説明

画像形成装置

【課題】 帯電装置によるコロナ放電によって像担持体を帯電させる際に発生して像担持体の表面に付着した放電生成物により、形成される画像に画像流れ等の異常画像が発生するのを、簡単な構成によって適切に防止する。
【解決手段】 コロナ放電により像担持体1を帯電させる帯電装置2と、記録媒体6に転写されたトナー像を加熱定着させる定着装置7とを備えた画像形成装置において、帯電装置内に外気を導入する第1経路31と定着装置において加熱された空気を導入する第2経路32とを設けると共に、第1経路と第2経路との切り換えを行う切換手段30と、画像形成装置内の環境条件を検出する環境検出手段11とを設け、環境検出手段により検出された湿度が所定値以上の場合に、切換手段により、第2経路を通して定着装置において加熱された空気を帯電装置内に導入させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機,プリンタ,ファクシミリ及びこれらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置に係り、特に、コロナ放電により像担持体を帯電させる帯電装置と、記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に加熱定着させる定着装置とを備えた画像形成装置において、上記の帯電装置によるコロナ放電によって像担持体を帯電させる際に発生して像担持体の表面に付着した窒素酸化物等の放電生成物によって、形成される画像に画像流れ等の異常画像が発生するのを、簡単な構成によって適切に防止できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式を利用した複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、一般に、図1に示すように、回転する像担持体1に対して帯電装置2からコロナ放電を行って像担持体1を帯電させた後、この像担持体1の表面にレーザ等を用いた潜像形成装置3により画像情報に応じた露光を行い、この像担持体1の表面に静電潜像を形成するようにしている。
【0003】
そして、このように像担持体1の表面に形成された静電潜像の部分に現像装置4からトナーを供給して、像担持体1の表面に静電潜像に対応するトナー像を形成した後、この像担持体1の表面に形成されたトナー像を転写装置5により記録媒体6に転写させ、このようにトナー像が転写された記録媒体6を加熱式の定着装置7に設けられた一対のローラ7a間に導き、この一対のローラ7a間において、トナー像を記録媒体6に加熱定着させるようにしている。
【0004】
一方、上記のようにトナー像を転写させた後における像担持体1の表面に残留しているトナー等の残留物をクリーニング装置8に設けられたクリーニングブレード8aによって像担持体1の表面から除去し、その後、前記のように帯電装置2によって像担持体1を帯電させ、上記のような操作を繰り返して、画像形成を連続して行うようにしている。
【0005】
ここで、上記のように帯電装置2からコロナ放電を行って像担持体1を帯電させるようにした場合、コロナ放電によって生じた窒素酸化物等の放電生成物が像担持体1の表面に付着し、このように付着した放電生成物が水分を吸収して像担持体1の表面抵抗が低下し、これにより像担持体1の移動方向へのリーク等が発生して、形成される画像に画像流れ等の異常画像が発生するという問題があった。特に、高湿度の環境下で画像形成を行う場合や、装置を長時間停止させた後、画像形成を開始する場合においては、画像流れ等の異常画像が発生しやすくなっていた。
【0006】
このため、像担持体1の表面に残留しているトナー等の残留物を除去するクリーニング装置8におけるクリーニング条件を強くして、トナー等の残留物と一緒に像担持体1の表面に付着している放電生成物を像担持体1の表面から除去することが行われていた。
【0007】
しかし、このようにクリーニング条件を強くした場合、クリーニング装置8に設けられたクリーニングブレード8aにより、像担持体1の表面の大きく摩耗されて、像担持体1の寿命が低下するという問題があった。
【0008】
そして、近年においては、特許文献1に示されるように、像担持体の内部に外気を導入する外気導入ダクトに加熱手段を設け、この加熱手段により外気を加熱させて像担持体に導いて像担持体を加熱させ、これにより像担持体の表面に付着した放電生成物が水分を吸収するのを防止するようにしたものが提案されている。
【0009】
しかし、このようにした場合、加熱手段を設けるコストが必要になると共に、加熱手段により外気を加熱させるためのランニングコストも高くつくという問題があった。
【0010】
また、従来においては、特許文献2等に示されるように、定着装置等において加熱された空気を像担持体に導いて像担持体を加熱させるようにしたものも提案されている。
【0011】
しかし、定着装置等において加熱された空気を像担持体に導いて像担持体を加熱させた場合、像担持体の温度が高くなって、像担持体とクリーニング装置に設けられたクリーニングブレードとの間の摩擦が強くなり、クリーニングブレードがめくれあがって適切なクリーニングか行えなくなり、またトナーの流動性が低下して、適切な画像形成が行えなくなるという問題があった。
【0012】
また、従来においては、特許文献3に示されるように、帯電装置と定着装置等とをダクトでつなぎ、ファンにより非画像形成時には定着装置等から帯電装置に加熱された空気を送る一方、画像形成時には帯電装置から定着装置等に送風させるようにしたものも提案されている。
【0013】
しかし、このように画像形成時に帯電装置から定着装置等に送風させるようにした場合、高湿度の環境下で画像形成を行うと、像担持体の表面に付着した放電生成物が水分を吸収し、依然として、形成される画像に画像流れ等の異常画像が発生するという問題があった。
【特許文献1】特開2006−106709号公報
【特許文献2】特開平5−303244号公報
【特許文献3】特開2003−177654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、コロナ放電により像担持体を帯電させる帯電装置と、記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に加熱定着させる定着装置とを備えた画像形成装置において、上記の帯電装置によるコロナ放電によって像担持体を帯電させる際に発生して像担持体の表面に付着した窒素酸化物等の放電生成物により、形成される画像に画像流れ等の異常画像が発生するのを、簡単な構成によって適切に防止できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明においては、上記のような課題を解決するため、コロナ放電により像担持体を帯電させる帯電装置と、記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に加熱定着させる定着装置とを備えた画像形成装置において、外気を上記の帯電装置内に導入する第1経路と、定着装置において加熱された空気を上記の帯電装置内に導入する第2経路とを設けると共に、上記の第1経路と第2経路との切り換えを行う切換手段と、画像形成装置内の環境条件を検出する環境検出手段とを設け、この環境検出手段によって検出された湿度が所定値以上の場合に、上記の切換手段により、第2経路を通して定着装置において加熱された空気を帯電装置内に導入させるようにした。
【0016】
ここで、本発明の画像形成装置においては、所定期間の画像形成停止後に、上記の切換手段により、第2経路を通して定着装置において加熱された空気を帯電装置内に導入させることができる。
【0017】
また、上記の第2経路を通して定着装置において加熱された空気を帯電装置に所定時間導入させた後、上記の切換手段により、上記の第1経路を通して帯電装置内に外気を導入させることができる。
【0018】
さらに、上記の像担持体の温度を検出する温度検出手段を設け、この温度検出手段によって検出された像担持体の温度が所定値以上の場合に、上記の切換手段により、上記の第1経路を通して帯電装置内に外気を導入させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の画像形成装置においては、上記のように帯電装置内に外気を導入する第1経路と、定着装置において加熱された空気を導入する第2経路とを設けると共に、上記の第1経路と第2経路との切り換えを行う切換手段と、画像形成装置内の環境条件を検出する環境検出手段とを設け、この環境検出手段によって検出された湿度が所定値以上の場合に、切換手段により、第2経路を通して定着装置において加熱された空気を帯電装置内に導入させるようにしたため、高湿度の環境下において画像形成を行った場合においても、像担持体の表面に付着した放電生成物が水分を吸収して像担持体の表面抵抗が低下するのが防止され、形成される画像に画像流れ等の異常画像が発生するのが適切に防止されるようになる。
【0020】
また、本発明の画像形成装置において、所定期間の画像形成停止後に、上記の切換手段により、第2経路を通して定着装置において加熱された空気を帯電装置内に導入させるようにすると、画像形成停止前に像担持体の表面に付着して存在する放電生成物が水分を吸収して像担持体の表面抵抗が低下するのが抑制され、画像形成開始当初においても、画像流れ等の異常画像が発生するのが適切に防止されるようになる。
【0021】
また、本発明の画像形成装置において、上記の第2経路を通して定着装置において加熱された空気を帯電装置に所定時間導入させた後、上記の切換手段により、上記の第1経路を通して帯電装置内に外気を導入させるようにし、或いは、像担持体の温度を検出する温度検出手段を設け、この温度検出手段によって検出された像担持体の温度が所定値以上の場合に、上記の切換手段により、第1経路を通して帯電装置内に外気を導入させるようにすると、像担持体の温度が高くなり過ぎるのが防止され、像担持体とクリーニング装置に設けられたクリーニングブレードとの摩擦が強くなって、クリーニングブレードがめくれあがったり、トナーの流動性が低下したりするのが抑制されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、この発明の実施形態に係る画像形成装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係る画像形成装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0023】
この実施形態における画像形成装置においても、図2に示すように、像担持体1を回転させると共に、この像担持体1に対して帯電装置2からコロナ放電を行って像担持体1を帯電させた後、この像担持体1の表面にレーザ等を用いた潜像形成装置3により画像情報に応じた露光を行い、この像担持体1の表面に静電潜像を形成するようにしている。
【0024】
そして、このように像担持体1の表面に形成された静電潜像の部分に現像装置4からトナーを供給して、像担持体1の表面に静電潜像に対応するトナー像を形成した後、像担持体1の表面に形成されたトナー像を転写装置5により記録媒体6に転写させ、このようにトナー像が転写された記録媒体6を加熱式の定着装置7に設けられた一対のローラ7a間に導き、この一対のローラ7a間において、トナー像を記録媒体6に加熱定着させるようにしている。
【0025】
一方、上記のようにトナー像を転写させた後における像担持体1の表面に残留しているトナー等の残留物をクリーニング装置8に設けられたクリーニングブレード8aによって像担持体1の表面から除去し、その後、前記のように帯電装置2によって像担持体1を帯電させ、上記のような操作を繰り返して、画像形成を連続して行うようにしている。
【0026】
ここで、この実施形態における画像形成装置においては、この画像形成装置内の環境条件を検出する環境検出手段11と、像担持体1の温度を検出する温度検出手段12とを設け、上記の環境検出手段11によって検出された環境条件の結果と、温度検出手段12によって検出された像担持体1の温度の結果とを、制御手段10に出力するようにしている。
【0027】
また、この実施形態における画像形成装置においては、図3及び図4に示すように、上記の帯電装置2の長手方向一端部における導入口2aから帯電装置2の内部に、外気を導入する第1経路31と、上記の定着装置7において加熱された空気を導入する第2経路32とを設けると共に、上記の第1経路31と第2経路32とが合流する部分に回動するダンパからなる切換手段30を設けている。
【0028】
そして、この切換手段30を回動させて、上記の第1経路31を通して外気を帯電装置2の内部に導入させ、或いは、上記の第2経路32を通して定着装置7において加熱された空気を帯電装置2の内部に導入させ、このように導入された外気又は加熱された空気を像担持体1に導くと共に、排気ファン33により帯電装置2の内部を通して上記の導入口2aと反対側の端部における排出口2bに導き、排気経路34に設けられたフィルタ35を通して外部に排気させるようにしている。
【0029】
ここで、上記のように切換手段30を回動させて、帯電装置2の内部に導入させる空気の経路を第1経路31と第2経路32との間で切り換えるにあたっては、上記の環境検出手段11によって検出された環境条件と、温度検出手段12によって検出された像担持体1の温度とに基づき、上記の制御手段10によって切換手段30を制御するようにしている。
【0030】
例えば、画像形成装置をオンさせた場合において、上記の環境検出手段11によって検出された湿度が所定値未満である場合や、上記の温度検出手段12によって検出された像担持体1の温度が所定値以上である場合には、像担持体1の表面に付着して存在する放電生成物が水分を吸収して表面抵抗が低下するおそれが低いため、図3に示すように、上記の制御手段10により、定着装置7において加熱された空気を導入する第2経路32を閉じるように切換手段30を回動させ、上記の第1経路31を通して外気を帯電装置2の内部に導入させるようにする。
【0031】
一方、上記の環境検出手段11によって検出された湿度が所定値以上であり、また上記の温度検出手段12によって検出された像担持体1の温度が所定値未満である場合には、図4に示すように、上記の制御手段10により、定着装置7において加熱された空気を導入する第1経路31を閉じるように切換手段30を回動させ、上記の第2経路32を通して定着装置7において加熱された空気を帯電装置2の内部に導入させるようにする。
【0032】
そして、図4に示すように、加熱された空気を帯電装置2の内部に導入させると、このように加熱された空気により、像担持体1の表面に付着して存在する放電生成物が水分を吸収して像担持体1の表面抵抗が低下するのが抑制され、形成される画像に画像流れ等の異常画像が発生するのが適切に防止されるようになる。
【0033】
また、このように定着装置7において加熱された空気が帯電装置2の内部に所定時間導入され、これにより像担持体1の表面の温度が上昇して、上記の温度検出手段12によって検出された像担持体1の温度が所定値以上になった場合には、前記の図3に示すように、上記の制御手段10により、定着装置7において加熱された空気を導入する第2経路32を閉じるように切換手段30を回動させ、上記の第1経路31を通して外気を帯電装置2の内部に導入させるようにする。
【0034】
このようにすると、像担持体1の温度が高くなり過ぎるのが防止され、像担持体1と上記のクリーニング装置8に設けられたクリーニングブレード8aとの摩擦が強くなって、クリーニングブレード8aがめくれあがったり、またトナーの流動性が低下したりするのが抑制され、良好な画像形成が安定して行えるようになる。
【0035】
なお、この実施形態においては、外気を導入する第1経路31と、定着装置7において加熱された空気を導入する第2経路32とを切り換えるにあたり、回動するダンパからなる切換手段30を設けるようにしたが、特に、切換手段30はこのようなものに限定されず、各種の切換手段30を用いることができる。
【0036】
また、上記の帯電装置2の内部に飛散トナー等が侵入するのを防止するために、図5に示すように、この帯電装置2における像担持体1の移動方向上流側及び下流側の面にそれぞれシール部材2cを設けた場合には、帯電装置2の内部に導入された加熱された空気や外気が、これらのシール部材2cによって像担持体1の表面に効率よく導かれるようになる。
【0037】
そして、このように加熱された空気が像担持体1の表面に効率よく導かれると、像担持体1の表面に付着して存在する放電生成物が水分を吸収して像担持体1の表面抵抗が低下するのが効率よく防止されるようになる。一方、外気が像担持体1の表面に効率よく導かれると、加熱された空気によって加熱された像担持体1の表面が外気によって効率よく冷却され、像担持体1の温度が高くなり過ぎるのが適切に防止されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】従来の画像形成装置の概略説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略説明図である。
【図3】上記の実施形態に係る画像形成装置において、制御手段により第1経路を通して外気を帯電装置の内部に導入させる状態を示した部分説明図である。
【図4】上記の実施形態に係る画像形成装置において、制御手段により第2経路を通して定着装置において加熱された空気を帯電装置の内部に導入させる状態を示した部分説明図である。
【図5】上記の実施形態に係る画像形成装置において、帯電装置における像担持体の移動方向上流側及び下流側の面にそれぞれシール部材を設けた状態を示した部分説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 像担持体
2 帯電装置
2a 導入口
2b 排出口
2c シール部材
3 潜像形成装置
4 現像装置
5 転写装置
6 記録媒体
7 定着装置
7a ローラ
8 クリーニング装置
8a クリーニングブレード
10 制御手段
11 環境検出手段
12 温度検出手段
30 切換手段
31 第1経路
32 第2経路
33 排気ファン
34 排気経路
35 フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナ放電により像担持体を帯電させる帯電装置と、記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に加熱定着させる定着装置とを備えた画像形成装置において、外気を上記の帯電装置内に導入する第1経路と、定着装置において加熱された空気を上記の帯電装置内に導入する第2経路とが設けられると共に、上記の第1経路と第2経路との切り換えを行う切換手段と、画像形成装置内の環境条件を検出する環境検出手段とが設けられ、この環境検出手段によって検出された湿度が所定値以上の場合に、上記の切換手段により、第2経路を通して定着装置において加熱された空気を帯電装置内に導入させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、所定期間の画像形成停止後に、上記の切換手段により、第2経路を通して定着装置において加熱された空気を帯電装置内に導入させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置において、上記の第2経路を通して定着装置において加熱された空気を帯電装置に所定時間導入させた後、上記の切換手段により、上記の第1経路を通して帯電装置内に外気を導入させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置において、上記の像担持体の温度を検出する温度検出手段を設け、この温度検出手段によって検出された像担持体の温度が所定値以上の場合に、上記の切換手段により、上記の第1経路を通して帯電装置内に外気を導入させることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−186868(P2009−186868A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28467(P2008−28467)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】