説明

燃焼溶融炉

【課題】 灰を溶融する溶融部とスラグ冷却部の間に、スラグ溜めを有するスラグ保持部を備えた燃焼溶融炉において、スラグ溜めの溶融スラグをバーナの火炎によって効果的に加熱できるようにする。
【解決手段】 スラグ溜めの溶融スラグ面と平衡或いはほぼ平行に火炎を噴射するバーナを複数個備え、火炎同士が衝突するように設置する。望ましくは、更に前記火炎に向かって上方から火炎を吹き付ける別のバーナを備える。溶融スラグ面に沿って火炎が噴射されるので、火炎の熱が溶融スラグに有効に伝わる。また、衝突により火炎が減衰されるので、火炎インピンジによるスラグ保持部の炉壁損傷を抑制できる。更に、溶融スラグ面と平行に噴射された火炎に対し上方からも火炎を吹き付けることで、火炎の浮力による上昇を抑えて、溶融スラグの加熱効果を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機物を溶融してスラグとして回収する燃焼溶融炉に係り、特に石炭灰や焼却灰を溶融してスラグとして回収することで灰を無害化する燃焼溶融炉に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭灰や廃棄物の焼却灰を溶融スラグ化することで、灰からの有害物質の溶出を防止する技術が開発されており、その1つとして、灰に外熱を加えて溶融しスラグとして回収する旋回式溶融炉が知られている(例えば、特許文献1参照)。この炉は堅型の円筒炉である。灰は旋回流による遠心力で炉壁に付着し、燃料の燃焼熱で溶融スラグ化される。溶融スラグは炉内壁を流下して炉底の排出口から水槽に落下し、冷却されて固形スラグとして回収される。
【0003】
旋回式溶融炉の直下にスラグ溜めを設置して、落下した溶融スラグを一旦保持する燃焼溶融炉も知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、処理量の増加を図るためにスラグ溜めに無機物を投入すること、スラグ溜めのスラグをバーナで加熱して溶融状態に保持することが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11-270827号公報(図1)
【特許文献2】特開2005-3230号公報(図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
燃焼溶融炉の溶融スラグ排出口から落下した溶融スラグには、炉壁付着灰の落下混入などにより、完全に溶融していない灰が混入していることがある。溶融部の直下でスラグを冷却して回収する燃焼溶融炉では、溶融していない灰を溶融させることはできない。
【0006】
溶融部の直下にスラグ溜めを備えた燃焼溶融炉では、溶融していない灰をスラグ溜めで溶融させることが可能である。この構造の燃焼溶融炉では、スラグ溜めにおいて、溶融スラグの粘度上昇による付着、滞留および固化を抑制する必要があり、そのために、スラグ溜めを流下する溶融スラグの表面全体を灰溶融温度以上に加熱する必要がある。特許文献2に記載のように溶融スラグを1本のバーナで加熱する場合、火炎の熱が溶融スラグ面全体に行き渡るようにバーナの負荷を増やすと、火炎が対向する壁面に到達し、火炎インピンジにより炉壁が損傷する恐れがある。一方で、バーナの負荷を減らすと、火炎が浮力で上昇し、溶融スラグ面を十分に加熱できないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、スラグ溜めの溶融スラグをバーナの火炎によって効果的に加熱できるようにした燃焼溶融炉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、底部に溶融スラグ排出口を有する溶融部と、前記溶融スラグ排出口から落下した溶融スラグを保持するスラグ保持部と、前記スラグ保持部から流下した溶融スラグを冷却・固化するスラグ冷却部を有し、前記スラグ保持部にスラグ溜めと溶融スラグ出滓口およびスラグ加熱用のバーナが備えられている燃焼溶融炉において、前記スラグ溜めの溶融スラグ面に沿って火炎を噴射するバーナを複数個備え、火炎同士が衝突するように設置したものである。
【0009】
また、本発明は、溶融スラグ面に沿って噴射された前記火炎に対し、上方から火炎を吹き付ける別のバーナを更に備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の燃焼溶融炉は、スラグ溜めの溶融スラグ面に沿って火炎が噴射される、つまり溶融スラグ面と平行或いはほぼ平行に火炎が噴射されるので、火炎によって溶融スラグを効果的に加熱することが出来る。また、衝突により火炎が減衰されるので、火炎インピンジによるスラグ保持部の炉壁損傷を抑制できる。更に、溶融スラグ面と平行に噴射された火炎に対し、上方から別の火炎を吹き付けることで、火炎の浮力による上昇を抑えて、火炎による溶融スラグの加熱効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明では、バーナを対向させ、バーナの負荷バランスを調整することで、スラグ溜めで高温となる位置を調整することができる。例えば、バーナの負荷バランスを調整して、溶融部の溶融スラグ排出口直下において火炎が衝突するようにした場合には、溶融スラグ排出口近傍の温度を特に高めることができる。これにより、溶融スラグ排出口にスラグが付着・固化するのを抑制でき、また、燃焼溶融炉の灰処理量が増大した場合でも、スラグの安定出滓が可能となる。
【0012】
本発明において、スラグ保持部に酸素又は空気と燃料の供給手段を備えることが望ましい。この供給手段から供給した燃料をバーナ火炎により燃焼することで、スラグ保持部の雰囲気温度を高めることができる。この結果、バーナの負荷を下げることも可能である。
【0013】
本発明では、また、バーナの流量条件を制御するためのバーナ制御装置を備えることが望ましい。バーナ制御装置は、例えば、スラグ溜めの溶融スラグ温度又は雰囲気温度、溶融部の溶融スラグ排出口とスラグ溜めの溶融スラグ出滓口の溶融スラグ流下状況、スラグ冷却部に回収されたスラグ量等に基づいて、バーナの流量条件を制御するものが望ましい。スラグ溜めの溶融スラグ温度又は雰囲気温度としては、一箇所の温度ではなく、全域の温度分布とすることが望ましい。また、溶融スラグ排出口及び溶融スラグ出滓口の溶融スラグの流下状況は、溶融スラグの移動速度、色、或いは輝度等により判断とすることが望ましい。
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
本発明の第一実施例を図1に示す。燃焼溶融炉1は、溶融部3とスラグ保持部14およびスラグ冷却部20の3つの部分により構成されている。溶融部3は竪型の円筒炉である。空気ノズル5から燃焼空気が、燃料ノズル6から燃料が、灰ノズル7から無機物が、それぞれ接線方向に溶融部3内に供給され、これにより溶融部3内には旋回流が形成される。燃料ノズル6から投入された燃料は、旋回流に同伴されて、炉内壁の近傍を下降しながら燃焼する。従って、溶融部3の炉底部に高温雰囲気が形成される。一方、燃焼排ガス4は、浮力により上昇し、炉頂部の排ガス排出口2より炉外に排出される。
【0016】
被溶融物10は、灰ホッパ9に充填され、搬送配管8と灰ノズル7を介して、溶融部3に供給される。灰ホッパ9において、被溶融物10の融点を調整するため、添加剤11を添加・混合してもよい。ここで、被溶融物10は、焼却灰や石炭灰といった無機物を多く含む灰の総称である。添加剤11は、消石灰、炭酸カルシウム、粉体ガラス、珪砂などのシリカ化合物などが適する。溶融部3に投入された無機物は、旋回流の遠心力で炉壁付近に移動する。同時に無機物は、燃料の燃焼熱で溶融し、溶融スラグ12として炉壁を流下する。溶融スラグ12は、溶融部3の底部に設けられた溶融スラグ排出口13より流下して、スラグ保持部14に供給される。
【0017】
本実施例のスラグ保持部14は、スラグ溜め15と溶融スラグ出滓口16とスラグ排出筒17から構成されている。溶融スラグ排出口13から排出された溶融スラグ12は、スラグ溜め15に流下して留まる。溶融スラグ溜めの溶融スラグは、第一加熱バーナ21の火炎22、第二加熱バーナ27の火炎28、第三加熱バーナ25の火炎26により加熱され、溶融状態が保持される。仮に溶融部3から、完全に溶融されなかった無機物が溶融スラグ排出口13を介して落下した場合でも、スラグ溜め15にて滞留し、上述のバーナの火炎によって溶融し溶融スラグ12とすることができる。
【0018】
スラグ溜め15において、溶融スラグ12は堆積し、自身の重力により溶融スラグ出滓口16に向かって移動する。スラグ溜め15の溶融スラグ12は、いかなる場所においても流動する粘度まで加熱しなければならない。従って、スラグ溜め15の溶融スラグ12の表面全体に、火炎が接するバーナ配置が望ましい。
【0019】
本実施例において使用する、4本の加熱バーナの役割について説明する。第一加熱バーナ21と第二加熱バーナ27は、対向するように設置され、スラグ溜め15の溶融スラグ12面に沿って、つまり溶融スラグ面と平行或いはほぼ平行に火炎が噴射されるようにする。両者のバーナの火炎によりスラグ溜めの溶融スラグを加熱する。また、第一加熱バーナ21の火炎22と第二加熱バーナ27の火炎が衝突することで、溶融スラグ排出口13及びその部分を流下する溶融スラグが加熱され、溶融スラグ排出口13にスラグが付着して固化するのを抑制できる。また、第一加熱バーナ21の火炎22と第二加熱バーナ27の火炎28を衝突させることで、バーナの負荷を高めたときに、それぞれの火炎が対向する側壁に到達して炉壁を損傷するのを防止できる。
【0020】
第四加熱バーナ23は、溶融スラグ出滓口16を流下する溶融スラグに対して火炎24を噴射し、この部分にスラグが冷却・固化するのを防止する。
【0021】
第三加熱バーナ25は、第一加熱バーナの火炎と第二加熱バーナの火炎に上方から火炎26を吹き付けて、火炎が浮力により上昇するのを抑制する。第一加熱バーナの火炎と第二加熱バーナの火炎が衝突する位置に向けて、第三加熱バーナの火炎26を吹き付けるのが最も有効である。
【0022】
溶融スラグ出滓口16からスラグ冷却部20に流下した溶融スラグは、冷却水19により冷却され、固化して固形スラグ18になる。
【実施例2】
【0023】
本発明の第二実施例を図2に示す。本実施例では、第三加熱バーナを省略した。第一加熱バーナ21と第二加熱バーナ27は対向させて設置されている。これにより、両バーナの火炎が衝突し、火炎が広がるので、スラグ溜め15の溶融スラグ12および溶融スラグ排出口13を火炎により効果的に加熱することができる。また、両バーナの火炎がスラグ溜め15の側壁に到達して側壁を損傷するのを抑制することができる。火炎の衝突場所としては、スラグ溜め15の天井壁面の損傷を抑制する観点と溶融スラグ排出口を加熱する観点から、溶融部3の溶融スラグ排出口直下とすることが望ましい。
【0024】
第一加熱バーナ21と第二加熱バーナ27の噴出速度を変えることで、両バーナの火炎の衝突位置を調整でき、最も高温となる場所の移動が可能となる。これにより、スラグ溜め内で溶融スラグが固着した場合に焼き切り運転すなわち炉内に残っているスラグを流し出す運転が可能になる。また、溶融スラグ出滓口における溶融スラグの出滓速度を調整できるというメッリトがある。
【実施例3】
【0025】
本発明の第三実施例を図3に示す。本実施例では、第二実施例の燃焼溶融炉に対し、計測装置とバーナ制御装置29を追加した。
【0026】
バーナ制御装置29に送られる主なデータは、炉内の温度分布データ33、回収された固形スラグ18の単位時間あたりの重量データ35、溶融スラグ12の移動速度37である。炉内の温度分布データ33は、熱電対などの温度計測器32により得られる。スラグ保持部14の内部の温度分布データ30は、スラグ保持部14の側壁の炉円周方向に複数の熱電対を設置することで得られる。一方、スラグ溜め15の溶融スラグ12の温度分布データ31は、スラグ溜め15の底面を構成する耐火材の内部に、炉円周方向に複数の熱電対を設置することで得られる。ここで、溶融スラグ12の温度を直接計測していない理由は、溶融スラグ12の移動による熱電対の破損を防ぐためである。
【0027】
回収された固形スラグ18の単位時間あたりの重量データ35は、重量計測装置34で計測される。溶融部3に投入される被溶融物10の重量に対する固形スラグ18の重量データ35を把握することで、燃焼溶融炉内における溶融スラグ12の堆積の有無を判断できる。
【0028】
溶融スラグ12の移動速度37は、溶融スラグ移動速度計測装置36で計測される。移動する溶融スラグ12を観察するための観察窓を設置し、ビデオカメラで撮影した映像の画像処理等が有効である。また、溶融スラグ12への異物混入やスラグの溶融状態の変動については、前記の移動速度計測装置36のみならず、運転員による目視も必要である。これは、被溶融物10の性状、燃焼溶融炉の運用条件及び計測データ、固形スラグ18の性状といった様々な因子をもとに原因を推定し、燃焼溶融炉1の運用条件に反映させるためである。
【0029】
バーナ制御装置29において、送られた炉内の温度分布データ33、回収スラグ18の単位時間あたりの重量データ35、溶融スラグ12の移動速度37をもとに、スラグ保持部14の第一加熱バーナの流量条件39、第二加熱バーナの流量条件38、第四加熱バーナの流量条件40を決定する。
【0030】
一般に溶融スラグは粘度が250ポアズ以上に上昇すると流れにくくなる傾向がある。このことから、バーナ制御装置29は、溶融スラグ排出口および溶融スラグ出滓口を流下する溶融スラグの粘度が250ポアズ以上に上昇したならば、バーナの燃料量と酸素量を増加して火炎温度を上げるように設定することもできる。
【実施例4】
【0031】
本発明の第四実施例を図4に示す。本実施例では、第三実施例の計測装置29への入力データに、スラグ用途41に応じた回収スラグの性状データ42を追加した。
【0032】
回収スラグの性状データ42としては、酸化性スラグと還元性スラグがある。酸化性スラグは、一般に中実の粒状であり、砂や砕石の代替としての利用が可能である。還元性スラグは、細孔を有しており、軽石の代替としての利用が可能である。これらのスラグは、溶融スラグ出滓口16付近の炉内の空気比が酸化雰囲気か、還元雰囲気かによって作り分けが可能である。ここで、2次利用されるスラグの必要条件として、スラグ中に可燃物を含まないことが挙げられる。このために、スラグ保持部14の空気比分布を制御する必要がある。酸化性スラグを製造する場合には、溶融スラグ出滓口16付近は酸化雰囲気にする。このために、スラグ保持部14の第一加熱バーナの流量条件39、第四加熱バーナの流量条件40は、それぞれ空気比を1以上とする。
【0033】
還元性スラグを製造する場合には、溶融スラグ出滓口16付近は還元雰囲気にする必要がある。スラグ中に可燃物を含ませないこと、溶融スラグ出滓口16付近を高温に保持するといった観点から、スラグ保持部14の第一加熱バーナの流量条件39および第四加熱バーナの流量条件40として、空気比は0.9〜1程度が望ましい。また、溶融スラグ12中の可燃物を完全燃焼させる観点から、上流側の第二加熱バーナの流量条件38として、空気比は1以上とすることが望ましい。
【実施例5】
【0034】
本発明の第五実施例を図5に示す。本実施例では、第3実施例の燃焼溶融炉におけるスラグ保持部14に、空気又は酸素と燃料の供給装置47を追加し、またバーナ制御装置29からの指示により供給装置47の流量条件46を制御できるようにした。
【0035】
スラグ保持部14内の温度分布データ33、回収された固形スラグ18の単位時間あたりの重量データ35、溶融スラグ12の移動速度37の調整用として、加熱バーナの流量条件に加えて、スラグ保持部14の複数箇所に空気又は酸素と燃料の供給装置47を設けて、その流量条件を調整する。供給装置47から供給した燃料を加熱バーナの火炎で燃焼することにより、スラグ保持部の雰囲気温度を高めることができる。この結果、バーナの負荷を緩和することが可能である。
【実施例6】
【0036】
本発明の第六実施例を図6に示す。ここでは、第一実施例の燃焼溶融炉1の燃焼排ガス4から熱回収して発電する発電システムについて説明する。
【0037】
燃焼溶融炉1からの燃焼排ガス4は、熱交換器101に供給され、熱回収される。ここで回収した熱により蒸気タービン102を駆動させ、発電機103により発電する。
【0038】
一方、熱交換器101を出た燃焼排ガス4は、サイクロンやバグフィルタといった脱塵装置104にて脱塵される。脱塵装置104にて回収された飛灰105は、灰ホッパ9に戻す。脱塵装置104を出た燃焼排ガス4は、煙突106から系外に排出される。
【実施例7】
【0039】
本発明の第七実施例を図7に示す。ここでは、第一実施例で説明した燃焼溶融炉1の燃焼排ガス4を微粉炭ボイラ108に投入するようにした石炭火力発電所灰処理システムについて説明する。
【0040】
燃焼溶融炉1の燃焼排ガス4は、排ガス温度の調整器107を介して温度調整され、微粉炭ボイラ108に供給される。微粉炭ボイラ108に供給された燃焼排ガスは、微粉炭バーナ109により微粉炭を燃焼した際に発生した排ガスと共に炉外へ排出されて排ガス処理される。これにより、燃焼排ガス4の排熱回収および排ガス処理を、微粉炭ボイラ108に既存の排ガス処理設備を活用して行うことができ、低コストでのシステム構築が可能となる。微粉炭ボイラの排ガス系統には、一般に排ガス処理設備として、熱交換器112、脱硝装置113、電気集塵機114、脱硫装置115が備えられており、燃焼排ガス4はこれらの排ガス処理設備により処理される。
【0041】
微粉炭ボイラ108の排ガス中に含まれる石炭灰は、排ガス処理系の電気集塵機114において、フライアッシュ116として回収される。フライアッシュ116は分級機117に供給して分級する。分級されたフライアッシュのうち、例えば粒径45μm以下のものは、セメント原料として再利用可能である。そのままでは再利用に適さないものは、燃焼溶融炉1に投入するために灰ホッパ9に供給すると良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第一実施例の燃焼溶融炉の概略構成図。
【図2】第二実施例の燃焼溶融炉の概略構成図。
【図3】第三実施例の燃焼溶融炉の概略構成図。
【図4】第四実施例の燃焼溶融炉の概略構成図。
【図5】第五実施例の燃焼溶融炉の概略構成図。
【図6】本発明の燃焼溶融炉を備えた発電システムの構成図。
【図7】本発明の燃焼溶融炉により石炭火力発電所の石炭灰を溶融処理する灰処理システムの構成図。
【符号の説明】
【0043】
1…燃焼溶融炉、2…排ガス排出口、3…溶融部、4…燃焼排ガス、10…被溶融物、12…溶融スラグ、13…溶融スラグ排出口、14…スラグ保持部、15…スラグ溜め、16…溶融スラグ出滓口、18…固形スラグ、20…スラグ冷却部、21…第一加熱バーナ、23…第四加熱バーナ、25…第三加熱バーナ、27…第二加熱バーナ、29…バーナ制御装置、102…蒸気タービン、103…発電機、108…微粉炭ボイラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に溶融スラグ排出口を有する溶融部と、前記溶融スラグ排出口から落下した溶融スラグを保持するスラグ保持部と、前記スラグ保持部から流下した溶融スラグを冷却・固化するスラグ冷却部を有し、前記スラグ保持部にスラグ溜めと溶融スラグ出滓口およびスラグ加熱用のバーナが備えられている燃焼溶融炉において、前記スラグ溜めの溶融スラグ面に沿って火炎を噴射するバーナを複数個備え、火炎同士が衝突するように設置したことを特徴とする燃焼溶融炉。
【請求項2】
請求項1において、複数個の前記バーナを対向させて設置したことを特徴とする燃焼溶融炉。
【請求項3】
請求項1において、複数個の前記バーナを前記溶融スラグ排出口の直下で火炎が衝突するように設置したことを特徴とする燃焼溶融炉。
【請求項4】
底部に溶融スラグ排出口を有する溶融部と、前記溶融スラグ排出口から落下した溶融スラグを保持するスラグ保持部と、前記スラグ保持部から流下した溶融スラグを冷却・固化するスラグ冷却部を有し、前記スラグ保持部にスラグ溜めと溶融スラグ出滓口およびスラグ加熱用のバーナが備えられている燃焼溶融炉において、前記スラグ溜めの溶融スラグ面に沿って火炎を噴射する複数のバーナと溶融スラグ面に沿って噴射された前記火炎に対し上方から火炎を吹き付けるバーナを有し、前記溶融スラグ面に沿って火炎を噴射するバーナを火炎同士が衝突するように設置したことを特徴とする燃焼溶融炉。
【請求項5】
底部に溶融スラグ排出口を有する溶融部と、前記溶融スラグ排出口から落下した溶融スラグを保持するスラグ保持部と、前記スラグ保持部から流下した溶融スラグを冷却・固化するスラグ冷却部を有し、前記スラグ保持部にスラグ溜めと溶融スラグ出滓口およびスラグ加熱用のバーナが備えられている燃焼溶融炉において、前記スラグ溜めの溶融スラグ面に沿って火炎を噴射するバーナを火炎同士が衝突するように複数個設置し、更に前記スラグ溜めに空気又は酸素及び燃料の供給手段を備えたことを特徴とする燃焼溶融炉。
【請求項6】
底部に溶融スラグ排出口を有する溶融部と、前記溶融スラグ排出口から落下した溶融スラグを保持するスラグ保持部と、前記スラグ保持部から流下した溶融スラグを冷却・固化するスラグ冷却部を有し、前記スラグ保持部にスラグ溜めと溶融スラグ出滓口およびスラグ加熱用のバーナが備えられている燃焼溶融炉において、前記スラグ溜めの溶融スラグ面に沿って火炎を噴射する複数のバーナと、溶融スラグ面に沿って噴射された前記火炎に対し上方から火炎を吹き付けるバーナを有し、溶融スラグ面に沿って火炎を噴射する複数のバーナを火炎同士が衝突するように設置し、更に前記スラグ溜めに空気又は酸素及び燃料の供給手段を備えたことを特徴とする燃焼溶融炉。
【請求項7】
請求項1,4,5又は6において、前記スラグ溜めの温度分布と、前記溶融スラグ排出口と前記溶融スラグ出滓口の溶融スラグ流下状況および前記スラグ冷却部で回収された単位時間当たりのスラグ量から選ばれた少なくとも1つに基づいて、前記バーナの流量条件を制御するバーナ制御装置を更に有することを特徴とする燃焼溶融炉。
【請求項8】
請求項7において、前記制御装置は前記溶融スラグ排出口と前記溶融スラグ出滓口の溶融スラグ流下状況から推定される溶融スラグの粘度が250ポアズ以上に上昇すると、前記バーナの燃料量と酸素量を増加して火炎温度を上げるように構成されていることを特徴とする燃焼溶融炉。
【請求項9】
請求項1,4,5又は6において、前記スラグ溜めの温度分布と、前記溶融スラグ排出口と前記溶融スラグ出滓口の溶融スラグ流下状況および前記スラグ冷却部で回収された単位時間当たりのスラグ量から選ばれた少なくとも1つ、および要求されるスラグの性状に基づいて、前記バーナの空気比を変えるバーナ制御装置を更に有することを特徴とする燃焼溶融炉。
【請求項10】
請求項9において、前記バーナ制御装置は前記スラグ出滓口が酸化雰囲気と還元雰囲気の間で切り替わるように前記バーナの空気比を変えるものであることを特徴とする燃焼溶融炉。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の燃焼溶融炉から排出された燃焼排ガスの熱回収手段と、前記熱回収手段で回収された熱を用いて発電する発電手段を備えたことを特徴とする発電システム。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれかに記載の燃焼溶融炉と、石炭火力発電所で発生した石炭灰を前記燃焼溶融炉に供給する手段と、前記燃焼溶融炉の燃焼排ガスを石炭火力発電所のボイラに投入する手段とを備えたことを特徴とする石炭火力発電所の石炭灰処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−64498(P2007−64498A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−247414(P2005−247414)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】