説明

焼却装置

【課題】一次焼却室内で焼却物が下部から焼却される際に、未燃焼物が周壁に付着し難くブリッジ状になり難いため、生木,生ゴミ,紙おむつ,鶏等の家畜糞尿,汚泥等の含水率が40%以上の焼却物でも、一次焼却室に直接投入して着火するだけで粒子層側から焼却させ完全燃焼させることができるので、都市ゴミや産業廃棄物,バイオマス燃料等の種々の焼却物を焼却でき汎用性に優れた焼却装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、略鉛直又は上部が下部より幅狭に形成された周壁3を有する一次焼却室2と、一次焼却室2と連通した二次焼却室15と、一次焼却室2の床8に敷設された粒子層9と、粒子層9内に埋設された炉床ガス供給部11と、炉床ガス供給部11に接続された送風機13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ゴミ等の産業廃棄物やバイオマス燃料等を焼却する焼却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、都市ゴミ等の産業廃棄物を焼却する焼却装置として、格子状の耐火物で構成された火格子を有する火格子燃焼装置を利用したものが、構造が簡単なため、広く用いられている。このような火格子燃焼装置は、(非特許文献1)に詳しく説明されている。
また、火格子燃焼装置を応用したものとして、本出願人が出願した(特許文献1)がある。
【非特許文献1】社団法人化学工学協会編、化学工学便覧(改訂三版)第1138頁、昭和43年5月10日発行
【特許文献1】特願2003−416081
【0003】
(特許文献1)に記載された従来の焼却装置を、図面を参照しながら説明する。
図4は従来の焼却装置の要部断面図である。
図中、40は焼却装置、41は焼却装置40の一次焼却室、42は一次焼却室41と連通した燃焼ガス流路、43は燃焼ガス流路42と連通した二次焼却室、44は一次焼却室41の上部に形成された焼却物を投入する投入口、45は下部が上部より幅狭に形成され傾斜面を有する一次焼却室41の周壁、46は投入口44から一次焼却室41に投入された産業廃棄物等の焼却物、47は一次焼却室41,燃焼ガス流路42及び二次焼却室43の床に敷設された川砂や耐火粒子等の無機質粒子からなる粒子層、48は一次焼却室41の床に敷設された粒子層47に埋設され多数の空気噴出孔が形成された空気供給部、49は空気供給部48に接続された送風機、50は二次焼却室43の床に敷設された粒子層47に埋設され多数の空気噴出孔が形成された空気供給部、51は空気供給部50に接続された送風機、52は一次焼却室41の床の上部に形成され火種等を投げ込んだり火炎を吹き付けたりして一次焼却室41に投入された焼却物46に着火する着火口、53は一次焼却室41の周壁45に配設され一次焼却室41に側方から空気を供給する空気供給部、54は二次焼却室43の床の上部に配設されたバーナー、55は二次焼却室43の上部に下向きに配設され二次焼却室43に空気を供給する空気供給部、56は二次焼却室43の側壁に形成され焼却装置40で発生した排ガスや煤塵,廃熱等が排出される排出部である。
【0004】
以上のように構成された焼却装置40において、以下焼却物の焼却方法について説明する。
一次焼却室41の投入口44から都市ゴミや産業廃棄物等の焼却物46を投入し、送風機49,51の運転を開始して空気供給部48,50に空気を供給し、粒子層47を介して一次焼却室41,燃焼ガス流路42及び二次焼却室43へ空気を供給する。さらに、空気供給部55から空気を二次焼却室43内に供給するとともに、バーナー54を燃焼させて二次焼却室43を加熱する。次に、着火口52から火種等を用いて焼却物46に着火して焼却物46の焼却を開始する。焼却物46は下部から焼却されて、焼却灰や未燃焼物等が粒子層47の上に堆積していく。また、空気供給部53から供給された空気によって、焼却灰の一部や排ガス,煤塵等が二次焼却室43に運ばれ、バーナー54によって焼却灰や煤塵が燃焼され、排ガスが排出部56から排出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、一次焼却室41の周壁45が、下部が上部より幅狭に形成されて傾斜面を有しているので、一次焼却室41内で焼却物46が下部から焼却される際に、未燃焼物が周壁45に付着し易くブリッジ状になり易いため、投入された焼却物46を完全に燃焼できないことがあるという課題を有していた。特に、生ゴミ,紙おむつ,鶏等の家畜糞尿,汚泥等の、含水率が40〜80%程度もある高含水の焼却物は、ブリッジを形成し易いため焼却され難く未燃焼物が多量に発生することがわかった。
(2)火格子燃焼装置では、含水率の高い廃棄物やバイオマス燃料は、装置に投入する以前に含水率が30%以下(発熱量1500kcal/kg以上)になるように予め乾燥する必要があり、処理工程が煩雑になるという課題を有していた。
(3)二次焼却室43に運ばれた焼却灰や煤塵は、バーナー54で高温にするだけでは完全に燃焼することは困難で、塵埃等が排出部56から大気中に排出されることがあるという課題を有していた。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、一次焼却室内で焼却物が下部から焼却される際に、未燃焼物が周壁に付着し難くブリッジ状になり難いため、生木,生ゴミ,紙おむつ,鶏等の家畜糞尿,汚泥等の含水率が40%以上の焼却物でも、一次焼却室に直接投入して着火するだけで粒子層側から焼却させ完全燃焼させることができるので、都市ゴミや産業廃棄物,バイオマス燃料等の種々の焼却物を焼却でき汎用性に優れた焼却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題を解決するために本発明の焼却装置は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の焼却装置は、略鉛直又は上部が下部より幅狭に形成された周壁を有する一次焼却室と、前記一次焼却室と連通した二次焼却室と、前記一次焼却室の床に敷設された粒子層と、前記粒子層内に埋設された炉床ガス供給部と、前記炉床ガス供給部に接続された送風機と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)一次焼却室の周壁が略鉛直又は上部が下部より幅狭に形成されているので、一次焼却室内で焼却物が下部から焼却される際に、未燃焼物が周壁に付着し難くブリッジ状になり難いため、生木,生ゴミ,紙おむつ,鶏等の家畜糞尿,汚泥等の含水率が40%以上の焼却物でも、一次焼却室に直接投入して完全に燃焼できる。
(2)一次焼却室の床に粒子層が敷設されているとともに、粒子層に炉床ガス供給部が埋設されているので、都市ゴミや産業廃棄物,バイオマス燃料等の焼却物を投入して着火するだけで、炉床ガス供給部から燃焼用空気等が供給されて粒子層側から焼却され完全燃焼させることができる。
(3)炉床ガス供給部からの空気量や酸素濃度等で焼却物の焼却速度を調節することができ、自在性に優れる。
(4)一次焼却室の床に敷設された粒子層の全面から燃焼用空気等が供給されるので、火格子の欠点である吹き抜け現象もなく均一に燃焼が進むため、未燃焼残分のほとんどない焼却灰が得られる。
【0008】
ここで、粒子層を構成する粒子としては、平均粒径が3〜50mm好ましくは5〜20mmに整粒された砂利等の砕石類、軽石等の岩石類、焼却灰等の熔融スラグ,高炉スラグ等のスラグ,耐火煉瓦屑,耐火物粒子,コークス等の無機質粒子の1種若しくは複数種が用いられる。
粒子の平均粒径が5mmより小さくなるにつれ粒子層を通気する際の圧力損失が大きく通気性が低下し、また通気の分散効果が小さく粒子層上での燃焼効率が低下する傾向がみられ、20mmより大きくなるにつれ断熱性が低下し熱損失が増加するとともに、粒子間の隙間に焼却灰等が入り込み易く通気性が経時的に低下する傾向がみられる。特に、3mmより小さくなるか50mmより大きくなると、これらの傾向が著しいため好ましくない。
【0009】
炉床ガス供給部からのガスの平均流速としては、0.02〜1m/秒好ましくは0.1〜1m/sが好適に用いられる。平均流速が0.1m/秒より遅くなるにつれ粒子層の粒子が昇温され熔着され易くなるとともに、粒子層内に焼却灰等が入り込み易く通気性が経時的に低下する傾向がみられ、0.02m/秒より遅くなると、この傾向が著しくなるため好ましくない。1m/秒より速くなるにつれ、粒子層の粒子の流動や飛散が著しくなるため好ましくない。
なお、炉床ガス供給部は、空気の他、酸素ガスや酸素濃度の高いガスも供給できるようにしておくのが好ましい。粒子層上での燃焼状態を自在に制御するためである。
【0010】
一次焼却室には、生木、木屑、生ごみ、紙おむつ、樹木等の剪定ごみ、間伐材、おが屑、農作物の収穫屑、茸菌床、生鶏糞等の家畜糞尿、家畜床、活性汚泥法による余剰汚泥,パルプ廃液汚泥,排水処理汚泥等の汚泥等の含水率が40〜80%程度の高含水の焼却物も投入することができる。また、重油,ピート,亜炭,泥炭等の化石燃料も焼却物として用いることができる。また、廃棄飲料,有機排水等の液状の廃棄物も、焼却物に滴下することにより、焼却物とともに焼却することができる。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の焼却装置であって、前記一次焼却室と前記二次焼却室とを連通し、前記二次焼却室に向かう上り勾配を有する傾斜面が一部若しくは全部に形成された燃焼ガス流路を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)燃焼ガス流路に上り勾配の傾斜面が形成されているので、一次焼却室に生成された焼却灰の二次焼却室への飛散を防止でき、焼却灰の回収効率に優れる。
(2)一次焼却室に投入された焼却物(燃料)が燃焼中に崩れるのを防止できるので、焼却物を粒子層側から完全に燃焼させることができる。
(3)燃焼用空気等が燃焼ガス流路の傾斜面に沿って斜め上向きに流動するため、一次焼却室に投入された焼却物の着火を容易に行うことができる。
【0012】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の焼却装置であって、先端を前記一次焼却室の床の上部に向けて前記一次焼却室に形成された着火加熱装置配設部及び/又は前記燃焼ガス流路に配設された着火加熱装置を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)一次焼却室の床の上部に向けて配設された着火加熱装置を備えているので、一次焼却室に投入された焼却物を粒子層側から着火し焼却することができる。
(2)粒子層の表面に焼却灰等の焼却残渣を置き、着火加熱装置によって焼却残渣の熔融温度以上に加熱することで、焼却残渣を上面側から熔融させて熔融スラグを生成することができる。
(3)熔融スラグの周囲の粒子層は、炉床ガス供給部からの空気量等を調整することで熔融の進行を抑制することができるので、粒子層の容器の中で熔融スラグを生成しているような状態にすることができ、熔融スラグの生成後は炉床ガス供給部からの空気で冷却しスラグを生成し排出することができる。このため、熔融スラグの流出樋等の排出手段や水冷パイプ等の冷却手段を別途設ける必要がなく装置構成を簡単にすることができる。
(4)生成されたスラグは、粉砕・整粒して粒子層を構成する粒子としてリサイクルすることもでき省資源性に優れる。
【0013】
ここで、着火加熱装置としては、液体燃料や気体燃料を燃焼させて加熱するバーナー、電気エネルギーを利用するプラズマトーチ,アーク電極トーチ,抵抗加熱装置,誘導加熱装置等が用いられる。
【0014】
着火加熱装置配設部としては、着火加熱装置の炎や火花等が粒子層に堆積された焼却物に到達するような箇所で、一次焼却室の床の近くの周壁に形成した傾斜面,凹み等に形成することができる。
【0015】
着火加熱装置は、一次焼却室に形成された着火加熱装置配設部、燃焼ガス流路に形成された傾斜面等に配設することができる。床面積が広い大型の焼却装置の場合等には、着火加熱装置配設部及び燃焼ガス流路に着火加熱装置を配設することで、焼却物への着火や焼却灰を熔融させる時間を短縮できる。
なお、一次焼却室の着火加熱装置配設部に着火加熱装置を配設した場合は、着火加熱装置に点火する以前に二次焼却室を加熱して、一次焼却室から二次焼却室に向かうガス流を形成しておくのが望ましい。着火された焼却物が発生する燃焼ガスが一次焼却室に滞留するのを防止するためである。
【0016】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の焼却装置であって、噴射口が周壁側に傾斜して前記二次焼却室の周壁に配設され旋回流を形成する二次空気供給部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)噴射口が周壁側に傾斜して二次焼却室の周壁に配設され旋回流を形成する二次空気供給部を備えているので、二次焼却室内に形成された旋回流に乗って煤塵等の滞留時間が長くなるため煤が完全に燃焼され易く、またサイクロン効果によって粒径の大きな塵を集めることができ、系外への煤塵と有害排出物(ダイオキシン等)の排出を防止できる。
【0017】
ここで、旋回流の流速としては、15〜50m/秒が好適に用いられる。粒径の大きな塵(約5μm以上)を捕集することができるとともに、煤の滞留時間を長くして二次焼却室内で完全に燃焼できるからである。流速が15m/秒より遅くなるにつれ旋回流に乗って旋回する煤塵等に働く遠心力が小さくサイクロン効果が低下するとともに、二次焼却室内での煤塵等の滞留時間が短くなり、二次焼却室内での煤の完全燃焼が困難になる傾向がみられる。50m/秒より速くなるにつれ二次空気供給部に接続された送風機の動力が大きくなり装置が大型化するため好ましくない。
【0018】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1に記載の焼却装置であって、前記二次焼却室に配設された熱交換器と、前記一次焼却室に配設された温風供給部と、前記温風供給部と前記熱交換器とを連通した温風管と、前記温風管の上流側に接続された送風機と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)二次焼却室の廃熱の熱交換により生成された温風を一次焼却室に供給して、一次焼却室内に投入された焼却物を装置内で乾燥させることができ、生木,生ゴミ,紙おむつ,鶏等の家畜糞尿,汚泥等の含水率が40%以上の焼却物でも、一次焼却室にそのまま投入するだけで容易に完全に焼却することができるとともに、廃熱の有効利用ができエネルギー効率を高めることができる。
【0019】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の内いずれか1に記載の焼却装置であって、前記二次焼却室と前記一次焼却室とを連通し前記一次焼却室内に燃焼ガスを供給する燃焼ガス循環路と、前記燃焼ガス循環路の上流側に配設されたガス循環装置と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至5の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)二次焼却室内の燃焼ガスを一次焼却室に供給して、一次焼却室内に投入された焼却物を装置内で乾燥させることができ、生木,生ゴミ,紙おむつ,鶏等の家畜糞尿,汚泥等の含水率が40%以上の焼却物でも、一次焼却室にそのまま投入するだけで容易に完全に焼却することができる。
(2)ガス循環装置が二次焼却室内の燃焼ガスを一次焼却室に循環し、燃焼ガスを一次焼却室で燃焼することで、燃焼ガス中のNOx等を低減させることができる。
【0020】
ここで、ガス循環装置としては、二次焼却室内の高温ガスを燃焼ガス循環路を通じて一次焼却室内に供給できるものであればよく、例えば、エジェクタ、インコネル等の耐熱金属製,窒化珪素等のセラミック製の耐熱ファン等が用いられる。なかでも、エジェクタが好適に用いられる。簡単な構成で二次焼却室内の燃焼ガスを吸引し燃焼ガス循環路に流入させることができ、耐久性に優れるからである。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明の焼却装置によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)一次焼却室内で焼却物が下部から焼却される際に、未燃焼物が周壁に付着し難くブリッジ状になり難いため、生木,生ゴミ,紙おむつ,鶏等の家畜糞尿,汚泥等の含水率が40%以上の焼却物でも、一次焼却室に直接投入して着火するだけで粒子層側から焼却させ完全燃焼させることができるので、都市ゴミや産業廃棄物,バイオマス燃料等の種々の焼却物を焼却でき汎用性に優れた焼却装置を提供することができる。
(2)火格子の欠点である吹き抜け現象もなく均一に燃焼が進むため、焼却物がほぼ完全に燃焼され、未燃焼残分のほとんどない焼却灰が得られる焼却装置を提供することができる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)一次焼却室に生成された焼却灰の二次焼却室への飛散を防止して、ほとんどの焼却灰を一次焼却室の床部に堆積させることができ、焼却灰の回収効率に優れた焼却装置を提供することができる。
(2)一次焼却室に投入された焼却物(燃料)が燃焼中に崩れるのを防止できるので、焼却物を粒子層側から完全に燃焼させることができる焼却装置を提供することができる。
(3)一次焼却室に投入された焼却物の着火を容易に行うことができ始動性に優れた焼却装置を提供することができる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)一次焼却室に投入された焼却物を粒子層側から着火し焼却することができ操作性に優れた焼却装置を提供することができる。
(2)粒子層の表面に焼却灰等の焼却残渣を置き、着火加熱装置によって焼却残渣の熔融温度以上に加熱することで、焼却残渣を上面側から熔融させて熔融スラグを生成することができ、焼却残渣の熔融処理も可能な焼却装置を提供することができる。
(3)一次焼却室内で熔融スラグの生成・冷却・スラグの生成ができるので、熔融スラグの流出樋等の排出手段や水冷パイプ等の冷却手段を別途設ける必要がなく簡単な構成で熔融処理が可能は焼却装置を提供することができる。
(4)生成されたスラグは、粉砕・整粒して粒子層を構成する粒子としてリサイクルすることもでき省資源性に優れた焼却装置を提供することができる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1の効果に加え、
(1)二次焼却室内に形成された旋回流に乗って煤塵等の滞留時間が長くなるため、煤が完全に燃焼され、またサイクロン効果によって粒径の大きな塵等を捕集することができ、煤塵と有害排出物(ダイオキシン等)の排出を防止できる環境保全性に優れた焼却装置を提供することができる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1の効果に加え、
(1)一次焼却室内に投入された焼却物を装置内で乾燥させることができ、生木,生ゴミ,紙おむつ,鶏等の家畜糞尿,汚泥等の含水率が40%以上の焼却物でも容易に完全に焼却することができるとともに廃熱を有効に活用しエネルギー効率に優れた焼却装置を提供することができる。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5の内いずれか1の効果に加え、
(1)一次焼却室内に投入された焼却物を乾燥させることができ、生木,生ゴミ,紙おむつ,鶏等の家畜糞尿,汚泥等の含水率が40%以上の焼却物でも容易に完全に焼却することができる焼却装置を提供することができる。
(2)二次焼却室内の燃焼ガスを一次焼却室に循環して一次焼却室で燃焼することで、燃焼ガス中のNOx等を低減させることができる焼却装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における焼却装置の要部断面図であり、図2は図1のA−A線における要部断面図であり、図3は焼却残渣の熔融処理時の状態を示す要部断面図である。
図1において、1は実施の形態1における焼却装置、2は縦長の略直方体に形成された一次焼却室、3は略鉛直に形成された一次焼却室1の周壁、4は空洞状に形成された周壁3の炉壁部、5は水が充填された炉壁部4の空洞部、6は一次焼却室2の周壁3の上部に形成された焼却物を投入する投入口、6aは一次焼却室2の上部に配設され有機排水等の液状の焼却物を一次焼却室2内に注入する注入口、7は一次焼却室2の周壁3の下部に形成され焼却されて生成された焼却灰や熔融されて生成されたスラグ等を排出する排出口、8は一次焼却室2の床、9は一次焼却室2の床8に敷設された軽石や耐火煉瓦屑,耐火粒子等の無機質粒子からなる粒子層、10は粒子層9に配設された火格子等の仕切板、11は一次焼却室2の床8に敷設された粒子層9に配設された仕切板10の下部に埋設された炉床ガス供給部、12は炉床ガス供給部11に多数形成されたガス噴出孔、13は炉床ガス供給部11に接続された送風機、14は一次焼却室2の下部と連通し一次焼却室2の下部が下位となる段差状に形成された燃焼ガス流路、14aは燃焼ガス流路14の一部が二次焼却室15に向かう幅広の上り勾配に形成された傾斜面、14bは先端の炎口が一次焼却室2の床8の上部に向けて燃焼ガス流路14の傾斜面14aに配設されたバーナーからなる着火加熱装置、14cは燃焼ガス流路14に配設され燃焼ガスの温度を計測する温度計、15は燃焼ガス流路14と下部が連通した二次焼却室、16は二次焼却室15の周壁、17は空洞状に形成され周壁16の周囲に配設された炉壁部、18は内部に水が充填された炉壁部17の空洞部、19は二次焼却室15内の下部に配設された補助バーナー、20は噴射口21が周壁16側に傾斜して二次焼却室15の周壁16に配設され二次焼却室15内に旋回流を形成する二次空気供給部、22は二次空気供給部20の上流側に接続された送風機、23は二次焼却室15の天井の略中心に形成され焼却装置1で発生した排ガスや廃熱が排出される排出部、23aは二次焼却室15の排出部23の上部に配設され排出部23と連通したスペーサ部、24はスペーサ部23aの上部に配設された熱交換器、24aはスペーサ部23aと連通した熱交換室、24bは熱交換室24aの側部に形成された排ガスが排出される排気口、25は熱交換室24aの内部に配設された伝熱管、26は伝熱管25の上流側に接続された送風機、27は一端が伝熱管25に接続された温風管、28は他端が温風管27に接続され一次焼却室2の高さ方向の略中間の周壁3に配設された温風供給部である。なお、空洞部5,18内の水は図示しない通水口から空洞部5,18内に通水され、一次焼却室2,二次焼却室15によって加熱された後、図示しない排水口から排水されて温水として利用することができる。
図2において、29は燃焼ガス流路14の側方に配設され二次焼却室15と一次焼却室2とを連通した燃焼ガス循環路、30は燃焼ガス循環路29の上流側に配設されたエジェクタからなるガス循環装置、31は上流側が燃焼ガス循環路29に接続し燃焼ガス流路14の反対側から一次焼却室2内に燃焼ガスを供給する耐熱管等で形成された燃焼ガス供給部、31aは燃焼ガス供給部31に形成され燃焼ガスを流出させるガス流出口である。
図3において、32は焼却灰等の焼却残渣が熔融され下部が粒子層9に埋設された擂鉢状の熔融スラグである。
【0028】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における焼却装置1において、以下焼却物の焼却方法について説明する。
初めに、含水率が40〜80%の生木、木屑、生ごみ、紙おむつ、樹木等の剪定ごみ、間伐材、おが屑、農作物の収穫屑、茸菌床、生鶏糞等の家畜糞尿、家畜床、活性汚泥法による余剰汚泥,パルプ廃液汚泥,排水処理汚泥等の汚泥等を含む焼却物を、一次焼却室2内がほぼ満杯になるまで投入口6から一次焼却室2内に投入する。このときの焼却物の加重平均含水率を約60%にしておく。なお、固定炭素成分が少ない等、焼却物の種類によっては、予め粒子層9に木片,薪,ウッドチップ,コークス粒,石炭粒等を敷いておく。
投入口6を閉鎖した後、補助バーナー19を点火し二次焼却室15を約800℃以上に昇温する。二次焼却室15の昇温後、着火加熱装置14bを点火し、焼却物の粒子層9側に着火しながら、炉床ガス供給部11から粒子層9に通気し、焼却物のガス化燃焼を開始する。次いで、二次空気供給部20から空気を二次焼却室15内に供給し、二次焼却室15内に旋回流を形成する。これにより、サイクロン効果を得ることができる。
さらに、送風機26を稼動して温風供給部28から温風を一次焼却室2内に供給し焼却物を乾燥する。また、ガス燃焼装置30を稼動して燃焼ガス供給部31から一次焼却室2内に燃焼ガスを供給する。
これにより、焼却物は粒子層9側から上部に向かってガス化燃焼し続け、燃焼ガスは燃焼ガス流路14から二次焼却室15内に流入され、高温の二次焼却室15内で燃焼ガスに含まれる煤塵等が燃焼され、排出部23から排ガスが排出される。
なお、焼却物のガス化燃焼が継続し、燃焼ガス流路14において温度計14cで計測される燃焼ガス温度が800〜1000℃を維持できるようになれば、着火加熱装置14b、補助バーナー19は消火することができる。一次焼却室2内に空気を供給するだけで、焼却物のガス化燃焼が進行するからである。
空気燃焼ガス流路14における燃焼ガス温度が約800℃より低下すると、再び着火加熱装置14b、補助バーナー19を点火し焼却物の燃焼を促すが、一定時間、着火加熱装置14b、補助バーナー19を点火しても燃焼ガス流路14の燃焼ガスの温度が約800℃に昇温しないときは、一次焼却室2内の焼却物が焼却し尽くされたことを示しているため、着火加熱装置14b、補助バーナー19を消火し、次いで各送風機を停止する。なお、送風機13は粒子層9の冷却のため、室温近くに冷却されるまで運転する。
粒子層9に堆積した焼却灰等の焼却残渣は、排出口7から一次焼却室2の外に取り出して、一次焼却室2内を空の状態にした後、同様に焼却物を燃焼させることができる。また、焼却残渣を熔融処理することもできる。
【0029】
焼却残渣の熔融処理時には、図3に示すように、粒子層9に擂鉢状の凹みを形成し、この凹みの中に焼却残渣を充填した後、着火加熱装置14bに点火して、焼却残渣を熔融温度以上に加熱して熔融し熔融スラグ32を生成することができる。焼却残渣に、川砂,山砂等の砕石類、蛇紋岩,玄武岩等の岩石類、ガラス屑,カレット,高炉スラグ,石灰石,アルカリ金属やアルカリ土類金属を含有したアルカリ材等の、低融点で焼却残渣と共融する熔融助剤を混合することができる。また、熔融を容易にするため、焼却残渣の上に木片,薪,ウッドチップ,コークス粒,石炭粒等の固形燃料を敷いておくこともできる。
【0030】
以上のように、本発明の実施の形態1における焼却装置は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)一次焼却室2の周壁3が略鉛直に形成されているので、一次焼却室2内で焼却物が乾燥や焼却される際、未燃焼物が周壁3に付着し難くブリッジ状になり難いため、生木,生ゴミ,紙おむつ,鶏等の家畜糞尿,汚泥等の含水率が40%以上の焼却物でも、一次焼却室に直接投入して完全に燃焼できる。
(2)一次焼却室2の床8に粒子層9が敷設されているとともに、粒子層9に炉床ガス供給部11が埋設されているので、都市ゴミや産業廃棄物,バイオマス燃料等の焼却物を投入して着火するだけで、炉床ガス供給部11から燃焼用空気等の燃焼用ガスが供給されて粒子層9側から酸化雰囲気で焼却することができ焼却物の燃焼処理性能に優れる。
(3)炉床ガス供給部11からの空気量や酸素量で焼却物の焼却速度を自在に調節することができ、自在性に優れる。
(4)一次焼却室2の床8の上部に向けて配設された着火加熱装置14bを備えているので、一次焼却室2に投入された焼却物を粒子層9側から着火し焼却することができる。
(5)粒子層9の表面に焼却灰等の焼却残渣を置き、着火加熱装置14bによって焼却残渣の熔融温度以上に加熱することで、焼却残渣を上面側から熔融させて熔融スラグを生成することができる。
(6)熔融スラグの周囲の粒子層9は、炉床ガス供給部11からの空気量等を調整することで熔融の進行を抑制することができるので、粒子層9の凹所内で熔融スラグ32を生成しているような状態にすることができ、熔融スラグ32の生成後は炉床ガス供給部11からの空気で冷却しスラグを生成し排出することができる。このため、熔融スラグ32の流出樋等の排出手段や水冷パイプ等の冷却手段を別途設ける必要がなく装置構成を簡単にすることができる。
(7)生成されたスラグは、粉砕・整粒して粒子層を構成する粒子としてリサイクルすることもでき省資源性に優れる。
(8)噴射口21が周壁16側に傾斜して二次焼却室15の周壁16に配設され旋回流を形成する二次空気供給部20を備えているので、二次焼却室15内に形成された旋回流に乗って煤塵等の滞留時間が長くなるので、煤を二次焼却室15内で完全燃焼することができるとともに有害排出物(ダイオキシン等)の排出を防止できる。
(9)排出部23が二次焼却室15の天井の略中心に形成されているので、塵等のうち粒径の大きなもの(約5μm以上)は遠心力が大きく、サイクロン効果によって旋回流の外側を周回し排出部23からは排出されずに二次焼却室15の床に集まるため、排出部23からは塵をほとんど含まない排ガスだけを排出することができる。
(10)二次焼却室15の廃熱の熱交換により生成された温風を一次焼却室2に供給して、一次焼却室2内に投入された焼却物を一次焼却室2内で乾燥させることができ、生木,生ゴミ,紙おむつ,鶏等の家畜糞尿,汚泥等の含水率が40%以上の焼却物でも、一次焼却室2にそのまま投入するだけで容易に完全に焼却することができる。
(11)二次焼却室15内の燃焼ガスを一次焼却室2に供給して、一次焼却室2内に投入された焼却物を装置内で乾燥させることができ、生木,生ゴミ,紙おむつ,鶏等の家畜糞尿,汚泥等の含水率が40%以上の焼却物でも、一次焼却室2にそのまま投入するだけで容易に完全に焼却することができる。
(12)ガス循環装置30が、二次焼却室15内の燃焼ガスを燃焼ガス流路14の反対側から一次焼却室2に循環するので、燃焼ガスを一次焼却室2で燃焼することで燃焼ガス中のNOx等を低減させることができる。
(13)一次焼却室2や二次焼却室15の周壁3,16の空洞部5,18に水が充填されているので、一次焼却室2に投入される都市ゴミや産業廃棄物等の焼却物中にプラスチック廃棄物や石油製品等を含んでいる場合にも、プラスチック製品等の熔融液化・ガス発生の暴走を防ぎ、一次焼却室2内のガスの発生を均一化することができるとともに、周壁3,16に耐火物や断熱材の内張りを最小限にすることができ施工性に優れる。また、空洞部5,18内の加熱された水を空洞部5,18から排出することにより、温水として有効に利用できる。
(14)粒子層9に仕切板10が配設されているので、一次焼却室2から焼却残渣を排出するときやメンテナンス時等に、粒子層9の粒子が外部に掻き出されるのを防止できる。
(15)一次焼却室2の下部と連通し一次焼却室2の下部が下位となる段差状に形成された燃焼ガス流路14を備えているので、一次焼却室2に生成された焼却灰の二次焼却室15への飛散を防止でき、焼却灰の回収効率に優れる。
(16)また、一次焼却室2に投入された焼却物(燃料)が燃焼中に崩れるのを防止できるので、焼却物を粒子層9側から完全に燃焼させることができる。
(17)燃焼ガス流路14に二次焼却室15に向かう上り勾配に形成された傾斜面14aを備えているので、燃焼用空気等が傾斜面14aに沿って斜め上向きに流動するため、一次焼却室2に投入された焼却物の着火を容易に行うことができる。また、焼却灰の飛散や焼却物の崩れも防止できる。
【0031】
ここで、本実施の形態においては、周壁3が略鉛直に形成された場合について説明したが、上部が下部より幅狭に形成されすることもできる。この場合は、一次焼却室の内容積がやや小さくなるが、同様の作用が得られる。
また、バーナーからなる着火加熱装置14bを備えた場合について説明したが、プラズマトーチ,アーク電極トーチ,抵抗加熱装置,誘導加熱装置等で形成する場合もある。この場合も、同様の作用が得られる。なお、粒子層9の上面乃至は上面側にコークス粒等の固形燃料を配設し、炉床ガス供給部11からの空気量や酸素濃度を調節することにより、粒子層9の上面を着火加熱装置として用いることができる。この場合も、粒子層9の表面の焼却物を燃焼したり、粒子層9の表面の焼却残渣を熔融したりすることができる。
また、バーナーからなる着火加熱装置14b、補助バーナー19を備えた場合について説明したが、着火加熱装置14bがない場合は、着火時に排出口7を開けて、焼却装置1の外側からバーナー等を使って焼却物に着火し、着火後に排出口7を閉じ、焼却物を燃焼させることができる。
また、送風機13,22,26を各々備えた場合について説明したが、送風機を1台だけにして、送風機と炉床ガス供給部11,二次空気供給部20,伝熱管25とを開閉弁が配設された配管で接続することもできる。これにより、送風機の台数を減らし焼却装置1を小型化することができる。
また、排気口24bが熱交換室24aの側部に形成された場合について説明したが、熱交換室24aの上部に形成することもできる。さらに、排気口24bにドラフト装置や温水ボイラ等を接続することもできる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施の形態1で説明した焼却装置を用い、病棟(ベット数250床)からの排出物を焼却物として焼却した。排出物は、紙おむつ(含水率89%)525kg、雑芥390kg、厨房の生ゴミ60kg(小計975kg、平均含水率65%)。これらは全て、40Lのポリエチレン製の袋に小分けして充填されていた。助燃材として、粒子層の上に木屑50g、コークス粒30kgを敷き、この上に排出物を袋に入ったまま積み上げ、排出物及び助燃材を焼却物(合計1055kg、平均含水率60%)として焼却した。
助燃材に着火して燃焼させ、燃焼ガス温度860℃、燃焼時間8.5時間、冷却時間2.0時間で燃焼を完了し、31kgの焼却灰(焼却残渣)が残った。
燃焼中の排ガスを分析したところ、ダイオキシン類濃度0.2ng/mN、煤塵50mg/mN、窒素酸化物濃度30ppm(vol)であり、有害物質の排出量が少ないことが確認された。
また、焼却灰(焼却残渣)の900℃における強熱減量は0.5%であり、含水率の高い焼却物がほぼ完全に燃焼されていることが明らかになった。
【0033】
(実施例2)
実施の形態1で説明した焼却装置を用い、生鶏糞を焼却物として焼却した。生鶏糞220kg(含水率51.5%、灰分39.5%)に、ウッドチップ80kg(含水率20%)、助燃材として木屑50kgを混合したものを粒子層の上に積み上げ、燃焼させた。
燃焼中の燃焼ガス温度830℃、燃焼時間3.5時間、冷却時間2.0時間で燃焼を完了し、89kgの焼却灰(焼却残渣)が残った。焼却灰を分析したところ、約8%のカリウム分と約8%のリン分を含有しており、肥料として用いることが可能であることがわかった。
【0034】
(実施例3)
実施の形態1で説明した焼却装置を用い、有機汚泥脱水ケーキを焼却物として焼却した。有機汚泥脱水ケーキ200kg(含水率82.6%)にウッドチップ80kg(含水率20%)を混合したものを焼却物(平均含水率58%)として、粒子層の上に敷いた助燃材木屑50kgの上に積み上げて燃焼させた。
燃焼中の燃焼ガス温度830℃、燃焼時間3.5時間、冷却時間2.0時間で燃焼を完了し、ほぼ熔融した状態の12kgの焼却残渣が残った。
【0035】
(実施例4)
実施例2で得られた鶏糞の焼却灰50kgにコークス粒10kgを混合し、図4に示すように、粒子層に擂鉢状の凹みを形成し、ここに焼却灰とコークス粒の混合物を充填した。なお、粒子層としては、粒径が3〜50mmの重質の軽石粒を用いた。
バーナーを点火するとともに、炉床ガス供給部から酸素2mを1時間通気した後、空気のみ6時間通気して焼却灰の燃焼・熔融を行った。
粒子層の冷却を待って熔融物を取り出した。約1/5に容積が収縮しクラックの入った熔融物(スラグ)が得られた。
【0036】
以上のことから、本実施例によれば、都市ゴミや産業廃棄物,バイオマス燃料等の種々の焼却物を焼却でき汎用性に優れ、焼却灰(燃焼残渣)の熔融も可能な焼却装置を提供できることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、都市ゴミ等の産業廃棄物やバイオマス燃料等を焼却する焼却装置に関し、一次焼却室内で焼却物が下部から焼却される際に、未燃焼物が周壁に付着し難くブリッジ状になり難いため、生木,生ゴミ,紙おむつ,鶏等の家畜糞尿,汚泥等の含水率が40%以上の焼却物でも、一次焼却室に直接投入して着火するだけで粒子層側から焼却させ完全燃焼させることができるので、都市ゴミや産業廃棄物,バイオマス燃料等の種々の焼却物を焼却でき汎用性に優れた焼却装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施の形態1における焼却装置の要部断面図
【図2】図1のA−A線における要部断面図
【図3】焼却残渣の熔融処理時の状態を示す要部断面図
【図4】従来の焼却装置の要部断面図
【符号の説明】
【0039】
1 焼却装置
2 一次焼却室
3 周壁
4 炉壁部
5 空洞部
6 投入口
6a 注入口
7 排出口
8 床
9 粒子層
10 仕切板
11 炉床ガス供給部
12 ガス噴出孔
13 送風機
14 燃焼ガス流路
14a 傾斜面
14b 着火加熱装置
14c 温度計
15 二次焼却室
16 周壁
17 炉壁部
18 空洞部
19 補助バーナー
20 二次空気供給部
21 噴射口
22 送風機
23 排出部
23a スペーサ部
24 熱交換器
24a 熱交換室
24b 排気口
25 伝熱管
26 送風機
27 温風管
28 温風供給部
29 燃焼ガス循環路
30 ガス循環装置
31 燃焼ガス供給部
31a ガス流出口
32 熔融スラグ
40 焼却装置
41 一次焼却室
42 燃焼ガス流路
43 二次焼却室
44 投入口
45 周壁
46 焼却物
47 粒子層
48 空気供給部
49 送風機
50 空気供給部
51 送風機
52 着火口
53 空気供給部
54 バーナー
55 空気供給部
56 排出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略鉛直又は上部が下部より幅狭に形成された周壁を有する一次焼却室と、前記一次焼却室と連通した二次焼却室と、前記一次焼却室の床に敷設された粒子層と、前記粒子層内に埋設された炉床ガス供給部と、前記炉床ガス供給部に接続された送風機と、を備えていることを特徴とする焼却装置。
【請求項2】
前記一次焼却室と前記二次焼却室とを連通し、前記二次焼却室に向かう上り勾配を有する傾斜面が一部若しくは全部に形成された燃焼ガス流路を備えていることを特徴とする請求項1に記載の焼却装置。
【請求項3】
先端を前記一次焼却室の床の上部に向けて前記一次焼却室に形成された着火加熱装置配設部及び/又は前記燃焼ガス流路に配設された着火加熱装置を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の焼却装置。
【請求項4】
噴射口が周壁側に傾斜して前記二次焼却室の周壁に配設され旋回流を形成する二次空気供給部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の焼却装置。
【請求項5】
前記二次焼却室に配設された熱交換器と、前記一次焼却室に配設された温風供給部と、前記温風供給部と前記熱交換器とを連通した温風管と、前記温風管の上流側に接続された送風機と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1に記載の焼却装置。
【請求項6】
前記二次焼却室と前記一次焼却室とを連通し前記一次焼却室内に燃焼ガスを供給する燃焼ガス循環路と、前記燃焼ガス循環路の上流側に配設されたガス循環装置と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1に記載の焼却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−10210(P2007−10210A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−190772(P2005−190772)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(592224884)株式会社ニッショー機工 (3)
【Fターム(参考)】