説明

物体搬出方法、物体交換方法、物体保持装置、物体交換システム、露光装置、フラットパネルディスプレイの製造方法、及びデバイス製造方法

【課題】基板ステージ上の基板の交換を迅速に行う。
【解決手段】 基板ステージ20aは、基板ホルダ30aから加圧気体を噴出して基板Pを浮上させ、基板ホルダ30aに内蔵された基板搬出装置70aを用いて、基板ホルダ30aの上面(基板載置面)をガイド面として基板Pを水平面に沿って移動させることにより基板ホルダ30aから搬出する。このため、基板Pに対する露光処理が終了した後、基板交換のために基板ステージ20aを基板交換位置に位置させる前に基板Pの搬出動作を開始することができる。次に露光予定の別の基板Pは、基板Pの搬出動作が行われる際、基板ホルダ30aの上方に待機しており、基板Pの搬出動作完了後に基板ステージ20aが有する数の基板リフト装置46aに受け渡される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体搬出方法、物体交換方法、物体保持装置、物体交換システム、露光装置、フラットパネルディスプレイの製造方法、及びデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、物体保持装置に保持された物体の前記物体保持装置からの搬出方法、前記物体搬出方法を含む前記物体保持部材上の物体の交換方法、前記物体を保持する物体保持装置、前記物体保持装置を含む物体交換システム、前記物体保持装置又は前記物体交換システムを含む露光装置、前記露光装置を用いるフラットパネルディスプレイの製造方法、及び前記露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子、半導体素子(集積回路等)等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、主として、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが用いられている。
【0003】
この種の露光装置としては、露光対象物であるガラスプレート又はウエハ(以下、「基板」と総称する)を所定の基板搬送装置を用いて基板ステージ装置に対して搬入及び搬出するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、露光装置では、基板ステージ装置に保持された基板への露光処理が終了すると、その基板は基板ステージ上から搬出され、基板ステージ上には別の基板が搬送されることにより、複数の基板に対して連続して露光処理が行われる。従って、複数の基板に対して連続して露光処理を行う際には、基板ステージ装置からの基板の搬出を迅速に行うことが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,559,928号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の事情の下でなされたもので、第1の観点からすると、物体保持装置が有する物体保持部材上に載置された物体を該物体保持部材上から搬出する物体搬出方法であって、前記物体を保持した前記物体保持装置を、前記物体保持部材上から前記物体を搬出する物体搬出位置に向けて移動させることと、前記物体保持装置が前記物体搬出位置に到達する前に、前記物体を前記物体保持部材上から搬出する搬出動作を開始することと、を含む物体搬出方法である。
【0007】
これによれば、物体保持装置が物体搬出位置に到達する前に物体の搬出動作が開始されるので、物体の物体保持部材上からの搬出を迅速に行うことができる。
【0008】
本発明は、第2の観点からすると、本発明の第1の観点にかかる物体搬出方法によって前記搬出動作を開始することと、前記物体保持装置が前記物体搬出位置に到達する前に、別の物体を所定の待機位置に待機させることと、前記物体保持装置が前記物体搬出位置に位置した状態で前記物体を前記物体保持装置から搬出することと、前記待機位置に位置する前記別の物体を前記物体保持装置上に搬入することと、を含む物体保持装置上の物体交換方法である。
【0009】
本発明は、第3の観点からすると、搬入された物体が載置される物体載置面を有し、前記物体載置面上に載置された前記物体を保持可能な物体保持部材と、前記物体保持部材が保持する前記物体を前記物体保持部材上から外部に搬出する搬出装置と、を備える物体保持装置である。
【0010】
これによれば、物体保持装置が搬出装置を備えているので、物体の搬出動作を任意のタイミングで行うことができる。従って、物体の物体保持装置からの搬出を迅速に行うことができる。
【0011】
本発明は、第4の観点からすると、本発明の第3の観点にかかる物体保持装置と、前記物体保持部材の上方に搬入対象の物体を搬送する搬入装置と、前記物体保持装置に設けられ、前記搬入対象の物体を前記搬入装置から受け取る物体受け取り装置と、前記物体保持装置に設けられ、前記搬出装置によって搬出される搬出対象の物体をガイドするガイド面を規定するガイド部材と、を備える物体交換システムである。
【0012】
本発明は、第5の観点からすると、本発明の第3の観点にかかる物体保持装置又は本発明の第4の観点にかかる物体交換システムと、前記物体保持装置に保持された前記物体に対してエネルギビームを用いて所定のパターンを形成するパターン形成装置と、を備える露光装置である。
【0013】
本発明は、第6の観点からすると、本発明の第5の観点にかかる露光装置を用いて前記物体を露光することと、露光された前記物体を現像することと、を含むフラットパネルディスプレイの製造方法である。
【0014】
本発明は、第7の観点からすると、本発明の第5の観点にかかる露光装置を用いて前記物体を露光することと、露光された前記物体を現像することと、を含むデバイス製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態の液晶露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の液晶露光装置が有する基板ステージ(基板ホルダ)、基板搬入装置、及びポート部の平面図である。
【図3】図3(A)は、図2のA−A線断面図、図3(B)は、図2のB−B線断面図である。
【図4】図4(A)及び図4(B)は、液晶露光装置における基板の交換動作を説明するための図(その1及びその2)である。
【図5】図5(A)及び図5(B)は、液晶露光装置における基板の交換動作を説明するための図(その3及びその4)である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、液晶露光装置における基板の交換動作を説明するための図(その5及びその6)である。
【図7】図7(A)及び図7(B)は、液晶露光装置における基板の交換動作を説明するための図(その7及びその8)である。
【図8】図8(A)及び図8(B)は、液晶露光装置における基板の交換動作を説明するための図(その9及びその10)である。
【図9】基板搬出時における基板とポート部との関係を説明するための図である。
【図10】図10(A)〜図10(C)は、基板搬出時における基板の動作を説明するための図(その1〜その3)である。
【図11】第2の実施形態に係る基板ステージ(基板ホルダ)、基板搬入装置、及びポート部の平面図である。
【図12】図11の基板ステージ(基板ホルダ)、基板搬入装置、及びポート部の断面図である。
【図13】第3の実施形態に係る基板ステージ(基板ホルダ)、基板搬入装置、及びポート部の平面図である。
【図14】第4の実施形態に係る基板ステージの断面図である。
【図15】図15(A)〜図15(C)は、第4の実施形態における基板の交換動作を説明するための図(その1〜その3)である。
【図16】図16(A)〜図16(C)は、第1の変形例における基板の交換動作を説明するための図(その1〜その3)である。
【図17】図17(A)〜図17(C)は、第1の変形例における基板の交換動作を説明するための図(その4〜その6)である。
【図18】第2の変形例に係る基板ステージ装置(基板ホルダ、及び基板搬出装置)の平面図である。
【図19】図19(A)及び図19(B)は、第3の変形例における基板の交換動作を説明するための図(その1及びその2)である。
【図20】図20(A)及び図20(B)は、第3の変形例における基板の交換動作を説明するための図(その3及びその4)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態について、図1〜図10(C)を用いて説明する。
【0017】
図1には、第1の実施形態の液晶露光装置10の構成が概略的に示されている。液晶露光装置10は、例えば液晶表示装置(フラットパネルディスプレイ)などに用いられる矩形(角型)のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とする投影露光装置である。
【0018】
液晶露光装置10は、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージMST、投影光学系PL、表面(図1で+Z側を向いた面)にレジスト(感応剤)が塗布された基板Pを保持する基板ステージ装置PST、基板搬入装置80、外部装置との間で基板の受け渡しを行うポート部60、及びこれらの制御系等を含む。以下においては、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系PLに対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でX軸に直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。また、X軸、Y軸、及びZ軸方向に関する位置をそれぞれX位置、Y位置、及びZ位置として説明を行う。
【0019】
照明系IOPは、例えば米国特許第6,552,775号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。すなわち、照明系IOPは、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。
【0020】
マスクステージMSTには、回路パターンなどがそのパターン面に形成されたマスクMが、例えば真空吸着により吸着保持されている。マスクステージMSTは、装置本体(ボディ)の一部である鏡筒定盤16上に搭載され、例えばリニアモータを含むマスクステージ駆動系(不図示)により走査方向(X軸方向)に所定の長ストロークで駆動されるとともに、Y軸方向、及びθz方向に適宜微少駆動される。マスクステージMSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、不図示のレーザ干渉計を含むマスク干渉計システムにより計測される。
【0021】
投影光学系PLは、マスクステージMSTの下方に配置され、鏡筒定盤16に支持されている。投影光学系PLは、例えば米国特許第6,552,775号明細書に開示された投影光学系と同様に構成されている。すなわち、投影光学系PLは、マスクMのパターン像の投影領域が千鳥状に配置された複数の投影光学系(マルチレンズ投影光学系)を含み、Y軸方向を長手方向とする長方形状の単一のイメージフィールドを持つ投影光学系と同等に機能する。本実施形態では、複数の投影光学系それぞれとしては、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成するものが用いられている。
【0022】
このため、照明系IOPからの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、マスクMを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、基板P上の照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域)に形成される。そして、マスクステージMSTと基板ステージ装置PSTとの同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してマスクMを走査方向に相対移動させるとともに、露光領域(照明光IL)に対して基板Pを走査方向に相対移動させることで、基板P上の1つのショット領域の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMに形成されたパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系IOP及び投影光学系PLによって基板P上にマスクMのパターンが生成され、照明光ILによる基板P上の感応層(レジスト層)の露光によって基板P上にそのパターンが形成される。
【0023】
基板ステージ装置PSTは、定盤12、及び定盤12の上方に配置された基板ステージ20aを備えている。
【0024】
定盤12は、平面視で(+Z側から見て)矩形の板状部材から成り、その上面は、平面度が非常に高く仕上げられている。定盤12は、装置本体の一部である基板ステージ架台13上に搭載されている。基板ステージ架台13を含み、装置本体は、クリーンルームの床11上に設置された防振装置14上に搭載されており、これにより上記マスクステージMST,投影光学系PLなどが床11に対して振動的に分離される。
【0025】
基板ステージ20aは、X粗動ステージ23X、X粗動ステージ23X上に搭載されX粗動ステージ23Xと共にいわゆるガントリ式XY2軸ステージ装置を構成するY粗動ステージ23Y、Y粗動ステージ23Yの+Z側(上方)に配置された微動ステージ21、基板Pを保持する基板ホルダ30a、定盤12上で微動ステージ21を下方から支持する重量キャンセル装置26、基板Pを基板ホルダ30aから離間させるための複数の基板リフト装置46a(図1では不図示。図3(A)参照)などを備えている。
【0026】
X粗動ステージ23Xは、平面視でY軸方向を長手方向とする矩形の部材から成り、その中央部にY軸方向を長手方向とする長孔状の開口部(不図示)が形成されている。X粗動ステージ23Xは、床11上に装置本体と分離して設置されたX軸方向に延びる不図示のガイド部材上に搭載されており、例えば露光時のスキャン動作、基板交換動作時などにリニアモータなどを含むXステージ駆動系によりX軸方向に所定のストロークで駆動される。
【0027】
Y粗動ステージ23Yは、平面視矩形の部材から成り、その中央部に開口部(図3(A)参照)が形成されている。Y粗動ステージ23Yは、X粗動ステージ23X上にYリニアガイド装置25を介して搭載されており、例えば露光時のYステップ動作時などにリニアモータなどを含むYステージ駆動系によりX粗動ステージ23X上でY軸方向に所定のストロークで駆動される。また、Y粗動ステージ23Yは、Yリニアガイド装置25の作用により、X粗動ステージ23Xと一体的にX軸方向に移動する。
【0028】
微動ステージ21は、平面視ほぼ正方形の高さの低い直方体状の部材から成る。微動ステージ21は、Y粗動ステージ23Yに固定された固定子と、微動ステージ21に固定された可動子とから成る複数のボイスコイルモータ(あるいはリニアモータ)を含む微動ステージ駆動系により、Y粗動ステージ23Yに対して6自由度方向(X軸、Y軸、Z軸、θx、θy、θz方向)に微少駆動される。複数のボイスコイルモータには、微動ステージ21をX軸方向に微少駆動する複数(図1では紙面奥行き方向に重なっている)のXボイスコイルモータ29x、微動ステージ21をY軸方向に微少駆動する複数のYボイスコイルモータ(不図示)、微動ステージ21をZ軸方向に微少駆動する複数(例えば微動ステージ21の四隅部に対応する位置に配置されている)のZボイスコイルモータ29zが含まれる。
【0029】
また、微動ステージ21は、上記複数のボイスコイルモータを介してY粗動ステージ23Yに誘導されることにより、Y粗動ステージ23Yと共にX軸方向、及び/又はY軸方向にXY平面に沿って所定のストロークで移動する。微動ステージ21のXY平面内の位置情報は、微動ステージ21にミラーベース24を介して固定された移動鏡(X軸に直交する反射面を有するX移動鏡22xと、Y軸に直交する反射面を有するY移動鏡(不図示)とを含む)に測長ビームを照射する不図示の干渉計(X移動鏡22xを用いて微動ステージ21のX位置を計測するX干渉計と、Y移動鏡を用いて微動ステージ21のY位置を計測するY干渉計とを含む)を含む基板干渉計システムにより求められる。微動ステージ駆動系、及び基板干渉計システムの構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。
【0030】
また、図3(A)に示されるように、微動ステージ21には、その上面(+Z面)及び下面(−Z面)に開口する(Z軸方向に貫通する)複数の孔部21aが後述する複数の基板リフト装置46aそれぞれに対応する位置に形成されている。また、ミラーベース24にも同様に、基板リフト装置46aに対応する位置に孔部24aが形成されている。
【0031】
基板ホルダ30aは、図2に示されるように、X軸方向を長手方向とする平面視矩形の高さの低い直方体状の部材から成り、微動ステージ21の上面上に固定されている。基板ホルダ30aの上面には、不図示の孔部が複数形成されている。基板ホルダ30aは、外部に設けられたバキューム装置、及びコンプレッサ(それぞれ不図示)に選択的に接続可能となっており、上記バキューム装置により基板Pを吸着保持すること、及び上記コンプレッサから供給される加圧気体を噴出することにより基板Pを微少なクリアランスを介して浮上させることができるようになっている。なお、気体の吸引及び噴出は、共通の孔部を用いて行っても良いし、それぞれ専用の孔部を使用しても良い。また、基板ホルダ30aの上面の面積は、基板Pの面積よりも幾分狭く設定されており、基板ホルダ30a上に基板Pが載置された状態で、その基板Pの端部が基板ホルダ30aの端部から外側にはみ出すようになっている。これは、基板Pの表面(上面)に塗布された感応剤(レジスト)が基板Pの端部において基板Pの裏面(下面)に回り込んでいる場合があり、そのような感応剤を基板ホルダ30aに付着させないようにするためである。
【0032】
また、基板ホルダ30aには、図3(A)に示されるように、その上面(+Z面)及び下面(−Z面)に開口する(Z軸方向に貫通する)複数の孔部31aが後述する複数の基板リフト装置46aそれぞれに対応する位置に形成されている。
【0033】
また、図2に示されるように、基板ホルダ30aの上面(基板載置面)には、X軸に平行なX溝73xがY軸方向に所定の間隔で複数(例えば2本)形成されている。X溝73xは、基板ホルダ30aの+X側及び−X側それぞれの側面に開口している。
【0034】
複数のX溝73xそれぞれには、基板搬出装置70aが収容されている。基板搬出装置70aは、X走行ガイド71、及び吸着装置77aを有している。X走行ガイド71は、X軸方向に延びる部材から成り、図3(B)に示されるように、X溝73xを規定する底面に固定されている。X走行ガイド71の長手(X軸)方向の寸法は、基板ホルダ30aのX軸方向の寸法よりも長く設定されており、その長手方向の両端部それぞれが基板ホルダ30aの外側に突き出している。吸着装置77aは、基板P(図3(B)では不図示。図1参照)の下面を吸着保持するための吸着パッド77a、及びX走行ガイド71上で吸着パッド77aを上下(Z軸)方向に駆動するZアクチュエータ77aを有している。吸着パッド77aは、XY平面に平行な板状の部材から成り、外部に設置された不図示のバキューム装置に接続されている。
【0035】
吸着装置77aは、X走行ガイド71に対してX軸方向にスライド可能に係合しており、X走行ガイド71上でX軸方向に所定のストロークで駆動される。吸着装置77aを駆動するための駆動装置の種類は、特に限定されないが、例えばX走行ガイド71が有する固定子と、吸着装置77aが有する可動子とから成るXリニアモータ、あるいはX走行ガイド71が有する送りねじと、吸着装置77aが有するナットとから成る送りねじ装置などを用いることができる。また、吸着装置77aをベルト(あるいはロープ)などで牽引するベルト駆動装置を用いても良い。
【0036】
重量キャンセル装置26は、Z軸方向に延びる一本の柱状の部材から成り(心柱とも称される)、レベリング装置27と称される装置を介して、微動ステージ21の中央部を下方から支持している。重量キャンセル装置26は、X粗動ステージ23X(図2(B)では不図示。図1参照)、及びY粗動ステージ23Yそれぞれの開口部内に挿入されている。重量キャンセル装置26は、その下面部に取り付けられた複数のエアベアリング26aを介して定盤12上に微少なクリアランスを介して浮上している。重量キャンセル装置26は、そのZ軸方向に関する重心高さ位置で複数の連結装置26bを介してY粗動ステージ23Yに接続されており、Y粗動ステージ23Yに牽引されることにより、そのY粗動ステージ23Yと共にY軸方向、及び/又はX軸方向に定盤12上を移動する。
【0037】
重量キャンセル装置26は、例えば不図示の空気ばねを有しており、空気ばねが発生する鉛直方向上向きの力により、微動ステージ21、レベリング装置27,基板ホルダ30aなどの重量(鉛直方向下向きの力)をキャンセルし、これにより微動ステージ駆動系が有する複数のボイスコイルモータの負荷を軽減する。レベリング装置27は、微動ステージ21をXY平面に対して揺動(チルト動作)可能に下方から支持している。レベリング装置27は、不図示のエアベアリングを介して重量キャンセル装置26に下方から非接触支持されている。微動ステージ21のXY平面に対する傾斜量情報は、微動ステージ21の下面に取り付けられた複数のZセンサ26cにより、重量キャンセル装置26に取り付けられたターゲット26dを用いて求められる。レベリング装置27、連結装置26bを含み、重量キャンセル装置26の詳細な構成、及び動作については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書などに開示されている。
【0038】
複数の基板リフト装置46aそれぞれは、図3(A)に示されるように、Y粗動ステージ23Yの上面に固定されZアクチュエータ47と、Zアクチュエータ47により基板ホルダ30aの上面(基板載置面)から+Z側に突き出した位置と基板ホルダ30aの上面より−Z側に引っ込んだ位置との間でZ軸(上下)方向に駆動されるリフトピン48aとを有する。基板リフト装置46aは、リフトピン48aを含み、その+Z側の端部近傍が、微動ステージ21に形成された孔部21a(あるいはミラーベース24に形成された孔部24a)、及び基板ホルダ30aに形成された孔部31a内に挿入されている。基板リフト装置46aと孔部21a、31aを規定する壁面との間には、微動ステージ21がY粗動ステージ23Y上に対して微少駆動される際に互いに接触しない程度の隙間が設定されている。
【0039】
複数の基板リフト装置46aは、図2に示されるように(ただし図2ではリフトピン48aのみ図示され、Zアクチュエータ47は不図示)、基板Pの下面をほぼ均等に支持できるように、所定間隔で互いに離間して配置されている。本第1の実施形態では、Y軸方向に所定間隔で配列された複数(例えば4台)の基板リフト装置46aから成る基板リフト装置列が、X軸方向に所定間隔で複数(例えば6列)配列されている。なお、本第1の実施形態では、合計で、例えば24台の基板リフト装置46aを用いて基板Pを基板ホルダ30aから離間させる(持ち上げる)が、基板リフト装置46aの台数及び配置は、これに限られず、例えば基板Pの大きさなどに応じて適宜変更が可能である。
【0040】
図1に戻り、基板搬入装置80は、後述するポート部60の上方(+Z側)に配置さている。基板搬入装置80は、図2に示されるように、一対のX走行ガイド81、一対のX走行ガイド81に対応して設けられた一対のXスライド部材82,及び一対のXスライド部材82間に配置されたロードハンド83を備えている。
【0041】
一対のX走行ガイド81は、それぞれX軸方向に延びる部材から成り、その長手方向寸法は、基板PのX軸方向寸法よりも幾分長く設定されている。一対のX走行ガイド81は、Y軸方向に所定間隔(基板PのY軸方向寸法よりも幾分広い間隔)で互いに平行に配置されている。一対のXスライド部材82それぞれは、対応するX走行ガイド81に対してX軸方向にスライド可能に係合しており、不図示のアクチュエータ(例えば送りねじ装置、リニアモータ、ベルト駆動装置など)により、X走行ガイド81に沿って所定のストロークで同期駆動される。
【0042】
ロードハンド83は、Y軸方向に延びるXY平面に平行な板状の部分であるベース部83と、X軸方向に延びるXY平面に平行な板状の部分である複数(例えば4本)の支持部83とを有している。ベース部83の長手方向(Y方向)寸法は、基板PのY軸方向に関する寸法よりも幾分短く設定されている。複数の支持部83は、Y軸方向に所定間隔で配置され、それぞれの+X側の端部がベース部83の−X側の端部に一体的に接続されている。ベース部83と、複数の支持部83とは、例えばCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)などにより一体的に成形されている。複数の支持部83の長手方向(X軸方向)寸法は、基板PのX軸方向に関する寸法よりも幾分短く設定されており、基板Pは、ベース部83の−X側の領域と複数の支持部83とにより、下方から支持される。
【0043】
複数の支持部83それぞれの上面には、X軸方向に所定間隔で配列された複数(例えば3つ)の吸着パッド84が取り付けられている。ロードハンド83には、不図示のバキューム装置が接続されており、上記複数の吸着パッド84を用いて基板Pを吸着保持することができる。ロードハンド83は、ベース部83の+Y側、−Y側の端部が取付部材83を介して+Y側、−Y側のXスライド部材82にそれぞれ接続されており、一対のXスライド部材82がX軸方向に同期駆動されることにより、図1に示されるポート部60の上方の領域と、定盤12の+X側の端部近傍の上方の領域との間で、基板PをXY平面に平行にX軸方向所定のストロークで移動させることができる。
【0044】
図1に戻り、ポート部60は、架台61、及び基板ガイド装置62を有している。架台61は、床11上であって、定盤12の+X側に設置され、基板ステージ装置PSTと共に、不図示のチャンバー内に収容されている。
【0045】
基板ガイド装置62は、ベース63,ベース63上に搭載された複数のZアクチュエータ64、複数のZアクチュエータ64それぞれに対応して複数設けられ、対応するZアクチュエータ64により上下(Z軸)方向に駆動されるガイド部材65などを有する。ベース63は、XY平面に平行な平面視矩形の板状の部材から成り、架台61の上面に固定された複数のXリニアガイド部材66と、ベース63の下面に固定され、Xリニアガイド部材66にスライド自在に係合するXスライド部材67とから成る複数のXリニアガイド装置によりX軸方向に直進案内されている。また、ベース63は、図示しないXアクチュエータ(例えば送りねじ装置、リニアモータなど)によりX軸方向に所定のストロークで駆動される。Zアクチュエータ64の種類は、特に限定されないが、例えばカム装置、送りねじ装置、エアシリンダなどを用いることができる。複数のZアクチュエータ64は、不図示の主制御装置により同期駆動される。
【0046】
複数のガイド部材65それぞれは、XY平面に平行な板状部材から成り、基板Pを下方から支持する。ガイド部材65の上面には、不図示の微少な孔部が複数形成されており、その孔部から加圧気体(例えば、空気)を噴出し、微少なクリアランスを介して基板Pを浮上支持することができるようになっている。また、ガイド部材65は、上記複数の孔部(あるいは別の孔部)を用いて基板Pを吸着保持することができるようにもなっている。
【0047】
ここで、基板ガイド装置62が有する複数のZアクチュエータ64、及び複数のガイド部材65の配置について図2を用いて説明する。なお、図2では、Zアクチュエータ64は、ガイド部材65の下方(−Z側)に隠れて不図示となっている。また図2では、架台61,ベース63などの図示が省略されている。基板ガイド装置62は、Y軸方向に所定間隔で配列された複数のガイド部材65から成るガイド部材列を、X軸方向に所定間隔で、例えば3列有している。そして、最も−X側のガイド部材列は、例えば8台のガイド部材65により構成されている。また、3列のガイド部材列のうちの中間のガイド部材列は、例えば6台のガイド部材65により構成されている。また、最も+X側のガイド部材列は、例えば4台のガイド部材65により構成されている。このように、複数のガイド部材65は、−X側のガイド部材列ほど+X側のガイド部材列に比べて数が多く配置されており、基板ガイド装置62では、Y軸方向に関して基板Pを下方から支持できる範囲が+X側に比べて−X側(基板ステージ20a側)の方が広くなっている。そして、例えば8台のガイド部材65により構成される最も−X側(基板ステージ20a側)のガイド部材列のY軸方向に関する長さ(幅)は、基板PのY軸方向に関する長さ(幅)よりも長く(例えば、1.5〜2倍程度に)設定されている。
【0048】
また、複数のガイド部材65それぞれは、上記基板搬入装置80のロードハンド83をポート部60の上方に位置させた状態(ロードハンド83を+X側のストロークエンドに位置させた状態)で、そのロードハンド83の複数の支持部83とY軸方向に関する位置が重ならないように配置されている。これにより、ロードハンド83をポート部60の上方に位置させた状態で、複数のガイド部材65が同期して+Z方向に駆動された場合、その複数のガイド部材65は、ロードハンド83に接触することなく、互いに隣接する2本の支持部83間を通過することができるようになっている。また、前述した基板ステージ20aが有する複数の基板リフト装置46aのY軸方向に関する間隔も上記複数のガイド部材65のY軸方向に関する間隔と対応しており、基板ホルダ30aの上方にロードハンド83が位置した状態で、複数のリフトピン48aが+Z方向に駆動された場合、その複数のリフトピン48aは、ロードハンド83に接触することなく、互いに隣接する2本の支持部83間を通過することができるようになっている。なお、複数のガイド部材65の形状、数、配置は、その複数のガイド部材によって規定されるガイド面の−X側のY軸方向に関する寸法が基板PのY軸方向に関する寸法より大きく設定されればこれに限られず、適宜変更が可能である。
【0049】
上述のようにして構成された液晶露光装置10(図1参照)では、不図示の主制御装置の管理の下、不図示のマスクローダによって、マスクステージMST上へのマスクMのロードが行われるとともに、基板搬入装置80によって、基板ホルダ30a上への基板Pのロードが行なわれる。その後、主制御装置により、不図示のアライメント検出系を用いてアライメント計測が実行され、そのアライメント計測の終了後、基板上に設定された複数のショット領域に逐次ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。なお、この露光動作は従来から行われているステップ・アンド・スキャン方式の露光動作と同様であるので、その詳細な説明は省略するものとする。そして、露光処理が終了した基板が基板ホルダ30aから搬出されるとともに、次に露光される別の基板が基板ホルダ30aに搬送されることにより、基板ホルダ30a上の基板の交換が行われ、複数の基板に対し、露光動作などが連続して行われる。
【0050】
以下、液晶露光装置10における基板ホルダ30a上の基板P(便宜上、複数の基板Pを基板P、基板P、基板P、基板Pと称する)の交換動作について図4(A)〜図8(B)を用いて説明する。以下の基板交換動作は、不図示の主制御装置の管理の下に行われる。なお、理解を容易にするため、基板ステージ20aは、図4(A)〜図5(A)、図6(B)〜図8(B)において図2のA−A線断面図、図5(B)、図6(A)において図2のB−B線断面図がそれぞれ示されている。
【0051】
図4(A)において、基板ステージ20aの基板ホルダ30aには、基板Pが保持されている。また、基板搬入装置80のロードハンド83には、基板Pが基板ホルダ30aから搬出された後、次に基板ホルダ30aに対して搬入される予定の基板P(次の基板P)が保持されている。また、液晶露光装置10(図1参照)の外部に設置された基板搬出ロボットの搬送ハンド19には、露光済みの基板Pが保持されている。ここで、基板搬出ロボットの搬送ハンド19、及び後述する基板搬入ロボットの搬送ハンド18の形状は、上記基板搬入装置80のロードハンド83と概ね同じであるが、ロードハンド83が一対のX走行ガイド81(図4(A)では不図示。図2参照)に沿ってX軸方向に移動するのに対し、搬送ハンド19及び搬送ハンド18は、それぞれ+X側の端部近傍がロボットアーム19a、18aにより支持(片持ち支持)され、そのロボットアーム19a、18aが適宜制御されることにより、X軸方向に移動する。
【0052】
主制御装置は、基板P上に設定された複数のショット領域のうち、最後のショット領域に対する露光処理が終了した後、図4(B)に示されるように、基板ステージ20aを投影光学系PL(図1参照)の下方から、定盤12上の+X側の端部近傍上であって、ポート部60に隣接する位置(以下、基板交換位置と称する)に移動させる。なお、基板交換位置は、後述するように基板ホルダ30a(基板ステージ20a)に保持された基板Pを、基板ホルダ30a(基板ステージ20a)上から搬出する基板搬出位置(物体搬出位置)と換言することができる。
【0053】
また、基板ステージ20aが基板交換位置に移動するのと並行して、基板搬入装置80では、ロードハンド83が−X方向に駆動され、これにより基板Pが基板交換位置の上方に位置する。ポート部60において、複数のガイド部材65は、その上面のZ位置が基板ホルダ30aの上面のZ位置とほぼ同じとなるように、そのZ位置が制御される。
【0054】
基板ステージ20aが基板交換位置に位置すると、主制御装置は、図5(A)に示されるように、基板ホルダ30aによる基板Pの吸着保持を解除させるとともに、基板ホルダ30aの上面から加圧気体を噴出させて基板Pを浮上させる。また、例えば2つの基板搬出装置70a(一方は図5(A)では不図示)それぞれの吸着パッド77a(図5(A)では不図示。図3(B)参照)が+Z方向に駆動され、基板Pの下面を吸着保持する。
【0055】
この後、図5(B)に示されるように、吸着装置77aがX走行ガイド71上で+X方向に駆動される。これにより、吸着パッド77aに吸着保持された基板Pが基板ホルダ30aの上面、及び複数のガイド部材65の上面により形成されるXY平面に平行な面(ガイド面)に沿って+X方向に移動し、基板ホルダ30aからポート部60に搬出される。この際、複数のガイド部材65の上面からも、加圧気体が噴出される。これにより、基板Pを高速、低発塵で移動させることができる。
【0056】
基板Pの搬出が終了すると、図6(A)に示されるように、基板ステージ20aにおいて、リフトピン48aが+Z方向に移動するように複数の基板リフト装置46aそれぞれが同期制御される。この際、複数のリフトピン48aそれぞれは、ロードハンド83の支持部83間を通過して基板Pの下面を下方から押圧する。また、ロードハンド83では、複数の吸着パッド84による基板Pの吸着保持が解除される。これにより、基板Pがロードハンド83から離間する。また、ポート部60では、基板Pを支持した基板ガイド装置62が+X方向に駆動される。
【0057】
基板Pとロードハンド83とが離間すると、図6(B)に示されるように、ロードハンド83が+X方向に駆動され、基板交換位置の上方から退避し、ポート部60の上方の位置に復帰する。また、ポート部60では、複数のガイド部材65が幾分−Z側に駆動され、基板Pが幾分−Z方向に移動する。また、基板搬出ロボットの搬送ハンド19上に載置された基板Pが外部装置に搬送されるとともに、基板搬入ロボットの搬送ハンド18が外部装置から別の基板Pを搬送してくる。
【0058】
この後、図7(A)に示されるように、基板ステージ20aにおいて、リフトピン48aが−Z方向に移動するように複数の基板リフト装置46aそれぞれが同期制御され、これにより基板Pが基板ホルダ30aの上面上に載置される(リフトピン48aと基板Pの下面とは離間される)。基板Pは、基板ホルダ30aに吸着保持される。また、上記基板Pの吸着保持動作と並行して、基板搬出装置70aでは、X走行ガイド71の+X側の端部近傍上に位置した吸着装置77a(それぞれ図2参照)が、−X方向に駆動され、X走行ガイド71の−X側の端部近傍上の位置に復帰する。
【0059】
また、ポート部60の上空では、基板Pを支持した基板搬入ロボットの搬送ハンド18が−X方向に駆動され、基板搬入装置80の一対のX走行ガイド81(図7(A)では不図示。図2参照)間に挿入される。これにより、基板搬入ロボットの搬送ハンド18と基板搬入装置80のロードハンド83とが、上下方向に重なって配置される。また、基板搬出ロボットの搬送ハンド19が−X方向に駆動され、基板Pの下方に挿入される。前述のように、搬送ハンド19は、ロードハンド83とほぼ同じ形状であるため、ガイド部材65を駆動するためのZアクチュエータ64と接触しない。これにより、基板搬出ロボットの搬送ハンド19と基板搬入装置80のロードハンド83とが、上下方向に重なって配置される。
【0060】
この後、複数のガイド部材65それぞれが−Z方向に駆動されることにより、基板Pが基板搬出ロボットの搬送ハンド19に受け渡される。基板Pを支持した搬送ハンド19は、図7(B)に示されるように、+X方向に駆動され、基板Pを外部装置に向けて搬送する。なお、複数のガイド部材65を−Z方向に駆動して基板Pを基板搬出ロボットの搬送ハンド19に受け渡す替わりに、基板搬出ロボットを+Z方向に駆動して基板Pを搬送ハンド19が受け取っても良い。また、複数のガイド部材65と基板搬出ロボットとをそれぞれZ方向に駆動して基板Pの受け渡しを行っても良い。
【0061】
露光済みの基板Pを基板搬出ロボットの搬送ハンド19に受け渡した後、複数のガイド部材65それぞれは、図8(A)に示されるように同期して+Z方向に駆動される。複数のガイド部材65それぞれは、ロードハンド83及び搬送ハンド18それぞれに接触することなくその上面が基板Pの下面に対向し、その基板Pを持ち上げることにより搬送ハンド18から離間させる。この際、基板Pは、複数のガイド部材65に吸着保持される。
【0062】
この後、図8(B)に示されるように、基板搬入ロボットの搬送ハンド18が+X方向に駆動され、ポート部60の上方の領域から退避する。そして、基板Pを下方から支持する複数のガイド部材65それぞれが−Z方向に同期駆動される。この際、複数のガイド部材65それぞれがロードハンド83の互いに隣接する支持部83間を通過するのに対し、基板Pは、ロードハンド83の支持部83に下方から支持される。これにより、基板Pがガイド部材65からロードハンド83に受け渡され、図4(A)に示される状態(ただし、基板Pが基板Pに、基板Pが基板Pに、基板Pが基板Pに、それぞれ置き換わっている)に戻る。なお、図7(B)〜図8(B)では、基板Pを保持した基板ステージ20aが図示されているが、図7(A)で基板Pを吸着保持した後、直ちにポート部60から離れてアライメント計測、露光処理などが開始されても良い。
【0063】
以上説明したように、本第1の実施形態によれば、基板P(図4(A)〜図8(B)では、基板P)の搬出に基板ホルダ30aの上面をガイド面として用いるので、基板搬出のために基板Pを基板ホルダ30aから離間させる際、その基板Pの移動量(上昇量)は、わずかで良い。このため、基板交換位置に基板ステージ20aが位置した状態で、その基板ステージ20aの基板ホルダ30aの上方には、ロードハンド83が挿入可能な空間があれば足りる。従って、基板ホルダ30aと鏡筒定盤16(図1参照)との間の空間が狭い場合であっても、迅速に基板ホルダ30a上の基板交換を行うことができる。
【0064】
また、基板ステージ20aが基板搬出装置70aを有しているので、基板ステージ20aが基板交換位置に到達する前、すなわち最終ショット領域への露光処理が終了し、基板交換位置に移動する際、その移動と並行して基板Pの搬出動作を開始することができる。従って、基板ホルダ30a上の基板の交換のサイクルタイムを短縮することができ、単位時間当たりの基板Pの処理枚数を増やすことができる。これに対し、基板搬出装置が基板ステージ20aの外部(例えばポート部60)に設けられている場合、基板搬出動作を開始するためには、基板ステージ20aを基板交換位置に位置決めをしなければならず、本第1の実施形態に比べて基板搬出動作に時間がかかる。
【0065】
ここで、例えば基板Pに複数のショット領域が設定されている場合、通常、最後に露光処理が行われるショット領域は、基板Pの総移動量を減らすため、基板Pの+Y側、あるいは−Y側に設定される。従って、最後のショット領域への露光処理が終了した後の基板ステージ20aは、X軸方向へ移動すると共に、Y軸方向へも移動する(X軸に対して斜めの方向に移動する)。これに対し、本第1の実施形態では、図9に示されるように、複数のガイド部材65のうち、最も−X側に配置された、例えば8つのガイド部材65から成るガイド部材列のY軸方向に関する寸法が、基板PのY軸方向に関する寸法より長く設定されているため、基板ステージ20aがX軸に対して斜めの方向に移動する場合であっても、基板Pの基板ホルダ30aの+X側の端部から突き出した部分がガイド部材65により下方から支持される。これにより、基板Pをより迅速に搬出することができる。
【0066】
図10(A)〜図10(C)を用いて具体的に説明すると、図10(A)に示されるように、基板P上には、例えば6つのショット領域が設定され、そのうち最後のショット領域は、基板Pの+Y側かつ+X側に設定されたショット領域Sである。また、ショット領域Sに対する露光動作の開始前の基板Pの中心は、位置CPに位置し、その露光動作が終了したときの基板Pの中心は、位置CPに位置する。なお、図10(A)〜図10(C)では、基板搬出装置70a、ポート部60などの図示が省略されている。
【0067】
そして、本第1の実施形態では、基板Pの中心が図10(B)の位置CP→CP→CPの順を通るように基板ステージ20aの位置制御を行うことができる。すなわち、仮に最も−X側のガイド部材列(図9参照)のY軸方向に関する寸法が基板PのY軸方向に関する寸法と同程度であると仮定した場合、基板Pの搬出時に基板PがX軸方向に平行に移動することから、上記最も−X側のガイド部材列のY軸方向に関する中心と、基板PのY軸方向に関する中心とが概ね一致するように基板ステージ20aのY位置制御を行わなければならず、この場合、基板Pの中心が図10(B)の位置CP→CP→CP→CPの順を通るように基板ステージ20aの位置制御を行う必要がある。これに対し、本第1の実施形態では、基板ステージ20aのY位置によらず基板Pの+X側の端部がガイド部材65に支持されるので、基板ステージ20aを最終ショット領域の露光処理が終了したときの位置(位置CP)から直接的に基板交換位置(位置CP)に移動させることができ、基板Pの搬出動作を迅速に行うことができる。基板ステージ20aが基板交換位置に位置した後は、基板Pは、図10(C)に示されるようにX軸に平行に移動する。
【0068】
《第2の実施形態》
次に第2の実施形態について図11及び図12を用いて説明する。本第2の実施形態に係る液晶露光装置は、基板ホルダ30bの構成を除き、上記第1の実施形態の液晶露光装置10(図1参照)と同じなので、以下、相違点についてのみ説明し、上記第1の実施形態と同じ構成及び機能を有する要素については、上記第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0069】
上記第1の実施形態において、基板搬出時に基板Pは、基板ホルダ30aの上面をガイド面として移動した(図5(A)及び図5(B)参照)のに対し、本第2の実施形態は、図12に示されるように、複数の基板リフト装置46bそれぞれのZアクチュエータ47に取り付けられたガイド部材48bをガイド面として基板Pの搬出が行われる点が異なる。
【0070】
図11に示される第2の実施形態に係る基板ステージ20bにおいて、基板ホルダ30bの上面には、X軸方向に延びるX溝31bがY軸方向に所定間隔で複数(例えば4本)形成されている。また、X溝31bを規定する底面には、図12に示されるように、基板ホルダ30bを上下方向に貫通する貫通孔31bがX軸方向に所定間隔(例えば3つ)形成されており、その貫通孔31bには、Zアクチュエータ47の一部が挿通されている。
【0071】
ガイド部材48bは、ひとつのX溝31b内にX軸方向に所定間隔で複数(例えば3つ)収容されている。ガイド部材48bは、XY平面に平行な板状部材から成り、Zアクチュエータ47により、その上面が基板ホルダ30bの上面(基板載置面)から+Z側に突き出した位置と基板ホルダ30bの上面より−Z側に引っ込んだ位置との間でZ軸(上下)方向に同期駆動される。ガイド部材48bの上面には、不図示の微少な孔部が複数形成されており、その孔部から加圧気体(例えば、空気)を噴出し、微少なクリアランスを介して基板Pを浮上支持することができるようになっている。なお、本第2の実施形態では、X溝31bが、例えば4本形成されているが、X溝31bの数、及びガイド部材48bの数、配置などはこれに限定されず、例えば基板の大きさなどに応じて適宜変更可能である。
【0072】
本第2の実施形態では、図12に示されるように、搬出対象の基板P(図12では基板P)の搬出時において、基板ホルダ30bによる基板Pの吸着保持が解除された状態で複数のガイド部材48bが+Z方向に駆動されることにより、基板Pの下面が基板ホルダ30bの上面から離間する。そして、例えば2つの基板搬出装置70a(一方は図12では不図示)それぞれの吸着パッド77a(図11参照)が+Z方向に駆動され、基板Pの下面を吸着保持し、その吸着パッド77aが+X方向に駆動されることにより、基板Pが複数のガイド部材48bの上面により形成されるXY平面に平行な面(ガイド面)に沿って+X方向に移動し、基板ホルダ30bからポート部60に搬出される。なお、別の基板Pの基板ホルダ30bへの搬入動作に関しては、基板Pが複数のリフトピン48a(図3(A)参照)に替えて複数のガイド部材48bに下方から支持される点を除き、上記第1の実施形態と同じなので(複数のガイド部材48bが複数のリフトピン48aの機能を兼ねる)、その説明を省略する。本第2の実施形態によれば、基板ホルダ30bの上面に基板Pを浮上させるための加圧気体を噴出する孔部を形成する必要がない。
【0073】
《第3の実施形態》
次に第3の実施形態について図13を用いて説明する。上記第1及び第2の実施形態では、基板ホルダ30a、30b(それぞれ図2、図9参照)が基板搬出装置70aを有していたのに対し、本第3の実施形態では、図13に示されるように、基板ステージ20cは、基板ホルダ30cの外部であって、基板ホルダ30cの+Y側、及び−Y側それぞれに基板搬出装置70aを有している。例えば2つの基板搬出装置70aそれぞれの構成は、上記第1の実施形態と同じである。また、基板搬出装置70aの配置を除く部分については、上記第2の実施形態と同じなので、以下、相違点についてのみ説明し、上記第1及び第2の実施形態と同じ構成、機能を有する要素については、上記第2の実施形態(あるいは第1の実施形態)と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0074】
本第3の実施形態では、基板ホルダ30cの+Y側、及び−Y側それぞれの端部からの基板Pの突き出し(はみ出し)量が上記第1及び第2の実施形態よりも大きく設定されており、一方の基板搬出装置70aは、基板Pのうち、基板ホルダ30cから+Y側にはみ出した部分の下方に配置され、他方の基板搬出装置70aは、基板Pのうち、基板ホルダ30cから−Y側にはみ出した部分の下方に配置されている。なお、図13では不図示であるが、例えば2つの基板搬出装置70aそれぞれは、基板ホルダ30cの下方に配置されたY粗動ステージ23Y(図1参照)の上面に固定された支持部材を介してY粗動ステージ23Yに取り付けられている。すなわち、例えば2つの基板搬出装置70aそれぞれは、基板ホルダ30cから分離して配置されている。
【0075】
本第3の実施形態では、例えば2台の基板搬出装置70aそれぞれが、基板ホルダ30cの外部に配置されているので、基板ホルダ30cに基板搬出装置70aを収容するための溝などを形成する必要がなく、基板ホルダ30cの剛性低下を抑制できる。また、より広い面積で基板Pを吸着保持できるため、基板Pの平坦度を向上できる。また、基板ホルダ30cを軽量化でき、かつ吸着装置77aを駆動する際の反力が基板ホルダ30cに作用しないので、基板ホルダ30c(基板P)の位置制御性が向上する。また、基板搬出装置70aは、基板ホルダ30cの外部に配置されているため、メンテナンス性にも優れる。
【0076】
《第4の実施形態》
次に第4の実施形態について図14〜図15(C)を用いて説明する。上記第3の実施形態(図13参照)では、基板搬出装置70aの構成が上記第1の実施形態と同じであったのに対し、図14に示される本第4の実施形態では、基板搬出装置70dの構成が異なる。なお、基板搬出装置70dの構成を除く部分については、上記第3の実施形態と同じなので、以下、相違点についてのみ説明し、上記第3の実施形態と同じ構成、機能を有する要素については、上記第3の実施形態(あるいは第1及び第2の実施形態)と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0077】
本第4の実施形態に係る基板ステージ20dでは、上記第3の実施形態(図13参照)と同様に、基板ホルダ30cの+Y側、及び−Y側それぞれに基板搬出装置70dが基板ホルダ30cと分離して配置されている。基板搬出装置70dは、Y粗動ステージ23Yの上面上に固定された支持部材28に下方から支持されたX走行ガイド71と、X走行ガイド71上をX軸方向に所定のストロークで移動可能なYリニアガイド装置78と、Yリニアガイド装置78を介してX走行ガイド71上に搭載された吸着装置77dとを備えている。吸着装置77dは、基板Pの下面を吸着保持する吸着パッドを含む。Yリニアガイド装置78は、不図示のYアクチュエータを有しており、吸着装置77dをX走行ガイド71に対してY軸方向に所定のストロークで駆動することができるようになっている。また、吸着装置77dの下面のZ位置は、基板ホルダ30cの上面のZ位置よりも幾分+Z側に位置している。なお、Yリニアガイド装置78をX軸方向に駆動するXアクチュエータ、及び吸着装置77dをY軸方向に駆動するYアクチュエータの種類は、それぞれ特に限定されず、例えば送りねじ装置、リニアモータなどを用いることができる。また、吸着装置77dは、上記第1〜第3の実施形態と異なり吸着パッドをZ軸方向に駆動するZアクチュエータを有しない。
【0078】
本第4の実施形態では、図15(A)に示される基板ホルダ30c上に基板Pが載置された状態から、基板ホルダ30cに内蔵された複数のガイド部材48bにより(あるいは微動ステージ21(図14参照)が−Z方向に駆動されることにより)基板P(図14では基板P)が基板ホルダ30cの上面から持ち上げられ、次いで、図15(B)に示されるように、例えば2つの基板搬出装置70dそれぞれの吸着装置77dが基板ホルダ30cに近づく方向に駆動される(図15(B)の矢印参照)。これにより、吸着装置77dが基板ホルダ30cの上面と基板Pの下面との間に挿入される(図14参照。ただし、図14では、吸着装置77dが基板Pの下面と基板ホルダ30cの上面との間に挿入される)。
【0079】
この後、基板ホルダ30cにおいて、複数のガイド部材48bが降下され、これにより吸着装置77dによる基板Pの吸着保持が可能となる。基板Pを吸着保持した、例えば2つの吸着装置77dそれぞれは、図15(C)に示されるように、同期して+X側に駆動される。これにより、基板Pが基板ホルダ30c上から不図示のポート部に向けて搬出される。なお、図14に示される基板ホルダ30c上の基板Pと基板搬入装置80のロードハンド83上に載置された別の(次の)基板Pとの交換動作は、上記第2の実施形態と同じなのでその説明を省略する。本第4の実施形態によれば、吸着装置77dがY軸方向に移動できるので、基板ホルダ30cのY軸方向の両端部から基板Pを大きくはみ出させる必要がなく、基板Pを小型化できる。
【0080】
なお、基板ステージを含み、液晶露光装置の構成は、上記第1〜第4の実施形態に記載されたものに限らず、適宜変更が可能である。例えば、上記第4の実施形態の基板搬出装置70dにおいて、吸着装置77dは、X走行ガイド71に対してY軸方向に移動可能となっていたが、これに限られず、例えば図16(A)〜図17(C)(以下、第1の変形例と称する)に示される基板搬出装置70eのように、吸着装置77dが予めX走行ガイド71から基板ホルダ30c側に付き出していても良い(基板搬出装置70eは、吸着装置77dをX走行ガイド71に対してY軸方向に駆動するYアクチュエータを備えない)。この場合、図16(A)に示されるように、基板Pが基板ホルダ30c上に載置された状態で、吸着装置77dは、基板Pの−X側に位置され、露光終了後に基板Pが複数のガイド部材48bを用いて基板ホルダ30cから持ち上げられた後、図16(B)に示されるように+X方向に駆動されることにより、基板ホルダ30cと基板Pとの間に挿入される。この後、基板Pが降下され、吸着装置77dは、その基板Pを吸着保持すると共に、その状態で、図16(C)に示されるように+X方向に駆動される。これにより、基板Pが基板ホルダ30cから搬出される。また、基板Pの搬出後、別の基板Pに露光処理が行われている最中、吸着装置77dは、図17(A)に示されるようにその基板Pの+X側に位置される。そして、その基板Pの露光処理が終了し、基板Pが搬出動作のために複数のガイド部材48bにより基板ホルダ30cから持ち上げられると、吸着装置77dは、図17(B)に示されるように基板Pの下方を通過して上記図16(A)に示される初期位置(基板Pの−X側の位置)に復帰する。そして図17(C)に示されるように上記図16(B)以降の処理が繰り返される。本第1の変形例によれば、基板搬出装置70eの構造、及び制御を簡単にすることができる。
【0081】
また、上記第4の実施形態の基板ステージ20dにおいて、基板搬出装置70dは、基板ホルダ30cの両側(+Y側、及び−Y側)に配置されたが、図18(以下、第2の変形例と称する)に示されるように、基板搬出装置70fが基板ホルダ30cの片側(+Y側、又は−Y側)にのみ配置されても良い。この場合、より強い吸着保持力で基板Pを吸着保持できるように、吸着装置77fが有する吸着パッドの吸着保持面を上記第1〜第4の実施形態の吸着装置77a(例えば図2参照)よりも広く設定すると良い。また、この場合、吸着装置77fは、上記第4の実施形態ようにX走行ガイド71に対してY軸方向に移動可能でも良いし、上記第1の変形例のようにX走行ガイド71から基板ホルダ30cに突き出した状態で固定されても良い。
【0082】
また、上記第1〜第4の実施形態の基板搬出装置は、基板Pに対して吸着パッドがZ軸方向、あるいはY軸方向に駆動されることにより、その基板Pの下面を吸着可能な位置に位置されたが、これに限られず、図19(A)〜図20(B)(以下、第3の変形例と称する)に示されるように、基板Pを吸着装置77gに対して移動させても良い。図19(A)に示されるように、基板搬出装置70gは、基板ホルダ30cの+Y側に配置されている(吸着装置77gは、Y軸方向に移動不可)。また、基板ホルダ30cの−Y側には、例えば2つの位置決め装置17aがX軸方向に離間して配置され、基板ホルダ30cの+Y側には、例えばひとつの位置決め装置17bが配置されている。複数の位置決め装置17a、17bそれぞれは、不図示の支持部材を介してY粗動ステージ23Y(図1参照)上に搭載され、基板Pとほぼ同じZ位置に配置されている(従って、X走行ガイド71に抵触しない)。位置決め装置17a、17bは、例えばエアシリンダなどのアクチュエータを有し、基板Pの端部を押圧して基板Pの位置を制御する。本第3の変形例では、露光済みの基板Pが複数のガイド部材48bに浮上支持された状態で、図19(B)に示されるように、例えば2つの位置決め装置17aにより基板Pが+Y方向に駆動される。この際、吸着装置77gに取り付けられた移動防止ピン17cと位置決め装置17bとにより、基板Pの+Y方向への慣性による過度の移動が抑制される。また、基板ホルダ30cの上面には、位置決め装置17aとの抵触を防止するための複数の切り欠き17dが形成されている。吸着装置77gによる基板Pの吸着保持が可能な位置に基板Pが位置決めされると、図20(A)に示されるように位置決め装置17a、17bが基板Pから退避し、この後、図20(B)に示されるように、基板Pが吸着装置77gにより吸着保持され、基板ホルダ30cから搬出される。本第3の変形例では、基板Pが基板搬出装置70gに対して移動するので、基板Pの基板ホルダ30cからのはみ出し量を予め少なくできる。
【0083】
また、上記第1〜第4の実施形態において、基板を吸着保持する吸着装置は、リニアモータ、あるいは送りねじ装置などの一軸アクチュエータにより駆動されたが、ロープなどにより牽引されても良い。また、基板を駆動する装置としては、上記吸着装置のようにY軸方向に移動するものに限られず、例えば基板に外周面が当接可能なローラを設け、そのローラを回転させることにより基板を基板ホルダ上から送り出しても良い。また、基板Pは、その下面が吸着装置に吸着保持されたが、基板Pを保持するための装置はこれに限らず、例えば基板Pを機械的に把持するクランプ装置などであっても良い。また、基板Pを基板ホルダから持ち上げる基板リフト装置46a、46bは、それぞれY粗動ステージ23Y上に搭載されたが、これに限られず、例えば基板ホルダに設けられても良い。
【0084】
また、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0085】
また、上記実施形態では、投影光学系PLが、複数本の投影光学ユニットを備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学ユニットの本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、例えばオフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。また、上記実施形態では投影光学系PLとして、投影倍率が等倍のものを用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系は縮小系及び拡大系のいずれでも良い。
【0086】
なお、上記実施形態においては、光透過性のマスク基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク)、例えば、非発光型画像表示素子(空間光変調器とも呼ばれる)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)を用いる可変成形マスクを用いても良い。
【0087】
なお、露光装置としては、サイズ(外径、対角線の長さ、一辺の少なくとも1つを含む)が500mm以上の基板、例えば液晶表示素子などのフラットパネルディスプレイ用の大型基板を露光する露光装置に対して適用することが特に有効である。
【0088】
また、露光装置としては、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置、ステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用することができる。
【0089】
また、露光装置の用途としては、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。なお、露光対象となる物体はガラスプレートに限られるものでなく、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。また、露光対象物がフラットパネルディスプレイ用の基板である場合、その基板の厚さは特に限定されず、例えばフィルム状(可撓性を有するシート状の部材)のものも含まれる。
【0090】
また、露光装置に限らず、例えば所定の物体の検査に用いられる物体検査装置など、物体に関して所定の処理を行う物体処置装置に上記第1〜第4の実施形態で説明した基板(物体)の交換方法を適用しても良い。
【0091】
液晶表示素子(あるいは半導体素子)などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたマスク(あるいはレチクル)を製作するステップ、ガラス基板(あるいはウエハ)を製作するステップ、上述した各実施形態の露光装置、及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをガラス基板に転写するリソグラフィステップ、露光されたガラス基板を現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ガラス基板上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上説明したように、本発明の物体搬出方法は、物体保持装置から物体を搬出するのに適している。また、本発明の物体交換方法は、物体保持装置に保持される物体の交換を行うのに適している。また、本発明の物体保持装置は、物体を搬出するのに適している。また、本発明の物体交換システムは、物体保持装置に保持される物体の交換を行うのに適している。また、本発明の露光装置は、物体を露光するのに適している。また、本発明のフラットパネルディスプレイの製造方法は、フラットパネルディスプレイの製造に適している。また、本発明のデバイス製造方法は、マイクロデバイスを製造するのに適している。
【符号の説明】
【0093】
10…液晶露光装置、20a…基板ステージ、30a…基板ホルダ、36x…X溝、60…ポート部、70a…基板搬出装置、71…X走行ガイド、77a…吸着装置、80a…基板搬入装置、83…ロードハンド、P…基板、PST…基板ステージ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体保持装置が有する物体保持部材上に載置された物体を該物体保持部材上から搬出する物体搬出方法であって、
前記物体を保持した前記物体保持装置を、前記物体保持部材上から前記物体を搬出する物体搬出位置に向けて移動させることと、
前記物体保持装置が前記物体搬出位置に到達する前に、前記物体を前記物体保持部材上から搬出する搬出動作を開始することと、を含む物体搬出方法。
【請求項2】
前記搬出動作を開始することでは、前記物体保持装置が有する搬出装置を用いて前記物体を前記物体保持部材に対して移動させる請求項1に記載の物体搬出方法。
【請求項3】
前記物体の前記物体保持部材からの搬出は、前記物体保持部材の物体載置面に載置された前記物体を、前記物体保持装置が有するガイド部材によって規定されるガイド面にガイドさせ前記物体保持部材上から前記物体載置面に沿った方向に移動させることにより行う請求項1又は2に記載の物体搬出方法。
【請求項4】
前記物体は、前記物体搬出位置において第1の方向に移動されることにより前記物体保持装置から搬出され、
前記搬出動作は、前記物体保持装置の前記第1の方向に交差する第2の方向への移動と並行して行われる請求項1〜3のいずれか一項に記載の物体搬出方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の物体搬出方法によって前記搬出動作を開始することと、
前記物体保持装置が前記物体搬出位置に到達する前に、別の物体を所定の待機位置に待機させることと、
前記物体保持装置が前記物体搬出位置に位置した状態で前記物体を前記物体保持装置から搬出することと、
前記待機位置に位置する前記別の物体を前記物体保持装置上に搬入することと、を含む物体保持装置上の物体交換方法。
【請求項6】
前記搬出することでは、前記物体を前記物体載置面に平行な二次元平面に沿って移動させ、
前記搬入することでは、前記別の物体を前記二次元平面に直交する方向に移動させる請求項5に記載の物体交換方法。
【請求項7】
前記別の物体を搬入することでは、前記物体保持装置に設けられた物体受け取り装置を用いて前記別の物体を受け取る請求項5又は6に記載の物体交換方法。
【請求項8】
物体保持装置が有する物体保持部材上に載置された物体の交換を行う物体交換方法であって、
前記物体保持部材の上方に搬入対象の物体を搬送することと、
前記物体保持装置に設けられた物体受け取り装置を用いて、前記物体保持部材の上方に搬送された前記搬入対象の物体を受け取ることと、
前記物体保持部材の物体載置面に載置された搬出対象の物体を、前記物体保持装置が有するガイド部材によって規定されるガイド面にガイドさせ、前記物体保持装置が有する物体搬出装置を用いて前記物体保持部材上から前記物体載置面に沿った方向に搬出することと、を含む物体交換方法。
【請求項9】
前記搬出対象の物体を保持した物体保持装置を、前記物体保持部材上から前記物体を搬出する物体搬出位置に向けて移動させることを更に含み、
前記搬出することでは、前記物体保持装置が前記物体搬出位置に到達する前に、前記物体を前記物体保持部材上から搬出する搬出動作を開始する請求項8に記載の物体交換方法。
【請求項10】
前記搬出することでは、前記物体保持部材を前記ガイド部材とし、前記物体載置面を前記ガイド面として前記搬出対象の物体を移動させる請求項8又は9に記載の物体交換方法。
【請求項11】
前記ガイド部材は、前記物体受け取り装置に設けられ、
前記搬入することでは、前記搬入対象の物体が前記ガイド部材に受け渡される請求項8又は9に記載の物体交換方法。
【請求項12】
搬入された物体が載置される物体載置面を有し、前記物体載置面上に載置された前記物体を保持可能な物体保持部材と、
前記物体保持部材が保持する前記物体を前記物体保持部材上から外部に搬出する搬出装置と、を備える物体保持装置。
【請求項13】
前記物体保持部材の前記物体載置面には、凹部が形成され、
前記搬出装置は、前記凹部内に収容される請求項12に記載の物体保持装置。
【請求項14】
前記搬出装置は、前記物体保持部材の外側に配置される請求項13に記載の物体保持装置。
【請求項15】
前記物体保持部材を所定の二次元平面に沿って所定のストロークで誘導する誘導装置を更に備え、
前記搬出装置は、前記誘導装置に設けられる請求項14に記載の物体保持装置。
【請求項16】
前記搬出装置は、複数設けられる請求項12〜15のいずれか一項に記載の物体保持装置。
【請求項17】
前記搬出装置は、前記物体を保持する保持装置を有し、
前記保持装置は、前記物体を保持可能な位置と、前記物体から離間した位置との間を前記物体に対して相対移動可能に設けられる請求項12〜16のいずれか一項に記載の物体保持装置。
【請求項18】
前記保持装置は、前記物体の表面に平行な方向、及び前記物体の表面に直交する方向の少なくとも一方に相対移動可能である請求項17に記載の物体保持装置。
【請求項19】
前記物体保持部材は、前記物体に所定の処理が行われる物体処理位置と、前記物体の搬出が行われる物体搬出位置との間で移動可能に設けられ、
前記搬出装置は、前記物体保持部材が前記物体搬出位置に到達する前に、前記物体を前記物体保持部材上から搬出する搬出動作を開始する請求項12〜18のいずれか一項に記載の物体保持装置。
【請求項20】
請求項12〜19のいずれか一項に記載の物体保持装置と、
前記物体保持部材の上方に搬入対象の物体を搬送する搬入装置と、
前記物体保持装置に設けられ、前記搬入対象の物体を前記搬入装置から受け取る物体受け取り装置と、
前記物体保持装置に設けられ、前記搬出装置によって搬出される搬出対象の物体をガイドするガイド面を規定するガイド部材と、を備える物体交換システム。
【請求項21】
前記搬出対象の物体は、前記物体保持装置の前記物体保持部材を前記ガイド部材とし、該物体保持部材の前記物体載置面を前記ガイド面として移動する請求項20に記載の物体交換システム。
【請求項22】
前記ガイド部材は、前記物体受け取り装置に設けられ、
前記搬入対象の物体は、前記搬入装置から前記ガイド部材に受け渡される請求項20に記載の物体交換システム。
【請求項23】
前記ガイド部材は、前記物体載置面から付き出した突出位置と、前記物体保持部材内に収容された収容位置との間を移動可能に設けられ、
前記搬出対象の物体は、前記突出位置に位置された前記ガイド部材上を移動する請求項22に記載の物体交換システム。
【請求項24】
前記ガイド部材は、前記搬出対象の物体を非接触支持する請求項20〜23のいずれか一項に記載の物体交換システム。
【請求項25】
前記搬出装置は、前記搬出対象の物体を前記物体載置面に平行な二次元平面に沿って移動させる請求項20〜24のいずれか一項に記載の物体交換システム。
【請求項26】
前記搬入装置は、前記搬入対象の物体を前記物体載置面に平行な二次元平面に沿って移動させ、
前記物体受け取り装置は、前記二次元平面に直交する方向に移動可能な可動部材を有し、該可動部材を用いて前記搬入対象の物体を前記搬入装置から受け取る請求項20〜25のいずれか一項に記載の物体交換システム。
【請求項27】
前記搬入装置は、前記搬入対象の物体を支持する支持部材を有し、
前記支持部材には、前記搬入対象の物体の搬入時における移動方向前側に開口した切り欠きが形成され、前記搬入対象の物体の受け渡し時に前記切り欠き内に前記可動部材が挿入される請求項26に記載の物体交換システム。
【請求項28】
前記搬入装置は、前記支持部材の移動を案内する案内部材を、前記二次元平面に平行な平面内で前記支持部材の移動方向に直交する方向に関して前記支持部材の一側及び他側それぞれに有する請求項27に記載の物体交換システム。
【請求項29】
前記物体搬入装置の支持部材に外部装置から前記搬入対象の物体を受け渡すための受け渡し部材が、前記支持部材の一側及び他側に配置された前記案内部材間に挿入される請求項28に記載の物体交換システム。
【請求項30】
前記物体保持部材を所定の二次元平面に沿って所定のストロークで誘導する誘導装置を更に備え、
前記物体受け取り装置は、前記誘導装置に設けられる請求項20〜29のいずれか一項に記載の物体交換システム。
【請求項31】
前記搬出装置により搬出される前記搬出対象の物体を前記ガイド部材と共にガイドし、前記物体保持装置から搬出された前記搬出対象の物体を受け取る搬出用受け取り部材を更に備え、
前記搬出用受け取り部材は、前記物体の幅よりも広幅に設定されたガイド面を有する請求項20〜30のいずれか一項に記載の物体交換システム。
【請求項32】
前記搬入装置から前記物体受け取り装置への前記搬入対象の物体の受け渡しが行われる際の前記物体保持装置の位置と、前記搬出装置による前記搬出対象の物体の搬出が行われる際の前記物体保持装置の位置とが同じである請求項20〜31のいずれか一項に記載の物体交換システム。
【請求項33】
請求項12〜19のいずれか一項に記載の物体保持装置と、
前記物体保持装置に保持された前記物体に対してエネルギビームを用いて所定のパターンを形成するパターン形成装置と、を備える露光装置。
【請求項34】
請求項20〜32のいずれか一項に記載の物体交換システムと、
前記物体保持装置に保持された前記物体に対してエネルギビームを用いて所定のパターンを形成するパターン形成装置と、を備える露光装置。
【請求項35】
前記物体は、フラットパネルディスプレイ装置に用いられる基板である請求項33又は34に記載の露光装置。
【請求項36】
前記基板は、少なくとも一辺の長さが500mm以上である請求項35に記載の露光装置。
【請求項37】
請求項33〜36のいずれか一項に記載の露光装置を用いて前記物体を露光することと、
露光された前記物体を現像することと、を含むフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項38】
請求項33又は34に記載の露光装置を用いて前記物体を露光することと、
露光された前記物体を現像することと、を含むデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−237914(P2012−237914A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107802(P2011−107802)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】