説明

災害報知システム

【課題】
携帯端末に災害情報を配信する技術においては「輻輳」という課題がある。すなわちテレビなど放送網と違い、個々人が所持する携帯端末の回線は安否確認の個人連絡などで通信回線が埋まってしまい災害情報の配信が滞る可能性が高い。もちろん、従来のテレビ速報などで災害情報を報知する方法には、その受信装置の電源が投入されている必要がある、という課題がある。
【解決手段】
上記課題解決のため、災害報知サーバ装置と携帯端末装置と放送受信装置とからなる災害報知システムを提供する。この災害報知システムは、災害発生時に、災害報知サーバから携帯端末装置に対して、データサイズを極めて小さくすることが可能な特定の命令を送信する。つづいてその命令を受信した携帯端末装置が赤外線信号の送信などで放送受信装置の起動やチャンネル制御を自動で行う、というシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震、台風、あるいは電車事故などの災害発生時に、その災害に関する情報を効果的に報知するため技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地震や火災、台風、あるいは電車事故などの災害発生時には、その災害に関する正確な情報をいち早く収集することが重要である。例えば地震であれば、地震の発生した場所や発生時間、被害状況の情報のほか、地震に伴う津波、余震の情報などの警報情報が被災者にとって安全を確保するうえで重要となってくるし、安否確認情報なども災害発生場所以外にいる人々にとっての大きな関心事である。
【0003】
そして従来、このような情報を人々に報知するための方法として、テレビ放送やラジオ放送を利用した情報の伝達報知が行われている。例えば、テレビ放送番組の画面内にテロップ速報として上記のような災害に関する情報を表示したり、特番で緊急報道番組を放映したりする、という具合である。
【0004】
しかし、上記放送波を利用する場合、テレビやラジオ受信機の電源を投入しその放送波を受信可能な状態にしておく必要がある。つまり電源が投入されテレビ受信機などが起動していなければ、人々は当然上記速報による災害に関する情報をいちはやく知ることはできない。
【0005】
そこで、特許文献1などでテレビやラジオ受信機などと比較して常時電源が投入されている可能性が高く、また人々が常時携行している可能性も高いネットワーク接続可能な携帯電話などに対して、上記災害に関する情報を配信する、という技術も開示されている。
【特許文献1】特許第2852248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記携帯電話などのネットワーク接続端末に災害に関する情報を配信する技術においては「輻輳」という課題がある。すなわち、免許制でその周波数が放送局個別に割り当てられているテレビやラジオの放送網と違い、個々人が所持する携帯端末は、とりわけ災害発生時には安否問合せのための個人連絡などにも利用されるため、その利用帯域における通信網のトラフィックが極端に増大する。したがって通信回線が埋まってしまい、災害に関する情報の配信も滞る可能性が高く、結果的に人々は所望の情報をいち早く知ることができない、という課題である。
【0007】
もちろん、従来のテレビやラジオの受信機に災害に関する情報を速報テロップなどで報知する方法には、上記のように受信機の電源が投入されていなければ情報を報知することが出来ない、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、本発明は、災害報知サーバ装置と、携帯電話などの携帯端末装置と、テレビ受信機などの放送受信装置とからなる災害報知システムを提供する。この災害報知システムは、災害発生時に、まず、災害報知サーバから携帯端末装置に対して、データサイズを極めて小さくすることが可能な特定の命令を送信する。つづいてその命令を受信した携帯端末装置がリモコン機能を果たし、赤外線信号を送信するなどして放送受信装置の起動やチャンネル制御を自動で行う、という具合である。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によって、災害発生時には携帯端末装置を介してテレビなどの放送受信装置を自動的に起動、制御などすることができるようになる。したがって、放送受信装置の電源を常時投入し起動させておく必要が無くなり、また災害発生時に慌てて放送受信装置の電源を投入し起動させる必要がなくなる。
【0010】
また、本発明においては、通信網を介して災害報知サーバ装置から携帯端末装置に送信される情報は、例えば携帯電話のリモコンアプリケーションを起動実行するためのトリガーとなる命令であれば良い。そのため、例えばテキスト、映像、音声をベースとする「災害発生時間、発生場所、被害情報、警報情報」などで構成される従来の配信データに比べ、そのデータサイズを小さくすることができる。
【0011】
したがって、通信網のネットワークトラフィックを抑えることができ、結果的に多くの人々の携帯端末に対してテレビ受信機などを起動するための命令を送信することが可能になる。そして、それによって起動、制御されたテレビ受信機などから出力される災害に関する速報によって人々は必要な情報をいちはやく知ることができるようになる。
【0012】
なお、本発明における「災害」とは、主に気象庁により発表される注意報や警報の対象となる災害や、ニュース速報により放送される災害であって、自然現象を発生要因とする天災のほかに、人為的要因により発生する人災も含む概念である。この災害の一例としては、例えば地震、津波、台風、豪雨、降雪、落雷、強風、高波、洪水、高潮、火山の噴火、自然火災、濃霧、乾燥、なだれ、凍結、融雪、竜巻などや、電車・飛行機事故、原子力発電所など大規模被害が予想される事故、テロ活動、停電、断水、食中毒などが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0014】
なお、実施例1は、主に請求項1,2,3,4,7について説明する。
【0015】
また、実施例2は、主に請求項5,8について説明する。
【0016】
また、実施例3は、主に請求項6について説明する。
【0017】
≪実施例1≫
【0018】
<概要>
【0019】
図1に示すのは、本実施例における災害報知システムの概要の一例を説明するための図である。この図にあるように、地震によってある地域に大きな揺れが引き起こされた。すると、ユーザーの携帯端末のリモコン機能が自動で実行され、それによりテレビ受信装置のスイッチが投入され、放送中の地震情報を伝える緊急特番がテレビに表示された。
【0020】
このように、地震などの災害発生時にテレビなどの放送受信装置が携帯端末装置によって自動的に起動されることで、放送受信装置の電源を常時投入し起動させておく必要が無く、人々は災害に関する放送メディアからの情報を知ることができる。また、携帯端末装置への情報配信ではなく、テレビなどの放送受信装置で情報を入手することになるので、災害発生直後に頻繁に生じる通信ネットワーク回線の輻輳の影響も受けることが無い。
【0021】
なお、上記概要例では、放送受信装置が起動していない場合に携帯端末装置によって放送受信装置の電源が自動的に投入され起動する例を示したが、その他に予め設定されているチャンネルの放送波を受信するように放送受信装置のチューナーを携帯端末装置によって自動的に選択制御するような構成であっても良い。
【0022】
<構成>
【0023】
図2に示すのは、本実施例の災害報知システムにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の災害報知システムは、「災害報知サーバ装置」(0200)と、「携帯端末装置」(0210)と、「放送受信装置」(0220)とからなる。
【0024】
なお、以下に記載する本システムの機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUや主メモリ、バス、あるいはハードディスクや不揮発性メモリなどの記憶装置、CD−ROMやDVD−ROMなどの記憶メディア、それらメディアの読取ドライブ、各種通信や印刷機器用の送受信ポート、その他の周辺装置などのハードウェア構成部や、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、情報入力に利用されるインターフェースなどが挙げられる。
【0025】
これらハードウェアやソフトウェアは、メモリ上に展開したプログラムをCPUで順次演算処理したり、メモリやハードディスク上に保持されているデータや、インターフェースを介して入力されたデータなどを加工、蓄積、出力処理したり、あるいは各ハードウェア構成部の制御を行ったりするために利用される。
【0026】
また、この発明はシステムとして実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を記録媒体に固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0027】
〔災害報知サーバ装置の構成〕
【0028】
まず、「災害報知サーバ装置」について説明する。「災害報知サーバ装置」(0200)は、通信ネットワーク網に接続されたサーバ装置であって、「災害発生情報取得部」(0201)と、「送信先識別情報保持部」(0202)と、「命令保持部」(0203)と、「命令送信部」(0204)と、からなる。
【0029】
「災害発生情報取得部」(0201)は、災害発生情報を取得する機能を有する。「災害発生情報」とは、災害の発生を示す情報をいい、例えば気象庁や地震予知観測センター発表による注意報や警報も含む。またその災害の内容を示す情報を含んでいても構わない。
【0030】
図3に示すのは、XML形式で記述されたこの災害発生情報の一例を表す図である。この図にあるように、災害発生情報として、例えば地震ならばその発生時間や、その震源を示す緯度経度情報、震源付近の名称、その種類などが挙げられる。またその他にも、現時点で確認可能な被害状況や各地の震度、震源のマグニチュード、津波発生の有無情報、交通機関の乱れの情報、被災者の安否情報などが含まれていても良い。もちろん、地震ではなく例えば台風であればその風速や中心気圧、降雨量、移動速度の情報など災害の種類に合わせてさまざまな情報であってよい。
【0031】
この災害発生情報取得部の構成の一例は、例えばネットワークなどに接続され、ネットワーク経由で気象庁や地震予知観測センターから送信された警報、注意報を受信することで取得する構成が挙げられる。あるいは、例えばキーボードなどのインターフェースによって構成され、気象庁や地震予知観測センターから発令された警報、注意報や、放送局などのメディアから配信された災害に関するニュース速報を担当者が確認しキーボードで入力することで取得する構成も挙げられる。
【0032】
そして災害報知サーバ装置では、この災害発生情報取得部にて災害発生情報が取得されたことをトリガーとして、後述するように携帯端末装置に対して放送受信装置を起動するための命令が送信されることになる。
【0033】
なお、その場合には災害の内容の情報などは必ずしも必要ではないが、ここで取得した災害発生情報を命令に含めて携帯端末装置に送信し表示させても構わない。しかし、その場合でも通信回線の輻輳発生を抑えるため、命令に含める災害発生情報は、例えば震度やマグニチュードなどの数値情報のみ、などとすることが望ましい。なお、このような命令の送信とそれに応じた携帯端末装置での処理については、実施例2にて説明する。
【0034】
「送信先識別情報保持部」(0202)は、複数の携帯端末装置の送信先識別情報を保持する機能を有する。「送信先識別情報」とは、情報を送信するためにその送信先を識別する情報をいい、例えば、インターネット接続機能を備える端末のIPアドレスなどが挙げられる。また、携帯端末装置が携帯電話やPHS(パーソナル・ハンディフォン・システム)など電話機能を有する端末であればその電話番号が挙げられる。あるいは電子メール送受信機能を備えた端末であればその電子メールアドレスなどが挙げられる。あるいは、携帯端末装置の個体識別番号や製造番号なども挙げられる。
【0035】
図4に示すのは、この送信先識別情報保持部での送信先識別情報の保持の一例を説明するための概念図である。この図にあるように、送信先識別情報保持部では、例えば端末AのIPアドレス「123.×××.0.1」と、電話番号「090−×××―△△△△」と、電子メールアドレス「daiichi@×××.ne.jp」が、また端末BのIPアドレス「456.×××.0.2」と、電話番号「080−□□□―○○○○」と電子メールアドレス「daini@□□□.ne.jp」が例えばハードディスクドライブなどに記録保持されている。また端末CもIPアドレス・・・・といった具合に記録保持されている。もちろん、保持されている送信先識別情報はIPアドレスや電話番号、電子メールアドレスのいずれかでも構わない。
【0036】
そして、例えばハードディスクドライブなどで構成されたこの送信先識別情報保持部に保持されている送信先識別情報を利用して、この災害報知サーバ装置は後述する命令を携帯端末装置に対して送信することができる。
【0037】
なお保持されている送信先識別情報の取得は、例えば本実施例を利用した災害報知サービスを業として実施する業者が、サービス提供希望者に上記電話番号や電子メールアドレスなどを登録させることで取得する方法が挙げられる。あるいはインターネットサービスプロバイダや携帯・PHS電話キャリアが災害報知をサービスとして契約者に提供するために自社が保持する契約者のデータベースを流用することで取得する方法が挙げられる。また動的なIPアドレスであれば、その動的なIPアドレスを管理しているサーバから情報を取得しても良い。
【0038】
「命令保持部」(0203)は、携帯端末装置を介して放送受信装置を起動するための命令を保持する機能を有する。なお、ここでいう「起動」とは、放送受信装置の電源スイッチの投入のみならず、電源スイッチが投入されている放送受信装置で受信する放送波の周波数の特定も含まれていて良い。
【0039】
ここで、この命令保持部で保持されている命令は、放送受信装置を起動制御するための信号を直接的に含んだ命令である場合が考えられる。ただし、通常、放送受信装置の製造者ごとに、その放送受信装置の起動信号(リモコンコード)は異なっている。そのため、この命令保持部で保持されている命令にその起動信号を含ませる場合、ユーザーごとに例えば使用テレビ機種などを登録してもらい、個別に異なる命令を送信する必要が生じる。
【0040】
したがって、本発明においては、放送受信装置の起動信号はユーザーが個別に所有する携帯端末装置に登録させておき、災害報知サーバ装置にて保持し携帯端末装置に送信する命令は、その携帯端末装置の起動信号を送信させるためのトリガーとなる命令であることが望ましい。また、その場合、この命令保持部で保持されている「携帯端末装置で保持されている起動信号を放送受信装置に対して送信させるための命令」は、命令のデータサイズを抑えるために、後述するようにこの災害報知サーバ装置のIPアドレスのみとすることもできる。
【0041】
そして、この命令保持部、および送信先識別情報保持部は、例えばハードディスクドライブや不揮発性メモリなどによって構成され、その所定のメモリアドレスに上記命令や送信先識別情報を保持する例が挙げられる。
【0042】
「命令送信部」(0204)は、取得した災害発生情報と、保持されている送信先識別情報とに基づいて、携帯端末装置に対して前記保持されている命令を送信する機能を有する。つまり、この命令送信部では、取得した災害発生情報をトリガーとして、上記命令保持部に保持している「起動信号の送信命令」などを、送信先識別情報で識別される送信先の携帯端末装置宛に対し通信ポートなどを利用して送信処理する、という具合の処理を行うことになる。
【0043】
なお、その命令の送信においては、例えばGPS(グローバル・ポジショニング・システム)からの位置情報を利用して、災害発生地域に居住する人々に対して優先的に命令を送信する構成としても良い。
【0044】
図5に示すのは、この命令送信部で送信される命令の一例について説明するための図である。この図(a)にあるように、この命令送信部から送信される命令は、例えば送信先識別情報や、この災害報知サーバ装置の送信元識別情報(IPアドレスなど)を含む「ヘッダ」と、命令保持部に保持されている命令である、放送受信装置の起動信号の送信命令とが組み合わされたものが挙げられる。
【0045】
あるいは図(b)に示すように、この命令には「(放送受信装置の起動信号の)送信命令」に加えて、災害発生情報などに含まれる災害の内容を示す情報から生成された、例えば震度やマグニチュードなどを示す数値を含む災害情報が付加された命令であっても良い。また、ネットワーク回線の性能によっては、災害発生時間や場所、被害状況などを携帯端末装置に表示させるためのテキストデータなども含まれていて良い。また図(c)に示すようにヘッダのみで構成された命令であっても構わない。
【0046】
また、命令はさらに、家庭内の各種家電機器などが通信によって制御可能であれば、ガスの元栓を閉めるための制御命令など家庭内の家電や機器を災害に応じて制御するための命令を含んでいても良い。
【0047】
(命令の最小データ構成)
【0048】
また、通信ネットワークの輻輳を極力抑えるため、前述の通り、放送受信装置の起動信号の送信命令やガスの元栓など家庭内各機器の制御命令は、携帯端末装置のアプリケーションに保持させることで、この送信される命令はヘッダ部分のみの構成とし、その携帯端末装置での起動信号送信のトリガーとなるようにしても構わない。その場合「命令」はヘッダデータのみで構成可能であるので、請求項3に記載の発明にあるようにそのサイズは20バイト以下とすることができる。なお、このトリガーとなるヘッダデータのみの命令データの一例については、携帯端末装置にてヘッダのみの単なるデータを「命令」と判断する処理と合わせて説明するため、本実施例の〔携帯端末装置〕の項目にて説明する。
【0049】
(災害報知サーバ装置のハードウェア構成例)
【0050】
図6に示すのは、この災害報知サーバ装置のハードウェア構成図であって、以下、この災害報知サーバ装置での命令送信処理の一例を、図6を用いて説明する。この図にあるように、災害報知サーバ装置は、命令送信部である「CPU(中央演算装置)」(0601)と、「主メモリ」(0602)と、「送信手段」(0605)と、災害発生情報取得部である「インターフェース/通信部」(0604)と、送信先識別情報保持部であり、また命令保持部でもある「ハードディスクドライブ」(0603)と、が「システムバス」(0606)などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の処理や送受信を行う。
【0051】
そして「ハードディスクドライブ」は、送信先識別情報や命令のそれぞれを、所定のメモリアドレスに記憶している。また「主メモリ」は、「CPU」にて解釈され実行されるプログラムの作業領域であるワーク領域を提供するとともに、そのプログラムで処理されるデータを格納するデータ領域も提供する。
【0052】
そして、この「主メモリ」や「ハードディスクドライブ」にはそれぞれ複数のメモリアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのメモリアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
【0053】
例えば「ハードディスクドライブ」のメモリアドレス1に記憶されている送信先識別情報である携帯端末装置のIPアドレス「123.×××.0.1」は、ワーク領域に展開された命令送信プログラムの「ハードディスクドライブのメモリアドレス1の情報を取得し、主メモリのメモリアドレスAに格納せよ」との命令に従ってハードディスクドライブから読み出され、主メモリのメモリアドレスAに格納される。そして同様のプログラムの命令によりハードディスクドライブのメモリアドレスαに記憶されている「(放送受信装置の起動信号の)送信命令」も主メモリのメモリアドレスXに格納される。
【0054】
そしてプログラムの「主メモリのメモリアドレスXの情報を、メモリアドレスAの情報を送信先として送信手段から送信せよ」との命令に従い、CPUの処理によって送信先IPアドレス「123.×××.0.1」やサーバ装置自身のIPアドレスを含む送信用のヘッダが生成され、そのヘッダが付された(起動信号の)送信命令を「命令」として送信手段から送信する。そして、その他の送信先識別情報「456.○○○.0.2」、・・・・などに対しても同様の処理により起動信号送信命令が送信される、という具合である。
【0055】
もちろんCPUの処理により生成される「命令」は、インターフェースなどの入力により取得した災害発生情報に含まれる災害の内容を示す情報が付加された命令であっても構わない。あるいは起動信号の送信命令としてサーバ装置自身(送信元)のIPアドレスを利用する場合、この生成されたヘッダが携帯端末装置に対して送信される「命令」であっても構わない。
【0056】
以上のようにして、本実施例の災害報知サーバ装置の送信手段から、通信回線を介して携帯端末装置に対して放送受信装置の起動信号の送信命令などが送信されることになる。
【0057】
(通信回線での命令の優先的送信)
【0058】
なお、このインターネット回線を利用した通信による命令の送信に際しては、命令を優先的に送信するため、請求項2に記載の発明にあるように命令送信部が「優先制御手段」を有していても構わない。この「優先制御手段」は、送信する命令を構成するパケットの通信優先度を最高値として送信する機能を有する。
【0059】
図7に示すのは、この優先制御手段により通信優先度を最高値として送信される命令のデータ構成の一例を表す概念図である。優先制御手段では、例えばRSVP(リソース・リザベーション・プロトコル)の規格に基づいて、この図にあるように「命令」に付された前記ヘッダデータに優先度を示すデータを付加することができる。
【0060】
図8に示すのは、このように通信優先度を最高値とした場合におけるパケット通信の概要の一例を表す図である。この図にあるように、インターネット回線で輻輳が発生し、ルータにおいて頻繁にパケットデータの破棄処理が行われる場合でも、通信優先度が最高値に設定されている本災害報知サーバ装置からの命令パケット(図中斜線で示すパケット)は、破棄されにくく、優先的に送信されることになる。したがって、この命令は遅滞無くユーザーの携帯端末装置に受信されることができるので、ユーザーは災害時でも本発明による災害情報の報知サービスを遅滞無く受けることができるようになる。
【0061】
〔携帯端末装置の構成〕
【0062】
つづいて、図2に示す「携帯端末装置」について説明する。「携帯端末装置」(0210)は、ネットワーク接続機能を有しユーザーが携行可能な端末装置であって、「命令受信部」(0211)と、「起動信号送信部」(0212)と、からなる。なお「携帯端末装置」は、例えば携帯電話やPHSのほか、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタンツ)なども含まれる。なお、この携帯端末装置は、突発的な災害発生時に放送受信装置を起動させる機能を有するため、半常時起動されている端末装置であることが望ましい。
【0063】
「命令受信部」(0211)は、前記災害報知サーバ装置にて送信される命令を受信する機能を有する。この命令受信部で受信する「命令」は、前述の通り放送受信装置の起動信号(リモコンコード)を含む命令であっても良いが、通常放送受信装置ごとに起動信号が違うことから、本発明に置いては、携帯端末装置に保持されている起動信号を送信するためのトリガーとなる命令であることが望ましい。あるいは、その起動信号の送信命令となりうるヘッダデータのみで構成される命令であっても良い。また、実施例2で後述するように、命令に災害の内容などに関する情報が含まれていても良い。
【0064】
そしてこの命令受信部は、例えばインターネット通信網に接続された通信ポートによって構成され、インターネット通信網経由でサーバ装置から送信された命令を受信する。
【0065】
「起動信号送信部」(0212)は、命令受信部(0211)にて受信した命令に基づいて放送受信装置を起動する信号を送信する機能を有する。この起動信号の送信は、受信した命令に起動信号が含まれている場合は、その起動信号を例えばパルス変調し赤外線ポートから放送受信装置であるテレビ受信装置の受光ポートに送信することにより実現すると良い。
【0066】
あるいは、この携帯端末装置が起動信号をそのリモコンアプリケーションで利用可能に保持している場合、受信した命令をトリガーとしてアプリケーションを実行し、その保持している起動信号を送信しても良い。このように、受信する命令を、「携帯端末装置で保持している(放送受信装置の)起動信号の送信命令」とする場合、この携帯端末装置は、リモコン機能を実現するアプリケーションが組み込まれていると良い。そしてそのアプリケーションは、本発明を利用した災害報知サービスのユーザーがサービス登録時にサーバ装置からダウンロードなどすることにより携帯端末装置に組み込まれるような構成とすると良い。このようにすることで、本発明を利用した災害報知サービスの実施において、ユーザーは特別に新しい機器などを用意する必要などが無くなる。
【0067】
そして、ユーザーは携帯端末装置に組み込んだアプリケーションの設定において、自分が使用している放送受信装置の機種や製造者などを登録することで、その放送受信装置に対応した起動信号(リモコンコード)を送信することが可能になる。
【0068】
図9に示すのは、災害報知サーバ装置のIPアドレスを含むヘッダのみを「命令」のデータ構成とする場合のデータ概念図と、その様なデータ構成の命令を起動信号送信のトリガーと判断する処理概要の一例を説明するための概念図である。この図(a)にあるように、命令受信部で受信した命令はヘッダのみのデータ構成となっており、そのヘッダデータには送信先IPアドレス(携帯端末装置自身のIPアドレス)に加え、「送信元IPアドレス」すなわち災害報知サーバ装置のIPアドレスが含まれている。そこでこの携帯端末装置では、起動信号の送信トリガーの受信判断基準として、図(b)に示すように予めこの「送信元IPアドレス」を保持しておき、それと同一のIPアドレスがヘッダに含まれたデータを受信した場合、そのデータを災害報知サーバ装置から送信されてきた「命令」だと判断する、という具合である。
【0069】
(携帯端末装置のハードウェア構成例)
【0070】
図10に示すのは、この携帯端末装置のハードウェア構成図であって、以下、この携帯端末装置での起動信号送信処理の一例を、図10を用いて説明する。この図にあるように、携帯端末装置は、命令受信部である「受信手段」(1004)と、起動信号送信部である「CPU(中央演算装置)」(1001)と、「主メモリ」(1002)と、「フラッシュメモリ(記憶装置)」(1003)と、「コード変調/パルス生成器」(1005)と、「赤外線LED」(1006)と、が「システムバス」(0606)などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の処理や送受信を行う。なお、上記「フラッシュメモリ」と「主メモリ」とは同一の部品により構成されていても良い。
【0071】
そして前記図6で説明した災害報知サーバ装置同様、「主メモリ」や「フラッシュメモリ」にはそれぞれ複数のメモリアドレスが割り当てられており、「CPU」で実行されるプログラムは、そのメモリアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりを行い、処理を行うことが可能になっている。
【0072】
ここで、「受信手段」にてインターネット回線を通じて(放送受信装置の)起動信号の送信命令を受信すると、その命令が例えば送信元IPアドレスを含むヘッダのみのデータである場合、主メモリのワーク領域に展開されたテレビ制御用プログラムが、命令に含まれるその送信元IPアドレスを主メモリの所定のメモリアドレスPに格納する命令を送出する。また、同時に、「フラッシュメモリ」のメモリアドレス11に保持されている災害報知サーバ装置のIPアドレスを主メモリのメモリアドレスQに格納する命令も送出される。続いて、「主メモリのメモリアドレスPとメモリアドレスQとに格納されている情報を比較し同一であるか判断せよ」、とのプログラムの命令にしたがいCPUの演算処理にて両者の比較が行われ、ここでは「同一(True)」という判断結果が算出される。すると、このテレビ制御プログラムは受信手段で受信したヘッダのみのデータは、受信したデータは「起動信号を送信する命令」である、と判断し、次の起動信号の送信処理に移行する。
【0073】
起動信号送信処理では、まずプログラムの命令により「フラッシュメモリ」のメモリアドレス1に保持されている、放送受信装置の起動信号となるリモコンコードが読み出され、主メモリのメモリアドレスAに格納される。続いて、「主メモリのメモリアドレスAに格納されたコードを、コード変調/パルス生成器にてパルス信号に変調せよ」とのプログラムの命令に従って、コード変調/パルス生成器にてリモコンコードのパルスへの変調処理が行われる。そして、そのようにして生成されたパルス信号に従って、放送受信装置の受光部へ光線を送出する「赤外線LED」の明滅を制御する命令がプログラムより送出され、その命令に従い「赤外線LED」の明滅制御が行われる。そしてその赤外線LEDの明滅によって起動信号が放送受信装置に対して送信される、という具合である。
【0074】
〔放送受信装置の構成〕
【0075】
最後に、図2に示す「放送受信装置」について説明する。「放送受信装置」(0220)は、放送波を受信し映像や音声を出力するディスプレイを備えた受信装置であって、「放送受信選択部」(0221)と、「起動信号受信部」(0222)と、「制御部」(0223)と、からなる。なお「放送受信装置」は、テレビ放送波の受信装置のほかにラジオ放送波の受信装置も含まれる。
【0076】
「放送受信選択部」は、制御された周波数の放送波を選択的に受信する機能を有する。したがってこの放送受信選択部は、例えば受信チューナーなどにより実現されうる。なお、この放送受信選択部で受信する周波数の選択制御は後述する制御部にて行われる。
【0077】
また、その受信チューナーなどで放送波を受信し、それをディスプレイなどに表示するためには、放送受信装置自体の電源が投入され受信した放送波を信号回路で映像化する必要がある。したがって、この放送受信選択部には、その放送受信装置自体の電源回路なども含まれ、後述する制御部により制御されるものとする。
【0078】
「起動信号受信部」(0222)は、携帯端末装置にて送信された起動信号を受信する機能を有する。したがって、携帯端末装置が前記のように赤外線通信により起動信号を送信した場合はその赤外線受光ポートが起動信号受信部となる。もちろん、請求項4に記載のように、この放送受信装置の起動信号受信部は、携帯端末装置の起動信号送信部と、その他の短距離無線通信を利用して通信する構成であっても構わない。赤外線通信以外の短距離無線通信としては、IEEEにより策定された規格に基づく無線通信やブルートゥース(登録商標)、IrDA,UWBなどが挙げられる。
【0079】
起動信号受信部では、例えば赤外線であれば、携帯端末装置の明滅する赤外線LEDからパルスを受光し、それを復調器で復調することで起動信号(リモコンコード)を取得する。そしてそのリモコンコードに従って次の制御部での制御処理が行われる。
【0080】
「制御部」(0223)は、受信した起動信号に基づいて放送受信選択部を制御する機能を有する。つまりこの制御部では、リモコンコードに基づいて放送受信選択部に含まれる電源回路の電源投入の制御などを行う。また、あるいは放送受信選択部である受信チューナーで受信する放送波の周波数(チャンネル)を制御することになる。
【0081】
なお、災害時の速報テロップの表示や報道特番の緊急放送などは、通常いずれの放送局でも災害発生後にほぼ同時に行われるため、あえて放送受信選択部で周波数(チャンネル)を制御しなくても構わない。ただし、情報の信頼性などを理由にユーザーがこの災害報知システムにおいて放送受信装置に受信させる周波数を特定している場合など、その特定された周波数チャンネルの選択がこの放送受信選択部で行われる場合も想定される。
【0082】
また、この放送受信装置の電源スイッチはトグルスイッチ以外のスイッチであり、携帯端末装置のリモコンアプリケーションが保持している電源投入用のリモコンコードは電源ON/OFFでそれぞれ異なるリモコンコードであることが望ましい。なぜならば、電源スイッチがトグルスイッチであり、その電源のON/OFFを同一のリモコンコードで制御すると、災害発生後、すでに電源が投入(ON)されている放送受信装置の電源が、この災害報知システムによって切られて(OFF)しまうことになるからである。
【0083】
あるいは上記のようにすでに電源が投入されている放送受信装置の電源を携帯端末装置の起動命令によって切らないようにするためには、そのスイッチ形式を限定する以外に、例えば電流検出可能な電源タップを利用しても良い。前記電源タップを利用すれば、待機電力以外の放送受信装置への電流の流れを検出して、現在放送受信装置に電源が投入されているか否かを判別することができる。
【0084】
(放送受信装置のハードウェア構成例)
【0085】
図11に示すのは、この放送受信装置のハードウェア構成図であって、以下、この放送受信装置での放送受信選択処理の一例を、図11を用いて説明する。この図にあるように、携帯端末装置は、放送受信選択部である「チューナー」(1104)と、「電源回路」(1105)と、起動信号受信部である「受光部」(1101)と、「リモコンコード復調器」(1102)と、制御部である「制御回路」が、信号伝達経路によって相互に接続され、情報の送受信や制御を行う。
【0086】
ここで、「受光部」にて携帯端末装置の赤外線LEDの明滅を受光すると、その明滅周期からパルスを取得し、そのパルスをリモコンコード復調器にて対応するリモコンコードに復調する。そしてそのリモコンコードで示される起動信号が電源ONの起動信号であれば制御部の制御により電源回路の制御が行われ「受信チューナー」での放送波の受信が開始される。あるいはリモコンコードで示される起動信号が受信チャンネルの制御信号であれば、その受信チャンネルに合うように「受信チューナー」の受信周波数を制御する、という具合である。
【0087】
そして、「受信チューナー」で受信した放送波に含まれる例えば災害の速報テロップを含む番組や、緊急放送の災害特番などがディスプレイに表示される。したがって放送受信装置の電源を常時投入し起動させておかずとも、人々は災害に関するさまざまな情報を、災害発生直後に頻繁に発生する通信ネットワークの輻輳などの影響をあまり受けず、遅滞無く取得することができる。
【0088】
<システムの処理の流れ>
【0089】
図12に示すのは、本実施例の災害報知システムにおける処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。もちろん、以下に示すステップは、媒体に記録され、各装置に組み込まれた計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。
【0090】
この図にあるように、まず、災害報知サーバ装置において、災害発生情報が取得され(ステップS1201)、その災害発生情報と、予め保持している送信先識別情報と、に基づいて、予め保持している命令を携帯端末装置に対して送信する(ステップS1202)。
【0091】
携帯端末装置では、前記ステップS1202にて災害報知サーバ装置より送信された命令を受信し(ステップS1203)、その受信した命令に基づいて、放送受信装置の起動信号を、放送受信装置に対して送信する(ステップS1204)。
【0092】
放送受信装置では、前記ステップS1204にて携帯端末装置より送信された起動信号を受信し(ステップS1205)、その受信した起動信号に基づいて、電源の投入制御や受信する放送波の選択制御などが行われる(ステップS1206)。
【0093】
そして、受信された放送波に含まれる例えば災害の速報テロップを含む番組や、緊急放送の災害特番などがディスプレイに表示される、という具合である。
【0094】
<効果の簡単な説明>
【0095】
以上のように、本実施例の災害報知システムによって、放送受信装置の電源を常時投入し起動させておかずとも自動的に放送受信装置を起動させ、災害に関するさまざまな情報が報知される速報テロップや災害特番などを視聴することができる。
【0096】
また、本発明においては、通信網を介して災害報知サーバ装置から携帯端末装置に送信する情報を、送信元IPアドレスを含むヘッダのみとすることが可能など、そのデータサイズを小さくすることができる。そのため通信網のネットワークトラフィックを抑えることができ、結果的に多くの人々の携帯端末に対してテレビ受信装置などを起動するための命令を送信することが可能になる。したがって災害発生後、その災害に関する情報を、人々は通信ネットワークの輻輳などの影響をあまり受けず、放送受信装置から遅滞無く取得することができる。
【0097】
≪実施例2≫
【0098】
<概要>
【0099】
図13に示すのは、本実施例における災害報知システムの概要の一例を説明するための図である。この図にあるように、本実施例の災害報知システムは、実施例1を基本として、災害発生時には、携帯端末のリモコン機能などを作動させて放送受信装置の電源投入や受信チャンネルの制御を自動で行い、災害の緊急特番を放送受信装置のディスプレイに自動的に表示させる。
【0100】
そして、本実施例は、さらに、携帯端末装置のディスプレイ上に、その災害に関する情報、例えば「テレビの災害情報をご確認下さい。また被災地の方は冷静に・・・・」といったテキストや音声を出力し、場合によってはバイブレーションで同様の旨をユーザーに伝えユーザーの注意を喚起する機能を備えた災害報知システムである。
【0101】
このように、例えば災害発生によって冷静さを欠き、テレビが自動で起動し災害情報を報道していても気づかないようなユーザーや、災害発生時にテレビやラジオなどの受信装置の無い部屋にいるユーザーなどに対して、放送受信装置での速報テロップや緊急特番などの情報報知に対して注意を向けるよう促すことができるようになる。また、災害発生時に必要な注意を呼びかけることもできる。また、その際、通信帯域が確保可能であれば災害の内容に関するテキストや音声情報なども同時に出力しても良い。
【0102】
<構成>
【0103】
図14に示すのは、本実施例の災害報知システムにおける携帯端末装置の機能ブロックの一例を表す図である。なお、本実施例は、実施例1を基本としており、携帯端末装置以外の本システム構成要件である「災害報知サーバ装置」(1400)と「放送受信装置」(1420)の機能ブロックは実施例1と同様であるので、その図示、および詳細な説明は省略する。
【0104】
〔携帯端末装置の構成〕
【0105】
また、携帯端末装置に関しても、「命令受信部」(1411)と、「起動信号送信部」(1412)については、実施例1ですでに記載済みであるのでその説明は省略する。
【0106】
そして、本実施例の災害報知システムの特徴点は、その「携帯端末装置」(1413)が、さらに「注意喚起情報出力部」(1413)を有する点である。
【0107】
「注意喚起情報出力部」(1413)は、命令受信部(1411)での命令受信に応じて注意喚起情報を出力する機能を有する。「注意喚起情報」とは、利用者に対して注意を喚起するための情報をいい、前述のように「テレビを見てください」あるいは「火の元を確認してください」といったテキストをディスプレイに表示するための情報や、同様の音声をスピーカから出力するための情報、あるいは同様の旨を伝達するためのバイブレーション機能の制御情報などが挙げられる。
【0108】
もちろん、これらの注意喚起情報は定型であっても構わないので、通信ネットワーク回線の輻輳を避けるため、予め携帯端末装置に保持されていて、命令受信部での命令受信をトリガーとしてこの注意喚起情報の出力処理が行われるような構成とすると良い。
【0109】
また、災害報知サーバ装置から送信される命令に災害状況などに関する情報を含めることで、その災害状況に応じた注意喚起情報を出力するような構成としても良い。なお、その場合、ネットワーク回線の輻輳発生を抑えるため、命令に含める上記情報は、例えば震度やマグニチュードの数値情報や、災害の種類の識別番号のみ、などの構成とすることが望ましい。
【0110】
このような注意喚起情報の出力例としては、例えば命令に災害の種類「1(地震)」と、その震度を示す数値情報が含まれており、その数値情報(震度)が「1から3」ならば注意喚起情報A「比較的小さな震度ですので慌てずに行動してください」を出力し、「4、5」ならば注意喚起情報B「家屋や塀にヒビが入っている可能性がありますので外出、避難の際にはそれらに近づかないようご注意下さい。また、火の元・・・」、「6、7」ならば、注意喚起情報C「大きな余震も考えられます。テレビの地震情報に注意して行動してください。また、火の元・・・」という情報を出力する、という具合である。あるいは、災害の種類が「2(台風)」であれば、それに応じて「戸締りをキチンとしてください。また外に置いてある物は家の中に入れるようにしてください。」、といった情報を出力する、という具合である。
【0111】
また、GPSなどを利用して、そのユーザーの現在位置に応じた注意喚起情報を出力しても良い。GPSの位置情報から場所ごとの震度に応じて上記注意喚起情報を出力したり、あるいは海岸線近くであることが判断可能であれば「津波情報に十分注意し情報を収集してください。また可能ならば早く高台に避難してください」といった注意喚起情報を出力したりする、という具合である。
【0112】
(携帯端末装置のハードウェア構成例)
【0113】
図15に示すのは、この携帯端末装置のハードウェア構成図であって、以下、この携帯端末装置での注意喚起情報の出力処理の一例を、図15を用いて説明する。この図にあるように、携帯端末装置は、命令受信部である「受信手段」(1504)と、注意喚起情報出力部である「CPU」(1501)と、「主メモリ」(1502)と、「フラッシュメモリ(記憶装置)」(1503)と、ディスプレイ/スピーカ/バイブレーション装置などの「出力機器」(1506)に応じた各「出力手段」(1505)と、が「システムバス」(1507)などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の処理や送受信を行う。
【0114】
ここで、「受信手段」にてインターネット回線を通じて災害報知サーバ装置からの命令を受信すると、実施例1で説明したように、「コード変調/パルス生成器」(図示省略)や、「赤外線LED」(図示省略)での起動信号の送信処理が実行され、放送受信装置に対して起動信号が送信される。
【0115】
そして、本実施例の携帯端末装置では、この「受信手段」での命令受信をトリガーとして、さらに注意喚起情報の出力処理も行われることになる。そのために、まず、「主メモリ」のワーク領域に注意喚起用プログラムが展開され実行される。そしてそのプログラムの命令によって、「受信手段」で受信した命令に含まれる災害種類番号が取り出され、「主メモリ」のメモリアドレスNに格納される。そして、また「フラッシュメモリ」に記憶された災害種類テーブル(災害種類番号と、それに応じた注意喚起情報のフラッシュメモリでの記憶アドレスとを関連付けたテーブル)も同様にプログラムの命令により「主メモリ」のメモリアドレスMに格納される。
【0116】
そして、プログラムの「主メモリのメモリアドレスMに格納されているテーブルを参照して、メモリアドレスNに格納された災害種類番号と関連付けられているフラッシュメモリの記憶アドレスを取得せよ。」との命令にしたがい、該当する記憶アドレスが取得される。そして、さらに、「取得したフラッシュメモリの記憶アドレスに記憶されている注意喚起情報を、主メモリのメモリアドレスAに格納せよ」との命令にしたがい、該当する注意喚起情報が主メモリのメモリアドレスAに格納される。
【0117】
そして、そのメモリアドレスAに格納された注意喚起情報が「出力手段」(1505)を介して、ディスプレイやスピーカ、バイブレーション装置などの「出力機器」(1506)に出力される、という具合である。
【0118】
<携帯端末装置の処理の流れ>
【0119】
図16に示すのは、本実施例の災害報知システムの携帯端末装置における処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。もちろん、以下に示すステップは、媒体に記録され、携帯端末装置に組み込まれた計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。
【0120】
本システムでは、実施例1のシステムにおける処理の流れで説明したように、まず、災害報知サーバ装置から命令が携帯端末装置に対して送信される。そして、この図にあるように、携帯端末装置では、その送信された命令を受信し(ステップS1601)、その受信した命令に応じて、注意喚起情報をディスプレイなどの出力機器に出力する(ステップS1602)。もちろん、システム全体としては受信した命令に基づいて放送受信装置の起動信号を放送受信装置に対して送信し(ステップS1603)、放送受信装置での起動処理も実行される。
【0121】
<効果の簡単な説明>
【0122】
以上のように、本実施例の災害報知サーバ装置によって注意喚起情報が出力されることで、災害が発生し冷静でいることが困難な状況下や、ユーザーがすぐに受信装置の起動に気づかない場所にいる場合などにおいて、ユーザーに対してさまざまな注意を喚起させることができる。したがって、ユーザーは比較的冷静に災害関連の情報収集にあたったり、地震時の火の元の確認や台風接近時の戸締り確認などの対応を実行したりすることができる効果が期待できる。
【0123】
≪実施例3≫
【0124】
<概要>
【0125】
2005年の昨今、テレビ受信機能が付加された携帯端末装置が提供され、一般に普及してきている。このような現状を鑑み、本実施例では、前記放送受信装置と携帯端末装置が一体である場合の災害報知システムについて以下に説明する。
【0126】
<構成>
【0127】
図17に示すのは、本実施例の災害報知システムにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例の災害報知システムは、実施例1を基本として、「災害報知サーバ装置」(1700)と、「携帯端末/放送受信装置」(1710)と、からなっている。そしてその特徴点は、「携帯端末装置」と「放送受信装置」とが一体になっている点である。また一体になっているため、実施例1で説明した両装置間での起動信号などの送受信は、赤外線通信などではなく、システムバスなどを介して行われる点も特徴のひとつである。そのため、上記「携帯端末/放送受信装置」において「起動信号の送受信部」は必要がなく、代わりに「命令受信部」(1711)での命令受信に応じて、システムバスなどを介して起動信号を「制御部」(1712)に渡す「起動信号取得部」(1713)が存在することになる。
【0128】
そしてその起動信号を、システムバスなどを介し受け取った制御部が、放送受信選択部を制御し、携帯端末装置のテレビ/ラジオ機能を起動させ、あるいは受信チャンネルを特定し、自動でニュース速報などを見たり聞いたりすることができるようになる、という具合である。
【0129】
なお、これら「災害報知サーバ装置」や、「命令受信部」や「制御部」、またその制御部により制御される「放送受信選択部」は、実施例1で説明したものとほぼ同様であるのでその説明は省略する。
【0130】
また、「起動信号取得部」は、その起動信号の出力手段が通信ネットワーク回線を利用した送信か、装置内部でのシステムバスなどを介した送信か、の違いのみであるので、ハードウェア構成上における起動信号の取得処理方法なども含め、その説明は省略する。
【0131】
<システムの処理の流れ>
【0132】
図18に示すのは、本実施例の災害報知システムにおける処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。もちろん、以下に示すステップは、媒体に記録され、各装置に組み込まれた計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。
【0133】
この図にあるように、まず、災害報知サーバ装置において、災害発生情報が取得され(ステップS1801)、その災害発生情報と、予め保持している送信先識別情報と、に基づいて、予め保持している命令を携帯端末/放送受信装置に対して送信する(ステップS1802)。
【0134】
携帯端末/放送受信装置では、前記ステップS1802にて災害報知サーバ装置より送信された命令を受信し(ステップS1803)、その受信した命令に基づいて起動信号を取得する(ステップS1804)。つづいて、前記ステップS1804にて取得した起動信号に基づいて、電源の投入制御や受信する放送波の選択制御などが行われる(ステップS1805)。
【0135】
そして、受信された放送波に含まれる例えば災害の速報テロップを含む番組や、緊急放送の災害特番などが携帯端末/放送受信装置のディスプレイに表示される、という具合である。
【0136】
<効果の簡単な説明>
【0137】
以上のように本実施例によって、放送受信機能付の携帯端末装置において、ユーザーに対し災害報知を行うことができる。したがって、災害によって停電などが起こり据え置きの放送受信装置が起動しないような場合でも、ユーザーは災害に関する情報を入手することができる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】実施例1における災害報知システムの概要の一例を説明するための図
【図2】実施例1の災害報知システムにおける機能ブロックの一例を表す図
【図3】実施例1の災害報知システムの災害報知サーバ装置で取得される、XML形式で記述されたこの災害発生情報の一例を表す図
【図4】実施例1の災害報知システムの送信先識別情報保持部における送信先識別情報の保持の一例を説明するための概念図
【図5】実施例1の災害報知システムの命令送信部で送信される命令の一例について説明するための図
【図6】実施例1の災害報知サーバ装置での命令送信処理の一例を説明するためのハードウェア構成図
【図7】実施例1の災害報知システムの優先制御手段により、通信優先度を最高値として送信される命令のデータ構成の一例を表す概念図
【図8】実施例1の災害報知システムにおいて、優先制御手段で通信優先度を最高値とした場合のパケット通信の概要の一例を表す図
【図9】実施例1の災害報知サーバ装置で送信される命令がIPアドレスを含むヘッダのみの場合のデータ構成概念図と、その様なデータ構成の命令を起動信号送信のトリガーと判断する処理概要の一例を説明するための概念図
【図10】実施例1の携帯端末装置での起動信号送信処理の一例を説明するためのハードウェア構成図
【図11】実施例1の放送受信装置での放送受信選択処理の一例を説明するためのハードウェア構成図
【図12】実施例1の災害報知システムにおける処理の流れの一例を説明するためのフローチャート
【図13】実施例2における災害報知システムの概要の一例を説明するための図
【図14】実施例2の災害報知システムにおける機能ブロックの一例を表す図
【図15】実施例2の携帯端末装置での注意喚起情報出力処理の一例を説明するためのハードウェア構成図
【図16】実施例2の災害報知システムの携帯端末装置における処理の流れの一例を説明するためのフローチャート
【図17】実施例3の災害報知システムにおける機能ブロックの一例を表す図
【図18】実施例3の災害報知システムにおける処理の流れの一例を説明するためのフローチャート
【符号の説明】
【0139】
0200 災害報知サーバ装置
0201 災害発生情報取得部
0202 送信先識別情報保持部
0203 命令保持部
0204 命令送信部
0210 携帯端末装置
0211 命令受信部
0212 起動信号送信部
0220 放送受信装置
0221 放送受信選択部
0222 起動信号受信部
0223 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害報知サーバ装置と、携帯端末装置と、放送受信装置とからなる災害報知システムであって、
災害報知サーバ装置は、
災害発生情報を取得する災害発生情報取得部と、
複数の携帯端末装置の送信先識別情報を保持する送信先識別情報保持部と、
携帯端末装置を介して放送受信装置を起動するための命令を保持する命令保持部と、
取得した災害発生情報と、保持されている送信先識別情報とに基づいて、携帯端末装置に対して前記保持されている命令を送信する命令送信部と、
を有し、
携帯端末装置は、
送信される命令を受信する命令受信部と、
受信した命令に基づいて放送受信装置を起動する信号を送信する起動信号送信部と、
を有し、
放送受信装置は、
放送受信選択部と、
送信された起動信号を受信する起動信号受信部と、
受信した起動信号に基づいて放送受信選択部を制御する制御部と、
を有する災害報知システム。
【請求項2】
前記災害報知サーバ装置の命令送信部と、携帯端末装置の命令受信部とは、インターネット回線を利用して通信し、
前記命令送信部は、送信する命令を構成するパケットの通信優先度を最高値として送信する優先制御手段を有する請求項1に記載の災害報知システム。
【請求項3】
前記災害報知サーバ装置の命令送信部にて送信される命令は、20バイト以下である請求項1又は2に記載の災害報知システム。
【請求項4】
携帯端末装置の起動信号送信部と、放送受信装置の起動信号受信部とは、短距離無線通信を利用して通信する請求項1から3のいずれか一に記載の災害報知システム。
【請求項5】
携帯端末装置は、前記命令受信部での命令受信に応じて利用者に対して注意を喚起するための注意喚起情報を出力する注意喚起情報出力部を有する請求項1から4のいずれか一に記載の災害報知システム。
【請求項6】
前記放送受信装置と携帯端末装置は一体である請求項1から5のいずれか一に記載の災害報知システム。
【請求項7】
災害報知サーバ装置と、携帯端末装置と、放送受信装置により災害報知を行う方法であって、
災害報知サーバ装置にて、
災害発生情報を取得する災害発生情報取得ステップと、
複数の携帯端末装置の送信先識別情報を保持するために記録する第一記録ステップと、
携帯端末装置を介して放送受信装置を起動するための命令を保持するために記録する第二記録ステップと、
前記取得した災害発生情報と、前記記録され保持されている送信先識別情報とに基づいて、携帯端末装置に対して前記記録され保持されている命令を送信する命令送信ステップと、を計算機の処理により実行し、
携帯端末装置にて、
送信される命令を受信する命令受信ステップと、
前記受信した命令に基づいて放送受信装置を起動する信号を送信する起動信号送信ステップと、を計算機の処理により実行し、
放送受信装置にて、
前記送信された起動信号を受信する起動信号受信ステップと、
前記受信した起動信号に基づいて受信する放送波周波数を選択制御する選択制御ステップと、を計算機の処理により実行する災害報知方法。
【請求項8】
前記携帯端末装置にて、命令受信ステップでの命令受信に応じて利用者に対して注意を喚起するための注意喚起情報を出力する注意喚起情報出力ステップをさらに計算機に実行させる請求項7に記載の災害報知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−66034(P2007−66034A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251900(P2005−251900)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(502183740)
【出願人】(502183762)
【Fターム(参考)】