説明

無人搬送車の充電制御方法

【課題】 無人搬送車10が充電器13から充電を行っている間に、無人搬送車11と無人搬送車10との間に充電器が無い場合、無人搬送車11は、無人搬送車10が充電を終わるまで待機することとなり、作業能力の低下を招いている。
【解決手段】 無人搬送車10の進行方向がSlで次の充電ポイントまでに1台も他の無人搬送車が無くまた次の充電ポイントの充電器14が充電中で無い場合に上位コンピュータ2は充電終了の指示を給電用コンピュータ3に指示し、終了の指示を受けた給電用コンピュータ3は充電器13に対し充電終了を指示する。充電終了の指示を受けた充電器13は無人搬送車10に対し充電終了の指示を発行し無人搬送車10は現在の充電を終了し、次の充電ポイント14に向かう。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は充電を必要とする無人搬送車の充電制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】人間の入れない場所や、ダストの発生を嫌う半導体の製造工場等では、コンピュータ制御による無人搬送車が用いられている。図2に無人搬送車の搬送路を示す。無人搬送車10の動力源には電気が用いられており、長時間使用する場合には、無人搬送車10を途中で充電する必要があった。
【0003】無人搬送車10の充電には、時間のロスを防ぐために無人搬送車10の搬送路の途中に設けられた充電器13によって充電を行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】充電が必要な無人搬送車を使用する製造ラインにおいて、無人搬送車が走行する閉ループ内に2台の無人搬送車10、11に対し2台の充電器13、14を設置した場合でも、無人搬送車10が充電器13から充電を行っている間に、無人搬送車11と無人搬送車10との間に充電器が無い場合、無人搬送車11は、無人搬送車10が充電を終わるまで待機することとなり、また、作業と関係無い待機中に蓄電池を消耗し、作業能力の低下を招いている。
【0005】本発明を用いることにより無人搬送車の充電待機時間が削減され無人搬送車及び充電器の稼動効率の良い運用が可能となり無人搬送車の搬送システムの効率を向上することが可能となる。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、搬送路を移動する複数の無人搬送車と、搬送路の途中に設けられた複数の充電器とを有し、無人搬送車は、充電器により充電する時に、搬送路の進行方向の次の充電器との間に他の無人搬送車が所定の数以下であれば、前記次の充電器に移動することを特徴とする。
【0007】請求項2に記載の発明は、搬送路を移動する複数の無人搬送車と、搬送路の途中に設けられた複数の充電器とを有し、第1の無人搬送車は、充電器により充電する時に、他の無人搬送車が第1の無人搬送車の後ろで待機状態のときは、次の充電器に移動することを特徴とする。
【0008】請求項3に記載の発明は、前記無人搬送車に次の充電器に移動するだけの蓄電がない場合には、次の充電器に移動せずに、少なくとも移動可能な分の充電を行うことを特徴とする。
【0009】以下に本発明による作用について説明する。本発明の請求項1の無人搬送車の充電制御方法によれば、搬送路を走行している無人搬送車の充電のための待機時間が削減され、走行できる無人搬送車台数の向上によって実質的に無人搬送車の搬送能力を向上させることができ、充電器の有効利用による稼働率の向上及び充電器の台数の削減ができる。
【0010】本発明の請求項2の無人搬送車の充電制御方法によれば、搬送路を走行している無人搬送車の充電のための待機時間が削減され、走行できる無人搬送車台数の向上によって実質的に無人搬送車の搬送能力を向上させることができ、充電器の有効利用による稼働率の向上及び充電器の台数の削減ができ、更に、次の無人搬送車が待機していない場合に十分な充電時間を得ることができる。
【0011】本発明の請求項3の無人搬送車の充電制御方法によれば、無人搬送車の充電器から充電器への移動の際に、充電不足により停止して、無人搬送車全体のシステムを停止させることがない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の実施形態について説明する。図1は無人搬送車の充電制御システムの構成を示すブロック図である。
【0013】無人搬送車1の充電を行う充電器4と、上位コンピュータ2と通信し充電の開始報告及び充電の終了指示を制御する給電用コンピュータ3と、給電用コンピュータ3と通信し無人搬送車1の作業、進行方向、現在位置、及び充電時間を制御する上位コンピュータ2と、無人搬送車1からの現在位置及び作業内容などの制御信号を受け取る通信ユニット6と、通信ユニット6から送られてくる無人搬送車1の現在位置及び作業内容などの制御信号を上位コンピュータ2に伝送する通信用コンピュータ5と、無人搬送車1に設けられ現在位置及び作業内容などの制御信号を通信ユニット6へ無線送信する通信ユニット7と、無人搬送車1からの情報を受け取り充電器4に送る光通信ユニット8と、無人搬送車1に設けられた光通信ユニット9を備えている。
【0014】この充電制御システムでは、無人搬送車1は充電ポイントに着くと充電器4によって充電を開始し、通信ユニット6から通信用コンピュータ5を通して充電開始の報告が上位コンピュータ2に報告される。無人搬送車1の充電と同時に充電器4は給電用コンピュータ3を通して充電開始の報告を上位コンピュータ2に報告する。
【0015】上位コンピュータ2は無人搬送車1の作業内容、進行方向、現在位置情報、他の無人搬送車の現在位置情報等から充電を終了させるかどうかの判断を行う。上位コンピュータ2の充電終了の判断は一定時間サイクルで無人搬送車1の充電が終了するまで繰り返し行われる。
【0016】図2に、無人搬送車、充電器、無人搬送車の搬送路の構成図を示す。図2を用いて無人搬送車の充電停止判断を説明する。
【0017】無人搬送車10の進行方向がSlで次の充電ポイントまでに1台も他の無人搬送車が無くまた次の充電ポイントの充電器14が充電中で無い場合に上位コンピュータ2は充電終了の指示を給電用コンピュータ3に指示し、終了の指示を受けた給電用コンピュータ3は充電器13に対し充電終了を指示する。充電終了の指示を受けた充電器13は無人搬送車10に対し充電終了の指示を発行し無人搬送車10は現在の充電を終了し、次の充電ポイント14に向かう。
【0018】無人搬送車10の現在情報及び作業状況は、逐次通信ユニット6から通信用コンピュータ5を通して上位コンピュータに2に報告され、上位コンピュータ2は常に無人搬送車10の現在位置及び作業状態を把握することができる。
【0019】無人搬送車10の進行方向の所得手段として作業内容及びパターンに対する方向情報を決定するデータベースを持ち上位コンピュータ2は充電開始を報告してきた無人搬送車の認識番号よりデータベースを検索し進行方向を決定する。
【0020】次の充電ポイントまでの無人搬送車の有無を確認する手段としては、充電器13から充電器14までの全ての現在位置ポイントをエリアとして分類(グループ化)し作業内容及び進行方向Slによってエリア番号(エリアA)を検索し、エリア内に存在する無人搬送車が定義された台数以下の場合は充電の終了を指示し無人搬送車10の先送りを行う。
【0021】無人搬送車の先送りを行うことを決定するときのエリア内に存在する無人搬送車の数は、無人搬送車及び充電器の数や、搬送路の形態によって最適な数が異なるが、小さいほど次の充電器での無人搬送車の待機時間が少なくなり、0台の場合は無人搬送車の待機時間が無くなる。
【0022】上記一連の処理により、充電器の稼動効率が向上し充電によって起こる無人搬送車の充電待機ロスを削減し結果として無人搬送車の搬送能力が向上する。
【0023】他の制御方法としては、充電器13による無人搬送車10の充電中に、他の無人搬送車が無人搬送車10の後ろで待機している場合には、無人搬送車10の充電を完了し、次の充電器14へ移動させることにより、充電待ちによる無人搬送車の待機時間を少なくでき無人搬送車及び充電器を有効利用することができる。このとき無人搬送車10に次の充電器14へ移動するだけの蓄電がない場合には、充電器13にて少なくとも充電器14へ移動可能な分の充電をおこなってから充電器13の充電を終了する。
【0024】
【発明の効果】本発明の請求項1によれば、搬送路を走行している無人搬送車の充電のための待機時間が削減され、走行できる無人搬送車台数の向上によって実質的に無人搬送車の搬送能力を向上させることができ、充電器の有効利用による稼働率の向上及び充電器の台数の削減ができる。
【0025】本発明の請求項2によれば、搬送路を走行している無人搬送車の充電のための待機時間が削減され、走行できる無人搬送車台数の向上によって実質的に無人搬送車の搬送能力を向上させることができ、充電器の有効利用による稼働率の向上及び充電器の台数の削減ができ、更に、次の無人搬送車が待機していない場合に十分な充電時間を得ることができる。
【0026】本発明の請求項3によれば、無人搬送車の充電器から充電器への移動の際に、充電不足により停止して、無人搬送車全体のシステムを停止させることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】無人搬送車の充電制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】無人搬送車、充電器、無人搬送車の搬送路の構成図を示す。
【符号の説明】
1 無人搬送車
2 上位コンピュータ
3 給電用コンピュータ
4 充電器
5 通信用コンピュータ
6 通信ユニット
7 通信ユニット(無人搬送車)
8 光通信ユニット
9 光通信ユニット
10,11、12 無人搬送車
13、14、15 充電器

【特許請求の範囲】
【請求項1】 搬送路を移動する複数の無人搬送車と、搬送路の途中に設けられた複数の充電器とを有し、無人搬送車は、充電器により充電する時に、搬送路の進行方向の次の充電器との間に他の無人搬送車が所定の数以下であれば、前記次の充電器に移動することを特徴とする無人搬送車の充電制御方法。
【請求項2】 搬送路を移動する複数の無人搬送車と、搬送路の途中に設けられた複数の充電器とを有し、第1の無人搬送車は、充電器により充電する時に、他の無人搬送車が第1の無人搬送車の後ろで待機状態のときは、次の充電器に移動することを特徴とする無人搬送車の充電制御方法。
【請求項3】 前記無人搬送車に次の充電器に移動するだけの蓄電がない場合には、次の充電器に移動せずに、少なくとも移動可能な分の充電を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無人搬送車の充電制御方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2000−172339(P2000−172339A)
【公開日】平成12年6月23日(2000.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−342911
【出願日】平成10年12月2日(1998.12.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】