説明

画像形成装置、画像形成システム、及び、画像形成方法

【課題】選択現像を防止し、かつ、かぶりや現像剤の飛散が増加することを防止することである。
【解決手段】潜像を担持するための像担持体と、現像剤を担持し、該現像剤によって前記像担持体に担持された潜像を現像するための現像剤担持体と、前記潜像の現像により前記像担持体に形成された現像剤像を媒体に転写して、画像を形成する転写部と、前記潜像の現像のために、前記現像剤担持体から前記像担持体へ現像剤を向かわせるための第一電圧と、前記像担持体から前記現像剤担持体へ現像剤を向かわせるための第二電圧と、を前記現像剤担持体に交互に印加する電圧印加部と、現像剤に関する現像剤情報に基づいて前記第一電圧を設定するための第一電圧設定部と、前記第一電圧設定部によって設定された前記第一電圧を維持し、かつ、前記第二電圧を変化させて、前記媒体に形成される画像の濃度を調整するための画像濃度調整部と、を有することを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システム、及び、画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、例えば、潜像を担持するための像担持体と、現像剤を担持し、該現像剤によって前記像担持体に担持された潜像を現像するための現像剤担持体と、前記潜像の現像により前記像担持体に形成された現像剤像を媒体に転写して、画像を形成する転写部と、を有するプリンタがある。また、このプリンタは、前記潜像の現像のために、前記現像剤担持体から前記像担持体へ現像剤を向かわせるための第一電圧と、前記像担持体から前記現像剤担持体へ現像剤を向かわせるための第二電圧と、を前記現像剤担持体に交互に印加する電圧印加部を有する。なお、現像剤担持体には、帯電量が異なる現像剤が、鏡像力等によって担持されている。
【特許文献1】特開2002−182457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さらに、上記プリンタは、前記媒体に形成される画像の濃度を調整するために、画像濃度調整部を有している。そして、現像剤担持体に担持された現像剤の一部が像担持体に向かわないこと(いわゆる「選択現像」)の防止を考慮すると、第一電圧の絶対値を大きくすることが有効である。
しかしながら、第一電圧の絶対値が大きすぎる場合には、現像剤担持体から像担持体に向かう現像剤の量が増えるため、かぶりや現像剤の飛散が増加する恐れがある。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、選択現像を防止し、かつ、かぶりや現像剤の飛散が増加することを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
主たる本発明は、潜像を担持するための像担持体と、現像剤を担持し、該現像剤によって前記像担持体に担持された潜像を現像するための現像剤担持体と、前記潜像の現像により前記像担持体に形成された現像剤像を媒体に転写して、画像を形成する転写部と、前記潜像の現像のために、前記現像剤担持体から前記像担持体へ現像剤を向かわせるための第一電圧と、前記像担持体から前記現像剤担持体へ現像剤を向かわせるための第二電圧と、を前記現像剤担持体に交互に印加する電圧印加部と、現像剤に関する現像剤情報に基づいて前記第一電圧を設定するための第一電圧設定部と、前記第一電圧設定部によって設定された前記第一電圧を維持し、かつ、前記第二電圧を変化させて、前記媒体に形成される画像の濃度を調整するための画像濃度調整部と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0006】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。
【0008】
潜像を担持するための像担持体と、現像剤を担持し、該現像剤によって前記像担持体に担持された潜像を現像するための現像剤担持体と、前記潜像の現像により前記像担持体に形成された現像剤像を媒体に転写して、画像を形成する転写部と、前記潜像の現像のために、前記現像剤担持体から前記像担持体へ現像剤を向かわせるための第一電圧と、前記像担持体から前記現像剤担持体へ現像剤を向かわせるための第二電圧と、を前記現像剤担持体に交互に印加する電圧印加部と、現像剤に関する現像剤情報に基づいて前記第一電圧を設定するための第一電圧設定部と、前記第一電圧設定部によって設定された前記第一電圧を維持し、かつ、前記第二電圧を変化させて、前記媒体に形成される画像の濃度を調整するための画像濃度調整部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
このような画像形成装置によれば、現像剤情報に応じて適正な第一電圧が設定されるから、選択現像を防止し、かつ、かぶりや現像剤の飛散が増加することを防止することが可能となる。
【0009】
また、かかる画像形成装置であって、前記現像剤情報は、現像剤の粒径に関する粒径情報であることとしてもよい。
粒径の小さい現像剤(「小粒径現像剤」ともいう)と粒径の大きい現像剤(「大粒径現像剤」ともいう)とが含まれている場合に、粒径の小さい現像剤の量が多いと、現像剤担持体に、帯電量が大きい小粒径現像剤が担持されている層と、その外側に帯電量が小さい大粒径現像剤が担持される層が形成されやすい。かかる場合に、帯電量が小さい大粒径現像剤によって、かぶりや現像剤の飛散が増加しやすい。そこで、第一電圧設定部が粒径情報に基づいて第一電圧を設定する場合には、選択現像を防止し、かつ、かぶりや現像剤の飛散が増加することを防止できる、適切な第一電圧を設定することが可能となる。
【0010】
また、かかる画像形成装置であって、前記現像剤は、母粒子と該母粒子に外添された外添剤とを有し、前記現像剤情報は、前記外添剤に関する外添剤情報であることとしてもよい。
外添剤の添加状態等によっては、かぶり等の発生する量が異なることがある。例えば、複数の種類の外添剤が母粒子に添加される場合には、各外添剤の割合によってかぶり等の発生する量が異なることがある。そのため、第一電圧設定部が外添剤情報に基づいて第一電圧を設定する場合には、選択現像を防止し、かつ、かぶりや現像剤の飛散が増加することを防止できる、適切な第一電圧を設定することが可能となる。
【0011】
また、かかる画像形成装置であって、前記転写部には、前記像担持体に形成された現像剤像を前記媒体に転写する際の媒介となる転写媒介部材が設けられており、前記転写部は、前記像担持体に形成された現像剤像を前記転写媒介部材に転写し、かつ、該転写媒介部材に転写された現像剤像を前記媒体に転写して、画像を形成し、前記媒体に形成される画像の濃度を調整するために前記転写媒介部材に形成されたテストパターンの濃度を検出する濃度検出部材を有し、前記画像濃度調整部は、前記濃度検出部材による前記テストパターンの濃度の検出結果に基づいて、前記第二電圧を変化させることとしてもよい。
かかる場合には、簡易に、画像の濃度を調整することが可能となる。
【0012】
また、かかる画像形成装置であって、画像形成装置本体に着脱可能であり、前記現像剤担持体を備え、該現像剤担持体に担持される現像剤を収容するための現像装置を有し、前記現像装置には、収容された現像剤に関する前記現像剤情報が記憶されている現像装置記憶部が設けられ、前記第一電圧設定部は、前記現像装置記憶部から読み込まれた前記現像剤情報に基づいて、前記第一電圧を設定することとしてもよい。
【0013】
また、かかる画像形成装置であって、前記現像剤情報は、かぶりの濃度に関するかぶり濃度情報であり、前記転写部には、前記像担持体に形成された現像剤像を前記媒体に転写する際の媒介となる転写媒介部材が設けられており、前記転写部は、前記像担持体に形成された現像剤像を前記転写媒介部材に転写し、かつ、該転写媒介部材に転写された現像剤像を前記媒体に転写して、画像を形成し、前記転写媒介部材に生じたかぶりの濃度を検出するための濃度検出部材を有し、前記濃度検出部材が前記転写媒介部材に生じたかぶりの濃度を検出することにより、前記かぶり濃度情報が取得されることとしてもよい。
かかる場合には、現像剤が現像に供される直前に実際にかぶりの濃度を検出することによりかぶり濃度情報が取得されるから、第一電圧設定部がより最適な第一電圧を設定することが可能となる。
【0014】
また、かかる画像形成装置であって、前記現像剤担持体は、金属製であることとしてもよい。
現像剤担持体が金属製である場合には、現像剤と現像剤担時体との間に作用される鏡像力が強いため、いわゆる選択現像が起こりやすい。そのため、現像剤担時体が金属製である場合には、選択現像を防止する観点から、第一電圧の絶対値を大きくする可能性が高くなり、かぶりや現像剤の飛散がより発生しやすい。そのため、現像剤担持体が金属製である場合には、選択現像を防止し、かつ、かぶりや現像剤の飛散が増加することを防止することが可能という効果、がより有効に奏される。
【0015】
また、かかる画像形成装置であって、前記現像剤は、粉砕法によって製造されていることとしてもよい。
現像剤が粉砕法によって製造されている場合には、トナーの帯電分布が広いために、いわゆる選択現像が起こりやすい。そのため、現像剤が粉砕法によって製造されている場合には、選択現像を防止する観点から、第一電圧の絶対値を大きくする可能性が高く、かぶりや現像剤の飛散がより発生しやすい。そのため、現像剤が粉砕法によって製造されている場合には、選択現像を防止し、かつ、かぶりや現像剤の飛散が増加することを防止することが可能という効果、がより有効に奏される。
【0016】
また、かかる画像形成装置であって、前記電圧印加部が前記第一電圧と前記第二電圧とを前記現像剤担持体に印加する前には、前記現像剤担持体に担持された現像剤が、前記像担持体と接触せず、前記電圧印加部が前記第一電圧を前記現像剤担持体に印加した場合には、前記現像剤担持体に担持された現像剤が、前記像担持体に向かって飛んで該像担持体に付着し、前記電圧印加部が前記第二電圧を前記現像剤担持体に印加した場合には、前記像担持体に付着した現像剤が、前記現像剤担持体に向かって飛んで該現像剤担持体に戻ることとしてもよい。
【0017】
また、潜像を担持するための像担持体と、現像剤を担持し、該現像剤によって前記像担持体に担持された潜像を現像するための現像剤担持体と、前記潜像の現像により前記像担持体に形成された現像剤像を媒体に転写して、画像を形成する転写部と、前記潜像の現像のために、前記現像剤担持体から前記像担持体へ現像剤を向かわせるための第一電圧と、前記像担持体から前記現像剤担持体へ現像剤を向かわせるための第二電圧と、を前記現像剤担持体に交互に印加する電圧印加部と、現像剤に関する現像剤情報に基づいて前記第一電圧を設定するための第一電圧設定部と、前記第一電圧設定部によって設定された前記第一電圧を維持し、かつ、前記第二電圧を変化させて、前記媒体に形成される画像の濃度を調整するための画像濃度調整部と、
を有し、
前記現像剤情報は、現像剤の粒径に関する粒径情報であり、
前記現像剤は、母粒子と該母粒子に外添された外添剤とを有し、前記現像剤情報は、前記外添剤に関する外添剤情報であり、
前記転写部には、前記像担持体に形成された現像剤像を前記媒体に転写する際の媒介となる転写媒介部材が設けられており、前記転写部は、前記像担持体に形成された現像剤像を前記転写媒介部材に転写し、かつ、該転写媒介部材に転写された現像剤像を前記媒体に転写して、画像を形成し、前記媒体に形成される画像の濃度を調整するために前記転写媒介部材に形成されたテストパターンの濃度を検出する濃度検出部材を有し、前記画像濃度調整部は、前記濃度検出部材による前記テストパターンの濃度の検出結果に基づいて、前記第二電圧を変化させ、
画像形成装置本体に着脱可能であり、前記現像剤担持体を備え、該現像剤担持体に担持される現像剤を収容するための現像装置を有し、前記現像装置には、収容された現像剤に関する前記現像剤情報が記憶されている現像装置記憶部が設けられ、前記第一電圧設定部は、前記現像装置記憶部から読み込まれた前記現像剤情報に基づいて、前記第一電圧を設定し、
前記現像剤情報は、かぶりの濃度に関するかぶり濃度情報であり、前記転写部には、前記像担持体に形成された現像剤像を前記媒体に転写する際の媒介となる転写媒介部材が設けられており、前記転写部は、前記像担持体に形成された現像剤像を前記転写媒介部材に転写し、かつ、該転写媒介部材に転写された現像剤像を前記媒体に転写して、画像を形成し、前記転写媒介部材に生じたかぶりの濃度を検出するための濃度検出部材を有し、前記濃度検出部材が前記転写媒介部材に生じたかぶりの濃度を検出することにより、前記かぶり濃度情報が取得され、
前記現像剤担持体は、金属製であり、
前記現像剤は、粉砕法によって製造されており、
前記電圧印加部が前記第一電圧と前記第二電圧とを前記現像剤担持体に印加する前には、前記現像剤担持体に担持された現像剤が、前記像担持体と接触せず、前記電圧印加部が前記第一電圧を前記現像剤担持体に印加した場合には、前記現像剤担持体に担持された現像剤が、前記像担持体に向かって飛んで該像担持体に付着し、前記電圧印加部が前記第二電圧を前記現像剤担持体に印加した場合には、前記像担持体に付着した現像剤が、前記現像剤担持体に向かって飛んで該現像剤担持体に戻ることを特徴とする画像形成装置。
このような画像形成装置によれば、選択現像を防止し、かつ、かぶりや現像剤の飛散が増加することを防止することが可能という効果が最も有効に奏される。
【0018】
また、コンピュータ、並びに、このコンピュータに接続可能な画像形成装置であって、潜像を担持するための像担持体と、現像剤を担持し、該現像剤によって前記像担持体に担持された潜像を現像するための現像剤担持体と、前記潜像の現像により前記像担持体に形成された現像剤像を媒体に転写して、画像を形成する転写部と、前記潜像の現像のために、前記現像剤担持体から前記像担持体へ現像剤を向かわせるための第一電圧と、前記像担持体から前記現像剤担持体へ現像剤を向かわせるための第二電圧と、を前記現像剤担持体に交互に印加する電圧印加部と、現像剤に関する現像剤情報に基づいて前記第一電圧を設定するための第一電圧設定部と、前記第一電圧設定部によって設定された前記第一電圧を維持し、かつ、前記第二電圧を変化させて、前記媒体に形成される画像の濃度を調整するための画像濃度調整部と、を有することを特徴とする画像形成装置。を備えたことを特徴とする画像形成システム。
このような画像形成システムによれば、選択現像を防止し、かつ、かぶりや現像剤の飛散が増加することを防止することが可能な画像形成装置を備えることになるから、従来よりも優れた画像形成システムを実現することが可能となる。
【0019】
また、現像剤に関する現像剤情報に基づいて、現像剤を担持する現像剤担持体から潜像を担持する像担持体へ現像剤を向かわせるための第一電圧を設定するステップと、媒体に形成される画像の濃度を調整するために、設定された前記第一電圧を維持し、かつ、前記像担持体から前記現像剤担持体へ現像剤を向かわせるための第二電圧を変化させるステップと、維持された前記第一電圧と変化後の前記第二電圧とを前記現像剤担持体に交互に印加して、前記潜像を現像するステップと、前記潜像の現像により前記像担持体に形成された現像剤像を前記媒体に転写して、画像を形成するステップと、を有することを特徴とする画像形成方法。
このような画像形成方法によれば、選択現像を防止し、かつ、かぶりや現像剤の飛散が増加することを防止することが可能となる。
【0020】
===画像形成装置の全体構成===
次に、図1を用いて、画像形成装置としてレーザビームプリンタ(以下、プリンタともいう)10を例にとって、プリンタ10の全体構成について説明する。図1は、プリンタ10を構成する主要構成要素を示した図である。なお、図1には、矢印にて上下方向を示しており、例えば、給紙トレイ92は、プリンタ10の下部に配置されており、定着ユニット90は、プリンタ10の上部に配置されている。
【0021】
<プリンタ10の全体構成>
本実施の形態に係るプリンタ10は、図1に示すように、潜像を担持する像担持体の一例としての感光体20の回転方向に沿って、帯電ユニット30、露光ユニット40、現像器保持ユニット50、一次転写ユニット60、中間転写体70、クリーニングユニット75を有し、さらに、二次転写ユニット80、定着ユニット90、ユーザーへの報知手段をなし液晶パネルでなる表示ユニット95、及び、これらのユニット等を制御しプリンタとしての動作を司る制御ユニット100を有している。
【0022】
感光体20は、円筒状の導電性基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図1中の矢印で示すように時計回りに回転する。
【0023】
帯電ユニット30は、感光体20を帯電するための装置である。帯電ユニット30によって帯電された感光体20の表面の帯電電位は、一様である。感光体20を帯電するために、帯電ユニット駆動制御回路に設けられた帯電バイアス発生装置127b(図6参照)が、帯電ユニット30に帯電バイアスを印加する。また、帯電ユニット駆動制御回路には、帯電バイアスのオンオフの制御や適切な帯電バイアス値の設定を行う役割を果たす帯電バイアス制御回路127aが設けられている。
【0024】
露光ユニット40は、レーザを照射することによって帯電された感光体20上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット40は、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体20上に照射する。これにより、レーザが照射された感光体20の部分が画像部になり、レーザが照射されなかった感光体20の部分が非画像部になる。なお、画像部の電位は、非画像部の電位(帯電電位)と異なる。
【0025】
現像器保持ユニット50は、感光体20上に形成された潜像を、ブラック現像器51に収容された、ブラック(K)トナー、マゼンタ現像器53に収容されたマゼンタ(M)トナー、シアン現像器52に収容されたシアン(C)トナー及びイエロー現像器54に収容されたイエロー(Y)トナーを用いて現像するための装置である。
【0026】
この現像器保持ユニット50は、本実施の形態においては、回転することにより、現像装置の一例としての前記4つの現像器51、52、53、54の位置を動かすことを可能としている。すなわち、この現像器保持ユニット50は、前記4つの現像器51、52、53、54をプリンタ本体10a(画像形成装置本体)に設けられた4つの着脱部50a、50b、50c、50dにより保持しており、前記4つの現像器51、52、53、54は、回転軸50eを中心として、それらの相対位置を維持したまま回転可能となっている。そして、感光体20が1回転する毎に選択的に感光体20に対向し、それぞれの現像器51、52、53、54に収容された現像剤の一例としてのトナーTにて、感光体20上に形成された潜像を現像する。なお、各現像器の詳細については、後述する。
【0027】
一次転写ユニット60は、感光体20に形成された現像剤像の一例としてのトナー像を転写媒体部材の一例としての中間転写体70に転写するための装置であり、4色のトナーが順次重ねて転写されると、中間転写体70にフルカラートナー像が形成される。この中間転写体70は、エンドレスのベルトであり、感光体20とほぼ同じ周速度にて回転駆動される。
【0028】
また、中間転写体70の近傍には、記録媒体に形成される画像の濃度を調整するために中間転写体70に形成されたパッチ像(テストパターン)、の濃度を検出する濃度検出部材の一例としてのパッチセンサPSが配置されている。パッチセンサPSは、当該濃度を検出する機能を果たす反射型光学センサである。より具体的には、パッチセンサPSは、光を発するための発光部と光を受光するための受光部を有し、発光部からパッチ像へ向けて発した光、すなわち入射光がパッチ像により反射され、その反射光が受光部で受光され、電気信号に変換される。そして、受光した反射光の強さに応じた受光センサの出力値として、電気信号の大きさが測定される。パッチ像の濃度と受光した反射光の強さとの間には一定の関係があるから、前記電気信号の大きさを測定することにより、パッチ像の濃度が検出される。なお、パッチセンサPSは、中間転写体70に生じたかぶりの濃度も検出可能である。
【0029】
二次転写ユニット80は、中間転写体70上に形成された単色トナー像やフルカラートナー像を媒体の一例である記録媒体に転写するための装置である。なお、記録媒体として、紙、フィルム、布等がある。また、請求項における「転写部」は、一次転写ユニット60、中間転写体70、及び、二次転写ユニット80である。また、中間転写体70は、感光体20に形成されたトナー像を記録媒体に転写する際の媒介となっている。
【0030】
定着ユニット90は、記録媒体上に転写された単色トナー像やフルカラートナー像を紙等の記録媒体に融着させて永久像とするための装置である。クリーニングユニット75は、一次転写ユニット60と帯電ユニット30との間に設けられ、感光体20の表面に当接されたゴム製のクリーニングブレード76を有し、一次転写ユニット60によって中間転写体70上にトナー像が転写された後に、感光体20上に残存するトナーをクリーニングブレード76により掻き落として除去するための装置である。
【0031】
制御ユニット100は、図6に示すようにコントローラ部101と、ユニット制御部102とで構成され、コントローラ部101には画像信号が入力され、この画像信号に基づく指令に応じてユニット制御部102が前記各ユニット等を制御して画像を形成する。
【0032】
===現像器の概要===
次に、図2及び図3を用いて、現像器の構成例について説明する。図2は、現像器の概念図であり、図3は現像器の主要構成要素を示した断面図である。なお、図3に示す断面図は、図2に示す長手方向に垂直な面で現像器を切り取った断面を表したものである。また、図3においては、図1同様、矢印にて上下方向を示しており、イエロー現像器54が、感光体20と対向する現像位置に位置している状態を示している。
【0033】
現像器保持ユニット50には、ブラック現像器51、マゼンタ現像器53、シアン現像器52、及び、イエロー現像器54を装着することができるが、各現像器の構成は同様であるので、以下、イエロー現像器54について説明する。
イエロー現像器54は、現像剤担持体の一例としての現像ローラ510、シール部材520、トナー収容部530、ハウジング540、トナー供給ローラ550、規制ブレード560等を有している。
【0034】
現像ローラ510は、トナーTを担持して感光体20と対向する現像位置に搬送し、該現像位置に搬送されたトナーTによって感光体20に担持された潜像を現像する。この現像ローラ510は、金属製であり、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄等により製造されており、必要に応じて、ニッケルメッキ、クロムメッキ等や、トナー担持領域にはサンドブラスト等が施されている。また、現像ローラ510は、図2に示すとおり、その長手方向両端部で支持されており、中心軸を中心として回転可能である。図3に示すように、現像ローラ510は、感光体20の回転方向(図3において時計方向)と逆の方向(図3において反時計方向)に回転する。また、図3に示すように、イエロー現像器54の現像ローラ510と感光体20とは間隔を隔てて対向している。すなわち、イエロー現像器54は、感光体20上に形成された潜像を非接触状態で現像する。
【0035】
感光体20上に形成された潜像を現像する際には、現像器保持ユニット駆動制御回路に設けられた電圧印加部の一例である現像バイアス発生装置126(図6参照)により現像ローラ510に直流電圧と交流電圧が重畳された現像バイアスが印加され、現像ローラ510と感光体20との間に交番電界が形成される。現像器保持ユニット駆動制御回路には、現像バイアスのオンオフの制御や適切な現像バイアス値の設定を行う役割を果たす現像バイアス制御回路125が設けられている。また、現像バイアス制御回路125は、第一電圧(Vmax)を設定するための第一電圧設定部の一例であるVmax設定部125aと、画像の濃度を調整するために第二電圧(Vmin)を設定するための画像濃度調整部の一例であるVmin設定部125bと、を有している。なお、現像バイアスの詳細等については、後述する。
【0036】
シール部材520は、イエロー現像器54内のトナーTが器外に漏れることを防止するとともに、現像位置を通過した現像ローラ510上のトナーTを、掻き落とすことなく現像器内に回収する。このシール部材520は、ポリエチレンフィルム等からなるシールであり、現像ローラ510側とは逆側に設けられモルトプレーン等からなるシール付勢部材524の弾性力によって、現像ローラ510に押しつけられている。
【0037】
ハウジング540は、一体成型された複数のハウジング部を溶着して形成されている。図3に示すように、当該ハウジング540は、ハウジング540の外部と連通する開口572を有し、ハウジング540の外方から当該開口572に周面を臨ませて、前述した現像ローラ510がその一部が露出した状態で配置されている。また、後述する規制ブレード560も、ハウジング540の外方から当該開口572に臨んだ状態で配置されている。
また、当該ハウジング540は、トナーTを収容可能なトナー収容部530を形成している。このトナー収容部530に収容されたトナーTは、粉砕法によって製造されている。トナーTの粒径は一様ではなく、トナーTは大小様々な粒径の粒子から成る。なお、トナーTの詳細な構成等については、後述する。
【0038】
トナー供給ローラ550は、前述したトナー収容部530に設けられ、当該トナー収容部530に収容されたトナーTを現像ローラ510に供給する。このトナー供給ローラ550は、ポリウレタンフォーム等からなり、弾性変形された状態で現像ローラ510に当接している。トナー供給ローラ550は、トナー収容部530の下部に配置されており、トナー収容部530に収容されたトナーTは、該トナー収容部530の下部にてトナー供給ローラ550によって現像ローラ510に供給される。トナー供給ローラ550は、中心軸を中心として、現像ローラ510の回転方向(図3において反時計方向)と逆の方向(図3において時計方向)に回転する。
【0039】
なお、トナー供給ローラ550は、トナー収容部530に収容されたトナーTを現像ローラ510に供給する機能を有するとともに、現像後に現像ローラ510に残存しているトナーTを、現像ローラ510から剥ぎ取る機能をも有している。
【0040】
規制ブレード560は、現像ローラ510に担持されたトナーTに電荷を付与して、トナーTを負帯電させる。また、規制ブレード560は、現像ローラ510に担持されたトナーTの層厚を規制する。この規制ブレード560は、ゴム部560aと、ゴム支持部560bとを有している。ゴム部560aは、シリコンゴム、ウレタンゴム等からなり、ゴム支持部560bは、リン青銅、ステンレス等のバネ性を有する薄板である。ゴム部560aは、ゴム支持部560bに支持されており、ゴム支持部560bは、その一端部が一対のブレード支持板金562に挟まれて支持された状態で、ブレード支持板金562を介してハウジング540に取り付けられている。また、規制ブレード560の現像ローラ510側とは逆側には、モルトプレーン等からなるブレード裏部材570が設けられている。
【0041】
ここで、ゴム支持部560bの撓みによる弾性力によって、ゴム部560aが現像ローラ510に押しつけられている。また、ブレード裏部材570は、ゴム支持部560bとハウジング540との間にトナーTが入り込むことを防止して、ゴム支持部560bの撓みによる弾性力を安定させるとともに、ゴム部560aの真裏からゴム部560aを現像ローラ510の方向へ付勢することによって、ゴム部560aを現像ローラ510に押しつけている。したがって、ブレード裏部材570は、ゴム部560aの現像ローラ510への均一当接性を向上させている。
【0042】
このように構成されたイエロー現像器54において、トナー供給ローラ550がトナー収容部530に収容されているトナーTを現像ローラ510に供給する。現像ローラ510に供給されたトナーTは、現像ローラ510の回転に伴って、規制ブレード560の当接位置に至り、該当接位置を通過する際に、電荷が付与されるとともに、層厚が規制される。層厚が規制された現像ローラ510上のトナーTは、現像ローラ510のさらなる回転によって、感光体20に対向する現像位置に至り、該現像位置にて交番電界下で感光体20上に形成された潜像の現像に供される。現像ローラ510のさらなる回転によって現像位置を通過した現像ローラ510上のトナーTは、シール部材520を通過して、シール部材520によって掻き落とされることなく現像器内に回収される。
【0043】
また、各現像器51、52、53、54は、それぞれの現像器に収容されているトナーTに関する現像剤情報であるトナー情報、現像器に関する各種情報を記憶するための現像装置記憶部の一例である記憶素子、例えば、シリアルEEPROM等の不揮発性記憶メモリ(以下、現像器側メモリともいう)51a、52a、53a、54aを備えている。
この現像器側メモリ51a、52a、53a、54aは、現像器の一方端側面に設けられた現像器側コネクタ51b、52b、53b、54bと、装置本体側(プリンタ側)に設けられた装置本体側コネクタ34とが必要なときに互いに当接して、本体制御ユニット100のユニット制御部102と電気的に接続される。
【0044】
===現像器保持ユニットの概要===
次に、現像器保持ユニット50の概要について、図4A〜図4Cを用いて説明する。
現像器保持ユニット50は、その中心に位置する回転軸50eを有し、この回転軸50eには現像器を保持するための支持フレーム55が固定され、回転軸50eは、プリンタ10の筐体をなす2枚のフレーム側板(図示せず)の間に架け渡されて、その両端部が支持されている。なお、回転軸50eの軸方向は、鉛直方向と交差している。
この支持フレーム55は、前述した4色の現像器51、52、53、54が、前記回転軸50eを中心として着脱自在に装着される4つの着脱部50a、50b、50c、50dを周方向に90°間隔で備えている。
【0045】
回転軸50eには不図示のパルスモータが接続されており、このパルスモータを駆動することで支持フレーム55を回転させ、上記4つの現象装置51、52、53、54を所定の位置に位置決めできるようになっている。
【0046】
図4A〜図4Cは、回転する現像器保持ユニット50の3つの停止位置を示しており、図4Aは、画像形成の実行を待機しているときの待機位置であって、現像器保持ユニット50の回転方向の基準位置となる停止位置でもあるホームポジション位置(以下「HP位置」という)を、図4Bは、現像器保持ユニット50に装着されたイエロー現像器54の現像器側コネクタ54bと、装置本体側に設けられた装置本体側コネクタ34とが対向するコネクタ着脱位置を、図4Cは、イエロー現像器54の着脱位置を、それぞれ示している。
【0047】
ここで、図4B及び図4Cにおいて、コネクタ着脱位置と現像器着脱位置とはイエロー現像器54を対象として示したが、現像器保持ユニット50を90°づつ回転させた位置が、各現像器のコネクタ着脱位置及び現像器着脱位置となる。
【0048】
先ず、図4Aに示すHP位置について説明する。現像器保持ユニット50の回転軸50eの一方端側には、HP位置を検出するためのHP検出部31(図6)が設けられている。このHP検出部31は、回転軸50eの一方端に固着された信号生成用の円盤と、発光部、受光部を備えたフォト・インタラプタ等からなるHPセンサとで構成されている。円盤の周縁部は、HPセンサの発光部と受光部との間に位置するように配置され、円盤に形成されたスリット部がHPセンサの検出位置に移動してくると、HPセンサからの出力信号が「L」から「H」に変化する。そして、この信号レベルの変化とパルスモータのパルス数に基づき現像器保持ユニット50のHP位置を検出し、このHP位置を基準として、各現像器の現像位置等に位置決めすることができるように構成されている。
【0049】
図4Bは、前記HP位置から所定のパルス数分だけ、前記パルスモータを回転させたイエロー現像器54のコネクタ着脱位置である。このコネクタ着脱位置で、現像器保持ユニット50に装着されたイエロー現像器54の現像器側コネクタ54bと、装置本体側に設けられた装置本体側コネクタ34とが対向し、これらのコネクタを互いに当接又は離間させることが可能となる。
【0050】
図5A、図5Bを用いてさらに説明を加える。図5Aは、離間位置に係る図であり、図5Bは当接位置に係る図である。
【0051】
図5Aは、装置本体側コネクタ34とイエロー現像器54の現像器側コネクタ54bが離間している状態を示している。装置本体側コネクタ34は、イエロー現像器54に対して接離移動可能に構成されており、必要に応じてイエロー現像器54に近づく方向(図5Bに示される矢印の方向)に移動する。これによって、図5Bに示されるように、装置本体側コネクタ34は、イエロー現像器54の現像器側コネクタ54bに当接し、イエロー現像器54に取り付けられた現像器側メモリ54aが制御ユニット100のユニット制御部102と電気的に接続され、現像器側メモリ54aと装置本体との間で通信が行われる。
【0052】
また、逆に、図5Bに示される装置本体側コネクタ34とイエロー現像器54の現像器側コネクタ54bが当接している状態から、装置本体側コネクタ34が、イエロー現像器54から遠ざかる方向(図5Bに示される矢印の方向と逆方向)に移動する。これによって、図5Aに示されるように、装置本体側コネクタ34は、イエロー現像器54の現像器側コネクタ54bから離間する。
【0053】
なお、装置本体側コネクタ34の移動は、例えば、パルスモータと当該パルスモータに接続される複数のギアと当該ギアに接続される偏心カムにより構成される不図示の機構により実現される。すなわち、所定のパルス数分だけ、前記パルスモータを回転させると、上記機構は、所定の離間位置から前記パルス数に対応した距離分装置本体側コネクタ34を移動させ、当該装置本体側コネクタ34を所定の当接位置に位置決めさせる。逆に、所定のパルス数分だけ、前記パルスモータを逆回転させると、上記機構は、所定の当接位置から前記パルス数に対応した距離分装置本体側コネクタ34を移動させ、当該装置本体側コネクタ34を所定の離間位置に位置決めさせる。
【0054】
また、このイエロー現像器54に対するコネクタ着脱位置は、シアン現像器52の現像ローラ510と感光体20とが対向してシアン現像器52の現像位置となる。すなわち、イエロー現像器54に係る現像器保持ユニット50のコネクタ着脱位置は、シアン現像器52に係る現像器保持ユニット50の現像位置である。また、パルスモータが現像器保持ユニット50を90°反時計方向に回転させると、ブラック現像器51のコネクタ着脱位置、及び、イエロー現像器54の現像位置となり、現像器保持ユニット50を90°回転する毎に順次各現像器のコネクタ着脱位置、及び現像位置となる。
【0055】
また、前記現像器保持ユニット50を支持し、プリンタ10の筐体をなす2枚のフレーム側板の一方には、1つの現像器が通過可能な着脱専用口37と、着脱専用口37を開閉可能に覆う内側カバー(図示せず)とが設けられている。着脱専用口37は、現像器保持ユニット50を回転させて、設定された現像器着脱位置に各現像器を停止させた際に、図4Cに示すように、該当する現像器(ここでは、イエロー現像器54)のみを、回転軸50eに沿う方向に引き出して取り外すことが可能な位置に形成されている。また、着脱専用口37は、現像器の外形より僅かに大きく形成され、現像器着脱位置では、現像器の取り外しだけでなく、この着脱専用口37を通して回転軸50eに沿う方向に新しい現像器を進入させ、支持フレーム55に現像器を装着することもできる。そして、現像器保持ユニット50が現像器着脱位置以外に位置する間は、その現像器の着脱はフレーム側板によって規制されている。
なお、現像器保持ユニット50を上記した位置で確実に位置決め固定するために、不図示のロック機構が設けられている。
【0056】
===トナーの構成===
次に、本実施の形態に係るトナーTの構成について説明する。粉砕法によって製造されたトナーTは、母粒子と該母粒子に外添された外添剤とを有している。
母粒子は、着色剤、帯電制御剤、離型剤(WAX)、及び樹脂等の材料を有している。この母粒子は、該材料をヘンシェルミキサー等で均一混合した後、2軸押し出し機で溶融混練され、冷却後、粗粉砕−微粉砕工程を経て、分級処理されることで、製造される。なお、母粒子は、更に分散剤、磁性材、その他添加剤等を有していてもよい。
【0057】
母粒子としては、ポリスチレン及び共重合体、例えば水素添加スチレン樹脂、スチレン・イソブチレン共重合体、ABS樹脂、ASA樹脂、AS樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、AES樹脂、スチレン・Pクロロスチレン共重合体、スチレン・プロピレン共重合体、スチレン・ブタジエン架橋ポリマー、スチレン・ブタジエン・塩素化パラフィン共重合体、スチレン・アリル・アルコール共重合体、スチレン・ブタジエンゴムエマルジョン、スチレン・マレイン酸エステル共重合体、スチレン・イソブチレン共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、アクリレート系樹脂あるいはメタアクリレート系樹脂及びその共重合体、スチレン・アクリル系樹脂及び及びその共重合体、例えばスチレン・アクリル共重合体、スチレン・ジエチルアミノ・エチルメタアクリレート共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリル酸エステル共重合体、スチレン・メチルメタアクリレート共重合体、スチレン・n−ブチルメタアクリレート共重合体、スチレン・メチルメタアクリレート・n−ブチルアクリレート共重合体、スチレン・メチルメタアクリレート・ブチルアリレート・N−(エトキシメチル)アクリルアミド共重合体、スチレン・グリシジルメタアクリレート共重合体、スチレン・ブタジエン・ジメチル・アミノエチルメタアクリレート共重合体、スチレン・アクリル酸エステル・マレイン酸エステル共重合体、スチレン・メタアクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、スチレン・n−ブチルアリレート・エチルグリコールメタアクリレート共重合体、スチレン・n−ブチルメタアクリレート・アクリル酸共重合体、スチレン・n−ブチルメタアクリレート・無水マレイン酸共重合体、スチレン・ブチルアクリレート・イソブチルマレイン酸ハ−フエステル・ジビニルベンゼン共重合体、ポリエステル及びその共重合体、ポリエチレン及びその共重合体、エポキシ樹脂、シリコ−ン樹脂、ポリプロピレン及びその共重合体、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などを1種類あるいは2種類以上ブレンドしたものを使用することができる。
【0058】
着色剤としては、カーボンブラック、スピリットブラック、ニグロシン、ローダミン系、トリアミノトリフェニルメタン、カチオン系、ジオキサジン、銅フタロシニアン、ベリレン、アゾ系、含金アゾ顔料、アゾクロムコンプレックス、カーミン系、ベンジジン系、ソーラピュアイエロー8G、キナクリドン、ポリタングストリン酸、インダスレンブルー、スルホンアミド誘導体等を使用することができる。
【0059】
帯電制御剤としては、電子受容性の有機錯体、塩素化ポリエステル、ニトロフニン酸、第4級アンモニウム塩、ピリジニル塩等を使用できる。
【0060】
離型剤(WAX)としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、エチレンビスアマイド、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、密ロウ等のパラフィン系ワックスが好ましく使用されるが、トナーの母粒子に相溶せず、遊離性を有するものであれば特に限定されるものではない。なお、本実施の形態において「相溶性がない」とは溶融混練したとき、母粒子中にワックスが島状に分散され、樹脂の分子鎖の中に取り込まれていない状態をいう。
【0061】
なお、定着行程においてトナーTが定着ローラに付着することを防止するために、定着ローラにオイルを塗布することが行われる場合があるが、本実施の形態では、かかるオイル塗布を不要とするために、母粒子に多くの離型剤を含ませている。離型剤の含有量は樹脂に対して、3〜10重量%。である。
【0062】
分散剤としては、金属石鹸、ポリエチレングリコール等を使用できる。その他の添加剤としては、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム等を使用することができる。
【0063】
磁性剤としては、Fe、Co、Ni、Cr、Mn、Zn等の金属粉、Fe、Fe、Cr、フェライト等の金属酸化物、マンガンと酸を含む合金等の熱処理によって強磁性を示す合金等を用いることができ、予めカップリング剤等の予備処理を施しても構わない。
【0064】
外添剤としては、表面に疎水化処理を施した種々のものが使用できる。本実施の形態に係るトナーTでは、外添剤としてシリカと酸化チタンとを混合したものを用いている。しかし、シリカや酸化チタン以外に、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム等の金属酸化物の微粒子、窒化珪素等窒化物の微粒子、炭化珪素等炭化物の微粒子、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属塩の微粒子及びこれらの複合物等の無機微粒子や、アクリル微粒子等の有機微粒子を用いることができる。また、これらの表面処理剤として、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、フッ素含有シランカップリング剤、シリコーンオイル等を用いることができる。これらの処理剤で処理された外添剤の疎水化率は、従来のメタノール法によるもので60%以上のものが好ましい。これ以下であると、高温高湿化において、水分の吸着により帯電性及び流動性の低下を起しやすく好ましくない。外添剤の粒径としては、搬送性、帯電性の観点から0.001〜1μmであることが好ましい。
【0065】
===制御ユニットの概要===
次に、制御ユニット100の構成について図6を参照しつつ説明する。図6は、プリンタ10の制御ユニット100を示すブロック図である。
コントローラ部101は、CPU111と、不図示のコンピュータと接続するためのインターフェース112と、コンピュータから入力された画像信号等を記憶するための画像メモリ113と、電気的に書き換え可能なEEPROM114a、RAM114b、各種制御用のプログラムを備えたプログラムROM等からなるコントローラ部側メモリ114と、を備えている。このコントローラ部101には、プリンタ10に接続されたコンピュータから画像信号等の各種情報が送出される。
コントローラ部101は、コンピュータ等から送出された画像信号としてのレッド、グリーン、ブルーのRGBデータを、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのYMCK画像データに変換し、変換したYMCK画像データを画像メモリ113に記憶する機能を有する。さらに、コントローラ部101は、接続されたコンピュータに各種情報を送出する機能を有している。
【0066】
ユニット制御部102は、CPU120と、電気的に書き換え可能なEEPROM116a、RAM、各種制御用のプログラムを備えたプログラムROM等からなるユニット制御部側メモリ116と、装置本体の各ユニット(帯電ユニット30、露光ユニット40、一次転写ユニット60、クリーニングユニット75、二次転写ユニット80、定着ユニット90、表示ユニット95)及び現像器保持ユニット50を駆動制御するための各駆動制御回路等を有している。
【0067】
CPU120は、各駆動制御回路と電気的に接続され、コントローラ部101のCPU111からの制御信号に基づいて各駆動制御回路を制御する。すなわち、ユニット制御部102は、各ユニットが備えるセンサ等からの信号を受信することにより、各ユニット及び現像器保持ユニット50の状態を検出しつつ、コントローラ部101から入力される信号に基づいて、各ユニット及び現像器保持ユニット50を制御する。
【0068】
また、CPU120は、シリアルインターフェース(I/F)121を介して、シリアルEEPROM等の不揮発性記憶素子(以下、本体側メモリとする)122に接続されている。この本体側メモリ122には、装置制御のために必要となるデータが記憶されている。またCPU120には、本体側メモリ122のみならず、各現像器51、52、53、54に設けられた現像器側メモリ51a、52a、53a、54aにもシリアルインターフェース121を介して接続されており、本体側メモリ122及び現像器側メモリ51a、52a、53a、54aとの間でデータ転送可能となるとともに、入出力ポート123を介して各現像器側メモリ51a、52a、53a、54aにチップセレクト信号CSを入力可能となっている。また、CPU120は入出力ポート123を介してHP検出部31とも接続されている。
【0069】
また、CPU120は、各現像器のうち、前記コネクタ着脱位置に配置されたいずれかの現像器のコネクタと装置本体側コネクタ34とが接続された際に、現像器側メモリ51a,52a,53a,54aと通信可能となる。そして、装置本体側コネクタ34と接続された現像器の現像器側メモリ51a,52a,53a,54aから、現像器の各種情報を取得する。現像器の情報は、例えば、装着されている現像器に収容されているトナーTに関するトナー情報(かぶり濃度情報)等であり、取得した各種情報は、ユニット制御部102の本体側メモリ122の所定の領域に、各現像器に対応させて記憶される。なお、かぶり濃度情報とは、中間転写体70でのかぶりの濃度を示す情報である。
【0070】
===現像バイアスについて===
現像バイアス発生装置126から現像ローラ510に印加される現像バイアスについて、図7を参照しつつ説明する。図7は、現像バイアスの波形を示した図である。
【0071】
現像バイアス発生装置126は、潜像の現像のために、図7に示すような矩形状の現像バイアスを現像ローラ510に印加する。具体的には、現像バイアス発生装置126は、潜像の現像のために、現像ローラ510から感光体20へトナーTを向かわせるための第一電圧(Vmax)と、感光体20から現像ローラ510へトナーTを向かわせるための第二電圧(Vmin)と、を現像ローラ510に交互に印加する。
【0072】
現像バイアス発生装置126がVmaxを現像ローラ510に印加した場合には、現像ローラ510に担持されたトナーTが、感光体20に向かって飛んで感光体20に付着する。現像ローラ510にVmaxが印加された場合には、Vmaxによる現像ローラ510の電位(例えば、−1250V)と、潜像が形成された感光体20の電位(例えば、画像部の電位が−50Vで、非画像部の電位が−530V)と、の差により電界が生じる。現像ローラ510に担持された負帯電トナーTは、該電界による力によって感光体20に向かって飛んで、感光体20に付着する。なお、Vmaxの絶対値が大きいほど、前記電界による力も大きくなるから、感光体20に付着するトナーTの量が増える。
【0073】
現像バイアス発生装置126がVminを現像ローラ510に印加した場合には、感光体20に付着したトナーTが、現像ローラ510に向かって飛んで該現像ローラ510に戻る。現像ローラ510にVminが印加された場合には、Vminによる現像ローラ510の電位(例えば、300V)と、潜像が形成された感光体20の電位(例えば、画像部の電位が−50Vで、非画像部の電位が−530V)と、の差により電界が生じる。感光体20に付着した負帯電トナーTは、該電界による力によって現像ローラ510に向かって飛んで、現像ローラ510に戻る。なお、現像ローラ510に戻るトナーTは、感光体20に付着したトナーTの一部であり、現像ローラ510に戻らず感光体20に付着したトナーTが潜像の現像に供される。なお、Vminの絶対値が大きいほど、前記電界による力も大きくなるから、現像ローラ510に戻るトナーTの量が増える。
【0074】
現像バイアス発生装置126がVmaxとVminとを現像ローラ510に印加する前には、現像ローラ510に担持されたトナーTは、感光体20と接触しない。そのため、VmaxとVminが現像ローラ510に印加されない場合には、潜像の現像が行われない。
【0075】
また、図7に示すように、現像バイアス発生装置126がVmaxを現像ローラ510に印加している時間は、133(μs)であり、現像バイアス発生装置126がVminを現像ローラ510に印加している時間は、200(μs)である。
【0076】
===プリンタ10の動作===
画像の濃度を調整して、記録媒体に画像を形成する際のプリンタ10の動作について、図8を参照しつつ説明する。図8は、プリンタ10の動作を説明するためのフローチャートである。
【0077】
以下に説明されるプリンタ10の各種動作は、主として、プリンタ10内のコントローラ部101又はユニット制御部102により実現される。特に、本実施の形態においては、プログラムROMに格納されたプログラムをCPUが処理することにより実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0078】
まず、現像器がプリンタ本体10aに装着されてプリンタ10に電源が投入されると、ユニット制御部102に設けられたVmax設定部125aは、トナー情報(かぶり濃度情報)に基づいて、現像器毎にVmaxを設定する(S102)。Vmax設定部125aによるVmaxの設定は、新しい現像器がプリンタ本体10aに装着された際に行われる。そして、一度該現像器についてのVmaxが設定されると、別の現像器が装着されるまでVmaxの設定動作は行われない。なお、かぶり濃度情報に基づいたVmaxの設定方法については、後に詳述する。
【0079】
次に、記録媒体に形成される画像の濃度を調整するために、ユニット制御部102に設けられたVmin設定部125bは、パッチセンサPSによるパッチ像の濃度の検出結果に基づいて、Vminを設定する(S104)。この際、Vmin設定部125bは、Vmax及びVminのうちVminのみを変化させて、すなわち、S102にてVmax設定部125aによって設定されたVmaxを維持し、かつ、Vminを変化させて、記録媒体に形成される画像の濃度を調整する。
【0080】
より具体的に説明する。図9に示すように、Vmin設定部125bは、Vmaxを−1250(V)に維持する一方、Vminを変化させて(例えば、300Vから290Vへ変化させて)、画像の濃度を調整する。なお、Vminのみが変化するので、VmaxとVminの差(図9中のVpp)は一定ではない。図9は、VmaxとVminの変化を示した模式図である。
【0081】
なお、パッチセンサPSによるパッチ像の濃度の検出結果に基づいたVminの設定方法については、後に詳述する。
【0082】
次に、不図示のホストコンピュータからの画像信号がインターフェース(I/F)112を介してプリンタ10のコントローラ部101に入力されると、このコントローラ部101からの指令に基づくユニット制御部102の制御により感光体20、現像器51、52、53、54に設けられた現像ローラ、及び、中間転写体70が回転する。そして、ユニット制御部102は、帯電ユニット30を制御して、感光体20を帯電させる(S106)。帯電ユニット30は、帯電位置において、回転している感光体20を順次帯電させる。
【0083】
次に、ユニット制御部102は、露光ユニット40を制御して、帯電された感光体20に潜像を形成させる(S108)。感光体20の帯電された領域は、感光体20の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40によって、第1色目、例えばイエローYの画像情報に応じた潜像が該領域に形成される。また、現像器保持ユニット50は、イエロー(Y)トナーを収容したイエロー現像器54を、感光体20に対向した現像位置に位置させる。
【0084】
次に、ユニット制御部102に設けられた現像バイアス発生装置126は、S102でVmax設定部125aによって設定されたVmaxと、S104でVmin設定部125bによって設定されたVminと、を交互に現像ローラ510に印加させる(S110)。現像バイアス発生装置126は、値が−1250(V)であるVmaxと、値が290(V)であるVminと、を交互に現像ローラ510に印加する。これにより、感光体20上に形成された潜像は、感光体20の回転に伴って現像位置に至り、現像ローラ510によってトナーで現像される。これにより、感光体20上にトナー像が形成される。
【0085】
次に、ユニット制御部102は、一次転写ユニットを制御して、感光体20に形成されたトナー像を中間転写体70に転写させる(S112)。感光体20上に形成されたトナー像は、感光体20の回転に伴って一次転写位置に至り、一次転写ユニット60によって、中間転写体70に転写される。この際、一次転写ユニット60には、トナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧が印加される。なお、この間、二次転写ユニット80は、中間転写体70から離間している。
【0086】
上記の処理(S102〜S112)が、第2色目、第3色目、及び、第4色目について繰り返して実行されることにより、各画像信号に対応した4色のトナー像が、中間転写体70に重なり合って転写される。これにより、中間転写体70上にはフルカラートナー像が形成される。中間転写体70上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写体70の回転に伴って二次転写位置に至り、二次転写ユニット80によって記録媒体に転写される。これにより、記録媒体に画像が形成される(S114)。なお、記録媒体は、給紙トレイ92から、給紙ローラ94、レジローラ96を介して二次転写ユニット80へ搬送される。また、転写動作を行う際、二次転写ユニット80は中間転写体70に押圧されるとともに二次転写電圧が印加される。
【0087】
記録媒体に転写されたフルカラートナー像は、定着ユニット90によって加熱加圧されて記録媒体に融着される。一方、感光体20は一次転写位置を経過した後に、クリーニングユニット75に支持されたクリーニングブレード76によって、その表面に付着しているトナーが掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされたトナーは、クリーニングユニット75が備える残存トナー回収部に回収される。
【0088】
===トナー情報に基づいたVmaxの設定方法について===
前述したように、Vmax設定部125aは、現像器側メモリから読み込まれたかぶり濃度情報に基づいてVmaxを設定する。以下において、現像器側メモリに記憶されたかぶり濃度情報に基づいたVmaxの設定方法について、図10を参照しつつ説明する。図10は、現像器側メモリから読み込まれたかぶり濃度情報に基づいたVmaxの設定方法を示したフローチャートである。
なお、かぶり濃度情報は、後述する方法により取得され、製造者等により現像器の出荷前に現像器側メモリに記憶される。
【0089】
Vmaxの設定は、現像器着脱位置(図4C)にて着脱部に現像器が装着された状態で、開始される。ユニット制御部102は、現像器保持ユニット50を回転させることにより、4つの着脱部を順次コネクタ着脱位置(図4B)に移動させる(S302)。
【0090】
次に、ユニット制御部102は、装着本体側コネクタ34を移動させて、コネクタ着脱位置に配置された着脱部に現像器が装着されている場合には、当該現像器の現像器側メモリに記憶されているトナー情報(かぶり濃度情報)等を取得する(S304)。例えば、ユニット制御部102は、コネクタ着脱位置に配置された着脱部50dにイエロー現像器54が装着されている場合には、装置本体側コネクタ34を現像器側コネクタ54bに当接させて、イエロー現像器54の現像器側メモリ54aに記憶されているかぶり濃度情報を取得する。そして、ユニット制御部102は、かぶり濃度情報等を読み出し、本体側メモリ122の所定の領域に、現像器毎に記憶する。ここで、ユニット制御部102は、取得したかぶり濃度情報から、例えば、イエロー現像器54に収容されているトナーTのかぶり濃度が0.07であると認識する。
【0091】
次に、ユニット制御部102は、現像器側メモリから読み込まれて本体側メモリ122に記憶されているかぶり濃度情報と、ユニット制御部側メモリ116等に記憶されているVmax設定テーブル(図11)と、を参照して、Vmaxを決定する(S306)。ユニット制御部102は、例えば、かぶりの濃度が0.07である場合には、Vmaxを−1300(V)と決定する。そして、ユニット制御部102は、本体側メモリ122の所定の領域に、現像器毎に決定されたVmaxを記憶する。図11は、Vmax設定テーブルを示した図である。
【0092】
次に、Vmax設定部125aは、決定されたVmax(直流電圧、交流電圧)を、現像器毎に設定する(S308)。例えば、Vmax設定部125aは、かぶりの濃度が0.07であるトナーTを収容しているイエロー現像器54のVmaxを−1300(V)と設定する。
【0093】
===Vminの設定方法について===
前述したとおり、プリンタ10は、所定のタイミングで、画像の濃度を調整するための制御動作(Vmin設定動作)を実行する。ここでは、図12及び図13を用いて、当該制御動作の一例について説明する。図12は、Vminの設定方法を示したフローチャートである。図13は、パッチ像が中間転写体70に形成された様子を示す模式図である。また、以下に説明されるプリンタ10の各種動作は、主として、プリンタ10内のコントローラ部101又はユニット制御部102により実現される。特に、本実施の形態においては、プログラムROMに格納されたプログラムをCPUが処理することにより実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0094】
まず、プリンタ10はパッチ像を現像する(ステップS502)。感光体20は、回転しながら、帯電位置において帯電ユニット30により順次帯電される。感光体20の帯電された領域は、感光体20の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40によって、第1色目、例えばイエローYのパッチ像に係る情報に応じたパッチ潜像が該領域に形成される。感光体20上に形成されたパッチ潜像は、感光体20の回転に伴って現像位置に至り、イエロー現像器54によってイエロートナーで現像される。この際に、現像バイアス発生装置126によって印加される現像バイアスのVminを変化させながら、すなわち、当該直流電圧及び当該交流電圧を変化させながら、現像が行われる。これにより、感光体20上にパッチ像が形成される。
【0095】
感光体20上に形成されたパッチ像は、感光体20の回転に伴って一次転写位置に至り、一次転写ユニット60によって、中間転写体70に転写される(ステップS504)。これにより、図13に示すように、濃度の異なる複数個のパッチ像が中間転写体70上に並ぶこととなる。
中間転写体70の回転により、中間転写体70上のパッチ像の各々がパッチセンサPSに対向する位置に到達する毎に、当該パッチ像の濃度がパッチセンサPSにより検出される(ステップS506)。
そして、総てのパッチ像の濃度が検出された際に、濃度検出結果に基づいて、換言すれば、各パッチ像の検出された濃度を所望の像濃度と比較することにより、最適なVmin、すなわち、最適な直流電圧及び交流電圧、が決定される(ステップS508)。そして、決定されたVminが、本体側メモリ122の所定の領域に、現像器毎に記憶される。
次に、当該制御動作後の現像を最適な現像バイアスで行えるようにするために、前述したVmin設定部125bにより、決定されたVminが設定される(ステップS510)。
【0096】
なお、濃度の検出が完了したパッチ像を構成する残留トナーTは、中間転写体クリーニングユニット(不図示)によって順次クリーニングされる。
【0097】
上記処理が、第2色目、第3色目、及び、第4色目について、各々の現像器毎に順次実行されることにより、最適なVminが各色毎に設定され、画像の濃度を調整するための制御動作が完了する(ステップS512)。
なお、上記においては、濃度の異なる複数個のパッチ像を形成することとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、濃度が徐々に変化する単一のパッチ像を形成することとしてもよい。
【0098】
===選択現像について===
前述したように、現像ローラ510に現像バイアスが印加されると、現像ローラ510に担持されたトナーTが感光体20に向かって飛んで、該感光体20に付着することで、潜像の現像が行われる。ところで、現像バイアスの大きさによっては、現像ローラ510に担持されたトナーTの一部が感光体20に向かって飛ばず、潜像の現像が適切に行われない、いわゆる選択現像が生じる。
【0099】
選択現像が生じる理由を説明する。現像ローラ510に担持されたトナーTは、規制ブレード560によって電荷を付与され、帯電する。その際、トナーTの帯電量は一様ではなく、帯電量が異なるトナーTが、現像ローラ510に担持される。一方、トナーTは、現像ローラ510との間に作用される鏡像力等によって現像ローラ510に担持されている。そのため、現像ローラ510に印加されるVmaxの絶対値が小さい場合には、現像ローラ510から感光体20へトナーTを向かわせようとする力が鏡像力等より小さくなるため、高帯電トナーを現像ローラ510から感光体20へ向かわせることができない。
【0100】
現像バイアスと選択現像との関係について測定結果を用いてより具体的に説明する。
まず、現像バイアスのVmaxのみを変化させた場合の、現像バイアスと選択現像との関係について、図14A及び図14Bを用いて説明する。図14Aは、Vmaxのみを変化させた場合に、感光体20に付着したトナーTの帯電量とトナーTの重量との関係を示したグラフである。図14Bは、Vmaxのみを変化させた場合に、感光体20に付着したトナーTの帯電量とトナーTの個数との関係を示したグラフである。
ここでは、Vmaxがそれぞれ異なる4つの現像バイアスC1、C2、C3、C4が、現像ローラ510に印加されている。現像バイアスC1のVmaxは−1350(V)で、Vminは360(V)である。現像バイアスC2のVmaxは−1250(V)で、Vminは360(V)である。現像バイアスC3のVmaxは−1040(V)で、Vminは360(V)である。現像バイアスC4のVmaxは−900(V)で、Vminは360(V)である。
【0101】
図14A、図14Bに示すように、現像バイアスC1、C2、C3、C4の場合とも、帯電量が−5(μC/g)前後のトナーTの感光体20への付着量が多いのに対し、帯電量が−20(μC/g)前後のトナーT(以下、「高帯電トナー」という)の感光体20への付着量は少ない。
そして、現像バイアスC3、C4の場合には、現像バイアスC1、C2の場合に比べて、高帯電トナーTの感光体20への付着量が少ない。つまり、現像バイアスC3、C4の場合には、現像ローラ510に担持された高帯電トナーTが感光体20に向かって飛び難く、選択現像が生じている。さらに、現像バイアスC3、C4を比較すると、Vmaxの絶対値が小さい現像バイアスC4の場合に、選択現像が生じやすい。そのため、選択現像を防止するためには、現像バイアスのVmaxの絶対値を大きくすることが有効である。
【0102】
次に、現像バイアスのVminのみを変化させた場合の、現像バイアスと選択現像との関係について、図15A及び図15Bを用いて説明する。図15Aは、Vminのみを変化させた場合に、感光体20に付着したトナーTの帯電量とトナーTの重量との関係を示したグラフである。図15Bは、Vminのみを変化させた場合に、感光体20に付着したトナーTの帯電量とトナーTの個数との関係を示したグラフである。
ここでは、Vminがそれぞれ異なる3つの現像バイアスD1、D2、D3が、現像ローラ510に印加されている。現像バイアスD1のVmaxは−1350(V)で、Vminは150(V)である。現像バイアスD2のVmaxは−1350(V)で、Vminは360(V)である。現像バイアスD3のVmaxは−1350(V)で、Vminは480(V)である。
そして、図15A、図15Bに示すように、現像バイアスD1、D2、D3で、感光体20に付着した高帯電トナーTの量に差がほとんどない。そのため、現像バイアスのVminを変化させても、選択現像が生じ難い。
【0103】
===現像バイアスの働き===
上述したように、Vmax設定部125aは、トナー情報に基づいてVmaxを設定し、Vmin設定部125bは、Vmax設定部125aによって設定されたVmaxを維持し、かつ、Vminを変化させて、記録媒体に形成される画像の濃度を調整する。これにより、選択現像を防止し、かつ、かぶりやトナーTの飛散が増加することを防止することが可能となる。
いわゆる選択現像の防止を考慮すると、Vmaxを、その絶対値が大きくなるように、固定し、かつ、Vminのみを変化させて、画像の濃度を調整することが有効である。
【0104】
しかしながら、固定されたVmaxの絶対値が大きすぎる場合には、現像ローラ510から感光体20へ向かうトナーTが増えてしまい、感光体20の非画像部でのかぶりや、現像ローラ510からのトナーTの飛散が増加する恐れがある。
ところで、プリンタ10には、様々なトナーTが用いられる。そして、トナーTが異なると、かぶりやトナーTの飛散が発生しやすいVmaxの絶対値が異なることがある。
【0105】
そこで、本実施形態において、Vmax設定部125aは、トナー情報に基づいてVmaxを設定する。
より具体的に説明する。Vmax設定部125aは、トナー情報としてのかぶり濃度情報に基づいて、Vmaxを設定する。すなわち、Vmax設定部125aは、かぶり等が発生しやすいトナーTを用いて現像がされる場合には、Vmaxの絶対値を小さく設定する。これにより、現像ローラ510から感光体20へ向かうトナーTが増えてしまうことを防止できるから、かぶりの増加を防止することが可能となる。また、現像ローラ510から感光体20へ向かうトナーTが増えてしまうことを防止できる場合には、トナーTの飛散の増加も防止することも可能となる。一方、Vmax設定部125aは、かぶり等が発生し難いトナーTを用いて現像がされる場合には、Vmaxの絶対値を高く設定する。これにより、有効に選択現像を防止することが可能となる。
【0106】
以上から、Vmax設定部125aがトナー情報(かぶり濃度情報)に基づいてVmaxを設定する場合には、現像に供されるトナーTに応じて適切なVmaxが設定されるから、選択現像を防止し、かつ、かぶりやトナーTの飛散が増加することを防止することが可能となる。
【0107】
===プリンタ10の動作の第二実施例===
上述したプリンタにおいて、Vmax設定部125aは、現像器側メモリに記憶されたかぶり濃度に基づいて、Vmaxを設定していた。一方、以下に説明するプリンタにおいては、Vmax設定部125aが、パッチセンサPSが中間転写体70に生じたかぶりの濃度を検出することにより取得されたかぶり濃度(以下、「取得かぶり濃度」ともいう)、に基づいてVmaxを設定する。
【0108】
取得かぶり濃度に基づいたVmaxを設定方法について、図16を参照しつつ説明する。図16は、Vmaxの設定方法を示したフローチャートである。
【0109】
Vmaxの設定は、新しい現像器がプリンタ本体10aに装着されてプリンタ10に電源に投入された状態にて、開始される(S702)。
ユニット制御部102は、現像ローラ510に現像バイアスを印加させない状態にて、現像ローラ510を回転させる(S704)。現像ローラ510に現像バイアスが印加されないので、現像ローラ510から感光体20にトナーTが向かわず、感光体20にかぶりは生じない。また、ユニット制御部102は、現像器以外のユニット、すなわち、中間転写体70等を回転させる。
【0110】
次に、ユニット制御部102は、パッチセンサPSを制御して、中間転写体70の濃度を検出する(S706)。パッチセンサPSは、かぶりが生じていない中間転写体70の表面の濃度を検出する。ここで、パッチセンサPSが検出した濃度は、0.10であるとする。
【0111】
次に、帯電バイアス発生装置127bが帯電ユニット30に所定の帯電バイアスを印加する(S708)。例えば、帯電バイアス発生装置127bは、感光体20の表面の帯電電位が−380(V)となるように帯電ユニット30に帯電バイアスを印加する。なお、帯電電位の−380(V)は、上述の通常に画像を形成する際の帯電電位(−530V)と異なっており、帯電電位が−380(V)である場合には感光体20上にかぶりが生じやすい。そして、ユニット制御部102は、露光ユニット40を制御して、帯電された感光体20にレーザを照射しない、すなわち、感光体20上に潜像を形成しない。
【0112】
次に、現像バイアス発生装置126は、現像ローラ510に所定の現像バイアスを印加する(S710)。ここで、現像バイアス発生装置126から現像ローラ510に印加されるVmaxは、−1250(V)である。現像ローラ510に現像バイアスが印加されるので、感光体20にかぶりが生じる。そして、ユニット制御部102は、一次転写ユニット60を制御して、感光体20上のかぶりを中間転写体70に転写させる。
【0113】
次に、ユニット制御部102は、パッチセンサPSを制御して、中間転写体70の濃度を検出する(S712)。パッチセンサPSは、かぶりが生じている中間転写体70の表面の濃度を検出する。ここで、パッチセンサPSが検出した濃度は、0.17であるとする。
【0114】
次に、ユニット制御部102は、S706で検出された濃度とS712で検出された濃度との差を計算することによって、かぶり濃度を求める(S714)。S706で検出された濃度が0.10であり、S714で検出された濃度が0.17であるので、かぶり濃度は、0.07である。
【0115】
次に、ユニット制御部102は、Vmax設定テーブル(図11)を参照してVmaxを決定する(S716)。ユニット制御部102は、S714で求めたかぶり濃度が0.07であるから、Vmax設定テーブルを参照して、Vmaxを−1300(V)と決定する。そして、ユニット制御部102は、本体側メモリ122の所定の領域に、現像器毎に決定されたVmaxを記憶する。そして、Vmax設定部125aは、決定されたVmax(直流電圧、交流電圧)を、現像器毎に設定する(S718)。
【0116】
なお、「トナー情報に基づいたVmax設定方法について」の項で、現像器側メモリに記憶されるかぶり濃度情報の取得方法について言及したが、該かぶり濃度情報は、S702〜S714と同様な処理によって取得される。
【0117】
===その他の実施形態===
以上、上記実施の形態に基づき本発明に係る画像形成装置等を説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0118】
本発明は、感光体20(像担持体)と、現像ローラ510(現像剤担持体)と、転写部(一次転写ユニット60、中間転写体70、二次転写ユニット80)と、現像バイアス発生装置126(電圧印加部)と、Vmax設定部125a(第一電圧設定部)と、Vmin設定部125b(画像濃度調整部)と、を有するプリンタ10(画像形成装置)に関するものである。
【0119】
なお、上記実施の形態において、画像形成装置として中間転写型のフルカラーレーザビームプリンタを例にとって説明したが、本発明は、中間転写型以外のフルカラーレーザビームプリンタ、モノクロレーザビームプリンタ、複写機、ファクシミリなど、各種の画像形成装置に適用可能である。
【0120】
なお、上記実施の形態において、ロータリー方式の現像装置を備えた画像形成装置を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、タンデム方式の現像装置を備えた画像形成装置にも、本発明を適用することができる。
【0121】
なお、上記実施の形態において、像担持体である感光体は、円筒状の導電性基材の外周面に感光層を設けた構成として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ベルト状の導電性基材の表面に感光層を設けて構成した、いわゆる感光ベルトであってもよい。
【0122】
さらに、上記実施形態において、現像器側メモリに記憶されているトナー情報として、かぶり濃度情報が用いられたが、これに限定されるものではない。
例えば、現像器側メモリに記憶されているトナー情報として、粒径情報が用いられてもよい。ここで、粒径情報とは、例えば、粒径5(μm)以下のトナー粒子の割合を示す情報である。粒径が5μm以下のトナー粒子(以下、「小トナー粒子」という)と、粒径が5μmより大きいトナー粒子(以下、「大トナー粒子」)と、が含まれている場合に、小トナー粒子の量が多いと、現像ローラ510に、帯電量が大きい小トナー粒子が担持されている層と、その外側に帯電量が小さい大トナー粒子が担持される層が形成されやすい。かかる場合に、帯電量が小さい大トナー粒子によって、かぶりやトナーの飛散が増加しやすい。そこで、Vmax設定部125aが粒径5(μm)以下のトナー粒子の割合に基づいてVmaxを設定する場合には、選択現像を防止し、かつ、かぶりやトナーTの飛散の増加を防止できる、適切なVmaxを設定することが可能となる。
【0123】
また、現像器側メモリに記憶されているトナー情報として、外添剤情報が用いられてもよい。ここで、外添剤情報とは、例えば、シリカと酸化チタンのそれぞれの割合を示す情報である。シリカの割合と酸化チタンの割合とによっては、かぶりやトナーの飛散が発生する量が異なることがある。そのため、Vmax設定部125aがシリカの割合と酸化チタンとの割合とに基づいてVmaxを設定する場合には、選択現像を防止し、かつ、かぶりやトナーTの飛散の増加を防止できる最適なVmaxを設定することが可能となる。
【0124】
また、現像器側メモリに記憶されているトナー情報として、トナーTの色に関する色情報や、トナーTのロットに関するロット情報が用いられてもよい。トナーTの色が異なると、該トナーの構成物が異なるため、かぶりやトナーTの飛散の度合いが異なる。また、ロット毎にトナーTが異なることがあるので、かぶりやトナーTの飛散の度合いが異なる。そのため、Vmax設定部125aが色情報もしくはロット情報に基づいてVmaxを設定する場合には、選択現像を防止し、かつ、かぶりやトナーTの飛散の増加を防止できる最適なVmaxを設定することが可能となる。
【0125】
さらに、上記実施形態において、Vmax設定部125aは、一つの情報(かぶり濃度情報)に基づいてVmaxを設定することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、Vmax設定部125aは、上述した、かぶり濃度情報、粒径情報、外添剤情報、色情報、ロット情報のうちの2以上の情報に基づいて、Vmaxを設定することとしてもよい。
【0126】
さらに、上記実施形態において、図1に示すように、転写部には、感光体20に形成されたトナー像(現像剤像)を記録媒体(媒体)に転写する際の媒介となる中間転写体70(転写媒介部材)が設けられていることとした。そして、転写部は、感光体20に形成されたトナー像を中間転写体70に転写し、かつ、該中間転写体70に転写されたトナー像を記録媒体に転写して、画像を形成することとした。また、図1に示すように、プリンタ10は、記録媒体に形成される画像の濃度を調整するために中間転写体70に形成されたパッチ像(テストパターン)の濃度を検出するパッチセンサPS(濃度検出部材)を有することとした。また、Vmin設定部125bは、パッチセンサPSによるパッチ像の濃度の検出結果に基づいて、Vminを変化させることとした。
しかし、上記に限定されるものではない。例えば、パッチセンサPSは、感光体20上に形成されたパッチ像の濃度を検出することとしてもよい。
【0127】
さらに、上記実施形態において、図1及び図3に示すように、プリンタ10は、プリンタ本体10a(画像形成装置本体)に着脱可能であり、現像ローラ510を備え、該現像ローラ510に担持されるトナーTを収容するための現像器51、52、53、54(現像装置)を有することとした。また、図5A及び図5Bに示すように、現像器51、52、53、54には、収容されたトナーTに関するトナー情報が記憶されている現像器側メモリ51a、52a、53a、54a(現像装置記憶部)が設けられていることとした。また、図10に示すように、Vmax設定部125aは、現像器側メモリ51a、52a、53a、54aから読み込まれたトナー情報に基づいて、Vmaxを設定することとした。
しかし、上記に限定されるものではない。例えば、トナー情報はユーザーによって入力されることとしてもよい。
【0128】

さらに、上記実施形態において、図1に示すように、前記転写部には、感光体20に形成されたトナー像を記録媒体に転写する際の媒介となる中間転写体70が設けられていることとした。また、前記転写部は、感光体20に形成されたトナー像を中間転写体70に転写し、かつ、該中間転写体70に転写されたトナー像を記録媒体に転写して、画像を形成することとした。また、図1に示すように、プリンタ10は、中間転写体70に生じたかぶりの濃度を検出するためのパッチセンサPS(濃度検出部材)を有することとした。また、図16に示すように、パッチセンサPSが中間転写体70に生じたかぶりの濃度を検出することにより、前記かぶり濃度情報が取得されることとした。
しかし、上記に限定されるものではない。例えば、パッチセンサPSが感光体20に生じたかぶりの濃度を検出することにより、かぶり濃度情報が取得されることとしてもよい。
【0129】
さらに、上記実施形態において、現像ローラ510は、金属製であることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、現像ローラ510は、非金属製であることとしてもよい。
ただし、現像ローラ510が金属製である場合には、現像ローラ510が非金属製である場合に比べて、トナーTと現像ローラ510との間に作用される鏡像力が強いため、いわゆる選択現像が起こりやすい。そのため、現像ローラ510が金属製である場合には、選択現像を防止する観点から、Vmaxが大きくなる可能性が高くなり、かぶりやトナーTの飛散がより発生しやすい。そこで、現像ローラ510が金属製である場合には、かぶりやトナーTの飛散の増加を防止することが可能という効果がより有効に奏される。従って、上記実施形態の方がより望ましい。
【0130】
さらに、上記実施形態において、トナーTは、粉砕法によって製造されていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、トナーは、重合法によって製造されていることとしてもよい。
ただし、粉砕法によって製造されたトナーは、重合法によって製造されたトナーに比べて、帯電分布が広いために、いわゆる選択現像が起こりやすい。そのため、トナーTが粉砕法によって製造されている場合には、選択現像を防止する観点から、第一電圧が大きくなる可能性が高く、かぶりや現像剤の飛散がより発生しやすい。そのため、トナーTが粉砕法によって製造されている場合には、かぶりやトナーTの飛散の増加を防止することが可能という効果がより有効に奏される。従って、上記実施形態の方がより望ましい。
【0131】
===画像形成システム等の構成===
次に、本発明に係る実施の形態の一例である画像形成システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0132】
図17は、画像形成システムの外観構成を示した説明図である。画像形成システム700は、コンピュータ702と、表示装置704と、プリンタ10と、入力装置708と、読取装置710とを備えている。
コンピュータ702は、本実施形態ではミニタワー型の筐体に収納されているが、これに限られるものではない。表示装置704は、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ10は、上記に説明されたプリンタが用いられている。入力装置708は、本実施形態ではキーボード708Aとマウス708Bが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置710は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置710AとCD−ROMドライブ装置710Bが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばMO(Magneto Optical)ディスクドライブ装置やDVD(Digital Versatile Disk)等の他のものであっても良い。
【0133】
図18は、図17に示した画像形成システムの構成を示すブロック図である。コンピュータ702が収納された筐体内にRAM等の内部メモリ802と、ハードディスクドライブユニット804等の外部メモリがさらに設けられている。
【0134】
なお、以上の説明においては、プリンタ10が、コンピュータ702、表示装置704、入力装置708、及び、読取装置710と接続されて画像形成システムを構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、画像形成システムが、コンピュータ702とプリンタ10から構成されても良く、画像形成システムが表示装置704、入力装置708及び読取装置710のいずれかを備えていなくても良い。
【0135】
また、例えば、プリンタ10が、コンピュータ702、表示装置704、入力装置708、及び、読取装置710のそれぞれの機能又は機構の一部を持っていても良い。一例として、プリンタ10が、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部等を有する構成としても良い。
【0136】
このようにして実現された画像形成システムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】プリンタ10の主要構成要素を示した図である。
【図2】現像器の概念図である。
【図3】現像器の主要構成要素を示した断面図である。
【図4】図4Aは、HP位置を示している。図4Bは、コネクタ着脱位置を示している。図4Cは、イエロー現像器54の着脱位置を示している。
【図5】図5Aは、離間位置に係る図である。図5Bは当接位置に係る図である。
【図6】制御ユニット100を示すブロック図である。
【図7】現像バイアスの波形を示した図である。
【図8】プリンタ10の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】VmaxとVminの変化を示した模式図である。
【図10】現像器側メモリから読み込まれたトナー情報に基づいたVmaxの設定方法を示したフローチャートである。
【図11】Vmax設定テーブルを示した図である。
【図12】Vminの設定方法を示したフローチャートである。
【図13】パッチ像が中間転写体70に形成された様子を示す模式図である。
【図14】図14Aは、Vmaxのみを変化させた場合に、感光体20に付着したトナーTの帯電量と重量との関係を示したグラフである。図14Bは、Vmaxのみを変化させた場合に、感光体20に付着したトナーTの帯電量と個数との関係を示したグラフである。
【図15】図15Aは、Vminのみを変化させた場合に、感光体20に付着したトナーTの帯電量と重量との関係を示したグラフである。図15Bは、Vminのみを変化させた場合に、感光体20に付着したトナーTの帯電量と個数との関係を示したグラフである。
【図16】Vmaxの設定方法を示したフローチャートである。
【図17】画像形成システムの外観構成を示した説明図である。
【図18】図17に示した画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0138】
10 プリンタ、10a プリンタ本体、20 感光体、30 帯電ユニット、
31 HP検出部、34 装置本体側コネクタ、40 露光ユニット、
50 現像器保持ユニット、50a、50b、50c、50d 着脱部、50e 回転軸、
51 ブラック現像器、52 シアン現像器、53 マゼンタ現像器、
54 イエロー現像器、51a、52a、53a、54a 現像器側メモリ、
51b、52b、53b、54b 現像器側コネクタ、60 一次転写ユニット、
70 中間転写体、75 クリーニングユニット、76 クリーニングブレード、
80 二次転写ユニット、90 定着ユニット、92 給紙トレイ、94 給紙ローラ、95 表示ユニット、96 レジローラ、100 制御ユニット、
101 コントローラ部、102 ユニット制御部、112 インターフェース、
113 画像メモリ、114 コントローラ部側メモリ、114a EEPROM、
114b RAM、116 ユニット制御部側メモリ、116a EEPROM、
120 CPU、121 シリアルインターフェース(I/F)、122 本体側メモリ、
123 入出力ポート、125 現像バイアス制御回路、125a Vmax設定部、
125b Vmin設定部、126 現像バイアス発生装置、
127a 帯電バイアス制御回路、127b 帯電バイアス発生装置、
510 現像ローラ、520 シール部材、524 シール付勢部材、
530 トナー収容部、540 ハウジング、550 トナー供給ローラ、
560 規制ブレード、560a ゴム部、560b ゴム支持部、
570 ブレード裏部材、572 開口、700 画像形成システム、
702 コンピュータ、704 表示装置、708 入力装置、708A キーボード、
708B マウス、710 読取装置、710A フレキシブルディスクドライブ装置、
710B CD−ROMドライブ装置、802 内部メモリ、
804 ハードディスクドライブユニット、PS パッチセンサ、T トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を担持するための像担持体と、
現像剤を担持し、該現像剤によって前記像担持体に担持された潜像を現像するための現像剤担持体と、
前記潜像の現像により前記像担持体に形成された現像剤像を媒体に転写して、画像を形成する転写部と、
前記潜像の現像のために、前記現像剤担持体から前記像担持体へ現像剤を向かわせるための第一電圧と、前記像担持体から前記現像剤担持体へ現像剤を向かわせるための第二電圧と、を前記現像剤担持体に交互に印加する電圧印加部と、
現像剤に関する現像剤情報に基づいて前記第一電圧を設定するための第一電圧設定部と、
前記第一電圧設定部によって設定された前記第一電圧を維持し、かつ、前記第二電圧を変化させて、前記媒体に形成される画像の濃度を調整するための画像濃度調整部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記現像剤情報は、現像剤の粒径に関する粒径情報であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記現像剤は、母粒子と該母粒子に外添された外添剤とを有し、
前記現像剤情報は、前記外添剤に関する外添剤情報であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記転写部には、前記像担持体に形成された現像剤像を前記媒体に転写する際の媒介となる転写媒介部材が設けられており、
前記転写部は、前記像担持体に形成された現像剤像を前記転写媒介部材に転写し、かつ、該転写媒介部材に転写された現像剤像を前記媒体に転写して、画像を形成し、
前記媒体に形成される画像の濃度を調整するために前記転写媒介部材に形成されたテストパターンの濃度を検出する濃度検出部材を有し、
前記画像濃度調整部は、前記濃度検出部材による前記テストパターンの濃度の検出結果に基づいて、前記第二電圧を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置であって、
画像形成装置本体に着脱可能であり、前記現像剤担持体を備え、該現像剤担持体に担持される現像剤を収容するための現像装置を有し、
前記現像装置には、収容された現像剤に関する前記現像剤情報が記憶されている現像装置記憶部が設けられ、
前記第一電圧設定部は、前記現像装置記憶部から読み込まれた前記現像剤情報に基づいて、前記第一電圧を設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記現像剤情報は、かぶりの濃度に関するかぶり濃度情報であり、
前記転写部には、前記像担持体に形成された現像剤像を前記媒体に転写する際の媒介となる転写媒介部材が設けられており、
前記転写部は、前記像担持体に形成された現像剤像を前記転写媒介部材に転写し、かつ、該転写媒介部材に転写された現像剤像を前記媒体に転写して、画像を形成し、
前記転写媒介部材に生じたかぶりの濃度を検出するための濃度検出部材を有し、
前記濃度検出部材が前記転写媒介部材に生じたかぶりの濃度を検出することにより、前記かぶり濃度情報が取得されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記現像剤担持体は、金属製であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記現像剤は、粉砕法によって製造されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記電圧印加部が前記第一電圧と前記第二電圧とを前記現像剤担持体に印加する前には、前記現像剤担持体に担持された現像剤が、前記像担持体と接触せず、
前記電圧印加部が前記第一電圧を前記現像剤担持体に印加した場合には、前記現像剤担持体に担持された現像剤が、前記像担持体に向かって飛んで該像担持体に付着し、
前記電圧印加部が前記第二電圧を前記現像剤担持体に印加した場合には、前記像担持体に付着した現像剤が、前記現像剤担持体に向かって飛んで該現像剤担持体に戻ることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
潜像を担持するための像担持体と、
現像剤を担持し、該現像剤によって前記像担持体に担持された潜像を現像するための現像剤担持体と、
前記潜像の現像により前記像担持体に形成された現像剤像を媒体に転写して、画像を形成する転写部と、
前記潜像の現像のために、前記現像剤担持体から前記像担持体へ現像剤を向かわせるための第一電圧と、前記像担持体から前記現像剤担持体へ現像剤を向かわせるための第二電圧と、を前記現像剤担持体に交互に印加する電圧印加部と、
現像剤に関する現像剤情報に基づいて前記第一電圧を設定するための第一電圧設定部と、
前記第一電圧設定部によって設定された前記第一電圧を維持し、かつ、前記第二電圧を変化させて、前記媒体に形成される画像の濃度を調整するための画像濃度調整部と、
を有し、
前記現像剤情報は、現像剤の粒径に関する粒径情報であり、
前記現像剤は、母粒子と該母粒子に外添された外添剤とを有し、
前記現像剤情報は、前記外添剤に関する外添剤情報であり、
前記転写部には、前記像担持体に形成された現像剤像を前記媒体に転写する際の媒介となる転写媒介部材が設けられており、
前記転写部は、前記像担持体に形成された現像剤像を前記転写媒介部材に転写し、かつ、該転写媒介部材に転写された現像剤像を前記媒体に転写して、画像を形成し、
前記媒体に形成される画像の濃度を調整するために前記転写媒介部材に形成されたテストパターンの濃度を検出する濃度検出部材を有し、
前記画像濃度調整部は、前記濃度検出部材による前記テストパターンの濃度の検出結果に基づいて、前記第二電圧を変化させ、
画像形成装置本体に着脱可能であり、前記現像剤担持体を備え、該現像剤担持体に担持される現像剤を収容するための現像装置を有し、
前記現像装置には、収容された現像剤に関する前記現像剤情報が記憶されている現像装置記憶部が設けられ、
前記第一電圧設定部は、前記現像装置記憶部から読み込まれた前記現像剤情報に基づいて、前記第一電圧を設定し、
前記現像剤情報は、かぶりの濃度に関するかぶり濃度情報であり、
前記転写部には、前記像担持体に形成された現像剤像を前記媒体に転写する際の媒介となる転写媒介部材が設けられており、
前記転写部は、前記像担持体に形成された現像剤像を前記転写媒介部材に転写し、かつ、該転写媒介部材に転写された現像剤像を前記媒体に転写して、画像を形成し、
前記転写媒介部材に生じたかぶりの濃度を検出するための濃度検出部材を有し、
前記濃度検出部材が前記転写媒介部材に生じたかぶりの濃度を検出することにより、前記かぶり濃度情報が取得され、
前記現像剤担持体は、金属製であり、
前記現像剤は、粉砕法によって製造されており、
前記電圧印加部が前記第一電圧と前記第二電圧とを前記現像剤担持体に印加する前には、前記現像剤担持体に担持された現像剤が、前記像担持体と接触せず、
前記電圧印加部が前記第一電圧を前記現像剤担持体に印加した場合には、前記現像剤担持体に担持された現像剤が、前記像担持体に向かって飛んで該像担持体に付着し、
前記電圧印加部が前記第二電圧を前記現像剤担持体に印加した場合には、前記像担持体に付着した現像剤が、前記現像剤担持体に向かって飛んで該現像剤担持体に戻ることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
コンピュータ、並びに、このコンピュータに接続可能な画像形成装置であって、
潜像を担持するための像担持体と、
現像剤を担持し、該現像剤によって前記像担持体に担持された潜像を現像するための現像剤担持体と、
前記潜像の現像により前記像担持体に形成された現像剤像を媒体に転写して、画像を形成する転写部と、
前記潜像の現像のために、前記現像剤担持体から前記像担持体へ現像剤を向かわせるための第一電圧と、前記像担持体から前記現像剤担持体へ現像剤を向かわせるための第二電圧と、を前記現像剤担持体に交互に印加する電圧印加部と、
現像剤に関する現像剤情報に基づいて前記第一電圧を設定するための第一電圧設定部と、
前記第一電圧設定部によって設定された前記第一電圧を維持し、かつ、前記第二電圧を変化させて、前記媒体に形成される画像の濃度を調整するための画像濃度調整部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項12】
現像剤に関する現像剤情報に基づいて、現像剤を担持する現像剤担持体から潜像を担持する像担持体へ現像剤を向かわせるための第一電圧を設定するステップと、
媒体に形成される画像の濃度を調整するために、設定された前記第一電圧を維持し、かつ、前記像担持体から前記現像剤担持体へ現像剤を向かわせるための第二電圧を変化させるステップと、
維持された前記第一電圧と変化後の前記第二電圧とを前記現像剤担持体に交互に印加して、前記潜像を現像するステップと、
前記潜像の現像により前記像担持体に形成された現像剤像を前記媒体に転写して、画像を形成するステップと、
を有することを特徴とする画像形成方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2006−47928(P2006−47928A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232464(P2004−232464)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】