説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】光による発色情報に応じて発色又は非発色の状態を制御することが可能なトナーを用いて、画質欠陥のない画像を、長期間に渡り安定して得ることができる画像形成装置及び画像形成方法を提供すること。
【解決手段】例えば、中間転写ベルト20にトナー像Tを転写した後、当該中間転写ベルト20上に転写されたトナー像Tに対し、発色情報を付与する。このため、発色情報付与のための露光による感光体11劣化を防止することができる。これに加え、中間転写ベルト20上にトナー像Tが保持されつつ、発色情報付与のための露光が行われるので、精度良く当該発色情報が付与される。このため、画質欠陥のない画像を、長期間に渡り安定して得ることができる。また、転写搬送ベルト28上に、トナー像Tが転写された記録媒体Sを保持しつつ、トナー像Tに発色情報を付与してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は静電記録方式を採用した画像形成装置及び画像形成方法に関するものであり、詳しくは、異なる波長の光を露光することにより異なる色に発色させることが可能なトナーを用いた画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より電子写真方式でカラー画像を得る記録装置においては、基本三原色をそれぞれの画像情報に応じて現像し、これらのトナー像を順次重ね合わせることでカラー画像を得ている。具体的な装置構成としては、画像形成の方法によって潜像形成された一つの感光体ドラムに各色ごとに現像し、それらを転写部材に転写することを繰り返してカラー画像を得る所謂4サイクル機、あるいは各色の画像形成手段ごとに感光体ドラム、現像装置を具備して転写部材が移動することにより順次連続してトナー像を転写してカラー画像を得るタンデム機などが知られている。
【0003】
これらは少なくとも、各色ごとに複数の現像装置を持つことで共通している。そのため、通常のカラー画像形成では三原色に黒色を加えた4つの現像装置が必要であり、さらにタンデム機ではそれぞれの4つの現像装置に応じて4つの感光体ドラムが必要であり、それら4つの画像形成手段の同期を整合する手段が必要になるなど、装置の大型化やコストの増大は避けられないものとなっている。
【0004】
これに対し、単一の現像装置でカラー画像を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、ここで開示されている方法では、異なる波長により異なる色に発色するトナーを使用し、1つの現像器でカラー画像を得るプロセスは提案されているものの、トナーの発色メカニズムの記載などがなくほとんど実現性がないものとなっている。
【0005】
また、1つの現像器でカラー画像を得るプロセスとして、トナーの発色メカニズムを開示した方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。ここで開示されているプロセスで使用しているトナーは、外部刺激を受けて物質透過性が変化するカプセル壁を有する複数のマイクロカプセルをトナー樹脂中に分散混合して成る粒子であり、この粒子中に互いに混合されて発色反応を起こす2種類の反応性物質のうちの一方(各色染料前駆体)が、マイクロカプセル内に、他方(顕色剤)がマイクロカプセル外のトナー樹脂中に含まれるものである。
【0006】
このトナーでは、カプセル壁として特定波長の光を照射した際に物質透過性が増大する光異性化物質を用い、このシス−トランス遷移を利用して光の照射や超音波を印加した際に、カプセル内外に存在する2種類の反応性物質が反応して発色する。
【0007】
しかしこの構成のトナーの場合、前記シス−トランス遷移は可逆反応であるため、光刺激によりトランス状態からシス状態への遷移が起こり、顕色剤がカプセル壁をわずかに透過したとしても、プリントプロセス中にトランス状態に戻った場合には加熱による発色時に十分な発色反応(濃度)が得られないという問題がある。
【0008】
すなわち、上記問題に起因して、このトナーを使用した場合には低速印字において安定した画像を得ることが困難であり、低速から高速までの広いスピードレンジに対応できないという課題を有している。さらに、通常プリントでも、光刺激による前記シス−トランスの遷移の量が小さい場合には、加熱前にトランス状態に戻る反応がわずかでも起こればトナーは発色しなくなるので、ハイライト画像を形成する場合にこのトナーを使用することが困難、すなわち、高画質化に対応することが難しいという課題も有している。
さらに、本提案においても、具体的なトナーの製造方法が開示されておらず、実現性に乏しいものである。
【特許文献1】特開昭63−311364号公報
【特許文献2】特開2003−330228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記異なる波長により異なる色に発色するトナーに、その発色情報を付与するための露光は、潜像を形成するための露光よりも強度が強く、像担持体を劣化させてしまうという問題がある。また、これに加え、単に、トナー像を記録媒体に転写した後、発色情報を付与すると、精度良く発色情報を付与できないという問題もある。
【0010】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、光による発色情報に応じて発色又は非発色の状態を制御することが可能なトナーを用いて、画質欠陥のない画像を、長期間に渡り安定して得ることができる画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、以下の本発明により達成される。
第1の本発明の画像形成装置は、
光による発色情報の付与により、発色又は非発色の状態を維持するように制御されるトナーを用いる画像形成装置であって、
像担持体と、
前記トナーを含む現像剤により該像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記像担持体表面に形成された前記トナー像を中間転写体表面に転写する第1転写手段と、
前記像担持体に形成されたトナー像が転写される中間転写体と、
前記中間転写体上に転写された前記トナー像に光による発色情報を付与する発色情報付与手段と、
前記中間転写体表面に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する第2転写手段と、
前記記録媒体表面に転写された前記トナー像を熱及び/又は圧力により定着する定着手段と、
加熱により前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色手段と、
を有することを特徴としている。
【0012】
第1の本発明の画像形成装置では、中間転写体にトナー像を転写した後、当該中間転写体上に転写されたトナー像に対し、発色情報を付与する。このため、発色情報付与のための露光による感光体劣化を防止することができる。これに加え、中間転写体上にトナー像が保持されつつ、発色情報付与のための露光が行われるので、精度良く当該発色情報が付与される。このため、画質欠陥のない画像を、長期間に渡り安定して得ることができる。
【0013】
また、第1の本発明の画像形成方法は、
光による発色情報の付与により、発色又は非発色の状態を維持するように制御されるトナーを用いる画像形成方法であって、
前記トナーを含む現像剤により該像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成工程と、
前記像担持体表面に形成された前記トナー像を中間転写体表面に転写する第1転写工程と、
前記中間転写体上に転写された前記トナー像に光による発色情報を付与する発色情報付与工程と、
前記中間転写体表面に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する第2転写工程と、
前記記録媒体表面に転写された前記トナー像を熱及び/又は圧力により定着する定着工程と、
加熱により前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色工程と、
を有することを特徴としている。
【0014】
第1の本発明の画像形成方法では、上記第1の本発明の画像形成装置で説明したように、画質欠陥のない画像を、長期間に渡り安定して得ることができる。
【0015】
一方、第2の本発明の画像形成装置は、
光による発色情報の付与により、発色又は非発色の状態を維持するように制御されるトナーを用いる画像形成装置であって、
像担持体と、
前記トナーを含む現像剤により該像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記像担持体表面に形成された前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体を転写領域に搬送する転写搬送ベルトと、
前記転写搬送ベルト上で前記記録媒表面に転写された前記トナー像に光による発色情報を付与する発色情報付与手段と、
前記記録媒体表面に転写された前記トナー像を熱及び/又は圧力により定着する定着手段と、
加熱により前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色手段と、
を有することを特徴としている。
【0016】
第2の本発明の画像形成装置では、転写搬送ベルトにより転写領域に搬送した記録媒体にトナー像を転写した後、当該転写搬送ベルト上で記録媒体に転写されたトナー像に対し、発色情報を付与する。このため、発色情報付与のための露光による感光体劣化を防止することができる。これに加え、転写搬送ベルト上に記録媒体が保持されつつ、当該記録媒体に転写されたトナー像に対して発色情報付与のための露光が行われるので、精度良く当該発色情報が付与される。このため、画質欠陥のない画像を、長期間に渡り安定して得ることができる。
【0017】
また、第2の本発明の画像形成方法は、
光による発色情報の付与により、発色又は非発色の状態を維持するように制御されるトナーを用いる画像形成方法であって、
前記トナーを含む現像剤により該像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成工程と、
前記像担持体表面に形成された前記トナー像を、転写搬送ベルトにより搬送された記録媒体表面に転写する転写工程と、
前記転写搬送ベルト上で前記記録媒表面に転写された前記トナー像に光による発色情報を付与する発色情報付与工程と、
前記記録媒体表面に転写された前記トナー像を熱及び/又は圧力により定着する定着工程と、
加熱により前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色工程と、
を有することを特徴としている。
【0018】
第2の本発明の画像形成方法では、上記第2の本発明の画像形成装置で説明したように、画質欠陥のない画像を、長期間に渡り安定して得ることができる。
【0019】
さらに、上記第1及び第2の本発明の画像形成装置(以下、本発明の画像形成装置と称する)において、前記中間転写体及び前記転写搬送ベルトは、外周面の反射率が75〜99%であることがよい。このような反射率を付与するためには、例えば、前記中間転写体及び前記転写搬送ベルトが、白色導電剤を含有すること、或いは白色導電剤を含有する表面層を有することがよい。
【0020】
上記反射率を有することで、発色情報付与のために露光されると中間転写体又は転写搬送ベルトにより光が反射され、トナー像に対して光源からの直接露光と中間転写体又は転写搬送ベルトからの反射光による露光が行われ、トナー像の厚み方向に渡って十分な発色情報が付与できる。なお、転写搬送ベルトの場合、露光光が反射、及びその反射光がトナー像へ到達するには、光が記録媒体を透過する必要があるが、通常、記録媒体は僅かなでも光を透過するため、上記効果を十分奏することができる。
【0021】
本発明の画像形成装置において、前記中間転写体及び前記転写搬送ベルトは、ヤング率が2000MPa以上の基材を有するベルト部材であることがよい。これにより、中間転写体としてのベルト部材或いは転写搬送ベルトの歪みが防止され、中間転写体或いは転写搬送ベルト上での発色情報付与がより精度良く行われる。
【0022】
本発明の画像形成装置において、前記像担持体は、感光体であり、前記トナー像形成手段は、前記感光体表面を帯電する帯電手段と、該感光体表面に露光により静電潜像を形成する露光手段と、前記トナーを含む現像剤により該静電潜像をトナー像とする現像手段とを有する、ことができる。この構成では、トナーが光発色機能を有する以外は従来のトナーと同等の特性を有するものであるため、いわゆる電子写真方式を用いて行うことにより、高画質化、繰り返し安定化などの優れた機能が発揮される。
【0023】
本発明の画像形成装置において、前記定着手段は、前記発色手段を兼ねることができる。前記のように、トナーの発色のためにはトナー像を加熱することが好ましく、この場合、通常のトナーの定着時に定着手段により付与される加熱を同時にトナー発色のために用いることにより、エネルギーを効率的に利用でき、さらに装置の小型化を可能とすることができる。加えて、加熱による発色までの時間的制約がないことより、加熱手段の配置場所も自由に選べるメリットを有する。
【0024】
本発明の画像形成装置において、定着後の記録媒体表面に光を照射する光照射手段をさらに有することができる。発色後のトナー中では、発色反応さらに継続される場合がある。これに対して光照射を行うことにより、発色不可能な状態に制御された発色部中に残存する反応性物質を分解又は失活させることができ、画像形成後のカラーバランスの変動をより確実に抑制したり、バックグランド色の除去・漂白を行ったりすることができる。
【0025】
本発明の画像形成装置において、前記トナーが、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれかを含む光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化又は未硬化の状態を維持して、前記発色のための反応が制御されるトナーであることが好適である。
【0026】
このトナーは、当該トナーに対する発色情報付与メカニズムは可逆反応ではないので、トナーを低中間調の濃度で安定して発色させることができる。従って、ハイライト画像部においても高画質画像形成が可能となる。さらに、加熱による発色までに時間的制約がないため、低速域までのプリントも可能、すなわち、広いスピードレンジに対応可能であるというメリットを有している。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、光による発色情報に応じて発色又は非発色の状態を制御することが可能なトナーを用いて、画質欠陥のない画像を、長期間に渡り安定して得ることができる画像形成装置及び画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明について図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【0030】
第1実施形態に係る画像形成装置は、図1に示すように、トナーによるトナー像Tを形成する画像形成ユニット10と、画像形成ユニット10で形成されたトナー像Tが転写される中間転写ベルト20と、中間転写ベルトに転写されたトナー像T発色情報を付与する発色情報付与装置21(発色情報付与手段)と、トナー像を記録媒体S表面に転写する第2転写装置22(第2転写手段)手段と、記録媒体S表面に転写されたトナー像Tを熱及び/又は圧力により定着する定着装置23と、定着装置23の下流側にはトナー像Tの発色を固定化するための記録媒体Sへの光照射を行う光照射装置24(光照射手段)と、を備えている。定着装置23はトナー像Tを発色させる発色装置(発色手段)を兼ねている。
【0031】
画像形成ユニット10は、感光体11(像担持体)を備え、その周囲に、感光体11を一様に負帯電する帯電する帯電装置12(帯電手段)と、画像情報に従って感光体11表面を露光して静電潜像を形成する露光装置13(露光手段)と、負帯電されたトナーを含む現像剤により当該静電潜像を現像しトナー像Tを形成する現像装置14(現像手段)と、トナー像Tを中間転写ベルト20表面に転写する第1転写装置15(第1転写手段)手段と、転写後に感光体11に残留する残留トナーTAを除去するクリーニング装置16と、を備えている。
【0032】
なお、中間転写ベルト20は、2つの張架ロール25に加え、中間転写ベルト20を介して第2転写装置22に対向して配置されるバックアップロール26により張架されている。
【0033】
本実施形態に係る画像形成装置に適用されるトナーは、例えばトナーの1粒1粒が異なる波長の光で露光されると、該波長に応じた色に発色する、あるいは発色しない(非発色)状態を維持する機能を有している。すなわち、トナーがその内部に光による発色情報の付与により発色可能な発色性物質(さらにはこれを含む発色部)を有しており、前記光による発色情報の付与により、トナーが発色又は非発色の状態を維持するように制御されるものである。
【0034】
ここで、前記「光による発色情報の付与」とは、トナー像を構成する個々のトナー粒子単位で発色/非発色状態や発色した際の色調を制御するために、トナー像の所望の領域に対して選択的に1種類以上の特定波長の光を付与する、あるいは、何らの光を付与しないことを意味する。
【0035】
このようなトナーとしては、前記機能を発揮できるものであれば特に制限されず、例えば前記特許文献1、2に記載のトナーや、後述する本実施形態に好ましく用いられるトナーなどを挙げることができる。
【0036】
本実施形態に係る画像形成装置では、まず、画像形成ユニット10において、上記トナーを用い、感光体11を一様に負帯電させた後、負帯電された感光体11に対し、例えばシアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の3つの色の画像形成情報の論理和で露光を行い、感光体11上に静電潜像を形成した後、負帯電されたトナーを含む現像剤により潜像を現像してトナー像Tを形成する(トナー像形成工程)。次に、発色情報を付与されたトナー像Tが中間転写ベルト20に転写される(第1転写工程)。その後、転写後に感光体11に残留する残留トナーTAが除去される(クリーニング工程)。
【0037】
そして、中間転写ベルト20上で色情報に応じた波長の光で該トナー像Tを露光して該トナー像Tに発色情報を付与する(発色情報付与工程)。その後、発色情報を付与されたトナー像Tは、記録媒体Sに転写、定着され(第2転写工程、定着工程)、この前後又は同時に熱によりトナーの発色反応が行なわれ(発色工程)、さらに、定着後の記録媒体S表面に光を照射してバックグランド色の除去・漂白される(光照射工程)。このようにして、カラー画像を得る。
【0038】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の構成を、画像形成プロセスにおける各工程に沿って説明する。
【0039】
<トナー像形成工程>
トナー像形成工程では、まず、帯電装置12により感光体11の表面全面を帯電させる。次に、画像情報に従って露光装置13により感光体11表面を露光する。そして、トナーを含む現像剤により静電潜像を現像して、トナー像Tを形成する。
【0040】
ここで、感光体11としては、公知のいかなるものも用いることができる。例えば、ドラム状の導電性基体(例えば、アルミウムなどの金属円筒体)上にSe、a−Si等の無機の感光層、あるいは単層若しくは多層の有機感光層を形成したものである。ベルト状感光体の場合は、基体としてPET、PC等の透明樹脂基体、ニッケルシームレスベルトなどの基体が使用でき、その厚みはベルト状感光体を張架するロールの径、張力等の設計事項から決められ、おおよそ10〜500μm程度の範囲である。その他の層構成等はドラムの場合と同様である。
【0041】
一方、帯電装置12は、帯電には公知の帯電手段が使用できる。接触方式である場合は、ロール、ブラシ、磁気ブラシ、ブレード等が使用でき、非接触の場合は、コロトロン、スコロトロン等が使用できる。帯電手段としてはこれらに限られるものではない。
【0042】
これらの中でも、帯電補償能力とオゾン発生量とのバランスから、接触型帯電器が好ましく用いられる。接触帯電方式は、感光体表面に接触させた導電性部材に電圧を印加することにより感光体表面を帯電させるものである。導電性部材の形状はブラシ状、ブレード状、ピン電極状、あるいはロール状等何れでもよいが、特にロール状部材が好ましい。通常、ロール状部材は外側から抵抗層とそれらを支持する弾性層と芯材から構成される。さらに必要に応じて、抵抗層の外側に保護層を設けることができる。
【0043】
これらの導電性部材を用いて感光体11を帯電させる方法としては、導電性部材に電圧を印加するが、印加電圧は直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものが好ましい。電圧の範囲としては、直流のみで帯電させる場合は、絶対値で所望の表面電位+500V程度の正又は負が好ましく、その値は、700〜1500Vの範囲である。交流電圧を重畳する場合は、その直流値はおおよそ所望の表面電位±50V程度とし、交流のピーク間電圧(Vpp)が400〜1800V、好ましくは800〜1600V、交流電圧の周波数は50〜20000Hz、好ましくは100〜5000Hzであり、サイン波、方形波、三角波がいずれも使用可能である。帯電電位は、電位の絶対値で150〜700Vの範囲に設定することが好ましい。
【0044】
また、露光装置13としては、例えばレーザスキャニングシステム、LEDイメージバーシステム、アナログ露光手段、さらにはイオン流制御ヘッド等などを用いることができ、矢印のように感光体11表面に露光を行うことが可能である。これ以外にも今後開発される新規な露光手段が本発明の効果を達成する限り使用できる。
【0045】
光源の波長は、感光体11の分光感度領域にあるものが使用される。これまで、半導体レーザの波長として780nmm付近に発振波長を有する近赤外が主流であるが、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400〜450nm近傍に発振波長を有するレーザも利用が可能である。また、カラー画像形成のためにはマルチビーム出力が可能なタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
【0046】
露光装置13による感光体11に対する露光は、反転現像の場合は後述するトナーを現像する位置に、正規現像の場合はトナーを現像する以外に位置に、前記4つの色の画像形成情報の論理和として行なわれる。露光スポット径は、解像度が600〜1200dpiの範囲となるように、40〜80μmの範囲となるようにすることが好ましい。露光量としては、露光後電位が前記帯電電位の5〜30%程度の範囲となるようにすることが好ましいが、画像の階調に応じてトナーの現像量を変化させる場合には、露光位置ごとに現像量に応じて露光量を変化させてもよい。
【0047】
現像装置14は、公知の現像装置が使用できる。現像法としては、キャリアと呼ばれるトナーを担持するための微小粒子とトナーからなる二成分現像法、又はトナーのみからなる一成分現像法、またこれらの現像法においてさらに現像その他の特性改善のために別の構成物質が添加される場合もある全ての現像方法が使用できる。
【0048】
また、現像方法によっては感光体11へ現像剤が接触又は非接触で現像を行なうもの、あるいはそれらの組み合わせのいずれもが使用可能である。さらに、前記一成分現像法と二成分現像法とを組み合わせたハイブリッド現像方法も使用可能である。これ以外にも、今後開発される新規な現像手段が本発明の効果を達成する限り使用できる。
【0049】
なお、前記現像剤に含まれるトナーとしては、例えばY色に発色可能な発色部(Y発色部)、M色に発色可能な発色部(M発色部)及びC色に発色可能な発色部(C発色部)を1つのトナー粒子中に含むものであってもよいし、前記Y発色部、M発色部、C発色部を各々トナーごとに別々に含むものであってもよい。
【0050】
トナー現像量(感光体に付着させるトナー付着量)としては、形成する画像によっても異なるが、べた画像において3.5〜8.0g/mの範囲とすることが好ましく、4.0〜6.0g/mの範囲とすることがより好ましい。
【0051】
また、形成されたトナー像Tにおいて、後述する発色情報付与のための光が、当該照射された部分全体に行き渡らなければならないため、トナー層厚は一定以下に抑えることが好ましい。具体的には、例えばべた画像においてトナー層は3層以下であることが好ましく、2層以下であることがより好ましい。なお、上記トナー層厚は、実際の感光体10表面に形成されたトナー層の厚さを測定し、これをトナーの個数平均粒径で除した値である。
【0052】
<第1転写工程>
第1転写工程では、第1転写装置15により、トナー像Tが、一括して中間転写ベルト20に転写される。
【0053】
ここで、第1転写装置15としては、公知の転写装置が使用できる。例えば、接触方式である場合は、ロール、ブラシ、ブレード等が使用でき、非接触方式の場合は、コロトロン、スコロトロン、ピンコロトロン等が使用できる。また、圧力、若しくは圧力及び熱による転写も可能である。
【0054】
一方、中間転写ベルト20としては、公知の半導電性ベルトが使用できるが、中間転写ベルト20の好適な態様については後述する。
【0055】
転写バイアスは300〜1000V(絶対値)の範囲とすることが好ましく、さらに交流(Vpp:400V〜4kV、400〜3kHz)を重畳してもよい。
【0056】
<クリーニング工程>
クリーニング工程では、クリーニング装置16により、第1転写装置15による転写後に感光体11に残留した残留トナーTAを除去する。このクリーニング装置16は、従来の顔料等の着色剤を用いて実施される電子写真プロセスに利用される公知のものが使用でき、ブレード、ブラシ等が使用可能である。なお、クリーニング装置16を除去したいわゆるクリーナレスプロセスも適用可能である。
【0057】
<その他>
これら工程に加え、従来の顔料等の着色剤を用いて実施される電子写真プロセスに利用される公知の工程が含まれていてもよく、例えば、帯電装置12(例えばACコロナ放電器など)の上流側に除電装置を用いて、次のサイクルの画像形成プロセス前に感光体11の表面電荷を除去して略0電位となるようにしてもよい。
【0058】
<発色情報付与工程>
発色情報付与工程では、中間転写ベルト20(中間転写体)に転写されたトナー像Tに対して、当該中間転写ベルト20(中間転写体)上で発色情報付与装置21により、矢印のような光による発色情報が付与される。ここで、該「光による発色情報の付与」とは、トナー像Tを構成する個々のトナー粒子単位で発色/非発色状態や発色した際の色調を制御するために、トナー像Tの所望の領域に対して選択的に1種類以上の特定波長の光を付与する、あるいは、何らの光を付与しないことを意味する。なお、発色情報付与工程の位置は、後述するように、発色情報付与工程は転写工程後であってもよい。
【0059】
発色情報付与装置21としては、そのとき発色させるトナー粒子が特定色に発色するための波長の光を所定の解像度と強度とで照射することができるものであれば何でもよい。例えば、LEDイメージバー、レーザROS等を使用することが可能である。なお、トナー像Tに照射される光の照射スポット径は、形成される画像の解像度が100〜2400dpiの範囲となるよう、10〜300μmの範囲となるように調整されることが好ましく、20〜200μmの範囲とすることがより好ましい。
【0060】
発色あるいは非発色状態維持のために供される光の波長は、使用されるトナーの材料設計により決まるが、例えば、特定波長の光照射により発色するトナー(光発色型トナー)を用いる場合、イエロー(Y色)に発色させるときは405nmの光(λ光とする)を、マゼンタ(M色)に発色させるときは535nmの光(λ光とする)を、シアン(C色)に発色させるときは657nmの光(λ光とする)を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。
【0061】
また、二次色に発色させる時には、前記光の組み合わせになり、レッド(R色)に発色させる時はλ光及びλ光を、グリーン(G色)に発色させる時はλ光及びλ光を、ブルー(B色)に発色させる時はλ光及びλ光を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。さらに、三次色であるブラック(K色)に発色させるときは上記λ光、λ光及びλ光をその発色させる所望の位置に重ねて照射する。
【0062】
一方、特定波長の光照射により非発色状態を維持するトナー(光非発色型トナー)の場合には、例えば、イエロー(Y色)を発色させないようにするときは405nmの光(λ光)を、マゼンタ(M色)に発色させないようにするときは535nmの光(λ光)を、シアン(C色)に発色させないようにするときは657nmの光(λ光)を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。したがって、Y色に発色させる時はλ光及びλ光を、M色に発色させる時はλ光及びλ光を、C色に発色させる時はλ光及びλ光を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射することとなる。
【0063】
また、二次色に発色させる時には、前記光の組み合わせになり、レッド(R色)に発色させる時はλ光を、グリーン(G色)に発色させる時はλ光を、ブルー(B色)に発色させる時はλ光を、その発色させる所望の位置にそれぞれ照射する。さらに、三次色であるブラック(K色)に発色させるときはその発色させる所望の位置には露光しないようにする。
【0064】
発色情報付与装置21からの光は、必要に応じてパルス巾変調、強度変調、左記2つを組み合わせたものなど、公知の画像変調方法が使用可能である。また、光の露光量は0.05〜0.8mJ/cmの範囲とすることが好ましく、0.1〜0.6mJ/cmの範囲とすることがより好ましい。特にこの露光量に関しては、必要露光量は現像されたトナーの量と相関があり、例えば、トナー現像量(べた)が約5.5g/mに対し0.2〜0.4mJ/mの範囲の露光を行うことが好ましい。
【0065】
なお、この時の露光光がレーザ光である場合、レーザビームの感光体入射に関しては、レーザにおけるモニター(Photo Detector)への戻り光防止のために、通常数度(4度〜13度)傾ける必要があるが、本発明における発色情報付与露光の際は、戻り光がトナーにより吸収されるので、戻り光が極端に少なくなり、0度を含む任意の角度に入射させることができる。
【0066】
また、上記に関連して、発色情報付与装置21は前記潜像形成のための露光装置13と同一の筐体に配置してもよい。これにより、光学系を含む露光手段を部分的に共通化、簡略化することができ、装置全体のさらなる小型化を可能とすることができる。
【0067】
以下に、上記発色情報付与のための露光がどのようなタイミングで、どのような位置制御により行われるかを簡単に説明する。
図2は、印字制御部の具体的な回路ブロック図を示す。同図において、プリンタコントローラ36は、論理和回路40、発振回路42、マゼンタ発色制御回路44M、シアン発色制御回路44C、イエロー発色制御回路44Y、ブラック発色制御回路44Kで構成されている。一方、露光部38は、光書込ヘッド32及び発色情報付与露光ヘッド34で構成されている。
【0068】
図示しないインターフェース(I/F)によって、入力されたRGB信号がCMYK値に変換された画像データは、更にインターフェース(I/F)からマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の画素データとして論理和回路40に出力される。ここで、論理和回路40はCMYKの論理和を計算し、光書込ヘッド32に出力する。
【0069】
すなわち、CMYKの全ての画素データを含む論理和のデータを光書込ヘッド32に出力し、前記のように感光体11に光書込みを行う。したがって、感光体11の周面にはCMYKの全ての画素データを含む論理和データに基づく静電潜像が形成される。
【0070】
また、CMYKの画素データは対応するマゼンタ発色制御回路44M〜ブラック発色制御回路44Kにも供給され、発振回路42から出力される発振信号fm、fc、fy、fkに同期して発色情報付与露光ヘッド34に出力される。すなわち、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のそれぞれに対応する発色データが発色情報付与露光ヘッド34に供給され、感光体11上に現像されたトナー像Tに対応して発色又は非発色状態を維持するための特定波長の光が照射される。したがって、照射される光を受けたトナー内で、後述する光硬化反応等が起こり、発色情報が付与される。
【0071】
例えば、マゼンタ発色制御回路44Mから出力された発色信号fmはトナー内の発色部に前記λ光を照射し、該トナーをマゼンタ(M)色の発色が可能な状態とする。また、シアン発色制御回路44Cから出力された発色信号fcはトナー内の発色部に前記λ光を照射し、該トナーをシアン(C)色の発色が可能な状態とする。さらに、イエロー(Y)及びブラック(K)についても同様であり、イエロー発色制御回路44Y、ブラック発色制御回路44Kから出力される発色信号fy、fkは、トナー内の発色部に前記λ光又はλ光、λ光及びλ光を照射し、イエロー(Y)又はブラック(K)の発色が可能な状態とする。
【0072】
なお、発色情報付与工程(手段)について、フルカラー画像形成を行う場合の機構について説明したが、発色情報付与工程は、イエロー、マゼンタ及びシアンのうちのいずれかを発色させるモノカラー画像形成のための発色情報付与工程であってもよい。この場合は、発色情報付与露光ヘッド34からは、前記イエロー、マゼンタ及びシアンのうちの所望の発色に対応する特定波長の光のみを照射する。その他の好ましい条件等については、フルカラー画像形成時における条件等と同様である。
【0073】
但し、この段階ではトナーによるトナー像Tは未発色の本来の色調のままであり、トナー像Tは、例えば色素増感されていればその色素の色調を帯びているに過ぎない。
【0074】
また、光非発色型トナーを使用した場合は、白黒画像のみを形成する時には発色情報付与手段は必要としないので、最初は白黒画像のみを形成する記録装置とし、カラーに対する需要が高まってきたならば、後から発色情報付与手段を追加し、カラー画像形成記録装置に拡張することも可能である。
【0075】
<第2転写工程>
第2転写工程では、第2転写装置22により、中間転写ベルト20へ転写された各トナー像を記録媒体S表面に転写する。
【0076】
ここで、第2転写装置22としては、公知の転写装置が使用でき、その詳細は第1転写装置15と同様である。
【0077】
<定着工程及び発色工程>
定着工程及び発色工程では、発色(あるいは非発色状態維持)可能な状態におかれたトナー像Tが、記録媒体Sが定着装置23によって加熱されることで定着されると共に、トナーの発色がなされる。定着装置23としては公知の定着手段が使用できる。例えば、加熱部材及び加圧部材としてロール、ベルトのそれぞれが選択可能であり、熱源としては、ハロゲンランプ、IH等が使用可能である。その配置も、種々の紙パス、例えばストレートパス、リアCパス、フロントCパス、Sパス、サイドCパス等に対応可能である。
【0078】
上記実施形態では、定着装置23が発色工程と定着工程とを兼ねているが、発色工程は定着工程と別に設けられていてもよい。発色工程を実施するための発色装置を配置する位置は特に制限されないが、例えば、図3に示すように、発色装置27及び光照射装置24を定着装置23の上流側に設けることもできる。このようにすることにより、発色のための加熱温度と、記録媒体Sへのトナー定着のための加熱温度とが別途制御可能となるため、発色材料、トナーバインダー材料等の設計度の自由度を向上させることができる。
【0079】
この場合、発色の方法についてはトナー粒子の発色メカニズムに応じて様々の方法が考えられため、発色装置27(発色手段)としては、例えばさらに異なる波長の光を用いてトナー中に発色関与物質を硬化させ、あるいは光分解させるなどの方法で発色をさせ、又は制限する方法では特定光の発光装置、加圧してカプセル化した発色粒子を破壊するなどの方法で発色をさせ、又は制限する方法では加圧装置、などを用いることができる。
【0080】
しかしながら、発色をさせるこうした化学的な反応は、一般的に泳動、拡散による反応速度が遅いため、上記いずれの方法をとるにしても充分な拡散エネルギーを与える必要があり、そういった点で加熱して反応を促す方法が最も優れているといえる。このため、前記発色工程と定着工程とを兼ねる定着装置23を用いることが省スペース化も含め好ましい。
【0081】
<光照射工程>
光照射工程では、光照射装置24により。定着、発色工程を経て得られた画像に光を照射する。これによりトナーの発色不可能な状態に制御された発色部中に残存する反応性物質を分解又は失活させることができるため、画像形成後のカラーバランスの変動をより確実に抑制したり、バックグランド色の除去・漂白を行ったりすることができる。
【0082】
なお、上記実施形態においては、上記光照射工程は定着工程の後に設けられているが、加熱溶融しない定着方法、例えば圧力を用いて定着させる圧力定着などの場合は、光照射工程後、定着工程を行うこともできる。
【0083】
ここで、光照射装置24としては、トナーの発色をこれ以上進めないようにすることができれば特に制限されず、公知のランプ、例えば、蛍光灯、LED、EL等が使用できる。また、その波長は前記トナーを発色させるための光に三波長を含み、照度は2000〜200000luxの範囲程度とすることが好ましく、露光時間は0.5〜60secの範囲とすることが好ましい。
【0084】
このようにして、トナーを用いたカラー画像を得ることができる。
【0085】
以上説明した本実施形態に係る画像形成装置では、中間転写ベルト20にトナー像Tを転写した後、当該中間転写ベルト20上に転写されたトナー像Tに対し、発色情報を付与する。このため、発色情報付与のための露光による感光体11劣化を防止することができる。これに加え、中間転写ベルト20上にトナー像Tが保持されつつ、発色情報付与のための露光が行われるので、精度良く当該発色情報が付与される。このため、画質欠陥のない画像を、長期間に渡り安定して得ることができる。
【0086】
なお、本実施形態に係る画像形成装置では、中間転写体として中間転写ベルト20を適用した形態を説明したが、これに限られず、図4に示すように、中間転写体として中間転写ドラム20Aを適用した形態でもよい。
【0087】
また、本実施形態に係る画像形成装置では、上記画像形成プロセスとしていわゆる電子写真プロセスを適用した形態を説明するが、例えば、前記像担持体は、誘電体であり、前記トナー像形成手段は、前記誘電体表面を帯電する帯電手段と、前記誘電体表面に対し、当該誘電体の帯電電荷とは逆極性のイオンを付与して潜像を形成するイオン書き込み手段と、トナーを含む現像剤により該静電潜像をトナー像とする現像手段とを含む、像担持体としての誘電体上にイオン書き込みを行い電気的潜像を形成して、トナー像を形成する画像プロセス(イオノグラフィ)を適用してもよい。
【0088】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【0089】
第2実施形態に係る画像形成装置は、図5に示すように、記録媒体Sを転写流域へ搬送する転写搬送ベルト28(用紙搬送ベルト)を配設し、感光体11に形成したトナー像Tを直接記録媒体Sへ転写し、転写搬送ベルト上で記録媒体Sに転写したトナー像Tに対し発色情報付与装置21により発色情報を付与する形態である。これ以外は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0090】
ここで、転写搬送ベルト28としては、公知の半導電性ベルトが使用できるが、転写搬送ベルト28の好適な態様については後述する。
【0091】
本実施形態に係る画像形成装置では、転写搬送ベルト28により転写領域に搬送した記録媒体Sにトナー像Tを転写した後、当該転写搬送ベルト28上で記録媒体Sに転写されたトナー像Tに対し、発色情報を付与する。このため、発色情報付与のための露光による感光体11劣化を防止することができる。これに加え、転写搬送ベルト28上に記録媒体Sが保持されつつ、当該記録媒体Sに転写されたトナー像Tに対して発色情報付与のための露光が行われるので、精度良く当該発色情報が付与される。このため、画質欠陥のない画像を、長期間に渡り安定して得ることができる。
【0092】
以下、上記実施形態に係る画像形成装置に適用する、好適な中間転写ベルト及び転写搬送ベルト(以下、両者を「半導電性ベルト」と称する。)
【0093】
半導電性ベルトは、例えば、無端状の基材単独、又は基材と基材上に形成される表面層とを有して構成することができる。
【0094】
基材を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらの中でも、強度と屈曲疲労性の両面に優れている点で、ポリイミド樹脂が好適に用いられる。
【0095】
また、基材には、上記樹脂材料と弾性材料とをブレンドして用いることができる。前記弾性材料としては、例えば、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0096】
基材は、そのヤング率が例えば2000MPa以上、好ましくは3000MPa以上、より好ましくは4000MPa以上であれば、ベルト基材としての機械特性を満足させることができ、中間転写体としてのベルト部材或いは転写搬送ベルトの歪みが防止され、中間転写体或いは転写搬送ベルト上での発色情報付与がより精度良く行われる。
【0097】
ここで、半導電性ベルトのヤング率とベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの変位量との関係は、下記式で表すことができる。
式:△l=P・l・α/(t・w・E)
式中、
・△l:ベルトの変位量(μm)
・P:負荷 (N)
・l:2本のテンションロール間のベルトの長さ(mm)
・α:係数
・t:ベルト厚み(mm)
・w:ベルト幅(mm)
・E:ベルト材料(基材)のヤング率(N/mm2)を表す。
【0098】
ベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの伸び・縮み(変位量)は、ベルト材料のヤング率と厚みに逆比例する。高ヤング率のベルト材料を用いると、ベルト駆動時の外乱(負荷変動)によるベルトの変位量が少なくなり、駆動時の応力に対するベルト変形が小さくなり、良好な画質を安定して得ることができる。但し、ベルトの厚みは、厚くなると、駆動系ロールなどのベルト屈曲部でのベルトの外側表面の変形量が大きくなり、良好な画質を得られ難い、また、ベルトの外側と内側との変形量が大きくなり、局部的な繰り返し応力のためにベルトが破断するなどの問題が生じる場合がある。
【0099】
なお、ヤング率は、 JISK6251に準じて、半導電性ベルトをJIS3号形状に打ち抜き、引張試験に供した。得られた応力・歪曲線の初期ひずみ領域の曲線に接線を引き、その傾きにより求めることができる。
【0100】
一方、表面層を構成する樹脂材料としては、例えば、フッ素樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル等を挙げられる。
【0101】
基材及び表面層には、半導電性とするための抵抗調整に、導電剤を配合することができる。導電剤としては、電子伝導性を付与する導電剤やイオン伝導性を付与する導電剤が挙げられる。導電剤は、1種類又は2種類以上を組み合わせて添加することが好適である。
【0102】
電子伝導性系導電剤として、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金などの金属又は合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリム、酸化錫−酸化インジウム又は酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物などを挙げることができる。
【0103】
イオン伝導性導電剤としては、スルホン酸塩やアンモニア塩など、また、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などの各種の界面活性剤がある。さらには、導電性ポリマーをブレンドする方法があり、該導電性ポリマーとしては、例えば、カルボキシル基に4級アンモニム塩基を結合する(メタ)アクリレートとの各種(例えばスチレン)共重合体、4級アンモニウム塩基と結合するマレイミドとメタアクリレートとの共重合体等の4級アンモニウム塩基を結合するポリマー、ポリスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸のアルカリ金属塩を結合するポリマー、分子鎖中に少なくともアルキルオキシドの親水性ユニットを結合するポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール系ポリアミド共重合体、ポリエチレンオキド−エピクロルヒドリン共重合体ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルを主セグメントとするブロック型のポリマー、さらには、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレンなどを挙げることができ、これらの導電性ポリマーを脱ドープ状態、又はドープ状態で用いることができる。
【0104】
導電剤としては、樹脂組成物中への分散性がよいと、半導電性ベルトの抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、更に転写電圧による電界集中が起こりにくくなることにより電気抵抗の経時での安定性が向上することから、pH5以下の酸性カーボンブラックを用いることが好ましい。
【0105】
pH5以下の酸性カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、粒子表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与することで製造することができる。この酸化処理は、高温雰囲気下で、空気と接触され、反応させる空気酸化法、常温下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、及び高温下での空気酸化後、低い温度下でオゾン酸化する方法などにより行うことができる。具体的には、pH5以下の酸性カーボンブラックは、コンタクト法により製造することができる。このコンタクト法としては、チャネル法、ガスブラック法等が挙げられる。また、酸性カーボンブラックは、ガス又はオイルを原料とするファーネスブラック法により製造することもできる。更に必要に応じて、これらの処理を施した後、硝酸などで液相酸化処理を行ってもよい。
【0106】
なお、酸性カーボンブラックは、コンタクト法で製造することができるが、密閉式のファーネス法によって製造するのが通常である。ファーネス法では通常高pH・低揮発分のカーボンブラックしか製造されないが、これに上述の液相酸処理を施してpHを調整することができる。このため本発明においてはファーネス法製造により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHが5以下となるように調節されたカーボンブラックも、pH5以下の酸性カーボンブラックに含まれるとみなす。
【0107】
酸性カーボンブラックのpH値は、pH5.0以下であることが好ましく、pH4.5以下であることがより好ましく、pH4.0以下であることが更に好ましい。pH5.0以下の酸化処理カーボンは、外にカルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基などの酸素含有官能基が、あるので、樹脂中への分散性がよいので、良好な分散安定性が得られ、半導電性ベルトの抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中が起こりにくくなる
【0108】
酸性カーボンブラックのpHは、水性懸濁液を調整し、ガラス電極で測定することで求められる。また、前記カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、調整することができる。
【0109】
酸性カーボンブラックは、その揮発成分の含有量が1〜25質量%であることが好ましく、3〜20%であることがより好ましく、3.5〜15質量%含まれていることが更に好ましい。前記揮発成分の含有量が1質量%未満である場合には、外に付着する酸素含有官能基の効果がなくなり、結着樹脂への分散性が低下する場合がある。一方、前記揮発成分の含有量が25%より高い場合には、樹脂組成物に分散させる際に分解してしまう場合や、表面の酸素含有官能基に吸着された水などが多くなるなどによって、表面層あるいは基材の外観が悪くなる場合がある。
【0110】
これに対し、揮発成分の含有量を1〜25質量%とすることで、前記樹脂組成物中への分散をより良好とすることができる。尚、前記揮発成分の含有は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱したときに、出てくる有機揮発成分(カルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基等)の割合により求めることができる。
【0111】
ここで、導電剤としてのカーボンブラックは2種類以上含有していてもよい。そのとき、これらのカーボンブラックは実質的に互いに導電性の異なるものであると好ましく、例えば、酸化処理の度合い、DBP吸油量、窒素吸着を利用したBET法による比表面積等の物性が異なるものを用いる。このように導電性の異なる2種類以上のカーボンブラックを添加する場合、例えば高い導電性を発現するカーボンブラックを優先的に添加した後、導電率の低いカーボンブラックを添加して表面抵抗率を調整すること等が可能である。このように2種類以上のカーボンブラックを含有させる場合も、少なくとも、そのうちの1種類にpH5.0以下の酸化処理カーボンブラックを使うことによって、両方のカーボンブラックの混合や分散を高めることができる。
【0112】
酸性カーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「プリンテックス150T」(pH4.5、揮発分10.0質量%)、同「スペシャルブラック350」(pH3.5、揮発分2.2質量%)、同「スペシャルブラック100」(pH3.3、揮発分2.2質量%)、同「スペシャルブラック250」(pH3.1、揮発分2.0質量%)、同「スペシャルブラック5」(pH3.0、揮発分15.0質量%)、同「スペシャルブラック4」(pH3.0、揮発分14.0質量%)、同「スペシャルブラック4A」(pH3.0、揮発分14.0質量%)、同「スペシャルブラック550」(pH2.8、揮発分2.5質量%)、同「スペシャルブラック6」(pH2.5、揮発分18.0質量%)、同「カラーブラックFW200」(pH2.5、揮発分20.0質量%)、同「カラーブラックFW2」(pH2.5、揮発分16.5質量%)、同「カラーブラックFW2V」(pH2.5、揮発分16.5質量%)、キャボット社製「MONARCH1000」(pH2.5、揮発分9.5質量%)、キャボット社製「MONARCH1300」(pH2.5、揮発分9.5質量%)、キャボット社製「MONARCH1400」(pH2.5、揮発分9.0質量%)、同「MOGUL−L」(pH2.5、揮発分5.0質量%)、同「REGAL400R」(pH4.0、揮発分3.5質量%)等が挙げられる。
【0113】
酸性カーボンブラックは、一般的なカーボンブラックに比べ、前述したように表面に存在する酸素含有官能基の効果により、樹脂組成物中への分散性がよいため、導電性微粉末としての添加量を高くすることが好ましい。これにより、半導電性ベルト中のカーボンブラックの量が多くなるため、前記電気抵抗値の面内バラツキを押えることができる等の酸化処理カーボンブラックを用いることの効果を最大限発揮することができる。
【0114】
例えば、基材中の酸性カーボンブラックの含有量が10〜30質量%であると、半導電性ベルトの表面抵抗率の面内バラツキを抑制するなど、酸性カーボンブラックの効果が発揮でき好ましい。基材中の酸性カーボンブラックが10質量%未満であると電気抵抗の均一性が低下し、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性が大きくなる場合がある。一方、基材中の酸性カーボンブラックの含有量が30質量%を超えると所望の抵抗値が得られ難くなる場合がある。さらに、酸性カーボンブラックを18〜30質量%含有させることがより好ましい、酸性カーボンブラックを18〜30質量%含有させることにより、その効果を最大限発揮させることができ、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性を顕著に向上させることができる。
【0115】
半導電性ベルトは、その表面上にトナー像或いはトナーが転写された記録媒体を担持した状態で、発色情報を付与されるが、多層に転写されたトナー像の下層部に対しては、発色情報付与のための光が届きにくく、十分な発色が得られず、その結果、発色後の画像における色が所望のものとは異なってしまう場合がある。
【0116】
そこで、半導電性ベルトの外周面を、発色情報付与装置21の光源から出射された光を再びトナー像に向けて反射するように構成することが好ましい。具体的には、半導電性ベルトの外周面の反射率を75〜99%とすることが好ましく、より好ましくは80〜99%、さらに好ましくは85〜99%である。
【0117】
上記反射率を有する半導電性ベルトを適用することで、図6に示すように、半導電性ベルト30上に担持されたトナー像Tを、発色情報付与のための露光光30−1により露光し、第1トナー像Tを介して半導電性ベルト30に達した露光光30−1を反射させて再びトナー像Tを露光することができるので、十分な発色情報付与のための露光がトナー像Tに対して行われ、エネルギー効率を向上させることができるとともに、トナーの十分な発色が得られ、画像における色味を所望のものとすることができる。無論、半導電性ベルト30上にトナー像Tが転写された記録媒体を担持した場合も、記録媒体が露光光或いは反射光を透過することで、同様に実現することができる。
【0118】
ここで、反射率は、酸化マグネシウム標準白板(白色)の光の反射量を100として、黒色をの光の反射量を0として、光の反射量の割合を示す。そして、ウシオ電機(株)製「分光放射照度計URE−30」を用い、各波長(405nm、535nm、657nm)を光入射角30度で照射して、反射した反射光量を測定し、入射光量に対する反射量の割合を求め、その平均値から反射率を算出する。
【0119】
また、上記範囲の反射率を半導電性ベルトを得るためには、基材単独で構成した場合、基材自身に、また、基材と表面層とを有して構成する場合、表面層に、白色導電剤を配合することが好適である。
【0120】
白色顔料は、例えば、アルミをドープした酸化亜鉛(例えば、体積平均粒径4〜7μm:ハクスイテック(株)製 23−K、体積平均粒径2〜5μm:ハクスイテック(株)製Pazet CK、体積平均粒径10〜20μm:ハクスイテック(株)製 Pazet AK、体積平均径10〜20μm:ハクスイテック(株)製 Pazet AB)、
ガリウムをドープした酸化亜鉛(例えば、体積平均粒径2〜6μm:ハクスイテック(株)製 Pazet GK)
酸化亜鉛の単結晶(松下電器産業(株)製 パナテトラ(商品名)[形状:テトラポット形状,繊維長:2〜50μm,繊維径:0.2〜3μm]
などが挙げられる。
【0121】
次に、半導電性ベルトの他の好適な特性について説明する。
【0122】
半導電性ベルトを中間転写ベルト(中間転写体)として用いた場合、半導電性ベルトの表面抵抗率は1×1010〜1×1014Ω/□の範囲であることが好ましく、1×1011〜1×1013Ω/□の範囲であることがより好ましい。この表面抵抗率が1×1014Ω/□より高い場合には、一次転写の感光体(潜像担持体)と中間転写体とが剥離するポストニップ部で剥離放電が発生し易くなり、放電が発性した部分は、白抜けする画質欠陥が発生することがある。一方、該表面抵抗率が1×1010Ω/□未満の場合には、プレニップ部での電界強度が強くなり、プレニップ部でのギャップ放電が発生し易くなるために画質の粒状性が悪化することがある。従って、前記表面抵抗率を、上記範囲とすることで、表面抵抗率が高い場合に発生する放電による白抜け、表面抵抗率が低い場合に発生する画質の悪化を防止することができる。
【0123】
表面抵抗率は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「HRプローブ」)を用い、JIS K6991に従って測定することができる。前記表面抵抗率の測定方法を図7を用いて説明する。図7は、円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。図7に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間に中間転写体Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、中間転写体Tの転写面の表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。なお、表面抵抗率は、電圧100(V)を印可し、10秒後の電流値より求める。ここで、下記式(5)中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
・式:ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
【0124】
(体積抵抗率)
本発明の半導電性ベルトを中間転写体(中間転写体)として用いた場合、半導電性ベルトの体積抵抗率は1×10〜1×1013Ωcmの範囲であることが好ましく、1×10〜1×1012Ωcmの範囲であることがより好ましい。この体積抵抗率が1×10Ωcm未満である場合には、潜潜像担持体から中間転写体に転写された未定着トナー画像の電荷を保持する静電的な力が働きにくくなるため、トナー同士の静電的反発力や画像エッジ付近のフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが飛散してしまい(ブラー)、ノイズの大きい画像が形成されることがある。一方、前記体積抵抗率が1×1013Ωcmより高い場合には、電荷の保持力が大きいために、1次転写での転写電界で中間転写体表面が帯電するために除電機構が必要となることがある。従って、前記体積抵抗率を、上記範囲とすることで、トナーが飛散したり、除電機構を必要とする問題を解消することができる。
【0125】
体積抵抗率は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K6991に従って測定することができる。前記体積抵抗率の測定方法を図8を用いて説明する。図8は、円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。図8に示す円形電極は、第一電圧印加電極A’と第二電圧印加電極B’とを備える。第一電圧印加電極A’は、円柱状電極部C’と、該円柱状電極部C’の外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部C’を一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部D’とを備える。第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’及びリング状電極部D’と第二電圧印加電極B’との間に中間転写体Tを挟持し、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’と第二電圧印加電極B’との間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、中間転写体Tの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。なお、体積抵抗率は、電圧100(V)を印可し、30秒後の電流値より求める。ここで、下記式中、tは中間転写体Tの厚さを示す。
・式:ρv=19.6×(V/I)×t
【0126】
また、半導電性ベルトを転写搬送ベルトとして用いる場合には、体積抵抗率は1×106〜1×1012Ωcmの範囲であることが好ましい。体積抵抗率が1×10Ωcm未満の場合には、画像の周囲にトナーが飛散してしまうことがあり、体積抵抗率が1×1012Ωcmを超える場合には、転写のために必要な電界が大きくなり、ベルトに電圧を印加する電源の負担が大きくなることがある。
【0127】
半導電性ベルトは、その熱膨張係数が0〜150PPM/℃であることが好ましく、より好ましくは、0〜100PPM/℃であり、さらに好ましくは0〜50PPM/℃である。この熱膨張係数が上記範囲より高い場合には、画像形成装置の使用温度範囲において、ベルトの長さが変化する量が多くなるので、色ずれの発生が起きる場合がある。
【0128】
ここで、熱膨張係数は、島津製作所(株)製熱分析装置TMA−50を用い、試料長さ10mmを基準長さとして、10℃/minで昇温しながら、基準長の変化量より求める。
【0129】
半導電性ベルトは、その外周面の十点平均表面粗さRzが、1.5〜9.0μmであることが好ましく、3〜8μmであることがより好ましく、4〜7μmであることが特に好ましい。
【0130】
この十点平均表面粗さRzが、1.5μm未満であると、接触部材と密着する懸念があり、十点平均表面粗さRzが、9.0μmよりも大きい場合には、凹凸部分にトナー及び紙粉等が溜まり易くなり、また、凹凸によって微小な放電ムラが生じたりすることにより、時間の経過と共に、均一な転写性や、画像品質が低下する場合がある。なお、当該十点平均表面粗さRzとは、JIS B0601(1994)に規定された表面粗さのことである。
【0131】
ここで、十点平均表面粗さRzは、23℃・55RH%の環境下において、接触式表面粗さ測定装置(サーフコム570A、東京精密社製)を用いた。半導電性ベルト表面の測定に際しては、測定距離を2.5mmとし、接触針としてはその先端がダイヤモンド(5μmR、90°円錐)のものを用い、場所を変えて3回繰り返し測定した際の平均値を半導電性ベルトの十点平均表面粗さRzとして求めた。

【0132】
なお、中間転写体としては、中間転写ドラムを適用することができるが、前記基材としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、銅等で形成された円筒状基材を用いることが好ましい。この円筒状基材上に、必要に応じて弾性層(上記基材で用いる樹脂材料や弾性材料で構成)を被覆し、該弾性層上に表面層を形成して構成することができる。
【0133】
中間転写ドラムも、上記半導電性ベルトと同様の特性を有することが好適であり、具体的には例えば、上記反射率を有し、少なくとも表面層となる層に白色顔料を配合することが好適である。
【0134】
以下、上記実施形態に係る画像形成装置で使用するトナーについて説明する。
【0135】
トナーは、前述のように、光による発色情報の付与により、発色又は非発色の状態を維持することができるように制御されるトナーであり、「光による発色情報の付与」「発色又は非発色の状態を維持する」についても前記の通りである。
【0136】
上記のような機能を有するトナーとしては、種々のタイプがあるが、例えば前記特許文献2に開示されているトナーは、外部刺激を受けて物質透過性が変化するカプセル壁を有する複数のマイクロカプセルをトナー樹脂中に分散混合して成る粒子であり、この粒子中に互いに混合されて発色反応を起こす2種類の反応性物質のうちの一方(各色染料前駆体)が、マイクロカプセル内に、他方(顕色剤)がマイクロカプセル外のトナー樹脂中に含まれるものである。
【0137】
このトナーでは、カプセル壁として特定波長の光を照射した際に物質透過性が増大する光異性化物質を用い、このシス−トランス遷移を利用して光の照射や超音波を印加した際に、カプセル内外に存在する2種類の反応性物質が反応して発色する。
したがって、このようなトナーでは前記マイクロカプセルをトナー中に多く存在させることができず、またこれらが偏在してしまうこともあるため、マイクロカプセルが十分に受光できない場合がある。
【0138】
このため、本実施形態では、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれかを含む光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化又は未硬化の状態を維持して、前記発色のための反応が制御されるトナー(以下、「Fトナー」という場合がある)を用いることが好ましい。
【0139】
次に、上記Fトナーの発色メカニズムと簡単な構成について、以下に説明する。
【0140】
前記Fトナーは、後述するように、バインダー樹脂中に発色部と呼ばれる光による発色情報が付与された際に、特定のひとつの色に発色可能な(又は非発色状態を維持することが可能な)連続した領域を1つ以上有する。
図9は、トナーの発色機構を説明するための模式図であり、(A)は1つの発色部の断面図であり、(B)はさらにその発色部を拡大したものである。
【0141】
図9(A)に示すように、発色部60中には、各色の発色剤を含有する発色性マイクロカプセル50とそれを取り巻く組成物58とから構成され、図9(B)に示すように、組成物58は、マイクロカプセル50に含有される発色剤(第1成分)52と近接又は接触することで発色させる重合性官能基を有した顕色剤モノマー(第2成分)54と光重合開始剤56とを含んでいる。
【0142】
トナー粒子を構成する発色部60において、発色性マイクロカプセル50に封入する発色剤52としては、発色色相の鮮やかさに優れたトリアリール系ロイコ化合物などが好適である。このロイコ化合物(電子供与性)を発色させる顕色剤モノマー54としては電子受容性化合物が好ましい。特にフェノール系化合物が一般的であり、感熱、感圧紙などに利用されている顕色剤から適宜選択できる。このような電子供与性の発色剤52と電子受容性の顕色剤モノマー54とが酸塩基反応することで発色剤が発色することになる。
【0143】
光重合開始剤56としては、可視光により感光し顕色剤モノマー54を重合させるためのトリガーとなる重合性ラジカルを発生する分光増感色素が用いられる。例えば、R色、G色、B色の如き三原色露光に対して、顕色剤モノマー54が十分な重合反応を進行させることができるように光重合開始剤56の反応促進剤が用いられる。例えば、露光光を吸収する分光増感色素(カチオン)とホウ素化合物(アニオン)からなるイオンコンプレックスを用いることにより、露光により分光増感色素が光励起されホウ素化合物に電子移動することで重合性ラジカルが生成し重合を開始する。
これらの材料を組み合わせることにより、感光性の発色部60として、0.1〜0.2mJ/cm程度の発色記録感度を得ることができる。
【0144】
上記構成の発色部60に対する発色情報のための光照射の有無により、発色部60によっては重合された顕色剤化合物と重合されなかった顕色剤モノマー54とを有するものが存在することになる。その後の加熱などの発色装置によって、重合されなかった顕色剤モノマー54を有する発色部60では、この顕色剤モノマー54が熱などによって泳動し、発色性マイクロカプセル50の隔壁の空孔を泳動通過して発色性マイクロカプセル中に拡散する。マイクロカプセル50中に拡散された顕色剤モノマー54と発色剤52とは、前述のように発色剤52が塩基性であり、顕色剤モノマー54が酸性であることにより発色剤52を酸塩基反応によって発色させることになる。
【0145】
一方、重合反応を生じた顕色剤化合物は、この後の加熱などによる発色工程では重合による嵩高さによりマイクロカプセル50の隔壁の空孔を拡散通過できず、発色性マイクロカプセル中の発色剤52と反応ができないため発色することができない。したがって、発色性マイクロカプセル50は無色のままで残ることとなる。すなわち、特定波長光を照射された発色部60は発色されに存在することになる。
【0146】
発色後、適当な段階で再度全面を白色光源で露光することにより、残留している重合未了の顕色剤モノマー54を全て重合させて安定した画像定着がなされるとともに、残留分光増感色素を分解することで地色の消色が行われる。なお、可視光域に対応する光重合開始剤56の分光増感色素はその色調が最後まで地色として残留してしまうが、この分光増感色素の消色には色/ホウ素化合物の光消色現象を利用することができる。すなわち、光励起された分光増感色素からホウ素化合物に電子移動することで重合性ラジカルが生成するが、このラジカルはモノマーの重合を引き起こす一方で、励起された色素ラジカルと反応して色素の色分解を起し、結果的に色素を消色させることができる。
【0147】
前記Fトナーでは、このような異なる発色を行なう発色部60(例えば、Y色、M色、C色に発色する)を、それぞれの顕色剤モノマー54が目的とする発色剤52以外の発色剤と干渉し合わない状態(互いに隔離された状態)にして一つのマイクロカプセルとして構成し用いることができる。そしてこのFトナーでは、電子供与性発色剤を含むマイクロカプセル以外の空間を電子受容性顕色剤及び光硬化性組成物が埋め、かつこれにより構成される発色部が受光するため、一粒のトナー粒子における受光効率のよさは、前記特許文献2に開示されたトナーに比べ圧倒的に高い。したがって、他のトナーと比較して、背面露光の効果を十分に活用できるものである。
【0148】
さらに、前記のように発色情報付与メカニズムが可逆反応ではないことより、加熱による発色までに時間的制約がないというメリットを有する結果、低速域までのプリントも可能、すなわち、広いスピードレンジに対応可能となり、加えて、加熱による発色が行なわれる定着器等の配置場所についても自由度が高いというメリットも有している。
【0149】
Fトナーの構成について、さらに詳述する。
Fトナーは、発色可能な物質(発色性物質)として、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分と第2成分とを含む。このように、2種類の反応性成分の反応を利用して発色させることにより、発色の制御が容易になる。なお、前記第1成分、第2成分は、発色する前の状態において予め着色していてもよいが、実質的に無色の物質であることが特に好ましい。
【0150】
前記発色制御を容易とするために、発色性物質として互いに反応した際に発色する2種類の反応性成分を用いるが、これらの反応性成分が、光による発色情報が付与されない状態でも物質拡散が容易な同一のマトリックス内に存在すると、トナーの保管時や製造時において、自発的な発色が進行してしまう場合がある。
このため、前記反応性成分は、その種類毎に、発色情報が付与されない限り互いの領域への物質拡散が困難な異なるマトリックス内に含まれていること(互いに隔離されていること)が必要である。
【0151】
このように光による発色情報が付与されない状態での物質拡散を阻害して、トナーの保管時や製造時における自発的な発色を防止するためには、2種類の反応性成分の第1成分が第1のマトリックスに含まれ、第2成分が第1のマトリックス外(第2のマトリックス)に含まれ、第1のマトリックスと第2のマトリックスとの間には、両マトリックス間の物質の拡散が阻害されると共に、熱等の外部刺激が付与された際には、刺激の種類、強度や、組み合わせに応じて両マトリックス間の物質の拡散を可能とするような機能を持つ隔壁が設けられることが好ましい。
【0152】
なお、このような隔壁を利用して2種類の反応性成分をトナー中に配置するには、マイクロカプセルを利用することが好適である。
この場合、Fトナーには、2種類の反応性成分のうち、例えば第1成分がマイクロカプセル内に含まれ、第2成分がマイクロカプセル外に含まれることが好ましい。この場合、マイクロカプセル内部が前記第1のマトリックス、マイクロカプセル外が前記第2のマトリックスに相当する。
【0153】
このマイクロカプセルは、芯部と、該芯部を被覆する外殻とを有するものであり、熱等の外部刺激が付与されない限りマイクロカプセル内外の物質の拡散を阻害すると共に、外部刺激が付与された際には、刺激の種類、強度や、組み合わせに応じてマイクロカプセル内外の物質の拡散を可能とする機能を有するものであれば特に限定されない。なお芯部には、前記反応性成分の一方が少なくとも含まれる。
【0154】
また、マイクロカプセルは、光の照射や圧力などの刺激の付与によってマイクロカプセル内外の物質拡散を可能とするものでもよいが、加熱処理によりマイクロカプセル内外の物質拡散を可能とする(外殻の物質透過性が増大する)熱応答性マイクロカプセルであることが特に好ましい。
【0155】
なお、刺激が付与された際のマイクロカプセル内外の物質拡散は、画像形成時の発色濃度の低下を抑制したり、高温環境下に放置された画像のカラーバランスの変化を抑制する観点からは、不可逆的なものであることが好ましい。それゆえ、マイクロカプセルを構成する外殻は、加熱処理や光照射等の刺激の付与による軟化、分解、溶解(周囲の部材への相溶)、変形等により、物質透過性が不可逆的に増大する機能を有することが好ましい。
【0156】
次に、前記Fトナーがマイクロカプセルを含む場合の好ましい構成について説明する。
このようなトナーとしては、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、マイクロカプセルと、第2成分を分散させた光硬化性組成物とを含むものであることが好ましく、このようなトナーとしては、以下の3つの態様が挙げられる。
【0157】
すなわち、前記Fトナーは、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、光硬化性組成物と、この光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含み、第1成分がマイクロカプセルに含まれ、第2成分が光硬化性組成物中に含まれる態様(第1の態様)、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、光硬化性組成物を含むマイクロカプセルとを含み、第1成分がマイクロカプセル外に含まれ、第2成分が光硬化性組成物内に含まれる態様(第2の態様)、あるいは、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、第1成分を含む一のマイクロカプセルと、第2成分を分散させた光硬化性組成物を含む他のマイクロカプセルとを含む態様(第3の態様)のいずれかであることが好ましい。
【0158】
これら3つの態様の中では、特に第1の態様が、光による発色情報付与前の安定性、発色の制御等の観点から好ましい。なお、以下のトナーの説明においては、基本的に第1の態様のトナーを前提としてより詳細に説明するが、以下に説明する第1の態様のトナーの構成、材料、製法等は、第2の態様や第3の態様のトナーにおいても、勿論、利用/転用可能である。
【0159】
なお、上述した熱応答性マイクロカプセルと光硬化性組成物とを組み合わせて用いたFトナーは、以下の2つのタイプのいずれかであることが特に好ましい。
(1)光硬化性組成物が未硬化の状態で加熱処理しても、未硬化の光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が抑制され、発色情報付与光の照射によって光硬化性組成物が硬化した後に加熱処理すると、硬化後の光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が促進されるタイプのトナー(以下、「光発色型トナー」と称す場合がある)。
(2)光硬化性組成物が未硬化の状態(第2成分が重合していない状態)で加熱処理すると、未硬化の光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が促進され、発色情報付与光の照射によって光硬化性組成物が硬化した後(第2成分が重合した後)に加熱処理すると、硬化後の光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が抑制されるタイプのトナー(以下、「光非発色型トナー」と称す場合がある)。
【0160】
前記光発色型トナーと光非発色型トナーとの主たる違いは、光硬化性組成物を構成する材料にあり、光発色型トナーでは、光硬化性組成物中に(光重合性を有さない)第2成分と光重合性化合物とが少なくとも含まれるのに対して、光非発色型トナーは、光硬化性組成物中に、分子中に光重合性基を有する第2成分が少なくとも含まれる。
なお、光発色型トナー及び光非発色型トナーに用いられる光硬化性組成物中には、光重合開始剤が含まれていることが特に好ましく、必要に応じてその他種々の材料が含まれていてもよい。
【0161】
上記光発色型トナーに用いられる光重合性化合物及び第2成分としては、光硬化組成物が未硬化の状態で両者の間に相互作用が働き、光硬化性組成物中での第2成分の物質拡散が抑制され、発色情報付与光の照射による光硬化性組成物の硬化(光重合性化合物の重合)後の状態で両者の間の相互作用が減少して、光硬化性組成物中での第2成分の拡散が容易となる材料が用いられる。
【0162】
従って、光発色型トナーにおいては、加熱処理(発色工程)前に予め光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光を照射しておくことによって、光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が容易な状態となる。このため、加熱処理された際に、マイクロカプセルの外殻の溶解等によって、マイクロカプセル内の第1成分と光硬化性組成物中の第2成分との反応(発色反応)が起こる。
逆に、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光を照射せずに、そのまま加熱処理しても第2成分は光重合性化合物にトラップされ、マイクロカプセル中の第1成分と接触することができず、第1成分と第2成分との反応(発色反応)が起こらない。
【0163】
以上説明したように、光発色型トナーでは、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光の照射の有無と、加熱処理とを組み合わせて付与することによって、第1成分と第2成分との反応(発色反応)を制御できるため、トナーの発色を制御できる。
【0164】
また、光非発色型トナーにおいては、第2成分自体が光重合性を有するため、発色情報付与光を照射したとしても、この光の波長が光硬化性組成物を硬化させる波長でなければ、光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が容易な状態を保てるため、この状態で加熱処理するとマイクロカプセルの外殻の溶解等によって、マイクロカプセル内の第1成分と光硬化性組成物中の第2成分との反応(発色反応)が起こる。
逆に、加熱処理前に光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光が照射されると、光硬化性組成物中に含まれる第2成分同士が重合してしまうため、光硬化性組成物中に含まれる第2成分の物質拡散が困難となる。それゆえ、加熱処理しても第2成分は、マイクロカプセル中の第1成分と接触することができず、第1成分と第2成分との反応(発色反応)が起こらない。
【0165】
以上説明したように、光非発色型トナーでは、光硬化性組成物を硬化させる波長の発色情報付与光の照射の有無と、加熱処理とを組み合わせて付与することによって、第1成分と第2成分との反応(発色反応)を制御できるため、トナーの発色を制御できる。
【0166】
次に、前記Fトナーの好適な構造について、トナーが、前記光硬化性組成物と、この光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む場合についてより詳細に説明する。
この場合、トナーは光硬化性組成物と、この光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を1つのみ有するものであってもよいが、2つ以上有することが好ましい。ここで、上記「発色部」とは、前述のように外部刺激が付与された際に、特定のひとつの色に発色可能な連続した領域を意味する。
なお、トナーに2以上の発色部が含まれる場合、同じ色に発色可能な1種類の発色部のみがトナー中に含まれていてもよいが、互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部がトナー中に含まれることが特に好ましい。その理由は、ひとつのトナー粒子の発色可能な色が、前者の場合は1種類のみに限定されるが、後者の場合は2種類以上とすることができるからである。
【0167】
例えば、互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部としては、イエロー色に発色可能なイエロー発色部と、マゼンタ色に発色可能なマゼンタ発色部と、シアン色に発色可能なシアン発色部とを含むような組み合わせが挙げられる。
この場合、例えば、外部刺激の付与によりいずれか1種類の発色部のみが発色した場合には、Fトナーは、イエロー、マゼンタ、あるいは、シアンのいずれかの色に発色することができ、いずれか2種類の発色部が発色した場合には、これら2種類の発色部の発色した色を組み合わせた色に発色することができ、ひとつのトナー粒子で、多様な色を表現することが可能となる。
【0168】
なお、Fトナー中に互いに異なる色に発色可能な2種類以上の発色部が含まれる場合の発色する色の制御は、各々の種類の発色部に含まれる第1成分及び第2成分の種類や組み合わせを異なるものとすることの他に、各々の種類の発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に用いる光の波長を異なるものとすることにより実現できる。
すなわち、この場合、発色部の種類毎に発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に必要な光の波長が異なるため、制御刺激として、発色部の種類に応じた波長の異なる複数種の発色情報付与光を用いればよい。なお、発色部に含まれる光硬化性組成物の硬化に必要な光の波長を異なるものとするには、発色部の種類毎に異なる波長の光に感応する光重合開始剤を光硬化性組成物中に含有させることが好適である。
【0169】
例えば、イエロー、マゼンタ、及び、シアンに発色可能な3種類の発色部がFトナー中に含まれる場合、各々の種類の発色部に含まれる光硬化性組成物として、光の波長が405nm、532nm及び657nmのいずれかに応答して硬化する材料を用いれば、これら3つの異なる波長の発色情報付与光(特定波長を有する光)を使い分けることによって、Fトナーを所望の色に発色させることができる。
なお、発色情報付与光の波長としては、可視域の波長から選択することもできるが、紫外域の波長から選択してもよい。
【0170】
Fトナーは、従来の顔料等の着色剤を用いたトナーに用いられるのと同様な結着樹脂を主成分とする母材を含むものであってもよい。この場合、母材中に、前記2以上の発色部の各々が粒子状のカプセルとして分散していることが好ましい(以下、カプセル状のひとつの発色部を「感光・感熱カプセル」と称する場合がある)。また、母材中には、従来の顔料等の着色剤を用いたトナーと同様に離型剤や、種々の添加剤が含まれていてもよい。
【0171】
感光・感熱カプセルは、マイクロカプセルや光硬化性組成物を含む芯部と、該芯部を被覆する外殻とを有し、この外殻は、後述するトナーの製造過程や、トナーの保管時において、感光・感熱カプセル内のマイクロカプセルや光硬化性組成物を感光・感熱カプセル外に漏れないように安定して保持できるものであれば特に限定されない。
しかしながら、本発明においては、後述するトナーの製造過程において、第2成分が外殻を透過して感光・感熱カプセル外のマトリックスへ流出したり、他の色に発色可能な感光・感熱カプセル中の第2成分が外殻を透過して流入したりするのを防ぐために、非水溶性樹脂からなる結着樹脂や離型材等の非水溶性材料を主成分として含むものであることが好ましい。
【0172】
次に、前記Fトナーに用いられるトナー構成材料や、各トナー構成材料を調整する際に用いる材料・方法等について以下により詳細に説明する。
この場合、トナーには、第1成分、第2成分、第1成分を含むマイクロカプセル、第2成分を含む光硬化性組成物が少なくとも用いられ、光硬化性組成物中には光重合開始剤が含まれることが特に好ましく、種々の助剤等が含まれていてもよい。また、マイクロカプセル内(芯部)には第1成分が固体状態で存在していてもよいが、溶媒と共に存在していてもよい。
【0173】
なお、前記光非発色型トナーにおいては、第1成分として電子供与性無色染料又はジアゾニウム塩化合物等が用いられ、第2成分として光重合性基を有する電子受容性化合物又は光重合性基を有するカプラー化合物等が用いられる。また、前記光発色型トナーにおいては、第1成分としては、電子供与性無色染料が用いられ、第2成分としては電子受容性化合物(「電子受容性顕色剤」あるいは「顕色剤」と称す場合がある)が用いられ、光重合性化合物としてはエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物が用いられる。
以上に列挙した材料に加えて、更に、従来の着色剤を用いたトナーを構成する材料と同様の各種材料;結着樹脂、離型剤、内添剤、外添剤等を必要に応じて適宜利用することができる。以下、各材料等についてより詳細に説明する。
【0174】
−第1成分及び第2成分−
第1成分及び第2成分の組合せとしては、下記(ア)〜(ツ)の組合せを好適に挙げることができる(下記例において、それぞれ前者が第1成分、後者が第2成分を表す。)。
【0175】
(ア)電子供与性無色染料と電子受容性化合物との組合せ。
(イ)ジアゾニウム塩化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する。)との組合せ。
(ウ)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機酸金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(エ)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪酸鉄塩と、タンニン酸、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(オ)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀塩のような有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
【0176】
(カ)銀、鉛、水銀、ナトリウム等の硫酸塩等の重金属硫酸塩と、ナトリウムテトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。
(キ)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ク)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機酸金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ケ)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪酸第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(コ)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
【0177】
(サ)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪族重金属塩とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(シ)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成するもの。
(ス)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩との組合せ。
(セ)保護された色素(又はロイコ色素)プレカーサーと脱保護剤との組合せ。
(ソ)酸化型発色剤と酸化剤との組合せ。
(タ)フタロニトリル類とジイミノイソインドリン類との組合せ。(フタロシアニンが生成する組合せ。)
(チ)イソシアナート類とジイミノイソインドリン類との組合せ(着色顔料が生成する組合せ)。
(ツ)顔料プレカーサーと酸又は塩基との組合せ(顔料が形成する組合せ)。
【0178】
上記に列挙した第1成分としては、実質的に無色の電子供与性無色染料又はジアゾニウム塩化合物が好ましい。
前記電子供与性無色染料としては、従来より公知のものを使用することができ、前記第2成分と反応して発色するものであれば全て使用することができる。 具体的には、フタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、ピリジン系、ピラジン系化合物、フルオレン系化合物等の各種化合物を挙げることができる。
【0179】
前記第2成分としては、前記光非発色型トナーの場合は同一分子内に光重合性基及び第1成分と反応して発色する部位とを有する実質的に無色化合物であり、光重合性基を有する電子受容性化合物又は光重合性基を有するカプラー化合物等の第1成分と反応して発色し、かつ光に反応して重合し、硬化するという両機能を有するものであれば全て使用することができる。
【0180】
前記光重合性基を有する電子受容性化合物、即ち、同一分子中に電子受容性基と光重合性基とを有する化合物としては、光重合性基を有し、かつ第1成分の一つである電子供与性無色染料と反応して発色し、かつ光重合して硬化しうるものであれば全て使用することができる。
【0181】
また、光発色型トナーの場合の第2成分である電子受容性顕色剤としては、フェノール誘導体、含硫フェノール誘導体、有機のカルボン酸誘導体(例えば、サリチル酸、ステアリン酸、レゾルシン酸等)、及びそれらの金属塩等、スルホン酸誘導体、尿素もしくはチオ尿素誘導体等、酸性白土、ベントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等が挙げられる。
【0182】
さらに、光発色型トナーには、光重合性化合物としてエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物が用いられ、これはアクリル酸及びその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類などの分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物である。
【0183】
次に、前記光重合開始剤について説明する。前記光重合開始剤は、発色情報付与光を照射することによりラジカルを発生して光硬化性組成物内で重合反応を起こし、かつその反応を促進させることができる。この重合反応により光硬化性組成物が硬化する。
【0184】
前記光重合開始剤は、公知のものの中から適宜選択することができ、中でも、300〜1000nmに最大吸収波長を有する分光増感化合物と、該分光増感化合物と相互作用する化合物と、を含有するものであることが好ましい。
但し、前記分光増感化合物と相互作用する化合物が、その構造内に300〜1000nmに最大吸収波長を有する色素部とボレート部との両構造を併せ持つ化合物であれば、前記分光増感色素を用いなくてもよい。
【0185】
前記分光増感化合物と相互作用する化合物としては、前記第2成分中の光重合性基と光重合反応を開始しうる公知の化合物の中から、1種又は2種以上の化合物を適宜選択して使用することができる。
この化合物を前記の分光増感化合物と共存させることにより、その分光吸収波長領域の照射光に敏感に感応し、高効率にラジカルを発生させうることから、高感度化が図れ、かつ紫外〜赤外領域にある任意の光源を用いてラジカルの発生を制御することができる。
【0186】
前記「分光増感化合物と相互作用する化合物」としては、有機系ボレート塩化合物、ベンゾインエーテル類、トリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体、有機過酸化物又はアジニウム塩化合物が好ましく、有機系ボレート塩化合物がより好ましい。この「分光増感化合物と相互作用する化合物」を前記分光増感化合物と併用して用いることにより、露光した露光部分に局所的に、かつ効果的にラジカルを発生させることができ、高感度化を達成することができる。
【0187】
また、光硬化性組成物には重合反応を促進する目的で、さらに助剤として、酸素除去剤(oxygen scavenger)又は活性水素ドナーの連鎖移動剤等の還元剤や連鎖移動的に重合を促進するその他の化合物を添加することもできる。
前記酸素除去剤としては、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイト、第1銀塩又は酸素により容易に酸化されるその他の化合物が挙げられる。具体的には、N−フエニルグリシン、トリメチルパルビツール酸、N,N−ジメチル−2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリン酸が挙げられる。さらに、チオール類、チオケトン類、トリハロメチル化合物、ロフィンダイマー化合物、ヨードニウム塩類、スルホニウム塩類、アジニウム塩類、有機過酸化物、アジド類等も重合促進剤として有用である。
【0188】
Fトナーでは、電子供与性無色染料やジアゾニウム塩化合物のような第1成分をマイクロカプセルに内包して使用する。
マイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、米国特許第2800457号、同28000458号に記載の親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号、英国特許第990443号、特公昭38−19574号公報、同42−446号公報、同42−771号公報等に記載の界面重合法、米国特許第3418250号、同3660304号に記載のポリマー析出による方法、米国特許第3796669号に記載のイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号に記載のイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同4087376号、同4089802号に記載の尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシブロビルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号、特開昭51−9079号に記載のモノマーの重合によるin situ法、英国特許第952807号、同965074号に記載の電解分散冷却法、米国特許第3111407号、英国特許第930422号に記載のスプレードライング法、特公平7−73069号公報、特開平4−101885号公報、特開平9−263057号公報に記載の方法等が挙げられる。
【0189】
使用しうるマイクロカプセル壁の材料は、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。前記マイクロカプセル壁の材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアがより好ましい。前記高分子物質は、2種以上併用して用いることもできる。
【0190】
マイクロカプセルの体積平均粒径は0.1〜3.0μmの範囲内となるように調整することが好ましく、0.3〜1.0μmの範囲内となるように調整することが更に好ましい。
【0191】
前記感光・感熱カプセルにはバインダーが含まれていてもよく、これは、1つの発色部を有するトナーにおいても同様である。
バインダーとしては、前記光硬化性組成物の乳化分散に用いるバインダーと同様のもの、第1の反応性物質をカプセル化する際に用いる水溶性高分子のほか、ポリスチレン、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリメチルアクリレート,ポリブチルアクリレート,ポリメチルメタクリレート,ポリブチルメタクリレートやそれらの共重合体等のアクリル樹脂、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エチルセルロース、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の溶剤可溶性高分子、或いは、これらの高分子ラテックスを用いることもできる。中でも、ゼラチン及びポリビニルアルコールが好ましい。また、バインダーとして後述する結着樹脂を用いてもよい。
【0192】
また、Fトナーには、従来のトナーに用いられている結着樹脂を用いることができる。結着樹脂は、例えば、母材中に感光・感熱カプセルが分散した構造を有するトナーでは、母材を構成する主成分や感光・感熱カプセルの外殻を構成する材料として利用することができるがこれに限定されるものではない。
【0193】
結着樹脂としては特に限定されず、公知の結晶性や非晶性の樹脂材料を用いることができる。特に低温定着性を付与するには、シャープメルト性がある結晶性ポリエステル樹脂が有用である。また、無定形高分子(非晶質樹脂)としては、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂など公知の樹脂材料を用いることができるが、非結晶性ポリエステル樹脂が特に好ましい。
【0194】
その他、Fトナーは、上記に列挙した以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、離型剤、無機微粒子、有機微粒子、帯電制御剤等の従来のトナーに用いられている公知の各種添加剤等が挙げられる
【0195】
次に、Fトナーの製造方法について簡単に説明する。
Fトナーは、凝集合一法等の公知の湿式製法を利用して作製されることが好ましい。特に、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、光硬化性組成物と、該光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含み、前記第1成分が前記マイクロカプセルに含まれ、前記第2成分が前記光硬化性組成物中に含まれる構造を有するトナーの作製に湿式製法は好適である。
なお、上記構造を有するトナーに用いられるマイクロカプセルは熱応答性マイクロカプセルであることが特に好ましいが、光等、その他の刺激に応答するマイクロカプセルであってもよい。
【0196】
トナーの製造には、公知の湿式製法が利用できるが、湿式製法の中でも最高プロセス温度を低く抑えることができると共に、様々な構造を有するトナーの作製が容易であることから凝集合一法を利用することが特に好ましい。
また、従来の顔料や結着樹脂を主成分とするトナーと比べると、上記構造を有するトナーは、低分子成分を主成分として含む光硬化性組成物が多く含まれるため、トナーの造粒過程で得られる粒子の強度は不十分となりやすいが、凝集合一法では、高いせん断力を必要としないため、この点でも凝集合一法を利用することは好適である。
【0197】
一般的に、凝集合一法は、トナーを構成する各種材料の分散液を調製した後、2種類以上の分散液を混合した原料分散液中で凝集粒子を形成する凝集工程と、原料分散液に形成された凝集粒子を融合する融合工程とを含むものであり、必要に応じて凝集工程と融合工程との間に、凝集粒子の表面に被覆層を形成する成分を付着させて被覆層を形成する付着工程(被覆層形成工程)とが実施されるものである。
Fトナーの製造においても、原料として使用する各種分散液の種類や組み合わせは異なるものの、凝集工程、融合工程の他に、必要に応じて付着工程を適宜組み合わせることによりトナーを作製することができる。
【0198】
例えば、樹脂中に感光・感熱カプセル分散構造を有するトナーの場合には、まず、(a1)第1成分を含むマイクロカプセルを分散させたマイクロカプセル分散液と、第2成分を含む光硬化性組成物を分散させた光硬化性組成物分散液とを含む原料分散液中にて第1の凝集粒子を形成する第1の凝集工程と、(b1)前記第1の凝集粒子が形成された原料分散液に、樹脂粒子を分散させた第1の樹脂粒子分散液を添加して、前記凝集粒子表面に前記樹脂粒子を付着させる付着工程と、(c1)前記樹脂粒子をその表面に付着させた凝集粒子を含む原料分散液を加熱して融合させ、第1の融合粒子(感光・感熱カプセル)を得る第1の融合工程とを経ることにより、互いに異なる色に発色可能な1種類以上の感光・感熱カプセル分散液を調製する。
【0199】
続いて、(d1)前記1種類以上の感光・感熱カプセル分散液と、樹脂粒子を分散させた第2の樹脂粒子分散液とを混合した混合溶液中にて、第2の凝集粒子を形成する第2の凝集工程と、(e1)前記第2の凝集粒子を含む混合溶液を加熱して、第2の融合粒子を得る第2の融合工程とを経ることにより、感光・感熱カプセル分散構造を有するトナーを得ることができる。
なお、第2の凝集工程で用いる感光・感熱カプセル分散液の種類は2種類以上が好ましい。また、(a1)〜(c1)工程を経て得られた感光・感熱カプセルをそのままトナー(すなわち1つの発色部のみを含むトナー)として利用してもよい。
【0200】
また、1つの発色部のみを含むトナーを作製する場合、上述した付着工程の代わりに、前記第1の凝集粒子が形成された原料分散液に、離型剤を分散させた離型剤分散液を添加して、凝集粒子表面に離型剤を付着させる第1の付着工程と、第1の付着工程を経た後の原料分散液に、樹脂粒子を分散させた第1の樹脂粒子分散液を添加して、この離型剤を表面に付着させた凝集粒子表面に樹脂粒子を付着させる第2の付着工程とを実施してもよい。
【0201】
本発明に用いることが可能なFトナーの体積平均粒径は、特に限定されず、トナーの構造や、トナー中に含まれる発色部の種類・数に応じて適宜調整することができる。
しかしながら、トナー中に含まれる互いに異なる色に発色可能な発色部の種類が2〜4種類前後(例えば、トナーがイエロー、シアン、マゼンタの各々に発色可能な3種類の発色部を含むような場合)であれば、各々のトナー構造に応じた体積平均粒径は以下の範囲内であることが好ましい。
【0202】
すなわち、例えばトナーの構造が感光・感熱カプセル(発色部)分散構造の場合には、トナーの体積平均粒径は5〜40μmの範囲内が好ましく、10〜20μmの範囲内がより好ましい。また、このような粒径を有する感光・感熱カプセル分散構造型のトナー中に含まれる感光・感熱カプセルの体積平均粒径は1〜5μmの範囲内であることが好ましく、1〜3μmの範囲内であることが好ましい。
【0203】
トナーの体積平均粒径が5μm未満では、トナー中に含まれる発色成分量が少なくなるため色再現性が悪化したり、画像濃度が低下してしまう場合がある。また、体積平均粒径が40μmを超えると、画像表面の凹凸が大きくなり、画像表面の光沢ムラが発生してしまう場合があり、また画質が低下する場合がある。
【0204】
なお、その内部に複数の感光・感熱カプセルを分散させた感光・感熱カプセル分散構造型のトナーは、従来の着色剤を用いた小径トナー(体積平均粒径5〜10μm程度)と比べると粒径が大きくなる傾向にあるものの、画像の解像度は、トナーの粒径ではなく感光・感熱カプセルの粒径により決定されるため、より高精細な画像を得ることができる。加えて、粉体流動性にも優れるため、外添剤の量が少なくても十分な流動性が確保できると共に、現像性やクリーニング性も向上させることができる。
【0205】
一方、1つの発色部のみを有するトナーの場合には、上述した場合と比べると小径化がより容易であり、その体積平均粒径は3〜8μmの範囲内が好ましく、4〜7μmの範囲内が好ましい。体積平均粒径が3μm未満の場合には粒径が小さすぎるために粉体流動性が十分に得られなくなったり、十分な耐久性が得られない場合がある。また、体積平均粒径が8μmを超えると、高精細な画像が得られなくなる場合がある。
【0206】
本発明には、以上説明したFトナーをはじめ、光照射により(あるいは光が照射されないことにより)発色又は非発色の状態を維持するように制御されるトナーであれば、用いる構成材料、トナーの構造、発色機構等によらず用いることができる。
【0207】
本発明に用いることができるトナーは、体積平均粒度分布指標GSDvが1.30以下であり、且つ、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が、0.95以上であることが好ましい。
更に好ましくは、体積平均粒度分布指標GSDvが1.25以下であり、且つ、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比(GSDv/GSDp)が、0.97以上であることが更に好ましい。
【0208】
体積分布指標GSDvが1.30を超えた場合には、画像の解像性が低下する場合があり、また、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpの比(GSDv/GSDp)が0.95未満の場合、トナーの帯電性低下やトナーの飛散、カブリ等が発生し画像欠陥を招く場合がある。
【0209】
なお、本発明において、トナーの体積平均粒径や、上記した体積平均粒度分布指標GSDv、及び数平均粒度分布指標GSDpの値は、次のようにして測定し算出した。
まず、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)等の測定器を用いて測定されたトナーの粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個々のトナー粒子の体積及び数について小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒径を、体積平均粒子径D16v、及び、数平均粒子径D16pと定義し、累積50%となる粒径を、体積平均粒子径D50v、及び、数平均粒子径D50pと定義する。同様に、累積84%となる粒径を、体積平均粒子径D84v、及び、数平均粒子径D84pと定義する。この際、体積平均粒度分布指標(GSDv)は、(D84v/D16v)1/2として定義され、数平均粒度指標(GSDp)は、(D84p/D16p)1/2として定義されるこれらの関係式を用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)及び数平均粒度指標(GSDp)を算出できる。
【0210】
また、前記マイクロカプセルや感光・感熱カプセルの体積平均粒径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所製)を用いて測定することができる。
【0211】
また、本発明のトナーは、下式(1)で表される形状係数SF1が、110〜130の範囲内であることが好ましい。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
〔但し、上記式(1)において、MLはトナーの最大長(μm)を表し、Aはトナーの投影面積(μm)を表す。〕
【0212】
形状係数SF1が110未満の場合には、画像形成の際に転写工程で、像担持体表面にトナーが残留しやすくなるため、この残留トナーの除去が必要となるが、残留トナーをブレード等によりクリーニングする際のクリーニング性を損ないやすく、結果として画像欠陥を生じる場合がある。
一方、形状係数SF1が130を超える場合には、トナーを現像剤として使用する場合に、現像器内でのキャリアとの衝突によりトナーが破壊される場合がある。この際、結果として微粉が増加したり、これによってトナー表面に露出した離型剤成分により像担持体表面等が汚染され帯電特性を損なうことがあるばかりでなく、微粉に起因するかぶりの発生等の問題を起こすことがある。
【0213】
形状係数SF1はルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いて以下のように測定した。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーについて最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、個々のトナーについて、最大長の2乗、投影面積を算出し、上記式(1)により形状係数SF1を求めた。
【0214】
<現像剤>
Fトナーは、そのまま一成分現像剤として用いてもよいが、本発明では、キャリアとトナーとからなる二成分現像剤におけるトナーとして使用することが好ましい。
ここで、1種類の現像剤でカラー画像が形成できるという点からは、現像剤は、(1)前記光硬化性組成物と、該光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を2種類以上有するFトナーを1種類有し、且つ、前記Fトナー中に含まれる2種類以上の発色部が互いに異なる色に発色可能であるタイプの現像剤、あるいは、(2)前記光硬化性組成物と、該光硬化性組成物中に分散するマイクロカプセルとを含む発色部を1つ有するトナーを2種類以上混合した状態で有し、且つ、前記2種類以上のトナーの発色部が互いに異なる色に発色可能であるタイプの現像剤であることが好ましい。
【0215】
例えば、前者のタイプの現像剤では、Fトナー中に3種類の発色部が含まれ、且つ、3種類の発色部が、イエロー色に発色可能なイエロー発色部、マゼンタ色に発色可能なマゼンタ発色部及びシアン色に発色可能なシアン発色部からなることが好ましく、後者のタイプの現像剤では、発色部がイエロー色に発色可能なイエロー発色性トナーと、発色部がマゼンタ色に発色可能なマゼンタ発色性トナーと、発色部がシアン色に発色可能なシアン発色性トナーとが混合した状態で現像剤中に含まれることが好ましい。
【0216】
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、芯材表面に樹脂を被覆してなることが好ましい。キャリアの芯材としては、上記条件を満たしていれば特に規定されないが、例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、これらとマンガン、クロム、希土類等との合金、及びフェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられるが、芯材表面性、芯材抵抗の観点から、好ましくはフェライト、特にマンガン、リチウム、ストロンチウム、マグネシウム等との合金が挙げられる。
また、 芯材表面を被覆する樹脂としては、マトリックス樹脂として使用できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0217】
上記二成分現像剤における、Fトナーと上記キャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲が好ましく、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
【実施例】
【0218】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。尚、以下の実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」、「質量%」を表す。
【0219】
まず、以下のようにして、トナー(トナー粒子)を含む現像剤を得た。なお、以下のトナーの作製において、光硬化性組成物分散液の調整及びこれを用いた一連のトナーの作製は全て暗所で実施した。
【0220】
(トナー1:光非発色型トナーの作製)
・マイクロカプセル分散液の調整
−マイクロカプセル分散液(1)−
酢酸エチル16.9部に、イエローに発色可能な電子供与性無色染料(1)8.9部を溶解し、さらに、カプセル壁材(商品名:タケネートD−110N,武田薬品工業(株)製)20部とカプセル壁材(商品名:ミリオネートMR200,日本ポリウレタン工業(株)製)2部とを添加した。
得られた溶液を、8%フタル化ゼラチン42部と、水14部と、10%ドデシルベンゼンルスルホン酸ナトリウム溶液1.4部との混合液中に添加した後、温度20℃で乳化分散し、乳化液を得た。次いで、得られた乳化液に2.9%テトラエチレンペンタミン水溶液72部とを加え、攪拌しながら60℃に加温し、2時間経過後、電子供与性無色染料(1)を芯部に含む、平均粒径0.5μmのマイクロカプセル分散液(1)を得た。
なお、このマイクロカプセル分散液(1)に含まれるマイクロカプセルの外殻を構成する材料(上記とほぼ同様の条件でタケネートD−110N及びミリオネートMR200を反応させて得られた材料)のガラス転移温度は100℃であった。
【0221】
−マイクロカプセル分散液(2)−
電子供与性無色染料(1)を電子供与性無色染料(2)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(2)を得た。この分散液中のマイクロカプセルの平均粒径は0.5μmであった。
【0222】
−マイクロカプセル分散液(3)−
電子供与性無色染料(1)を電子供与性無色染料(3)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(3)を得た。この分散液中のマイクロカプセルの平均粒径は0.5μmであった。
なお、マイクロカプセル分散液の調製に用いた電子供与性無色染料(1)〜(3)の化学構造式を以下に示す。
【0223】
【化1】

【0224】
・光硬化性組成物分散液の調製
−光硬化性組成物分散液(1)−
重合性基を有する電子受容性化合物(1)及び(2)の混合物100.0部(混合比率50:50)と熱重合禁止剤(ALI)0.1部とを酢酸イソプロピル(水への溶解度約4.3%)125.0部中で42℃にて溶解し混合溶液Iとした。
この混合溶液I中に、ヘキサアリールビイミダゾール(1)〔2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール〕18.0部と、ノニオン性有機色素0.5部と、有機ホウ素化合物6.0部とを添加し42℃にて溶解し、混合溶液IIとした。
上記混合溶液IIを、8%ゼラチン水溶液300.1部と、10%界面活性剤(1)水溶液17.4部との混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000回転で5分間乳化し、その後、40℃で3時間脱溶媒処理を行った後、固形分が30%の光硬化性組成物分散液(1)を得た。
なお、光硬化性組成物分散液(1)の調製に用いた重合性基を有する電子受容性化合物(1)、重合性基を有する電子受容性化合物(2)、熱重合禁止剤(ALI)、ヘキサアリールビイミダゾール(1)、界面活性剤(1)、ノニオン性有機色素、及び、有機ホウ素化合物の構造式を以下に示す。
【0225】
【化2】

【0226】
【化3】

【0227】
−光硬化性組成物分散液(2)−
下記有機ボレート化合物(I)(ボレート化合物II)0.6部と、下記分光増感色素系ボレート化合物(I)(ボレート化合物II)0.1部と、高感度化を目的とした下記助剤(1)0.1部と、酢酸イソプロピル(水への溶解度約4.3%)3部と、の混合溶液中に、重合性基を有する下記電子受容性化合物(3)5部を添加した。
【0228】
【化4】

【0229】
得られた溶液を、13%ゼラチン水溶液13部と、下記2%界面活性剤(2)水溶液0.8部と、下記2%界面活性剤(3)水溶液0.8部と、の混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000回転で5分間乳化し、光硬化性組成物分散液(2)を得た。
なお、光硬化性組成物分散液(2)の調製に用いた重合性基を有する電子受容性化合物(3)、助剤(1)、界面活性剤(2)、及び界面活性剤(3)の構造式を以下に示す。
【0230】
【化5】

【0231】
【化6】

【0232】
−光硬化性組成物分散液(3)−
分光増感色素系ボレート化合物(I)に代えて、前記に示した分光増感色素系ボレート化合物(II)(ボレート化合物II)0.1部を用いた以外は、光硬化性組成物分散液(2)を調製する場合と同様にして光硬化性組成物分散液(3)を得た。
【0233】
(樹脂粒子分散液の調製)
・スチレン:460部
・nブチルアクリレート:140部
・アクリル酸:12部
・ドデカンチオール:9部
以上の成分を混合溶解して溶液を調製した。続いて、アニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)12部をイオン交換水250部に溶解したものに、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化した乳化液(単量体乳化液A)を調製した。
また、アニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)1部を555部のイオン交換水に溶解し、重合用フラスコに仕込んだ。重合用フラスコを密栓し、還流管を設置し、窒素を注入しながら、ゆっくりと攪拌しながら、75℃まで重合用フラスコをウオーターバスで加熱し、保持した。
【0234】
次に、過硫酸アンモニウム9部をイオン交換水43部に溶解した溶液を、重合用フラスコ中に定量ポンプを介して、20分かけて滴下した後、単量体乳化液Aをやはり定量ポンプを介して200分かけて滴下した。
その後、ゆっくりと攪拌を続けながら重合用フラスコを75℃に、3時間保持して重合を終了した。
これにより粒子のメジアン径が210nm、ガラス転移点が51.5℃、重量平均分子量が31000、固形分量が42%の樹脂粒子分散液を得た。
【0235】
・トナー1(発色部分散構造タイプ)の作製
−感光・感熱カプセル分散液(1)の調製−
・マイクロカプセル分散液(1):150部
・光硬化性組成物分散液(1):300部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20部
・イオン交換水:300部
以上の成分を混合した原料溶液に硝酸を加えてpHを3.5に調整し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、フラスコに移し加熱用オイルバスでスリーワンモーターで攪拌しながら40℃まで加熱し、40℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を300部追加して60℃にて2時間緩やかに攪拌した。これにより感光・感熱カプセル分散液(1)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は3.53μmであった。また、この分散液の調製時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
【0236】
−感光・感熱カプセル分散液(2)の調製−
・マイクロカプセル分散液(2):150部
・光硬化性組成物分散液(2):300部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20部
・イオン交換水:300部
原料溶液として以上の成分を用いた以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)を調製する場合と同様にして感光・感熱カプセル分散液(2)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は3.52μmであった。また、この分散液の調製時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
【0237】
−感光・感熱カプセル分散液(3)の調製−
・マイクロカプセル分散液(3):150部
・光硬化性組成物分散液(3):300部
・ポリ塩化アルミニウム:0.20部
・イオン交換水:300部
原料溶液として以上の成分を用いた以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)を調製する場合と同様にして感光・感熱カプセル分散液(3)を得た。
なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒径は3.47μmであった。また、この分散液の調製時に、分散液の自発的な発色は確認されなかった。
【0238】
−トナーの作製−
・感光・感熱カプセル分散液(1):750部
・感光・感熱カプセル分散液(2):750部
・感光・感熱カプセル分散液(3):750部
以上の成分を混合した溶液をフラスコに移し、フラスコ内を攪拌しながら加熱用オイルバス42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、さらに樹脂粒子分散液を100部追加して緩やかに攪拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液でフラスコ内のpHを5.0に調整した後、攪拌を継続しながら55℃まで加熱した。55℃までの昇温の間、通常の場合、フラスコ内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが4.5以下とならない様に保持した。この状態で55℃で3時間保持した。
【0239】
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、5リットルビーカー中で40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分間、300rpmで攪拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、凍結真空乾燥を12時間行い、スチレン系樹脂中に感光・感熱カプセルが分散したトナー粒子を得た。このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、体積平均粒径D50vは15.2μmであった。
続いて、上記トナー粒子50部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.0部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナー1を得た。
【0240】
(トナー2:光発色型トナーの作製)
・マイクロカプセル分散液の調製
−マイクロカプセル分散液(1)−
前記電子供与性無色染料(1)12.1部を酢酸エチル10.2部に溶解し、ジシクロヘキシルフタレート12.1部とタケネートD−110N(武田薬品工業株式会社製)26部とミリオネートMR200(日本ポリウレタン工業株式会社製)2.9部とを添加した溶液を準備した。
続いて、この溶液を、ポリビニルアルコール5.5部及び水73部の混合液に添加し、20℃で乳化分散し、平均粒径0.5μmの乳化液を得た。得られた乳化液に水80部を加え、攪拌しながら60℃に加温し、2時間後に電子供与性無色染料(1)を芯材とするマイクロカプセルを分散させたマイクロカプセル分散液(1)を得た。
なお、このマイクロカプセル分散液(1)に含まれるマイクロカプセルの外殻を構成する材料(上記とほぼ同様の条件でジシクロヘキシルフタレート、タケネートD−110N及びミリオネートMR200を反応させて得られた材料)のガラス転移温度は約130℃であった。
【0241】
−マイクロカプセル分散液(2)−
電子供与性無色染料(1)を前記電子供与性無色染料(2)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(2)を得た。
【0242】
−マイクロカプセル分散液(3)−
電子供与性無色染料(1)を前記電子供与性無色染料(3)に変更した以外は、マイクロカプセル分散液(1)を調製する場合と同様にしてマイクロカプセル分散液(3)を得た。
【0243】
・光硬化性組成物分散液の調製
−光硬化性組成物分散液(1)−
光重合開始剤(1−a)1.62部と、(1−b)0.54部とを、酢酸エチル4部に溶解させた溶液に、電子受容性化合物(1)9部及びトリメチロールプロパントリアクリレートモノマー(3官能アクリレート、分子量約300)7.5部を添加した。
このようにして得られた溶液を、15%PVA(ポリビニルアルコール)水溶液19部と水5部と2%界面活性剤(1)水溶液0.8部と2%界面活性剤(2)水溶液0.8部とを混合した混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機株式会社製)にて8000rmpで7分間乳化して、乳化液とした光硬化性組成物分散液(1)を得た。
【0244】
−光硬化性組成物分散液(2)−
光重合開始剤(1−a)及び(1−b)を、光重合開始剤(2−a)0.08部、(2−b)0.18部、(2−c)0.18部に変更した以外は、光硬化性組成物分散液(1)を調製する場合と同様にして光硬化性組成物分散液(2)を得た。
【0245】
−光硬化性組成物分散液(3)−
前記光硬化性組成物分散液(2)で用いた光重合開始剤(2−b)を、光重合開始剤(3−b)に変更した以外は、光硬化性組成物分散液(1)を調製する場合と同様にして光硬化性組成物分散液(3)を得た。
なお、光硬化性組成物分散液の調整に用いた光重合開始剤(1−a)、(1−b)、(2−a)、(2−b)、(2−c)、(3−b)、電子受容性化合物(1)、及び、界面活性剤(1)〜(2)の化学構造式を以下に示す。
【0246】
【化7】

【0247】
【化8】

【0248】
【化9】

【0249】
−樹脂粒子分散液(1)の調製−
・スチレン:360部
・nブチルアクリレート:40部
・アクリル酸:4部
・ドデカンチオール:24部
・四臭化炭素:4部
以上を混合し、溶解した溶液を、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)6部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)10部をイオン交換水560部に溶解した溶液に、フラスコ中で分散・乳化し、10分ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水50部を投入した。
続いて、フラスコ内の窒素置換を行った後、フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。こうして、体積平均粒径が200nm、ガラス転移温度が50℃、重量平均分子量(Mw)が16200、比重が1.2である樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液(1)(樹脂粒子濃度:30%)を得た。
【0250】
−感光・感熱カプセル分散液(1)の調製−
・マイクロカプセル分散液(1)24部
・光硬化性組成物分散液(1)232部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中においてIKA製ウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した。
そして、硝酸でpH3に調整し、次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.20部を加え、ウルトラタラックスで回転数6000rpmで10分間の分散操作を継続した。 加熱用オイルバスでフラスコをゆっくり攪拌しながら40℃まで加熱した。
ここで、樹脂粒子分散液(1)を緩やかに60部を追加した。
これにより、感光・感熱カプセル分散液(1)を得た。なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒経は約2μmであった。また、得られた分散液の自発的な発色は確認されなかった。
【0251】
−感光・感熱カプセル分散液(2)の調製−
マイクロカプセル分散液(1)をマイクロカプセル分散液(2)に、光硬化性組成物分散液(1)を光硬化性組成物分散液(2)に変更した以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)と同様に作製し、感光・感熱カプセル分散液(2)を得た。なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒経は約2μmであった。また、得られた分散液の自発的な発色は確認されなかった。
【0252】
−感光・感熱カプセル分散液(3)の調製−
マイクロカプセル分散液(1)をマイクロカプセル分散液(3)に、光硬化性組成物分散液(1)を光硬化性組成物分散液(3)に変更した以外は、感光・感熱カプセル分散液(1)と同様に作製し、感光・感熱カプセル分散液(3)を得た。なお、この分散液中に分散する感光・感熱カプセルの体積平均粒経は約2μmであった。また、得られた分散液の自発的な発色は確認されなかった。
【0253】
・トナー2(発色部分散構造タイプ)の作製
−トナーの作製−
・感光・感熱カプセル分散液(1):80部
・感光・感熱カプセル分散液(2):80部
・感光・感熱カプセル分散液(3):80部
・樹脂粒子分散液(1):80部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中においてIKA製ウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した。
【0254】
次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.1部を加え、ウルトラタラックスで回転数6000rpmで10分間の分散操作を継続した。加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で60分保持した後、ここに樹脂粒子分散液(1)を緩やかに20部追加した。
その後、0.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを8.5にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら55℃まで加熱し、10時間保持した。
【0255】
反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水1Lに再分散し、15分300rpmで攪拌・洗浄した。
これを更に5回繰り返し、濾液のpHが7.5、電気伝導度7.0μS/cmtとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで12時間の真空乾燥を行うことにより、母材中に3種類の感光・感熱カプセルが分散した構造を有するトナー粒子を得た。
この時の粒子径をコールターカウンターにて測定したところ体積平均粒径D50vは約15μmであった。また、得られたトナーの自発的な発色は確認されなかった。
【0256】
次に、このトナー100部と、n−デシルトリメトキシシランで表面処理した平均粒子径15nmの疎水性チタニア0.3部と、平均粒子径30nmの疎水性シリカ(NY50、日本アエロジル社製)0.4部とをヘンシェルミキサーを用い周速32m/sで10分間ブレンドをおこなった後、目開き45μmのシーブを用いて粗大粒子を除去し、外添剤を添加した外添トナー2を得た。
【0257】
(現像剤の作製)
キャリアとして、スチレン・アクリル共重合体(数平均分子量:23000、重量平均分子量:98000、Tg:78℃)30質量%と、粒状マグネタイト(最大磁化:80emu/g、平均粒径:0.5μm)70質量%とを混練、粉砕、分級して、体積平均粒径が100μmとしたものを用い、前記各トナー粒子1〜2とトナー濃度が5質量%となるように秤量し、ボールミルで5分間混合して現像剤1〜2を得た。
【0258】
(実施例1−1)
上記第1実施形態と同様な構成(図1参照)の画像形成装置を用意し、画像形成ユニット10における現像装置14に現像剤1(光非発色型トナー含有現像剤)を装填た。
感光体11としては、直径30mmのアルミドラムの周りに、電荷発生層が塩化ガリウムフタロシアニン、電荷輸送層がN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミンを含む膜厚25μmの多層有機感光層を塗布形成したものを用いた。
帯電装置12としてはスコロトロンを用いた。
【0259】
露光装置13としては、解像度600dpiで潜像形成が行える波長780nmのLEDイメージバーを用いた。
現像装置14は、二成分磁気ブラシ現像用の金属スリーブを備え反転現像を行うことが可能なものである。なお、この現像器に現像剤を装填したときのトナー帯電量は、−5〜−30μC/g程度であった。
第1転写装置15としては、導電性芯材の外周に導電性弾性体を被覆してなる半導電性ロールを転写ロールとして使用した。導電性弾性体は、NBRとEPDMを混合してなる非相溶性のブレンド物に、ケッチェンブラックとサーマルブラックからなる2種類のカーボンブラックを分散させてなり、ロール抵抗が108.5Ωcm、アスカーC硬度が35度のものである。
発色情報付与装置21としては、ピーク波長405nm(露光量:0.2mJ/cm)、532nm(露光量:0.2mJ/cm)、657nm(露光量:0.4mJ/cm)の光を照射可能な解像度600dpiのLEDイメージバーを用いた。
第2転写装置22としては、導電性芯材の外周に導電性弾性体を被覆してなる半導電性ロールを転写ロールとして使用した。導電性弾性体は、NBRとEPDMを混合してなる非相溶性のブレンド物に、ケッチェンブラックとサーマルブラックからなる2種類のカーボンブラックを分散させてなり、ロール抵抗が108.5Ωcm、アスカーC硬度が35度のものである。
定着装置23は、富士ゼロックス社製DPC1616に使用されている定着器を使用し、発色情報付与のポイントから30cmの位置に配置した。
光照射装置24としては、前記発色情報付与装置の三波長を含む高輝度シャーカステンを用い、照射幅を5mmとした。
【0260】
そして、中間転写ベルト20としては、以下に示すようにして作製した半導電性ベルトを用いた。
【0261】
[半導電性ベルト(白色ポリイミドベルト)の作製]
−ポリアミド酸溶液(A)の調製−
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)とからなるポリアミド酸のN−メチルー2ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分18質量%)に、この溶液中のポリイミド系樹脂を形成することが可能な原料の固形分100質量部に対して、白色の導電剤として、酸化亜鉛ウイスカ(松下電器産業(株)製:品番WZ-0501)10質量部と導電性酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製:品番23−KC:23−Kのシランカップリング処理品)20質量部になるよう添加して、衝突型分散機(シーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mmで2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して、カーボンブラック入りポリアミド酸溶液(A)を得た。
【0262】
−半導電性ベルトの作製−
カーボンブラック入りポリアミド酸溶液(A)を、円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して塗膜の厚みが0.5mmとなるように塗布し、金型を1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する塗膜を形成した後、金型を250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、その後、室温にまで冷却して皮膜を形成した。
【0263】
その後、金型の内面に形成された皮膜を剥離して、この皮膜を金属芯体の外周を覆うように被覆して400℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、更に400℃で30分加熱し、皮膜に残留する溶媒及び脱水閉環水を除去すると共に、イミド転化反応を完結させた。その後、金属芯体を室温にまで冷却した後に、金属芯体表面に形成されたポリイミドフィルムを剥離することにより、厚みが0.08mmの無端ベルト状の基材を得た。この基材を半導電性ベルトとした。
【0264】
得られた半導電性ベルトのヤング率は3,900Mpaであり、熱膨張係数は16PPM/℃、体積抵抗率は1×10Ωcm、表面抵抗率は1×1011.2Ω/□であった。
十点平均表面粗さRzは2.1μmであった
【0265】
以上の構成の画像形成装置により印字条件を下記のように設定した。
−画像形成ユニット条件−
・感光体線速:10mm/秒。
・帯電条件:スコロトロンのスクリーンに−400V、ワイヤーには直流−6kVを印加。このとき感光体の表面電位は−400Vとなった。
・露光:黒の画像情報で露光し、露光後の電位は約−50Vであった。
・現像バイアス:直流−330Vに交流Vpp1.2kV(3kHz)の矩形波を重畳。
・現像剤接触条件:周速比(現像ロール/感光体)2.0、現像ギャップ0.5mmとし、現像ロール上の現像剤重量は400g/mとし、感光体上のトナー現像量がべた画像で5g/mとなるようにした。
・中間転写ベルトへの転写バイアス:直流+800V印加。
【0266】
−その他条件−
・記録媒体への転写バイアス:直流+1kV印加。
・定着温度:定着ロール表面温度を180℃に設定。
・光照射装置照度:130000lux。
【0267】
以上の条件により、Y、M、C、R、G、B、Kの各色について階調画像部を有するチャートを印字した。なお、Fトナーへの発色情報付与は、下記表1に示す組み合わせで行なった(○印をつけたLEDが発光すると所望の色にトナーが発色することを示す。また、発光強度もしくは発光時間で発色濃度を制御するため、1ドットの時間内を8分割した時間幅変調を採用した。
【0268】
【表1】

【0269】
(画像評価)
上記条件で得られたプリントサンプルについて、以下の評価を行った。
−発色濃度−
Y、M、Cの各色についてべた画像部分の画像濃度を濃度測定器X−Rite938(X−Rite社製)で調べたところ、いずれの色においても画像濃度が1.5以上と十分な発色が確認された。
【0270】
−ハイライト画像部再現性−
ハイライト画像部の再現性を、プリント全面15%ハーフトーン画像により調べたが、ハイライト部の飛びがない良好なプリントであることが確認された。
【0271】
−色再現性−
色再現性については、以下の評価基準により定着後の画質により判定した。
◎:各トナーが十分に発色し画像の色再現性が良い。
○:わずかに発色が不十分であるが、画像の色再現性に問題がない。
△:多少発色が不十分であるが実用上問題のない。
×:各トナーの発色が不十分で所望の色再現が行われておらず実用上問題がある
【0272】
−転写画質−
転写画質について、以下の標記基準により画質欠陥(ブラー、ホロキャラ、カラーレジずれ)、クリーニング性を評価した。
◎:画質欠陥の発生は、わずかであり、画質上での問題なし
○:画質欠陥の発生があるが、画質上での問題はない
×:画質欠陥発生があり、画質上での問題あり
【0273】
(実施例1−2)
中間転写ベルト20として、以下に示すようにして作製した半導電性ベルトを用い以外は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表2示す。
【0274】
[半導電性ベルト(黒色ポリイミドベルト)の作製]
(ポリアミド酸溶液(B)の調製)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)とからなるポリアミド酸のN−メチルー2ピロリドン(NMP)溶液(宇部興産製ユーワニスS(固形分18質量%)に、この溶液中のポリイミド系樹脂を形成することが可能な原料の固形分100質量部に対して、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%))を23質量部になるよう添加して、衝突型分散機(シーナス製GeanusPY)を用い、圧力200MPaで、最小面積が1.4mmで2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて、混合して、カーボンブラック入りポリアミド酸溶液(B)を得た。
【0275】
−半導電性ベルトの作製−
カーボンブラック入りポリアミド酸溶液(B)を、円筒状金型内面に、ディスペンサーを介して塗膜の厚みが0.5mmとなるように塗布し、金型を1500rpmで15分間回転させて均一な厚みを有する塗膜を形成した後、金型を250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、その後、室温にまで冷却して皮膜を形成した。
【0276】
その後、金型の内面に形成された皮膜を剥離して、この皮膜を金属芯体の外周を覆うように被覆して400℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、更に400℃で30分加熱し、皮膜に残留する溶媒及び脱水閉環水を除去すると共に、イミド転化反応を完結させた。その後、金属芯体を室温にまで冷却した後に、金属芯体表面に形成されたポリイミドフィルムを剥離することにより、厚みが0.08mmの無端ベルト状の基材を得た。この基材を半導電性ベルトとした。
【0277】
得られた半導電性ベルトのヤング率は3,800Mpaであり、熱膨張係数は18PPM/℃、体積抵抗率は1×109.5Ωcm、表面抵抗率は1×1012Ω/□であった。
十点平均表面粗さRzは1.2μmであった
【0278】
(実施例1−3)
中間転写ベルト20として、以下に示すようにして作製した半導電性ベルトを用い以外は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表2示す。
【0279】
[半導電性ベルト(白色表面層付き黒色ポリイミドベルト)の作製]
実施例1−2の黒色ポリイミドベルト(基材)に以下の表面層を形成する。樹脂成分100質量部に対して、白色の導電剤として導電性酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製:品番23−KC)28質量部とフッ素樹脂粒子(ダイキン工業(株)製ルブロンL−5平均粒子径0.2μm)20質量部を含有する2液硬化型の水系のウレタン系樹脂塗料(エムラロン345:日本アチソン(株)製)と、硬化剤としてのブロックイソシアネート(WH−2:日本アチソン(株)製)を100:10の配合比で混合した溶液を混合した。得られた混合液を基材表面にスプレー塗布した後、120℃で15分間加熱・乾燥して、と白色の導電剤とフッ素系樹脂粒子とウレタン樹脂からなる膜厚20μmの表面層を形成した。これを半導電性ベルトとした。
【0280】
以上のように作製された半導電性ベルトの体積抵抗率は8×1010Ωcmであり、十点平均表面粗さRzは9μmであった。
【0281】
(実施例1−4)
中間転写ベルト20として、以下に示すようにして作製した半導電性ベルトを用い以外は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表2示す。
【0282】
[半導電性ベルト(白色ポリフッ化ブニリデン樹脂ベルト)の作製]
ポリフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学工業(株)製:商品名「#850」)100質量部に、白色の導電剤として、酸化亜鉛ウイスカ(松下電器産業(株)製:品番WZ-0501)10質量部と導電性酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製:品番23−KC)20質量部とを添加して、二軸押出機で分散・混練して樹脂組成物を得た。これを1軸押出機を用いて、厚さ0.12mmの無端ベルト状に成型し、白色の半導電性ベルトを得た。
【0283】
得られた半導電性のヤング率は2,400Mpaであり、熱膨張係数は95PPM/℃、体積抵抗率は1×1010Ωcm、表面抵抗率は1×1011Ω/□であった。十点平均表面粗さRzは3.5μmであった。
【0284】
(実施例1−5)
中間転写ベルト20として、以下に示すようにして作製した半導電性ベルトを用い以外は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表2示す。
【0285】
[半導電性ベルト(黒色ポリフッ化ブニリデン樹脂ベルト)の作製]
ポリフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学工業(株)製:商品名「#850」)100質量部に、導電剤として、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%))を23質量部酸化亜鉛ウイスカ(松下電器産業(株)製:品番WZ-0501)10質量部と導電性酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製:品番23−KC)20質量部とを添加して、二軸押出機で分散・混練して樹脂組成物を得た。これを1軸押出機を用いて、厚さ0.12mmの無端ベルト状に成型し、白色の半導電性ベルトを得た。
【0286】
得られた半導電性のヤング率は2,400Mpaであり、体積抵抗率は1×1010.2Ωcm、表面抵抗率は1×1011.5Ω/□であった。十点平均表面粗さRzは3.0μmであった。
【0287】
(実施例1−6)
中間転写ベルト20として、以下に示すようにして作製した半導電性ベルトを用い以外は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表2示す。
【0288】
[半導電性ベルト(白色表面層付き黒色ポリフッ化ブニリデン樹脂ベルト)の作製]
実施例1−5の黒色ポリフッ化ブニリデン樹脂ベルト(基材)に以下の表面層を形成する。樹脂成分100質量部に対して、白色の導電剤として導電性酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製:品番23−KC)28質量部とフッ素樹脂粒子(ダイキン工業(株)製ルブロンL−5平均粒子径0.2μm)20質量部を含有する2液硬化型の水系のウレタン系樹脂塗料(エムラロン345:日本アチソン(株)製)と、硬化剤としてのブロックイソシアネート(WH−2:日本アチソン(株)製)を100:10の配合比で混合した溶液を混合した。得られた混合液を基材表面にスプレー塗布した後、120℃で15分間加熱・乾燥して、と白色の導電剤とフッ素系樹脂粒子とウレタン樹脂からなる膜厚20μmの表面層を形成した。これを、半導電性ベルトとした。
【0289】
以上のように作製された半導電性ベルトの体積抵抗率は1×1010.5Ωcmであり、十点平均表面粗さRzは9μmであった。
【0290】
(実施例1−7)
中間転写ベルト20として、以下に示すようにして作製した半導電性ベルトを用い以外は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表2示す。
【0291】
[半導電性ベルト(白色表面層付き黒色ポリイミドベルト)の作製]
実施例1−2の黒色ポリイミドベルト(基材)に以下の表面層を形成する。樹脂成分100質量部に対して、白色の導電剤として導電性酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製:品番Pazet CK)30質量部とフッ素樹脂粒子(ダイキン工業(株)製ルブロンL−5平均粒子径0.2μm)20質量部を含有する2液硬化型の水系のウレタン系樹脂塗料(エムラロン345:日本アチソン(株)製)と、硬化剤としてのブロックイソシアネート(WH−2:日本アチソン(株)製)を100:10の配合比で混合した溶液を混合した。得られた混合液を基材表面にスプレー塗布した後、120℃で15分間加熱・乾燥して、と白色の導電剤とフッ素系樹脂粒子とウレタン樹脂からなる膜厚20μmの表面層を形成した。これを半導電性ベルトとした。
【0292】
以上のように作製された半導電性ベルトの体積抵抗率は1×1011.5Ωcmであり、十点平均表面粗さRzは14μmであった。
【0293】
(実施例1−8)
中間転写ベルト20として、以下に示すようにして作製した半導電性ベルトを用い以外は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表2示す。
【0294】
[半導電性ベルト(白色表面層付き黒色ポリイミドベルト)の作製]
実施例1−2の黒色ポリイミドベルト(基材)に以下の表面層を形成する。樹脂成分100質量部に対して、白色の導電剤として導電性酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製:品番 Pazet GK)18質量部とフッ素樹脂粒子(ダイキン工業(株)製ルブロンL−5平均粒子径0.2μm)10質量部を含有する2液硬化型の水系のウレタン系樹脂塗料(エムラロン345:日本アチソン(株)製)と、硬化剤としてのブロックイソシアネート(WH−2:日本アチソン(株)製)を100:10の配合比で混合した溶液を混合した。得られた混合液を基材表面にスプレー塗布した後、120℃で15分間加熱・乾燥して、と白色の導電剤とフッ素系樹脂粒子とウレタン樹脂からなる膜厚20μmの表面層を形成した。これを、半導電性ベルトとした。
【0295】
以上のように作製された半導電性ベルトの体積抵抗率は1×1011Ωcmであり、十点平均表面粗さRzは1.3μmであった
【0296】
(実施例1−9)
上記第1実施形態の他の例と同様な構成(図4参照)の画像形成装置を用意し、中間転写ドラム20Aとして、以下に示すようにして作製したドラムを用いた。その他、条件は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表2示す。
【0297】
[中間転写ドラム(黒色中間転写ドラム)の作製]
−基材の作製−
長さ248mm、外径30mmのアルミニウムパイプ素管の両端近傍を旋盤加工し、この加工部分に回転軸を有するフランジを圧入した。更に、フランジの回転軸を基準とし、アルミニウム素管の表面を旋盤加工と研磨加工により、外径公差0.01mm以下、外径フレ精度0.01mmに仕上げたものを基材とした。
【0298】
−弾性層の形成−
このパイプ表面をブラスト処理し、プライマーを塗布した後、以下のようにして弾性層を形成した。
ゴム配合1
・エピクロルヒドリンゴム(1):75質量部
・アクリロニトリルブタジエンゴム(2):25質量部
・加硫剤:硫黄(鶴見化学工業社製、200メッシュ):5質量部
・加硫促進剤:ノクセラ−M(大内新興化学工業社製):1.5質量部
・加硫助剤:酸化亜鉛:5質量部
・老化防止剤:ノクラック224S(川口化学社製):1質量部
・加工助剤:ステアリン酸:1質量部
・可塑剤:DOP(大八化学社製):10質量部
・カーボンブラック:電気化学工業(株)粒状アセチレンブラック18質量部
ここで、前記エピクロルヒドリンゴム(1)は日本ゼオン社製のGechron3103(エチレンオキサイド含有量35モル%)、前記アクリロニトリルブタジエンゴム(2)は日本ゼオン社製のニポールDN−219(アクリロニトリル含有量33.5質量%)をそれぞれ使用した。
【0299】
上記ゴム配合1の組成物をバンバリーミキサーに投入し、初期温度50℃で2分間混練した後、ゴム組成物を2本ロールにて混練した。得られた混練物をチューブクロスヘッド押出成形機によりチューブ状に成形した。次いで、成形されたブレンドゴム材料を加硫缶内で温度126℃,圧力1.5kg/cmG の加圧蒸気により加熱し加硫して、弾性層を形成した。得られた弾性層を前記長さ248mm、外径30mmのアルミニウムパイプ素管の外側に被せ、表面を研磨加工して、厚さ5mm ,外径φ40mm、幅248mm、体積抵抗率6×10Ωcmの層を作製した。また、得られた弾性層はデュロメータ硬さがC50/Sであった。
【0300】
−表面層の形成−
弾性層上に次のようにして表面層を形成する。樹脂成分100質量部に対して、導電剤として電気化学工業(株)粒状アセチレンブラック25質量部とフッ素樹脂粒子(ダイキン工業(株)製ルブロンL−5平均粒子径0.2μm)20質量部を含有する2液硬化型の水系のウレタン系樹脂塗料(エムラロン345:日本アチソン(株)製)と、硬化剤としてのブロックイソシアネート(WH−2:日本アチソン(株)製)を100:10の配合比で混合した溶液を混合した。得られた混合液を基材表面にスプレー塗布した後、120℃で15分間加熱・乾燥して、と白色の導電剤とフッ素系樹脂粒子とウレタン樹脂からなる膜厚20μmの表面層を形成した。
【0301】
以上のように作製された中間転写ドラムの体積抵抗率は8×1010Ωcmであり、十点平均表面粗さRzは7μmであった。
【0302】
(実施例1−10)
中間転写ドラム20Aとして、以下に示すようにして作製した中間転写ドラムを用い以外は実施例1−9と同様にして評価した。結果を表2示す。
【0303】
[中間転写ドラム(白色表面層付き黒色中間転写ドラム)の作製]
実施例1−9の表面層を次のように変更した以外は、実施例1−9と同様にして製作した。表面層は、樹脂成分100質量部に対して、白色の導電剤として導電性酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製:品番23−KC)28質量部とフッ素樹脂粒子(ダイキン工業(株)製ルブロンL−5平均粒子径0.2μm)20質量部を含有する2液硬化型の水系のウレタン系樹脂塗料(エムラロン345:日本アチソン(株)製)と、硬化剤としてのブロックイソシアネート(WH−2:日本アチソン(株)製)を100:10の配合比で混合した溶液を混合した。得られた混合液を基材表面にスプレー塗布した後、120℃で15分間加熱・乾燥して、と白色の導電剤とフッ素系樹脂粒子とウレタン樹脂からなる膜厚20μmの表面層を形成した。
【0304】
以上のように作製された中間転写ドラムの体積抵抗率は1×1010.8Ωcmであり、十点平均表面粗さRzは9μmであった
【0305】
(実施例1−11)
上記第2実施形態の他の例と同様な構成(図5参照)の画像形成装置を用意し、転写搬送ベルト28として、実施例1−1と同様に示すようにして作製した半導電性ベルトを用いた。その他、条件は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表2示す。
【0306】
(比較例1)
実施例1−1において、中間転写方式に代えて、ロール状に巻かれた連続紙しに対し、トナー像を転写し、当該連続紙に転写されたトナーに対し、発色情報付与、定着、発色露光を行った以外は、実施例1−1と同様にして評価した。
【0307】
以下、実施例1−1〜11、及び比較例1における、色再現性、転写画質の評価結果に加え、中間転写体(或いは転写搬送ベルト)の反射率、表面粗さについて、表2にまとめて示す。
【0308】
【表2】

【0309】
表2の結果から、各実施例では、比較例に比べ、光による発色情報に応じて発色又は非発色の状態を制御することが可能なトナーを用いて、画質欠陥のない画像を、長期間に渡り安定して得られることがわかる。
【0310】
なお、実施例1-7は、表面粗さが大きいことよりクリーニング不良が発生して、中間転写ベルトにトナー等が付着し、ハーフトーンむらなどの画質劣化が僅かではあるが発生した。実施例1−8は、接触する感光体などの影響によって、僅かではあるが色ずれの発生がした。
【0311】
(実施例2)
実施例1−1の画像形成において、感光体11の線速を300mm/秒とした以外は、同様にして画像形成を行い、同様の画像評価を行った。また、この条件で定着装置、光照射装置を外して未定着像を出力し、そのまま10分間暗所で放置した後、同一速度、温度で定着、光照射を行い画像形成を行った。
その結果、放置の有無にかかわりなく、発色濃度、色再現性、ハイライト画像部再現性ともに実施例1−1におけるプリントと遜色ないものが得られた。
【0312】
(実施例3)
実施例1−1の画像形成において、画像形成ユニット10の現像剤1の代わりに現像剤2を用い、Fトナーへの発色情報付与を、下記表3に示す組み合わせに変更した以外は同様にして画像形成を行い、同様の画像評価を行った。
その結果、発色濃度は1.5以上であり、色再現性、ハイライト再現性も目視レベルで実施例1と同等の結果であり、光発色型トナーを用いた場合でも、実施例1の光非発色型トナーの場合と同様に、発色濃度、色再現性、ハイライト部再現性に優れた特性が得られた。
【0313】
【表3】

【0314】
以上のように、実施例2〜3に示すように、Fトナー及び黒着色トナーを用いた画像形成装置(画像形成方法)では、黒色画像の画像濃度が高く、しかもFトナー消費量が少なくランニングコストを低減できることがわかる。
【0315】
また、感光体11の線速を大きく変化させたときにも画像に変化はなく安定しており、またハイライト画像部における再現性もよく高画質画像を得ることができることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0316】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】印字制御部の回路ブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る画像形成装置の他の例を示す概略構成図である。
【図4】第1実施形態に係る画像形成装置の他の例を示す概略構成図である。
【図5】第2実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図6】半導電性ベルト(中間転写体、転写搬送ベルト)上で、発色情報付与のための露光が行われる状態を示す模式図である。
【図7】表面抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。
【図8】体積抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。
【図9】トナーの発色機構を説明するための模式図であり、(A)は発色部、(B)はその拡大状態を示す。
【符号の説明】
【0317】
10 画像形成ユニット
11 感光体
12 帯電装置
13 露光装置
14 現像装置
15 第1転写装置
16 クリーニング装置
20 中間転写ベルト
20A 中間転写ドラム
21 発色情報付与装置
22 第2転写装置
23 定着装置
24 光照射装置
25 張架ロール
26 バックアップロール
27 発色装置
28 転写搬送ベルト
30 半導電性ベルト
32 光書込ヘッド
34 発色情報付与露光ヘッド
36 プリンタコントローラ
38 露光部
40 論理和回路
42 発振回路
44Y イエロー発色制御回路
44C シアン発色制御回路
44K ブラック発色制御回路
44M マゼンタ発色制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光による発色情報の付与により、発色又は非発色の状態を維持するように制御されるトナーを用いる画像形成装置であって、
像担持体と、
前記トナーを含む現像剤により該像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記像担持体表面に形成された前記トナー像を中間転写体表面に転写する第1転写手段と、
前記像担持体に形成されたトナー像が転写される中間転写体と、
前記中間転写体上に転写された前記トナー像に光による発色情報を付与する発色情報付与手段と、
前記中間転写体表面に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する第2転写手段と、
前記記録媒体表面に転写された前記トナー像を熱及び/又は圧力により定着する定着手段と、
加熱により前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記中間転写体は、外周面の反射率が75〜99%であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記中間転写体は、白色導電剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記中間転写体は、白色導電剤を含有する表面層を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記中間転写体は、ヤング率が2000MPa以上の基材を有するベルト部材であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持体は、感光体であり、
前記トナー像形成手段は、前記感光体表面を帯電する帯電手段と、該感光体表面に露光により静電潜像を形成する露光手段と、前記トナーを含む現像剤により該静電潜像をトナー像とする現像手段とを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記定着手段が、前記発色手段を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
さらに、定着後の記録媒体表面に光を照射する光照射手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記トナーが、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれかを含む光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化又は未硬化の状態を維持して、前記発色のための反応が制御されるトナーであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
光による発色情報の付与により、発色又は非発色の状態を維持するように制御されるトナーを用いる画像形成方法であって、
前記トナーを含む現像剤により該像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成工程と、
前記像担持体表面に形成された前記トナー像を中間転写体表面に転写する第1転写工程と、
前記中間転写体上に転写された前記トナー像に光による発色情報を付与する発色情報付与工程と、
前記中間転写体表面に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する第2転写工程と、
前記記録媒体表面に転写された前記トナー像を熱及び/又は圧力により定着する定着工程と、
加熱により前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色工程と、
を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項11】
光による発色情報の付与により、発色又は非発色の状態を維持するように制御されるトナーを用いる画像形成装置であって、
像担持体と、
前記トナーを含む現像剤により該像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記像担持体表面に形成された前記トナー像を記録媒体表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体を転写領域に搬送する転写搬送ベルトと、
前記転写搬送ベルト上で前記記録媒表面に転写された前記トナー像に光による発色情報を付与する発色情報付与手段と、
前記記録媒体表面に転写された前記トナー像を熱及び/又は圧力により定着する定着手段と、
加熱により前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記転写搬送ベルトは、外周面の反射率が75〜99%であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記転写搬送ベルトは、白色導電剤を含有することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記転写搬送ベルトは、白色導電剤を含有する表面層を有することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記転写搬送ベルトは、ヤング率が2000MPa以上の基材を有するベルト部材であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記像担持体は、感光体であり、
前記トナー像形成手段は、前記感光体表面を帯電する帯電手段と、該感光体表面に露光により静電潜像を形成する露光手段と、前記トナーを含む現像剤により該静電潜像をトナー像とする現像手段とを有する、
ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記定着手段が、前記発色手段を兼ねることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項18】
さらに、定着後の記録媒体表面に光を照射する光照射手段を有することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記トナーが、互いに隔離された状態で存在し、互いに反応した際に発色する第1成分及び第2成分と、該第1成分及び第2成分のいずれかを含む光硬化性組成物と、を有し、光による発色情報の付与により前記光硬化性組成物が硬化又は未硬化の状態を維持して、前記発色のための反応が制御されるトナーであることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項20】
光による発色情報の付与により、発色又は非発色の状態を維持するように制御されるトナーを用いる画像形成方法であって、
前記トナーを含む現像剤により該像担持体表面にトナー像を形成するトナー像形成工程と、
前記像担持体表面に形成された前記トナー像を、転写搬送ベルトにより搬送された記録媒体表面に転写する転写工程と、
前記転写搬送ベルト上で前記記録媒表面に転写された前記トナー像に光による発色情報を付与する発色情報付与工程と、
前記記録媒体表面に転写された前記トナー像を熱及び/又は圧力により定着する定着工程と、
加熱により前記発色情報を付与されたトナー像を発色させる発色工程と、
を有することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−20711(P2008−20711A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192858(P2006−192858)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】