説明

熱架橋性ポリアクリレートおよびその製造方法

【課題】環状エーテル、特にエポキシド基またはオキセタン基と結合反応するのに適した官能基を含むポリアクリレートを熱架橋するための架橋剤−促進剤系を提供すること。
【解決手段】この架橋剤−促進剤系は、エポキシド基またはオキセタン基を含有する少なくとも1つの物質(架橋剤)と、ポリアクリレートの溶融温度より低い温度で、結合反応に促進的に作用する少なくとも1つの物質(促進剤)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアクリレートの熱架橋方法、そのような架橋のための架橋剤−促進剤系、および相応に製造された熱架橋性または熱架橋されたポリアクリレートに関する。
【背景技術】
【0002】
価値の高い産業的な用途のために、特に接着剤組成物、感圧接着剤組成物、またはヒートシール剤組成物としても、とりわけポリアクリレートが用いられる。なぜならポリアクリレートは、この使用分野において増大する要求に非常に適することが判明しているからである。
【0003】
このように付着剤組成物は、優れた粘着性(「タック」)を有していなければならず、ただしせん断強度の範囲内での高い要求も満たさなければならない。同時に、優れた加工性、特にこの組成物を支持体材料上にコーティングすることに関する高い適性も備えていなければならない。これは特に、高い分子量、高い極性を備えており、かつ続いて効率よく架橋されるポリアクリレートによって達成される。これに加えポリアクリレートは、透明で、かつ耐候性に製造することができる。
【0004】
例えば感圧接着剤、粘弾性支持体、またはヒートシール剤組成物として使用可能なポリアクリレート組成物を、溶液からまたは分散液としてコーティングする場合の現況技術は、ずっと以前から熱架橋である。一般的には、熱架橋剤、例えば多官能性イソシアネート、金属キレート、または多官能性エポキシドを、然るべき官能基を含むポリアクリレート溶液に添加し、基材上にドクターブレードまたは塗布バーを使って平面的にコーティングし、続いて乾燥する。これにより希釈剤、つまり有機溶剤または分散液の場合は水が気化し、かつポリアクリレートが相応に架橋される。この架橋はコーティングのために非常に重要であり、というのもこれによってコーティングが十分な凝集性および熱せん断強度を得るからである。架橋しなければコーティングが柔らか過ぎ、かつ小さい負荷でも流れ出してしまう。コーティング結果を良くするための本質は、ポットライフ(その系が加工可能な状態にある加工時間)に留意することであり、このポットライフは架橋系に応じて明らかに異なり得る。この時間が短過ぎると架橋剤がポリアクリレート溶液中ですでに反応してしまい、この溶液は、もう架橋し始めており(部分ゲル化または完全ゲル化)、むらなくコーティングできなくなっている。
【0005】
特に環境保護の理由から、感圧接着剤組成物を製造するための科学技術的プロセスは常に発展し続けている。より規制の強くなる環境上の制限および溶剤の価格上昇のゆえに、ポリマーのための製造プロセスから溶剤をできるだけ排除しようとする努力が為されている。したがって当業界においては、無溶剤コーティング技術を用いる溶融方法(熱溶融方法またはホットメルト方法とも言う)が、ポリマー、特に感圧接着剤組成物の製造にとって重要性を増している。その場合、溶融性ポリマー組成物、つまり高められた温度下に分解されずに流動可能な状態に移行するようなポリマー組成物が加工される。このような組成物は、格別に溶融状態からの加工が可能である。このプロセスの変形形態では製造も、少量の溶剤で、または溶剤なしで実施することができる。
【0006】
ホットメルトテクノロジーの導入は、接着剤組成物への要求を増大させる。特に前述の溶融性ポリアクリレート組成物(別名は「ポリアクリレートホットメルト」、「アクリレートホットメルト」)は、改良を目指して非常に集中的に研究されている。ポリアクリレート組成物を溶融物からコーティングする場合、熱架橋は、この方法が利点を有するであろうにもかかわらず、これまであまり普及していなかった。
【0007】
これまでアクリレートホットメルトは、とりわけ放射線化学的方法(UV照射、EBC照射)によって架橋されていた。しかしこの手順は種々の欠点と結び付いており、すなわち
− UV放射線による架橋の場合、UV透明性(UV透過性)の層しか架橋できない、
− 電子線による架橋(電子線架橋、または電子線硬化、並びにEBC)の場合、電子線が、照射する材料の密度および加速電圧に依存して限られた侵入深度しか持たない、
− 前述のどちらの方法でも、架橋後に層が架橋プロフィルを有しており、感圧接着剤層は均質には架橋されない。
【0008】
良好に架橋された層を得るには、感圧接着剤層が相対的に薄くなければならない。放射線を通すことができる厚さは、密度、加速電圧(EBC)、および有効波長(UV)に応じて確かに変化するが、しかしいずれの場合にも大きな制限があり、したがって任意に厚い層を完全に架橋することはできず、しかも全く均質でない。
【0009】
現況技術では、アクリレートホットメルトを熱架橋するための幾つかの方法も知られている。その場合、それぞれ、コーティング前にアクリレート溶融物に架橋剤を添加し、その後成形し、かつロールに巻きつける。
【0010】
NCO反応基を含むアクリレートホットメルト組成物の直接的な熱架橋がEP0752435A1(特許文献1)に記載されている。使用されたブロック剤なしのイソシアネート、特に立体阻害され、かつ二量化されたイソシアネートは、非常に激しい架橋条件を必要とし、その結果、有意な技術的転換が問題を引き起こす。このEP0752435A1(特許文献1)に記載された手順は、溶融物からの加工の際に支配的であるような条件の場合、急速で比較的広範囲の架橋が起こり、このため特に支持体材料のコーティングに関して、組成物の加工が困難である。特に、接着テープの多くの産業的な用途に必要であるような非常に均質な接着剤層を得ることができない。
【0011】
さらに現況技術では、ブロックドイソシアネートが用いられる。このコンセプトに関する欠点は、ブロック化基または断片が遊離することであり、これらは接着技術的特性に対して悪影響がある。一例はUS4,524,104A(特許文献2)である。ここでは、触媒としてのシクロアミジンまたはその塩と共にブロックされたポリイソシアネートによって架橋され得るアクリレートホットメルト感圧接着剤が記載されている。この系の場合、1つには必要な触媒が、しかしとりわけ、発生するHCN、フェノール、カプロラクタム、またはその類似物が、生成物の特性を大きく損なわせる可能性がある。加えてこのコンセプトの場合もしばしば、反応基を遊離するために激しい条件が必要である。言うに値するほどの材料の活用はこれまで知られておらず、かつまた魅力的でないと思われる。US6,340,719B1(特許文献3)には、同様にブロックされたモノイソシアネートまたはポリイソシアネートが記載されており、このモノイソシアネートまたはポリイソシアネートは、二重結合を介してポリアクリレート内に組み込まれる。ここでも上に挙げた問題が生じ、さらに溶融状態での加工の際にはまだ、脱ブロック化が絶対に進行してはならないということも加わる。というのは、ポリマー骨格への結合によって、遊離したイソシアネート官能基性の反応が、早々にネットワーク形成を、したがってゲル化を引き起こし得るからである。
【0012】
DE102004044086A1(特許文献4)は、アクリレートホットメルトを熱架橋するための方法を記載しており、この方法の場合、熱反応型架橋剤を配量添加した後に、コンパウンド化、搬送、およびコーティングのために十分に長い加工時間を持つ、溶剤不含の官能化されたアクリレートコポリマーは、好ましくは圧延方法によって、さらなる材料の帯状の層、特にテープ状の支持体材料または接着剤組成物層上にコーティングされ、かつこのアクリレートコポリマーは、コーティング後に緩やかな条件下で、感圧接着テープ用に十分な凝集性に達するまで後架橋される。
【0013】
この方法に関する欠点は、架橋剤(イソシアネート)の反応性によって、自由加工時間および架橋度が予め決められることである。イソシアネートを使用する場合、イソシアネートがすでに添加時に部分的に反応し、このためゲルが存在しない時間が系に応じて非常に短い可能性がある。ヒドロキシ基またはカルボン酸のような官能基を比較的高い割合で含む組成物は、その後のコーティングではもう十分にうまくはコーティングできない。縞状で、ゲル粒が点在した、つまり不均質な塗布像になる。
【0014】
さらに、達成可能な架橋度が制限されるという問題が生じる。比較的多量の架橋剤を添加することにより比較的高い架橋度を所望する場合、これは、多官能性イソシアネートを使用する際に、欠点がある。この組成物は反応が速過ぎるであろうし、もしそうなら非常に短い加工時間で、したがって非常に高いコーティング速度でしかコーティングできなくなり、そのため不均質なコーティング像の問題が増大することになろう。
【0015】
DE10008841A1(特許文献5)は、tert−ブトキシカルボニル(BOC)保護基、カチオン性光開始剤、および二官能性イソシアネートおよび/または二官能性エポキシドを含むポリマー混合物を熱架橋することによって得ることができるポリアクリレートを記載している。さらに、架橋されたポリアクリレートの製造方法が記載されており、この方法の場合、架橋すべきポリマーを、まずtert−ブトキシカルボニル基の導入によって保護し、そして架橋は脱保護の後に初めて、その時点では脱保護されているポリアクリレートを熱処理することによって行われる。その際、保護基の導入は、例えばホットメルトプロセスにおいてそうであるように、早期の加工段階中にプロセス温度がすでに高い場合に、もっと後で達成しようとしている架橋反応を回避するのに役立つ。この保護は特にこの時点での架橋反応に対して有効であるが、しかし加工すべきポリマーの保護されていない官能基、特にポリマーのヒドロキシ基に作用するであろう他の全ての競争反応にも有効である。
【0016】
そこに紹介されている方法に関する欠点は、コーティングの後になってから反応基をUV照射によって遊離しなければならないことである。したがってここでは熱架橋に関し、すでに上で放射線誘発された架橋(UV照射)に関して挙げた欠点が当てはまる。加えて可燃性のイソブテンが放出される。
【0017】
EP1317499A(特許文献6)は、UV開始型のエポキシド架橋を介したポリアクリレートの架橋方法を記載しており、この場合、ポリアクリレートは重合中に対応する基によって官能化される。この方法は、従来の架橋メカニズム、特に電子線架橋と比べて、架橋されたポリアクリレートのせん断強度に関する利点を提供する。この明細書には官能化ポリアクリレート、特に官能化アクリレートホットメルト感圧接着剤用の架橋剤として二官能性または多官能性の酸素含有化合物、特に二官能性または多官能性のエポキシドまたはアルコールの使用が記載されている。
【0018】
架橋がUV放射線によって開始されるので、ここでもすでに挙げた欠点が生じる。
【0019】
EP1978069A(特許文献7)は、ポリアクリレートを熱架橋するための架橋系を開示しており、ここでは架橋剤−促進剤系が、架橋剤としての少なくとも1つのエポキシド基含有物質と、ポリアクリレートの溶融温度より低い温度でポリアクリレートとエポキシド基の結合反応に促進的に作用する少なくとも1つの物質とを含んでいる。このような促進剤として、例えばアミンまたはホスフィンが提案されている。この系はすでに、ホットメルト方法のための優れた使用可能性をもたらしているが、しかし成形後のポリアクリレートの架橋速度を高めることが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】EP0752435A1
【特許文献2】US4,524,104A
【特許文献3】US6,340,719B1
【特許文献4】DE102004044086A1
【特許文献5】DE10008841A1
【特許文献6】EP1317499A
【特許文献7】EP1978069A
【特許文献8】US6,765,078B2
【特許文献9】US6,720,399B2
【特許文献10】EP1311555B1
【特許文献11】EP0824111A1
【特許文献12】EP826698A1
【特許文献13】EP824110A1
【特許文献14】EP841346A1
【特許文献15】EP850957A1
【特許文献16】US5,945,491A
【特許文献17】US5,854,364A
【特許文献18】US5,789,487A
【特許文献19】WO2006/027387A1
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、T. Guenther、B. Mertschenk、U. Rust、Cyanamides、Vol. 10、173〜197頁、第6版、Wiley-VCh、Weinheim、2003
【非特許文献2】T.G. Fox、Bull. Am. Phys. Soc. 1 (1956) 123
【非特許文献3】Polymer 8/1967、381頁以降
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の課題は、溶融物から加工可能なポリアクリレート組成物(「ポリアクリレートホットメルト」)の熱架橋を可能にすることであり、その際、特にポリアクリレートホットメルトのための既知の熱架橋系の場合のポットライフと比べて、溶融物からの加工のための十分に長い加工時間(「ポットライフ」)が提供されるべきであり、及びその点で、例えば文献DE102004044086A(特許文献4)またはEP1978069A(特許文献7)に記載されているような系に対する代替策を提供することである。好ましくは、ポリアクリレート組成物の成形後に、低下した温度(例えば室温)で、これまでに知られている系の場合より速く進行する架橋反応が起こるべきであり、かつ/またはより好ましくは、特に架橋剤の塩素含有を回避することによって分解生成物または燃焼生成物がより環境にやさしい架橋剤−促進剤系を使用するべきである。
【0023】
その際、必要に応じて化学線放射または別の手段によって再び除去しなければならない保護基、および後で生成物中に残り、かつ気化する揮発性化合物の使用をやめるべきである。さらに、プロセス操作の利点に悪影響を及ぼすことなく、ポリアクリレート組成物の架橋度を所望のレベルに調整し得るべきである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
以下では、ポリアクリレート組成物を、同じ意味で短く「ポリアクリレート」とも言う。架橋していないポリアクリレート組成物には「重合物(Polymerizate)」という概念も使用し、架橋された、または初期架橋状態のポリアクリレート組成物には「ポリマー」という概念も使用する。
【0025】
架橋剤として少なくとも1つの環状エーテル、特にエポキシド基またはオキセタン基を含む物質と、促進剤として、架橋すべきポリアクリレートの溶融温度より低い温度で、エポキシド基またはオキセタン基を含む化合物による架橋反応に促進的に作用する少なくとも1つの物質とを含む架橋剤−促進剤系(「架橋系」)が、前述の課題を格別にうまく解決することが図らずしも見出された。特に、少なくとも2つのシアナミド分子からの1つまたは複数の反応生成物、および/またはその反応生成物の1つまたは複数の誘導体を促進剤として使用する。
【0026】
促進的に作用する物質とは特に、この物質が本発明に基づき十分な反応速度をもたらす一方で、促進剤のない状態では、選択した反応パラメータ、ここでは特にポリアクリレートの溶融温度より低い温度の場合に、架橋反応が進行しないか、または不十分にゆっくりとしか進行しないであろうという点で架橋反応をサポートすることを意味する。つまり促進剤は、架橋反応の反応キネティクスの本質的な改善をもたらす。これは本発明によれば、触媒的に行うこともできるし、また反応現象に組み入れることによって行うこともできる。
【0027】
架橋すべきポリアクリレートは、エポキシド基またはオキセタン基と特に付加反応または置換反応の意味で結合反応するのに適した官能基を含んでいる。
【0028】
対応する促進剤なしのエポキシドは、熱影響下でしか反応せず、しかも特に熱エネルギーを比較的長く供給した後にようやく反応する。オキセタンもまた、触媒または促進剤なしではもっと反応し難いであろう。例えばZnClのような既知の促進剤物質は、確かに溶融温度範囲内での反応性を改善させるが、しかし外部からの熱エネルギーの供給がない場合(つまり例えば室温の場合)、エポキシドまたはオキセタンの反応性は促進剤が存在していても失われ、したがって架橋反応は中断する(つまり促進剤は、所与の温度で、もはや上述の意味において促進的には作用しない)。これは特に、ホットメルトとして加工されるポリアクリレートを、相対的に短い時間(数分)内でコーティングし、かつその後、さらなる熱供給がないことにより急速に室温または保存温度まで冷却される場合に問題である。さらなる架橋反応を開始しなければ高い架橋度を達成できないであろうし、これは特にポリアクリレートの多くの用途分野、例えば特に感圧接着剤組成物としての使用に対し、組成物の凝集性が低過ぎる結果となるであろう。
【0029】
熱間でのみ機能する促進剤を含む架橋剤系、例えばZnClの存在下でのエポキシド架橋剤またはオキセタン架橋剤を、ポリアクリレート系に付与するのが(十分な架橋度を達成するのに)早過ぎる場合、この組成物は架橋が速く、高過ぎることになるか、またはそれどころかゲル化する(「制御されずに」架橋する)であろうから、この組成物はもう均質に加工、特にコンパウンド化およびコーティングされ得なくなるであろう。
【0030】
ポリアクリレートホットメルト組成物の加工の際に、つまり溶融状態において、制御されていない反応(組成物のゲル化)が引き起こされることがなく、かつ加工のために十分に長い時間(ポットライフ)はそのままである熱架橋方法は、前述の成分の本発明による組合せによって提供することができ、これにより特に、層として延ばして塗る際、または支持体上に塗布する際に、むらなく気泡のない塗布像をもたらすことができる。加えてこの架橋剤−促進剤系は、加工の後で、特に層として延ばして塗った後または支持体上に塗布した後で、溶融の達成に必要であるより明らかに少ない熱エネルギーを供給する場合に、つまり冷却後に、ポリアクリレートをさらに架橋させることができ、このために化学線照射を必要とせず、かつ現況技術において既知の系と比べて有意に高い架橋速度で架橋させることができる。
【0031】
この架橋剤−促進剤系によって特に、さらなる熱エネルギー(加熱)を積極的に供給する、つまりプロセス技術的に供給することなく、特に室温(室温20℃)または室温に近い温度に冷却した後で、ポリアクリレートをさらに架橋することができる。特に、架橋のこの段階で加熱を無しで済ませることができ、これが架橋反応の中断をもたらすことはない。
【0032】
したがって主請求項は、架橋剤としての少なくとも1つのエポキシド基またはオキセタン基を含有する物質と、少なくとも2つのシアナミド分子からの1つまたは複数の反応生成物および/またはそのような反応生成物の1つまたは複数の誘導体、特にシアナミドの二量体(ジシアンジアミド)および/または置換されていない三量体(メラミン)および/または置換された三量体(1,3,5−トリアジン誘導体)の形での、ポリアクリレートの溶融温度より低い温度、特に室温で、結合反応に促進的に作用する少なくとも1つの物質(「促進剤」)とを含む、ポリアクリレートを熱架橋するための架橋剤−促進剤系に関する。ここに挙げる促進剤は、エポキシド樹脂用の硬化剤として知られているが、しかしながら意外にもこれらの促進剤が、ポリアクリレートを架橋するための促進剤としても適していることが分かり、このポリアクリレートは、ホットメルトプロセス中に熱活性された後、室温でも後架橋され、そしてある程度の時間の後、安定した架橋度を達成する。その際、エポキシド樹脂を硬化するための普通の反応温度は約180℃であり(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、T. Guenther、B. Mertschenk、U. Rust、Cyanamides、Vol. 10、173〜197頁、第6版、Wiley-VCh、Weinheim、2003(非特許文献1))、したがってホットメルト法のプロセス温度よりはるかに高い。そのため促進剤としてのこのような系の使用は、当業者にとって明白ではなかった。さらにこの促進剤系は、共有結合的に(例えばエポキシドとの反応によって2−イミノオキサゾリジン誘導体へ)、またはポリアクリレート中のアクリル酸の中和によってイオン的に、ポリマー内に組み込まれることによって、不揮発性の成分として接着剤組成物中に留まるという利点を有する。特に意外にも本発明に従って挙げられる促進剤に関して、これらの促進剤が、例えばEP1978069A(特許文献7)で開示された促進剤より、特に架橋反応の速度に関して明らかに優っていることが分かった。
【0033】
この架橋剤−促進剤系は特に、エポキシド基またはオキセタン基と特に付加または置換の形式で結合反応できる官能基の存在下で使用される。つまり好ましくは、官能基を有する構成単位が、エポキシド基またはオキセタン基を有する構成単位と結合する(特に、結合ブリッジとしてのエポキシド基またはオキセタン基を有する物質を介して、官能基を有する対応するポリマー構成単位を架橋するという意味において)。
【0034】
原理的には、オキセタン基を含有する架橋剤のために、すでにEP1978069A(特許文献7)で述べられたような、エポキシドのための促進剤も使用することができ、詳しく言うとアミン(正式にはアンモニアの置換生成物と解され、特にアルキル残基および/またはアリール残基および/または別の有機残基を含む:以下の式では置換基を「R」で表わす)であり、特に好ましくは、ポリアクリレートの構成単位とは反応しないか、または僅かにしか反応しないようなアミンである。その際、原理的には、促進剤として第一級アミン(NRH)も第二級アミン(NRH)も第三級アミン(NR)も選択することができ、もちろん複数の第一級アミン基および/または第二級アミン基および/または第三級アミン基を有するようなアミンも選択することができる。特に好ましい促進剤は、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6−トリス−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N’−ビス(3−(ジメチルアミノ)プロピル)尿素である。促進剤として、ジアミン、トリアミン、および/またはテトラミンのような多官能性アミンも有利に使用可能である(格別に適しているのは、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリメチルヘキサメチレンジアミンである)。さらに、原理的に適している促進剤は、ピリジン、イミダゾール(例えば2−メチルイミダゾール)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ−7−エンである。脂環式ポリアミンも、格別に促進剤として使用することができる。ホスフィンおよび/またはホスホニウム化合物、例えばトリフェニルホスフィンまたはテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボラートのようなホスフェートをベースとする促進剤も適している。これらの促進剤はオキセタンと結合させると、確かにエポキシドおよび/またはオキセタンならびに少なくとも2つのシアナミド分子からの反応生成物および/または1つまたは複数の誘導体から成る系より、架橋反応に関して反応が遅いが、しかしオキセタン−促進剤系はその製造上、有機塩素化合物を含まないという利点を有する。
【0035】
本発明のさらなる態様は、本発明による架橋剤−促進剤系によって実施可能な、ポリアクリレートのための架橋方法に関し、特に、溶融物からの加工可能なポリアクリレート感圧接着剤組成物を、上述の架橋剤−促進剤系を使用して熱架橋するための方法に関する。
【0036】
以下に本発明による方法との関連において、使用する架橋剤−促進剤系に関する有利な実施形態、つまり例えば有利な組成などについて記載する場合、それらの記載は、方法の説明および方法の請求項への直接的な言及がなくても、本発明による架橋剤−促進剤系自体に対しても適用される。
【0037】
エポキシド基またはオキセタン基を含有する物質は、特に多官能性のエポキシドまたはオキセタンであり、つまり少なくとも2つのエポキシド基またはオキセタン基を含む物質であり、これに応じて全体的に、官能基を有する構成単位を間接的に結合する。
【0038】
二官能性および/または多官能性のエポキシドまたはオキセタンと共に、またはその代わりに、混合官能性化合物、つまり少なくとも1つのエポキシド基および少なくとも1つのオキセタン基を含む化合物、特に1つだけのエポキシド基および1つだけのオキセタン基を含む化合物も使用することができる。
【0039】
本発明による方法は、予測し得ない優れたやり方で、ポリアクリレートのための安定的な架橋プロセスを提供することができ、しかも架橋度と反応性(反応キネティクス)がほとんど干渉し合わないことにより、架橋形成に関する優れた制御可能性を伴うという利点を提供する。
【0040】
本発明による方法は、ポリアクリレートを熱架橋するのに有利に用いられる。この方法は、ポリアクリレート組成物(以下に、簡単に「ポリアクリレート」と言う)、特にアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルをベースとするポリアクリレートコポリマーを出発点とし、その際、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの少なくとも一部が、環状エーテル、特にエポキシド基またはオキセタン基と上で説明したやり方で、特に共有結合を形成しながら反応し得る官能基を含んでいる。
【0041】
架橋されたポリアクリレートは、組成物におけるある程度の凝集性が望まれるあり得る全ての使用分野に使用することができる。この方法は、ポリアクリレートをベースとする粘弾性材料にとって特に有利である。本発明による方法の特別の使用分野は感圧接着剤組成物の熱架橋であり、特にホットメルト感圧接着剤組成物の熱架橋でもある。
【0042】
本発明の方法の場合、特に有利には、溶融状態でポリアクリレートの架橋を開始し、かつその後、ポリアクリレートがまだ優れた加工可能、つまり例えば均質にコーティング可能および/または優れて成形可能であるまでの時点でポリアクリレートを冷却する。特に接着テープ用には、均質なむらのない塗布像が必要であり、その際、接着剤組成物層中に塊、粒(斑点)などが存在すべきでない。相応に均質なポリアクリレートは、別の使用形態にも要求される。
【0043】
成形性またはコーティング性は、ポリアクリレートがまだ架橋していないか、または僅かな程度に架橋されたばかりの場合に存在し、すなわち冷却を始める際の架橋度は10%以下、好ましくは3%以下、さらにより好ましくは1%以下であることが有利である。架橋反応は、冷却後も最終的な架橋度が達成されるまで続く。
【0044】
「冷却」という概念は、ここでは、および以下では、加熱を解除することによる消極的な放冷も含んでいる。
【0045】
本発明による方法は特に、ポリアクリレートの溶融状態での架橋を、架橋剤、特に架橋剤−促進剤系の存在下で、(つまり熱により)開始し、好ましくは二次加工、特に成形またはコーティングの直前の時点で開始するように実施することができる。これは、通常は処理反応器(コンパウンダ、例えば押出機)内で行われる。その後、コンパウンダから組成物を取り出し、かつ所望通りに二次加工および/または成形する。加工または成形の際またはその後に、積極的な冷却および/または加熱の調整によって、または温度を室温まで下げるべきでない場合は、(ここでも必要に応じて、事前の積極的な冷却の後に)ポリアクリレートを加工温度より低い温度に加熱することによって、ポリアクリレートを冷却する。
【0046】
二次加工または成形は、特に有利には、永続的または一時的な支持体上へのコーティングであり得る。
【0047】
本発明の非常に有利な変形形態の場合、ポリアクリレートを処理反応器から取り出す際または取り出した後に、永続的または一時的な支持体上にコーティングし、かつコーティングの際またはコーティングの後で、特にコーティングの直後に、ポリアクリレート組成物を室温(または室温に近い温度)に冷却する。
【0048】
二次加工の「直前」に開始するとは、特に、架橋に必要な成分の少なくとも1つ(特にエポキシド基もしくはオキセタン基を含有する物質および/または促進剤)を、ホットメルトに(つまり溶融物に)できるだけ遅く(このときはまだ架橋度が低いことにより均質な加工性;上記参照)、ただしポリマー組成物との良好な均質化を行うのに必要な程度に早く添加することを意味する。
【0049】
架橋剤−促進剤系は、ポリアクリレート組成物の溶融温度より低い温度で、特に室温で、架橋反応が進行するように選択する。その際、室温で架橋可能であることは、追加のエネルギーを供給しなくてよく、したがって費用節約を成し得るという利点を提供する。
【0050】
その際、「室温での架橋」という表現は、特に接着テープ、粘弾性で非接着性の材料などの通常の保管温度での架橋に関連しており、かつこの点から20℃に限定されるべきではない。もちろん本発明によれば、天候により、もしくはその他の温度変動に基づき保管温度が20℃から外れる、または室温が局所的な実情に基づき20℃と異なる場合も、また架橋が特にさらなるエネルギー供給なしで続行する場合も有利である。
【0051】
エポキシド基またはオキセタン基を含有する物質として、特に多官能性のエポキシドまたはオキセタンを使用し、1分子あたり少なくとも2つのエポキシド単位またはオキセタン単位を有する(つまり少なくとも二官能性である)ような物質を使用する。これは芳香族化合物でも脂肪族化合物でもよい。
【0052】
格別に適した多官能性エポキシドは、エピクロルヒドリンのオリゴマー、多価アルコールのエポキシエーテル[特にエチレングリコール、プロピレングリコール、およびブチレングリコール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、ペンタエリトリトール、ソルビット、ポリビニルアルコール、ポリアリルアルコール、およびその類似物]、多価フェノールのエポキシエーテル[特にレゾルシン、ヒドロキノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロムフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシー3,5−ジクロロフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4’−メチルフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−クロロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン]ならびに、それらのヒドロキシエチルエーテル、エポキシド化シクロアルケン[特にアジピン酸ジ−3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエステル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン]、フェノールホルムアルデヒド縮合生成物、例えばフェノールアルコール、フェノールアルデヒド樹脂、およびその類似物、S含有エポキシドおよびN含有エポキシド(例えばN,N−ジグリシジルアニリン、N,N’−ジメチルジグリシジル−4,4−ジアミノジフェニルメタン)、ならびに通常の方法に基づきポリ不飽和カルボン酸または不飽和アルコールのモノ不飽和カルボン酸エステルから製造されたエポキシド、グリシジルエステル、不飽和酸のグリシジルエステルの重合または共重合によって獲得可能な、または別の酸性化合物(シアヌル酸、ジグリシジルスルフィド、環状トリメチレントリスルホンまたはそれらの誘導体およびその他)から得ることができるポリグリシジルエステルである。
【0053】
非常に適したエーテルは、例えば1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリグリセロール−3−グリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、およびビスフェノールFジグリシジルエーテルである。
【0054】
格別に適した多官能性オキセタンまたはそれ自体の中でエポキシド官能性およびオキセタン官能性が組み合わされた架橋剤は、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、2,4:3,5−ジアンヒドリド−1,6−ジ−O−ベンゾイルマンニトール、および1,4−ビス[2,2−ジメチル−(1,3)ジオキソラン−4−イル]−3,3−ジメチル−2,5−ジオキサビシクロ[2.1.0]ペンタンである。
【0055】
促進剤としては、特に好ましくはシアナミドの二量体(ジシアンジアミド)または三量体(メラミン)ならびにそれらの誘導体(1,3,5−トリアジン、アンメリン、アンメリド、シアヌル酸、イソシアヌル酸、およびグアナミン類、ならびにこれらの物質をベースとする当業者に周知のさらなる化合物)を使用し、特に好ましくはポリアクリレートの構成単位と反応する化合物を使用するが、ただしその反応は、例えばエポキシドまたはオキセタンのような環状エーテルの活性化より著しくゆっくりと進行する。
【0056】
本発明に従って架橋すべき組成物は、少なくとも1種のポリアクリレートを含んでいる。それは、アクリルモノマー(これはメチルアクリルモノマーとも解される)および必要に応じてさらなる共重合可能なモノマーをラジカル重合することによって得ることができる重合物である。
【0057】
好ましくは、エポキシド基またはオキセタン基によって架橋可能なポリアクリレートである。これに応じモノマーまたはコモノマーとしては、好ましくはエポキシド基またはオキセタン基によって架橋可能な官能性モノマーを使用し、ここでは特に酸性基(特にカルボン酸基、スルホン酸基、またはホスホン酸基)および/またはヒドロキシ基および/または酸無水物基および/またはエポキシド基および/またはアミン基を含むモノマーを使用し、好ましくはカルボン酸基を含有するモノマーである。ポリアクリレートが、重合導入されたアクリル酸および/またはメタクリル酸を有する場合が特に有利である。
【0058】
ポリアクリレートのためのコモノマーとして使用し得るさらなるモノマーは、例えば最大30個の炭素原子を含むアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル、最大20個の炭素原子を含むカルボン酸のビニルエステル、最大20個の炭素原子を含むビニル芳香族類、エチレン性不飽和ニトリル、ハロゲン化ビニル、1〜10個の炭素原子を含むアルコールのビニルエーテル、2〜8個の炭素原子および1つまたは2つの二重結合を含む脂肪族炭化水素、またはこれらのモノマーの混合物である。
【0059】
本発明による方法のために好ましくは、以下の原料混合物をベースとし、特に軟化性のモノマーと、さらにエポキシ基またはオキセタン基と反応、特に付加反応および/または置換反応し得る官能基を含むモノマーと、任意で、重合導入可能なさらなるコモノマー、特に硬化性のモノマーとを含むポリアクリレートを使用する。製造すべきポリアクリレート(感圧接着剤組成物、ヒートシール剤組成物、粘弾性で非接着性の材料など)の性質は、特に個々のモノマーの様々な重量分率によりポリマーのガラス転移温度を変化させることによって影響を及ぼすことができる。
【0060】
純結晶系に関しては、融点Tで結晶と液体の間の熱平衡が存在する。これに対し非晶質または部分結晶性の系は、多かれ少なかれ硬い非晶質または部分結晶性の相から、より柔らかい(ゴム状からネバネバ状までの)相に遷移することを特徴とする。ガラス転移点では、特にポリマー系の場合、比較的長い鎖セグメントのブラウン分子運動の「解凍」(または冷却の場合「凍結」)が起こる。
【0061】
したがって融点T(「溶融温度」とも言い、本来は純結晶に対してのみ定義される;「ポリマー結晶」)からガラス転移点T(「ガラス転移温度」、「ガラス温度」とも)への移行は、試験される試料の部分結晶化度に応じて流動的であると見做すことができる。
【0062】
本明細書の枠内では、上に詳述した考え方に沿って、ガラス転移点を記載した場合は融点も含まれており、つまり対応する「溶融性」の系に関する融点は、ガラス転移点(または同じ意味でガラス転移温度)としても解釈される。ガラス転移温度の記載は、低周波数での動的機械分析(DMA)による決定に基づいている。
【0063】
所望のガラス転移温度を有するポリマー、例えば感圧接着剤組成物またはヒートシール剤組成物を達成するには、このポリマーの所望のT値が、Foxの等式(T.G. Fox、Bull. Am. Phys. Soc. 1 (1956) 123(非特許文献2)を参照)に倣った等式(G1)に基づいて与えられるように、モノマー混合物の量的組成を選択することが有利である。
【0064】
【数1】

【0065】
式中で、nは使用したモノマーの通し番号を表わしており、wはそれぞれのモノマーnの質量分率(重量%)を表わしており、TG,nはそれぞれのモノマーnから成るホモポリマーのそれぞれのガラス転移温度を単位Kで表す。
【0066】
以下のモノマー組成に由来し得るポリアクリレートを使用することが好ましい。
a)以下の式のアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル
CH=C(R)(COORII
ただし、R=HまたはCH、RIIは4〜14個の炭素原子を含むアルキル残基である。
b)エポキシド基またはオキセタン基との反応性に関してすでに定義した種類の官能基を含むオレフィン性不飽和モノマー。
c)任意で、成分(a)と共重合可能なさらなるアクリレートおよび/またはメタクリレートおよび/またはオレフィン性不飽和モノマー。
【0067】
ポリアクリレートを感圧接着剤として使用するには、対応する成分(a)、(b)、および(c)の割合は、重合生成物が特に≦15℃のガラス温度(低周波数でのDMA)を有するように選択される。
【0068】
感圧接着剤組成物を製造するには、成分(a)のモノマーを45〜99重量%の割合で、成分(b)のモノマーを1〜15重量%の割合で、かつ成分(c)のモノマーを0〜40重量%の割合で選択することが非常に有利である(この記載は「ベースポリマー」のためのモノマー混合物に対するものであり、つまりできあがったポリマーには、樹脂などのような、場合によってはあり得る添加剤は添加されていない)。
【0069】
ホットメルト接着剤、つまり加熱されてから粘着性になる材料を使用するには、対応する成分(a)、(b)、および(c)の割合は、特にコポリマーが15℃〜100℃、好ましくは30℃〜80℃、特に好ましくは40℃〜60℃のガラス転移温度(T)を有するように選択される。成分(a)、(b)、および(c)の割合は、相応に選択することができる。
【0070】
例えば、典型的には両面に感圧接着剤層を張り合わせることができる粘弾性材料は、特に−50℃〜+100℃、好ましくは−20℃〜+60℃、特に好ましくは0℃〜40℃のガラス転移温度(T)を有している。成分(a)、(b)、および(c)の割合は、この場合も相応に選択することができる。
【0071】
成分(a)のモノマーは、特に軟化性および/または非極性のモノマーである。
【0072】
モノマー(a)のために、4〜14個の炭素原子、好ましくは4〜9個の炭素原子から成るアルキル基を含むアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを含むアクリルモノマーを使用することが好ましい。このようなモノマーの例は、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、およびそれらの分枝異性体、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートである。
【0073】
成分(b)のモノマーは、特に、官能基を含む、特にエポキシド基と反応し得る官能基を含むオレフィン性不飽和モノマー(b)である。
【0074】
成分(b)のために、以下に列挙したものから選択される官能基を含むモノマーを使用することが好ましい。すなわちヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、またはホスホン酸基、酸無水物、エポキシド、アミンである。
【0075】
成分(b)のモノマーのための特に好ましい例は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、アコニット酸、ジメチルアクリル酸、β−アクリロイルオキシプロピオン酸、トリクロロアクリル酸、ビニル酢酸、ビニルホスホン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、アリルアルコール、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートである。
【0076】
原理的には、成分(c)の意味において、全てのビニル官能化された化合物を使用することができ、この化合物は、成分(a)および/または成分(b)と共重合可能であり、かつ結果として生じる感圧接着剤組成物の特性を調整するためにも役立ち得る。
【0077】
成分(c)のためのモノマーの例を挙げると、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、t−ブチルフェニルアクリレート、t−ブチルフェニルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−ウンデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ベヘニルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート、3,5−ジメチルアダマンチルアクリレート、4−クミルフェニルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノエチルメタクリレート、4−ビフェニルアクリレート、4−ビフェニルメタクリレート、2−ナフチルアクリレート、2−ナフチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、3−メトキシアクリル酸メチルエステル、3−メトキシブチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、ブチルジグリコールメタクリレート、エチレングリコールアクリレート、エチレングリコールモノメチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート350、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート500、プロピレングリコールモノメタクリレート、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N−(1−メチルウンデシル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)メタクリルアミド、N−(エトキシメチル)アクリルアミド、N−(n−オクタデシル)アクリルアミド、さらにN,N−ジアルキル置換アミド、例えばN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、ビニルエーテル、例えばビニルメチルエーテル、エチルビニルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、塩化ビニル、ハロゲン化ビニル、塩化ビニリデン、ハロゲン化ビニリデン、ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルピロリドン、スチレン、α−およびp−メチルスチレン、α−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレン、3,4−ジメトキシスチレン。マクロモノマー、例えば2−ポリスチレンエチルメタクリレート(分子量Mが4000〜13000g/mol)、ポリ(メチルメタクリレート)エチルメタクリレート(Mが2000〜8000g/mol)である。
【0078】
成分(c)のモノマーはまた、後からの放射線化学的架橋(例えば電子線、UVによる)をサポートする官能基を含むように選択できることが有利である。適切な共重合可能な光開始剤は、電子照射による架橋をサポートする、例えばベンゾインアクリレート官能基およびアクリレート官能基を含むベンゾフェノン誘導体モノマーであり、例えばテトラヒドロフルフリルアクリレート、N−tert−ブチルアクリルアミド、アリルアクリレートであり、この列挙はこれで終わりではない。
【0079】
重合物の製造
ポリアクリレートの製造は、当業者に周知の方法に従い、特に有利には従来のラジカル重合または制御されたラジカル重合によって行うことができる。ポリアクリレートは、通常の重合開始剤ならびに必要に応じて調節剤を使用してモノマー成分を共重合することによって製造することができ、その際、通常の温度で、塊状で、エマルジョン中で、例えば水または液状炭化水素中で、または溶液中で重合する。
【0080】
ポリアクリレートは、通常量、一般的には(モノマーの総重量に対して)0.01〜5重量%、特に0.1〜2重量%の重合開始剤を使用して、溶剤中、特に50〜150℃、好ましくは60〜120℃の沸点範囲の溶剤中で、モノマーを重合することによって製造されることが好ましい。
【0081】
原理的には、アクリレート用の当業者に周知の全ての慣用の開始剤が適している。ラジカル源の例は、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、およびアゾ化合物、例えばジベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、シクロヘキシルスルホニルアセチルペルオキシド、ジイソプロピルペルカーボネート、tert−ブチルペルオクトエート、ベンズピナコールである。非常に好ましい手順では、ラジカル開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(Vazo(登録商標)67TM、DUPONT社)または2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル; AIBN、Vazo(登録商標)64TM、DUPONT社)を使用する。
【0082】
溶剤としては、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−およびイソプロパノール、n−およびイソブタノール、好ましくはイソプロパノールおよび/またはイソブタノール、ならびに炭化水素、例えばトルエンおよび特に60〜120℃の沸点範囲のベンジンが挙げられる。特にケトン、例えば好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、および酢酸エチルエステルのようなエステル、ならびに前述の種類の溶剤の混合物を使用することができ、その際、イソプロパノールを、使用する溶液混合物に対して特に2〜15重量%、好ましくは3〜10重量%の量で含む混合物が好ましい。
【0083】
ポリアクリレートの重量平均分子量Mは、好ましくは20,000〜2,000,000g/molの範囲内であり、非常に好ましくは100,000〜1,000,000g/molの範囲内であり、極めて好ましくは150,000〜500,000g/molの範囲内である[本明細書における平均分子量Mおよび多分散性PDの記載は、ゲル浸透クロマトグラフィによる決定に基づく(測定法A3、実験の部を参照)]。これに関し、所望の平均分子量を調整するために、適切な重合調節剤、例えばチオール、ハロゲン化合物、および/またはアルコールの存在下で重合を実施することが有利であり得る。
【0084】
ポリアクリレートは、トルエン(1%溶液、21℃)中での測定で30〜90、特に好ましくは40〜70のK値を有することが好ましい。フィケンチャー法によるK値は、重合物の分子量および粘性に関する尺度である。
【0085】
本発明による方法には、狭い分子量分布(多分散性PD<4)を有するポリアクリレートが特に適している。このような組成物は、比較的低い分子量にもかかわらず、架橋後に特に良好なせん断強度を有する。加えてこの比較的低い分子量は、より広い分布のポリアクリレートに対して、ほぼ同じ使用特性において、流動粘度がより低いので、比較的容易に溶融物から加工することができる。狭い分布のポリアクリレートは、有利には、アニオン重合によって、または制御されたラジカル重合法によって製造し得、その際、後者が特に良く適している。このような、RAFT方法に基づき製造されるポリアクリレートの例は、US6,765,078B2(特許文献8)およびUS6,720,399B2(特許文献9)に記載されている。例えばEP1311555B1(特許文献10)に記載されているように、N−オキシルを介して対応するポリアクリレートを製造することもできる。原子移動ラジカル重合(ATRP)も、狭く分布したポリアクリレートを合成するために有利に使用することができ、その際、開始剤としては好ましくは単官能性または二官能性の第二級または第三級ハロゲン化物を使用し、かつ(1つまたは複数の)ハロゲン化物を引き抜くために、Cu錯体、Ni錯体、Fe錯体、Pd錯体、Pt錯体、Ru錯体、Os錯体、Rh錯体、Co錯体、Ir錯体、Ag錯体、またはAu錯体を使用する(例えばEP0824111A1(特許文献11)、EP826698A1(特許文献12)、EP824110A1(特許文献13)、EP841346A1(特許文献14)、EP850957A1(特許文献15)を参照)。さらにATRPの様々な可能性が、文献US5,945,491A(特許文献16)、US5,854,364A(特許文献17)、およびUS5,789,487A(特許文献18)に記載されている。
【0086】
本発明による方法を用いて得られるポリアクリレートに、熱架橋前に少なくとも1つの接着性付与樹脂を混入させることができる。添加すべき接着性付与樹脂として、すでに知られており、かつ文献に記載されている接着樹脂を使用することができる。特に、全ての脂肪族、芳香族、アルキル芳香族の炭化水素樹脂、純モノマーをベースとする炭化水素樹脂、水素添加された炭化水素樹脂、官能性の炭化水素樹脂、ならびに天然樹脂が挙げられる。好ましくは、ピネン樹脂、インデン樹脂、およびロジン樹脂、それらの不均化された、水素添加された、重合された、エステル化された誘導体および塩、テルペン樹脂およびテルペンフェノール樹脂、ならびにC5、C9、およびその他の炭化水素樹脂を使用することができる。これらの組合せおよびさらなる樹脂も、結果として生じる接着剤組成物の特性を所望通りに調整するために有利に使用できる。特に好ましくは、対応するポリアクリレートと相溶性の(可溶性の)全ての樹脂を使用することができる。特に好ましい方法では、テルペンフェノール樹脂および/またはロジンエステルを添加する。
【0087】
任意で、粉状および粒状の充填剤、色素、および顔料も、特に研磨性および強化性の例えば白亜(CaCO)、二酸化チタン、酸化亜鉛、およびカーボンブラックも、高い割合でも、つまり全処方に対して1〜50重量%の割合でも、格別にポリアクリレート溶融物中に配量することができ、均質に配合させることができ、かつ2ロール塗布装置でコーティングすることができる。この場合、従来の方法はしばしば、この場合にはコンパウンド全体の粘性が非常に高いためうまくいかない。
【0088】
非常に好ましいことに白亜の様々な形態を充填剤として使用することができ、その際、Mikrosohl白亜を使用することが特に好ましい。30重量%までの好ましい割合の場合、接着技術的特性(室温でのせん断強度、スチールおよびPE上での瞬間接着力)が、充填剤の添加によって実際的に変化することはない。
【0089】
さらに難燃性の充填剤、例えばポリリン酸アンモニウム、さらに導電性の充填剤(例えば導電性カーボンブラック、炭素繊維、および/または銀被覆ビーズ)、さらに伝熱性材料(例えば窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素)、さらに強磁性添加剤(例えば酸化鉄(III))、さらに体積を増やすため、特に発泡層を製造するための添加剤(例えば発泡剤、中実ガラススフィア、中空ガラスビーズ、別の材料から成るマイクロビーズ、膨張可能なマイクロバルーン、シリカ、ケイ酸塩、再生可能な有機原料、例えば木粉、有機および/または無機のナノ粒子、繊維)、さらに(ペースト、コンパウンド、または顔料の形での)無機および/または有機の色素、老化保護剤、光保護剤、オゾン保護剤、コンパウンド化剤、および/または発泡剤を、ポリアクリレートを濃縮する前または後に、添加もしくは配合することができる。老化保護剤として、好ましくは第一級の老化保護剤、例えば4−メトキシフェノールも、第二級の老化保護剤、例えばCIBA GEIGY社のIrgafos(登録商標)TNPPも使用することができ、これらを互いに組み合わせて使用することもできる。ここでは、この箇所でのみ、さらなる相応なCIBA GEIGY社のIrganox(登録商標)タイプまたはCLARIANT社のHostano(登録商標)を指摘しておく。老化に対するさらなる優れた剤として、フェノチアジン(Cラジカル捕捉剤)ならびに酸素存在下でのヒドロキノンメチルエーテルならびに酸素自体を使用することができる。
【0090】
任意で、通常の軟化剤(可塑剤)を特に最大5重量%の濃度で添加することができる。軟化剤として、例えば低分子ポリアクリレート、フタレート、水溶性の軟化剤、軟質樹脂、ホスフェート、ポリホスフェート、および/またはシトレートを配量添加することができる。
【0091】
さらに任意で、熱架橋可能なアクリレートホットメルトを、別のポリマーとブレンドまたは混合してもよい。これに関しては、天然ゴム、合成ゴム、EVA、シリコーンゴム、アクリルゴム、ポリビニルエーテルをベースとするポリマーが適している。この場合、これらのポリマーを、粒状または別の状態に細かくした形で、熱架橋剤を加える前にアクリレートホットメルトに添加するのが有用であることが判明している。ポリマーブレンドの製造は、押出機内で、好ましくは多軸押出機内で、または遊星ロール混合機内で行う。熱架橋されたアクリレートホットメルトの安定化のために、特に熱架橋されたアクリレートホットメルトおよびその他のポリマーから成るポリマーブレンドの安定化のためにも、成形した材料を小線量の電子線で照射することが有意義であり得る。任意で、この目的のために二官能性、三官能性、または多官能性のアクリレート、ポリエステル、および/またはウレタンアクリレートのような架橋プロモータをポリアクリレートに添加することができる。
【0092】
さらなる方法の実施
重合物の濃縮は、架橋剤物質および促進剤物質が存在していない状態で行うことができる。しかしこの部類の化合物の1つを濃縮の前にすでに重合物に添加することも可能であり、したがって濃縮はその後、この(1つまたは複数の)物質の存在下で行われる。
【0093】
その後、この重合物をコンパウンダ内に移す。本発明による方法の特別な実施形態では、濃縮およびコンパウンド化を同じ反応器内で行うことができる。
【0094】
特に、コンパウンダとして押出機を使用することができる。重合物を、すでに溶融状態において投入するか、またはコンパウンダ内で溶融まで加熱することにより、重合物はコンパウンダ内では溶融状態で存在する。コンパウンダ内では、温めることによって重合物を溶融状態に保つ。
【0095】
重合物中に架橋剤(エポキシドまたはオキセタン)も促進剤も存在していない間は、溶融状態での可能な温度は、重合物の分解温度によって制限される。コンパウンダ内のプロセス温度は、通常は80〜150℃、特に100〜120℃である。
【0096】
エポキシド基またはオキセタン基を含有する物質は、促進剤を加える前にまたは促進剤と一緒に重合物に添加するのが好ましい。
【0097】
エポキシド基またはオキセタン基を含有する物質は、モノマーに対して十分に安定的であれば、すでに重合段階の前または最中にモノマーに加えることができる。しかし有利には、エポキシド基またはオキセタン基を含有する物質を、コンパウンダ内に投入する前か、またはコンパウンダ内に投入する際に重合物に加え、つまり重合物と一緒にコンパウンダ内に入れる。
【0098】
非常に有利な手順では、ポリマーの二次加工、特にコーティングまたは別の方法での成形の直前に、促進剤物質を重合物に添加する。コーティング前の添加の時間枠は、特にもたらされるポットライフ、つまり結果として生じる生成物の特性が不利に変化することのない溶融状態での加工時間に基づいて決まる。本発明による方法により、(実験パラメータの選択に応じて)数分から最大で数十分までのポットライフを達成することができ、したがって促進剤は、コーティング前のこの時間間隔内に添加するべきである。促進剤をできるだけ遅く、ただしまだポリマー組成物による優れた均質化が起こるのに必要なだけ早く、ホットメルト中に添加することが有利である。
【0099】
ここでは、110〜120℃のプロセス温度の場合、2〜10分、特に5分超の時間間隔が非常に有利であることが判明した。
【0100】
架橋剤(エポキシドまたはオキセタン)および促進剤は両方とも、ポリマーの二次加工の直前に、つまり有利には上で促進剤に関して述べたような段階において添加することができる。これに関し、架橋剤−促進剤系を、同じ位置で同時にプロセス内に入れることが有利であり、エポキシド−促進剤混合物またはオキセタン−促進剤混合物としてもそうである。
【0101】
原理的には、上述の実施形態における架橋剤および促進剤に関する投入時点または投入位置を入れ替えることも可能であり、したがって促進剤を、エポキシド基またはオキセタン基を含有する物質の前に添加することができる。
【0102】
コンパウンド化プロセスでは、架橋剤および/または促進剤を加える際の重合物の温度は50〜150℃、好ましくは70〜130℃、特に好ましくは80〜120℃である。
【0103】
原理的には、架橋剤、つまりエポキシド基またはオキセタン基を含有する物質を、添加剤を含まないポリマーに対して0.1〜5重量%で加える場合が非常に有利であることが判明した。
【0104】
促進剤は、添加剤を含まないポリマーに対して0.05〜5重量%で加えるのが有利である。
【0105】
架橋剤の割合は、架橋されたポリアクリレートの弾性分率が少なくとも20%になるように選択する場合が特に有利である。好ましくは弾性分率は少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも60%である(それぞれ測定法H3に基づく測定、実験の部を参照)。
【0106】
原理的には、官能基、つまり特にカルボン酸基の数は、所望の架橋を達成するために、官能基がエポキシド基またはオキセタン基に対して過剰に存在するように、つまりポリマー中に十分に多い官能基が存在するようにのみ、つまりポリマー中に潜在的な架橋位置または結合位置が存在するように選択することができる。
【0107】
特に本発明の方法の変形実施形態を含めた本発明の方法に関する、本発明による架橋剤−促進剤系の作用のために、促進剤および架橋剤(エポキシド基またはオキセタン基を含有する物質)の量を互いに適合させ、かつ必要に応じてポリアクリレート中の、架橋反応に対して反応性の官能基の量にも適合させること、ならびに所望の架橋結果のために最適化することが特に有利である(これに関しては、対応する関連事項に関する詳論および方法の制御可能性についての詳論も参照)。
【0108】
架橋剤−促進剤系の成分の互いに対する比率を記載するために、特にポリマー中の反応性官能基の数に対する架橋剤中のエポキシド基またはオキセタン基の数の比率を用いることができる。原理的にはこの比率は自由に選択することができ、したがって官能基の方が多く存在するか、これらの基が等しい数で存在するか、またはエポキシド基もしくはオキセタン基の方が多く存在することができる。
【0109】
この比率は、エポキシド基またはオキセタン基の方がより少なく(最大でも等しい数で)存在するように選択するのが有利であり、架橋剤中のエポキシド基またはオキセタン基の総数とポリマー中の官能基の数の比率が、0.1:1〜1:1の範囲内にあることがとりわけ好ましい。
【0110】
さらなるパラメータは、架橋剤中のエポキシド基またはオキセタン基の数に対する促進剤中の促進作用基の数の比率である。促進作用基として、特にシアナミドの二量体もしくは三量体中の、またはそれらの誘導体中の第二級および/または第三級のアミン基が計算される。この比率も、原理的には自由に選択することができ、したがって促進作用基の方が多く存在するか、これらの基が等しい数で存在するか、または環状エーテル基の方が多く存在する。
【0111】
促進剤中の促進作用基の数と架橋剤中のエポキシド基またはオキセタン基の数の比率が、0.2:1〜4:1である場合が特に有利である。
【0112】
組成物のコンパウンド化の後、ポリマーの二次加工、特に永続的または一時的な支持体上へのコーティングを行う(永続的な支持体は、適用の際、接着材組成物層と接合されたままであり、一方で一時的な支持体は、さらなる二次加工プロセス、例えば接着テープへと組み立てるプロセスにおいて、または使用の際に、接着剤組成物層から再び取り外される)。
【0113】
自着剤組成物のコーティングは、当業者に既知のホットメルトコーティングノズルによって、または好ましくはロール塗布装置、別名コーティングカレンダ装置によって行うことができる。コーティングカレンダ装置は、有利に、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のロールから成り得る。
【0114】
ロールの少なくとも1つ、好ましくはポリアクリレートと接触する全てのロールが、抗付着性のロール表面を備えることが好ましい。有利な手順では、カレンダ装置の全てのロールを抗付着性にすることができる。
【0115】
抗付着性のロール表面として、スチールセラミックシリコーン複合材を使用することが特に好ましい。このようなロール表面は、熱負荷および機械的負荷に対して耐性がある。
【0116】
当業者にとっては意外にも、特に、加工すべきポリマー層に面が完全に接触するのではなく、平滑なロールに比べて接触面が少ないような表面構造を有するロール表面を使用する場合が特に有利であることが判明した。金属製アニロックスロール(Rasterwalze)(例えばスチール製アニロックスロール)のような、構造化されたロールが特に好ましい。
【0117】
コーティングは、WO2006/027387A1(特許文献19)、12頁5行〜20頁13行、詳しく言えば特に段落「変形形態A」(12頁)、「変形形態B」(13頁)、「変形形態C」(15頁)、「変形形態D」(17頁)、「変形形態E」(19頁)ならびに図1〜図6で説明されているようなコーティング方法に相応して、特に有利に行うことができる。したがってWO2006/027387A1(特許文献19)からの上記の開示部分は、明確に本明細書の開示内容に含まれる。
【0118】
特に良い結果は、2ロールカレンダ装置および3ロールカレンダ装置の場合に(特にWO2006/027387A1(特許文献19)の変形形態B−図3、変形形態C−図4、および変形形態D−図4を参照)、抗付着性の表面を備えたカレンダロールを使用することによって達成され、または表面加工されたロールによって達成され、ここで特に有利に言及し得るのは金属製アニロックスロールである。この金属製アニロックスロール、好ましくはスチール製アニロックスロールは、規則的に幾何学的に区切られた表面構造を有する。これは搬送ロールUEWのために特に有利である。この表面は、コーティング方法の成功に特に有利に貢献する。なぜなら抗付着性でかつ構造化された表面は、抗付着性の支持体表面上にさえポリアクリレート組成物を転写し得るからである。カレンダロールのために、様々な種類の抗付着性表面コーティングを使用することができる。特に適しているのはこの場合も、例えばすでに上で挙げた金属セラミックシリコーン複合材であるドイツのPALLAS OBERFLAECHENTECHNIK GMBH社のPALLAS SK−B−012/5ならびにドイツのADVANCED SURFACE TECHNOLOGIES社のAST 9984−Bであることが判明した。
【0119】
その際、特に搬送ロール(UEW)をスチール製アニロックスロールとして形成することができる(WO2006/027387A1(特許文献19)の変形形態B−図3、変形形態C−図4、および変形形態D−図4を参照)。搬送ロールUEWとして、例えば140L/cmおよびドテ幅10μmと表示されたスチール製アニロックスロール、例えばドイツのSaueressig社のスチール製アニロックスロールを使用することが特に好ましい。
【0120】
コーティングの際、特に多ロールカレンダ装置を使用する場合、最大300m/分のコーティング速度を実現することができる。
【0121】
本明細書の図1では、連続的進行に基づくコンパウンド化およびコーティングプロセスを、例示的に、これによって制限されることなく示している。コンパウンダ(1.3)、ここでは例えば押出機の第1の投入部(1.1)に、ポリマーを投入する。この投入をすでに溶融状態で行うか、またはポリマーをコンパウンダ内で溶融まで加熱する。第1の投入部でポリマーと共に、エポキシドまたはオキセタンを含有する化合物をコンパウンダに投入するのが有利である。
【0122】
コーティングの直前に、第2の投入部(1.2)で促進剤を添加する。これにより、促進剤がコーティング直前になって初めて、エポキシドまたはオキセタンを含有するポリマーに添加され、かつ溶融状態での反応時間が少ないということが達成される。
【0123】
反応操作を不連続的に行うこともできる。例えば反応釜のような対応するコンパウンダ内では、ポリマー、架橋剤、および促進剤の添加を、図1に示したように場所をずらしてではなく、時間をずらして行うことができる。
【0124】
好ましくはロール塗布により、または押出ノズルによりコーティングされた直後は、ポリマーは少しだけ架橋し始めており、しかしまだ十分には架橋していない。架橋反応が支持体上で進むことが有利である。
【0125】
コーティングの後、ポリマー組成物は相対的に急速に冷却され、詳しく言えば保管温度、一般的には室温まで冷却される。本発明による架橋剤−促進剤系は、さらなる熱エネルギーの供給なしで(熱供給なしで)架橋反応を進行させるのに適している。
【0126】
本発明による架橋剤−促進剤系を用いたポリアクリレートの官能基とエポキシドまたはオキセタンの架橋反応は、熱供給がなくても普通の条件(室温)で完全に進行する。一般的に5〜14日の保管期間後には、機能性材料(特にポリアクリレートをベースとする接着テープまたは機能性支持体層)が存在している程度に架橋が終了しいる。ポリマーの最終状態、したがって最終的な凝集性は、ポリマーおよび架橋剤−促進剤系の選択に応じて、室温下に特に14〜100日の保管期間後に、有利には14〜50日の保管期間後に達成され、より高い保管温度では予想通りもっと早く達成される。
【0127】
架橋によりポリマーの凝集性が、したがってせん断強度も上昇する。結合は非常に安定している。これにより耐老化性および耐熱性に優れた接着テープ、粘弾性支持体材料、または成形体のような製品が可能になる。
【0128】
最終生成物の物理的特性、特に最終生成物の粘性、接着力、および初期接着性は、架橋の度合いによって影響を及ぼすことができ、したがって反応条件を適切に選択することによって、最終生成物を最適化することができる。この方法のプロセスウィンドウは種々の要因によって決定される。最も重要な影響変数は、架橋剤および促進剤の量(濃度、および互いの比率)および化学的性質、プロセス温度およびコーティング温度、コンパウンダ(特に押出機)内およびコーティングユニット内での滞在時間、重合物中の官能基(特に酸性基および/またはヒドロキシ基)の割合、ならびにポリアクリレートの平均分子量である。
【発明を実施するための形態】
【0129】
以下には、本発明に従って架橋された自着剤組成物を製造する際の幾つかの関連事項を記載するが、これは製造方法をより詳しく特徴づけるが、本発明による思想を制限するものではない。
【0130】
本発明による方法は、予測し得ない優れたやり方で、ポリアクリレートのための安定した架橋プロセスを提供することができ、しかも架橋度と反応性(反応キネティクス)がほとんど干渉し合わないことにより、架橋像に関する優れた制御可能性を伴うという利点を提供する。その際、添加する架橋剤の量(エポキシド量またはオキセタン量)は主に生成物の架橋度に影響を及ぼし、促進剤は主に反応性を制御する。
【0131】
エポキシドまたはオキセタンを含有する物質の添加量によって架橋度を予め選択することができ、しかもその他に選択した方法パラメータ、温度、および促進剤の添加量にほとんど依存しないことが確認できた。
【0132】
エポキシド基濃度またはオキセタン基濃度の影響に関して判明したように、エポキシド濃度が増えるにつれて架橋度の最終値は上昇し、一方で反応キネティクスはほとんど影響を受けないままである。
【0133】
さらに、促進剤の添加量は架橋速度に、つまり最終架橋度の達成時点にも、直接的に影響を及ぼし、しかし架橋度には全く影響を及ぼさなかったことが確認された。その際、架橋反応の反応性は、できあがった生成物の保管時にも、そこで通常の条件(室温)で、特にさらに熱エネルギーを(積極的に)供給する必要なく、または生成物をさらに処理する必要なく、架橋が数週間以内に所望の架橋度に至るように選択することができる。
【0134】
同じ温度のままでの、促進剤濃度に依存した架橋時間の依存性に関し、架橋度の最終値はほぼ一定に保たれ(非常に少ない反応ではこの値にまだ達していない)、ただしこの値は、促進剤濃度が高ければ、促進剤濃度が低い場合より速く達成されることが判明している。
【0135】
前述のパラメータに加えて、それを所望の場合には、特に通常の条件で保管している間の「自己架橋」の利点が重要でない場合には、架橋反応の反応性に、温度変化によって影響を及ぼすこともできる。同じ架橋剤濃度のままでプロセス温度を上昇させると粘性が低下し、これは組成物のコーティング性を改善させるが、しかしながら加工時間を短くする。
【0136】
加工時間の延長は、促進剤濃度の低下、分子量の減少、重合物中の官能基濃度の低下、重合物中の酸成分の割合の低下、より反応性の低い架橋剤(エポキシドまたはオキセタン)またはより反応性の低い架橋剤−促進剤系の使用、およびプロセス温度の低下によって得られる。
【0137】
組成物の凝集性の改善は、様々な過程によって得ることができる。1つは促進剤濃度を上昇させることであり、これは加工時間が短くなる。促進剤濃度は同じままでポリアクリレートの分子量を増やしてもよく、この方が効率が良いかもしれない。本発明による意味においては、いずれにせよ架橋剤濃度(エポキシド基またはオキセタン基を含有する物質)を上昇させることが有利である。組成物または生成物の所望の要求プロフィルに応じて、上に挙げたパラメータを適切に適合させなければならない。
【0138】
有利な使用例
本発明によって製造されたポリアクリレートは広範囲にわたる用途に使用することができる。以下には、幾つかの特に有利な使用分野を例示的に示す。
【0139】
本発明による方法を用いて製造したポリアクリレートは、特に感圧接着剤組成物として、好ましくは接着テープ用の感圧接着剤組成物として使用され、その際、該アクリレート感圧接着剤組成物は、支持フィルムの片面または両面にフィルムとして存在する。このポリアクリレートは、組成物を層状に多く塗布する必要がある場合に特に良く適しており、なぜならこのコーティング方法によってほぼ任意の塗布量で、好ましくは100g/m超、特に好ましくは200g/m超の量の多さで、しかもこれに加え特に、層を通して特に均質な架橋で、組成物を塗布することができる。有利な用途は、他にもあるが例えば特に建築において使用するための産業用接着テープ、例えば絶縁テープ、腐食保護テープ、アルミニウム接着テープ、織布強化フィルム接着テープ(ダクトテープ)、建築用特殊接着テープ、例えば防湿材、組立用接着テープ、ケーブル巻付テープ、自着フィルム、および/または紙ラベルである。
【0140】
本発明によって製造されたポリアクリレートは、支持体のない接着テープ用の感圧接着剤組成物として、いわゆる転写式接着テープとして提供することもできる。この場合も組成物の塗布は、層を通して特に均質に架橋されると同時に、ほぼ任意の量で調整できることが特に有利である。好ましい単位面積当りの重量は10g/m〜5000g/m超、特に好ましくは100g/m〜3000g/mである。
【0141】
本発明に従って製造されたポリアクリレートは、転写式接着テープにおける、または片面接着テープもしくは両面接着テープにおけるヒートシール接着剤組成物として存在することもできる。この場合も支持体付きの感圧接着テープに関して、その支持体は本発明に従って得られる粘弾性ポリアクリレートでよい。
【0142】
相応に得られた接着テープの有利な実施形態は、剥離性の接着テープとして、特に引っ張ることで基本的に付着面にかすを残さずに再び剥がし得るような接着テープとして有利に使用することができる。
【0143】
本発明による方法は、3次元の粘着性または非粘着性の成形体を製造するのにも特に良く適している。この方法の特別な利点は、UV硬化型およびEBC硬化型の方法とは違い、架橋すべき、成形すべきポリアクリレートの層厚に制限がないことである。このためコーティングユニットまたは成形ユニットの選択に相応して、任意の形態の形成物を製造することができ、この形成物をその後、緩やかな条件下で所望の強度へと後架橋させることができる。
【0144】
この方法は、特に厚い層、特に80μmより厚い感圧接着剤層または粘弾性アクリレート層を製造するのにも特に適している。このような層は、溶剤技術では製造することが困難である(気泡の形成、非常に遅いコーティング速度、薄い層を重ねて張り合わせることで手間がかかり、かつ弱い個所を内包する)。
【0145】
厚い感圧接着剤層は、例えば充填されずに純アクリレートとして、または樹脂を混合させて、または有機または無機の充填剤を充填されて存在することができる。既知の方法により、開放気泡または独立気泡に発泡させた層も可能である。発泡法としては、窒素もしくはCOのような圧縮ガスを介した発泡、またはヒドラジンもしくは膨張可能なマイクロバルーンのような発泡剤を介した発泡が可能である。膨張性マイクロバルーンを使用する場合、組成物または成形された層を、熱を加えることで適切に活性化することが有利である。発泡は、押出機内で、またはコーティングの後に行うことができる。発泡した層を、適切なロールまたは剥離フィルムによって平滑にすることが有用であり得る。発泡に類似した層を製造するために、粘着性の熱架橋されたアクリレートホットメルト感圧接着剤に、中空ガラスビーズまたはすでに膨張したポリマー性マイクロバルーンを添加してもよい。
【0146】
この方法を用いて、特に、両面に感圧接着剤組成物がコーティングされた接着テープ用の支持体層として使用することができる厚い層、特に好ましくは、発泡状接着テープ用の支持体層として利用可能な、充填されかつ発泡した層である厚い層も製造可能である。この層の場合も、ポリアクリレートに架橋剤−促進剤系あるいは架橋剤または促進剤を添加する前に、中実ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、または膨張性マイクロバルーンを添加することが有意義である。膨張性マイクロバルーンを使用する場合、組成物または成形された層は、熱を加えることで適切に活性化される。発泡は、押出機内で、またはコーティングの後に行うことができる。発泡した層を、適切なロールまたは剥離フィルムによって、あるいは剥離材上にコーティングした感圧接着剤組成物を張り合わせることによって、平滑にすることが有用であり得る。このような発泡状の粘弾性層に、少なくとも片面で感圧接着剤層を張り合わせることができる。好ましくは、コロナ放電によって前処理したポリアクリレート層を両面に張り合わせる。代替策として、別の仕方で前処理した接着層、つまりアクリレートとは異なるポリマーをベースとする感圧接着剤層および/または熱活性可能な層を、粘弾性層に張り合わせることができる。適切なベースポリマーは、天然ゴム、合成ゴム、アクリレートブロックコポリマー、スチレンブロックコポリマー、EVA、特定のポリオレフィン、特殊ポリウレタン、ポリビニルエーテル、およびシリコーンをベースとする接着剤組成物である。しかしながら、有意な量でアクリレート層中に拡散しそこで特性を変化させるほどポリアクリレートと相容性が良く、移行(マイグレーション)し得る成分をそれほどの割合で含まない組成物であることが好ましい。
【0147】
両面に感圧接着剤層を張り合わせる代わりに、少なくとも片面に溶融接着層または熱活性可能な接着層を使用することもできる。このような非対称の接着テープは、クリティカルな基材に高い付着強度で貼り付くことが可能である。このような接着テープは、例えば車両にEPDMゴムプロフィルを固定するために使用することができる。
【0148】
熱架橋したポリアクリレートの特別な利点は、この層が、特にUV架橋およびEBC架橋した層とは違って、表面品質が同じであれば粘弾性支持体として利用されようと、感圧接着剤組成物として利用されようと、またはヒートシール剤組成物として利用されようと、層(または相応にポリアクリレートから製造された成形体)全体を通して架橋度の変化を示さないことにある。これにより付着特性と凝集特性のバランスを、架橋により、層全体に対して理想的に制御および調整することができる。これに対し放射線化学的に架橋した層の場合、常に片面または層の一部の架橋が過剰または不足である。
【0149】
実験の部
以下の例示的な実験は、本発明をより詳しく説明するものであり、提示した例を選択したことによって本発明を不要に制限するものではない。
【0150】
測定法(一般)
固体含有率(測定法A1)
固体含有率は、ポリマー溶液中の気化不可能な成分の割合に関する尺度である。固体含有率は重量測定法に基づき、溶液を量り入れ、その後2時間120℃の乾燥庫内で気化可能な部分を気化させ、残留物を量り直すことによって決定する。
【0151】
K値(フィケンチャー法に基づく)(測定法A2)
K値は、高分子物質の平均的な分子サイズに関する尺度である。測定のため、ポリマーの1%(1g/100ml)トルエン溶液を製造し、VOGEL−OSSAG粘度計によって、この溶液の動粘度を測定する。トルエンの粘度を基準とすることにより相対的な粘度が得られ、この相対的な粘度を基にフィケンチャー法に基づきK値を算定することができる(Polymer 8/1967、381頁以降(非特許文献3))。
【0152】
ゲル浸透クロマトグラフィGPC(測定法A3)
本明細書内の重量平均分子量Mおよび多分散性PDの記載は、ゲル浸透クロマトグラフィによる測定に基づく。この測定は、100μlの清澄ろ過した試料で行う(試料濃度4g/l)。溶離剤として、0.1体積%のトリフルオロ酢酸を含むテトラヒドロフランを使用する。測定は25℃で行う。プレカラムとして、カラムタイプPSS−SDV、5μ、10Å、ID8.0mm×50mmを使用する。分離のために、タイプPSS−SDV、5μ、10Åならびに10Åおよび10Å、それぞれID8.0mm×300mmのカラムを使用する(Polymer Standards Service社のカラム、示差屈折計Shodex RI71によって検出)。貫流量は1分につき1.0mlである。補正は、PMMA基準に対して行う(ポリメチルメタクリレート補正)。
【0153】
測定法(特に感圧接着剤組成物)
180°接着力テスト(測定法H1)
層としてのポリエステル上に塗布した幅20mmのアクリレート感圧接着剤組成物の細長片を、予めアセトンで2回およびイソプロパノールで1回洗浄したスチール板上に施した。感圧接着剤細長片を、2kgの重量に相当する押圧力で基材上に2回押し付けた。続いてすぐに接着テープを300mm/分の速度で、かつ180°の角度で基材から剥ぎ取った。全ての測定を室温で実施した。
【0154】
測定結果はN/cmで提示し、かつ3回の測定から平均値を求める。同様にポリエチレン(PE)に対する接着力を測定した。
【0155】
耐せん断時間(測定法H2)
幅13mmで、かつ20mm超(例えば30mm)の長さの接着テープの細長片を、アセトンで3回、イソプロパノールで1回洗浄した平滑なスチール表面上に施した。付着面は20mm×13mm(長さ×幅)であり、その際、検査板の縁から接着テープがはみ出している(例えば上で提示した30mmの長さに相応して10mm)。続いて接着テープを2kgの重量に相当する押圧力でスチール支持体上に4回押し付けた。この試料を垂直に懸架し、これにより接着テープの突き出た端部が下側に向く。
【0156】
室温で、接着テープの突き出た端部に1kgのおもりを固定した。測定は普通の気候(23℃、大気湿度55%)および加熱庫内の70℃で実施する。
【0157】
測定した耐せん断時間(下地から接着テープが完全に剥がれるまでの時間、10,000分で測定を中断)は分単位で提示し、3回の測定の平均値にあたる。
【0158】
マイクロせん断テスト(測定法H3)
このテストは温度負荷下での接着テープのせん断強度の迅速検査に用いる。
【0159】
マイクロせん断テスト用の測定試料の調製
それぞれの試料サンプルから切り取った接着テープ(長さ約50mm、幅10mm)を、アセトンで洗浄したスチール検査板上に、接着テープの右および左でスチール板がはみ出、かつ検査板の上縁から接着テープが2mmはみ出すように貼り付ける。試料の付着面は高さ×幅=13mm×10mmである。続いて2kgのスチールローラを付着部分上で10m/分の速度で6回転がす。接着テープを同一平面上で、丈夫な接着細長片で補強し、この接着細長片は、距離測定センサ用の支持台として用いられる。この試料を、検査板を用いて垂直に懸架する。
【0160】
マイクロせん断テスト
測定すべき試料サンプルの下端に100gの重量で負荷をかける。検査温度は40℃であり、検査時間は30分である(15分負荷および15分解放)。一定温度での所定のテスト時間の後のせん断距離を、結果としてμm単位で提示し、詳しくは最大値[「max」、すなわち15分の負荷による最大せん断距離]、最小値[「min」、すなわち解放後15分のせん断距離(「残留変位」)、すなわち解放時に緩和による戻り運動が起こる]として提示する。同様に弾性分率をパーセントで提示する[「elast」すなわち弾性分率=(max−min)×100/max]。
【0161】
測定法(特に三層構造物)
90°スチール接着力 開放側および被覆側(測定法V1)
スチール接着力の測定は、温度23℃+/−1℃および相対湿度50%+/−5%の検査気候で行う。サンプルを幅20mmで切り取り、スチール板上に接着した。スチール板は、測定前に洗浄してコンディションする。このために板をまずアセトンで拭いて洗浄し、かつその後5分間空気に曝す。これにより溶剤を気化させることができる。その後、三層アセンブリのうち検査下地に面していない側を50μmのアルミニウムフィルムで被覆し、これによってサンプルが測定時に伸びることを防ぐ。その後、ローラを転がしてスチール下地上に検査サンプルを押し付けた。このためにテープ上で2kgのローラを10m/分の転がり速度で5往復させた。ローラで押し付けた直後、サンプルを90°の角度で垂直に上に引き剥がすことができる特殊な保持具内にスチール板を差し込んだ。接着力測定は、挟持引張検査機で行った。被覆した側をスチール板上に貼る場合、まず三層アセンブリの開放側を50μmのアルミニウムフィルムに張り合わせ、剥離材を外し、スチール板上に接着し、同様にローラで押し付け、そして測定する。
【0162】
開放側および被覆側の両側の測定結果はN/cmで提示し、3回の測定から平均値を求める。
【0163】
耐せん断時間 開放側および被覆側(測定法V2)
サンプルの調製は、温度23℃+/−1℃および相対湿度50%+/−5%の検査気候で行った。検査サンプルを13mmで切り取り、スチール板上に接着した。付着面は20mm×13mm(長さ×幅)である。スチール板は、測定前に洗浄してコンディションした。このために板をまずアセトンで拭いて洗浄し、その後5分間空気に曝し、これにより溶剤を気化させることができる。貼り付けた後、開放側を50μmのアルミニウムフィルムで補強し、2kgのローラを2往復させた。続いて三層アセンブリの突き出た端部にベルトループを取り付けた。その後この全体を適切な装置に懸架し、10Nで負荷をかけた。この懸架装置は、試料に179°+/−1°の角度で重量負荷がかかるようにするものである。これにより三層アセンブリが板の下縁からむき取られ得ないことを保証する。測定した耐せん断時間、つまりサンプルを懸架してから落下するまでの時間を分単位で提示し、これは3回の測定の平均値にあたる。被覆側を測定するために、まず開放側を50μmのアルミニウムフィルムで補強し、剥離材を外し、検査板上に、説明したように接着する。測定は普通の気候(23℃、湿度55%)で実施する。
【0164】
壁フックテスト(測定法V3)
図4は、ポリアクリレート感圧接着剤層(層Aおよび/または層C)の製造を示している。研磨した2枚のスチール板(3.2)の間に固定した大きさ30mm×30mmの検査サンプル(3.1)を、0.9kNで1分間押し付ける(力P)。その後、長さ9cmのレバーアーム(3.3)を一番上のスチール板にねじ込み、続いてレバーアームに1000gのおもり(3.4)で負荷をかける。押し付けてから負荷までの時間が2分以下であるように注意する(t≦2分)。
【0165】
保持時間、つまりサンプルを懸架してから落下するまでの時間を測定する。結果としては、3回の測定の平均値として保持時間を分単位で提示する。検査気候は23℃+/−1℃および50%r.F.+/−5%r.F.である(r.F.相対湿度)。
【0166】
開放側および被覆側をそれぞれ測定した。
【0167】
【表1】

【0168】
感圧接着剤の例
例PSA B1〜例B8の感圧接着剤組成物用の原料ポリマーの製造
以下に原料ポリマーの調製について説明する。試験されるポリマーは、従来通り溶液中でのフリーラジカル重合を介して製造する。
【0169】
ベースポリマーP1
ラジカル重合用の慣用の反応器に、2−エチルヘキシルアクリレート45kg、n−ブチルアクリレート45kg、メチルアクリレート5kg、アクリル酸5kg、およびアセトン/イソプロパノール(92.5:7.5)66kgを充填した。撹拌しながら窒素を45分間通した後、反応器を58℃に昇温し、AIBN50gを添加した。続いて外部の加熱槽を75℃に加熱し、反応をこの外部温度でずっと実施した。1時間後に新たにAIBN50gを加え、4時間後にアセトン/イソプロパノール混合物20kgで希釈した。
【0170】
5時間後および7時間後にそれぞれビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート150gによって後開始させた。22時間の反応時間の後に重合を止め、室温まで冷却した。このポリアクリレートは転化率99.6%、K値59、固体含有率54%、平均分子量Mw=557,000g/mol、多分散性PD(Mw/Mn)=7.6である。
【0171】
ベースポリマーP2
ラジカル重合用の慣用の反応器に、2−エチルヘキシルアクリレート47.5kg、n−ブチルアクリレート47.5kg、アクリル酸5kg、ジベンゾイルトリチオカーボネート150g、およびアセトン66kgを充填した。撹拌しながら窒素を45分間通した後、反応器を58℃に昇温し、AIBN50gを添加した。続いて外部の加熱槽を75℃に加熱し、反応をこの外部温度でずっと実施した。1時間後に新たにAIBN50gを加えた。4時間後にアセトン10kgで希釈した。5時間後および7時間後にそれぞれビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート150gの添加を行った。22時間の反応時間の後に重合を止め、室温まで冷却した。
【0172】
このポリアクリレートは転化率99.5%、K値41.9、固体含有率56.5%、平均分子量Mw=367,000g/mol、多分散性PD(Mw/Mn)=2.8である。
【0173】
ベースポリマーP3
例P1に倣って、2−エチルヘキシルアクリレート41.5kg、n−ブチルアクリレート41.5kg、メチルアクリレート15kg、アクリル酸1kg、および2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)1kgを、アセトン/イソプロパノール(92.5:7.5)66kg中で重合した。それぞれAIBN50gによって2回開始し、それぞれビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート150gによって2回開始し、アセトン/イソプロパノール混合物(92.5:7.5)20kgで希釈した。22時間の反応時間の後に重合を止め、室温まで冷却した。
【0174】
このポリアクリレートは転化率99.6%、K値69.5、固体含有率53.3%、平均分子量Mw=689,000g/mol、多分散性PD(Mw/Mn)=7.8である。
【0175】
ベースポリマーP4
例P1に倣って、2−エチルヘキシルアクリレート68kg、メチルアクリレート25kg、およびアクリル酸7kgを、アセトン/イソプロパノール(92.5:7.5)66kg中で重合した。
【0176】
このポリアクリレートは転化率99.7%、K値51、固体含有率55.0%、平均分子量Mw=657,000g/mol、多分散性PD(Mw/Mn)=8.2である。
【0177】
方法1:濃縮/ホットメルト感圧接着剤の製造
アクリレートコポリマー(ベースポリマーP1〜P4)から、一軸スクリュー押出機(濃縮押出機、BERSTORFF GmbH、ドイツ)によって、溶剤の大部分を除去する(残留溶剤含有率≦0.3重量%、個々の例の場合を参照)。具体例としてここではベースポリマーP1の濃縮のパラメータを示す。スクリューの回転数は150回転/分、モータ電流は15Aであり、58.0kg液/hの処理量を実現した。濃縮のため、3つの異なるドームで真空を印加した。低圧はそれぞれ20mbar〜300mbarであった。濃縮したホットメルトの吐出温度は約115℃である。この濃縮ステップ後の固体含有率は99.8%であった。
【0178】
方法2:改変されたホットメルト感圧接着剤および粘弾性支持体の製造
上で説明した方法1に基づき製造したアクリレートホットメルト感圧接着剤を、後続のWELDING二軸スクリュー押出機(WELDING Engineers、オーランド、アメリカ、モデル30MM DWD、スクリュー直径30mm、スクリュー1の長さ=1258mm、スクリュー2の長さ=1081mm、3つのゾーン)内に直接搬送した。固体配量システムを介し、樹脂Dertophene(登録商標)T110をゾーン1内に配量添加し、均質に混合した。例MT1および例MT2のための組成物の場合は樹脂を配量添加しなかった。例MT3、例MT4、および例MT5の場合は固体配量システムを介して然るべき添加剤を配量添加し、均質に混合させた。具体例として、ここではベースポリマーP1との樹脂コンパウンド化に関するパラメータを示す。回転数は451回転/分、モータ電流は42Aであり、30.1kg/hの処理量を実現した。ゾーン1およびゾーン2の温度はそれぞれ105℃であり、ゾーン1内の溶融物温度は117℃、および吐出口(ゾーン3)の際の材料温度は100℃であった。
【0179】
方法3:本発明による接着テープの製造、熱架橋用の架橋剤−促進剤系との混合、およびコーティング
方法1〜2に基づいて製造したアクリレートホットメルト感圧接着剤を、供給押出機(一軸スクリュー搬送押出機、TROESTER GmbH & Co KG社、ドイツ)内で溶融し、このフィーダー押出機によってポリマー溶融物として、二軸スクリュー押出機内に搬送した(LEISTRITZ社、ドイツ、名称LSM30/34)。このユニットは、外部から電気的に加熱され、様々な送風機によって空冷され、ポリマーマトリクス内での架橋剤−促進剤系の分布が適切であれば、これと同時に押出機内での接着剤組成物の滞在時間が短いことを保証するように設計されている。このために、二軸スクリュー押出機の混合軸は、搬送要素と混合要素が交互になるように配置される。それぞれの架橋剤および促進剤の添加は、二軸スクリュー押出機の加圧されていない搬送ゾーン内に、適切な配量機器によって、必要に応じて複数の位置で(図1:配量位置1.1および1.2)、また必要に応じて配量補助手段を使用して行う。
【0180】
全てがコンパウンド化された、つまり架橋剤−促進剤系と混合された接着剤組成物を、二軸スクリュー押出機から吐出された後(吐出:円形ノズル、直径5mm)、帯状の支持体材料上に、図2に基づきコーティングする(2つのロール(W1)および(W2)は、これらのロールが間隙を形成し、この間隙内に自着剤組成物(3)が、例えば分配器ノズル(1)によって運び込まれるように配置されている。第1のロール(BW)[「コーティングロール」]は支持体(2)を案内し、この支持体上に自着剤組成物(3)がコーティングされる。第2のロール(RW)[「ドクターロール」]は抗付着性の補助支持体(5)を案内し、この補助支持体によって接着剤組成物をプレスし、これにより接着剤組成物は、支持体(2)上に層(4)として敷かれる。ポジション(6)では、抗付着性の補助支持体(5)を自着剤組成物層(4)から再び取り外し、支持体(2)上の接着剤組成物層(4)から成る接着テープ(6)がコーティング設備から導き出される)。
【0181】
架橋剤−促進剤系の配量添加から成形またはコーティングまでの時間を加工時間と呼ぶ。この加工時間は、架橋剤−促進剤系と混合した接着剤組成物または粘弾性支持体層を、外見的に優れた(ゲルのない、粒のない)塗布像でコーティング可能な期間を示す。コーティングは、1m/分〜20m/分のウェブ速度で行い、2ロール塗布装置のドクターロールは駆動されない。
【0182】
以下の例および表1〜表3が、使用した処方、製造パラメータ、および得られた特性をそれぞれ詳しく記載する。
【0183】
例B1
ベースポリマーP1を上述の重合方法に基づいて重合し、方法1に基づいて濃縮し(固体含有率99.8%)、続いて方法2に基づいて樹脂Dertophene(登録商標)T110と混合する。この樹脂変性されたアクリレートホットメルト組成物を、その後、方法3に基づいて連続的に、
− ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、
ここではPolypox(登録商標)R16、UPPC AG社、ドイツ(エポキシド)
および
− ジシアンジアミド、
ここではDyhard(登録商標)100SF、EVONIK INDUSTRIES社、ドイツ(シアナミドの二量体)
から成る架橋剤−促進剤系とコンパウンド化した。
【0184】
詳しく述べると、方法3で述べた二軸スクリュー押出機内で、70部のポリマーP1および30部の樹脂Dertophene(登録商標)T110から成る全組成物の流れ533.3g/分(ポリマーだけの流れに換算すれば毎分373g)を、エポキシド架橋剤であるペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル0.92g/分(ポリマーに対して0.25重量%に相当)およびシアナミドの二量体をベースとする促進剤1.15g/分(ポリマーに対して0.31重量%に相当)と混合した。ジシアンジアミドおよびエポキシドの配量は、2つのチューブポンプを介して別々に、配量位置1.1(図1を参照)で行う。配量性能および達成可能な混合品質を改善するために、使用する架橋剤系を、液状リン酸エステル(イソプロピル化トリアリールホスフェート、Reofos65、GREAT LAKES社、アメリカ)で希釈した(架橋剤に対する比率0.5:1)。プロセスパラメータを表2にまとめて示す。
【0185】
LEISTRITZ二軸スクリュー押出機から出た後の組成物の平均温度が125℃の場合、できあがったコンパウンドの加工時間は7分超であった。コーティングは、図2に基づく2ロール塗布装置で、それぞれ100℃のロール表面温度で、23μmのPETフィルム上に90g/mの塗布量で行う。このように製造した接着テープによって、室温でのスチール上での接着力、保管期間に応じた40℃でのマイクロせん断距離を測定した。18日間の室温保管の後、79%の弾性分率で、180μmの最大のマイクロせん断距離が測定される。例B1のさらなる接着技術データは表3にまとめて示す。この例により、とりわけ温度の影響下においても、極性および非極性の基材(スチールおよびポリエチレン)に対する接着力に優れ、かつ凝集特性に優れていることを特色とする非常に高性能の接着テープを製造し得ることが示される。
【0186】
例B2
方法1に基づいて濃縮し、かつ方法2に基づいて樹脂Dertophene(登録商標)T110と混合させたベースポリマーP2(残留溶剤含有率0.1重量%)を、例B1に倣って方法3に基づき二軸スクリュー押出機内で架橋剤−促進剤系とコンパウンド化し、コーティングした。
【0187】
この架橋剤−促進剤系は、
− 3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
ここではCyracureTM UVR 6150、DOW CHEMICAL CORP.社(エポキシド)
および
− 2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、
ここではTaicros(登録商標)−TMT、EVONIK INDUSTRIES社、ドイツ(促進剤)
から成る。
【0188】
例B1に倣って、二官能性エポキシドである3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート0.88重量%および促進剤である2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン0.42重量%(それぞれアクリレートコポリマーに対して)を、方法3に基づいて添加した。LEISTRITZ二軸スクリュー押出機の押出機回転数は毎分125回転、材料の処理量は16.4kg/hであった。押出機から出た後の組成物の108℃の有効温度において、加工時間は5分超であった。図2に基づくロール塗布装置により、23μmのPETフィルム上に105g/mの塗布量でコーティングした。
【0189】
このように製造した接着テープで、接着力測定、耐せん断時間測定、およびマイクロせん断距離測定を、室温で、サンプルの保管期間に応じて実施した。21日間の室温保管の後、室温で10,000分超の耐せん断テスト時間が測定された。この接着テープサンプルは、測定法H3「マイクロせん断距離」に基づく70μmだけの非常に少ない最大せん断距離および90%の高い弾性分率から分かるように、強く架橋されていた。ポリエチレン(PE)に対する接着力は2.4N/cmで予想通り低い。さらなる接着技術データは表3内の例B2に列挙されている。
【0190】
例B3
使用するポリマーP3の重合、濃縮、樹脂混合および架橋剤−促進剤系の配合、およびコーティングは、基本的に例1で述べたように行う。
【0191】
ここで使用する架橋系は、
− ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、
ここではアロンオキセタンOXT−221、東亞合成社、日本(オキセタン)
および
− ジシアンジアミド、
ここではDyhard(登録商標)100SF、EVONIK INDUSTRIES社、ドイツ(シアナミドの二量体)
から成る。
【0192】
例B1に倣って、多官能性エポキシドであるペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル0.52重量%およびジシアンジアミド0.52重量%(それぞれアクリレートコポリマーに対して)を添加した。使用するポリマー系は例B1および例B2に比べ、アクリル酸をより少なく含んでおり、69.5のより高いK値を有しており、かつ凝集特性に関し23℃および70℃での耐せん断時間はより控えめに調整されている。23℃での耐せん断時間は2,600分である。各組成物固有のデータのさらなる詳細は表1に記載されている。
【0193】
例B4
使用するポリマーP3の重合、濃縮、樹脂混合および架橋剤−促進剤系の配合、およびコーティングは、基本的に例1で述べたように行う。相違点として、方法2でさらに充填剤である白亜Mikrosohl(登録商標)40を配合し、このために、使用する二軸スクリュー押出機の混合スクリューの幾何形状を相応に適合させた。ここで使用する架橋剤−促進剤系は、例P3と同様に選択した。二官能性オキセタンであるビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル0.52重量%およびジシアンジアミド0.52重量%(それぞれアクリレートコポリマーに対して)を添加した。
【0194】
コンパウンド化押出機から吐出した後の組成物の平均温度は、例B3からの組成物系の110℃に対して117℃まで上昇した。測定された9.4の接着力も、4,200分の耐せん断時間も、例B3に比べて改善されている。
【0195】
各組成物固有のデータのさらなる詳細は表1の、調整したプロセスパラメータについては表2の、接着技術に関する結果については表3の、それぞれB4の列に記載されている。
【0196】
例B5
方法1に基づいて濃縮したベースポリマーP4(残留溶剤含有率0.15重量%)を、例B1に倣って、方法3に基づき二軸スクリュー押出機内で架橋剤−促進剤系とコンパウンド化し、コーティングした。
【0197】
この架橋剤−促進剤系は、
− ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、
ここではPolypox(登録商標)R16、UPPC AG社、ドイツ(エポキシド)
および
− 6−フェニル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイルジアミン、
ここではベンゾグアナミン、EVONIK INDUSTRIES社、ドイツ(促進剤)
から成る。
【0198】
例B1に倣って、多官能性エポキシドであるペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル0.31重量%およびベンゾグアナミン0.48重量%(それぞれアクリレートコポリマーに対して)を、方法3に基づいて添加した。LEISTRITZ二軸スクリュー押出機の押出機回転数は毎分100回転、材料の処理量は10kg/hであった。押出機から出た後の組成物の114℃の有効温度において、加工時間は5分超であった。図2に基づくロール塗布装置により、23μmのPETフィルム上に125g/mの塗布量でコーティングした。
【0199】
例B6(比較例)
使用するポリマーP1の重合、濃縮、樹脂混合、架橋剤成分の配合、およびコーティングは、基本的に例1で述べたように、ただし以下の変更を加えて行う。
【0200】
ここで使用する架橋系は、
− ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、
ここではPolypox(登録商標)R16、UPPC AG社、ドイツ
および
− 塩化亜鉛
から成る。
【0201】
多官能性エポキシドであるペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル0.79重量%および塩化亜鉛0.43重量%を添加した。
【0202】
測定法H3「マイクロせん断距離」に基づいて測定したせん断距離は、室温で25日間保管した後に2000μm超と測定され、弾性分率は0%であり、これは架橋が起こらなかった、または顕著な架橋が起こらなかったことを意味する。
【0203】
高温保管後の測定の繰り返し
この接着テープサンプルは、加熱庫内で、70℃で6日間保管した後でも、140℃で1時間保管した後でも架橋しない。この接着テープサンプルを、これらの保管条件後にもまた測定法H3「マイクロせん断距離」で測定し、せん断距離はこの場合も2000μm超と測定された。
【0204】
架橋が存在しないので、さらなる接着技術的な検査は行わない。
【0205】
各組成物固有のデータのさらなる詳細は表1の、調整したプロセスパラメータについては表2の、それぞれB6の列に記載されている。
【0206】
例B7(比較例)
使用するポリマーP1の重合、濃縮、樹脂混合、架橋剤成分の配合、およびコーティングは、基本的に例1で述べたように、ただし以下の変更を加えて行う。
【0207】
ここで使用する架橋系は、
− ジシアンジアミド、
ここではDyhard(登録商標)100SF、EVONIK INDUSTRIES社、ドイツ
だけから成る。
【0208】
この例ではエポキシドまたはオキセタンは使用しない。
【0209】
ジシアンジアミド0.70重量%を添加した。
【0210】
測定法H3「マイクロせん断距離」に基づいて測定したせん断距離は、室温で25日間保管した後に2000μm超と測定され、弾性分率は0%であり、これは架橋が起こらなかった、または顕著な架橋が起こらなかったことを意味する。
【0211】
高温保管後の測定の繰り返し
この接着テープサンプルは、加熱庫内で、70℃で3か月間保管した後でも、140℃で1時間保管した後でも架橋しない。これらの保管後にもまた測定法H3「マイクロせん断距離」で測定し、せん断距離は2000μm超と測定された。架橋が存在しないので、さらなる接着技術的な検査は行わない。
【0212】
各組成物固有のデータのさらなる詳細は表1の、および調整したプロセスパラメータについては表2の、それぞれB7の列に記載されている。
【0213】
例B8(比較例)
使用するポリマーP1の重合、濃縮、樹脂混合、架橋剤成分の配合、およびコーティングは、基本的に例1で述べたように、ただし以下の変更を加えて行う。
【0214】
ここで使用する架橋系は、
− ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、
ここではPolypox(登録商標)R16、UPPC AG社、ドイツ
だけから成る。
【0215】
多官能性エポキシドであるペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテルを、ポリマーに対して0.31重量%で添加した。
【0216】
この例では促進剤(シアナミドの二量体もしくは三量体またはそれらの誘導体)は使用しない。
【0217】
測定法H3「マイクロせん断距離」に基づいて測定されたせん断距離は、室温で25日間保管した後に2000μm超と測定され、弾性分率は0%であり、これは架橋が起こらなかった、または顕著な架橋が起こらなかったことを意味する。
【0218】
高温保管後の測定の繰り返し
この接着テープサンプルは、加熱庫内で、70℃で引き続き3か月間保管した後でも、140℃で1時間保管した後でも架橋しない。これらの保管条件の後、新たに測定法H3「マイクロせん断距離」で測定し、せん断距離はそれぞれ2000μm超と測定された。架橋が存在しないので、さらなる接着技術的な検査は行わない。各組成物固有のデータのさらなる詳細は表1の、および調整したプロセスパラメータについては表2の、それぞれB8の列に記載されている。
【0219】
本発明による架橋剤−促進剤系を使用する場合、架橋反応は、ポリアクリレートの官能基により、熱供給がなくても普通の条件(室温)で完全に進行する。一般的に5日〜14日の保管期間後には、機能性接着テープまたは機能性支持体層が存在している程度に架橋反応が終了している。最終架橋状態、したがって組成物の最終的な凝集性は、組成物−架橋剤系の選択に応じて、室温での14〜100日の保管後に、有利な形態では14〜50日の保管期間後に達成され、より高い保管温度では予想通りもっと早く達成される。
【0220】
架橋により、接着剤組成物の凝集性が、したがってせん断強度も上昇する。これらのグループは周知のように非常に安定している。これにより耐老化性および耐熱性に優れた自着テープが可能になる。
【0221】
これに対し比較例B6〜比較例B8の観察において、本発明による架橋剤−促進剤系を使用しない場合に架橋が達成されないことが判明する。
【0222】
粘弾性支持体および三層構造物の例
I.感圧接着剤組成物の製造
ポリアクリレート感圧接着剤1(PA1)
ラジカル重合用の慣用の100Lガラス反応器に、アクリル酸2.8kg、メチルアクリレート8.0kg、2−エチルヘキシルアクリレート29.2kg、アセトン/イソプロパノール(95:5)20.0kgを充填した。撹拌しながら窒素を45分間通した後、反応器を58℃に昇温し、20gのAIBNを添加した。続いて外部の加熱槽を75℃に加熱し、反応をこの外部温度でずっと実施した。1時間の反応時間の後に再び20gのAIBNを添加した。4時間後および8時間後にそれぞれ10.0kgのアセトン/イソプロパノール(95:5)混合物で希釈した。残留する開始剤を還元するために、8時間後および10時間後にそれぞれビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート60gを添加した。24時間の反応時間の後に反応を止め、室温まで冷却した。次いでこのポリアクリレートを、0.4重量%のアルミニウム(III)アセチルアセトナート(イソプロパノール中の3%溶液)と混合し、イソプロパノールによって30%の固体含有率へと希釈し、その後、シリコーン処理した剥離フィルム(50μmのポリエステル)上に溶液からコーティングした。これに基づき(コーティング速度は2.5m/分、乾燥路は15m、温度はゾーン1:40℃、ゾーン2:70℃、ゾーン3:95℃、ゾーン4:105℃)、塗布量は50g/mであった。
【0223】
II.粘弾性支持体の製造
例VT1〜例VT5の粘弾性支持体用の原料ポリマーの製造
以下に原料ポリマーの調製について説明する。試験されるポリマーは、従来法に従い溶液中でのフリーラジカル重合によって製造する。
【0224】
ベースポリマーHPT1
ラジカル重合用の慣用の反応器に、2−エチルヘキシルアクリレート40kg、n−ブチルアクリレート40kg、メチルアクリレート15kg、アクリル酸5kg、およびアセトン/イソプロパノール(95:5)67kgを充填した。撹拌しながら窒素ガスを45分間通した後、反応器を58℃に昇温し、AIBN40gを添加した。続いて外部の加熱槽を75℃に加熱し、かつ反応をこの外部温度でずっと実施した。1時間後に新たにAIBN60gを加え、かつ4時間後にアセトン/イソプロパノール混合物14kgで希釈した。
【0225】
5時間および7時間後にそれぞれビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート150gによって再び開始させた。22時間の反応時間の後に重合を止め、室温まで冷却した。このポリアクリレートはK値57、固体含有率54.6%、平均分子量Mw=714,000g/mol、多分散性PD(Mw/Mn)=7.6である。
【0226】
ベースポリマーHPT2
例1に倣って、2−エチルヘキシルアクリレート65kg、tert.−ブチルアクリレート30kg、およびアクリル酸5kgを、アセトン/イソプロパノール(95:5)67kg中で重合した。それぞれAIBN50gによって2回開始し、それぞれビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート150gによって2回開始し、アセトン/イソプロパノール混合物(95:5)20kgで希釈した。22時間の反応時間の後に重合を止め、室温まで冷却した。
【0227】
このポリアクリレートはK値61.0、固体含有率53.2%、平均分子量Mw=697,000g/mol、多分散性PD(Mw/Mn)=7.1である。
【0228】
ベースポリマーHPT3
例1に倣って行った。重合のために、2−エチルヘキシルアクリレート60kg、スチレン30kg、メチルアクリレート5kg、およびアクリル酸5kgを、エチルアセテート/イソプロパノール(97:3)25kg中で重合した。それぞれAIBN50gによって2回開始し、それぞれビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート150gによって2回(36時間および44時間の反応時間後)開始し、エチルアセテート/イソプロパノール(97:3)20kgで希釈した。48時間の反応時間の後に重合を止め、室温まで冷却した。このポリアクリレートはK値61、固体含有率68.4%、および平均分子量Mw=567,000g/mol、多分散性PD(Mw/Mn)=11.8である。
【0229】
ベースポリマーHPT4
ラジカル重合用の慣用の反応器に、2−エチルヘキシルアクリレート65kg、tert−ブチルアクリレート30kg、アクリル酸5kg、ジチオ安息香酸ベンジルエステル100g、およびアセトン67kgを充填した。撹拌しながら窒素ガスを45分間通した後、反応器を58℃に昇温し、AIBN50gを添加した。続いて外部の加熱槽を75℃に加熱し、反応をこの外部温度でずっと実施した。1時間後に新たにAIBN50gを加えた。4時間後にアセトン10kgで希釈した。5時間後および7時間後にそれぞれビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート150gの添加を行った。22時間の反応時間の後に重合を止め、室温まで冷却した。
【0230】
このポリアクリレートはK値49.2、固体含有率59.2%、平均分子量Mw=379,000g/mol、多分散性PD(Mw/Mn)=3.1である。
【0231】
ベースポリマーHPT5
ラジカル重合用の慣用の反応器に、2−エチルヘキシルアクリレート68kg、メチルアクリレート25kg、アクリル酸7kg、およびアセトン/イソプロパノール(95:5)66kgを充填した。撹拌しながら窒素ガスを45分間通した後、反応器を58℃に昇温し、AIBN40gを添加した。続いて外部の加熱槽を75℃に加熱し、反応をこの外部温度でずっと実施した。1時間後に新たにAIBN60gを加えた。4時間後にアセトン/イソプロパノール(95:5)20kgで希釈した。5時間後および7時間後にそれぞれビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート150gの添加を行った。22時間の反応時間の後に重合を止め、室温まで冷却した。
【0232】
このポリアクリレートはK値55、固体含有率55%、平均分子量Mw=579,000g/mol、多分散性PD(Mw/Mn)=7.9である。
【0233】
粘弾性支持体用のベースポリマーHPT1〜HPT5の濃縮およびコンパウンド化
アクリレートコポリマーHPT1〜HPT5から、方法1に倣って溶剤を除去し、そして必要に応じて引き続き方法2に倣って添加剤を混ぜる、個々の例を参照。
【0234】
方法4:2ロールカレンダ装置による3層構造物の製造
この方法は図3に示したように実施した。分配器ノズル(1)によって、架橋剤−促進剤系および必要に応じて充填剤と完全にコンパウンド化された粘弾性組成物(3)をロール間隙に供給する。粘弾性組成物の粘弾性フィルムへの成形は、カレンダロール(W1)と(W2)の間のロール間隙内で、2つの自着剤組成物(6a、6b)の間で行われ、この自着剤組成物の方は、抗付着性の支持体材料(5a、5b)上にコーティングされて供給される。その際に同時に、粘弾性組成物が、調整された層厚に成形され、かつ供給される両方の自着剤組成物でコーティングされる。成形された粘弾性支持体層(4)上での自着剤組成物(6a、6b)の定着をより良くするために、ロール間隙内に供給する前に自着剤組成物をコロナステーション(8)でコロナ処理する(コロナ設備、VITAPHONE社、デンマーク、100W・min/m)。この処理は、三層アセンブリの製造後の粘弾性支持体層への化学的結合を改善する。
【0235】
コーティング設備を通過する際のウェブ速度は30m/分である。
【0236】
ロール間隙から出た後、必要に応じて抗付着性の支持体(5a)を取り外し、できあがった三層生成物(7)を、残っている第2の抗付着性の支持体(5b)と共に巻きつける(方向(9))。
【0237】
以下では、記載した処方、構成、およびプロセスパラメータの選択によって本発明を不要に制限することなく、本発明による接着テープの自着剤組成物の製造およびコーティングに関する具体例を紹介する。
【0238】
例MT1
ベースポリマーHPT1を方法1に基づいて濃縮し(固体含有率99.7%)、続いて方法3に基づいて二軸スクリュー押出機内で連続的に、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル(Polypox(登録商標)R16、ポリアクリレートに対して0.22重量%)およびジシアンジアミド(Dyhard(登録商標)100SF、ポリアクリレートに対して0.20重量%)から成る架橋剤−促進剤系とコンパウンド化した。
【0239】
シリコーン処理したポリエステルフィルム上に予めコーティングされた組成物層PA1の間に、ベースポリマーHPT1から成る粘弾性支持体VT1を作製するためのコーティングを、2ロール塗布装置で、100℃のロール温度で、方法4に基づいて行う。粘弾性支持体VT1の層厚は880μmであった。コロナ出力は100W・min/mであった。7日間の室温保管の後、開放側および被覆側それぞれの接着技術データを測定した。例MT1のデータを表4にまとめて示す。
【0240】
例MT2
ベースポリマーHPT2を方法1に基づいて濃縮し(固体含有率99.8%)、続いて方法3に基づいて二軸スクリュー押出機内で連続的に、3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(CyracureTM UVR6105、ポリアクリレートに対して0.56重量%)およびジシアンジアミド(Dyhard(登録商標)100SF、ポリアクリレートに対して0.40重量%)から成る架橋剤−促進剤系とコンパウンド化した。続いて例1に倣って、それぞれシリコーン処理したポリエステルフィルム上に予めコーティングされた組成物層PA1の間に、2ロール塗布装置で、方法3に基づいてコーティングした。粘弾性支持体VT2の層厚は850μmであった。コロナ出力は100W・min/mであった。7日間の室温保管の後、開放側および被覆側それぞれの接着技術データを測定した。例MT2のデータを表4にまとめて示す。
【0241】
例MT3
ベースポリマーHPT3を方法1に基づいて濃縮し(固体含有率99.7%)、続いて方法2に基づいて5.5重量%の中空ガラスビーズであるQ−CEL(登録商標)5028(POTTERS INDUSTRIES社)とコンパウンド化し、方法3に基づいて二軸スクリュー押出機内で連続的に、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル(Polypox(登録商標)R16、ポリアクリレートに対して0.56重量%)および6−フェニル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイルジアミン(ベンゾグアナミン、ポリアクリレートに対して0.80重量%)から成る架橋剤−促進剤系とコンパウンド化した。シリコーン処理したポリエステルフィルム上に予めコーティングされた組成物層PA1の間に、粘弾性支持体VT3を作製するためのコーティングを、2ロール塗布装置で、100℃のロール温度で、方法3に基づいて行う。粘弾性支持体VT3の層厚は800μmであった。コロナ出力は100W・min/mであった。7日間の室温保管の後、開放側および被覆側それぞれの接着技術データを測定した。例MT3のデータを表4にまとめて示す。
【0242】
例MT4
ベースポリマーHPT4を方法1に基づいて濃縮し(固体含有率99.7%)、続いて方法2に基づいて20重量%のMikrosoehl白亜(Mikrosoehl(登録商標)40)と混合し、方法3に基づいて二軸スクリュー押出機内で連続的に、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル(アロンOXT−221、ポリアクリレートに対して0.34重量%)およびジシアンジアミド(Dyhard(登録商標)100SF、ポリアクリレートに対して0.42重量%)から成る架橋剤−促進剤系とコンパウンド化した。シリコーン処理したポリエステルフィルム上に予めコーティングされた組成物層PA1の間に、粘弾性支持体VT4を作製するためのコーティングを、2ロール塗布装置で、100℃のロール温度で、方法3に基づいて行う。粘弾性支持体VT4の層厚は850μmであった。コロナ出力は100W・min/mであった。7日間の室温保管の後、開放側および被覆側それぞれの接着技術データを測定した。例MT4のデータを表4にまとめて示す。
【0243】
例MT5
ベースポリマーHPT5を方法1に基づいて濃縮し(固体含有率99.8%)、続いて方法2に基づいて3重量%の膨張してない中空マイクロビーズであるExpancel(登録商標)092DU40(AKZO NOBEL社、ドイツ)と混合し、方法3に基づいて二軸スクリュー押出機内で連続的に、3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(CyracureTM UVR6105、ポリアクリレートに対して0.54重量%)およびジシアンジアミド(AmicureTMCG−1200、ポリアクリレートに対して0.42重量%)から成る架橋剤−促進剤系とコンパウンド化した。熱を加えることにより混合物を押出機内で膨張させ、続いてシリコーン処理したポリエステルフィルム上に予めコーティングされた組成物層PA1の間に、方法3に基づいて130℃のロール温度でコーティングした。膨張した粘弾性支持体VT5の層厚は800μmであった。感圧接着剤層を前処理するためのコロナ出力は100W・min/mであった。7日間の室温保管の後、開放側および被覆側それぞれの接着技術データを測定した。例MT5のデータを表4にまとめて示す。
【0244】
表4のデータから推察できるように、本発明の両面接着性の組立用接着テープは、非常に良好な接着技術データを有している。それぞれの面の均衡のとれた接着プロフィルが特に有利である。接着テープの両面の接着剤組成物層が同じであれば、これらの接着剤組成物層はほぼ同じ接着技術データを示す。これは層全体を通して架橋が均質であることを示している。これは当業者には意外である。加えてこの三層の接着テープは層間剥離を示さない。感圧接着剤層のコロナ処理および隣り合う粘弾性支持体層の後架橋により、層の相互の定着が非常に良い。
【0245】
【表2】

【0246】
【表3】

【0247】
【表4】

【0248】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0249】
【図1】図1は、連続的進行に基づくコンパウンド化およびコーティングプロセスを示す。
【図2】図2は、接着テープの製造、熱架橋用の架橋剤−促進剤系との混合、およびコーティングをプロセスを示す。
【図3】図3は、2ロールカレンダ装置による3層構造物の製造を示す。
【図4】図4は、ポリアクリレート感圧接着剤層(層Aおよび/または層C)の製造を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシド基またはオキセタン基を含有する少なくとも1つの物質(架橋剤)と、少なくとも2つのシアナミド分子から成る少なくとも1つの反応生成物または少なくとも1つのそれらの誘導体(促進剤)とを含む、環状エーテル、特にエポキシド基またはオキセタン基と結合反応するのに適した官能基を含むポリアクリレートを熱架橋するための架橋剤−促進剤系。
【請求項2】
促進剤として、シアナミドの二量体(ジシアンジアミド)を使用することを特徴とする請求項1に記載の架橋剤−促進剤系。
【請求項3】
促進剤として、シアナミドの三量体、特にメラミンを使用することを特徴とする請求項1または2に記載の架橋剤−促進剤系。
【請求項4】
促進剤として、ジシアンジアミドの塩および/またはシアナミドの三量体の塩、特にメラミンの塩を使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の架橋剤−促進剤系。
【請求項5】
促進剤として、置換されたメラミンおよび/または別の1,3,5−トリアジン誘導体を使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の架橋剤−促進剤系。
【請求項6】
エポキシド基またはオキセタン基を含有する物質として、多官能性のエポキシドまたはオキセタンを使用することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の架橋剤−促進剤系。
【請求項7】
エポキシド基またはオキセタン基を含有する物質として、二官能性のエポキシドまたはオキセタン、つまり2つのエポキシド基またはオキセタン基を含む物質を使用することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の架橋剤−促進剤系。
【請求項8】
エポキシド基またはオキセタン基を含有する物質として、1つまたは複数の混合官能性化合物、つまり少なくとも1つのエポキシド基および少なくとも1つのオキセタン基を含む物質、特に1つだけのエポキシド基および1つだけのオキセタン基を含む物質を使用することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の架橋剤−促進剤系。
【請求項9】
環状エーテル、特にエポキシド基またはオキセタン基と結合反応するのに適した官能基を含むポリアクリレートを熱架橋するための方法において、請求項1〜8のいずれか一つに記載の架橋剤−促進剤系を使用することを特徴とする方法。
【請求項10】
架橋が、溶融状態のポリアクリレートで、架橋剤−促進剤系の存在下で開始され、その後、冷却後も最終的な架橋度が達成されるまで架橋反応が続行するという条件付きで、架橋反応が10%未満の程度で終了した時点でポリアクリレートを冷却することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
実質的に室温まで冷却が行われることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
開始が、処理反応器、特に連続的に動作する処理反応器内で行われ、開始後にポリアクリレートが処理反応器から取り出され、永続的または一時的な支持体上にコーティングされ、ポリアクリレートがコーティングの際またはコーティング直後に実質的に室温まで冷却されることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
特に片面感圧接着テープまたは両面感圧接着テープ用の感圧接着剤組成物としての、請求項9〜12のいずれか一つに従い製造されたポリアクリレートの使用。
【請求項14】
ヒートシール剤組成物としての、請求項9〜12のいずれか一つに従い製造されたポリアクリレートの使用。
【請求項15】
特に片面または両面で感圧接着剤組成物によってコーティングされた接着テープ用の支持体材料としての、請求項9〜12のいずれか一つに従い製造されたポリアクリレートの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−100852(P2010−100852A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−242390(P2009−242390)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(509120403)テーザ・ソシエタス・ヨーロピア (118)
【Fターム(参考)】