説明

画像形成装置

【課題】 トナーの混色を防止できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 画像形成装置10は、トナーカートリッジ22の装着部34にアンテナ54を設けている。アンテナ54は、装着部34に装着されるトナーカートリッジ22に取り付けられているメモリチップ52と、無線により通信する。メモリチップ52は、トナーカートリッジ22のトナーに関する情報、例えば色IDを記憶している。装着部34のアンテナ54は、メモリチップ52から色IDを受け付けて制御部32に対して出力する。制御部32は、誤ったトナーカートリッジ22が装着されようとしていると判断した場合には、モータ62を制御して、ラック68に固定されたトナー供給口64を、装着口34の開口部58の近傍から移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置は、着脱可能なトナーカートリッジからトナーが供給され、トナー像が転写された記録媒体に対して定着処理を施して、記録媒体に画像を形成する。トナーカートリッジは、対応する色ごとに複数設けられている。
特許文献1では、トナーカートリッジが画像形成装置本体に装着されてから、色情報を記憶したメモリチップから情報を読み取って、誤った色のトナーカートリッジが装着されたか否かを判断し、ユーザに知らせることにより、トナーの混色を防ぐ方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された手法では、判断はカートリッジが装着されてからなされるので、トナーカートリッジが誤って装着された場合には、トナーの混色が発生してしまうことがある。
【0003】
【特許文献1】特開2004−205660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した背景からなされたものであり、トナーの混色を防止する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明にかかる画像形成装置は、少なくともトナーに関する情報を記憶する記憶手段、及びこの記憶手段により記憶されている情報を無線により送信する送信手段を有するトナーカートリッジと、このトナーカートリッジが装着される装着部と、前記装着部に前記トナーカートリッジが装着される前に、前記送信手段から送信されるトナーに関する情報を受信する受信手段とを有する。
【0006】
好適には、前記受信手段は、トナーの色に関する情報を受信する。
好適には、前記受信手段により受信された情報に基づいて、前記トナーカートリッジからのトナー供給が許されるか否かを判断する判断手段をさらに有する。
【0007】
好適には、前記判断手段により判断された結果に応じて、トナー供給を阻止する阻止手段をさらに有する。
また、好適には、前記阻止手段は、トナー供給口を、供給可能位置から移動させる。
また、好適には、前記阻止手段は、トナー供給口を塞ぐ。
また、好適には、前記阻止手段は、前記装着部の内側に壁を形成する。
【0008】
さらに、好適には、前記判断手段により判断された結果を表示する表示手段をさらに有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トナーの混色を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るタンデム型の画像形成装置10を示す。画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、この画像形成装置本体12の下部に例えば1段の給紙カセット24が配置されていると共に、この画像形成装置本体12の上部に画像が形成された記録媒体を排出する排出部36が設けられている。
【0011】
画像形成装置本体12には、例えば略中央部にフルカラーの画像形成を行うプリントヘッドデバイス(Print Head Device )14が配置されている。プリントヘッドデバイス14には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、シアン(C)用の像担持体としての感光体ドラム16a,16b,16c,16dと、これらの感光体ドラム16a,16b,16c,16d上に形成された静電潜像を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、ブラック(K)、シアン(C)の各色のトナーで現像する現像装置20a,20b,20c,20dと、4つの感光体ドラムのうちの2つの感光体ドラム16a,16bに接触する中間転写体としての第1の一次中間転写ドラム38と、他の2つの感光体ドラム16c,16dに接触する第2の一次中間転写ドラム40と、第1、第2の一次中間転写ドラム38,40に接触する二次中間転写ドラム42と、この二次中間転写ドラム42に接触する転写部材としての最終転写ロール44とが設けられている。
【0012】
また、画像形成装置本体12には、プリントヘッドデバイス14の像担持体としての4つの感光体ドラム16a,16b,16c,16dに画像露光を施す露光装置18と、プリントヘッドデバイス14の各色の現像装置20a,20b,20c,20dに対応する色のトナーを供給する4つのトナーカートリッジ22a,22b,22c,22dと、プリントヘッドデバイス14からトナー像が転写された記録媒体に対して、定着処理を施す定着装置26と、この定着装置26によって片面に画像が定着された記録媒体を、表裏を反転した状態で、再度プリントヘッドデバイス14の転写部へと搬送する両面用搬送経路28と、画像形成装置本体12の外部から所望の記録媒体を給紙する手差し給紙手段30と、記録媒体を不図示の紙送り工程を経て二次中間転写ドラム42と最終転写ロール44のニップ部に送り込む用紙搬送ロール46と、画像形成装置10の動作を制御する制御回路や画像信号に対して画像処理を施す画像処理回路等からなる制御部32とが設けられている。
【0013】
画像形成装置本体12には、トナーカートリッジ22a,22b,22c,22dが着脱可能に装着される装着部34a,34b,34c,34dが設けられている。これらの装着部34a,34b,34c,34dのそれぞれには、後述するアンテナ54が配置されており、これらのアンテナ54は、装着されるトナーカートリッジ22a,22b,22c,22dに取り付けられている後述するメモリチップ52との間で無線通信を行う。
【0014】
さらに、画像形成装置本体12の上面には、操作部48が設けられている。操作部48は、画像形成装置10の制御情報や指示情報などを表示すると共に、指示情報などのユーザによる入力を受入れる。操作部48は、例えばタッチパネルなどのユーザインターフェイス装置により構成される。なお、操作部48は、スイッチなどの入力のみを受入れるものであってもよいし、表示などの出力のみを行うものであってもよく、これらを組合わせたものであってもよい。
なお、感光体ドラム16a,16b,16c,16dなど複数ある構成部分のいずれかを特定せずに示す場合には、単に感光体ドラム16などと略記することがある。
【0015】
次に、制御部32及びメモリチップ52に関し、それぞれの回路構成について説明する。
図2は、制御部32及びメモリチップ52の回路構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制御部32は、CPU102、ROM104、RAM106、電源回路108、送受信回路110、インターフェイス(IF)回路112を含む。
制御部32において、CPU102は、制御部32の各構成部分の動作を制御する。ROM104は、例えばフラッシュROMからなり、画像形成装置10の制御に必要な情報などを記憶する。RAM106は、例えばSRAMからなり、IF回路112から入力される画像データなどの一時的な情報を記憶する。電源回路108は、制御部32の各構成部分の動作に必要な電力を供給する。送受信回路110は、後述するアンテナ54により受信された信号を復調し、受信信号に含まれるデータを生成して、CPU102に対して出力する。IF回路112は、ネットワーク等を介して外部のコンピュータとの間で画像データなどを送受信する。
【0016】
制御部32は、これらの構成要素により、送受信回路110から入力された情報に基づいて、トナーカートリッジ22からのトナー供給が許されるか否かを判断する。制御部32は、この判断結果に応じて、トナー供給を阻止する混色防止機構50を制御して、誤ったトナーが供給されることを防止する。また、制御部32は、所定の情報を操作部48から受け付け、又は操作部48に表示する。
混色防止機構50a,50b,50c,50dは、制御部32の制御により、トナーカートリッジ22a,22b,22c,22dからのトナー供給を阻止する阻止手段を構成する。なお、混色防止機構50については、後で詳述する。
【0017】
アンテナ54a,54bは、トナーカートリッジ22のメモリチップ52から送信されるトナーに関する情報を受信して、制御部32の送受信回路110に対して出力する。例えば、アンテナ54a,54bは、トナーの色に関する情報を受信する。アンテナ54a,54bは、装着部34の近傍に配置されている。より具体的には、第1のアンテナ54aは、装着部34a,34bの近傍に配置され、トナーカートリッジ22aのメモリチップ52a、及びトナーカートリッジ22bのメモリチップ52bから送信される情報を受信する。また、第2のアンテナ54bは、装着部34c,34dの近傍に配置され、トナーカートリッジ22cのメモリチップ52c、及びトナーカートリッジ22dのメモリチップ52dから送信される情報を受信する。このようにして、アンテナ54は、トナーカートリッジ22のメモリチップ52から送信されるトナーに関する情報を受信する受信手段を構成する。
【0018】
トナーカートリッジ22a,22b,22c,22dには、対応するメモリチップ52a,52b,52c,52dが取り付けられている。メモリチップ52は、CPU120、EPROM122、RAM124、電源回路126、送受信回路128、アンテナ130を含む。メモリチップ52は、これらの構成要素により、トナーに関する情報を記憶し、通信要求を発行し、送信対象に対して、EPROM122に記憶されている情報を無線により送信する。
【0019】
メモリチップ52において、CPU120は、メモリチップ52の各構成部分の動作を制御する。
電源回路126は、電波信号を受け入れると、電波信号による電磁誘導によって生じた電流を整流し、メモリチップ52の各構成部分に対して、それらの動作に必要な電力を供給する。メモリチップ52は、例えば電源回路126によって発生させられる電圧よりも高い電圧が必要である場合には、画像形成装置本体12から電力の供給を受けるように構成されてもよい。例えば、電力は、メモリチップ52に電源用のコイル等をさらに設け、画像形成装置本体12に供給されている交流から非接触で供給されてもよい。
【0020】
EPROM122は、書き込み可能な不揮発性メモリであり、CPU120から入力される信号がデータの書き込みを示す場合には、当該データを記憶し、データの読み出しを示す場合には、記憶しているデータをCPU120に対して出力する。EPROM122は、例えばフラッシュROM又はFeRAM(強誘電体メモリ)であってもよい。EPROM122は、少なくともトナーに関する情報を記憶し、特にトナーの色に関する情報を記憶する。
RAM124は、CPU120により書き込み及び読み出しが行われる一時的な情報を記憶する。
【0021】
送受信回路128は、CPU120から入力されるデータなどの信号を、クロック信号に同期して変調し、アンテナ130に対して出力する。また、送受信回路128は、電波信号を受け入れると、電波信号に含まれるデータなどの信号を、クロック信号に同期してCPU120に対して出力する。
アンテナ130は、送受信回路128から入力された信号を、電波信号として、装着部34の近傍に設けられたアンテナ54に対して送信する。
なお、電波信号として送受信される信号は、CPU120により暗号化された後に電波信号に変換されて、送受信されるようにしてもよい。
【0022】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置10に設けられている混色防止機構50を説明する図である。
図3に示すように、混色防止機構50は、トナー供給口64と、このトナー供給口64と現像装置20とを連通させる供給通路60と、トナー供給口64を移動させるモータ62と、このモータ62により駆動されるギア66と、このギア66と噛み合っているラック68とを含む。制御部32は、これらの構成要素を含む混色防止機構50を制御することにより、トナー供給口64を供給可能位置から移動させて、トナーがトナー供給口64に供給されることを阻止する。
【0023】
トナー供給口64は、ラック68に固定されている。ラック68は、装着部34の例えば長手方向に沿って直線状に形成されている。供給通路60は、例えばゴム等の弾性体であり、一端をトナー供給口64に固定されている。このため、モータ62が制御部32により駆動されると、ギア66が回転し、トナー供給口64の静止位置が調整され、トナー供給口64は所定の位置に保持される。
【0024】
装着部34の近傍にはアンテナ54が設けられており、アンテナ54は、トナーカートリッジ22が装着される前に、トナーカートリッジ22に取り付けられているメモリチップ52と無線により情報を送受信して、メモリチップ52内に記憶されているトナーに関する情報を受信する。アンテナ54は、制御部32に対して、受信されたトナーに関する情報を出力する。また、装着部34には開口部58が設けられており、トナーカートリッジ22が、図中の一転鎖線矢印の方向に装着部34に挿入されて装着されると、トナーがトナーカートリッジ22から開口部58を介してトナー供給口64に供給され、供給通路60を通って現像装置20に供給される。
【0025】
制御部32において、CPU102は、送受信回路110を介して入力されたトナーに関する情報に基づいて、トナーカートリッジ22からのトナー供給が許されるか否かを判断する。より具体的には、CPU102は、トナーカートリッジ22が装着部34に装着される前に、トナーカートリッジ22のメモリチップ52に記憶されているトナーの色に関する情報を受け付け、この色情報に対応する装着部34に装着されようとしているか否かを判断する。ここで、トナーの色に関する情報は、例えば、トナーの色を一意に識別する色識別子(ID)である。CPU102は、トナーカートリッジ22が、対応する装着部34とは異なる装着部34に装着されると判断した場合には、モータ62を制御して、開口部58の近傍(供給可能位置)から離れる方向にトナー供給口64を移動させ、トナーがトナー供給口64に供給されることを阻止する。
なお、開口部58には開口部58を開閉する開閉機構(不図示)が設けられてもよく、開閉機構は、トナー供給口64が開口部58の近傍から離された場合には、CPU102の制御により開口部を閉じてもよい。
【0026】
図4は、トナー供給が阻止された場合に、操作部48に表示される内容を例示する図である。
図4に例示するように、操作部48は、表示部70と複数の入力ボタン72,74とを有しており、CPU102の制御によりCPU102による判断結果を表示部70に表示する。CPU102は、トナーカートリッジ22が、対応する装着部34とは異なる装着部34に装着されると判断した場合には、操作部48の表示部70に、例えば「誤った色のカートリッジが装着されようとしています。」と表示して、ユーザに通知する。
【0027】
次に上記実施形態の作用について説明する。
プリント信号が送られると、感光体ドラム16が一様に帯電され、この帯電された感光体ドラム16には、画像信号に基づいて露光装置18から光線が出射される。露光装置18からの光線は、感光体ドラム16の表面を露光し、潜像が形成される。露光装置18により形成された感光体ドラム16a,16b,16c,16dの潜像は、トナーカートリッジ22a,22b,22c,22dからトナーを供給される現像装置20a,20b,20c,20dによってイエロー、マゼンタ、黒、シアンのトナー像を現像され、一次中間転写ドラム38,40に重ねて一次転写される。
【0028】
一方、給紙信号等により、給紙カセット24に収納された用紙は、不図示の紙送り工程を経て、用紙搬送ロール46により二次中間転写ドラム42と最終転写ロール44のニップ部に送り込まれる。用紙が二次中間転写ドラム42と最終転写ロール44との間に導かれると、一次中間転写ドラム38,40に一次転写されているトナー像が二次中間転写ドラム42と最終転写ロール44とによって用紙に二次転写される。トナー像を転写された用紙は、定着装置26に導かれて、トナー像を定着される。トナー像が定着した用紙は、排出口から排出部36へ排出される。
【0029】
このようにプリント処理が繰り返されると、トナーカートリッジ22内のトナーが消費されて減少する。トナーがなくなると、トナーカートリッジ22は交換される必要がある。このため、使用済みのトナーカートリッジ22が画像形成装置本体12の装着部34から取り外され、新規のトナーカートリッジ22が画像形成装置本体12の装着部34に装着される。
【0030】
図5は、本実施形態に係る画像形成装置10の混色防止処理(S10)を示すフローチャートである。
図5に示すように、ステップ100(S100)において、制御部32は、トナーカートリッジ22が、画像形成装置本体12の装着部34a,34b,34c,34dの少なくともいずれかに装着されていないか否かを判断する。トナーカートリッジ22が全ての装着部34に装着されている場合(S100においてN)には、制御部32は処理を終了し、トナーカートリッジ22が装着部34の少なくともいずれか1つに装着されていない場合(S100においてY)には、制御部32はS102の処理に進む。
【0031】
ステップ102(S102)において、制御部32は、送受信回路110及びアンテナ54を介して、無線により、トナーカートリッジ検出用通信を開始する。
ステップ104(S104)において、制御部32は、アンテナ54を介して、トナーカートリッジ22のメモリチップ52から送信される応答信号を受信したか否かを判定する。制御部32は、トナーカートリッジ22のメモリチップ52から送信される信号を受信した場合には、S106の処理に進み、そうでない場合には、S104の処理を繰り返す。
【0032】
ステップ106(S106)において、制御部32は、送受信回路110を介して、トナーカートリッジ22のメモリチップ52に対して、メモリチップ52に記憶されているトナーに関する情報、特に当該トナーカートリッジ22の色IDを要求し、メモリチップ52から色IDを受け付ける。
ステップ108(S108)において、制御部32は、当該色IDは、装着されようとしている装着部34に対応する色IDか否かを判断する。制御部32は、当該色IDが装着部34に対応する色IDである場合には処理を終了し、そうでない場合にはS110の処理に進む。
【0033】
ステップ110(S110)において、制御部32は、誤った色のトナーカートリッジ22が装着されようとしている旨を、操作部48の表示部70に表示する。
ステップ112(S112)において、制御部32は、モータ62を制御して、装着部34の開口部58近傍から離れる方向にトナー供給口64を移動させる。
このようにして、誤った色のトナーが、トナー供給口64に供給されることが防止される。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置10は、少なくともトナーに関する情報を記憶し、この記憶されている情報を無線により送信するメモリチップ52有するトナーカートリッジ22と、このトナーカートリッジが装着される装着部34と、装着部34にトナーカートリッジ22が装着される前に、メモリチップ52から送信されるトナーに関する情報を受信するアンテナ54とを有するので、トナーカートリッジ22の誤装着を防止することができる。画像形成装置10は、受信された情報に基づいて、トナーカートリッジ22からのトナー供給が許されるか否かを判断する制御部32と、トナー供給を阻止する混色防止機構50を有するので、誤った色のトナーが供給されることを防止でき、混色が発生することを防止することができる。また、画像形成装置10は、トナー供給口64を供給可能位置から移動させて混色を防ぐので、トナーカートリッジ22の構造を色ごとに変える必要がなく、低コストで混色防止を実現できる。
【0035】
次に本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置10を説明する。
図6は、本実施形態に係る画像形成装置10に設けられている混色防止機構50を説明する図である。
図6に示すように、混色防止機構50は、トナー供給口64を塞ぐ遮蔽部材82と、この遮蔽部材82を動作させるソレノイド80とを含む。本実施形態に係る画像形成装置10は、制御部32が、混色防止機構50を制御することにより、遮蔽部材82を用いてトナーがトナー供給口64に供給されることを阻止する点で、第1の実施形態に係る画像形成装置10と異なる。
なお、図6に示された各構成のうち、図3に示された構成と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。
【0036】
トナー供給口64は、装着部34の開口部58に対向する位置に固定されている。ソレノイド80は、制御部32により制御されて、例えば装着部34の長手方向に沿って、遮蔽部材82を移動させ、所定の位置に停止させる。遮蔽部材82は、少なくともトナー供給口64の上面の面積より大きい部材である。遮蔽部材82は、ソレノイド80により移動され、トナー供給口64の上部に停止されるとトナー供給口64を塞ぎ、トナー供給口64の上部から離れて停止されるとトナー供給口64の上面を開放する。
【0037】
このため、制御部32のCPU102がトナーカートリッジ22が対応する装着部34とは異なる装着部34に装着されると判断した場合には、制御部32がソレノイド80を制御して、遮蔽部材82を移動させて、トナー供給口64を塞ぐことにより、トナーがトナー供給口64に供給されることを阻止する。また、CPU102がトナーカートリッジ22が対応する装着部34に装着されると判断した場合には、制御部32がソレノイド80を制御して、遮蔽部材82を移動させて、トナー供給口64の上面を開放することにより、適切な色のトナーがトナー供給口64に供給される。
【0038】
図7は、本実施形態に係る画像形成装置10の混色防止処理(S20)を示すフローチャートである。なお、図7に示された各処理のうち、図5に示された処理と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。
図7に示すように、S100〜S100の処理において、画像形成装置10の制御部32は、トナーカートリッジ22のメモリチップ52から送信されるトナーに関する情報、例えば色IDを受信し、当該色IDが装着されようとしている装着部34に対応する色IDか否かを判断する。
制御部32は、色IDに基づいた判断により、誤った色のトナーカートリッジ22が装着されようとしている場合には、その旨を操作部48の表示部70に表示する。
【0039】
さらに、ステップ200(S200)において、制御部32は、ソレノイド80を制御し、遮蔽部材82をトナー供給口64の上部に移動させて、トナー供給口64を塞ぐ。
このようにして、誤った色のトナーが、トナー供給口64に供給されることが防止される。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置10は、トナーカートリッジ22からのトナー供給が許されるか否かを判断した結果に基づいてトナー供給口64を塞ぐので、誤った色のトナーが供給されることを防止でき、混色が発生することを防止することができる。特に、画像形成装置10はソレノイド80を用いて混色防止機構50を実現するので、低コストでより簡易に混色を防止することができる。
【0041】
次に本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置10を説明する。
図8は、本実施形態に係る画像形成装置10に設けられている混色防止機構50を説明する図である。
図8に示すように、混色防止機構50は、停止部材88と、この停止部材88を動作させるソレノイド86とを含む。また、装着部34には、停止部材88を受け入れる停止部材受入口84が所定の位置に設けられている。本実施形態に係る画像形成装置10は、制御部32が、混色防止機構50を制御することにより、停止部材88を用いて、トナーカートリッジ22が停止部材受入口84より奥に挿入されることを防ぐ点で、第1の実施形態に係る画像形成装置10と異なる。
なお、図8に示された各構成のうち、図3に示された構成と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。
【0042】
停止部材受入口84は、装着部34の例えば下部に設けられた隙間であって、装着部34の外面と内面とを連通するようにして設けられている。ソレノイド86は、制御部32により制御されて、停止部材88を例えば上下方向に移動させ、所定の位置に停止させる。
【0043】
このため、制御部32のCPU102がトナーカートリッジ22が対応する装着部34とは異なる装着部34に装着されると判断した場合には、制御部32がソレノイド86を制御して、停止部材88を上方向に移動させて、停止部材受入口84を介して装着部34の内側に停止させることにより、装着部34の内側に壁が形成されることになり、トナーカートリッジ22が挿入されることを阻止する。また、CPU102がトナーカートリッジ22が対応する装着部34に装着されると判断した場合には、制御部32がソレノイド86を制御して、停止部材88を下方向に移動させて、装着部34の外側に停止させることにより、トナーカートリッジ22が挿入されることを許可する。トナーカートリッジ22が装着部34に挿入されて装着されると、適切な色のトナーがトナーカートリッジ22からトナー供給口64に供給される。
【0044】
図9は、本実施形態に係る画像形成装置10の混色防止処理(S30)を示すフローチャートである。なお、図9に示された各処理のうち、図5に示された処理と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。
図9に示すように、S100〜S100の処理において、画像形成装置10の制御部32は、トナーカートリッジ22のメモリチップ52から送信されるトナーに関する情報、例えば色IDを受信し、当該色IDが装着されようとしている装着部34に対応する色IDか否かを判断する。
制御部32は、色IDに基づいた判断により、誤った色のトナーカートリッジ22が装着されようとしている場合には、その旨を操作部48の表示部70に表示する。
【0045】
さらに、ステップ300(S300)において、制御部32は、ソレノイド86を制御し、停止部材88を上方向に移動させて、停止部材受入口84を介して装着部34の内側に停止させる。
このようにして、トナーカートリッジ22が挿入されることが阻止されて、誤った色のトナーがトナー供給口64に供給されることが防止される。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置10は、トナーカートリッジ22からのトナー供給が許されるか否かを判断した結果に基づいて装着部34の内側に壁を形成するので、トナーカートリッジ22が挿入されることが阻止されて、誤った色のトナーが供給されることが防止されることができる。特に、画像形成装置10は、トナーカートリッジ22が装着されることを防ぐので、より確実にトナーの混色を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係るタンデム型の画像形成装置10を示す。
【図2】制御部32及びメモリチップ52の回路構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10に設けられている混色防止機構50を説明する図である。
【図4】トナー供給が阻止された場合に、操作部48に表示される内容を例示する図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10の混色防止処理(S10)を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置10に設けられている混色防止機構50を説明する図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置10の混色防止処理(S20)を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置10に設けられている混色防止機構50を説明する図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置10の混色防止処理(S30)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
10 画像形成装置
12 画像形成装置本体
14 プリントヘッドデバイス
16a,16b,16c,16d 感光体ドラム
18 露光装置
20a,20b,20c,20d 現像装置
22a,22b,22c,22d トナーカートリッジ
32 制御部
34a,34b,34c,34d 装着部
48 操作部
50a,50b,50c,50d 混色防止機構
52a,52b,52c,52d メモリチップ
54a,54b アンテナ
58 開口部
60 供給通路
62 モータ
64 トナー供給口
66 ギア
68 ラック
70 表示部
80 ソレノイド
82 遮蔽部材
84 停止部材受入口
86 ソレノイド
88 停止部材
102 CPU
104 ROM
106 RAM
108 電源回路
110 送受信回路
112 IF回路
120 CPU
122 EPROM
124 RAM
126 電源回路
128 送受信回路
130 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともトナーに関する情報を記憶する記憶手段、及びこの記憶手段により記憶されている情報を無線により送信する送信手段を有するトナーカートリッジと、
このトナーカートリッジが装着される装着部と、
前記装着部に前記トナーカートリッジが装着される前に、前記送信手段から送信されるトナーに関する情報を受信する受信手段と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記受信手段は、トナーの色に関する情報を受信する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記受信手段により受信された情報に基づいて、前記トナーカートリッジからのトナー供給が許されるか否かを判断する判断手段をさらに有する
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判断手段により判断された結果に応じて、トナー供給を阻止する阻止手段をさらに有する
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記阻止手段は、トナー供給口を、供給可能位置から移動させる
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記阻止手段は、トナー供給口を塞ぐ
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記阻止手段は、前記装着部の内側に壁を形成する
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記判断手段により判断された結果を表示する表示手段をさらに有する
請求項3乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−11196(P2007−11196A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−194847(P2005−194847)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】