説明

画像形成装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】色材セーブモードでの出力に際し、色材使用量の抑制を効率的に行うことが可能な画像形成装置、画像処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】画像データの出力を行う画像形成装置であって、前記画像データの出力時に用いる画像出力条件を外部から受信する受信手段と、前記画像出力条件に色材の使用量を抑制する色材セーブモードが設定されているか否かを判定する条件判定手段と、前記色材セーブモードが設定されていると判定された場合に、予め定められた基準濃度に対する前記画像形成装置の出力濃度の変動具合に応じて、当該出力濃度の変動を補正するキャリブレーション処理を前記画像データの出力前に実行する実行制御手段と、を備え、前記実行制御手段は、前記画像形成装置の出力濃度が前記基準濃度よりも高濃度側に変動している場合に、前記キャリブレーション処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式やインクジェット方式等のカラー画像を出力する画像形成装置では、3色以上の色材を使用することによって出力媒体上にカラー画像を形成する。出力の度に消費される色材量は出力コストに直接関わってくるため、ユーザには、色材をできるだけセーブしてカラー画像を出力したいという要求がある。この要求に関し、従来、色材の使用量を抑制(セーブ)することで出力コストを削減する技術(以下、色材セーブ技術という)が存在している。
【0003】
ところで、カラー画像出力装置は、環境(温度、湿度、記録媒体の特性等)の違いや経時によって、同じ入力画像に対して出力する色、濃度が変動することがある。濃度が変動するということは、色材の使用量が変動することになるため、色材セーブ技術を使用して画像出力する場合にも影響があり、想定どおりの色材セーブ効果を発揮できないという問題がある。この問題を解決する技術として、従来、濃度変動を校正(補正)するキャリブレーション技術が存在している。
【0004】
例えば、特許文献1には、特定プリンタモードが設定されていた場合には、キャリブレーション処理を行った後に、プリント動作を開始する発明が開示されている。この特定プリントモードとして、色材の使用量をセーブしながらプリントを行うモード(色材セーブモード)を指定することで、色材セーブモードの使用時にはキャリブレーション処理を出力前に行うことができるため、濃度変動を補正した後プリント動作に移行することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、色材セーブモードの使用時において、プリント動作前にキャリブレーション処理を行うことはできるが、出力装置の状態によっては色材セーブ量が大きくなるとは限らない。
【0006】
例えば、基準となる標準状態よりも出力濃度が高くなっている場合には、キャリブレーションを実施することにより濃度が低く補正されるため、キャリブレーション処理が未実施のものと比較して色材のセーブ効果は大きくなる。一方、標準状態よりも出力濃度が低くなっている場合には、キャリブレーション処理を実施することにより濃度が高く補正されてしまうため、キャリブレーション処理が未実施のものと比較して色材のセーブ効果は小さくなる。このように、従来技術では、基準となる標準状態よりも出力濃度が低くなっているときにキャリブレーション処理を実施してしまうと、不用意に色材が消費されてしまうため、色材セーブ効果が減少するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、色材セーブモードでの出力に際し、色材使用量の抑制を効率的に行うことが可能な画像形成装置、画像処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像データの出力を行う画像形成装置であって、前記画像データの出力時に用いる画像出力条件を外部から受信する受信手段と、前記画像出力条件に色材の使用量を抑制する色材セーブモードが設定されているか否かを判定する条件判定手段と、前記色材セーブモードが設定されていると判定された場合に、予め定められた基準濃度に対する前記画像形成装置の出力濃度の変動具合に応じて、当該出力濃度の変動を補正するキャリブレーション処理を前記画像データの出力前に実行する実行制御手段と、を備え、前記実行制御手段は、前記画像形成装置の出力濃度が前記基準濃度よりも高濃度側に変動している場合に、前記キャリブレーション処理を実行する。
【0009】
また、本発明は、画像データの出力を行う画像形成装置での画像処理方法であって、受信手段が、前記画像データの出力時に用いる画像出力条件を外部から受信する受信工程と、条件判定手段が、前記画像出力条件に色材の使用量を抑制する色材セーブモードが設定されているか否かを判定する条件判定工程と、実行制御手段が、前記条件判定工程で色材セーブモードが設定されていると判定された場合に、予め定められた基準濃度に対する前記画像形成装置の出力濃度の変動具合に応じて、当該出力濃度の変動を補正するキャリブレーション処理を前記画像データの出力前に実行する実行制御工程と、を含み、前記実行制御手段は、前記実行制御工程において、前記画像形成装置の出力濃度が前記基準濃度よりも高濃度側に変動している場合に、前記キャリブレーション処理を実行する。
【0010】
また、本発明は、画像データの出力を行う画像形成装置のコンピュータを、前記画像データの出力時に用いる画像出力条件を外部から受信する受信手段と、前記画像出力条件に色材の使用量を抑制する色材セーブモードが設定されているか否かを判定する条件判定手段と、前記色材セーブモードが設定されていると判定された場合に、予め定められた基準濃度に対する前記画像形成装置の出力濃度の変動具合に応じて、当該出力濃度の変動を補正するキャリブレーション処理を前記画像データの出力前に実行する実行制御手段と、して機能させ、前記実行制御手段は、前記画像形成装置の出力濃度が前記基準濃度よりも高濃度側に変動している場合に、前記キャリブレーション処理を実行する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、色材のセーブ効果が大きくなる高濃度側への変動時にのみキャリブレーション処理を施すことができるため、色材使用量の抑制を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るプリンタのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示したエンジンの構成を示す図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係るプリンタの機能構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、図3に示した画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図5−1】図5−1は、色変換テーブルの一例を示す図である。
【図5−2】図5−2は、RGB色空間を示す図である。
【図6−1】図6−1は、ガンマ変換テーブルの一例を示す図である。
【図6−2】図6−2は、図6−1の入出力関係を表す図である。
【図7−1】図7−1は、色材セーブ用変換テーブルの一例を示す図である。
【図7−2】図7−2は、図7−1の入出力関係を表す図である。
【図8】図8は、第1の実施形態に係るプリンタの印刷動作の手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、キャリブレーション処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、キャリブレーション用画像の一例を示す図である。
【図11】図11は、第2の実施形態に係るプリンタのエンジンの構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、第2の実施形態に係るプリンタの機能構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、第2の実施形態に係るプリンタの印刷動作の手順を示すフローチャートである。
【図14】図14は、第3の実施形態に係るプリンタの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る画像形成装置、画像処理方法及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は図面に示される実施形態に限定されるものではない。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタのハードウェア構成を示すブロック図である。プリンタ100は、制御部101と、NVRAM(Non Volatile Random Access Memory)105と、エンジンインターフェース106と、エンジン107と、パネルインターフェース108と、パネル装置109と、ホストインターフェース110と、ディスクインターフェース111と、ディスク装置112と、スキャナインターフェース113と、スキャナ装置114とを備えている。
【0015】
制御部101は、CPU102と、プログラムROM(Read Only Memory)103と、RAM(Read Access Memory)104とを有する。CPU102は、プログラムROM103に格納されたプログラムをRAM104のワークメモリに展開し実行することで、後述する各機能部を実現しプリンタ100の動作を統括的に制御する。プログラムROM103は、種々の制御プログラムを記憶する不揮発性記憶媒体である。RAM104は、CPU102のワークメモリ、入力データのインプットバッファ、プリントデータのページバッファ、あるいはダウンロードフォント用のメモリとして使用される。
【0016】
NVRAM105は、各種の設定情報や、パネル装置109からのモード指示の内容等のデータを記憶する不揮発性記憶媒体である。
【0017】
エンジンインターフェース106は、エンジン107とコマンドおよびステータスや、印字データの通信を行うインターフェースで、実際の印字動作はエンジン107が行う。エンジン107は、電子写真方式によりシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の色材を用いてカラー画像を形成可能な出力装置である。なお、エンジン107の出力方式は電子写真方式に限らず、インクジェット方式等の他の方式を採用する形態としてもよい。
【0018】
ここで、図2は、エンジン107の構成を示す図である。同図に示すように、エンジン107は、エンジン制御部1071と、画像出力部1072と、濃度センサ1073とを有している。
【0019】
エンジン制御部1071は、制御部101の制御に従い、画像出力部1072を動作させることで後述する印刷用画像やキャリブレーション用画像等を画像出力(印刷)させる。画像出力部1072は、図示しない感光ドラムや中間転写体を備えた(何れも図示せず)電子写真方式の画像出力ユニットであり、エンジン制御部1071の制御に従い、後述する印刷用画像等を所定の用紙に画像出力する。
【0020】
濃度センサ1073は、画像出力部1072の感光ドラム上や中間転写体上に形成されたトナー画像の濃度を検出し、その濃度値をエンジン制御部1071に出力する。なお、濃度センサ1073の取り付け位置は、感光ドラム上や中間転写体上に形成されたトナー画像を検出可能な位置であれば、特に問わないものとする。
【0021】
図1に戻り、パネルインターフェース108は、パネル装置109とコマンドおよびステータスの通信を行うインターフェースである。パネル装置109はタッチパネル等の入出力装置であり、プリンタ等の状態が表示され、また操作者からモード指示が入力される。ホストインターフェース110は、ホストコンピュータHと通信を行うインターフェースである。
【0022】
ディスクインターフェース111は、ディスク装置112と通信を行うためのインターフェースである。ディスク装置112は、フォントデータ、プログラム、あるいは印字データ等種々のデータを記憶しておくディスク装置で、フロッピディスク装置やハードディスク装置等である。
【0023】
スキャナインターフェース113は、スキャナ装置114とコマンドおよびステータスや、スキャナ装置114で読み取られたデータの通信を行うインターフェースである。スキャナ装置114は、図示しないスキャナハウジング上面の読み取り面上に載置された対象物(文書等)を読み取り、この読み取ったデータを、スキャナインターフェース113を介してRAM104に格納する。
【0024】
ここで、プリンタ100の動作を簡単に説明する。プリンタ100は、画像出力条件として、通常モードと、色材セーブモードとを有している。通常モードとは、予め定められた色材使用量を用いてカラー画像の画像出力を行うモードである。また、色材セーブモードとは、通常モードよりも色材使用量を抑制(セーブ)して画像出力を行うモードである。これら二つのモードは、ユーザからの指示により選択的に設定することができる。
【0025】
画像出力に際しては、ホストコンピュータHにおいてユーザが印刷コマンドを入力すると、入力画像データとしてのRGBデータと、当該RGBデータの画像出力時に用いる印刷設定データとがプリンタ100に送信される。なお、印刷設定データには、ユーザより設定された画像出力条件(通常モード又は色材セーブモード)が含まれるものとする。画像出力条件は、例えば通常モードを“0”、色材セーブモード“1”とすることで二値の情報で表すことができる。
【0026】
ホストコンピュータHからホストインターフェース110を通して送られてくるRGBデータは、文字、グラフィックスおよびイメージの3種類のオブジェクトに分かれており、プリンタが解釈可能なデータ形式になっている。これらのオブジェクトデータは、それぞれデータ形式が解釈され、まとめて1ページのRGBビットマップイメージに展開される。RGBビットマップイメージは、RAM(ページバッファ)104に格納される。これらの処理は制御部101によって実施される。
【0027】
次に、制御部101によって、RGBビットマップイメージは色変換処理等の画像処理を施され、CMYKビットマップイメージとなり、再度RAM(ページバッファ)104に格納される。この際、印刷設定データ(画像出力条件)に応じて画像処理を切り換えることで、それぞれのモードや機能に適した画像処理を行う。そして、制御部101によって、エンジン107に対応した中間調処理等が施され、エンジンインターフェース106を介してエンジン107に出力される。
【0028】
図3は、第1の実施形態に係るプリンタ100の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、プリンタ100は、印刷コマンド受信部121と、パッチ濃度測定部122と、変動判定部123と、キャリブレーション制御部124と、キャリブレーション実行部125と、画像処理部126と、画像出力制御部127とを備えている。
【0029】
印刷コマンド受信部121は、制御部101とホストインターフェース110との協働により実現される機能部である。印刷コマンド受信部121は、ホストコンピュータHから送信された印刷コマンドを受信する。ここで、印刷コマンドには、上述したように印刷対象となる画像データ(RGBデータ)と印刷設定データとが含まれる。
【0030】
本実施形態では、印刷コマンドをホストコンピュータHから受信する形態について説明するが、これに限らず、パネル装置109を介して印刷コマンドを受信する形態としてもよい。なお、後者の形態の場合、印刷コマンド受信部121は、制御部101とパネル装置109(パネルインターフェース108)との協働により実現され、印刷対象の画像データは、例えばスキャナ装置114により読み取られたデータとなる。
【0031】
パッチ濃度測定部122は、制御部101とエンジン107(エンジン制御部1071及び濃度センサ1073)との協働により実現される機能部である。パッチ濃度測定部122は、エンジン107において、感光ドラムや中間転写体上(何れも図示せず)に濃度検知用のトナー画像(以下、パッチという)をCMYKの色成分毎に試験的に形成し、濃度センサ1073を用いてその出力濃度を測定する。なお、このような濃度測定方法は公知であり、例えば、特開2000−227684号公報に記載の方法を採用することができる。
【0032】
パッチとしては、CMYKの各色成分のパッチであり、例えば、面積率が50%程度を想定し信号値128を使用する。なお、色材をなるべく使用しないために、ここでは各成分1パッチのみ使用するが、信号値の異なる複数のパッチを使用してもよい。また、感光ドラム上や中間転写体上ではなく、用紙上に形成してもよい。このような場合には、感光ドラムや中間転写体のない方式、例えばインクジェット方式のエンジンにおいても適用できる。
【0033】
変動判定部123は、制御部101により実現される機能部である。変動判定部123は、パッチ濃度測定部122が測定した出力濃度と、予め定められた基準濃度とを比較し、この出力濃度が基準濃度よりも高濃度か否かを判定する。また、変動判定部123は、出力濃度の判定結果を濃度変動情報として、NVRAM105等に記憶する。
【0034】
ここで、基準濃度は、濃度測定するパッチの標準状態での出力濃度に基づいて定められており、NVRAM105等の不揮発性記憶媒体に格納されているものとする。また、濃度変動情報は、エンジン107の出力濃度が基準濃度よりも高濃度側に変動しているか否かを示す情報であり、例えば、高濃度側に変動していれば“1”、それ以外であれば“0”とすることで、二値の情報で表すことができる。
【0035】
なお、高濃度側への変動と判定する閾値は任意に設定できるものとする。例えば、出力濃度が、基準濃度を上回った場合を高濃度側への変動と判定する形態としてもよいし、基準濃度を5%以上上回った場合を高濃度側への変動と判定する形態としてもよい。また、濃度変動の判定はCMYKの各色成分について行う形態としてもよいし、特定の色成分について行う形態としてもよい。CMYKの各色成分について行う場合には、色成分毎に高濃度側への変動か否かを示してもよいし、各色の判定結果に基づいて全体として高濃度側にあるか否かを示してもよい。
【0036】
キャリブレーション制御部124は、制御部101により実現される機能部である。キャリブレーション制御部124は、印刷コマンドに含まれた印刷設定データの設定内容に応じて、キャリブレーション実行部125が行うキャリブレーション処理を制御する。
【0037】
具体的に、キャリブレーション制御部124は、画像出力条件に色材セーブモードが設定されているか否かを判定し、設定されていると判定した場合に、変動判定部123での判定結果となる濃度変動情報に基づいて、キャリブレーション実行部125の動作を制御する。ここで、キャリブレーション制御部124は、濃度変動情報が高濃度側への変動を示す場合に、キャリブレーション処理が必要と判断し、キャリブレーション実行部125にキャリブレーション処理を実行させる。一方、濃度変動情報が高濃度側への変動を示さない場合、キャリブレーション制御部124は、キャリブレーション処理は不要と判断し、キャリブレーション実行部125がキャリブレーション処理を実行しないよう制御する。
【0038】
なお、本実施形態では、色成分毎に変動判定部123の判定結果が行われた場合であっても、高濃度側への変動を示すものが一つでも存在する場合には、CMYKの色全体でキャリブレーション処理を実行する形態とするが、色成分毎にキャリブレーション処理を行うことが可能な構成の場合には、高濃度側への変動を示す色成分についてのみキャリブレーション処理を実行する形態としてもよい。
【0039】
また、パッチ濃度測定部122及び変動判定部123を動作させるタイミングは、特に問わず、プリンタ100の初期起動時や所定時間毎に行う形態としてしてもよい。また、キャリブレーション制御部124からの指示に応じて、パッチ濃度測定部122及び変動判定部123を動作させる形態としてもよい。より具体的には、キャリブレーション制御部124が、色材セーブモードが設定されていると判定した際に、パッチ濃度測定部122及び変動判定部123を動作させる形態としてもよい。
【0040】
キャリブレーション実行部125は、制御部101とスキャナ装置114との協働により実現される機能部である。キャリブレーション実行部125は、キャリブレーション制御部124の制御に従い、キャリブレーション処理を実行することで、後述するガンマ補正テーブルを補正する。なお、キャリブレーション処理の詳細については後述する。
【0041】
画像処理部126は、制御部101により実現される機能部である。画像処理部126は、印刷の対象となったRGBデータに種々の画像処理を施すことで、エンジン107で画像出力可能な印刷用画像を生成し、画像出力制御部127に出力する。
【0042】
ここで、図4は、画像処理部126の構成を示すブロック図である。同図に示すように、画像処理部126は、色変換処理部1261と、ラスタイズ処理部1262と、ガンマ変換処理部1263と、色材セーブ処理部1264と、中間調処理部1265とを有している。
【0043】
色変換処理部1261は、画像出力コマンドにより印刷の対象となったRGBの画像データ(以下、RGBデータという)を、CMYKの画像データ(以下、CMYKデータという)に変換する。具体的には、RGBデータを構成する各オブジェクトデータのRGB色信号をCMYK色信号に変換することで、CMYK色信号のオブジェクトデータで構成されるCMYKデータを生成する。また、RGB色信号のオブジェクトデータの種類に応じて、色変換のパラメータを切り替える形態としてもよい。
【0044】
具体的な色変換方法としては、図5−1に示すような色変換テーブルを用いて、任意のRGB色信号をCMYK色信号に変換する。ここで、図5−1は、色変換テーブルの一例を示す図である。色変換テーブルにおいて、変換前のRGB色信号と、変換後のCMYK色信号とが対応付けられている。この色変換テーブルを利用することにより、RGBデータをCMYKデータにダイレクトに変換することができるので、処理速度を向上させることができる。なお、図5−1では、RGB色信号及びCMYK色信号を8ビットの整数値(0〜255)で表しているが、これに限らないものとする。
【0045】
色変換テーブルは、メモリマップ補間を使用して実行された色変換によって作成されており、NVRAM105等の不揮発性記憶媒体に記憶されている。図5−2は、RGB色空間を示す図である。メモリマップ補間においては、図5−2に示すRGB色空間を入力色空間とした場合、RGB色空間を同種類の立体図形(ここでは立方体)に分割する。そして、入力の座標(RGB)における出力値(CMYK)を求めるには、この入力座標を含む立体を選択し、その選択された立体の原点上に予め設定した出力値と、入力座標を含む立体の中における位置(各頂点からの距離)とに基づき補間演算を行う。
【0046】
ラスタイズ処理部1262は、CMYKデータを構成するオブジェクトデータのデータ形式を解釈し、1ページのCMYKビットマップ画像に変換する。具体的に、ラスタイズ処理部1262は、オブジェクトデータのデータ形式が文字オブジェクトであれば、フォント情報を解釈してビットマップ化する。また、オブジェクトデータのデータ形式がグラフィックスオブジェクトであれば、ベクターデータを解釈してビットマップ化する。また、オブジェクトデータのデータ形式がイメージデータであれば、ページ内の位置を合わせてそのまま貼り付ける。そして、全てのオブジェクトデータを処理することで、CMYKビットマップ画像をページ単位で生成する。
【0047】
ガンマ変換処理部1263は、CMYKの色成分毎に用意されたガンマ変換テーブル(図6−1、図6−2参照)を用いて、CMYKビットマップ画像のCMYKの各値が所定の濃度階調特性(基準濃度)となるよう補正する。例えば、CMYK各色の0〜255の値に対して出力濃度が線形となる濃度階調特性を目的とし、この目標の特性に一致する色成分毎の値がガンマ変換テーブルに設定される。
【0048】
ここで、図6−1は、ガンマ変換テーブルの一例を示す図である。また、図6−2は、図6−1の入出力関係を表す図である。ガンマ変換テーブルにおいて、変換前の入力CMYK色信号と、変換後の出力CMYK色信号とが対応付けられている。キャリブレーション実行部125は、キャリブレーション処理を実行することで、ガンマ変換テーブルに登録された信号値を補正する。なお、本実施形態では、図6−2に示すように、上に凸となるガンマ変換テーブルの設定例を示したが、これに限らないものとする。また、CMYKの各色成分について同一の設定例としたが、これに限らず、個別に設定する形態としてもよい。
【0049】
色材セーブ処理部1264は、印刷コマンドにより色材セーブモードが指示された際に、予め定められた色材セーブ条件に基づいてCMYK色信号の値を低下させる。具体的には、ガンマ変換処理部1263と同様、CMYKの色成分毎にその値を変換する色材セーブ用変換テーブル(図7−1、図7−2参照)を用いて、ガンマ変換されたCMYKビットマップ画像のCMYK信号の各値を変換する。ただし、この変換処理での目的は、色材使用量をセーブすることにある。そのため、入力信号値を減らすような値を色材セーブ用変換テーブルに設定する必要がある。
【0050】
ここで、図7−1は、色材セーブ用変換テーブルの一例を示す図である。また、図7−2は、図7−1の入出力関係を表す図である。色材セーブ用変換テーブルにおいて、変換前の入力CMYK色信号と、変換後の出力CMYK色信号とが対応付けられている。なお、本実施形態では、図7−2に示すように、入力信号値を半分に減らす色材セーブ用変換テーブルの設定例を示したが、これに限らないものとする。また、CMYKの各色成分について同一の設定例としたが、これに限らず、個別に設定する形態としてもよい。また、本実施形態では、色材セーブ用変換テーブルを用いて入力信号値の減少を行うものとするが、これに限らず、演算式等を用いて入力信号値を減少させる形態としてもよい。
【0051】
中間調処理部1265は、多値であるCMYKビットマップ画像を、エンジン107で画像出力可能な二値又は小値のCMYKビットマップ画像に変換することで、印刷用画像を生成する。例えば、ディザ処理や誤差拡散処理等を用いて、CMYKの各色成分を表す8ビット信号を、1ビットや2ビット、4ビット等の低ビットの信号に変換する。
【0052】
以下、図8〜図10を参照して、プリンタ100の動作について説明する。ここで、図8は、プリンタ100の印刷動作の手順を示すフローチャートである。まず、印刷コマンド受信部121は、ホストコンピュータHから送信された印刷コマンドを受信する(ステップS11)。キャリブレーション制御部124は、ステップS11で受信された印刷コマンドを参照し、印刷設定データに色材セーブモードが設定されているか否かを判定する(ステップS12)。
【0053】
ステップS12において、色材セーブモードが設定されていないと判定した場合(ステップS12;No)、画像処理部126は、色材セーブモードの非設定に応じて、色材セーブ処理部1264での処理を無効化するよう制御することで、通常モード用の印刷用画像を生成し(ステップS13)、ステップS18に移行する。
【0054】
また、ステップS12において、色材セーブモードが設定されていると判定した場合(ステップS12;Yes)、キャリブレーション制御部124は、変動判定部123での判定結果となる濃度変動情報を取得し(ステップS14)、当該濃度変動情報に高濃度側への変動が示されているか否かを判定する(ステップS15)。ここで、高濃度側への変動が示されていない場合(ステップS15;No)、キャリブレーション制御部124は、キャリブレーション処理は不要と判断し、ステップS17に直ちに移行する。
【0055】
一方、濃度変動情報に高濃度側への変動が示されている場合(ステップS15;Yes)、キャリブレーション制御部124は、キャリブレーション処理が必要と判断し、キャリブレーション実行部125にキャリブレーション処理を実行させる。そして、キャリブレーション実行部125では、キャリブレーション制御部124からの指示に応じて、キャリブレーション処理を実行する(ステップS16)。以下、図9を参照して、ステップS16のキャリブレーション処理について説明する。
【0056】
図9は、キャリブレーション処理の手順を示すフローチャートである。まず、キャリブレーション実行部125は、NVRAM105等の不揮発性記憶媒体に記憶されたキャリブレーション用画像(図10参照)を読み出し、画像処理部126を介して画像出力制御部127に出力することで、エンジン107に画像出力させる(ステップS161)。
【0057】
キャリブレーション用画像は、CMYKビットマップ画像形式で保存されており、画像処理部126に含まれる中間調処理部1265が小値化し、画像出力制御部127が用紙上に画像出力する。ここで、図10は、キャリブレーション用画像の一例を示す図である。同図に示すように、キャリブレーション用画像には、CMYKの色成分毎に複数段階の階調を表すパターンが表されている。なお、図10では、9段階の階調(0、32、64、・・・、255)を表した例を示している。
【0058】
図9に戻り、キャリブレーション実行部125は、画像出力したキャリブレーション用画像をスキャナ装置114で読み取るように促すユーザへの指示をパネル装置109に表示する(ステップS162)。ユーザがキャリブレーション用画像をスキャナ装置114にセットし、パネル装置109を介して読み取りの開始を指示すると、キャリブレーション実行部125は、スキャナ装置114を用いて、セットされたキャリブレーション用画像をスキャンし、各階調のパターン毎にスキャンデータの平均値を読み取る(ステップS163)。なお、ステップS163の処理は、次ステップにて濃度を推定するためのデータであるため、一の色成分のスキャンデータで十分である。したがって、例えば、RGBスキャナであれば、G信号のみを使用すればよい。
【0059】
続いて、キャリブレーション実行部125は、ステップS163で読み取ったスキャンデータを濃度に変換する(ステップS164)。なお、ステップS164の処理は、予め、スキャンデータと濃度との関係を対応付けた濃度変換テーブルを作成しておき、これを用いて変換する。濃度変換テーブルの作成方法としては、例えば、図10のキャリブレーション用画像を画像出力し、それをスキャンしてスキャンデータを取得するとともに、濃度計等で各階調のパターンの濃度を測定し、その対応関係から作成すればよい。
【0060】
キャリブレーション実行部125は、ステップS164で取得した各階調の濃度データを用いて、ガンマ変換テーブルを修正し(ステップS165)、ステップS17に移行する。
【0061】
このステップS165では、ガンマ変換処理前のCMYK各色の入力信号値(0〜255)に対する出力濃度の対応関係が、目標とする濃度特性となるように、ガンマ変換テーブルを補正する。目標とする濃度特性は、例えば、CMYK各色の信号値(0〜255)に対して、出力濃度が線形となる状態とすればよい。このように、キャリブレーション処理を実行することにより、濃度特性を常に一定に保つことができる。
【0062】
図8に戻り、画像処理部126は、色材セーブモードの設定に応じて、色材セーブ処理部1264での処理を有効化するよう制御することで、色材セーブモード用の印刷用画像を生成し(ステップS17)、ステップS18に移行する。
【0063】
続くステップS18において、画像処理部126は、ステップS13又はステップS17で生成した印刷用画像を画像出力制御部127に出力することで、エンジン107に画像出力させ(ステップS18)、本処理を終了する。
【0064】
以上のように、第1の実施形態に係るプリンタ100によれば、色材セーブモードでの画像出力前に、自己の装置の出力濃度が基準濃度より高濃度側に変動しているか否かを判定し、高濃度側に変動している場合にキャリブレーション処理を実行する。これにより、色材のセーブ効果が大きくなる高濃度側への変動時にのみキャリブレーション処理を施すことができるため、色材使用量の抑制を効率的に行うことができる。また、低濃度側への変動時にはキャリブレーション処理を施さないため、当該キャリブレーション処理により発生する色材のセーブ効果の減少を防止することができる。
【0065】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタ200について説明する。なお、プリンタ200のハードウェア構成は、エンジン107を除き、上述した第1の実施形態のプリンタ100と同様であるため説明を省略する。また、プリンタ100と同様の構成要素については、同じ符号を付与し説明を省略する。
【0066】
図11は、第2の実施形態に係るエンジン201の構成を示すブロック図である。同図に示すように、プリンタ200のエンジン201は、エンジン制御部1071と、画像出力部1072と、温度センサ2011と、湿度センサ2012とを有している。
【0067】
温度センサ2011は、エンジン201周辺の温度を検出し、エンジン制御部1071に出力する。また、湿度センサ2012は、エンジン201周辺の湿度を検出し、エンジン制御部1071に出力する。なお、温度センサ2011及び湿度センサ2012の取り付け位置は、エンジン201周辺の温度及び湿度を検出可能な位置であれば、特に問わないものとする。また、エンジン201周辺に限らず、プリンタ200内部の温度及び湿度を検出する形態としてもよい。
【0068】
図12は、第2の実施形態に係るプリンタ200の機能構成を示すブロック図である。プリンタ200は、画像出力に係る機能部として、印刷コマンド受信部121と、温度湿度測定部211と、変動判定部212と、キャリブレーション制御部213と、キャリブレーション実行部125と、画像処理部126と、画像出力制御部127とを備えている。
【0069】
温度湿度測定部211は、制御部101とエンジン201(エンジン制御部1071、温度センサ2011及び湿度センサ2012)との協働により実現される機能部である。温度湿度測定部211は、温度センサ2011及び湿度センサ2012を用いて、エンジン201周辺の温度及び湿度を測定する。
【0070】
変動判定部212は、制御部101により実現される機能部である。変動判定部212は、温度湿度測定部211が測定した温度及び湿度と、予め定められた高温高湿条件とを比較し、測定された温度及び湿度が、高温高湿条件を満たすか否かを判定する。また、変動判定部123は、高温高湿条件の判定結果を条件充足情報として、NVRAM105等に記憶する。
【0071】
一般的に、電子写真方式の画像形成装置では、高温高湿な環境におくと出力濃度が高濃度側に変動し易いという特性がある。つまり、温度湿度測定部211が測定する温度及び湿度の情報から、基準濃度に対する出力濃度の変動具合を推測することができる。そこで、本実施形態では、出力濃度が高濃度側に変動する温度及び湿度の範囲を実験によって予め求め、この範囲(例えば、温度29度且つ湿度80%以上等)を定めた高温高湿条件を、NVRAM105等の不揮発性記憶媒体に格納している。また、条件充足情報は、温度湿度測定部211が測定した温度及び湿度が、高温高湿条件を充足するか否かを示す情報であり、例えば、充足していれば“1”、非充足であれば “0”とすることで、二値の情報で表すことができる。
【0072】
キャリブレーション制御部213は、制御部101により実現される機能部である。キャリブレーション制御部213は、印刷コマンドに含まれた印刷設定データの設定内容に応じて、キャリブレーション実行部125が行うキャリブレーション処理を制御する。
【0073】
具体的に、キャリブレーション制御部213は、印刷設定データに色材セーブモードが設定されているか否かを判定し、設定されていると判定した場合に、変動判定部212の判定結果となる条件充足情報に基づいて、キャリブレーション実行部125の動作を制御する。ここで、キャリブレーション制御部213は、条件充足情報が高温高湿条件の充足を示す場合、高濃度側への変動と推定できるため、キャリブレーション処理が必要と判断し、キャリブレーション実行部125にキャリブレーション処理を実行させる。一方、条件充足情報が高温高湿条件の非充足を示す場合には、高濃度側に変動する可能性は低いため、キャリブレーション制御部213は、キャリブレーション処理は不要と判断し、キャリブレーション実行部125がキャリブレーション処理を実行しないよう制御する。
【0074】
なお、温度湿度測定部211及び変動判定部212を動作させるタイミングは、特に問わず、プリンタ200の初期起動時や所定時間毎に行う形態としてしてもよい。また、キャリブレーション制御部213からの指示に応じて、温度湿度測定部211及び変動判定部212を動作させる形態としてもよい。より具体的には、キャリブレーション制御部213が、色材セーブモードが設定されていると判定した際に、温度湿度測定部211及び変動判定部212を動作させる形態としてもよい。
【0075】
以下、図13を参照して、プリンタ200の動作について説明する。ここで、図13は、プリンタ200の印刷動作の手順を示すフローチャートである。なお、ステップS21〜S23の処理は、上述したステップS11〜S13の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0076】
ステップS22において、色材セーブモードが設定されていると判定した場合(ステップS22;Yes)、キャリブレーション制御部213は、変動判定部212での判定結果となる条件充足情報を取得し(ステップS24)、当該条件充足情報に高温高湿条件の充足が示されているか否かを判定する(ステップS25)。ここで、高温高湿条件の非充足が示されている場合(ステップS25;No)、キャリブレーション制御部213は、キャリブレーション処理は不要と判断し、ステップS27に直ちに移行する。
【0077】
一方、ステップS25において、高温高湿条件の充足が示されている場合(ステップS25;Yes)、キャリブレーション制御部213は、キャリブレーション処理が必要と判断し、キャリブレーション実行部125にキャリブレーション処理を実行させる。キャリブレーション実行部125は、キャリブレーション制御部124からの指示に応じて、キャリブレーション処理を実行する(ステップS26)。なお、ステップS26〜ステップS28の処理は、上述したステップS16〜S18と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
以上のように、第2の実施形態に係るプリンタ200によれば、色材セーブモードでの画像出力前に、エンジン201周辺の温度及び湿度が高温高湿条件を充足するか否かを判定し、この高温高湿条件の判定結果に基づいてキャリブレーション処理を実行する。これにより、高温高湿条件の充足時、つまり色材のセーブ効果が大きくなる高濃度側への変動時にのみキャリブレーション処理を施すことができるため、色材使用量の抑制を効率的に行うことができる。また、高温高湿条件の非充足時、つまり低濃度側への変動時にはキャリブレーション処理を施さないため、当該キャリブレーション処理により発生する色材のセーブ効果の減少を防止することができる。
【0079】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタ300について説明する。なお、プリンタ300のハードウェア構成は、上述した第1の実施形態のプリンタ100と同様であるため説明を省略する。また、プリンタ100と同様の構成要素については、同じ符号を付与し説明を省略する。
【0080】
図14は、第3の実施形態に係るプリンタ300の機能構成を示すブロック図である。プリンタ300は、画像出力に係る機能部として、印刷コマンド受信部121と、濃度情報蓄積部301と、変動判定部302と、キャリブレーション制御部124と、キャリブレーション実行部303と、画像処理部126と、画像出力制御部127とを備えている。
【0081】
濃度情報蓄積部301は、制御部101とNVRAM105等の不揮発性記憶媒体との協働により実現される機能部である。濃度情報蓄積部301は、キャリブレーション実行部303がキャリブレーション処理を行う毎に、そのときに取得された濃度データを蓄積する。
【0082】
変動判定部302は、制御部101により実現される機能部である。変動判定部302は、濃度情報蓄積部301に蓄積された濃度データから最も近時に蓄積された濃度データを読み出す。また、変動判定部302は、濃度情報蓄積部301から読み出した濃度データと、予め定められた基準濃度とを比較し、この濃度データが表す濃度(出力濃度)が基準濃度よりも高濃度か否かを判定する。また、変動判定部302は、濃度データの判定結果を濃度変動情報として、NVRAM105等に記憶する。
【0083】
なお、キャリブレーション処理実行時の濃度測定は、複数階調について実施されるため、全体として濃度変動が高濃度側か低濃度側かを判定する。また、基準濃度は、判定の対象とする階調の標準状態での出力濃度に基づいて定められ、NVRAM105等の不揮発性記憶媒体に格納されているものとする。
【0084】
キャリブレーション実行部303は、制御部101とスキャナ装置114との協働により実現される機能部である。キャリブレーション実行部303は、キャリブレーション制御部124の制御の下、キャリブレーション処理を実行する。また、キャリブレーション実行部303は、キャリブレーション処理を実行する毎に、その実行時に取得したキャリブレーション用画像の濃度データを濃度情報蓄積部301に記憶する。
【0085】
なお、本実施形態において、変動判定部302を動作させるタイミングは、特に問わず、プリンタ300の初期起動時や所定時間毎に行う形態としてしてもよい。また、キャリブレーション制御部124からの指示に応じて、変動判定部302を動作させる形態としてもよい。より具体的には、キャリブレーション制御部124が色材セーブモード設定されていると判定した場合に、変動判定部302を動作させる形態としてもよい。
【0086】
また、プリンタ300の動作は、第1の実施形態で説明した図8のフローチャートと同様であるため、説明を省略する。
【0087】
以上のように、第3の実施形態に係るプリンタ300によれば、色材セーブモードでの画像出力前に、自己の装置のガンマ変換テーブルに設定されている濃度階調特性(出力濃度)が基準濃度より高濃度側に変動しているか否かを判定し、高濃度側に変動している場合にキャリブレーション処理を実行する。これにより、色材のセーブ効果が大きくなる高濃度側への変動時にのみキャリブレーション処理を施すことができるため、色材使用量の抑制を効率的に行うことができる。また、低濃度側への変動時にはキャリブレーション処理を施さないため、当該キャリブレーション処理により発生する色材のセーブ効果の減少を防止することができる。
【0088】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、これに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲での種々の変更、置換、追加等が可能である。
【0089】
例えば、第1〜第3の実施形態では、プリンタで実行されるプログラムを、プログラムROM103に記憶した状態で提供する形態としたが、これに限らず、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供する形態としてもよい。
【0090】
また、第1〜第3の実施形態のプリンタで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供する形態としてもよい。また、第1〜第3の実施形態のプリンタで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布する形態としてもよい。
【0091】
第1〜第3の実施形態のプリンタで実行されるプログラムは、図3、図12及び図14に示した各機能部を実現させるためのモジュール構成となっており、CPU102(プロセッサ)がプログラムを読み出して実行することにより、上記各機能部を実現させるためのソフトウェアがRAM104にロードされるようになっている。
【符号の説明】
【0092】
100 プリンタ
101 制御部
102 CPU
103 プログラムROM
104 RAM
105 NVRAM
106 エンジンインターフェース
107 エンジン
1071 エンジン制御部
1072 画像出力部
1073 濃度センサ
108 パネルインターフェース
109 パネル装置
110 ホストインターフェース
111 ディスクインターフェース
112 ディスク装置
113 スキャナインターフェース
114 スキャナ装置
121 印刷コマンド受信部
122 パッチ濃度測定部
123 変動判定部
124 キャリブレーション制御部
125 キャリブレーション実行部
126 画像処理部
1261 色変換処理部
1262 ラスタイズ処理部
1263 ガンマ変換処理部
1264 色材セーブ処理部
1265 中間調処理部
127 画像出力制御部
200 プリンタ
201 エンジン
2011 温度センサ
2012 湿度センサ
211 温度湿度測定部
212 変動判定部
213 キャリブレーション制御部
300 プリンタ
301 濃度情報蓄積部
302 変動判定部
303 キャリブレーション実行部
H ホストコンピュータ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】特開2000−227684号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの出力を行う画像形成装置であって、
前記画像データの出力時に用いる画像出力条件を外部から受信する受信手段と、
前記画像出力条件に色材の使用量を抑制する色材セーブモードが設定されているか否かを判定する条件判定手段と、
前記色材セーブモードが設定されていると判定された場合に、予め定められた基準濃度に対する前記画像形成装置の出力濃度の変動具合に応じて、当該出力濃度の変動を補正するキャリブレーション処理を前記画像データの出力前に実行する実行制御手段と、
を備え、
前記実行制御手段は、前記画像形成装置の出力濃度が前記基準濃度よりも高濃度側に変動している場合に、前記キャリブレーション処理を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記出力濃度を測定する濃度測定手段と、
前記濃度測定手段の測定結果と前記基準濃度とを比較し、当該基準濃度に対する前記測定結果の変動具合を判定する変動判定手段と、
を更に備え、
前記実行制御手段は、前記変動判定手段の判定結果に基づいて、前記キャリブレーション処理の実行を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置内の温度及び湿度を測定する温度湿度測定手段と、
前記温度湿度測定手段の測定結果と、前記出力濃度が変動する温度及び湿度の範囲を定めた基準温度湿度条件とを比較し、前記測定結果が前記基準温度湿度条件を充足するか否かを判定する変動判定手段と、
を更に備え、
前記実行制御手段は、前記変動判定手段の判定結果に基づいて、前記キャリブレーション処理の実行を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記キャリブレーション処理時に取得された前記画像形成装置の濃度データを蓄積する蓄積手段と、
前記濃度蓄積手段に蓄積された前記濃度データと前記基準濃度とを比較し、当該基準濃度に対する前記測定結果の変動具合を判定する変動判定手段と、
を更に備え、
前記実行制御手段は、前記変動判定手段の判定結果に基づいて、前記キャリブレーション処理の実行を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記条件判定手段が設定されていると判定した場合に、前記画像データを構成する各色成分の信号値を当該画像データの画像出力前に減少させる色材セーブ手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像データの出力を行う画像形成装置での画像処理方法であって、
受信手段が、前記画像データの出力時に用いる画像出力条件を外部から受信する受信工程と、
条件判定手段が、前記画像出力条件に色材の使用量を抑制する色材セーブモードが設定されているか否かを判定する条件判定工程と、
実行制御手段が、前記条件判定工程で色材セーブモードが設定されていると判定された場合に、予め定められた基準濃度に対する前記画像形成装置の出力濃度の変動具合に応じて、当該出力濃度の変動を補正するキャリブレーション処理を前記画像データの出力前に実行する実行制御工程と、
を含み、
前記実行制御手段は、前記実行制御工程において、前記画像形成装置の出力濃度が前記基準濃度よりも高濃度側に変動している場合に、前記キャリブレーション処理を実行することを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
画像データの出力を行う画像形成装置のコンピュータを、
前記画像データの出力時に用いる画像出力条件を外部から受信する受信手段と、
前記画像出力条件に色材の使用量を抑制する色材セーブモードが設定されているか否かを判定する条件判定手段と、
前記色材セーブモードが設定されていると判定された場合に、予め定められた基準濃度に対する前記画像形成装置の出力濃度の変動具合に応じて、当該出力濃度の変動を補正するキャリブレーション処理を前記画像データの出力前に実行する実行制御手段と、
して機能させ、
前記実行制御手段は、前記画像形成装置の出力濃度が前記基準濃度よりも高濃度側に変動している場合に、前記キャリブレーション処理を実行することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−150283(P2012−150283A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9053(P2011−9053)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】