説明

物体検出方法及び装置

【課題】検出された物体が交通弱者のような特定物体かどうかを、当該物体が遠方に在る場合にも、正確、且つ確実に精度良く識別し得るようにした物体検出方法及び装置を提供する。
【解決手段】パルスレーザ光が照射されて所定の走査領域を走査し、光反射物体から反射光として戻ってくるまでの時間tを基に光反射物体までの距離Lを求めると共に、光反射物体からの反射光を基に求めた反射光強度H及び距離Lを基に検出した物体データの点群のうちに、最大反射光強度値Hmaxが、基準距離Loと基準反射光強度Hoから定まる反射光強度閾値H以上のものがある場合に、当該物体データは視覚障害者や車椅子両者等の特定物体であると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点や横断歩道において歩行者や車両等の移動物体の存在、位置を検出し、その移動物体のうち、例えば、視覚障害者又は車椅子利用者等の交通弱者のような特定物体を識別することができるようにした物体検出方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、交差点等の横断歩道における安全の確保のため、歩行者や車両等の移動物体の存在、位置を検出するための手段が種々検討されており、その一例として特許文献1がある。而して、特許文献1では、歩行者を誘導する歩行領域と該歩行領域の周辺領域とをカバーする検出範囲に、レーザレーダによるエリアセンサによりパルスレーザ光を照射しながら走査して光の反射時間を計測し、物体が存在しない時の反射時間と物体が存在する時の反射時間との差を走査各点ごとに求めることにより物体の形状と、大きさと、走査ごとの物体の位置の変化によるベクトルとを演算し、その演算信号から、歩行エリアを誘導方向に移動する物体と、歩行エリアを横切る方向に移動する物体とを識別するようにしている。
【特許文献1】特開2004−185363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述の特許文献1においては、検出された物体が視覚障害者、車椅子利用者等の交通弱者のような特定物体かどうかを正確に識別することは難しく、又、横断歩道にある物体でも遠方にあるものについては天候等の影響により精度良く検出するのが困難なことがある、等の問題があった。
【0004】
本発明は、上述の実情に鑑み、検出された物体が交通弱者のような特定物体かどうかを、当該物体が遠方にある場合にも、正確、且つ確実に精度良く検出し得るようにした物体検出方法及び装置を提供することを目的としてなしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1の物体検出方法は、所定の走査領域を走査したパルスレーザ光が光反射物体から反射光として戻ってくるまでの時間を基に求めた光反射物体までの距離、及び光反射物体からの反射光強度を基に、物体を検出するものであり、請求項2の物体検出方法は、検出した物体に所定の反射光強度閾値以上若しくは反射光強度閾値を越える部分がある場合には、当該物体を特定物体とするものである。
【0006】
本発明の請求項3の物体検出方法は、所定の走査領域を走査したパルスレーザ光が光反射物体から反射光として戻ってくるまでの時間を基に求めた光反射物体までの距離及び光反射物体からの反射光強度を基に検出した物体データを示す点群のうちの最大反射光強度値が、光反射物体までの距離、及び基準距離、並びに該基準距離における基準反射光強度、から定まる反射光強度閾値以上、或は反射光強度閾値を越える場合に、当該物体データは特定物体であると判定するものである。
【0007】
本発明の請求項4の物体検出方法は、光反射物体までの距離をL、基準距離をLo、該基準距離における基準反射光強度をHo、反射光強度閾値をH、物体データを示す点群のうちの最大反射光強度値をHmaxとすると、Hmax≧H=Ho×Lo/Lの場合、或は、Hmax>H=Ho×Lo/Lの場合に、物体データは特定物体であると判定するものである。
【0008】
本発明の請求項5の物体検出方法は、今回の走査において物体データから得られてID番号を付されたグループ化物体データを異なる走査時におけるID番号を付されたグループ化物体データと比較して、互いの同一のID番号のグループ化物体データの位置が異なる場合は、当該グループ化物体データは移動物体であると判定するものであり、請求項6の物体検出方法は、ID番号により、経時的に移動物体を追尾するものであり、請求項7の物体検出方法においては、特定物体は、視覚障害者、車椅子利用者をはじめとする、反射材を備えた交通弱者である。
【0009】
本発明の請求項8の物体検出装置は、パルスレーザ光を照射しつつ所定の走査領域を走査するレーザレーダと、パルスレーザ光が光反射物体から反射光として戻ってくるまでの時間を基に光反射物体までの距離を求める手段と、前記光反射物体からの反射光強度と光反射物体までの距離を基に物体を検出する手段を備えたものであり、請求項9の物体検出装置は、検出した物体に所定の反射光強度閾値以上若しくは反射光強度閾値を越える部分がある場合には、当該物体を特定物体であると判定する手段を備えたものである。
【0010】
本発明の請求項10の物体検出装置は、パルスレーザ光を照射しつつ所定の走査領域を走査するレーザレーダと、パルスレーザ光が光反射物体から反射光として戻ってくるまでの時間を基に光反射物体までの距離を求める手段と、前記光反射物体からの反射光強度と光反射物体までの距離を基に物体データを検出する手段と、光反射物体までの距離、及び基準距離、並びに該基準距離における基準反射光強度から、反射光強度閾値を求める手段と、該手段で求めた反射光強度閾値と前記物体データを示す点群のうちの最大反射光強度値を比較して、最大反射光強度値が反射光強度閾値以上、或は反射光強度閾値を越える場合に、当該物体データは特定物体であると判定する手段とを備えたものである。
【0011】
本発明の請求項11の物体検出装置は、光反射物体までの距離をL、基準距離をLo、該基準距離における基準反射光強度をHo、反射光強度閾値をHとした場合に、H=Ho×Lo/Lを求める手段と、前記物体データを示す点群のうちの最大反射光強度値をHmaxとした際に、Hmax≧Hの場合、或はHmax>Hの場合に、物体データは特定物体であると判定する手段を備えたものである。
【0012】
本発明の請求項12の物体検出装置は、物体データをグループ化すると共にID番号を付してグループ化物体データを生成させる手段と、異なる走査時における同一のID番号を付されたグループ化物体データを比較して、当該グループ化物体データの位置が異なる場合は当該グループ化物体データは移動物体であると判定する手段を備えたものであり、請求項13の物体検出装置は、ID番号により、経時的に移動物体を追尾する手段を備えたものであり、請求項14の物体検出装置においては、特定物体は、視覚障害者、車椅子利用者をはじめとする、反射材を備えた交通弱者である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1〜14記載の物体検出方法及び装置によれば、レーザレーダにより光学的な特性を用いて遠方にある物体を特定物体を含めて正確且つ確実に精度良く検出が可能なため、広範囲に亘り物体の抽出が可能となり、信頼性が向上し、又、交通弱者である視覚障害者や車椅子利用者は反射材を備えているため、交差点や横断歩道を渡っている交通弱者が安全に横断歩道を渡ることができ、しかも、各回の走査により得られたグループ化物体データには、ID番号を付すようにしているため、例えば、視覚障害者や車椅子利用者が或る回の走査時に特定物体として検出されなかった場合でも、交通弱者を確実に追尾することができ、更には、横断歩道を渡っている移動物体が交通弱者と判断された場合は、音声サービス、警報等の適切な安全手段を講じることができる、等種々の優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1〜図8は本発明を実施する形態の一例である。図1中、1はレーザレーダ2及び制御ユニット3並びに演算処理部4を備えた物体検出装置である。レーザレーダ2は、1秒間に数十万回のパルスレーザ光Pを照射して、約2m〜100mにある物体を検出することができるもので、例えば30mの距離において、26mm以下の高い分解能を備えており、又、この場合の距離精度は約10mm以下である。
【0015】
而して、レーザレーダ2は、図4、図5に示すように、車道5を横切って設けられた横断歩道6の歩道7側に立設された支柱8の頂部に設置されて横断歩道6の幅方向へ長さL、横断歩道6の長手方向へ長さLの範囲を監視対象領域として全領域を走査し得るようになっている。又、図4は、パルスレーザ光が全て地面で反射している場合を示しており、図5は、パルスレーザ光が一部、歩行者である物体Mで反射している場合を示している。
【0016】
図4、図5中、Mは横断歩道6を渡っている人である物体、Mは物体Mのうち、視覚障害者又は車椅子利用者等の交通弱者のような特定物体に付されている反射材Mである。図4、図5の場合、反射材Mは目の悪い人の杖に貼着されている例を示しているが、衣服に貼着しても良いし、車椅子の場合は車椅子に貼着しても良い。何れにしても交通弱者には反射材Mを備えておく必要がある。反射材Mは、反射率が良好であれば、アルミ製や銀製等、種々の材質のものを使用でき、又、反射テープを使用することができる。
【0017】
図1に示すように、レーザレーダ2は、主走査モータ9により一定速度で回転駆動される多面体ミラー10を備えており、主走査モータ9に対してその回転軸を直交させて設けられた副走査モータ11を所定の角度範囲で傾動させることにより、多面体ミラー10の回転面を所定速度で揺動させ得るようになっている。
【0018】
又、レーザレーダ2は、パルスレーザ光Pを照射するレーザ発振部12、及びレーザ発振部12からレンズ13を介し照射されたパルスレーザ光Pを反射する反射ミラー14、反射ミラー14からのパルスレーザ光Pを反射して多面体ミラー10へ照射する反射ミラー15、反射ミラー15から照射されて、図4、図5に示す車道5や横断歩道6、及び物体M等の光反射物体に反射して戻り、多面体ミラー10で反射した反射光Rをレンズ16を介し受光する受光素子17を備えている。
【0019】
制御ユニット3は、反射時間計測部18、距離演算部19、反射光強度演算部20を備えている。而して、反射時間計測部18では、レーザ発振部12からパルスレーザ光Pが発振されたことが発光同期信号Voとして与えられたらカウントを開始し、反射して戻ってきた反射光Rを受光素子17からの受光信号Vとして受信したら、その間のカウント数から反射時間tを計測し得るようになっており、距離演算部19では、反射時間計測部18で計測した反射時間tと光速cから、[数1]により、レーザレーダ2から車道5、横断歩道6及び物体M等の光反射物体までの距離Lを演算し得るようになっており、反射光強度演算部20では、受光信号Vの大きさの1/2値(V/2)と、1/2値における信号の幅Wから、例えば、[数2]により、前記各光反射物体からの反射光Rの反射光強度Hを、パルスレーザ光Pの1パルス毎に求め得るようになっている(図2、図3参照)。
[数1]
L=ct/2
[数2]
H=VW/2
【0020】
制御ユニット2の距離演算部19で演算したレーザレーダ2から車道5、横断歩道6及び物体M等の光反射物体までの距離L、反射光強度演算部20で演算した光反射物体の反射光強度Hは、演算処理部4へ与え得るようになっていると共に、主走査モータ9の図示してないエンコーダで検出したエンコーダ信号である水平方向角度θ及び副走査モータ11の図示してないエンコーダで検出したエンコーダ信号である鉛直方向角度φは、制御ユニット3を経て演算処理部4へ与え得るようになっている。水平方向角度θは多面体ミラー10の水平方向角度を示し、鉛直方向角度φは多面体ミラー10の傾動角度を示す。
【0021】
演算処理部4は、座標演算部21、物体データ検出部22、物体データグループ化部23、移動物体検出部24、反射光強度閾値演算部25、反射光強度判定部26を備えている。而して、座標演算部21では、制御ユニット3からの距離L、水平方向角度θ、鉛直方向角度φのデータから、各反射光物体の三次元方向の位置x、y、zを[数3]により演算することにより、所定の反射光強度Hの三次元方向位置を決定し得るようになっており、物体データ検出部22では、後に詳述するように、光反射物体の各パルス毎の反射光強度H及び座標演算部21からの位置x、y、zを基に、多数の画素に明暗の点として表示し、人や車両等の物体Mを物体データとして検出し得るようになっており、物体データグループ化部23では、物体データ検出部22からの物体データを、後に詳述するように重み付けしてグループ化すると共に、グループ化した物体にID番号を付与し、グループ化物体データを生成し得るようになっている。
[数3]
x、y、z=f(L、θ、φ)
【0022】
又、移動物体検出部24では、後に詳述するように、例えば今回と前回のグループ化してID番号を付したグループ化物体データの移動量Lmと移動時間tmからグループ化物体データの移動速度Vmを[数4]により演算すると共に、グループ化物体データが移動するものである場合、移動物体として検出し得るようになっており、反射光強度閾値演算部25では、ある基準距離Loにおける反射材Mの基準反射光強度をHoとした場合に、計測した距離Lにおける光反射物体の反射光強度閾値Hを、[数5]により演算し得るようになっており、反射光強度判定部26では、反射光強度閾値演算部25で演算した反射光強度閾値Hと、物体データ検出部22で検出した後述の物体データにおける点Pの反射光強度Hのうちの最大反射光強度値Hmaxとを比較して、物体が特定物体か否かを判定し得るようになっている。
[数4]
Vm=Lm/tm
[数5]
=Ho×Lo/L
【0023】
次に、上記した実施の形態の作動を図6〜図8をも参照しつつ説明する。
レーザレーダ2により走査を行なう場合には、主走査モータ9により多面体ミラー10を回転させると共に、副走査モータ11により主走査モータ9と共に多面体ミラー10を揺動させることにより、パルスレーザ光Pの照射方向を主走査方向(X方向)へ高速偏向させながら、その走査面を副走査方向(Y方向)へ偏向走査し、これによって、図4、図5に示す監視対象領域の全領域を走査する。
【0024】
而して、1秒間に数十万回に亘りレーザ発振部12から照射されたパルスレーザ光Pは、レンズ16から反射ミラー14,15、回転しつつ揺動している多面体ミラー10の順に反射して歩道側へ照射され、各光反射物体で反射され、反射光Rとして戻り、回転しつつ揺動している多面体ミラー10に反射してレンズ16により集光され、受光素子17に受光される。
【0025】
斯かる走査の際には、レーザ発振部12からパルスレーザ光Pが照射される毎に、レーザ発振部12から制御ユニット3に発光同期信号Vo(図3参照)が付与され、制御ユニット2の反射時間計測部18では当該パルスレーザ光Pが反射した反射光Rが戻って来るまでの時間のカウントが開始され、戻ってきた反射光Rの受光信号V(図3参照)が受光素子17から制御ユニット2に送信される。而して、反射時間計測部18では発光同期信号Voが付与されてからのカウント数に基いて、所定のパルスレーザ光Pが反射光Rとして戻って来るまでの反射時間tが計測される。
【0026】
反射時間tが計測されると、距離演算部19では、当該受光信号Vに対応した反射光Rの反射した各反射光物体までの距離Lが[数1]により演算される。又、反射光強度演算部20では、受光信号Vから[数2]により各光反射物体の走査点における反射光Rの反射光強度Hが演算される。
【0027】
制御ユニット3の距離演算部19で求めた距離L、反射光強度Hは信号として演算処理部4へ与えられる。又、この際、主走査モータ9のエンコーダにより検出したエンコーダ信号である多面体ミラー10の水平方向角度θ、副走査モータ11のエンコーダにより検出したエンコーダ信号である多面体ミラー10の鉛直方向角度φは、制御ユニット3を経て演算処理部4へ与えられている。
【0028】
而して、演算処理部4の座標演算部21においては、与えられた各光反射物体までの距離L、多面体ミラー10の水平方向角度θ、鉛直方向角度φから[数3]により各光反射物体の三次元方向位置x、y、zが求められる。なお、直角座標(X、Y、Z)の原点Oは、例えば、レーザレーダ2の直下部で、図6に示すように、横断歩道6における歩道7側端部の地面とする。又、地面の高さ以上において各光反射物体の三次元方向位置x、y、zが求められる。
【0029】
演算処理部4の物体データ検出部22では、座標演算部21で求められたx、y、zの位置における反射光強度Hに基き、三次元データが多数の明暗の点Pとして得られる(図6参照)。この場合、図6に示すように多数の点Pが存在する位置では点Pは点郡となり、点郡は物体データMとして検出される。図6では、点Pの間隔は大きく示してあるが、実際にはこの間隔は非常に小さく、従って、物体M個々について詳細な情報を得ることができる。
【0030】
又、演算処理部4の物体データグループ化部23では、物体データ検出部22で検出された点群である物体データMを重み付けして、図7に示すような形状と大きさを表すグループ化物体データMGDが得られる。このグループ化物体データMGDには、各グループ化物体データ毎にID番号I、II、III、IV、Vが付されている。
【0031】
図6に示す物体データM、図7に示すグループ化物体データMGDは、全走査領域の一走査ごとに検出されるため、例えば、移動物体検出部24においては各走査毎にグループ化物体データMGDの位置が直角座標(x、y、z)として求められている。このため、図7に示す今回のグループ化物体データMGDの重心位置の直角座標(xn、yn、zn)と、図8に示す例えば一走査前のグループ化物体データMGDの重心位置の直角座標(x(n−1)、y(n−1)、z(n−1))を基に、前回から今回までのグループ化物体データMGDの移動量Lmを求めると共に、一回全走査をするに要した時間tmを基に、[数4]により、ID番号I、II、III、IV、Vが付されたグループ化物体データMGDの移動速度Vmが求められる。
【0032】
而して、前回と今回の走査において、グループ化物体データMGDの位置が異なっている場合には、グループ化物体データMGDは人や車両等の移動物体として検出される。なお、各グループ化物体データMGDの重心位置は周知の手段により求めれば良い。
【0033】
反射光強度閾値演算部25においては、視覚障害者、車椅子利用者等の交通弱者が備えている反射材Mの基準位置Loにおける基準反射光強度をHoとした場合に、[数5]により距離Lにおける反射光強度閾値Hが演算され、反射光強度判定部26では、反射光強度閾値演算部25からの反射光強度閾値Hと物体データ検出部22からの各物体データMの多数の点Pのうちの最大反射光強度値Hmaxとが比較される。
【0034】
而して、Hmax≧Hの場合は、点Pの最大反射光強度値Hmaxは反射光強度閾値H以上であるため、移動物体検出部24で検出された物体データMは、視覚障害者、車椅子利用者等の交通弱者である特定物体と判定される。又、特定物体と判定されなかった物体データMは一般の物体と判定される。
【0035】
又、横断歩道6を渡っている移動物体が交通弱者と判断された場合は演算処理部4からの識別信号Viを用いて、交通弱者が安全に横断歩道6を渡り終えるよう、音声サービス、警報等の適切な安全手段を講じることができる。
【0036】
本図示例によれば、レーザレーダ2により光学的な特性を用いて遠方にある物体を正確且つ確実に精度良く検出することが可能なため、広範囲に亘り特定物体の検出が可能となり、方法及び装置の信頼性が向上する。
【0037】
又、本図示例によれば、交通弱者である視覚障害者の杖や車椅子利用者の車椅子に反射材Mを貼着しているため、交差点や横断歩道6を渡っている交通弱者が安全に横断歩道を渡ることができ、しかも、図7、図8に示すように各回毎の走査により得られたグループ化物体データMGDには、ID番号を付すようにしているため、例え、視覚障害者の杖や車椅子利用者の車椅子に貼着されている反射材Mが或る回の走査時に検出されなかった場合でも、交通弱者を確実に追尾することができる。
【0038】
なお、本発明の物体検出方法及び装置は、横断歩道は勿論交差点においても適用することができること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の物体検出方法及び装置を説明するための物体検出装置の概要図である。
【図2】図1に示す制御ユニット及び演算処理部の内部におけるブロック図である。
【図3】図1に示す装置のレーザ発振部からパルスレーザ光が照射された際に制御ユニットに与えられる発光同期信号と、受光素子により受光された反射光による受光信号が制御ユニットに与えられるまでの時間を説明するための概要図である。
【図4】図1に示すレーザレーダにより横断歩道を渡っている人等を走査する際の状態を示す斜視図で、全てのパルスレーザ光が地面で反射する場合の状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示すレーザレーダにより横断歩道を渡っている人等を走査する際の状態を示す斜視図で、パルスレーザ光の一部が人に照射されて反射する場合の状態を示す斜視図である。
【図6】図4、図5のように走査して反射光を基に検出した光反射物体が点で表示されて物体データが得られた状態を示す斜視図である。
【図7】図4で得られた物体データに重み付けすると共にID番号を付して人や車両等の物体をグループ化物体データとして示す斜視図である。
【図8】図4で得られた物体データに重み付けすると共にID番号を付して人や車両等の物体をグループ化物体データとして示す斜視図で、前回の走査により得られたグループ化物体データの斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 物体検出装置
2 レーザレーダ
19 距離演算部(距離を求める手段)
22 物体データ検出部(物体を検出する手段)(物体データを検出する手段)
23 物体データグループ化部(グループ化物体データを生成させる手段)
24 移動物体検出部(移動物体であると判定する手段)
25 反射光強度閾値演算部(反射光強度閾値を求める手段)
26 反射光強度判定部(特定物体であると判定する手段)
H 反射光強度
Ho 基準反射光強度
反射光強度閾値
Hmax 最大反射光強度値
L 距離
Lo 基準距離
M 物体
反射材
物体データ
GD グループ化物体データ
パルスレーザ光
反射光
t 反射時間(時間)
tm 時間
Lm 移動量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の走査領域を走査したパルスレーザ光が光反射物体から反射光として戻ってくるまでの時間を基に求めた光反射物体までの距離、及び光反射物体からの反射光強度を基に、物体を検出することを特徴とする物体検出方法。
【請求項2】
検出した物体に所定の反射光強度閾値以上若しくは反射光強度閾値を越える部分がある場合には、当該物体を特定物体であると判定する請求項1記載の物体検出方法。
【請求項3】
所定の走査領域を走査したパルスレーザ光が光反射物体から反射光として戻ってくるまでの時間を基に求めた光反射物体までの距離及び光反射物体からの反射光強度を基に検出した物体データを示す点群のうちの最大反射光強度値が、光反射物体までの距離、及び基準距離、並びに該基準距離における基準反射光強度、から定まる反射光強度閾値以上、或は反射光強度閾値を越える場合に、当該物体データは特定物体であると判定することを特徴とする物体検出方法。
【請求項4】
光反射物体までの距離をL、基準距離をLo、該基準距離における基準反射光強度をHo、反射光強度閾値をH、物体データを示す点群のうちの最大反射光強度値をHmaxとすると、Hmax≧H=Ho×Lo/Lの場合、或は、Hmax>H=Ho×Lo/Lの場合に、物体データは特定物体であると判定する請求項3記載の物体検出方法。
【請求項5】
今回の走査において物体データから得られてID番号を付されたグループ化物体データを異なる走査時におけるID番号を付されたグループ化物体データと比較して、互いの同一のID番号のグループ化物体データの位置が異なる場合は、当該グループ化物体データは移動物体であると判定する請求項3又は4に記載の物体検出方法。
【請求項6】
ID番号により、経時的に移動物体を追尾する請求項5記載の物体検出方法。
【請求項7】
特定物体は、視覚障害者、車椅子利用者をはじめとする、反射材を備えた交通弱者である請求項2乃至6記載の物体検出方法。
【請求項8】
パルスレーザ光を照射しつつ所定の走査領域を走査するレーザレーダと、パルスレーザ光が光反射物体から反射光として戻ってくるまでの時間を基に光反射物体までの距離を求める手段と、前記光反射物体からの反射光強度と光反射物体までの距離を基に物体を検出する手段を備えたことを特徴とする物体検出装置。
【請求項9】
検出した物体に所定の反射光強度閾値以上若しくは反射光強度閾値を越える部分がある場合には、当該物体を特定物体と判定する手段を備えた請求項8記載の物体検出装置。
【請求項10】
パルスレーザ光を照射しつつ所定の走査領域を走査するレーザレーダと、パルスレーザ光が光反射物体から反射光として戻ってくるまでの時間を基に光反射物体までの距離を求める手段と、前記光反射物体からの反射光強度と光反射物体までの距離を基に物体データを検出する手段と、光反射物体までの距離、及び基準距離、並びに該基準距離における基準反射光強度から、反射光強度閾値を求める手段と、該手段で求めた反射光強度閾値と前記物体データを示す点群のうちの最大反射光強度値を比較して、最大反射光強度値が反射光強度閾値以上、或は反射光強度閾値を越える場合に、当該物体データは特定物体であると判定する手段とを備えたことを特徴とする物体検出装置。
【請求項11】
光反射物体までの距離をL、基準距離をLo、該基準距離における基準反射光強度をHo、反射光強度閾値をHとした場合に、H=Ho×Lo/Lを求める手段と、前記物体データを示す点群のうちの最大反射光強度値をHmaxとした際に、Hmax≧Hの場合、或はHmax>Hの場合に、物体データは特定物体であると判定する手段を備えた請求項10記載の物体検出装置。
【請求項12】
物体データをグループ化すると共にID番号を付してグループ化物体データを生成させる手段と、異なる走査時における同一のID番号を付されたグループ化物体データを比較して、当該グループ化物体データの位置が異なる場合は当該グループ化物体データは移動物体であると判定する手段を備えた請求項10又は11記載の物体検出装置。
【請求項13】
ID番号により、経時的に移動物体を追尾する手段を備えた請求項12記載の物体検出装置。
【請求項14】
特定物体は、視覚障害者、車椅子利用者をはじめとする、反射材を備えた交通弱者である請求項9乃至13の何れかに記載の物体検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−194617(P2006−194617A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3912(P2005−3912)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【Fターム(参考)】