画像形成装置、給紙装置および画像形成システム
【課題】用紙の紙目に応じて給紙装置や像担持体、定着装置の分離性能等を適正化する。
【解決手段】大容量給紙装置300は、給紙トレイ74に収容される最上層の用紙Pの紙目を検出するための紙目検出部76を備えている。紙目検出部76は、用紙Pの紙目検出位置Tにおける法線Oに対して所定角度θだけ傾斜した位置であって、かつ、平面的に見て用紙Pの搬送方向D1に対して平行方向に設置される。紙目検出部76は、発光部77と受光部78とを有する。発光部77は、制御部の指示により用紙Pの紙目検出位置Tに光を照射する。受光部78は、発光部77から照射されて用紙Pの紙目検出位置Tで反射した反射光を受光して反射光量に応じた検出電圧を制御部に供給する。制御部では、検出電圧に基づいて用紙Pの紙目を判断し、この判断結果を画像形成部や定着装置の紙分離制御や後処理装置2後処理制御に反映させる。
【解決手段】大容量給紙装置300は、給紙トレイ74に収容される最上層の用紙Pの紙目を検出するための紙目検出部76を備えている。紙目検出部76は、用紙Pの紙目検出位置Tにおける法線Oに対して所定角度θだけ傾斜した位置であって、かつ、平面的に見て用紙Pの搬送方向D1に対して平行方向に設置される。紙目検出部76は、発光部77と受光部78とを有する。発光部77は、制御部の指示により用紙Pの紙目検出位置Tに光を照射する。受光部78は、発光部77から照射されて用紙Pの紙目検出位置Tで反射した反射光を受光して反射光量に応じた検出電圧を制御部に供給する。制御部では、検出電圧に基づいて用紙Pの紙目を判断し、この判断結果を画像形成部や定着装置の紙分離制御や後処理装置2後処理制御に反映させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式またはインクジェット方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ、またはこれらの機能を有するデジタル複合機等の画像形成装置、給紙装置および画像形成システムに関する。詳しくは、用紙の紙目を検出し、この検出結果を紙分離制御や後処理制御に反映させることにより、紙分離性能や後処理性能を向上させるものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高画質な画像を形成することが可能な電子写真方式またはインクジェット方式を用いた複写機やプリンタ等の画像形成装置が広く利用されている。この画像形成装置は、潜像を担持する像担持体と、この像担持体上の潜像を現像する現像装置と、現像された像を記録媒体である転写紙等の用紙に加熱転写して定着させる定着装置とを備えている。
【0003】
画像形成装置に使用される用紙としては、A4サイズ、B4サイズ等の通常のオフィスで使用される用紙や、写真用の光沢紙、インクジェット用のインクジェット用紙等の様々な用紙が用いられている。これらの用紙は紙質、紙厚等の特性がそれぞれ相違しているので、画像形成装置においては各用紙に適合したプロセス条件により画像形成処理を行っている。プロセス条件としては例えば、紙分離性能や用紙搬送速度、定着ローラの圧力、定着温度等であり、これらのプロセス条件を各用紙ごとに設定して画像形成処理を行っている。
【0004】
用紙が有する特性、例えば、表面粗さや滑らかさを検出する手法としては、LEDの反射光量により表面粗さ等を検出する方法が従来技術として知られている。特許文献1には、LEDにより用紙の検出領域に光を照射し、その検出領域から反射する反射光強度をエリアセンサにより検出し、2次元FFT等の周波数変換を行い、周波数特性の違いから用紙の表面の粗さを検出するカラー画像記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−39025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、画像形成装置に使用される一般的な用紙には、用紙の製造工程に起因して縦目または横目が存在している。これは、用紙の製造工程において、紙をすく方向に紙の繊維が並び、この繊維方向が所定方向に並んだ用紙を所定サイズにカットするからである。一般に用紙の長手方向に繊維方向が並んでいる場合には縦目と呼ばれ、用紙の短手方向に繊維方向が並んでいる場合には横目と呼ばれている。用紙が縦目である場合と横目である場合とでは、用紙の伸縮率や曲げ率等に違いがあることが知られている。そのため、最適な画像形成処理を実行するためには、用紙の荒さや滑らかさ等の特性だけでなく、用紙の紙目が縦目であるか、横目であるかについても考慮したプロセス条件を設定する必要がある。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示される画像形成装置や従来の画像形成装置では、用紙の紙目まで考慮した画像形成処理が行われていないので、給紙装置の紙分離性能、感光体ドラムの転写分離性能、定着装置の紙分離性能および画像形成装置の後段に連結される後処理装置における紙折性能、パンチ性能、ステープル性能に影響を及ぼしてしまうという問題がある。すなわち、用紙の紙目方向の違いによって用紙の伸縮率や曲げ率等が相違してくるので、用紙の紙目を考慮した画像形成処理を行わない場合には、紙分離性能や後処理性能等に不都合を生じさせてしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、用紙の紙目に応じて給紙装置や像担持体、定着装置の分離性能等を適正化することが可能な画像形成装置、給紙装置および画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、上記課題を解決するために、用紙に所定の画像を形成する画像形成装置であって、用紙を搬送する搬送処理部と、用紙の搬送方向に平行な第1の方向または当該第1の方向に直交した第2の方向に設けられ、用紙の紙目検出位置における法線に対して所定角度だけ傾斜した位置から紙目検出位置に光を照射し、照射により紙目検出位置で反射した反射光の光量を検出する紙目検出部と、紙目検出部により検出された反射光の光量に基づいて用紙の繊維方向を示す紙目を判断し、当該判断結果に基づいて搬送処理部における紙分離性能を制御する制御部とを備えるものである。
【0010】
また、請求項9に係る発明は、用紙を収容して画像形成装置に用紙を給紙する給紙装置であって、用紙を画像形成装置に搬送する搬送処理部と、用紙の搬送方向に平行な第1の方向および/または当該第1の方向に直交した第2の方向に設けられ、用紙の紙目検出位置における法線に対して所定角度だけ傾斜した位置から紙目検出位置に光を照射し、照射により紙目検出位置で反射した反射光の光量を検出する紙目検出部と、紙目検出部により検出された反射光の光量に基づいて用紙の繊維方向を示す紙目を判断し、当該判断結果に基づいて搬送処理部における紙分離性能を制御する制御部とを備えるものである。
【0011】
また、請求項10に係る発明は、用紙に所定の画像を形成する画像形成システムであって、用紙を搬送する搬送処理部と、搬送処理部により搬送される用紙に所定の後処理を行う後処理部と、用紙の搬送方向に平行な第1の方向および/または当該第1の方向に直交した第2の方向に設けられ、用紙の紙目検出位置における法線に対して所定角度だけ傾斜した位置から紙目検出位置に光を照射し、照射により紙目検出位置で反射した反射光の光量を検出する紙目検出部と、紙目検出部により検出された反射光の光量に基づいて用紙の繊維方向を示す紙目を判断し、当該判断結果に基づいて搬送処理部における紙分離制御および後処理部の制御の少なくとも一方の制御を変更する制御部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、紙目検出部により用紙の紙目を検出し、この検出結果を紙分離制御に反映させるので、紙分離性能を用紙毎に適正化でき、より紙分離性能の向上を図ることができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、湾曲部を有する用紙の紙目も検出することができる。これにより、様々な箇所での用紙の紙目を検出することができるようになると共に、設計の自由度の向上を図ることができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、閾値データと検出データとに基づいて用紙の紙目を判断するので、より高精度かつ迅速に用紙の紙目を判断することができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、第1の方向および第2の方向の2箇所において紙目検出を行うので、1箇所の紙目検出を行う場合と比べてより高精度に用紙の紙目判断を行うことができる。さらに、閾値テーブル等が不要になるので、メモリの削減や閾値データを作成する作業負担の軽減を図ることができる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、移動機構により1つの紙目検出部で2つの方向における紙目検出を行うことができるので、1箇所の紙目検出を行う場合と比べてより高精度に用紙の紙目判断を行うことができる。
【0017】
請求項6に係る発明によれば、用紙の紙目毎に転写分離制御を変更するので、より紙分離性能の向上を図ることができる。
【0018】
請求項7に係る発明によれば、用紙の紙目毎に定着分離制御を変更するので、より定着分離性能の向上を図ることができる。
【0019】
請求項8に係る発明によれば、画像形成装置の制御部で判断された紙目の情報が後処理装置に供給されて後処理の制御が行われるので、用紙裁断処理、紙折処理、ステープル処理等の後処理の性能の向上を図ることができる。
【0020】
請求項9に係る発明によれば、紙目検出部により用紙の紙目を検出し、この検出結果を紙分離制御に反映させるので、紙分離性能を用紙毎に適正化でき、より紙分離性能の向上を図ることができる。
【0021】
本発明に係る請求項10によれば、紙目検出部により用紙の紙目を検出し、この検出結果を紙分離制御や後処理制御に反映させることで、紙分離性能や後処理性能を用紙毎に適正化でき、より紙分離性能や後処理性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システムの構成例を示す図である。
【図2】画像形成システムのブロック構成例を示す図である。
【図3】判定テーブルの構成例を示す図である。
【図4】(A)は用紙が横目の場合における紙目検出部の機能を説明するための図であり、(B)は用紙が横目の場合における紙目検出部の機能を説明するための図である。
【図5】(A)は紙目検出部を大容量給紙装置に設置した場合の構成例を示す斜視図であり、(B)はその側面図である。
【図6】(A)は紙目検出部を画像形成装置の感光体ドラムの近傍に設置した場合の構成例を示す斜視図であり、(B)はその側面図である。
【図7】画像形成システムの動作の一例を示す図である(その1)。
【図8】画像形成システムの動作の一例を示す図である(その2)。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成システムのブロック構成例を示す図である。
【図10】紙目検出部の構成例を示す図である。
【図11】画像形成システムの動作の一例を示す図である(その3)。
【図12】画像形成システムの動作の一例を示す図である(その4)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明する。
<1.第1の実施の形態>
[画像形成システムの構成例]
本発明に係る画像形成システムGSは、用紙Pの紙目を紙目検出部50,76により検出し、この検出結果を画像形成部20や定着装置24の紙分離制御や後処理装置200の後処理制御に反映させることにより、紙分離性能や後処理性能を向上させるものである。この画像形成システムGSは、図1に示すように、画像形成装置100と後処理装置200と大容量給紙装置300とを備えている。
【0024】
画像形成装置100は、画像形成装置本体10と自動原稿送り装置18と画像読取部12と画像処理部14と画像書込み部16と画像形成部20と給紙部36と定着装置24と排紙部38と操作表示部30と紙目検出部50とを有している。操作表示部30は、タッチパネル方式の入力装置であり、画像形成装置本体10の上面部にヒンジ部を介して回転可能に取り付けられている。操作表示部30の画面にはメニュー画面(初期画面)等が表示され、このメニュー画面等の所定項目が選択押下されることにより所定の画像処理制御が実行されるようになっている。
【0025】
画像読取部12は、原稿台上に搬送された原稿dを走査露光してその反射光をCCDイメージセンサにより読み取り、読み取った反射光をアナログ画像信号に光電変換する。画像処理部14は、画像読取部12により光電変換されたアナログ画像信号をアナログ処理、A/D変換処理およびシェーディング補正処理し、これらの処理により得られた画像データを画像書込み部16に出力する。画像書込み部16は、画像処理部14から出力された画像データに基づいて、レーザダイオード(LD)からレーザ光を後述する感光体ドラム28表面に照射して静電潜像を形成する。
【0026】
画像形成部20は、用紙Pの所定の面に画像を形成するために、感光体ドラム28表面に形成された静電潜像に基づいて帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニング等の処理を行う。なお、本例では、画像形成部20を白黒(モノクロ)用の構成で説明しているが、もちろん、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、黒(K)色のカラー用の画像形成機能を備えた画像形成部20を構成するようにしても良い。
【0027】
給紙部36は、画像形成部20の下方に設けられ、複数の給紙トレイ36a,36b,36c(以下給紙トレイ36という場合もある)および給紙(送り出し)ローラ37等を有している。給紙トレイ36a,36b,36cから給紙ローラ37等を介して搬送された用紙Pは、画像形成部20に設けられた転写部29において所定の画像が転写され、分離部27により感光体ドラム28から分離されて定着装置24に搬送される。
【0028】
定着装置24は、画像形成部20から転写搬送ローラによって搬送される用紙Pを加熱および圧着することによりトナー像を用紙Pに定着させる。定着処理が施された用紙Pは、片面印刷モードが設定されている場合、排紙部38を介して後段の後処理装置200に搬送される。一方、両面印刷モードが設定されている場合、排紙又は後処理される前に、搬送路切換板90により自動両面コピー給紙部92に送り込まれ、再び画像形成部20において片面画像処理済みの用紙Pの他方面に画像が形成される。両面に画像が形成された用紙Pは、再度、定着装置24により定着処理が施されて後処理装置200に搬送され、排紙または所定の後処理が行われる。
【0029】
大容量給紙装置300は、図1に示す画像形成装置本体10の右側面部に連結されており、大量の用紙Pを収容して画像形成装置本体10に用紙Pを1枚ずつ給送する。大容量給紙装置300から搬送された用紙Pは、上述したように、転写部29において所定の画像が転写され、定着装置24によりトナー像が用紙に定着された後、排紙部38を介して後処理装置200に搬送される。
【0030】
後処理装置200は、図1に示す画像形成装置本体10の左側面部に連結されており、画像形成装置本体10から搬送される用紙Pに対してステープル処理や、中折処理、穿孔処理を行う。
【0031】
紙目検出部50は、用紙Pに光を照射してその反射光量を検出することにより用紙Pの紙目を検出するものであり、例えば、画像形成部20の感光体ドラム28や定着装置24の近傍に設置される。また、紙目検出部76は大容量給紙装置300にも設置される。紙目検出部50,76の構成および動作については後述する。なお、紙目検出部は、上述した感光体ドラム28や定着装置24、大容量給紙装置300以外にも用紙搬送経路や後処理装置200に設けることもできる。
【0032】
[画像形成システムのブロック構成例]
次に、画像形成システムGSのブロック構成例について説明する。図2に示すように、画像形成システムGSは、画像形成装置100と後処理装置200と大容量給紙装置300とを備えている。画像形成装置100は、通信部44と画像読取部12と画像形成部20と定着装置24と操作表示部30と紙目検出部50とメモリ部42とを有している。
【0033】
通信部44は、一端が制御部40に接続されると共に他端が通信ケーブル11を介して後処理装置200に接続されており、後処理装置200との間で双方向通信を行う。例えば、用紙Pの紙目を示す紙目データDpが画像形成装置100の制御部40から、通信部44,62および通信ケーブル11を介して後処理装置200に送信される。画像読取部12は、制御部40から供給される制御信号に基づいて原稿dを読み取り、読み取った原稿dの画像データを制御部40に出力する。
【0034】
操作表示部30は、操作部32と表示部34とを有している。本例では、操作部32と表示部34とが一体に構成されたタッチパネル方式の入力装置が用いられ、表示部34のメニュー画面等で押下された位置情報に基づく操作信号を生成して制御部40に供給する。表示部34で表示されるメニュー画面等では、給紙トレイ36を選択したり、選択した給紙トレイ36内の用紙Pの紙目が同一であるか否かのモードを選択したりする。また、表示部34の表示画面には、制御部40によって判断された用紙Pが縦目であるか、横目であるかの紙目情報が表示され、ユーザが紙目に応じたプロセス条件を設定できるようになっている。
【0035】
メモリ部42は、不揮発性の半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)等から構成され、用紙Pが縦目であるか、または横目であるかを判断するときに用いられる判定テーブルTBを有している。図3に示すように、判定テーブルTBには、各用紙の種類と、これらの用紙の種類ごとに設定された閾値データDthとが対応付けられて記憶される。例えば、用紙の種類としては、A4サイズ、A3サイズ、B5サイズ、光沢紙、インクジェット用紙等が挙げられ、それぞれの用紙の種類に対応して異なる閾値データDth1,Dth2,Dth3,Dth4,Dth5が設定される。閾値データDthは、例えば、製品の販売前に、各用紙の縦目の場合の検出電圧と横目の場合の検出電圧とを測定し、これらの測定した検出電圧から基準となる閾値が算出される。また、販売後に判定テーブルTBを適宜更新するような構成としても良い。
【0036】
図2に戻り、紙目検出部50は、用紙Pの紙目を検出するものであり、発光部52と受光部54とを有している。本例では、発光部52と受光部54とが一体に組み合わされた反射型フォトセンサが用いられている。発光部52は、LED等から構成され、制御部40から供給される制御信号Sg1に基づいて用紙Pの紙目検出位置Tに光を照射する。受光部54は、例えばフォトダイオード等から構成され、発光部52から照射されて用紙Pの紙目検出位置Tで反射した反射光を受光して反射光量に応じた検出電圧を制御部40に供給する。
【0037】
紙目検出部50は、図4(A)および図4(B)に示すように、用紙Pの紙目検出位置Tにおける法線O(用紙Pの紙目検出位置Tにおける接線に対して垂直な直線)に対して所定角度θだけ傾斜した位置であって、かつ、平面的に見て用紙Pの搬送方向D1に対して平行方向(第1の方向)に設置される。これは、紙目検出部50を法線Oに対して平行に設置したり、搬送方向D1に対して斜め方向に設置した場合には、縦目の場合と横目の場合とで反射光量に違いが生じないおそれがあるからである。なお、紙目検出部50は、搬送方向D1に対して直交する方向(第2の方向)に設置しても良い。
【0038】
ここで、縦目の場合と横目の場合における反射光量について説明する。図4では、紙目検出部50が搬送方向D1上であって、用紙Pの斜め左上方に設置された場合について説明する。図4(A)に示すように、用紙Pの紙目が搬送方向D1に対して直交している場合、斜め左上方に設置された発光部52から光を照射すると、照射光L1と紙目の繊維方向とが直交するので、照射光L1が紙目に当たって多くの照射光L1が反射光L2として跳ね返る。そのため、受光部54で受光される反射光量は多くなる。
【0039】
一方、図4(B)に示すように、用紙Pの紙目が搬送方向D1に平行している場合、斜め左上方に設置された発光部52から光を照射すると、照射光L1と紙目の繊維方向とは平行するので、照射光L1の多くは紙目の繊維方向に沿って流れてしまう。そのため、受光部54により受光される反射光L2の光量は、照射光L1と紙目とが直交する場合と比べて少なくなる。本例では、このような用紙Pの紙目に応じて異なる反射光量を検出し、検出した反射光量に応じた検出電圧が上述した判定テーブルTBの閾値データDthを超えているか否かを判断することにより、用紙Pが縦目であるかおよび横目であるかを判断している。
【0040】
図2に戻り、制御部40は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を有しており、画像形成装置100、後処理装置200および大容量給紙装置300のそれぞれの制御を行う。また、制御部40は、紙目検出部50から供給される検出電圧(反射光量)に基づいて用紙Pの紙目が縦目であるか、または、横目であるかを判定テーブルTBを参照することにより判断する。そして、制御部40は、判断結果に基づいて画像形成部20、定着装置24、後処理装置200および大容量給紙装置300等のそれぞれが紙目に応じた紙分離制御や後処理制御を実行するようにフィードバック制御する。
【0041】
画像形成部20は、上述した感光体ドラム28等の他に、モータ21とファン22とを有している。モータ21には、制御部40から用紙Pの紙目に応じた制御信号Sg2が供給される。モータ21は、この制御信号Sg2に基づいて回転制御され、ファン22を所定の回転数で回転させる。これにより、ファン22は、用紙Pの紙目に応じた最適な回転数に切り替わって回転駆動し、用紙Pに適正な風を送風するようになり、紙分離性能をより向上させることができる。なお、モータ21およびファン22は分離部(搬送処理部)の一例を構成している。
【0042】
定着装置24は、加圧ローラ等の他に、モータ25とファン26とを有している。モータ25には、制御部40から用紙Pの紙目に応じた制御信号Sg3が供給される。モータ25は、この制御信号Sg3に基づいて回転制御され、ファン26を所定の回転数で回転させる。これにより、ファン26は、用紙Pの紙目に応じた最適な回転数に切り替わって回転駆動し、用紙Pに適正な風を送風するようになり、紙分離性能をより向上させることができる。なお、モータ25およびファン26は分離部(搬送処理部)の一例を構成している。
【0043】
後処理装置200は、画像形成装置100の左側面部に連結され、制御部60と通信部62と穿孔装置64とステープル装置66と中折装置68と裁断装置69とを有している。なお、後処理装置200に制御部60を設けずに、画像形成装置100の制御部40により穿孔装置64、ステープル装置66、中折装置68および裁断装置69の制御を行うこともできる。
【0044】
通信部62は、一端が制御部60に接続されると共に他端が通信ケーブル11を介して画像形成装置100に接続されており、画像形成装置100との間で双方向通信を行う。本例では、用紙Pの紙目を示す紙目データDpが画像形成装置100から送信され、この紙目データDpを受信して制御部60に供給する。
【0045】
制御部60は、CPU、ROMおよびRAMを有しており、通信部62を介して画像形成装置100から送信された紙目データDpに基づいて穿孔装置64、ステープル装置66、中折装置68および裁断装置69の後処理のそれぞれを制御するための制御信号Sa1,Sa2,Sa3,Sa4を生成し、生成した各制御信号を穿孔装置64、ステープル装置66、中折装置68および裁断装置69のそれぞれに供給する。
【0046】
穿孔装置64は、制御部60から供給される紙目データDpに応じた制御信号Sa1に基づいて後処理装置200に搬送される用紙Pの所定位置に複数の孔を穿設する。例えば、穿孔装置64は、用紙Pの紙目が縦目の場合と横目の場合とでパンチ同時可能枚数を変更する。
【0047】
ステープル装置66は、制御部60から供給される紙目データDpに応じた制御信号Sa2に基づいて集積された用紙束をステープル針で綴じる。例えば、ステープル装置66は、用紙Pの紙目が縦目の場合と横目の場合とで一度に綴じる用紙Pの枚数を変更したり、綴じる用紙Pの位置を変更する。
【0048】
中折装置68は、制御部60から供給される紙目データDpに応じた制御信号Sa3に基づいて綴じられた用紙束の中間部を折り曲げる中折り処理を行う。例えば、中折装置68は、用紙Pの紙目が縦目の場合と横目の場合とで紙折同時枚数を変更する。
【0049】
裁断装置69は、制御部60から供給される紙目データDpに応じた制御信号Sa4に基づいて用紙束を裁断する。例えば、裁断装置69は、用紙Pの紙目が縦目の場合と横目の場合とで裁断同時可能枚数を変更する。
【0050】
大容量給紙装置300は、画像形成装置100の右側面部に連結され、通信ケーブル71を介して画像形成装置100に接続されている。大容量給紙装置300は、制御部80と紙目検出部76とモータ70とファン72とを備えている。モータ70およびファン72は、搬送処理部(分離部)の一例を構成している。紙目検出部76は、発光部77と受光部78とを有しており、後述するように給紙トレイ74に設置される。紙目検出部76については後述する。
【0051】
制御部80は、CPU、ROMおよびRAMを有しており、紙目検出部76から供給される検出電圧に基づいて、大容量給紙装置300に収容されている用紙Pの紙目を判断し、この判断結果に基づいて紙分離を行うファン72の回転数を制御するための制御信号Spを生成してモータ70に供給する。モータ70は、制御部80から供給される制御信号Spに基づいてファン72を所定の回転数で駆動させる。これにより、ファン72からは、用紙Pの紙目に応じた最適な風量が用紙Pに吹き付けられ、用紙Pが一枚ずつ円滑に分離されて画像形成装置100に供給される。
【0052】
[大容量給紙装置に設置される紙目検出部の構成例]
次に、大容量給紙装置300に設置された紙目検出部76について説明する。まず、大容量給紙装置300の構成について簡単に説明する。大容量給紙装置300は、図5(A)および図5(B)に示すように、給紙トレイ74を有しており、この給紙トレイ74には大量の用紙が収容されている。用紙Pの搬送方向D1と直交した幅方向の両端部には、送風手段としてのファン72,72が配置されている。なお、搬送方向D1側にもファンが設置されるが図5では便宜上省略している。ファン72,72の上部には風を送風するための開口部73が設けられている。ファン72,72が駆動されると、開口部73から風が上層部の用紙Pに吹き付けられ、用紙Pが一枚ずつ分離されるようになっている。
【0053】
紙目検出部76は、図5(B)に示すように、用紙Pの紙目検出位置Tにおける法線Oに対して所定角度θだけ傾斜した位置であって、かつ、平面的に見て用紙Pの搬送方向D1に対して平行方向に設置される。これは、紙目検出部76を法線Oと平行に設置したり、搬送方向D1に対して斜めに設置した場合には、用紙Pが縦目の場合の反射光L2の光量と横目の場合の反射光L2の光量とで差が出ない場合があるからである。この紙目検出部76は、例えば、給紙トレイ74を構成する図示しない側壁部に取り付けられる。
【0054】
[画像形成装置に設置される紙目検出部の構成例]
上述した大容量給紙装置300の例では、用紙Pが湾曲していない平坦面の用紙Pの紙目を検出したが、用紙Pが湾曲している湾曲部においても用紙Pの紙目を検出することができる。以下では、感光体ドラム28の近傍に紙目検出部50を設置した場合について説明する。
【0055】
図6(A)および図6(B)に示すように、感光体ドラム28の転写部29では、用紙Pにトナー像が転写される。トナー像が転写された用紙Pは、転写部29での転写処理によって感光体ドラム28の周面に沿うようにして湾曲する。湾曲した用紙Pは、分離部や送風等の分離機能によって感光体ドラム28から分離されて定着装置24に搬送される。
【0056】
紙目検出部50は、図6(B)に示すように、転写部29の搬送方向D1における下流側であって、感光体ドラム28の斜め下方側に所定の間隔を隔てて設けられている。このとき、紙目検出部50は、用紙Pの紙目検出位置Tにおける法線Oに対して所定角度θだけ傾斜した位置であって、かつ、平面的に見て用紙Pの搬送方向D1に対して平行な位置に設置される。紙目検出部50の発光部52の照射光L1(光軸)は、紙目検出位置Tにおける法線Oに対して例えば30°〜40°の範囲で傾斜していることが好ましい。また、紙目検出部50は、搬送方向D1に対して直交する方向に設置しても良い。
【0057】
[画像形成システムの動作例(その1)]
次に、本発明に係る画像形成システムGSの動作の一例について説明する。本例では、用紙Pを給紙する給紙トレイ36に同一の紙目の用紙Pが収容されている場合であって、図6に示したように感光体ドラム28の近傍に紙目検出部50を設置した場合について説明する。また、以下では、用紙Pの搬送方向D1を用紙Pの縦目とし、搬送方向D1に直交する方向を用紙Pの横目とし、紙目検出部50を搬送方向D1と平行に設置しているものとする。
【0058】
ユーザは、操作表示部30のメニュー画面により給紙トレイ36に同一の紙目の用紙が入っているか、異なる紙目の用紙が入っているかの選択を行う。用紙Pの紙目は、用紙Pの給紙前にユーザが把握、確認できるものとする。ユーザにより給紙トレイ36に同一の紙目の用紙が入っている旨の項目が選択されると、図7に示すように、ステップS100で制御部40は、給紙する給紙トレイ36を操作表示部30からの入力に基づいて判断し、給紙トレイ36内に収容されている用紙の設定データをメモリ部42等から取得する。設定データは用紙ごとに設けられており、設定データには例えば紙種、斤量等の情報が含まれている。
【0059】
ステップS102で制御部40は、用紙Pに対応した設定データを取得したら、メモリ部42に蓄積されている判定テーブルTBを参照し、取得した設定データに含まれる紙種に対応した閾値データDthを取得する(図3参照)。
【0060】
ステップS104で制御部40は、感光体ドラム28の近傍に設置された紙目検出部50により搬送中の用紙Pの紙目を検出させる。具体的には、発光部52から照射光L1を用紙Pの紙目検出位置に照射させ、受光部54で受光された反射光L2の反射光量に応じた検出電圧(検出データDd)を取得する。
【0061】
ステップS106で制御部40は、取得した検出データDdと判定テーブルTBから取得した閾値データDthとを比較し、検出データDdが閾値データDthよりも大きいか否かを判断する。検出データDdが閾値データDthよりも大きいと判断した場合にはステップS108に進み、検出データDdが閾値データDthよりも小さいと判断した場合にはステップS112に進む。
【0062】
ステップS108で制御部40は、検出データDdが閾値データDthよりも大きいと判断した場合には、画像形成処理(搬送)中の用紙Pの紙目が横目であると判断する。これは、搬送方向D1に対して平行な位置から照射光L1を照射した場合、紙目が横目のときには照射光L1が紙目で反射して検出データDd(反射光量)が閾値データDthよりも大きくなるからである。
【0063】
ステップS110で制御部40は、紙目が横目であると判断した場合、横目に応じた制御信号Sg2,Sg3等を生成して紙分離機能を有する画像形成部20のモータ21や定着装置24のモータ25にフィードバックし、横目に応じた紙分離処理を行わせる。これにより、ファン22,26から用紙Pの紙目に応じた最適な風が送風される。また、制御部40は、操作表示部30からの入力情報に基づいて、画像形成中の用紙Pに対して後処理工程が設定されていると判断した場合には、横目を示す紙目データDpを生成して後処理装置200に供給し、横目に応じた後処理を行わせる。
【0064】
一方、ステップS112で制御部40は、検出データDdが閾値データDthよりも小さいと判断した場合には、画像形成処理(搬送)中の用紙Pの紙目が縦目であると判断する。これは、搬送方向D1に対して平行な位置から照射光L1を照射した場合、紙目が横目のときには照射光L1が繊維方向に沿って流れて検出データDd(反射光量)が閾値データDthよりも小さくなるからである。
【0065】
ステップS114で制御部40は、紙目が縦目であると判断した場合、縦目に応じた制御信号Sg2,Sg3等を生成して紙分離機能を有する画像形成部20のモータ21や定着装置24のモータ25にフィードバックし、縦目に応じた紙分離処理を行わせる。これにより、ファン22,26から用紙Pの紙目に応じた最適な風が送風される。また、制御部40は、操作表示部30からの入力情報に基づいて、画像形成中の用紙Pに対して後処理工程が設定されていると判断した場合には、縦目を示す紙目データDpを生成して後処理装置200に供給し、縦目に応じた後処理を行わせる。
【0066】
ステップS116で制御部40は、コピーが終了したか否かを判断する。コピーが終了したと判断した場合には一連のジョブが終了したと判断して次のジョブの入力を待機する。一方、コピーが終了していないと判断した場合にはステップS118に進む。
【0067】
ステップS118で制御部40は、給紙トレイ36が変更されたか否かを判断する。給紙トレイ36が変更されたと判断した場合にはステップS100に戻り、変更された給紙トレイ36に収容されている用紙Pの紙目を上述した紙目判断方法により判断する。一方、給紙トレイ36が変更されていないと判断した場合には、用紙Pの種類も変更されないので、上述したステップS100〜ステップS114において判断した紙目の判断結果がそのまま利用され、用紙Pの紙目に応じた紙分離処理や後処理が行われる。
【0068】
[画像形成システムの動作例(その2)]
続けて、給紙トレイ36内に同一の紙目の用紙Pが収容されていない場合の画像形成装置100の動作の一例について説明する。この場合には、操作表示部30のメニュー画面において、給紙トレイ36に同一の紙目の用紙Pが入っていない旨を示す項目ボタンを選択する。図8に示すステップS200〜S216までの処理は、上述したステップS100〜S116までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0069】
図8に示すように、ステップS218で制御部40は、給紙トレイ36が変更されたか否かを判断する。給紙トレイ36が変更されたと判断した場合には、給紙トレイ36内に収容される用紙Pの紙目も異なってくる場合があるので、ステップS200に戻り、変更された給紙トレイ36に収容されている用紙Pの紙目を上述した紙目判断方法により判断する。一方、給紙トレイ36が変更されていないと判断した場合でも、選択されている給紙トレイ36内の用紙Pの紙目はそれぞれ相違している場合があるので、ステップS204に戻り、検出データDdと閾値データDthに基づいて再度用紙Pの紙目を判断する。
【0070】
なお、上述した例では、給紙トレイ36内の用紙Pの紙目を一枚ずつ判断しているが、予め紙目を判断する用紙Pの枚数を制限することも可能である。これは、所定枚数の用紙Pの紙目が連続して同一であれば、それ以降の用紙Pの紙目も同一である可能性が高いからである。この設定方法により、画像形成処理のスピードの向上を図ることができると共に生産性の向上を図ることができる。
【0071】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、紙目検出部50,76により用紙Pでの反射光量を検出し、制御部40,80では紙目検出部50,76により検出された反射光量により用紙Pの紙目を判断し、この判断結果を画像形成部20や定着装置24、大容量給紙装置300等の紙分離制御や後処理装置200の後処理の制御に反映させるので、紙分離性能や後処理処理性能を用紙毎に適正化できる。その結果、より紙分離性能や後処理性能の向上を図ることができる。
【0072】
また、第1の実施の形態によれば、湾曲部を有する用紙Pの紙目も検出することができるので、様々な箇所での用紙の紙目を検出することができるようになると共に、設計の自由度の向上を図ることができる。
【0073】
<2.第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態では紙目検出部を一組により構成したが、第2の実施の形態では紙目検出部を二組で構成している点において異なっている。なお、その他の画像形成システムGSの構成は、上記第1の実施の形態と同様であるため、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0074】
[画像形成システムのブロック構成例]
画像形成システムGSは、図9に示すように、画像形成装置100と後処理装置200と大容量給紙装置300とを備えている。画像形成装置100は、感光体ドラム28により転写される用紙Pや定着装置24により画像が定着された用紙P等の紙目を検出するための紙目検出部50A,50Bを備えている。後処理装置200は、給紙トレイ74に収容されている最上層の用紙Pの紙目を検出するための紙目検出部76A,76Bを備えている。なお、以下では、紙目検出部50A,50Bと紙目検出部76A,76Bとは同一の構成であるため、便宜上、紙目検出部76A,76Bについて説明する。
【0075】
紙目検出部76Aは、用紙Pの紙目検出位置Tにおける法線C1に対して所定角度θだけ傾斜した位置であって(図4参照)、かつ、平面的に見て用紙Pの搬送方向D1に対して平行方向に設置されている(図10参照)。以下では、搬送方向D1と平行する方向をX方向(第1の方向)とし、搬送方向D1と直交する方向をY方向(第2の方向)とする。この紙目検出部76Aは、発光部77Aと受光部78Aとを有している。発光部77Aは、用紙Pの斜め上方から用紙Pの紙目検出位置Tに照射光L1xを照射する。受光部78Aは、用紙Pの紙目検出位置Tで反射した照射光L1xのX方向における反射光を受光し、反射光量に応じた検出電圧(検出データDdx)を制御部40に供給する。なお、紙目検出部76Aは、第1の紙目検出部の一例を構成している。
【0076】
紙目検出部76Bは、用紙Pの紙目検出位置Tにおける法線C1に対して所定角度θだけ傾斜した位置であって(図4参照)、かつ、平面的に見て用紙Pの搬送方向D1に直交するY方向上に設けられている(図10参照)。この紙目検出部76Bは、発光部77Bと受光部78Bとを有している。発光部77Bは、用紙Pの斜め上方から用紙Pの紙目検出位置Tに照射光L1yを照射する。受光部78Bは、用紙Pの紙目検出位置Tで反射した照射光L1yのY方向における反射光を受光し、反射光量に応じた検出電圧(検出データDdy)を制御部40に供給する。なお、紙目検出部76Bは、第2の紙目検出部の一例を構成している。
【0077】
制御部80は、紙目検出部76Aから供給される検出データDdxの電圧値と紙目検出部76Bから供給される検出データDdyの電圧値との大小を比較し、この比較結果に基づいて給紙トレイ74に収容されている用紙Pの紙目が縦目であるか、または、横目であるかを判断する。そして、判断結果の紙目に応じた制御信号を生成してモータ70に供給し、紙目に応じた回転数でファン72を回転駆動させ、紙目に応じて最適化された風を送風する。
【0078】
[画像形成システムの動作例(その3)]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成システムGSの動作の一例について説明する。以下では、大容量給紙装置300の給紙トレイ74に収容されている用紙Pの紙目を検出し、検出した内容を紙分離制御にフィードバックする場合について説明する。
【0079】
まず、ユーザは、操作表示部30のメニュー画面により給紙トレイ74に同一の紙目の用紙Pが入っているか、異なる紙目の用紙Pが入っているかの選択を行う。ユーザにより給紙トレイ74に同一の紙目の用紙が入っている旨の操作ボタンが選択されると、図11に示すように、ステップS300で制御部80は、紙目検出部76Aから用紙Pの紙目検出位置TにおけるX方向の検出データDdxを取得し、紙目検出部76Bから用紙Pの紙目検出位置TにおけるY方向の検出データDdyを取得する。
【0080】
ステップS302で制御部80は、取得したX方向の検出データDdxとY方向の検出データDdyとを比較し、Y方向の検出データDdyの電圧値がX方向の検出データDdxの電圧値よりも大きいか否かを判断する。Y方向の検出データDdyの電圧値がX方向の検出データDdxの電圧値よりも大きいと判断した場合にはステップS304に進み、Y方向の検出データDdyの電圧値がX方向の検出データDdxの電圧値よりも小さいと判断した場合にはステップS308に進む。
【0081】
ステップS304で制御部80は、Y方向の検出データDdyの電圧値がX方向の検出データDdxの電圧値よりも大きい場合には、用紙Pの紙目が縦目であると判断する。これは、Y方向からの照射光Llyが繊維方向に対して直交している場合には照射光L1yが紙目で跳ね返って反射光量(検出データDdy)が大きくなり、X方向からの照射光L1xが繊維方向に平行である場合には繊維方向に沿って流れて反射光量(検出データDdx)が小さくなるからである。
【0082】
ステップS306で制御部80は、用紙Pの紙目を縦目と判断したら、縦目に応じた制御信号を生成して紙分離性能を有するモータ70に供給(フィードバック)する。これにより、ファン72は、縦目に応じた回転数で回転し、最適化された風を用紙Pに送風する。
【0083】
一方、ステップS308で制御部80は、Y方向の検出データDdyの電圧値がX方向の検出データDdxの電圧値よりも小さい場合には、用紙Pの紙目が横目であると判断する。これは、Y方向からの照射光Llyが繊維方向に平行している場合には照射光Llyが紙目に沿って流れるので反射光量(検出データDdy)が小さくなり、X方向からの照射光L1xが繊維方向に直交している場合には照射光L1yが紙目で跳ね返って反射光量(検出データDdx)が大きくなるからである。
【0084】
ステップS310で制御部80は、用紙Pの紙目を横目と判断したら、横目に応じた制御信号を生成して紙分離性能を有するモータ70に供給(フィードバック)する。これにより、ファン72は、横目に応じた回転数で回転し、最適化された風を用紙Pに送風する。
【0085】
ステップS312で制御部80は、コピーが終了したか否かを判断する。コピーが終了したと判断した場合には一連のジョブが終了したと判断して次のジョブの入力を待機する。一方、コピーが終了していないと判断した場合にはステップS314に進む。
【0086】
ステップS314で制御部80は、給紙トレイ74が変更されたか否かを判断する。給紙トレイ74が変更されたと判断した場合にはステップS300に戻り、変更された給紙トレイ74に収容されている用紙Pの紙目を上述した紙目判断方法により判断する。一方、給紙トレイ74が変更されていないと判断した場合には、用紙Pの種類も変更されないので、上述したステップS300〜S310において判断された紙目の判断結果がそのまま利用され、用紙Pの紙目に応じた紙分離処理や後処理が行われる。
【0087】
なお、上述した説明では、大容量給紙装置300の制御部80で判断された用紙Pの紙目情報を大容量給紙装置300の紙分離機能部にのみフィードバックした例について説明したが、これに限定されることはない。例えば、制御部80で判断された用紙Pの紙目を紙目データDpとして画像形成装置100や後処理装置200に送信することもできる。この場合には、画像形成装置100の制御部40では、大容量給紙装置300から送信される紙目データDpに基づいて上述した感光体ドラム28や定着装置24の紙分離性能の制御を変更する。また、後処理装置200の制御部60についても同様に、大容量給紙装置300から送信される紙目データDpに基づいて上述した穿孔装置64による穿設処理やステープル装置66によるステープル処理等の後処理を変更する。さらに、画像形成装置100に設けられた紙目検出部50A,50Bについても、上述した紙目検出部76A,76Bと同様の処理を適用できる。
【0088】
[画像形成システムの動作例(その4)]
続けて、給紙トレイ74内に同一の紙目の用紙Pが収容されていない場合の画像形成システムGSの動作の一例について説明する。この場合には、操作表示部30のメニュー画面において、給紙トレイ74に同一の紙目の用紙Pが入っていない旨を示す項目ボタンを選択する。図12に示すステップS400〜S412までの処理は、上述したステップS300〜S312までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0089】
図12に示すように、ステップS414で制御部80は、給紙トレイ74が変更されたか否かを判断する。給紙トレイ74が変更されたと判断した場合には、給紙トレイ74内に収容される用紙Pの紙目も異なってくる場合があるので、ステップS400に戻り、変更された給紙トレイ74に収容されている用紙Pの紙目を上述した紙目判断方法により判断する。一方、給紙トレイ74が変更されていないと判断した場合においても、選択されている給紙トレイ74内の用紙Pの紙目はそれぞれ相違している場合があるので、ステップS402に戻り、用紙Pの紙目検出位置TにおけるX方向の検出データDdxとY方向の検出データDdyとを比較し、用紙Pの紙目を判断する。この判断以降の処理は上記ステップS304〜S312までの処理と同様である。
【0090】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、2個の紙目検出部76A,76B(50A,50B)を用いて用紙Pの紙目を判断するので、閾値データDthを用いずに用紙Pの紙目を判断することができる。これにより、事前に閾値データDthを作成する作業が不要になると共に、メモリ容量の削減および紙目判断処理の高速化を図ることができる。また、2個の紙目検出部76A,76B(50A,50B)を用いるので、1個の紙目検出部76を用いた場合と比べて、紙目判断の精度の向上を図ることができる。
【0091】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。例えば、上記第1および第2の実施の形態では、大容量給紙装置300に紙目検出部76を設置した例について説明したが、画像形成装置100の給紙トレイ36内に紙目検出部を設置しても良い。このとき、第2の実施の形態で説明したように、後処理装置200の紙搬送部において2組の紙目検出部を設置しても良い。また、後処理装置200の内部に紙目検出部を設置しても良い。また、紙目検出部50,76は、いずれか一方にのみ設置しても良い。
【0092】
さらに、上記第1の実施の形態において、搬送方向D1に平行する方向とこの方向に直交する直交方向とに紙目検出部50を移動可能な移動機構を設けることもできる。これにより、2つの紙目検出部を設けることなく、紙目検出位置Tの搬送方向D1とこれに直交する方向との2つの方向における検出電圧を取得できる。
【符号の説明】
【0093】
20・・・画像形成部、24・・・定着装置(搬送処理部)、28・・・感光体ドラム(搬送処理部)、30・・・操作表示部、40,60,80・・・制御部、42・・・メモリ部、50,76・・・紙目検出部、100・・・画像形成装置、200・・・後処理装置、300・・・大容量給紙装置、D1・・・搬送方向、GS・・・画像形成システム、TB・・・テーブル、P・・・用紙、Dth・・・閾値データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式またはインクジェット方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ、またはこれらの機能を有するデジタル複合機等の画像形成装置、給紙装置および画像形成システムに関する。詳しくは、用紙の紙目を検出し、この検出結果を紙分離制御や後処理制御に反映させることにより、紙分離性能や後処理性能を向上させるものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高画質な画像を形成することが可能な電子写真方式またはインクジェット方式を用いた複写機やプリンタ等の画像形成装置が広く利用されている。この画像形成装置は、潜像を担持する像担持体と、この像担持体上の潜像を現像する現像装置と、現像された像を記録媒体である転写紙等の用紙に加熱転写して定着させる定着装置とを備えている。
【0003】
画像形成装置に使用される用紙としては、A4サイズ、B4サイズ等の通常のオフィスで使用される用紙や、写真用の光沢紙、インクジェット用のインクジェット用紙等の様々な用紙が用いられている。これらの用紙は紙質、紙厚等の特性がそれぞれ相違しているので、画像形成装置においては各用紙に適合したプロセス条件により画像形成処理を行っている。プロセス条件としては例えば、紙分離性能や用紙搬送速度、定着ローラの圧力、定着温度等であり、これらのプロセス条件を各用紙ごとに設定して画像形成処理を行っている。
【0004】
用紙が有する特性、例えば、表面粗さや滑らかさを検出する手法としては、LEDの反射光量により表面粗さ等を検出する方法が従来技術として知られている。特許文献1には、LEDにより用紙の検出領域に光を照射し、その検出領域から反射する反射光強度をエリアセンサにより検出し、2次元FFT等の周波数変換を行い、周波数特性の違いから用紙の表面の粗さを検出するカラー画像記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−39025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、画像形成装置に使用される一般的な用紙には、用紙の製造工程に起因して縦目または横目が存在している。これは、用紙の製造工程において、紙をすく方向に紙の繊維が並び、この繊維方向が所定方向に並んだ用紙を所定サイズにカットするからである。一般に用紙の長手方向に繊維方向が並んでいる場合には縦目と呼ばれ、用紙の短手方向に繊維方向が並んでいる場合には横目と呼ばれている。用紙が縦目である場合と横目である場合とでは、用紙の伸縮率や曲げ率等に違いがあることが知られている。そのため、最適な画像形成処理を実行するためには、用紙の荒さや滑らかさ等の特性だけでなく、用紙の紙目が縦目であるか、横目であるかについても考慮したプロセス条件を設定する必要がある。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示される画像形成装置や従来の画像形成装置では、用紙の紙目まで考慮した画像形成処理が行われていないので、給紙装置の紙分離性能、感光体ドラムの転写分離性能、定着装置の紙分離性能および画像形成装置の後段に連結される後処理装置における紙折性能、パンチ性能、ステープル性能に影響を及ぼしてしまうという問題がある。すなわち、用紙の紙目方向の違いによって用紙の伸縮率や曲げ率等が相違してくるので、用紙の紙目を考慮した画像形成処理を行わない場合には、紙分離性能や後処理性能等に不都合を生じさせてしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、用紙の紙目に応じて給紙装置や像担持体、定着装置の分離性能等を適正化することが可能な画像形成装置、給紙装置および画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、上記課題を解決するために、用紙に所定の画像を形成する画像形成装置であって、用紙を搬送する搬送処理部と、用紙の搬送方向に平行な第1の方向または当該第1の方向に直交した第2の方向に設けられ、用紙の紙目検出位置における法線に対して所定角度だけ傾斜した位置から紙目検出位置に光を照射し、照射により紙目検出位置で反射した反射光の光量を検出する紙目検出部と、紙目検出部により検出された反射光の光量に基づいて用紙の繊維方向を示す紙目を判断し、当該判断結果に基づいて搬送処理部における紙分離性能を制御する制御部とを備えるものである。
【0010】
また、請求項9に係る発明は、用紙を収容して画像形成装置に用紙を給紙する給紙装置であって、用紙を画像形成装置に搬送する搬送処理部と、用紙の搬送方向に平行な第1の方向および/または当該第1の方向に直交した第2の方向に設けられ、用紙の紙目検出位置における法線に対して所定角度だけ傾斜した位置から紙目検出位置に光を照射し、照射により紙目検出位置で反射した反射光の光量を検出する紙目検出部と、紙目検出部により検出された反射光の光量に基づいて用紙の繊維方向を示す紙目を判断し、当該判断結果に基づいて搬送処理部における紙分離性能を制御する制御部とを備えるものである。
【0011】
また、請求項10に係る発明は、用紙に所定の画像を形成する画像形成システムであって、用紙を搬送する搬送処理部と、搬送処理部により搬送される用紙に所定の後処理を行う後処理部と、用紙の搬送方向に平行な第1の方向および/または当該第1の方向に直交した第2の方向に設けられ、用紙の紙目検出位置における法線に対して所定角度だけ傾斜した位置から紙目検出位置に光を照射し、照射により紙目検出位置で反射した反射光の光量を検出する紙目検出部と、紙目検出部により検出された反射光の光量に基づいて用紙の繊維方向を示す紙目を判断し、当該判断結果に基づいて搬送処理部における紙分離制御および後処理部の制御の少なくとも一方の制御を変更する制御部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、紙目検出部により用紙の紙目を検出し、この検出結果を紙分離制御に反映させるので、紙分離性能を用紙毎に適正化でき、より紙分離性能の向上を図ることができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、湾曲部を有する用紙の紙目も検出することができる。これにより、様々な箇所での用紙の紙目を検出することができるようになると共に、設計の自由度の向上を図ることができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、閾値データと検出データとに基づいて用紙の紙目を判断するので、より高精度かつ迅速に用紙の紙目を判断することができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、第1の方向および第2の方向の2箇所において紙目検出を行うので、1箇所の紙目検出を行う場合と比べてより高精度に用紙の紙目判断を行うことができる。さらに、閾値テーブル等が不要になるので、メモリの削減や閾値データを作成する作業負担の軽減を図ることができる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、移動機構により1つの紙目検出部で2つの方向における紙目検出を行うことができるので、1箇所の紙目検出を行う場合と比べてより高精度に用紙の紙目判断を行うことができる。
【0017】
請求項6に係る発明によれば、用紙の紙目毎に転写分離制御を変更するので、より紙分離性能の向上を図ることができる。
【0018】
請求項7に係る発明によれば、用紙の紙目毎に定着分離制御を変更するので、より定着分離性能の向上を図ることができる。
【0019】
請求項8に係る発明によれば、画像形成装置の制御部で判断された紙目の情報が後処理装置に供給されて後処理の制御が行われるので、用紙裁断処理、紙折処理、ステープル処理等の後処理の性能の向上を図ることができる。
【0020】
請求項9に係る発明によれば、紙目検出部により用紙の紙目を検出し、この検出結果を紙分離制御に反映させるので、紙分離性能を用紙毎に適正化でき、より紙分離性能の向上を図ることができる。
【0021】
本発明に係る請求項10によれば、紙目検出部により用紙の紙目を検出し、この検出結果を紙分離制御や後処理制御に反映させることで、紙分離性能や後処理性能を用紙毎に適正化でき、より紙分離性能や後処理性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システムの構成例を示す図である。
【図2】画像形成システムのブロック構成例を示す図である。
【図3】判定テーブルの構成例を示す図である。
【図4】(A)は用紙が横目の場合における紙目検出部の機能を説明するための図であり、(B)は用紙が横目の場合における紙目検出部の機能を説明するための図である。
【図5】(A)は紙目検出部を大容量給紙装置に設置した場合の構成例を示す斜視図であり、(B)はその側面図である。
【図6】(A)は紙目検出部を画像形成装置の感光体ドラムの近傍に設置した場合の構成例を示す斜視図であり、(B)はその側面図である。
【図7】画像形成システムの動作の一例を示す図である(その1)。
【図8】画像形成システムの動作の一例を示す図である(その2)。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成システムのブロック構成例を示す図である。
【図10】紙目検出部の構成例を示す図である。
【図11】画像形成システムの動作の一例を示す図である(その3)。
【図12】画像形成システムの動作の一例を示す図である(その4)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明する。
<1.第1の実施の形態>
[画像形成システムの構成例]
本発明に係る画像形成システムGSは、用紙Pの紙目を紙目検出部50,76により検出し、この検出結果を画像形成部20や定着装置24の紙分離制御や後処理装置200の後処理制御に反映させることにより、紙分離性能や後処理性能を向上させるものである。この画像形成システムGSは、図1に示すように、画像形成装置100と後処理装置200と大容量給紙装置300とを備えている。
【0024】
画像形成装置100は、画像形成装置本体10と自動原稿送り装置18と画像読取部12と画像処理部14と画像書込み部16と画像形成部20と給紙部36と定着装置24と排紙部38と操作表示部30と紙目検出部50とを有している。操作表示部30は、タッチパネル方式の入力装置であり、画像形成装置本体10の上面部にヒンジ部を介して回転可能に取り付けられている。操作表示部30の画面にはメニュー画面(初期画面)等が表示され、このメニュー画面等の所定項目が選択押下されることにより所定の画像処理制御が実行されるようになっている。
【0025】
画像読取部12は、原稿台上に搬送された原稿dを走査露光してその反射光をCCDイメージセンサにより読み取り、読み取った反射光をアナログ画像信号に光電変換する。画像処理部14は、画像読取部12により光電変換されたアナログ画像信号をアナログ処理、A/D変換処理およびシェーディング補正処理し、これらの処理により得られた画像データを画像書込み部16に出力する。画像書込み部16は、画像処理部14から出力された画像データに基づいて、レーザダイオード(LD)からレーザ光を後述する感光体ドラム28表面に照射して静電潜像を形成する。
【0026】
画像形成部20は、用紙Pの所定の面に画像を形成するために、感光体ドラム28表面に形成された静電潜像に基づいて帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニング等の処理を行う。なお、本例では、画像形成部20を白黒(モノクロ)用の構成で説明しているが、もちろん、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、黒(K)色のカラー用の画像形成機能を備えた画像形成部20を構成するようにしても良い。
【0027】
給紙部36は、画像形成部20の下方に設けられ、複数の給紙トレイ36a,36b,36c(以下給紙トレイ36という場合もある)および給紙(送り出し)ローラ37等を有している。給紙トレイ36a,36b,36cから給紙ローラ37等を介して搬送された用紙Pは、画像形成部20に設けられた転写部29において所定の画像が転写され、分離部27により感光体ドラム28から分離されて定着装置24に搬送される。
【0028】
定着装置24は、画像形成部20から転写搬送ローラによって搬送される用紙Pを加熱および圧着することによりトナー像を用紙Pに定着させる。定着処理が施された用紙Pは、片面印刷モードが設定されている場合、排紙部38を介して後段の後処理装置200に搬送される。一方、両面印刷モードが設定されている場合、排紙又は後処理される前に、搬送路切換板90により自動両面コピー給紙部92に送り込まれ、再び画像形成部20において片面画像処理済みの用紙Pの他方面に画像が形成される。両面に画像が形成された用紙Pは、再度、定着装置24により定着処理が施されて後処理装置200に搬送され、排紙または所定の後処理が行われる。
【0029】
大容量給紙装置300は、図1に示す画像形成装置本体10の右側面部に連結されており、大量の用紙Pを収容して画像形成装置本体10に用紙Pを1枚ずつ給送する。大容量給紙装置300から搬送された用紙Pは、上述したように、転写部29において所定の画像が転写され、定着装置24によりトナー像が用紙に定着された後、排紙部38を介して後処理装置200に搬送される。
【0030】
後処理装置200は、図1に示す画像形成装置本体10の左側面部に連結されており、画像形成装置本体10から搬送される用紙Pに対してステープル処理や、中折処理、穿孔処理を行う。
【0031】
紙目検出部50は、用紙Pに光を照射してその反射光量を検出することにより用紙Pの紙目を検出するものであり、例えば、画像形成部20の感光体ドラム28や定着装置24の近傍に設置される。また、紙目検出部76は大容量給紙装置300にも設置される。紙目検出部50,76の構成および動作については後述する。なお、紙目検出部は、上述した感光体ドラム28や定着装置24、大容量給紙装置300以外にも用紙搬送経路や後処理装置200に設けることもできる。
【0032】
[画像形成システムのブロック構成例]
次に、画像形成システムGSのブロック構成例について説明する。図2に示すように、画像形成システムGSは、画像形成装置100と後処理装置200と大容量給紙装置300とを備えている。画像形成装置100は、通信部44と画像読取部12と画像形成部20と定着装置24と操作表示部30と紙目検出部50とメモリ部42とを有している。
【0033】
通信部44は、一端が制御部40に接続されると共に他端が通信ケーブル11を介して後処理装置200に接続されており、後処理装置200との間で双方向通信を行う。例えば、用紙Pの紙目を示す紙目データDpが画像形成装置100の制御部40から、通信部44,62および通信ケーブル11を介して後処理装置200に送信される。画像読取部12は、制御部40から供給される制御信号に基づいて原稿dを読み取り、読み取った原稿dの画像データを制御部40に出力する。
【0034】
操作表示部30は、操作部32と表示部34とを有している。本例では、操作部32と表示部34とが一体に構成されたタッチパネル方式の入力装置が用いられ、表示部34のメニュー画面等で押下された位置情報に基づく操作信号を生成して制御部40に供給する。表示部34で表示されるメニュー画面等では、給紙トレイ36を選択したり、選択した給紙トレイ36内の用紙Pの紙目が同一であるか否かのモードを選択したりする。また、表示部34の表示画面には、制御部40によって判断された用紙Pが縦目であるか、横目であるかの紙目情報が表示され、ユーザが紙目に応じたプロセス条件を設定できるようになっている。
【0035】
メモリ部42は、不揮発性の半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)等から構成され、用紙Pが縦目であるか、または横目であるかを判断するときに用いられる判定テーブルTBを有している。図3に示すように、判定テーブルTBには、各用紙の種類と、これらの用紙の種類ごとに設定された閾値データDthとが対応付けられて記憶される。例えば、用紙の種類としては、A4サイズ、A3サイズ、B5サイズ、光沢紙、インクジェット用紙等が挙げられ、それぞれの用紙の種類に対応して異なる閾値データDth1,Dth2,Dth3,Dth4,Dth5が設定される。閾値データDthは、例えば、製品の販売前に、各用紙の縦目の場合の検出電圧と横目の場合の検出電圧とを測定し、これらの測定した検出電圧から基準となる閾値が算出される。また、販売後に判定テーブルTBを適宜更新するような構成としても良い。
【0036】
図2に戻り、紙目検出部50は、用紙Pの紙目を検出するものであり、発光部52と受光部54とを有している。本例では、発光部52と受光部54とが一体に組み合わされた反射型フォトセンサが用いられている。発光部52は、LED等から構成され、制御部40から供給される制御信号Sg1に基づいて用紙Pの紙目検出位置Tに光を照射する。受光部54は、例えばフォトダイオード等から構成され、発光部52から照射されて用紙Pの紙目検出位置Tで反射した反射光を受光して反射光量に応じた検出電圧を制御部40に供給する。
【0037】
紙目検出部50は、図4(A)および図4(B)に示すように、用紙Pの紙目検出位置Tにおける法線O(用紙Pの紙目検出位置Tにおける接線に対して垂直な直線)に対して所定角度θだけ傾斜した位置であって、かつ、平面的に見て用紙Pの搬送方向D1に対して平行方向(第1の方向)に設置される。これは、紙目検出部50を法線Oに対して平行に設置したり、搬送方向D1に対して斜め方向に設置した場合には、縦目の場合と横目の場合とで反射光量に違いが生じないおそれがあるからである。なお、紙目検出部50は、搬送方向D1に対して直交する方向(第2の方向)に設置しても良い。
【0038】
ここで、縦目の場合と横目の場合における反射光量について説明する。図4では、紙目検出部50が搬送方向D1上であって、用紙Pの斜め左上方に設置された場合について説明する。図4(A)に示すように、用紙Pの紙目が搬送方向D1に対して直交している場合、斜め左上方に設置された発光部52から光を照射すると、照射光L1と紙目の繊維方向とが直交するので、照射光L1が紙目に当たって多くの照射光L1が反射光L2として跳ね返る。そのため、受光部54で受光される反射光量は多くなる。
【0039】
一方、図4(B)に示すように、用紙Pの紙目が搬送方向D1に平行している場合、斜め左上方に設置された発光部52から光を照射すると、照射光L1と紙目の繊維方向とは平行するので、照射光L1の多くは紙目の繊維方向に沿って流れてしまう。そのため、受光部54により受光される反射光L2の光量は、照射光L1と紙目とが直交する場合と比べて少なくなる。本例では、このような用紙Pの紙目に応じて異なる反射光量を検出し、検出した反射光量に応じた検出電圧が上述した判定テーブルTBの閾値データDthを超えているか否かを判断することにより、用紙Pが縦目であるかおよび横目であるかを判断している。
【0040】
図2に戻り、制御部40は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を有しており、画像形成装置100、後処理装置200および大容量給紙装置300のそれぞれの制御を行う。また、制御部40は、紙目検出部50から供給される検出電圧(反射光量)に基づいて用紙Pの紙目が縦目であるか、または、横目であるかを判定テーブルTBを参照することにより判断する。そして、制御部40は、判断結果に基づいて画像形成部20、定着装置24、後処理装置200および大容量給紙装置300等のそれぞれが紙目に応じた紙分離制御や後処理制御を実行するようにフィードバック制御する。
【0041】
画像形成部20は、上述した感光体ドラム28等の他に、モータ21とファン22とを有している。モータ21には、制御部40から用紙Pの紙目に応じた制御信号Sg2が供給される。モータ21は、この制御信号Sg2に基づいて回転制御され、ファン22を所定の回転数で回転させる。これにより、ファン22は、用紙Pの紙目に応じた最適な回転数に切り替わって回転駆動し、用紙Pに適正な風を送風するようになり、紙分離性能をより向上させることができる。なお、モータ21およびファン22は分離部(搬送処理部)の一例を構成している。
【0042】
定着装置24は、加圧ローラ等の他に、モータ25とファン26とを有している。モータ25には、制御部40から用紙Pの紙目に応じた制御信号Sg3が供給される。モータ25は、この制御信号Sg3に基づいて回転制御され、ファン26を所定の回転数で回転させる。これにより、ファン26は、用紙Pの紙目に応じた最適な回転数に切り替わって回転駆動し、用紙Pに適正な風を送風するようになり、紙分離性能をより向上させることができる。なお、モータ25およびファン26は分離部(搬送処理部)の一例を構成している。
【0043】
後処理装置200は、画像形成装置100の左側面部に連結され、制御部60と通信部62と穿孔装置64とステープル装置66と中折装置68と裁断装置69とを有している。なお、後処理装置200に制御部60を設けずに、画像形成装置100の制御部40により穿孔装置64、ステープル装置66、中折装置68および裁断装置69の制御を行うこともできる。
【0044】
通信部62は、一端が制御部60に接続されると共に他端が通信ケーブル11を介して画像形成装置100に接続されており、画像形成装置100との間で双方向通信を行う。本例では、用紙Pの紙目を示す紙目データDpが画像形成装置100から送信され、この紙目データDpを受信して制御部60に供給する。
【0045】
制御部60は、CPU、ROMおよびRAMを有しており、通信部62を介して画像形成装置100から送信された紙目データDpに基づいて穿孔装置64、ステープル装置66、中折装置68および裁断装置69の後処理のそれぞれを制御するための制御信号Sa1,Sa2,Sa3,Sa4を生成し、生成した各制御信号を穿孔装置64、ステープル装置66、中折装置68および裁断装置69のそれぞれに供給する。
【0046】
穿孔装置64は、制御部60から供給される紙目データDpに応じた制御信号Sa1に基づいて後処理装置200に搬送される用紙Pの所定位置に複数の孔を穿設する。例えば、穿孔装置64は、用紙Pの紙目が縦目の場合と横目の場合とでパンチ同時可能枚数を変更する。
【0047】
ステープル装置66は、制御部60から供給される紙目データDpに応じた制御信号Sa2に基づいて集積された用紙束をステープル針で綴じる。例えば、ステープル装置66は、用紙Pの紙目が縦目の場合と横目の場合とで一度に綴じる用紙Pの枚数を変更したり、綴じる用紙Pの位置を変更する。
【0048】
中折装置68は、制御部60から供給される紙目データDpに応じた制御信号Sa3に基づいて綴じられた用紙束の中間部を折り曲げる中折り処理を行う。例えば、中折装置68は、用紙Pの紙目が縦目の場合と横目の場合とで紙折同時枚数を変更する。
【0049】
裁断装置69は、制御部60から供給される紙目データDpに応じた制御信号Sa4に基づいて用紙束を裁断する。例えば、裁断装置69は、用紙Pの紙目が縦目の場合と横目の場合とで裁断同時可能枚数を変更する。
【0050】
大容量給紙装置300は、画像形成装置100の右側面部に連結され、通信ケーブル71を介して画像形成装置100に接続されている。大容量給紙装置300は、制御部80と紙目検出部76とモータ70とファン72とを備えている。モータ70およびファン72は、搬送処理部(分離部)の一例を構成している。紙目検出部76は、発光部77と受光部78とを有しており、後述するように給紙トレイ74に設置される。紙目検出部76については後述する。
【0051】
制御部80は、CPU、ROMおよびRAMを有しており、紙目検出部76から供給される検出電圧に基づいて、大容量給紙装置300に収容されている用紙Pの紙目を判断し、この判断結果に基づいて紙分離を行うファン72の回転数を制御するための制御信号Spを生成してモータ70に供給する。モータ70は、制御部80から供給される制御信号Spに基づいてファン72を所定の回転数で駆動させる。これにより、ファン72からは、用紙Pの紙目に応じた最適な風量が用紙Pに吹き付けられ、用紙Pが一枚ずつ円滑に分離されて画像形成装置100に供給される。
【0052】
[大容量給紙装置に設置される紙目検出部の構成例]
次に、大容量給紙装置300に設置された紙目検出部76について説明する。まず、大容量給紙装置300の構成について簡単に説明する。大容量給紙装置300は、図5(A)および図5(B)に示すように、給紙トレイ74を有しており、この給紙トレイ74には大量の用紙が収容されている。用紙Pの搬送方向D1と直交した幅方向の両端部には、送風手段としてのファン72,72が配置されている。なお、搬送方向D1側にもファンが設置されるが図5では便宜上省略している。ファン72,72の上部には風を送風するための開口部73が設けられている。ファン72,72が駆動されると、開口部73から風が上層部の用紙Pに吹き付けられ、用紙Pが一枚ずつ分離されるようになっている。
【0053】
紙目検出部76は、図5(B)に示すように、用紙Pの紙目検出位置Tにおける法線Oに対して所定角度θだけ傾斜した位置であって、かつ、平面的に見て用紙Pの搬送方向D1に対して平行方向に設置される。これは、紙目検出部76を法線Oと平行に設置したり、搬送方向D1に対して斜めに設置した場合には、用紙Pが縦目の場合の反射光L2の光量と横目の場合の反射光L2の光量とで差が出ない場合があるからである。この紙目検出部76は、例えば、給紙トレイ74を構成する図示しない側壁部に取り付けられる。
【0054】
[画像形成装置に設置される紙目検出部の構成例]
上述した大容量給紙装置300の例では、用紙Pが湾曲していない平坦面の用紙Pの紙目を検出したが、用紙Pが湾曲している湾曲部においても用紙Pの紙目を検出することができる。以下では、感光体ドラム28の近傍に紙目検出部50を設置した場合について説明する。
【0055】
図6(A)および図6(B)に示すように、感光体ドラム28の転写部29では、用紙Pにトナー像が転写される。トナー像が転写された用紙Pは、転写部29での転写処理によって感光体ドラム28の周面に沿うようにして湾曲する。湾曲した用紙Pは、分離部や送風等の分離機能によって感光体ドラム28から分離されて定着装置24に搬送される。
【0056】
紙目検出部50は、図6(B)に示すように、転写部29の搬送方向D1における下流側であって、感光体ドラム28の斜め下方側に所定の間隔を隔てて設けられている。このとき、紙目検出部50は、用紙Pの紙目検出位置Tにおける法線Oに対して所定角度θだけ傾斜した位置であって、かつ、平面的に見て用紙Pの搬送方向D1に対して平行な位置に設置される。紙目検出部50の発光部52の照射光L1(光軸)は、紙目検出位置Tにおける法線Oに対して例えば30°〜40°の範囲で傾斜していることが好ましい。また、紙目検出部50は、搬送方向D1に対して直交する方向に設置しても良い。
【0057】
[画像形成システムの動作例(その1)]
次に、本発明に係る画像形成システムGSの動作の一例について説明する。本例では、用紙Pを給紙する給紙トレイ36に同一の紙目の用紙Pが収容されている場合であって、図6に示したように感光体ドラム28の近傍に紙目検出部50を設置した場合について説明する。また、以下では、用紙Pの搬送方向D1を用紙Pの縦目とし、搬送方向D1に直交する方向を用紙Pの横目とし、紙目検出部50を搬送方向D1と平行に設置しているものとする。
【0058】
ユーザは、操作表示部30のメニュー画面により給紙トレイ36に同一の紙目の用紙が入っているか、異なる紙目の用紙が入っているかの選択を行う。用紙Pの紙目は、用紙Pの給紙前にユーザが把握、確認できるものとする。ユーザにより給紙トレイ36に同一の紙目の用紙が入っている旨の項目が選択されると、図7に示すように、ステップS100で制御部40は、給紙する給紙トレイ36を操作表示部30からの入力に基づいて判断し、給紙トレイ36内に収容されている用紙の設定データをメモリ部42等から取得する。設定データは用紙ごとに設けられており、設定データには例えば紙種、斤量等の情報が含まれている。
【0059】
ステップS102で制御部40は、用紙Pに対応した設定データを取得したら、メモリ部42に蓄積されている判定テーブルTBを参照し、取得した設定データに含まれる紙種に対応した閾値データDthを取得する(図3参照)。
【0060】
ステップS104で制御部40は、感光体ドラム28の近傍に設置された紙目検出部50により搬送中の用紙Pの紙目を検出させる。具体的には、発光部52から照射光L1を用紙Pの紙目検出位置に照射させ、受光部54で受光された反射光L2の反射光量に応じた検出電圧(検出データDd)を取得する。
【0061】
ステップS106で制御部40は、取得した検出データDdと判定テーブルTBから取得した閾値データDthとを比較し、検出データDdが閾値データDthよりも大きいか否かを判断する。検出データDdが閾値データDthよりも大きいと判断した場合にはステップS108に進み、検出データDdが閾値データDthよりも小さいと判断した場合にはステップS112に進む。
【0062】
ステップS108で制御部40は、検出データDdが閾値データDthよりも大きいと判断した場合には、画像形成処理(搬送)中の用紙Pの紙目が横目であると判断する。これは、搬送方向D1に対して平行な位置から照射光L1を照射した場合、紙目が横目のときには照射光L1が紙目で反射して検出データDd(反射光量)が閾値データDthよりも大きくなるからである。
【0063】
ステップS110で制御部40は、紙目が横目であると判断した場合、横目に応じた制御信号Sg2,Sg3等を生成して紙分離機能を有する画像形成部20のモータ21や定着装置24のモータ25にフィードバックし、横目に応じた紙分離処理を行わせる。これにより、ファン22,26から用紙Pの紙目に応じた最適な風が送風される。また、制御部40は、操作表示部30からの入力情報に基づいて、画像形成中の用紙Pに対して後処理工程が設定されていると判断した場合には、横目を示す紙目データDpを生成して後処理装置200に供給し、横目に応じた後処理を行わせる。
【0064】
一方、ステップS112で制御部40は、検出データDdが閾値データDthよりも小さいと判断した場合には、画像形成処理(搬送)中の用紙Pの紙目が縦目であると判断する。これは、搬送方向D1に対して平行な位置から照射光L1を照射した場合、紙目が横目のときには照射光L1が繊維方向に沿って流れて検出データDd(反射光量)が閾値データDthよりも小さくなるからである。
【0065】
ステップS114で制御部40は、紙目が縦目であると判断した場合、縦目に応じた制御信号Sg2,Sg3等を生成して紙分離機能を有する画像形成部20のモータ21や定着装置24のモータ25にフィードバックし、縦目に応じた紙分離処理を行わせる。これにより、ファン22,26から用紙Pの紙目に応じた最適な風が送風される。また、制御部40は、操作表示部30からの入力情報に基づいて、画像形成中の用紙Pに対して後処理工程が設定されていると判断した場合には、縦目を示す紙目データDpを生成して後処理装置200に供給し、縦目に応じた後処理を行わせる。
【0066】
ステップS116で制御部40は、コピーが終了したか否かを判断する。コピーが終了したと判断した場合には一連のジョブが終了したと判断して次のジョブの入力を待機する。一方、コピーが終了していないと判断した場合にはステップS118に進む。
【0067】
ステップS118で制御部40は、給紙トレイ36が変更されたか否かを判断する。給紙トレイ36が変更されたと判断した場合にはステップS100に戻り、変更された給紙トレイ36に収容されている用紙Pの紙目を上述した紙目判断方法により判断する。一方、給紙トレイ36が変更されていないと判断した場合には、用紙Pの種類も変更されないので、上述したステップS100〜ステップS114において判断した紙目の判断結果がそのまま利用され、用紙Pの紙目に応じた紙分離処理や後処理が行われる。
【0068】
[画像形成システムの動作例(その2)]
続けて、給紙トレイ36内に同一の紙目の用紙Pが収容されていない場合の画像形成装置100の動作の一例について説明する。この場合には、操作表示部30のメニュー画面において、給紙トレイ36に同一の紙目の用紙Pが入っていない旨を示す項目ボタンを選択する。図8に示すステップS200〜S216までの処理は、上述したステップS100〜S116までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0069】
図8に示すように、ステップS218で制御部40は、給紙トレイ36が変更されたか否かを判断する。給紙トレイ36が変更されたと判断した場合には、給紙トレイ36内に収容される用紙Pの紙目も異なってくる場合があるので、ステップS200に戻り、変更された給紙トレイ36に収容されている用紙Pの紙目を上述した紙目判断方法により判断する。一方、給紙トレイ36が変更されていないと判断した場合でも、選択されている給紙トレイ36内の用紙Pの紙目はそれぞれ相違している場合があるので、ステップS204に戻り、検出データDdと閾値データDthに基づいて再度用紙Pの紙目を判断する。
【0070】
なお、上述した例では、給紙トレイ36内の用紙Pの紙目を一枚ずつ判断しているが、予め紙目を判断する用紙Pの枚数を制限することも可能である。これは、所定枚数の用紙Pの紙目が連続して同一であれば、それ以降の用紙Pの紙目も同一である可能性が高いからである。この設定方法により、画像形成処理のスピードの向上を図ることができると共に生産性の向上を図ることができる。
【0071】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、紙目検出部50,76により用紙Pでの反射光量を検出し、制御部40,80では紙目検出部50,76により検出された反射光量により用紙Pの紙目を判断し、この判断結果を画像形成部20や定着装置24、大容量給紙装置300等の紙分離制御や後処理装置200の後処理の制御に反映させるので、紙分離性能や後処理処理性能を用紙毎に適正化できる。その結果、より紙分離性能や後処理性能の向上を図ることができる。
【0072】
また、第1の実施の形態によれば、湾曲部を有する用紙Pの紙目も検出することができるので、様々な箇所での用紙の紙目を検出することができるようになると共に、設計の自由度の向上を図ることができる。
【0073】
<2.第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態では紙目検出部を一組により構成したが、第2の実施の形態では紙目検出部を二組で構成している点において異なっている。なお、その他の画像形成システムGSの構成は、上記第1の実施の形態と同様であるため、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0074】
[画像形成システムのブロック構成例]
画像形成システムGSは、図9に示すように、画像形成装置100と後処理装置200と大容量給紙装置300とを備えている。画像形成装置100は、感光体ドラム28により転写される用紙Pや定着装置24により画像が定着された用紙P等の紙目を検出するための紙目検出部50A,50Bを備えている。後処理装置200は、給紙トレイ74に収容されている最上層の用紙Pの紙目を検出するための紙目検出部76A,76Bを備えている。なお、以下では、紙目検出部50A,50Bと紙目検出部76A,76Bとは同一の構成であるため、便宜上、紙目検出部76A,76Bについて説明する。
【0075】
紙目検出部76Aは、用紙Pの紙目検出位置Tにおける法線C1に対して所定角度θだけ傾斜した位置であって(図4参照)、かつ、平面的に見て用紙Pの搬送方向D1に対して平行方向に設置されている(図10参照)。以下では、搬送方向D1と平行する方向をX方向(第1の方向)とし、搬送方向D1と直交する方向をY方向(第2の方向)とする。この紙目検出部76Aは、発光部77Aと受光部78Aとを有している。発光部77Aは、用紙Pの斜め上方から用紙Pの紙目検出位置Tに照射光L1xを照射する。受光部78Aは、用紙Pの紙目検出位置Tで反射した照射光L1xのX方向における反射光を受光し、反射光量に応じた検出電圧(検出データDdx)を制御部40に供給する。なお、紙目検出部76Aは、第1の紙目検出部の一例を構成している。
【0076】
紙目検出部76Bは、用紙Pの紙目検出位置Tにおける法線C1に対して所定角度θだけ傾斜した位置であって(図4参照)、かつ、平面的に見て用紙Pの搬送方向D1に直交するY方向上に設けられている(図10参照)。この紙目検出部76Bは、発光部77Bと受光部78Bとを有している。発光部77Bは、用紙Pの斜め上方から用紙Pの紙目検出位置Tに照射光L1yを照射する。受光部78Bは、用紙Pの紙目検出位置Tで反射した照射光L1yのY方向における反射光を受光し、反射光量に応じた検出電圧(検出データDdy)を制御部40に供給する。なお、紙目検出部76Bは、第2の紙目検出部の一例を構成している。
【0077】
制御部80は、紙目検出部76Aから供給される検出データDdxの電圧値と紙目検出部76Bから供給される検出データDdyの電圧値との大小を比較し、この比較結果に基づいて給紙トレイ74に収容されている用紙Pの紙目が縦目であるか、または、横目であるかを判断する。そして、判断結果の紙目に応じた制御信号を生成してモータ70に供給し、紙目に応じた回転数でファン72を回転駆動させ、紙目に応じて最適化された風を送風する。
【0078】
[画像形成システムの動作例(その3)]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成システムGSの動作の一例について説明する。以下では、大容量給紙装置300の給紙トレイ74に収容されている用紙Pの紙目を検出し、検出した内容を紙分離制御にフィードバックする場合について説明する。
【0079】
まず、ユーザは、操作表示部30のメニュー画面により給紙トレイ74に同一の紙目の用紙Pが入っているか、異なる紙目の用紙Pが入っているかの選択を行う。ユーザにより給紙トレイ74に同一の紙目の用紙が入っている旨の操作ボタンが選択されると、図11に示すように、ステップS300で制御部80は、紙目検出部76Aから用紙Pの紙目検出位置TにおけるX方向の検出データDdxを取得し、紙目検出部76Bから用紙Pの紙目検出位置TにおけるY方向の検出データDdyを取得する。
【0080】
ステップS302で制御部80は、取得したX方向の検出データDdxとY方向の検出データDdyとを比較し、Y方向の検出データDdyの電圧値がX方向の検出データDdxの電圧値よりも大きいか否かを判断する。Y方向の検出データDdyの電圧値がX方向の検出データDdxの電圧値よりも大きいと判断した場合にはステップS304に進み、Y方向の検出データDdyの電圧値がX方向の検出データDdxの電圧値よりも小さいと判断した場合にはステップS308に進む。
【0081】
ステップS304で制御部80は、Y方向の検出データDdyの電圧値がX方向の検出データDdxの電圧値よりも大きい場合には、用紙Pの紙目が縦目であると判断する。これは、Y方向からの照射光Llyが繊維方向に対して直交している場合には照射光L1yが紙目で跳ね返って反射光量(検出データDdy)が大きくなり、X方向からの照射光L1xが繊維方向に平行である場合には繊維方向に沿って流れて反射光量(検出データDdx)が小さくなるからである。
【0082】
ステップS306で制御部80は、用紙Pの紙目を縦目と判断したら、縦目に応じた制御信号を生成して紙分離性能を有するモータ70に供給(フィードバック)する。これにより、ファン72は、縦目に応じた回転数で回転し、最適化された風を用紙Pに送風する。
【0083】
一方、ステップS308で制御部80は、Y方向の検出データDdyの電圧値がX方向の検出データDdxの電圧値よりも小さい場合には、用紙Pの紙目が横目であると判断する。これは、Y方向からの照射光Llyが繊維方向に平行している場合には照射光Llyが紙目に沿って流れるので反射光量(検出データDdy)が小さくなり、X方向からの照射光L1xが繊維方向に直交している場合には照射光L1yが紙目で跳ね返って反射光量(検出データDdx)が大きくなるからである。
【0084】
ステップS310で制御部80は、用紙Pの紙目を横目と判断したら、横目に応じた制御信号を生成して紙分離性能を有するモータ70に供給(フィードバック)する。これにより、ファン72は、横目に応じた回転数で回転し、最適化された風を用紙Pに送風する。
【0085】
ステップS312で制御部80は、コピーが終了したか否かを判断する。コピーが終了したと判断した場合には一連のジョブが終了したと判断して次のジョブの入力を待機する。一方、コピーが終了していないと判断した場合にはステップS314に進む。
【0086】
ステップS314で制御部80は、給紙トレイ74が変更されたか否かを判断する。給紙トレイ74が変更されたと判断した場合にはステップS300に戻り、変更された給紙トレイ74に収容されている用紙Pの紙目を上述した紙目判断方法により判断する。一方、給紙トレイ74が変更されていないと判断した場合には、用紙Pの種類も変更されないので、上述したステップS300〜S310において判断された紙目の判断結果がそのまま利用され、用紙Pの紙目に応じた紙分離処理や後処理が行われる。
【0087】
なお、上述した説明では、大容量給紙装置300の制御部80で判断された用紙Pの紙目情報を大容量給紙装置300の紙分離機能部にのみフィードバックした例について説明したが、これに限定されることはない。例えば、制御部80で判断された用紙Pの紙目を紙目データDpとして画像形成装置100や後処理装置200に送信することもできる。この場合には、画像形成装置100の制御部40では、大容量給紙装置300から送信される紙目データDpに基づいて上述した感光体ドラム28や定着装置24の紙分離性能の制御を変更する。また、後処理装置200の制御部60についても同様に、大容量給紙装置300から送信される紙目データDpに基づいて上述した穿孔装置64による穿設処理やステープル装置66によるステープル処理等の後処理を変更する。さらに、画像形成装置100に設けられた紙目検出部50A,50Bについても、上述した紙目検出部76A,76Bと同様の処理を適用できる。
【0088】
[画像形成システムの動作例(その4)]
続けて、給紙トレイ74内に同一の紙目の用紙Pが収容されていない場合の画像形成システムGSの動作の一例について説明する。この場合には、操作表示部30のメニュー画面において、給紙トレイ74に同一の紙目の用紙Pが入っていない旨を示す項目ボタンを選択する。図12に示すステップS400〜S412までの処理は、上述したステップS300〜S312までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0089】
図12に示すように、ステップS414で制御部80は、給紙トレイ74が変更されたか否かを判断する。給紙トレイ74が変更されたと判断した場合には、給紙トレイ74内に収容される用紙Pの紙目も異なってくる場合があるので、ステップS400に戻り、変更された給紙トレイ74に収容されている用紙Pの紙目を上述した紙目判断方法により判断する。一方、給紙トレイ74が変更されていないと判断した場合においても、選択されている給紙トレイ74内の用紙Pの紙目はそれぞれ相違している場合があるので、ステップS402に戻り、用紙Pの紙目検出位置TにおけるX方向の検出データDdxとY方向の検出データDdyとを比較し、用紙Pの紙目を判断する。この判断以降の処理は上記ステップS304〜S312までの処理と同様である。
【0090】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、2個の紙目検出部76A,76B(50A,50B)を用いて用紙Pの紙目を判断するので、閾値データDthを用いずに用紙Pの紙目を判断することができる。これにより、事前に閾値データDthを作成する作業が不要になると共に、メモリ容量の削減および紙目判断処理の高速化を図ることができる。また、2個の紙目検出部76A,76B(50A,50B)を用いるので、1個の紙目検出部76を用いた場合と比べて、紙目判断の精度の向上を図ることができる。
【0091】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。例えば、上記第1および第2の実施の形態では、大容量給紙装置300に紙目検出部76を設置した例について説明したが、画像形成装置100の給紙トレイ36内に紙目検出部を設置しても良い。このとき、第2の実施の形態で説明したように、後処理装置200の紙搬送部において2組の紙目検出部を設置しても良い。また、後処理装置200の内部に紙目検出部を設置しても良い。また、紙目検出部50,76は、いずれか一方にのみ設置しても良い。
【0092】
さらに、上記第1の実施の形態において、搬送方向D1に平行する方向とこの方向に直交する直交方向とに紙目検出部50を移動可能な移動機構を設けることもできる。これにより、2つの紙目検出部を設けることなく、紙目検出位置Tの搬送方向D1とこれに直交する方向との2つの方向における検出電圧を取得できる。
【符号の説明】
【0093】
20・・・画像形成部、24・・・定着装置(搬送処理部)、28・・・感光体ドラム(搬送処理部)、30・・・操作表示部、40,60,80・・・制御部、42・・・メモリ部、50,76・・・紙目検出部、100・・・画像形成装置、200・・・後処理装置、300・・・大容量給紙装置、D1・・・搬送方向、GS・・・画像形成システム、TB・・・テーブル、P・・・用紙、Dth・・・閾値データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に所定の画像を形成する画像形成装置であって、
前記用紙を搬送する搬送処理部と、
前記用紙の搬送方向に平行な第1の方向または当該第1の方向に直交した第2の方向に設けられ、前記用紙の紙目検出位置における法線に対して所定角度だけ傾斜した位置から前記紙目検出位置に光を照射し、照射により前記紙目検出位置で反射した反射光の光量を検出する紙目検出部と、
前記紙目検出部により検出された前記反射光の光量に基づいて前記用紙の繊維方向を示す紙目を判断し、当該判断結果に基づいて前記搬送処理部における紙分離性能を制御する制御部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記搬送処理部は湾曲部を有し、
前記紙目検出部は、前記湾曲部に沿うようにして搬送される前記用紙の湾曲部における前記紙目検出位置に対して前記光を照射する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙の種類毎に設定された前記用紙の紙目を判断するときに用いられる閾値データを記憶するテーブルを備え、
前記制御部は、
前記テーブルから前記用紙に対応した閾値データを取得し、当該取得した閾値データと前記紙目検出部により検出された前記反射光の光量に応じた検出データとを比較し、当該比較結果に基づいて前記用紙の繊維方向を示す紙目を判断する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記紙目検出部は、
前記用紙の搬送方向に平行な第1の方向に設けられた第1の紙目検出部と、
前記第1の方向に直交する第2の方向に設けられた第2の紙目検出部とを有し、
前記制御部は、
前記第1の紙目検出部により検出された前記第1の方向における前記反射光の光量と前記第2の紙目検出部により検出された前記第2の方向における前記反射光の量とを比較し、当該比較結果に基づいて前記用紙の繊維方向を示す紙目を判断する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記紙目検出部を前記第1の方向と前記第2の方向との間で移動させる移動機構を備える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送処理部は、画像を前記用紙に転写する感光体ドラムと、当該感光体ドラムから前記用紙を分離させる分離部と有し、
前記制御部は、前記紙目検出結果に基づいて前記分離部の転写分離制御を変更する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記搬送処理部は、前記用紙に前記画像を定着させる定着ローラと、当該定着ローラから前記用紙を分離させる分離部とを有し、
前記制御部は、前記紙目検出結果に基づいて前記分離部の定着分離制御を変更する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成装置には、画像が形成された前記用紙に所定の後処理を行う後処理装置が連結され、
前記後処理装置は、前記用紙に所定の後処理を行う後処理部を備え、
前記後処理部は、前記画像形成装置の前記制御部から供給される前記用紙の紙目の判断結果に基づいて前記後処理の制御を変更する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
用紙を収容して画像形成装置に前記用紙を給紙する給紙装置であって、
前記用紙を前記画像形成装置に搬送する搬送処理部と、
前記用紙の搬送方向に平行な第1の方向および/または当該第1の方向に直交した第2の方向に設けられ、前記用紙の紙目検出位置における法線に対して所定角度だけ傾斜した位置から前記紙目検出位置に光を照射し、照射により前記紙目検出位置で反射した反射光の光量を検出する紙目検出部と、
前記紙目検出部により検出された前記反射光の光量に基づいて前記用紙の繊維方向を示す紙目を判断し、当該判断結果に基づいて前記搬送処理部における紙分離性能を制御する制御部と
を備えることを特徴とする給紙装置。
【請求項10】
用紙に所定の画像を形成する画像形成システムであって、
前記用紙を搬送する搬送処理部と、
前記搬送処理部により搬送される前記用紙に所定の後処理を行う後処理部と、
前記用紙の搬送方向に平行な第1の方向および/または当該第1の方向に直交した第2の方向に設けられ、前記用紙の紙目検出位置における法線に対して所定角度だけ傾斜した位置から前記紙目検出位置に光を照射し、照射により前記紙目検出位置で反射した反射光の光量を検出する紙目検出部と、
前記紙目検出部により検出された前記反射光の光量に基づいて前記用紙の繊維方向を示す紙目を判断し、当該判断結果に基づいて前記搬送処理部における紙分離制御および前記後処理部の制御の少なくとも一方の制御を変更する制御部と
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項1】
用紙に所定の画像を形成する画像形成装置であって、
前記用紙を搬送する搬送処理部と、
前記用紙の搬送方向に平行な第1の方向または当該第1の方向に直交した第2の方向に設けられ、前記用紙の紙目検出位置における法線に対して所定角度だけ傾斜した位置から前記紙目検出位置に光を照射し、照射により前記紙目検出位置で反射した反射光の光量を検出する紙目検出部と、
前記紙目検出部により検出された前記反射光の光量に基づいて前記用紙の繊維方向を示す紙目を判断し、当該判断結果に基づいて前記搬送処理部における紙分離性能を制御する制御部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記搬送処理部は湾曲部を有し、
前記紙目検出部は、前記湾曲部に沿うようにして搬送される前記用紙の湾曲部における前記紙目検出位置に対して前記光を照射する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙の種類毎に設定された前記用紙の紙目を判断するときに用いられる閾値データを記憶するテーブルを備え、
前記制御部は、
前記テーブルから前記用紙に対応した閾値データを取得し、当該取得した閾値データと前記紙目検出部により検出された前記反射光の光量に応じた検出データとを比較し、当該比較結果に基づいて前記用紙の繊維方向を示す紙目を判断する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記紙目検出部は、
前記用紙の搬送方向に平行な第1の方向に設けられた第1の紙目検出部と、
前記第1の方向に直交する第2の方向に設けられた第2の紙目検出部とを有し、
前記制御部は、
前記第1の紙目検出部により検出された前記第1の方向における前記反射光の光量と前記第2の紙目検出部により検出された前記第2の方向における前記反射光の量とを比較し、当該比較結果に基づいて前記用紙の繊維方向を示す紙目を判断する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記紙目検出部を前記第1の方向と前記第2の方向との間で移動させる移動機構を備える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送処理部は、画像を前記用紙に転写する感光体ドラムと、当該感光体ドラムから前記用紙を分離させる分離部と有し、
前記制御部は、前記紙目検出結果に基づいて前記分離部の転写分離制御を変更する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記搬送処理部は、前記用紙に前記画像を定着させる定着ローラと、当該定着ローラから前記用紙を分離させる分離部とを有し、
前記制御部は、前記紙目検出結果に基づいて前記分離部の定着分離制御を変更する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成装置には、画像が形成された前記用紙に所定の後処理を行う後処理装置が連結され、
前記後処理装置は、前記用紙に所定の後処理を行う後処理部を備え、
前記後処理部は、前記画像形成装置の前記制御部から供給される前記用紙の紙目の判断結果に基づいて前記後処理の制御を変更する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
用紙を収容して画像形成装置に前記用紙を給紙する給紙装置であって、
前記用紙を前記画像形成装置に搬送する搬送処理部と、
前記用紙の搬送方向に平行な第1の方向および/または当該第1の方向に直交した第2の方向に設けられ、前記用紙の紙目検出位置における法線に対して所定角度だけ傾斜した位置から前記紙目検出位置に光を照射し、照射により前記紙目検出位置で反射した反射光の光量を検出する紙目検出部と、
前記紙目検出部により検出された前記反射光の光量に基づいて前記用紙の繊維方向を示す紙目を判断し、当該判断結果に基づいて前記搬送処理部における紙分離性能を制御する制御部と
を備えることを特徴とする給紙装置。
【請求項10】
用紙に所定の画像を形成する画像形成システムであって、
前記用紙を搬送する搬送処理部と、
前記搬送処理部により搬送される前記用紙に所定の後処理を行う後処理部と、
前記用紙の搬送方向に平行な第1の方向および/または当該第1の方向に直交した第2の方向に設けられ、前記用紙の紙目検出位置における法線に対して所定角度だけ傾斜した位置から前記紙目検出位置に光を照射し、照射により前記紙目検出位置で反射した反射光の光量を検出する紙目検出部と、
前記紙目検出部により検出された前記反射光の光量に基づいて前記用紙の繊維方向を示す紙目を判断し、当該判断結果に基づいて前記搬送処理部における紙分離制御および前記後処理部の制御の少なくとも一方の制御を変更する制御部と
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−170281(P2011−170281A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36477(P2010−36477)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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