮影カメラを設置し、前記周辺撮影カメラで撮影した映像内に前記被検物撮影カメラで撮影した映像を出力したことを特徴とする測定顕微鏡。
【請求項2】
入力される移動指令に基づき直交する2方向に移動させるステージ駆動部を有するステージと、前記ステージ上に載置された被検物の全体または一部を撮影するために光学系レンズを装着した被検物撮影カメラと、前記被検物撮影カメラで撮影した画像から被検物の輪郭形状を測定するためのプログラムを有する情報処理装置に接続可能な画像測定機であって、前記被検物撮影カメラと近傍する位置に前記被検物周辺を含んで撮影する周辺撮影カメラを設置するとともに、前記周辺撮影カメラと同じ光軸内にビームスプリッタを設置し、前記周辺撮影カメラで撮影した映像内に前記被検物撮影カメラで撮影した映像を出力したことを特徴とする測定顕微鏡。
【請求項3】
ステージ駆動部によりステージを移動させて前記被検物撮影カメラでステージの範囲を均等に移動しながらステージ全体を細かく撮影した画像において、前記画像毎にステージの撮影位置を把握するための数値を割りふり、前記画像同士を結合した状態で前記画像内の指定したドット位置を原点とし、次の指定したドット位置の距離を算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の測定顕微鏡。
【請求項4】
周辺撮影カメラで撮影した被検物が写し出された画像の中の前記被検物とステージの色調明度差を読み取って前記被検物の設置場所を認識し、前記被検物撮影カメラの撮影場所をステージ駆動部によりステージを移動させて前記被検物を前記被検物撮影カメラで真上から撮影したことを特徴とする請求項1または請求項3のいずれか1項に記載の測定顕微鏡。
【請求項5】
前記被検物撮影カメラで撮影した被検物の画像は、前記光学レンズの視野範囲より中心に向って内側の範囲に写し出される画像を使用することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の測定顕微鏡。
【請求項6】
本発明は、ステージを可動させながら前記被検物撮影カメラで順次撮影を実施していくステージの可動スピードとモニタなどに写し出される周辺撮影カメラや被検物撮影カメラの撮影前の映像や周辺撮影カメラ及び被検物撮影カメラで映し出される画像を同スピードで動かしながら、ステージの可動方向とモニタなどに写し出される周辺撮影カメラや被検物撮影カメラの撮影前の映像や周辺撮影カメラ及び前記被検物撮影カメラの可動方向とを同方向に動かすことにより、モニタなどに写し出される映像や撮影した画像を静止しているかのようにモニタ上で表示させることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の測定顕微鏡。
【請求項7】
前記合成画像を正確な座標位置を把握したまま、前記合成画像の拡大や縮小並びに移動や回転の操作を自在にしたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の測定顕微鏡。
【請求項8】
前記合成画像の中から前記被検物の画像を識別し、前記被検物の形状を自動測定する機能を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の測定顕微鏡。
【請求項9】
明度となるL値を変化する処理を前記合成画像に施すことで、前記被検物の形状のエッジを強調させたことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の測定顕微鏡。
【請求項10】
前記被検物の形状をトレースしDXF形式で書き出しできることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の測定顕微鏡。
【請求項11】
DXF形式のデータをコンピュータに読み込んで、前記被検物の画像と透過させ差異の確認ができることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の測定顕微鏡。
【請求項12】
前記周辺撮影カメラが48万画素以上の画素数をもつカメラであることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の測定顕微鏡。
【請求項13】
前記被検物撮影カメラが48万画素以上の画素数をもつカメラであることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の測定顕微鏡。
【請求項14】
幅300mm×高さ300mm以下の被検物を測定することを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の測定顕微鏡。
【請求項15】
前記光学系レンズがテレセントリックレンズであることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の測定顕微鏡。
【請求項16】
前記ビームスプリッタがハーフミラーであることを特徴とする請求項2乃至請求項15のいずれか1項に記載の測定顕微鏡。
【請求項17】
XYZの動きを自動化させることで前記被検物の撮影焦点を自動フォーカスにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載の測定顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−138096(P2011−138096A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145973(P2010−145973)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000161884)アスカカンパニー株式会社 (35)
【Fターム(参考)】