説明

画像形成装置

【課題】 特に画像データの伝送ラインの断線、コネクタ外れ等による画像データライン未入力による画質でディフェクトを防止する。
【解決手段】 ビデオコントロールユニット64からデータ制御装置58へ画像データを伝送する伝送ライン62と、シーケンスコントロールユニット64から光出力装置46へ制御信号を伝送する伝送ライン60と、が別々に設けられているため、画像データを伝送する伝送ライン62の断線状態を監視するようにした。すなわち、プルアップ抵抗86によって所定の電圧Vを印加し、画像信号(H信号、L信号)の出力時にこの画像信号以外の電圧V(H>V>L)を検出した場合に、断線、或いはコネクタ82、84の脱落を検出する。これにより、白紙プリントがあり、かつこれを異常と判別できないような不具合を解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像信号を生成するビデオコントロールユニットからの画像データと、点灯タイミングを制御するシーケンスコントロールユニットからのシーケンスデータと、が異なる経路により光源駆動ユニットに伝送される光出力装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置に搭載される光源駆動ユニットでは、光ビームを画像データに応じて点灯/消灯の制御を行ない、ポリゴンミラー等の走査手段を介して、像担持体としての感光体ドラムへ照射する。
【0003】
ここで、ポリゴンミラーにより感光体ドラムの軸線方向に光ビームを走査しながら(主走査)、感光体ドラムを回転(副走査)させることで静電潜像が形成される。
【0004】
感光体ドラムに形成された静電潜像には、トナーが供給されることで顕像化され、その顕像化された像(トナー像)は、転写部において記録用紙に転写され、かつ記録用紙上の転写像が定着されることで、画像が形成される。
【0005】
このような電子写真方式の画像形成装置は、高画質の画像を高速で処理することができるため、複写機やレーザープリンタ等に適用されている。
【0006】
上記画像形成装置では、通常の画像データの書き込みとは別の作業として、サイド消し込みモードや後端消し込みモード、光量調整モード等の様々な処理が実行される。
【0007】
サイド消し込みモードや後端消し込みモードは、画像の一部を強制的に消し込むモードであり、記録用紙の大きさにより画像書き込みエリアが大きいと、トナーが記録用紙に転写されず感光体ドラム上に残存して、機内の汚れの原因となるからである。
【0008】
このため、記録用紙のサイドエッジ部分で強制的にLDを消灯させる(サイド消し込みモード)や、記録用紙の後端部分で強制的にLDを消灯させる(後端消し込みモード)ようにしている。
【0009】
また、画像形成装置では、ホストコンピュータから受け取った指示に従い、ビデオコントロールユニットでは、画像データを生成する。また、プリンタや複写機の動作を制御するシーケンスコントロールユニットでは、画像形成エリア外で点灯タイミングや光量調整制御を実施している。
【0010】
このビデオコントロールユニットからの画像データと、点灯タイミングを制御するシーケンスコントロールユニットからのシーケンスデータとは、異なる伝送ラインにより光量制御回路(レーザ駆動ユニット)に伝送される構成となっている(特許文献1参照)。
【0011】
このため、構成部品や接続箇所が増加し、これに伴い発生する伝送デバイスの故障、伝送ラインの断線、コネクタ外れ等による画像データライン未入力による画質ディフェクトの発生が増加する傾向にある。
【特許文献1】特開平6−166207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、画像データ入力に異常が発生した場合でも、シーケンスコントロールユニットからの伝送ラインとは別体とされた画像データの伝送ライン上では異常の検出手段はなく、白紙プリント等の異常プリントを見てはじめて異常が発生していることを認識するしかなかった。
【0013】
また、上記白紙プリント等の異常プリンタ出力されてもシステム上は、正常終了とみなされ、一時保管された画像データが破棄されてしまい、再プリントができないという不具合が生じていた。
【0014】
本発明は上記事実を考慮し、特に画像データの伝送ラインの断線、コネクタ外れ等による画像データライン未入力による画質でディフェクトを防止することができる画像形成装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の発明は、画像信号を生成するビデオコントロールユニットからの画像データと、点灯タイミングを制御するシーケンスコントロールユニットからのシーケンスデータと、が異なる経路によりレーザ駆動ユニットに伝送される光出力装置を備えた画像形成装置であって、前記光出力装置を制御して、前記画像データに基づいて画像形成エリア内で画像書き込み動作を行う画像書込点灯モード、並びに画像形成エリア外で光量調整動作を行う光量調整点灯モードを選択的に実行する制御手段と、前記制御手段による前記画像書込点灯モードの実行中に、画像データ入力の異常を検知する書込異常検知手段と、前記制御手段による光量調整点灯モードの実行中に、光量異常、同期間隔異常を検知する光源異常検知手段と、前記書込異常検知手段或いは光源異常検知手段により異常を検知した場合、当該異常の発生源を判別する異常発生源判別手段と、を有している。
【0016】
第1の発明によれば、画像書込点灯モードにおいてビデオコントロールユニットから画像データを受ける際、この画像データは、シーケンスコントロールユニットとは伝送経路で伝送されるため、例えば、伝送経路の断線やコネクタの脱落等で画像データが確実に光源駆動ユニットに到達しなかった場合、シーケンスコントロールユニットでは、この画像データ未入力異常を検知することができない。
【0017】
そこで、書込異常検知手段を新たに設けることで、制御手段による前記画像書込モードの実行中に、画像データ入力の異常を検知することができる。
【0018】
また、第2の発明は、画像信号を生成するビデオコントロールユニットからの画像データと、点灯タイミングを制御するシーケンスコントロールユニットからのシーケンスデータと、が異なる経路によりレーザ駆動ユニットに伝送される光出力装置を備えた画像形成装置であって、前記光出力装置を制御して、前記画像データに基づいて画像形成エリア内で画像書き込み動作を行う画像書込点灯モード、並びに画像形成エリア外で光量調整動作を行う光量調整点灯モードを選択的に実行する制御手段と、前記制御手段による前記画像書込点灯モードの実行中に、画像データ入力の異常を検知する書込異常検知手段と、前記制御手段による光量調整点灯モードの実行中に、光量異常、同期間隔異常を検知する光源異常検知手段と、前記書込異常検知手段或いは光源異常検知手段により異常を検知した場合、当該異常の発生源を判別する異常発生源判別手段と、を有している。
【0019】
第2の発明によれば、画像書込点灯モードにおいてビデオコントロールユニットから画像データを受ける際、この画像データは、シーケンスコントロールユニットとは異なる伝送経路で伝送されるため、例えば、伝送経路の断線やコネクタの脱落等で画像データが確実に光源駆動ユニットに到達しなかった場合、シーケンスコントロールユニットでは、この画像データ未入力異常を検知することができない。
【0020】
そこで、書込異常検知手段を新たに設けることで、制御手段による前記画像書込モードの実行中に、画像データ入力の異常を検知することができる。
【0021】
さらに、制御手段による光量調整点灯モードの実行中に、光量異常、同期間隔異常を検知する機能が既設されているため、第2の発明の異常発生源判別手段では、書込異常検知手段或いは光源異常検知手段により異常を検知した場合、当該異常の発生源を判別する。
【0022】
これにより、異常の発生源を特定することができる。
【0023】
なお、画像書込点灯モードと光量調整点灯モードの選択的な実行とは、双方の点灯モードを1走査内で連続して実行させる場合も含むものである。
【0024】
前記第1の発明又は第2の発明において、前記書込異常検知手段が、前記画像書込点灯モードでの画像データ入力の異常を、入力電圧により検知することを特徴としている。
【0025】
前記書込異常検知手段が、前記画像書込点灯モードでの画像データ入力の異常を、画像データ入力ラインの断線検知信号により検知することを特徴としている。
【0026】
前記書込異常検知手段が、前記画像書込点灯モードでの画像データ入力の異常を、所定期間の画像データ未入力により検知することを特徴としている。
【0027】
異常検知の手段としては、ビデオコントロールユニットからレーザ駆動ユニットへの入力電圧で画像データが正常に入力されていないことを検知することができる。或いは画像データ入力ラインに断線検知機能を設けることで、断線があった場合に画像データの正常に入力されないことを検知することができる。さらに、画像データが所定期間未入力の場合は、画像データの伝送ラインに異常があると予測することができる。
【0028】
また、第1の発明又は第2の発明において、前記書込異常検知手段が異常を検知した場合、当該異常検知の情報を報知する報知手段をさらに有することを特徴としている。
【0029】
報知手段による異常検知の情報の報知を受けることで、例えば前記制御手段による前記画像書込点灯モードの実行を中止したり(中止手段)、画像書込が終了したと認識される画像データを破棄せず、保存する(保持手段)ことが可能となる。
【0030】
さらに、第1の発明又は第2の発明おいて、前記画像データが、低電圧差動信号で伝送されることを特徴としている。
【0031】
低電圧差動信号により、「0」又は「1」を表現する場合において、例えば、しきい値(基準電圧)をVrとした場合に、基準電圧を超えていないと「0」又は「1」の判別がつかない。そこで、入力電圧をVr以下(絶対値)となった場合に、異常と判定することで、断線等の画像データ未入力に加え、低電圧差動信号発生源の異常(電圧低下等)も検知することができる。
【0032】
また、第1の発明又は第2の発明のいて、前記光源が、複数の光ビーム発光点を有する場合、前記書込異常検知手段が、それぞれの発光点毎に画像データ入力異常を検知し、前記光源異常検知手段が、それぞれの発光点毎に光量異常および同期間隔異常を検知したり、それぞれの発光点毎に画像データ入力異常を検知し、異常と検知された発光点が所定数以下の場合に、画像書込点灯モードによる画像書込動作を継続したりすることができる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明した如く本発明では、特に画像データの伝送ラインの断線、コネクタ外れ等による画像データライン未入力による画質でディフェクトを防止することができるとい優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(画像形成装置の全体構成)
まず、本発明の光走査装置が用いられる画像形成装置の全体構成について、図1に基づき概説する。
【0035】
図1に示すように、画像形成装置10はケーシング12を備え、このケーシング12内には、矢印A方向に回転する円筒状の感光体ドラム14と、所望の画像データに基づいて光ビームBを感光体ドラム14へ主走査しながら照射する光走査装置16とが設けられている。この光走査装置16の筐体18の内部には、レーザー光源(LD)20、回転多面鏡22及びミラー(反射鏡)23が配設されている。
【0036】
一方、感光体ドラム14の周面近傍には、感光体ドラム14の回転方向上流側から順に、帯電器24、現像器26、転写器28、クリーナー30が配置されている。感光体ドラム14は、帯電器24によって一様に帯電された後、光走査装置16から光ビームBが照射される。これにより、感光体ドラム14の周面上に画像データに応じた静電潜像が形成される。
【0037】
静電潜像が形成された感光体ドラム14は、現像器26からトナーが供給され、光走査装置16によって光ビームBが照射された部分にトナーを付着するようになっている。これにより、感光体ドラム14の周面上にトナー像が形成される。
【0038】
感光体ドラム14上に形成されたトナー像は、転写器28によって、用紙トレイ32又は手差しトレイ34から、搬送される用紙36へ転写される。転写後、感光体ドラム14の周面に残留しているトナーは、クリーナー30によって除去される。
【0039】
トナー像が転写された用紙36は、用紙36の搬送方向下流側に設けられた定着器38に搬送され(矢印C方向参照)、定着器38の加圧ローラ40と加熱ローラ42によって、転写されたトナー像が用紙36へ熱圧着される。画像定着がなされた用紙36は排出トレイ44に排出される。
【0040】
(光走査装置16)
図2に示される如く、光走査装置16は、制御系を含む光出力装置46の構造を示したものであり、レーザー光源20から発光された光ビームBの照射方向上流側から順に、コリメータレンズ48、シリンドリカルレンズ50、回転多面鏡22、Fθレンズ52A、Fθレンズ52B、ミラー23が設けられている。
【0041】
また、レーザー光源20は、レーザー駆動ユニット54の光量制御装置56に接続されており、この光量制御装置56により点灯/消灯が制御されるようになっている。
【0042】
前記レーザー駆動ユニット54には、前記光量制御装置56の他、データ制御装置58が設けられ、このデータ制御装置58に、別々の伝送ライン60、62でシーケンスコントロールユニット64と、ビデオコントロールユニット66とが接続されている(なお、上記レーザー駆動ユニット54を含むレーザー光源20の制御系については、後述する。
【0043】
前記レーザー光源20から発光された光ビームBは、コリメータレンズ48によって略平行光とされ、さらに、シリンドリカルレンズ50を透過することで、副走査方向に絞られた光ビームBとなって、回転多面鏡22上へ照射される。
【0044】
回転多面鏡22が、図示しないモータによって矢印D方向に高速で回転することにより、回転多面鏡22上へ照射された光ビームBは、周面に設けられた複数(本実施の形態では、8面)の反射面22Aで反射されて、感光体ドラム14へ偏向走査(主走査)される。回転多面鏡22の反射面22Aで偏向された光ビームBは、2枚組のFθレンズ52A、52Bを透過し、ミラー23の反射面で反射して折り返し、図示しない防塵対策のガラスを透過して感光体ドラム14上に結像される。また、ミラー23により反射し、感光体ドラム14へと至る光路上(主走査方向始点側)には、SOSセンサ68が設けられている。このSOSセンサ68には、回転多面鏡22によって反射され、主走査される光ビームが入射され、その検出結果が主走査タイミングのパラメータとして適用される。
【0045】
(光出力装置46の制御系)
図3に示される如く、光出力装置46には、ホストコンピュータ70からの信号に基づいて、画像データを生成するビデオコントロールユニット66と、レーザー駆動ユニット54や光走査装置16の動作を制御するシーケンスコントロールユニット64と、接続されている。
【0046】
レーザー光源20を駆動制御するレーザー駆動ユニット54は、前述したデータ制御装置58が、主として、レーザー光源20に入力される画像データを切り替えたり、画像データを切断する役目を有している。また、光量制御装置56は、レーザー光源20の光量を所定の出力に制御する役目を有している。
【0047】
光量制御装置56では画像書き込み前にレーザー光源20の光量が所定の出力とならないように光量調整した後、画像形成エリア外にて1走査毎に光量調整制御を行う光量調整点灯モードを実施する。
【0048】
光量調整点灯モードでは、画像データの有無に関わらず、レーザー光源を点灯させることが可能であり、この光量調整点灯モードで点灯しているときの駆動電流を測定することで、レーザー光源20の劣化による故障を検出することが可能となっている。
【0049】
一方、レーザー駆動ユニット54のデータ制御装置58には、ビデオコントロールユニット66が接続されている。ビデオコントロールユニット66からデータ制御装置58に入力した画像データは、データ検出部72及び光量制御装置56へ送出される。
【0050】
データ検出部72では、画像データの存在を検出し、その検出結果を異常判定部76へ送出することで、異常判定部76では、故障の有無を判定する。この異常判定部76には異常表示部78が接続され、異常発生時には、この異常表示部78に異常信号が送出されることで、異常を報知(表示)するようになっている。
【0051】
また、光量制御装置56では、画像データを受け入れると、この画像データに基づいて、画像形成エリア内に画像形成する画像書込点灯モードでレーザー光源20を駆動するようになっている。
【0052】
すなわち、本実施の形態では、シーケンスコントロールユニット64を介さずに、別の伝送ライン62によって、データ制御装置58へ直接画像データが入力される構成となっており、伝送ライン62の物理的な長さの短縮化が図られ、当該伝送ライン62からの不要輻射波等の発生を抑制することが可能となっている。
【0053】
一方、このシーケンスコントロールユニット64では、データ制御装置58にレーザー光源20の画像データの切り替えを支持する画像データ切替信号を送出する共に、光走査装置16に光学系の動作を制御するROS制御信号を送出する。
【0054】
また、シーケンスコントロールユニット64は、データ制御装置58に、画像書き出しタイミング信号や、自動光量制御タイミング信号等の出力制御信号を送出している。
【0055】
データ制御装置58は、強制的にレーザー光源20を点灯させる機能や、強制的にレーザー光源20を消灯させる機能を有している。すなわち、シーケンスコントロールユニット64から受けたモード切替信号に応じて、画像データに基づいてレーザー光源20を駆動する画像書込点灯モードと、或いは、画像データの有無に関わらず強制的にレーザー光源20を点灯させる強制点灯モード、或いは、画像データの有無に関わらず強制的にレーザー光源20を消灯させる強制消灯モードへの切り替えを実行する。
【0056】
ここで、上記構成の光出力装置46において、画像データ入力に異常が発生した場合でも、シーケンスコントロールユニット64からの伝送ライン60とは別体とされた画像データの伝送ライン62上では異常の検出手段はなく、仮に、白紙プリントが出力されてもシステム上は、正常終了とみなされ、一時保管された画像データが破棄されてしまい、再プリントができないという不具合が生じていた。
【0057】
そこで、本実施の形態では、ビデオデータコントロールユニット66と、データ制御装置58と接続する伝送ライン62に画像データの伝送監視ユニット80(図4参照)を設けた。
【0058】
図4(A)に示される如く、ビデオデータコントロールユニット66と、データ制御装置58とは、両端にコネクタ82、84が接続された伝送ライン(電線)60によって電気的に接続されている。
【0059】
ビデオデータコントロールユニット66とコネクタ82との間には、プルアップ抵抗86が設けられ、所定の電圧が印加されている。
【0060】
また、データ制御装置58とコネクタ84との間には、電圧検出部88が設けられている。
【0061】
ここで、ビデオデータは、H信号がレーザー光源20を消灯、ON信号がレーザー光源20を点灯させるH信号となっており、伝送ライン62が正常(断線もなく、コネクタ82、84を確実に接続されている状態)である場合には、図4(B)の出力信号−電圧V(電圧検出部88の検出電圧)の対象表に示されるように、ビデオ信号がON信号の場合は電圧VはL(ほぼ0V)、ビデオ信号がOFF信号の場合は電圧VはH(プルアップ抵抗86によって印加される電圧値)となる。
【0062】
一方、伝送ライン62が異常(断線、又はコネクタ82、84の脱落等が発生している状態)である場合は、図4(B)に示される如く、電圧Vが、通常時のL又はHの何れでもない、中間的な電圧となる。この中間的な電圧値は、データ制御装置58の電気部品構成に依存する。
【0063】
図3に示される如く、伝送監視ユニット80が、前記異常判定手段76(図3参照)に接続されており、この結果、異常判定手段76では、画像データの伝送系に異常が発生したことを認識し、異常表示部78を用いて当該画像データの伝送系異常を報知するようになっている。
【0064】
ここで、異常判定は、図5に示される如く、画像書き込み点灯モード中の実画像記録領域外で、断線検知信号を出力し、断線の有無を判定するようになっている。これは画像記録時には、レーザー光源20が点灯や消灯を繰り返しているため、このような時期以外、すなわち、レーザー光源20が継続点灯する時期を別途設定し、指令通り(画像データどおり)にレーザー光源20が点灯するか否かを判別するようにしている。
【0065】
このような異常の有無の判別を、前記異常判定部76(図3参照)によって実行している。すなわち、異常判定部76では、画像書込み点灯モードにおいて、上記のように意図的に画像データが送信される時期を設け(図5参照)、この期間で入力画像データがあるか否かを判断する。
【0066】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0067】
画像形成装置では、シーケンスコントロールユニット66から画像の形成が指示されると、光走査装置16の駆動制御を開始する。これにより、感光体ドラム14が帯電器24によって一様に帯電され、ビデオコントロールユニット66によって生成された画像データが、データ制御装置58を通り、光量制御装置56で所定の光量に制御された後、レーザー光源20を駆動して、用紙36に形成するべき画像に対応して光ビームを照射する。これにより、感光体ドラム14上に静電潜像が形成される。
【0068】
感光体ドラム14上に形成された静電潜像は、現像器26によりトナーが供給されて現像される。現像されたトナー像は、転写器28によって用紙36に転写される。また、トナー像が転写された用紙36は、排出トレイ44への搬送中に定着器38によって定着され、排出される。
【0069】
上記画像形成処理では、光ビームが走査される範囲として、光量調整点灯モード領域と、画像書込み点灯モード領域とがあり(図5参照)、本実施の形態では、ビデオコントロールユニット66からデータ制御装置58に向けて、画像書込み点灯モード領域内の非画像形成時期に断線検知信号を出力する。この断線検知信号の出力時の伝送監視ユニット80の検出状態で断線の有無を検出するようにしている。
【0070】
図6は、上記断線検出制御の流れを示すフローチャートである。なお、このフローチャートでは、光量調整点灯モードでの光量調整(光量異常)も同時に実行する。
【0071】
ステップ100では、光量調整点灯モードで光量(検出光量に応じたモニター電圧値MO)を検出し、次いでステップ102へ移行して、しきい値Vthと検出した電圧値MOとを比較する。
【0072】
このステップ102でVth>MOと判定されると、光量が適正ではないと判断され、ステップ104へ移行して光量調整が可能か否かが判断される。このステップ104で光量調整が可能である場合は、ステップ106へ移行して光量調整を実行し、再度ステップ102に戻りVthと比較する。
【0073】
また、ステップ104で光量調整が不可能である場合には、ステップ108へ移行してNG表示を指示し、プリントを停止してこのルーチンは終了する。
【0074】
なお、別の判定方法として同期間隔を測定し、異常を判定する方法がある。SOS20によって同期間隔の測定を行う。ここで、光量異常が発生し光量が低下した場合、SOS20で検知不能となり、光量異常と判定するようにしてもよい。
【0075】
また、前記ステップ102において、Vth≦MOと判定(肯定判定)されると、光量が適正であると判断され、ステップ110へ移行する。
【0076】
ステップ110では、上記光量調整のためのシーケンスコントロールユニット64の伝送ライン60とは、別の伝送ライン62を持つビデオコントロールユニット66の伝送ライン62の断線の状態を検知する動作を実行する。
【0077】
すなわち、ステップ110では、画像書込み点灯モードであり、非画像形成領域(図5参照)において、断線検知信号を出力する。
【0078】
この断線検知信号を伝送監視ユニット80で検出し、異常判定部76へ送出することで、図4(B)の表に基づく異常判定を実行する。
【0079】
次のステップ112では、異常を検出したか否かが判断される。このステップ112で否定判定された場合には、異常なしであるため、ステップ114へ移行してプリントを実行する。
【0080】
また、ステップ112で肯定判定された場合には、異常ありであるため、ステップ116へ移行してNG表示を指示し、プリントを停止してこのルーチンは終了する。
【0081】
以上説明したように本実施の形態では、ビデオコントロールユニット66からデータ制御装置58へ画像データを伝送する伝送ライン62と、シーケンスコントロールユニット64から光出力装置46へ制御信号を伝送する伝送ライン60と、が別々に設けられているため、画像データを伝送する伝送ライン62の断線状態を監視するようにした。すなわち、プルアップ抵抗86(図4参照)によって所定の電圧Vを印加し、画像信号(H信号、L信号)の出力時にこの画像信号以外の電圧V(H>V>L)を検出した場合に、断線、或いはコネクタ82、84の脱落等を検出する。これにより、白紙プリントがあり、かつこれを異常と判別できないような不具合を解消することができる。
【0082】
(変形例)
上記実施の形態では、図4(B)の表に基づいて、異常判定部76において、画像データ(L信号又はH信号)に基づいて、異常の有無を判定するようにしたが、画像データが低電圧差動信号伝送(LVDS)レベルのデータ伝送である場合の異常判定のための回路構成説明する。
【0083】
図7(A)は、低電圧差動信号伝送(LVDS)レベルのデータ伝送路の例である。
【0084】
LVDS伝送方式では、2本の銅線90、92を使用して、互いに逆向きの信号(電圧、電流)を送る。
【0085】
また、LVDS伝送方式では、レシーバー94の2つの信号の電位差しか見ていないため、同相ノイズの影響がなくなりノイズの影響を受けにくい特性がある。
【0086】
さらに、LVDS伝送方式では、電流源から所定の電流をドライバー側から流す。レシーバー94には終端抵抗があり、両入力端子間に所定の電圧が印加される。例えば、電流源から3.5mAの電流を100Ωの終端抵抗に流すと350mVの電圧が両入力端子に印加される。
【0087】
ここで、データ伝送路が断線した場合、終端抵抗に電流が流れず、両入力端子に電圧が印加されない。このため、両入力端子の電位差を測定し、350mVより低い所定のスレッショルドレベルを決めて、このレベル以下の場合に断線と判定することが可能となる。
【0088】
図8は、上記LVDS伝送方式による断線判別をフリップフロップ回路を用いた回路構成である。この回路では、画像書込み点灯モードにおいて画像データ入力異常を所定期間入力画像データがないことで検知するようになっている。
【0089】
ビデオコントロールユニット64からの画像データは、LVDSレベルであり、DATA-A+、DATA-A−で示される信号が生成される(図7(B)参照)。
【0090】
近年の画像形成装置では、複数の光源を持つことが一般化しており、この図8では、DATA-AとDATA-Bの2チャンネルとしている。
【0091】
DATA信号は、2系統に分配され、本来の画像書込みに使用することとは別にレシーバ96A、96BによりLVDSをTTLレベルに変換し、SRフリップフロップ98A、98Bに入力される。
【0092】
なお、TTLレベルでLとなった場合、レーザー光源20が点灯し、画像形成を行う論理にしている。
【0093】
DATA-Aにおいて、画像データがある場合、SRフリップフロップ98AのS入力がアクティブになり、SRフリップフロップ98Aの出力Qは反転する。
【0094】
SRフリップフロップ98AのR入力には1走査毎にPCONT信号が入り、出力Qはイニシャライズされる。DATA-Bも同様の動作を行う。
【0095】
DATA-A、DATA-BのSRフリップフロップ98A、98Bの出力Qは、OR回路99に入力し、DATA-A、DATA-Bのどちらかが1画素でも存在すれば、SRフリップフロップ97のS入力となり出力Qが反転する。この出力がDATA検出信号となる。SRフリップフロップ97のR入力にはPAGE-SYNC信号を用い、1ページ毎に画像データの有無を検出する。図9は、上記回路の各部の信号タイミンミンブチャートである。
【0096】
なお、実施の形態では、画像書き込み点灯モード中の実画像記録領域外で、断線検知信号を出力し、断線の有無を判定する構成としたが、当該断線検出を実画像記録中に実行してもよい。
【0097】
すなわち、図3に示される如く、異常判定手段72は、前記ビデオコントロールユニット66に接続され、前記画像データの伝送系異常の発生時に、データ保存指示信号を送出している。このデータ保存指示信号を受けたビデオコントロールユニット62では、送信し終えた(実際には、異常により未送信)画像データを破棄せず、一時格納部へ格納する動作を実行する。言い換えれば、送信し終えた画像データは直ちに破棄し、次の画像データの受け入れ状態となるが、この受け入れ状態となる前に、一時格納部への格納動作を介在させることになる。
【0098】
これにより、白紙プリントがあった場合に、画像データは保存されているため、再プリエント指示等に基づいて、容易に再プリントが可能となる。
【0099】
また、異常と判定された場合、直ちにプリントを中止せず、ユーザーがプリント品質が劣化してもプリントを継続することを望む場合は、光源の数を減らしてプリントを継続するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】画像形成装置の光走査装置の制御系を示すブロック図である。
【図3】レーザー駆動ユニットを中心として制御系の詳細を示すブロック図である。
【図4】(A)は本実施の形態に係る伝送監視ユニットの概略を示す配線図、(B)は図4(A)で検出した電圧の画像データとの対象図表である。
【図5】光量調整点灯モードと画像書込み点灯モードの各領域を示すタイミングチャートである。
【図6】伝送監視ユニットによる断線監視制御フローチャートである。
【図7】(A)は変形例に係る伝送監視ユニットの概略を示す配線図、(B)は図7(A)で検出した電圧の画像データとの対象図表である。
【図8】図7の伝送監視ユニットの詳細回路図である。
【図9】図8の回路による信号の状態を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0101】
10 画像形成装置
12 ケーシング
14 感光体ドラム
16 光走査装置
18 筐体
20 レーザー光源(LD)
22 回転多面鏡
23 ミラー
24 帯電器
26 現像器
28 転写器
30 クリーナー
32 用紙トレイ
34 手差しトレイ
36 用紙
38 定着器
40 加圧ローラ
42 加熱ローラ
44 排出トレイ
46 光出力装置
48 コリメータレンズ
50 シリンドリカルレンズ
52A、52B Fθレンズ
54 レーザー駆動ユニット
56 光量制御装置
58 データ制御装置
60、62 伝送ライン
64 シーケンスコントロールユニット
66 ビデオコントロールユニット(制御手段)
68 SOSセンサ
70 ホストコンピュータ
72 データ検出部
76 異常判定部(光源異常検知手段、異常発生源判別手段)
78 異常表示部
80 伝送監視ユニット(書込み異常検知手段)
82、84 コネクタ
86 プルアップ抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号を生成するビデオコントロールユニットからの画像データと、点灯タイミングを制御するシーケンスコントロールユニットからのシーケンスデータと、が異なる経路により光源駆動ユニットに伝送される光出力装置を備えた画像形成装置であって、
前記光出力装置を制御して、前記画像データに基づいて画像形成エリア内で画像書き込み動作を行う画像書込点灯モードを実行する制御手段と、
前記制御手段による前記画像書込点灯モードの実行中に、画像データ入力の異常を検知する書込異常検知手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
画像信号を生成するビデオコントロールユニットからの画像データと、点灯タイミングを制御するシーケンスコントロールユニットからのシーケンスデータと、が異なる経路によりレーザ駆動ユニットに伝送される光出力装置を備えた画像形成装置であって、
前記光出力装置を制御して、前記画像データに基づいて画像形成エリア内で画像書き込み動作を行う画像書込点灯モード、並びに画像形成エリア外で光量調整動作を行う光量調整点灯モードを選択的に実行する制御手段と、
前記制御手段による前記画像書込点灯モードの実行中に、画像データ入力の異常を検知する書込異常検知手段と、
前記制御手段による光量調整点灯モードの実行中に、光量異常、同期間隔異常を検知する光源異常検知手段と、
前記書込異常検知手段或いは光源異常検知手段により異常を検知した場合、当該異常の発生源を判別する異常発生源判別手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項3】
前記書込異常検知手段が、前記画像書込点灯モードでの画像データ入力の異常を、入力電圧により検知することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記書込異常検知手段が、前記画像書込点灯モードでの画像データ入力の異常を、画像データ入力ラインの断線検知信号により検知することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記書込異常検知手段が、前記画像書込点灯モードでの画像データ入力の異常を、所定期間の画像データ未入力により検知することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記書込異常検知手段が異常を検知した場合、当該異常検知の情報を報知する報知手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記報知手段により報知される前記異常検知の情報に基づき、前記制御手段による前記画像書込点灯モードの実行を中止する中止手段をさらに有することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記報知手段により報知される前記異常検知の情報に基づき、画像書込が終了したと認識される画像データを破棄せず、保存する保存手段をさらに有することを特徴とする請求項6又は請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像データが、低電圧差動信号で伝送されることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記光源が、複数の光ビーム発光点を有し、前記書込異常検知手段が、それぞれの発光点毎に画像データ入力異常を検知し、前記光源異常検知手段が、それぞれの発光点毎に光量異常および同期間隔異常を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記光源が、複数の光ビーム発光点を有し、前記書込異常検知手段が、それぞれの発光点毎に画像データ入力異常を検知し、異常と検知された発光点が所定数以下の場合に、画像書込点灯モードによる画像書込動作を継続することを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−60569(P2007−60569A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246527(P2005−246527)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】