説明

画像形成装置

【課題】カラー画像を形成する際の色ズレを防止する。
【解決手段】カラー複写機100は、画像入力部11などから入力される画像データDinに基づいて画像処理部31でYMCK各色のラスタライズ画像データを生成し、当該ラスタライズ画像データを元に画像形成部60のYMCK各色の書込ユニットで重畳して画像を形成する際に、制御部15の制御の下、各色の書込ユニットごとに主走査方向の変倍率を設定し、その設定された変倍率に基づいてラスタライズ画像データを変倍する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、入力される画像データに基づいて、複数の発光ダイオード素子(Light Emitting Diode:以下LEDという)などの書込素子がライン状に配置されたLEDヘッド書込光学系により感光体ドラムに静電潜像を形成し、その静電潜像にトナーを付着して形成されたトナー像を紙などの記録媒体に転写させて定着させることで画像を形成する画像形成装置がある。この画像形成装置では、Y(イエロー)M(マゼンダ)C(シアン)BK(クロ)の色ごとにライン状に配置されたLEDヘッド書込光学系を備え、この色ごとのLEDヘッド書込光学系を使って形成される画像を重ね合わせて転写することで、記録媒体上にカラー画像を形成している。
【0003】
例えば、特許文献1には、LEDヘッド書込光学系でカラー画像を形成する画像形成装置であって、画像を縮小又は拡大する倍率である変倍率に基づいてライン単位、かつ、画素単位に画像データの補間又は/及び補間処理を実行することで、画素単位レベルの微少な倍率変化に対応した良好な画像を記録媒体上に形成する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−5591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、近年600dpi、1200dpiといった種々の解像度仕様のLED書込ユニットが使われるようになってきており、上記した形態のカラー画像形成装置においても色毎に異なる解像度仕様のLED書込ユニットが使われる場合がある。例えば、BK色を解像度の高い1200dpiで、YMC各色を低解像度の600dpiで、といった場合がある。しかしながら、実際のLED書込ユニットは、600.5dpi、1198.0dpiのように、そのユニットの仕様によって、必要とする解像度とは若干ずれた解像度となっている。このような解像度仕様の書込ユニットを使った場合、異なる解像度仕様の書込ユニットを使った色間でドットの位置がずれてしまい、結果的に色ズレが発生してしまうといった問題がある。
上述した従来技術は、記録媒体の形状に合わせて画像を変倍し、その記録媒体の形状に合わせた画像形成を行う技術であり、形成する画像に含まれる各色の重畳具合を調整して色ズレなどを防止することはできなかった。
【0005】
本願発明の課題は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、カラー画像を形成する際の色ズレを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、発光素子を主走査方向にライン上に配列した書込ユニットを色ごとに備え、色ごとの画像データに基づいた画像を重畳してカラー画像を形成する画像形成装置であって、
前記発光素子列の解像度仕様が第1の解像度である第1の書込ユニットと、
前記発行素子列の解像度仕様が第2の解像度である第2の書込ユニットと、
前記第1の解像度と第2の解像度とに基づいて、前記第1または第2の書込ユニットに対応する色の画像データにおける前記主走査方向の変倍率を設定する倍率設定部と、
前記設定された変倍率に基づいて、前記画像データを主走査方向に変倍する変倍部と、
を備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1の書込ユニットの第1の解像度は第2の書込ユニットの第2の解像度より高く、
前記倍率設定部は、第1の書込ユニットに対応する色の画像データにおける前記主走査方向の変倍率を設定する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記第1の書込ユニットは黒(BK)色の画像を書き込むものであり、第2の書込ユニットはシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)のいずれかの色の画像を書き込む。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記設定部は、前記いずれかの色の画像データにおける前記主走査方向の変倍率を、前記第1の解像度と前記第2の解像度とが整数比となる変倍率に設定する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記第1の書込ユニットのみを使って画像形成を行うモノクロモードと全ての書込ユニットを使って画像形成を行うカラーモードとを有し、
前記倍率設定部は、カラーモードが選択された場合には前記第1の解像度と第2の解像度とに基づく倍率設定を行い、モノクロモードが選択された場合には前記第1の解像度と第2の解像度に基づく倍率設定を禁止する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明において、前記第1の書込ユニット及び第2の書込ユニットそれぞれの解像度情報を記憶する記憶部を備え、
前記設定手段は、前記記憶部から読み出した各ユニットの解像度情報に基づいて変倍率を演算して設定する。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、ユーザーからの操作を受け付ける操作部を更に備え、
前記操作部から入力された解像度情報を各書込ユニットの解像度情報として前記記憶部に記憶する。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発明において、前記色ごとの画像データの各々の階調を変換する階調変換部を更に備え、
前記変換部は、前記階調変換後の画像データに対して変倍を行う。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記階調変換部は、前記色ごとの画像データの各々の階調を2値化し、
前記変換部は、前記2値化された色ごとの画像データの各々に対して、前記設定された変倍率に基づいて、前記主走査方向の画素の間引き又は画素の挿入を行う。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記変倍部は、前記主走査方向の画素の間引き又は画素の挿入を、当該主走査方向の画素の中からランダムに行う。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、カラー画像を形成する際の色ズレを防止することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、第2の書込ユニットの第2の解像度より高い第1の解像度である第1の書込ユニットに対応する色の画像データにおける主走査方向の変倍率を設定することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、黒(BK)色の画像を書き込む第1の書込ユニット、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)のいずれかの色の画像を書き込む第2の書込ユニットによるカラー画像を形成する際の色ズレを防止することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、いずれかの色の画像データにおける主走査方向の変倍率を、第1の解像度と第2の解像度とが整数比となる変倍率に設定することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、全ての書込ユニットを使って画像形成を行うカラーモードが選択された場合には前記第1の解像度と第2の解像度とに基づく倍率設定を行い、第1の書込ユニットのみを使って画像形成を行うモノクロモードが選択された場合には前記第1の解像度と第2の解像度に基づく倍率設定を禁止することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、第1の書込ユニット及び第2の書込ユニットそれぞれの解像度情報を記憶する記憶部から読み出した各ユニットの解像度情報に基づいて変倍率を演算して設定することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、ユーザーからの操作を受け付ける操作部から入力された解像度情報を各書込ユニットの解像度情報として記憶部に記憶することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、色ごとの画像データの各々の階調を変換する階調変換部による階調変換後の画像データに対して変倍を行うことができる。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、階調変換部により2値化された色ごとの画像データの各々に対して、設定された変倍率に基づいて、主走査方向の画素の間引き又は画素の挿入を行うことができる。
【0025】
請求項10に記載の発明によれば、主走査方向の画素の間引き又は画素の挿入を、当該主走査方向の画素の中からランダムに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、この発明の実施の形態について図を参照して説明するが、この発明は以下の実施の形態に限定しない。また、この発明の実施の形態は発明の最も好ましい形態を示すものであり、発明の用途や用語はこれに限定するものではない。
【0027】
先ず、カラー複写機100の構成に概略について説明する。図1に示すように、カラー複写機100は、原稿をスキャンして得られる画像データに画像処理を行う画像処理装置としての機能、その画像処理後の画像データに基づいて記録媒体P上にカラー画像を形成する画像形成装置としての機能を有する装置である。このカラー複写機100は、カラー用のプリンタやファクシミリ装置、これらの複合機に適用してもよい。
【0028】
カラー複写機100は、複写機本体101を有している。複写機本体101の上部は、カラー用の画像入力部11及びADF40(自動原稿給紙装置)が配設されている。ADF40は、ADFモード時に、一又は複数の原稿30を自動給紙するように動作する。ここでいうADFモードとは、ADF40に載置された原稿30を自動給紙して原稿画像を自動的に読み取る動作をいう。
【0029】
ADF40は、原稿載置部41、ローラ42a、ローラ42b、ローラ43、搬送ローラ44及び排紙皿46を有している。原稿載置部41には一又は複数の原稿30が載置される。原稿載置部41の下流側にはローラ42a及びローラ42bが設けられている。ADFモードが選択されたとき、原稿載置部41から繰り出された原稿30は、下流側のローラ43によってU字回転するように搬送される。なお、ADFモードが選択された場合、原稿30の記録面は原稿載置部41で上に向けて載置される。
【0030】
また、画像入力部11は、原稿30に形成された色画像を読み取るように動作する。画像入力部11には、例えば、カラー用のスリットスキャン型のスキャナが使用される。画像入力部11にはアレイ状に配列されたイメージセンサ58が備えられ、例えば、ADFモード時に、原稿30がローラ43によってU字状に反転するときに、その原稿30の表面を読み取って画像読取信号Soutを出力するようになされる。イメージセンサ58には、例えば3ラインカラーCCD(Charge Coupled Devices)撮像装置が使用される。
【0031】
イメージセンサ58は、複数の受光素子列が主走査方向に配置されて構成される赤(R)色、緑(G)色及び青(B)色光検出用の3つの読み取りセンサが主走査方向と直交する副走査方向の異なる位置で画素を分割してR色、G色及びB色の光情報を同時に読み取るようになされる。
【0032】
画像入力部11で読み取られた原稿30は、搬送ローラ44により搬送されて排紙皿46へ排紙される。また、イメージセンサ58は、プラテンモード時に、原稿30を読み取って得たRGB色系の画像読取信号を出力するようになされる。ここにプラテンモードとは、プラテンガラス上に載置された原稿30に光学駆動系を走査して原稿画像を自動的に読み取る動作をいう。
【0033】
画像入力部11は、イメージセンサ58の他に、第1のプラテンガラス51、第2のプラテンガラス52(ADFガラス)、光源53、ミラー54、55、56、結像光学部57及び特に図示しない光学駆動部を有している。光源53は、原稿30に光を照射するように動作する。光学駆動部は原稿30又はイメージセンサ58を副走査方向に相対的に移動するように動作する。副走査方向とは、イメージセンサ58を構成する複数の受光素子の配置方向を主走査方向としたとき、この主走査方向と直交する方向をいう。このように、ADF40の原稿載置部41に載置された原稿30は前述したローラ42a、42b、43及び搬送ローラ44により搬送され、画像入力部11の光学系により原稿30の片面又は両面の画像が走査露光され、画像読み取りを反映する入射光がイメージセンサ58により読み込まれる。
【0034】
イメージセンサ58は、入射光を光電変換する。イメージセンサ58には制御部15を介して画像処理部31が接続され、光電変換されたアナログの画像読取信号が画像処理部31において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理及び変倍処理等がなされ、各画素がR色、G色、B色成分で表されるデジタルの画像データとなる。
【0035】
画像処理部31は、その画像データを3次元色情報変換テーブルによって、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、BK(クロ)色用の画像データDy、Dm、Dc、Dkに変換する。この画像データDy、Dm、Dc、Dkは、後述する制御手段が記憶部に格納されている書込ユニット別変倍情報を読み出して画像処理部31に出力する制御指示に基づいた変倍処理が行われ、その変倍処理後の画像データDy、Dm、Dc、Dkを画像形成部60を構成する書込ユニット3Y、3M、3C、3Kへ転送する。
【0036】
複写機本体101は、Y、M、C、BK各々の色画像を形成する複数の書込ユニットで、紙などの記録媒体上にカラー画像を形成するタンデム型のカラー画像形成装置と称せされるものである。複写機本体101には、画像形成部60が設けられている。画像形成部60は、画像入力部11により読み取って、画像処理部31での画像処理後の画像データDy、Dm、Dc、Dkに基づいて色画像を形成する。画像形成部60には、色毎に像形成体を有する複数の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと無終端状の中間転写体6と、この中間転写体6を記録媒体に転写したトナー像を定着するための定着装置17とが備えられる。
【0037】
イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、Y色のトナー像を形成する像形成体としての感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配置されたY色用の帯電部2Y、書込ユニット3Y、現像部4Y及び像形成体用のクリーニング部8Yを有する。マゼンダ(M)色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、M色のトナー像を形成する像形成体としての感光体ドラム1Mと、M色用の帯電部2M、書込ユニット3M、現像部4M及び像形成体用のクリーニング部8Mを有する。
【0038】
シアン(C)色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、C色のトナー像を形成する像形成体としての感光体ドラム1Cと、C色用の帯電部2C、書込ユニット3C、現像部4C及び像形成体用のクリーニング部8Cを有する。黒(BK)色の画像を形成する画像形成ユニット10Kは、BK色のトナー像を形成する像形成体としての感光体ドラム1Kと、BK色用の帯電部2K、書込ユニット3K、現像部4K及び像形成体用のクリーニング部8Kを有する。
【0039】
帯電部2Yと書込ユニット3Y、帯電部2Mと書込ユニット3M、帯電部2Cと書込ユニット3C及び帯電部2Kと書込ユニット3Kは、中間転写体に潜像画像を形成する。書込ユニット3Y、3M、3C、3Kには、画像形成すべき記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する主走査方向にライン状に画像形成を行うための発光素子(書込み用発光素子)を配置したLEDアレイヘッド光学系が使用される。
【0040】
現像部4Y、4M、4C、4Kによる現像は、使用するトナー極性と同極性(例えば負極性)の直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される反転現像にて行われる。中間転写体6は、複数のローラにより巻き回され、回動可能に支持され、各々の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに形成されたY色、M色、C色、BK色のトナー像を転写するようになされる。
【0041】
なお、書込ユニット3Y、3M、3C、3Kにおける発光素子の配列は、書込ユニット毎に単位長さ当たりの素子密度、つまり、解像度や、主走査方向両端の発光素子間の長さ、つまり、書き込み可能な最大幅が異なるものである。この解像度や書き込み可能な最大幅などの各書込ユニットに固有の情報は、後述する記憶部に格納されている。
【0042】
この各書込ユニットにおける解像度や書き込み可能な最大幅の違いは、予め600dpi、1200dpiとして製造された場合や、度量換算に起因する仕様上の誤差などの場合がある。例えば、視覚的には目立たない色であるY色を書き込むための書込ユニット3Yには、低解像度であるがコストのかからない600dpiのものを使用し、使用頻度が高く視覚的にも目立つBK色を書き込むための書込ユニット3Kには、高解像度であるがコストがかかる1200dpiのものを使用することで、形成画像の見た目の品質を落とすことなく、装置全体のコストを抑えることができる。
【0043】
感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kの上部には、現像部4Y、4M、4C、4Kによる主走査方向の現像の最大幅、つまり、上述した書き込み可能な最大幅を検出する光センサ等のセンサSE1、SE2、SE3、SE4が設けられている。このセンサSE1、SE2、SE3、SE4は、現像部4Y、4M、4C、4Kで行われる現像の最大幅程度の位置の主走査方向にライン状に設けられており、主走査方向に最大幅で現像した際のトナーの付着状態を検出して、その検出信号を後述する制御手段へ出力する。
【0044】
なお、このセンサSE1、SE2、SE3、SE4は、書き込み可能な最大幅を検出だけでなく、主走査方向の所定位置に設置され、現像部4Y、4M、4C、4Kにより形成された所定のパターン像のズレを検出することで、設計上の解像度と実際の解像度との差を検出して、その検出信号を後述する制御手段へ出力してもよい。
【0045】
ここで、画像形成プロセスの概要について説明する。画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、使用するトナーと反対極性(例えば正極性)の1次転写バイアス(特に図示しない)が印加される1次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kにより、回動する中間転写体6上に逐次転写され、色を重ね合わせて合成されたカラー画像(色画像:カラートナー像)が形成される(1次転写)。
【0046】
また、画像形成部60の下方には、当該画像形成部60に搬送する記録媒体を収容する給紙トレイ20A、20B、20Cが設けられる。給紙トレイ20A等に収容された記録媒体Pは、当該給紙トレイ20A等に設けられた送り出しローラ21及び給紙ローラ22Aにより給紙され、搬送ローラ22B、22C、22D、レジストローラ23等を経て、2次転写ローラ7Aに搬送され、記録媒体P上の一方の面(表面)にカラー画像が中間転写体6から記録媒体Pへ一括して転写される(2次転写)。
【0047】
カラー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置17により定着処理され、排紙ローラ24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に載置される。転写後の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kの周面上に残った転写残トナーは、クリーニング部8Y、8M、8C、8Kにより除去されて次の画像形成サイクルに入る。
【0048】
両面画像形成時には、一方の面(表面)に画像形成された後、定着装置17から排出された記録媒体Pが分岐部26により排紙路から分岐される。次いで、記録媒体Pは、下方の循環通紙路27Aを経て、再給紙機構(ADU機構)である反転搬送路27Bより表裏を反転され、再給紙搬送部27Cを通過して、搬送ローラ22Dから前述した転写経路に合流する。
【0049】
反転搬送された記録媒体Pは、レジストローラ23を経て、再度2次転写ローラ7Aに搬送され、記録媒体Pの他方の面(裏面)上にカラー画像(カラートナー像)が一括転写される。一方、2次転写ローラ7Aにより記録媒体Pにカラー画像を転写した後、記録媒体Pを曲率分離した中間転写体6は、中間転写ベルト用のクリーニング部8Aにより残留トナーが除去される。
【0050】
これら画像形成が行われる記録媒体Pとしては、52.3〜63.9kg/m2(1000枚)程度の薄紙や64.0〜81.4kg/m2(1000枚)程度の普通紙、83.0〜130.0kg/m2(1000枚)程度の厚紙や150.0kg/m2(1000枚)程度の超厚紙が用いられる。記録媒体Pの厚み(紙厚)としては0.05〜0.15mm程度の厚さのものが用いられる。
【0051】
ここで、画像を形成する画像形成ユニットの周辺構成について、書込ユニット3Yの周辺を例に説明する。図2に示すように、書込ユニット3Yは、感光体ドラム1Yに対峙した位置に設けられる。書込ユニット3Yは、IC実装基板64Yを有している。IC実装基板64Yには、半導体集積回路(IC)化されたレジスタアレイ61Y、ラッチ回路62Y及びLEDヘッド63Yが実装され、図示しないプリント配線等により結線されて構成される。書込ユニット3Y等には、例えばA4版の600dpiの解像度で7500画素の発光素子(LED)を主走査方向にライン状に配置したLEDアレイヘッド光学ユニットが使用される。LEDアレイヘッド光学ユニットは、1ライン分の画像データに基づいて各々の強度で1ライン分のY色ライン形成用のLED光群を一度に発生する。
【0052】
Y色用のLED光群は、感光体ドラム1Yの1ラインを一度に露光し、主走査方向にライン状に静電潜像を形成する。感光体ドラム1Yに形成されたライン状の静電潜像は、図1に示した現像部4YがY色トナー部材によって現像される。現像部4Yによって現像されたY色用のトナー像は中間転写体6に転写される。
なお、本実施例ではC色の書込ユニット3C、M色の書込ユニット3Mにも、Y色と同じ仕様の600dpiの解像度で発光素子(LED)を主走査方向にライン状に配置したLEDアレイヘッド光学ユニットが使用される。またBK色の書込ユニット3Kには、1200dpiの解像度で発光素子(LED)を主走査方向にライン状に配置したLEDアレイヘッド光学ユニットが使用される。
【0053】
次に、カラー複写機100の制御系について説明する。図3に示すように、カラー複写機100は、画像入力部11、制御部15、通信部19、搬送部20、画像処理部31、画像メモリ36、操作パネル48及び画像形成部60を有する。
【0054】
制御部15は、ROM33(Read Only Memory)、ワーク用のRAM34(Random Access Memory)及びCPU35(Central Processing Unit)を有している。ROM33には当該複写機全体を制御するためのシステムプログラムデータが格納される。ROM33は、画像形成部60が記録媒体Pに形成する主走査方向/副走査方向の画素数(ライン数)などの装置固有の設定情報や、制御部15が実行可能なプログラムデータなどを格納する。RAM34は、両面モード実行時の制御コマンドの一時記憶や、後述する動作処理における作業用の格納領域を提供する。CPU35は、電源がオンされると、ROM33からシステムプログラムデータを読み出してシステムを起動させ、当該複写機全体を制御する。
【0055】
操作パネル48は、タッチパネルからなる設定部14及び液晶表示素子(LCD)等である表示部18を有して構成され、制御部15の制御の下、操作画面の表示と設定の入力を受け付ける。設定部14は、上述の制御部15に接続され、画像形成部60によって画像が形成される記録媒体Pの紙種や片面又は両面への画像形成条件(画像濃度の設定、用紙サイズの選択、複写枚数の設定等)を入力するように操作される。
【0056】
また、設定部14では、この操作の他に、上述した各書込ユニットにおける解像度や書き込み可能な最大幅などの情報を設定する操作入力が行われる。具体的には、表示部18にYMCKの書込ユニットを選択する案内画面が表示され、設定部14からいずれかの書込ユニットの選択が受け付けられる。次いで、表示部18に選択された書込ユニットに関する解像度や書き込み可能な最大幅などの情報を設定する設定画面が表示され、設定部14から設定値の入力が数値入力や±5段階程度の微調節ステップの選択などにより行われる。
【0057】
なお、上述した操作パネル48での各書込ユニットにおける解像度や書き込み可能な最大幅等の設定内容は、制御部15の制御の下、RAM34の作業領域に一時的に格納された後、設定内容を反映する指示入力に応じて、後述する記憶部32に記憶されるデータの内容を更新して保存される。
【0058】
この例で、上述のCPU35には、制御バス28及びデータバス29等のシステムが接続される。データバス29には表示部18が接続される。この表示部18は、画像入力部11によって取得された画像データDinに基づいて原稿30を縮小してプレビューしたり、画像生成条件に係る選択項目等をCPU35から送られる表示データD2に基づいて表示する。なお、操作パネル48で設定された画像形成条件や給紙カセット選択情報等は、操作データD3としてCPU35に出力される。
【0059】
CPU35には制御バス28及びデータバス29を介して記憶部32が接続される。記憶部32は、各書込ユニットにおける解像度仕様や書き込み可能な最大幅などの情報を格納する。画像処理部31では、この情報に基づいて各書込ユニットで画像を形成するための画像データの各々を、書込ユニットの主走査方向に対応する方向に変倍して、各書込ユニットの解像度仕様や最大印字幅などの違いに基づく印字位置ずれを解消する。
【0060】
上述の制御バス28及びデータバス29には、画像入力部11が接続される。画像入力部11には、図示しないアナログ・デジタル変換器が設けられている。画像入力部11は、読取制御信号S1に基づいて原稿30から読み取って得たアナログの画像読取信号をA/D変換する。A/D変換後のデジタルの画像データDinは、制御バス28及びデータバス29に接続された画像メモリ36に転送される。
【0061】
画像データDinは、メモリ制御信号S2に基づいて画像メモリ36に格納される。画像メモリ36には、ハードディスクや半導体記憶メモリなどが使用される。読取制御信号S1は、制御バス28を介してCPU35から画像入力部11へ出力され、メモリ制御信号S2は、同様にして、CPU35から画像メモリ36に各々出力される。CPU35は、画像メモリ36におけるデータの書き込み読み出し制御を実行する。
【0062】
画像処理部31は、特に図示しないメモリに3次元色情報変換テーブルが予め格納されており、画像メモリ36から読み出されたRGB色系の画像データDout(=Dr、Dg、Db)を画像処理制御信号S3に基づいてYMCK色系の画像データDy、Dm、Dc、Dkに色変換する。
【0063】
画像処理部31は、画像形成部60の書込ユニット3Yにライン単位且つ画素単位に画像データDyを供給する。画像処理部31にはDSP(Digital Signal Processor)やRAM等が使用される。このRAMには、ライン単位且つ画素単位に画像データDyを供給するための作業領域(ラインバッファ)が設けられ、画像処理されたラインデータが供給前に一時的に格納される。具体的には、主走査方向の1ライン分の画像形成に対応するラインデータを多段に格納する構成である。
【0064】
カラー複写機100では、制御部15の制御の下、主走査方向の画像形成位置の調整を画像処理部31のラインデータをシフトして行う。同様に、カラー複写機100では、制御部15の制御の下、副走査方向の画像形成位置の調整を画像処理部31のラインデータからの読み出す段数の遅延や先読みで行う。
【0065】
上述の制御バス28及びデータバス29には画像形成部60が接続される。画像形成部60は、図1に示した画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kから構成される。図3ではY色用の画像形成ユニット10Yのみを示している。画像形成部60を構成する画像形成ユニット10Yは、複数の発光体をライン状に配列した書込ユニット3Y及び当該書込ユニット3Yによって画像が形成される感光体ドラム1Yを有している。他のM色、C色、BK色用に画像形成ユニット10M、10C、10K等については、画像形成ユニット10Yと同様であるため、その説明を省略する。この例でCPU35は、制御バス28を介して画像形成部60に作像制御信号S4を出力する。
【0066】
画像形成部60の例えばY色の書込ユニット3Yは、制御部15の制御の下、ライン単位のY色用の画像データDy及び作像制御信号S4の入力に応じて、感光体ドラム1YにY色用のトナー像を形成するように動作する。書込ユニット3Yでは、1ライン分の画像データDyに基づいて各々の強度で1ライン分のY色ライン形成用のLED光群が一度に発生される。Y色用のLED光群は、感光体ドラム1Yの1ラインを一度に露光し、ライン上の静電潜像を形成する。感光体ドラム1Yに形成されたライン状の静電潜像は、図1で示した現像部4YがY色トナー部材によって現像する。現像部4Yによって現像されたY色用のトナー像は中間転写体6に転写される。
【0067】
制御バス28には搬送部20が接続され、CPU35は図1に示した給紙トレイ20A〜20Cを給紙制御信号S5に基づいて制御する。例えば、搬送部20は、給紙制御信号S5に基づいて給紙トレイ20A、20B又は20Cのいずれかを選択し、給紙トレイ20A、20B又は20Cから繰り出した記録媒体Pを画像形成部60に搬送する。給紙制御信号S5は、CPU35から搬送部20に供給される。
【0068】
データバス29には通信部19が接続される。通信部19は、LAN(Local Area Network)等の通信回線に接続され、外部のコンピュータやプリンタ等と通信処理する際に使用される。例えば、通信部19は、カラー複写機100で読み取った原稿画像を外部のプリンタ等により画像形成出力する場合に、画像データDout’を外部プリンタに送信する。なお、制御部15の制御の下、外部のコンピュータで作成された画像データDin’を受け付けて画像形成部60で印刷処理などを行う場合も通信部19の通信機能が利用される。
【0069】
次に、Y、M、C、BK色用の各々のLED書き込みユニット及びその周辺回路の構成について説明する。図4に示すように、CPU35には、画像処理部31が接続される。CPU35から画像処理部31には画像処理制御信号S3が供給される。画像処理部31は、R色、G色、B色成分のデジタルの画像データDin(=Dr、Dg、Db)を画像処理制御信号S3に基づいてLED書き込み用の書き込みデータに変換する。例えば、画像データDinを3次元色情報変換テーブルによって、Y、M、C、BK色用の画像データDy、Dm、Dc、Dkに変換する。
【0070】
また、画像処理部31は、CPU35が各書込ユニットにおける解像度仕様や書き込み可能な最大幅などの情報を読み出すことにより、各書込ユニットの主走査方向の変倍率を含む画像処理制御信号S3が供給された場合、その変倍率に応じて上述した画像データDy、Dm、Dc、Dkを主走査方向に変倍した画像データDy’、Dm’、Dc’、Dk’に変換する。
【0071】
この例で画像処理部31は、書込ユニット3Yのレジスタアレイ61Yにライン単位、かつ、画素単位に画像データDy又は画像データDy’を供給する。同様に、書込ユニット3Mのレジスタアレイ61Mにライン単位、かつ、画素単位に画像データDm又は画像データDm’を供給する。同様に、書込ユニット3Cのレジスタアレイ61Cにライン単位、かつ、画素単位に画像データDc又は画像データDc’を供給する。同様に、書込ユニット3Kのレジスタアレイ61Kにライン単位、かつ、画素単位に画像データDk又は画像データDk’を供給する。
【0072】
画像処理部31にはタイミング発生回路38が接続される。画像処理部31はタイミング発生回路38にタイミング発生制御信号S6を供給する。タイミング発生回路38は、タイミング発生制御信号S6に基づいてY色用のレジスタ制御信号SRy及びラッチ制御信号SLyと、M色用のレジスタ制御信号SRm及びラッチ制御信号SLmと、C色用のレジスタ制御信号SRc及びラッチ制御信号SLcと、BK色用のレジスタ制御信号SRk及びラッチ制御信号SLkを各々発生する。
【0073】
画像処理部31及びタイミング発生回路38には、Y、M、C、BK色用の各々の書込ユニット3Y、3M、3C、3Kが接続される。書込ユニット3Yは、レジスタアレイ61Y、ラッチ回路62Y及びLEDヘッド63Yを有している。上述の画像処理部31にはレジスタアレイ61Yが接続され、レジスタ制御信号SRyに基づいて1ライン分のシリアルの画像データDy/画像データDy’(ここで「/」は、「又は」の意味であり、以下同じ意味で使用する)を順次入力し、この画像データDy/画像データDy’を保持するようになされる。
【0074】
レジスタアレイ61Yにはラッチ回路62Yが接続され、レジスタアレイ61Yからパラレルに出力される画像データDyをラッチ制御信号SLyに基づいてラッチするように動作する。ラッチ回路62YにはLEDヘッド63Yが接続される。LEDヘッド63Yはレーザ駆動電源Vyに接続される。LEDヘッド63Yはラッチ回路62Yから供給される、1ライン分の画像データDy/画像データDy’に基づいて各々の強度で1ライン分のY色ライン形成用のLED光群を一度に発生する。
【0075】
Y色用のLED光群は、感光体ドラム1Yの1ラインを一度に露光し、ライン状の静電潜像を形成する。感光体ドラム1Yに形成されたライン状の静電潜像は、図1に示した現像部4Yによって、Y色トナー部材により現像される。現像部4Yによって現像されたY色用トナー像は中間転写体6に転写される。
【0076】
書込ユニット3Mは、レジスタアレイ61M、ラッチ回路62M及びLEDヘッド63Mを有している。上述の画像処理部31にはレジスタアレイ61Mが接続され、レジスタ制御信号SRmに基づいて1ライン分のシリアルの画像データDm/画像データDm’を順次入力し、この画像データDm/画像データDm’を保持するようになされる。
【0077】
レジスタアレイ61Mにはラッチ回路62Mが接続され、レジスタアレイ61Mからパラレルに出力される画像データDm/画像データDm’をラッチ制御信号SLmに基づいてラッチするように動作する。ラッチ回路62MにはLEDヘッド63Mが接続される。LEDヘッド63Mはレーザ駆動電源Vmに接続される。LEDヘッド63Mはラッチ回路62Mから供給される、1ライン分の画像データDm/画像データDm’に基づいて各々の強度で1ライン分のM色ライン形成用のLED光群を一度に発生する。
【0078】
M色用のLED光群は、感光体ドラム1Mの1ラインを一度に露光し、ライン状の静電潜像を形成する。感光体ドラム1Mに形成されたライン状の静電潜像は、図1に示した現像部4Mによって、M色トナー部材により現像される。現像部4Mによって現像されたM色用のトナー像は中間転写体6に転写される。
【0079】
書込ユニット3Cは、レジスタアレイ61C、ラッチ回路62C及びLEDヘッド63Cを有している。上述の画像処理部31にはレジスタアレイ61Cが接続され、レジスタ制御信号SRcに基づいて1ライン分のシリアルの画像データDc/画像データDc’を順次入力し、この画像データDc/画像データDc’を保持するようになされる。
【0080】
レジスタアレイ61Cにはラッチ回路62Cが接続され、レジスタアレイ61Cからパラレルに出力される画像データDc/画像データDc’をラッチ制御信号SLcに基づいてラッチするように動作する。ラッチ回路62CにはLEDヘッド63Cが接続される。LEDヘッド63Cはレーザ駆動電源Vcに接続される。LEDヘッド63Cはラッチ回路62Cから供給される、1ライン分の画像データDc/画像データDc’に基づいて各々の強度で1ライン分のC色ライン形成用のLED光群を一度に発生する。
【0081】
C色用のLED光群は、感光体ドラム1Cの1ラインを一度に露光し、ライン状の静電潜像を形成する。感光体ドラム1Cに形成されたライン状の静電潜像は、図1に示した現像部4Cによって、C色トナー部材により現像される。現像部4Cによって現像されたC色用のトナー像は中間転写体6に転写される。
【0082】
書込ユニット3Kは、レジスタアレイ61K、ラッチ回路62K及びLEDヘッド63Kを有している。上述の画像処理部31にはレジスタアレイ61Kが接続され、レジスタ制御信号SRkに基づいて1ライン分のシリアルの画像データDk/画像データDk’を順次入力し、この画像データDk/画像データDk’を保持するようになされる。
【0083】
レジスタアレイ61Kにはラッチ回路62Kが接続され、レジスタアレイ61Kからパラレルに出力される画像データDk/画像データDk’をラッチ制御信号SLkに基づいてラッチするように動作する。ラッチ回路62KにはLEDヘッド63Kが接続される。LEDヘッド63Kはレーザ駆動電源Vkに接続される。LEDヘッド63Kはラッチ回路62Kから供給される、1ライン分の画像データDk/画像データDk’に基づいて各々の強度で1ライン分のBK色ライン形成用のLED光群を一度に発生する。
【0084】
BK色用のLED光群は、感光体ドラム1Kの1ラインを一度に露光し、ライン状の静電潜像を形成する。感光体ドラム1Kに形成されたライン状の静電潜像は、図1に示した現像部4Kによって、BK色トナー部材により現像される。現像部4Kによって現像されたBK色用のトナー像は中間転写体6に転写される。中間転写体6に転写されたトナー像は、所定の記録媒体Pに転写され、カラー画像を形成するようになる。
【0085】
ここで、CPU35からの画像処理制御信号S3に基づいて、Y、M、C、BK色用の各々のLED書き込みユニットに供給する画像データDy/Dy’、画像データDm/Dm’、画像データDc/Dc’、画像データDk/Dk’を供給する画像処理部31の内部構成について説明する。
【0086】
図5に示すように、画像処理部31は、画像変換部311、補正部312、変倍処理部313を有する構成である。画像変換部311は、入力されるG色、B色成分のデジタルの画像データDin(=Dr、Dg、Db)を3次元色情報変換テーブルなどを参照して、Y色、M色、C色、BK色用の画像データへ変換する。補正部312は、その変換された画像にレジスト補正などを行う。
【0087】
なお、画像変換部311は、YMCK各色用の画像データの変換時に、階調変換用のテーブルなどを参照することで階調変換してもよい。具体的には、YMCK各色が256階調である場合に、16階調や画素のON/OFFである2階調(2値化)に変換する。
変倍処理部313は、その補正後の画像データ(YMCK各色)に対して画像処理制御信号S3で指示された主走査方向の変倍、つまり、各書込ユニットの主走査方向に対応する方向の変倍を行う。変倍処理部313は、画像処理制御信号S3に基づいて変倍を行った場合は画像データDy’、Dm’、Dc’、Dk’を出力し、変倍を行わない場合は補正後の画像データを画像データDy、Dm、Dc、Dkとして出力する。
【0088】
画像処理制御信号S3は、CPU35が解像度仕様や最大印字幅などの情報を読み込んで算出することで設定される、各書込ユニット同士の解像度比や最大印字幅比などに基づいた変倍率が含まれており、変倍処理部313はその変倍率に従って主走査方向の変倍を行う。
【0089】
このCPU35における変倍率の設定は、所定の色を形成する書込ユニットの主走査方向の解像度や最大印字幅などの情報を基準して、他の色の書込ユニットの解像度や最大印字幅などを情報から、当該他の色の書込ユニットの書込位置が基準の書込ユニットの書込位置に一致するような倍率に設定される。
【0090】
この基準となる書込ユニットは、記憶部32の設定情報などに基づいて、解像度仕様の低いCMY色の書込ユニットが設定される。この場合は、最も解像度が高い色で調整が行われるため、形成画像の見た目の品質を落とすことがない。また、記憶部32に設定された各書込ユニットの解像度に関する情報の各々を比較することで、最も解像度が低い書込ユニットが基準として設定されてもよい。この場合は、解像度の高い書込ユニット側で変倍した画像形成が行われるため、微細な調整を行うことができ、高品質な画像形成を行うことができる。
【0091】
例えば、BK色の書込ユニットの解像度仕様が1198.0dpi、YMC色用の解像度仕様が600.0dpiの場合、解像度の低いYMC色の書込位置にBK色の書込位置を合わせる。この場合、YMC色の1画素幅がBK色の1.997画素幅であるため、YMC色の1画素をBK色の2画素分に合わせるためには、BK色の主走査方向の倍率は1.002倍と設定される。つまり、ここでは、BK色の主走査方向を変倍することで、BK色とYMC色との解像度比を整数比にする変倍率に設定される。式で表すと以下のようになる。
(第1の解像度/第2の解像度)×倍率=N(Nは整数:この例では2)
なお、特に例示しないが、印字幅が設定されている場合も、同様に互いの書込ユニットの印字幅比から算出された変倍率が設定される。
更に、YMC色のそれぞれでも解像度仕様の異なる書込ユニットを使う場合は、その中で最も解像度の低い書込ユニットを基準(第2の解像度)とし、各色の書込ユニットの倍率を上述と同様の方法で決定すればよい。
【0092】
変倍処理部313は、上述のCPU35で設定された変倍率を含む画像処理制御信号S3に基づいて、ラインバッファに格納された画像形成部60に主走査方向のライン単位且つ画素単位に供給する画像データから、変倍率に基づいた画素の間引き/画素の挿入を行い、変倍後の画像データ(画像データDy’等)を出力する。例えば、0.999倍の変倍を行う場合は、1000画素中の1画素が間引かれる。1.002倍の変倍を行う場合には、1000画素に2画素が挿入される。なお、この変倍処理部313における変倍率に基づいた画素の間引き/画素の挿入はライン上のランダムな位置で行われるため、副走査方向に線となって現れる画像あれを防止することができる。
【0093】
次に、制御部15が制御して行うカラー複写機100の動作(画像形成)について具体的に説明する。図6に示すように、カラー複写機100の動作は、制御部15が各部を制御して行うステップA1〜A9の各処理から成る。
【0094】
図6に示すように、制御部15は、通信部19を経由した他のコンピュータからのプリント要求や操作パネル48からの操作指示によるプリント/コピー等の画像形成要求があるか否かを判定して、その要求がなされるまでの間は待機する(ステップA1)。
【0095】
制御部15は、画像形成要求がなされた場合(ステップA1:Y)、通信部19を経由した通信や操作パネル48の入力操作に基づいてその要求に係る画像形成条件の入力を受け付けて、その情報を記憶部32へ格納する(ステップA2)。なお、このステップA2における画像形成条件の入力は、前述した各書込ユニットにおける解像度や書き込み可能な最大幅などの情報設定を含むものである。また、プリント要求/コピー要求に基づく処理はほぼ同一であり、コピー要求に基づく処理に画像読取処理を含むことが相違するだけであるため、以下の説明ではコピー要求に関する処理についてのみを行い、プリント要求については省略する。
【0096】
次いで、制御部15は、操作パネル48などから処理のスタート/ストップのいずれが指示されているかを判定し(ステップA3)、スタートが指示されている場合は画像入力部11から画像を読み取る画像読取処理を行い(ステップA4)、前述したCPU35の演算による変倍率の設定を行う(ステップA5)。ここで、前述した書込ユニットの解像度仕様に基づく変倍率の設定はカラーモードでのみ行う。すなわちBK色の書込ユニットのみを使用して画像形成を行うモノクロモードでは、解像度仕様に基づく変倍率の設定は行わない。なお、カラーモードとモノクロモードは操作パネルから選択的に設定される。
【0097】
次いで、制御部15は、画像処理制御信号S3を画像処理部31に出力することで、前述した画像データの各書込ユニット主走査方向に対応した方向の変倍処理を含む画像処理を行い(ステップA6)、その画像処理後のラスタライズ画像データ(画像データDy/Dy’、画像データDm/Dm’、画像データDc/Dc’、画像データDk/Dk’)に基づいた画像形成処理を画像形成部60で行う(ステップA7)。
【0098】
次いで、制御部15は、最終ページへの画像形成の有無を判定する判定処理を行い(ステップA8)、画像形成を最終ページまで行って、次の処理に関する指示があるか否かなどの処理終了の有無を判定する(ステップA9)。
【0099】
以上のように、カラー複写機100は、画像入力部11などから入力される画像データDinに基づいて画像処理部31でYMCK各色の画像データを生成し、当該画像データを元に画像形成部60のYMCK各色の書込ユニットで重畳して画像を形成する際に、制御部15の制御の下、各色の書込ユニットごとに主走査方向の変倍率を設定し、その設定された変倍率に基づいて画像データを変倍する構成である。
【0100】
このため、カラー複写機100は、仕様により、各色の書込ユニットにおける主走査方向の書込み用発光素子の配列が当該各色の書込ユニットの各々でズレており、そのズレにより形成画像に生じる色ズレを、ラスタライズ画像データの主走査方向を変倍することで防止することができる。
【0101】
具体的には、図7に示すように、画素間隔H11が画素間の幅(解像度)であり、印字幅H12が最大の印字幅である画素g1〜gnの書込素子配列L1、及び、画素間隔H21が画素間の幅(解像度)であり、印字幅H22が最大の印字幅である画素G1〜Gnの書込素子配列L2により、変倍前のラスタライズ画像データにより印字ラインL上に形成される画素g5、G5の位置ずれを、例えば、画素g5を書込素子配列L2の画素G4の位置と重ねるように書込素子配列L1側のラスタライズ画像データを変倍することで、形成画像における色ズレを解消することができる。
【0102】
また、カラー複写機100は、画像形成部60の各書込ユニットにおける主走査方向の解像度に基づいて、その主走査方向に対応したラスタライズ画像データにおける主走査方向の変倍率を設定する構成である。このため、カラー複写機100は、書込ユニットごとに設定された解像度に基づいて、各書込ユニットにおける書込位置の補正を行うことができ、色ズレを防止することができる。
【0103】
また、カラー複写機100は、各書込ユニットにおける主走査方向の解像度が整数比となる変倍率に設定する構成であるため、各書込ユニットの製造上の誤差などにより数%単位で生じる書込位置のズレを補正することができ、色ズレを防止することができる。
【0104】
また、カラー複写機100は、解像度が低い色の書込ユニット側に解像度が高い色の書込ユニット側の変倍率を合わせて設定する構成であり、解像度が高い書込ユニット側での色ズレ補正により、高精細な形成画像を得ることができる。
【0105】
また、カラー複写機100は、画像形成部60の各書込ユニットにおける主走査方向の印字幅(書込幅)に基づいて、その主走査方向に対応したラスタライズ画像データにおける主走査方向の変倍率を設定する構成である。このため、カラー複写機100は、各書込ユニットごとに設定された印字幅に基づいて、各書込ユニットにおける書込位置の補正を行うことができ、色ズレを防止することができる。
【0106】
また、カラー複写機100は、操作パネル48による操作入力により、各書込ユニットの解像度や印字幅の情報入力を受け付け、当該書込ユニットにおける主走査方向に対応したラスタライズ画像データにおける主走査方向の変倍率を設定することができる構成である。
【0107】
また、カラー複写機100は、記憶部32で各書込ユニットの解像度や印字幅の情報を記憶し、当該書込ユニットにおける主走査方向に対応したラスタライズ画像データにおける主走査方向の変倍率を設定することができる構成である。
【0108】
また、カラー複写機100は、センサSE1〜SE4で各書込ユニットの解像度や印字幅に関する情報を検出し、当該書込ユニットにおける主走査方向に対応したラスタライズ画像データにおける主走査方向の変倍率を設定することができる構成である。
【0109】
また、カラー複写機100は、画像変換部311から出力されるラスタライズ画像データを変倍処理部313で変倍する構成であり、画像変換部311で色の階調が2値などに変換された後のラスタライズ画像データに対して変倍することができる。
【0110】
また、カラー複写機100は、変倍処理部313で書込ユニットにおける主走査方向に対応したラスタライズ画像データにおける主走査方向の変倍を行う際に、当該変倍に係る画素の間引き又は画素の挿入をランダムに行う構成である。このため、カラー複写機100は、通常の変倍処理により副走査方向に線などとして生じる画像あれを防止することができる。
【0111】
なお、上述した実施の形態における記述は、一例を示すものであり、これに限定するものではない。上述した実施の形態における構成及び動作に関しては、要旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0112】
また、本実施の形態では、主走査方向にライン状に配列された画像形成に係る書込み用発光素子はLED素子であり、いわゆる電子写真方式で画像形成を行う構成を示した。しかしながら、書込み用発光素子はインクを吐出するインクノズルを有するものであり、いわゆるインクジェット方式で画像形成を行う構成などであってもよく、特に限定するものではない。
【0113】
また、記憶部32に記憶される情報は、各書込ユニットに設けられたROMなどに記憶されてもよい。この場合は、各書込ユニットの製造者が当該書込ユニットの出荷時に予め情報を設定して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本実施の形態に係るカラー複写機の内部構成を示す外観図である。
【図2】書込ユニット及びその周辺回路の構成を例示する斜視図である。
【図3】カラー複写機の制御系の構成を模式的に示すブロック図である。
【図4】Y、M、C、BK各色用の各々の書込ユニット及びその周辺回路の構成を例示するブロック図である。
【図5】画像処理部の構成を模式的に示すブロック図である。
【図6】カラー複写機の動作を例示するフローチャートである。
【図7】書込ユニットによる記録媒体上の画像形成を例示する概念図である。
【符号の説明】
【0115】
100 カラー複写機
1Y、1M、1C、1K 感光体ドラム
2Y、2M、2C、2K 帯電部
3Y、3M、3C、3K 書込ユニット
4Y、4M、4C、4K 現像部
6 中間転写体
7A 2次転写ローラ
7Y 、7M、7C、7K1次転写ローラ
8A、8Y、8M、8C、8K クリーニング部
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
11 画像入力部
14 設定部
15 制御部
17 定着装置
18 表示部
19 通信部
20 搬送部
20A、20B、20C 給紙トレイ
21 送り出しローラ
22A 給紙ローラ
22B、22C、22D 搬送ローラ
23 レジストローラ
24 排紙ローラ
25 排紙トレイ
26 分岐部
27A 循環通紙路
27B 反転搬送路
27C 再給紙搬送部
28 制御バス
29 データバス
30 原稿
31 画像処理部
32 記憶部
33 ROM
34 RAM
341 情報履歴格納領域
35 CPU
36 画像メモリ
38 タイミング発生回路
40 ADF
41 原稿載置部
42a ローラ
42b ローラ
43 ローラ
44 搬送ローラ
46 排紙皿
48 操作パネル
51 第1のプラテンガラス
52 第2のプラテンガラス
53 光源
54、55、56 ミラー
57 結像光学部
58 イメージセンサ
60 画像形成部
61Y、61M、61C、61K レジスタアレイ
62Y、62M、62C、62K ラッチ回路
63Y、63M、63C、63K LEDヘッド
64Y IC実装基板
101 複写機本体
311 画像変換部
312 補正部
313 変倍処理部
Din 画像データ
Din’ プリントデータ
Dout 画像データ
Dout’ プリントデータ
Dy、Dy’、Dm、Dm’、Dc、Dc’、Dk、Dk’ 画像データ
G1〜Gn、g1〜gn 画素
H11、H21 画素間隔
H12、H22 印字幅
L 印字ライン
L1、L2 書込素子配列
P 記録媒体
R 画像形成領域
S1 読取制御信号
S2 メモリ制御信号
S3 画像処理制御信号
S4 作像制御信号
S5 給紙制御信号
S6 タイミング発生制御信号
SE1〜SE4 センサ
SRy、SRm、SRc、SRk レジスタ制御信号
SLy、SLm、SLc、SLk ラッチ制御信号
Sout 画像読取信号
Vy、Vm、Vc、Vk レーザ駆動電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を主走査方向にライン上に配列した書込ユニットを色ごとに備え、色ごとの画像データに基づいた画像を重畳してカラー画像を形成する画像形成装置であって、
前記発光素子列の解像度仕様が第1の解像度である第1の書込ユニットと、
前記発行素子列の解像度仕様が第2の解像度である第2の書込ユニットと、
前記第1の解像度と第2の解像度とに基づいて、前記第1または第2の書込ユニットに対応する色の画像データにおける前記主走査方向の変倍率を設定する倍率設定部と、
前記設定された変倍率に基づいて、前記画像データを主走査方向に変倍する変倍部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の書込ユニットの第1の解像度は第2の書込ユニットの第2の解像度より高く、
前記倍率設定部は、第1の書込ユニットに対応する色の画像データにおける前記主走査方向の変倍率を設定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の書込ユニットは黒(BK)色の画像を書き込むものであり、第2の書込ユニットはシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)のいずれかの色の画像を書き込む請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記いずれかの色の画像データにおける前記主走査方向の変倍率を、前記第1の解像度と前記第2の解像度とが整数比となる変倍率に設定する請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の書込ユニットのみを使って画像形成を行うモノクロモードと全ての書込ユニットを使って画像形成を行うカラーモードとを有し、
前記倍率設定部は、カラーモードが選択された場合には前記第1の解像度と第2の解像度とに基づく倍率設定を行い、モノクロモードが選択された場合には前記第1の解像度と第2の解像度に基づく倍率設定を禁止する請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の書込ユニット及び第2の書込ユニットそれぞれの解像度情報を記憶する記憶部を備え、
前記設定手段は、前記記憶部から読み出した各ユニットの解像度情報に基づいて変倍率を演算して設定する請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
ユーザーからの操作を受け付ける操作部を更に備え、
前記操作部から入力された解像度情報を各書込ユニットの解像度情報として前記記憶部に記憶する請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記色ごとの画像データの各々の階調を変換する階調変換部を更に備え、
前記変換部は、前記階調変換後の画像データに対して変倍を行う請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記階調変換部は、前記色ごとの画像データの各々の階調を2値化し、
前記変換部は、前記2値化された色ごとの画像データの各々に対して、前記設定された変倍率に基づいて、前記主走査方向の画素の間引き又は画素の挿入を行う請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記変倍部は、前記主走査方向の画素の間引き又は画素の挿入を、当該主走査方向の画素の中からランダムに行う請求項9に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−141730(P2008−141730A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266768(P2007−266768)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】