画像形成装置、画像形成方法及び支持機構
【課題】複数の感光体2Y,M,C,Kの配列方向における位置決めと、その配列方向に直交する直交方向における位置決めとを、それぞれ設計上で要求される位置決め精度に合わせた材料からなる位置決め部で行う。
【解決手段】配列方向に移動しようとする感光体2Y,M,C,Kに、それぞれ個別に当接して感光体2Y,M,C,Kの配列方向への動きを規制する複数の切り欠き部を設けた前側ピッチ位置決め部材82及び後側ピッチ位置決め部材92と、直交方向に移動しようとする感光体2Y,M,C,Kに、それぞれ個別に当接してそれら感光体2Y,M,C,Kの直交方向への動きを規制する複数の案内溝(81Y〜K、91Y〜K)を設けた前側板80及び後側板90とを筺体内に設け、前側ピッチ位置決め部材82と前側板80とを互いに別体である異なる部材で構成し、且つ、後側ピッチ位置決め部材92と後側板90とを互いに別体である異なる部材で構成した。
【解決手段】配列方向に移動しようとする感光体2Y,M,C,Kに、それぞれ個別に当接して感光体2Y,M,C,Kの配列方向への動きを規制する複数の切り欠き部を設けた前側ピッチ位置決め部材82及び後側ピッチ位置決め部材92と、直交方向に移動しようとする感光体2Y,M,C,Kに、それぞれ個別に当接してそれら感光体2Y,M,C,Kの直交方向への動きを規制する複数の案内溝(81Y〜K、91Y〜K)を設けた前側板80及び後側板90とを筺体内に設け、前側ピッチ位置決め部材82と前側板80とを互いに別体である異なる部材で構成し、且つ、後側ピッチ位置決め部材92と後側板90とを互いに別体である異なる部材で構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複数の潜像担持体におけるそれぞれの表面に潜像を書き込んだ後、それら潜像を現像してそれぞれの潜像担持体の表面上で可視像を得てから、それら可視像を転写体に重ね合わせて転写する画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。また、かかる画像形成装置に搭載される支持機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置においては、複数の潜像担持体の配列ピッチに誤差があると、それぞれの潜像担持体の表面上で現像した可視像を転写体に対して互いに位置ズレさせて転写してしまう。そして、これにより、転写体上での各可視像の重ね合わせずれを引き起こしてしまう。
【0003】
また、この種の画像形成装置では、複数の潜像担持体に対してそれぞれ潜像を書き込む潜像書込装置を、それら潜像担持体の配列方向と直交する方向(以下、直交方向という)に位置させて、各潜像担持体に対向させるのが一般的である。かかる構成において、潜像書込装置として、露光によって潜像を書き込むものを用いた場合には、潜像担持体と潜像書込装置との距離が各潜像担持体間でばらついてしまうと、それぞれの潜像担持体に対する露光書込倍率に誤差が発生する。そして、この誤差により、それぞれの潜像担持体上でのドットのサイズを異ならせて画像を乱してしまう。
【0004】
一方、特許文献1には、所定のピッチで並ぶ複数の開口部を画像形成装置の側板に形成し、それら開口部に複数の潜像担持体のうちの対応するものをそれぞれ個別に係合させるようにした画像形成装置が記載されている。かかる構成では、それぞれの潜像担持体を、側板に所定のピッチで設けられた開口部に係合させて配列方向と上記直交方向との両方向に位置決めする。これにより、各潜像担持体の配列ピッチの誤差を抑えて、その誤差による可視像の重ね合わせズレを抑えることができる。また、各潜像担持体における潜像書込装置との距離の誤差を抑えて、その誤差による画像の乱れを抑えることもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、この画像形成装置では、各潜像担持体を側板の位置決め部たる開口部との係合によって配列方向及び上記直交方向の両方向に位置決めするものであるため、両方向の位置決めをそれぞれ個別に行うことができなかった。そして、このことが、画像形成装置の低コスト化や軽量化の妨げになっていた。具体的には、一般に、潜像担持体は上記直交方向よりも配列方向に対して高い位置決め精度が要求される。各潜像担持体における潜像書込装置との距離の誤差による画像の乱れよりも、配列ピッチの誤差による重ね合わせズレの方が深刻な画質劣化を引き起こすからである。このため、配列方向については、歪みや変形の少ない金属などの高剛性の材料によって形成した位置決め部で各潜像担持体の動きを規制して比較的精度の高い位置決めを行う必要がある。この一方で、上記直交方向については、高剛性の材料で形成した位置決め部によって各潜像担持体の動きを規制する必要は必ずしもなく、樹脂などの低剛性の材料で形成した位置決め部でも所望の位置決め精度を実現し得る場合がある。しかしながら、上記特許文献1に記載の画像形成装置では、潜像担持体における配列方向及び上記直交方向の両方向の位置決めを上述の開口部という1つの位置決め部によって行っている。このため、両方向においてそれぞれ、設計上で要求される位置決め精度に合わせた位置決め部の材料の選定を行うことができず、より高い位置決め精度が要求される配列方向に合わせて、側板の全体を板金という高剛性の材料で構成している。そして、このことにより、装置のコストアップや重量増加を引き起こしていた。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、次のような画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。即ち、複数の潜像担持体の配列方向における位置決めと、上記直交方向における位置決めとを、それぞれ設計上で要求される位置決め精度に合わせた材料からなる位置決め部で行うことで、低コスト化や軽量化を図ることができる画像形成装置等である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、所定方向に並ぶように配設された複数の潜像担持体と、それら潜像担持体の表面にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込装置とを備える画像形成装置であって、上記所定方向に移動しようとする上記複数の潜像担持体、又はそれら複数の潜像担持体をそれぞれ個別に保持する複数の保持体に、それぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該所定方向への動きを規制する複数の第1当接部と、該所定方向に直交する方向である直交方向に移動しようとするそれら複数の潜像担持体又は保持体に、それぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該直交方向への動きを規制する複数の第2当接部とを画像形成装置内に有し、且つ、該複数の第1当接部を有する部材と、該複数の第2当接部を有する部材とが互いに別体で構成された異なる部材であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置であって、上記直交方向が、重力方向であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の画像形成装置であって、上記複数の潜像担持体がそれぞれ回転軸を中心にして回転するものであり、且つ、上記複数の第1当接部を有する部材、あるいは、上記複数の第2当接部を有する部材が、それら複数の潜像担持体又は上記保持体に対して回転軸線方向からそれぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該回転軸線方向への動きを規制する複数の第3当接部を有するものであることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1の画像形成装置であって、上記複数の潜像担持体又は保持体を該潜像担持体の動作位置から上記潜像書込装置に向けて案内する案内部を有する支持体により、該複数の潜像担持体又は保持体を支持し、且つ上記直交方向が該案内部による潜像担持体又は保持体の案内方向であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかの画像形成装置において、上記潜像書込装置として、光走査によって上記複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込むものを用い、上記複数の第1当接部を有する部材として、上記複数の潜像担持体又は保持体における該潜像書込装置の光走査方向の一端側にそれぞれ当接する複数の第1当接部を有する部材と、他端側にそれぞれ当接する複数の第1当接部を有する部材との2つを設け、且つ、上記複数の第2当接部を有する部材として、該複数の潜像担持体又は保持体における該光走査方向の一端側にそれぞれ当接する複数の第2当接部を有する部材と、他端側にそれぞれ当接する複数の第2当接部を有する部材との2つを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項2乃至4の何れかの画像形成装置において、上記複数の潜像担持体又は保持体を上記所定方向、重力方向、回転軸線方向又はスライド移動方向に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記複数の潜像担持体又は保持体を上記スライド移動方向に付勢する付勢手段を、該潜像担持体又は保持体を付勢する位置と付勢しない位置との間で移動可能に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項2乃至4の何れかの画像形成装置において、上記潜像担持体に駆動力を伝達する複数のギヤの噛み合いによる反動で、上記複数の潜像担持体又は保持体をそれぞれ上記所定方向又は回転軸線方向に付勢するようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れかの画像形成装置において、上記複数の第1当接部を有する部材として、上記複数の第2当接部を有する部材よりも高剛性のものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れかの画像形成装置であって、上記複数の第2当接部を有する部材が、上記複数の潜像担持体を支持する支持部材であることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至10の何れかの画像形成装置であって、上記複数の第2当接部を有する部材が、上記潜像書込装置を支持する支持部材であることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1乃至11の何れかの画像形成装置において、上記複数の第2当接部を有する部材として、上記複数の第1当接部を有する部材よりも比重の小さいものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項12の画像形成装置において、上記複数の第1当接部を有する部材として、金属からなるものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項12又は13の画像形成装置において、上記複数の第2当接部を有する部材として、樹脂からなるものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項1乃至14の何れかの画像形成装置において、上記複数の第1当接部を有する部材、又は上記複数の第2当接部を有する部材として、導電性材料からなるものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項1乃至15の何れかの画像形成装置において、上記複数の潜像担持体についてそれぞれ、少なくとも該潜像担持体と、これの表面を一様帯電せしめる帯電手段、又は該潜像担持体に担持される潜像を現像する現像手段とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能にしたプロセスユニットとして構成したことを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、所定方向に並ぶように配設された複数の潜像担持体におけるそれぞれの表面に潜像を書き込む書込工程と、該複数の潜像担持体に担持された潜像をそれぞれ個別に現像する現像工程と、該複数の潜像担持体の表面上でそれぞれ現像された可視像を転写体に重ね合わせて転写する転写工程とを実施する画像形成方法において、上記所定方向に移動しようとする上記複数の潜像担持体、又はそれら複数の潜像担持体をそれぞれ個別に保持する複数の保持体に、それぞれ複数の第1当接部の何れかを当接させてそれら複数の潜像担持体の該所定方向への動きを規制する工程と、該所定方向に直交する方向である直交方向に移動しようとするそれら複数の潜像担持体又は保持体に、それぞれ複数の第2当接部の何れかを当接させてそれら複数の潜像担持体の該直交方向への動きを規制する工程とを実施しながら、上記書込工程、現像工程及び転写工程を実施し、且つ、該複数の第1当接部を有する部材として、該複数の該第2当接部を有する部材とは別体で構成された異なる部材を用いることを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、所定方向に並ぶように配設された複数の潜像担持体と、それら潜像担持体の表面にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込装置とを備える画像形成装置における該潜像担持体と該潜像書込装置とを支持する支持機構であって、上記所定方向に移動しようとする上記複数の潜像担持体、又はそれら複数の潜像担持体をそれぞれ個別に保持する複数の保持体に、それぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該所定方向への動きを規制する複数の第1当接部と、該所定方向に直交する方向である直交方向に移動しようとするそれら複数の潜像担持体又は保持体に、それぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該直交方向への動きを規制する複数の第2当接部とを有し、且つ、該複数の第1当接部を有する部材と、該複数の第2当接部を有する部材とが互いに別体で構成された異なる部材であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
これらの発明においては、各潜像担持体を配列方向(所定方向)に位置決めするための位置決め部たる複数の第1当接部を有する部材と、各潜像担持体を直交方向に位置決めするための位置決め部たる複数の第2当接部を有する部材とを、互いに別体としたことで、それらの部材として、互いに異なる材料からなるものを用いることが可能である。よって、各潜像担持体の配列方向における位置決めと、各潜像担持体の直交方向における位置決めとを、それぞれ設計上で要求される位置決め精度に合わせた材料からなる位置決め部で行って低コスト化や軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタのK用のプロセスユニットを示す拡大構成図。
【図3】同プリンタにおける上カバーとその周囲構成とを示す拡大構成図。
【図4】同プリンタの筺体内における右側端部を示す斜視図。
【図5】第1付勢コイルバネによって付勢される光書込ユニットの第1基準位置部材とその周囲構成とを示す模式図。
【図6】同プリンタの内部構成の一部を示す分解斜視図。
【図7】同プリンタにおける前側ピッチ位置決め部材を取り外した状態の前側板の一部を同光書込ユニットの一部とともにプリンタの前側から示す部分正面図。
【図8】同前側ピッチ位置決め部材を取り付けた状態の同前側板の一部を同光書込ユニットの一部とともにプリンタの前側から示す部分正面図。
【図9】同光書込ユニットによる感光体表面上での光走査線が感光体の軸線や中間転写ベルトの幅方向線から傾いている状態の感光体及び中間転写ベルトを上方から示す模式図。
【図10】感光体の軸線が、同光走査線や同幅方向線から傾いている状態の感光体及び中間転写ベルトを上方から示す模式図。
【図11】同前側ピッチ位置決め部材を各色のプロセスユニットとともに示す正面図。
【図12】同プリンタの第1変形例装置におけるY用のプロセスユニットとその周囲構成とを示す正面図。
【図13】Y用のプロセスユニットの前側端部を同前側ピッチ位置決め部材の一部とともに示す拡大斜視図。
【図14】同光書込ユニットをカバーフレーム及び4つのプロセスユニットとともに示す正面図。
【図15】同プリンタの第2変形例装置におけるY用のプロセスユニットとその周囲構成とを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、このプリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット1Y,M,C,Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Kトナー像を形成するためのプロセスユニット1Kを例にすると、図2に示すように、潜像担持体たるドラム状の感光体2K、ドラムクリーニング装置3K、除電装置(不図示)、帯電装置4K、現像装置5K等を備えている。画像形成ユニットたるプロセスユニット1Kは、プリンタ本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
【0011】
上記帯電装置4Kは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体2Kの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体2Kの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、図示しないKトナーを用いる現像装置5KによってYトナー像に現像される。そして、後述する中間転写ベルト16上に中間転写される。ドラムクリーニング装置3Kは、中間転写工程を経た後の感光体2K表面に付着している転写残トナーを除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体2Kの残留電荷を除電する。この除電により、感光体2Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色のプロセスユニット(1Y,M,C)においても、同様にして感光体(2Y,M,C)上に(Y,M,C)トナー像が形成されて、後述する中間転写ベルト16上に中間転写される。なお、感光体2Kにおける筒状のドラム部は、中空のアルミ素管のおもて面に有機感光層が被覆されたものである。このドラム部の軸線方向の両端部にそれぞれドラム軸を有するフランジが取り付けられて、感光体2Kを構成している。
【0012】
現像手段たる現像装置5Kは、図示しないKトナーを収容する縦長のホッパ部6Kと、現像部7Kとを有している。ホッパ部6K内には、図示しない駆動手段によって回転駆動されるアジテータ8K、これの鉛直方向下方で図示しない駆動手段によって回転駆動される撹拌パドル9K、これの鉛直方向で図示しない駆動手段によって回転駆動されるトナー供給ローラ10Kなどが配設されている。ホッパ部6K内のKトナーは、アジテータ8Kや撹拌パドル9Kの回転駆動によって撹拌されながら、自重によってトナー供給ローラ10Kに向けて移動する。トナー供給ローラ10Kは、金属製の芯金と、これの表面に被覆された発泡樹脂等からなるローラ部とを有しており、ホッパ部6K内のKトナーをローラ部の表面に付着させながら回転する。
【0013】
現像装置5Kの現像部7K内には、感光体2Kやトナー供給ローラ10Kに当接しながら回転する現像ローラ11Kや、これの表面に先端を当接させる薄層化ブレード12Kなどが配設されている。ホッパ部6K内のトナー供給ローラ10Kに付着したKトナーは、現像ローラ11Kとトナー供給ローラ10Kとの当接部で現像ローラ11Kの表面に供給される。供給されたKトナーは、現像ローラ11Kの回転に伴ってローラと薄層化ブレード12Kとの当接位置を通過する際に、ローラ表面上での層厚が規制される。そして、層厚規制後のKトナーは、現像ローラ11Kと感光体2Kとの当接部である現像領域において、感光体2K表面のK用の静電潜像に付着する。この付着により、K用の静電潜像がKトナー像に現像される。
【0014】
図2を用いてK用のプロセスユニットについて説明したが、Y,M,C用のプロセスユニット1Y,M,Cにおいても、同様のプロセスにより、感光体2Y,M,C表面にY,M,Cトナー像が形成される。
【0015】
先に示した図1において、プロセスユニット1Y,M,C,Kの鉛直方向上方には、光書込ユニット70が配設されている。潜像書込装置たる光書込ユニット70は、画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザ光Lにより、プロセスユニット1Y,M,C,Kにおける感光体2Y,M,C,Kを光走査する。この光走査により、感光体2Y,M,C,K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット70は、光源から発したレーザ光(L)を、図示しないポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。LEDアレイの複数のLEDから発したLED光によって光書込を行うものを採用してもよい。
【0016】
プロセスユニット1Y,M,C,Kの鉛直方向下方には、無端状の中間転写ベルト16を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写ユニット15が配設されている。転写手段たる転写ユニット15は、中間転写ベルト16の他に、駆動ローラ17、従動ローラ18、4つの1次転写ローラ19Y,M,C,K、2次転写ローラ20、ベルトクリーニング装置21、クリーニングバックアップローラ22などを備えている。
【0017】
中間転写ベルト16は、そのループ内側に配設された駆動ローラ17、従動ローラ18、クリーニングバックアップローラ22及び4つの1次転写ローラ19Y,M,C,Kによって張架されている。そして、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ17の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。
【0018】
4つの1次転写ローラ19Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト16を感光体2Y,M,C,Kとの間に挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト16のおもて面と、感光体2Y,M,C,Kとが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。
【0019】
1次転写ローラ19Y,M,C,Kには、図示しない転写バイアス電源によってそれぞれ1次転写バイアスが印加されており、これにより、感光体2Y,M,C,Kの静電潜像と、1次転写ローラ19Y,M,C,Kとの間に転写電界が形成される。なお、1次転写ローラ19Y,M,C,Kに代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
【0020】
Y用のプロセスユニット1Yの感光体2Y表面に形成されたYトナーは、感光体2Yの回転に伴って上述のY用の1次転写ニップに進入すると、転写電界やニップ圧の作用により、感光体2Y上から中間転写ベルト16上に1次転写される。このようにしてYトナー像が1次転写せしめられた中間転写ベルト16は、その無端移動に伴ってM,C,K用の1次転写ニップを通過する際に、感光体2M,C,K上のM,C,Kトナー像が、Yトナー像上に順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト16上には4色トナー像が形成される。
【0021】
転写ユニット15の2次転写ローラ20は、中間転写ベルト16のループ外側に配設されて、ループ内側の従動ローラ18との間に中間転写ベルト16を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト16のおもて面と、2次転写ローラ20とが当接する2次転写ニップが形成されている。2次転写ローラ20には、図示しない転写バイアス電源によって2次転写バイアスが印加される。この印加により、2次転写ローラ20と、アース接続されている従動ローラとの間には、2次転写電界が形成される。
【0022】
転写ユニット15の鉛直方向下方には、記録紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット30がプリンタの筐体に対してスライド着脱可能に配設されている。この給紙カセット30は、紙束の一番上の記録紙Pに給紙ローラ30aを当接させており、これを所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転させることで、その記録紙Pを給紙路31に向けて送り出す。
【0023】
給紙路31の末端付近には、レジストローラ対32が配設されている。このレジストローラ対32は、給紙カセット30から送り出された記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録紙Pを上述の2次転写ニップ内で中間転写ベルト16上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙Pを2次転写ニップに向けて送り出す。
【0024】
2次転写ニップで記録紙Pに密着せしめられた中間転写ベルト16上の4色トナー像は、2次転写電界やニップ圧の影響を受けて記録紙P上に一括2次転写され、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録紙Pは、2次転写ニップを通過すると、2次転写ローラ20や中間転写ベルト16から曲率分離する。そして、転写後搬送路33を経由して、後述する定着装置34に送り込まれる。
【0025】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト16には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト16のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置21によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト16のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ22は、ベルトクリーニング装置21によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
【0026】
定着装置34は、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ34aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ34bとによって定着ニップを形成している。定着装置34内に送り込まれた記録紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ34aに密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。
【0027】
定着装置34内から排出された記録紙Pは、定着後搬送路35を経由した後、排紙路36と反転前搬送路41との分岐点にさしかかる。定着後搬送路35の側方には、回動軸42aを中心にして回動駆動される切替爪42が配設されており、その回動によって定着後搬送路35の末端付近を閉鎖したり開放したりする。定着装置34から記録紙Pが送り出されるタイミングでは、切替爪42が図中実線で示す回動位置で停止して、定着後搬送路35の末端付近を開放している。よって、記録紙Pが定着後搬送路35から排紙路36内に進入して、排紙ローラ対37のローラ間に挟み込まれる。
【0028】
図示しないテンキー等からなる操作部に対する入力操作や、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる制御信号などにより、片面プリントモードが設定されている場合には、排紙ローラ対37に挟み込まれた記録紙Pがそのまま機外へと排出される。そして、筐体の上カバー50の上面であるスタック部にスタックされる。
【0029】
一方、両面プリントモードに設定されている場合には、先端側を排紙ローラ対37に挟み込まれながら排紙路36内を搬送される記録紙Pの後端側が定着後搬送路35を通り抜けると、切替爪42が図中一点鎖線の位置まで回動して、定着後搬送路35の末端付近が閉鎖される。これとほぼ同時に、排紙ローラ対37が逆回転を開始する。すると、記録紙Pは、今度は後端側を先頭に向けながら搬送されて、反転前搬送路41内に進入する。
【0030】
図1は、本プリンタを正面側から示している。図紙面に直交する方向の手前側がプリンタの前面であり、奥側が後面である。また、本プリンタの図中右側が右側面、左側が左側面である。本プリンタの右端部は、回動軸40aを中心に回動することで筐体本体に対して開閉可能な反転ユニット40になっている。排紙ローラ対37が逆回転すると記録紙Pがこの反転ユニット40の反転前搬送路41内に進入して、鉛直方向上側から下側に向けて搬送される。そして、反転搬送ローラ対43のローラ間を経由した後、半円状に湾曲している反転搬送路44内に進入する。更に、その湾曲形状に沿って搬送されるのに伴って上下面が反転せしめられながら、鉛直方向上側から下側に向けての進行方向も反転して、鉛直方向下側から上側に向けて搬送される。その後、上述した給紙路31内を経て、2次転写ニップに再進入する。そして、もう一方の面にもフルカラー画像が一括2次転写された後、転写後搬送路33、定着装置34、定着後搬送路35、排紙路36、排紙ローラ対37を順次経由して、機外へと排出される。
【0031】
上述の反転ユニット40は、外部カバー45と揺動体46とを有している。具体的には、反転ユニット40の外部カバー45は、プリンタ本体の筺体に設けられた回動軸40aを中心にして回動するように支持されている。この回動により、外部カバー45は、その内部に保持している揺動体46とともに筺体に対して開閉する。図中点線で示すように、外部カバー45がその内部の揺動体46とともに開かれると、反転ユニット40とプリンタ本体側との間に形成されていた給紙路31、2次転写ニップ、転写後搬送路33、定着ニップ、定着後搬送路35、排紙路36が縦に2分されて、外部に露出する。これにより、給紙路31、2次転写ニップ、転写後搬送路33、定着ニップ、定着後搬送路35、排紙路36内のジャム紙を容易に取り除くことができる。
【0032】
また、揺動体46は、外部カバー45が開かれた状態で、外部カバー45に設けられた図示しない揺動軸を中心にして回動するように外部カバー45に支持されている。この回動により、揺動体46が外部カバー45に対して開かれると、反転前搬送路41や反転搬送路44が縦に2分されて外部に露出する。これにより、反転前搬送路41内や反転搬送路44内のジャム紙を容易に取り除くことができる。
【0033】
プリンタの筺体の上カバー50は、図中矢印で示すように、軸部材51を中心にして回動自在に支持されており、図中反時計回り方向に回転することで、筺体に対して開いた状態になる。そして、筺体の上部開口を大きく露出させる。
【0034】
図3は、本プリンタにおける上カバー50とその周囲構成とを示す拡大構成図である。同図において、上カバー50の裏面には、カバーフレーム52が固定されており、これは光書込ユニット70を保持している。より詳しく説明すると、カバーフレーム52は、プリンタ前後方向(図紙面に直交する方向)に所定の距離をおいて対向する前板及び後板(不図示)と、これらを連結する図示しないリブとを有している。そして、前板、後板には、それぞれ互いに対向する位置に矩形状の開口52aを有している。一方、光書込ユニット70は、そのケーシング71における前壁に突設せしめられた円柱状の第1基準位置部材71aを有している。また、同図では示されていないが、ケーシング71の後壁に突設せしめられた円柱状の第2基準位置部材も有している。これら基準位置部材は、同一軸線上で延在するように設けられている。光書込ユニット70は、カバーフレーム52の前板と後板との間に位置している。そして、ケーシング71の前壁に突設せしめられた第1基準位置部材71aを、カバーフレーム52の前板に設けられた開口52aに貫通させている。また、同図では示していないが、ケーシング71の後壁に突設せしめられた第2基準位置部材を、カバーフレーム52の後板に設けられた開口に貫通させている。更に、光書込ユニット70は、ケーシング70の左側端部上面にフック部71cを有している。このフック部71cは、上カバー50の下面に固定されたコイルバネ53によって上カバー50から遠ざかる方向に付勢されて、カバーフレーム52の突き当て部52bに突き当たっている。このように、光書込ユニット70は、その前側端部の第1基準位置部材71aと、後側端部の第2基準位置部材とをカバーフレーム52の開口に貫通させながら、左側端部のフック部71cをカバーフレーム52の突き当て部52bに突き当てることで、カバーフレーム52に保持されている。なお、カバーフレーム52については、上カバー52の本体と一体成型したものを採用してもよい。
【0035】
カバーフレーム52の前板に設けられた開口52aや、図示しない後板に設けられた開口は、光書込ユニット70の第1基準位置部材71aや図示しない第2基準位置部材の径よりもかなり大きなサイズになっている。光書込ユニット70は、前板の開口52aと第1基準位置部材71aとの間のクリアランスや、後板の開口と第2基準位置部材との間のクリアランスの範囲内で遊動可能にカバーフレーム52に保持されている。
【0036】
上カバー50は、カバーフレーム52の前板や後板の左側端部に、それぞれ軸穴52cを有している。一方、プリンタの筺体内には、その前面の近傍に前側板80が立設せしめられている。また、同図では示していないが、この前側板80の後側で前側板80と所定の距離をおいて対向している後側板も立設せしめられている。そして、これら前側板80、後側板の左上隅付近には、それぞれ軸穴(前側板80の場合には80a)が設けられている。上カバー50のカバーフレーム52の左側端部は、これら前側板80と後側板との間に挿入されており、この状態で図示しない軸部材(図1の51)が前側板80の軸穴80a、カバーフレーム52の前板の軸穴52c、後側板80の軸穴、カバーフレーム52の後板の軸穴に順次貫通するようにセットされる。これにより、上カバー50、カバーフレーム52及び光書込ユニット70は、図1に示したように、前述の軸部材51を中心にして回動するように、筺体内の前側板(80)や後側板に支持される。
【0037】
カバーフレーム52に保持される光書込ユニット70は、上カバー50の開閉動作に伴って、横並びのプロセスユニット1Y,M,C,Kの何れにも対面しない待避位置と、それらユニットにそれぞれ対面する動作位置との間を移動することができる。
【0038】
なお、カバーフレーム52の前板や後板には、それぞれ右側端部に図示しないフックを設けており、上カバー50を閉じた状態では、これらのフックを筺体内の前側板80や後側板に設けた図示しない伸縮ピンに係合させる。そして、この係合により、カバーフレーム52の右側端部の移動を係止するようになっている。カバーフレーム52の左側端部の動きは、軸部材(図1の51)によって規制される。
【0039】
カバーフレーム52の前板には、カバーフレーム52の開口52aを貫通している第1基準位置部材71aを左上から右下に向けて斜め方向に付勢する第1付勢手段たる第1付勢コイルバネ54が固定されている。図3では、第1基準位置部材71aを開口52aの中心位置に示しているが、上カバー50を開いた状態では、第1付勢コイルバネ54によって付勢される第1基準位置部材71aが開口52a内壁の右下隅に押し当てられた状態で、光書込ユニット70がカバーフレーム52に保持される。なお、同図では示していないが、カバーフレーム52の後板には、その開口を貫通している第2基準位置部材を装置本体正面から見て左上から右下に向けて斜め方向に付勢する第2付勢手段たる第2付勢コイルバネが固定されている。
【0040】
一方、筺体内の前側板80の上部には、図4及び図5に示すように、上カバーが閉じられるのに伴って動作位置にきた光書込ユニット70を位置決めするための第1位置決め部80bが設けられている。この第1位置決め部80bは、第1付勢コイルバネ(図3の54)によって付勢されてくる第1基準位置部材71aに当接する2つの当接面を有している。1つ目の当接面は、図中矢印X方向への第1基準位置部材71aの移動を規制する第3方向規制当接面S3である。図中矢印X方向は、光書込ユニット70の潜像書込方向(主走査方向)である前後方向(図紙面に直交する方向)に直交し、且つ各プロセスユニット(各感光体)の配列方向と同方向である。2つ目の当接面は、図中矢印Z方向への第1基準位置部材71aの移動を規制する第2方向規制当接面S2である。
【0041】
なお、光書込ユニット70の第1基準位置部材71aは、先に図1に示した軸部材51を中心にして弧を描くように移動するが、図5に示した第1位置決め部80bの第2方向規制当接面S2に当接するときには、同図に示すように、図中矢印Z方向に移動している。
【0042】
先に示した図3において、第1付勢コイルバネ54は、上カバー50が閉じられて動作位置にある光書込ユニット70の第1基準位置部材71aを付勢して、図8に示した第1位置決め部80bの第3方向規制当接面S3と第2方向規制当接面S2との両方に突き当てる。これにより、動作位置にある光書込ユニット70の前側端部が、X方向に位置決めされるとともに、Z方向にも位置決めされる。
【0043】
また、先に示した図4において、前側板80の後側に配設された後側板90の上部には、上カバーが閉じられるのに伴って動作位置にきた光書込ユニット70を位置決めするための第2位置決め部90bが設けられている。この第2位置決め部90bは、図示しない第2付勢コイルバネによって付勢されてくる第2基準位置部材71bに当接する2つの当接面を有している。1つ目の当接面は、図中矢印X方向への第2基準位置部材71bの移動を規制する第3方向規制当接面であり、2つ目の当接面は、図中矢印Z方向への第2基準位置部材71bの移動を規制する第2方向規制当接面である。
【0044】
カバーフレーム52の図示しない後板に固定された第2付勢コイルバネは、動作位置にある光書込ユニット70の第2基準位置部材71bを付勢して、第2位置決め部90bの第3方向規制当接面と第2方向規制当接面との両方に突き当てる。これにより、動作位置にある光書込ユニット70の後側端部が、X方向に位置決めされるとともに、Z方向にも位置決めされる。
【0045】
かかる構成の本プリンタでは、光書込ユニット70を必要に応じて上カバー50の回転によって動作位置から待避位置に移動させることで、感光体やその周囲装置を内包する各プロセスユニット1Y,M,C,Kから大きく離間させる。そして、この離間によって各プロセスユニット1Y,M,C,Kを露出させて、それらのメンテナンス性を向上させることができる。
【0046】
また、動作位置にある光書込ユニット70の基準位置部材を付勢コイルバネによる付勢で筺体内の位置決め部に当接させることで、光書込ユニット70を筺体内の各感光体に対して位置決めする。このため、光書込ユニット70を移動可能に保持ながら自らも移動する保持体たるカバーフレーム52がある程度のガタツキをもって移動したとしても、光書込装置70を動作位置で筺体内の各感光体に対して位置決めして、光書込ユニット70の書込位置精度の低下を抑えることができる。
【0047】
また、光書込ユニット70の潜像書込方向(前後方向)の一端部(前側端部)に第1基準位置部材71aを設けるとともに、他端部(後側端部)に第2基準位置部材71bを設け、これらをそれぞれ両端部にそれぞれ第3方向規制当接面S3に当接させることで次のことが可能になる。即ち、光書込ユニット70の潜像書込方向の両端部でそれぞれ、潜像書込方向に直交し、且つ感光体表面の光書込位置における移動方向と同方向である図中矢印X方向の位置決めを行う。これにより、感光体表面に対する潜像書込方向を表面移動方向に直交する方向に精度良く位置合わせして、感光体表面上における潜像書込方向のスキュー(表面移動方向に直交する方向からの傾き)を抑えることで、画像の紙面上でのスキューを抑えることができる。
【0048】
更には、光書込ユニット70を潜像書込方向の両端部でそれぞれ第2方向規制当接面S2に当接させて移動方向の位置決めを行うことで、一端部側から他端部側への光書込ユニット70の傾きを抑えることもできる。
【0049】
本プリンタのように所定方向に並べた各色用の感光体(2Y,M,C,K)に形成したトナー像を転写体たる中間転写ベルト16に重ね合わせて転写する構成では、各感光体の軸線方向の平行度や、各感光体の軸線方向と光書込ユニット70による光走査線との平行度がずれてしまうと各色のトナー像に重ね合わせズレが発生してしまう。そのずれ量は、平行度のずれ量にもよるが200[μmm]程度にも及ぶことがある。各感光体の軸線方向と、光書込ユニット70による光走査線とが平行で、且つ通紙方向に対して直角であるのが理想的であり、この場合には重ね合わせズレが発生しない。但し、その理想的な位置関係になるように各感光体、光書込ユニット70、転写ユニット15をそれぞれ位置決めすることは困難である。
【0050】
そこで、従来より、レーザー走査線の感光体に対する平行度をソフト的あるいはメカ的に調整する方法が種々検討されている。また、各感光体における光書込ユニット70と距離の誤差については、走査開始タイミングや倍率操作などといったソフト的な調整によって調整が可能である。しかし、各感光体の軸線方向における平行度の誤差に起因する重ね合わせズレは、前述のようなソフト的な調整では最適化が困難である。また、メカ的な調整を行うとコストアップを引き起こしてしまう。よって、各感光体の軸線方向両端部における配列ピッチを高精度に位置決めして、各感光体の平行度を高精度に維持することが重ね合わせズレを抑える上で重要となる。
【0051】
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
図6は、本プリンタの内部構成の一部を示す分解斜視図である。本プリンタは、図示しない筐体内にて、互いに前後方向(図中矢印Y方向)に所定の距離をおいて対向する前側板80と後側板90とが立設せしめられている。前側板80は、単純な扁平板形状ではなく、エンボス状に凹凸する各部が形成された複雑な形状をしているが、各部は同じ樹脂材料が型によって一体成型されたものである。また、後側板90も同様である。
【0052】
前側板80における後側板90との対向面には、上端側から下端側に向けて延在する4つの案内溝81Y,81M,81C,81Kが、図中矢印X方向において所定のピッチで並ぶように形成されている。これら案内溝(81Y〜K)の鉛直方向上端は、上方に向けて開口している。また、これら案内溝(81Y〜K)の鉛直方向下端は、それぞれ感光体(2Y〜K)の前ドラム軸2aY,2aM,2aC,2aKを当接させながら摺動回転可能に受ける軸受けになっている。後側板90における前側板80との対向面にも、同様の案内溝91Y,91M,91C,91Kが形成されている。但し、これら案内溝91Y〜Kは、図示しない感光体の前ドラム軸(2aY〜K)ではなく、反対側の図示しない後ドラム軸を摺動回転可能に受ける軸受けになっている。なお、図中矢印X方向は、図示しない4つの感光体の配列方向と同じ方向である。
【0053】
前側板80における後側板90との対向面には、板金製の前側ピッチ位置決め部材82がネジ固定される。この前側ピッチ位置決め部材82には、上端から下端に向けて延在する4つの切り欠き部が図中矢印X方向に所定のピッチで並ぶように形成されている。後側板90における前側板80との対向面にも、同様の後側ピッチ位置決め部材92がネジ固定される。
【0054】
なお、プロセスユニット1Y,M,C,Kは、それぞれ、図示しない感光体(2Y,M,C,K)の前ドラム軸2aY,2aM,2aC,2aKをケーシングの前壁から回転可能に突出させている。また、同図には示していないが、それぞれ、感光体(2Y,M,C,K)の後ドラム軸をケーシングの後壁から回転可能に突出させている。
【0055】
図7は、前側ピッチ位置決め部材を取り外した状態の前側板80の一部を光書込ユニット70の一部とともにプリンタの前側から示す部分正面図である。Y用のプロセスユニット1Kをプリンタ内にセットするときには、プロセスユニット1Kの前側端部において、ケーシングの前壁から突出している感光体2Yの前ドラム軸2aYを、前側板80のY用の案内溝81Yに対してその上端側から差し込む。同時に、ケーシングの後壁から突出している感光体2Yの図示しない後ドラム軸を、図示しない後側板のY用の案内溝に対してその上端側から差し込む。そして、前側板80におけるY用の案内溝81Yの上端部に差し込んだ前ドラム軸2aYや、後側板におけるY用の案内溝の上端部に差し込んだ後ドラム軸を、それぞれ、溝の延在方向に沿って鉛直方向上側から下側に向けてスライド移動させるように、プロセスユニット1Kを重力方向下方に下げている。すると、前ドラム軸2aYが前側板80の案内溝81Yの下端部に引っ掛かり、且つ、後ドラム軸が後側板の案内溝の下端部に引っ掛かったところで、それ以上のスライド移動が阻止される。この状態で、感光体2Yの前ドラム軸2aYが前側板80の案内溝81Yの下端部に摺動回転可能に支持されるとともに、図示しない後ドラム軸が後側板の案内溝の下端部に摺動回転可能に支持される。そして、感光体2Yやプロセスユニット1Kにおける鉛直方向(図6の矢印Z方向)の位置決めがなされる。ここで、鉛直方向は、感光体配列方向(図6の矢印X方向)に直交する直交方向(図6の矢印Z方向)である。よって、前側板80におけるY用の案内溝81Yの下端部は、直交方向に移動しようとする感光体2Yの前ドラム軸2aYに当接して感光体2Yの直交方向への動きを規制する第2当接部として機能している。また、同図には示していないが、後側板(90)におけるY用の案内溝(91Y)の下端部も、同様にして第2当接部として機能している。
【0056】
先に図6に示したように、前側板80には、Y用の案内溝81Yの他に、M,C,K用の案内溝81M,C,Kも形成されている。また、後側板90にも、Y用の案内溝91Yの他に、M,C,K用の案内溝91M,C,Kが形成されている。M,C,K用の感光体(2M,C,K)は、Y用の感光体(2Y)と同様にして、その前側端部の前ドラム軸2aM,2aC,2aKが前側板80の案内溝81M,C,Kの下端部に当接して摺動回転可能に支持される。同時に、その後側端部の後ドラム軸が後側板90の案内溝91M,C,Kの下端部に当接して摺動回転可能に支持される。よって、前側板80におけるM,C,Kの案内溝81M,C,Kの下端部や、後側板90におけるM,C,K用の案内溝91M,C,Kの下端部も、直交方向に移動しようとする感光体(2M,C,K)の後ドラム軸に当接して感光体(2M,C,K)の直交方向への動きを規制する第2当接部として機能している。
【0057】
なお、前側板80が配設されるプリンタ前側端部は、各感光体(2Y,M,C,K)における光書込ユニット(70)の光走査方向(主走査方向)の一端側である。また、後側板90が配設されるプリンタ後側端部は、各感光体における光走査方向の他端側である。よって、前側板80は、4つの感光体(2Y,M,C,K)における一端側である前側の前ドラム軸(2aY,M,C,K)にそれぞれ当接する複数の第2当接部(案内溝の下端部)を有する部材として機能している。また、後側板90は、4つの感光体における他端側である後側の後ドラム軸にそれぞれ当接する複数の第2当接部を有する部材として機能している。
【0058】
また、前側板80の4つの案内溝91Y,M,C,Kの幅は、それぞれ感光体(2Y,M,C,K)の前ドラム軸2aY,M,C,Kの径よりも大きくなっているため、前ドラム軸2aY,M,C,Kは矢印X方向(感光体配列方向)にある程度のガタツキをもって溝下端部に支持される。
【0059】
前側板80の案内溝81Y,M,C,Kの下端部や、後側板90の案内溝91Y,M,C,Kの下端部は、それぞれプロセスユニット1Y,M,C,Kの荷重を受ける。また、前側板80や後側板90は、図示のような複雑な形状をしている。これらのことから、各案内溝としては、そのドラム軸線方向の長さ(溝深さ)が、板金のような薄厚寸法のものではなく、5mm以上などといったある程度大きな寸法のものを設けることが望ましい。そうしないと、極めて小面積の箇所でドラム軸を受けることによって、各案内溝の下端部やドラム軸を著しく摩耗させてしまうからである。また、前側板80や後側板90としては、樹脂製であっても、ある程度の強度を発揮させるように、フィラー等の添加物の添加によって樹脂素材の構成を高めた材料からなるものを用いることが望ましい。優れた強度という観点だけからすれば、金属材料が望ましいが、金属材料は成型性に劣るため、それによって図示のような複雑な形状の前側板80や後側板90を成型するのは困難である。
【0060】
図8は、前側ピッチ位置決め部材82を取り付けた状態の前側板80の一部を光書込ユニット70の一部とともにプリンタの前側から示す部分正面図である。同図に示すように、前側ピッチ位置決め部材82は、自らのY,M用の切り欠き部83Y,Mの下端部を、前側板80におけるY,M用の案内溝81Y,Mの下端部よりも鉛直方向下側に位置させるようにして、前側板80に固定される。このため、Y,M用の感光体の前ドラム軸は、鉛直方向上側に位置する案内溝81Y,Mの下端部に支持される。前側ピッチ位置決め部材82における図示しないC,K用の切り欠き部も案内溝の下端部よりも下側に位置しているため、C,K用の感光体の前ドラム軸も、鉛直方向上側に位置する案内溝の下端部に支持される。
【0061】
前側ピッチ位置決め部材82におけるY用の切り欠き部83Yは、鉛直方向上方に向けて開口しているため、上壁を有していないが、左内壁、右内壁、底壁という3つの内壁を有している。図中の左側で鉛直方向に延在しているのが左壁であり、図中の右側で鉛直方向に延在しているのが右内壁であり、図中で水平方向に延在しているのが底壁である。これらのうち、底壁や右壁は前ドラム軸2aYに接触していないが、左壁は、図中右側から左側に向けて移動しようとする前ドラム軸2aYに当接する。これは、後述する理由により、感光体2Yの前ドラム軸2aYが感光体並び方向であるX方向を図中右側から左側に向けて移動しようとするからである。よって、前側ピッチ位置決め部材82のY用の切り欠き部83Yにおける左壁は、所定方向である感光体並び方向(矢印X方向)に移動しようとする感光体2Yの前ドラム軸に当接して感光体2Yの感光体並び方向への動きを規制する第1当接部として機能している。同図には示していないが、前側ピッチ位置決め部材82のM,C,K用の切り欠き部における左壁も、同様にして、第1当接部として機能している。よって、前側ピッチ位置決め部材82は、複数の感光体(2Y,M,C,K)の光走査方向の一端側である前側の前ドラム軸にそれぞれ当接する複数の第1当接部を有する部材として機能している。
【0062】
図8を用いて、プリンタ前側端部での前側ピッチ位置決め部材82による各感光体の配列方向への動きを規制することについて説明したが、先に図6に示した後側ピッチ位置決め部材92も、Y,M,C,K用の切り欠き部の左壁を感光体(2Y,M,C,K)の後ドラム軸に当接させる。よって、後側ピッチ位置決め部材92も、複数の感光体(2Y,M,C,K)の光走査方向の一端側である前側の前ドラム軸にそれぞれ当接する複数の第1当接部を有する部材として機能している。
【0063】
かかる構成の本プリンタにおいては、各感光体(2Y,M,C,K)を配列方向(矢印X方向)に位置決めするための複数の第1当接部を有する前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92と、各感光体を直交方向(矢印Z方向)に位置決めするための複数の第2当接部を有する前側板80や後側板90とを、互いに別体にしている。すると、前側ピッチ位置決め部材82と前側板80との組み合わせや、後側ピッチ位置決め部材92や後側板90との組み合わせとして、互いに異なる材料からなるものを用いることが可能になる。そこで、本プリンタでは、より高精度の位置決めが要求される配列方向については、比較的高剛性の板金からなる前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材によって各感光体の位置決めを行っている。この一方で、配列方向ほど高い位置決め精度が要求されない直交方向については、比較的低剛性の樹脂からなる前側板80や後側板90によって各感光体の位置決めを行っている。そして、前側板80や後側板90として、金属ではなく、樹脂からなるものを用いることで、装置の低コスト化や軽量化を図ることができる。
【0064】
また、本プリンタでは、各感光体(2Y,M,C,K)の配列方向における位置決めを、比較的剛性の高い板金からなる前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92によって行うことで、前側、後側ともに、各感光体の配列ピッチ誤差を±0.1[mm]以下に抑えることができている。
【0065】
前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92としては、厚さ(感光体軸線方向と同方向の長さ)が0.3〜3.0[mm]、好ましく名0.8〜2.0[mm]の板状の金属部材からなるものを用いることが望ましい。本プリンタでは、厚さが1.2[mm]であって、表面に電気亜鉛メッキ処理が施された鋼板(SECC)を用いている。なお、上記直交方向における位置決めをこれらピッチ位置決め部材とは別部材で行うという観点の他に、1.2[mm]という比較的薄厚のピッチ位置決め部材における厚み方向の面をドラム軸に当接させないようにするという観点からも、プロセスユニットの重力がかかってしまう切り欠き部(83Y〜K)の底壁にはドラム軸を当接させていない。
【0066】
また、本プリンタでは、配列方向(矢印X方向)及び直交方向(矢印Z方向)の位置決めを、各感光体の光走査方向における一端側と他端側とでそれぞれ行うことで、各感光体の配列方向面(X面)上における平行度のズレと、直交方向面(Z面)上における平行度のズレとの両方を抑えることができる。
【0067】
このようにして各感光体の平行度のズレを抑えることは、中間転写ベルト(16)に対する各色トナー像の重ね合わせズレを抑える上で、非常に重要な事項となる。これは次に説明する理由による。即ち、各感光体をそれぞれ精度良く平行に配設すると、各感光体の軸線方向と、転写体の表面における搬送方向と直交する方向(本プリンタでは中間転写ベルトの幅方向)との平行度を精度良く設定し易くなる。ここで、仮に、感光体2Yと、中間転写ベルト16と、光書込ユニット(70)による光走査線との関係が図9に示すような関係であったとする。同図において、中間転写ベルト16の表面は図中右側から左側に向けて移動し、この方向は感光体の並び方向(図6における矢印X方向)と同じである。ベルト表面においてかかる方向に直交する方向がベルト幅方向である。感光体2Yの軸線L1と、中間転写ベルト16の幅方向に延在する仮想線であるベルト幅方向線L3と、感光体2Y表面上における光走査線L2とが互いに平行であることが理想であるが、図示の例では、軸線L1とベルト幅方向線L3とだけが平行になっている。光走査線L2は、感光体2Y表面上において軸線L1から角度θをもって傾いている。このような傾きがある場合、図示のように、中間転写ベルト16に転写されるライン画像が、ベルト幅方向から角度θだけ傾く。これに対し、図10に示すように、光走査線L2とベルト幅方向線L3とは平行であるが、軸線L1がそれらから角度θをもって傾いた場合は、中間転写ベルト16の傾きがその倍の2θになってしまう。このような理由から、各感光体を精度良く平行に配設し、且つそれらの軸線をベルト幅方向に沿わせることが、各色トナー像の重ね合わせズレを抑えるために重要な要素となるのである。
【0068】
図11は、前側ピッチ位置決め部材82を各色のプロセスユニット1Y,M,C,Kとともに示す正面図である。各色のプロセスユニット1Y,M,C,Kの図示しない感光体の後ドラム軸には、それぞれ感光体ギヤ2aY,2cM,2cC,2cKが固定されている。そして、これら感光体ギヤ2aY,2cM,2cC,2cKには、それぞれ図示しないY,M,C,K用の駆動モータのモータ軸に固定された原動ギヤ85Y,M,C,Kが鉛直方向下方から当接して噛み合っている。原動ギヤ85Y,M,C,Kは、駆動モータの駆動に伴って図中反時計回り方向(矢印B方向)に回転する。そして、それら原動ギヤ85Y,M,C,Kに噛み合っている感光体ギヤ2aY,2cM,2cC,2cK、ひいては図示しないY,M,C,K用の感光体は、それぞれ図中時計周り方向(矢印A方向に回転する)。このようなギヤの噛み合いの反動を受けて、プロセスユニット1Y,M,C,Kや、各感光体の前ドラム軸及び後ドラム軸には、それぞれ、プリンタの右側から左側に向けて(図中矢印D方向)移動しようとする力が働く。そして、この力を受けて図中右側から左側に向けて移動しようとする前ドラム軸2aY,2aM,2aC,2aKが、前側ピッチ位置決め部材82におけるY,M,C,K用の切り欠き部83Y,M,C,Kの左壁に当接する。これにより、各感光体(2Y,M,C,K)やプロセスユニット1Y,M,C,Kが感光体配列方向に位置決めされる。なお、プリンタの後側端部では、同様にして、図中右側から左側に向けて移動しようとする図示しない後ドラム軸が図示しない後側ピッチ位置決め部材(図6の92)におけるY,M,C,K用の切り欠き部の左壁に当接する。
【0069】
このように、感光体ギヤと原動ギヤとの噛み合いの反動によって各ドラム軸を切り欠き部の左壁に当接させるようにする代わりに、各ドラム軸を切り欠き部の左壁あるいは右壁に付勢する付勢手段を設けてもよい。例えば、図12に示すように、前側ピッチ位置決め部材82に付勢手段としての板バネ86Yを設け、これによって感光体2Yの前ドラム軸2aYをY用の切り欠き部83Yの左壁に向けて付勢させるようにしてもよい。この場合、板バネ86Yによる付勢方向を、感光体配列方向にするのではなく、感光体配列方向よりも上記直交方向の側に傾けて、両方向の成分をもたせた方向に付勢させるようにすることが望ましい。図示の例では感光体配設方向が180°(0°)であるのに対し、付勢方向が225°(45°)程度になっている。こうすることで、前ドラム軸2aYを感光体配列方向に加えて上記直交方向にも付勢して、直交方向における感光体2Yの位置決めをより高精度に行うことができるようになる。後ドラム軸についても同様である。また、他色の感光体(2M,C,K)のドラム軸についても同様である。
【0070】
なお、図12に示した板バネ86Y等によってドラム軸を切り欠き部の左壁に付勢するのではなく、図11に示したようにギアの噛み合いによる反動によってドラム軸を切り欠き部の左壁に当接させる場合には、板バネ等の付勢手段を省略して低コスト化や軽量化を図ることができる。
【0071】
また、どのような方法を採用するにしても、ドラム軸を切り欠き部の内壁に確実に当接させる手段を設けることが望ましい。切り欠き部の幅をドラム軸の径と完全に同じにしてしまうと、切り欠き部内壁とドラム軸との過剰な摩擦力によって感光体の回転駆動を事実上不可能にしてしまうため、切り欠き部の幅についてはどうしてもドラム軸の径よりも大きめに設定する必要がある。最低でも0.05mmのクリアランスが必要になる。このようなクリアランスにより、ドラム軸を切り欠き部内でどうしても感光体配設方向に僅かにがたつかせてしまうからである。
【0072】
先に示した図11において、前側ピッチ位置決め部材82は、上述したように感光体配列方向に所定のピッチで並ぶY,M,C,K用の切り欠き部83Y,M,C,Kを有している。また、感光体配列方向に一直線上に並ぶ3つの取り付け穴82aや、感光体配列方向に延在する長穴82bも有している。
【0073】
同図では、2つのピッチ位置決め部材のうち、前側ピッチ位置決め部材82だけしか示していないが、前側ピッチ位置決め部材82の図中後側に存在する図示しない後側ピッチ位置決め部材は前側ピッチ位置決め部材82と完全に同形状になっている。
【0074】
これら前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材(図6の92)としては、次のようなプロセスによって製造したものを用いることが望ましい。即ち、前側ピッチ位置決め部材82の前駆体である第1前駆体と、後側ピッチ位置決め部材(92)の前駆部材である第2前駆体とを、同一の型によって成型加工したものである。例えば、第1前駆体や第2前駆体としての溶融金属を鋳型に流し込んで前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材(92)を成型する場合には、それぞれを同じ鋳型によって成型するのである。また、第1前駆体や第2前駆体としての板金を打ち抜き型によって打ち抜き加工する場合には、前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材(92)を同じ打ち抜き型によって打ち抜き加工するのである。このような前側ピッチ位置決め部材82と後側ピッチ位置決め部材(92)とを用いることで、両者の成型加工精度の誤差による各感光体(2Y,M,C,K)の位置決め精度の悪化を回避することができる。
【0075】
なお、本プリンタの前側ピッチ位置決め部材82は、その前駆体である板金に対して、前側ピッチ位置決め82の外縁とともに、4つの切り欠き部83Y〜K、取り付け穴82a、及び前側板(80)に対する位置決めを行うための長穴82bを打ち抜き加工して製造されたものである。また、後側ピッチ位置決め部材(92)も、前側ピッチ位置決め部材82と同じ打ち抜き型による打ち抜き加工で製造されたものである。よって、両ピッチ位置決め部材の成型加工精度の誤差による各感光体(2Y,M,C,K)の位置決め精度の悪化を回避することができる。そして、そのような位置決め精度の高い前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材(92)を用いることで、各感光体(2Y,M,C,K)の軸線の平行度の誤差を0.01程度に抑えることができている。そして、これにより、中間転写ベルト(16)上における各色トナー像の重ね合わせずれ量を20[μm]以下に抑えることができた。
【0076】
前側ピッチ位置決め部材82と後側ピッチ位置決め部材(92)とについては、それらの前駆体である2枚の板金を重ねて同時に打ち抜き加工してもよいし、別々に打ち抜き加工してもよい。但し、板金として、ピッチ位置決め部材の外縁形状が既に成形されており、上述の4つの切り欠き部、取り付け穴及び長穴だけを打ち抜き加工する場合には、2枚の板金を重ねて両ピッチ位置決め部材を同時に打ち抜き加工する方法を採用する必要がある。外縁形状を切り欠き部等とともに打ち抜き加工しない場合には、打ち抜き装置におけるワーク台での板金の姿勢の誤差により、打ち抜き加工毎に、ピッチ位置決め部材の外縁と切り欠き部等との相対位置誤差が発生してしまうからである。2つの板金を重ね合わせて同時に打ち抜き加工する場合には、同時に打ち抜き加工した前側ピッチ位置決め部材82と後側ピッチ位置決め部材(92)との間では、かかる相対位置誤差を無くすことができる。
【0077】
前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92は、先に示した図6の矢印Y方向における奥側から手前側に向けて打ち抜き加工が施されたものである。このようなピッチ位置決め部材では、打ち抜き加工部の周囲に、図中奥側から手前側に向けて延びるバリが発生する。ここで言うバリとは、金属やプラスチックを加工する際、その縁などにはみ出た余分な部分のことである。
【0078】
一般に、打ち抜き加工によって得られた成型品については、発生したバリを工具などで削ったり、擦り落としたりして除去することが多い。但し、発生したバリを完全に除去することが難しい。本プリンタにおける前側ピッチ位置決め部材82の4つの切り欠き部(図11の83Y〜K)や後側ピッチ位置決め部材の4つの切り欠き部は、それぞれその左壁が第2当接部として機能している。このような切り欠き部について、その周囲のバリを除去する際に、バリを完全に除去することができず、且つその除去し切れなかった部分を板面から概ね直角に折れ曲がっていた姿勢から板面方向に延在させる姿勢にしてしまった場合、次のような問題が発生する。即ち、感光体のドラム軸を、切り欠き部の左壁に突き当てる前に、バリの除去し切れなかった部分に突き当ててしまい、感光体配設方向における感光体の位置決めを適切に行うことができなくなるという問題である。そこで、本プリンタにおいては、前側ピッチ位置決め部材82、後側ピッチ位置決め部材92として、それぞれ、切り欠き部における左壁から折れ曲がったバリを除去していないものを用いている。これにより、左壁から折れ曲がったバリをそのまま残してしまうものの、そのバリを感光体のドラム軸に突き当ててしまうことによる位置決め精度の悪化の発生を抑えることができる。
【0079】
但し、全てのバリを除去しないままにするのは、製品価値を低下させたり、安全性を低下させたり(バリによる怪我)することになる。そこで、前側ピッチ位置決め部材82、後側ピッチ位置決め部材92として、それぞれ、切り欠き部の左壁とは異なる箇所から折れ曲がっているバリについては、全てその除去処理を行っているものを用い、これを前側板80や後側板90に取り付けている。これにより、バリによる製品価値や安全性の低下を抑えることができる。
【0080】
本プリンタでは、各色の感光体(2Y、M、C、K)の後ドラム軸に固定された感光体ギヤ2cY,2cM,2cC,2cKとして、それぞれ、歯車の歯当接面が回転軸線方向から傾斜しているはずばギヤを用いている。そして、このようなはすばギヤを用いることで、原動ギヤ85Y,M,C,Kと、感光体ギヤ2cY,2cM,2cC,2cKとの噛み合いに伴って、感光体(2Y,M,C,K)に対して後側(後ドラム軸側)から前側(前ドラム軸側)に向けて付勢する力をかけている。この付勢により、感光体(2Y,M,C,K)を内包するプロセスユニット1Y,M,C,Kが後側から前側に向けて付勢されて、それぞれ、ケーシングの前側面を前側ピッチ位置決め部材82における後側ピッチ位置決め部材82との対向面に当接する。そして、この当接により、各感光体(2Y,M,C,K)が、それぞれその軸線方向(図6の矢印Y方向)にも位置決めされる。例えば、Y用のプロセスユニット1Yを例にすると、これは、プリンタ前側から後側に向けて付勢されることで、図13に一点鎖線の円で示すように、そのケーシングの前側面における前ドラム軸2aYを囲んでいる領域を前側ピッチ位置決め部材82に当接させる。即ち、複数の第1当接部を有する部材である前側ピッチ位置決め部材82は、回転軸線方向に移動しようとする各感光体の保持体であるプロセスユニットのケーシングの前側面にそれぞれ個別に当接してそれら感光体の回転軸線方向への動きを規制する複数の第3当接部を有している。
【0081】
このようにして各感光体(2Y,M,C,K)を軸線方向に位置決めする場合には、各プロセスユニット1Y,M,C,Kのケーシングの前側面をそれぞれ前側ピッチ位置決め部材82の側面にピッタリと密着させる必要がある。この一方で、上述したように、前側ピッチ位置決め部材82としては、上述したように、各切り欠き部(83Y〜K)の左壁から折れ曲がっているバリを除去していないものを用いている。そして、その未除去のバリを各プロセスユニット1Y,M,C,Kのケーシングの前側面に突き当ててしまい、前側面と前側ピッチ位置決め82の側面とを密着させることができなくなるおそれがある。
【0082】
そこで、本プリンタでは、先に示した図6において、未除去のバリの突出面を、各プロセスユニット1Y,M,C,Kに向けるのではなく、反対方向に向ける、即ち、前側板80に向ける姿勢で前側ピッチ位置決め部材82を前側板80に取り付けている。そして、前側板80における後側板90との対向面には、そのバリを受け入れるための図示しない凹部を設けている。かかる構成では、前側ピッチ位置決め部材82の左壁から折れ曲がっている未除去のバリを各プロセスユニット1Y,M,C,Kの前側面に突き当ててしまうことによる各感光体(2Y,M,C,K)の軸線方向の位置決め精度の低下を抑えることができる。
【0083】
なお、本プリンタでは、後側ピッチ位置決め部材92を、未除去のバリの突出面を各プロセスユニット1Y,M,C,Kに対面させる姿勢で、後側ピッチ位置決め部材92を後側板90に取り付けることになる。かかる構成では、未除去のバリを各プロセスユニット1Y,M,C,Kに突き当ててしまうおそれがある。しかしながら、プリント動作時には、上述したように各プロセスユニット1Y,M,C,Kがはすばギヤの噛み合いによってプリンタ後側から前側に向けて付勢される。このため、後側ピッチ位置決め部材92の未除去のバリを各プロセスユニット1Y,M,C,Kのケーシングの後側面に突き当てることはない。
【0084】
以上のように、本プリンタでは、光書込ユニット70を、互いに直交するX方向、Y方向、Z方向の全てにおいて位置決めして、書込位置精度を非常に高く維持することができる。
【0085】
前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92としては、本プリンタのように、立体的な構造を有さない板状のものを用いることが望ましい。このような前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92では、市販されている汎用の板金の打ち抜き加工によって容易に成型して、低コスト化を図ることができるからである。これに対し、複雑な立体構造を有するものを用いると、それを鋳型によって成型する必要があり、前駆体として汎用の部材を使用することができなくなるため、コストアップを引き起こしてしまう。
【0086】
また、前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92としては、本プリンタのように、導電性材料(本プリンタでは鉄等の金属)からなるものを用いることが望ましい。かかる構成では、各感光体(2Y,M,C,K)に接触する前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92を介して、各感光体(2Y,M,C,K)をアース接続することが可能になり、各感光体に対するアース線接続を不要にして低コスト化や小型化を図ることができるからである。
【0087】
更に、前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92としては、本プリンタのように、表面に厚み数μm程度の金属メッキ処理を施したものを用いることが望ましい(本プリンタでは亜鉛メッキ処理)。かかる構成では、位置決め精度に悪影響を及ぼすことなく、ピッチ位置決め部材による各感光体のアースへの導通性を向上させたり、ピッチ位置決め部材の腐食を抑えたりすることができるからである。
【0088】
図14は、光書込ユニット70をカバーフレーム52及び4つのプロセスユニット1Y,M,C,Kとともに示す正面図である。図3では便宜を図るために図示を省略していたが、カバーフレーム52の前板の下面には、互いに距離をおいて並ぶY,M,C,K用の4つのプロセスユニット付勢バネ52Y,M,C,Kが固定されている。また、図14には図示していないが、カバーフレーム52の後板の下面にも、同様の4つのプロセスユニット付勢バネが固定されている。上カバー50を閉じると、これらプロセスユニット付勢バネが、それぞれ、プロセスユニット1Y,M,C,Kの上面に当接して、それらを鉛直方向上側から下側に向けて(Z方向)に付勢する。この付勢により、先に図6に示した感光体Y用の感光体の前ドラム軸2aYが、前側板80におけるY用の案内溝81Yの下端部に突き当てって、Y用の感光体の前側端部における直交方向(感光体並び方向に直交する方向)の位置決めがなされる。同時に、Y用の感光体の図示しない後ドラム軸が、後側板90におけるY用の案内溝91Yの下端部に突き当たって、Y用の感光体の後側端部における直交方向の位置決めがなされる。M,C,K用の感光体も同様にして、前側及び後側の両端部で直交方向に位置決めされる。
【0089】
潜像担持体付勢手段としてのこれらプロセスユニット付勢バネについては、筺体内に設けることもできるが、この場合、プロセスユニットの着脱をプロセスユニット付勢バネによって邪魔してしまうため、バネを着脱可能に設ける必要がある。そして、プロセスユニットを着脱する度に、プロセスユニット付勢バネを着脱するという面倒な作業が強いられることになる。これに対し、本プリンタのように、プロセスユニット付勢バネをカバーフレーム52に固定することで、これらを、プロセスユニットを付勢する位置と付勢しない位置との間で移動可能にしている。このような移動により、プロセスユニット付勢バネによってプロセスユニットの着脱を邪魔することがなくなるため、前述のような面倒な作業を省略することができる。また、プロセスユニットをプロセスユニット付勢バネによって付勢することで、各感光体のドラム軸を確実に案内溝の下端部に突き当てて、各感光体を直交方向に精度良く位置決めすることができる。
【0090】
これまで、鉛直方向に延在する案内溝(81Y〜K、91Y〜K)を前側板80や後側板90に設け、各感光体のドラム軸をその案内溝の中で鉛直方向にスライド移動させて各プロセスユニット1Y,M,C,Kをプリンタの筺体内に着脱するようにした例について説明した。しかしながら、各プロセスユニット1Y,M,C,Kを鉛直方向にスライド移動させる構成を採用することが困難な場合があり得る。例えば、省スペース化の観点から、プロセスユニットの左側あるいは右側端部に出っ張りを設ける一方で、それとは反対側の端部に凹部を設け、プロセスユニットの出っ張りを他のプロセスユニットの凹部内に食い込ませるレイアウトを採用した場合などである。このようなレイアウトでは、あるプロセスユニットを鉛直方向に引き抜こうとすると、その凹部が他のプロセスユニットの出っ張りに突き当たってしまうため、鉛直方向に着脱することができなくなる。但し、鉛直方向から傾いた方向であれば、着脱することができる。
【0091】
図15は、各プロセスユニットを鉛直方向から傾いた方向に着脱するようにした変形例のプリンタにおける部分構成を示す拡大構成図である。同図では、Y,M用のプロセスユニット1Y,Mとその周囲構成とだけしか示していないが、前側板80における各案内溝(例えば、81Y,M)は、鉛直方向から傾いた方向に延在するように形成されている。前側ピッチ位置決め部材82において感光体配列方向に並ぶ4つの切り欠き部(例えば83Y,M)の形状を、前側板80の各案内溝と同様に鉛直方向から傾けた形状にしてしまうと、各切り欠き部の鉛直方向の寸法誤差により、各感光体の配列方向のピッチに誤差を発生させてしまう。このため、切り欠き部については、鉛直方向に延在させる姿勢にして、その底面に前ドラム軸(例えば2aY,M)を確実に突き当てるようにしている。更に、着脱時に前ドラム軸の引っ掛かりによってプロセスユニットの着脱操作性を阻害しないように、前側板80の各案内溝の幅については十分に大きくとっている。後側板(90)や後側ピッチ位置決め部材(92)も同様の構成になっている。
【0092】
これまで、磁性キャリアを含まずにトナーを主成分とする一成分現像剤を用いて潜像を現像する一成分現像方式を採用したプリンタの例について説明したが、磁性キャリアとトナーとを含有する二成分現像剤を用いる二成分現像方式を採用した画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。
【0093】
また、光書込ユニット70を上カバー50の開閉に伴って移動させる構成のプリンタの例について説明したが、単独で回動させて4つのプロセスユニットとの対面位置から待避させる画像形成装置にも本発明の適用が可能である。また、光書込ユニット70を回動させるのではなく、スライド移動させるようにした画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。
【0094】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、感光体並び方向(矢印X方向)に直交する方向である直交方向が、鉛直方向、即ち重力方向である。かかる構成では、重力によって各感光体2Y,M,C,Kのドラム軸を、それぞれ、第2当接部たる案内溝(81Y,M,C,K、91Y,M,C,K)の下端部に突き当てて、各感光体を直交方向に位置決めすることができる。
【0095】
また、4つの感光体2Y,M,C,Kがそれぞれ回転軸たるドラム軸(前ドラム軸及び後ドラム軸)を中心にして回転するものであり、且つ、複数の第1当接部を有する部材である前側ピッチ位置決め部材82が、回転軸線方向に移動しようとするそれら4つの感光体2Y,M,C,Kをそれぞれ個別に保持する保持体であるプロセスユニット1Y,M,C,Kの前側面に個別に当接してそれら4つの感光体2Y,M,C,Kの回転軸線方向への動きを規制する複数の第3当接部を有している。かかる構成では、前側ピッチ位置決め部材82により、各感光体2Y,M,C,Kの軸線方向の位置決めを行うこともできる。
【0096】
また、複数の感光体2Y,M,C,Kを感光体動作位置(回転位置)から光書込ユニット70に向けて案内する案内部(案内溝81Y〜K、案内溝91Y〜Kの下端部以外の部分)を有する前側板80や後側板90などから構成される支持体により、複数の感光体を支持し、且つ上記直交方向が案内部による感光体案内方向になっている。かかる構成では、前側板80、後側板90により、各感光体2Y,M,C,Kやプロセスユニット1Y,M,C,Kを案内部内でスライド移動させて支持体に容易に着脱しつつ、上記直交方向に位置決めすることができる。
【0097】
また、潜像書込装置として、光走査によって4つの感光体2Y,M,C,Kにそれぞれ潜像を書き込む光書込ユニット70を用い、複数の第1当接部を有する部材として、4つの感光体2Y,M,C,Kにおける光走査方向の一端側である前ドラム軸2aY,M,C,Kにそれぞれ当接する複数の第1当接部を有する前側ピッチ位置決め部材82と、他端側である後ドラム軸にそれぞれ当接する複数の第1当接部を有する後側ピッチ位置決め部材92との2つを設けている。更に、複数の第2当接部を有する部材として、4つの感光体2Y,M,C,Kにおける光走査方向の一端側である前ドラム軸2aY,M,C,Kにそれぞれ当接する複数の第2当接部を有する前側板80と、他端側である後ドラム軸にそれぞれ当接する複数の第2当接部を有する後側板90との2つを設けている。かかる構成では、上述したように、各感光体2Y,M,C,Kを前後方向の両端部でそれぞれ感光体並び方向及び直交方向に位置決めすることで、各感光体2Y,M,C,Kの配列方向面(X面)上における平行度のズレと、直交方向面(Z面)上における平行度のズレとの両方を抑えることができる。
【0098】
また、各感光体2Y,M,C,Kの保持体たる各プロセスユニット1Y,M,C,Kを重力方向であって且つスライド移動方向である鉛直方向の下方に向けて付勢する付勢手段たるプロセスユニット付勢バネ52Y,M,C,Kを設けているので、各感光体2Y,M,C,Kを確実に第2当接部に当接させて直交方向に位置決めすることができる。
【0099】
また、付勢手段たるプロセスユニット付勢バネ52Y,M,C,Kを、保持体たるプロセスユニット1Y,M,C,Kを付勢する位置と付勢しない位置との間で移動可能に設けているので、上述したように、プロセスユニット1Y,M,C,Kを着脱する度に、プロセスユニット付勢バネ52Y,M,C,Kを着脱するという面倒な作業を不要にすることができる。更には、プロセスユニット1Y,M,C,Kをプロセスユニット付勢バネ52Y,M,C,Kによって付勢することで、各感光体2Y,M,C,Kのドラム軸を確実に第2当接部たる案内溝の下端部に突き当てて、各感光体を直交方向に精度良く位置決めすることができる。
【0100】
また、感光体2Y,M,C,Kに駆動力を伝達する感光体ギヤ2cY,M,C,Kと、原動ギヤ85Y,M,C,Kとの噛み合いによる反動で、各感光体2Y,M,C,Kやプロセスユニット1Y,M,C,Kをそれぞれ感光体配列方向と回転軸線方向とに付勢するようにしている。かかる構成では、各感光体2Y,M,C,Kやプロセスユニット1Y,M,C,Kを感光体配列方向に付勢するための専用のバネや、回転軸線方向に付勢するための専用のバネを設けることなく、それら方向に付勢することで、低コスト化や小型化を図ることができる。
【0101】
また、複数の第1当接部を有する部材である前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材として、複数の第2当接部を有する部材である前側板80や後側板90よりも高剛性である金属製のものを用いているので、各感光体2Y,M,C,Kの配列方向の位置決め精度を直交方向の位置決め精度よりも高めることができる。
【0102】
また、複数の第2当接部を有する部材である前側板80や後側板90が、それぞれ、4つの感光体2Y,M,C,Kやプロセスユニット1Y,M,C,Kを支持する支持部材であるので、支持部材を利用して各感光体2Y,M,C,Kを直交方向に位置決めすることができる。
【0103】
また、複数の第2当接部を有する部材である前側板80や後側板90が、潜像書込装置たる光書込ユニット70を支持する支持部材でもあるので、それらによって各プロセスユニット1Y,M,C,K及び光書込ユニット70を支持しながら、各感光体2Y,M,C,Kを直交方向に位置決めすることができる。
【0104】
また、複数の第2当接部を有する部材である前側板80や後側板90として、複数の第1当接部を有する部材である前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92よりも比重の小さい樹脂製ものを用いている。このような前側板80や後側板90を用いることで、各感光体2Y,M,C,Kを設計上で要求される精度で直交方向(矢印Z方向)に位置決めしつつ、プリンタの軽量化を図ることができる。
【0105】
また、複数の第1当接部を有する部材である前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92として、金属からなるものを用いているので、各感光体2Y,M,C,Kを設計上で要求される比較的高い精度で配列方向(矢印X方向)に位置決めすることができる。
【0106】
また、複数の第2当接部を有する部材である前側板80や後側板90として、樹脂からなるものを用いているので、金属からなるものを用いる場合に比べて、それらを容易に成型して低コスト化を図ることができる。
【0107】
また、複数の第1当接部を有する部材である前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92として、導電性材料である金属からなるものを用いているので、それらピッチ位置決め部材を介して各感光体2Y,M,C,Kをアース接続することができる。なお、各感光体2Y,M,C,Kをそれぞれ専用のアース線の接続なしにアース接続するという観点だけからすれば、前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92に代えて、前側板80や後側板90を導電性材料で構成してもよい。但し、この場合、軽量化を有効に図ることが困難になる。
【0108】
また、4つの感光体2Y,M,C,Kについてそれぞれ、少なくとも感光体と、これの表面を一様帯電せしめる帯電手段たる帯電装置及び現像手段たる現像装置とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させてプリンタ本体に対して一体的に着脱可能にしたプロセスユニット1Y,M,C,Kとして構成しているので、各感光体2Y,M,C,Kをその周囲装置とともに一体的に着脱することができる。
【符号の説明】
【0109】
1Y,M,C,K:プロセスユニット(保持体)
2Y,M,C,K:感光体(潜像担持体)
2aY,M,C,K:前ドラム軸(回転軸)
2cY,M,C,K:感光体ギヤ
4K:帯電装置(帯電手段)
5K:現像装置(現像手段)
15:転写ユニット(転写手段)
16:中間転写ベルト(中間転写体)
34:定着装置(定着手段)
70:光書込ユニット(潜像書込装置)
80:前側板(複数の第2当接部を有する部材、支持体)
81Y,M,C,K:案内溝(下端部が第2当接部、下端部以外が案内部)
82:前側ピッチ位置決め部材(複数の第1当接部及び第3当接部を有する部材)
83Y,M,C,K:切り欠き部(第1当接部)
85Y,M,C,K:原動ギヤ
90:後側板(複数の第2当接部を有する部材、支持体)
91Y,M,C,K:案内溝(下端部が第2当接部、下端部以外が案内部)
92:後側ピッチ位置決め部材(複数の第1当接部を有する部材)
P:記録紙(記録部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特開2002−189324号公報
【技術分野】
【0001】
複数の潜像担持体におけるそれぞれの表面に潜像を書き込んだ後、それら潜像を現像してそれぞれの潜像担持体の表面上で可視像を得てから、それら可視像を転写体に重ね合わせて転写する画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。また、かかる画像形成装置に搭載される支持機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置においては、複数の潜像担持体の配列ピッチに誤差があると、それぞれの潜像担持体の表面上で現像した可視像を転写体に対して互いに位置ズレさせて転写してしまう。そして、これにより、転写体上での各可視像の重ね合わせずれを引き起こしてしまう。
【0003】
また、この種の画像形成装置では、複数の潜像担持体に対してそれぞれ潜像を書き込む潜像書込装置を、それら潜像担持体の配列方向と直交する方向(以下、直交方向という)に位置させて、各潜像担持体に対向させるのが一般的である。かかる構成において、潜像書込装置として、露光によって潜像を書き込むものを用いた場合には、潜像担持体と潜像書込装置との距離が各潜像担持体間でばらついてしまうと、それぞれの潜像担持体に対する露光書込倍率に誤差が発生する。そして、この誤差により、それぞれの潜像担持体上でのドットのサイズを異ならせて画像を乱してしまう。
【0004】
一方、特許文献1には、所定のピッチで並ぶ複数の開口部を画像形成装置の側板に形成し、それら開口部に複数の潜像担持体のうちの対応するものをそれぞれ個別に係合させるようにした画像形成装置が記載されている。かかる構成では、それぞれの潜像担持体を、側板に所定のピッチで設けられた開口部に係合させて配列方向と上記直交方向との両方向に位置決めする。これにより、各潜像担持体の配列ピッチの誤差を抑えて、その誤差による可視像の重ね合わせズレを抑えることができる。また、各潜像担持体における潜像書込装置との距離の誤差を抑えて、その誤差による画像の乱れを抑えることもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、この画像形成装置では、各潜像担持体を側板の位置決め部たる開口部との係合によって配列方向及び上記直交方向の両方向に位置決めするものであるため、両方向の位置決めをそれぞれ個別に行うことができなかった。そして、このことが、画像形成装置の低コスト化や軽量化の妨げになっていた。具体的には、一般に、潜像担持体は上記直交方向よりも配列方向に対して高い位置決め精度が要求される。各潜像担持体における潜像書込装置との距離の誤差による画像の乱れよりも、配列ピッチの誤差による重ね合わせズレの方が深刻な画質劣化を引き起こすからである。このため、配列方向については、歪みや変形の少ない金属などの高剛性の材料によって形成した位置決め部で各潜像担持体の動きを規制して比較的精度の高い位置決めを行う必要がある。この一方で、上記直交方向については、高剛性の材料で形成した位置決め部によって各潜像担持体の動きを規制する必要は必ずしもなく、樹脂などの低剛性の材料で形成した位置決め部でも所望の位置決め精度を実現し得る場合がある。しかしながら、上記特許文献1に記載の画像形成装置では、潜像担持体における配列方向及び上記直交方向の両方向の位置決めを上述の開口部という1つの位置決め部によって行っている。このため、両方向においてそれぞれ、設計上で要求される位置決め精度に合わせた位置決め部の材料の選定を行うことができず、より高い位置決め精度が要求される配列方向に合わせて、側板の全体を板金という高剛性の材料で構成している。そして、このことにより、装置のコストアップや重量増加を引き起こしていた。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、次のような画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。即ち、複数の潜像担持体の配列方向における位置決めと、上記直交方向における位置決めとを、それぞれ設計上で要求される位置決め精度に合わせた材料からなる位置決め部で行うことで、低コスト化や軽量化を図ることができる画像形成装置等である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、所定方向に並ぶように配設された複数の潜像担持体と、それら潜像担持体の表面にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込装置とを備える画像形成装置であって、上記所定方向に移動しようとする上記複数の潜像担持体、又はそれら複数の潜像担持体をそれぞれ個別に保持する複数の保持体に、それぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該所定方向への動きを規制する複数の第1当接部と、該所定方向に直交する方向である直交方向に移動しようとするそれら複数の潜像担持体又は保持体に、それぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該直交方向への動きを規制する複数の第2当接部とを画像形成装置内に有し、且つ、該複数の第1当接部を有する部材と、該複数の第2当接部を有する部材とが互いに別体で構成された異なる部材であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置であって、上記直交方向が、重力方向であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の画像形成装置であって、上記複数の潜像担持体がそれぞれ回転軸を中心にして回転するものであり、且つ、上記複数の第1当接部を有する部材、あるいは、上記複数の第2当接部を有する部材が、それら複数の潜像担持体又は上記保持体に対して回転軸線方向からそれぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該回転軸線方向への動きを規制する複数の第3当接部を有するものであることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1の画像形成装置であって、上記複数の潜像担持体又は保持体を該潜像担持体の動作位置から上記潜像書込装置に向けて案内する案内部を有する支持体により、該複数の潜像担持体又は保持体を支持し、且つ上記直交方向が該案内部による潜像担持体又は保持体の案内方向であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかの画像形成装置において、上記潜像書込装置として、光走査によって上記複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込むものを用い、上記複数の第1当接部を有する部材として、上記複数の潜像担持体又は保持体における該潜像書込装置の光走査方向の一端側にそれぞれ当接する複数の第1当接部を有する部材と、他端側にそれぞれ当接する複数の第1当接部を有する部材との2つを設け、且つ、上記複数の第2当接部を有する部材として、該複数の潜像担持体又は保持体における該光走査方向の一端側にそれぞれ当接する複数の第2当接部を有する部材と、他端側にそれぞれ当接する複数の第2当接部を有する部材との2つを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項2乃至4の何れかの画像形成装置において、上記複数の潜像担持体又は保持体を上記所定方向、重力方向、回転軸線方向又はスライド移動方向に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記複数の潜像担持体又は保持体を上記スライド移動方向に付勢する付勢手段を、該潜像担持体又は保持体を付勢する位置と付勢しない位置との間で移動可能に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項2乃至4の何れかの画像形成装置において、上記潜像担持体に駆動力を伝達する複数のギヤの噛み合いによる反動で、上記複数の潜像担持体又は保持体をそれぞれ上記所定方向又は回転軸線方向に付勢するようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れかの画像形成装置において、上記複数の第1当接部を有する部材として、上記複数の第2当接部を有する部材よりも高剛性のものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れかの画像形成装置であって、上記複数の第2当接部を有する部材が、上記複数の潜像担持体を支持する支持部材であることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至10の何れかの画像形成装置であって、上記複数の第2当接部を有する部材が、上記潜像書込装置を支持する支持部材であることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1乃至11の何れかの画像形成装置において、上記複数の第2当接部を有する部材として、上記複数の第1当接部を有する部材よりも比重の小さいものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項12の画像形成装置において、上記複数の第1当接部を有する部材として、金属からなるものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項12又は13の画像形成装置において、上記複数の第2当接部を有する部材として、樹脂からなるものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項1乃至14の何れかの画像形成装置において、上記複数の第1当接部を有する部材、又は上記複数の第2当接部を有する部材として、導電性材料からなるものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項1乃至15の何れかの画像形成装置において、上記複数の潜像担持体についてそれぞれ、少なくとも該潜像担持体と、これの表面を一様帯電せしめる帯電手段、又は該潜像担持体に担持される潜像を現像する現像手段とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能にしたプロセスユニットとして構成したことを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、所定方向に並ぶように配設された複数の潜像担持体におけるそれぞれの表面に潜像を書き込む書込工程と、該複数の潜像担持体に担持された潜像をそれぞれ個別に現像する現像工程と、該複数の潜像担持体の表面上でそれぞれ現像された可視像を転写体に重ね合わせて転写する転写工程とを実施する画像形成方法において、上記所定方向に移動しようとする上記複数の潜像担持体、又はそれら複数の潜像担持体をそれぞれ個別に保持する複数の保持体に、それぞれ複数の第1当接部の何れかを当接させてそれら複数の潜像担持体の該所定方向への動きを規制する工程と、該所定方向に直交する方向である直交方向に移動しようとするそれら複数の潜像担持体又は保持体に、それぞれ複数の第2当接部の何れかを当接させてそれら複数の潜像担持体の該直交方向への動きを規制する工程とを実施しながら、上記書込工程、現像工程及び転写工程を実施し、且つ、該複数の第1当接部を有する部材として、該複数の該第2当接部を有する部材とは別体で構成された異なる部材を用いることを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、所定方向に並ぶように配設された複数の潜像担持体と、それら潜像担持体の表面にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込装置とを備える画像形成装置における該潜像担持体と該潜像書込装置とを支持する支持機構であって、上記所定方向に移動しようとする上記複数の潜像担持体、又はそれら複数の潜像担持体をそれぞれ個別に保持する複数の保持体に、それぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該所定方向への動きを規制する複数の第1当接部と、該所定方向に直交する方向である直交方向に移動しようとするそれら複数の潜像担持体又は保持体に、それぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該直交方向への動きを規制する複数の第2当接部とを有し、且つ、該複数の第1当接部を有する部材と、該複数の第2当接部を有する部材とが互いに別体で構成された異なる部材であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
これらの発明においては、各潜像担持体を配列方向(所定方向)に位置決めするための位置決め部たる複数の第1当接部を有する部材と、各潜像担持体を直交方向に位置決めするための位置決め部たる複数の第2当接部を有する部材とを、互いに別体としたことで、それらの部材として、互いに異なる材料からなるものを用いることが可能である。よって、各潜像担持体の配列方向における位置決めと、各潜像担持体の直交方向における位置決めとを、それぞれ設計上で要求される位置決め精度に合わせた材料からなる位置決め部で行って低コスト化や軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタのK用のプロセスユニットを示す拡大構成図。
【図3】同プリンタにおける上カバーとその周囲構成とを示す拡大構成図。
【図4】同プリンタの筺体内における右側端部を示す斜視図。
【図5】第1付勢コイルバネによって付勢される光書込ユニットの第1基準位置部材とその周囲構成とを示す模式図。
【図6】同プリンタの内部構成の一部を示す分解斜視図。
【図7】同プリンタにおける前側ピッチ位置決め部材を取り外した状態の前側板の一部を同光書込ユニットの一部とともにプリンタの前側から示す部分正面図。
【図8】同前側ピッチ位置決め部材を取り付けた状態の同前側板の一部を同光書込ユニットの一部とともにプリンタの前側から示す部分正面図。
【図9】同光書込ユニットによる感光体表面上での光走査線が感光体の軸線や中間転写ベルトの幅方向線から傾いている状態の感光体及び中間転写ベルトを上方から示す模式図。
【図10】感光体の軸線が、同光走査線や同幅方向線から傾いている状態の感光体及び中間転写ベルトを上方から示す模式図。
【図11】同前側ピッチ位置決め部材を各色のプロセスユニットとともに示す正面図。
【図12】同プリンタの第1変形例装置におけるY用のプロセスユニットとその周囲構成とを示す正面図。
【図13】Y用のプロセスユニットの前側端部を同前側ピッチ位置決め部材の一部とともに示す拡大斜視図。
【図14】同光書込ユニットをカバーフレーム及び4つのプロセスユニットとともに示す正面図。
【図15】同プリンタの第2変形例装置におけるY用のプロセスユニットとその周囲構成とを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、このプリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット1Y,M,C,Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Kトナー像を形成するためのプロセスユニット1Kを例にすると、図2に示すように、潜像担持体たるドラム状の感光体2K、ドラムクリーニング装置3K、除電装置(不図示)、帯電装置4K、現像装置5K等を備えている。画像形成ユニットたるプロセスユニット1Kは、プリンタ本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
【0011】
上記帯電装置4Kは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体2Kの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体2Kの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、図示しないKトナーを用いる現像装置5KによってYトナー像に現像される。そして、後述する中間転写ベルト16上に中間転写される。ドラムクリーニング装置3Kは、中間転写工程を経た後の感光体2K表面に付着している転写残トナーを除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体2Kの残留電荷を除電する。この除電により、感光体2Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色のプロセスユニット(1Y,M,C)においても、同様にして感光体(2Y,M,C)上に(Y,M,C)トナー像が形成されて、後述する中間転写ベルト16上に中間転写される。なお、感光体2Kにおける筒状のドラム部は、中空のアルミ素管のおもて面に有機感光層が被覆されたものである。このドラム部の軸線方向の両端部にそれぞれドラム軸を有するフランジが取り付けられて、感光体2Kを構成している。
【0012】
現像手段たる現像装置5Kは、図示しないKトナーを収容する縦長のホッパ部6Kと、現像部7Kとを有している。ホッパ部6K内には、図示しない駆動手段によって回転駆動されるアジテータ8K、これの鉛直方向下方で図示しない駆動手段によって回転駆動される撹拌パドル9K、これの鉛直方向で図示しない駆動手段によって回転駆動されるトナー供給ローラ10Kなどが配設されている。ホッパ部6K内のKトナーは、アジテータ8Kや撹拌パドル9Kの回転駆動によって撹拌されながら、自重によってトナー供給ローラ10Kに向けて移動する。トナー供給ローラ10Kは、金属製の芯金と、これの表面に被覆された発泡樹脂等からなるローラ部とを有しており、ホッパ部6K内のKトナーをローラ部の表面に付着させながら回転する。
【0013】
現像装置5Kの現像部7K内には、感光体2Kやトナー供給ローラ10Kに当接しながら回転する現像ローラ11Kや、これの表面に先端を当接させる薄層化ブレード12Kなどが配設されている。ホッパ部6K内のトナー供給ローラ10Kに付着したKトナーは、現像ローラ11Kとトナー供給ローラ10Kとの当接部で現像ローラ11Kの表面に供給される。供給されたKトナーは、現像ローラ11Kの回転に伴ってローラと薄層化ブレード12Kとの当接位置を通過する際に、ローラ表面上での層厚が規制される。そして、層厚規制後のKトナーは、現像ローラ11Kと感光体2Kとの当接部である現像領域において、感光体2K表面のK用の静電潜像に付着する。この付着により、K用の静電潜像がKトナー像に現像される。
【0014】
図2を用いてK用のプロセスユニットについて説明したが、Y,M,C用のプロセスユニット1Y,M,Cにおいても、同様のプロセスにより、感光体2Y,M,C表面にY,M,Cトナー像が形成される。
【0015】
先に示した図1において、プロセスユニット1Y,M,C,Kの鉛直方向上方には、光書込ユニット70が配設されている。潜像書込装置たる光書込ユニット70は、画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザ光Lにより、プロセスユニット1Y,M,C,Kにおける感光体2Y,M,C,Kを光走査する。この光走査により、感光体2Y,M,C,K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット70は、光源から発したレーザ光(L)を、図示しないポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。LEDアレイの複数のLEDから発したLED光によって光書込を行うものを採用してもよい。
【0016】
プロセスユニット1Y,M,C,Kの鉛直方向下方には、無端状の中間転写ベルト16を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写ユニット15が配設されている。転写手段たる転写ユニット15は、中間転写ベルト16の他に、駆動ローラ17、従動ローラ18、4つの1次転写ローラ19Y,M,C,K、2次転写ローラ20、ベルトクリーニング装置21、クリーニングバックアップローラ22などを備えている。
【0017】
中間転写ベルト16は、そのループ内側に配設された駆動ローラ17、従動ローラ18、クリーニングバックアップローラ22及び4つの1次転写ローラ19Y,M,C,Kによって張架されている。そして、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ17の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。
【0018】
4つの1次転写ローラ19Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト16を感光体2Y,M,C,Kとの間に挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト16のおもて面と、感光体2Y,M,C,Kとが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。
【0019】
1次転写ローラ19Y,M,C,Kには、図示しない転写バイアス電源によってそれぞれ1次転写バイアスが印加されており、これにより、感光体2Y,M,C,Kの静電潜像と、1次転写ローラ19Y,M,C,Kとの間に転写電界が形成される。なお、1次転写ローラ19Y,M,C,Kに代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
【0020】
Y用のプロセスユニット1Yの感光体2Y表面に形成されたYトナーは、感光体2Yの回転に伴って上述のY用の1次転写ニップに進入すると、転写電界やニップ圧の作用により、感光体2Y上から中間転写ベルト16上に1次転写される。このようにしてYトナー像が1次転写せしめられた中間転写ベルト16は、その無端移動に伴ってM,C,K用の1次転写ニップを通過する際に、感光体2M,C,K上のM,C,Kトナー像が、Yトナー像上に順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト16上には4色トナー像が形成される。
【0021】
転写ユニット15の2次転写ローラ20は、中間転写ベルト16のループ外側に配設されて、ループ内側の従動ローラ18との間に中間転写ベルト16を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト16のおもて面と、2次転写ローラ20とが当接する2次転写ニップが形成されている。2次転写ローラ20には、図示しない転写バイアス電源によって2次転写バイアスが印加される。この印加により、2次転写ローラ20と、アース接続されている従動ローラとの間には、2次転写電界が形成される。
【0022】
転写ユニット15の鉛直方向下方には、記録紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット30がプリンタの筐体に対してスライド着脱可能に配設されている。この給紙カセット30は、紙束の一番上の記録紙Pに給紙ローラ30aを当接させており、これを所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転させることで、その記録紙Pを給紙路31に向けて送り出す。
【0023】
給紙路31の末端付近には、レジストローラ対32が配設されている。このレジストローラ対32は、給紙カセット30から送り出された記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録紙Pを上述の2次転写ニップ内で中間転写ベルト16上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙Pを2次転写ニップに向けて送り出す。
【0024】
2次転写ニップで記録紙Pに密着せしめられた中間転写ベルト16上の4色トナー像は、2次転写電界やニップ圧の影響を受けて記録紙P上に一括2次転写され、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録紙Pは、2次転写ニップを通過すると、2次転写ローラ20や中間転写ベルト16から曲率分離する。そして、転写後搬送路33を経由して、後述する定着装置34に送り込まれる。
【0025】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト16には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト16のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置21によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト16のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ22は、ベルトクリーニング装置21によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
【0026】
定着装置34は、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ34aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ34bとによって定着ニップを形成している。定着装置34内に送り込まれた記録紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ34aに密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。
【0027】
定着装置34内から排出された記録紙Pは、定着後搬送路35を経由した後、排紙路36と反転前搬送路41との分岐点にさしかかる。定着後搬送路35の側方には、回動軸42aを中心にして回動駆動される切替爪42が配設されており、その回動によって定着後搬送路35の末端付近を閉鎖したり開放したりする。定着装置34から記録紙Pが送り出されるタイミングでは、切替爪42が図中実線で示す回動位置で停止して、定着後搬送路35の末端付近を開放している。よって、記録紙Pが定着後搬送路35から排紙路36内に進入して、排紙ローラ対37のローラ間に挟み込まれる。
【0028】
図示しないテンキー等からなる操作部に対する入力操作や、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる制御信号などにより、片面プリントモードが設定されている場合には、排紙ローラ対37に挟み込まれた記録紙Pがそのまま機外へと排出される。そして、筐体の上カバー50の上面であるスタック部にスタックされる。
【0029】
一方、両面プリントモードに設定されている場合には、先端側を排紙ローラ対37に挟み込まれながら排紙路36内を搬送される記録紙Pの後端側が定着後搬送路35を通り抜けると、切替爪42が図中一点鎖線の位置まで回動して、定着後搬送路35の末端付近が閉鎖される。これとほぼ同時に、排紙ローラ対37が逆回転を開始する。すると、記録紙Pは、今度は後端側を先頭に向けながら搬送されて、反転前搬送路41内に進入する。
【0030】
図1は、本プリンタを正面側から示している。図紙面に直交する方向の手前側がプリンタの前面であり、奥側が後面である。また、本プリンタの図中右側が右側面、左側が左側面である。本プリンタの右端部は、回動軸40aを中心に回動することで筐体本体に対して開閉可能な反転ユニット40になっている。排紙ローラ対37が逆回転すると記録紙Pがこの反転ユニット40の反転前搬送路41内に進入して、鉛直方向上側から下側に向けて搬送される。そして、反転搬送ローラ対43のローラ間を経由した後、半円状に湾曲している反転搬送路44内に進入する。更に、その湾曲形状に沿って搬送されるのに伴って上下面が反転せしめられながら、鉛直方向上側から下側に向けての進行方向も反転して、鉛直方向下側から上側に向けて搬送される。その後、上述した給紙路31内を経て、2次転写ニップに再進入する。そして、もう一方の面にもフルカラー画像が一括2次転写された後、転写後搬送路33、定着装置34、定着後搬送路35、排紙路36、排紙ローラ対37を順次経由して、機外へと排出される。
【0031】
上述の反転ユニット40は、外部カバー45と揺動体46とを有している。具体的には、反転ユニット40の外部カバー45は、プリンタ本体の筺体に設けられた回動軸40aを中心にして回動するように支持されている。この回動により、外部カバー45は、その内部に保持している揺動体46とともに筺体に対して開閉する。図中点線で示すように、外部カバー45がその内部の揺動体46とともに開かれると、反転ユニット40とプリンタ本体側との間に形成されていた給紙路31、2次転写ニップ、転写後搬送路33、定着ニップ、定着後搬送路35、排紙路36が縦に2分されて、外部に露出する。これにより、給紙路31、2次転写ニップ、転写後搬送路33、定着ニップ、定着後搬送路35、排紙路36内のジャム紙を容易に取り除くことができる。
【0032】
また、揺動体46は、外部カバー45が開かれた状態で、外部カバー45に設けられた図示しない揺動軸を中心にして回動するように外部カバー45に支持されている。この回動により、揺動体46が外部カバー45に対して開かれると、反転前搬送路41や反転搬送路44が縦に2分されて外部に露出する。これにより、反転前搬送路41内や反転搬送路44内のジャム紙を容易に取り除くことができる。
【0033】
プリンタの筺体の上カバー50は、図中矢印で示すように、軸部材51を中心にして回動自在に支持されており、図中反時計回り方向に回転することで、筺体に対して開いた状態になる。そして、筺体の上部開口を大きく露出させる。
【0034】
図3は、本プリンタにおける上カバー50とその周囲構成とを示す拡大構成図である。同図において、上カバー50の裏面には、カバーフレーム52が固定されており、これは光書込ユニット70を保持している。より詳しく説明すると、カバーフレーム52は、プリンタ前後方向(図紙面に直交する方向)に所定の距離をおいて対向する前板及び後板(不図示)と、これらを連結する図示しないリブとを有している。そして、前板、後板には、それぞれ互いに対向する位置に矩形状の開口52aを有している。一方、光書込ユニット70は、そのケーシング71における前壁に突設せしめられた円柱状の第1基準位置部材71aを有している。また、同図では示されていないが、ケーシング71の後壁に突設せしめられた円柱状の第2基準位置部材も有している。これら基準位置部材は、同一軸線上で延在するように設けられている。光書込ユニット70は、カバーフレーム52の前板と後板との間に位置している。そして、ケーシング71の前壁に突設せしめられた第1基準位置部材71aを、カバーフレーム52の前板に設けられた開口52aに貫通させている。また、同図では示していないが、ケーシング71の後壁に突設せしめられた第2基準位置部材を、カバーフレーム52の後板に設けられた開口に貫通させている。更に、光書込ユニット70は、ケーシング70の左側端部上面にフック部71cを有している。このフック部71cは、上カバー50の下面に固定されたコイルバネ53によって上カバー50から遠ざかる方向に付勢されて、カバーフレーム52の突き当て部52bに突き当たっている。このように、光書込ユニット70は、その前側端部の第1基準位置部材71aと、後側端部の第2基準位置部材とをカバーフレーム52の開口に貫通させながら、左側端部のフック部71cをカバーフレーム52の突き当て部52bに突き当てることで、カバーフレーム52に保持されている。なお、カバーフレーム52については、上カバー52の本体と一体成型したものを採用してもよい。
【0035】
カバーフレーム52の前板に設けられた開口52aや、図示しない後板に設けられた開口は、光書込ユニット70の第1基準位置部材71aや図示しない第2基準位置部材の径よりもかなり大きなサイズになっている。光書込ユニット70は、前板の開口52aと第1基準位置部材71aとの間のクリアランスや、後板の開口と第2基準位置部材との間のクリアランスの範囲内で遊動可能にカバーフレーム52に保持されている。
【0036】
上カバー50は、カバーフレーム52の前板や後板の左側端部に、それぞれ軸穴52cを有している。一方、プリンタの筺体内には、その前面の近傍に前側板80が立設せしめられている。また、同図では示していないが、この前側板80の後側で前側板80と所定の距離をおいて対向している後側板も立設せしめられている。そして、これら前側板80、後側板の左上隅付近には、それぞれ軸穴(前側板80の場合には80a)が設けられている。上カバー50のカバーフレーム52の左側端部は、これら前側板80と後側板との間に挿入されており、この状態で図示しない軸部材(図1の51)が前側板80の軸穴80a、カバーフレーム52の前板の軸穴52c、後側板80の軸穴、カバーフレーム52の後板の軸穴に順次貫通するようにセットされる。これにより、上カバー50、カバーフレーム52及び光書込ユニット70は、図1に示したように、前述の軸部材51を中心にして回動するように、筺体内の前側板(80)や後側板に支持される。
【0037】
カバーフレーム52に保持される光書込ユニット70は、上カバー50の開閉動作に伴って、横並びのプロセスユニット1Y,M,C,Kの何れにも対面しない待避位置と、それらユニットにそれぞれ対面する動作位置との間を移動することができる。
【0038】
なお、カバーフレーム52の前板や後板には、それぞれ右側端部に図示しないフックを設けており、上カバー50を閉じた状態では、これらのフックを筺体内の前側板80や後側板に設けた図示しない伸縮ピンに係合させる。そして、この係合により、カバーフレーム52の右側端部の移動を係止するようになっている。カバーフレーム52の左側端部の動きは、軸部材(図1の51)によって規制される。
【0039】
カバーフレーム52の前板には、カバーフレーム52の開口52aを貫通している第1基準位置部材71aを左上から右下に向けて斜め方向に付勢する第1付勢手段たる第1付勢コイルバネ54が固定されている。図3では、第1基準位置部材71aを開口52aの中心位置に示しているが、上カバー50を開いた状態では、第1付勢コイルバネ54によって付勢される第1基準位置部材71aが開口52a内壁の右下隅に押し当てられた状態で、光書込ユニット70がカバーフレーム52に保持される。なお、同図では示していないが、カバーフレーム52の後板には、その開口を貫通している第2基準位置部材を装置本体正面から見て左上から右下に向けて斜め方向に付勢する第2付勢手段たる第2付勢コイルバネが固定されている。
【0040】
一方、筺体内の前側板80の上部には、図4及び図5に示すように、上カバーが閉じられるのに伴って動作位置にきた光書込ユニット70を位置決めするための第1位置決め部80bが設けられている。この第1位置決め部80bは、第1付勢コイルバネ(図3の54)によって付勢されてくる第1基準位置部材71aに当接する2つの当接面を有している。1つ目の当接面は、図中矢印X方向への第1基準位置部材71aの移動を規制する第3方向規制当接面S3である。図中矢印X方向は、光書込ユニット70の潜像書込方向(主走査方向)である前後方向(図紙面に直交する方向)に直交し、且つ各プロセスユニット(各感光体)の配列方向と同方向である。2つ目の当接面は、図中矢印Z方向への第1基準位置部材71aの移動を規制する第2方向規制当接面S2である。
【0041】
なお、光書込ユニット70の第1基準位置部材71aは、先に図1に示した軸部材51を中心にして弧を描くように移動するが、図5に示した第1位置決め部80bの第2方向規制当接面S2に当接するときには、同図に示すように、図中矢印Z方向に移動している。
【0042】
先に示した図3において、第1付勢コイルバネ54は、上カバー50が閉じられて動作位置にある光書込ユニット70の第1基準位置部材71aを付勢して、図8に示した第1位置決め部80bの第3方向規制当接面S3と第2方向規制当接面S2との両方に突き当てる。これにより、動作位置にある光書込ユニット70の前側端部が、X方向に位置決めされるとともに、Z方向にも位置決めされる。
【0043】
また、先に示した図4において、前側板80の後側に配設された後側板90の上部には、上カバーが閉じられるのに伴って動作位置にきた光書込ユニット70を位置決めするための第2位置決め部90bが設けられている。この第2位置決め部90bは、図示しない第2付勢コイルバネによって付勢されてくる第2基準位置部材71bに当接する2つの当接面を有している。1つ目の当接面は、図中矢印X方向への第2基準位置部材71bの移動を規制する第3方向規制当接面であり、2つ目の当接面は、図中矢印Z方向への第2基準位置部材71bの移動を規制する第2方向規制当接面である。
【0044】
カバーフレーム52の図示しない後板に固定された第2付勢コイルバネは、動作位置にある光書込ユニット70の第2基準位置部材71bを付勢して、第2位置決め部90bの第3方向規制当接面と第2方向規制当接面との両方に突き当てる。これにより、動作位置にある光書込ユニット70の後側端部が、X方向に位置決めされるとともに、Z方向にも位置決めされる。
【0045】
かかる構成の本プリンタでは、光書込ユニット70を必要に応じて上カバー50の回転によって動作位置から待避位置に移動させることで、感光体やその周囲装置を内包する各プロセスユニット1Y,M,C,Kから大きく離間させる。そして、この離間によって各プロセスユニット1Y,M,C,Kを露出させて、それらのメンテナンス性を向上させることができる。
【0046】
また、動作位置にある光書込ユニット70の基準位置部材を付勢コイルバネによる付勢で筺体内の位置決め部に当接させることで、光書込ユニット70を筺体内の各感光体に対して位置決めする。このため、光書込ユニット70を移動可能に保持ながら自らも移動する保持体たるカバーフレーム52がある程度のガタツキをもって移動したとしても、光書込装置70を動作位置で筺体内の各感光体に対して位置決めして、光書込ユニット70の書込位置精度の低下を抑えることができる。
【0047】
また、光書込ユニット70の潜像書込方向(前後方向)の一端部(前側端部)に第1基準位置部材71aを設けるとともに、他端部(後側端部)に第2基準位置部材71bを設け、これらをそれぞれ両端部にそれぞれ第3方向規制当接面S3に当接させることで次のことが可能になる。即ち、光書込ユニット70の潜像書込方向の両端部でそれぞれ、潜像書込方向に直交し、且つ感光体表面の光書込位置における移動方向と同方向である図中矢印X方向の位置決めを行う。これにより、感光体表面に対する潜像書込方向を表面移動方向に直交する方向に精度良く位置合わせして、感光体表面上における潜像書込方向のスキュー(表面移動方向に直交する方向からの傾き)を抑えることで、画像の紙面上でのスキューを抑えることができる。
【0048】
更には、光書込ユニット70を潜像書込方向の両端部でそれぞれ第2方向規制当接面S2に当接させて移動方向の位置決めを行うことで、一端部側から他端部側への光書込ユニット70の傾きを抑えることもできる。
【0049】
本プリンタのように所定方向に並べた各色用の感光体(2Y,M,C,K)に形成したトナー像を転写体たる中間転写ベルト16に重ね合わせて転写する構成では、各感光体の軸線方向の平行度や、各感光体の軸線方向と光書込ユニット70による光走査線との平行度がずれてしまうと各色のトナー像に重ね合わせズレが発生してしまう。そのずれ量は、平行度のずれ量にもよるが200[μmm]程度にも及ぶことがある。各感光体の軸線方向と、光書込ユニット70による光走査線とが平行で、且つ通紙方向に対して直角であるのが理想的であり、この場合には重ね合わせズレが発生しない。但し、その理想的な位置関係になるように各感光体、光書込ユニット70、転写ユニット15をそれぞれ位置決めすることは困難である。
【0050】
そこで、従来より、レーザー走査線の感光体に対する平行度をソフト的あるいはメカ的に調整する方法が種々検討されている。また、各感光体における光書込ユニット70と距離の誤差については、走査開始タイミングや倍率操作などといったソフト的な調整によって調整が可能である。しかし、各感光体の軸線方向における平行度の誤差に起因する重ね合わせズレは、前述のようなソフト的な調整では最適化が困難である。また、メカ的な調整を行うとコストアップを引き起こしてしまう。よって、各感光体の軸線方向両端部における配列ピッチを高精度に位置決めして、各感光体の平行度を高精度に維持することが重ね合わせズレを抑える上で重要となる。
【0051】
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
図6は、本プリンタの内部構成の一部を示す分解斜視図である。本プリンタは、図示しない筐体内にて、互いに前後方向(図中矢印Y方向)に所定の距離をおいて対向する前側板80と後側板90とが立設せしめられている。前側板80は、単純な扁平板形状ではなく、エンボス状に凹凸する各部が形成された複雑な形状をしているが、各部は同じ樹脂材料が型によって一体成型されたものである。また、後側板90も同様である。
【0052】
前側板80における後側板90との対向面には、上端側から下端側に向けて延在する4つの案内溝81Y,81M,81C,81Kが、図中矢印X方向において所定のピッチで並ぶように形成されている。これら案内溝(81Y〜K)の鉛直方向上端は、上方に向けて開口している。また、これら案内溝(81Y〜K)の鉛直方向下端は、それぞれ感光体(2Y〜K)の前ドラム軸2aY,2aM,2aC,2aKを当接させながら摺動回転可能に受ける軸受けになっている。後側板90における前側板80との対向面にも、同様の案内溝91Y,91M,91C,91Kが形成されている。但し、これら案内溝91Y〜Kは、図示しない感光体の前ドラム軸(2aY〜K)ではなく、反対側の図示しない後ドラム軸を摺動回転可能に受ける軸受けになっている。なお、図中矢印X方向は、図示しない4つの感光体の配列方向と同じ方向である。
【0053】
前側板80における後側板90との対向面には、板金製の前側ピッチ位置決め部材82がネジ固定される。この前側ピッチ位置決め部材82には、上端から下端に向けて延在する4つの切り欠き部が図中矢印X方向に所定のピッチで並ぶように形成されている。後側板90における前側板80との対向面にも、同様の後側ピッチ位置決め部材92がネジ固定される。
【0054】
なお、プロセスユニット1Y,M,C,Kは、それぞれ、図示しない感光体(2Y,M,C,K)の前ドラム軸2aY,2aM,2aC,2aKをケーシングの前壁から回転可能に突出させている。また、同図には示していないが、それぞれ、感光体(2Y,M,C,K)の後ドラム軸をケーシングの後壁から回転可能に突出させている。
【0055】
図7は、前側ピッチ位置決め部材を取り外した状態の前側板80の一部を光書込ユニット70の一部とともにプリンタの前側から示す部分正面図である。Y用のプロセスユニット1Kをプリンタ内にセットするときには、プロセスユニット1Kの前側端部において、ケーシングの前壁から突出している感光体2Yの前ドラム軸2aYを、前側板80のY用の案内溝81Yに対してその上端側から差し込む。同時に、ケーシングの後壁から突出している感光体2Yの図示しない後ドラム軸を、図示しない後側板のY用の案内溝に対してその上端側から差し込む。そして、前側板80におけるY用の案内溝81Yの上端部に差し込んだ前ドラム軸2aYや、後側板におけるY用の案内溝の上端部に差し込んだ後ドラム軸を、それぞれ、溝の延在方向に沿って鉛直方向上側から下側に向けてスライド移動させるように、プロセスユニット1Kを重力方向下方に下げている。すると、前ドラム軸2aYが前側板80の案内溝81Yの下端部に引っ掛かり、且つ、後ドラム軸が後側板の案内溝の下端部に引っ掛かったところで、それ以上のスライド移動が阻止される。この状態で、感光体2Yの前ドラム軸2aYが前側板80の案内溝81Yの下端部に摺動回転可能に支持されるとともに、図示しない後ドラム軸が後側板の案内溝の下端部に摺動回転可能に支持される。そして、感光体2Yやプロセスユニット1Kにおける鉛直方向(図6の矢印Z方向)の位置決めがなされる。ここで、鉛直方向は、感光体配列方向(図6の矢印X方向)に直交する直交方向(図6の矢印Z方向)である。よって、前側板80におけるY用の案内溝81Yの下端部は、直交方向に移動しようとする感光体2Yの前ドラム軸2aYに当接して感光体2Yの直交方向への動きを規制する第2当接部として機能している。また、同図には示していないが、後側板(90)におけるY用の案内溝(91Y)の下端部も、同様にして第2当接部として機能している。
【0056】
先に図6に示したように、前側板80には、Y用の案内溝81Yの他に、M,C,K用の案内溝81M,C,Kも形成されている。また、後側板90にも、Y用の案内溝91Yの他に、M,C,K用の案内溝91M,C,Kが形成されている。M,C,K用の感光体(2M,C,K)は、Y用の感光体(2Y)と同様にして、その前側端部の前ドラム軸2aM,2aC,2aKが前側板80の案内溝81M,C,Kの下端部に当接して摺動回転可能に支持される。同時に、その後側端部の後ドラム軸が後側板90の案内溝91M,C,Kの下端部に当接して摺動回転可能に支持される。よって、前側板80におけるM,C,Kの案内溝81M,C,Kの下端部や、後側板90におけるM,C,K用の案内溝91M,C,Kの下端部も、直交方向に移動しようとする感光体(2M,C,K)の後ドラム軸に当接して感光体(2M,C,K)の直交方向への動きを規制する第2当接部として機能している。
【0057】
なお、前側板80が配設されるプリンタ前側端部は、各感光体(2Y,M,C,K)における光書込ユニット(70)の光走査方向(主走査方向)の一端側である。また、後側板90が配設されるプリンタ後側端部は、各感光体における光走査方向の他端側である。よって、前側板80は、4つの感光体(2Y,M,C,K)における一端側である前側の前ドラム軸(2aY,M,C,K)にそれぞれ当接する複数の第2当接部(案内溝の下端部)を有する部材として機能している。また、後側板90は、4つの感光体における他端側である後側の後ドラム軸にそれぞれ当接する複数の第2当接部を有する部材として機能している。
【0058】
また、前側板80の4つの案内溝91Y,M,C,Kの幅は、それぞれ感光体(2Y,M,C,K)の前ドラム軸2aY,M,C,Kの径よりも大きくなっているため、前ドラム軸2aY,M,C,Kは矢印X方向(感光体配列方向)にある程度のガタツキをもって溝下端部に支持される。
【0059】
前側板80の案内溝81Y,M,C,Kの下端部や、後側板90の案内溝91Y,M,C,Kの下端部は、それぞれプロセスユニット1Y,M,C,Kの荷重を受ける。また、前側板80や後側板90は、図示のような複雑な形状をしている。これらのことから、各案内溝としては、そのドラム軸線方向の長さ(溝深さ)が、板金のような薄厚寸法のものではなく、5mm以上などといったある程度大きな寸法のものを設けることが望ましい。そうしないと、極めて小面積の箇所でドラム軸を受けることによって、各案内溝の下端部やドラム軸を著しく摩耗させてしまうからである。また、前側板80や後側板90としては、樹脂製であっても、ある程度の強度を発揮させるように、フィラー等の添加物の添加によって樹脂素材の構成を高めた材料からなるものを用いることが望ましい。優れた強度という観点だけからすれば、金属材料が望ましいが、金属材料は成型性に劣るため、それによって図示のような複雑な形状の前側板80や後側板90を成型するのは困難である。
【0060】
図8は、前側ピッチ位置決め部材82を取り付けた状態の前側板80の一部を光書込ユニット70の一部とともにプリンタの前側から示す部分正面図である。同図に示すように、前側ピッチ位置決め部材82は、自らのY,M用の切り欠き部83Y,Mの下端部を、前側板80におけるY,M用の案内溝81Y,Mの下端部よりも鉛直方向下側に位置させるようにして、前側板80に固定される。このため、Y,M用の感光体の前ドラム軸は、鉛直方向上側に位置する案内溝81Y,Mの下端部に支持される。前側ピッチ位置決め部材82における図示しないC,K用の切り欠き部も案内溝の下端部よりも下側に位置しているため、C,K用の感光体の前ドラム軸も、鉛直方向上側に位置する案内溝の下端部に支持される。
【0061】
前側ピッチ位置決め部材82におけるY用の切り欠き部83Yは、鉛直方向上方に向けて開口しているため、上壁を有していないが、左内壁、右内壁、底壁という3つの内壁を有している。図中の左側で鉛直方向に延在しているのが左壁であり、図中の右側で鉛直方向に延在しているのが右内壁であり、図中で水平方向に延在しているのが底壁である。これらのうち、底壁や右壁は前ドラム軸2aYに接触していないが、左壁は、図中右側から左側に向けて移動しようとする前ドラム軸2aYに当接する。これは、後述する理由により、感光体2Yの前ドラム軸2aYが感光体並び方向であるX方向を図中右側から左側に向けて移動しようとするからである。よって、前側ピッチ位置決め部材82のY用の切り欠き部83Yにおける左壁は、所定方向である感光体並び方向(矢印X方向)に移動しようとする感光体2Yの前ドラム軸に当接して感光体2Yの感光体並び方向への動きを規制する第1当接部として機能している。同図には示していないが、前側ピッチ位置決め部材82のM,C,K用の切り欠き部における左壁も、同様にして、第1当接部として機能している。よって、前側ピッチ位置決め部材82は、複数の感光体(2Y,M,C,K)の光走査方向の一端側である前側の前ドラム軸にそれぞれ当接する複数の第1当接部を有する部材として機能している。
【0062】
図8を用いて、プリンタ前側端部での前側ピッチ位置決め部材82による各感光体の配列方向への動きを規制することについて説明したが、先に図6に示した後側ピッチ位置決め部材92も、Y,M,C,K用の切り欠き部の左壁を感光体(2Y,M,C,K)の後ドラム軸に当接させる。よって、後側ピッチ位置決め部材92も、複数の感光体(2Y,M,C,K)の光走査方向の一端側である前側の前ドラム軸にそれぞれ当接する複数の第1当接部を有する部材として機能している。
【0063】
かかる構成の本プリンタにおいては、各感光体(2Y,M,C,K)を配列方向(矢印X方向)に位置決めするための複数の第1当接部を有する前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92と、各感光体を直交方向(矢印Z方向)に位置決めするための複数の第2当接部を有する前側板80や後側板90とを、互いに別体にしている。すると、前側ピッチ位置決め部材82と前側板80との組み合わせや、後側ピッチ位置決め部材92や後側板90との組み合わせとして、互いに異なる材料からなるものを用いることが可能になる。そこで、本プリンタでは、より高精度の位置決めが要求される配列方向については、比較的高剛性の板金からなる前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材によって各感光体の位置決めを行っている。この一方で、配列方向ほど高い位置決め精度が要求されない直交方向については、比較的低剛性の樹脂からなる前側板80や後側板90によって各感光体の位置決めを行っている。そして、前側板80や後側板90として、金属ではなく、樹脂からなるものを用いることで、装置の低コスト化や軽量化を図ることができる。
【0064】
また、本プリンタでは、各感光体(2Y,M,C,K)の配列方向における位置決めを、比較的剛性の高い板金からなる前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92によって行うことで、前側、後側ともに、各感光体の配列ピッチ誤差を±0.1[mm]以下に抑えることができている。
【0065】
前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92としては、厚さ(感光体軸線方向と同方向の長さ)が0.3〜3.0[mm]、好ましく名0.8〜2.0[mm]の板状の金属部材からなるものを用いることが望ましい。本プリンタでは、厚さが1.2[mm]であって、表面に電気亜鉛メッキ処理が施された鋼板(SECC)を用いている。なお、上記直交方向における位置決めをこれらピッチ位置決め部材とは別部材で行うという観点の他に、1.2[mm]という比較的薄厚のピッチ位置決め部材における厚み方向の面をドラム軸に当接させないようにするという観点からも、プロセスユニットの重力がかかってしまう切り欠き部(83Y〜K)の底壁にはドラム軸を当接させていない。
【0066】
また、本プリンタでは、配列方向(矢印X方向)及び直交方向(矢印Z方向)の位置決めを、各感光体の光走査方向における一端側と他端側とでそれぞれ行うことで、各感光体の配列方向面(X面)上における平行度のズレと、直交方向面(Z面)上における平行度のズレとの両方を抑えることができる。
【0067】
このようにして各感光体の平行度のズレを抑えることは、中間転写ベルト(16)に対する各色トナー像の重ね合わせズレを抑える上で、非常に重要な事項となる。これは次に説明する理由による。即ち、各感光体をそれぞれ精度良く平行に配設すると、各感光体の軸線方向と、転写体の表面における搬送方向と直交する方向(本プリンタでは中間転写ベルトの幅方向)との平行度を精度良く設定し易くなる。ここで、仮に、感光体2Yと、中間転写ベルト16と、光書込ユニット(70)による光走査線との関係が図9に示すような関係であったとする。同図において、中間転写ベルト16の表面は図中右側から左側に向けて移動し、この方向は感光体の並び方向(図6における矢印X方向)と同じである。ベルト表面においてかかる方向に直交する方向がベルト幅方向である。感光体2Yの軸線L1と、中間転写ベルト16の幅方向に延在する仮想線であるベルト幅方向線L3と、感光体2Y表面上における光走査線L2とが互いに平行であることが理想であるが、図示の例では、軸線L1とベルト幅方向線L3とだけが平行になっている。光走査線L2は、感光体2Y表面上において軸線L1から角度θをもって傾いている。このような傾きがある場合、図示のように、中間転写ベルト16に転写されるライン画像が、ベルト幅方向から角度θだけ傾く。これに対し、図10に示すように、光走査線L2とベルト幅方向線L3とは平行であるが、軸線L1がそれらから角度θをもって傾いた場合は、中間転写ベルト16の傾きがその倍の2θになってしまう。このような理由から、各感光体を精度良く平行に配設し、且つそれらの軸線をベルト幅方向に沿わせることが、各色トナー像の重ね合わせズレを抑えるために重要な要素となるのである。
【0068】
図11は、前側ピッチ位置決め部材82を各色のプロセスユニット1Y,M,C,Kとともに示す正面図である。各色のプロセスユニット1Y,M,C,Kの図示しない感光体の後ドラム軸には、それぞれ感光体ギヤ2aY,2cM,2cC,2cKが固定されている。そして、これら感光体ギヤ2aY,2cM,2cC,2cKには、それぞれ図示しないY,M,C,K用の駆動モータのモータ軸に固定された原動ギヤ85Y,M,C,Kが鉛直方向下方から当接して噛み合っている。原動ギヤ85Y,M,C,Kは、駆動モータの駆動に伴って図中反時計回り方向(矢印B方向)に回転する。そして、それら原動ギヤ85Y,M,C,Kに噛み合っている感光体ギヤ2aY,2cM,2cC,2cK、ひいては図示しないY,M,C,K用の感光体は、それぞれ図中時計周り方向(矢印A方向に回転する)。このようなギヤの噛み合いの反動を受けて、プロセスユニット1Y,M,C,Kや、各感光体の前ドラム軸及び後ドラム軸には、それぞれ、プリンタの右側から左側に向けて(図中矢印D方向)移動しようとする力が働く。そして、この力を受けて図中右側から左側に向けて移動しようとする前ドラム軸2aY,2aM,2aC,2aKが、前側ピッチ位置決め部材82におけるY,M,C,K用の切り欠き部83Y,M,C,Kの左壁に当接する。これにより、各感光体(2Y,M,C,K)やプロセスユニット1Y,M,C,Kが感光体配列方向に位置決めされる。なお、プリンタの後側端部では、同様にして、図中右側から左側に向けて移動しようとする図示しない後ドラム軸が図示しない後側ピッチ位置決め部材(図6の92)におけるY,M,C,K用の切り欠き部の左壁に当接する。
【0069】
このように、感光体ギヤと原動ギヤとの噛み合いの反動によって各ドラム軸を切り欠き部の左壁に当接させるようにする代わりに、各ドラム軸を切り欠き部の左壁あるいは右壁に付勢する付勢手段を設けてもよい。例えば、図12に示すように、前側ピッチ位置決め部材82に付勢手段としての板バネ86Yを設け、これによって感光体2Yの前ドラム軸2aYをY用の切り欠き部83Yの左壁に向けて付勢させるようにしてもよい。この場合、板バネ86Yによる付勢方向を、感光体配列方向にするのではなく、感光体配列方向よりも上記直交方向の側に傾けて、両方向の成分をもたせた方向に付勢させるようにすることが望ましい。図示の例では感光体配設方向が180°(0°)であるのに対し、付勢方向が225°(45°)程度になっている。こうすることで、前ドラム軸2aYを感光体配列方向に加えて上記直交方向にも付勢して、直交方向における感光体2Yの位置決めをより高精度に行うことができるようになる。後ドラム軸についても同様である。また、他色の感光体(2M,C,K)のドラム軸についても同様である。
【0070】
なお、図12に示した板バネ86Y等によってドラム軸を切り欠き部の左壁に付勢するのではなく、図11に示したようにギアの噛み合いによる反動によってドラム軸を切り欠き部の左壁に当接させる場合には、板バネ等の付勢手段を省略して低コスト化や軽量化を図ることができる。
【0071】
また、どのような方法を採用するにしても、ドラム軸を切り欠き部の内壁に確実に当接させる手段を設けることが望ましい。切り欠き部の幅をドラム軸の径と完全に同じにしてしまうと、切り欠き部内壁とドラム軸との過剰な摩擦力によって感光体の回転駆動を事実上不可能にしてしまうため、切り欠き部の幅についてはどうしてもドラム軸の径よりも大きめに設定する必要がある。最低でも0.05mmのクリアランスが必要になる。このようなクリアランスにより、ドラム軸を切り欠き部内でどうしても感光体配設方向に僅かにがたつかせてしまうからである。
【0072】
先に示した図11において、前側ピッチ位置決め部材82は、上述したように感光体配列方向に所定のピッチで並ぶY,M,C,K用の切り欠き部83Y,M,C,Kを有している。また、感光体配列方向に一直線上に並ぶ3つの取り付け穴82aや、感光体配列方向に延在する長穴82bも有している。
【0073】
同図では、2つのピッチ位置決め部材のうち、前側ピッチ位置決め部材82だけしか示していないが、前側ピッチ位置決め部材82の図中後側に存在する図示しない後側ピッチ位置決め部材は前側ピッチ位置決め部材82と完全に同形状になっている。
【0074】
これら前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材(図6の92)としては、次のようなプロセスによって製造したものを用いることが望ましい。即ち、前側ピッチ位置決め部材82の前駆体である第1前駆体と、後側ピッチ位置決め部材(92)の前駆部材である第2前駆体とを、同一の型によって成型加工したものである。例えば、第1前駆体や第2前駆体としての溶融金属を鋳型に流し込んで前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材(92)を成型する場合には、それぞれを同じ鋳型によって成型するのである。また、第1前駆体や第2前駆体としての板金を打ち抜き型によって打ち抜き加工する場合には、前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材(92)を同じ打ち抜き型によって打ち抜き加工するのである。このような前側ピッチ位置決め部材82と後側ピッチ位置決め部材(92)とを用いることで、両者の成型加工精度の誤差による各感光体(2Y,M,C,K)の位置決め精度の悪化を回避することができる。
【0075】
なお、本プリンタの前側ピッチ位置決め部材82は、その前駆体である板金に対して、前側ピッチ位置決め82の外縁とともに、4つの切り欠き部83Y〜K、取り付け穴82a、及び前側板(80)に対する位置決めを行うための長穴82bを打ち抜き加工して製造されたものである。また、後側ピッチ位置決め部材(92)も、前側ピッチ位置決め部材82と同じ打ち抜き型による打ち抜き加工で製造されたものである。よって、両ピッチ位置決め部材の成型加工精度の誤差による各感光体(2Y,M,C,K)の位置決め精度の悪化を回避することができる。そして、そのような位置決め精度の高い前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材(92)を用いることで、各感光体(2Y,M,C,K)の軸線の平行度の誤差を0.01程度に抑えることができている。そして、これにより、中間転写ベルト(16)上における各色トナー像の重ね合わせずれ量を20[μm]以下に抑えることができた。
【0076】
前側ピッチ位置決め部材82と後側ピッチ位置決め部材(92)とについては、それらの前駆体である2枚の板金を重ねて同時に打ち抜き加工してもよいし、別々に打ち抜き加工してもよい。但し、板金として、ピッチ位置決め部材の外縁形状が既に成形されており、上述の4つの切り欠き部、取り付け穴及び長穴だけを打ち抜き加工する場合には、2枚の板金を重ねて両ピッチ位置決め部材を同時に打ち抜き加工する方法を採用する必要がある。外縁形状を切り欠き部等とともに打ち抜き加工しない場合には、打ち抜き装置におけるワーク台での板金の姿勢の誤差により、打ち抜き加工毎に、ピッチ位置決め部材の外縁と切り欠き部等との相対位置誤差が発生してしまうからである。2つの板金を重ね合わせて同時に打ち抜き加工する場合には、同時に打ち抜き加工した前側ピッチ位置決め部材82と後側ピッチ位置決め部材(92)との間では、かかる相対位置誤差を無くすことができる。
【0077】
前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92は、先に示した図6の矢印Y方向における奥側から手前側に向けて打ち抜き加工が施されたものである。このようなピッチ位置決め部材では、打ち抜き加工部の周囲に、図中奥側から手前側に向けて延びるバリが発生する。ここで言うバリとは、金属やプラスチックを加工する際、その縁などにはみ出た余分な部分のことである。
【0078】
一般に、打ち抜き加工によって得られた成型品については、発生したバリを工具などで削ったり、擦り落としたりして除去することが多い。但し、発生したバリを完全に除去することが難しい。本プリンタにおける前側ピッチ位置決め部材82の4つの切り欠き部(図11の83Y〜K)や後側ピッチ位置決め部材の4つの切り欠き部は、それぞれその左壁が第2当接部として機能している。このような切り欠き部について、その周囲のバリを除去する際に、バリを完全に除去することができず、且つその除去し切れなかった部分を板面から概ね直角に折れ曲がっていた姿勢から板面方向に延在させる姿勢にしてしまった場合、次のような問題が発生する。即ち、感光体のドラム軸を、切り欠き部の左壁に突き当てる前に、バリの除去し切れなかった部分に突き当ててしまい、感光体配設方向における感光体の位置決めを適切に行うことができなくなるという問題である。そこで、本プリンタにおいては、前側ピッチ位置決め部材82、後側ピッチ位置決め部材92として、それぞれ、切り欠き部における左壁から折れ曲がったバリを除去していないものを用いている。これにより、左壁から折れ曲がったバリをそのまま残してしまうものの、そのバリを感光体のドラム軸に突き当ててしまうことによる位置決め精度の悪化の発生を抑えることができる。
【0079】
但し、全てのバリを除去しないままにするのは、製品価値を低下させたり、安全性を低下させたり(バリによる怪我)することになる。そこで、前側ピッチ位置決め部材82、後側ピッチ位置決め部材92として、それぞれ、切り欠き部の左壁とは異なる箇所から折れ曲がっているバリについては、全てその除去処理を行っているものを用い、これを前側板80や後側板90に取り付けている。これにより、バリによる製品価値や安全性の低下を抑えることができる。
【0080】
本プリンタでは、各色の感光体(2Y、M、C、K)の後ドラム軸に固定された感光体ギヤ2cY,2cM,2cC,2cKとして、それぞれ、歯車の歯当接面が回転軸線方向から傾斜しているはずばギヤを用いている。そして、このようなはすばギヤを用いることで、原動ギヤ85Y,M,C,Kと、感光体ギヤ2cY,2cM,2cC,2cKとの噛み合いに伴って、感光体(2Y,M,C,K)に対して後側(後ドラム軸側)から前側(前ドラム軸側)に向けて付勢する力をかけている。この付勢により、感光体(2Y,M,C,K)を内包するプロセスユニット1Y,M,C,Kが後側から前側に向けて付勢されて、それぞれ、ケーシングの前側面を前側ピッチ位置決め部材82における後側ピッチ位置決め部材82との対向面に当接する。そして、この当接により、各感光体(2Y,M,C,K)が、それぞれその軸線方向(図6の矢印Y方向)にも位置決めされる。例えば、Y用のプロセスユニット1Yを例にすると、これは、プリンタ前側から後側に向けて付勢されることで、図13に一点鎖線の円で示すように、そのケーシングの前側面における前ドラム軸2aYを囲んでいる領域を前側ピッチ位置決め部材82に当接させる。即ち、複数の第1当接部を有する部材である前側ピッチ位置決め部材82は、回転軸線方向に移動しようとする各感光体の保持体であるプロセスユニットのケーシングの前側面にそれぞれ個別に当接してそれら感光体の回転軸線方向への動きを規制する複数の第3当接部を有している。
【0081】
このようにして各感光体(2Y,M,C,K)を軸線方向に位置決めする場合には、各プロセスユニット1Y,M,C,Kのケーシングの前側面をそれぞれ前側ピッチ位置決め部材82の側面にピッタリと密着させる必要がある。この一方で、上述したように、前側ピッチ位置決め部材82としては、上述したように、各切り欠き部(83Y〜K)の左壁から折れ曲がっているバリを除去していないものを用いている。そして、その未除去のバリを各プロセスユニット1Y,M,C,Kのケーシングの前側面に突き当ててしまい、前側面と前側ピッチ位置決め82の側面とを密着させることができなくなるおそれがある。
【0082】
そこで、本プリンタでは、先に示した図6において、未除去のバリの突出面を、各プロセスユニット1Y,M,C,Kに向けるのではなく、反対方向に向ける、即ち、前側板80に向ける姿勢で前側ピッチ位置決め部材82を前側板80に取り付けている。そして、前側板80における後側板90との対向面には、そのバリを受け入れるための図示しない凹部を設けている。かかる構成では、前側ピッチ位置決め部材82の左壁から折れ曲がっている未除去のバリを各プロセスユニット1Y,M,C,Kの前側面に突き当ててしまうことによる各感光体(2Y,M,C,K)の軸線方向の位置決め精度の低下を抑えることができる。
【0083】
なお、本プリンタでは、後側ピッチ位置決め部材92を、未除去のバリの突出面を各プロセスユニット1Y,M,C,Kに対面させる姿勢で、後側ピッチ位置決め部材92を後側板90に取り付けることになる。かかる構成では、未除去のバリを各プロセスユニット1Y,M,C,Kに突き当ててしまうおそれがある。しかしながら、プリント動作時には、上述したように各プロセスユニット1Y,M,C,Kがはすばギヤの噛み合いによってプリンタ後側から前側に向けて付勢される。このため、後側ピッチ位置決め部材92の未除去のバリを各プロセスユニット1Y,M,C,Kのケーシングの後側面に突き当てることはない。
【0084】
以上のように、本プリンタでは、光書込ユニット70を、互いに直交するX方向、Y方向、Z方向の全てにおいて位置決めして、書込位置精度を非常に高く維持することができる。
【0085】
前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92としては、本プリンタのように、立体的な構造を有さない板状のものを用いることが望ましい。このような前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92では、市販されている汎用の板金の打ち抜き加工によって容易に成型して、低コスト化を図ることができるからである。これに対し、複雑な立体構造を有するものを用いると、それを鋳型によって成型する必要があり、前駆体として汎用の部材を使用することができなくなるため、コストアップを引き起こしてしまう。
【0086】
また、前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92としては、本プリンタのように、導電性材料(本プリンタでは鉄等の金属)からなるものを用いることが望ましい。かかる構成では、各感光体(2Y,M,C,K)に接触する前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92を介して、各感光体(2Y,M,C,K)をアース接続することが可能になり、各感光体に対するアース線接続を不要にして低コスト化や小型化を図ることができるからである。
【0087】
更に、前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92としては、本プリンタのように、表面に厚み数μm程度の金属メッキ処理を施したものを用いることが望ましい(本プリンタでは亜鉛メッキ処理)。かかる構成では、位置決め精度に悪影響を及ぼすことなく、ピッチ位置決め部材による各感光体のアースへの導通性を向上させたり、ピッチ位置決め部材の腐食を抑えたりすることができるからである。
【0088】
図14は、光書込ユニット70をカバーフレーム52及び4つのプロセスユニット1Y,M,C,Kとともに示す正面図である。図3では便宜を図るために図示を省略していたが、カバーフレーム52の前板の下面には、互いに距離をおいて並ぶY,M,C,K用の4つのプロセスユニット付勢バネ52Y,M,C,Kが固定されている。また、図14には図示していないが、カバーフレーム52の後板の下面にも、同様の4つのプロセスユニット付勢バネが固定されている。上カバー50を閉じると、これらプロセスユニット付勢バネが、それぞれ、プロセスユニット1Y,M,C,Kの上面に当接して、それらを鉛直方向上側から下側に向けて(Z方向)に付勢する。この付勢により、先に図6に示した感光体Y用の感光体の前ドラム軸2aYが、前側板80におけるY用の案内溝81Yの下端部に突き当てって、Y用の感光体の前側端部における直交方向(感光体並び方向に直交する方向)の位置決めがなされる。同時に、Y用の感光体の図示しない後ドラム軸が、後側板90におけるY用の案内溝91Yの下端部に突き当たって、Y用の感光体の後側端部における直交方向の位置決めがなされる。M,C,K用の感光体も同様にして、前側及び後側の両端部で直交方向に位置決めされる。
【0089】
潜像担持体付勢手段としてのこれらプロセスユニット付勢バネについては、筺体内に設けることもできるが、この場合、プロセスユニットの着脱をプロセスユニット付勢バネによって邪魔してしまうため、バネを着脱可能に設ける必要がある。そして、プロセスユニットを着脱する度に、プロセスユニット付勢バネを着脱するという面倒な作業が強いられることになる。これに対し、本プリンタのように、プロセスユニット付勢バネをカバーフレーム52に固定することで、これらを、プロセスユニットを付勢する位置と付勢しない位置との間で移動可能にしている。このような移動により、プロセスユニット付勢バネによってプロセスユニットの着脱を邪魔することがなくなるため、前述のような面倒な作業を省略することができる。また、プロセスユニットをプロセスユニット付勢バネによって付勢することで、各感光体のドラム軸を確実に案内溝の下端部に突き当てて、各感光体を直交方向に精度良く位置決めすることができる。
【0090】
これまで、鉛直方向に延在する案内溝(81Y〜K、91Y〜K)を前側板80や後側板90に設け、各感光体のドラム軸をその案内溝の中で鉛直方向にスライド移動させて各プロセスユニット1Y,M,C,Kをプリンタの筺体内に着脱するようにした例について説明した。しかしながら、各プロセスユニット1Y,M,C,Kを鉛直方向にスライド移動させる構成を採用することが困難な場合があり得る。例えば、省スペース化の観点から、プロセスユニットの左側あるいは右側端部に出っ張りを設ける一方で、それとは反対側の端部に凹部を設け、プロセスユニットの出っ張りを他のプロセスユニットの凹部内に食い込ませるレイアウトを採用した場合などである。このようなレイアウトでは、あるプロセスユニットを鉛直方向に引き抜こうとすると、その凹部が他のプロセスユニットの出っ張りに突き当たってしまうため、鉛直方向に着脱することができなくなる。但し、鉛直方向から傾いた方向であれば、着脱することができる。
【0091】
図15は、各プロセスユニットを鉛直方向から傾いた方向に着脱するようにした変形例のプリンタにおける部分構成を示す拡大構成図である。同図では、Y,M用のプロセスユニット1Y,Mとその周囲構成とだけしか示していないが、前側板80における各案内溝(例えば、81Y,M)は、鉛直方向から傾いた方向に延在するように形成されている。前側ピッチ位置決め部材82において感光体配列方向に並ぶ4つの切り欠き部(例えば83Y,M)の形状を、前側板80の各案内溝と同様に鉛直方向から傾けた形状にしてしまうと、各切り欠き部の鉛直方向の寸法誤差により、各感光体の配列方向のピッチに誤差を発生させてしまう。このため、切り欠き部については、鉛直方向に延在させる姿勢にして、その底面に前ドラム軸(例えば2aY,M)を確実に突き当てるようにしている。更に、着脱時に前ドラム軸の引っ掛かりによってプロセスユニットの着脱操作性を阻害しないように、前側板80の各案内溝の幅については十分に大きくとっている。後側板(90)や後側ピッチ位置決め部材(92)も同様の構成になっている。
【0092】
これまで、磁性キャリアを含まずにトナーを主成分とする一成分現像剤を用いて潜像を現像する一成分現像方式を採用したプリンタの例について説明したが、磁性キャリアとトナーとを含有する二成分現像剤を用いる二成分現像方式を採用した画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。
【0093】
また、光書込ユニット70を上カバー50の開閉に伴って移動させる構成のプリンタの例について説明したが、単独で回動させて4つのプロセスユニットとの対面位置から待避させる画像形成装置にも本発明の適用が可能である。また、光書込ユニット70を回動させるのではなく、スライド移動させるようにした画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。
【0094】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、感光体並び方向(矢印X方向)に直交する方向である直交方向が、鉛直方向、即ち重力方向である。かかる構成では、重力によって各感光体2Y,M,C,Kのドラム軸を、それぞれ、第2当接部たる案内溝(81Y,M,C,K、91Y,M,C,K)の下端部に突き当てて、各感光体を直交方向に位置決めすることができる。
【0095】
また、4つの感光体2Y,M,C,Kがそれぞれ回転軸たるドラム軸(前ドラム軸及び後ドラム軸)を中心にして回転するものであり、且つ、複数の第1当接部を有する部材である前側ピッチ位置決め部材82が、回転軸線方向に移動しようとするそれら4つの感光体2Y,M,C,Kをそれぞれ個別に保持する保持体であるプロセスユニット1Y,M,C,Kの前側面に個別に当接してそれら4つの感光体2Y,M,C,Kの回転軸線方向への動きを規制する複数の第3当接部を有している。かかる構成では、前側ピッチ位置決め部材82により、各感光体2Y,M,C,Kの軸線方向の位置決めを行うこともできる。
【0096】
また、複数の感光体2Y,M,C,Kを感光体動作位置(回転位置)から光書込ユニット70に向けて案内する案内部(案内溝81Y〜K、案内溝91Y〜Kの下端部以外の部分)を有する前側板80や後側板90などから構成される支持体により、複数の感光体を支持し、且つ上記直交方向が案内部による感光体案内方向になっている。かかる構成では、前側板80、後側板90により、各感光体2Y,M,C,Kやプロセスユニット1Y,M,C,Kを案内部内でスライド移動させて支持体に容易に着脱しつつ、上記直交方向に位置決めすることができる。
【0097】
また、潜像書込装置として、光走査によって4つの感光体2Y,M,C,Kにそれぞれ潜像を書き込む光書込ユニット70を用い、複数の第1当接部を有する部材として、4つの感光体2Y,M,C,Kにおける光走査方向の一端側である前ドラム軸2aY,M,C,Kにそれぞれ当接する複数の第1当接部を有する前側ピッチ位置決め部材82と、他端側である後ドラム軸にそれぞれ当接する複数の第1当接部を有する後側ピッチ位置決め部材92との2つを設けている。更に、複数の第2当接部を有する部材として、4つの感光体2Y,M,C,Kにおける光走査方向の一端側である前ドラム軸2aY,M,C,Kにそれぞれ当接する複数の第2当接部を有する前側板80と、他端側である後ドラム軸にそれぞれ当接する複数の第2当接部を有する後側板90との2つを設けている。かかる構成では、上述したように、各感光体2Y,M,C,Kを前後方向の両端部でそれぞれ感光体並び方向及び直交方向に位置決めすることで、各感光体2Y,M,C,Kの配列方向面(X面)上における平行度のズレと、直交方向面(Z面)上における平行度のズレとの両方を抑えることができる。
【0098】
また、各感光体2Y,M,C,Kの保持体たる各プロセスユニット1Y,M,C,Kを重力方向であって且つスライド移動方向である鉛直方向の下方に向けて付勢する付勢手段たるプロセスユニット付勢バネ52Y,M,C,Kを設けているので、各感光体2Y,M,C,Kを確実に第2当接部に当接させて直交方向に位置決めすることができる。
【0099】
また、付勢手段たるプロセスユニット付勢バネ52Y,M,C,Kを、保持体たるプロセスユニット1Y,M,C,Kを付勢する位置と付勢しない位置との間で移動可能に設けているので、上述したように、プロセスユニット1Y,M,C,Kを着脱する度に、プロセスユニット付勢バネ52Y,M,C,Kを着脱するという面倒な作業を不要にすることができる。更には、プロセスユニット1Y,M,C,Kをプロセスユニット付勢バネ52Y,M,C,Kによって付勢することで、各感光体2Y,M,C,Kのドラム軸を確実に第2当接部たる案内溝の下端部に突き当てて、各感光体を直交方向に精度良く位置決めすることができる。
【0100】
また、感光体2Y,M,C,Kに駆動力を伝達する感光体ギヤ2cY,M,C,Kと、原動ギヤ85Y,M,C,Kとの噛み合いによる反動で、各感光体2Y,M,C,Kやプロセスユニット1Y,M,C,Kをそれぞれ感光体配列方向と回転軸線方向とに付勢するようにしている。かかる構成では、各感光体2Y,M,C,Kやプロセスユニット1Y,M,C,Kを感光体配列方向に付勢するための専用のバネや、回転軸線方向に付勢するための専用のバネを設けることなく、それら方向に付勢することで、低コスト化や小型化を図ることができる。
【0101】
また、複数の第1当接部を有する部材である前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材として、複数の第2当接部を有する部材である前側板80や後側板90よりも高剛性である金属製のものを用いているので、各感光体2Y,M,C,Kの配列方向の位置決め精度を直交方向の位置決め精度よりも高めることができる。
【0102】
また、複数の第2当接部を有する部材である前側板80や後側板90が、それぞれ、4つの感光体2Y,M,C,Kやプロセスユニット1Y,M,C,Kを支持する支持部材であるので、支持部材を利用して各感光体2Y,M,C,Kを直交方向に位置決めすることができる。
【0103】
また、複数の第2当接部を有する部材である前側板80や後側板90が、潜像書込装置たる光書込ユニット70を支持する支持部材でもあるので、それらによって各プロセスユニット1Y,M,C,K及び光書込ユニット70を支持しながら、各感光体2Y,M,C,Kを直交方向に位置決めすることができる。
【0104】
また、複数の第2当接部を有する部材である前側板80や後側板90として、複数の第1当接部を有する部材である前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92よりも比重の小さい樹脂製ものを用いている。このような前側板80や後側板90を用いることで、各感光体2Y,M,C,Kを設計上で要求される精度で直交方向(矢印Z方向)に位置決めしつつ、プリンタの軽量化を図ることができる。
【0105】
また、複数の第1当接部を有する部材である前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92として、金属からなるものを用いているので、各感光体2Y,M,C,Kを設計上で要求される比較的高い精度で配列方向(矢印X方向)に位置決めすることができる。
【0106】
また、複数の第2当接部を有する部材である前側板80や後側板90として、樹脂からなるものを用いているので、金属からなるものを用いる場合に比べて、それらを容易に成型して低コスト化を図ることができる。
【0107】
また、複数の第1当接部を有する部材である前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92として、導電性材料である金属からなるものを用いているので、それらピッチ位置決め部材を介して各感光体2Y,M,C,Kをアース接続することができる。なお、各感光体2Y,M,C,Kをそれぞれ専用のアース線の接続なしにアース接続するという観点だけからすれば、前側ピッチ位置決め部材82や後側ピッチ位置決め部材92に代えて、前側板80や後側板90を導電性材料で構成してもよい。但し、この場合、軽量化を有効に図ることが困難になる。
【0108】
また、4つの感光体2Y,M,C,Kについてそれぞれ、少なくとも感光体と、これの表面を一様帯電せしめる帯電手段たる帯電装置及び現像手段たる現像装置とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させてプリンタ本体に対して一体的に着脱可能にしたプロセスユニット1Y,M,C,Kとして構成しているので、各感光体2Y,M,C,Kをその周囲装置とともに一体的に着脱することができる。
【符号の説明】
【0109】
1Y,M,C,K:プロセスユニット(保持体)
2Y,M,C,K:感光体(潜像担持体)
2aY,M,C,K:前ドラム軸(回転軸)
2cY,M,C,K:感光体ギヤ
4K:帯電装置(帯電手段)
5K:現像装置(現像手段)
15:転写ユニット(転写手段)
16:中間転写ベルト(中間転写体)
34:定着装置(定着手段)
70:光書込ユニット(潜像書込装置)
80:前側板(複数の第2当接部を有する部材、支持体)
81Y,M,C,K:案内溝(下端部が第2当接部、下端部以外が案内部)
82:前側ピッチ位置決め部材(複数の第1当接部及び第3当接部を有する部材)
83Y,M,C,K:切り欠き部(第1当接部)
85Y,M,C,K:原動ギヤ
90:後側板(複数の第2当接部を有する部材、支持体)
91Y,M,C,K:案内溝(下端部が第2当接部、下端部以外が案内部)
92:後側ピッチ位置決め部材(複数の第1当接部を有する部材)
P:記録紙(記録部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特開2002−189324号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に並ぶように配設された複数の潜像担持体と、それら潜像担持体の表面にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込装置とを備える画像形成装置であって、
上記所定方向に移動しようとする上記複数の潜像担持体、又はそれら複数の潜像担持体をそれぞれ個別に保持する複数の保持体に、それぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該所定方向への動きを規制する複数の第1当接部と、
該所定方向に直交する方向である直交方向に移動しようとするそれら複数の潜像担持体又は保持体に、それぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該直交方向への動きを規制する複数の第2当接部とを画像形成装置内に有し、
且つ、該複数の第1当接部を有する部材と、該複数の第2当接部を有する部材とが互いに別体で構成された異なる部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置であって、
上記直交方向が、重力方向であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1の画像形成装置であって、
上記複数の潜像担持体がそれぞれ回転軸を中心にして回転するものであり、
且つ、上記複数の第1当接部を有する部材、あるいは、上記複数の第2当接部を有する部材が、それら複数の潜像担持体又は上記保持体に対してその回転軸線方向からそれぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該回転軸線方向への動きを規制する複数の第3当接部を有するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1の画像形成装置であって、
上記複数の潜像担持体又は保持体を該潜像担持体の動作位置から上記潜像書込装置に向けて案内する案内部を有する支持体により、該複数の潜像担持体又は保持体を支持し、
且つ上記直交方向が該案内部による潜像担持体又は保持体の案内方向であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかの画像形成装置において、
上記潜像書込装置として、光走査によって上記複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込むものを用い、
上記複数の第1当接部を有する部材として、上記複数の潜像担持体又は保持体における該潜像書込装置の光走査方向の一端側にそれぞれ当接する複数の第1当接部を有する部材と、他端側にそれぞれ当接する複数の第1当接部を有する部材との2つを設け、
且つ、上記複数の第2当接部を有する部材として、該複数の潜像担持体又は保持体における該光走査方向の一端側にそれぞれ当接する複数の第2当接部を有する部材と、他端側にそれぞれ当接する複数の第2当接部を有する部材との2つを設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2乃至4の何れかの画像形成装置において、
上記複数の潜像担持体又は保持体を上記所定方向、重力方向、回転軸線方向又はスライド移動方向に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4の画像形成装置において、
上記複数の潜像担持体又は保持体を上記スライド移動方向に付勢する付勢手段を、該潜像担持体又は保持体を付勢する位置と付勢しない位置との間で移動可能に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項2乃至4の何れかの画像形成装置において、
上記潜像担持体に駆動力を伝達する複数のギヤの噛み合いによる反動で、上記複数の潜像担持体又は保持体をそれぞれ上記所定方向又は回転軸線方向に付勢するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかの画像形成装置において、
上記複数の第1当接部を有する部材として、上記複数の第2当接部を有する部材よりも高剛性のものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかの画像形成装置であって、
上記複数の第2当接部を有する部材が、上記複数の潜像担持体を支持する支持部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかの画像形成装置であって、
上記複数の第2当接部を有する部材が、上記潜像書込装置を支持する支持部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかの画像形成装置において、
上記複数の第2当接部を有する部材として、上記複数の第1当接部を有する部材よりも比重の小さいものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12の画像形成装置において、
上記複数の第1当接部を有する部材として、金属からなるものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項12又は13の画像形成装置において、
上記複数の第2当接部を有する部材として、樹脂からなるものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れかの画像形成装置において、
上記複数の第1当接部を有する部材、又は上記複数の第2当接部を有する部材として、導電性材料からなるものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れかの画像形成装置において、
上記複数の潜像担持体についてそれぞれ、少なくとも該潜像担持体と、これの表面を一様帯電せしめる帯電手段、又は該潜像担持体に担持される潜像を現像する現像手段とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能にしたプロセスユニットとして構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
所定方向に並ぶように配設された複数の潜像担持体におけるそれぞれの表面に潜像を書き込む書込工程と、該複数の潜像担持体に担持された潜像をそれぞれ個別に現像する現像工程と、該複数の潜像担持体の表面上でそれぞれ現像された可視像を転写体に重ね合わせて転写する転写工程とを実施する画像形成方法において、
上記所定方向に移動しようとする上記複数の潜像担持体、又はそれら複数の潜像担持体をそれぞれ個別に保持する複数の保持体に、それぞれ複数の第1当接部の何れかを当接させてそれら複数の潜像担持体の該所定方向への動きを規制する工程と、
該所定方向に直交する方向である直交方向に移動しようとするそれら複数の潜像担持体又は保持体に、それぞれ複数の第2当接部の何れかを当接させてそれら複数の潜像担持体の該直交方向への動きを規制する工程とを実施しながら、上記書込工程、現像工程及び転写工程を実施し、
且つ、該複数の第1当接部を有する部材として、該複数の該第2当接部を有する部材とは別体で構成された異なる部材を用いることを特徴とする画像形成方法。
【請求項18】
所定方向に並ぶように配設された複数の潜像担持体と、それら潜像担持体の表面にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込装置とを備える画像形成装置における該潜像担持体と該潜像書込装置とを支持する支持機構であって、
上記所定方向に移動しようとする上記複数の潜像担持体、又はそれら複数の潜像担持体をそれぞれ個別に保持する複数の保持体に、それぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該所定方向への動きを規制する複数の第1当接部と、
該所定方向に直交する方向である直交方向に移動しようとするそれら複数の潜像担持体又は保持体に、それぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該直交方向への動きを規制する複数の第2当接部とを有し、
且つ、該複数の第1当接部を有する部材と、該複数の第2当接部を有する部材とが互いに別体で構成された異なる部材であることを特徴とする支持機構。
【請求項1】
所定方向に並ぶように配設された複数の潜像担持体と、それら潜像担持体の表面にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込装置とを備える画像形成装置であって、
上記所定方向に移動しようとする上記複数の潜像担持体、又はそれら複数の潜像担持体をそれぞれ個別に保持する複数の保持体に、それぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該所定方向への動きを規制する複数の第1当接部と、
該所定方向に直交する方向である直交方向に移動しようとするそれら複数の潜像担持体又は保持体に、それぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該直交方向への動きを規制する複数の第2当接部とを画像形成装置内に有し、
且つ、該複数の第1当接部を有する部材と、該複数の第2当接部を有する部材とが互いに別体で構成された異なる部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置であって、
上記直交方向が、重力方向であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1の画像形成装置であって、
上記複数の潜像担持体がそれぞれ回転軸を中心にして回転するものであり、
且つ、上記複数の第1当接部を有する部材、あるいは、上記複数の第2当接部を有する部材が、それら複数の潜像担持体又は上記保持体に対してその回転軸線方向からそれぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該回転軸線方向への動きを規制する複数の第3当接部を有するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1の画像形成装置であって、
上記複数の潜像担持体又は保持体を該潜像担持体の動作位置から上記潜像書込装置に向けて案内する案内部を有する支持体により、該複数の潜像担持体又は保持体を支持し、
且つ上記直交方向が該案内部による潜像担持体又は保持体の案内方向であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかの画像形成装置において、
上記潜像書込装置として、光走査によって上記複数の潜像担持体にそれぞれ潜像を書き込むものを用い、
上記複数の第1当接部を有する部材として、上記複数の潜像担持体又は保持体における該潜像書込装置の光走査方向の一端側にそれぞれ当接する複数の第1当接部を有する部材と、他端側にそれぞれ当接する複数の第1当接部を有する部材との2つを設け、
且つ、上記複数の第2当接部を有する部材として、該複数の潜像担持体又は保持体における該光走査方向の一端側にそれぞれ当接する複数の第2当接部を有する部材と、他端側にそれぞれ当接する複数の第2当接部を有する部材との2つを設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2乃至4の何れかの画像形成装置において、
上記複数の潜像担持体又は保持体を上記所定方向、重力方向、回転軸線方向又はスライド移動方向に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4の画像形成装置において、
上記複数の潜像担持体又は保持体を上記スライド移動方向に付勢する付勢手段を、該潜像担持体又は保持体を付勢する位置と付勢しない位置との間で移動可能に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項2乃至4の何れかの画像形成装置において、
上記潜像担持体に駆動力を伝達する複数のギヤの噛み合いによる反動で、上記複数の潜像担持体又は保持体をそれぞれ上記所定方向又は回転軸線方向に付勢するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかの画像形成装置において、
上記複数の第1当接部を有する部材として、上記複数の第2当接部を有する部材よりも高剛性のものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかの画像形成装置であって、
上記複数の第2当接部を有する部材が、上記複数の潜像担持体を支持する支持部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかの画像形成装置であって、
上記複数の第2当接部を有する部材が、上記潜像書込装置を支持する支持部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかの画像形成装置において、
上記複数の第2当接部を有する部材として、上記複数の第1当接部を有する部材よりも比重の小さいものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12の画像形成装置において、
上記複数の第1当接部を有する部材として、金属からなるものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項12又は13の画像形成装置において、
上記複数の第2当接部を有する部材として、樹脂からなるものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れかの画像形成装置において、
上記複数の第1当接部を有する部材、又は上記複数の第2当接部を有する部材として、導電性材料からなるものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れかの画像形成装置において、
上記複数の潜像担持体についてそれぞれ、少なくとも該潜像担持体と、これの表面を一様帯電せしめる帯電手段、又は該潜像担持体に担持される潜像を現像する現像手段とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能にしたプロセスユニットとして構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
所定方向に並ぶように配設された複数の潜像担持体におけるそれぞれの表面に潜像を書き込む書込工程と、該複数の潜像担持体に担持された潜像をそれぞれ個別に現像する現像工程と、該複数の潜像担持体の表面上でそれぞれ現像された可視像を転写体に重ね合わせて転写する転写工程とを実施する画像形成方法において、
上記所定方向に移動しようとする上記複数の潜像担持体、又はそれら複数の潜像担持体をそれぞれ個別に保持する複数の保持体に、それぞれ複数の第1当接部の何れかを当接させてそれら複数の潜像担持体の該所定方向への動きを規制する工程と、
該所定方向に直交する方向である直交方向に移動しようとするそれら複数の潜像担持体又は保持体に、それぞれ複数の第2当接部の何れかを当接させてそれら複数の潜像担持体の該直交方向への動きを規制する工程とを実施しながら、上記書込工程、現像工程及び転写工程を実施し、
且つ、該複数の第1当接部を有する部材として、該複数の該第2当接部を有する部材とは別体で構成された異なる部材を用いることを特徴とする画像形成方法。
【請求項18】
所定方向に並ぶように配設された複数の潜像担持体と、それら潜像担持体の表面にそれぞれ潜像を書き込む潜像書込装置とを備える画像形成装置における該潜像担持体と該潜像書込装置とを支持する支持機構であって、
上記所定方向に移動しようとする上記複数の潜像担持体、又はそれら複数の潜像担持体をそれぞれ個別に保持する複数の保持体に、それぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該所定方向への動きを規制する複数の第1当接部と、
該所定方向に直交する方向である直交方向に移動しようとするそれら複数の潜像担持体又は保持体に、それぞれ個別に当接してそれら複数の潜像担持体の該直交方向への動きを規制する複数の第2当接部とを有し、
且つ、該複数の第1当接部を有する部材と、該複数の第2当接部を有する部材とが互いに別体で構成された異なる部材であることを特徴とする支持機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−180621(P2011−180621A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136961(P2011−136961)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【分割の表示】特願2005−332679(P2005−332679)の分割
【原出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【分割の表示】特願2005−332679(P2005−332679)の分割
【原出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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