生体情報処理装置、生体情報処理装置の異常判定プログラム及びその異常判定方法
【課題】基準シートを用いなくとも装置の始業点検を能率良く実行することができる生体情報処理装置、生体情報処理装置の異常判定プログラム及び生体情報処理装置の異常判定方法を提供する。
【解決手段】被認証者の生体画像情報を取得し、取得した生体画像情報に基づいて生体画像情報を取得動作する取得手段に異常がないかを判定する異常判定手段を備えてなる生体情報処理装置を構成する。
【解決手段】被認証者の生体画像情報を取得し、取得した生体画像情報に基づいて生体画像情報を取得動作する取得手段に異常がないかを判定する異常判定手段を備えてなる生体情報処理装置を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ATMに用いられるような生体情報処理装置に関し、さらに詳しくは本人の認証や装置の始業点検を能率よくできるようにした生体情報処理装置及びその異常判定プログラムと異常判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体情報を認証する生体情報認証装置、あるいは生体情報を登録する生体情報登録装置として、装置を立ち上げたときに、装置そのものが自己点検(セルフチェック)して、該装置の性能をチェックするものが知られている。この自己点検の方法は、装置を運用管理する操作者が始業点検を行う必要がないため理想的な方法である。この種の装置は、自己点検の際に天井などの周辺環境を撮影した画像によって点検するように構成されている。
【0003】
しかし、この方法は、どのような撮影条件の環境下で撮影されたか分らないため、撮影した画像に写っているものが、周辺環境にあるもの、例えば他の装置やポスター等か、それとも装置不良によるものかなどを判断できず、確実な始業点検を実施するには問題がある。
【0004】
次に、ログイン時に操作者本人から取得(採取)した生体情報と、予め保存された指紋情報、虹彩情報、声紋情報などの生体情報とを比較して本人と認証されると、装置の始業時の点検を行うものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
この場合でも操作者が自分で始業時の点検を行う必要はないが、単純に実際の生体情報の認証処理を実施するだけでは、該装置の状態を正しく判断することはできない。これは認証処理を行う専用アルゴリズムが、画像のチェックを行うものではなく、人によって異なる生体情報、例えば手などの静脈パターンの特徴を抽出し、この特徴によって認証するように作られているからである。
【0006】
以上のような背景により、始業点検するとき操作者は、やむなく画像チェック用の照合基準画像がプリントされている基準シートを画像取得位置にセットし、該基準シートを撮影した画像を点検(チェック)することで、装置が正常に撮影しているかを確認している。このような基準シートを用いた始業点検を実行すれば、必ず一定条件で画像が撮れるため信頼性の高い始業点検が行える。
【0007】
ところが、この基準シートを利用した始業点検は、保守点検員などの操作者にとって面倒で手間がかかり、毎朝の始業時の点検作業に多くの労力と時間がかかっていた。ことに、基準シートは貴重であるため紛失しないように厳重に保管する必要があり、また基準シートは精密に構成されているため損傷しないように大事に扱わなければならないため操作者の負担が大きいという問題を有していた。
【特許文献1】特開2002−108823 号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこでこの発明は、上述の問題に鑑み、基準シートを用いなくとも装置の始業点検を能率良く実行することができる生体情報処理装置、生体情報処理装置の異常判定プログラム及び生体情報処理装置の異常判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、被認証者の生体画像情報を取得し、この取得した被認証者の生体画像情報に基づいて、該生体画像情報を取得した取得手段に異常がないかを判定する異常判定手段を備えてなる生体情報処理装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、画像チェック用の基準シートを用いなくとも装置の始業点検を能率良く実行することができる。
【実施例】
【0011】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて説明する。
図面は生体情報処理装置の一例として生体情報を取得して登録する生体情報登録装置を示し、図1は生体情報登録装置11の主要構成図を示している。この生体情報登録装置11は、被認証者としての操作者の指12を光学的に撮影し、その撮影した指の生体画像情報(以下、画像データと称す)を取得するための制御を実行する生体情報取得装置13と、ICカード14の記録情報を読み取り書き込みするICカードリーダライタ(以下、ICカードR/Wと称す)15とを備えている。さらに、生体情報登録装置11は、この生体情報登録装置11を外部より管理するパーソナルコンピュータ16に接続されている。
【0012】
図2は前記生体情報登録装置11とICカード14とパーソナルコンピュータ16との具体的な内部構成図を示す。前記生体情報取得装置13に設けられたメモリ内には、メンテナンス手段としての装置制御ファーム17と認証専用アルゴリズム18と画像チェック専用アルゴリズム19とが格納されており、このうち装置制御ファーム17は、該生体情報取得装置13のファームウェアとして基本的な制御を行い、指の画像データを取得した場合に、後述するアルゴリズムを使用して登録に必要な指の画像データを分析及び生成する。
【0013】
上述のアルゴリズムのうち、認証専用アルゴリズム18は、操作者を特定するためのプログラムを有している。一方、画像チェック専用アルゴリズム19は指の画像データをチェックするためのプログラムを有している。
【0014】
前記生体情報登録装置11のICカードR/W15には、R/W制御ファーム20が格納されている。該R/W制御ファーム20は、該ICカードR/W15のファームウェアとして基本的な制御を行い、挿入されたICカード14の情報を読み取り書き込み処理する。
【0015】
ICカード14の記録領域には、ICカードAP(アプリケーション)21と、認証データ22と、画像判定基準データ23とが記憶されている。このうち、ICカードAP21は、読み取り書き込みされるデータの照合を行う照合判定プログラムを有している。認証データ22は本人であることを認証する本人の認証情報である。さらに、画像判定基準データ23は、撮影した指の画像データと比較して該画像データの適否を判定する判定基準となる判定基準情報で構成されている。
【0016】
一方、パーソナルコンピュータ16のPC制御部24と、生体情報登録装置11の生体情報取得装置13とは接続されており、上位制御部としてのPC制御部24によって生体情報取得装置13とICカードR/W15とが制御される。
【0017】
図3は指の画像データを取得する取得手段としての生体情報取得装置13の概略を表す画像データ取得構成図を示す。該指の画像データを取得するのに先立ち、まず生体情報取得装置13は、CPU31の発光指令により、LED発光電流制御回路32を駆動して指の長手方向に沿って整列配置されたn個のLEDアレイ33を発光させ、その発光対応する指画像検知位置に置かれた操作者の指12を照射する。この操作者の指12は、例えば人差し指などの特定の指に設定しておく。そして、該指12の各部分を透過したLEDアレイ33別の各指透過光34をレンズ35で集光し、集光した指透過光34をCCDカメラ36が取得する。
【0018】
前記CCDカメラ36は取得した指透過光34をアナログ出力し、このアナログデータをA/D変換器37へと送る。A/D変換器37は、アナログデータをアナログ値からデジタル値へと変換し、シリアル/パラレル変換器38へと送る。シリアル/パラレル変換器38は、デジタル値をパラレル値へと変換する。このパラレル値のデータはCPU31によってメモリ39へと送られ、ここで初めて多値データで構成される画像データ40となって記憶される。この画像データ40を使用して、前記認証専用アルゴリズム18は、画像データ40から個人の特徴を抽出し、ICカード14に記録されている認証データ22と比較して本人か否かを認証する。
【0019】
そして、認証専用アルゴリズム18が正式に登録されている本人であると認証すると、この本人認証に続いて画像チェック専用アルゴリズム19が取得した画像データ取得性能に異常があるか否かの診断を開始する。
【0020】
図4は画像データ40を分析した一例を示し、指の検知エリアと指透過光濃度の平均値との関係を示した図表である。
この分析に際して、画像チェック専用アルゴリズム19は、画像データ40における指の検知エリアをn個のエリアに分割(例えば8分割)し、各エリアの画像の濃度を算出して、画像の濃度データD1を生成する。
【0021】
この場合、画像の濃度を検知するのは各LEDアレイ33が確実に点灯しているかを確認するためである。さらに、画像をn分割するのはLEDアレイ33の数がn個であるためである。
【0022】
図5は指の検知エリア別の静脈太さ(血管太さ)を表す説明図である。
この場合、画像チェック専用アルゴリズム19は、画像データ40において、n個に分割された各検知エリアについて、最も太い静脈D2を抽出し、その太さを算出して静脈太さデータを生成する。これは画像の焦点があっているかを確認するためのものである。つまり、静脈の太さが本来の太さより太いと判定できた場合、本人の静脈太さが変わっていない以上、焦点不良によって太く写ったと判定できる。
【0023】
図6はICカード14に記録される画像判定基準データ23の一例を示す図表である。このICカード14に記録される画像判定基準データ23には、エリア別の画像の濃度(図4参照)と、エリア別の静脈太さ(図5参照)とのデータが記憶されている。
【0024】
次に、生体情報登録装置11の処理動作を図7のフローチャートを参照して説明する。
パーソナルコンピュータ16のPC制御部24は、生体情報登録装置11の始業点検に際して、まずエンドユーザ(顧客)の登録作業を行う操作者(係員、ここでは登録作業者または作業者と称す)を認証するためのログイン画面をパーソナルコンピュータ16の表示画面に表示する。例えば、図8(A)に示すように、パーソナルコンピュータ16の表示画面81に「登録作業する方は下記ボタンをクリックして登録作業者用画面に進んで下さい」と表示する。登録作業者は、この表示画面81に従って「登録作業者用ログイン」のボタンをクリックしてログインする(ステップs1)。
【0025】
PC制御部24は、登録作業者を認証するため、図8(B)に示すように、「登録作業者用ICカードを挿入して下さい」と、ICカードの挿入を促す案内画面を表示画面81に表示する。この表示に従って、登録作業者が登録作業者専用のICカード14をICカードR/W15に挿入し、PC制御部24はこれを受け付ける(ステップs2)。
【0026】
ICカード14の挿入後は、登録作業者が本人か否かの本人認証を行うため、図9(A)に示すように、「作業者の登録を行います、登録装置の正しい位置に指を置いた後、下記ボタンをクリックして下さい」と、表示画面81に表示して作業者の指をセットさせて、指の画像データを取得する(ステップs3)。
【0027】
この指の画像データを取得する生体情報取得装置13は、認証専用アルゴリズム18を使用して指の画像データを取得し、且つ解析し、その特徴を抽出して、ICカード14に保存されている認証データ22と比較し、本人であるか否かを認証する(ステップs4)。
【0028】
生体情報取得装置13が登録作業者を認証した結果を判定し(ステップs5)、生体情報取得装置13が認証不一致と判断した場合は初期画面へ戻る(ステップs6)。これに対し、正式に登録された作業者であると認証された場合は、図9(B)に示すように、「○○○×××さんですね、作業内容をクリックして下さい」と、「登録作業」のボタンと、「認証作業」のボタンとを表示画面81に表示して作業内容を選択させる。選択入力されると、生体情報取得装置13は続いて該生体情報取得装置13の診断を開始する(ステップs7)。
【0029】
生体情報取得装置13の診断は、前記登録作業者から指の画像データを取得する(ステップs8)。なお、ここでは画像データの取得を再実行せず、ステップs4で取得した画像データを利用する構成にしてもよい。この場合、画像データの取得を1回にでき、処理時間を短縮できる。
【0030】
この取得した指の画像データを生体情報登録装置11の生体情報取得装置13に格納されている画像チェック専用アルゴリズム19により分析する。この分析では、まず画像エリアを例えば8分割(図4参照)する(ステップs9)。
【0031】
そして、8分割した画像エリアについて、画像データ40の画像の濃度と指の静脈太さとを算出し、この算出した結果から画像算出データを生成する(ステップs10)。この画像算出データの生成が終了すると、生体情報取得装置13はICカード14のICカードAP21を起動し、画像判定基準データ(図6参照)23を取得する(ステップs11)。
【0032】
生体情報取得装置13は、画像判定基準データ23と画像算出データとを比較し、画像の濃度と静脈太さとのそれぞれの差が一定のしきい値の範囲内に入っているか否かの判定を実施し(ステップs12)、範囲内であればOKのフラグを、範囲外であればNGのフラグをエリアごとに立てる(ステップs13)。
【0033】
そして、判定結果に基づいて生体情報取得装置13の画像取得性能が有効に動作するか否か、すなわち全てのLEDアレイ33が正常であるか否かの診断を行う(ステップs14)。その判定結果が適正であると判定した場合は、生体情報取得装置13の診断が適正であるため、図10(A)に示すように、「登録する方の名前を入力した後、指を正しくセットし、登録ボタンをクリックして下さい」と、「登録名:○○○×××」のボタンと、「登録」のボタンとの作業用画面を表示画面81に表示して(ステップs15)、終了する。
【0034】
一方、1つでも異常なエリアが存在して判定結果が不適と判定された場合は、診断が不適(エラー)であるため、図10(B)に示すように、「装置診断でエラーが発生しました。基準シートを置いて再度診断を行って下さい」と「再診断」のボタンとの装置診断エラー画面を表示画面81に表示する(ステップs16)。
【0035】
前記本人認証後に、生体情報取得装置13の診断ができない場合は、生体情報取得装置13が不具合なので、作業者は再診断のボタンをクリックし、画像チェック用の照合基準情報が精密に記録されている基準シートを用いてセットし、該基準シートを撮影した画像を点検して終了する(ステップs17)。以上の動作により、登録作業者は生体情報取得装置13の始業点検を容易に実行できる。なお、登録作業者が未だ登録していない初期登録時には、図10(A)に示すような作業者登録用の画面を表示し、登録者専用のICカードに取得したデータを登録する。
【0036】
上述のように、生体情報登録装置は、指の画像データを用いて作業者本人を認証する生体情報認証装置として利用することができるだけでなく、この作業者本人の認証結果を用いて、続いて生体情報取得装置の診断に利用することができる。従って、生体情報登録装置は指の画像データの取得から作業者本人の認証と、生体情報登録装置の診断(画像取得性能)との両方を同時に判定することができる能率の良い運用が図れる。このため、作業者による日々の始業前の点検作業を簡素化できるほか、指の画像データを取得させるだけで、これに連動して始業前点検が完結するため作業者は始業前の装置の点検を忘れることがなくなる。
【0037】
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に記載された技術思想に基づいて応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】生体情報登録装置の主要構成図。
【図2】生体情報登録装置の具体的な内部構成図。
【図3】生体情報取得装置の画像データ取得構成図。
【図4】指の検知エリアと指透過光濃度の平均値との関係を示す図表。
【図5】指の検知エリア別に取得される静脈太さの取得説明図。
【図6】ICカードに保存される画像判定基準データの一例を示す図表。
【図7】生体情報登録装置の処理動作を示すフローチャート。
【図8】登録作業者のログイン案内画面を示す表示図。
【図9】登録作業者の登録案内画面を示す表示図。
【図10】登録画面と再診断画面とを示す表示図。
【符号の説明】
【0039】
11…生体情報登録装置
12…指
13…生体情報取得装置
14…Cカード
15…ICカードR/W
16…パーソナルコンピュータ
D1…濃度データ
D2…最も太い静脈
【技術分野】
【0001】
この発明は、ATMに用いられるような生体情報処理装置に関し、さらに詳しくは本人の認証や装置の始業点検を能率よくできるようにした生体情報処理装置及びその異常判定プログラムと異常判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体情報を認証する生体情報認証装置、あるいは生体情報を登録する生体情報登録装置として、装置を立ち上げたときに、装置そのものが自己点検(セルフチェック)して、該装置の性能をチェックするものが知られている。この自己点検の方法は、装置を運用管理する操作者が始業点検を行う必要がないため理想的な方法である。この種の装置は、自己点検の際に天井などの周辺環境を撮影した画像によって点検するように構成されている。
【0003】
しかし、この方法は、どのような撮影条件の環境下で撮影されたか分らないため、撮影した画像に写っているものが、周辺環境にあるもの、例えば他の装置やポスター等か、それとも装置不良によるものかなどを判断できず、確実な始業点検を実施するには問題がある。
【0004】
次に、ログイン時に操作者本人から取得(採取)した生体情報と、予め保存された指紋情報、虹彩情報、声紋情報などの生体情報とを比較して本人と認証されると、装置の始業時の点検を行うものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
この場合でも操作者が自分で始業時の点検を行う必要はないが、単純に実際の生体情報の認証処理を実施するだけでは、該装置の状態を正しく判断することはできない。これは認証処理を行う専用アルゴリズムが、画像のチェックを行うものではなく、人によって異なる生体情報、例えば手などの静脈パターンの特徴を抽出し、この特徴によって認証するように作られているからである。
【0006】
以上のような背景により、始業点検するとき操作者は、やむなく画像チェック用の照合基準画像がプリントされている基準シートを画像取得位置にセットし、該基準シートを撮影した画像を点検(チェック)することで、装置が正常に撮影しているかを確認している。このような基準シートを用いた始業点検を実行すれば、必ず一定条件で画像が撮れるため信頼性の高い始業点検が行える。
【0007】
ところが、この基準シートを利用した始業点検は、保守点検員などの操作者にとって面倒で手間がかかり、毎朝の始業時の点検作業に多くの労力と時間がかかっていた。ことに、基準シートは貴重であるため紛失しないように厳重に保管する必要があり、また基準シートは精密に構成されているため損傷しないように大事に扱わなければならないため操作者の負担が大きいという問題を有していた。
【特許文献1】特開2002−108823 号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこでこの発明は、上述の問題に鑑み、基準シートを用いなくとも装置の始業点検を能率良く実行することができる生体情報処理装置、生体情報処理装置の異常判定プログラム及び生体情報処理装置の異常判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、被認証者の生体画像情報を取得し、この取得した被認証者の生体画像情報に基づいて、該生体画像情報を取得した取得手段に異常がないかを判定する異常判定手段を備えてなる生体情報処理装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、画像チェック用の基準シートを用いなくとも装置の始業点検を能率良く実行することができる。
【実施例】
【0011】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて説明する。
図面は生体情報処理装置の一例として生体情報を取得して登録する生体情報登録装置を示し、図1は生体情報登録装置11の主要構成図を示している。この生体情報登録装置11は、被認証者としての操作者の指12を光学的に撮影し、その撮影した指の生体画像情報(以下、画像データと称す)を取得するための制御を実行する生体情報取得装置13と、ICカード14の記録情報を読み取り書き込みするICカードリーダライタ(以下、ICカードR/Wと称す)15とを備えている。さらに、生体情報登録装置11は、この生体情報登録装置11を外部より管理するパーソナルコンピュータ16に接続されている。
【0012】
図2は前記生体情報登録装置11とICカード14とパーソナルコンピュータ16との具体的な内部構成図を示す。前記生体情報取得装置13に設けられたメモリ内には、メンテナンス手段としての装置制御ファーム17と認証専用アルゴリズム18と画像チェック専用アルゴリズム19とが格納されており、このうち装置制御ファーム17は、該生体情報取得装置13のファームウェアとして基本的な制御を行い、指の画像データを取得した場合に、後述するアルゴリズムを使用して登録に必要な指の画像データを分析及び生成する。
【0013】
上述のアルゴリズムのうち、認証専用アルゴリズム18は、操作者を特定するためのプログラムを有している。一方、画像チェック専用アルゴリズム19は指の画像データをチェックするためのプログラムを有している。
【0014】
前記生体情報登録装置11のICカードR/W15には、R/W制御ファーム20が格納されている。該R/W制御ファーム20は、該ICカードR/W15のファームウェアとして基本的な制御を行い、挿入されたICカード14の情報を読み取り書き込み処理する。
【0015】
ICカード14の記録領域には、ICカードAP(アプリケーション)21と、認証データ22と、画像判定基準データ23とが記憶されている。このうち、ICカードAP21は、読み取り書き込みされるデータの照合を行う照合判定プログラムを有している。認証データ22は本人であることを認証する本人の認証情報である。さらに、画像判定基準データ23は、撮影した指の画像データと比較して該画像データの適否を判定する判定基準となる判定基準情報で構成されている。
【0016】
一方、パーソナルコンピュータ16のPC制御部24と、生体情報登録装置11の生体情報取得装置13とは接続されており、上位制御部としてのPC制御部24によって生体情報取得装置13とICカードR/W15とが制御される。
【0017】
図3は指の画像データを取得する取得手段としての生体情報取得装置13の概略を表す画像データ取得構成図を示す。該指の画像データを取得するのに先立ち、まず生体情報取得装置13は、CPU31の発光指令により、LED発光電流制御回路32を駆動して指の長手方向に沿って整列配置されたn個のLEDアレイ33を発光させ、その発光対応する指画像検知位置に置かれた操作者の指12を照射する。この操作者の指12は、例えば人差し指などの特定の指に設定しておく。そして、該指12の各部分を透過したLEDアレイ33別の各指透過光34をレンズ35で集光し、集光した指透過光34をCCDカメラ36が取得する。
【0018】
前記CCDカメラ36は取得した指透過光34をアナログ出力し、このアナログデータをA/D変換器37へと送る。A/D変換器37は、アナログデータをアナログ値からデジタル値へと変換し、シリアル/パラレル変換器38へと送る。シリアル/パラレル変換器38は、デジタル値をパラレル値へと変換する。このパラレル値のデータはCPU31によってメモリ39へと送られ、ここで初めて多値データで構成される画像データ40となって記憶される。この画像データ40を使用して、前記認証専用アルゴリズム18は、画像データ40から個人の特徴を抽出し、ICカード14に記録されている認証データ22と比較して本人か否かを認証する。
【0019】
そして、認証専用アルゴリズム18が正式に登録されている本人であると認証すると、この本人認証に続いて画像チェック専用アルゴリズム19が取得した画像データ取得性能に異常があるか否かの診断を開始する。
【0020】
図4は画像データ40を分析した一例を示し、指の検知エリアと指透過光濃度の平均値との関係を示した図表である。
この分析に際して、画像チェック専用アルゴリズム19は、画像データ40における指の検知エリアをn個のエリアに分割(例えば8分割)し、各エリアの画像の濃度を算出して、画像の濃度データD1を生成する。
【0021】
この場合、画像の濃度を検知するのは各LEDアレイ33が確実に点灯しているかを確認するためである。さらに、画像をn分割するのはLEDアレイ33の数がn個であるためである。
【0022】
図5は指の検知エリア別の静脈太さ(血管太さ)を表す説明図である。
この場合、画像チェック専用アルゴリズム19は、画像データ40において、n個に分割された各検知エリアについて、最も太い静脈D2を抽出し、その太さを算出して静脈太さデータを生成する。これは画像の焦点があっているかを確認するためのものである。つまり、静脈の太さが本来の太さより太いと判定できた場合、本人の静脈太さが変わっていない以上、焦点不良によって太く写ったと判定できる。
【0023】
図6はICカード14に記録される画像判定基準データ23の一例を示す図表である。このICカード14に記録される画像判定基準データ23には、エリア別の画像の濃度(図4参照)と、エリア別の静脈太さ(図5参照)とのデータが記憶されている。
【0024】
次に、生体情報登録装置11の処理動作を図7のフローチャートを参照して説明する。
パーソナルコンピュータ16のPC制御部24は、生体情報登録装置11の始業点検に際して、まずエンドユーザ(顧客)の登録作業を行う操作者(係員、ここでは登録作業者または作業者と称す)を認証するためのログイン画面をパーソナルコンピュータ16の表示画面に表示する。例えば、図8(A)に示すように、パーソナルコンピュータ16の表示画面81に「登録作業する方は下記ボタンをクリックして登録作業者用画面に進んで下さい」と表示する。登録作業者は、この表示画面81に従って「登録作業者用ログイン」のボタンをクリックしてログインする(ステップs1)。
【0025】
PC制御部24は、登録作業者を認証するため、図8(B)に示すように、「登録作業者用ICカードを挿入して下さい」と、ICカードの挿入を促す案内画面を表示画面81に表示する。この表示に従って、登録作業者が登録作業者専用のICカード14をICカードR/W15に挿入し、PC制御部24はこれを受け付ける(ステップs2)。
【0026】
ICカード14の挿入後は、登録作業者が本人か否かの本人認証を行うため、図9(A)に示すように、「作業者の登録を行います、登録装置の正しい位置に指を置いた後、下記ボタンをクリックして下さい」と、表示画面81に表示して作業者の指をセットさせて、指の画像データを取得する(ステップs3)。
【0027】
この指の画像データを取得する生体情報取得装置13は、認証専用アルゴリズム18を使用して指の画像データを取得し、且つ解析し、その特徴を抽出して、ICカード14に保存されている認証データ22と比較し、本人であるか否かを認証する(ステップs4)。
【0028】
生体情報取得装置13が登録作業者を認証した結果を判定し(ステップs5)、生体情報取得装置13が認証不一致と判断した場合は初期画面へ戻る(ステップs6)。これに対し、正式に登録された作業者であると認証された場合は、図9(B)に示すように、「○○○×××さんですね、作業内容をクリックして下さい」と、「登録作業」のボタンと、「認証作業」のボタンとを表示画面81に表示して作業内容を選択させる。選択入力されると、生体情報取得装置13は続いて該生体情報取得装置13の診断を開始する(ステップs7)。
【0029】
生体情報取得装置13の診断は、前記登録作業者から指の画像データを取得する(ステップs8)。なお、ここでは画像データの取得を再実行せず、ステップs4で取得した画像データを利用する構成にしてもよい。この場合、画像データの取得を1回にでき、処理時間を短縮できる。
【0030】
この取得した指の画像データを生体情報登録装置11の生体情報取得装置13に格納されている画像チェック専用アルゴリズム19により分析する。この分析では、まず画像エリアを例えば8分割(図4参照)する(ステップs9)。
【0031】
そして、8分割した画像エリアについて、画像データ40の画像の濃度と指の静脈太さとを算出し、この算出した結果から画像算出データを生成する(ステップs10)。この画像算出データの生成が終了すると、生体情報取得装置13はICカード14のICカードAP21を起動し、画像判定基準データ(図6参照)23を取得する(ステップs11)。
【0032】
生体情報取得装置13は、画像判定基準データ23と画像算出データとを比較し、画像の濃度と静脈太さとのそれぞれの差が一定のしきい値の範囲内に入っているか否かの判定を実施し(ステップs12)、範囲内であればOKのフラグを、範囲外であればNGのフラグをエリアごとに立てる(ステップs13)。
【0033】
そして、判定結果に基づいて生体情報取得装置13の画像取得性能が有効に動作するか否か、すなわち全てのLEDアレイ33が正常であるか否かの診断を行う(ステップs14)。その判定結果が適正であると判定した場合は、生体情報取得装置13の診断が適正であるため、図10(A)に示すように、「登録する方の名前を入力した後、指を正しくセットし、登録ボタンをクリックして下さい」と、「登録名:○○○×××」のボタンと、「登録」のボタンとの作業用画面を表示画面81に表示して(ステップs15)、終了する。
【0034】
一方、1つでも異常なエリアが存在して判定結果が不適と判定された場合は、診断が不適(エラー)であるため、図10(B)に示すように、「装置診断でエラーが発生しました。基準シートを置いて再度診断を行って下さい」と「再診断」のボタンとの装置診断エラー画面を表示画面81に表示する(ステップs16)。
【0035】
前記本人認証後に、生体情報取得装置13の診断ができない場合は、生体情報取得装置13が不具合なので、作業者は再診断のボタンをクリックし、画像チェック用の照合基準情報が精密に記録されている基準シートを用いてセットし、該基準シートを撮影した画像を点検して終了する(ステップs17)。以上の動作により、登録作業者は生体情報取得装置13の始業点検を容易に実行できる。なお、登録作業者が未だ登録していない初期登録時には、図10(A)に示すような作業者登録用の画面を表示し、登録者専用のICカードに取得したデータを登録する。
【0036】
上述のように、生体情報登録装置は、指の画像データを用いて作業者本人を認証する生体情報認証装置として利用することができるだけでなく、この作業者本人の認証結果を用いて、続いて生体情報取得装置の診断に利用することができる。従って、生体情報登録装置は指の画像データの取得から作業者本人の認証と、生体情報登録装置の診断(画像取得性能)との両方を同時に判定することができる能率の良い運用が図れる。このため、作業者による日々の始業前の点検作業を簡素化できるほか、指の画像データを取得させるだけで、これに連動して始業前点検が完結するため作業者は始業前の装置の点検を忘れることがなくなる。
【0037】
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に記載された技術思想に基づいて応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】生体情報登録装置の主要構成図。
【図2】生体情報登録装置の具体的な内部構成図。
【図3】生体情報取得装置の画像データ取得構成図。
【図4】指の検知エリアと指透過光濃度の平均値との関係を示す図表。
【図5】指の検知エリア別に取得される静脈太さの取得説明図。
【図6】ICカードに保存される画像判定基準データの一例を示す図表。
【図7】生体情報登録装置の処理動作を示すフローチャート。
【図8】登録作業者のログイン案内画面を示す表示図。
【図9】登録作業者の登録案内画面を示す表示図。
【図10】登録画面と再診断画面とを示す表示図。
【符号の説明】
【0039】
11…生体情報登録装置
12…指
13…生体情報取得装置
14…Cカード
15…ICカードR/W
16…パーソナルコンピュータ
D1…濃度データ
D2…最も太い静脈
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被認証者から本人認証に必要な生体画像情報を取得する取得手段を備えた生体情報処理装置であって、
前記取得手段で取得した生体画像情報に基づいて該取得手段に異常がないかを判定する異常判定手段を備えた
生体情報処理装置。
【請求項2】
前記取得手段が取得した被認証者の生体画像情報に基づく本人認証と、前記異常判定手段に基づく異常判定とを続けて実行するメンテナンス手段を備えた
請求項1記載の生体情報処理装置。
【請求項3】
被認証者から本人認証に必要な生体画像情報を取得手段により取得する取得処理と、
該取得した生体画像情報に基づいて前記取得手段に異常がないかを判定する異常判定処理とを実行する
生体情報処理装置の異常判定プログラム。
【請求項4】
被認証者から本人認証に必要な生体画像情報を取得手段により取得し、該取得した生体画像情報に基づいて前記取得手段に異常がないかを判定する異常判定処理を実行することを特徴とする
生体情報処理装置の異常判定方法。
【請求項1】
被認証者から本人認証に必要な生体画像情報を取得する取得手段を備えた生体情報処理装置であって、
前記取得手段で取得した生体画像情報に基づいて該取得手段に異常がないかを判定する異常判定手段を備えた
生体情報処理装置。
【請求項2】
前記取得手段が取得した被認証者の生体画像情報に基づく本人認証と、前記異常判定手段に基づく異常判定とを続けて実行するメンテナンス手段を備えた
請求項1記載の生体情報処理装置。
【請求項3】
被認証者から本人認証に必要な生体画像情報を取得手段により取得する取得処理と、
該取得した生体画像情報に基づいて前記取得手段に異常がないかを判定する異常判定処理とを実行する
生体情報処理装置の異常判定プログラム。
【請求項4】
被認証者から本人認証に必要な生体画像情報を取得手段により取得し、該取得した生体画像情報に基づいて前記取得手段に異常がないかを判定する異常判定処理を実行することを特徴とする
生体情報処理装置の異常判定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−207150(P2007−207150A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28091(P2006−28091)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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