説明

無端移動部材駆動制御装置、画像形成装置、無端移動部材の駆動制御方法、プログラム及び記録媒体

【課題】複数のスケールマークが設けられた無端移動部材の駆動を正確に制御しつつ、駆動制御のデータ処理量を低減する。
【解決手段】中間転写ベルト10の複数のスケールマークMを2つのスケールセンサ6A、6Bで検出し、各検出信号の位相差を算出しつつ、検出センサ6Lで中間転写ベルト10の一周の基準マークKLを検出する。プロファイル作成手段14により、中間転写ベルト10の一周分のスケールマークMのピッチ誤差のプロファイルを作成し、プロファイルからスケールマークピッチの補正データを算出して記憶する。中間転写ベルト10の二周目以降は、1つのスケールセンサ6A又は6BによりスケールマークMを検出して中間転写ベルト10の移動速度を検出し、検出した移動速度と補正データに基づき、駆動手段80による中間転写ベルト10の移動速度をフィードバック制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト状やドラム状等をなす無端移動部材の駆動を制御する無端移動部材駆動制御装置、この無端移動部材駆動制御装置を備えた複写機やプリンタ等の画像形成装置、無端移動部材の駆動制御方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置には、中間転写ベルトや感光体ドラム等の各種の無端移動部材が使用されている。このような画像形成装置、例えば、カラー画像を形成するタンデム型の画像形成装置では、中間転写ベルトに沿って配置した複数の作像ユニットで各色の画像を作像し、各画像を移動(回動)する中間転写ベルト上に順次重ねて転写してカラー画像を形成した後、カラー画像をシートに2次転写して画像を形成する。その際、このような画像形成装置では、中間転写ベルト上における各画像の位置合わせを高精度で行わないと色ずれ等が生じるため、中間転写ベルトの速度や位置の制御を正確に行う必要がある。
【0003】
そのため、従来、中間転写ベルトの表面や裏面に、その移動方向の全体にわたって所定間隔で複数のスケールマークを連続して設け、スケールマークをスケールマークセンサにより検出して、中間転写ベルトの速度や位置を把握しつつ移動速度や位置を制御することが行われている。しかしながら、このようにしても、中間転写ベルトは、各装置内でのベルトテンション、雰囲気温度や湿度の差、ベルト強度むら等により、部分的に伸縮が生じる。その結果、この伸縮に起因して、中間転写ベルトの全長に対し一周期の変動が発生し、その移動速度や位置を制御する精度が低下して、形成後の画像に影響を与える虞がある。
【0004】
これに対し、従来、複数のスケールマークセンサで中間転写ベルトのスケールマークを検出し、その検出信号の位相差等に基づき、ベルトの伸縮によるスケールマークの変動を補正して、中間転写ベルトの移動速度を高精度に制御する無端移動部材駆動制御装置が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
この従来の駆動制御装置では、各スケールマークセンサに設けられたLED(発光ダイオード)等の発光素子を発光させ、この光をスケールマークに照射して、その反射光の強度によりスケールマークを読み取る。また、検出信号の位相差に基づいて、スケールマークのピッチ(間隔)誤差や伸縮によるピッチ変動を検出するとともに、各検出信号の位相差を中間転写ベルトの移動に伴い順次算出して、それらに基づき、ピッチ変動を補正しながら中間転写ベルトの移動速度を制御する。
【0006】
ところが、この従来の駆動制御装置では、全てのスケールマークセンサを作動させて、スケールマーク毎に中間転写ベルトの伸縮によるピッチ変動の補正値を算出し、ピット変動補正を行いながら中間転写ベルトの速度制御を行う。そのため、中間転写ベルトの駆動中に多くのデータを処理する必要があり、データ処理量が多くなる傾向がある。また、中間転写ベルトを駆動する間、全てのスケールマークセンサのLEDを常に発光させるため、LEDが早く劣化して、スケールマークセンサの寿命が短くなり、かつ消費電力が多くなる、という問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、複数のスケールマークが設けられた無端移動部材の駆動を正確に制御しつつ、スケールマークを検出するスケールマークセンサの寿命を長くし、駆動制御に要する消費電力を削減するとともに、駆動制御のデータ処理量を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、移動方向の全体にわたって所定間隔で複数のスケールマークが連続して設けられた無端移動部材と、無端移動部材の駆動手段と、無端移動部材の移動方向に沿って複数配置され、スケールマークを検出するスケールマークセンサと、を備えた無端移動部材駆動制御装置であって、複数のスケールマーク中に設けられた無端移動部材の一周の基準マークと、基準マークを検出して無端移動部材の一周を判別する基準マーク検出手段と、無端移動部材の移動に伴う複数のスケールマークセンサの検出信号の位相差を順次算出する位相差算出手段と、位相差算出手段の算出結果に基づき、無端移動部材一周分のスケールマークのピッチ誤差のプロファイルを作成するプロファイル作成手段と、ピッチ誤差のプロファイルに基づき、無端移動部材一周分のスケールマークピッチの補正データを算出する補正データ算出手段と、スケールマークピッチの補正データを記憶する補正データ記憶手段と、複数のスケールマークセンサの1つを作動させて、そのスケールマークの検出結果から無端移動部材の移動速度を検出する移動速度検出手段と、移動速度検出手段が検出する移動速度と補正データ記憶手段に記憶された補正データに基づき、駆動手段による無端移動部材の移動速度をフィードバック制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、画像形成装置であって、本無端移動部材駆動制御装置を備えたことを特徴とする。
更に、本発明は、移動方向の全体にわたって所定間隔で複数のスケールマークが連続して設けられた無端移動部材と、無端移動部材の駆動手段と、無端移動部材の移動方向に沿って複数配置され、スケールマークを検出するスケールマークセンサと、を備えた無端移動部材駆動制御装置における無端移動部材の駆動制御方法であって、複数のスケールマーク中に設けられた無端移動部材の一周の基準マークを検出して無端移動部材の一周を判別する工程と、無端移動部材の移動に伴う複数のスケールマークセンサの検出信号の位相差を順次算出する工程と、位相差の算出結果に基づき、無端移動部材一周分のスケールマークのピッチ誤差のプロファイルを作成する工程と、ピッチ誤差のプロファイルに基づき、無端移動部材一周分のスケールマークピッチの補正データを算出して記憶する工程と、複数のスケールマークセンサの1つを作動させて、そのスケールマークの検出結果から無端移動部材の移動速度を検出する工程と、検出した移動速度と記憶した補正データに基づき、駆動手段による無端移動部材の移動速度をフィードバック制御する工程と、を有することを特徴とする。
更にまた、本発明は、本無端移動部材の駆動制御方法の各工程をコンピュータで実行させるためのプログラム、及び、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のスケールマークが設けられた無端移動部材の駆動を正確に制御しつつ、スケールマークを検出するスケールマークセンサの寿命を長くでき、駆動制御に要する消費電力を削減しながら、駆動制御のデータ処理量を低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態の画像形成装置の要部を模式に示す内部構成図である。
【図2】第1の実施形態の画像形成装置における無端移動部材の駆動制御装置の概略構成を示す要部模式図である。
【図3】図2のスケールマークとスケールマークセンサの配置状態を模式的に示す拡大図である。
【図4】スケールマークセンサによるスケールマークの検出について説明するための模式図である。
【図5】スケールマークセンサの検出信号を波形整形した波形と波形の位相差の関係を示す図である。
【図6】中間転写ベルトのスケールマークの一部を示す模式図である。
【図7】図6の基準マークを検出する原理を説明するためのグラフである。
【図8】図2の駆動制御装置の構成を模式的に示す機能ブロック図である。
【図9】第1の実施形態の駆動制御装置における中間転写ベルトの駆動制御の処理や動作手順を示すフローチャートである。
【図10】第1の実施形態の駆動制御装置における中間転写ベルトの駆動制御の処理や動作手順を示すフローチャートである。
【図11】第1の実施形態の駆動制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図12】第2の実施形態の中間転写ベルトのスケールマークの一部を示す模式図である。
【図13】第2の実施形態の駆動制御装置の構成を模式的に示す機能ブロック図である。
【図14】第2の実施形態の駆動制御装置における中間転写ベルトの駆動制御の処理や動作手順を示すフローチャートである。
【図15】第2の実施形態の駆動制御装置における中間転写ベルトの駆動制御の処理や動作手順を示すフローチャートである。
【図16】第2の実施形態の駆動制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の無端移動部材駆動制御装置(以下、駆動制御装置という)の一実施形態について、図面を参照して説明する。
この駆動制御装置は、ベルト状やドラム状等をなす無端移動部材を制御して駆動させる装置であり、例えば複写機、プリンタ、ファクシミリ又は、それら複数の機能を併せ持つ複合機等の画像形成装置で使用される。以下の各実施形態では、この駆動制御装置を、カラー画像を形成する画像形成装置に適用し、無端移動部材として、中間転写ベルトを駆動する場合を例に採り説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の画像形成装置の要部を模式に示す内部構成図である。
この画像形成装置Gは、間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置であり、図示のように、給紙テーブル2上に載置された装置本体1と、その上に取り付けられたスキャナ3と、スキャナ3上の自動原稿給送装置(ADF)4と、を備えている。また、装置本体1内の略中央に、ベルト状の無端移動部材である中間転写ベルト10を有する転写装置20を備え、中間転写ベルト10が、駆動ローラ9と2つの従動ローラ15、16間に架け渡されて、図の時計回り方向に移動(回動)する。この中間転写ベルト10は、従動ローラ15の左方に設けられたクリーニング装置17により、画像転写後に表面に残留する残留トナーが除去される。
【0013】
中間転写ベルト10の駆動ローラ9と従動ローラ15間の直線部分の上方には、中間転写ベルト10の移動方向に沿って、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4つのドラム状の感光体40Y、40C、40M、40K(以下、総称して感光体40と呼ぶ)が、所定間隔で配置されている。これら感光体40は、図の反時計回り方向に回転可能であり、それらに対向して、中間転写ベルト10を挟んだ内側に、4つの1次転写ローラ62が設けられている。また、各感光体40は、その回りに、帯電装置60、現像装置61、1次転写ローラ62、感光体クリーニング装置63、除電装置64が設けられ、それぞれ作像ユニット18を構成している。これら各作像ユニット18は、上方の露光装置21からの露光により、各感光体40上に各色の画像(トナー画像)が形成され、それらを中間転写ベルト10上に直接重ね合わせて順次転写する。
【0014】
中間転写ベルト10の下側には、中間転写ベルト10上のカラー画像を記録紙であるシートPに転写する転写部(2次転写装置22)が設けられている。2次転写装置22は、2つのローラ23間に2次転写ベルト24を架け渡して構成され、2次転写ベルト24が中間転写ベルト10を挟んで従動ローラ16に押し当てられて、それらの間に送り込まれるシートPに、中間転写ベルト10上の画像を一括転写する。2次転写装置22のシート搬送方向下流側には、定着ベルト26に加圧ローラ27が押し当てられた、シートP上の画像を定着する定着装置25が配置されており、2次転写装置22により、画像転写後のシートPが定着装置25へ搬送される。
【0015】
この画像形成装置Gでカラーコピーをするときには、自動原稿給送装置4の原稿台30上に原稿をセットし、或いは、自動原稿給送装置4を開いてスキャナ3のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、自動原稿給送装置4を閉じて押さえる。その状態で、ユーザがスタートキー(図示せず)を押すと、原稿台30上の原稿がコンタクトガラス32上に給送されて、或いは、コンタクトガラス32上にセットされた原稿に対して、スキャナ3が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が動作を開始する。また、第1走行体33の光源から光が原稿に向けて照射され、その原稿面からの反射光が第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入射して、原稿の内容が読み取られる。
【0016】
また、上記したスタートキーの押下に伴い、中間転写ベルト10が移動を開始し、同時に、各感光体40Y、40C、40M、40Kが回転を開始して、その各外周面に対する、上記した各色の単色トナー画像の形成動作が開始される。このように形成された各トナー画像は、移動する中間転写ベルト10上に重ね合わせて順次転写されて、その所定位置にカラー画像が形成される。併せて、スタートキーの押下により、給紙テーブル2内の選択された給紙段の給紙ローラ42が回転し、ペーパーバンク43の中の選択された1つの給紙カセット44からシートPが繰り出され、シートPが、分離ローラ45により1枚に分離されて給紙路46に搬送される。
【0017】
このシートPは、搬送ローラ47により装置本体1内の給紙路48に搬送され、レジストローラ49に突き当たって一旦停止する。レジストローラ49は、中間転写ベルト10上のカラー画像形成に合わせた正確なタイミングで回転を開始し、停止したシートPを中間転写ベルト10と2次転写装置22との間に送り込み、シートP上に2次転写装置22でカラー画像を転写させる。その後、シートPは、2次転写装置22により定着装置25へ搬送され、そこで加熱及び加圧されてカラー画像が定着され、切換爪65により排出側に案内されて、排出ローラ66により排紙トレイ67上に排出されてスタックされる。
【0018】
図2は、この画像形成装置Gにおける無端移動部材(中間転写ベルト10)の駆動制御装置の概略構成を示す要部模式図である。
中間転写ベルト10は、図示のように、駆動ローラ9と従動ローラ15、16との間に架け渡され、一方の従動ローラ16により、移動(回動)方向(図の矢印F方向)に所定のテンションが付加されている。その状態で、中間転写ベルト10は、モータ7により、駆動ローラ9に取り付けられた減速機8が回転すると、駆動ローラ9により駆動されて所定速度で移動する。
【0019】
また、中間転写ベルト10には、表面又は裏面(ここでは表面である外周面)の一方の側縁部に沿って、その移動方向Fの全体にわたって所定間隔(ピッチ)で複数のスケールマークMが連続して設けられている。これら複数のスケールマークMは、同じ長さに形成されて、互いに平行に等間隔で、かつ、移動方向Fに沿って極めて小さいピッチで配列され、中間転写ベルト10の全周に設けられて、全体として中間転写ベルト10のスケール5を構成している。ここでは、スケールマークMは、所定色の目盛状に形成されており、例えば中間転写ベルト10の表面よりも反射率の高いインキ等によって印刷され、或いは、地の反射率と異なる反射率のスケールマークMを印刷したテープが、中間転写ベルト10の全周に亘って貼り着けられる。
【0020】
これに対し、駆動制御装置70は、互いに接続された制御装置71と、モータ駆動回路81と、スケールマークMを検出するスケールマークセンサ(以下、スケールセンサという)6A、6Bとを有し、スケールセンサ6A、6Bを、中間転写ベルト10のスケールマークMの形成位置上方に僅かな距離を開けて設けている。スケールセンサ6A、6Bは、中間転写ベルト10の移動方向Fに沿って所定間隔を置いて複数(ここでは2つ)配置され、それぞれ中間転写ベルト10上のスケールマークMを順次検出して、制御装置71に検出信号を出力する。制御装置71は、後述するように、検出信号からスケールマークMをピッチ補正するための位置データ等を取得し、目標位置データをモータ駆動回路81に入力する等して、中間転写ベルト10の移動速度を制御する。このように、制御装置71は、スケールセンサ6A、6Bで検出した中間転写ベルト10の位置情報等に基づき、モータ駆動回路81に適宜信号を出力し、モータ駆動回路81によりモータ7を駆動させて、中間転写ベルト10の移動速度をフィードバック制御する。
【0021】
図3は、図2のスケールマークMとスケールセンサ6A、6Bの配置状態を模式的に示す拡大図である。
この駆動制御装置70では、図示のように、中間転写ベルト10の移動方向Fに沿って、上流側に一方のスケールセンサ6Bを、下流側に他方のスケールセンサ6Aを、それぞれ全てのスケールマークMを検出可能に配置している。また、スケールセンサ6A、6Bは、それらの検出点の間隔Dが、スケールマークMのピッチの設計値をP0としたとき、P0の整数倍(D=N・P0(N=1、2、3・・・))に設定され、中間転写ベルト10に伸縮等がないときには、スケールマークMの中心部を同時に通過する。スケールセンサ6A、6Bは、中間ベルト10が移動すると、それぞれスケールマークMを順次検出して検出信号を制御装置71に出力し、制御装置71が、後述するように、検出信号(入力信号)の位相差等に基づいて、モータ駆動回路81をフィードバック制御する。
【0022】
図4は、スケールセンサ6(6A、6B)によるスケールマークMの検出について説明するための模式図であり、(A)はスケールマークMを上方から見た平面図、(B)はスケールセンサ6の光学系の構成と光路を示す側面透視図(上下を反転して示す)、(C)はスケールセンサ6の検出面の平面図である。
このスケールマークMは、反射型のマークであり、図示のように、中間転写ベルト10の外周面に移動方向Fに沿って反射部(スケールマークM)と遮光部Sとが交互に形成されている。一方、スケールセンサ6は、LED等の発光素子111、コリメートレンズ112、スリットマスク113((C)参照)、ガラスや透明樹脂フィルム等の透明カバーからなる受光窓114、及びフォトトランジスタ等の受光素子115を有し、それらが筐体110の各部に固定されている。
【0023】
スケールセンサ6の光源である発光素子111が発光すると、その光がコリメートレンズ112を通過して平行光束になり、スリットマスク113のスケールマークMと平行な複数のスリット113aを通り、複数の光ビームLBに分割されて、中間転写ベルト10上のスケール5に照射される。この複数の光ビームLBの一部がスケールマークMにより反射されて、反射光が受光窓114を通って受光素子115によって受光され、受光素子115が反射光の明暗の変化(強弱)を電気信号に変換する。このように、スケールセンサ6は、受光素子115により反射光の強弱を感知してスケールマークMを検出し、中間転写ベルト10の移動に伴うスケールマークMの有無を、連続的に変調されたアナログ交番信号にして出力する。
【0024】
図5は、このスケールセンサ6A、6Bの検出信号を波形整形した波形と波形の位相差の関係を示す図(タイミングチャート)である。
各検出信号は、図示のように、矩形状のパルス信号となり、スケールセンサ6A((A)参照)では、Ca(1)、Ca(2)、Ca(n)の各周期の波形が、スケールセンサ6B((B)参照)では、Cb(1)、Cb(2)、Cb(n)の各周期の波形が、それぞれ出力される。
【0025】
ここで、スケールマークMのピッチ(図3参照)が設計値(初期値)P0のままで、2つのスケールセンサ6A、6Bの間隔Dが正確にN・P0であれば、それらの検出信号の波形の立ち上がりと立ち下がりのタイミングが全て一致して、それらに位相差Cabは生じない(Cab=0)。しかしながら、画像形成装置G内では、中間転写ベルト10の周辺温度や湿度、又は作用するテンション等により、中間転写ベルト10が伸縮して、スケール5内でのスケールマークMの位置がずれて変動する。その結果、スケールマークMにピッチ誤差が発生して、各スケールセンサ6A、6Bのパルス波形の立ち上がりと立ち下がりのタイミングが各々ずれて、それらに位相差Cabが生じる。この検出信号の位相差の波形は、図5(C)に示すように、各スケールセンサ6A、6Bの波形の差に応じて生じる位相差Cab(1)、Cab(2)、Cab(n)により、矩形状のパルス信号になる。
【0026】
本実施形態では、この各検出信号の位相差Cabを順次算出し、算出した位相差Cabに応じて、その変動等を打ち消すように補正しつつ、中間転写ベルト10の駆動を制御する。その際、例えば、任意のパルス位相差は、検出信号の各周期Ca(n)、Cb(n)から(ΣCa(n)−ΣCb(n))により算出されるが、Cab(n)には初期の時間差Cab(1)も含まれるため、(Cab(n)−Cab(1))=(ΣCa(n)−ΣCb(n))がパルス位相差となる。また、ここでは、両スケールセンサ6A、6Bは、180パルス分の間隔で配置されているため、1パルス分の補正値は、パルス位相差を180で除した{−(Cab(n)−Cab(1))/180}で計算できる。従って、補正後の値はCh(n)={Ca(n)−(Cab(n)−Cab(1))/180}により算出される。
【0027】
制御装置71は、このようにして、スケールマークピッチの補正データを算出し、この補正データとスケールマークMの順次算出される位相差や各周期の計測結果等に基づき、モータ駆動回路81をフィードバック制御して中間転写ベルト10の移動速度を制御する。このように、制御装置71は、中間転写ベルト10の画像転写位置等の目標位置データを補正しながら、中間転写ベルト10の移動速度や位置をフィードバック制御する。或いは、制御装置71は、スケールマークMのピッチ誤差のプロファイルを作成してスケールマークピッチ(ピッチ誤差)の補正データを算出するとともに、スケールマークMの検出結果から、中間転写ベルト10の移動速度を検出(算出)する。この移動速度と補正データに基づき、例えば検出した各スケールマークMのピッチ誤差を打ち消すように中間転写ベルト10の移動速度を制御する等して、上記と同様に目標位置データを補正しながら、中間転写ベルト10の移動速度をフィードバック制御する。また、この画像形成装置Gでは、中間転写ベルト10の複数のスケールマークM中に、中間転写ベルト10の一周の基準となる基準マーク(0点マーク)を設け、この基準マークを基準マーク検出手段により検出して中間転写ベルト10が一周したことを判別して、制御装置71による制御に使用する。
【0028】
図6は、中間転写ベルト10のスケールマークMの一部を示す模式図であり、図7は、基準マークを検出する原理を説明するためのグラフである。
基準マークKは、図6に示すように、複数のスケールマークMの中の1つであり、ここでは、スケールマークMの1つを、他よりも高い反射率の素材で形成して基準マークKを構成している。即ち、基準マークKは、他のスケールマークMと光の反射率が異なり、他のスケールマークMに対して、スケールセンサ6A、6Bにより検出されたときに検出信号の出力が大きくなるように、光の反射率を異ならせて設定されたマークからなる。
【0029】
また、ここでは、基準マーク検出手段として、スケールセンサ6A、6Bを併用し、それらにより、スケールマークMと基準マークKをともに検出する。具体的には、スケールセンサ6A、6Bは、図7に示すように、基準マークKを検出したときに、スケールマークMを検出したときよりも高い検出信号(センサ出力)を出力する。そのため、基準マークKと判断するときの閾値を、スケールマークMと判断するときの閾値よりも高く、かつ、スケールマークMのセンサ出力よりも高くして、それらを別の値に設定すれば、スケールマークMを検出しつつ、基準マークKも検出できる。これを利用して、制御装置71に予め2つの閾値を設定し、制御装置71により、スケールセンサ6A、6Bの検出信号の出力と、スケールマークMの所定の閾値に基づき、スケールマークM(基準マークKを含む)を順次検出する。同時に、制御装置71により、スケールセンサ6A、6Bの検出信号の出力が、スケールマークMの検出信号に設定された閾値よりも高い、所定の閾値を超えたときに、基準マークKを検出したと判断させて基準マークKを検出する。
【0030】
次に、以上のように構成される駆動制御装置70により、中間転写ベルト10を駆動制御する手順や動作について説明する。
図8は、図2の駆動制御装置70の構成を模式的に示す機能ブロック図である。
駆動制御装置70は、図示のように、モータ7とモータ駆動回路81とにより中間転写ベルト10を移動(回動)させる駆動手段80を構成し、モータ駆動回路81によりモータ7を作動させて駆動ローラ9を回転させ、中間転写ベルト10を移動させる。また、駆動制御装置70は、互いに接続された位相カウンタ11A、11B、マークカウンタ12、位相差算出手段13、プロファイル作成手段14、補正データ記憶手段37、及び制御手段(制御回路)72等により、制御装置71を構成している。
【0031】
この駆動制御装置70では、中間転写ベルト10が移動方向Fに移動すると、2つのスケールセンサ6A、6Bがスケール5のスケールマークMを検出して各検出信号(図5参照)をSa、Sbとして出力し、検出信号Saが、位相カウンタ11Aにゲート入力として入力される。一方、検出信号Sbは、位相カウンタ11Bにゲート入力として、かつ、マークカウンタ12にカウントパルスとして入力される。なお、マークカウンタ12には、検出信号Saをカウントパルスとして入力してもよい。同時に、位相カウンタ11A、11Bには、ソース入力として、制御装置71の全体を制御するマイクロコンピュータ(図示せず)の動作の基準となる、極めて短い一定の周期で発生するクロックパルスCKが入力される。
【0032】
位相カウンタ11Aは、検出信号Saの立ち上りエッジでカウント値をリセットして0に戻し、再びクロックパルスCKのカウントを開始して、そのカウント値を位相差算出手段13に出力する。位相カウンタ11Bは、検出信号Sbの立ち上りエッジでカウント値をリセットして0に戻し、再びクロックパルスCKのカウントを開始して、そのカウント値を位相差算出手段13に出力する。
【0033】
位相差算出手段13は、これら入力された各カウント値から、各スケールセンサ6A、6Bによる検出信号の周期Ca、Cbを取得し、それらに基づいて、中間転写ベルト10の移動に伴う2つのスケールセンサ6A、6Bの検出信号の位相差Cabを順次算出する。その際、位相差算出手段13は、例えばリセット時からのカウント値が再びリセットされた時の直前のカウント値を記憶し、この時のカウント値から検出信号Sa、Sbの周期Ca、Cbを算出する。また、位相差算出手段13は、位相カウンタ11A、11Bの早くリセットされた位相カウンタのカウント値をウオッチングし、その後、他方の位相カウンタがリセットされた時のカウント値を記憶し、このカウント値から検出信号の位相差Cabを算出する。この位相差Cabをスケールセンサ6Bの検出信号Sbに対するスケールセンサ6Aの検出信号Saの進み遅れとして算出する場合には、スケールマークMのピッチが伸びた場合には、位相カウンタ11Aの方が早くリセットされて進み位相差となり、スケールマークMのピッチが縮んだ場合には、位相カウンタ11Bの方が早くリセットされて遅れ位相差になる。
【0034】
駆動制御装置70は、実際に画像形成を行う前等の所定のタイミング(工場出荷時、据え付け時、電源投入直後や画像形成動作の準備動作時等)で、中間転写ベルト10を移動させ、スケールセンサ6A、6BによりスケールマークMを検出する。この検出毎に、位相差算出手段13により位相差Cabを算出し、その進み又は遅れを判別したときには、その情報とともに、位相差Cabをプロファイル作成手段14と制御手段72へ送る。同時に、マークカウンタ12がスケールセンサ6Bからの検出信号Sbの立ち上りエッジをカウントし、そのカウント値をプロファイル作成手段14へ送る。また、マークカウンタ12は、スケールセンサ6Bが、例えば基準マークKを検出したときに、その検出信号によりリセットされ、中間転写ベルト10の一周分のスケールマークMのカウント値Nを、検出信号Sbの立ち上りエッジで順次カウントアップして出力する。
【0035】
なお、位相カウンタ11A、11Bを、スケールセンサ6A、6Bによる検出信号Sa、Sbの立ち下りエッジでリセットして、位相差算出手段13により検出信号Sa、Sbの立ち下りエッジ間の位相差を算出してもよい。また、位相カウンタ11A、11Bやマークカウンタ12は、位相差算出手段13に含めてもよく、位相比較器を用いて、検出信号Sa、Sbの位相差を直接算出(検出)してもよい。
【0036】
プロファイル作成手段14は、このように予め中間転写ベルト10を一周移動させたときに、位相差算出手段13により順次算出される位相差Cabの算出結果に基づき、中間転写ベルト10一周分のスケールマークMのピッチ誤差のプロファイルを作成する。このプロファイルが、その時点における中間転写ベルト10の一周分のスケールマークMのピッチ誤差の特性を示すデータとなる。
【0037】
ここで、中間転写ベルト10一周の累積移動距離は、スケールセンサ6A又は6Bによる検出信号Sa又はSbのカウント値NにスケールマークMのピッチPを乗じて算出される。そのため、ピッチPが一定で伸び量(変化量)ΔL=0の理想的なときには、カウント値Nに対する累積移動距離は、マークカウンタ12のカウント値Nに比例して直線状に増加して中間転写ベルト10一周分の距離に達すると、カウント値Nがリセットされる。しかし、実際には、ピッチPは多少のバラツキがあり、かつ変化もするため、N・Pに変化量ΔLの積分値を足した値が実際の累積移動距離となる。また、変化量ΔLは、位相差算出手段13により算出された位相差Cabに比例した値となり、それを順次積分してN・Pの値に加算していくと、カウント値Nに対する実際の累積移動距離は、上記した理想的な直線に対して位相差Cabとその進み/遅れに応じて増減する特性になる。
【0038】
プロファイル作成手段14は、このように、マークカウンタ12のカウント値Nに対する実際の累積移動距離を位相差Cab等から算出し、その特性をピッチ誤差のプロファイルとしてメモリに一時的に記憶する。このピッチ誤差は、スケール5を印刷する際にスケールマークMの間隔が徐々にずれることによる影響も含まれ、連続的に僅かずつ変化することが多く、カウント値Nのインクリメントによって累積移動距離が急激に変化することはない。ただし、位相差算出手段13により順次算出される位相差Cabをそのままカウント値Nに対応させて、中間転写ベルト10の一周分順にメモリに一時的に記憶して、スケールマークMのピッチ誤差のプロファイルとしてもよい。
【0039】
補正データ記憶手段37は、プロファイル作成手段14により作成されるピッチ誤差のプロファイルに基づき、中間転写ベルト10の一周分のスケールマークピッチの補正データを算出し、作成した補正データをメモリに記憶する。この補正データは、例えば、予め作成されたプロファイルによるピッチ誤差分に対し、実際に順次算出される位相差Cabや、Cabに比例する累積移動距離の変動を補正するデータとして算出され、カウント値Nに対応して設定される。また、補正データ記憶手段37は、上記した中間転写ベルト10の検出された移動速度から、その移動速度をフィードバック制御するための補正データ等を算出して記憶する。
【0040】
制御装置71は、中間転写ベルト10が一周する間に、スケールセンサ6A、6Bの検出結果から、位相差算出手段13によりスケールマークMの位相差を算出し、プロファイル作成手段14によりスケールマークMのピッチ誤差のプロファイルを作成する。このようにプロファイルの作成中は、スケールマークM毎に算出される位相差を用いて、順次算出される位相差と補正データ記憶手段37から順次読み出される記憶済みの補正データとに基づいて、リアルタイムに目標位置データを補正する。その際、制御装置71は、順次算出される位相差と、補正データ記憶手段37からマークカウンタ12のカウント値に応じて順次読み出される補正データを、制御手段72に入力する。制御手段72は、各入力データに基づき、目標位置データを補正しながらモータ駆動回路81に制御信号(例えばトルク指令)を出力し、駆動手段80による中間転写ベルト10の移動速度をフィードバック制御する。
【0041】
なお、位相差算出手段13により新たに算出される位相差には、スケールマークMの固有のピッチ誤差分に加えて、環境の温湿度変化や中間転写ベルト10のテンションの変化等による伸縮分、中間転写ベルト10の移動速度変化による変動分等が含まれている。そのため、算出された位相差から予め記憶した中間転写ベルト10のスケール5に固有のピッチ誤差分を差し引いて補正するようにしてもよい。
【0042】
制御装置71は、このようにして、中間転写ベルト10の一周目は、ピッチ誤差のプロファイルを作成し、そのプロファイルに基づき、補正データ記憶手段37によりスケールマークピッチの新たな補正データを算出して記憶する。続いて、制御装置71は、スケールセンサ6A、6B中の1つのみを作動させて他方の動作を停止させ、作動中のスケールセンサの検出結果から、制御手段72により、中間転写ベルト10の移動速度を検出(算出)する。従って、制御手段72は、中間転写ベルト10の移動速度検出手段でもあり、この検出した移動速度と、補正データ記憶手段37に記憶された補正データに基づき、駆動手段80による中間転写ベルト10の移動速度を、上記のようにフィードバック制御する。このように、制御手段72は、1つのスケールセンサ6A、6Bを用いて、補正データ記憶手段37から読み出される補正データに基づいて、目標位置データを補正等しながら中間転写ベルト10の二周目以降のフィードバック制御を実行する。
【0043】
また、制御装置71は、所定の条件の成立に基づき、作動させるスケールセンサ6A、6Bを切り換えるとともに、ピッチ誤差のプロファイルを作成し直して新たなプロファイルに更新する。そのため、制御装置71は、以上に加えて、センサ動作手段90と、センサ切換検知手段91と、センサ動作指令出力手段92と、プロファイル更新検知手段93と、プロファイル更新指令出力手段94と、を有する。センサ動作手段90は、基準マーク検出手段を兼ねるスケールセンサ6A、6Bの動作を制御して、それぞれ作動及び停止させるとともに、作動させるスケールセンサ6A、6Bを切り換える。
【0044】
センサ切換検知手段91は、制御手段72によるフィードバック制御中(二周目以降)に、中間転写ベルト10の移動速度を検出するスケールセンサ6A又は6Bを切り換えるべきタイミングを検知する。ここでは、センサ切換検知手段91は、作動中の1つのスケールセンサ6A又は6Bの作動時間を計測し、作動時間が予め設定された所定時間を超えたときに、スケールセンサ6A又は6Bを切り換えると判定して切換タイミングを検知する。このように、センサ切換検知手段91は、スケールセンサ6A又は6Bの作動開始からの動作継続時間が一定時間を超えたときに、切換時期だと判断して、その切換信号をセンサ動作指令出力手段92に出力する。
【0045】
センサ動作指令出力手段92は、基準マーク検出手段(スケールセンサ6A、6B)、センサ切換検知手段91、及びプロファイル更新指令出力手段94から受信した各信号に基づき、センサ動作手段90に、スケールセンサ6A、6Bの動作に関する指令を出力する。これにより、センサ動作手段90は、スケールセンサ6A、6Bを作動や停止させ、スケールマークMを検出させて、上記した位相差の算出や移動速度の検出等を実行させる。従って、センサ動作指令出力手段92とセンサ動作手段90は、センサ切換検知手段91の切換タイミングの検知(切換信号の出力)に伴い、作動させるスケールセンサ6A、6Bを切り換えるセンサ切換手段を構成する。
【0046】
プロファイル更新検知手段93は、制御手段72によるフィードバック制御中(二周目以降)に、スケールマークMのピッチ誤差のプロファイルを更新すべきタイミングを検知する。また、このプロファイル更新検知手段93には、中間転写ベルト10の周囲に設けられた、その周辺温度と周辺湿度を計測する温度計測手段と湿度計測手段(図示せず)が接続されている。プロファイル更新検知手段93は、この温度計測手段の計測結果に基づき、計測した周辺温度が予め設定された所定温度を超えたときに、ピッチ誤差のプロファイルを更新すると判定して更新タイミングを検知する。同様に、プロファイル更新検知手段93は、湿度計測手段の計測結果に基づき、計測した周辺湿度が予め設定された所定湿度を超えたときに、ピッチ誤差のプロファイルを更新すると判定して更新タイミングを検知する。更に、プロファイル更新検知手段93は、直前のプロファイル作成からの経過時間を計測し、経過時間が予め設定された所定時間を超えたときに、ピッチ誤差のプロファイルを更新すると判定して更新タイミングを検知する。このように、プロファイル更新検知手段93は、各条件に基づいてピッチ誤差のプロファイルの更新時期を検出し、その更新信号をプロファイル更新指令出力手段94に出力する。
【0047】
プロファイル更新指令出力手段94は、基準マーク検出手段(スケールセンサ6A、6B)とプロファイル更新検知手段93から受信した各信号に基づき、位相差算出手段13、プロファイル作成手段14、センサ動作指令出力手段92にプロファイルの更新指令を出力する。このように、プロファイル更新指令出力手段94は、プロファイル更新検知手段93の更新タイミングの検知(更新信号の出力)に伴い、更新指令の出力先の各手段を作動させ、プロファイルを更新させるプロファイル更新手段を構成する。これにより、2つのスケールセンサ6A、6Bを作動させて、プロファイル作成手段14によりピッチ誤差のプロファイルを作成して更新させ、更新したプロファイルに基づき、補正データ記憶手段37の補正データを算出して変更する。以降、制御手段72は、変更後の補正データに基づいて、上記したフィードバック制御を実行する。
【0048】
図9、図10は、この駆動制御装置70における中間転写ベルト10の駆動制御の処理や動作手順を示すフローチャートである。
駆動制御装置70は、動作スタートに応じて、図9に示すように、まず、動作に関する初期設定を行い(S101)、プロファイル更新フラグ(以下、プロファイルフラグという)とスケールセンサ切換フラグ(以下、スケールセンサフラグという)をOFFに設定する。続いて、中間転写ベルト10のモータ7をONして、モータ7を回転させて中間転写ベルト10を駆動して移動させ(S102)、2つのスケールセンサ6A、6Bを作動させる(S103)。
【0049】
また、上記のように、制御装置71により、予め中間転写ベルト10の一周分のプロファイルを作成する(S104)。具体的には、複数のスケールマークM中に設けられた中間転写ベルト10の一周の基準マークKを検出して、中間転写ベルト10の一周を判別するとともに、中間転写ベルト10の移動に伴う複数のスケールセンサMの検出信号の位相差を順次算出する。この位相差の算出結果に基づき、中間転写ベルト10の一周分のスケールマークMのピッチ誤差のプロファイルを作成し、ピッチ誤差のプロファイルに基づき、中間転写ベルト10の一周分のスケールマークピッチの補正データを算出して記憶する。
【0050】
次に、プロファイル等の作成後に、先に基準マークKを検出した片側のスケールセンサ(ここでは、スケールセンサ6B)の作動を継続して他のスケールセンサ6Aを停止し、スケールセンサ6BによりスケールマークMを検出する。このように、中間転写ベルト10の二周目以降は、2つのスケールセンサの片側の1つを作動させ、そのスケールマークMの検出結果から中間転写ベルト10の移動速度を検出する(S105)。また、検出した移動速度と記憶した補正データに基づき、上記のように駆動手段80による中間転写ベルト10の移動速度をフィードバック制御する。このフィードバック制御中に、駆動制御装置70は、センサ切換検知手段91とプロファイル更新検知手段93により、移動速度を検出するスケールセンサの切換タイミングと、ピッチ誤差のプロファイルの更新タイミングを検知する。また、各検知(割り込み要因発生)に伴い、割り込みフロー(図10参照)をスタートさせ、プロファイルフラグをONに(S201)、スケールセンサフラグをONに(S202)、それぞれ変更する。
【0051】
駆動制御装置70は、このプロファイルフラグ(図9参照)のON/OFFによりプロファイルを更新するか否かを判定し(S106)、プロファイルフラグがOFFのときには、更新せずに、スケールセンサフラグのON/OFFにより、スケールセンサ6Bを切り換えるか否かを判定する(S107)。スケールセンサフラグがOFFのときには、各フラグがONになるまで、同じスケールセンサ6Bでの速度検出を継続する(S105〜S107)。その間に、更新タイミングが検知されてプロファイルフラグがONになると、現在動作(前動作)しているスケールセンサ6Bが基準マークKを検出するまでは、それによる速度検出を継続させる(S108−NO、S109)。
【0052】
一方、作動中の1つのスケールセンサ6Bにより基準マークKを検出したときには(S108−YES)、プロファイルフラグをOFFに変更(S110)する。それと同時に、プロファイル更新指令出力手段94がプロファイルの更新指令を出力して、センサ動作手段90により制御して全てのスケールセンサ6A、6Bを作動させる。このようにして、更新タイミングの検知に伴い、2つのスケールセンサ6A、6Bを作動させて、再びピッチ誤差のプロファイルを作成(S104)してプロファイルを更新させ、この更新したプロファイルに基づき、補正データ記憶手段37に記憶された補正データを変更する。
【0053】
また、スケールセンサの切換タイミングが検知されてスケールセンサフラグがONになると(S107)、それに伴い、作動させるスケールセンサを切り換える。具体的には、まず、センサ動作指令出力手段92が指令を出力して、全てのスケールセンサ6A、6Bを作動させ、これまで作動していなかったスケールセンサ6A(後動作センサ)でもスケールマークMを検出する(S111)。このスケールセンサ6Aは切換対象(切換予定)のセンサであり、これにより基準マークKを検出するまで、それまでのスケールセンサ6Bによる速度検出を継続する(S112−NO、S113)。一方、切換対象のスケールセンサ6Aにより基準マークKを検出したときには(S112−YES)、次のスケールセンサ6Aによる速度検出を開始し(S114)、切換対象以外の前動作スケールセンサ6Bを停止させ(S115)、その発光素子111を消灯等させる。また、スケールセンサフラグをOFFに変更して(S116)、新たなスケールセンサ6Aの検出結果に基づき、中間転写ベルト10の移動速度をフィードバック制御する。
【0054】
図11は、この駆動制御装置70のスケールセンサ6A、6Bの動作を示すタイミングチャートである。
図示のように、中間転写ベルト10の移動開始に応じて、スケールセンサ6A、6Bが同時に作動(ON)し、各発光素子111が点灯する。また、いずれかのスケールセンサ6A、6B(ここではスケールセンサ6B)が基準マークKを通過して基準マークKを検出(ON)すると同時に、プロファイルの作成を開始(ON)する。続いて、再びスケールセンサ6Bが基準マークKを検出して、中間転写ベルト10が一周し、プロファイルの作成が終了(OFF)すると同時に、この片側のスケールセンサ6Bによる中間転写ベルト10の移動速度の検出を開始し、他方のスケールセンサ6Aを停止(OFF)させる。
【0055】
その後、スケールセンサ6Bからスケールセンサ6Aへの切り換えの割り込みが発生したと同時に、両スケールセンサ6A、6B作動させる。次に、それまで動作していない切換予定のスケールセンサ6Aが基準マークKを検出(ON)したと同時に、切換指令を出力(ON)して、スケールセンサ6Bを停止(OFF)させて、移動速度を検出するスケールセンサを切り換える。また、プロファイル更新の割り込みが発生したときには、現在移動速度を検出しているスケールセンサ6Aが基準マークKを検出(ON)したと同時に、プロファイルの更新手順を実行し、以降、各割り込みに応じて、同様に動作する。
【0056】
以上説明したように、本実施形態では、スケールマークMのピッチ誤差のプロファイルから算出した補正データに基づき、中間転写ベルト10の移動速度をフィードバック制御する。そのため、中間転写ベルト10のテンション、周辺温度や湿度、ベルト強度むら等により、中間転写ベルト10に伸縮や移動速度(又は位置)の変動等が生じても、それらを正確に補正でき、中間転写ベルト10の移動速度や位置を精度よく制御して、形成後の画像の品質を向上できる。また、補正データの算出後は、スケールセンサ6A、6Bの1つのみを作動させ、他の発光素子111等を停止させて、中間転写ベルト10の移動速度を検出するため、LED等の発光素子111を含むスケールセンサ6A、6Bの劣化を抑制しつつ、消費電力を削減できる。同時に、中間転写ベルト10の駆動中に処理するデータが減少して、データ処理量を低減することもできる。
【0057】
従って、本実施形態によれば、複数のスケールマークMが設けられた中間転写ベルト10の駆動を正確に制御しつつ、スケールマークMを検出するスケールセンサ6A、6Bの寿命を長くでき、駆動制御に要する消費電力を削減しながら、駆動制御のデータ処理量を低減することもできる。
【0058】
その際、作動させる1つのスケールセンサ6A、6Bの切換タイミングを検知して順次切り換えるため、一方のみが劣化するのを防止できるとともに、その作動時間に基づき切換を判定するため、スケールセンサ6A、6Bを均等に使用して各寿命を平均化できる。また、ピッチ誤差のプロファイルも所定のタイミングで更新するため、その経時的な変動等に対処して補正データの精度を高く維持でき、かつ、特に影響が大きい中間転写ベルト10の周辺温度や湿度、及び、経過時間の影響にも対処して、プロファイルを正確に維持できる。更に、基準マークKの検出に基づいて、中間転写ベルト10の一周を、その伸縮等によらずに正確に把握できるため、高精度なプロファイルや補正データが得られるとともに、正確かつ適正なタイミングで各動作を実行できる。併せて、スケールセンサ6A、6Bを併用して基準マークKを検出するため、部品数の増加や装置の複雑化を抑制することもできる。
【0059】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態の駆動制御装置70Lは、第1の実施形態の駆動制御装置70に対して、その構成は基本的に同じであるが、中間転写ベルト10の基準マークKと基準マーク検出手段の構成が異なる。以下、既に説明したのと異なる構成や動作、処理等について主に説明し、上記と同じ構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0060】
図12は、中間転写ベルト10のスケールマークMの一部を示す模式図である。
この基準マークKLは、図示のように、複数のスケールマークMの中の1つを、他のスケールマークMに対して、中間転写ベルト10の移動方向と交差する方向(ここでは主走査方向)の長さが長くなるように設定したマークからなる。また、基準マーク検出手段は、スケールセンサ6A、6Bと同様に構成され、それらの近くに別途設けられた検出センサ6Lからなる。この検出センサ6Lは、基準マークKLのみを検出して他のスケールマークMを検出しない位置に配置され、中間転写ベルト10の一周毎に基準マークKLを検出して検出信号を出力する。
【0061】
図13は、駆動制御装置70Lの構成を模式的に示す機能ブロック図である。
この駆動制御装置70Lは、図示のように、上記した駆動制御装置70(図8参照)と同様の制御装置71と、駆動手段80とを備えている。ただし、この駆動制御装置70Lでは、図8に示す位相カウンタ11A、11Bとマークカウンタ12とを、位相差算出手段13Lに含むように構成している。また、第1の実施形態で基準マーク検出手段として機能するスケールセンサ6A、6Bの替わりに、検出センサ6Lが、センサ動作指令出力手段92、制御手段72、位相差算出手段13L、及びプロファイル更新指令出力手段94に基準マークKの検出信号を出力する。加えて、センサ動作手段90が、検出センサ6Lにも接続され、スケールセンサ6A、6Bと同様に、検出センサ6Lの動作を制御する。
【0062】
図14、図15は、この駆動制御装置70Lにおける中間転写ベルト10の駆動制御の処理や動作手順を示すフローチャートである。
駆動制御装置70Lは、動作スタートに応じて、図14に示すように、まず、動作に関する初期設定を行い(S301)、プロファイルフラグとスケールセンサフラグをOFFに設定する。続いて、中間転写ベルト10のモータ7をONして、モータ7を回転させて中間転写ベルト10を駆動して移動させ(S302)、2つのスケールセンサ6A、6Bを作動させる(S303)。また、上記と同様に、制御装置71により、予め中間転写ベルト10の一周分のピッチ誤差のプロファイルを作成し(S304)、中間転写ベルト10の一周分のスケールマークピッチの補正データを算出して記憶する。
【0063】
次に、中間転写ベルト10の移動方向Fの上流側に位置するスケールセンサ6Bの作動を継続して下流側のスケールセンサ6Aを停止し、片側のスケールセンサ6BによりスケールマークMを検出して、中間転写ベルト10の移動速度を検出する(S305)。また、検出した移動速度と記憶した補正データに基づき、上記のように駆動手段80による中間転写ベルト10の移動速度をフィードバック制御する。このフィードバック制御中に、駆動制御装置70Lは、センサ切換検知手段91とプロファイル更新検知手段93により、移動速度を検出するスケールセンサの切換タイミングと、ピッチ誤差のプロファイルの更新タイミングを検知する。また、各検知(割り込み要因発生)に伴い、割り込みフロー(図15参照)をスタートさせ、プロファイルフラグをONに(S401)、スケールセンサフラグをONに(S402)、それぞれ変更する。
【0064】
駆動制御装置70Lは、このプロファイルフラグ(図14参照)のON/OFFによりプロファイルを更新するか否かを判定し(S306)、プロファイルフラグがOFFのときには、更新せずに、スケールセンサフラグのON/OFFにより、スケールセンサ6Bを切り換えるか否かを判定する(S307)。スケールセンサフラグがOFFのときには、各フラグがONになるまで、同じスケールセンサ6Bでの速度検出を継続する(S305〜S307)。その間に、更新タイミングが検知されてプロファイルフラグがONになると、検出センサ6Lが基準マークKを検出するまでは、片側のスケールセンサ6Bによる速度検出を継続させる(S308−NO、S309)。
【0065】
一方、検出センサ6Lにより基準マークKを検出したときには(S308−YES)、プロファイルフラグをOFFに変更(S310)する。それと同時に、プロファイル更新指令出力手段94がプロファイルの更新指令を出力して、センサ動作手段90により制御して全てのスケールセンサ6A、6Bを作動させる。このようにして、更新タイミングの検知に伴い、2つのスケールセンサ6A、6Bを作動させて、再びピッチ誤差のプロファイルを作成(S304)してプロファイルを更新させ、この更新したプロファイルに基づき、補正データ記憶手段37に記憶された補正データを変更する。
【0066】
また、スケールセンサの切換タイミングが検知されてスケールセンサフラグがONになると(S307)、それに伴い、作動させるスケールセンサを切り換える。具体的には、検出センサ6Lが基準マークKを検出するまで、それまでのスケールセンサ6Bによる速度検出を継続する(S311−NO、S312)。一方、検出センサ6Lが基準マークKを検出したときに(S311−YES)、センサ動作手段90により制御して作動中の1つのスケールセンサ6Bを停止させ、切換対象の次のスケールセンサ6Aを作動させる。このようにして、動作させるスケールセンサを反転させ(S313)、スケールセンサフラグをOFFに変更して(S314)、新たなスケールセンサ6Aの検出結果に基づき、中間転写ベルト10の移動速度をフィードバック制御する。
【0067】
図16は、この駆動制御装置70Lのスケールセンサ6A、6Bの動作を示すタイミングチャートである。
図示のように、中間転写ベルト10の移動開始に応じて、スケールセンサ6A、6Bが同時に作動(ON)し、各発光素子111が点灯する。また、検出センサ6Lが基準マークKを検出(ON)すると同時に、プロファイルの作成を開始(ON)する。続いて、再び基準センサ6Lが基準マークKを検出して、中間転写ベルト10が一周し、プロファイルの作成が終了(OFF)すると同時に、上流側のスケールセンサ6Bによる中間転写ベルト10の移動速度の検出を開始し、他方のスケールセンサ6Aを停止(OFF)させる。
【0068】
その後、スケールセンサ6Bからスケールセンサ6Aへの切り換えの割り込みが発生し、検出センサ6Lが基準マークKを検出(ON)したと同時に、切換指令を出力(ON)する。これにより、スケールセンサ6Bを停止(OFF)させて、スケールセンサ6Aを作動させ、移動速度を検出するスケールセンサを切り換える。また、プロファイル更新の割り込みが発生したときには、検出センサ6Lが基準マークKを検出(ON)したと同時に、プロファイルの更新手順を実行し、以降、各割り込みに応じて、同様に動作する。このように、第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様に中間転写ベルト10の駆動を制御できるため、上記した各効果と同様の効果が得られる。
【0069】
なお、以上の各実施形態では、無端移動部材として中間転写ベルト10を例に説明したが、本発明は、画像形成装置に用いられる中間転写ベルト10以外の転写ベルトや感光体ベルト、シートPの搬送ベルト、中間転写ドラム、感光体ドラム等の無端移動部材に適用することもできる。また、本発明は、以上説明した駆動制御装置70、70Lにおける無端移動部材の駆動制御方法の各工程を、コンピュータで実行させるためのプログラムとして実現することもできる。更に、このプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、又はMO等、任意のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することもできる。
【符号の説明】
【0070】
1・・・装置本体、2・・・給紙テーブル、3・・・スキャナ、4・・・自動原稿給送装置、5・・・スケール、6A、6B・・・スケールセンサ、6L・・・検出センサ、7・・・モータ、8・・・減速機、9・・・駆動ローラ、10・・・中間転写ベルト、11A、11B・・・位相カウンタ、12・・・マークカウンタ、13、13L・・・位相差算出手段、14・・・プロファイル作成手段、15、16・・・従動ローラ、17・・・クリーニング装置、18・・・作像ユニット、20・・・転写装置、21・・・露光装置、22・・・2次転写装置、24・・・2次転写ベルト、25・・・定着装置、26・・・定着ベルト、27・・・加圧ローラ、30・・・原稿台、32・・・コンタクトガラス、33・・・第1走行体、34・・・第2走行体、35・・・結像レンズ、36・・・読取りセンサ、37・・・補正データ記憶手段、40Y、40C、40M、40K・・・感光体、42・・・給紙ローラ、43・・・ペーパーバンク、44・・・給紙カセット、45・・・分離ローラ、46・・・給紙路、47・・・搬送ローラ、48・・・給紙路、49・・・レジストローラ、60・・・帯電装置、61・・・現像装置、62・・・1次転写ローラ、63・・・感光体クリーニング装置、64・・・除電装置、65・・・切換爪、66・・・排出ローラ、67・・・排紙トレイ、70、70L・・・駆動制御装置、71・・・制御装置、72・・・制御手段、80・・・駆動手段、81・・・モータ駆動回路、90・・・センサ動作手段、91・・・センサ切換検知手段、92・・・センサ動作指令出力手段、93・・・プロファイル更新検知手段、94・・・プロファイル更新指令出力手段、110・・・筐体、111・・・発光素子、112・・・コリメートレンズ、113・・・スリットマスク、114・・・受光窓、115・・・受光素子、G・・・画像形成装置、K、KL・・・基準マーク、LB・・・光ビーム、M・・・スケールマーク、S・・・遮光部、P・・・シート。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開2006−139217号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動方向の全体にわたって所定間隔で複数のスケールマークが連続して設けられた無端移動部材と、無端移動部材の駆動手段と、無端移動部材の移動方向に沿って複数配置され、スケールマークを検出するスケールマークセンサと、を備えた無端移動部材駆動制御装置であって、
複数のスケールマーク中に設けられた無端移動部材の一周の基準マークと、
基準マークを検出して無端移動部材の一周を判別する基準マーク検出手段と、
無端移動部材の移動に伴う複数のスケールマークセンサの検出信号の位相差を順次算出する位相差算出手段と、
位相差算出手段の算出結果に基づき、無端移動部材一周分のスケールマークのピッチ誤差のプロファイルを作成するプロファイル作成手段と、
ピッチ誤差のプロファイルに基づき、無端移動部材一周分のスケールマークピッチの補正データを算出する補正データ算出手段と、
スケールマークピッチの補正データを記憶する補正データ記憶手段と、
複数のスケールマークセンサの1つを作動させて、そのスケールマークの検出結果から無端移動部材の移動速度を検出する移動速度検出手段と、
移動速度検出手段が検出する移動速度と補正データ記憶手段に記憶された補正データに基づき、駆動手段による無端移動部材の移動速度をフィードバック制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載された無端移動部材駆動制御装置において、
無端移動部材の移動速度を検出するスケールマークセンサの切換タイミングを検知するセンサ切換検知手段と、
センサ切換検知手段の切換タイミングの検知に伴い、作動させるスケールマークセンサを切り換えるセンサ切換手段と、
を備えたことを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載された無端移動部材駆動制御装置において、
センサ切換検知手段が、作動中の1つのスケールマークセンサの作動時間が所定時間を超えたときに、スケールマークセンサを切り換えると判定する手段を有することを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された無端移動部材駆動制御装置において、
ピッチ誤差のプロファイルの更新タイミングを検知するプロファイル更新検知手段と、
プロファイル更新検知手段の更新タイミングの検知に伴い、複数のスケールマークセンサを作動させてプロファイル作成手段によりピッチ誤差のプロファイルを更新させるプロファイル更新手段と、を備え、
更新したプロファイルに基づき、補正データ記憶手段の補正データを変更することを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載された無端移動部材駆動制御装置において、
プロファイル更新検知手段が、無端移動部材の周辺温度を計測する温度計測手段と、計測した周辺温度が所定温度を超えたときに、ピッチ誤差のプロファイルを更新すると判定する手段と、を有することを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項6】
請求項4に記載された無端移動部材駆動制御装置において、
プロファイル更新検知手段が、無端移動部材の周辺湿度を計測する湿度計測手段と、計測した周辺湿度が所定湿度を超えたときに、ピッチ誤差のプロファイルを更新すると判定する手段と、を有することを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項7】
請求項4に記載された無端移動部材駆動制御装置において、
プロファイル更新検知手段が、直前のプロファイル作成からの経過時間が所定時間を超えたときに、ピッチ誤差のプロファイルを更新すると判定する手段を有することを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載された無端移動部材駆動制御装置において、
無端移動部材の基準マークが、他のスケールマークに対して、スケールマークセンサの検出信号の出力が大きくなるように設定されたマークからなり、
基準マーク検出手段が、スケールマークセンサの検出信号の出力が予め設定された閾値を超えたときに、基準マークを検出したと判断する手段を有することを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載された無端移動部材駆動制御装置において、
センサ切換手段は、センサ切換検知手段の切換タイミングの検知に伴い、全てのスケールマークセンサを作動させる手段と、切換対象のスケールマークセンサにより基準マークを検出したときに、切換対象以外のスケールマークセンサを停止させる手段と、を有することを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載された無端移動部材駆動制御装置において、
プロファイル更新手段は、プロファイル更新検知手段が更新タイミングを検知して、作動中の1つのスケールマークセンサにより基準マークを検出したときに、複数のスケールマークセンサを作動させてプロファイルを更新させる手段を有することを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項11】
請求項1ないし7のいずれかに記載された無端移動部材駆動制御装置において、
無端移動部材の基準マークが、他のスケールマークに対して、無端移動部材の移動方向と交差する方向の長さが長く設定されたマークからなり、
基準マーク検出手段が、基準マークのみを検出して他のスケールマークを検出しない検出センサを有することを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項12】
請求項11に記載された無端移動部材駆動制御装置において、
センサ切換手段は、センサ切換検知手段が切換タイミングを検知して、基準マーク検出手段の検出センサが基準マークを検出したときに、作動中の1つのスケールマークセンサを停止させる手段、及び、切換対象のスケールマークセンサを作動させる手段を有することを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載された無端移動部材駆動制御装置において、
プロファイル更新手段は、プロファイル更新検知手段が更新タイミングを検知して、基準マーク検出手段の検出センサが基準マークを検出したときに、複数のスケールマークセンサを作動させてプロファイルを更新させる手段を有することを特徴とする無端移動部材駆動制御装置。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載された無端移動部材駆動制御装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
移動方向の全体にわたって所定間隔で複数のスケールマークが連続して設けられた無端移動部材と、無端移動部材の駆動手段と、無端移動部材の移動方向に沿って複数配置され、スケールマークを検出するスケールマークセンサと、を備えた無端移動部材駆動制御装置における無端移動部材の駆動制御方法であって、
複数のスケールマーク中に設けられた無端移動部材の一周の基準マークを検出して無端移動部材の一周を判別する工程と、
無端移動部材の移動に伴う複数のスケールマークセンサの検出信号の位相差を順次算出する工程と、
位相差の算出結果に基づき、無端移動部材一周分のスケールマークのピッチ誤差のプロファイルを作成する工程と、
ピッチ誤差のプロファイルに基づき、無端移動部材一周分のスケールマークピッチの補正データを算出して記憶する工程と、
複数のスケールマークセンサの1つを作動させて、そのスケールマークの検出結果から無端移動部材の移動速度を検出する工程と、
検出した移動速度と記憶した補正データに基づき、駆動手段による無端移動部材の移動速度をフィードバック制御する工程と、
を有することを特徴とする無端移動部材の駆動制御方法。
【請求項16】
請求項15に記載された無端移動部材の駆動制御方法において、
無端移動部材の移動速度を検出するスケールマークセンサの切換タイミングを検知する工程と、
切換タイミングの検知に伴い、作動させるスケールマークセンサを切り換える工程と、
を有することを特徴とする無端移動部材の駆動制御方法。
【請求項17】
請求項15又は16に記載された無端移動部材の駆動制御方法において、
ピッチ誤差のプロファイルの更新タイミングを検知する工程と、
更新タイミングの検知に伴い、複数のスケールマークセンサを作動させてピッチ誤差のプロファイルを更新する工程と、
更新したプロファイルに基づき、記憶された補正データを変更する工程と、
を有することを特徴とする無端移動部材の駆動制御方法。
【請求項18】
請求項15ないし17のいずれかに記載された無端移動部材の駆動制御方法の各工程をコンピュータで実行させるためのプログラム。
【請求項19】
請求項18に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−217407(P2010−217407A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62957(P2009−62957)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】