説明

画像処理装置及び画像処理装置の制御方法

【課題】ホストPCを用いずに、またユーザにとって複雑なログイン認証作業をせずに、セキュリティを確保した印刷作業を簡単に実現することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像データに基づいて画像を印刷する画像処理装置において、画像データと画像データを識別するIDデータ情報とを記憶する記憶装置を有する。本発明は、画像データを画像処理装置内部の記憶装置へ記憶するように指示する画像記憶指示手段と、上記IDデータを画像処理装置内部の記憶装置へ記憶するように指示するIDデータ記憶指示手段とを有する。また、本発明は、上記記憶装置内に、特定の画像データが記憶されているかどうかを、上記IDデータに基づいて、検索する画像データ検索手段を有する画像処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の記憶媒体または通信媒体を介して、複数のデータ処理装置からジョブを受信して蓄積可能な印刷装置制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラー印刷装置と複数のホストコンピュータとが通信可能な情報処理システムが一般化され、広く使われている。このような状況の中、上記情報処理システム上で作成される多くの電子ドキュメントが作成され、カラー印刷装置への出力要求が増大する傾向にあり、高速かつ安価なカラー印刷装置が望まれている。
【0003】
一般に、インクジェット方式の画像形成システムは、記録手段(プリントヘッド)とインクタンクとを搭載するキャリッジと、記録紙を搬送する搬送手段と、これらを制御する制御手段とを具備する。そして、複数の吐出口からインク液滴を吐出させるプリントヘッドを、記録紙の搬送方向(副走査方向)と直行する方向(主走査方向)に、シリアル・スキャンさせ、一方で非記録時に記録幅に等しい量で間欠搬送する。さらには、カラー対応の画像形成システムであれば、複数色のプリントヘッドによって吐出されるインク液滴の重ねあわせによってカラー画像を形成する。
【0004】
インクジェット方式の画像形成システムにおいてインクを吐出させる方法として、次の方式がある。(1)吐出口近傍に発熱素子を設け、この発熱素子に電気信号を印加することによって、インクを局所的に加熱し、圧力変化を起こし、インクを吐出口から吐出させるサーマル方式が知られている。(2)ピエゾ素子等の電気/圧力変換手段を用い、インクに機械的圧力を付与してインクを吐出するピエゾ方式が知られている。
【0005】
この記録方法は、記録信号に応じて、インクを微少な液滴として吐出口から記録媒体上に吐出することによって、文字や図形等を記録し、ノンインパクトであるので、騒音が少ない。また、ランニング・コストが低く、装置が小型化しやすい等の利点を有している。したがって、コンピュータやワードプロセッサ等と併用され、または単独で使用される複写機、プリンタ、ファクシミリ等の記録装置において、画像形成(記録)手段として、インクジェット記録方式が広く用いられている。
【0006】
従来のインクジェット記録方式では、インクのにじまない高発色のカラー画像を得るために、インク吸収層を有する専用コート紙を使用する必要がある。しかし、近年は、インクの改良等によって、プリンタや複写機等で大量に使用される普通紙への印字適性を持たせた方法も実用化されている。さらには、OHPシートや布、プラスチック・シート等の様々な記録媒体への対応が望まれている。
【0007】
このような要求に応えるために、インクの吸収特性が異なる記録媒体(記録メディア)を、必要に応じて選択した際に、記録媒体の種類に係わりなく最良の記録が可能な記録装置の開発及び製品化が進められている。また、宣伝広告用のポスタや衣類等の織布に記録する場合、大サイズの記録媒体が要求されている。このようなインクジェット方式の画像形成システムは、優れた記録手段として幅広い分野で需要が高まり、より一層高品位な画像の提供が求められ、また更なる高速化への要求も一段と高まっている。
【0008】
一般に、カラー・インクジェット記録方法は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色のカラー・インクに、ブラック(K)を加えた4色のインクを使用してカラー記録を実現する。このようなカラー・インクジェット記録においては、キャラクタのみ印字するモノクロ・インクジェット記録とは異なり、カラー・イメージ画像を記録する場合、発色性や階調性、一様性等、様々な要素が必要である。
【0009】
また、更に多階調として自然画像をより高品位に形成するために、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色に、インク濃度の低いライトC(LC)、ライトM(LM)、ライトY(LY)の3色を加えた7色インクを用いる。これによって、ハイライト部分の粒状感を軽減したインクジェット方式の画像形成システムが多く実現されている。
【0010】
このようなインクジェット方式の画像形成システムとして、ハードディスクドライブのような大容量記憶装置を搭載した種類のプリンタがある。プリンタにおける大容量記憶装置は、印刷ジョブのスプールに用いられ、画像データに対する画像処理や印刷処理を行う際のハンドリング性能を高めることに役立っている。また、画像データを長期的に記憶することができるので、ホストコンピュータを使用せずに、繰り返し印刷出力することができる。
【0011】
なお、画像処理装置では、装置内の記憶装置における画像データの有無に関わらず、印刷する場合、セキュリティを確保する必要がある。このために、多くの画像処理装置では、本体に付随する操作パネルやホストPCで動作させるドライバによって、ログイン認証作業を用いてアクセス制御を行う。
【0012】
しかし、このログイン認証作業を伴うアクセス制御方法は、安価なパネルレス構成の機種や少数キーで構成される機種では、操作が複雑であるという問題がある。また、ホストPCで動作させるドライバで、ログイン認証を行う際に、パスワードを入力するPCと、画像データの印刷を行う印刷装置とが離れていることが多いので、セキュリティを確保することが困難である。
【0013】
そこで、画像処理装置から画像データを出力させる際に、携帯型記憶装置に記憶したIDデータを用い、ログイン認証することが提案されている。この提案の概要は、以下の通りである。
【0014】
つまり、ユーザが、ホストPCから印刷装置に印刷ジョブを送信する際に、ホストPCに携帯型記憶装置を接続し、印刷ジョブ固有のIDデータを記憶させる。そして、この印刷ジョブを受信する印刷装置に、携帯型記憶装置を接続し、IDデータによるログイン認証を、ホストPC側が行う。この認証作業を行うまでは、印刷ジョブは、ホストPCにスプールされたままであり、印刷処理が実行されないように制御する(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−168062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、上記従来の手法では、画像処理装置本体内の記憶装置に記憶されている画像データを印刷出力する場合、必ずしも注目されていない。たとえば、上記特許文献1記載の発明では、画像処理装置でセキュリティを確保した印刷を行う際に、ホストPCに携帯型記憶装置を接続してから、ホストPCのドライバで印刷ジョブを開始させる作業が、毎回必要である。ここで、携帯型記憶装置に記憶されるIDデータは、ホストPCから送信される画像データであり、画像処理装置内に記憶されている画像データについては、関知していない。
【0016】
よって、上記従来例では、画像処理装置で取り扱う全ての画像データについてセキュリティ制御が行われているわけではないという問題がある。
【0017】
本発明は、ホストPCを用いずに、またユーザにとって複雑なログイン認証作業をせずに、セキュリティを確保した印刷作業を簡単に実現することができる画像処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、画像データに基づいて画像を印刷する画像処理装置において、画像データと画像データを識別するIDデータ情報とを記憶する記憶装置を有する。本発明は、画像データを画像処理装置内部の記憶装置へ記憶するように指示する画像記憶指示手段と、上記IDデータを画像処理装置内部の記憶装置へ記憶するように指示するIDデータ記憶指示手段とを有する。また、本発明は、上記記憶装置内に、特定の画像データが記憶されているかどうかを、上記IDデータに基づいて、検索する画像データ検索手段を有する画像処理装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ホストPCを用いずに、またユーザにとって複雑なログイン認証作業をせずに、セキュリティを確保した印刷作業を簡単に実現することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施するための最良の形態は、次の実施例である。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の実施例1であるインクジェットプリント装置PR1の印刷部100の概略構成を示す斜視図である。
【0022】
インクジェットプリント装置PR1は、外部にネットワークや直接インタフェースで接続されているホストコンピュータ等の外部情報源から供給される印刷情報や、フォーム情報、マクロ命令等に従って、対応する文字パターンやフォームパターン等を作成する。また、インクジェットプリント装置PR1は、記憶媒体である記録紙等に画像を形成(印刷)する。なお、図1に示すインクジェットプリンタに限る必要はなく、レーザビームプリンタや電子写真方式等、他のプリント方式に実施例1を適用するようにしてもよい。
【0023】
インクジェットプリント装置PR1の印刷部100は、往路走査プリントヘッド1と、復路走査プリントヘッド2と、キャリッジ3と、給紙ローラ4と、補助ローラ5と、紙送りローラ6とを有する。
【0024】
往路走査プリントヘッド1は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のカラーインクがそれぞれ封入されているインクタンクと、それぞれのインクに対応する4つのプリントヘッドとが一体化されているマルチヘッドである。これら4つのプリントヘッドは、矢印で示す往路走査方向X1に沿って、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各インク用のヘッドが並ぶように配列されている。
【0025】
復路走査プリントヘッド2は、往路走査プリントヘッドと同様に構成されている。4色のインクに対応する4つのプリントヘッドの配列は、往路走査プリントヘッド1とは対称的に、往路走査方向X1に沿って、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順番で配列されている。
【0026】
キャリッジ3は、往路走査プリントヘッド1及び復路走査プリントヘッド2を搭載して、往路走査方向X1、復路走査方向X2に移動される。キャリッジ3はプリント動作していない状態等の待機時には、ホームポジション位置Pに存在している。キャリッジ3は、ガイドロッドGにガイドされつつ、図示しない移動機構によって、往路走査方向X1、復路走査方向X2に移動される。
【0027】
紙送りローラ6は、補助ローラ5と共に、プリント媒体としての記録紙7を押さえながら、矢印Yの副走査方向へ間欠的に搬送する。
【0028】
給紙ローラ4は、記録紙7を給紙するとともに、紙送りローラ6、補助ローラ5と同様に、記録紙7を押さえる。
【0029】
次に、インクジェットプリント装置PR1の基本的な往復プリント動作について説明する。
【0030】
待機時にホームポジション位置Pにあるキャリッジ3は、記録開始命令によって、往路走査方向X1に移動する。これに伴い、往路走査プリントヘッド1における4つのプリントヘッドは、それぞれの複数のインク吐出口から、画像データに従って、インクを吐出し、吐出されたインクによって、記録紙7上に印字等、プリントする。記録紙7の端部までの1行分の画像データのプリントが終了すると、紙送りローラ5が、矢印方向へ回転し、記録紙7を、Y方向へ所定幅だけ紙送りする。続いて、キャリッジ3が、復路走査方向X2に移動しながら、復路走査プリントヘッド2における4つのプリントヘッドの複数のノズルから、画像データに従って、インクを吐出し、記録紙7上に印字等、プリントする。そして、元のホームポジションPの位置まで戻る。その後、紙送りローラ5が、記録紙7を再びY方向へ所定幅だけ紙送りする。このようなヘッドの走査動作と紙送り動作との繰り返しによって、順次、記録紙7上に画像をプリントする。
【0031】
なお、インクジェットプリント装置PR1の図示しない本体内には、キャリッジ駆動用のキャリッジモータ、給紙ローラ駆動用の給紙モータ、紙搬送駆動用の紙搬送モータ等を駆動するためのモータドライバが設けられている。また、インクジェットプリント装置PR1の図示しない本体内には、プリントヘッドを駆動するためのプリントヘッド駆動用のドライバ等が設けられている。
【0032】
図2は、インクジェットプリント装置PR1におけるプリンタ制御ユニット200の構成を示すブロック図である。
【0033】
インクジェットプリント装置PR1は、プリンタ制御ユニット200と、外部メモリ17と、操作パネル20と、印刷部100とを有する。
【0034】
プリンタ制御ユニット200は、CPU11と、RAM13と、ROM14と、システムバス15と、メモリコントローラ16と、印刷用インタフェース18と、I/O21と、レンダラ部22とを有する。また、プリンタ制御ユニット200は、非可逆圧縮伸張部23と、可逆圧縮伸張部24と、画像処理部25と、HDD(ハードディスク)30と、データID識別部40と、携帯型記憶装置接続用バス50と、入力用バス60とを有する。
【0035】
CPU11は、プリンタのCPUである。CPU11は、たとえば高速のRISC型CPUで構成され、ROM14に記憶されている制御プログラムや外部メモリ17に記憶されている制御プログラム等に基づいてシステムバス15に接続されている各種のデバイスへのアクセスを総合的に制御する。そして、最終的には、印刷用インタフェース18を介して接続されている印刷部100に、出力画像として画像信号を出力する。
【0036】
パケット構造のデータをやりとりすることによって、プリンタ制御ユニット200内の各ブロック間の制御と画像データの通信とが行われる。ROM14には、CPU11の制御プログラムや、インクジェットプリント装置PR1の制御に必要なデータを記憶する。CPU11はI/O21を介して、入力用バス(外部ネットワーク)60に接続されているホストコンピュータ等の外部装置と通信可能に構成されている。
【0037】
上記実施例では、ホストコンピュータと外部ネットワークとを介して通信するが、図示していない表示装置等の直接インタフェースを介して、ホストコンピュータと接続し、通信するようにしてもよい。
【0038】
RAM13は、CPU11のメインメモリやワークエリア等として機能し、ホストコンピュータから入力用バス60を通じて入力された、圧縮された状態にある画像データを受信する。なお、RAM13は、図示しない増設ポートに接続されるオプションRAMによって、メモリ容量を拡張することができる。
【0039】
画像出力メモリ12は、RAM13上に用意され、出力メモリとしてPDLジョブに対して、レンダラ部22で作成されるラスタデータが記録され、ラスタジョブに対して、ホストコンピュータで作成されたラスタデータが記録される。
【0040】
HDD(ハードディスク)30は、伸張された画像データを記憶する。
【0041】
メモリコントローラ16は、DRAM等の外部メモリ17へのアクセスを制御する。レンダラ部22は、内部にローカルメモリを持っている。レンダラ部22は、PDLジョブに対しては、ローカルメモリに転送されてきたDL(ディスプレイリスト)またはRAM13上にあるDLをそのまま解釈し、ラスタデータと、ラスタデータの各画素に対応する属性データとを作成する。
【0042】
非可逆圧縮伸張部23は、ホストコンピュータから入力用バス60を通じてRAM13へ入力された非可逆圧縮された画像データを伸張する。非可逆圧縮伸張部23は、RAM13に記憶されている圧縮コードを読み出し、伸張処理を行った後に、HDD30へ画像データを書き込む。非可逆圧縮方式としては、JPEGを用いることができる。圧縮符号化処理では、目標圧縮率が設定され、必要に応じてパラメータ(量子化テーブル)を変更し、圧縮処理を繰り返し実行する。
【0043】
可逆圧縮伸張部24は、取り扱う圧縮方式が可逆圧縮であること以外、上記非可逆圧縮伸張部23と同様である。可逆圧縮方式として、パックビッツを用いることができる。上記「パックビッツ方式」は、非符号化とランレングス符号化とを組み合わせたもので、2バイト以上で構成される。1バイト目はいくつ同じデータが続くか、またはいくつ異なるデータが続くかを示すコントロールバイトであり、その後にデータが続く。
【0044】
ここで、同じ種類のデータが連続している場合、2バイトで表すことができ、異なるデータが続いている場合、データ数よりも1バイト多いバイト数で表すことができる。実施例1では、非可逆圧縮、可逆圧縮の双方とも使用可能であり、用途によって使い分けることができる。
【0045】
なお、実施例1は、圧縮状態にある画像データを伸張した後に、画像データをHDDへ記憶するが、これに限定する必要はない。実施例1において、圧縮状態の画像データをそのままHDDへ記憶し、画像処理を行う直前に画像データを伸張するようにしてもよい。
【0046】
画像処理部25は、属性データに基づいて、ラスタデータに文字用の画像処理、イメージ用の画像処理、グラフィック用の画像処理、カラー用の画像処理、白黒用の画像処理、細線用の画像処理のうちの少なくとも1つの画像処理を行う。
【0047】
データID識別部40は、携帯型記憶装置が携帯型記憶装置接続用バス50に接続された場合、携帯型記憶装置内のデータIDを参照し、HDD30に特定の画像データ(所望の画像データ)があるかどうかを検索する。この際、該当する画像がHDD30に記憶されていれば、印刷を実行するように指示する。また、HDD30に該当する画像が記憶されていなければ、入力用バス60を介してネットワーク接続されているデータサーバに対して、該当する画像が記憶されているかどうかを検索し、記憶されている場合、圧縮処理を施した上で、転送するように指示する。
【0048】
実施例1において特徴的な手法、つまり、携帯型記憶装置に記憶されているデータIDに基づいて、画像処理装置内とネットワーク接続されているサーバ内とに記憶されている画像データを自動検索し、印刷する手法について説明する。
【0049】
実施例1は、上記のように、携帯型記憶装置に記憶されているデータIDを用いて、画像処理装置内の記憶装置とネットワーク接続されているデータサーバとを参照し、特定の画像データがいずれかにあれば、即座に印刷出力を行う手段を有する。
【0050】
図3は、携帯型記憶装置に記憶されている情報の例を示す図である。
【0051】
インクジェットプリント装置PR1が画像データを検索する場合、まず、携帯型記憶装置がインクジェットプリント装置PR1本体に接続されることを検知し、携帯型記憶装置に記憶されているデータIDを参照する。
【0052】
このデータIDは、実施例1のシステムを適用する全画像データに対して、個別に保持されるべきものであり、画像データそのものを判別する情報と、インクジェットプリント装置PR1と、データサーバとへのログイン認証情報を含んでいる。インクジェットプリント装置PR1は、このデータIDを参照した上でインクジェットプリント装置PR1内部の記憶装置やネットワーク接続されているデータサーバを検索する。
【0053】
そして、データIDの情報に特定の画像データがあった場合、印刷処理に移る。画像データがインクジェットプリント装置PR1内に記憶されていれば、そのまま、印刷処理を開始する。また、データサーバ内に画像データが記憶されていれば、データサーバにおいて、画像データを一旦、圧縮した後に、インクジェットプリント装置PR1へ転送し、インクジェットプリント装置PR1では、伸張処理した後に、印刷処理を開始する。
【0054】
データIDの情報に特定の画像データが存在しなければ、インクジェットプリント装置PR1の本体に付随するディスプレイパネルにエラー表示し、ユーザに、処理状況を伝達する。ディスプレイパネルを使用していない比較的安価なタイプのインクジェットプリント装置PR1では、エラーメッセージを印刷出力することによって、ユーザに処理状況を伝達する。
【0055】
なお、データIDに含まれている“画像データ識別情報”、“インクジェットプリント装置PR1ログイン情報”、“データサーバログイン情報”の内容を、全て任意に設定可能である。また、上記各情報の内容を、一般的なPCが設定することができ、さらに、インクジェットプリント装置PR1本体が設定することができる。
【0056】
実施例1は、携帯型記憶装置に記憶されているデータIDを用いてインクジェットプリント装置PR1内の記憶装置と、ネットワーク接続されているデータサーバとを参照し、特定の画像データがいずれかにあれば、即座に印刷出力を行う手段を備えている。
【0057】
次に、実施例1の詳細動作について説明する。
【0058】
図4は、実施例1の詳細動作を示すフローチャートである。
【0059】
インクジェットプリント装置PR1に電源が入った状態(S1)で、インクジェットプリント装置PR1に携帯型記憶装置が接続されているかどうかを判断する(S2)。ここで、携帯型記憶装置が接続されていれば、内部に記憶されているデータIDを参照する(S3)。データIDは、インクジェットプリント装置PR1へのログイン認証情報、データサーバへのログイン認証情報、画像データの判別情報である。この中から、インクジェットプリント装置PR1へのログイン情報を用い、インクジェットプリント装置PR1内の記憶装置へアクセスする(S4)。
【0060】
そして、画像データの判別情報を用い、インクジェットプリント装置PR1の中に特定の画像データがあるかどうかを調べる(S5)。この調べた結果、画像データがあれば、そのまま印刷処理し(S11)、一連の処理を終了する(S12)。
【0061】
一方、インクジェットプリント装置PR1内に画像データを見つけられなければ、ネットワーク接続されたデータサーバに、画像データがあるかどうかを調べる。データサーバへアクセスする際に、データIDに含まれているデータサーバへのログイン情報を用いる(S6)。そして、画像データ判別情報を用いて、データサーバ内に画像データがあるかどうかを調べる(S7)。
【0062】
データサーバ内に画像データがあれば、まず、その画像データを圧縮処理する(S8)。そして、圧縮した状態の画像データ(プリントデータ)を、データサーバからインクジェットプリント装置PR1へ転送する(S9)。
【0063】
そして、インクジェットプリント装置PR1は、転送された圧縮データ(プリントデータ)を伸張し(S10)、メモリまたはHDD30に展開した上で印刷処理を行う(S11)。そして、展開した画像データをメモリまたはHDD30から消去して一連の処理を終了する(S12)。
【0064】
一方、データサーバ内に画像データがなかった場合は、エラーとする。ここでエラー処理を行うことについてユーザに伝達する必要があるが、これはインクジェットプリント装置PR1本体の構成によって選択可能とする(S13)。インクジェットプリント装置PR1にディスプレイパネルが付属する場合には、エラーメッセージをディスプレイに表示(S15)して、一連の処理を終了する(S12)。一方、ディスプレイパネルなしの安価な構成のインクジェットプリント装置PR1では、エラーメッセージを印刷表示(S14)して、一連の処理を終了する(S12)。
【0065】
なお、実施例1のインクジェットプリント装置PR1は、上述の画像データ検索/印刷手段を利用せずに動作させることが可能である。
【0066】
次に、実施例1において、画像データ検索/印刷手段を利用しない場合におけるインクジェットプリント装置PR1全体の動作について説明する。
【0067】
図5は、実施例1において、画像データ検索/印刷手段を利用しない場合におけるインクジェットプリント装置PR1全体の動作を示すフローチャートである。
【0068】
まず、ホストコンピュータから印刷ジョブが開始される(S21)。プリンタ本体でプリントデータを受信すると、プリントデータは一旦、メモリへ記憶される(S22)。このプリントデータは、圧縮された画像データと印刷モード設定等の情報を含んでいるものである。続いて、メモリに記憶されているプリントデータは圧縮されている画像データ部分について伸張処理を施される(S23)。
【0069】
伸張処理後の画像データは、HDD30へ記憶される(S24)。そして、HDD30へ記憶された画像データに、画像処理を行い(S25)、印刷処理を行う(S26)。その後に、HDD30から画像データを消去し(S27)、一連の印刷ジョブを終了する(S28)。画像処理及び印刷処理を行っている最中は、HDD30でデータ記憶することによって、印刷ジョブを速やかに実行できる。
【実施例2】
【0070】
実施例1では、携帯型記憶装置に記憶されているデータIDの情報に基づいて、インクジェットプリント装置PR1内の記憶装置及びネットワーク接続されているデータサーバを参照し、特定の画像データがいずれかにあれば、即座に印刷出力する実施例である。
【0071】
本発明の実施例2は、実施例1を更に効率化した実施例である。
【0072】
なお、実施例2を実現するインクジェットプリント装置PR1のブロック図は、図2で示す実施例1のブロック図と同等のものである。
【0073】
また、実施例2を実現するインクジェットプリント装置PR1を組み込んだプリンタの概略構成図は、図1に示す実施例1を実現するプリンタの概略構成図と同等のものである。
【0074】
また、実施例2を実現する画像データ検索/印刷手段を利用しない場合におけるインクジェットプリント装置PR1全体の動作は、図5に示す実施例1のフローチャートと同等のものである。
【0075】
図6は、本発明の実施例2の動作を示すフローチャートである。
【0076】
実施例2は、実施例1において示したデータサーバからインクジェットプリント装置PR1へ画像データを転送し、印刷処理する場合を前提としている。
【0077】
インクジェットプリント装置PR1に電源が入った状態(S31)で、インクジェットプリント装置PR1に携帯型記憶装置が接続されているかどうかを判断する(S32)。ここで、携帯型記憶装置が接続されていれば、内部に記憶されているデータIDを参照する(S33)。データIDは、インクジェットプリント装置PR1へのログイン認証情報、データサーバへのログイン認証情報、画像データの判別情報によって構成されている。
【0078】
この中から、インクジェットプリント装置PR1へのログイン情報を用い、インクジェットプリント装置PR1内の記憶装置へアクセスする。そして、画像データの判別情報を用いてインクジェットプリント装置PR1の中に特定の画像データがあるかどうかを検索する(S34)。
【0079】
そして、データサーバ内の画像データを圧縮処理する(S35)。そして、圧縮した状態の画像データ(プリントデータ)を、データサーバからインクジェットプリント装置PR1へ転送する(S36)。そして、インクジェットプリント装置PR1で、転送された圧縮データ(プリントデータ)を伸張し(S37)、メモリまたはHDD30に展開した上で、印刷処理する(S38)。印刷処理を行った後に、画像データの印刷回数をカウントし(S39)、画像データの印刷回数が、予め設定した基準値を超えているかどうかを判定する(S40)。ここで、画像データの印刷回数が基準値よりも少なければ、HDD30から画像データを消去する(S41)。一方、画像データの印刷回数が基準値よりも多ければ、そのままHDD30に記憶するものとし、一連の処理を終了する(S42)。
【0080】
上記実施例は、画像データに基づいて画像を印刷するインクジェットプリント装置PR1に適用される技術である。上記実施例を、インクジェットプリント装置PR1に用いることによって、ホストPCを使用せずに、また、ユーザが、複雑なログイン認証作業をせずに、セキュリティを確保しつつ、簡単に印刷作業を行うことができる。
【0081】
上記実施例は、プリンタに関するものであるが、イメージスキャナを備えた複写機に上記実施例を適用するようにしてもよい。
【0082】
つまり、上記実施例は、画像データに基づいて画像を印刷する画像処理装置において、画像データと画像データを識別するIDデータ情報とを記憶する記憶装置とを有する。また、上記実施例は、画像データを画像処理装置内部の記憶装置へ記憶するように指示する画像記憶指示手段と、上記IDデータを画像処理装置内部の記憶装置へ記憶するように指示するIDデータ記憶指示手段とを有する。さらに、上記実施例は、上記記憶装置内に、特定の画像データが記憶されているかどうかを、上記IDデータに基づいて、検索する画像データ検索手段を有する画像処理装置の例である。
【0083】
この場合、携帯型記憶装置が画像処理装置に接続されていることを検知し、上記携帯型記憶装置に記憶されている上記IDデータを自動的に読み取るIDデータ読み取り手段を有する。
【0084】
また、上記IDデータ読み取り手段が上記携帯型記憶装置から読み取った各画像データ固有のIDデータに基づいて、データサーバに内蔵されている記憶装置内に、特定の画像データが記憶されているかどうかを検索する画像データ遠隔検索手段を有する。なお、上記データサーバは、ネットワークを介して、上記画像処理装置と接続されている。
【0085】
さらに、上記IDデータ読み取り手段が上記携帯型記憶装置から読み取った各画像データ固有のIDデータに基づいて、上記画像処理装置に内蔵されている記憶装置内に、特定の画像データが無ければ、次のようにする。つまり、ネットワーク接続されているデータサーバに内蔵されている記憶装置内に、上記特定の画像データが記憶されているかどうかを検索する。この検索は、画像データ遠隔検索手段が行う。
【0086】
しかも、上記画像データ検索手段によって画像処置装置に内蔵されている記憶装置に特定の画像データが記憶されていれば、該画像データを印刷するように指示を出す印刷指示手段を有する。
【0087】
そして、上記画像データ遠隔検索手段によって上記データサーバに内蔵されている記憶装置内に、上記特定の画像データが記憶されていれば、次のようにする。つまり、上記特定の画像データを圧縮した上で、上記画像処理装置の本体へ転送するように、上記データサーバに指示する。この指示は、画像データ転送指示手段が行う。
【0088】
加えて、上記画像データ転送指示手段によって、圧縮された状態の画像データが上記データサーバから上記画像処理装置の本体へ転送されると、該画像データを伸張した上で印刷する画像データ伸張印刷手段を有する。
【0089】
さらに、各画像データの印刷回数をカウントし、上記データサーバに記憶されている画像データで一定の印刷回数を超えたものについては、そのまま画像処理装置内の記憶装置に、該画像データを記憶するように指示する画像データ記憶指示手段を有する。
【0090】
また、上記実施例を方法の発明として把握することができる。つまり、上記実施例は、画像データに基づいて画像を印刷する画像処理装置の制御方法において、画像データと画像データを識別するIDデータ情報とを、記憶装置に記憶する記憶工程を有する。さらに、上記実施例は、画像データを画像処理装置内部の記憶装置へ記憶するように指示する画像記憶指示工程と、上記IDデータを画像処理装置内部の記憶装置へ記憶するように指示するIDデータ記憶指示工程とを有する。しかも、上記実施例は、上記記憶装置内に、特定の画像データが記憶されているかどうかを、上記IDデータに基づいて、検索する画像データ検索工程を有する画像処理装置の制御方法の例である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施例1であるインクジェットプリント装置PR1の印刷部100の概略構成を示す斜視図である。
【図2】インクジェットプリント装置PR1におけるプリンタ制御ユニット200の構成を示すブロック図である。
【図3】携帯型記憶装置に記憶されている情報の例を示す図である。
【図4】実施例1の詳細動作を示すフローチャートである。
【図5】実施例1において、画像データ検索/印刷手段を利用しない場合におけるインクジェットプリント装置PR1全体の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例2の動作を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
PR1…インクジェットプリント装置、
100…印刷部、
1…往路走査プリントヘッド、
2…復路走査プリントヘッド、
3…キャリッジ、
4…給紙ローラ、
5…補助ローラ、
6…紙送りローラ、
7…記録紙(プリント媒体)、
200…プリンタ制御ユニット、
11…CPU、
12…画像出力メモリ、
13…RAM、
14…ROM、
15…システムバス、
16…メモリコントローラ、
17…外部メモリ、
18…印刷用インタフェース、
20…操作パネル、
21…I/O、
22…ハードレンダラ(ローカルメモリを含む)、
23…非可逆圧縮伸張部、
24…可逆圧縮伸張部、
25…画像処理部、
30…HDD(ハードディスクドライブ)、
40…データID識別部、
50…携帯型記憶装置接続用バス、
60…入力用バス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて画像を印刷する画像処理装置において、
画像データと画像データを識別するIDデータ情報とを記憶する記憶装置と;
画像データを画像処理装置内部の記憶装置へ記憶するように指示する画像記憶指示手段と;
上記IDデータを画像処理装置内部の記憶装置へ記憶するように指示するIDデータ記憶指示手段と;
各画像データ固有のIDを入力する入力手段と;
入力された各画像データ固有のIDデータに基づいて、ネットワークを介して、上記画像処理装置と接続されているデータサーバに内蔵されている記憶装置内に、特定の画像データが記憶されているかどうかを検索する検索手段と;
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記入力手段は、携帯型記憶装置が画像処理装置に接続されていることを検知し、上記携帯型記憶装置に記憶されている上記IDデータを自動的に読み取るIDデータ読み取り手段であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記検索手段は、上記IDデータ読み取り手段が上記携帯型記憶装置から読み取った各画像データ固有のIDデータに基づいて、上記記憶装置内に、特定の画像データが記憶されているかどうかを検索する画像データ検索手段と;
上記記憶装置内に、上記IDに対応する特定の画像データが記憶されていない場合、ネットワークを介して、上記画像処理装置と接続されているデータサーバに内蔵されている記憶装置内に、特定の画像データが記憶されているかどうかを検索する画像データ遠隔検索手段と;
を有することを特徴とするの画像処理装置。
【請求項4】
請求項3において、
上記画像データ検索手段によって画像処置装置に内蔵されている記憶装置に特定の画像データが記憶されていれば、該画像データを印刷するように指示を出す印刷指示手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項3において、
上記画像データ検索手段が、上記データサーバに内蔵されている記憶装置内に、上記特定の画像データが記憶されていることを検索すれば、上記特定の画像データを圧縮した上で、上記画像処理装置の本体へ転送するように、上記データサーバに指示する画像データ転送指示手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5において、
上記画像データ転送指示手段によって、圧縮された状態の画像データが上記データサーバから上記画像処理装置の本体へ転送されると、該画像データを伸張した上で印刷する画像データ伸張印刷手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうちの少なくとも1項において、
各画像データの印刷回数をカウントし、上記データサーバに記憶されている画像データで一定の印刷回数を超えたものについては、そのまま画像処理装置内の記憶装置に、該画像データを記憶するように指示する画像データ記憶指示手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
画像データに基づいて画像を印刷する画像処理装置の制御方法において、
画像データと画像データを識別するIDデータ情報とを、記憶装置に記憶する記憶工程と;
画像データを画像処理装置内部の記憶装置へ記憶するように指示する画像記憶指示工程と;
上記IDデータを画像処理装置内部の記憶装置へ記憶するように指示するIDデータ記憶指示工程と;
各画像データ固有のIDを入力する入力工程と;
入力された各画像データ固有のIDデータに基づいて、ネットワークを介して、上記画像処理装置と接続されているデータサーバに内蔵されている記憶装置内に、特定の画像データが記憶されているかどうかを検索する検索工程と;
を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−65273(P2009−65273A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−229222(P2007−229222)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】