説明

炎症またはアレルギー症状の処置に適する二環式有機化合物

炎症性または閉塞性気道疾患などのS1P2またはS1P3受容体により媒介される疾患の処置用の、遊離または塩形態の式(I)の化合物(式中、A、R、R、Q、QおよびQは本明細書で定義する通りである)。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物、それらの製造および医薬としてのそれらの使用に関する。
【発明の概要】
【0002】
第一の態様では、本発明は、遊離または塩形態
(I):
【化1】

[式中、
Qは、CH、C(O)およびC(S)から選択され;
およびQは、NおよびCHから独立して選択され;
【化2】

は、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基から選択され;
は、C−C−アルキル(−OH、ハロゲン、CN、O−C−C−アルキル、NR1c1d、カルボキシ−C−C−アルキルおよびCOOHにより置換されていることもある)、−C(R1a1bC(O)CR1c1d1e、−C(R1a1bC(O)NR1c1d、−C(R1a1bNR1c1d、C(R1a1bCR1c1d1e、C(R1a1bSO1f、C(R1a1bSOR1gおよびC(R1a1bSR1hから選択され;
1f、R1gおよびR1hは、C−C−アルキル、C−C−ヒドロキシアルキル、C−Cアルキルアミノ(C−C−アルキル)、ジ(C−C−アルキル)アミノ(C−C−アルキル)、C−C−シアノアルキル、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、C−C−ハロアルキル、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし10員のヘテロ環式基から独立して選択され;
各R1aおよびR1bは、H、−OH、およびC−C−アルキル(−OHおよびハロゲンにより置換されていることもある)から独立して選択され;
1cおよびR1dは、H;
−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−アラルキル、C−C15−炭素環式基、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基;
−C−アルコキシ(OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある);
−C−アルケニル(−OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基)により置換されていることもある);
−C−アルキニル(−OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある);および、
−C−アルキル(−OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C−アルコキシカルボニル、COOH、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある)
から独立して選択され、
1eは、HおよびC−C−アルキルから選択され;
【0003】
は、C−C15−芳香族性炭素環式基(−C(R3a3bC(O)NR3c3dまたは−C(R3a3bC(O)OHにより置換されていることもある)、C−C15−アラルキル、C−C−アルキル(C−C15−炭素環式基により置換されている)、C−C15−炭素環式基、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、−C(R3a3bC(O)NR3c3dおよび−C(R3a3bC(O)OHから選択され;
3aおよびR3bは、H、−OHおよびC−C−アルキル(−OHおよびハロゲンにより置換されていることもある)から独立して選択され;
3cおよびR3dは、H、
−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基(または、R3cおよびR3dは、それらが結合しているNと一体となって、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基を形成する)、
酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基、
−C−アルコキシ(C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある)、C−C−アルコキシカルボニル(C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある);および、
−C−アルキル(−OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある);
から独立して選択され、
およびRは、HおよびC−C−アルキルから独立して選択され;
mおよびnは、整数0、1、2および3から独立して選択され;そして、
tは、1、2および3から選択される整数であり;
【0004】
ここで、該C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−アラルキル、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基は、特記しない限り、各々、C−C15−アラルキル、C−C−アルキル、CN、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、ハロゲン、C−C−アルコキシ、OH、C−C−アルキルカルボニル、−C(O)−C−C15−芳香族性炭素環式基、−C(O)−C−C15−炭素環式基、−C(O)−酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基、C−C−シアノアルキル、C−C−シアノアルコキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、COOH、C−C−アルコキシカルボニル、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基(C−C15−アラルキル、C−C−アルキル、CN、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、ハロゲン、C−C−アルコキシ、OH、C−C−アルキルカルボニル、C−C−シアノアルキル、C−C−シアノアルコキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、COOH、またはC−C−アルコキシカルボニルにより置換されていることもある)、C−C15−芳香族性炭素環式基(C−C15−アラルキル、C−C−アルキル、CN、ハロゲン、C−C−アルコキシ、OH、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、COOH、CF、または、C−C−アルコキシカルボニルにより置換されていることもある)、または、C−C15−炭素環式基(C−C15−アラルキル、C−C−アルキル、CN、ハロゲン、C−C−アルコキシ、OH、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、COOH、CFまたはC−C−アルコキシカルボニルにより置換されていることもある)により各々置換されていることもある]
の化合物を提供し、
【0005】
但し、該式(I)の化合物は、3−{1−[(5−クロロ−2−メトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−シクロペンチル−プロピオンアミド、N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−2−[2,4−ジオキソ−3{[(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−カルバモイル]−メチル}−フェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル]−アセトアミド、4−{6−クロロ−1−[2−(3−クロロ−4−エトキシ−フェニル)−2−オキソエチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−シクロペンチル−ブチルアミド、2−{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−フラン−2−イルメチル−アセトアミド、4−(2−{2,4−ジオキソ−3−[4−(フェネチルカルバモイル−メチル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル}−アセチルアミノ)−安息香酸エチルエステル、N−(3,5−ジクロロ−フェニル)−2−{2,4−ジオキソ−3−[4−(フェネチルカルバモイル−メチル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル}−アセトアミド、2−{1−[(4−クロロ−2−メトキシ−5−メチル−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−シクロペンチル−アセトアミド、2−{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−フェネチル−アセトアミドおよび1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−3−フェニル−1,3,4,5,6,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[4',3':4,5]チエノ[2,d]ピリミジン−7−カルボン酸エチルエステルではない。
【発明を実施するための形態】
【0006】
定義
明細書中で使用される用語は、以下の意味を有する:
「置換されていることもある」は、本明細書で使用されるとき、言及される基が、1個またはそれ以上の位置で、その後に列挙されるいかなるラジカルまたはいかなるラジカルの組合せによって置換されていてもよいことを意味する。
【0007】
「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり得る;好ましくは、それは、臭素または塩素またはフッ素である。
【0008】
「C−C−アルキル」は、直鎖または分枝鎖のC−C−アルキルを示し、それは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、直鎖または分枝鎖のペンチル、直鎖または分枝鎖のヘキシル、直鎖または分枝鎖のヘプチルまたは直鎖または分枝鎖のオクチルであり得る。
【0009】
「C−C15−炭素環式基」または「C−C15−炭素環式基」は、本明細書で使用されるとき、3個ないし15個の環内炭素原子を有する炭素環式基、例えば、単環式の基、または環式脂肪族、例えば、C−C−シクロアルキルおよびC−C10−シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル;または、二環式の基、例えば、ビシクロオクチル、ビシクロノニル、およびナフチルを含むビシクロデシルを示す。
【0010】
「C−C15−芳香族性炭素環式基」は、本明細書で使用されるとき、6個ないし15個の炭素原子を有する芳香族基、例えば、フェニル、フェニレン、ベンゼントリイル、ナフチル、ナフチレンまたはナフタレントリイルを示す。
【0011】
「C−C−アルコキシ」は、直鎖または分枝鎖のC−C−アルコキシを示し、それは、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、直鎖または分枝鎖のペントキシ、直鎖または分枝鎖のヘキシルオキシ、直鎖または分枝鎖のヘプチルオキシまたは直鎖または分枝鎖のオクチルオキシであり得る。好ましくは、C−C−アルコキシは、C−C−アルコキシである。
【0012】
「C−C−ハロアルキル」および「C−C−ハロアルコキシ」は、1個またはそれ以上のハロゲン原子、好ましくは1個、2個または3個のハロゲン原子、好ましくはフッ素、臭素または塩素原子により置換されている、先に定義したC−C−アルキルおよびC−C−アルコキシを示す。好ましくは、C−C−ハロアルキルは、1個、2個または3個のフッ素、臭素または塩素原子により置換されているC−C−アルキルである。好ましくは、C−C−ハロアルコキシは、1個、2個または3個のフッ素、臭素または塩素原子により置換されているC−C−アルコキシである。「C−C−ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1個のヒドロキシ基により置換されている、先に定義したC−C−アルキルを示す。
【0013】
「C−C−シアノアルキル」は、少なくとも1個のシアノ基により置換されている、先に定義したC−C−アルキルを示す。
【0014】
「C−C−シアノアルコキシ」は、少なくとも1個のシアノ基により置換されている、先に定義したC−C−アルコキシを示す。
【0015】
「C−C−アルキルスルホニル」は、本明細書で使用されるとき、−SO−に結合している、先に定義したC−C−アルキルを示す。好ましくは、C−C−アルキルスルホニルは、C−C−アルキルスルホニルである。
【0016】
「C−C−ハロアルキルスルホニル」は、本明細書で使用されるとき、−SO−に結合している、先に定義したC−C−ハロアルキルを示す。好ましくは、C−C−ハロアルキルスルホニルは、C−C−ハロアルキルスルホニル、特にトリフルオロメチルスルホニルである。
【0017】
「アミノ−C−C−アルキル」および「アミノ−C−C−アルコキシ」は、各々、窒素原子により、先に定義したC−C−アルキルに結合しているアミノ、例えば、NH−(C−C)−、または、C−C−アルコキシに結合しているアミノ、例えば、NH−(C−C)−O−を示す。好ましくは、アミノ−C−C−アルキルおよびアミノ−C−C−アルコキシは、各々、アミノ−C−C−アルキルおよびアミノ−C−C−アルコキシを示す。
【0018】
「C−C−アルキルアミノ」および「ジ(C−C−アルキル)アミノ」は、各々、同一であっても異なっていてもよい1個または2個の先に定義したC−C−アルキル基により置換されているアミノを示す。好ましくは、C−C−アルキルアミノおよびジ(C−C−アルキル)アミノは、各々、C−Cアルキルアミノおよびジ(C−C−アルキル)アミノである。
【0019】
「アミノ−(ヒドロキシ)−C−C−アルキル」は、窒素原子によりC−Cアルキルに結合しているアミノおよび酸素原子により同じC−C−アルキルに結合しているヒドロキシを示す。好ましくは、アミノ−(ヒドロキシ)−C−C−アルキルは、アミノ−(ヒドロキシ)−C−C−アルキルである。
【0020】
「カルボキシ−C−C−アルキル」および「カルボキシ−C−C−アルコキシ」は、各々、炭素原子により先に定義したC−C−アルキルまたはC−C−アルコキシに結合しているカルボキシを示す。好ましくは、カルボキシ−C−C−アルキルおよびカルボキシ−C−C−アルコキシは、各々、カルボキシ−C−C−アルキルおよびカルボキシ−C−C−アルコキシである。
【0021】
「C−C−アルキルカルボニル」、「C−C−アルコキシカルボニル」および「C−C−ハロアルキルカルボニル」は、各々、炭素原子によりカルボニル基に結合している、先に定義したC−C−アルキル、C−C−アルコキシまたはC−C−ハロアルキルを示す。「C−C−アルコキシカルボニル」は、アルコキシ基の酸素がカルボニルの炭素に結合している、先に定義したC−C−アルコキシを示す。好ましくは、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−ハロアルキルカルボニルは、各々、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−ハロアルキルカルボニルである。
【0022】
「C−C−アルキルアミノ」および「ジ(C−C−アルキル)アミノ」は、炭素原子によりアミノ基に結合している、先に定義したC−C−アルキルを示す。ジ(C−C−アルキル)アミノ中のC−C−アルキル基は、同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、C−C−アルキルアミノおよびジ(C−C−アルキル)アミノは、各々、C−C−アルキルアミノおよびジ(C−C−アルキル)アミノである。
【0023】
「C−C−アルキルアミノカルボニル」および「ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル」は、各々、窒素原子によりカルボニル基の炭素原子に結合している、先に定義したC−C−アルキルアミノおよびジ(C−C−アルキル)アミノを示す。好ましくは、C−C−アルキルアミノカルボニルおよびジ(C−C−アルキル)−アミノカルボニルは、各々、C−C−アルキルアミノカルボニルおよびジ(C−C−アルキル)−アミノカルボニルである。
【0024】
「窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1個の環内ヘテロ原子を含有する4員ないし15員のヘテロ環式基」は、本明細書で使用されるとき、単環式または二環式、例えば、フラン、テトラヒドロフラン、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、イソトリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、トリアジン、オキサジン、チアゾール、キノリン、イソキノリン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイソチアゾール、ベンゾフラン、インドール、インダゾール、ベンゾジオキソールまたはベンゾイミダゾールであり得る。好ましいヘテロ環式基には、ピペラジン、モルホリン、イミダゾール、イソトリアゾール、ピラゾール、ピリジン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、イソオキサゾール、チアゾール、テトラゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾジオキソールおよびベンゾフランが含まれる。
【0025】
【化3】

は、ピリミジンジオン誘導体と縮合するとき、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、または、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基である。例えば、
【化4】

は、ピリミジン−2,4−ジオン誘導体と縮合するとき、下記
【化5】

の通り、フェニル基などのC−C15−芳香族性炭素環式基である。
【0026】
本発明のもう一つの態様は、遊離または塩形態の式(I):
【化6】

[式中、
Qは、CHおよびC(O)から選択され;
およびQは、NおよびCHから独立して選択され;
【化7】

は、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基から選択され;
は、−C(R1a1bC(O)NR1c1d、−C(R1a1bC(O)CR1c1d1e、−C(R1a1bNR1c1d、C(R1a1bCR1c1d1e、C(R1a1bSO1fであり;
1aおよびR1bは、H、−OHおよびC−C−アルキル(−OHおよびハロゲンにより置換されていることもある)から独立して選択され;
1cは、H;
−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−アラルキル、C−C15−炭素環式基、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基;
−C−アルコキシ(OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基および酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある);
−C−アルケニル(−OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基および酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある);
−C−アルキニル(−OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基および酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある);および、
−C−アルキル(−OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C−アルコキシカルボニル、COOH、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある);
から選択され、
1dおよびR1eは、Hであり;
1fは、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、C−C−ハロアルキルおよび酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし10員のヘテロ環式基であり;
【0027】
は、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、アルキルアミノカルボニル、および、−C(R3a3bC(O)NR3c3dから選択され;
3aおよびR3bは、H、−OHおよびC−C−アルキル(−OH、ハロゲンにより置換されていることもある)から独立して選択され;
3cおよびR3dは、H;
−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基;
酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基、および
−C−アルキル(−OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基および酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある)
から独立して選択され、
mおよびnは、整数0、1および2から独立して選択され;そして、
tは、1および2から選択される整数であり;
ここで、該C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−アラルキル、C−C15−炭素環式基および酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基は、特記しない限り、各々、C−C15−アラルキル、C−C−アルキル、CN、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、ハロゲン、C−C−アルコキシ、OH、C−C−アルキルカルボニル、−C(O)−C−C15−芳香族性炭素環式基、−C(O)−C−C15−炭素環式基、−C(O)−酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基、C−C−シアノアルキル、C−C−シアノアルコキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、COOH、C−C−アルコキシカルボニル、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基(C−C15−アラルキル、C−C−アルキル、CN、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、ハロゲン、C−C−アルコキシ、OH、C−C−アルキルカルボニル、C−C−シアノアルキル、C−C−シアノアルコキシ、C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、COOH、または、C−C−アルコキシカルボニルにより置換されていることもある)、C−C15−芳香族性炭素環式基(C−C15−アラルキル、C−C−アルキル、CN、ハロゲン、C−C−アルコキシ、OH、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、COOH、CFまたはC−C−アルコキシカルボニルにより置換されていることもある)、または、C−C15−炭素環式基(C−C15−アラルキル、C−C−アルキル、CN、ハロゲン、C−C−アルコキシ、OH、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、COOH、CFまたはC−C−アルコキシカルボニルにより置換されていることもある)により置換されていることもある]
の化合物を提供する。
【0028】
本発明のもう一つの態様は、請求項1に記載の化合物を提供し、ここで、該化合物は、遊離または塩形態の式(Ia):
【化8】

[式中、
は、−C(R1a1bC(O)NR1c1d、−C(R1a1bNR1c1dおよび−C(R1a1bC(O)NR1c1dから選択され;
1a、R1bおよびR1cは、HおよびOHから独立して選択され;
1dは、C−C15−芳香族性炭素環式基、または、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基、または、C−C−アルキル(C−C15−芳香族性炭素環式基により置換されている)であり;
mは、0、1および2から選択される整数であり;
は、C−C15−芳香族性炭素環式基(−C(R3a3bC(O)NR3c3d、C(R3a3bC(O)NR3c3d、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されている)であり;
3a、R3bおよびR3cは、Hであり;
3dは、C−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族基、または、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基;またはC−C−アルキル(OH、C−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族基または酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある)であり;
nは、0、1または2であり、
tは1であるか、または、
3cおよびR3dは、それらが結合しているN原子と一体となって、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基を形成しており;そして、
【0029】
【化9】

は、
【化10】

から選択され、
ここで、
は、HおよびC−C−アルコキシカルボニルから選択され;
各Rは、H、ハロ、CN、COH、CHNHおよびC−C−アルキルから選択され;
pは、1ないし3から選択される整数であり;そして
qは、1ないし4から選択される整数である]
である。
【0030】
本発明の他の態様は、Rが適当に−C(R1a1bC(O)NR1c1dであり(ここで、R1a、R1bおよびR1cは適当にHであり、R1dは適当にC−C15−芳香族性炭素環式基、または、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基である)、式(I)の化合物を提供する。好ましくは、C−C15−芳香族性炭素環式基は、フェニルであり、かつ、ハロゲン(例えば、Cl)、C−C−アルキル(例えば、メチル)(酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある)、C−C−アルコキシ(例えば、メトキシ)、CN、C−C−アルキルアミノカルボニル(例えば、
【化11】

)、C−C−シアノアルコキシ、CF、C−C−アルコキシカルボニル、ヘテロ環式基、例えば、および/または、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニルにより置換されている。
【0031】
また、R1dが適当に酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基、例えば、ピリジン、ピラジン、ピペリジンおよびベンゾチアゾールであるとき。このヘテロ環式基は、適当に、C−C−アルキル(例えば、メチル)、OHおよびハロゲン(例えば、Cl)により置換されている。
【0032】
また、Rは、適当に、−C(R1a1bNR1c1dであり、ここで、R1aおよびR1cは、適当に、Hであり、R1bは、適当に、HまたはOHであり、そして、mは適当に1である。R1dは、適当にC−C15−芳香族性炭素環式基、または、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基である。好ましくは、C−C15−芳香族性炭素環式基はフェニルであり、かつ、ハロゲン(例えば、Cl)、C−C−アルキル(例えば、メチル)(酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある)、C−C−アルコキシ(例えば、メトキシ)、CN、C−C−アルキルアミノカルボニル(例えば、
【化12】

)、C−C−シアノアルコキシ、CF、C−C−アルコキシカルボニル、ヘテロ環式基、例えば、および/または、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニルにより置換されている。例えば、Rの適する例は、
【化13】

である。
【0033】
また、R1dは、適当に、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基、例えば、ピリジン、ピラジン、ピペリジンおよびベンゾチアゾールである。このヘテロ環式基は、C−C−アルキル(例えば、メチル)、OHおよびハロゲン(例えば、Cl)により適当に置換されている。
【0034】
は、また、適当に、C(R1a1bC(O)NR1c1dであり、ここで、R1a1bおよびR1cは、適当にHであり、R1dはC−C15−芳香族性炭素環式基により置換されているC−C−アルキルである。例えば、Rは、適当に、
【化14】

である。
【0035】
は、適当に、−C(R3a3bC(O)NR3c3dにより置換されているC−C15−芳香族性炭素環式基である。好ましくは、C−C15−芳香族基は、フェニルである。好ましくは、R3aおよびR3bはHであり、nは1であり、R3cはHであり、そしてR3dはフェニルにより置換されているC1−C−アルキルである。例えば、Rは、適当に、
【化15】

である。
【0036】
は、また、適当に、C(R3a3bC(O)NR3c3dである。好ましくは、R3aおよびR3bはHであり、nは0、1または2であり、R3cはHであり、そして、R3dは適当にC−C15−炭素環式基またはフェニルにより置換されているC−C−アルキルである。例えば、Rは、適当に
【化16】

である。
【0037】
また、R3dは、適当に、C−C15−炭素環式基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロプロピル、C−C15−芳香族基、例えばフェニル、または酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基、例えば、ピリジン、ピペリジン、イソオキサゾールおよびモルホリンである。R3dは、また、適当に、C−C−アルキル(C−C15−炭素環式基、C−C15−芳香族基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基、およびOHにより置換されている)である。例えば、Rは、適当に、
【化17】

である。
【0038】
は、また、適当に、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基、例えばピロリジンである。この4員ないし15員のヘテロ環式基は、好ましくは、C(O)−C−C15−炭素環式基、例えば、シクロペンチルにより置換されている。例えば、Rは、適当に、
【化18】

である。
【0039】
3dは、また、適当に、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルC−C−アルキルアミノおよびジ(C−C−アルキル)アミノである。
【0040】
また、R3dおよびR3cは、それらが結合しているN原子と一体となって、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基、例えばモルホリンまたはピペラジンを形成している。このヘテロ環式基は、ピペラジンの場合、メチルにより適当に置換されている。
【0041】
【化19】

は、適当に、C−C15−芳香族性炭素環式基から選択される。好ましくは、
【化20】

は、適当に、C芳香族性炭素環式基、例えばフェニルであり、それは、ハロゲン(例えば、Cl)およびC−C−アルキル(例えば、メチルまたはエチル)から選択される少なくとも1個の基により適当に置換されていてもよい。
【0042】
【化21】

は、また、適当に、C−C15−炭素環式基、または、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基である。
【0043】
好ましくは、
【化22】

は、適当に、
【化23】

から選択され、ここで、Rは、適当に、H、ハロゲン(例えば、Cl)、COOHまたはC−C−アルコキシカルボニル(例えば、COOCHCH)である。
【0044】
本発明の他の態様は、但し書きに係る以下の式(I)の化合物の使用を提供する。これらの化合物は、炎症性またはアレルギー性症状、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置剤の製造用の、遊離または塩形態の3−{1−[(5−クロロ−2−メトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−シクロペンチル−プロピオンアミド、N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−2−[2,4−ジオキソ−3{[(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−カルバモイル]−メチル}−フェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル]−アセトアミド、4−{6−クロロ−1−[2−(3−クロロ−4−エトキシ−フェニル)−2−オキソエチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−シクロペンチル−ブチルアミド、2−{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−フラン−2−イルメチル−アセトアミド、4−(2−{2,4−ジオキソ−3−[4−(フェネチルカルバモイル−メチル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル}−アセチルアミノ)−安息香酸エチルエステル、N−(3,5−ジクロロ−フェニル)−2−{2,4−ジオキソ−3−[4−(フェネチルカルバモイル−メチル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル}−アセトアミド、2−{1−[(4−クロロ−2−メトキシ−5−メチル−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−シクロペンチル−アセトアミド、2−{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−フェネチル−アセトアミドおよび1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−3−フェニル−1,3,4,5,6,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[4',3':4,5]チエノ[2,d]ピリミジン−7−カルボン酸エチルエステルである。
【0045】
さらに、本発明の態様は、本明細書で式(I)の化合物について記載したこれらの化合物の使用を提供する。
【0046】
またさらなる態様では、本発明は、上述の実施態様のいずれかにおける、炎症性またはアレルギー性症状、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置用の医薬の製造のための、遊離または塩形態の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0047】
本発明の好ましい実施態様は、嚢胞性線維症、原発性線毛機能不全、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息、呼吸器感染、肺癌腫、口腔乾燥症および乾性角結膜炎(keratoconjunctivitis sire)から選択される炎症性またはアレルギー性症状の処置用の医薬を製造するための、遊離または薬学的に許容される塩形態の上述の実施態様の式(I)の化合物の使用を提供する。
【0048】
本発明の任意かつ全ての実施態様は、さらなる本発明の実施態様を説明するために、任意の他の実施態様と組み合わされ得ることが理解される。さらに、ある実施態様の任意の要素は、さらなる実施態様を説明するために、任意の実施態様の任意かつ全ての他の要素と組み合わされると意図する。可能ではない置換基の組合せは本発明の態様ではないことが、当業者に理解される。
【0049】
塩および異性体
式(I)により表される化合物の多くは、酸付加塩、特に薬学的に許容される酸付加塩を形成できる。式(I)の化合物の薬学的に許容される酸付加塩には、無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば、塩酸または臭化水素酸;硝酸;硫酸;リン酸;および有機酸、例えば、脂肪族モノカルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、ジフェニル酢酸、トリフェニル酢酸、カプリル酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、馬尿酸、プロピオン酸および酪酸;脂肪族ヒドロキシ酸、例えば、乳酸、クエン酸、グルコン酸、マンデル酸、酒石酸またはリンゴ酸;ジカルボン酸、例えば、アジピン酸、アスパラギン酸、フマル酸、グルタミン酸、マレイン酸、マロン酸、セバシン酸またはコハク酸;芳香族性カルボン酸、例えば、安息香酸、p−クロロ安息香酸またはニコチン酸;芳香族性ヒドロキシ酸、例えば、o−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸または3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸;およびスルホン酸、例えば、エタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタン−スルホン酸、メタンスルホン酸、(+)カンファー−10−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸のものが含まれる。これらの塩は、式(I)の化合物から、既知の塩形成法により製造し得る。
【0050】
酸性(例えば、カルボキシル)の基を含有する式(I)の化合物は、また、塩基、特に、当分野で周知のものなどの薬学的に許容される塩基との塩を形成できる;適するそのような塩には、金属塩、特に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムまたは亜鉛塩;またはアンモニアまたは薬学的に許容される有機アミンまたはヘテロ環式塩基、例えば、ベネタミン、アルギニン、ベンザチン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、4(2−ヒドロキシ−エチル)モルホリン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、N−メチルグルカミン、ピペラジン、トリエタノール−アミンまたはトロメタミンとの塩が含まれる。これらの塩は、既知の塩形成法により、式(I)の化合物から製造し得る。
【0051】
不斉炭素原子またはキラリティーの軸がある化合物では、化合物は個々の光学活性異性体で、またはそれらの混合物として、例えば、ラセミまたはジアステレオマー混合物として、存在する。本発明は、個々の光学活性RおよびS異性体、ならびに、それらの混合物、例えば、ラセミまたはジアステレオマー混合物の両方を包含する。
【0052】
式(I)の化合物の互変異性体は、可能であれば、本発明の態様である。そのような互変異性体には、当業者に理解される通りのケト/エノール互変異性体が含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
特に好ましい式(I)の化合物を、実施例として後述する。
【0054】
本発明のもう1つの実施態様は、以下の段階を含む、遊離または薬学的に許容される塩形態の式(I)の化合物の製造方法を提供する:
(i)式(II):
【化24】

(式中、
【化25】

、R、Qは、Nであり、Qは請求項1に記載の通りである)の化合物を、式(III):
【化26】

(式中、Xは脱離基であり、R'はC−C−アルキルまたはC−C−アルコキシカルボニルから選択される)の化合物と反応させ、式(IV):
【化27】

の化合物を提供し、ここで、R'がC−C−アルコキシカルボニルであるとき、そのアルコキシカルボニルを各々の酸に加水分解させ、得られる化合物をアミンと反応させ、アミド誘導体を生成させ、そして、
(ii)保護基を除去し、得られる遊離または薬学的に許容される塩形態の式(I)の化合物を回収する。
【0055】
式(I)の化合物は、例えば、下記および実施例に記載の反応および技法を使用して、製造できる。これらの反応は、用いる試薬および材料に適し、実行される変形に適する溶媒中で実施し得る。分子上に存在する官能基は、企図する変形と矛盾すべきでないことが、有機合成の当業者に理解されよう。これは、時々、本発明の所望の化合物を得るために、合成段階の順番を改変するか、または、他のものより優先してある特定の方法のスキームを選択する判断を必要とするであろう。
【0056】
以下の反応スキームで示す合成中間体および最終生成物の様々な置換基は、当業者に理解されるように、必要であれば適する保護基を有する、完全に仕上げられた形態で、または、当業者に周知の方法により後で最終形態に仕上げられ得る前駆体の形態で、存在できる。置換基は、合成順序を通して様々な段階で、または、合成順序の完了後に、付加できる。多くの場合、一般的に使用される官能基の操作を使用して、ある中間体を他の中間体に、または、ある式(I)の化合物を他の式(I)の化合物に変形できる。そのような操作の例は、エステルまたはケトンのアルコールへの変換;エステルのケトンへの変換;エステル、酸およびアミドの相互変換;アルコールおよびアミンのアルキル化、アシル化およびスルホニル化;および、多くの他のものである。置換基は、また、アルキル化、アシル化、ハロゲン化または酸化などの一般的な反応を使用して付加できる。そのような操作は当分野で周知であり、多くの参考文献がそのような操作の手順および方法の概要を述べている。多くの官能基操作のための例示および有機合成の一次資料への参照、並びに、有機合成の分野で一般的に使用される他の変形を述べる参考文献は、March's Organic Chemistry, 5th Edition, Wiley and Chichester, Eds. (2001); Comprehensive Organic Transformations, Larock, Ed., VCH (1989); Comprehensive Organic Functional Group Transformations, Katritzky et al. (series editors), Pergamon (1995); および Comprehensive Organic Synthesis, Trost and Fleming (series editors), Pergamon (1991) である。また、この分野での合成経路の計画における他の主要な考慮事項は、本発明の化合物中に存在する反応性官能基の保護に使用する保護基の賢明な選択であると認識されるであろう。所望の結果に応じて、これらの保護基の各々を、同じ分子中の他の保護基を除去せずに除去できるように、またはいくつかの保護基を同じ反応段階を使用して除去できるように、同じ分子内の多数の保護基を選択できる。熟達者のために多くの代替法を記載した権威ある説明は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups In Organic Synthesis, Wiley and Sons (1999) である。
【0057】
一般的に、本特許出願の範囲で記載される化合物は、スキーム1および2並びに実施例に記載の経路により合成できる。以下のスキームは、例示であり、本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【0058】
例えば、スキーム1では、化合物1をアミンと反応させ、続いてホスゲンまたはトリホスゲンなどのその等価物により環化し、化合物2を提供する。化合物2をカルボン酸に加水分解し、ベンジルアミンまたはシクロペンチルアミンなどのアミンとカップリングし、化合物3を得る。化合物3をブロモ−酢酸メチルエステルなどの酢酸誘導体でアルキル化し、化合物4を提供する。化合物4を加水分解し、得られるカルボン酸をアミン、例えば、アリールアミンとカップリングし、化合物5を提供する。
【0059】
スキーム1
【化28】

【0060】
スキーム2は、ピリド縮合したピリミジン−2,4−ジオンへの経路を強調する。例えば、化合物6を、ウレイド−酢酸エチルエステルなどのウレア誘導体と、パラジウム(0)により触媒されるワンポット反応で反応させ、化合物7を提供する。スキーム1に記載の方法により化合物7をさらに誘導体化し、化合物8を提供できる。
【0061】
スキーム2
【化29】

【0062】
医薬用途
スフィンゴシン−1−ホスフェート(S1P)などのリゾリン脂質(LPL)は、細胞膜結合前駆体から誘導される脂質シグナル伝達分子である(Stunff et al., J Cell Biochem, 92: 882-899 (2004))。S1Pは、全ての真核細胞のタイプに見られる普遍的なリン脂質である、スフィンゴ脂質の代謝産物である。S1Pは、細胞内で産生され、適切な刺激で放出される。主なS1Pの細胞供給源には、血小板および組織マスト細胞が含まれる。S1P合成は、スフィンゴミエリナーゼによる内在性膜由来スフィンゴミエリンのセラミド(CER)への、次いで、セラミダーゼ(ceremidase)によるスフィンゴシンへの変換で始まる。次いで、スフィンゴシンは、2種のスフィンゴシンキナーゼ(SphK1またはSphK2)の1種によるリン酸化で、S1Pに変換される(Spiegel and Milstien, Nat Rev Mol Cell Biol, 4: 397-407 (2003))。セラミドおよびスフィンゴシンは、細胞増殖の停止およびアポトーシスと関連するが、S1Pは、細胞の増殖および生存に重要であると示された。S1Pは、細胞内と細胞外の両方で作用できるという点で、珍しい脂質である。細胞内S1Pは、仮想的小胞体結合受容体に結合し、細胞の活性化中の細胞内カルシウム貯蔵の放出を促進する。これらのリン脂質化合物の殆どは、異なるS1P受容体を効果的に区別できず、そして、物理化学的特性に乏しく、このことがそれらの医薬物質としての使用の可能性を制限している。従って、S1P受容体に結合するか、または他の方法でそれを調節し、かつ、特定のS1P受容体に選択的に結合できる、リン脂質ではない化合物に対する要望がある。
【0063】
細胞外S1Pは、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)のファミリーの強力なリガンドとして作用する。最もよく特徴解析されたS1Pの作用は、内皮分化遺伝子−1(EDG−1)ファミリーとして知られるGPCRのクラスへの結合により媒介される。今日までに、全部で5種のEDG受容体、EDG−1、EDG−5、EDG−3、EDG−6およびEDG−8が、高い親和性および特異性でS1Pと結合すると示された。これらの受容体は、各々、S1P1、S1P2、S1P3、S1P4およびS1P5とも呼ばれる(Sanchez and Hla, J Cell Biochem, 92: 913-922 (2004))。多数のS1Pの受容体の存在は、その機能がかなり多様であり得ることを意味する。S1P受容体は、幅広く行き渡った細胞および組織の分布を有し、そして、ヒトおよび齧歯類の種でよく保存されている(Spiegel and Milstien, Biochim Biophys Acta, 484:107-116 (2000); および Hla, Prostaglandins Other Lipid Mediat, 64: 135-142 (2001))。S1P受容体は、様々なGタンパク質と共役でき、幅広く多様な細胞応答を誘起できる(Goetzl and Rosen, J Clin Invest, 114:1531-1537 (2004); および Spiegel and Milstien, Nat Rev Mol Cell Biol, 4: 397-407 (2003))。形質移入細胞を用いる研究は、S1P1受容体は、専らGタンパク質を介してシグナル伝達し、アデニル酸シクラーゼを阻害し、そして、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)を刺激し、加えて、ホスホリパーゼC(PLC)のPTX感受性活性化を刺激することを示した。S1P2およびS1P3受容体は、G、GおよびG12/13を含む多数のGサブタイプを介してシグナル伝達できる。S1P2は、Giを介してRas/MAPKを活性化するが、S1P1と異なり、PTX非感受性Gを介してPLCを刺激し、Rhoを活性化する。S1P4は主にGiおよびMAPK経路、そして、S1P5は、GiおよびG12と共役してアデニル酸シクラーゼを阻害するが、MAPKを刺激しない。
【0064】
いくつかの研究により、多くの細胞タイプが、S1P受容体の1つ以上のサブタイプを発現し、そして、多数のS1P受容体は、協同してS1Pに対する特定の生物学的応答を導き得ることが示された。結果として、S1Pは、多くの様々な生理学的機能への関与が示唆されている。S1Pの受容体は、単球、BおよびTリンパ球、樹状細胞、マスト細胞、ナチュラルキラー細胞および好酸球を含む免疫系の細胞タイプで幅広く発現される(Lin and Broyce, Adv Immunol, 89: 141-167 (2006))。最も研究されたS1Pの効果の1つは、リンパ球の遊走におけるその役割である。いくつかのタイプのS1P受容体へのS1Pの結合は、免疫細胞の遊走をインビトロで調節できるが、S1Pのリンパ球遊走、組織ホーミングおよび再循環に対するインビボ効果は、専らS1P1により媒介される(Brinkmann and Baumruker, Curr Opin Pharmacol, 6: 1-7 (2006))。S1P受容体の薬学的アゴニストのインビボの有力な結果は、二次リンパ節でのリンパ球の隔離である。マスト細胞では、FcepsilonRI の誘発は、S1Pの放出を導き、それは、次いで、マスト細胞上に発現されたS1P1およびS1P2受容体を活性化する(Jolly et al., J Exp Med, 199: 959-970 (2004); および Jolly et al., Mol Immunol, 38:1239-1245 (2001))。S1P1およびS1P2の活性化は、正常なマスト細胞の脱顆粒および走化性に必要とされる。急速に増大している文献は、S1Pが心血管機能のいくつかの局面に介在することを示唆している(Brinkmann and Baumruker, Curr Opin Pharmacol, 6: 1-7 (2006))。インビトロの研究は、S1P投与が、様々な培養した、および、新鮮に単離した平滑筋細胞のタイプを収縮できることを示している(Watterson et al., Cell Signal, 17: 289-298 (2005))。心血管効果は、S1Pについて、ラットおよびイヌの心臓で測定された(Sugiyama et al., Jpn J Pharmacol, 82: 338-42 (2000); Sugiyama et al., Cardiovasc Res, 46: 199-25 (2000); Yatomi et al., J Biochem, 121: 969-73 (1997); および Forrest et al., J Pharm Exp Therap, 309: 758-768 (2004))。S1P3は、大脳動脈の血管収縮を媒介し、齧歯類で徐脈および高血圧を誘導すると判明した(Salomone et al., Eur J Pharmacol, 469: 125-34 (2003))。血管内皮細胞では、S1Pは、インビトロで細胞の増殖および遊走を、そして、インビボで血管形成を刺激する(Lee et al., Cell, 99: 301-21 (1999))。これらのS1P作用は、S1P1およびS1P3受容体を介して媒介される。S1P1は、腫瘍血管形成および腫瘍増殖にも関与が示唆された。対照的に、S1P2は、インビボで内皮遊走、形態形成および血管形成の阻害効果を発揮する。加えて、肺内皮障壁機能は、S1P1のS1P活性化により増強され、内皮の透過性は、S1P2の活性化により高められる。上皮細胞では、S1P3受容体は、タイトジャンクションの再構築を誘導し、その結果、肺障壁の完全性を危険にさらすと示された。S1P4およびS1P5の機能はあまりよく分かっていないが、S1P4受容体は、造血細胞および組織に局在すると示され(Graeler et al., Curr Top Microbiol Immunol, 246: 131-6 (1999))、S1P5受容体は、主として神経受容体であり、齧歯類のリンパ系組織でもいくらか発現するが、ヒト組織ではより広い発現パターンであると示された(Im et al., J Biol Chem, 275(19): 14281-6 (2000); Neidernberg et al., Biochem Pharmacol, 64: 1243-50 (2002))。
【0065】
S1P2は、7回膜貫通型Gタンパク質共役受容体(GPCR)である[Okamoto H et al. (2000), Mazurais D et aI. (2002), An S et al., (2000), Ancellin N, Hla T. (1999)、US5585476、WO200056135およびWO9954351]。多くの医学的に重大な生物学的過程は、Gタンパク質が関係するシグナル伝達経路により媒介される[Lefkowitz (1991)]。GPCRのファミリーには、ホルモン、神経伝達物質、増殖因子およびウイルスの受容体が含まれる。GPCRの特定の例には、ドーパミン、カルシトニン、アドレナリン作動性ホルモン、エンドセリン、cAMP、アデノシン、アセチルコリン、セロトニン、ヒスタミン、トロンビン、キニン、卵胞刺激ホルモン、オプシン、内皮分化遺伝子−1、ロドプシン、オドラント、サイトメガロウイルス、Gタンパク質自体、エフェクタータンパク質、例えばホスホリパーゼC、アデニルシクラーゼ、およびホスホジエステラーゼ、および、アクチュエータタンパク質、例えばプロテインキナーゼAおよびプロテインキナーゼCなどの多様な物質の受容体が含まれる。
【0066】
本発明は、心血管疾患、消化器系の障害、生殖の疾患、末梢および中枢神経系の障害および呼吸器疾患に関連する、ヒトS1P2およびS1P4またはs1P2およびS1P4のいずれかのモジュレーターである化合物を提供する。本発明は、また、心血管疾患、消化器系の障害、生殖の疾患、末梢および中枢神経系の障害および呼吸器疾患の処置または予防に有用な化合物を同定するためのアッセイを提供する。本発明は、また、S1P2およびS1P4に結合し、かつ/または、それらの活性を活性化または阻害する化合物、ならびに、そのような化合物を含む医薬組成物も特色とする。
【0067】
S1P2:
S1P2発現は、幅広い多様な細胞タイプで立証され、血管形成および血管の透過性に関与すると示された。それは、さらに、線維芽細胞に対する活性化を介して、創傷治癒に関与すると示された。本発明は、S1P2に結合し、かつ/または、その活性を活性化または阻害する化合物、ならびに、そのような化合物を含む医薬組成物を特色とする。本発明の化合物は、従って、以下の処置および/または予防に有用である:
【0068】
心血管疾患
血管の収縮に起因する疾患、例えば、くも膜下出血または脳梗塞後の脳血管痙攣性疾患、心血管痙攣性疾患、高血圧、腎臓疾患、心臓の梗塞、狭心症、不整脈、硬変に関連する門脈高血圧および硬変に関連する静脈瘤。
慢性頭痛などの血管の拡張に起因する疾患、例えば、片側性頭痛、緊張性頭痛、混合型の頭痛、群発性頭痛、痔核および心臓の疾患。
【0069】
消化器系の障害
消化器疾患は、胃腸管の器官の原発性または二次性、急性または慢性疾患を含み、後天性または遺伝性、良性または悪性または異形成性であり得、そして、胃腸管の器官または身体全体を冒し得る。それらには、1)アカラシア、活発なアカラシア、嚥下障害、輪状咽頭の協調運動障害、食道以前の嚥下障害、びまん性食道痙攣、球感覚、バレット異形成、胃食道逆流症のような食道の障害、2)機能性消化不良、胃粘膜の炎症、胃炎、ストレス性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃の新生物のような胃および十二指腸の障害、3)急性または慢性膵炎のような膵臓の障害、脂肪便などの膵臓の外分泌または内分泌組織の不全、糖尿病、3.1)多発性内分泌腫瘍症候群、管腺癌、嚢胞腺癌、膵島細胞腫瘍、インスリノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、グルカゴノーマ、ゾリンジャー・エリソン症候群、VIP産生腫瘍症候群、吸収不良症候群のような外分泌または内分泌膵臓の新生物、4)腸の慢性炎症性疾患、クローン病、イレウス、下痢および便秘、結腸無力症、巨大結腸症、吸収不良症候群、潰瘍性大腸炎などの腸の障害、4.1)過敏性腸症候群のような機能性腸障害、4.2)家族性ポリポーシス、腺癌、原発性悪性リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、ポリープ、結腸および直腸の癌などの腸の新生物が含まれるが、これらに限定されない。医学的症状には、過敏性腸症候群、慢性便秘、機能性消化不良、胃排出遅延、胃食道逆流症、胃不全麻痺、術後イレウス、腸偽閉塞および薬剤誘発性通過遅延も含まれる。
【0070】
眼障害
単純または非増殖性網膜症および増殖性網膜症を含む網膜症、例えば、鎌状赤血球貧血、高血圧性網膜症、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、増殖性糖尿病性網膜症、嚢胞状黄斑浮腫、網膜静脈および動脈閉塞、全形態の視神経炎、加齢黄斑変性症、網膜剥離、網膜色素変性症、スタルガルト病、ベストの卵黄様網膜変性、レーバー先天黒内障、および他の遺伝性網膜変性症、病的近視、早産児の網膜症、およびレーベル遺伝性視神経症、角膜移植または角膜屈折矯正手術の後遺症、乾性角結膜炎またはドライアイおよびヘルペス角膜炎。
【0071】
創傷治癒
創傷治癒の促進用の血管新生剤として、独立して、または、スフィンゴシンホスフェートまたはS1P機能のモジュレーターと組み合わせて、特に糖尿病性創傷の処置用。
【0072】
呼吸器疾患
本発明の物質、特にS1P2および/またはS1P4活性を有するものは、炎症性または閉塞性気道疾患の処置に特に有用であり、例えば、組織損傷、気道炎症、気管支反応亢進、リモデリングまたは疾患の進行の低減をもたらす。本発明を適用し得る炎症性または閉塞性気道疾患には、内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息の両方、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、気管支喘息、運動誘発性喘息、職業上の喘息および細菌感染後に誘導される喘息を含むいかなるタイプまたは起源の喘息も含まれる。喘息の処置は、また、例えば4または5歳未満の、喘鳴症状を示し、「喘鳴児」(医学的関心が高く、現在しばしば初発または初期の喘息患者と同定される、確立された患者のカテゴリー)と診断されたか、または診断可能な対象の処置を包含すると理解されるべきである。喘息の処置における予防効力は、症候性発作、例えば急性喘息または気管支収縮発作の頻度または重篤度の低下、肺機能の改善または気道反応性亢進の改善により証明されよう。それは、さらに、他の対症療法、すなわち、症候性発作が起こったときにそれを限定または阻止するための、またはそれを意図する治療、例えば抗炎症剤(例えば副腎皮質ステロイド)または気管支拡張剤の必要性の低下により、証明され得る。喘息における予防の有益さは、「モーニング・ディップ」の傾向のある患者において、特に明白であり得る。「モーニング・ディップ」は、喘息患者の実質的な割合に共通し、例えばおよそ午前4時ないし6時の時間、すなわち、通常、それ以前に投与された対症的喘息治療剤から実質的に離れた時間での喘息発作を特徴とする、認知された喘息性症候群である。
【0073】
本発明を適用し得る他の炎症性または閉塞性気道疾患および症状には、急性肺傷害(ALI)、成人/急性呼吸促迫症候群(ARDS)、慢性気管支炎またはそれに伴う呼吸困難を含む慢性閉塞性肺、気道または肺疾患(COPD、COADまたはCOLD)、気腫、ならびに、他の薬物治療、特に他の吸入薬物治療の結果である気道反応性亢進の悪化が含まれる。本発明は、また、例えば、急性、アラキジン性(arachidic)、カタル性、クループ性(croupus)、慢性または結核様(phthinoid)気管支炎を含む、いかなるタイプまたは起源の気管支炎の処置にも適用できる。本発明を適用し得るさらなる炎症性または閉塞性気道疾患には、例えば、アルミニウム肺症、炭粉沈着症、石綿肺症、石肺症、ダチョウ塵肺症、鉄沈着症、珪肺症、タバコ症および綿肺症を含む、いかなるタイプまたは起源の塵肺(頻繁に気道閉塞を伴う、慢性または急性の、塵の反復的吸入により引き起こされる、炎症性の、一般的には職業性の、肺疾患)も含まれる。
【0074】
S1P4:
主として免疫系細胞におけるS1P4受容体の存在は、この増殖因子受容体を標的化するかけがえのない機会を与える。S1P4発現は、主として脾臓および末梢血細胞に見られる。S1P4は、ヒトリンパ球からのサイトカイン産生に関与すると主張されている(Wang et al, FASEB 19: 1731-1733 (2005))。そのリンパ組織での特異的発現のために、それは、移植ならびに炎症性および免疫性障害において、治療的潜在能力を有する。
【0075】
本発明の化合物は、従って、リンパ球相互作用、例えば移植に媒介される疾患または障害、例えば、細胞、組織または器官の同種または異種移植片の急性または慢性拒絶、または、臓器移植後臓器機能障害、移植片対宿主病、自己免疫性疾患、例えばリウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、IまたはII型糖尿病およびそれに伴う障害、脈管炎、悪性貧血、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、乾癬、グレーブス眼症、円形脱毛症など、アレルギー性疾患、例えばアレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性接触性皮膚炎、根底にある異常反応を伴うこともある炎症性疾患、例えば炎症性腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎、内因性喘息、炎症性肺傷害、炎症レベルの傷害、炎症性糸球体傷害、アテローム性動脈硬化症、骨関節症、刺激性接触性皮膚炎およびさらなる湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、免疫学的に媒介される障害の皮膚的出現、炎症性眼疾患、角結膜炎、心筋炎または肝炎、虚血/再潅流傷害、例えば心筋梗塞、卒中、腸虚血、腎不全または出血性ショック、外傷性ショック、他のもの、癌、例えばT細胞リンパ腫またはT細胞白血病、感染症、例えば毒素ショック(例えば超抗原に誘導される)、敗血症性ショック、成人呼吸窮迫症候群またはウイルス感染、例えばAIDS、ウイルス性肝炎または慢性細菌感染の処置および/または予防に有用である。細胞、組織または実質臓器移植の例には、膵島、幹細胞、骨髄、角膜組織、神経組織、心臓、肺、心肺、腎臓、肝臓、腸、膵臓、気管または食道が含まれる。
【0076】
S1P2レギュレーターを含む、血管収縮または拡張に起因する疾患の治療薬および/または予防薬。S1P2レギュレーターは、S1P2に特異的に結合し、アンタゴニズムまたはアゴニズムを示す。従って、S1P2アンタゴニストは、例えば、くも膜下出血または脳梗塞後の脳血管痙攣性疾患、心血管痙攣性疾患、高血圧、腎臓疾患、心臓の梗塞、狭心症、不整脈、硬変に関連する門脈高血圧、および、硬変に関連する静脈瘤などの、血管収縮に起因する疾患の処置および/または予防に有用である。一方、S1P2アゴニストは、慢性頭痛、例えば、片側性頭痛、緊張性頭痛、混合型の頭痛、群発性頭痛、痔核および心臓の疾患などの、血管の拡張に起因する疾患の処置および/または予防に有用である。
【0077】
本発明は、S1P2発現または活性のレギュレーター(および/または、S1P2シグナル伝達経路のタンパク質の活性または発現のレギュレーター)を含む医薬組成物、ならびに、1種またはそれ以上のそのようなレギュレーターおよび薬学的に許容される担体を合わせることによる、そのような組成物の製造方法を含む。また本発明に含まれるのは、使用のための指示書と共に包装された、本発明のスクリーニングアッセイを使用して同定されるレギュレーターを含む医薬組成物である。S1P2活性のアンタゴニストであるか、またはS1P2発現を低減させたレギュレーターのために、指示書は、血液および心血管の疾患、末梢および中枢神経系の障害、COPD、喘息、泌尿生殖器系の障害および炎症性疾患の処置用の医薬組成物の使用を特定するであろう。S1P2活性のアゴニストであるか、またはS1P2発現を増加させるレギュレーターのために、指示書は、血液および心血管の疾患、末梢および中枢神経系の障害、COPD、喘息、泌尿生殖器系の障害および炎症性疾患の処置用の医薬組成物の使用を特定するであろう。
【0078】
消化器疾患は、胃腸管の器官の原発性または二次性、急性または慢性疾患を含み、後天性または遺伝性、良性または悪性または異形成性であり得、そして、胃腸管の器官または身体全体を冒し得る。それらには、(1)アカラシア、活発なアカラシア、嚥下障害、輪状咽頭の協調運動障害、食道以前の嚥下障害、びまん性食道痙攣、球感覚、バレット異形成および胃食道逆流症のような食道の障害;(2)機能性消化不良、胃粘膜の炎症、胃炎、ストレス性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍および胃の新生物のような胃および十二指腸の障害;(3)急性または慢性膵炎のような膵臓の障害、脂肪便などの膵臓の外分泌または内分泌組織の不全、糖尿病、(3.1)多発性内分泌腫瘍症候群、管腺癌、嚢胞腺癌、膵島細胞腫瘍、インスリノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、グルカゴノーマ、ゾリンジャー・エリソン症候群、VIP産生腫瘍症候群および吸収不良症候群のような外分泌または内分泌膵臓の新生物;(4)腸の慢性炎症性疾患、クローン病、イレウス、下痢および便秘、結腸無力症、巨大結腸症、吸収不良症候群、潰瘍性大腸炎などの腸の障害、(4.1)過敏性腸症候群のような機能性腸障害;(4.2)家族性ポリポーシス、腺癌、原発性悪性リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、ポリープおよび結腸または直腸の癌などの腸の新生物が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
医学的症状には、過敏性腸症候群、慢性便秘、機能性消化不良、胃排出遅延、胃食道逆流症、胃不全麻痺、術後イレウス、腸偽閉塞および薬剤誘発性通過遅延も含まれる。
【0080】
これらの化合物は、現在知られているS1P受容体リガンドよりも特異的な薬理学的作用様式を有し得る。本発明は、S1P3受容体に媒介される生物学的活動の阻害方法を提供する。本発明は、また、卵巣癌、腹膜癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、乳癌、結腸直腸癌、子宮癌、胃癌、小腸癌、甲状腺癌、肺癌、腎臓癌、膵臓癌および前立腺癌;急性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、喘息などの慢性肺疾患の急性炎症性増悪、表面の上皮性細胞傷害(例えば、経角膜的凍結(transcomeal freezing)または皮膚の火傷)および心血管疾患(例えば、虚血)などの疾患の処置または予防における、そのような処置または予防を必要としている対象でのS1P3モジュレーター(アゴニストおよびアンタゴニスト)の使用方法を提供する。さらに、本発明は、例えば、S1P3受容体に媒介される生物学的活動の調節、または、上述のものなどの疾患の処置または予防において使用できる化合物および組成物を提供する。
【0081】
S1P3受容体に媒介される生物学的活動には、例えば、カルシウム動員、VEGF合成、IL−8合成、血小板活性化、細胞遊走、ホスホイノシチド加水分解、cAMP形成の阻害またはアクチン重合が含まれ得る。好ましくは、S1P3受容体に媒介される生物学的活動には、アポトーシス、血管形成、創傷治癒の阻害、炎症、癌侵襲性またはアテローム発生が含まれるが、これらに限定されない。最も好ましくは、S1P3受容体に媒介される生物学的活性は、卵巣癌、腹膜癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、乳癌、結腸癌または前立腺癌を導き得る細胞増殖である。ある実施態様では、細胞増殖はLPAにより刺激される。
【0082】
もう1つの実施態様では、S1P3受容体に媒介される生物学的活動には、ARDSおよび喘息のような慢性肺疾患の急性炎症性増悪などの急性肺疾患を導き得る、脂肪酸レベル(例えば、遊離脂肪酸およびリゾホスファチジルコリン)の上昇が含まれ得る。
【0083】
また他の実施態様では、活性化T細胞はS1P3受容体を有するので、S1P3を遮断する化合物は、潜在的に有効な免疫抑制剤であり得る。S1P3アンタゴニストは、全身性エリテマトーデス(SLE)、リウマチ性関節炎、非糸球体腎炎、乾癬、慢性活動性肝炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病、慢性糸球体腎炎、慢性血小板減少性紫斑病および自己免疫性溶血性貧血を含むがこれらに限定されない、様々な自己免疫性および関連する免疫性障害において有用であり得る。加えて、S1P3アンタゴニストは、臓器移植において使用できる。
【0084】
本発明は、S1P3受容体に媒介される生物学的活動の阻害方法を提供する。本発明は、また、卵巣癌、腹膜癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、乳癌、結腸直腸癌、子宮癌、胃癌、小腸癌、甲状腺癌、肺癌、腎臓癌、膵臓癌および前立腺癌;急性肺疾患、ARDS、喘息などの慢性肺疾患の急性炎症性増悪、表面の上皮性細胞の傷害(例えば、経角膜的凍結または皮膚の火傷)および心血管疾患(例えば、虚血)などの疾患の処置または予防における、S1P3モジュレーター(アゴニストおよびアンタゴニスト)の使用方法を提供する。
【0085】
喘息は、多数の遺伝的および環境的要因の相互作用の結果として生じると考えられ、3つの大きい特色により特徴付けられる:1)気管支収縮に起因する間欠性および可逆性の気道閉塞、粘液産生の増加、および、気道の狭小化を導く気道壁の肥厚、2)気道の反応性亢進、および、3)気道の炎症。ある種の細胞は、喘息の炎症反応に決定的であり、それらには、T細胞および抗原提示細胞、IgEを産生するB細胞、およびマスト細胞、好塩基球、好酸球、およびIgEを結合する他の細胞が含まれる。これらのエフェクター細胞は、気道中のアレルギー性反応の部位に蓄積し、毒性産物を放出し、それは、急性の病態に、最終的には障害に関連する組織の破壊に貢献する。平滑筋細胞、肺上皮性細胞、粘液産生細胞および神経細胞などの他の常在細胞も、喘息の個体では異常であり得、病理に貢献し得る。臨床的には間欠性喘鳴および息切れとして現れる喘息の気道閉塞は、一般的に、即時の処置を必要とする最も切迫した疾患の症状であるが、この疾患に関連する炎症および組織破壊は、最終的には喘息を長期の管理を要する慢性かつ重症の障害にする不可逆的変化を導き得る。
【0086】
慢性閉塞性肺(または気道)疾患(COPD)は、慢性気管支炎に起因する気腫および末梢気道閉塞の混合から生じる気流の閉塞と生理学的に定義される状態である[Botstein (1980)]。気腫は、肺の気腔の異常な拡大を導く肺胞壁の破壊を特徴とする。慢性気管支炎は、臨床的には、連続する2年の各年における3ヶ月にわたる慢性湿性咳の存在と定義される。COPDでは、気流閉塞は、通常、進行性であり、部分的にのみ可逆性である。COPD発症の圧倒的に最も重要なリスク因子は喫煙であるが、この疾患は非喫煙者にも生じる。
【0087】
本発明は、また、例えば、急性、アラキジン性(arachidic)、カタル性、クループ性(croupus)、慢性または結核様(phthinoid)気管支炎を含む、いかなるタイプまたは起源の気管支炎の処置にも適用できる。本発明が適用できるさらなる炎症性または閉塞性気道疾患には、例えば、アルミニウム肺症、炭粉沈着症、石綿肺症、石肺症、ダチョウ塵肺症、鉄沈着症、珪肺症、タバコ症および綿肺症を含む、いかなるタイプまたは起源の塵肺(頻繁に気道閉塞を伴う、慢性または急性の、塵の反復的吸入により引き起こされる、炎症性の、一般的には職業性の、肺疾患)も含まれる。
【0088】
本発明が適用できる他の炎症性または閉塞性気道疾患には、内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息の両方、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、気管支喘息、運動誘発性喘息、職業上の喘息および細菌感染後に誘導される喘息を含むいかなるタイプまたは起源の喘息も含まれる。喘息の処置は、また、例えば4または5歳未満の、喘鳴症状を示し、「喘鳴児」(医学的関心が高く、現在しばしば初発または初期の喘息患者と同定される、確立された患者のカテゴリー)と診断されたか、または診断可能な対象の処置を包含すると理解されるべきである(便宜上、この特定の喘息状態を「幼児喘鳴症候群(wheezy-infant syndrome)」と呼ぶ)。嚢胞性線維症などの肺線維症および関連疾患も、本発明に適用できる。
【0089】
喘息の処置における予防効力は、症候性発作、例えば急性喘息または気管支収縮発作の頻度または重篤度の低下、肺機能の改善または気道反応性亢進の改善により証明されよう。それは、さらに、他の対症療法、すなわち、症候性発作が起こったときにそれを限定または阻止するための、またはそれを意図する治療、例えば抗炎症剤(例えば副腎皮質ステロイド)または気管支拡張剤の必要性の低下により、証明され得る。喘息における予防の有益さは、「モーニング・ディップ」の傾向のある患者において、特に明白であり得る。「モーニング・ディップ」は、喘息患者の実質的な割合に共通し、例えばおよそ午前4時ないし6時の時間、すなわち、通常、それ以前に投与された対症的喘息治療剤から実質的に離れた時間での喘息発作を特徴とする、喘息性症候群と認識される。
【0090】
それらの抗炎症活性に関して、特に、好酸球活性化の阻害に関連して、本発明の物質は、また、好酸球関連障害、例えば、好酸球増加症、特に、気道および/または肺に影響する場合の過好酸球増加症を含む、気道の好酸球関連障害(例えば、肺組織の病的な好酸球性浸潤に関する)、ならびに、例えば、レフラー症候群、好酸球性肺炎、寄生虫(特に、後生動物)の寄生(熱帯性好酸球増多症を含む)、気管支肺アスペルギルス症、結節性多発性動脈炎(チャーグ・ストラウス症候群を含む)、好酸球性肉芽腫、および、薬物反応により引き起こされる気道を冒す好酸球関連障害の結果であるか、またはこれらに伴う気道の好酸球関連障害の処置に有用である。
【0091】
S1P2は、胎児肺線維芽細胞IMR−90細胞および肺などの様々な呼吸器組織で高く発現される。上述の組織における発現は、S1P2の呼吸器疾患との関連を示唆する。S1P2は、呼吸器系の疾患の処置または診断に使用できる。
【0092】
例えば炎症性気道疾患での炎症症状の阻害における本発明の物質の有効性は、例えば、Szarka et al, J Immunol Methods, 202: 49-57 (1997); Renzi et al, Am Rev Respir Dis, 148: 932-939 (1993); Tsuyuki et al., J Clin Invest, 96: 2924-2931 (1995); Cernadas et al., Am J Respir Cell Mol Biol, 20: 1-8 (1999); および Fozard et al., Eur J Pharmacol, 438: 183-188 (2002) に記載された通り、気道炎症または他の炎症症状の動物モデル、例えば、マウスまたはラットモデルで立証し得る。
【0093】
糸球体腎炎、糖尿病性腎症、狼瘡腎炎、高血圧に誘導される腎症、間質性腎線維症、薬物曝露の合併症に起因する腎線維症、HIV関連腎症、移植片神経障害、全ての病因による肝線維症、感染に起因する肝機能不全、アルコールに誘導される肝炎、胆樹の障害、肺線維症、肺高血圧、急性肺傷害、ARDS、特発性肺線維症、慢性閉塞性肺疾患、感染または毒物による肺疾患、梗塞後の心臓の線維症、うっ血性心不全、拡張型心筋症、心筋炎、血管の狭窄、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、眼の瘢痕、角膜の瘢痕、増殖性硝子体網膜症、外傷または手術創に起因する創傷の治癒中に起こる真皮の過剰または肥厚性の瘢痕またはケロイド形成、腹膜および皮下の癒着、強皮症、線維硬化症、進行性全身性硬化症、皮膚筋炎、多発性筋炎、関節炎、潰瘍、神経機能の障害、雄性の勃起不全、アルツハイマー病、レイノー症候群、線維性の癌、腫瘍転移増殖、放射線に誘導される線維症、血栓症を含む疾患。
【0094】
本発明の物質は、また、特に上述のものなどの閉塞性または炎症性気道疾患の処置における、抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤または鎮咳剤などの他の薬物と組み合わせて使用するための併用治療剤として、例えば、そのような薬物の治療的活性の増強剤として、または、そのような薬物の必要な用量または起こり得る副作用を低減する手段として、有用である。本発明の物質は、固定された医薬組成物において他の薬物と混合され得るか、または、他の薬物と、別個に、その前に、それと同時に、またはその後に、投与され得る。
【0095】
従って、本発明は、上述の本発明の物質の、抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤または鎮咳剤との組合せを含み、当該本発明の物質および当該薬物は、同一であるかまたは別個の医薬組成物中にある。
【0096】
適する抗炎症剤には、ステロイド、特に、ブデソニド、ベクロメタゾン(beclamethasone)ジプロピオネート、フルチカゾンプロピオネート、シクレソニドまたはモメタゾンフロエートなどのグルココルチコステロイド、または、WO02/88167、WO02/12266、WO02/100879、WO02/00679(特に実施例3、11、14、17、19、26、34、37、39、51、60、67、72、73、90、99および101のもの)、WO03/35668、WO03/48181、WO03/62259、WO03/64445、WO03/72592、WO04/39827およびWO04/66920に記載のステロイド;非ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト、例えば、DE10261874、WO00/00531、WO02/10143、WO03/82280、WO03/82787、WO03/86294、WO03/104195、WO03/101932、WO04/05229、WO04/18429、WO04/19935およびWO04/26248に記載のもの;LTB4アンタゴニスト、例えば、BIIL284、CP−195543、DPC11870、LTB4エタノールアミド、LY293111、LY255283、CGS025019C、CP−195543、ONO−4057、SB209247、SC−53228およびUS5451700に記載のもの;LTD4アンタゴニスト、例えば、モンテルカスト、プランルカスト、ザフィルカスト、アコレート、SR2640、Wy−48,252、ICI198615、MK−571、LY−171883、Ro24−5913およびL−648051;PDE4阻害剤、例えば、シロミラスト(Ariflo(登録商標)GlaxoSmithKline)、ロフルミラスト(Byk Gulden)、V−11294A(Napp)、BAY19−8004(Bayer)、SCH−351591(Schering-Plough)、アロフィリン(Almirall Prodesfarma)、PD189659/PD168787(Parke-Davis)、AWD−12−281(Asta Medica)、CDC−801(Celgene)、SelCID(TM)CC−10004(Celgene)、VM554/UM565(Vernalis)、T−440(Tanabe)、KW−4490(Kyowa Hakko Kogyo)、および、WO92/19594、WO93/19749、WO93/19750、WO93/19751、WO98/18796、WO99/16766、WO01/13953、WO03/104204、WO03/104205、WO03/39544、WO04/000814、WO04/000839、WO04/005258、WO04/018450、WO04/018451、WO04/018457、WO04/018465、WO04/018431、WO04/018449、WO04/018450、WO04/018451、WO04/018457、WO04/018465、WO04/019944、WO04/019945、WO04/045607およびWO04/037805に開示のもの;アデノシンA2B受容体アンタゴニスト、例えば、WO02/42298に記載のもの;および、ベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、アルブテロール(サルブタモール)、メタプロテレノール、テルブタリン、サルメテロールフェノテロール、プロカテロール、および特に、フォルモテロール、カルモテロールおよびそれらの薬学的に許容される塩、
【0097】
および、出典明示により本明細書の一部とするWO0075114の遊離または塩または溶媒和物形態の式(I)の化合物、好ましくは、その実施例の化合物、特に式
【化30】

の化合物およびその薬学的に許容される塩、ならびに、WO04/16601の遊離または塩または溶媒和物形態の式(I)の化合物、および、EP1440966、JP05025045、WO93/18007、WO99/64035、US2002/0055651、US2005/0133417、US2005/5159448、WO01/42193、WO01/83462、WO02/66422、WO02/70490、WO02/76933、WO03/24439、WO03/42160、WO03/42164、WO03/72539、WO03/91204、WO03/93219、WO03/99764、WO04/16578、WO04/22547、WO04/32921、WO04/33412、WO04/37768、WO04/37773、WO04/37807、WO04/39762、WO04/39766、WO04/45618WO04/46083、WO04/80964、EP1460064、WO04/087142、WO04/089892、EP01477167、US2004/0242622、US2004/0229904、WO04/108675、WO04/108676、WO05/033121、WO05/040103、WO05/044787、WO05/058867、WO05/065650、WO05/066140、WO05/07908、US2005/5159448、US2005/171147、WO05/077361、WO05/084640、WO05/089760、WO05/090287、WO05/090288、WO05/092860、WO05/092887、US2005/182091、US2005/209227、US2005/215542、US2005/215590、EP1574501、US05/256115、WO05/102350およびUS05/277632の化合物が含まれる。
【0098】
適する気管支拡張剤には、抗コリン剤または抗ムスカリン剤、特に、イプラトロピウムブロマイド、オキシトロピウムブロマイド、チオトロピウム塩およびCHF4226(Chiesi)、およびグリコピロレートが含まれるが、EP424021、US3714357、US5171744、US2005/171147、US2005/182091、WO01/04118、WO02/00652、WO02/51841、WO02/53564、WO03/00840、WO03/33495、WO03/53966、WO03/87094、WO04/018422、WO04/05285およびWO05/077361に記載のものも含まれる。
【0099】
抗炎症剤と気管支拡張剤の双方である適する薬物には、双方のベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト/ムスカリンアンタゴニスト、例えば、US2004/0167167、US2004/0242622、US2005/182092、WO04/74246WO04/74812、WO04/089892およびUS05/256114に開示のものが含まれる。
【0100】
適する抗ヒスタミン剤には、セチリジン塩酸塩、アセトアミノフェン、フマル酸クレマスチン、プロメタジン、ロラタジン(loratidine)、デスロラタジン(loratidine)、ジフェンヒドラミンおよびフェキソフェナジンヒドロクロライド、アクティバスチン(activastine)、アステミゾール、アゼラスチン、エバスチン、エピナスチン、ミゾラスチンおよびテルフェナジン(tefenadine)、ならびに、JP2004107299、WO03/099807およびWO04/026841に開示のものが含まれる。
【0101】
他の有用な本発明の物質と抗炎症剤の組合せは、ケモカイン受容体、例えばCCR−1、CCR−2、CCR−3、CCR−4、CCR−5、CCR−6、CCR−7、CCR−8、CCR−9およびCCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5のアンタゴニスト、特にCCR−5アンタゴニスト、例えば、Schering-Plough のアンタゴニストSC−351125、SCH−55700およびSCH−D、Takeda のアンタゴニスト、例えば、N−[[4−[[[6,7−ジヒドロ−2−(4−メチルフェニル)−5H−ベンゾ−シクロヘプテン−8−イル]カルボニル]アミノ]フェニル]−メチル]テトラヒドロ−N,N−ジメチル−2H−ピラン−4−アミン−イウムクロライド(TAK−770)、およびUS6166037(特に請求項18および19)、WO00/66558(特に請求項8)、WO00/66559(特に請求項9)、WO04/018425およびWO04/026873に記載のCCR−5アンタゴニストとのものである。
【0102】
上記に従い、本発明は、また、S1P受容体の活性化への応答により媒介される症状、例えば、炎症性またはアレルギー性症状、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置方法を提供し、それは、それを必要とする対象、特にヒト対象に、遊離形または薬学的に許容される塩の形態の式(I)の化合物を投与することを含む。他の態様では、本発明は、S1P受容体の活性化への応答により媒介される症状、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置用の医薬の製造において使用するための、遊離形または薬学的に許容される塩の形態の式(II)の化合物を提供する。
【0103】
製剤および投与
本発明の物質は、任意の適する経路で、例えば、経口で、例えば、錠剤またはカプセル剤の形態で;非経腸的に、例えば、静脈内に;吸入により、例えば、炎症性または閉塞性気道疾患の処置において;鼻腔内に、例えば、アレルギー性鼻炎の処置において;皮膚に局所的に、例えば、アトピー性皮膚炎の処置において;または直腸に、例えば、炎症性腸疾患の処置において、投与し得る。
【0104】
さらなる態様では、本発明は、また、式(I)の化合物を、遊離形または薬学的に許容される塩の形態で、場合により薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む医薬組成物を提供する。組成物は、上述の抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤または鎮咳剤などの併用治療剤を含有し得る。そのような組成物は、常套の希釈剤または賦形剤および製剤学の分野で知られている技法を使用して製造し得る。従って、経口投与形は、錠剤およびカプセル剤を含み得る。局所投与用の製剤は、クリーム、軟膏、ゲルまたは経皮送達システム、例えば、パッチの形態をとり得る。吸入用組成物は、エアロゾルまたは他の霧化可能な製剤または乾燥粉末製剤を含み得る。
【0105】
組成物がエアロゾル製剤を含むとき、それは、好ましくは、例えば、HFA134aまたはHFA227などのヒドロ−フルオロ−アルカン(HFA)噴射剤、またはこれらの混合物を含有し、かつ、エタノール(20重量%まで)などの当分野で知られている1種またはそれ以上の共溶媒、および/または、1種またはそれ以上のオレイン酸またはトリオレイン酸ソルビタンなどの界面活性剤、および/または、1種またはそれ以上のラクトースなどの増量剤を含有し得る。組成物が乾燥粉末製剤を含むとき、それは、好ましくは、例えば、10ミクロンまでの粒径を有する式(I)の化合物を、場合により、所望の粒子サイズ分布のラクトースなどの希釈剤または担体、および、水分による製品の性能の劣化に対する保護を補助する化合物、例えば、ステアリン酸マグネシウムと共に含有する。組成物が霧状製剤を含むとき、それは、好ましくは、例えば、水、エタノールまたはプロピレングリコールなどの共溶媒、および、界面活性剤であり得る安定化剤を含有する媒体に溶解または懸濁した式(I)の化合物を含有する。
【0106】
本発明は、以下のものを含む:
(a)例えば、エアロゾルまたは他の霧化可能な組成物、または、例えば微粒子化された、吸入可能な微粒子の形態の、吸入可能な形態の式(I)の化合物;
(b)吸入可能な形態の式(I)の化合物を含む、吸入可能な医薬;
(c)吸入装置を伴う、吸入可能な形態の式(I)の化合物を含む、医薬品;および
(d)吸入可能な形態の式(I)の化合物を含有する吸入装置。
【0107】
本発明の実施において用いる式(I)の化合物の投与量は、当然、例えば、処置される特定の症状、所望の効果、および、投与の様式に応じて変化するであろう。一般に、適する吸入による1日の投与量は、約0.005−10mgであり、一方、経口投与には、適する1日の用量は、約0.05−100mgである。
【0108】
医薬的アッセイ
化合物がS1PおよびS1P受容体においてS1P活性をアンタゴナイズする能力を、GTPγS結合アッセイを使用して調べた。
ヒトS1PまたはS1P受容体を発現するCHO細胞から、細胞懸濁液のホモジナイズおよび40000g、30分間、4℃での遠心分離により、膜調製物を生成させた。上清を除去し、ペレットを10mM HEPES、10mM EDTAバッファーに再懸濁し、上記の通りに遠心分離した。ペレットを再懸濁し、使用するまで−80℃で保存した。
【0109】
GTPγS結合アッセイのために、シンチレーション近接アッセイ(SPA)技法を使用した。試験化合物の連続希釈物を、1ウェル当たり5nM S1P、膜1.25μg、SPAビーズ0.5mg、0.3μM GDPおよび100μMオルトバナジン酸ナトリウムを有する96ウェルのオプティプレート(optiplate)に入れた。アッセイ成分を2時間インキュベートし、確実に平衡が達成されるようにした。1ウェル当たり300pM[35S]GTPγSの添加によりアッセイを開始し、60分間インキュベートし、その後3000rpmで3分間遠心分離し、Packard TopCount を読み取った。
【0110】
Activity Base (IDBS, UK)を使用して、4つのパラメータのロジスティック曲線にフィットさせることによりデータを分析し、各化合物のIC50値を得た。
【0111】
CHO Gα16 S1P4:
このアッセイは、CHO S1P4/Gα16細胞クローンにおいて、内在性アゴニストS1Pに媒介されるCa2+の細胞内変化を測定する:ヒトS1P4 cDNA(HSEDG4; GenBank(商標) Accession Number AJ000479)および乱交雑のGα16を安定に発現するCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞を、37℃、5%CO2および相対湿度95%で培養する。これらの細胞を384ウェルの黒色プレートに播く(細胞10'000個/ウェル)。24時間後、細胞にFluo4−AM(1.6μM、HBSS中、および、2.5mMプロベネシド)を1時間、37℃で負荷する。洗浄後、細胞をFLIPRに移す。試験化合物を、様々な濃度で(100μM)、HBSS中、BSAの存在下、最終濃度0.1%で添加し、蛍光の変化(アゴニズムの指標)を記録する。S1Pを20−30分後に、最大の活性の80%を誘導する濃度(EC80)でウェルに添加する。各添加の後、時点を以下の通りにまとめる:アゴニストの添加前の20時点(2秒)(Fbase)およびアゴニストの添加後の60時点(1または2秒)。これは、最大の蛍光(Fmax)の測定を可能にする。比(Fmax−Fbase)/Fbaseを試験化合物濃度のログ(log)に対してプロットし、XLfit-4 ソフトウェアを使用してIC50(相対的アンタゴニズム)を測定する。阻害<20%の化合物を「不活性」とみなす。各プレートで並行して、アゴニストの用量応答曲線を決定する。
【0112】
下記の実施例の化合物は、一般的に、GTP−γ−S結合アッセイにおいて、10μMより低いS1P2 K値を有する。例えば、実施例1−1、1−13、2−1および3−4の化合物は、各々0.0008、0.0019、0.0036および0.0048μMのS1P2 K値を有する。下記の実施例の化合物は、一般的に、GTP CHO Gα16 S1P4アッセイにおいて、10μMより低いS1P4 IC50値を有する。例えば、実施例1−1、1−35および1−37の化合物は、各々、0.42、0.015および0.88μMのS1P4 IC50値を有する。
【0113】
本発明の好ましい化合物は、下表1に示す通りである。
実施例1−1ないし1−37:
表1
【表1】

【0114】
【表2】

【0115】
【表3】

【0116】
【表4】

【0117】
【表5】

【0118】
【表6】

【0119】
【表7】

【0120】
【表8】

【0121】
本発明のさらなる好ましい化合物は、下記の表2に示す通りである。
実施例2−1ないし2−4:
表2
【表9】

【0122】
本発明のさらに好ましい化合物を、実施例3−1および3−10ないし3−17として下表3に示す。化合物3−2ないし3−9は、既知の化合物である。
化合物3−2ないし3−9および実施例3−1および3−10ないし3−17:
表3
【表10】

【0123】
【表11】

【0124】
【表12】

【0125】
【表13】

【0126】
【表14】

【0127】
さらなる好ましい本発明の化合物は、下記の表5に示す通りである。
実施例5−1ないし5−10:
表5
【表15】

【0128】
【表16】

【0129】
【表17】

【0130】
さらなる化合物は、下記の表6に示す通りである。
化合物6−1ないし6−3:
表6
【表18】

【0131】
さらなる好ましい本発明の化合物は、下記の表7に示す通りである。
実施例7−1ないし7−6:
表7
【表19】

【0132】
【表20】

【0133】
下記の実施例を参照し、本明細書に記載の方法または当業者に知られている他の方法を使用して、実施態様の化合物を合成する。
【0134】
ある種の実施態様による有機化合物は、互変異性の現象を示し得ることを理解すべきである。本明細書内の化学構造は可能な互変異性体の一方しか表さないので、好ましい実施態様は、描かれた構造のいかなる互変異性体も包含することを理解すべきである。
【0135】
本発明は、例示のために本明細書に記載した実施態様に限定されず、上記の開示の範囲内にある全てのそのような形態を包含することが理解される。
【0136】
一般的条件:
質量スペクトルは、エレクトロスプレーイオン化を使用するLCMSシステムで行う。これらは、Agilent 1100 HPLC/Micromass Platform Mass Spectrometer の組合せ、または、SQD Mass Spectrometer を備えた Waters Acquity UPLC である。[M+H]+ は、モノアイソトピック分子量を表す。
【0137】
NMRスペクトルは、ICON-NMR を使用する自由使用(open access)の Bruker AVANCE 400 NMR 分光計で行う。スペクトルは298Kで測定し、溶媒ピークを使用して照合する。
【0138】
様々な出発物質、中間体、および好ましい実施態様の化合物は、必要に応じて、沈殿、濾過、結晶化、蒸発、蒸留およびクロマトグラフィーなどの常套の技法を使用して単離および精製し得る。特記しない限り、全ての出発物質は、供給業者から入手し、さらに精製せずに使用する。塩は、既知の塩形成法により、化合物から製造し得る。
【0139】
加えて、様々な入手可能な市販の試薬および原料を利用した。そのような試薬および原料には、[Isolute(商標)(Biotage から入手可能)などの例を含む]が含まれ、示した供給業者から容易に入手できる。
【実施例】
【0140】
下記の実施例ならびに本願全体を通して、以下の略号は、以下の意味を有する。定義されていなければ、用語は、それらの一般的に受け入れられている意味を有する。
使用する略号は、以下の通りである:
【表21】

【0141】
実施例の製造
実施例1−1 {1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸
MeOH(300μL)中の{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸メチルエステル(中間体B)(10mg)の白色懸濁液を、5M KOH(200μL)で処理する。白色懸濁液を室温で終夜撹拌したままにする。反応混合物を水で希釈し、厚い白色沈殿を得、それを濾過し、水で洗浄し、真空乾燥させる。水相を希HClでpH4に酸性化し、続いてEtOAc(3x)で抽出する。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、表題化合物をオフホワイト色の固体として得る。これを最小量のDMFに取り、逆相カラムクロマトグラフィー(Isolute(商標)C18、水中の0−100%MeCN−0.1%TFA)によりさらに精製し、[M+H]448の表題化合物を得る。
【0142】
実施例1−2 N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−2−(3−シクロペンチルカルバモイルメチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル)−アセトアミド
(20mg、44.74mmol)、シクロペンチルアミン(4mg、46.98mmol)およびHATU(18.7mg、49.21mmol)を、バイアルに入れ、DMSO(1ml)で処理する。DIPEA(19.4μL、111.9mmol)を懸濁液に添加し、反応混合物を室温で24時間撹拌する。LCMS分析は、主要な生成物の形成を示した。DMSOを真空で終夜除去する。残渣を1M HClで希釈し、DCM(2x15ml)で抽出する。分離した有機相を水性飽和NaHCOで洗浄し、濾過し、溶媒を真空で除去し、表題化合物を得る。
【0143】
実施例1−3ないし1−7、1−9ないし1−29、1−31、1−32、1−35および1−37
これらの化合物は、シクロペンチルアミンを適切な市販のアミン類で置き換えることにより、実施例1−2と同様に製造する。
【0144】
実施例1−8 N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−2−{3−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル}−アセトアミド
NMP(8ml)中の{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸(0.515g、1.14mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.166ml、1.26mmol)を添加し、続いてHATU(0.452g、1.26mmol)を添加する。混合物を室温で5分間撹拌し、次いで、1−メチルピペラジン(140.3μL、1.26mmol)で処理する。室温で5分後に、反応混合物をEtOAc(25ml)と水(25ml)に分配する。相を分離し、水相をEtOAc(2x20ml)でさらに洗浄する。有機抽出物を合わせ、飽和NaHCO(40ml)、塩水(40ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、茶色の油状物を得る。残渣をMeCN(5ml)に取り、10gの Varian の予め充填されたシリカカートリッジに通し、MeCNで、次いでEtOAcで溶出し、不純物を除去する。MeOHで生成物をカラムから溶出する。MeOH画分を合わせ、真空で濃縮し、乾燥させ、[M+H]530の表題化合物を得る。
【0145】
実施例1−30 N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−2−{3−[2−((S)−3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル}−アセトアミド
{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸(50mg、0.11mmol)、HATU(46.6mg、0.12mmol)およびジメチル−(S)−ピロリジン−3−イル−アミン(14.0mg、0.12mmol)の入ったバイアルに、DCM(2ml)を添加する。混合物をDIPEA(48.6μL、2.79mmol)で処理し、室温で1時間撹拌する。DCM(5ml)を混合物に添加し、1M HClで洗浄する。酸性の水相を、pHがpH7−8になるまで1M NaOHで処理する。生成物を水相からEtOAc(3x10ml)で抽出する。有機部分を合わせ、水(10ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、表題化合物[M+H]544を得る。
【0146】
実施例1−33 [(R)−1−(2−{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−アセチル)−ピロリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸(50.9mg、0.11mmol)、HATU(49.4mg、0.12mmol)および(R)−ピロリジン−3−イル−カルバミン酸tertブチルエステル(25.7mg、0.12mmol)の入ったバイアルに、DMF(3ml)を添加する。撹拌している混合物をDIPEA(33μL、0.275mmol)で処理し、室温で1時間撹拌する。撹拌しながら水を混合物に添加し、固体を生じさせる。これを濾過し、水で洗浄し、[M+H]616の表題化合物を得る。
【0147】
実施例1−34 [(S)−1−(2−{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−アセチル)−ピロリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸(50.1mg、0.11mmol)、HATU(50.1mg、0.12mmol)および(R)−ピロリジン−3−イル−カルバミン酸tertブチルエステル(22.8mg、0.12mmol)の入ったバイアルに、DMF(3ml)を添加する。撹拌している混合物をDIPEA(33μL、0.275mmol)で処理し、室温で撹拌する。撹拌しながら水を混合物に添加し、固体を生じさせる。これを濾過し、水で洗浄し、表題化合物;[M+H]616を得る。
【0148】
実施例1−37 {1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸tertブチルエステル
実施例1−37は、2−ブロモ−N−(2,6−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−アセトアミド(中間体N)を2−ブロモ−N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミド(中間体C)で置き換えることにより、実施例3−10と同様に製造する。
【0149】
実施例2−1 N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−2−{2,4−ジオキソ−3−[4−(フェネチルカルバモイル−メチル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル}−アセトアミド
この化合物は、実施例1−2と同様に、{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸(中間体A)を({2,4−ジオキソ−3−[4−(フェネチルカルバモイル−メチル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル}−酢酸)(中間体D)で置き換え、シクロペンチルアミンを5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルアミンに置き換えて表題化合物を得ることにより製造する。この反応は、溶媒としてDMFを使用して実施する。
【0150】
実施例2−2ないし2−3:
これらの化合物は、実施例2−1と同様に、5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルアミンを適当な購入できるアミン類で置き換えることにより製造する。
【0151】
実施例2−4 (4−{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−フェニル)−酢酸
(4−[1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−フェニル)−酢酸エチルエステル(中間体K)(105.4mg、0.19mmol)を、撹拌したトルエン(10ml)中のビス(トリブチルスズ)オキシド)(2eq、0.38mmol、193.1μL)の溶液に添加する。混合物を還流で、120℃で72時間加熱する。トルエンを真空で除去し、赤色/茶色の油状残渣を、EtOAcと飽和NaHCO(5ml)とに分配する。得られる沈殿を濾過し、NaHCO、EtOAc、1M HCl、水で洗浄し、乾燥させ、[M+H]524の表題化合物を得る。
【0152】
実施例3−1 (2−{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
この化合物は、実施例1−2と同様に、中間体Aを[3−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチル)−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル]−酢酸で置き換え、シクロペンチルアミンを5−クロロ−2,4−ジメトキシアニリンで置き換えることにより製造し、表題化合物を得る。この反応は、DCM中で実施する。
【0153】
化合物3−2ないし3−9
これらの化合物およびそれらの製造方法は、知られている。
【0154】
実施例3−10 {1−[(2,6−ジクロロ−ピリジン−4−イルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸tert−ブチルエステル
DMF(5ml)中に(2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−酢酸tert−ブチルエステル(中間体L)(226.7mg、0.82mmol)、2−ブロモ−N−(2,6−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−アセトアミド(中間体N)(256.5mg、0.902mmol)およびCsCO(545.1mg、1.64mmol)を含む混合物を、室温で3時間撹拌する。得られる混合物を水で処理し、沈殿を真空下で濾過する。固体を水、イソヘキサンで洗浄し、次いで乾燥させ、[M+H]479の表題化合物を得る。
【0155】
実施例3−11 {1−[(2,6−ジクロロ−ピリジン−4−イルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸
丸底フラスコに、{1−[(2,6−ジクロロ−ピリジン−4−イルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸tert−ブチルエステル(50.9mg、0.106mmol)を入れ、DCM(1.5ml)およびTFA(1.5ml)で処理する。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで真空で濃縮する。残渣を最小量のDCMに取り、真空で濃縮する。この過程をEtOAcで2回、MeOHで2回繰り返し、表題化合物[M+H]422を得る。
【0156】
実施例3−12 N−(2,6−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−2−{3−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル}−アセトアミド
乾燥NMP(1.5ml)中の{1−[(2,6−ジクロロ−ピリジン−4−イルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸(13.5mg、0.0318mmol)の溶液に、HATU(13.3mg、0.035mmol)を添加し、続いてトリエチルアミン(4.89μL、0.035mmol)を添加する。橙色の溶液を室温で10分間撹拌し、次いで1−メチルピペラジン(3.89μL、0.035mmol)で処理する。反応混合物を室温で撹拌し、HPLC/LCMSにより、出発物質が消費されるまで監視する。反応混合物をEtOAc(5ml)と水(5ml)とに分配する。有機層を分離し、塩水(5ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空で濃縮する。粗生成物を、5gの Isolute(商標)SCX2(固体に支持されたスルホン酸樹脂)カートリッジを通し、DCM(20ml)、MeOH(20ml)およびMeOH中の7N NHで溶出することにより、精製する。塩基性のアンモニア洗浄液を真空で濃縮し、表題化合物を白色固体[M+H]505として得る。
【0157】
実施例3−13 2−[3−(2−アミノ−エチル)−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル]−N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミドトリフルオロアセテート
(2−{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(100mg、1.88mmol)を、DCM(2ml)に取り、TFA(2ml)で処理する。反応物を室温で2時間撹拌し、次いでEtOAc(20ml)で処理する。5分後に、存在する白色固体を濾過し、EtOAc、エーテルで洗浄し、真空下で乾燥させ、表題化合物を白色固体として得る;[M+H]433。
【0158】
実施例3−14 N−(2−{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−エチル)−3−メチル−ブチルアミド
THF(1ml)中の2−[3−(2−アミノ−エチル)−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル]−N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミドトリフルオロアセテート(75mg、0.17mmol)の懸濁液に、トリエチルアミンを添加し(0.06ml、0.43mmol)、続いてイソバレリルクロリド(30mg、0.26mmol)を添加する。混合物を終夜室温で撹拌し、次いで水(3ml)で処理する。得られる固体を濾過し、水で洗浄し、表題化合物を得る;[M+H]517.3。
【0159】
実施例3−15 シクロブタンカルボン酸(2−{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−エチル)−アミド
THF(1ml)中の2−[3−(2−アミノ−エチル)−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル]−N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミドトリフルオロアセテート(75mg、0.17mmol)の懸濁液に、トリエチルアミンを添加し(0.06ml、0.43mmol)、続いてシクロブタンカルボニルクロリド(30mg、0.26mmol)を添加する。混合物を終夜室温で撹拌する。水(3ml)、次いでEtOAcを混合物に添加し、懸濁液を得、それを濾過し、固体を除去する。濾液を水で洗浄し、乾燥させ、蒸発させ、[M+H]515の表題化合物を得る。
【0160】
実施例3−16 N−(3,5−ジクロロ−フェニル)−2−(3−エチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル)−アセトアミド
DCM(1.5ml)中の(3−エチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル)−酢酸(72mg、0.26mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基;0.11ml、0.63mmol)を入れた丸底フラスコに、3,5−ジクロロフェニルアミン(47mg、0.29mmol)およびHATU(109mg、0.29mmol)を添加する。反応混合物を終夜撹拌し、次いで水(3ml)およびエーテル(2ml)で処理する。得られる固体を濾過し、水(3x)、エーテルで洗浄し、次いで乾燥させる。MeOHでトリチュレートし、表題化合物を得る。
【0161】
実施例3−17 N−(2,6−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−2−(3−エチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル)−アセトアミド
DCM(1.5ml)中の(3−エチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル)−酢酸(72mg、0.26mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基;0.11ml、0.63mmol)を入れた丸底フラスコに、2,6−ジクロロ−ピリジン−4−イルアミン(47mg、0.29mmol)およびHATU(109mg、0.29mmol)を添加する。反応混合物を終夜撹拌し、次いで水(3ml)およびエーテル(2ml)を添加する。得られる混合物を分取HPLCにより精製し、表題化合物を得る;[M+H]393。
【0162】
実施例4−1 {1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル}−酢酸
DCM(1ml)中の{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル}−酢酸tert−ブチルエステル(中間体R)(22.1mg、0.044mmol)の撹拌溶液を、TFA(1ml)で処理する。反応混合物を室温で撹拌し、出発物質が消費されるまでHPLC/LCMSにより監視する。3時間後、反応混合物を最小量のDCMで希釈し、真空で濃縮する。残渣を最小量のMeOHに取り、真空で濃縮し、再度、最小量のEtOAcに取り、真空で濃縮し、表題化合物をオフホワイト色固体として得る;[M+H]449。
【0163】
実施例4−2 {5−クロロ−1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル}−酢酸
DCM(1ml)中の{5−クロロ−1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル}−酢酸tert−ブチルエステル(中間体T)(10.1mg、0.019mmol)の溶液を含むバイアルに、TFA(1ml)を添加する。反応混合物を室温で2時間撹拌し、10mlの丸底フラスコに移し、最小量のDCMで希釈し、真空で濃縮する。残渣を最小量のDCMに取り、真空で濃縮する。この過程をDCMで1回、EtOAcで2回、そしてMeOHで1回、溶媒をその度に真空で濃縮して繰り返し、最終的に表題化合物を得る。
【0164】
実施例4−3 {1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−3−イル}−酢酸
DCM(1ml)中の{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−3−イル}−酢酸tert−ブチルエステル(中間体V)(15mg、0.029mmol)の溶液を含有するバイアルに、TFA(1ml)を添加する。混合物を室温で終夜撹拌する。次いで、反応混合物を10mlの丸底フラスコに移し、最小量のDCMで希釈し、真空で濃縮する。この過程を、DCMで1回、EtOAcで2回、そしてMeOHで1回、溶媒をその度に真空で濃縮して繰り返し、最終的に[M+H]448.93の表題のものを得る。
【0165】
実施例5−1 {1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸
MeOH(10ml)中の{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸メチルエステル(中間体I)(400mg、0.893mmol)のオフホワイト色の懸濁液を、5M KOH(5ml)で処理する。得られる白色懸濁液を室温で終夜撹拌したままにし、澄んだ溶液を得る。水性反応混合物を希HCl(1M)でpH4に酸性化し、厚い白色沈殿を得、それを濾過し、水で洗浄し、真空乾燥させ、表題化合物を淡い黄色の固体として得る;[M+H]434。
【0166】
実施例5.2 N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−2−(3−シクロペンチルカルバモイルメチル−2−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル)−アセトアミド
DMSO(1ml)中の{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸(実施例5−1)(20mg、0.046mmol)の溶液を、DMSO(2ml)中のHATU(19.3mg、0.05mmol)の溶液で処理する。次いで、反応混合物をシクロペンチルアミン(4.12mg、0.048mmol)で処理し、反応を室温で終夜静置する。反応をHPLC/LCMSにより分析し、真空で濃縮する。残渣をDCMに取り、1M HClで洗浄する。有機相を飽和NaHCOで洗浄し、真空で濃縮し、表題化合物を得る;[M+H]501
【0167】
実施例5−3ないし5−10:
これらの化合物は、実施例5−2と同様に、シクロペンチルアミンを適当な市販のアミン類で置き換えることにより製造する。
【0168】
化合物6−1ないし6−3:
これらの化合物およびそれらの製造方法は、知られている。
【0169】
実施例7−1 {1−[(2,6−ジクロロ−ピリジン−4−イルカルバモイル)−メチル]−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸
段階1:(2−アミノ−6−メチル−ベンゾイルアミノ)−アセトイルポリスチレン:
Wang 樹脂上のFMocグリシン(500mg、0.45mmol、負荷量=0.85mmol/g)に、ピペリジン(DMF中の20%溶液5ml)を添加する。得られるスラリーを室温で1時間振盪し、次いで濾過し、DMF(3x1ml)で洗浄する。得られる樹脂をピペリジン(20%、DMF中、5ml)で処理し、室温で振盪する。1時間後、樹脂を濾過し、DMF(3x1ml)で洗浄し、真空で濃縮する。次いで、樹脂をDMF(5ml)中の5−メチル−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオン(WO2006074187に記載の方法に従い製造する)(250mg)で処理し、室温で12日間振盪する。次いで、樹脂を濾過し、MeOH(3x5ml)、CHCl(5ml)およびTHF(3x5ml)で洗浄し、次いで真空で乾燥させ、表題化合物を得る。
【0170】
段階2:(5−メチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−アセトイルポリスチレン:
(2−アミノ−6−メチル−ベンゾイルアミノ)−アセトイルポリスチレン(段階1の粗生成物)に、THF(5ml)中のトリホスゲン(60mg、0.2mmol)の溶液を添加する。樹脂を室温で2日間振盪し、次いで真空下で濾過する。次いで、樹脂をTHF(3x5ml)、CHCl(2x5ml)およびTHF(5ml)で洗浄し、真空で濃縮し、表題化合物を得る。
【0171】
段階3:{1−[(2,6−ジクロロ−ピリジン−4−イルカルバモイル)−メチル]−5−メチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸
(5−メチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−アセトイルポリスチレン(段階2の粗生成物)に、N−メチルピロリドン(4ml)中の2−ブロモ−N−(2,6−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−アセトアミド(中間体N)(0.45M)の溶液を添加し、続いてテトラメチルグアニジン(0.2ml)を添加する。樹脂を室温で6日間振盪し、次いで濾過し、CHCl(6x2ml)で洗浄する。CHCl(1.25ml)中のTFA(1.25ml)で処理することにより樹脂を切断し、続いて分取HPLCを使用して精製し(MeCN、HOおよびTFAで抽出)、表題化合物を得る。[M+H]438。
【0172】
実施例7−2−7−6:
表7で挙げたこれらの化合物は、実施例7−1と同様に、5−メチル−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオンを適当なイサト酸無水物誘導体で置き換えることにより製造する。イサト酸無水物誘導体は、購入できるか、または、文献の方法を使用して製造する。
【0173】
中間体の製造:
中間体A {1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸
この化合物の製造は、実施例1−1に記載の通りである;[M+H]448。
【0174】
中間体B {1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸メチルエステル
乾燥DMF(6ml)中の(2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−酢酸メチルエステル(1g、4.27mmol)、KCO(910mg、6.404mmol)および2−ブロモ−N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミド(中間体C)(1.42g、4.697mmol)の混合物を、室温で終夜撹拌したままにする。反応混合物を水で希釈し、クリーム色の沈殿を得、それを濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させ、表題化合物を[M+H]462の淡い黄色の固体として得る。
【0175】
中間体C 2−ブロモ−N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミド
DCM中の5−クロロ−2,4−ジメトキシアニリン(5g)の冷却した(0℃)溶液を、アルゴン雰囲気下で、ブロモアセチルブロミド(2.4ml)で滴下して処理する。5分後に、TEA(7.5ml)を滴下して添加し、20分間撹拌した後、反応混合物を水で希釈し、DCMで抽出する。有機相を蒸留水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させ、ベージュ色の固体を得る。これをシリカのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、DCM中の20−100%n−ヘキサンで溶出し、表題化合物を得る。[M+H]308。
【0176】
中間体D {2,4−ジオキソ−3−[4−(フェネチルカルバモイル−メチル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル}−酢酸
乾燥DCM(2.5ml)中の{2,4−ジオキソ−3−[4−(フェネチルカルバモイル−メチル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル}−酢酸tert−ブチルエステル(中間体E)(470mg、0.916mmol)およびトリエチルシラン(0.37ml、2.9mmol)の撹拌した溶液を、アルゴン下で、TFA(2.5ml)を滴下して処理する。18時間後、反応混合物を真空で蒸発させ、残渣をMeOHでトリチュレートし、白色固体を得る。固体を濾過し、真空下で乾燥させ、表題化合物を得る。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz); 8.2 (t, 1H), 8.1 (d, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.2 (d, 3H), 4.9 (s, 2H), 3.5 (s, 2H), 3.32 (q, 2H), 2.75 (t, 2H). [M+H]+ 458.
【0177】
中間体E {2,4−ジオキソ−3−[4−(フェネチルカルバモイル−メチル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル}−酢酸tert−ブチルエステル
DCM(8ml)中の[4−(1−tert−ブトキシカルボニルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−酢酸(中間体F)(932mg、2.27mmol)、2−(アミノエチル)ベンゼン(1.2eq、344mg、2.72mmol)およびHATU(1.2eq、1.035g、2.72mmol)の撹拌した懸濁液を、DIPEA(2eq、711μL、4.54mmol)で処理する。反応混合物を室温で48時間撹拌する。混合物を蒸留水(5ml)で希釈し、続いて0.1M HCl(5ml)で希釈し、EtOAc(2x15ml)で抽出する。合わせた有機部分を飽和水性NaHCOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空で濃縮する。フラッシュカラムクロマトグラフィー(Varian Mega Bond silica 70g n−ヘキサン/EtOAc10−80%)により精製し、表題化合物を白色結晶性固体として得る。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz); 8.3 (d, 1H), 7.25 (t, 1H), 7.35 (d, 4H), 7.3 (d, 3H), 7.25 (t, 1H), 7.15 (d, 2H), 7.05 (d, 1H), 4.35 (s, 2H), 3.65 (s, 2H), 3.55 (q, 2H), 2.8 (t, 3H), 1.5 (s, 9H). [M+H]+ 514.
【0178】
中間体F [4−(1−tert−ブトキシカルボニルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−酢酸
MeOH(25ml)中の[4−(1−tert−ブトキシカルボニルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−酢酸エチルエステル(中間体G)(1.4g、3.2mmol)の溶液を、水性水酸化ナトリウム(0.5M、10ml)で処理する。室温で30分間撹拌した後、MeOHを真空で除去し、得られる混合物を蒸留水で希釈し、EtOAc(2x)で洗浄し、不純物を除去する。分離した水相を希HCl(0.1M)でpH3に酸性化し、EtOAc(2x)で抽出する。合わせた有機部分をMgSOで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、表題化合物をオフホワイト色固体として得る。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz); 8.1 (d, 1H), 7.8 (t, 1H), 7.4 (d of d, 4H), 7.25 (d, 2H), 4.88 (s, 2H), 3.68 (s, 2H), 1.45 (s, 9H). [M+H]+ 411.
【0179】
中間体G [4−(1−tert−ブトキシカルボニルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−酢酸エチルエステル
丸底フラスコ中の[4−(2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−酢酸エチルエステル(中間体H)(9.5g、29.3mmol)およびKCO(2.5eq、10.31g、73.3mmol)の混合物を、乾燥DMFで処理する。tert−ブチルブロモアセテート(1.02eq、4.2ml、30mmol)をシリンジで滴下してアルゴン下で添加する。反応懸濁液を室温で1時間撹拌する。反応混合物を蒸留水で希釈し、EtOAc(3x)で抽出する。分離した有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空で濃縮する。表題化合物を茶色の粘性の油状物として得、静置して結晶化させる。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz); 8.2 (d, 1H), 7.62 (t, 1H), 7.4 (d, 2H), 7.25 (t, 1H), 7.2 (s, 2H), 6.95 (d, 1H), 4.75 (s, 2H), 4.1 (q, 2H), 3.6 (s, 2H), 1.4 (s, 9H), 1.2 (t, 3H). [M+H]+ 439.
【0180】
中間体H [4−(2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−酢酸エチルエステル
段階1:[4−(2−アミノ−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−酢酸エチルエステル
丸底フラスコに、イサト酸無水物(5g、30.6mmol)および(4−アミノ−フェニル)−酢酸エチルエステル(6.05g、33.7mmol)を入れる。酢酸(11ml)を添加し、反応を90℃で40分間加熱し、次いで室温に放冷する。得られる懸濁液を蒸留水で希釈し、白色沈殿を得る。沈殿を濾過し、水で洗浄し、真空乾燥させ、表題化合物を得る。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz); 7.75 (s, 1H), 7.55 (d, 2H), 7.5 (d, 1H), 7.35 (d, 2H), 6.75 (d of d, 2H), 5.56 (s broad, NH2), 3.85 (q, 3H), 3.62 (s, 2H) [M+H]+ 299.
【0181】
段階2:[4−(2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−酢酸エチルエステル
DCM(200ml)中の[4−(2−アミノ−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−酢酸エチルエステル(14.2g、47mmol)およびトリホスゲン(0.5eq、7.03g、23.5mmol)の混合物を、DIPEA(2eq、16.5ml、94mmol)で、室温で撹拌しながら、滴下漏斗により滴下して処理する。1時間後、反応混合物をDCMで希釈し、飽和水性NaHCOで洗浄する。分離した有機層を蒸留水で洗浄し(2x)、MgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空で除去する。表題化合物を純粋な白色固体として得る。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz); 8.3 (s, 1H), 8.1 (d, 1H), 7.55 (t, 1H), 7.4 (d, 2H), 7.2 (d, 1H), 6.98 (d, 2H), 4.1 (q, 3H), 3.6 (s, 2H), 1.22 (t, 2H). [M+H]+ 325.
【0182】
中間体I {1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−酢酸メチルエステル
DCM(5ml)中の(3−メトキシカルボニルメチル−2−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル)−酢酸(中間体J)(395mg、1.078mmol)、HATU(594mg、1.186mmol)および5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルアミン(293mg、1.186mmol)の混合物を、DIPEA(2.5eq、618μL)で処理する。反応溶液を室温で撹拌し、24時間後、反応混合物を1M HCl(5ml)で希釈し、DCM(2x15ml)で抽出する。分離した有機相を合わせ、水性飽和NaHCOで洗浄する。有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、表題化合物をオフホワイト色固体として得る;[M+H]448。
【0183】
中間体J (3−メトキシカルボニルメチル−2−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル)−酢酸
段階1:(2−アミノ−ベンジルアミノ)−酢酸メチルエステル
2−アミノメチル−フェニルアミン(1.54g、10.1mmol)およびTEA(3.06ml、20.2mmol)を、1,4−ジオキサン中で還流する。1,4−ジオキサン(5ml)中のエチルブロモアセテート(1.12ml、10.1mmol)の溶液をゆっくりと1時間かけて添加し、沈殿をもたらす。反応混合物を還流で2時間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、水で処理し、EtOAcで抽出し、有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮する。シリカのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、DCM:MeOH(40:1)で溶出し、表題化合物を得る;[M+H]195。
【0184】
段階2:(2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−酢酸メチルエステル
(2−アミノ−ベンジルアミノ)−酢酸メチルエステル(0.50g、2mmol)およびビス(トリクロロメチル)カルボネート(0.54g、2mmol)を、ジオキサン(5ml)に溶解し、室温で24時間撹拌する。反応混合物を水で処理し、EtOAcで抽出し、有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮する。シリカのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、DCM:MeOH(10:1)で溶出し、表題化合物を得る。[M+H]221。
【0185】
段階3:1−tert−ブトキシカルボニルメチル−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−酢酸メチルエステル
丸底フラスコ中の(2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−酢酸メチルエステル(9.5g、29.3mmol)およびKCO(2.5eq、10.31g、73.3mmol)の混合物を、乾燥DMFで処理する。Tert−ブチルブロモアセテート(1.02eq、4.2ml、30mmol)をシリンジで滴下してアルゴン下で添加する。反応懸濁液を室温で1時間撹拌する。反応混合物を蒸留水で希釈し、EtOAc(3x)で抽出する。分離した有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空で濃縮する。表題化合物を茶色の粘性の油状物として得、静置して結晶化する。[M+H]335。
【0186】
段階4:(3−メトキシカルボニルメチル−2−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル)−酢酸
乾燥DCM中の1−tert−ブトキシカルボニルメチル−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−酢酸メチルエステル(470mg、0.916mmol)の溶液を、アルゴン下で、TFAで滴下して処理し、続いてトリエチルシランを添加する。5時間後、反応混合物を真空で濃縮し、残渣をMeOHでトリチュレートし、白色固体を得る。濾過により表題化合物を得、続いて白色固体として真空で乾燥する。[M+H]279。
【0187】
中間体K [4−{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−フェニル)−酢酸エチルエステル
[4−(2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−酢酸エチルエステル(中間体H)(2.0g、6.17mmol)、KCO(2.5eq、2.14g、15.52mmol)および2−ブロモ−N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミド(中間体C)(1.02eq、1.99g、6.49mmol)の入った丸底フラスコを、乾燥DMF(20ml)で処理する。反応を室温で72時間撹拌する。反応混合物を蒸留水で希釈し、15分間撹拌する。形成された沈殿を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させ、表題化合物を得る;[M+H]552
【0188】
中間体L (2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−酢酸tertブチルエステル
DCM(200ml)中の(2−アミノ−ベンゾイルアミノ)−酢酸tert−ブチルエステル(33g、0.132mol)の冷却した(<5℃)溶液に、DCM(70ml)中のトリホスゲン(14.08g、0.047mol)の溶液を30分間かけて滴下して添加し、温度を5℃より低く維持する。得られる白色/クリーム色の沈殿を、トリエチルアミン(21ml、0.145mol)を滴下して処理し、反応の温度を5℃より低く維持する。明るい黄色の反応混合物を徐々に室温に温まらせ、終夜撹拌する。水(250ml)を反応混合物に撹拌しながら添加する。混合物を分配し、水相をDCM(100ml)で洗浄する。有機抽出物を合わせ、NaHCO(2x200ml)、水(2x150ml)、塩水(200ml)で洗浄し、真空で濃縮し、淡い橙色の固体を得る。これを、次いで、イソヘキサン中で30分間スラリー化し、濾過し、次いで加熱しながらDCM(90ml)に取る。次いで、溶液を週末にかけて冷蔵庫中に置く。形成される結晶性物質を濾過し、最小量の冷DCMで洗浄し、表題化合物を得る。
【0189】
中間体M (2−アミノ−ベンゾイルアミノ)−酢酸tert−ブチルエステル
撹拌しているDMF(250ml)中のイサト酸無水物(25g、0.15mol)の溶液に、グリシンtertブチルエステル(30.64g、0.18mol)を添加し、続いて、トリエチルアミン(52ml、0.37mol)を30分間かけて滴下して添加する。得られる懸濁液を50℃で3時間、60℃で30分間、次いで70℃で30分間加熱する。次いで、反応混合物を室温に放冷し、水(300ml)で処理する。得られる溶液を室温で30分間撹拌し、水(200ml)でさらに希釈し、生成物をEtOAc(2x500ml)で抽出する。有機抽出物を合わせ、水(2x300ml)、塩水(1x300ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空で濃縮し、真空下で乾燥させ、表題化合物を桃色がかった白色の固体として得る。
【0190】
中間体N 2−ブロモ−N−(2,6−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−アセトアミド
DCM中の4−アミノ−2,6−ジクロロ−ピリジン(4.7g、28.8mmol)の撹拌している溶液に、ブロモアセチルブロミド(2.56ml、29.4mmol)を添加する。溶液を0℃に冷却し、5分間撹拌し、その後トリエチルアミン(7.87ml、57.7mmol)を滴下して処理する。反応混合物を徐々に室温に温まらせ、48時間撹拌する。反応混合物をDCMで希釈し、水で数回洗浄する。有機抽出物を乾燥させ、濾過し、真空で濃縮する。粗生成物をシリカ(DCM/イソヘキサン)のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を得る。
【0191】
中間体P ウレイド−酢酸tert−ブチルエステル
水(12ml)中のグリシンtert−ブチルエステル塩酸塩(15.13g、89.5mmol)の溶液に、水(12ml)中のシアン酸カリウム(8.89g、107.4mmol)の温かい溶液を一度に添加する。澄んだ溶液を65℃ないし70℃に15分間加熱し、その後、加熱を取り止め、氷浴中で0℃に冷却する。MeOH(約5ml)を添加して形成された油状物を溶解し、混合物を0℃で静置する。形成された結晶を濾過し、氷水(3x2ml)で洗浄し、乾燥させ、表題化合物を得る;[M+H]174。
【0192】
中間体Q (2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3イル)−酢酸t−ブチルエステル
2−5ml Biotage マイクロ波バイアルに、Pd(OAc)(2.5mol%、4.6mg、0.019mmol)、キサントホス(5mol%、22.3mg、0.038mmol)、ウレイド−酢酸tert−ブチルエステル(223.7mg、1.216mmol)およびCsCO(736.6mg、1.9mmol)を入れる。メチル3−ヨードピリジン−2−カルボキシレート(200.4mg、0.76mmol)を添加し、続いて1−4−ジオキサン(4ml)を添加する。容器を密閉し、マイクロ波中、120℃で5400秒間処理する。EtOAcを混合物に添加し、デカンタする。これのLCMS(+ELS)は、生成物を示さなかった。水を残渣に添加し、白色固体を生じさせる。この物質のLCMS(+ELS)は、生成物を示した。物質をEtOAcに取り、塩水(3x20ml)で、次いで水(2x20ml)で洗浄する。有機部分を Celite(登録商標)に通し、溶媒を真空で除去し、表題化合物を得る;[M+H]278。
【0193】
中間体R {1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル}−酢酸tert−ブチルエステル
(2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3イル)−酢酸t−ブチルエステル(14.9mg、0.054mmol)、2−ブロモ−N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミド(26.5mg、0.06mmol)およびCsCO(50.9mg、0.11mmol)の入った25mlの丸底フラスコを、DMF(3ml)で処理し、溶液を室温で撹拌する。2時間後、反応混合物を水で処理し、10分間撹拌する。生成物をEtOAcに抽出し、水(3x10ml)で洗浄する。有機部分を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮し、[M+H]505の表題化合物を得る。
【0194】
中間体S (5−クロロ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル)−酢酸tert−ブチルエステル
2−5mlのマイクロ波バイアルに、Pd(OAc)(2.5mol%、4.1mg、0.016mmol)、キサントホス(5mol%、24.9mg、0.0321mmol)、ウレイド−酢酸tert−ブチルエステル(190.3mg、1.03mmol)およびCsCO(578.9mg、1.605mmol)を加える。2−クロロ−4−ヨード−ニコチン酸エチルエステル(208.9mg、0.642mmol)を添加し、続いて1,4−ジオキサン(4ml)を添加する。容器を密閉し、マイクロ波中、120℃で3600秒間処理する。EtOAcを混合物に添加し、塩水(3x20ml)で、次いで水(2x20ml)で洗浄する。有機部分を Celite(登録商標)に通し、溶媒を真空で除去する。粗製の物質を最小量のDCMに取り、10gの Isolute(商標)の予め充填された Silica II カートリッジに負荷し、100%イソヘキサンないし50%EtOAc:イソヘキサンで溶出し、表題化合物を得る;[M+H]312
【0195】
中間体T {5−クロロ−1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル}−酢酸tert−ブチルエステル
バイアルに(5−クロロ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル)−酢酸tert−ブチルエステル(53.1mg、0.17mmol)、2−ブロモ−N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミド(58.1mg、0.187mmol)およびCsCO(124.3mg、0.34mmol)を入れる。混合物をDMF(3ml)で処理し、溶液を室温で終夜撹拌する。反応混合物を水で処理し、生成物をEtOAc(3x10ml)で抽出する。有機抽出物を合わせ、水(2x10ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空で濃縮する。イソヘキサン:EtOAcの溶離剤系でフラッシュカラムクロマトグラフィーを使用して、粗製の物質を精製し、表題化合物を得る;[M+H]539。
【0196】
中間体U (2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−3−イル)−酢酸tert−ブチルエステル
2−5mlのマイクロ波バイアルに、Pd(OAc)(2.5mol%、6.6mg、0.0231mmol)、キサントホス(5mol%、27.1mg、0.0463mmol)、ウレイド−酢酸tert−ブチルエステル(259mg、1.482mmol)およびCsCO(770.2mg、2.315mmol)を入れる。3−ブロモ−イソニコチン酸メチルエステル(216.3mg、0.926mmol)を添加し、続いて1,4−ジオキサン(4ml)を添加する。容器を密閉し、マイクロ波中、120℃で、3x3600秒間処理する。EtOAcを反応混合物に添加し、次いで、それを塩水(3x20ml)および水(2x10ml)で洗浄する。有機相を Celite(登録商標)(フィルター材料)に通し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮する。物質をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、イソヘキサン:EtOAcで溶出し、表題化合物を得る;[M+H]278。
【0197】
中間体V {1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−3−イル}−酢酸tert−ブチルエステル
25mlの丸底フラスコに、(2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−3−イル)−酢酸tert−ブチルエステル(23.9mg、0.086mmol)、2−ブロモ−N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミド(30.5mg、0.095mmol)およびCsCO(84.6mg、0.172mmol)を入れる。混合物をDMF(2ml)で処理し、溶液を室温で終夜撹拌する。水を混合物に添加し、固体を生じさせる。これを濾過し、乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーで、イソヘキサン:EtOAcで溶出して精製し、表題化合物を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離または塩形態の式(I):
【化1】

[式中、
Qは、CH、C(O)およびC(S)から選択され;
およびQは、NおよびCHから独立して選択され;
【化2】

は、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基から選択され;
は、C−C−アルキル(−OH、ハロゲン、CN、O−C−C−アルキル、NR1c1d、カルボキシ−C−C−アルキルおよびCOOHにより置換されていることもある)、−C(R1a1bC(O)CR1c1d1e、−C(R1a1bC(O)NR1c1d、−C(R1a1bNR1c1d、C(R1a1bCR1c1d1e、C(R1a1bSO1f、C(R1a1bSOR1gおよびC(R1a1bSR1hから選択され;
1f、R1gおよびR1hは、C−C−アルキル、C−C−ヒドロキシアルキル、C−Cアルキルアミノ(C−C−アルキル)、ジ(C−C−アルキル)アミノ(C−C−アルキル)、C−C−シアノアルキル、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、C−C−ハロアルキル、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし10員のヘテロ環式基から独立して選択され;
各R1aおよびR1bは、H、−OHおよびC−C−アルキル(−OHおよびハロゲンにより置換されていることもある)から独立して選択され;
1cおよびR1dは、H;
−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−アラルキル、C−C15−炭素環式基、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基;
−C−アルコキシ(OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある);
−C−アルケニル(−OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある);
−C−アルキニル(−OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある);および、
−C−アルキル(−OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C−アルコキシカルボニル、COOH、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある)
から独立して選択され、
1eは、HおよびC−C−アルキルから選択され;
は、C−C15−芳香族性炭素環式基(−C(R3a3bC(O)NR3c3dまたは−C(R3a3bC(O)OHにより置換されていることもある)、C−C15−アラルキル、C−C−アルキル(C−C15−炭素環式基により置換されている)、C−C15−炭素環式基、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、−C(R3a3bC(O)NR3c3dおよび−C(R3a3bC(O)OHから選択され;
3aおよびR3bは、H、−OHおよびC−C−アルキル(−OHおよびハロゲンにより置換されていることもある)から独立して選択され;
3cおよびR3dは、H、
−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基(または、R3cおよびR3dは、それらが結合しているNと一体となって、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基を形成する)、
酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基、
−C−アルコキシ(C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある)、C−C−アルコキシカルボニル(C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある);および、
−C−アルキル(−OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある);
から独立して選択され、
およびRは、HおよびC−C−アルキルから独立して選択され;
mおよびnは、整数0、1、2および3から独立して選択され;そして、
tは、1、2および3から選択される整数であり;
ここで、該C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−アラルキル、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基は、特記しない限り、各々、C−C15−アラルキル、C−C−アルキル、CN、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、ハロゲン、C−C−アルコキシ、OH、C−C−アルキルカルボニル、−C(O)−C−C15−芳香族性炭素環式基、−C(O)−C−C15−炭素環式基、−C(O)−酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基、C−C−シアノアルキル、C−C−シアノアルコキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、COOH、C−C−アルコキシカルボニル、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基(C−C15−アラルキル、C−C−アルキル、CN、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、ハロゲン、C−C−アルコキシ、OH、C−C−アルキルカルボニル、C−C−シアノアルキル、C−C−シアノアルコキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、COOH、または、C−C−アルコキシカルボニルにより置換されていることもある)、C−C15−芳香族性炭素環式基(C−C15−アラルキル、C−C−アルキル、CN、ハロゲン、C−C−アルコキシ、OH、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、COOH、CF、または、C−C−アルコキシカルボニルにより置換されていることもある)、または、C−C15−炭素環式基(C−C15−アラルキル、C−C−アルキル、CN、ハロゲン、C−C−アルコキシ、OH、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、COOH、CFまたはC−C−アルコキシカルボニルにより置換されていることもある)により各々置換されていることもある]
の化合物、
但し、該式(I)の化合物は、3−{1−[(5−クロロ−2−メトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−シクロペンチル−プロピオンアミド、N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−2−[2,4−ジオキソ−3{[(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−カルバモイル]−メチル}−フェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル]−アセトアミド、4−{6−クロロ−1−[2−(3−クロロ−4−エトキシ−フェニル)−2−オキソエチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−シクロペンチル−ブチルアミド、2−{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−フラン−2−イルメチル−アセトアミド、4−(2−{2,4−ジオキソ−3−[4−(フェネチルカルバモイル−メチル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル}−アセチルアミノ)−安息香酸エチルエステル、N−(3,5−ジクロロ−フェニル)−2−{2,4−ジオキソ−3−[4−(フェネチルカルバモイル−メチル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル}−アセトアミド、2−{1−[(4−クロロ−2−メトキシ−5−メチル−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−シクロペンチル−アセトアミド、2−{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−フェネチル−アセトアミドおよび1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−3−フェニル−1,3,4,5,6,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[4',3':4,5]チエノ[2,d]ピリミジン−7−カルボン酸エチルエステルではない。
【請求項2】
式中、
Qが、CHおよびC(O)から選択され;
およびQが、NおよびCHから独立して選択され;
【化3】

が、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基から選択され;
が、−C(R1a1bC(O)NR1c1d、−C(R1a1bC(O)CR1c1d1e、−C(R1a1bNR1c1d、C(R1a1bCR1c1d1e、C(R1a1bSO1fであり;
1aおよびR1bは、H、−OHおよびC−C−アルキル(−OHおよびハロゲンにより置換されていることもある)から独立して選択され;
1cは、H;
−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−アラルキル、C−C15−炭素環式基、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基;
−C−アルコキシ(OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある);
−C−アルケニル(−OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある);
−C−アルキニル(−OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基および酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある);および、
−C−アルキル(−OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C−アルコキシカルボニル、COOH、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある);
から選択され、
1dおよびR1eは、Hであり;
1fは、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、C−C−ハロアルキルおよび酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし10員のヘテロ環式基であり;
が、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基、アルキルアミノカルボニル、−C(R3a3bC(O)NR3c3dおよび−C(R3a3bC(O)OHから選択され;
3aおよびR3bは、H、−OHおよびC−C−アルキル(−OH、ハロゲンにより置換されていることもある)から独立して選択され;
3cおよびR3dは、H;
−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基;
酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基、および
−C−アルキル(−OH、−CN、ハロゲン、NR、C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−炭素環式基および酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基により置換されていることもある)
から独立して選択され、
mおよびnは、整数0、1および2から独立して選択され;そして、
tは、1および2から選択される整数であり;
ここで、該C−C15−芳香族性炭素環式基、C−C15−アラルキル、C−C15−炭素環式基、および、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基は、特記しない限り、各々、C−C15−アラルキル、C−C−アルキル、CN、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、ハロゲン、C−C−アルコキシ、OH、C−C−アルキルカルボニル、−C(O)−C−C15−芳香族性炭素環式基、−C(O)−C−C15−炭素環式基、−C(O)−酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基、C−C−シアノアルキル、C−C−シアノアルコキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、COOH、C−C−アルコキシカルボニル、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基(C−C15−アラルキル、C−C−アルキル、CN、C−C−アルキルスルホニル、C−C−ハロアルキルスルホニル、ハロゲン、C−C−アルコキシ、OH、C−C−アルキルカルボニル、C−C−シアノアルキル、C−C−シアノアルコキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、COOH、または、C−C−アルコキシカルボニルにより置換されていることもある)、C−C15−芳香族性炭素環式基(C−C15−アラルキル、C−C−アルキル、CN、ハロゲン、C−C−アルコキシ、OH、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、COOH、CFまたはC−C−アルコキシカルボニルにより置換されていることもある)、または、C−C15−炭素環式基(C−C15−アラルキル、C−C−アルキル、CN、ハロゲン、C−C−アルコキシ、OH、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C−アルキル)アミノカルボニル、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、COOH、CFまたはC−C−アルコキシカルボニルにより置換されていることもある)により置換されていることもある、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(Ia):
【化4】

[式中、
は、−C(R1a1bC(O)NR1c1d(ここで、R1a、R1bおよびR1cはHであり;R1dは、C−C15−芳香族性炭素環式基、または、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基である)、
−C(R1a1bNR1c1d(ここで、R1aおよびR1cはHであり;R1bはHまたはOHであり;tは1であり;R1dは、C−C15−芳香族性炭素環式基、または、酸素、窒素からなる群から選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を有する4員ないし15員のヘテロ環式基である)、または、
−C(R1a1bC(O)NR1c1d(ここで、R1a、R1bおよびR1cはHであり、R1dは、C−C15−芳香族性炭素環式基により置換されているC−C−アルキルである)であり;そして、
【化5】

は、
【化6】

から選択され、
ここで、
は、HおよびC−C−アルコキシカルボニルから選択され;
各Rは、H、ハロ、CN、COH、CHNHおよびC−C−アルキルから選択され;
pは、1ないし3から選択される整数であり;そして
qは、1ないし4から選択される整数である]
の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
実施例のいずれかに関して実質的に記載した、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
医薬として使用するための請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項7】
S1P2またはS1P3受容体により媒介される疾患を処置するための医薬の製造における、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項8】
S1P2またはS1P3受容体により媒介される疾患を処置するための医薬の製造における、3−{1−[(5−クロロ−2−メトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−シクロペンチル−プロピオンアミド、N−(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニル)−2−[2,4−ジオキソ−3{[(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−カルバモイル]−メチル}−フェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル]−アセトアミド、4−{6−クロロ−1−[2−(3−クロロ−4−エトキシ−フェニル)−2−オキソエチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−シクロペンチル−ブチルアミド、2−{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−フラン−2−イルメチル−アセトアミド、4−(2−{2,4−ジオキソ−3−[4−(フェネチルカルバモイル−メチル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル}−アセチルアミノ)−安息香酸エチルエステル、N−(3,5−ジクロロ−フェニル)−2−{2,4−ジオキソ−3−[4−(フェネチルカルバモイル−メチル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−1−イル}−アセトアミド、2−{1−[(4−クロロ−2−メトキシ−5−メチル−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−シクロペンチル−アセトアミド、2−{1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル}−N−フェネチル−アセトアミド、および1−[(5−クロロ−2,4−ジメトキシ−フェニルカルバモイル)−メチル]−2,4−ジオキソ−3−フェニル−1,3,4,5,6,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[4',3':4,5]チエノ[2,d]ピリミジン−7−カルボン酸エチルエステルから選択される化合物の使用。
【請求項9】
該S1P2またはS1P3受容体により媒介される疾患が、炎症性または閉塞性気道疾患である、請求項8に記載の化合物の使用。
【請求項10】
炎症性またはアレルギー性症状、特に炎症性または閉塞性気道疾患を処置するための医薬の製造における、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項11】
遊離または塩形態の請求項1に記載の式(I)の化合物の製造方法であって、
(i)式(II):
【化7】

(式中、
【化8】

、Qは、Nであり、Qは請求項1に記載の通りである)の化合物を、式(III):
【化9】

(式中、Xは脱離基であり、R'はC−C−アルキルまたはC−C−アルコキシカルボニルから選択される)の化合物と反応させ、式(IV):
【化10】

の化合物を提供し、ここで、R'がC−C−アルコキシカルボニルであるとき、そのアルコキシカルボニルを各々の酸に加水分解させ、得られる化合物をアミンと反応させ、アミド誘導体を生成させ、そして、
(iii)保護基を除去し、得られる遊離または薬学的に許容される塩形態の式(I)の化合物を回収する、
の各段階を含む、方法。

【公表番号】特表2010−520256(P2010−520256A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552192(P2009−552192)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052614
【国際公開番号】WO2008/107436
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】