説明

熱伝導性接着剤組成物並びにそれを用いた接着用シート及び熱伝導性ダイシング・ダイアタッチフィルム

【課題】高熱伝導率で放熱特性に優れ、接着性が良好で耐湿試験後の信頼性に優れた熱伝導性接着剤組成物並びにそれを用いた接着用シート及び熱伝導性ダイシング・ダイアタッチフィルムを提供する。
【解決手段】(A)エポキシ樹脂と反応性の官能基をポリマー骨格に有するポリマー、(B)1分子中にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ樹脂、及び(C)特定の平均組成式で表される数平均分子量500〜10000のシリコーン化合物で表面処理をした熱伝導率が10W/mK以上の無機充填剤、を含む熱伝導性接着剤組成物;基材と、該基材上に設けられた上記組成物からなる接着剤層とを備えた接着用シート;基材とその上に設けられた粘着剤層とを有するダイシングフィルムと、該ダイシングフィルムの粘着剤層上に設けられた上記組成物からなる接着剤層とを備えた熱伝導性ダイシング・ダイアタッチフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造に用いられ、特に樹脂モールド型の半導体パッケージ用として好適であり、高熱伝導率で放熱特性に優れ、被着体であるシリコンとソルダーレジストに対して強い接着力を有する熱伝導性接着剤組成物、並びにそれを用いた接着用シート及び熱伝導性ダイシング・ダイアタッチフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程は、IC回路が形成された大径のシリコンウエハをダイシング(切断)工程で半導体チップに切り分け、リードフレームに硬化性の液状接着剤(ダイボンド材)等で熱圧着、接着固定(マウント)し、電極間のワイヤボンディングの後、ハンドリング性や外部環境からの保護ため、封止することにより製造されている。この封止形態として、金属封止やセラミック封止などの気密封止型、樹脂による非気密封止型があるが、現在、後者の樹脂によるトランスファーモールド法が、量産性に優れ、安価なため、最も一般的に用いられている。しかし、この樹脂モールドパッケージは、前記の利点がある反面、耐湿・耐熱性、熱応力緩和性、放熱性等において劣る欠点がある。
【0003】
また、近年の電気・電子機器の小型化、多機能化に伴い、電子部品の高機能化の要請から、半導体装置の配線も、より微細化、高密度化が進んでおり、半導体チップの大型化により、また、リードフレームを有しないエリアアレイ接合型のチップと同サイズの構造(CSP)又はチップの積層された構造(スタックドCSP、SiP)を有する半導体装置の出現により、これらパッケージング(PKG)における熱衝撃(応力)も厳しいものとなってきている。
【0004】
更にまた、これらの半導体装置のプリント基板への搭載実装プロセス工程において、鉛フリーはんだに対応した耐リフロー性も高温(265℃)となり、厳しいものとなってきている。このため、使用される材料の最適化・高性能化が要求されてきている。特に、パッケージング構成材料において、ダイボンド材は比較的広範囲での特性制御が可能なため、これらの要求に対して容易に対応ができることから、ダイボンド材として厳しい熱衝撃(応力)に対応できる低弾性率、高接着、高耐熱性の材料が求められてきている。
【0005】
また、半導体チップ搭載の支持基板にも微細化が要求され、液状の接着剤では半導体チップ搭載時のチップ端からのはみ出しによる電極の汚染や接着層の厚みの不均一によるチップの傾斜によりワイヤボンドの不具合が生じるため、これらの欠点を改善できる接着剤のフィルム化も望まれてきている。
【0006】
これらの接着剤として、従来、耐熱性に優れた樹脂であるポリイミドやポリアミドイミドに、シロキサン構造を導入した低弾性率材料が開発されてきた。特許文献1、2などでは、いずれもシロキサン変性ポリアミドイミドが提案されているが、低弾性化及び被着体に対する接着性が十分でない。
【0007】
特許文献3では、シロキサン変性ポリアミドイミドにマレイミド基を2個以上有する化合物を配合して、高温特性を改良することが提案されているが、この樹脂組成物は接着力に劣る。
【0008】
また、特許文献4および5では、接着性、低弾性及び耐熱性に優れたポリイミドシリコーンとエポキシ樹脂から成る耐熱性接着フィルムが提案されているが、接着力は改善されているが低弾性化が十分でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平3−189127号公報
【特許文献2】特開平4−264003号公報
【特許文献3】特開平10−60111号公報
【特許文献4】特開平7−224259号公報
【特許文献5】特開平8−27427号公報
【特許文献6】特開2003−193016号公報
【0010】
近年の半導体チップの微細化及び高速スイッチングすなわち高速動作により、発生する単位面積当たりの熱量は増加の傾向にあり、効率的に排熱するため熱伝導率の高い半導体用接着フィルムが市場の要求となっている。
【0011】
単純に熱伝導率を増加させるために、高熱伝導率のフィラーを添加した組成物は、非常にもろくフィルムとして加工できず実用的に不向きな組成物である。またフィルムの加工性を向上させるために、低粘度成分を大量に添加すると、吸湿前後で接着力が低下して、半導体パッケージとしての信頼性が低下してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、上記の欠点を解消すべく、高熱伝導率で放熱特性に優れ、接着性が良好で耐湿試験後の信頼性に優れた熱伝導性接着剤組成物並びにそれを用いた接着用シート及び熱伝導性ダイシング・ダイアタッチフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、熱伝導性フィラーの表面を特定のシリコーン化合物で処理することが有効であることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0014】
すなわち、本発明は第一に、下記(A)〜(C)成分を含有する熱伝導性接着剤組成物を提供する。
(A)エポキシ樹脂と反応性の官能基をポリマー骨格に有するポリマー 100質量部
(B)1分子中にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ樹脂 50〜400質量部
(C)下記平均組成式(I)で表される数平均分子量500〜10000のシリコーン化合物で表面処理をした熱伝導率が10W/mK以上の無機充填剤 1000〜4000質量部
(HR1SiO)a(R23SiO1/2)b(R32SiO)c(R4SiO3/2)d (I)
(式中、R1〜R4のおのおのは独立に、脂肪族不飽和結合を有さない非置換又は置換の1価炭化水素基を示し、aは0.1〜0.7の正数、bは0.01〜0.2の正数、cは0〜0.9の数、dは0〜0.2の数であり、ただし、a+b+c+d=1を満たす。)
【0015】
本発明は第二に、基材と、該基材上に設けられた上記熱伝導性接着剤組成物からなる接着剤層とを備えた接着用シートを提供する。
本発明は第三に、基材とその上に設けられた粘着剤層とを有するダイシングフィルムと、該ダイシングフィルムの粘着剤層上に設けられた上記熱伝導性接着剤組成物からなる接着剤層とを備えた熱伝導性ダイシング・ダイアタッチフィルムを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の接着剤組成物は、高熱伝導率で放熱特性に優れ、被着体への接着性に優れている。本発明の接着剤組成物を用いた接着用シート及び熱伝導性ダイシング・ダイアタッチフィルムにより、高信頼性の樹脂パッケージング半導体装置を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明について更に詳しく説明する。なお、本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量とはそれぞれ、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量および数平均分子量を指すこととする。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:1mL/min.
装置:HLC-8320GPC(商品名、東ソー社製)
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSKgel GMHXL-L + TSKgel G4000HXL + TSKgel G2000HXL + TSKgel G2000HXL(商品名、東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:100μL(濃度0.5質量%のTHF溶液)
【0018】
本発明の接着剤組成物は、(A)〜(C)成分を含有するものであり、常温で形状を保ち、フィルム状薄膜を形成し、加熱により可塑状態を経て、硬化するもので、被着体に対して優れた接着性を示す。本発明の接着剤組成物の硬化物は熱伝導性に優れる。本発明の接着剤組成物からなる接着剤層を備えた熱伝導性ダイシング・ダイアタッチフィルムを用いて製造した半導体パッケージは信頼性に優れるものである。
【0019】
[(A)エポキシ樹脂と反応性の官能基をポリマー骨格に有するポリマー]
本発明の接着剤組成物にエポキシ樹脂と反応性の官能基をポリマー骨格に有するポリマーが必要となる理由は以下のとおりである。ダイアタッチ時に接着フィルムと基板との間のボイドが少ない状態にするためには、接着フィルムの130〜170℃の少なくとも1点におけるせん断粘度が1×10〜1×10Pa・sの範囲であることが必要であることが実験的に解明されている。前記のせん断粘度を所定の範囲に維持するためには、モノマーに比較して高粘度となるポリマー成分が接着フィルムを構成する組成物に含有されていることが必要である。(A)成分は1種単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また組成物中に含まれるエポキシ樹脂との間で強固なマトリックスを作製するために、エポキシ樹脂と反応性の官能基が必要である。
【0020】
(A)成分のポリマーのTgは40℃以上であることが好ましい。Tgが40℃以上のポリマー成分を使用して接着フィルムを作製し、該接着フィルムをダイシングダイアタッチフィルムに加工した場合に、ダイシングフィルムに対する該接着フィルムのタック性は強くなりすぎず、該接着フィルムはダイシングフィルムに強固には貼り付きにくく、該接着フィルムを短時間でダイシングフィルムから剥がすことが容易であるために、半導体デバイス作製の生産効率が向上しやすい。
【0021】
(A)成分中の、エポキシ樹脂と反応性の官能基としては、例えば、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、フェノール性水酸基、及びチオール基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基が挙げられる。
【0022】
(A)成分のポリマーは、ポリスチレン換算の重量平均分子量が、好ましくは10,000〜200,000、より好ましくは20,000〜100,000、更により好ましくは30,000〜80,000である。重量平均分子量が前記範囲内であると、得られる組成物から塗膜を形成することが容易であり、微細な回路パターンを有する基板表面の凹凸を充填するのに十分な柔らかさを有する接着フィルムを得ることも容易である。
【0023】
(A)成分のポリマーとしては、ポリイミド樹脂があげられる。(A)成分のポリマーとしては、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸も用いることができるが、ダイボンド工程の加熱硬化時にイミド化(脱水閉環)により水が副生し、接着面の剥離等が生じる場合があるため、予めイミド化(脱水閉環)したポリイミド樹脂を用いることが好ましい。ポリアミック酸としては、例えば、下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。ポリイミド樹脂としては、例えば、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。ポリアミック酸およびポリイミド樹脂は、ジオルガノポリシロキサン結合を含有してもよく、また、接着性の点からフェノール性の水酸基を骨格中に有することが好ましい。
【0024】
【化1】


(式中、Xは芳香族環又は脂肪族環を含む四価の有機基、Yは二価の有機基、qは1〜300の整数である。)
【0025】
【化2】


(式中、Xは芳香族環又は脂肪族環を含む四価の有機基、Yは二価の有機基、qは1〜300の整数である。)
【0026】
上記一般式(1)において、qは1〜300の整数、好ましくは2〜300の整数、特には5〜300の整数であるが、このような繰り返し数を有するポリアミック酸は、下記の方法により容易に得ることができる。また、上記一般式(2)で表されるポリイミド樹脂は、上記一般式(1)で表されるポリアミック酸を常法により脱水、閉環することで得ることができる。
【0027】
一般式(1)で表されるポリアミック酸は、下記構造式(3)
【0028】
【化3】


(但し、Xは上記と同様の意味を示す。)
で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記構造式(4)
2N−Y−NH2 (4)
(但し、Yは上記と同様の意味を示す。)
で表されるジアミンとを常法に従って、ほぼ等モルの割合で有機溶媒中にて反応させることによって得ることができる。
【0029】
ここで、上記式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例を具体的に示すと、下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
【化4】

【0031】
なお、これら上記式(3)で示されるテトラカルボン酸二無水物は、所望により1種又は2種以上を用いてもよい。
【0032】
・(a)ジアミノシロキサン化合物
上記式(4)で表されるジアミンのうち、好ましくは1〜80モル%、更に好ましくは1〜60モル%が、下記構造式(5)で表されるジアミノシロキサン化合物であることが、有機溶媒への溶解性、被着体に対する接着性、低弾性、柔軟性の点から望ましい。
【0033】
【化5】


(式中、R1は炭素原子数3〜9の二価の有機基、R2及びR3はおのおの独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、rは1〜200の整数である。)
【0034】
一般式(5)で表されるシロキサンジアミン(又はα,ω−ジアミノポリシロキサン)において、R1で表される炭素原子数3〜9の二価の有機基としては、例えば、−(CH23−,−(CH24−,−CH2CH(CH3)−,−(CH26−,−(CH28−等のアルキレン基、
【0035】
【化6】


等のアリーレン基、これらを組み合わせたアルキレン・アリーレン基、−(CH−O−,−(CH−O−等のオキシアルキレン基、
【0036】
【化7】


等のオキシアリーレン基やこれらを組み合わせた
【0037】
【化8】


等のオキシアルキレン・アリーレン基などの、エーテル酸素原子を含んでもよい二価炭化水素基が挙げられる。
【0038】
2又はR3で表される非置換又は置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部がフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子等で置換された基、例えば、クロロメチル基、ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基等が挙げられ、中でもメチル基及びフェニル基が好ましい。
【0039】
上記式(5)で表されるジアミノシロキサン化合物は、具体的には以下に示されるものがあげられる。
【0040】
【化9】

【0041】
これらの上記式(5)で表されるジアミノシロキサン化合物は所望により1種単独でも2種以上の組み合わせでも使用することができる。
【0042】
・(b)フェノール性水酸基を有さないジアミン化合物
更に上記式(4)で表されるジアミンのうち、上記式(5)で表されるジアミノシロキサン化合物以外のフェノール性水酸基を有さないジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(p−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(m−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(p−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、1,4−ビス(m−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]パーフルオロプロパン等の芳香族環含有ジアミン等が挙げられ、好ましくはp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等である。
【0043】
上記式(4)で表されるジアミンのうち、好ましくは40〜95モル%、更に好ましくは50〜90モル%が、上記フェノール性水酸基を有さないジアミン化合物であることが、エポキシ樹脂との架橋点をコントロールして樹脂組成物の柔軟性を調整することと、エポキシ樹脂に対する相溶性をコントロールする点から望ましい。
【0044】
・(c)フェノール性水酸基を有するジアミン化合物
また、本発明においては、接着性の点からポリイミド樹脂のポリマー骨格にフェノール性の水酸基を有することが好ましく、この水酸基の導入は、エポキシ基と高反応性を有するフェノール性の水酸基を有するジアミン化合物を用いることにより得ることができ、このようなジアミンとしては、下記式で表されるものを例示することができる。
【0045】
【化10】


(式中、R4は独立に水素原子;フッ素原子、臭素原子、よう素原子などのハロゲン原子;又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、トリフルオロメチル基、フェニル基などの非置換もしくは置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、nは0〜5の整数であり、AおよびBの各々は互いに同一でも異なっていてもよい。Rは独立に水素原子、ハロゲン原子又は非置換もしくは置換の一価炭化水素基である。)
【0046】
ここで、R4の非置換又は置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基としては、上記R2又はR3で例示したものと同様のもの、またエチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基等のアルキニル基等を挙げることができる。また、Rの非置換もしくは置換の一価炭化水素基も、上記R4で例示したものと同様のものを例示することができる。
【0047】
本発明においては、上記フェノール性水酸基を有するジアミン化合物の中でも、特に下記式(6)で表されるジアミン化合物が好ましい。
【0048】
【化11】


(式中、R4は上記と同じである。)
【0049】
なお、本発明において、フェノール性の水酸基を有するジアミン化合物の配合量としては、ジアミン化合物全体の5〜60モル%、特に10〜40モル%であることが好ましい。配合量が少なすぎると接着力が低くなる場合があり、また多すぎると接着剤層の柔軟性が不足する場合がある。
【0050】
・(d)フェノール性水酸基を有するモノアミン化合物
また、フェノール性水酸基の導入のためにフェノール性水酸基を有するモノアミンを用いることもでき、下記の構造を例示することができる。
【0051】
【化12】


(式中、R4は上記と同じであり、各芳香族環に付いている置換基は全て又は一部同じでも構わないし、全て異なっていても構わない。Dは1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、pは1〜3の整数である。)
【0052】
フェノール性水酸基を有するモノアミンを用いる場合、この配合量としては、ジアミン化合物全体に対して1〜10モル%、好ましくは2〜8モル%である。
【0053】
上記アミン化合物は、これらに限定されるものではなく、またこれらのアミン化合物は、所望により1種単独でも2種以上の組み合わせとしても使用することができる。
【0054】
ポリアミック酸及びポリイミド樹脂の生成反応について具体的な例を挙げると、上述の出発原料を、不活性な雰囲気下で溶媒に溶かし、通常、80℃以下、好ましくは0〜40℃で反応させて、ポリアミック酸を合成する。更に得られたポリアミック酸を、通常、100〜200℃、好ましくは150〜200℃に昇温させることにより、ポリアミック酸の酸アミド部分を脱水閉環させ、目的とするポリイミド樹脂を合成することができる。
【0055】
上記反応に使用する有機溶媒は、得られるポリアミック酸に不活性なものであれば、前記出発原料を完全に溶解できるものでなくともよい。例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドが挙げられ、好ましくは非プロトン性極性溶媒、特に好ましくはN−メチルピロリドン、シクロヘキサノン及びγ−ブチロラクトンである。これらの溶媒は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0056】
上記の脱水閉環を容易にするためには、トルエン、キシレンなどの共沸脱水剤を用いるのが望ましい。また、無水酢酸/ピリジン混合溶液を用いて低温で脱水閉環を行うこともできる。
【0057】
なお、ポリアミック酸及びポリイミド樹脂の分子量を調整するために、無水マレイン酸、無水フタル酸などのジカルボン酸無水物及びアニリン、n−ブチルアミン、上記に挙げたフェノール性の水酸基を有するモノアミンなどのモノアミンの一方又は両方を添加することもできる。但し、ジカルボン酸無水物の添加量は、テトラカルボン酸二無水物100質量部当たり、通常、0〜2質量部であり、モノアミンの添加量は、ジアミン100質量部当たり、通常、0〜2質量部である。
【0058】
(A)成分のポリマーとしては、ポリイミド樹脂以外にフェノキシ樹脂があげられる。このようなフェノキシ樹脂としては、例えばエピクロルヒドリンとビスフェノールAもしくはF等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。このようなフェノキシ樹脂としては商品名でPKHC、PKHH、PKHJ(いずれも巴化学社製)、ビスフェノールA・ビスフェノールF混合タイプの商品名エピコート4250、エピコート4275、エピコート1255HX30、臭素化エポキシを用いたエピコート5580BPX40(いずれも日本化薬社製)、ビスフェノールAタイプの商品名でYP-50、YP-50S、YP-55、YP-70(いずれも東都化成社製)、JER E1256、E4250、E4275、YX6954BH30、YL7290BH30(いずれもジャパンエポキシレジン社製)などがあげられる。
【0059】
[(B)1分子中にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ樹脂]
(B)成分のエポキシ樹脂の分子構造、分子量などは特に制限されない。(B)成分のエポキシ樹脂は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が、好ましくは100〜10000、より好ましくは100〜1000である。(B)成分は1種単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0060】
このようなエポキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン又はこのハロゲン化物のジグリシジルエーテル及びこれらの縮重合物(いわゆるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等)、ブタジエンジエポキシド、ビニルシクロヘキセンジオキシド、レゾルシンのジグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ジフェニルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキセン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、1,2−ジオキシベンゼン或いはレゾルシノール、多価フェノール又は多価アルコールとエピクロルヒドリンとを縮合させて得られるエポキシグリシジルエーテル或いはポリグリシジルエステル、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のノボラック型フェノール樹脂(或いはハロゲン化ノボラック型フェノール樹脂)とエピクロルヒドリンとを縮合させて得られるエポキシノボラック(即ち、ノボラック型エポキシ樹脂)、過酸化法によりエポキシ化したエポキシ化ポリオレフィン、エポキシ化ポリブタジエン、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0061】
なお、上記のエポキシ基を1分子中に少なくとも2個有するエポキシ化合物にモノエポキシ化合物を適宜併用することは差し支えなく、このモノエポキシ化合物としては、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、プロピレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、オクチレンオキシド、ドデセンオキシドなどが例示される。モノエポキシ化合物は1種単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0062】
(B)成分の配合量は、(A)成分のポリマー100質量部に対して、通常、50〜400質量部、特に好ましくは80〜300質量部である。エポキシ樹脂の配合量が少なすぎると接着力が劣る場合があり、多すぎると液状エポキシ樹脂の場合、フィルムにタック性が出過ぎてハンドリングが困難となる場合があり、また、固体状のエポキシ樹脂の場合は接着剤層がフィルム状態でなくなる場合がある。
【0063】
[(C)上記平均組成式(I)で表される数平均分子量500〜10000のシリコーン化合物で表面処理をした熱伝導率が10W/mK以上の無機充填剤]
(C)成分において無機充填剤の熱伝導率は、通常、10W/mK以上、好ましくは20W/mK以上、特に好ましくは30W/mK以上である。なお、本明細書において熱伝導性は25℃における値である。前記熱伝導率が10W/mK未満では、放熱性が不十分であり、半導体素子及び基板の温度が上昇する可能性がある。なお、熱伝導率の上限は特に制限されないが、典型的には500W/mK以下である。前記シリコーン化合物で表面処理される無機充填剤の具体例としては、アルミナ粉末、酸化亜鉛粉末、酸化マグネシウム粉末等の酸化物粉末;窒化アルミニウム、6方晶窒化ホウ素、立方晶窒化ホウ素、窒化珪素などの窒化物;アルミニウム粉末、銅粉末、銀粉末、金粉末、金属ケイ素粉末等の金属粉末;ダイヤモンド粉末、カーボンナノチューブ等の炭素系粉末;これらの2種以上の組み合わせが挙げられる。(C)成分は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。(C)成分の平均粒径は0.05〜50μmであることが好ましい。
【0064】
(C)成分においてシリコーン表面処理剤として無機充填剤を表面処理するシリコーン化合物は、下記平均組成式(I):
(HR1SiO)a(R23SiO1/2)b(R32SiO)c(R4SiO3/2)d (I)
(式中、R1〜R4のおのおのは独立に、脂肪族不飽和結合を有さない非置換又は置換の1価炭化水素基を示し、aは0.1〜0.7の正数、bは0.01〜0.2の正数、cは0〜0.9の数、dは0〜0.2の数であり、ただし、a+b+c+d=1を満たす。)
で表される数平均分子量500〜10000のシリコーン化合物である。該シリコーン化合物は、無機充填剤の表面処理剤として、かつ、被着体と反応する接着助剤として作用するものであり、(C)成分において無機充填剤が該シリコーン化合物で表面処理されていることは本発明に必須である。即ち、表面処理される無機充填剤は、該シリコーン化合物の存在下にて高温で熱処理されると、該無機充填剤の表面に残存する水酸基及び無機酸(表面処理剤残渣)と該シリコーン化合物との脱水素反応により、該表面が該シリコーン化合物で修飾される。更に、該表面を修飾した該シリコーン化合物中に残存する水素原子が被着体と反応するため、強固な接着力が発現する。これらの点から(C)成分における表面処理は本発明に必須である。該シリコーン化合物は、上記要件を満たすものであれば特に限定されず、従来公知の方法で合成される。該シリコーン化合物は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0065】
(C)成分を作製するには、好ましくは100〜180℃、より好ましくは110〜170℃、更により好ましくは120〜160℃の温度で、好ましくは10分以上、より好ましくは30〜300分、更により好ましくは50分〜180分、無機充填剤を前記シリコーン化合物の存在下で熱処理することが好ましい。熱処理温度が100〜180℃の範囲内であると、表面処理される無機充填剤の表面に残存する水酸基及び無機酸と前記シリコーン化合物との反応の進行が速くなりやすく、かつ、前記シリコーン化合物が劣化しにくい。また、熱処理時間が10分以上であると、表面処理される無機充填剤の表面に残存する水酸基及び無機酸と前記シリコーン化合物との反応が十分に進行しやすい。
【0066】
前記シリコーン化合物は、式:HR1SiOで示され、珪素原子に結合した水素原子を有し、分子鎖途中に位置する単位(DH単位)を1分子中に少なくとも2個、式:R23SiO1/2で示され、珪素原子に結合した水素原子を有しない単位を1分子中に少なくとも2個有することが好ましい。即ち、該シリコーン化合物において、珪素原子に結合した水素原子は、分子鎖途中にのみ(即ち、(HR1SiO)単位中にのみ)存在し、分子鎖末端には存在せず、分子鎖末端は(R23SiO1/2)単位で封鎖されていることが好ましい。
【0067】
上記平均組成式(I)において、aが0.1未満では被着体に対する優れた接着力が得がたく、0.7を超える場合は、硬化物にボイドが発生しやすくなり被着体に対する接着力が低下する場合がある。
bが0.01未満の場合は硬化物にボイドが発生しやすくなり被着体に対する接着力が低下する場合があり、0.2を超える場合、被着体に対する優れた接着力を得にくい。
cが0.9を超える場合は、エポキシ樹脂マトリクッスに対して前記シリコーン化合物の相溶性が低下しやすくなり被着体に対する優れた接着力を得にくい。
dが0.2を超える場合は、粘度上昇を引き起こしやすく、被着体に対する優れた接着力を得にくい。
【0068】
前記シリコーン化合物の数平均分子量は、通常、500〜10000、好ましくは500〜7500、より好ましくは1000〜5000であり、該シリコーン化合物が室温(25℃)で液状となる値であることが望ましい。該数平均分子量が500よりも小さい場合は、シリコーン化合物の揮発性が高くなりやすいため、無機充填剤表面を熱処理する時に高温が掛けにくくなり、表面処理率が低下する場合があり、接着力が低下する恐れがある。該数平均重合度が10000より大きい場合は、シリコーン化合物は高粘度となってしまいやすく、無機充填剤への濡れ性を確保しにくくなり、表面処理率が低下する場合がある。また、無機充填剤との間で化学結合をもたない残存シリコーン化合物が多量に発生しやすく、接着力が低下する恐れがある。
【0069】
前記シリコーン化合物の25℃における粘度は、好ましくは0.1〜1000mPa・s、より好ましくは0.5〜500mPa・s、更により好ましくは0.5〜300mPa・sである。該シリコーン化合物としては室温(25℃)で液状のものが望ましい。
【0070】
上記平均組成式(I)中、R1〜R4の炭素原子数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。R1〜R4の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの非置換の炭化水素基の水素原子の一部または全部が、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子で置換された基、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられ、好ましくはアルキル基、アリール基、3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基である。
【0071】
前記シリコーン化合物の具体例としては、(CH)HSiO単位と(CHSiO単位と(CH3SiO1/2単位とからなる共重合体、(CH)HSiO単位と(CH3SiO1/2単位と(CSiO単位と(CHSiO単位とCHSiO3/2単位とからなる共重合体、(C)HSiO単位と(CH3SiO1/2単位と(CHSiO単位とCHSiO3/2単位とからなる共重合体、(CH)HSiO単位と(CHSiO単位とCSiO3/2単位とからなる共重合体、(CF)HSiO単位と(CH3SiO1/2単位と(CH)(CF)SiO単位とCHSiO3/2単位とからなる共重合体、(CH)HSiO単位と(CH3SiO1/2単位と(CH)(CF)SiO単位と(CHSiO単位とCHSiO3/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位と(CH)(CF)SiO単位とCHSiO3/2単位とからなる共重合体、(CH)HSiO単位と(CH3SiO1/2単位と(CH)(CF)SiO単位と(CHSiO単位とからなる共重合体、(CH)HSiO単位と(CH3SiO1/2単位と(CH)(CF)SiO単位と(CHSiO単位とCFSiO3/2単位とからなる共重合体、(CH)HSiO単位と(CH3SiO1/2単位と(CHSiO1/2単位と(CHSiO単位とCHSiO3/2単位とからなる共重合体、(CH)HSiO単位と(CH3SiO1/2単位と(CHSiO1/2単位と(CSiO単位と(CHSiO単位とCHSiO3/2単位とからなる共重合体、(C)HSiO単位と(CHSiO1/2単位と(CHSiO単位とCHSiO3/2単位とからなる共重合体等が挙げられる。
【0072】
無機充填剤を前記シリコーン化合物で表面処理する場合、該シリコーン化合物の使用量は、無機充填剤に対して好ましくは0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。該使用量が0.05〜5質量%の範囲であると、多量のボイドが発生しにくく、被着体に対する充分な接着力を得やすい。
【0073】
(C)成分の配合量は、(A)成分のポリマー100質量部に対して、通常、1000〜4000質量部、好ましくは1000〜2000質量部である。(C)成分の配合量が少なすぎると、産業上必要とされる熱伝導率を有する硬化物が得られない場合がある。(C)成分の配合量が多すぎると、得られる組成物は、フィルム形状をなさないことがあり、フィルム状接着剤として使用することが困難となる場合がある。
【0074】
[(D)硬化触媒]
本発明で用いるエポキシ樹脂硬化触媒(D)は特に制限はなく、例えば、リン系触媒、アミン系触媒等が例示される。(D)成分は1種単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0075】
ここで、リン系触媒としては、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスホニウムトリフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートや下記に示すような化合物が挙げられる。
【0076】
【化13】


(式中、R6〜R13は水素原子又はフッ素、臭素、よう素などのハロゲン原子、あるいは炭素原子数1〜8のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基、トリフルオロメチル基、フェニル基などの非置換もしくは置換一価炭化水素基であり、総ての置換基が同一でも、おのおの異なっていても構わない。)
【0077】
ここで、R6〜R13の一価炭化水素基としては、上記R4で例示したものと同様のもの、またメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基などを挙げることができる。
【0078】
またアミン系触媒としては、ジシアンジアミド、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体などが挙げられる。
【0079】
(D)成分の配合量は、触媒量(即ち、触媒としての有効量)でよい。
【0080】
[(E)エポキシ樹脂の硬化剤]
本発明の接着剤組成物には、(E)エポキシ樹脂の硬化剤を用いることができる。この硬化剤としては、従来から知られているエポキシ樹脂用の種々の硬化剤を使用することができ、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミン、メンタンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどのアミン系化合物;エポキシ樹脂−ジエチレントリアミンアダクト、アミン−エチレンオキサイドアダクト、シアノエチル化ポリアミンなどの変性脂肪族ポリアミン;ビスフェノールA、トリメチロールアリルオキシフェノール、低重合度のフェノールノボラック樹脂、エポキシ化もしくはブチル化フェノール樹脂或いは“Super Beckcite”1001[日本ライヒホールド化学工業(株)製]、“Hitanol”4010[(株)日立製作所製]、Scado form L.9(オランダScado Zwoll社製)、Methylon 75108(米国ゼネラルエレクトリック社製)などの商品名で知られているフェノール樹脂などの、分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を含有するフェノール樹脂;“Beckamine”P.138[日本ライヒホールド化学工業(株)製]、“メラン”[(株)日立製作所製]、“U−Van”10R[東洋高圧工業(株)製]などの商品名で知られている炭素樹脂;メラミン樹脂、アニリン樹脂などのアミノ樹脂;式HS(C24OCH2OC24SS)s24OCH2OC24SH(s=1〜10の整数)で示されるような1分子中にメルカプト基を少なくとも2個有するポリスルフィド樹脂;無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸、ドデシル無水こはく酸、無水クロレンディック酸などの有機酸もしくはその無水物(酸無水物)などが挙げられる。上記した硬化剤のうちでもフェノール系樹脂(フェノールノボラック樹脂)が、本発明の組成物に良好な成形作業性を与えるとともに、優れた耐湿性を与え、また毒性がなく、比較的安価であるので望ましいものである。(E)成分の硬化剤は、その使用にあたっては必ずしも1種類に限定されるものではなく、その硬化性能などに応じて2種以上を併用してもよい。
【0081】
この硬化剤の使用量は、その具体的種類によって好適な配合量が相違するが、一般には前記エポキシ樹脂100質量部に対して0〜100質量部、好ましくは5〜50質量部の範囲であることが好ましい。硬化剤の使用量が1質量部未満では、本発明の組成物を良好に硬化させることが困難となる場合があり、逆に100質量部を超えると、経済的に不利となるほか、エポキシ樹脂が希釈されて硬化に長時間を要するようになり、更には硬化物の物性が低下するという不利が生じる場合がある。
【0082】
また、(A)成分として骨格中にフェノール性の水酸基を有するポリイミド樹脂を用いる場合には、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂硬化剤との配合比は重要である。この場合、フェノール性の水酸基とエポキシ基との反応を利用して硬化反応が行われるが、エポキシ基が少なすぎると被着体との接着力が十分でなくなるおそれがあり、また多すぎるとエポキシ樹脂により弾性率が上昇する場合があるため、柔軟な接着剤シートを作製するには不適となる。よってエポキシ樹脂とフェノール系樹脂硬化剤との混合配合量は、ポリイミド樹脂100質量部に対して、1〜900質量部、好ましくは5〜400質量部であることが望ましい。
【0083】
ここで、エポキシ樹脂に対するフェノール系樹脂硬化剤と骨格中にフェノール性の水酸基を有するポリイミド樹脂の総和の化学当量比は特に制限されないが、0.7〜1.3の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.2である。この範囲を超えると特性の経時変化を来たす場合がある。
【0084】
なお、エポキシ樹脂硬化剤としてフェノール系樹脂を用いない場合においても、ポリイミド樹脂とエポキシ樹脂との配合量及び当量比は前記と同様とすることができる。
【0085】
[その他の成分]
更に、本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損わない範囲内で、シリカ微粉末、酸化チタン、カーボンブラック、導電性粒子等の(C)成分以外の充填剤、無機系あるいは有機系の顔料、染料等の着色剤、濡れ向上剤、酸化防止剤、熱安定剤等の添加剤などを目的に応じて添加することができる。
【0086】
[接着剤組成物の調製方法及び用途]
本発明の接着剤組成物は、上記(A)〜(C)成分並びに必要に応じて(D)成分、(E)成分及びその他の成分を常法に準じて混合することにより調製することができる。
【0087】
上記で得られた本発明の接着剤組成物の使用方法は以下のとおりである。例えば、該接着剤組成物をトルエン、シクロヘキサノン、NMPなどの非プロトン性極性溶媒に適当な濃度で溶解し、基板上に塗布し、乾燥させ、被着体を圧着して加熱硬化する。また、溶媒に適当な濃度で溶解した接着剤組成物を支持基材(以下、単に基材という場合がある)上に塗布し、乾燥させ、基材と、該基材上に設けられた該組成物からなる接着剤層(フィルム状に成形された該組成物であり、以下、これを接着フィルムとする。)とを備えた接着用シートを得、この接着フィルムを基板と被着体で挟み、圧着、加熱硬化して接着することもできる。前記基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、紙、金属箔等、あるいはこれらの表面を離型処理したものを用いることができる。
【0088】
接着剤組成物をフィルム状に成形して接着フィルムを得るときには、常温〜200℃、特に80〜150℃で1分〜1時間、特に3〜10分間乾燥することが好ましい。
接着フィルムの膜厚は特に制限はなく、目的に応じ選択することができ、5〜100μm、特に5〜40μmであることが好ましい。また、接着フィルムは、圧力0.01〜10MPa、特に0.1〜2MPaで圧着した後、温度100〜200℃、特に120〜180℃で30分〜5時間、特に1〜4時間で硬化させることが好ましい。
【0089】
本発明の接着剤組成物を接着剤層とする熱伝導性ダイシング・ダイアタッチフィルムの使用方法は以下のとおりである。必要に応じて接着剤層側の基材フィルムを剥離する。ウエハーをダイシング・ダイアタッチフィルムの接着剤層に熱圧着してダイシング・ダイアタッチフィルム上に固定する。熱圧着条件は、接着剤層の組成により種々選択することができるが、通常は40〜120℃かつ0.01〜0.2MPaである。次いで、ダイシング装置に固定し、ダイシング後、接着剤層の付着したチップを粘着剤層から剥離させて取り出し(ピックアップし)、このチップをリードフレームに熱圧着、加熱硬化することにより接着させる。この熱圧着条件は、ウエハーと接着剤層の熱圧着条件と同様にすることができ、また加熱硬化条件は、接着剤層の組成により種々選択することができるが、通常は120〜250℃である。
【0090】
本発明の接着剤組成物は、電子部品の製造においてダイシング・ダイアタッチフィルムとして使用できるだけでなく、接着の伴う種々の工程で用いることができる。
【実施例】
【0091】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0092】
[材料]
(A)エポキシ樹脂と反応性の官能基をポリマー骨格に有するTgが45℃以上のポリマー
・下記合成例1で得られたフェノール性水酸基を有するポリイミド樹脂
・jER(登録商標)1256(商品名、JER社製、エポキシ基を有するフェノキシ樹脂、重量平均分子量:50000、Tg:100℃)
【0093】
(B)1分子中にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ樹脂
・RE−310S:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名、日本化薬(株)社製、重量平均分子量:600)
【0094】
(C)上記平均組成式(I)で表される数平均分子量500〜10000のシリコーン化合物で表面処理をした熱伝導率が10W/mK以上の無機充填剤
【0095】
・(C1)下記式のシリコーン化合物C1で表面処理したAO−502(商品名、アドマテックス社製、アルミナ、熱伝導率:27W/mK、以下同じ)
【化14】


即ち、平均組成式:(HR1SiO)a(R23SiO1/2)b(R32SiO)c(R4SiO3/2)d(式中、R1〜R4はメチル基を示し、aは0.167、bは0.167、cは0.667、dは0である。)で表されるシリコーン化合物。数平均分子量:700
【0096】
・(C2)下記式のシリコーン化合物C2で表面処理したAO−502
【化15】


即ち、平均組成式:(HR1SiO)a(R23SiO1/2)b(R32SiO)c(R4SiO3/2)d(式中、R1〜R4はメチル基を示し、aは0.409、bは0.013、cは0.579、dは0である。)で表されるシリコーン化合物。数平均分子量:8400
【0097】
・(C3)下記式のシリコーン化合物C3で表面処理したAO−502
【化16】


即ち、平均組成式:(HR1SiO)a(R23SiO1/2)b(R32SiO)c(R4SiO3/2)d(式中、R1〜R4はメチル基を示し、aは0.469、bは0.063、cは0.469、dは0である。)で表されるシリコーン化合物。数平均分子量:1700
【0098】
・(C4)下記式のシリコーン化合物C4で表面処理したAO−502
【化17】


即ち、平均組成式:(HR1SiO)a(R23SiO1/2)b(R32SiO)c(R4SiO3/2)d(式中、R1〜R4はメチル基を示し、aは0.691、bは0.029、cは0.279、dは0である。)で表されるシリコーン化合物。数平均分子量:3400
【0099】
(C')(比較用)上記平均組成式(I)で表される数平均分子量500〜10000のシリコーン化合物以外のシリコーン化合物で表面処理をした熱伝導率が10W/mK以上の無機充填剤、又は、シリコーン化合物で表面処理をしていない熱伝導率が10W/mK以上の無機充填剤
【0100】
・(C5)下記式のシリコーン化合物C5で表面処理したAO−502
【化18】


即ち、平均組成式:(HR1SiO)a(R23SiO1/2)b(R32SiO)c(R4SiO3/2)d(式中、R1〜R4はメチル基を示し、aは0.083、bは0.083、cは0.833、dは0である。)で表されるシリコーン化合物。数平均分子量:1400
【0101】
・(C6)下記式のシリコーン化合物C6で表面処理したAO−502
【化19】


即ち、平均組成式:(HR1SiO)a(R23SiO1/2)b(R32SiO)c(R4SiO3/2)d(式中、R1〜R4はメチル基を示し、aは0.154、bは0.003、cは0.843、dは0である。)で表されるシリコーン化合物。数平均重合度:39800
【0102】
・(C7)下記式のシリコーン化合物C7で表面処理したAO−502
【化20】


即ち、平均組成式:(HR1SiO)a(R23SiO1/2)b(R32SiO)c(R4SiO3/2)d(式中、R1〜R4はメチル基を示し、aは0.500、bは0.333、cは0.167、dは0である。)で表されるシリコーン化合物。数平均重合度:400
【0103】
・(C8)下記式のシリコーン化合物C8で表面処理したAO−502
【化21】


即ち、平均組成式:(HR1SiO)a(R23SiO1/2)b(R32SiO)c(R4SiO3/2)d(式中、R1〜R4はメチル基を示し、aは0.889、bは0.111、cは0、dは0である。)で表されるシリコーン化合物。数平均重合度:900
【0104】
・(C9)シリコーン化合物で表面処理をしていないAO−502
【0105】
なお、(C1)〜(C8)成分は、(C1)〜(C8)成分に対応する上記シリコーン化合物1.7質量部とAO−502 100質量部とを混合し、150℃で60分、熱処理を行うことにより調製した。
【0106】
(D)硬化触媒
・DICY−7(商品名、JER(株)社製、ジシアンジアミド)
【0107】
[ポリイミド樹脂の合成]
[合成例1]
還流冷却器を連結した25mlのコック付き水分定量受器、温度計、及び攪拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、ジアミンとして下記構造式のジアミノシロキサン(商品名:KF−8010、信越化学社製)44.03質量部と、反応溶媒として2−メチルピロリドン100質量部とを仕込み、80℃で攪拌して、ジアミンを反応溶媒中に分散させた。これに酸無水物である6FDA(2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物)38.72質量部と2−メチルピロリドン100質量部とからなる溶液を滴下し、室温で2時間攪拌して、ジアミンと酸無水物とを反応させることにより、酸無水物リッチのアミック酸オリゴマーを合成した。
【0108】
【化22】


但し、t=10
【0109】
次に、下記式:
【0110】
【化23】


で示されるフェノール性水酸基を有する芳香族ジアミン17.25質量部と2−メチルピロリドン100質量部とを、還流冷却器を連結した25mlのコック付き水分定量受器、温度計、及び攪拌器を備えた1Lのセパラブルフラスコに仕込み、芳香族ジアミンを2−メチルピロリドン中に分散させた。これに前出の酸無水物リッチのアミック酸オリゴマーを滴下した後、室温で16時間攪拌し、ポリアミック酸溶液を合成した。その後、この溶液にキシレン25mlを投入してから温度を上げ、約180℃で2時間還流させた。水分定量受器に所定量の水がたまっていること、水の流出が見られなくなっていることを確認し、水分定量受器にたまっている流出液を除去しながら、180℃でキシレンを除去した。反応終了後、大過剰のメタノール中に得られた反応液を滴下し、ポリマーを析出させ、減圧乾燥して、骨格中にフェノール性の水酸基を有するポリイミド樹脂を得た。フェノール性水酸基の含有量はアミンユニットに対して20モル%であった。また、重量平均分子量は50000であった。
【0111】
得られたポリイミド樹脂の赤外吸光スペクトルを測定したところ、未反応の官能基があることを示すポリアミック酸に基づく吸収は現れず、1780cm-1及び1720cm-1にイミド基に基づく吸収を確認し、3500cm-1にフェノール性水酸基に基づく吸収を確認した。
【0112】
得られたポリイミド樹脂をテフロン(登録商標)フィルム上にキャストして、厚さが100μmのポリイミドフィルムを作製した。このポリイミドフィルムのTgを真空理工社製の熱機械試験機TM-7000にて荷重10g及び昇温速度10℃/minの条件のもと熱機械分析(TMA)法で測定したところ130℃であった。
【0113】
[接着剤組成物の調製及び特性評価]
[実施例1〜7、比較例1〜7]
(A)成分をポリマー希釈溶媒(シクロヘキサノン)に下記表1又は2に示す配合量で溶解し、得られた溶液に(B)成分、(C)成分又は(C')成分、(D)成分及び後添加溶媒を下記表1又は2に示す配合量で添加し混合して、接着剤組成物を調製した。
【0114】
[接着用シートの作製]
前記で得られた接着剤組成物をフッ素シリコーン離型剤で被覆した厚さ38μmのPETフィルム上に塗布し、110℃で10分間加熱乾燥し、厚さ約25μmの接着剤層(以下、接着フィルムという)を備えた接着用シートを作製した。
【0115】
[260℃せん断接着力]
前記で作製した接着用シートから3mm×3mmの接着フィルムを得た。別途、3mm×3mm×厚さ725μmのシリコンウエハと、AUS308(商品名、ソルダーレジスト、太陽インキ(株)製)が塗布された表面粗さ5μm以下のBT基板(15mm×15mm)とを用意した。このBT基板上で、前記接着フィルムと前記シリコンウエハとをこの順序で、該シリコンウエハの下面全体が該接着フィルムで覆われるように重ね、170℃、0.67MPa、2secの条件下でダイアタッチした。シリコンウエハ、接着フィルム及びBT基板からなるこの積層体を175℃/4hrsの条件下で加熱して該接着フィルムを硬化させた後に、得られた硬化接着フィルムの接着力を260℃の温度、BT基板から50μmの高さ、200μm/secのせん断速度で測定した。結果を表1又は2に示す。
【0116】
[JEDEC L2後の260℃せん断接着力]
シリコンウエハ、接着フィルム及びBT基板からなる前述の積層体をJEDEC L2条件(85℃、60%RHの条件下で168hrs)で保管し、次に最高温度260℃のIRリフロー装置に3回通した後に、硬化接着フィルムの接着力を前述と同条件で測定した。結果を表1又は2に示す。
【0117】
[熱伝導率]
前述の接着フィルムを複数積層し、該接着フィルムからなる厚さ50μm、直径12.5mmの円盤形状の積層体を作製した。この積層体を1mm厚さのAl板2枚の間に挟んで175℃に加熱して該接着フィルムを硬化させた後、NETZSCH社のキセノンフラッシュアナライザーLFA 447にてレーザーフラッシュ法で硬化接着フィルムの熱伝導率を測定した。結果を表1又は2に示す。
【0118】
【表1】

【0119】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(C)成分を含有する熱伝導性接着剤組成物。
(A)エポキシ樹脂と反応性の官能基をポリマー骨格に有するポリマー 100質量部
(B)1分子中にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ樹脂 50〜400質量部
(C)下記平均組成式(I)で表される数平均分子量500〜10000のシリコーン化合物で表面処理をした熱伝導率が10W/mK以上の無機充填剤 1000〜4000質量部
(HR1SiO)a(R23SiO1/2)b(R32SiO)c(R4SiO3/2)d (I)
(式中、R1〜R4のおのおのは独立に、脂肪族不飽和結合を有さない非置換又は置換の1価炭化水素基を示し、aは0.1〜0.7の正数、bは0.01〜0.2の正数、cは0〜0.9の数、dは0〜0.2の数であり、ただし、a+b+c+d=1を満たす。)
【請求項2】
前記(A)成分が、テトラカルボン酸二無水物と下記式(5)で表されるジアミンを含むジアミン化合物との反応生成物であるポリアミック酸の閉環誘導体であるポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有するポリマーである請求項1〜3のいずれか1項に係る熱伝導性接着剤組成物。
【化1】


(式中、R1は炭素原子数3〜9の二価の有機基、R2及びR3はおのおの独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、rは1〜200の整数である。)
【請求項3】
前記ジアミン化合物が下記式(6')で表されるジアミンを更に含む請求項4に係る熱伝導性接着剤組成物。
【化2】


〔式中、R4は独立に水素原子、ハロゲン原子、又は非置換もしくは置換の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、nは0〜5の整数であり、Aは独立に
【化3】


(式中、R4は上記と同じであり、Rは独立に水素原子、ハロゲン原子又は非置換もしくは置換の一価炭化水素基である。)
であり、Bは独立に
【化4】


(式中、R4は上記と同じである。)
である。〕
【請求項4】
前記式(6')で表されるジアミンが下記式(6)で表されるジアミンである請求項5に係る熱伝導性接着剤組成物。
【化5】


(式中、R4は上記と同じである。)
【請求項5】
フィルム状に成形された請求項1〜4のいずれか1項に係る熱伝導性接着剤組成物。
【請求項6】
基材と、該基材上に設けられた請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱伝導性接着剤組成物からなる接着剤層とを備えた接着用シート。
【請求項7】
基材とその上に設けられた粘着剤層とを有するダイシングフィルムと、該ダイシングフィルムの粘着剤層上に設けられた請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱伝導性接着剤組成物からなる接着剤層とを備えた熱伝導性ダイシング・ダイアタッチフィルム。

【公開番号】特開2013−91680(P2013−91680A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232823(P2011−232823)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】