説明

現像剤担持体ならびに現像装置

【課題】現像装置中で生じるトナーの過剰帯電を防止し、且つ、トナーの帯電量を高めに保持させ、又、現像剤担持体上へのトナー融着が発生しにくい現像剤担持体を提供する。又、粒径の小さいトナーを用いた場合に現われる、現像剤担持体表面でのトナーの不均一な帯電を抑制し、トナーに適正な帯電量を与えることの出来る現像剤担持体、及び該現像剤担持体を有する現像装置を提供すること。
【解決手段】現像装置の基体表面に下記式(1)に示すユニットを有するポリマーを含有している樹脂層を設けて現像剤担持体とする。式中Rは−SO−R´基を含む特定の基を表わす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法及び磁気記録法等によって静電潜像担持体上に形成された潜像を現像剤により現像して顕像化するための現像装置及び現像剤担持体に関する。
【背景技術】
【0002】
スルホン酸基のように親水基を有する高分子は、様々な用途への応用が期待される。そして、このスルホン酸基を含有するポリマーの合成は、一般に、スルホン酸官能基を含有する特定のビニルモノマーを使用するものに限られている。具体的なモノマーの例としては、スルホン化スチレン、あるいはAMPS(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)が挙げられる。このスルホン酸官能基を含有する特定のビニルモノマーの使用は、例えば、特開2002−351147号公報に記載されている。
【0003】
従来、静電潜像担持体としての感光ドラム表面に形成された静電潜像を、一成分系現像剤であるトナーによって顕像化する現像装置としては、トナー粒子相互の摩擦、現像剤担持体としての現像スリーブとトナー粒子との摩擦、及び現像スリーブ上のトナー塗布量を規制する部材(現像剤層厚規制部材)とトナー粒子との摩擦等により、トナー粒子に正或いは負の電荷を与え、この帯電されたトナーを現像スリーブ上に極めて薄く塗布し、感光ドラムと現像スリーブとが対向している現像領域に搬送して、該現像領域において、トナーを感光ドラム表面の静電潜像に飛翔及び付着させ、感光ドラム上の静電潜像をトナー像として顕像化する方式のものがある。
【0004】
上述したような従来の現像装置に用いられる現像剤担持体は、例えば、金属、合金又は金属化合物を円筒状に成形し、その表面を、電解、ブラスト及びヤスリ等で所定の表面粗度になるように処理したものが用いられている。一方、近年では、省エネのために要求される現像剤の低温定着化や高精細画像形成を実現すべく、トナーの小粒径化が望まれている。このような粒径の小さいトナーでは、単位重量当りの表面積が大きくなるために表面電荷が大きくなり易く、所謂チャージアップ現象によりトナーが現像剤担持体に固着し、その結果、新たに現像剤担持体上に供給されてきた現像剤が帯電されにくくなり、現像剤の帯電量が不均一となり易い。これに対し、特開平01−277256号公報に、このような過剰な電荷を有する現像剤の発生や、現像剤担持体への現像剤の強固な付着を防止するため、樹脂中に、カーボンやグラファイトの如き導電性物質や固体潤滑剤等の粉末を分散させた樹脂組成物からなる被膜(樹脂層)を現像剤担持体上に形成する方法が提案されている。特開平02−304468号公報においては、樹脂被覆層中に固体潤滑剤及びカーボンの如き導電性微粉末、更に球状粒子を分散させた導電性樹脂層を金属基体上に設けた現像スリーブが提案されている。又、特開平08−240981号公報においては、導電性被覆層中に分散した球状粒子を導電性球状粒子とすることで、更に耐摩耗性を向上させ、現像スリーブ表面の形状を更に安定させると共に、トナーの帯電を更に向上させ、且つ、導電性被覆層である樹脂層が多少摩耗した際にも、トナーによるスリーブ汚染及び融着を抑制することのできる表面層を有する現像スリーブが提案されている。
【特許文献1】特開2002−351147号公報
【特許文献2】特開平01−277256号公報
【特許文献3】特開平02−304468号公報
【特許文献4】特開平08−240981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、現像装置中で生じるトナーの過剰帯電を防止し、且つ、トナーの帯電量を高めに保持させ、又、現像剤担持体上へのトナー融着が発生しにくい現像剤担持体、及び該現像剤担持体を有する現像装置を提供するものである。又、本発明は、特に粒径の小さいトナーを用いた場合に現れる、現像剤担持体表面でのトナーの不均一な帯電を抑制し、トナーに適正な帯電量を与えることのできる現像剤担持体、及び該現像剤担持体を有する現像装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の現像剤担持体は、静電潜像担持体上に形成された潜像を現像剤担持体により担持搬送された現像剤により現像し、可視像化する現像装置に用いられる現像剤担持体であって、少なくとも基体及び基体表面に形成された樹脂層を有し、該樹脂層に用いられている結着樹脂に、少なくとも化学式(1)に示すユニットを有するポリマーが含有していることを特徴とする現像剤担持体である。
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Rは−A25 −SO225 を表す。R25w、R25X 、R25yは、下記(i)または(ii)に記載されている組み合わせから選ばれる。(i)の場合、A25とR25は、下記(i−A)から(i−B)に記載の組み合わせから選ばれ、また、(ii)の条件を全て満たす場合、A25とR25は、(ii−A)に記載の組み合わせから選ばれる。
(i)R25w、R25Xが水素原子であり、R25yが、CH3基、または水素原子である。
(i−A)A25は、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造である。R25は、ハロゲン原子またはOR25aである。R25aは、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしく未置換の複素環構造である。
(i−B)A25は、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である。R25は、OH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR25aである。R25aは、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である。
(ii) R25w、R25Xは、それぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R25yは、CH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。R25w、R25X、R25yの少なくとも1つは、ハロゲン原子である。
(ii−A)A25は、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである。R25は、OH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR25aである。R25aは、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構構造のいずれかである。)
又、本発明の現像装置は、
現像容器内に収容された現像剤を現像剤担持体上に担持し、該現像剤担持体上に現像剤層厚規制部材により現像剤の薄層を形成しながら、現像剤を潜像担持体と対向する現像領域へと搬送し、該現像領域で、潜像担持体上の潜像を現像剤により現像して可視像化する現像装置において、上記現像剤担持体は、少なくとも基体及び基体表面に形成された樹脂層を有し、該樹脂層に用いられている結着樹脂に、少なくとも化学式(1)示す構造を有するポリマーが含有していることを特徴とする現像装置である。
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、Rは−A25 −SO225 を表す。R25w、R25X 、R25yは、下記(i)または(ii)に記載されている組み合わせから選ばれる。(i)の場合、A25とR25は、下記(i−A)から(i−B)に記載の組み合わせから選ばれ、また、(ii)の条件を全て満たす場合、A25とR25は、(ii−A)に記載の組み合わせから選ばれる。
(i)R25w、R25Xが水素原子であり、R25yが、CH3基、または水素原子である。
(i−A)A25は、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造である。R25は、ハロゲン原子またはOR25aである。R25aは、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしく未置換の複素環構造である。
(i−B)A25は、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である。R25は、OH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR25aである。R25aは、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または
置換もしくは未置換の複素環構造である。
(ii) R25w、R25Xは、それぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R25yは、CH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。R25w、R25X、R25yの少なくとも1つは、ハロゲン原子である。
(ii−A)A25は、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである。R25は、OH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR25aである。R25aは、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである。)
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来用いられてきた現像剤担持体よりも耐久性が向上し、良好な画像を長い間提供することができる状態を保持することが可能な現像剤担持体が提供される。更に、本発明によれば、トナーに対する正帯電付与性を安定化させ、しかも、現像剤担持体上の現像剤層を均一化させ、高耐久な現像剤担持体が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明にかかる現像剤担持体の樹脂層を構成する樹脂としては先に記載した化学式(1)に示されるユニットを有する樹脂が少なくとも用いられる。
【0013】
なお、化学式(1)に示されるユニットにおけるR、R25w、R25X及びR25yはポリマー中にユニットが複数含まれる場合は、各ユニットごとに独立して上記の意味を表す。
【0014】
化学式(1)のユニットの更に好ましい形態としては、下記化学式(2) に示すユニットを挙げることができる。
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、Rは−A125 −SO2125 を表す。
R125w、R125X 、R125yは、下記(i)または(ii)に記載されている組み合わせから選ばれる。(i)の場合、A125とR125は、(i−A)記載の組み合わせから選ばれ、また、(ii)の条件を全て満たす場合、A125とR125は、(ii−A)に記載の組み合わせから選ばれる。
(i)R125w、R125Xが水素原子であり、R125yが、CH3基、または水素原子である。
(i−A)A125は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜8のアルキレン基である。R125は、ハロゲン原子またはOR125aである。
125aは、直鎖または分岐の炭素数1〜8のアルキル基、置換または未置換のフェニル基である。
(ii) R125w、R125Xは、それぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R125yは、CH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。R125w、R125X、R125yの少なくとも1つは、ハロゲン原子である。
(ii−A)A125は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜8のアルキレン基である。R125は、OH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR125aである。
R125aは、直鎖または分岐の炭素数1〜8のアルキル基、置換または未置換のフェニル基である。)
更に、好ましいユニットとして下記化学式(3)に示すユニットであることが挙げられる。
【0017】
【化4】

【0018】
(式中、R203w、R203Xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R203yは、CH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。
203a、R203b、R203c、R203d及びR203eは、それぞれ独立して、SO2203f(R203fはOH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR203hである。R203hは直鎖または分岐の炭素数1〜8のアルキル基、あるいは置換または未置換のフェニル基を表す。)、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、OH基、NH2 基、NO2 基、COOR203g(R203g:H原子、Na原子、K原子のいずれかを表す)、アセトアミド基、OPh基、NHPh基、CF3 基、C25 基またはC37 基から選ばれ(Phはフェニル基を表す)、かつこれらの基の少なくとも一つはSO2203fである。)
更に、本発明の好ましい形態としては、前記化学式(1)に示すユニットが、化学式(4a)または(4b)何れかであることが挙げられる。
【0019】
【化5】

【0020】
(式中、R10w、R10Xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R10yはCH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。
10a、R10b、R10c、R10d、R10e、R10f及びR10gは、それぞれ独立して、SO210o(R10oはOH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR10sである。R10sは直鎖または分岐の炭素数1〜8のアルキル基、あるいは置換または未置換のフェニル基を表す。)、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、OH基、NH2 基、NO2 基、COOR10p(R10p:H原子、Na原子またはK原子のいずれかを表す)、アセトアミド基、OPh基、NHPh基、CF3 基、C25 基またはC37 基から選ばれ(Phはフェニル基を表す)、かつこれらの基の少なくとも一つはSO210oである。)
【0021】
【化6】

【0022】
(式中、R10v、R10uはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R10zはCH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。
10h、R10i、R10j、R10k、R10l、R10m及びR10nは、それぞれ独立して、SO210q(R10qはOH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR10tである。R10tは直鎖または分岐の炭素数1〜8のアルキル基、あるいは置換または未置換のフェニル基を表す。)、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、OH基、NH2 基、NO2 基、COOR10r(R10r:H原子、Na原子またはK原子のいずれかを表す)、アセトアミド基、OPh基、NHPh基、CF3 基、C25 基またはC37 基から選ばれ(Phはフェニル基を表す)、かつこれらの基の少なくとも一つはSO210qである。)
また、前記ポリマーが、前記化学式(1)に示すユニットに加え、化学式(5)で示されるビニル系モノマー由来のユニットを少なくとも何れか一つ含んでいても良い。
【0023】
【化7】

【0024】
(式中、R108w、R108xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R108yはCH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。R108は、水素原子、置換または未置換の脂肪族炭化水素構造、置換または未置換の芳香族環構造、置換または未置換の複素環構造、ハロゲン原子、−COR108a、−OR108b、−COOR108c、−OCOR108d、−CONR108eR108f、−CN、あるいはN原子を含む環構造のいずれかである。R108a、R108b、R108c、R108d、R108e、R108fはそれぞれ独立して、水素原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである。)
なお、化学式(5)で示されるユニットの複数がコポリマー中に含まれる場合、R108w、R108x、R108y及びR108は各ユニット毎に独立して上記の意味を表す。
【0025】
より好ましい形態としては、前記ポリマーの数平均分子量は、1000〜1000000の範囲に選択されることが挙げられる。更に、本発明の好ましい形態としては、前記樹脂層が、導電性微粉末及び/又は固体潤滑剤を含有した導電性樹脂層であることが挙げられ、中でも、該導電性樹脂層に、個数平均粒径が0.3〜30μmの粒子が該樹脂層表面に凹凸を形成するために更に含有されている形態が挙げられる。また、該樹脂層表面に凹凸を形成するための粒子の形状が球状であり、且つ、真密度が3g/cm3以下であるもの、更には、該樹脂層表面に凹凸を形成するための粒子が、導電性の球状粒子であるものであることが好ましい。また、前記導電性樹脂層に用いられている結着樹脂に、シリコーン樹脂、スチレン系樹脂及びアクリル系樹脂のいずれかの樹脂がさらに含有された形態も好ましい。
【0026】
以下、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。本発明者らは、上記した従来技術の課題について鋭意検討を行った結果、現像剤担持体表面に形成する樹脂層を構成する結着樹脂中に、少なくとも化学式(1)に示すユニットを有するをポリマーを含有させることにより、現像剤を迅速に帯電させ、且つ、高めに保持できることが可能であるにもかかわらず、トナーによる現像スリーブの汚染が生じ難く、又、高湿環境においても高い帯電量が得られ、低湿環境においても帯電過剰となることのない現像剤担持体を得ることが可能となることを知見して本発明に至った。
【0027】
(化学式(1)に示すポリマーの製造方法(A))
例えば、化学式(1)で示すユニットを有するポリマーは、出発原料として用いる化学式(6)で表されるユニットを有するポリマーと化学式(7)で示す化合物の少なくとも1種との反応で製造することができる。
【0028】
【化8】

【0029】
(式中、R20w、R20xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R20yはCH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。
20は、H原子、Na原子またはK原子である。複数のユニットが存在する場合、R20、R20w、R20x及びR20yは、各ユニット毎に独立して上記の意味を表す。)
【0030】
【化9】

【0031】
(式中、R21はOH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR21a である。A21、R21a はそれぞれ独立して置換または未置換の脂肪族炭化水素構造、置換または未置換の芳香族環構造、あるいは置換または未置換の複素環構造を表す。)

(化学式(6)に示すユニットを含むポリマーの製造方法)
化学式(6)で表されるカルボキシル基を有するポリマーは、公知の重合法と高分子反応を用いることにより、化学式(6)に示されるユニットと化学式(5)に示されるビニル系モノマーユニットを有する共重合体として容易に製造ができる。
【0032】
【化10】

【0033】
(式中、R20w、R20xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R20yはCH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。
20は、H原子、Na原子またはK原子である。複数のユニットが存在する場合、R20、R20w、R20x及びR20yは、各ユニット毎に独立して上記の意味を表す。)
【0034】
【化11】

【0035】
(式中、R108w、R108xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R108yはCH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。
R108は、水素原子、置換または未置換の脂肪族炭化水素構造、置換または未置換の芳香族環構造、置換または未置換の複素環構造、ハロゲン原子、−COR108a、−OR108b、−COOR108c、−OCOR108d、−CONR108eR108f、−CN、あるいはN原子を含む環構造のいずれかである。
R108a、R108b、R108c、R108d、R108e、R108fはそれぞれ独立して、水素原子、置換または未置換の脂肪族炭化水素構造、置換または未置換の芳香族環構造、あるいは置換または未置換の複素環構造をのいずれかである。)
化学式(5)に示すユニットを導入するためのビニル系モノマーとしては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロルスチレン、3,4-ジクロルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα-メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸-n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸-2-クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N-ビニルピロール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N-ビニルピロリドンの如きN-ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体が挙げられる。これらの1種または2種以上を必要に応じて選択して用いることができる。
【0036】
化学式(6)で表されるカルボキシル基を有するユニットを含むポリマーの例として、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステルのホモポリマーを一部加水分解することにより、カルボキシル基を有するメタクリル酸エステル/メタクリル酸共重合体や、アクリル酸エステル/アクリル酸共重合体を得ることができる。
【0037】
また、他の重合性モノマーと、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの共重合体を合成し、先ほどと同様に、脱エステル化を行うことにより、カルボキシル基を有する共重合体ポリマーを容易に得ることができる。
【0038】
その他にも、直接、アクリル酸、メタクリル酸と他の重合性モノマーを重合し、カルボキシル基を有する共重合体ポリマーを得ることも可能である。
【0039】
(化学式(7)に示す化合物)
本発明に用いる化学式(7)に示す化合物として、更に詳しくは、A21は炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐アルキレン基、置換または未置換のフェニル基、置換または未置換のナフチル基、あるいは、置換または未置換のN、S、Oの何れか一つ以上を含む複素環構造を表す化合物が好ましい。また、A21が環構造の場合、未置換の環がさらに縮合してもよい。
【0040】
21が炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐アルキレン基の化合物としては、2−アミノエタンスルホン酸(タウリン)、3−アミノプロパンスルホン酸、4−アミノブタンスルホン酸、2−アミノ−2−メチルプロパンスルホン酸や、そのアルカリ金属塩があげられる。
【0041】
21が、置換または未置換のフェニル基の場合は化学式(8)で表される化合物が好ましい。
【0042】
【化12】

【0043】
(式中、R26a、R26b、R26c、R26d及びR26eは、それぞれ独立して、SO226f(R26fはOH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR26hである。R26hは、置換または未置換の脂肪族炭化水素構造、置換または未置換の芳香族環構造、あるいは置換または未置換の複素環構造を表す。)、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、OH基、NH2基、NO2基、COOR26g(R26g:H原子、Na原子、K原子のいずれかを表す)、アセトアミド基、OPh基、NHPh基、CF3 基、C25基またはC37基から選択され(Phはフェニル基を表す)、かつこれらの基の少なくとも一つはSO226fである。)
更に、R26hが、直鎖または分岐の炭素数1〜8のアルキル基、あるいは置換または未置換のフェニル基を表す化合物が好ましい。
【0044】
化学式(8)で示される化合物としては、p−アミノベンゼンスルホン酸(スルファニル酸)、m−アミノベンゼンスルホン酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−トルイジン−4−スルホン酸、o−トルイジン−4−スルホン酸ナトリウム塩、p−トルイジン2−スルホン酸、4−メトキシアニリン−2−スルホン酸、o−アニシジン−5−スルホン酸、p−アニシジン−3−スルホン酸、3−ニトロアニリン−4−スルホン酸、2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウム塩、4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウム塩、1,5−ジニトロアニリン−4−スルホン酸、2−アミノフェノール−4−ヒドロキシ−5−ニトロベンゼンスルホン酸、2,4−ジメチルアニリン−5−スルホン酸ナトリウム塩、2,4−ジメチルアニリン−6−スルホン酸、3,4−ジメチルアニリン−5−スルホン酸、4−イソプロピルアニリン−6−スルホン酸、4−トリフルオロメチルアニリン−6−スルホン酸、3−カルボキシ−4−ヒドロキシアニリン−5−スルホン酸、4−カルボキシアニリン−6−スルホン酸等の各種アミノベンゼンスルホン酸誘導体ならびにその塩、さらには、2−アミノベンゼンスルホン酸メチルエステル、4−アミノベンゼンスルホン酸メチルエステル、2−アミノベンゼンスルホン酸フェニルエステル、4−アミノベンゼンスルホン酸フェニルエステル等の各種アミノベンゼンスルホン酸誘導体ならびにその塩のメチルエステル化物あるいはフェニルエステル化物等のエステル化物が挙げられる。これらの1種または2種以上を必要に応じて選択して用いることができる。
【0045】
21が置換または未置換のナフチル基の場合は、化学式(9a)、(9b)で表される。
【0046】
【化13】

【0047】
(式中、R27a 、R27b 、R27c 、R27d 、R27e 、R27f及びR27gは、それぞれ独立して、SO227o (R27o はOH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR27s である。R27s は、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造を表す。)、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、OH基、NH2 基、NO2 基、COOR27p (R27p :H原子、Na子、K原子のいずれかを表す)、アセトアミド基、OPh基、NHPh基、CF3 基、C25 基、またはC37 基から選ばれ(Phはフェニル基を表す)、かつこれらの基の少なくとも一つはSO227oである。)
更に、R27hが、直鎖または分岐の炭素数1〜8のアルキル基、あるいは置換または未置換のフェニル基を表す化合物が好ましい。
【0048】
【化14】

【0049】
(式中、R27h 、R27i 、R27j 、R27k 、R27l 、R27m及びR27n は、それぞれ独立して、SO227q (R27qはOH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR27t である。R27t は、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造を表す。)、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、OH基、NH2 基、NO2 基、COOR27r (R27r:H原子、Na原子、K原子のいずれかを表す)、アセトアミド基、OPh基、NHPh基、CF3 基、C25 基またはC37 基から選ばれ(Phはフェニル基を表す)、かつこれらの基の少なくとも一つはSO227qである。)
更に、R27tが、直鎖または分岐の炭素数1〜8のアルキル基、あるいは置換または未置換のフェニル基を表す化合物が好ましい。
【0050】
化学式(9a)または(9b)で示される化合物としては、1−ナフチルアミン−4−スルホン酸、1−ナフチルアミン−5−スルホン酸、1−ナフチルアミン−6−スルホン酸、1−ナフチルアミン−7−スルホン酸、1−ナフチルアミン−8−スルホン酸、2−ナフチルアミン−1−スルホン酸、2−ナフチルアミン−5−スルホン酸、1−ナフチルアミン−2−エトキシ−6−スルホン酸、1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸、6−アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸、1−アミノ−8−ナフトール−2,4−スルホン酸一ナトリウム塩、1−アミノ−8−ナフトール−3,6−スルホン酸一ナトリウム塩等の各種ナフチルアミンスルホン酸誘導体ならびにその塩、さらには、1−ナフチルアミン−8−スルホン酸メチルエステル、2−ナフチルアミン−1−スルホン酸メチルエステル、1−ナフチルアミン−8−スルホン酸フェニルエステル、2−ナフチルアミン−1−スルホン酸フェニルエステル等の各種ナフチルアミンスルホン酸誘導体ならびにその塩のメチルエステル化物あるいはフェニルエステル化物等のエステル化物が挙げられる。これらの1種または2種以上を必要に応じて選択して用いることができる。
【0051】
21が置換または未置換のN、S、Oの何れか一つ以上を含む複素環構造の場合は,ピリジン環、ピペラジン環、フラン環、チオール環などが挙げられる。これらの1種または2種以上を必要に応じて選択して用いることができる。
【0052】
本発明における化学式(6)に示すユニットを含むポリマーと化学式(7)で示すアミノスルホン酸化合物との縮合反応について詳しく述べる。カルボキシル基とアミノ基の縮合反応としては、縮合剤を用いる方法、塩を形成し脱水反応により縮合を行う方法、脱水剤を用いる方法、カルボキシル基を酸クロライドに変換しアミノ基を反応させる方法など、いずれも利用が可能である。
【0053】
まず、縮合剤を用いる方法について詳しく述べる。
【0054】
縮合剤としては、リン酸系縮合剤、カルボジイミド系縮合剤、酸塩化物系縮合剤などが利用可能であり、例えば、リン酸系縮合剤としては、亜リン酸エステル系縮合剤、リン塩化物系縮合剤、リン酸無水物系縮合剤、リン酸エステル系縮合剤、リン酸アミド系縮合剤、塩化チオニル系縮合剤を利用することが可能である。本発明の反応では、亜リン酸エステル系の縮合剤を用いることが好ましい。この際使用される亜リン酸エステル類としては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリ−o−トリル、亜リン酸ジ−o−トリル、亜リン酸トリ−m−トリル、亜リン酸ジ−m−トリル、亜リン酸トリ−p−トリル、亜リン酸ジ−p−トリル、亜リン酸ジ−o−クロロフェニル、亜リン酸トリ−p−クロロフェニル、亜リン酸ジ−p−クロロフェニル等が上げられる。中でも、亜リン酸トリフェニルが好ましく用いられる。縮合剤の使用量は、化学式(7)に示す化合物に対して、0.1倍モル以上、好ましくは、等倍モル以上の範囲である。また、縮合剤そのものを反応溶媒として用いることも可能である。
【0055】
この方法に用いられる化学式(7)に示す化合物の使用量は、出発原料として用いる化学式(6)に示すユニットに対して、0.1〜50.0倍モル、好ましくは、1.0〜20.0倍モルの範囲である。
【0056】
本発明の反応では、必要に応じ、溶媒を使用することができる。使用する溶媒は、ヘキサン、シクロへキサン、ヘプタン等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒類、ピリジン誘導体が挙げられる。特に好ましくは、ピリジンが用いられる。溶媒の使用量は、出発原料、塩基の種類、反応条件等に応じて適宜定め得る。
【0057】
この方法において、反応温度は、特に限定されないが、通常は0℃〜溶媒の沸点の範囲の温度である。ただし、用いる縮合剤に合わせた最適な温度で反応を行うことが望ましい。本発明の方法において、反応時間は、一概には言えないが、通常、1〜48時間の範囲である。このようにして生成した化学式(1)に示すポリマーを含む反応液は、常法である蒸留を用いて取り除くことができる。または、水、メタノール及びエタノールなどのアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の溶媒を用いて、反応液に均一且つ、化学式(1)に示すポリマーに不溶な溶媒と混合し、目的とする化学式(1)に示すポリマーを再沈殿することにより、回収することができる。ここで得られた化学式(1)に示すポリマーは、必要ならば、単離精製することができる。この単離精製方法としては、特に制限はなく、化学式(1)に示すポリマーに不溶な溶媒を用いて再沈殿する方法、カラムクロマトグラフィーによる方法を用いることができる。
【0058】
(化学式(1)に示すポリマーの製造方法(B))
化学式(1)で示すユニットを分子中に1ユニット以上有するポリマーについては、化学式(901)で示す化合物を単独もしくは、他の重合性モノマーと重合することにより合成することも可能である。
【0059】
(化学式(901)で示す化合物の製造方法)
化学式(901)に示す化合物は、以下の方法により製造できる。
【0060】
【化15】

【0061】
(式中、Rは−A901−SO2R901を表す。R901w、R901X 、R901yは、下記(i)または(ii)に記載されている組み合わせから選ばれる。
(i)の場合、A901とR901は、下記(i−A)から(i−B)に記載の組み合わせから選ばれ、また、(ii)の条件を全て満たす場合、A901とR901は、(ii−A)に記載の組み合わせから選ばれる。
(i)R901w、R901Xが水素原子であり、R901yが、CH3基、または水素原子である。
(i−A)A901は、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造である。R901は、OH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR901aである。R901aは、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしく未置換の複素環構造である。
(i−B)A901は、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である。R901は、OH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR901aである。R901aは、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である。
(ii) R901w、R901Xは、それぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R901yは、CH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。R901w、R901X、R901yの少なくとも1つは、ハロゲン原子である。
(ii−A)A901は、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである。R901は、OH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR901aである。R901aは、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである。)
本発明における化学式(901)に示す化合物の合成方法について詳しく述べる。メタクリル酸、アクリル酸などのカルボキシル基を有する重合性モノマー、カルボキシル基が酸塩化物になったアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド重合性モノマーと、後述する化学式(817)に示すアミノ基を有する種々の化合物との縮合反応により合成される。
【0062】
カルボキシル基とアミノ基の縮合反応としては、縮合剤を用いる方法、塩を形成し脱水反応により縮合を行う方法、脱水剤を用いる方法、カルボキシル基を酸クロライドに変換しアミノ基を反応させる方法などいずれも利用が可能である。
【0063】
本発明に係る製造方法として、カルボキシル基を酸クロライドに変換しアミノ基を反応させる方法について詳しく述べる。
【0064】
化学式(717)に示す重合性モノマーの酸クロライドへの変換は、常法である塩化チオニルを使用することにより可能である。
【0065】
【化16】

【0066】
(式中、R717w、R717xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R717yはCH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。
717は、H原子、Na原子またはK原子である。)
塩化チオニルの使用量は、化学式(717)に示す化合物に対して、0.1〜50.0倍モル、好ましくは、1.0〜20.0倍モルの範囲である。また、塩化チオニルそのものを反応溶媒として用いることも可能である。
【0067】
この方法に用いられる後述する化学式(817)に示す化合物の使用量は、出発原料として用いる化学式(717)に示すユニットに対して、0.1〜50.0倍モル、好ましくは、1.0〜20.0倍モルの範囲である。本発明の反応では、必要に応じ、溶媒を使用することができる。使用する溶媒は、ヘキサン、シクロへキサン、ヘプタン等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒類、ピリジン誘導体、水が挙げられる。溶媒は、後述する化学式(817)に示す化合物が溶解するものが好ましい。溶媒の使用量は、出発原料、反応条件等に応じて適宜定め得る。
【0068】
この方法において、反応温度は、特に限定されないが、通常は−30℃〜溶媒の沸点の範囲の温度である。ただし、使用する後述する化学式(817)に示す化合物、反応溶媒に合わせた最適な温度で反応を行うことが望ましい。本発明の方法において、反応時間は、一概には言えないが、通常、1〜48時間の範囲である。このようにして生成した化学式(901)に示す化合物を含む反応液は、常法である蒸留を用いて取り除くことができる。
【0069】
ここで得られた化学式(901)に示す化合物は、必要ならば、単離精製することができる。この単離精製方法としては、特に制限はなく、化学式(901)に示す化合物が難溶な溶媒を用いて再結晶する方法、カラムクロマトグラフィーによる方法を用いることができる。
(化学式(817)に示す化合物)
本発明に用いる化学式(817)に示す化合物としては、
【0070】
【化17】

【0071】
(式中、R817はOH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR817a である。A817、R817a はそれぞれ独立して、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、置換もしくは未置換の複素環構造を表す。)が挙げられる。
更に詳しくは、A817は炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐アルキレン基、置換または未置換のフェニル基、置換または未置換のナフチル基、あるいは、置換または未置換のN、S、Oの何れか一つ以上を含む複素環構造を表す。A817が環構造の場合、未置換の環がさらに縮合してもよい。
【0072】
前記A817が、炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐アルキレン基の化合物である場合、その例としては、2−アミノエタンスルホン酸(タウリン)、3−アミノプロパンスルホン酸、4−アミノブタンスルホン酸、2−アミノ−2−メチルプロパンスルホン酸や、そのアルカリ金属塩があげられる。
【0073】
817が、置換または未置換のフェニル基の場合は化学式(26)で表される。
【0074】
【化18】

【0075】
(式中、R26a 、R26b 、R26c 、R26d及びR26eは、それぞれ独立して、SO226f (R26f はOH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR26h である。R26h は、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造を表す。)、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、OH基、NH2 基、NO2 基、COOR26g (R26g :H原子、Na原子、K原子のいずれかを表す)、アセトアミド基、OPh基、NHPh基、CF3 基、C25 基またはC37 基から選ばれ(Phはフェニル基を表す)、かつこれらの基の少なくとも一つはSO226fである。)
更に、R26hが、直鎖または分岐の炭素数1〜8のアルキル基、あるいは置換または未置換のフェニル基を表す化合物が好ましい。
【0076】
化学式(26)で示される化合物としては、p−アミノベンゼンスルホン酸(スルファニル酸)、m−アミノベンゼンスルホン酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−トルイジン−4−スルホン酸、o−トルイジン−4−スルホン酸ナトリウム塩、p−トルイジン2−スルホン酸、4−メトキシアニリン−2−スルホン酸、o−アニシジン−5−スルホン酸、p−アニシジン−3−スルホン酸、3−ニトロアニリン−4−スルホン酸、2−ニトロアニリン−4−スルホン酸ナトリウム塩、4−ニトロアニリン−2−スルホン酸ナトリウム塩、1,5−ジニトロアニリン−4−スルホン酸、2−アミノフェノール−4−ヒドロキシ−5−ニトロベンゼンスルホン酸、2,4−ジメチルアニリン−5−スルホン酸ナトリウム塩、2,4−ジメチルアニリン−6−スルホン酸、3,4−ジメチルアニリン−5−スルホン酸、4−イソプロピルアニリン−6−スルホン酸、4−トリフルオロメチルアニリン−6−スルホン酸、3−カルボキシ−4−ヒドロキシアニリン−5−スルホン酸、4−カルボキシアニリン−6−スルホン酸等の各種アミノベンゼンスルホン酸誘導体ならびにその塩、さらには、2−アミノベンゼンスルホン酸メチルエステル、4−アミノベンゼンスルホン酸メチルエステル、2−アミノベンゼンスルホン酸フェニルエステル、4−アミノベンゼンスルホン酸フェニルエステル等の各種アミノベンゼンスルホン酸誘導体ならびにその塩のメチルエステル化物あるいはフェニルエステル化物等のエステル化物が挙げられる。
【0077】
817が置換または未置換のナフチル基の場合は、化学式(27a)、(27b)で表される。
【0078】
【化19】

【0079】
(式中、R27a 、R27b 、R27c 、R27d 、R27e 、R27f及びR27gは、それぞれ独立して、SO227o (R27o はOH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR27s である。R27s は、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造を表す。)、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、OH基、NH2 基、NO2 基、COOR27p (R27p :H原子、Na子、K原子のいずれかを表す)、アセトアミド基、OPh基、NHPh基、CF3 基、C25 基またはC37 基から選ばれ(Phはフェニル基を表す)、かつこれらの基の少なくとも一つはSO227oである。)
更に、R27sが、直鎖または分岐の炭素数1〜8のアルキル基、あるいは置換または未置換のフェニル基を表す化合物が好ましい。
【0080】
【化20】

【0081】
(式中、R27h 、R27i 、R27j 、R27k 、R27l 、R27m及びR27n は、それぞれ独立して、SO227q (R27qはOH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR27t である。R27t は、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、あるいは置換もしくは未置換の複素環構造を表す。)、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、OH基、NH2 基、NO2 基、COOR27r (R27r:H原子、Na原子、K原子のいずれかを表す)、アセトアミド基、OPh基、NHPh基、CF3 基、C25 基またはC37 基から選ばれ(Phはフェニル基を表す)、かつこれらの基の少なくとも一つはSO2203fである。)
更に、R27tが、直鎖または分岐の炭素数1〜8のアルキル基、あるいは置換または未置換のフェニル基を表す化合物が好ましい。
【0082】
化学式(27a)または(27b)で示される化合物としては、1−ナフチルアミン−4−スルホン酸、1−ナフチルアミン−5−スルホン酸、1−ナフチルアミン−6−スルホン酸、1−ナフチルアミン−7−スルホン酸、1−ナフチルアミン−8−スルホン酸、2−ナフチルアミン−1−スルホン酸、2−ナフチルアミン−5−スルホン酸、1−ナフチルアミン−2−エトキシ−6−スルホン酸、1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸、6−アミノ−1−ナフトール−3−スルホン酸、1−アミノ−8−ナフトール−2,4−スルホン酸一ナトリウム塩、1−アミノ−8−ナフトール−3,6−スルホン酸一ナトリウム塩等の各種ナフチルアミンスルホン酸誘導体ならびにその塩、さらには、1−ナフチルアミン−8−スルホン酸メチルエステル、2−ナフチルアミン−1−スルホン酸メチルエステル、1−ナフチルアミン−8−スルホン酸フェニルエステル、2−ナフチルアミン−1−スルホン酸フェニルエステル等の各種ナフチルアミンスルホン酸誘導体ならびにその塩のメチルエステル化物あるいはフェニルエステル化物等のエステル化物が挙げられる。
【0083】
817が置換または未置換のN、S、Oの何れか一つ以上を含む複素環構造の場合は,ピリジン環、ピペラジン環、フラン環、チオール環などが挙げられる。
また、上記方法により合成された、化学式(901)で示す化合物の中でも、スルホン酸エステルユニットを有していない化合物、例えば、R901がOH、ハロゲン原子、ONa、OKである化合物を用いる場合、さらに、トリメチルシリルジアゾメタン、トリメチルオルトフォルメート、トリエチルオルトフォルメート等のエステル化剤を用いることにより、化学式(901)の中でもR901がOR901aで表されるスルホン酸エステルユニットを有する化合物を合成することが可能である。
【0084】
この反応では、必要に応じ、溶媒を使用することができる。使用する溶媒は、ヘキサン、シクロへキサン、ヘプタン等の炭化水素類、メタノール及びエタノールなどのアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒類、ピリジン誘導体が挙げられる。特に好ましくは、クロロホルム、メタノールが用いられる。溶媒の使用量は、出発原料、反応条件等に応じて適宜定め得る。
【0085】
エステル化剤の使用量は、化学式(901)に示すR901がOH、ハロゲン原子、ONa、OKであるユニットに対して、0.1〜50倍モル、好ましくは、1〜20倍モルの範囲である。
【0086】
この方法において、反応温度は、特に限定されないが、通常は−20℃〜30℃の範囲の温度である。反応時間は、一概には言えないが、通常、1〜48時間の範囲である。
【0087】
このようにして生成した化学式(901)の中でもR901がOR901aで表されるスルホン酸エステルユニットを有する化合物を含む反応液は、常法である蒸留を用いて取り除くことができる。
ここで得られた化学式(901)の中でもR901がOR901aで表されるスルホン酸エステルユニットを有する化合物は、必要ならば、単離精製することができる。この単離精製方法としては、特に制限はなく、化学式(901)の中でもR901がOR901aで表されるスルホン酸エステルユニットを有する化合物が難溶な溶媒を用いて再結晶する方法、カラムクロマトグラフィーによる方法を用いることができる。
【0088】
(化学式(901)で示される化合物の重合方法)
化学式(901)で示される化合物の重合方法としては、公知の種々の重合反応が利用可能である。また、種々の公知のモノマーと共重合も可能である。
【0089】
共重合可能なモノマーの例としては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロルスチレン、3,4-ジクロルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα-メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸-n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸-2-クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N-ビニルピロール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N-ビニルピロリドンの如きN-ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体が挙げられる。
【0090】
化学式(901)の中でもスルホン酸エステルユニットを有していない化合物、たとえば、R901がOH、ハロゲン原子、ONa、OKである化合物を重合する場合、特に好ましくは、重合条件のコントロールが比較的容易なラジカル重合を用いることが可能である。
また、スルホン酸エステルユニットを有している場合は、イオン重合の利用も可能である。
【0091】
ラジカル重合を用いる場合、開始剤としては、例えば、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t-ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4-ビス(t-ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、n-ブチル4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バリレート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシ-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ-t-ブチルパーオキシα-メチルサクシネート、ジ-t-ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ-t-ブチルパーオキシアゼラート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール-ビス(t-ブチルパーオキシカーボネート)、ジ-t-ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t-ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t-ブチルパーオキシ)シラン等が挙げられる。また、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性開始剤の利用も可能である。
【0092】
これらが単独或いは併用して使用できる。その使用量は重合性モノマーの全量に対して、0.0001〜0.5倍モルの範囲が好ましいが、使用するモノマーの種類、共重合で使用するモノマー、使用する開始剤に応じて適宜定め得る。
【0093】
本発明の重合反応では、必要に応じ、溶媒を使用することができる。使用する溶媒は、ヘキサン、シクロへキサン、ヘプタン等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒類が挙げられる。特に好ましくN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒が用いられる。溶媒の使用量は、溶媒の種類、共重合で使用するモノマー、使用する開始剤、反応条件等に応じて適宜定め得る。
【0094】
この方法において、反応温度は、特に限定されないが、通常は-76℃〜溶媒の沸点の範囲の温度である。ただし、用いる開始剤、共重合で使用するモノマーに合わせた最適な温度で反応を行うことが望ましい。本発明の方法において、反応時間は、一概には言えないが、通常、0.5〜48時間の範囲である。このようにして生成した化学式(1)に示すユニットを分子中に1ユニット以上有するポリマーを含む反応液は、常法である蒸留を用いて取り除くことができる。または、水、メタノール及びエタノールなどのアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の溶媒を用いて、反応液に均一且つ、化学式(1)に示すユニットを分子中に1ユニット以上有するポリマーに不溶な溶媒と混合し、目的とする化学式(1)に示すユニットを分子中に1ユニット以上有するポリマーを再沈殿することにより、回収することができる。ここで得られた化学式(1)に示すユニットを分子中に1ユニット以上有するポリマーは、必要ならば、単離精製することができる。この単離精製方法としては、特に制限はなく、化学式(1)に示すユニットを分子中に1ユニット以上有するポリマーに不溶な溶媒を用いて再沈殿する方法、カラムクロマトグラフィーによる方法を用いることができる。
【0095】
(化学式(1)に示すポリマーの製造方法(C))
化学式(1)に示すポリマーの中でも、化学式(801)に示すようなR801がOH、ハロゲン原子、ONaまたはOKであるユニットを含むポリマーについては、トリメチルシリルジアゾメタン、トリメチルオルトフォルメート、トリエチルオルトフォルメート等のエステル化剤を用いることにより、化学式(802)に示すRが−A802−SO3802 である、化学式(1)に示すポリマーを合成することが可能である。以下にその反応について詳しく述べる。
【0096】
【化21】

【0097】
(式中、Rは−A801−SO2R801である。
R801w、R801Xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R801yはCH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。
801 はOH、ハロゲン原子、ONaまたはOKである。A801は、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である。)
【0098】
【化22】

【0099】
(式中、Rは−A802−SO3R802 を表す。
R802w、R802Xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R802yはCH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。
802 、R802は、それぞれ独立して、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである。)
この反応では、必要に応じ、溶媒を使用することができる。使用する溶媒は、ヘキサン、シクロへキサン、ヘプタン等の炭化水素類、メタノール及びエタノールなどのアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒類、ピリジン誘導体が挙げられる。特に好ましくは、クロロホルム、メタノールが用いられる。溶媒の使用量は、出発原料、反応条件等に応じて適宜定め得る。
【0100】
エステル化剤の使用量は、化学式(801)に示すユニットに対して、0.1〜50倍モル、好ましくは、1〜20倍モルの範囲である。
【0101】
この方法において、反応温度は、特に限定されないが、通常は−20℃〜30℃の範囲の温度である。反応時間は、一概には言えないが、通常、1〜48時間の範囲である。
【0102】
このようにして生成した化学式(802)に示すユニットを分子中に1ユニット以上有するポリマーを含む反応液は、常法である蒸留を用いて取り除くことができる。または、水、メタノール及びエタノールなどのアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の溶媒を用いて、反応液に均一且つ、化学式(802)に示すユニットを分子中に1ユニット以上有するポリマーに不溶な溶媒と混合し、目的とする化学式(802)に示すユニットを分子中に1ユニット以上有するポリマーを再沈殿することにより、回収することができる。ここで得られた化学式(802)に示すユニットを分子中に1ユニット以上有するポリマーは、必要ならば、単離精製することができる。この単離精製方法としては、特に制限はなく、化学式(802)に示すユニットを分子中に1ユニット以上有するポリマーに不溶な溶媒を用いて再沈殿する方法、カラムクロマトグラフィーによる方法を用いることができる。
【0103】
本発明において使用する上記ポリマーは、化学式(1)のモノマーユニットがユニット比において0.2%以上40%以下の割合で含まれており、かつ、数平均分子量が1,000〜200,000であることが、好ましい。化学式(1)のユニットの割合が0.2%より少なくなると、トナーに対して正電荷を誘起させる能力に劣る場合がある。一方、化学式(1)のユニットの割合が40%よりも多くなると、耐湿性等の環境安定性の悪化や、被膜特性の低下等が生じる場合がある。。又、使用するポリマーの数平均分子量が1,000よりも少なくなると、低分子量成分が多過ぎるため、トナーがスリーブに付着又は固着し易くなり、樹脂層の帯電付与性が低下する場合がある。
【0104】
一方、重合体の数平均分子量が200,000よりも大きくなると、樹脂層を形成する他の樹脂との相溶性が悪化し、環境変動や経時により安定した帯電性が得られなくなる。又、分子量が高過ぎると、溶媒中における樹脂粘度が高くなって塗工不良を生じ、顔料類を添加した場合には分散不良の原因となり、被覆する樹脂層の組成が不均一になってトナー帯電が安定せず、更に、樹脂被覆層の表面粗さが安定せず、耐摩耗性が減少する等の原因となる場合がある。
【0105】
尚、一般に、トナー用結着剤樹脂のガラス転移点は、50℃〜70℃程度である場合が多いので、上記ポリマーを使用するに際しては、基体を被覆して形成した樹脂層表面へのトナーの付着を避ける上で、トナーのガラス転移点よりも高いガラス転移点を有するような被覆膜(樹脂層)が形成されるように、適宜に材料を選択して被覆用のポリマーとするのが好ましい。
【0106】
次に、上記のような成分からなる樹脂層を有する本発明の現像剤担持体の他の構成について説明する。本発明の現像剤担持体は、基体表面に、上記した材料で形成された樹脂層を有するが、現像剤担持体に用いられる基体としては、例えば、金属、樹脂、ゴム或いはその複合材で作られた円柱状部材、円筒状部材及びベルト状部材が適用可能である。これらの中でも特に円筒管が好適に用いられる。円筒管としては、例えば、アルミニウム、ステンレン鋼及び真鍮の如き非磁性の金属又は合金を円筒状に成型し、その後、研磨及び研削を施したものが好適に用いられる。これらの金属円筒管は、画像の均一性をよくするために、高精度に成型或いは加工されて用いられる。例えば、長手方向の真直度は、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下がよく、スリーブと感光ドラムとの間隙の振れ、例えば、垂直面に対し均一なスペーサーを介して突き当て、スリーブを回転させた場合の垂直面との間隙の振れも、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下であることがよい。
【0107】
更に、本発明の現像剤担持体においては、上記したような基体の表面を被覆して樹脂層を形成するが、該樹脂層の形成に用いられる結着樹脂として、前記した化学式(1)に示すユニットを少なくとも分子中に1ユニット以上含むことを特徴とするポリマーを含有する。ここで、化学式(1)に示すユニットを少なくとも分子中に1ユニット以上含むことを特徴とするポリマーは共重合体の形で用いることができ、この共重合体に、必要に応じて他の公知の樹脂に含有させて使用してもよい。この際に使用できる他の樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂及びアクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂及びシリコーン樹脂等の熱或いは光硬化性樹脂等を使用することができる。これらの中でも、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂のような離型性のあるもの、或いは、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、スチレン系樹脂及びアクリル系樹脂のような機械的性質に優れたもの等を用いることがより好ましい。
【0108】
更に、本発明の現像剤担持体を構成する基板表面に被覆する樹脂層に、導電性微粉末及び/又は固体潤滑剤を含有させて導電性樹脂層とすることが好ましい。潤滑性物質は、摩擦帯電付与材であり、該潤滑性物質が分散された樹脂層を基体表面に形成することで、より本発明の効果が促進できる。この際に使用することのできる潤滑性物質としては、例えば、グラファイト、二硫化モリブデン、窒化硼素、雲母、フッ化グラファイト、銀−セレン化ニオブ、塩化カルシウム−グラファイト、滑石及びステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤が挙げられる。これらの中でも特にグラファイトが、被覆樹脂層の導電性を損なわないので好ましく用いられる。これらの固体潤滑剤は、その個数平均粒径が、好ましくは、0.2〜20μm程度のもの、より好ましくは1〜15μmのものを使用するとよい。
【0109】
上記したような固体潤滑剤の添加量としては、結着樹脂100重量部に対して、10〜120重量部の範囲であれば、特に好ましい結果を与える。即ち、添加量が120重量部を超えた場合は、被覆した樹脂層の強度の低下及びトナーの帯電量の低下が認められ、一方、10重量部未満では、長期にわたって使用した場合等、本発明の現像剤担持体を構成する樹脂層表面におけるトナー付着を防止する効果が少なくなる場合がある。
【0110】
本発明では、基材表面に形成する樹脂層の体積抵抗を調整するため、固体潤滑剤の他に結着樹脂中に導電性微粒子を分散含有させてもよい。この際に使用する導電性微粒子としては、個数平均粒径が20μm以下のものが好ましい。より好ましくは、10μm以下のものが好ましく、又、表面に凹凸が形成されるのを避けるためには1μm以下のものを使用することが好ましい。
【0111】
本発明で使用することのできる導電性微粒子としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック及びチャンネルブラック等のカーボンブラック;酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリ、酸化アンチモン及び酸化インジウム等の金属酸化物等;アルミニウム、銅、銀、ニッケル等の金属、グラファイト、金属繊維及び炭素繊維等の無機系充填剤等が挙げられる。上述した導電性微粒子の添加量としては、結着樹脂100重量部に対して100重量部以下の範囲で使用するのが特に好ましい結果を与える。即ち、100重量部を超えると樹脂層の被膜強度の低下、及び、トナーの帯電量の低下が認められる。
【0112】
本発明の現像剤担持体の樹脂層の好ましい構成としては、上記に述べた添加物質に加えて、更に、個数平均粒径が0.3〜30μmの被覆した樹脂層表面に凹凸を形成するための粒子を樹脂層中に分散させ、現像剤担持体の表面粗さを安定化させ、現像剤担持体上のトナーコート量を最適化することが挙げられる。それにより、前記ビニル系重合性単量体とスルホン酸含有アクリルアミド系単量体との共重合体によって得られる摩擦帯電付与効果を十分に発揮させることが可能となる。該粒子は、現像剤担持体の樹脂層表面に均一な表面粗度を保持させると同時に、樹脂層表面が摩耗した場合でも樹脂層の表面粗度の変化が少なく、且つ、トナー汚染やトナー融着を発生しにくくする効果がある。
【0113】
本発明の現像剤担持体を構成する基材表面に被覆された樹脂層表面に凹凸を形成するために用いる上記粒子としては、個数平均径が0.3〜30μm、好ましくは2〜20μmを用いるとよい。該粒子の個数平均粒径が0.3μm未満では表面に均一な粗さを付与する効果と帯電性能を高める効果が少なく、現像剤への迅速且つ均一な帯電が不十分となると共に、樹脂層の磨耗によるトナーのチャージアップ、トナー汚染及びトナー融着が発生し、ゴーストの悪化、画像濃度低下を生じ易くなるため好ましくない。個数平均粒径が30μmを超える場合には、樹脂層表面の粗さが大きくなり過ぎ、トナーの帯電が十分に行なわれにくくなってしまうと共に、樹脂層の機械的強度が低下してしまうため好ましくない。
【0114】
本発明において、前記樹脂層表面に凹凸を形成するための粒子は球状であることが望ましい。ここで言う球状粒子における球状とは、粒子の長径/短径の比が1.0〜1.5程度のものを意味しており、本発明において好ましくは、長径/短径の比が1.0〜1.2の粒子を使用することが好ましい。球状粒子の長径/短径の比が1.5を超える場合には、樹脂層表面粗さの不均一化が発生し、トナーの迅速且つ均一な帯電化及び導電性樹脂層の強度の点で好ましくない。
【0115】
更に好ましくは、球状粒子の真密度は、3g/cm3以下、好ましくは2.7g/cm3以下、より好ましくは0.9〜2.3g/cm3であることがよい。即ち、球状粒子の真密度が3g/cm3を超える場合には、樹脂層中での球状粒子の分散性が不十分となるため、樹脂層表面に均一な粗さを付与しにくくなる。又、塗料の保存安定性がよくないため、ここでも均一表面凹凸を有する摩擦帯電付与部材表面が得にくくなる。球状粒子の真密度が0.9g/cm3より小さい場合にも、樹脂層中での球状粒子の分散性及び保存安定性が不十分となる。
【0116】
本発明に用いられる球状粒子は、公知の球状粒子が使用可能である。例えば、球状の樹脂粒子、球状の金属酸化物粒子及び球状の炭素化物粒子等が挙げられる。球状の粒子としては、例えば、懸濁重合、分散重合法等による球状の樹脂粒子等が用いられる。これらの中でも、球状の樹脂粒子を用いれば、より少ない添加量で、現像剤担持体表面に好適な表面粗さが得られ、更に均一な表面状態が得られ易いので好ましい。このような球状粒子としては、例えば、ポリアクリレート及びポリメタクリレート等のアクリル系樹脂粒子、ナイロン等のポリアミド系樹脂粒子、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、フェノール系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子及びベンゾグアナミン粒子、等々が挙げられる。粉砕法により得られた樹脂粒子に、熱的に或いは物理的な球形化処理を行ってから用いてもよい。
【0117】
又、上記に挙げたような球状粒子の表面に無機物を付着或いは固着させて用いてもよい。この際に用いることのできる無機微粉体としては、例えば、SiO2、SrTiO3、CeO2、CrO、Al23、ZnO及びMgOの如き酸化物、Si34の如き窒化物、SiCの如き炭化物、CaSO4、BaSO4及びCaCO3の如き硫酸塩、炭酸塩、等々が挙げられる。このような無機微粉末は、カップリング剤により有機処理したものを用いてもよい。
【0118】
特に、結着樹脂との密着性を向上させる目的、或いは、粒子に疎水性を与える等々の目的では、カップリング剤により処理した無機微粉末を用いることが好ましい。この際に用いるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びジルコアルミネートカップリング剤等がある。より具体的には、例えば、シランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び、1分子当たり2〜12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位に夫々1個宛の硅素原子に結合した水酸基を含有したジメチルポリシロキサン等が挙げられる。このようなカップリング剤で処理された無機微粉末が表面に付着或いは固着された球状樹脂粒子等を用いれば、添加させる球状粒子の樹脂層中への分散性が良好となり、形成される樹脂層表面の均一性、耐汚染性、トナーへの帯電付与性及び耐磨耗性等を向上させることができる。
【0119】
又、本発明で使用する上記したような構成の球状粒子は、導電性を有するものであることがより好ましい。即ち、球状粒子に導電性を持たせることによって、その導電性のゆえに粒子表面にチャージが蓄積しにくくなるので、現像スリーブ表面へのトナー付着の軽減やトナーの帯電付与性を向上させることができる。本発明において好適な球状粒子の導電性としては、体積抵抗値が106Ω・cm以下、より好ましくは10-3〜106Ω・cmの粒子であることが好ましい。即ち、球状粒子の体積抵抗が106Ω・cmを超えると、摩耗によって樹脂層表面に球状粒子が露出して部分的に絶縁性となるため、これが核となりトナーの汚染や融着が発生し易くなると共に、迅速、且つ、均一な帯電が行われにくくなる恐れがある。
【0120】
本発明で好適に用いることができる導電性球状粒子を得る方法としては、以下に述べるような方法が好ましいが必ずしもこれらに限定されるものではない。本発明に用いられる特に好ましい導電性球状粒子を得る方法としては、例えば、球状の樹脂粒子やメソカーボンマイクロビーズを焼成することにより炭素化及び/又は黒鉛化して、低濃度且つ良導電性の球状炭素粒子を得る方法が挙げられる。そして、球状の樹脂粒子に用いられる樹脂材料としては、例えば、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体及びポリアクリロニトリルが挙げられる。又、メソカーボンマイクロビーズは、通常、中ピッチを加熱焼成していく過程で生成する球状結晶を多量のタール、中油及びキノリン等の溶剤で洗浄することによって製造することができる。
【0121】
より好ましい導電性球状粒子を得る方法としては、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体及びポリアクリロニトリル等の球状樹脂粒子表面に、メカノケミカル法によってバルクメソフェーズピッチを被覆し、被覆された粒子を酸化性雰囲気下で熱処理した後に焼成して炭素化及び/又は黒鉛化し、導電性の球状炭素粒子を得る方法が挙げられる。
【0122】
上記した方法で得られる導電性の球状炭素粒子は、上記したいずれの方法においても、焼成条件を変化させることによって得られる球状炭素粒子の導電性をある程度は制御することが可能であり、本発明で使用する導電性を有する球状粒子として好ましく使用できる。又、上記の方法で得られる球状炭素粒子は、場合によっては、更に導電性を高めるために、導電性球状粒子の真密度が3g/cm3を超えない程度の範囲で、導電性の金属及び/又は金属酸化物のめっきを施していてもよい。
【0123】
本発明に好適に用いられる導電性球状粒子を得る他の方法としては、球状の樹脂粒子からなる芯粒子に対して、芯粒子の粒径よりも小さい導電性微粒子を適当な配合比で機械的に混合することによって、ファンデルワールス力及び静電気力の作用により芯粒子の周囲に均一に導電性微粒子を付着させた後、例えば、機械的衝撃力を付与することによって生ずる局部的温度上昇によって芯粒子表面を軟化させ、芯粒子表面に導電性微粒子を成膜して導電化処理した球状樹脂粒子を得る方法が挙げられる。
【0124】
上記の芯粒子には、有機化合物からなる真密度の小さい球形の樹脂粒子を使用することが好ましく、樹脂としては、例えば、PMMA、アクリル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、又はこれらの共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ系樹脂及びポリエステル樹脂が挙げられる。芯粒子(母粒子)の表面に成膜する際に使用される導電性微粒子(小粒子)としては、導電性微粒子被膜を均一に設けるために、小粒子の粒径が母粒子の粒径の1/8以下のものを使用するのが好ましい。
【0125】
更に、本発明に用いることのできる導電性球状粒子を得る他の方法としては、球状樹脂粒子中に導電性微粒子を均一に分散させることにより、導電性微粒子が分散された導電性球状粒子を得る方法が挙げられる。球状樹脂粒子中に導電性微粒子を均一に分散させる方法としては、例えば、結着樹脂と導電性微粒子とを混練して導電性微粒子を分散させた後、冷却固化し、所定の粒径に粉砕し、機械的処理及び熱的処理により球形化して導電性球状粒子を得る方法、又は、重合性単量体中に重合開始剤、導電性微粒子及びその他の添加剤を加え、分散機によって均一に分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に撹拌機によって所定の粒子径になるように懸濁させて重合を行い、導電性微粒子が分散された球状粒子を得る方法が挙げられる。
【0126】
上記したような各種の方法で得られる導電性微粒子が分散された導電性球状粒子においても、前記した芯粒子よりも小さい粒径の導電性微粒子と適当な配合比で機械的に混合して、ファンデルワールス力及び静電気力の作用により導電性球状粒子の周囲に均一に導電性微粒子を付着させた後、例えば、機械的衝撃力を付与することにより生ずる局部的温度上昇により導電性球状粒子の表面を軟化させ、該表面に導電性微粒子を成膜して、更に導電性を高めて使用してもよい。
【0127】
本発明において、個数平均粒径の測定には、マルチサイザーII型(コールター製)に100μmアパーチャー(3.0μm以下の粒子は50μmアパーチャー)を取付けて測定を行った。導電性の粒子の測定は、粒度分布計LS−130型(コールター製)にリキッドモジュールを取付けて測定した。
【0128】
本発明の現像剤担持体の表面を構成する樹脂層に添加し、導電性を付与する材料としては、一般に公知の導電性微粉末が挙げられる。例えば、銅、ニッケル、銀及びアルミニウム等の金属或いは合金の粉体、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化チタン等の金属酸化物、カーボンファイバー、カーボンブラック及びグラファイト等の炭素系の導電性微粉末等が挙げられる。導電性微粉末の添加量は、その現像システムにより異なるが、例えば、ジャンピング現像法において、一成分絶縁性現像剤を用いる場合には、導電性樹脂層の体積抵抗値が、103Ω・cm以下になるように添加することが好ましい。カーボンブラック、とりわけ導電性のアモルファスカーボンは、特に電気伝導性に優れ、他の物質に比べて、少量の添加で導電性を付与することができ、添加量のコントロールにより、ある程度任意の抵抗値を得ることができるので好適である。
【0129】
次に、以上に説明した構成を有する本発明の現像剤担持体の表面に担持させる現像剤について説明する。現像剤を構成するトナーは、主として、結着樹脂、離型剤、荷電制御剤及び着色剤等を溶融混練し、固化した後粉砕し、しかる後、分級等をして粒度分布を揃えた着色樹脂微粉体である。トナーに用いられる結着樹脂としては、一般に公知の樹脂が使用可能である。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−クロルスチレン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂及び芳香族系石油樹脂等を、単独或いは混合して使用できる。
【0130】
又、トナー中には、着色剤として、上記に挙げたような顔料を含有させることができる。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、ランプ黒、スーダンブラックSM、ファースト・イエローG、ベンジジン・イエロー、ピグメント・イエロー、インドファースト・オレンジ、イルガジン・レッド、パラニトロアニリン・レッド、トルイジン・レッド、カーミンFB、パーマネント・ボルドーFRR、ピグメント・オレンジR、リソール・レッド2G、レーキ・レッドC、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチル・バイオレッドBレーキ、フタロシアニン・ブルー、ピグメント・ブルー、ブリリアント・グリーンB、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、ザボン・ファーストイエローCGG、カヤセットY963、カヤセットYG、ザボン・ファーストオレンジRR、オイル・スカーレット、オラゾール・ブラウンB、ザボン・ファーストスカーレットCG及びオイルピンクOP等を使用することができる。
【0131】
磁性トナーとするためには、トナー中に磁性粉を含有せしめてもよい。このような磁性粉としては、磁場の中におかれて磁化される物質が用いられ、例えば、鉄、コバルト及びニッケル等の強磁性金属の粉末、又は、マグネタイト、ヘマタイト及びフェライト等の合金や化合物が挙げられる。これらの磁性粉の含有量はトナー重量に対して15〜70重量%とすることが好ましい。
【0132】
又、トナーには、定着時の離型性向上、定着性向上の目的で、ワックス類を含有させることができる。そのようなワックス類としては、例えば、パラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプッシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びその誘導体等が挙げられる。ここで、誘導体には、酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物及びグラフト変性物を含む。その他、アルコール、脂肪酸、酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス及びペトロラクタム等も利用できる。
【0133】
更に、必要に応じて、トナー中に荷電制御剤を含有させてもよい。荷電制御剤には、負荷電制御剤及び正荷電制御剤がある。トナーを負帯電性に制御するものとしては下記に挙げる物質がある。例えば、有機金属錯体やキレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸及び芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類或いはビスフェノール等のフェノール誘導体類等がある。
【0134】
又、トナーを正帯電させるための物質としては下記のようなものがある。例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物及びフェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド及びジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート及びジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物及びイミダゾール化合物が挙げられる。
【0135】
トナーには必要に応じて、更に流動性改善等の目的で、無機微粉末の如き粉末を外添してもよい。このような微粉末としては、例えば、シリカ微粉末、アルミナ、チタニア、酸化ゲルマニウム及び酸化ジルコニウム等の金属酸化物;炭化ケイ素及び炭化チタン等の炭化物;窒化ケイ素及び窒化ゲルマニウム等の窒化物等の無機微粉体を用いることができる。更に、これらの微粉体は、有機ケイ素化合物、チタンカップリング剤等で有機処理して用いることができる。この際に用いることのできる有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び、1分子当り2〜12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位に夫々1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等を使用することができる。
【0136】
又、未処理の微粉体を窒素含有のシランカップリング剤で処理したものを用いてもよい。特に、ポジトナーの場合に好適である。そのような処理剤の例としては、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリメトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルピペリジン、トリメトキシシリル−γ−プロピルモルホリン及びトリメトキシシリル−γ−プロピルイミダゾール、等が挙げられる。
【0137】
上記に挙げたような各種のシランカップリング剤により無機微粉体を処理する方法としては、例えば、1)スプレー法、2)有機溶媒法、3)水溶液法等がある。スプレー法による処理とは、一般に、ピグメントを撹拌し、ここにカップリング剤の水溶液或いは溶媒液をスプレーし、この後水或いは溶媒を120〜130℃程度で除去乾燥する方法である。又、有機溶媒法による処理とは、少量の水と共に加水分解用触媒を含む有機溶媒(例えば、アルコール、ベンゼン或いはハロゲン化炭化水素等)にカップリング剤を溶解し、これにピグメントを浸積した後、濾過或いは圧搾により固液分離を行って、120〜130℃程度で乾燥させるものである。水溶液法とは、0.5%程度のカップリング剤を、一定pHの水或いは水−有機溶媒中で加水分解させ、ここにピグメントを浸積した後、同様に固液分離を行って乾燥するものである。
【0138】
他の有機処理方法を用いたものとして、シリコーンオイルで処理した微粉体を用いることも可能である。この際に用いることのできる好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度が、およそ0.5〜10,000mm2/s、好ましくは、1〜1,000mm2/sのものが挙げられる。このようなものとしては、例えば、メチルハイドロジエンシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、クロルフェニルメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル及びフッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。又、側鎖に窒素原子を有するシリコーンオイルを用いてもよい。
【0139】
特にポジトナーの場合は、シリコーンオイルで有機処理したものを使用することが好ましい。シリコーンオイルによる処理は、例えば、次のようにして行なうことができる。必要に応じて加熱しながら顔料を激しく撹乱し、これに、上記に挙げたようなシリコーンオイル或いはその溶液をスプレー若しくは気化して吹き付ける方法か、又は、顔料をスラリー状にしておき、これを撹拌しつつシリコーンオイル或いはその溶液を滴下する方法によって容易に処理できる。これらのシリコーンオイルは、1種或いは2種以上の混合物或いは併用や多重処理して用いられる。又、シランカップリング剤による処理と併用しても構わない。
【0140】
更に、以上のようにして形成されるトナーは、種々の方法で、球形化処理や表面平滑化処理を施して用いると、転写性が良好となるのでより好ましい。球形化処理や表面平滑化処理する方法としては、攪拌羽根又はブレード等、及びライナー又はケーシング等を有する装置で、例えば、トナーをブレードとライナーの間の微小間隙を通過させる際に、機械的な力により表面を平滑化したりトナーを球形化したりする方法、温水中にトナーを懸濁させて球形化処理する方法、熱気流中にトナーを曝し、球形化する方法等がある。
【0141】
又、球状のトナーを作る方法としては、例えば、水中に、トナーの結着樹脂の原料となる単量体を主成分とする混合物を懸濁させ、重合してトナー化する方法がある。一般的な方法としては、例えば、重合性単量体、着色剤、重合開始剤、更に必要に応じて、架橋剤、荷電制御剤、離形剤及びその他の添加剤を均一に溶解又は分散せしめて重合性単量体組成物とした後、この重合性単量体組成物を分散安定剤を含有する連続層、例えば、水相中に適当な攪拌機を用いて適当な粒径に分散し、更に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子からなるトナーを得る方法が挙げられる。
【0142】
次に、上記したような優れた効果を発揮し得る本発明の現像剤担持体が組み込まれて構成される本発明の現像装置の一例を、図を参照しながら説明する。図1は、本発明の現像装置の一例を示す概略構成図である。図1において、公知のプロセスにより形成された静電潜像を担持する静電潜像担持体、例えば、電子写真感光ドラム7は、矢印B方向に回転される。現像剤担持体としての現像スリーブ14は、ホッパー9によって供給された、例えば、一成分磁性現像剤である磁性トナー10を担持して、矢印A方向に回転することによって、現像スリーブ14と感光ドラム7とが対向している現像部D(現像領域)に、磁性トナー10を搬送する。この現像スリーブ14内には、磁性トナー10を現像スリーブ14上に磁気的に吸引・保持するための磁石11が配置されている。このような現像スリーブ14上に担持された磁性トナー10は、現像スリーブ14との摩擦によって、感光ドラム7上の静電潜像を現像可能にする摩擦帯電電荷を得る。
【0143】
又、図1に例示した現像装置では、現像部Dに搬送されていく磁性トナー10の層厚を規制するために、強磁性金属からなる現像剤層厚規制部材である現像剤層厚規制部材としての規制ブレード8が、ホッパー9から、現像スリーブ14の表面から約200〜300μmのギャップ幅をもって現像スリーブ14に臨むように垂下されている。この結果、現像スリーブ14内の磁石11の磁極N1からの磁力線がブレード8に集中することにより、現像スリーブ14上に磁性トナー10の薄層が形成される。尚、ブレード8としては、非磁性ブレードを使用することもできる。
【0144】
本発明においては、上記のようにして現像スリーブ14上に形成される磁性トナー10の薄層の厚みは、現像部Dにおける現像スリーブ14と感光ドラム7との間の最小間隙よりも、更に薄いものであることが好ましい。このようなトナー薄層により静電潜像を現像する方式の現像装置、即ち、非接触型現像装置に、本発明は特に効果的である。しかし、勿論、現像部において、トナー層の厚みが現像スリーブ14と感光ドラム7との間の最小間隙以上の厚みである現像装置、即ち、接触型現像装置にも、本発明の現像剤担持体を適用することができる。以下、説明の煩雑さを避けるため、非接触型の現像装置を例にとって、更に詳細に説明する。
【0145】
上記構成を有する本発明に好適な現像スリーブ14では、その表面に担持された磁性トナー10を飛翔させるために、電源15により現像バイアス電圧が印加される。本発明においては、この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときは、静電潜像の画像部(磁性トナー10が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との間の値の電圧を現像スリーブ14に印加されることが好ましい。一方、現像画像の濃度を高め或いは階調性を向上させるためには、現像スリーブ14に交番バイアス電圧を印加し、現像部Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合には、上記画像部の電位と背景部の電位の間の値を有する直流電圧成分が重畳された交番バイアス電圧を、現像スリーブ14に印加することが好ましい。
【0146】
又、高電位部と低電位部とを有する静電潜像の高電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂正規現像では、静電潜像の極性と逆極性に帯電するトナーを使用し、一方、静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する、所謂反転現像では、トナーは静電潜像の極性と同極性に帯電するトナーを使用することが好ましい。尚、高電位、低電位というのは、絶対値による表現である。いずれにしても磁性トナー10は、現像スリーブ14との摩擦により静電潜像を現像するための極性に帯電される。磁性トナー10に外添したシリカも、現像スリーブ14との摩擦により帯電する。13は樹脂層、16は攪拌器である。
【実施例】
【0147】
以下、実施例により本発明の詳細を説明する。先ず、下記の方法によって、実施例で使用したポリマーの製造方法を以下に示す(調製例A〜I)。その後、実施例1から48により、比較例を用いながら本発明の有用性を示す。本発明に係るポリマーや化合物、及びこれらの製造方法は、以下に示す実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の調製例ならびに実施例で示すな「部」及び「%」は特に断らない限り全て重量基準である。
【0148】
以下の実験において、得られたポリマーの構造決定は、特に記述した場合以外は、使用溶媒: 重DMSOで、1H−NMR(FT−NMR:Bruker DPX400;共鳴周波数:400MHz;測定核種: 1H;測定温度:室温)測定より行った。また、フーリエ変換−赤外吸収(FT−IR)スペクトル(Nicolet AVATAR360FT−IR)について分析を行った。得られたポリマーの平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC;東ソー、カラム;ポリマーラボラトリーズ PLgel 5μ MIXED−C、溶媒;DMF/LiBr 0.1%(w/v)、ポリスチレン換算)により評価した。酸価滴定については、電位差滴定装置AT510(京都電子製)を用いた。
【0149】
(調製例A−1)
Makromol.Chem, 186, 1711-1720 (1985)を参考に、スチレンとメタクリル酸を共重合させることにより、下記式(A−0):
【0150】
【化23】

【0151】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(M):(F)=90:10で含有しているポリマー共重合体を合成し、以下の実験に用いた。窒素雰囲気下、この原料ポリマーを1.4998g、p−トルイジン−2−スルホン酸1.3710gを200ml三口フラスコに入れて、ピリジン56.5ml加えて攪拌した後、亜リン酸トリフェニル3.84mlを加え、120℃で6時間加熱した。反応終了後、エタノール565mlに再沈殿して回収した。得られたポリマーを1N塩酸を用いて1日間洗浄を行った後、1日間水中で攪拌することにより洗浄を行い、減圧乾燥させた。IIR測定を行った結果、カルボン酸に由来する1695cm-1のピークが減少し、新たに、1658cm-1にアミド基に由来するピークが見られた。1H−NMRの結果より、p−トルイジン−2−スルホン酸のメチル基に由来するピークがシフトしていることから、得られたポリマーは、その結果、下記式(A−1):
【0152】
【化24】

【0153】
に示すユニットを、10mol%含有しているポリマー共重合体であることが確認された。
【0154】
得られたポリマーの平均分子量は、数平均分子量Mn =22000、重量平均分子量Mw =56000であった。
【0155】
(調製例A−2)
調製例A−1で得られた、化学式(A-1)で示すユニットを有するポリマー0.9980gを300mLナスフラスコ中に加え、クロロホルム70ml、メタノール17.5mlを加えて溶解し、0℃まで冷却した。これに2mol/Lのトリメチルシリルジアゾメタン−ヘキサン溶液(Aldrich社製)4.89mlを加えて、4時間攪拌した。反応終了後、エバポレーターにより溶媒を留去した後、ポリマーを回収した。更に、クロロホルム70ml、メタノール17.5mlを加えて、ポリマーを再溶解させて、エバポレーターにより溶媒を留去した。この操作を3回繰り返した。ここで回収したポリマーを、減圧乾燥することでポリマー0.9772gを得た。1H−NMRの結果より、スルホン酸メチルに由来するピークが3〜4ppmに見られることから、得られたポリマーは、下記式(A−2):
【0156】
【化25】

【0157】
に示すユニットを10mol%含有しているポリマー共重合体であることが確認された。
【0158】
また、酸価滴定により、スルホン酸に由来する当量点が見られなかったことからも、スルホン酸がスルホン酸メチルになっていることから明らかになった。得られたポリマーの平均分子量は、数平均分子量Mn =22000、重量平均分子量Mw =54000であった。一連の調整法をスケールアップし、ポリマーを大量に得て、ポリマー(a)とした。
【0159】
(調製例B−1)
調製例A−1と同様の原料ポリマーを用いた。
【0160】
窒素雰囲気下、この原料ポリマーを1.5052g、2−アミノ−2−メチルプロパンスルホン酸1.1200gを200ml三口フラスコに入れて、ピリジン56.5ml加えて攪拌した後、亜リン酸トリフェニル3.84mlを加え、120℃で6時間加熱した。反応終了後、エタノール565mlに再沈殿して回収した。得られたポリマーを1N塩酸を用いて1日間洗浄を行った後、1日間水中で攪拌することにより洗浄を行い、減圧乾燥させた。
【0161】
IR測定を行った結果、カルボン酸に由来する1695cm-1のピークが減少し、新たに、1668cm-1にアミド基に由来するピークが見られた。1H−NMRの結果より、2−アミノ−2−メチルプロパンスルホン酸のメチル基に由来するピークがシフトしていることから、得られたポリマーは、その結果、下記式(B−1):
【0162】
【化26】

【0163】
に示すユニットを、8mol%含有しているポリマー共重合体であることが確認された。
【0164】
得られたポリマーの平均分子量は、数平均分子量Mn =20000、重量平均分子量Mw =46000であった。
【0165】
(調製例B−2)
調製例B−1で得られた、化学式(B-1)で示すユニットを有するポリマー0.9985gを300mLナスフラスコ中に加え、クロロホルム70ml、メタノール17.5mlを加えて溶解し、0℃まで冷却した。これに2mol/Lのトリメチルシリルジアゾメタン−ヘキサン溶液(Aldrich社製)4.89mlを加えて、4時間攪拌した。反応終了後、エバポレーターにより溶媒を留去した後、ポリマーを回収した。更に、クロロホルム70ml、メタノール17.5mlを加えて、ポリマーを再溶解させて、エバポレーターにより溶媒を留去した。この操作を3回繰り返した。ここで回収したポリマーを、減圧乾燥することでポリマー0.9350gを得た。1H−NMRの結果より、スルホン酸メチルに由来するピークが3〜4ppmに見られることから、得られたポリマーは、下記式(B−2):
【0166】
【化27】

【0167】
に示すユニットを8mol%含有しているポリマー共重合体であることが確認された。
【0168】
また、酸価滴定により、スルホン酸に由来する当量点が見られなかったことからも、スルホン酸がスルホン酸メチルになっていることから明らかになった。得られたポリマーの平均分子量は、数平均分子量Mn =18000、重量平均分子量Mw =38000であった。一連の調整法をスケールアップし、ポリマーを大量に得て、ポリマー(b)とした。
【0169】
(調製例C−1)
調製例A−1と同様の原料ポリマーを用いた。
【0170】
窒素雰囲気下、この原料ポリマーを1.5060g、1−ナフチルアミン―8−スルホン酸1.6342gを200ml三口フラスコに入れて、ピリジン56.5ml加えて攪拌した後、亜リン酸トリフェニル3.84mlを加え、120℃で6時間加熱した。反応終了後、エタノール565mlに再沈殿して回収した。得られたポリマーを1N塩酸を用いて1日間洗浄を行った後、1日間水中で攪拌することにより洗浄を行い、減圧乾燥させた。IR測定を行った結果、カルボン酸に由来する1695cm-1のピークが減少し、新たに、1658cm-1にアミド基に由来するピークが見られた。1H−NMRの結果より、1−ナフチルアミン―8−スルホン酸のナフチル構造に由来するピークがシフトしていることから、得られたポリマーは、その結果、下記式(C−1):
【0171】
【化28】

【0172】
に示すユニットを、7mol%含有しているポリマー共重合体であることが確認された。得られたポリマーの平均分子量は、数平均分子量Mn =21000、重量平均分子量Mw =48000であった。
【0173】
(調製例C−2)
調製例C−1で得られた、化学式(C-1)で示すユニットを有するポリマー1.0025gを300mLナスフラスコ中に加え、クロロホルム70ml、メタノール17.5mlを加えて溶解し、0℃まで冷却した。これに2mol/Lのトリメチルシリルジアゾメタン−ヘキサン溶液(Aldrich社製)4.89mlを加えて、4時間攪拌した。反応終了後、エバポレーターにより溶媒を留去した後、ポリマーを回収した。更に、クロロホルム70ml、メタノール17.5mlを加えて、ポリマーを再溶解させて、エバポレーターにより溶媒を留去した。この操作を3回繰り返した。ここで回収したポリマーを、減圧乾燥することでポリマー0.9668gを得た。1H−NMRの結果より、スルホン酸メチルに由来するピークが3〜4ppmに見られることから、得られたポリマーは、下記式(C−2):
【0174】
【化29】

【0175】
に示すユニットを7mol%含有しているポリマー共重合体であることが確認された。また、酸価滴定により、スルホン酸に由来する当量点が見られなかったことからも、スルホン酸がスルホン酸メチルになっていることから明らかになった。得られたポリマーの平均分子量は、数平均分子量Mn =20000、重量平均分子量Mw =46000であった。一連の調整法をスケールアップし、ポリマーを大量に得て、ポリマー(c)とした。
【0176】
(調製例D−1)
ALDRICH社製poly(methyl methacrylate-co-methacrylic acid)を原料ポリマーとして用いた。クロロホルムに溶解し、メタノールに再沈殿を3回繰り返した後、反応に用いた。窒素雰囲気下、ポリマーを1.5024g、2−アミノベンゼンスルホン酸3.3612gを200ml三口フラスコに入れて、ピリジン56.5ml加えて攪拌した後、亜リン酸トリフェニル10.17mlを加え、120℃で6時間加熱した。反応終了後、エタノール565mlに再沈殿して回収した。得られたポリマーを1N塩酸を用いて1日間洗浄を行った後、1日間水中で攪拌することにより洗浄を行い、減圧乾燥させた。
【0177】
IR測定を行った結果、カルボン酸に由来する1695cm-1のピークが減少し、新たに、1658cm-1にアミド基に由来するピークが見られた。1H−NMRの結果より、2−アミノベンゼンスルホン酸構造の芳香環に由来するピークがシフトしていることから、得られたポリマーは、その結果、下記式(D−1):
【0178】
【化30】

【0179】
に示すユニットを、25mol%含有しているポリマー共重合体であることが確認された。得られたポリマーの平均分子量は、数平均分子量Mn =14000、重量平均分子量Mw =33000であった。
【0180】
(調製例D−2)
調製例D−1で得られた、ポリマー1.0020gを300mLナスフラスコ中に加え、クロロホルム70ml、メタノール17.5mlを加えて溶解し、0℃まで冷却した。これに2mol/Lのトリメチルシリルジアゾメタン−ヘキサン溶液(Aldrich社製)12.94mlを加えて、4時間攪拌した。反応終了後、エバポレーターにより溶媒を留去した後、ポリマーを回収した。更に、クロロホルム70ml、メタノール17.5mlを加えて、ポリマーを再溶解させて、エバポレーターにより溶媒を留去した。この操作を3回繰り返した。ここで回収したポリマーを、減圧乾燥することでポリマー0.9445gを得た。1H−NMRの結果より、スルホン酸メチルに由来するピークが3〜4ppmに見られることから、得られたポリマーは、下記式(D−2):
【0181】
【化31】

【0182】
に示すユニットを24mol%含有しているポリマー共重合体であることが確認された。また、酸価滴定により、スルホン酸に由来する当量点が見られなかったことからも、スルホン酸がスルホン酸メチルになっていることから明らかになった。得られたポリマーの平均分子量は、数平均分子量Mn =13000、重量平均分子量Mw =32000であった。一連の調整法をスケールアップし、ポリマーを大量に得てポリマー(d)とした。
【0183】
(調製例E−1)
調製例D−1と同様の原料ポリマーを用いた。窒素雰囲気下、この原料ポリマーを1.4889g、2―アミノベンゼンスルホン酸フェニルエステル4.8381gを200ml三口フラスコに入れて、ピリジン56.5ml加えて攪拌した後、亜リン酸トリフェニル10.17mlを加え、120℃で6時間加熱した。反応終了後、エタノール565mlに再沈殿して回収した。得られたポリマーを1N塩酸を用いて1日間洗浄を行った後、1日間水中で攪拌することにより洗浄を行い、減圧乾燥させた。
【0184】
IR測定を行った結果、カルボン酸に由来する1695cm-1のピークが減少し、新たに、1658cm-1にアミド基に由来するピークが見られた。1H−NMRの結果より、2―アミノベンゼンスルホン酸フェニルエステル構造の芳香環に由来するピークがシフトしていることから、得られたポリマーは、その結果、下記式(E−1):
【0185】
【化32】

【0186】
に示すユニットを、22mol%含有しているポリマー共重合体であることが確認された。
得られたポリマーの平均分子量は、数平均分子量Mn =13000、重量平均分子量Mw =33000であった。一連の調整法をスケールアップし、ポリマーを大量に得て、ポリマー(e)とした。
【0187】
(調製例F−1)
調製例D−1と同様の原料ポリマーを用いた。窒素雰囲気下、この原料ポリマーを1.5001g、2−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸4.3320gを200ml三口フラスコに入れて、ピリジン56.5ml加えて攪拌した後、亜リン酸トリフェニル10.17mlを加え、120℃で6時間加熱した。反応終了後、エタノール565mlに再沈殿して回収した。得られたポリマーを1N塩酸を用いて1日間洗浄を行った後、1日間水中で攪拌することにより洗浄を行い、減圧乾燥させた。
【0188】
IR測定を行った結果、カルボン酸に由来する1695cm-1のピークが減少し、新たに、1658cm-1にアミド基に由来するピークが見られた。1H−NMRの結果より、2−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸のナフチル構造に由来するピークがシフトしていることから、得られたポリマーは、その結果、下記式(F−1):
【0189】
【化33】

【0190】
に示すユニットを、20mol%含有しているポリマー共重合体であることが確認された。得られたポリマーの平均分子量は、数平均分子量Mn =12000、重量平均分子量Mw =34000であった。
【0191】
(調製例F−2)
調製例F−1で得られた、化学式(F-1)で示すユニットを有するポリマー0.9879gを300mLナスフラスコ中に加え、クロロホルム70ml、メタノール17.5mlを加えて溶解し、0℃まで冷却した。これに2mol/Lのトリメチルシリルジアゾメタン−ヘキサン溶液(Aldrich社製)12.94mlを加えて、4時間攪拌した。反応終了後、エバポレーターにより溶媒を留去した後、ポリマーを回収した。更に、クロロホルム70ml、メタノール17.5mlを加えて、ポリマーを再溶解させて、エバポレーターにより溶媒を留去した。この操作を3回繰り返した。ここで回収したポリマーを、減圧乾燥することでポリマー0.9662gを得た。1H−NMRの結果より、スルホン酸メチルに由来するピークが3〜4ppmに見られることから、得られたポリマーは、下記式(F−2):
【0192】
【化34】

【0193】
に示すユニットを20mol%含有しているポリマー共重合体であることが確認された。また、酸価滴定により、スルホン酸に由来する当量点が見られなかったことからも、スルホン酸がスルホン酸メチルになっていることから明らかになった。得られたポリマーの平均分子量は、数平均分子量Mn =11000、重量平均分子量Mw =32000であった。一連の調整法をスケールアップし、ポリマーを大量に得て、ポリマー(f)とした。
【0194】
(調製例G−1)
JOURNAL OF POLYMER SCIENCE : Polymer Chemistry Edition, 15, 585-591 (1977)に従って、下記式(G−0):
【0195】
【化35】

【0196】
を100g合成し、実験に用いた。得られた化合物を、イオン交換樹脂を用いて、脱塩し、SYNTHETIC COMMUNICATIONS, 15(12), 21, 1057-1062 (1985)を参考に、下記式(G−1):
【0197】
【化36】

【0198】
を合成した。
【0199】
窒素気流下、化学式(G-O)で示される化合物の脱塩体2.0010g、トリメチルオルトフォルメート20ml、重合禁止剤としてp−ベンゾキノンをフラスコにいれて、70℃で5時間加熱した。反応混合物を冷却し、減圧濃縮を行った。水3Lで2回洗浄し、ヘキサン3Lで2回洗浄したのち、クロロホルムに再溶解させたのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。1H−NMRの結果より、スルホン酸メチルに由来するピークが3〜4ppmに見られることから、スルホン酸がスルホン酸メチルになっていることから明らかになった。また、元素分析により、Naの存在が検出限界以下であったことにより、メチルステル化が進んでいることも示唆された。さらに、酸価滴定により、スルホン酸に由来する当量点が見られなかったことからも、スルホン酸がスルホン酸メチルになっていることから明らかになった。このモノマーを次の重合に用いた。
【0200】
(調製例G−2)
調製例G−1で得られたモノマー0.3015g、スチレン2.7mlを30mLすり付き試験管に加え、DMSO 20mlを加えて溶解し、窒素バブリングを12時間行い脱気した。
開始剤として、2,2'-Azobis(isobutyronitrile) 41.2mgをDMSO 5.0 mlに溶解させて試験管に加えたのち、70℃で加熱攪拌した。9時間後、得られたポリマーを、メタノールで再沈殿を行ったのち、水で洗浄することにより、未反応のモノマーと(G-1)の単独重合体を除去し、ポリマー 0.9681gを回収した。1H−NMRの結果より、得られたポリマーは、下記式(G−2):
【0201】
【化37】

【0202】
に示すユニットを5mol%含有しているポリマー共重合体であることが確認された。
また、酸価滴定により、スルホン酸に由来する当量点が見られなかったことからも、スルホン酸メチルが脱エステル化することなく、重合していることから明らかになった。得られたポリマーの平均分子量は、数平均分子量Mn =10000、重量平均分子量Mw =22000であった。一連の調整法をスケールアップし、ポリマーを大量に得て、ポリマー(g)とした。
【0203】
(調製例H−0)
JOURNAL OF POLYMER SCIENCE : Polymer Chemistry Edition, 15, 585-591 (1977)を参考に、下記式(H−0):
【0204】
【化38】

【0205】
を合成した。原料として2−アミノベンゼンスルフォン酸50gをイオン交換水120mlに溶解させて水酸化ナトリウムを12g加えた。この溶液に、炭酸水素ナトリウム24.5gを加えて、さらに、ピクリン酸1.8gを加えた後、アクリル酸クロリドを26.1g加えた。この溶液を30分攪拌し、ろ過して結晶を回収した。さらに、メタノールを用いて洗浄を行い、白色結晶をえることができた。得られた化合物の構造決定は、 1H−NMRにより行った。 ここで得られたモノマーを次の重合に用いた。
【0206】
(調製例H−1)
実施例H−0で得られたモノマー0.3117g、スチレン2.7mlを30mLすり付き試験管に加え、DMSO 20mlを加えて溶解し、窒素バブリングを12時間行い脱気した。
開始剤として、2,2'-Azobis(isobutyronitrile) 41.2mgをDMSO 5.0 mlに溶解させて試験管に加えたのち、70℃で加熱攪拌した。9時間後、得られたポリマーを、透析膜を用いて精製を行い、水、塩酸を用いて洗浄することで、未反応のモノマーと(H-O)の単独重合体を除去し、ポリマー 0.9681gを回収した。1H−NMRの結果より、(H-O)のフェニル構造に由来するピークがシフトしていることから、得られたポリマーは、その結果、下記式(H−1):
【0207】
【化39】

【0208】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(MM):(MF)=95:5で含有しているポリマー共重合体であることが確認された。得られたポリマーの平均分子量は、数平均分子量Mn =11600、重量平均分子量Mw =23500であった。
【0209】
(調製例H−2)
実施例H−1で得られた、ポリマー0.2995gを100mLナスフラスコ中に加え、クロロホルム21ml、メタノール5.25mlを加えて溶解し、0℃まで冷却した。これに2mol/Lのトリメチルシリルジアゾメタン−ヘキサン溶液(Aldrich社製)0.68mlを加えて、4時間攪拌した。反応終了後、エバポレーターにより溶媒を留去した後、ポリマーを回収した。更に、クロロホルム21ml、メタノール5.25mlを加えて、ポリマーを再溶解させて、エバポレーターにより溶媒を留去した。この操作を3回繰り返した。ここで回収したポリマーを、減圧乾燥することでポリマー0.2880gを得た。1H−NMRの結果より、スルホン酸メチルに由来するピークが3〜4ppmに見られることから、得られたポリマーは、下記式(H−2):
【0210】
【化40】

【0211】
に示すユニットを5mol%含有しているポリマー共重合体であることが確認された。また、酸価滴定により、スルホン酸に由来する当量点が見られなかったことからも、スルホン酸がスルホン酸メチルになっていることから明らかになった。得られたポリマーの平均分子量は、数平均分子量Mn =11000、重量平均分子量Mw =23000であった。一連の調整法をスケールアップし、ポリマーを大量に得て、ポリマー(h)とした。
【0212】
(調製例I−1)
JOURNAL OF POLYMER SCIENCE: Polymer Chemistry Edition, 13, 1879-1887 (1975)を参考に、スチレンとアクリル酸を共重合させることにより、下記式(I−0):
【0213】
【化41】

【0214】
に示すユニットを、含有比率(モル%)(NM):(NF)=94:6で含有しているポリマー共重合体を合成し、以下の実験に用いた。窒素雰囲気下、ポリマーを1.5012g、2−アミノベンゼンスルホン酸1.2868gを200ml三口フラスコに入れて、ピリジン56.5ml加えて攪拌した後、亜リン酸トリフェニル3.89mlを加え、120℃で6時間加熱した。反応終了後、ピリジンを留去し、酢酸エチル150mlに溶解させて、2N 塩酸を用いて分液洗浄を3回繰り返すことにより精製を行った。さらに、溶媒を留去し、ポリマーをTHF 15mlに溶解し、2−プロパノール200mlに再沈殿を行ったのち、ろ過により回収し減圧乾燥させた。1H−NMRの結果より、2−アミノベンゼンスルホン酸のフェニル基に由来するピークがシフトしていることから、得られたポリマーは、その結果、下記式(I−1):
【0215】
【化42】

【0216】
に示すユニットを、6mol%含有しているポリマー共重合体であることが確認された。
【0217】
得られたポリマーの平均分子量は、数平均分子量Mn =23000、重量平均分子量Mw =54000であった。
【0218】
(調製例I−2)
調製例I−1で得られた、ポリマー0.9980gを300mLナスフラスコ中に加え、クロロホルム70ml、メタノール17.5mlを加えて溶解し、0℃まで冷却した。これに2mol/Lのトリメチルシリルジアゾメタン−ヘキサン溶液(Aldrich社製)4.95mlを加えて、4時間攪拌した。反応終了後、エバポレーターにより溶媒を留去した後、ポリマーを回収した。更に、クロロホルム70ml、メタノール17.5mlを加えて、ポリマーを再溶解させて、エバポレーターにより溶媒を留去した。この操作を3回繰り返した。ここで回収したポリマーを、減圧乾燥することでポリマー0.9898gを得た。1H−NMRの結果より、スルホン酸メチルに由来するピークが3〜4ppmに見られることから、得られたポリマーは、下記式(I−2):
【0219】
【化43】

【0220】
に示すユニットを6mol%含有しているポリマー共重合体であることが確認された。また、酸価滴定により、スルホン酸に由来する当量点が見られなかったことからも、スルホン酸がスルホン酸メチルになっていることから明らかになった。得られたポリマーの平均分子量は、数平均分子量Mn =22000、重量平均分子量Mw =54000であった。一連の調整法をスケールアップし、ポリマーを大量に得て、ポリマー(i)とした。
【0221】
次に、実施例1から48により、比較例を用いながら本発明の有用性を示す。
【0222】
<実施例1>
・カーボンブラック:1重量部
・結晶性グラファイト:9重量部
・共重合体(a):25重量部
・トルエン:65重量部
上記材料に直径1mmのジルコニアビーズをメディア粒子として加え、サンドミルにて2時間分散処理し、フルイを用いてビーズを分離し、塗工液を得た。この塗工液を用いてスプレー法により、NP−6035(キヤノン(株)製)の現像スリーブ表面に塗工層を形成させ、続いて熱風乾燥炉により150℃30分間加熱して硬化させて、スリーブ表面に樹脂層を有する本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表1に示した。又、下記の方法及び基準で本実施例の現像剤担持体を評価し、その結果を表3及び4に示した。
【0223】
評価の際には、下記原材料を用いて作製したトナーを使用した。
・スチレン−アクリル系樹脂(Tg56℃):100重量部
・マグネタイト:80重量部
・正電荷制御剤:2重量部
・低分子量ポリプロピレン:4重量部
上記の構成材料を溶融混練、粉砕及び分散して得られた重量平均粒径6μmの正帯電トナーに、正帯電性外添剤として、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミンでカップリング処理したコロイダルシリカを0.9重量%、外添して、正帯電性一成分系磁性トナーAを得た。
【0224】
本実施例の現像剤担持体と、上記のトナーAとを用いて、H/H(高温高湿)、及びN/L(常温低湿)環境下でキヤノン製NP−6035を用いて画像画出しテストを行なった。そして、N/L環境下での評価結果を表3に、及び、H/H環境下での評価結果を表4に、夫々示した。なお、表6及び表7についても同様の評価方法を用いている。
【0225】
〔評価〕
(1)画像濃度
反射濃度計RD918(マクベス社製)で、得られた画像のベタ黒部の濃度を測定し、その値で画像濃度の低下を評価した。
【0226】
(2)トリボ
現像剤担持体上の現像剤のトリボを下記の吸引法で測定した。吸引法によるトリボ値の測定については、先ず、円筒濾紙を有する測定容器を用い、現像剤担持体表面の形状に沿った金属製の吸引口を取付け、画像形成直後(5分以内が好ましい)の現像剤担持体表面上の現像剤層を過不足なく一様に吸引できるように吸引圧を調整し、現像剤を吸引する。そして、この時に吸引された現像剤の電荷Qを、616ディジタルエレクトロメーター(KEITHLEY製)で測定し、重量をMとして、Q/M(mC/kg)により計算してトリボ値を求める。
【0227】
(3)反転カブリ
適性画像におけるベタ白画像の反射率を測定し、更に未使用の転写紙の反射率を測定し、(ベタ白画像の反射率の最悪値−未使用転写紙の反射率の最高値)を反転カブリ濃度とし、更に、両者の画像を目視で観察して、これを合わせて下記の基準で評価した。転写紙としては、127.9g/m2の厚紙を使用し、反射率はTC−6DS(東京電色製)で測定した。
◎ :反転カブリ濃度が1.5以下で、違いは殆どわからない。
○ :反転カブリ濃度が1.5超え2.5以下で、注意深く見ないと違いがわからない。
△ :反転カブリ濃度が2.5超え3.5以下で、画出しに連れて次第にカブリが認識できるようになる。
△×:反転カブリ濃度が3.5超え4.0以下で、実用レベル下限で、一見してカブリが確認できる。
× :反転カブリ濃度が4.0超え5.0以下で、かなり悪い。
【0228】
(4)画像不良(スジ、ムラ、ブロッチ)
ベタ黒、ハーフトーン及びライン画像等の各種画像を確認し、更に、その際の現像スリーブ上のスジ、波状ムラ、及びブロッチ(斑点状ムラ)等、スリーブ上でのトナーコート不良状態を目視によって観察し、その結果を参考にして、下記の基準で評価した。
◎ :画像にもスリーブ上にも全く確認できない。
○ :スリーブ上で僅かに確認できるが、画像では殆ど確認できない。
○△:数枚〜数十枚に1枚程度画像を透かしてみると確認できる。
△○:ハーフトーン画像又はベタ黒画像の1枚目で、且つ、スリーブ周期の1周目に確認できる。
△ :ハーフトーン画像又はベタ黒画像で確認できる。実用レベル下限。
△×:ベタ黒画像全体で画像不良が確認できる。実用不可レベル。
× :ベタ白画像上にも確認できる。
【0229】
(5)導電性樹脂層の削れ量(膜削れ)
各環境下で画出し評価した後、現像スリーブを取り外し、レーザー測長器Y−CTF型(真柄計測開発製)で外径を測定した。この測定値と、画出し前の現像スリーブの外径測定値から導電性樹脂層の削れ量を計算し、30点の平均値をとって膜削れ(μm)とした。
【0230】
<実施例2>
実施例1において、共重合体(a)を共重合体(b)とした以外は実施例1と同様の操作で本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表1に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法でトナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3及び4に示した。
【0231】
<実施例3>
実施例1において、共重合体(a)を共重合体(c)とした以外は実施例1と同様の操作で本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表1に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法でトナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3及び4に示した。
【0232】
<実施例4>
実施例1と同様の材料を同様の操作で分散させた後、更に、個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子を5部添加し、直径3mmのガラスビーズを用いて1時間かけて分散し、フルイを用いてビーズを分離し、塗工液を得た。次に、実施例1と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表1に示した。
【0233】
更に、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3及び4に示した。本実施例で使用した導電性球状炭素粒子は、個数平均粒径5.5μmの球状フェノール樹脂100重量部の表面に、ライカイ機(自動乳鉢、石川工場製)を用いて個数平均粒径1.5μm以下の石炭系バルクメソフェーズピッチ粉末14重量部を均一に被覆し、酸化性雰囲気下で熱安定化処理した後に、2,200℃で焼成することにより黒鉛化して得た。得られた導電性球状炭素粒子はの個数平均粒径は、5μm、真密度1.50g/cm3、体積抵抗は7.5×10-2Ω・cm、長径/短径比は1.15であった。
【0234】
<実施例5>
・カーボンブラック: 1重量部
・結晶性グラファイト:9重量部
・PMMA樹脂:25重量部
・共重合体(a):5重量部
・トルエン:65重量部
上記材料を用いて実施例1と同様の操作で分散を行った後、同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表1に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法でトナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3及び4に示した。
【0235】
<実施例6>
実施例5において、共重合体(a)を共重合体(b)とした以外は実施例5と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表1に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法でトナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3及び4に示した。
【0236】
<実施例7>
実施例5において、共重合体(a)を共重合体(c)とした以外は実施例5と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表1に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法でトナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3及び4に示した。
【0237】
<実施例8>
実施例5と同様の材料を用い、同様の操作で分散を行った後、個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子を5部添加し、直径3mmのガラスビーズを用いて1時間分散し、フルイを用いてビーズを分離して塗工液を得た。次に、実施例1と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表1に示した。
【0238】
そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3及び4に示した。本実施例で使用した導電性球状炭素粒子は、個数平均粒径5.5μmの球状フェノール樹脂100重量部に、ライカイ機(自動乳鉢、石川工場製)を用いて個数平均粒径1.5μm以下の石炭系バルクメソフェーズピッチ粉末14重量部を均一に被覆し、酸化性雰囲気下で熱安定化処理した後に2,200℃で焼成することにより黒鉛化して得た。得られた導電性球状炭素粒子は、個数平均粒径5μm、真密度1.50g/cm3、体積抵抗7.5×10-2Ω・cm及び長径/短径比1.15であった。
【0239】
<実施例9>
実施例8において使用した個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子の代わりに、個数平均粒径2μmの導電性球状炭素粒子を7.5部添加した以外は実施例8と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表1に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3及び4に示した。本実施例で使用した個数平均粒径2μmの球状炭素粒子は、個数平均粒径2.3μmの球状フェノール樹脂100部に、ライカイ機(自動乳鉢、石川工場製)を用いて個数平均粒径0.3μm以下の石炭系バルクメソフェーズピッチ粉末14部を均一に被覆し、酸化性雰囲気下で熱安定化処理した後に2,200℃で焼成することにより黒鉛化して得た。得られた導電性球状炭素粒子は、真密度1.52g/cm3、体積抵抗7.2×10-2Ω・cm及び長径/短径比が1.12であった。
【0240】
<実施例10>
実施例8において使用した個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子に代えて、個数平均粒径20μmの導電性球状炭素粒子を2.5部添加した以外は実施例8と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表1に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3及び4に示した。この個数平均粒径20μmの球状炭素粒子は、個数平均粒径24μmの球状フェノール樹脂100部にライカイ機(自動乳鉢、石川工場製)を用いて、個数平均粒径3μm以下の石炭系バルクメソフェーズピッチ粉末14部を均一に被覆し、酸化性雰囲気下で熱安定化処理した後に2,200℃で焼成することにより黒鉛化して得た。得られた導電性球状炭素粒子は、真密度1.45g/cm3、体積抵抗9.6×10-2Ω・cm及び長径/短径比が1.18であった。
【0241】
<実施例11>
実施例8において使用した個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子に代えて、個数平均粒径5μmのカーボンブラック被覆PMMA粒子を使用した以外は実施例8と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表1に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3及び4に示した。使用した個数平均粒径5μmのカーボンブラック被覆PMMA粒子は、個数平均粒径4.8μmの球状PMMA粒子100部にハイブリタイザー(奈良機械製)を用いて、導電性カーボンブラック5部を被覆して得られた導電性の球状PMMA粒子であり、その真密度は1.20g/cm3、体積抵抗6.8×10-1Ω・cm及び長径/短径比が1.06であった。
【0242】
<実施例12>
実施例8において使用した個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子に代えて、個数平均粒径5μmのカーボンブラック分散樹脂粒子を使用した以外は、実施例8と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表1に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3及び4に示した。使用した個数平均粒径5μmのカーボンブラック樹脂粒子は、下記の材料を用い、混練、粉砕、及び分級を行って、個数平均粒径5.3μmの導電性樹脂粒子を得た後、ハイブリタイザー(奈良機械製)を用いて球形化処理を行うことによって得た。得られた導電性球状炭素粒子は、真密度1.21g/cm3、体積抵抗5.2Ω・cm及び長径/短径比が1.20であった。
・スチレン−ジメチルアミノエチルメタクリレート−ジビニルベンゼン共重合体(共重合比=90:10:0.05):100重量部
・カーボンブラック:25重量部
<実施例13>
実施例8において使用した個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子に代えて、個数平均粒径5μmのPMMA粒子を使用した以外は実施例8と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表1に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3及び4に示した。
【0243】
<実施例14>
実施例8において使用したPMMA樹脂の代わりにシリコーン樹脂とした以外は実施例8と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表1に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3及び4に示した。
【0244】
<実施例15>
実施例8において使用したPMMA樹脂の代わりにスチレン−アクリル樹脂とした以外は実施例8と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表1に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3及び4に示した。
【0245】
<実施例16>
実施例8において使用したPMMA樹脂の代わりにポリエステル樹脂とした以外は実施例8と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表1に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3及び4に示した。
【0246】
<比較例1>
実施例1において、樹脂層を形成しないで、粒径#300のガラスビーズを用いて、基体表面をサンドブラストしたFGBスリーブを用いた以外は実施例1と同様にして、本比較例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表2に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3、4、6、7に示した。
【0247】
<比較例2>
実施例5で使用した共重合体(a)を除くこと以外は実施例5と同様にして樹脂層を形成し、本比較例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表2に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3、4、6、7に示した。
【0248】
<比較例3>
実施例14で使用した共重合体(a)及び導電性球状炭素粒子を除くこと以外は実施例14と同様にして樹脂層を形成し、本比較例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表2に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3、4、6、7に示した。
【0249】
<比較例4>
実施例16で使用した共重合体(a)及び導電性球状炭素粒子を除くこと以外は実施例16と同様にして樹脂層を形成し、本比較例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表2に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3、4、6、7に示した。
【0250】
<比較例5>
実施例4において、共重合体(a)の代わりに、PMMAを用い、導電性球状炭素粒子に代えてクロルフェノールを含むアゾナフトールのクロム錯体(S)を使用した以外は実施例4と同様にして樹脂層を形成し、本比較例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表2に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3、4、6、7に示した。
【0251】
<比較例6>
実施例5において、共重合体(a)の代わりに、上記4級アンモニウム塩とした以外は実施例4と同様にして樹脂層を形成し、本比較例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表2に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表3、4、6、7に示した。
【0252】
【表1】

【0253】
【表2】

【0254】
【表3】

【0255】
【表4】

【0256】
<実施例17>
実施例1において、共重合体(a)に替えて共重合体(d)を用いた樹脂層を形成した以外は実施例1と同様にして、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表5に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表6及び7に示した。
【0257】
<実施例18>
実施例17において、共重合体(d)を共重合体(e)とした以外は実施例17と同様の操作で本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表5に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法でトナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表6及び7に示した。
【0258】
<実施例19>
実施例17において、共重合体(d)を共重合体(f)とした以外は実施例17と同様の操作で本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表5に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法でトナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表6及び7に示した。
【0259】
<実施例20>
実施例17と同様の材料を同様の操作で分散させた後、更に、個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子を5部添加し、直径3mmのガラスビーズを用いて1時間かけて分散し、フルイを用いてビーズを分離し、塗工液を得た。次に、実施例17と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表5に示した。
【0260】
更に、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表6及び7に示した。本実施例で使用した導電性球状炭素粒子は、実施例4と全く同様にして調製したものを用いた。
【0261】
<実施例21>
実施例5において、共重合体(a)に替えて共重合体(d)を用いた樹脂層を形成した以外は実施例5と同様にして、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表5に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表6及び7に示した。
【0262】
<実施例22>
実施例21において、共重合体(d)を共重合体(e)とした以外は実施例21と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表5に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法でトナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表6及び7に示した。
【0263】
<実施例23>
実施例21において、共重合体(d)を共重合体(f)とした以外は実施例21と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表5に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法でトナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表6及び7に示した。
【0264】
<実施例24>
実施例21と同様の材料を用い、同様の操作で分散を行った後、個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子を5部添加し、直径3mmのガラスビーズを用いて1時間分散し、フルイを用いてビーズを分離して塗工液を得た。次に、実施例17と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表5に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表6及び7に示した。本実施例で使用した導電性球状炭素粒子は、実施例8と全く同様にして調製したものを用いた。
【0265】
<実施例25>
実施例24において使用した個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子の代わりに、個数平均粒径2μmの導電性球状炭素粒子を7.5部添加した以外は実施例24と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表5に示した。
【0266】
そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表6及び7に示した。本実施例で使用した個数平均粒径2μmの導電性球状炭素粒子は、実施例9と全く同様にして調製したものを用いた。
【0267】
<実施例26>
実施例24において使用した個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子に代えて、個数平均粒径20μmの導電性球状炭素粒子を2.5部添加した以外は実施例24と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表5に示した。
【0268】
そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表6及び7に示した。本実施例で使用した個数平均粒径20μmの導電性球状炭素粒子は、実施例10と全く同様にして調製したものを用いた。
【0269】
<実施例27>
実施例24において使用した個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子に代えて、個数平均粒径5μmのカーボンブラック被覆PMMA粒子を使用した以外は実施例24と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表5に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表6及び7に示した。本実施例で使用した個数平均粒径5μmのカーボンブラック被覆PMMA粒子は、実施例11と全く同様にして調製したものを用いた。
【0270】
<実施例28>
実施例24において使用した個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子に代えて、個数平均粒径5μmのカーボンブラック分散樹脂粒子を使用した以外は、実施例24と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表5に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表6及び7に示した。本実施例で使用した個数平均粒径5μmのカーボンブラック樹脂粒子は、実施例12と全く同様にして調製したものを用いた。
【0271】
<実施例29>
実施例24において使用した個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子に代えて、個数平均粒径5μmのPMMA粒子を使用した以外は実施例24と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表5に示した。
【0272】
そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表6及び7に示した。
【0273】
<実施例30>
実施例24において使用したPMMA樹脂の代わりにシリコーン樹脂とした以外は実施例24と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表5に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表6及び7に示した。
【0274】
<実施例31>
実施例24において使用したPMMA樹脂の代わりにスチレン−アクリル樹脂とした以外は実施例24と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表5に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表6及び7に示した。
【0275】
<実施例32>
実施例24において使用したPMMA樹脂の代わりにポリエステル樹脂とした以外は実施例24と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表5に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表6及び7に示した。
【0276】
【表5】

【0277】
【表6】

【0278】
【表7】

【0279】
<実施例33>
実施例1において、共重合体(a)に替えて共重合体(g)を用いた樹脂層を形成した以外は実施例1と同様にして、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表8に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表9及び10に示した。

<実施例34>
実施例33において、共重合体(g)を共重合体(h)とした以外は実施例33と同様の操作で本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表8に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法でトナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表9及び10に示した。
【0280】
<実施例35>
実施例33において、共重合体(g)を共重合体(i)とした以外は実施例33と同様の操作で本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表8に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法でトナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表9及び10に示した。
【0281】
<実施例36>
実施例33と同様の材料を同様の操作で分散させた後、更に、個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子を5部添加し、直径3mmのガラスビーズを用いて1時間かけて分散し、フルイを用いてビーズを分離し、塗工液を得た。次に、実施例33と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表8に示した。
【0282】
更に、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表9及び10に示した。本実施例で使用した導電性球状炭素粒子は、実施例4と全く同様にして調製したものを用いた。
【0283】
<実施例37>
実施例5において、共重合体(a)に替えて共重合体(g)を用いた樹脂層を形成した以外は実施例5と同様にして、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表8に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表9及び10に示した。
【0284】
<実施例38>
実施例37において、共重合体(g)を共重合体(h)とした以外は実施例37と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表8に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法でトナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表9及び10に示した。
【0285】
<実施例39>
実施例37において、共重合体(g)を共重合体(i)とした以外は実施例37と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表8に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法でトナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表9及び10に示した。
【0286】
<実施例40>
実施例37と同様の材料を用い、同様の操作で分散を行った後、個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子を5部添加し、直径3mmのガラスビーズを用いて1時間分散し、フルイを用いてビーズを分離して塗工液を得た。次に、実施例33と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表8に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表9及び10に示した。本実施例で使用した導電性球状炭素粒子は、実施例8と全く同様にして調製したものを用いた。
【0287】
<実施例41>
実施例40において使用した個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子の代わりに、個数平均粒径2μmの導電性球状炭素粒子を7.5部添加した以外は実施例40と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表8に示した。
【0288】
そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表9及び10に示した。本実施例で使用した個数平均粒径2μmの導電性球状炭素粒子は、実施例9と全く同様にして調製したものを用いた。
【0289】
<実施例42>
実施例40において使用した個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子に代えて、個数平均粒径20μmの導電性球状炭素粒子を2.5部添加した以外は実施例40と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表8に示した。
【0290】
そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表9及び10に示した。本実施例で使用した個数平均粒径20μmの導電性球状炭素粒子は、実施例10と全く同様にして調製したものを用いた。
【0291】
<実施例43>
実施例40において使用した個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子に代えて、個数平均粒径5μmのカーボンブラック被覆PMMA粒子を使用した以外は実施例40と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表8に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表9及び10に示した。本実施例で使用した個数平均粒径5μmのカーボンブラック被覆PMMA粒子は、実施例11と全く同様にして調製したものを用いた。
【0292】
<実施例44>
実施例40において使用した個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子に代えて、個数平均粒径5μmのカーボンブラック分散樹脂粒子を使用した以外は、実施例40と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表8に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表9及び10に示した。本実施例で使用した個数平均粒径5μmのカーボンブラック樹脂粒子は、実施例12と全く同様にして調製したものを用いた。
【0293】
<実施例45>
実施例40において使用した個数平均粒径5μmの導電性球状炭素粒子に代えて、個数平均粒径5μmのPMMA粒子を使用した以外は実施例40と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表8に示した。
【0294】
そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表9及び10に示した。
【0295】
<実施例46>
実施例40において使用したPMMA樹脂の代わりにシリコーン樹脂とした以外は実施例40と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表8に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表9及び10に示した。
【0296】
<実施例47>
実施例40において使用したPMMA樹脂の代わりにスチレン−アクリル樹脂とした以外は実施例40と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表8に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表9及び10に示した。
【0297】
<実施例48>
実施例40において使用したPMMA樹脂の代わりにポリエステル樹脂とした以外は実施例40と同様の操作で樹脂層を形成し、本実施例の現像剤担持体を作成した。得られた現像剤担持体の樹脂層の構成を表8に示した。そして、得られた現像剤担持体を使用して、実施例1の場合と同様の方法で、トナーAを供給しながら画像画出しテストを行なって評価し、その結果を表9及び10に示した。
【0298】
【表8】

【0299】
【表9】

【0300】
【表10】

【図面の簡単な説明】
【0301】
【図1】本発明の現像剤担持体を使用した現像装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0302】
7 感光ドラム
8 規制ブレード
9 ホッパー
10 トナー
11 磁石
12 円筒状基体
13 樹脂層
14 現像剤担持体(現像スリーブ)
15 電源
16 撹拌器
17 弾性板
A 現像スリーブ14の回転方向
B 感光ドラム7の回転方向
D 現像領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像担持体上に形成された潜像を現像剤担持体により担持搬送された現像剤により現像し、可視像化する現像装置に用いられる現像剤担持体であって、少なくとも基体及び基体表面に形成された樹脂層を有し、該樹脂層に用いられている結着樹脂に少なくとも化学式(1)に示すユニットを有するポリマーが含有していることを特徴とする現像剤担持体。
【化1】

(式中、Rは−A25 −SO225 を表す。R25w、R25X 、R25yは、下記(i)または(ii)に記載されている組み合わせから選ばれる。(i)の場合、A25とR25は、下記(i−A)から(i−B)に記載の組み合わせから選ばれ、また、(ii)の条件を全て満たす場合、A25とR25は、(ii−A)に記載の組み合わせから選ばれる。
(i)R25w、R25Xが水素原子であり、R25yが、CH3基、または水素原子である。
(i−A)A25は、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造である。R25は、ハロゲン原子またはOR25aである。R25aは、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしく未置換の複素環構造である。
(i−B)A25は、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である。R25は、OH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR25aである。R25aは、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または
置換もしくは未置換の複素環構造である。
(ii) R25w、R25Xは、それぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R25yは、CH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。R25w、R25X、R25yの少なくとも1つは、ハロゲン原子である。
(ii−A)A25は、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである。R25は、OH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR25aである。R25aは、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである。)
【請求項2】
前記化学式(1)で示される構造が、化学式(2)であることを特徴とする請求項1に記載の現像剤担持体。
【化2】

(式中、Rは−A125 −SO2125 を表す。
R125w、R125X 、R125yは、下記(i)または(ii)に記載されている組み合わせから選ばれる。(i)の場合、A125とR125は、(i−A)記載の組み合わせから選ばれ、また、(ii)の条件を全て満たす場合、A125とR125は、(ii−A)に記載の組み合わせから選ばれる。
(i)R125w、R125Xが水素原子であり、R125yが、CH3基、または水素原子である。
(i−A)A125は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜8のアルキレン基である。R125は、ハロゲン原子またはOR125aである。
125aは、直鎖または分岐の炭素数1〜8のアルキル基、置換または未置換のフェニル基である。
(ii) R125w、R125Xは、それぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R125yは、CH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。R125w、R125X、R125yの少なくとも1つは、ハロゲン原子である。
(ii−A)A125は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜8のアルキレン基である。R125は、OH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR125aである。
R125aは、直鎖または分岐の炭素数1〜8のアルキル基、置換または未置換のフェニル基である。)
【請求項3】
前記化学式(1)で示される構造が、化学式(3)であることを特徴とする請求項1に記載の現像剤担持体。
【化3】

(式中、R203w、R203Xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R203yは、CH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。
203a、R203b、R203c、R203d及びR203eは、それぞれ独立して、SO2203f(R203fはOH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR203hである。R203hは直鎖または分岐の炭素数1〜8のアルキル基、あるいは置換または未置換のフェニル基を表す。)、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、OH基、NH2 基、NO2 基、COOR203g(R203g:H原子、Na原子、K原子のいずれかを表す)、アセトアミド基、OPh基、NHPh基、CF3 基、C25 基またはC37 基から選ばれ(Phはフェニル基を表す)、かつこれらの基の少なくとも一つはSO2203fである。)
【請求項4】
前記化学式(1)で示される構造が、化学式(4a)または(4b)何れかであることを特徴とする請求項1に記載の現像剤担持体。
【化4】

(式中、R10w、R10Xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R10yはCH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。
10a、R10b、R10c、R10d、R10e、R10f及びR10gは、それぞれ独立して、SO210o(R10oはOH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR10sである。R10sは直鎖または分岐の炭素数1〜8のアルキル基、あるいは置換または未置換のフェニル基を表す。)、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、OH基、NH2 基、NO2 基、COOR10p(R10p:H原子、Na原子またはK原子のいずれかを表す)、アセトアミド基、OPh基、NHPh基、CF3 基、C25 基またはC37 基から選ばれ(Phはフェニル基を表す)、かつこれらの基の少なくとも一つはSO210oである。)
【化5】

(式中、R10v、R10uはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R10zはCH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。
10h、R10i、R10j、R10k、R10l、R10m及びR10nは、それぞれ独立して、SO210q(R10qはOH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR10tである。R10tは直鎖または分岐の炭素数1〜8のアルキル基、あるいは置換または未置換のフェニル基を表す。)、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、OH基、NH2 基、NO2 基、COOR10r(R10r:H原子、Na原子またはK原子のいずれかを表す)、アセトアミド基、OPh基、NHPh基、CF3 基、C25 基またはC37 基から選ばれ(Phはフェニル基を表す)、かつこれらの基の少なくとも一つはSO210qである。)
【請求項5】
前記ポリマーが、前記化学式(1)に示すユニットに加え、化学式(5)で示されるビニル系モノマー由来のユニットを少なくとも一つ含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の現像剤担持体。
【化6】

(式中、R108w、R108xはそれぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R108yはCH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。
R108は、水素原子、置換または未置換の脂肪族炭化水素構造、置換または未置換の芳香族環構造、置換または未置換の複素環構造、ハロゲン原子、−COR108a、−OR108b、−COOR108c、−OCOR108d、−CONR108eR108f、−CN、あるいはN原子を含む環構造のいずれかである。R108a、R108b、R108c、R108d、R108e、R108fはそれぞれ独立して、水素原子、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである。)
【請求項6】
前記ポリマーの数平均分子量は、1000〜1000000の範囲に選択されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項7】
現像容器内に収容された現像剤を現像剤担持体上に担持し、該現像剤担持体上に現像剤層厚規制部材により現像剤の薄層を形成しながら、現像剤を潜像担持体と対向する現像領域へと搬送し、該現像領域で、潜像担持体上の潜像を現像剤により現像して可視像化する現像装置において、上記現像剤担持体は、少なくとも基体及び基体表面に形成された樹脂層を有し、該樹脂層に用いられている結着樹脂に、少なくとも化学式(1)示す構造を有するポリマーが含有していることを特徴とする現像装置。
【化7】

(式中、Rは−A25 −SO225 を表す。R25w、R25X 、R25yは、下記(i)または(ii)に記載されている組み合わせから選ばれる。(i)の場合、A25とR25は、下記(i−A)から(i−B)に記載の組み合わせから選ばれ、また、(ii)の条件を全て満たす場合、A25とR25は、(ii−A)に記載の組み合わせから選ばれる。
(i)R25w、R25Xが水素原子であり、R25yが、CH3基、または水素原子である。
(i−A)A25は、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造である。R25は、ハロゲン原子またはOR25aである。R25aは、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしく未置換の複素環構造である。
(i−B)A25は、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造である。R25は、OH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR25aである。R25aは、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または
置換もしくは未置換の複素環構造である。
(ii) R25w、R25Xは、それぞれ独立してハロゲン原子、または水素原子である。R25yは、CH3基、ハロゲン原子、または水素原子である。R25w、R25X、R25yの少なくとも1つは、ハロゲン原子である。
(ii−A)A25は、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである。R25は、OH、ハロゲン原子、ONa、OKまたはOR25aである。R25aは、置換もしくは未置換の脂肪族炭化水素構造、置換もしくは未置換の芳香族環構造、または置換もしくは未置換の複素環構造のいずれかである。)

【図1】
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【公開番号】特開2006−37093(P2006−37093A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−185635(P2005−185635)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】