画像形成装置
【課題】媒体の非画像領域に現像剤が付着するのを防止することができ、画像品位を向上させることができるようにする。
【解決手段】像担持体と、現像剤担持体と、現像剤供給部材と、前記現像剤担持体に現像用の電圧を印加する電圧印加部と、前記現像剤供給部材に現像剤供給用の電圧を印加する電圧印加部と、所定の単位時間が経過するたびに、画像形成装置の使用状況を判定する使用状況判定処理手段と、使用状況の判定結果に基づいて、現像用の電圧と現像剤供給用の電圧との差電圧を変更する補正処理手段とを有する。現像剤担持体上の現像剤の電位が高くなるのを防止することができるので、帯電量の高い現像剤が像担持体の表面に付着することがなくなる。
【解決手段】像担持体と、現像剤担持体と、現像剤供給部材と、前記現像剤担持体に現像用の電圧を印加する電圧印加部と、前記現像剤供給部材に現像剤供給用の電圧を印加する電圧印加部と、所定の単位時間が経過するたびに、画像形成装置の使用状況を判定する使用状況判定処理手段と、使用状況の判定結果に基づいて、現像用の電圧と現像剤供給用の電圧との差電圧を変更する補正処理手段とを有する。現像剤担持体上の現像剤の電位が高くなるのを防止することができるので、帯電量の高い現像剤が像担持体の表面に付着することがなくなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真式のプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、プリンタにおいては、感光体ドラムの表面が、帯電ローラによって帯電させられ、LEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像に現像ローラ上で薄層化された現像剤としてのトナーが静電的に付着させられてトナー像が形成されるようになっている。続いて、該トナー像は、転写ローラによって媒体としての用紙上に転写され、定着器において定着させられて、画像が形成される。また、転写後に前記感光体ドラム上に残留したトナーは、クリーニングブレードによって掻き取られ、廃トナーとして回収される。
【0003】
ところで、前記感光体ドラム上の静電潜像にトナーを付着させるに当たり、現像ローラに所定の値の電圧が印加されるようになっいる。
【0004】
そして、プリンタが印刷指示を受けた際の画像形成ユニットの使用量、前回の印刷からの経過時間を表す放置時間、印刷しようとするドット数等に基づいて、トナーの帯電量が推定され、該帯電量に対応させて現像ローラに印加される電圧が調整されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2008−3486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、印刷を開始した後、プリンタの使用状況が変化すると、トナーの電位(以下「トナー電位」という。)が変化して用紙の非画像領域にトナーが付着することがあり、その場合、画像品位が低下してしまう。
【0006】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、媒体の非画像領域に現像剤が付着するのを防止することができ、画像品位を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の画像形成装置においては、像担持体と、該像担持体上に形成された潜像に、所定の極性に帯電させた現像剤を付着させて現像剤像を形成する現像剤担持体と、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と、前記現像剤担持体に現像用の電圧を印加する現像用の電圧印加部と、前記現像剤供給部材に現像剤供給用の電圧を印加する現像剤供給用の電圧印加部と、画像の形成が開始された後に、所定の単位時間が経過するたびに、画像形成装置の使用状況を判定する使用状況判定処理手段と、該使用状況判定処理手段による判定結果に基づいて、前記現像用の電圧と現像剤供給用の電圧との差電圧を変更する補正処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置においては、像担持体と、該像担持体上に形成された潜像に、所定の極性に帯電させた現像剤を付着させて現像剤像を形成する現像剤担持体と、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と、前記現像剤担持体に現像用の電圧を印加する現像用の電圧印加部と、前記現像剤供給部材に現像剤供給用の電圧を印加する現像剤供給用の電圧印加部と、画像の形成が開始された後に、所定の単位時間が経過するたびに、画像形成装置の使用状況を判定する使用状況判定処理手段と、該使用状況判定処理手段による判定結果に基づいて、前記現像用の電圧と現像剤供給用の電圧との差電圧を変更する補正処理手段とを有する。
【0009】
この場合、画像の形成が開始された後に、所定の単位時間が経過するたびに、画像形成装置の使用状況が判定され、判定結果に基づいて、現像用の電圧と現像剤供給用の電圧との差電圧が変更されるので、現像剤担持体上の現像剤の電位が高くなるのを防止することができる。したがって、帯電量の高い現像剤が像担持体の表面に付着することがなくなり、媒体の非画像領域に現像剤が付着するのを防止することができる。その結果、画像品位を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像を形成することによって印刷を行う画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0011】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【0012】
図において、10はプリンタの本体、すなわち、装置本体であり、該装置本体10内には、ほぼ「S」字状に延在させて、媒体としての図示されない用紙を搬送するための搬送路25が形成され、該搬送路25に搬送ローラ26〜29が配設される。また、前記搬送路25に沿って、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の現像剤像としてのトナー像を形成するための画像形成ユニット(IDユニット)Bk、Y、M、Cが配設され、該各画像形成ユニットBk、Y、M、Cより下方には、用紙を搬送するとともに、前記各色のトナー像を用紙に転写するための転写ユニット34が配設され、各画像形成ユニットBk、Y、M、Cと転写ユニット34との間に前記搬送路25が形成される。なお、前記転写ユニット34によってベルト駆動ユニットが構成される。
【0013】
また、前記装置本体10には、さらに、像担持体としての感光体ドラム11と対向させて露光装置としての、かつ、記録ヘッドとしてのLEDヘッド23が配設される。そして、前記転写ユニット34の下流側には、転写されたトナー像を用紙に定着させるための定着ユニット35が配設される。
【0014】
各画像形成ユニットBk、Y、M、Cにおいて、前記感光体ドラム11は、所定の回転速度で回転させられ、表面に電荷を蓄えることができ、前記LEDヘッド23による露光によって表面の電荷が除去されると、感光体ドラム11上に潜像としての図示されない静電潜像が形成される。感光体ドラム11に、帯電装置としての帯電ローラ12が一定の圧力で接触させられ、該帯電ローラ12は、感光体ドラム11と反対方向に回転させられ、感光体ドラム11の表面に所定の電圧を印加する。
【0015】
また、45は、前記感光体ドラム11に隣接させて配設され、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像器であり、該現像器45は、感光体ドラム11に現像剤としてのトナーを付着させる現像剤担持体としての現像ローラ16、該現像ローラ16上のトナーの厚さを規制する規制部材としての図示されない現像ブレード、現像ローラ16にトナーを供給する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ18等を備える。前記現像ローラ16は、感光体ドラム11に一定の圧力で接触させられ、感光体ドラム11と反対方向に回転させられ、トナー供給ローラ18は、現像ローラ16に一定の圧力で接触させられ、現像ローラ16と同じ方向に回転させられる。
【0016】
前記感光体ドラム11、帯電ローラ12、現像器45等は、画像形成ユニット本体を構成する筐体20内に収容され、該筐体20の上方には、トナーを収容する現像剤収容部としてのトナーカートリッジ15が筐体20に対して着脱自在に配設される。
【0017】
前記転写ユニット34は、走行自在に配設された転写ベルト21、及び各感光体ドラム11と対向させて配設された転写部材としての転写ローラ22を備える。前記転写ベルト21及び転写ローラ22は、図示されない電圧印加部によって所定の電圧が印加され、感光体ドラム11上の各トナー像を用紙に転写する。
【0018】
また、38はロワフレーム、40は、該ロワフレーム38に対して揺動自在に配設され、プリンタ外に排出された用紙を積載するためのスタッカ31を備えたアッパフレームである。そして、前記転写ユニット34より下方における、搬送路25の端部に、用紙を収容する媒体収容部としての給紙カセット30が配設され、該給紙カセット30に、用紙を繰り出す繰出部32が配設される。なお、39は用紙の厚さを検出する検出部、42は該検出部39によって検出された用紙の厚さに対応させて転写ローラ22の位置を変更する位置調整機構である。
【0019】
次に、前記構成のプリンタの動作について説明する。
【0020】
前記各画像形成ユニットBk、Y、M、Cにおいて、帯電ローラ12は感光体ドラム11の表面を一様に帯電させ、LEDヘッド23は感光体ドラム11の表面を露光して静電潜像を形成する。続いて、現像器45は、静電潜像を現像して各色のトナー像を形成する。
【0021】
一方、繰出部32によって一枚ずつ繰り出された用紙は、搬送ローラ26、27によって搬送され、静電気によって転写ベルト21に付着させられ、該転写ベルト21の走行に伴って、各画像形成ユニットBk、Y、M、Cと転写ユニット34との間を搬送され、その間に、各色のトナー像が重ねて転写され、カラーのトナー像が形成される。その後、用紙は、定着ユニット35を通過し、カラーのトナー像が定着させられ、カラーの画像が形成される。続いて、用紙は、搬送ローラ28、29によって更に搬送され、スタッカ31に排出される。
【0022】
前記プリンタには、図示されない外部装置と通信を行い、印刷データを受信する図示されない外部インタフェース、及び該外部インタフェースから印刷データを受信し、プリンタ全体の制御を行う図示されない制御部が配設される。
【0023】
次に、各画像形成ユニットBk、Y、M、Cの電源系について説明する。この場合、各画像形成ユニットBk、Y、M、Cの電源系の構造は同じであるので、画像形成ユニットBkについてだけ説明する。
【0024】
図3は本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの電源系を示す図である。
【0025】
図において、11は感光体ドラム、12は帯電ローラ、23はLEDヘッド、16は現像ローラ、18はトナー供給ローラ、51は現像ブレード、22は転写ローラ、52はクリーニング部材としてのクリーニングブレード、55は帯電用の電圧印加部としての帯電ローラ用電源、56は現像用の電圧印加部としての現像ローラ用電源、57は現像剤供給用の電圧印加部としてのトナー供給ローラ用電源である。
【0026】
前記感光体ドラム11、帯電ローラ12、現像ローラ16、トナー供給ローラ18、現像ブレード51及びクリーニングブレード52によって画像形成ユニットBkが構成され、帯電ローラ用電源55、現像ローラ用電源56及びトナー供給ローラ用電源57によって電源装置62が構成される。
【0027】
なお、前記画像形成ユニットBkには、画像形成ユニットBkにおける駆動速度を制御するために画像形成用の制御部としての印刷制御部65が接続され、前記電源装置62に、帯電ローラ用電源55、現像ローラ用電源56及びトナー供給ローラ用電源57の出力を制御するために電圧制御部66が接続される。この場合、帯電ローラ用電源55の出力は、トナーと同じ極性のバイアスである帯電用の電圧としての帯電ローラ印加電圧であり、現像ローラ用電源56の出力は、トナーと同じ極性又は逆の極性のバイアスである現像用の電圧としての現像ローラ印加電圧であり、トナー供給ローラ用電源57の出力は、トナーと同じ極性又は逆の極性のバイアスである現像剤供給用の電圧としてのトナー供給ローラ印加電圧である。
【0028】
また、前記感光体ドラム11は、導電性支持体及び光導電層によって形成され、前記導電性支持体としてアルミニウムの金属パイプが、光導電層として電荷発生層及び電荷輸送層を積層した有機系感光体が使用される。そして、前記帯電ローラ12は、金属シャフト及び半導電性ゴム層によって形成され、前記現像ローラ16は、金属シャフト及び半導電ウレタンゴム材によって形成される。また、前記現像ブレード51は、例えば、0.08〔mm〕の厚さを有し、長手方向の長さが現像ローラ16の弾性体の幅とほぼ一致する薄板によって形成され、長手方向の一端が図示されないフレームに固定され、他端の先端からわずかに内側の面が現像ローラ16に当接するように配設される。
【0029】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。
【0030】
図において、71はプリンタ全体の制御を行う制御部、65は画像形成ユニットBkの各ローラの回転動作を制御する印刷制御部、72は画像形成ユニットBkに印加される電圧を設定するとともに、電圧の印加をオン・オフする高圧制御部、73は画像形成ユニットBkの使用量を表す感光体ドラム11(図2)の回転数を検出する回転数検出部としての感光体ドラム回転数検出部、74は画像を形成する画素の数、すなわち、画像ドット数を検出する画像ドット数検出部、75は画像形成ユニットBk付近における第1の環境変数としての温度及び第2の環境変数としての湿度を検出する環境変数検出部としての温度・湿度検出部、76は感光体ドラム回転数検出部73によって検出された感光体ドラム11の回転数、画像ドット数検出部74によって検出された画像ドット数、及び温度・湿度検出部75によって検出された温度及び湿度を検出データとして記録するための記憶部、77は該記憶部76に記録された検出データを使用し、感光体ドラム11の使用頻度を表す画像形成動作頻度としての印刷動作頻度、トナーの使用量を表す画像形成ドット比率としての印刷ドット比率、及び平均湿度を算出する計算部、78は時間を計時する計時部、79は計算部77によって算出された前記印刷動作頻度、平均印刷ドット比率及び平均湿度と、あらかじめ設定された印刷動作頻度、印刷ドット比率及び平均湿度の各閾値とをそれぞれ比較する比較部である。
【0031】
次に、前記構成の画像形成ユニットBkの動作について説明する。
【0032】
まず、前記感光体ドラム11の表面は、帯電ローラ用電源55に接続された帯電ローラ12によって、任意の極性及び電位により、一様に帯電させられる。次に、印刷制御部65によって出力された画像データは、LEDヘッド23に送られ、該LEDヘッド23は、画像データに基づいて感光体ドラム11の表面を露光し、静電潜像を形成する。そして、トナー供給ローラ用電源57に接続されたトナー供給ローラ18は、現像ローラ用電源56に接続された現像ローラ16に当接させられているので、回転させられることによって、トナーを現像ローラ16に供給する。該現像ローラ16に供給されたトナーは、現像ローラ16と現像ブレード51(図3)との摩擦等によって帯電させられ、現像ローラ16の表面にトナーの薄層が形成される。なお、薄層の厚さは、前記現像ローラ印加電圧、トナー供給ローラ印加電圧、現像ブレード51による押圧力等によって決定される。
【0033】
また、現像ローラ16は、感光体ドラム11に当接させられ、高圧制御部72によって制御された現像ローラ印加電圧が印加されることによってトナーを感光体ドラム11の静電潜像に付着させ、トナー像を形成する。その後、感光体ドラム11上のトナー像は、感光体ドラム11と転写ローラ22との間に形成される電界によって用紙に転写され、用紙上のトナー像は、定着ユニット35において定着させられる。なお、トナー像の転写後に感光体ドラム11上に残留したトナーは、クリーニングブレード52によって掻き取られ、廃トナーとして回収される。
【0034】
ところで、一般的に、現像ローラ16へのトナーの付着量は、現像ローラ16とトナー供給ローラ18との間に形成される電界の強さで決まり、現像ローラ16とトナー供給ローラ18との間の電位差、すなわち、差電圧Vaが大きいほど多くなる。そして、前記トナーの付着量が多くなると、現像ローラ16上のトナー電位が高くなる。例えば、負の極性のトナーを使用し、現像ローラ印加電圧を−110〔V〕としたとき、トナー供給ローラ印加電圧を−130〔V〕にする場合より、−150〔V〕にする場合のほうがトナーの付着量が多くなる。本実施の形態において、現像ローラ印加電圧及びトナー供給ローラ印加電圧は、絶対値で、
|現像ローラ印加電圧|≦|トナー供給ローラ印加電圧|
の関係にされる。
【0035】
次に、差電圧Vaとトナー電位との関係について説明する。
【0036】
図4は本発明の第1の実施の形態における差電圧と現像ローラ上のトナー電位との関係を示す第1の図、図5は本発明の第1の実施の形態における差電圧と現像ローラ上のトナー電位との関係を示す第2の図、図6は本発明の第1の実施の形態における差電圧と現像ローラ上のトナー電位との関係を示す第3の図である。なお、図4〜6において、横軸に差電圧Vaを、縦軸にトナー電位を採ってある。
【0037】
図4に示されるように、12時間以上プリンタを使用することなく放置した後に、差電圧Vaを変化させたときのトナー電位と、低い画像形成ドット比率で1000枚の用紙に対して連続印刷を行った後に、差電圧Vaを変化させたときのトナー電位とをプロットした場合、差電圧Vaが同じ値であっても、12時間以上プリンタを放置した後(放置後)に対して、低い画像形成ドット比率で1000枚の用紙に対して連続印刷を行った後(連続印刷後)においては、トナー電位が高くなる。
【0038】
そして、図5に示されるように、12時間以上プリンタを放置した後に、差電圧Vaを変化させたときのトナー電位と、高い画像形成ドット比率で1000枚の用紙に対して連続印刷を行った後に、差電圧Vaを変化させたときのトナー電位とをプロットした場合、差電圧Vaが同じ値であっても、12時間以上プリンタを放置した後に対して、低い画像形成ドット比率で1000枚の用紙に対して連続印刷を行った後においては、トナー電位が高くなるが、低い画像形成ドット比率で連続印刷を行った場合より、トナー電位の上がり方は小さくなる。
【0039】
また、図6に示されるように、プリンタを低湿度の環境下に置いて、低い画像形成ドット比率で1000枚の用紙に対して連続印刷を行った後に、差電圧Vaを変化させたときのトナー電位と、プリンタ10を高湿度の環境下に置いて、低い画像形成ドット比率で1000枚の用紙に対して連続印刷を行った後に、差電圧Vaを変化させたときのトナー電位とをプロットした場合、差電圧Vaが同じ値であっても、プリンタ10を低湿度の環境下に置いて、低い画像形成ドット比率で1000枚の用紙に対して連続印刷を行った後においては、プリンタ10を高湿度の環境下に置いて連続印刷を行った場合より、トナー電位が高くなる。
【0040】
この場合、現像ローラ16(図2)上のトナーのトナー電位が高くなると、帯電量の高いトナーが感光体ドラム11の表面に付着することがあり、その結果、前記トナーは用紙上に移動し、画像に汚れが発生してしまう。
【0041】
これに対して、プリンタが印刷指示を受けた際の画像形成ユニットBkの使用量、前回の印刷からの経過時間を表す放置時間、画像形成ドット比率、印刷が行われる際のプリンタの置かれた環境等に応じて前記差電圧Vaを変更し、用紙の非画像領域にトナーが付着するのを防止することが考えられるが、印刷指示を受けた後、印刷を行っている間に、例えば、湿度が変化してプリンタの使用状況が変化すると、用紙の非画像領域にトナーが付着するのを防止することができなくなってしまうことがある。そこで、本実施の形態においては、印刷を行っている間に、所定の時間ごとにプリンタの使用状況を監視し、プリンタの使用状況が変化した場合に、トナー供給ローラ印加電圧を変更することによって差電圧Vaを変化させ、用紙の非画像領域にトナーが付着するのを防止するようにしている。
【0042】
図7は本発明の第1の実施の形態おけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【0043】
この場合、本実施の形態においては、差電圧Vaを変更する必要性を表す指標として制御値Pが使用される。
【0044】
まず、制御部71(図1)の図示されない初期設定処理手段は、初期設定処理を行い、前回の印刷が終了したときから計時部78によって計時された前記放置時間を読み込み、該放置時間が十分に長く、放置時間閾値(本実施の形態においては、3時間)以上であるかどうかを判断する。前記放置時間が放置時間閾値以上である場合、制御値Pを零(0)にする。また、前記放置時間が放置時間閾値より短い場合、前記制御値Pは前回の値のままにされる。そして、前記初期設定処理手段は、制御値Pを記憶部76に記録する。
【0045】
なお、本実施の形態においては、放置時間が十分に長いかどうかを、該放置時間が放置時間閾値以上であるかどうかによって判断するようになっているが、定着ユニット35(図2)の温度、すなわち、定着温度τf、及びプリンタの周辺の温度、すなわち、周辺温度τeに基づいて判断することもできる。
【0046】
その場合、温度・湿度検出部75は、前記周辺温度τeを検出するために、装置本体10の筐体、例えば、アッパフレーム40に図示されない周辺温度検出用センサを、前記定着温度τfを検出するために、定着ユニット35の近傍に図示されない定着温度検出用センサを備える。
【0047】
そして、前記初期設定処理手段は、温度・湿度検出部75によって検出された周辺温度τe、及び定着温度検出用センサによって検出された定着温度τfを読み込み、前記周辺温度τeと定着温度τfとの温度差Δτを算出し、該温度差Δτが温度差閾値(本実施の形態においては、50〔℃〕)以下であるかどうかを判断する。そして、温度差Δτが温度差閾値以下である場合、定着ユニット35が十分に冷却されることによって、定着温度τfが周辺温度τeに十分に近づいたと判断することができ、放置時間が十分に長いと判断することができる。このとき、前記初期設定処理手段は、制御値Pを零にする。なお、前記放置時間、及び温度差Δτによって初期設定用のプリンタの使用状況が表される。
【0048】
続いて、前記制御部71の図示されない単位時間経過判断処理手段は、単位時間経過判断処理を行い、比較部79に指示を送り、初期設定処理が行われた後、あらかじめ設定された所定の時間、すなわち、単位時間が経過したかどうかを判断する。そのために、記憶部76に単位時間が記録され、前記比較部79は、計時部78によって計時された時間を読み込み、記憶部76から単位時間を読み出し、計時された時間と単位時間とを比較する。計時された時間が単位時間より長い場合、単位時間が経過したと判断される。本実施の形態において、単位時間は、例えば、30〔分〕に設定される。
【0049】
そして、単位時間が経過すると、前記制御部71の図示されない使用状況判定指標取得処理手段は、使用状況判定指標取得処理を行い、計算部77によって、プリンタの第1の使用状況である前記単位時間当たりの平均湿度Haを算出する。そのために、使用状況判定指標取得処理手段は、温度・湿度検出部75によって検出され、記憶部76に記録されたプリンタの周辺の湿度を読み込む。なお、温度・湿度検出部75は、前記湿度を検出するために、装置本体10の筐体、例えば、アッパフレーム40に図示されない湿度検出用センサを備える。次に、前記使用状況判定指標取得処理手段は、前記単位時間内における所定の読取周期ごとに記憶部76から湿度を読み出し、計算部77によって、前記湿度に基づいて平均湿度Haを算出する。本実施の形態において、読取周期は、例えば、5〔分〕に設定される。
【0050】
続いて、前記制御部71の図示されない使用状況判定処理手段は、使用状況判定処理を行い、印刷が開始された後のプリンタの使用状況を判定する。そのために、使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第1の条件が成立したかどうかを、平均湿度Haがあらかじめ設定された閾値、すなわち、湿度閾値Hs以下であるかどうかによって判定する。そのために、記憶部76に湿度閾値Hsが記録され、前記比較部79は、平均湿度Haを読み込み、記憶部76から湿度閾値Hsを読み出し、平均湿度Haと湿度閾値Hsとを比較する。平均湿度Haが湿度閾値Hs以下である場合、第1の条件が成立する。本実施の形態において、湿度閾値Hsは、例えば、40〔%〕に設定される。
【0051】
次に、平均湿度Haが湿度閾値Hs以下(平均湿度Haが0〔%〕である場合も含む。)であり、第1の条件が成立すると、前記使用状況判定処理手段は、計算部77に指示を送り、プリンタの第2の使用状況である前記単位時間内における印刷動作頻度Saを算出し、記憶部76に記録する。そのために、計算部77は、記憶部76に記録された前記単位時間内の感光体ドラム11の回転数Nrを読み出し、該回転数Nrを、前記単位時間内に連続して印刷を行うことができる感光体ドラム11の最大の回転数Nmaxによって除算して、前記印刷動作頻度Sa
Sa=Nr/Nmax
を算出する。
【0052】
そして、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第2の条件が成立したかどうかを、前記印刷動作頻度Saが、あらかじめ設定された閾値、すなわち、印刷動作頻度閾値Ss以上であるかどうかによって判定する。本実施の形態において、印刷動作頻度閾値Ssは、例えば、0.7に設定される。
【0053】
次に、印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ss以上であり、第2の条件が成立すると、前記使用状況判定処理手段は、計算部77に指示を送り、プリンタの第3の使用状況である前記単位時間内における印刷ドット比率Daを算出し、記憶部76に記録する。
【0054】
ところで、所定の用紙に対して印刷を行ったときに、トナーの最大の使用量を表す最大印刷ドット数をDmaxとすると、該最大印刷ドット数Dmaxは、例えば、1枚のレター紙に対して100〔%〕のデューティで印刷を行ったときの画像ドット数Dpを、1枚のレター紙に対して印刷を行うのに必要な感光体ドラム11の回転数Npで除算することによって表すことができ、
Dmax=Dp/Np
になる。
【0055】
そこで、計算部77は、記憶部76に記録された、実際に印刷を行ったときの前記単位時間内の画像ドット数Dr、及び感光体ドラム11の回転数Nrを読み出し、単位時間が経過したときの画像ドット数Drの増加量ΔDrを回転数Nrの増加量ΔNrで除算することによって、実際に印刷を行ったときのトナーの使用量を表す印刷ドット数De
De=ΔDr/ΔNr
を算出する。続いて、前記計算部77は、前記レター紙に対して印刷を行ったときのトナーの最大の使用量に対する実際に印刷を行ったときのトナーの使用量の割合(トナーの使用の度合い)を、印刷ドット比率Daとして、計算部77は、印刷ドット比率Da
Da=(De/Dmax)×100〔%〕
を算出する。
【0056】
そして、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第3の条件が成立したかどうかを、前記印刷ドット比率Daが、あらかじめ設定された閾値、すなわち、印刷ドット比率閾値Ds以下であるかどうかによって判定する。本実施の形態において、印刷ドット比率閾値Dsは、例えば、30〔%〕に設定される。
【0057】
次に、制御部71の図示されない制御値設定処理手段は、制御値設定処理を行い、使用状況判定処理手段による判定結果に基づいて制御値Pを設定する。すなわち、印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以下であり、第3の条件が成立すると、前記制御値設定処理手段は、制御値Pに所定の調整値ΔPiを加算する。本実施の形態において、該調整値ΔPiは、例えば、+1に設定される。
【0058】
続いて、前記制御値設定処理手段は、制御値Pがあらかじめ設定された制御値Pの上限値Psより大きいかどうかを判断する。制御値Pが上限値Psより大きい場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pを上限値Psの値にし、制御部71の図示されない補正処理手段は、補正処理を行い、差電圧Vaを変更する。制御値Pが上限値Ps以下である場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pを変更せず、補正処理手段は差電圧Vaを変更する。本実施の形態において、上限値Psは、例えば、+4に設定される。
【0059】
また、第1〜第3の条件が成立しない場合、差電圧Vaを変更する必要がないので、前記制御値設定処理手段は、制御値Pに所定の調整値ΔPdを加算する。本実施の形態において、該調整値ΔPdは、例えば、−1に設定される。
【0060】
続いて、前記制御値設定処理手段は、制御値Pがあらかじめ設定された制御値Pの下限値Peより小さいかどうかを判断する。制御値Pが下限値Peより小さい場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pを下限値Peの値にし、制御値Pが下限値Pe以上である場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pを変更しない。本実施の形態において、下限値Peは、例えば、0に設定される。
【0061】
次に、前記補正処理について説明する。
【0062】
この場合、前述されたように、前記補正処理手段によって、差電圧Vaが変更されるようになっている。そのために、例えば、前記記憶部76に印加電圧補正テーブルが設定され、該印加電圧補正テーブルに、制御値Pと対応させて差電圧Vaの補正値Vgが記録される。したがって、前記補正処理手段は、制御値Pを読み込み、印加電圧補正テーブルを参照して制御値Pに対応する補正値Vgを読み出し、あらかじめ設定された標準の差電圧Vasに補正値Vgを加算して、差電圧Vaを、
Va=Vas+Vg
にする。
【0063】
例えば、設定された制御値Pが+1である場合、補正値Vgは+5〔V〕にされ、制御値Pが+2である場合、補正値Vgは+10〔V〕にされ、制御値Pが+3である場合、補正値Vgは+15〔V〕にされ、制御値Pが+4である場合、補正値Vgは+20〔V〕にされる。したがって、あらかじめ設定された標準のトナー供給ローラ印加電圧Vstを−200〔V〕とすると、前記補正処理手段は、制御値Pが+1である場合、トナー供給ローラ印加電圧Vsは−195〔V〕にされ、差電圧Vaが5〔V〕小さくされ、制御値Pが+2である場合、トナー供給ローラ印加電圧Vsを−190〔V〕にし、差電圧Vaを10〔V〕小さくし、制御値Pが+3である場合、トナー供給ローラ印加電圧Vsを185〔V〕にし、差電圧Vaを15〔V〕小さくし、制御値Pが+4である場合、トナー供給ローラ印加電圧Vsを−180〔V〕にし、差電圧Vaを20〔V〕小さくする。このように、制御値Pが1大きくなるごとに、トナー供給ローラ印加電圧Vsが、絶対値で5〔V〕小さくなるので、差電圧Vaを5〔V〕小さくすることができる。
【0064】
なお、本実施の形態においては、印加電圧補正テーブルを参照して制御値Pに対応する補正値Vgを読み出し、差電圧Vaを算出するようにしているが、制御値Pに基づいて演算によって差電圧Vaを算出することができる。
【0065】
この場合、差電圧Vaは、制御値P及び制御値Pが1だけ変化するごとに設定された単位補正値ΔVg(本実施の形態においては、+5〔V〕とする。)に基づいて、
Va=Vas+P・ΔVg
のように算出することができる。
【0066】
このようにして、制御値設定処理及び補正処理が行われると、再び計時部78による計時が開始され、単位時間が経過するのが待機される。
【0067】
このように、本実施の形態においては、単位時間が経過するたびに、単位時間当たりの平均湿度Ha、印刷動作頻度Sa、印刷ドット比率Da等のプリンタの使用状況に基づいて制御値Pが設定され、必要に応じて差電圧Vaが変更されるので、現像ローラ16上のトナーのトナー電位が高くなるのを防止することができる。したがって、帯電量の高いトナーが感光体ドラム11の表面に付着することがなくなり、用紙の非画像領域にトナーが付着するのを防止することができる。その結果、画像に汚れが発生するのを防止することができ、画像品位を向上させることができる。
【0068】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 制御値Pを零にする。
ステップS2 単位時間が経過するのを待機する。単位時間が経過した場合はステップS3に進む。
ステップS3 単位時間内の平均湿度Haを算出する。
ステップS4 平均湿度Haが湿度閾値Hs以下であるかどうかを判断する。平均湿度Haが湿度閾値Hs以下である場合はステップS5に、平均湿度Haが湿度閾値Hsより高い場合はステップS13に進む。
ステップS5 単位時間内の印刷動作頻度Saを算出する。
ステップS6 印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ss以上であるかどうかを判断する。印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ss以上である場合はステップS7に、印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ssより低い場合はステップS13に進む。
ステップS7 単位時間内の印刷ドット比率Daを算出する。
ステップS8 印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以下であるかどうかを判断する。印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以下である場合はステップS9に、印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Dsより大きい場合はステップS13に進む。
ステップS9 制御値Pに1を加算する。
ステップS10 制御値Pが上限値Psより大きいかどうかを判断する。制御値Pが上限値Psより大きい場合はステップS11に、制御値Pが上限値Ps以下である場合はステップS12に進む。
ステップS11 制御値Pを上限値Psの値にする。
ステップS12 補正処理を行い、リターンする。
ステップS13 制御値Pから1を減算する。
ステップS14 制御値Pが零より小さいかどうかを判断する。制御値Pが零より小さい場合はステップS15に進み、制御値Pが零以上である場合はリターンする。
ステップS15 制御値Pを零にし、ステップS2に戻る。
【0069】
ところで、本実施の形態においては、単位時間当たりの平均湿度Ha、印刷動作頻度Sa、印刷ドット比率Da等のプリンタの使用状況に基づいて制御値Pが設定され、差電圧Vaが変更されるようになっているが、平均湿度Haが湿度閾値Hs以下である場合に、一律に差電圧Vaを変更すると、補正値Vgが大きくなりすぎて、画像にかすれ、かぶり等が発生し、画像品位が低くなってしまうことがある。
【0070】
図8は相対湿度とトナー電位との関係を示す図である。なお、図8において、横軸に相対湿度を、縦軸にトナー電位を採ってある。
【0071】
図においては、差電圧Vaが60〔V〕に設定され、印刷ドット比率が3〔%〕に設定され、2000枚の連続印刷が行われた場合の相対湿度と現像ローラ16上のトナー電位との関係が示される。
【0072】
この場合、相対湿度が前記湿度閾値Hs以下であっても、相対湿度の値によってトナー電位が異なることが分かる。したがって、第1の実施の形態のように、平均湿度Haが湿度閾値Hs以下である場合に、一律に差電圧Vaを変更すると、トナー電位が高くない状態で差電圧Vaが小さくされることがあり、その場合、現像ローラ16にトナーを十分に供給することができず、画像にかすれが発生してしまう。また、トナー電位が高いにもかかわらず、差電圧Vaが大きくされないこともあり、その場合、現像ローラ16にトナーが過剰に供給されてしまい、画像にかぶりが発生してしまう。
【0073】
そこで、平均湿度Haが湿度閾値Hs以下である場合に、平均湿度Haの値に応じて差電圧Vaの補正値を調整するようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。また、印刷動作については、第1の実施の形態と同様である。
【0074】
図9は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第1のフローチャート、図10は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第2のフローチャートである。
【0075】
この場合、前記湿度閾値Hs以下の第1〜第3の閾値Hsa、Hsb及びHscが、
Hs:Hsa<Hsb<Hsc
になるように設定される。また、平均湿度Haの値に応じて、制御値Pの上限値Psが第1〜第3の値Pa、Pb、Pc
Pa>Pb>Pc
になるように設定される。
【0076】
そして、前記初期設定処理手段は、前回の印刷が終了したときから計時部78(図1)によって計時された放置時間を読み込み、該放置時間が放置時間閾値(本実施の形態においては、3時間)以上であるかどうかを判断し、前記放置時間が放置時間閾値以上である場合、制御値Pを零にする。また、前記放置時間が放置時間閾値より短い場合、前記制御値Pは前回の値のままにされる。そして、前記初期設定処理手段は、制御値Pを記憶部76に記録する。
【0077】
なお、前記周辺温度τeと定着温度τfとの温度差Δτを算出し、該温度差Δτが温度差閾値(本実施の形態においては、50〔℃〕)以下であるかどうかによって、放置時間が十分に長いかどうかを判断することができる。
【0078】
続いて、前記単位時間経過判断処理手段は、比較部79に指示を送り、初期設定処理が行われた後、あらかじめ設定された単位時間が経過したかどうかを判断する。そのために、記憶部76に前記単位時間が記録され、前記比較部79は、計時部78によって計時された時間を読み込み、記憶部76から単位時間を読み出し、計時された時間と単位時間とを比較する。計時された時間が単位時間より長い場合、単位時間が経過したと判断される。本実施の形態において、単位時間は、例えば、30〔分〕に設定される。
【0079】
そして、単位時間が経過すると、前記使用状況判定指標取得処理手段は、平均湿度Haを算出する。そのために、使用状況判定指標取得処理手段は、前記温度・湿度検出部75によって検出され、記憶部76に記録されたプリンタの周辺の湿度を読み込む。次に、前記使用状況判定指標取得処理手段は、前記単位時間内における所定の読取周期ごとに記憶部76から湿度を読み出し、該湿度に基づいて平均湿度Haを算出する。本実施の形態において、読取周期は、例えば、5〔分〕に設定される。
【0080】
続いて、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第1の条件が成立したかどうかを、平均湿度Haがあらかじめ設定された閾値、すなわち、第3の閾値Hsc以下であるかどうかによって判定する。そのために、記憶部76に前記第1〜第3の閾値Hsa、Hsb、Hscが記録され、前記比較部79は、平均湿度Haを読み込み、記憶部76から第3の閾値Hscを読み出し、平均湿度Haと第3の閾値Hscとを比較する。平均湿度Haが第3の閾値Hsc以下である場合、第1の条件が成立する。本実施の形態において、第3の閾値Hscは、例えば、40〔%〕に設定される。
【0081】
次に、平均湿度Haが第3の閾値Hsc以下(平均湿度Haが0〔%〕である場合も含む。)であり、第1の条件が成立すると、前記使用状況判定処理手段は、計算部77に指示を送り、プリンタの第2の使用状況である前記単位時間内における像担持体としての感光体ドラム11の使用量の割合を表す印刷動作頻度Saを算出し、記憶部76に記録する。
【0082】
そして、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第2の条件が成立したかどうかを、前記印刷動作頻度Saが、あらかじめ設定された印刷動作頻度閾値Ss以上であるかどうかによって判定する。本実施の形態において、印刷動作頻度閾値Ssは、例えば、0.7に設定される。
【0083】
次に、印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ss以上であり、第2の条件が成立すると、前記使用状況判定処理手段は、計算部77に指示を送り、プリンタの第3の使用状況である前記単位時間内においてトナーの使用量を表す印刷ドット比率Daを算出し、記憶部76に記録する。
【0084】
そして、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第3の条件が成立したかどうかを、前記印刷ドット比率Daが、あらかじめ設定された印刷ドット比率閾値Ds以下であるかどうかによって判定する。本実施の形態において、印刷ドット比率閾値Dsは、例えば、30〔%〕に設定される。
【0085】
次に、印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以下であり、第3の条件が成立すると、前記制御値設定処理手段は、制御値Pに所定の調整値ΔPを加算する。本実施の形態において、調整値ΔPは、例えば、+1に設定される。
【0086】
続いて、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、平均湿度Haが第1の閾値Hsa以下であるかどうかを判断する。そのために、前記比較部79は、平均湿度Haを読み込み、記憶部76から第1の閾値Hsaを読み出し、平均湿度Haと第1の閾値Hsaとを比較する。
【0087】
平均湿度Haが第1の閾値Hsa以下である場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pの上限値Psを第1の値Paにする。また、平均湿度Haが第1の閾値Hsaより高い場合、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、平均湿度Haが第2の閾値Hsb以下であるかどうかを判断する。そのために、前記比較部79は、平均湿度Haを読み込み、記憶部76から第2の閾値Hsbを読み出し、平均湿度Haと第2の閾値Hsbとを比較する。
【0088】
平均湿度Haが第2の閾値Hsb以下である場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pの上限値Psを第2の値Paにする。また、平均湿度Haが第2の閾値Hsbより高い場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pを上限値Psの値にし、前記補正処理手段は差電圧Vaを変更する。制御値Pが上限値Ps以下である場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pを変更せず、補正処理手段は差電圧Vaを変更する。
【0089】
また、第1〜第3の条件が成立しない場合、差電圧Vaを変更する必要がないので、前記制御値設定処理手段は、制御値Pに所定の調整値ΔPを加算する。本実施の形態において、調整値ΔPは、例えば、−1に設定される。
【0090】
続いて、前記制御値設定処理手段は、制御値Pがあらかじめ設定された制御値Pの下限値Peより小さいかどうかを判断する。制御値Pが下限値Peより小さい場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pを下限値Peの値にし、制御値Pが下限値Pe以上である場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pを変更しない。本実施の形態において、下限値Peは、例えば、0に設定される。
【0091】
このように、本実施の形態においては、平均湿度Haが湿度閾値Hs以下である場合に、平均湿度Haと第1〜第3の閾値Hsa、Hsb、Hscとが比較され、平均湿度Haが低いほど、差電圧Vaを変更するための制御値Pが大きく、平均湿度Haが高いほど、差電圧Vaを変更するための制御値Pが小さく設定される。
【0092】
したがって、平均湿度Haが高く、現像剤としてのトナーのトナー電位が低い場合に、差電圧Vaを小さくすることができるので、現像剤担持体としての現像ローラ16にトナーを十分に供給することができ、画像にかすれが発生するのを防止することができる。また、平均湿度Haが低く、トナー電位が高い場合に、差電圧Vaを大きくすることができるので、現像ローラ16にトナーが過剰に供給されるのを防止することができ、画像にかぶりが発生するのを防止することができる。
【0093】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 制御値Pを零にする。
ステップS22 単位時間が経過するのを待機する。単位時間が経過した場合はステップS3に進む。
ステップS23 単位時間内の平均湿度Haを算出する。
ステップS24 平均湿度Haが第3の閾値Hsc以下であるかどうかを判断する。平均湿度Haが第3の閾値Hsc以下である場合はステップS25に、平均湿度Haが第3の閾値Hscより高い場合はステップS38に進む。
ステップS25 単位時間内の印刷動作頻度Saを算出する。
ステップS26 印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ss以上であるかどうかを判断する。印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ss以上である場合はステップS27に、印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ssより低い場合はステップS38に進む。
ステップS27 単位時間内の印刷ドット比率Daを算出する。
ステップS28 印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以下であるかどうかを判断する。印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以下である場合はステップS29に、印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Dsより大きい場合はステップS38に進む。
ステップS29 制御値Pに1を加算する。
ステップS30 平均湿度Haが第1の閾値Hsa以下であるかどうかを判断する。平均湿度Haが第1の閾値Hsa以下である場合はステップS31に、平均湿度Haが第1の閾値Hsaより高い場合はステップS32に進む。
ステップS31 上限値Psを第1の値Paにし、ステップS35に進む。
ステップS32 平均湿度Haが第2の閾値Hsb以下であるかどうかを判断する。平均湿度Haが第2の閾値Hsb以下である場合はステップS33に、平均湿度Haが第2の閾値Hsbより高い場合はステップS34に進む。
ステップS33 上限値Psを第2の値Pbにし、ステップS35に進む。
ステップS34 上限値Psを第3の値Pcにし、ステップS35に進む。
ステップS35 制御値Pが上限値Ps以下であるかどうかを判断する。制御値Pが上限値Ps以下である場合はステップS37に、制御値Pが上限値Psより大きい場合はステップS36に進む。
ステップS36 制御値Pを上限値Psの値にする。
ステップS37 補正処理を行い、ステップS22に戻る。
ステップS38 制御値Pから1を減算する。
ステップS39 制御値Pが零より小さいかどうかを判断する。制御値Pが零より小さい場合はステップS40に進み、制御値Pが零以上である場合はステップS22に戻る。
ステップS40 制御値Pを零にし、ステップS22に戻る。
【0094】
ところで、前記第1、第2の実施の形態において、仮に、母粒子に対して逆極性の外添剤が添加されたトナーを使用する場合、前記差電圧Vaが小さくなると、外添剤が感光体ドラム11に付着しやすくなる。トナーの使用量が少ない場合は、感光体ドラム11に付着する外添剤の量は少ないが、印刷ドット比率Daが高くなるに従って、トナーの使用量が多くなると、感光体ドラム11に付着する外添剤の量も増える。そして、感光体ドラム11に付着する外添剤の量が多くなり、外添剤が核になり、トナーに添加されているワックスが感光体ドラム11上に固着し、斑点状の模様、すなわち、フィルミングを発生させてしまう。
【0095】
その場合、フィルミングが発生した部分には、トナーを付着させることができなくなるので、画像に白抜けが発生してしまう。
【0096】
図11は差電圧と感光体ドラムに発生するフィルミングとの関係を示す図である。なお、図において、横軸に印刷枚数を、縦軸にフィルミングのレベルを採ってある。
【0097】
この場合、プリンタの印字速度を30〔PPM〕とし、印刷ドット比率5〔%〕で連続印刷を行い、印刷枚数が0〔枚〕、1000〔枚〕、2000〔枚〕、3000〔枚〕、4000〔枚〕、5000〔枚〕及び6000〔枚〕であるときに、印刷ドット比率100〔%〕で1枚の印刷を行い、印刷結果を目視することによってフィルミングが発生したかどうかの判断を行った。
【0098】
フィルミングが発生するレベルは、レベル1〜5に分けられ、レベル1においては、直径が2〔mm〕より大きい白抜けが発生し、レベル2においては、直径が0.5〔mm〕より大きく、かつ、2〔mm〕以下の白抜けが発生し、レベル3においては、直径が0.5〔mm〕以下の白抜けが画像の50〔%〕以上の領域で発生し、レベル3においては、直径が0.5〔mm〕以下の白抜けが部分的に発生した。
【0099】
図に示されるように、差電圧Vaが高いほど、連続印刷の枚数が多くなってもレベルを高く維持することができるが、差電圧Vaが低いほど、連続印刷の枚数が多くなるのに伴って、レベルが低くなる。
【0100】
そこで、画像に白抜けが発生することがないようにした本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。また、本実施の形態においては、現像剤として、母粒子に対して逆極性の外添剤が添加された現像剤としてのトナーが使用される。
【0101】
図12は本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【0102】
この場合、本実施の形態においては、差電圧Vaを変更する必要性を表す指標として制御値Rが使用される。
【0103】
そして、前記初期設定処理手段は、前回の印刷が終了したときから計時部78(図1)によって計時された放置時間を読み込み、該放置時間が放置時間閾値(本実施の形態においては、3時間)以上であるかどうかを判断し、前記放置時間が放置時間閾値以上である場合、制御値Pを零にする。また、前記放置時間が放置時間閾値より短い場合、前記制御値Pは前回の値のままにされる。そして、前記初期設定処理手段は、制御値Pを記憶部76に記録する。
【0104】
なお、前記周辺温度τeと定着温度τfとの温度差Δτを算出し、該温度差Δτが温度差閾値(本実施の形態においては、50〔℃〕)以下であるかどうかによって、放置時間が十分に長いかどうかを判断することができる。
【0105】
続いて、前記単位時間経過判断処理手段は、比較部79に指示を送り、初期設定処理が行われた後、あらかじめ設定された単位時間が経過したかどうかを判断する。そのために、記憶部76に前記単位時間が記録され、比較部79は、計時部78によって計時された時間を読み込み、記憶部76から単位時間を読み出し、計時された時間と単位時間とを比較する。計時された時間が単位時間より長い場合、単位時間が経過したと判断される。本実施の形態において、単位時間は、例えば、30〔分〕に設定される。
【0106】
そして、単位時間が経過すると、前記使用状況判定指標取得処理手段は、プリンタの第1の使用状況である前記単位時間当たりの平均湿度Haを算出する。そのために、使用状況判定指標取得処理手段は、温度・湿度検出部75によって検出され、記憶部76に記録されたプリンタの周辺の湿度を読み込む。なお、温度・湿度検出部75は、前記湿度を検出するために、装置本体10の筐体、例えば、アッパフレーム40に図示されない湿度検出用センサを備える。次に、前記使用状況判定指標取得処理手段は、前記単位時間内における所定の読取周期ごとに記憶部76から湿度を読み出し、該湿度に基づいて平均湿度Haを算出する。本実施の形態において、読取周期は、例えば、5〔分〕に設定される。
【0107】
続いて、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第1の条件が成立したかどうかを、平均湿度Haがあらかじめ設定された閾値、すなわち、湿度閾値Hs以下であるかどうかによって判定する。そのために、記憶部76に湿度閾値Hsが記録され、前記比較部79は、平均湿度Haを読み込み、記憶部76から湿度閾値Hsを読み出し、平均湿度Haと湿度閾値Hsとを比較する。平均湿度Haが湿度閾値Hs以下である場合、第1の条件が成立する。本実施の形態において、湿度閾値Hsは、例えば、40〔%〕に設定される。
【0108】
次に、平均湿度Haが湿度閾値Hs以下(平均湿度Haが0〔%〕である場合も含む。)であり、第1の条件が成立すると、前記使用状況判定処理手段は、計算部77に指示を送り、プリンタの第2の使用状況である前記単位時間内における像担持体としての感光体ドラム11の使用量の割合を表す印刷動作頻度Saを算出し、記憶部76に記録する。
【0109】
そして、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第2の条件が成立したかどうかを、前記印刷動作頻度Saが、あらかじめ設定された印刷動作頻度閾値Ss以上であるかどうかによって判定する。本実施の形態において、印刷動作頻度閾値Ssは、例えば、0.7に設定される。
【0110】
次に、印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ss以上であり、第2の条件が成立すると、前記使用状況判定処理手段は、計算部77に指示を送り、プリンタの第3の使用状況である前記単位時間内においてトナーの使用量を表す印刷ドット比率Daを算出し、記憶部76に記録する。
【0111】
そして、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第3の条件が成立したかどうかを、前記印刷ドット比率Daが、あらかじめ設定された印刷ドット比率閾値Ds以下であるかどうかによって判定する。本実施の形態において、印刷ドット比率閾値Dsは、例えば、50〔%〕に設定される。
【0112】
次に、印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以下であり、第3の条件が成立すると、前記制御値設定処理手段は、制御値Rに所定の調整値ΔRiを加算する。本実施の形態において、調整値ΔRiは、例えば、+1に設定される。
【0113】
続いて、前記制御値設定処理手段は、制御値Rがあらかじめ設定された制御値Rの上限値Rsより大きいかどうかを判断する。制御値Rが上限値Rsより大きい場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Rを上限値Rsの値にし、制御部71の図示されない補正処理手段は、補正処理を行い、差電圧Vaを変更する。制御値Rが上限値Rs以下である場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Rを変更せず、補正処理手段は差電圧Vaを変更する。本実施の形態において、上限値Rsは、例えば、+4に設定される。
【0114】
また、第1〜第3の条件が成立しない場合、差電圧Vaを変更する必要がないので、前記制御値設定処理手段は、制御値Rに所定の調整値ΔRdを加算する。本実施の形態において、調整値ΔRdは、例えば、−1に設定される。
【0115】
続いて、前記制御値設定処理手段は、制御値Rがあらかじめ設定された制御値Rの下限値Reより小さいかどうかを判断する。制御値Rが下限値Reより小さい場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Rを下限値Reの値にし、制御値Rが下限値Re以上である場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Rを変更しない。本実施の形態において、下限値Reは、例えば、0に設定される。
【0116】
次に、前記補正処理について説明する。
【0117】
この場合、前述されたように、補正処理手段によって、差電圧Vaが変更されるようになっている。そのために、前記記憶部76に印加電圧補正テーブルが設定され、該印加電圧補正テーブルに、制御値Rと対応させて差電圧Vaの補正値Vgが記録される。したがって、前記補正処理手段は、制御値Rを読み込み、印加電圧補正テーブルを参照して制御値Rに対応する補正値Vgを読み出し、あらかじめ設定された標準の差電圧Vasに補正値Vgを加算して、差電圧Vaを、
Va=Vas+Vg
にする。
【0118】
例えば、設定された制御値Rが+1である場合、補正値Vgは−10〔V〕にされ、制御値Rが+2である場合、補正値Vgは−20〔V〕にされ、制御値Rが+3である場合、補正値Vgは−30〔V〕にされ、制御値Rが+4である場合、補正値Vgは−40〔V〕にされる。したがって、あらかじめ設定された標準のトナー供給ローラ印加電圧Vstを−200〔V〕とすると、前記補正処理手段は、制御値Rが+1である場合、トナー供給ローラ印加電圧Vsを−210〔V〕にし、差電圧Vaを10〔V〕高くし、制御値Rが+2である場合、トナー供給ローラ印加電圧Vsを−220〔V〕にし、差電圧Vaを20〔V〕高くし、制御値Rが+3である場合、トナー供給ローラ印加電圧Vsを230〔V〕にし、差電圧Vaを30〔V〕高くし、制御値Rが+4である場合、トナー供給ローラ印加電圧Vsを−240〔V〕にし、差電圧Vaを40〔V〕高くする。このように、制御値Rが1大きくなるごとに、トナー供給ローラ印加電圧Vsが、絶対値で10〔V〕高くなるので、差電圧Vaを10〔V〕高くすることができる。
【0119】
なお、本実施の形態においては、印加電圧補正テーブルを参照して制御値Rに対応する補正値Vgを読み出し、差電圧Vaを算出するようにしているが、制御値Rに基づいて演算によって差電圧Vaを算出することができる。
【0120】
この場合、差電圧Vaは、制御値R及び制御値Rが1だけ変化するごとに設定された単位補正値ΔVg(本実施の形態においては、−10〔V〕とする。)に基づいて、
Va=Vas+R・ΔVg
のように算出することができる。
【0121】
このようにして、制御値設定処理及び補正処理が行われると、再び計時部78による計時が開始され、単位時間が経過するのが待機される。
【0122】
このように、本実施の形態においては、単位時間が経過するたびに、単位時間当たりの平均湿度Ha、印刷動作頻度Sa、印刷ドット比率Da等のプリンタの使用状況に基づいて制御値Rが設定され、必要に応じて差電圧Vaが変更されるので、印刷ドット比率Daが高くなるに従って、トナーの使用量が多くなっても、外添剤が核になってトナーに添加されているワックスが感光体ドラム11上に固着することがなくなり、フィルミングが発生するのを防止することができる。
【0123】
その結果、画像に白抜けが発生するのを防止することができ、画像品位を向上させることができる。
【0124】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS41 制御値Rを零にする。
ステップS42 単位時間が経過するのを待機する。単位時間が経過した場合はステップS43に進む。
ステップS43 制御値Rが零であるかどうかを判断する。制御値Rが零である場合はステップS44に進み、制御値Rが零でない場合はステップS41に戻る。
ステップS44 単位時間内の印刷動作頻度Saを算出する。
ステップS45 印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ss以上であるかどうかを判断する。印刷動作頻度Saが印刷動作頻度Ss以上である場合はステップS46に、印刷動作頻度Saが印刷動作頻度Ssより低い場合はステップS52に進む。
ステップS46 単位時間内の印刷ドット比率Daを算出する。
ステップS47 印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以上であるかどうかを判断する。印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以上である場合はステップS48に、印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Dsより小さい場合はステップS52に進む。
ステップS48 制御値Rに1を加算する。
ステップS49 制御値Rが上限値Rs以下であるかどうかを判断する。制御値Rが上限値Rs以下である場合はステップS50に、制御値Rが上限値Rsより大きい場合はステップS51に進む。
ステップS50 制御値Rを上限値Rsの値にする。
ステップS51 補正処理を行い、リターンする。
ステップS52 制御値Rから1を減算する。
ステップS53 制御値Rが零より小さいかどうかを判断する。制御値Rが零より小さい場合はステップS54に進み、制御値Rが零以上である場合はステップS42に戻る。
ステップS54 制御値Rを零にし、リターンする。
【0125】
なお、前記第3の実施の形態の技術を第1、第2の実施の形態に適用することができる。その場合、制御値Pに基づいて優先的に差電圧Vaを変更し、続いて、制御値Rに基づいて差電圧Vaを変更するのが好ましい。
【0126】
前記各実施の形態においては、画像形成装置としてのプリンタについて説明しているが、本発明を、複写機、ファクシミリ装置、複合機等に適用することができる。
【0127】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの電源系を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における差電圧と現像ローラ上のトナー電位との関係を示す第1の図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における差電圧と現像ローラ上のトナー電位との関係を示す第2の図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における差電圧と現像ローラ上のトナー電位との関係を示す第3の図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態おけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態における相対湿度とトナー電位との関係を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第1のフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第2のフローチャートである。
【図11】差電圧と感光体ドラムに発生するフィルミングとの関係を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0129】
11 感光体ドラム
16 現像ローラ
18 トナー供給ローラ
56 現像ローラ用電源
57 トナー供給ローラ用電源
Va 差電圧
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真式のプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、プリンタにおいては、感光体ドラムの表面が、帯電ローラによって帯電させられ、LEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像に現像ローラ上で薄層化された現像剤としてのトナーが静電的に付着させられてトナー像が形成されるようになっている。続いて、該トナー像は、転写ローラによって媒体としての用紙上に転写され、定着器において定着させられて、画像が形成される。また、転写後に前記感光体ドラム上に残留したトナーは、クリーニングブレードによって掻き取られ、廃トナーとして回収される。
【0003】
ところで、前記感光体ドラム上の静電潜像にトナーを付着させるに当たり、現像ローラに所定の値の電圧が印加されるようになっいる。
【0004】
そして、プリンタが印刷指示を受けた際の画像形成ユニットの使用量、前回の印刷からの経過時間を表す放置時間、印刷しようとするドット数等に基づいて、トナーの帯電量が推定され、該帯電量に対応させて現像ローラに印加される電圧が調整されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2008−3486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、印刷を開始した後、プリンタの使用状況が変化すると、トナーの電位(以下「トナー電位」という。)が変化して用紙の非画像領域にトナーが付着することがあり、その場合、画像品位が低下してしまう。
【0006】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、媒体の非画像領域に現像剤が付着するのを防止することができ、画像品位を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の画像形成装置においては、像担持体と、該像担持体上に形成された潜像に、所定の極性に帯電させた現像剤を付着させて現像剤像を形成する現像剤担持体と、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と、前記現像剤担持体に現像用の電圧を印加する現像用の電圧印加部と、前記現像剤供給部材に現像剤供給用の電圧を印加する現像剤供給用の電圧印加部と、画像の形成が開始された後に、所定の単位時間が経過するたびに、画像形成装置の使用状況を判定する使用状況判定処理手段と、該使用状況判定処理手段による判定結果に基づいて、前記現像用の電圧と現像剤供給用の電圧との差電圧を変更する補正処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置においては、像担持体と、該像担持体上に形成された潜像に、所定の極性に帯電させた現像剤を付着させて現像剤像を形成する現像剤担持体と、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と、前記現像剤担持体に現像用の電圧を印加する現像用の電圧印加部と、前記現像剤供給部材に現像剤供給用の電圧を印加する現像剤供給用の電圧印加部と、画像の形成が開始された後に、所定の単位時間が経過するたびに、画像形成装置の使用状況を判定する使用状況判定処理手段と、該使用状況判定処理手段による判定結果に基づいて、前記現像用の電圧と現像剤供給用の電圧との差電圧を変更する補正処理手段とを有する。
【0009】
この場合、画像の形成が開始された後に、所定の単位時間が経過するたびに、画像形成装置の使用状況が判定され、判定結果に基づいて、現像用の電圧と現像剤供給用の電圧との差電圧が変更されるので、現像剤担持体上の現像剤の電位が高くなるのを防止することができる。したがって、帯電量の高い現像剤が像担持体の表面に付着することがなくなり、媒体の非画像領域に現像剤が付着するのを防止することができる。その結果、画像品位を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像を形成することによって印刷を行う画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0011】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【0012】
図において、10はプリンタの本体、すなわち、装置本体であり、該装置本体10内には、ほぼ「S」字状に延在させて、媒体としての図示されない用紙を搬送するための搬送路25が形成され、該搬送路25に搬送ローラ26〜29が配設される。また、前記搬送路25に沿って、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の現像剤像としてのトナー像を形成するための画像形成ユニット(IDユニット)Bk、Y、M、Cが配設され、該各画像形成ユニットBk、Y、M、Cより下方には、用紙を搬送するとともに、前記各色のトナー像を用紙に転写するための転写ユニット34が配設され、各画像形成ユニットBk、Y、M、Cと転写ユニット34との間に前記搬送路25が形成される。なお、前記転写ユニット34によってベルト駆動ユニットが構成される。
【0013】
また、前記装置本体10には、さらに、像担持体としての感光体ドラム11と対向させて露光装置としての、かつ、記録ヘッドとしてのLEDヘッド23が配設される。そして、前記転写ユニット34の下流側には、転写されたトナー像を用紙に定着させるための定着ユニット35が配設される。
【0014】
各画像形成ユニットBk、Y、M、Cにおいて、前記感光体ドラム11は、所定の回転速度で回転させられ、表面に電荷を蓄えることができ、前記LEDヘッド23による露光によって表面の電荷が除去されると、感光体ドラム11上に潜像としての図示されない静電潜像が形成される。感光体ドラム11に、帯電装置としての帯電ローラ12が一定の圧力で接触させられ、該帯電ローラ12は、感光体ドラム11と反対方向に回転させられ、感光体ドラム11の表面に所定の電圧を印加する。
【0015】
また、45は、前記感光体ドラム11に隣接させて配設され、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像器であり、該現像器45は、感光体ドラム11に現像剤としてのトナーを付着させる現像剤担持体としての現像ローラ16、該現像ローラ16上のトナーの厚さを規制する規制部材としての図示されない現像ブレード、現像ローラ16にトナーを供給する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ18等を備える。前記現像ローラ16は、感光体ドラム11に一定の圧力で接触させられ、感光体ドラム11と反対方向に回転させられ、トナー供給ローラ18は、現像ローラ16に一定の圧力で接触させられ、現像ローラ16と同じ方向に回転させられる。
【0016】
前記感光体ドラム11、帯電ローラ12、現像器45等は、画像形成ユニット本体を構成する筐体20内に収容され、該筐体20の上方には、トナーを収容する現像剤収容部としてのトナーカートリッジ15が筐体20に対して着脱自在に配設される。
【0017】
前記転写ユニット34は、走行自在に配設された転写ベルト21、及び各感光体ドラム11と対向させて配設された転写部材としての転写ローラ22を備える。前記転写ベルト21及び転写ローラ22は、図示されない電圧印加部によって所定の電圧が印加され、感光体ドラム11上の各トナー像を用紙に転写する。
【0018】
また、38はロワフレーム、40は、該ロワフレーム38に対して揺動自在に配設され、プリンタ外に排出された用紙を積載するためのスタッカ31を備えたアッパフレームである。そして、前記転写ユニット34より下方における、搬送路25の端部に、用紙を収容する媒体収容部としての給紙カセット30が配設され、該給紙カセット30に、用紙を繰り出す繰出部32が配設される。なお、39は用紙の厚さを検出する検出部、42は該検出部39によって検出された用紙の厚さに対応させて転写ローラ22の位置を変更する位置調整機構である。
【0019】
次に、前記構成のプリンタの動作について説明する。
【0020】
前記各画像形成ユニットBk、Y、M、Cにおいて、帯電ローラ12は感光体ドラム11の表面を一様に帯電させ、LEDヘッド23は感光体ドラム11の表面を露光して静電潜像を形成する。続いて、現像器45は、静電潜像を現像して各色のトナー像を形成する。
【0021】
一方、繰出部32によって一枚ずつ繰り出された用紙は、搬送ローラ26、27によって搬送され、静電気によって転写ベルト21に付着させられ、該転写ベルト21の走行に伴って、各画像形成ユニットBk、Y、M、Cと転写ユニット34との間を搬送され、その間に、各色のトナー像が重ねて転写され、カラーのトナー像が形成される。その後、用紙は、定着ユニット35を通過し、カラーのトナー像が定着させられ、カラーの画像が形成される。続いて、用紙は、搬送ローラ28、29によって更に搬送され、スタッカ31に排出される。
【0022】
前記プリンタには、図示されない外部装置と通信を行い、印刷データを受信する図示されない外部インタフェース、及び該外部インタフェースから印刷データを受信し、プリンタ全体の制御を行う図示されない制御部が配設される。
【0023】
次に、各画像形成ユニットBk、Y、M、Cの電源系について説明する。この場合、各画像形成ユニットBk、Y、M、Cの電源系の構造は同じであるので、画像形成ユニットBkについてだけ説明する。
【0024】
図3は本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの電源系を示す図である。
【0025】
図において、11は感光体ドラム、12は帯電ローラ、23はLEDヘッド、16は現像ローラ、18はトナー供給ローラ、51は現像ブレード、22は転写ローラ、52はクリーニング部材としてのクリーニングブレード、55は帯電用の電圧印加部としての帯電ローラ用電源、56は現像用の電圧印加部としての現像ローラ用電源、57は現像剤供給用の電圧印加部としてのトナー供給ローラ用電源である。
【0026】
前記感光体ドラム11、帯電ローラ12、現像ローラ16、トナー供給ローラ18、現像ブレード51及びクリーニングブレード52によって画像形成ユニットBkが構成され、帯電ローラ用電源55、現像ローラ用電源56及びトナー供給ローラ用電源57によって電源装置62が構成される。
【0027】
なお、前記画像形成ユニットBkには、画像形成ユニットBkにおける駆動速度を制御するために画像形成用の制御部としての印刷制御部65が接続され、前記電源装置62に、帯電ローラ用電源55、現像ローラ用電源56及びトナー供給ローラ用電源57の出力を制御するために電圧制御部66が接続される。この場合、帯電ローラ用電源55の出力は、トナーと同じ極性のバイアスである帯電用の電圧としての帯電ローラ印加電圧であり、現像ローラ用電源56の出力は、トナーと同じ極性又は逆の極性のバイアスである現像用の電圧としての現像ローラ印加電圧であり、トナー供給ローラ用電源57の出力は、トナーと同じ極性又は逆の極性のバイアスである現像剤供給用の電圧としてのトナー供給ローラ印加電圧である。
【0028】
また、前記感光体ドラム11は、導電性支持体及び光導電層によって形成され、前記導電性支持体としてアルミニウムの金属パイプが、光導電層として電荷発生層及び電荷輸送層を積層した有機系感光体が使用される。そして、前記帯電ローラ12は、金属シャフト及び半導電性ゴム層によって形成され、前記現像ローラ16は、金属シャフト及び半導電ウレタンゴム材によって形成される。また、前記現像ブレード51は、例えば、0.08〔mm〕の厚さを有し、長手方向の長さが現像ローラ16の弾性体の幅とほぼ一致する薄板によって形成され、長手方向の一端が図示されないフレームに固定され、他端の先端からわずかに内側の面が現像ローラ16に当接するように配設される。
【0029】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。
【0030】
図において、71はプリンタ全体の制御を行う制御部、65は画像形成ユニットBkの各ローラの回転動作を制御する印刷制御部、72は画像形成ユニットBkに印加される電圧を設定するとともに、電圧の印加をオン・オフする高圧制御部、73は画像形成ユニットBkの使用量を表す感光体ドラム11(図2)の回転数を検出する回転数検出部としての感光体ドラム回転数検出部、74は画像を形成する画素の数、すなわち、画像ドット数を検出する画像ドット数検出部、75は画像形成ユニットBk付近における第1の環境変数としての温度及び第2の環境変数としての湿度を検出する環境変数検出部としての温度・湿度検出部、76は感光体ドラム回転数検出部73によって検出された感光体ドラム11の回転数、画像ドット数検出部74によって検出された画像ドット数、及び温度・湿度検出部75によって検出された温度及び湿度を検出データとして記録するための記憶部、77は該記憶部76に記録された検出データを使用し、感光体ドラム11の使用頻度を表す画像形成動作頻度としての印刷動作頻度、トナーの使用量を表す画像形成ドット比率としての印刷ドット比率、及び平均湿度を算出する計算部、78は時間を計時する計時部、79は計算部77によって算出された前記印刷動作頻度、平均印刷ドット比率及び平均湿度と、あらかじめ設定された印刷動作頻度、印刷ドット比率及び平均湿度の各閾値とをそれぞれ比較する比較部である。
【0031】
次に、前記構成の画像形成ユニットBkの動作について説明する。
【0032】
まず、前記感光体ドラム11の表面は、帯電ローラ用電源55に接続された帯電ローラ12によって、任意の極性及び電位により、一様に帯電させられる。次に、印刷制御部65によって出力された画像データは、LEDヘッド23に送られ、該LEDヘッド23は、画像データに基づいて感光体ドラム11の表面を露光し、静電潜像を形成する。そして、トナー供給ローラ用電源57に接続されたトナー供給ローラ18は、現像ローラ用電源56に接続された現像ローラ16に当接させられているので、回転させられることによって、トナーを現像ローラ16に供給する。該現像ローラ16に供給されたトナーは、現像ローラ16と現像ブレード51(図3)との摩擦等によって帯電させられ、現像ローラ16の表面にトナーの薄層が形成される。なお、薄層の厚さは、前記現像ローラ印加電圧、トナー供給ローラ印加電圧、現像ブレード51による押圧力等によって決定される。
【0033】
また、現像ローラ16は、感光体ドラム11に当接させられ、高圧制御部72によって制御された現像ローラ印加電圧が印加されることによってトナーを感光体ドラム11の静電潜像に付着させ、トナー像を形成する。その後、感光体ドラム11上のトナー像は、感光体ドラム11と転写ローラ22との間に形成される電界によって用紙に転写され、用紙上のトナー像は、定着ユニット35において定着させられる。なお、トナー像の転写後に感光体ドラム11上に残留したトナーは、クリーニングブレード52によって掻き取られ、廃トナーとして回収される。
【0034】
ところで、一般的に、現像ローラ16へのトナーの付着量は、現像ローラ16とトナー供給ローラ18との間に形成される電界の強さで決まり、現像ローラ16とトナー供給ローラ18との間の電位差、すなわち、差電圧Vaが大きいほど多くなる。そして、前記トナーの付着量が多くなると、現像ローラ16上のトナー電位が高くなる。例えば、負の極性のトナーを使用し、現像ローラ印加電圧を−110〔V〕としたとき、トナー供給ローラ印加電圧を−130〔V〕にする場合より、−150〔V〕にする場合のほうがトナーの付着量が多くなる。本実施の形態において、現像ローラ印加電圧及びトナー供給ローラ印加電圧は、絶対値で、
|現像ローラ印加電圧|≦|トナー供給ローラ印加電圧|
の関係にされる。
【0035】
次に、差電圧Vaとトナー電位との関係について説明する。
【0036】
図4は本発明の第1の実施の形態における差電圧と現像ローラ上のトナー電位との関係を示す第1の図、図5は本発明の第1の実施の形態における差電圧と現像ローラ上のトナー電位との関係を示す第2の図、図6は本発明の第1の実施の形態における差電圧と現像ローラ上のトナー電位との関係を示す第3の図である。なお、図4〜6において、横軸に差電圧Vaを、縦軸にトナー電位を採ってある。
【0037】
図4に示されるように、12時間以上プリンタを使用することなく放置した後に、差電圧Vaを変化させたときのトナー電位と、低い画像形成ドット比率で1000枚の用紙に対して連続印刷を行った後に、差電圧Vaを変化させたときのトナー電位とをプロットした場合、差電圧Vaが同じ値であっても、12時間以上プリンタを放置した後(放置後)に対して、低い画像形成ドット比率で1000枚の用紙に対して連続印刷を行った後(連続印刷後)においては、トナー電位が高くなる。
【0038】
そして、図5に示されるように、12時間以上プリンタを放置した後に、差電圧Vaを変化させたときのトナー電位と、高い画像形成ドット比率で1000枚の用紙に対して連続印刷を行った後に、差電圧Vaを変化させたときのトナー電位とをプロットした場合、差電圧Vaが同じ値であっても、12時間以上プリンタを放置した後に対して、低い画像形成ドット比率で1000枚の用紙に対して連続印刷を行った後においては、トナー電位が高くなるが、低い画像形成ドット比率で連続印刷を行った場合より、トナー電位の上がり方は小さくなる。
【0039】
また、図6に示されるように、プリンタを低湿度の環境下に置いて、低い画像形成ドット比率で1000枚の用紙に対して連続印刷を行った後に、差電圧Vaを変化させたときのトナー電位と、プリンタ10を高湿度の環境下に置いて、低い画像形成ドット比率で1000枚の用紙に対して連続印刷を行った後に、差電圧Vaを変化させたときのトナー電位とをプロットした場合、差電圧Vaが同じ値であっても、プリンタ10を低湿度の環境下に置いて、低い画像形成ドット比率で1000枚の用紙に対して連続印刷を行った後においては、プリンタ10を高湿度の環境下に置いて連続印刷を行った場合より、トナー電位が高くなる。
【0040】
この場合、現像ローラ16(図2)上のトナーのトナー電位が高くなると、帯電量の高いトナーが感光体ドラム11の表面に付着することがあり、その結果、前記トナーは用紙上に移動し、画像に汚れが発生してしまう。
【0041】
これに対して、プリンタが印刷指示を受けた際の画像形成ユニットBkの使用量、前回の印刷からの経過時間を表す放置時間、画像形成ドット比率、印刷が行われる際のプリンタの置かれた環境等に応じて前記差電圧Vaを変更し、用紙の非画像領域にトナーが付着するのを防止することが考えられるが、印刷指示を受けた後、印刷を行っている間に、例えば、湿度が変化してプリンタの使用状況が変化すると、用紙の非画像領域にトナーが付着するのを防止することができなくなってしまうことがある。そこで、本実施の形態においては、印刷を行っている間に、所定の時間ごとにプリンタの使用状況を監視し、プリンタの使用状況が変化した場合に、トナー供給ローラ印加電圧を変更することによって差電圧Vaを変化させ、用紙の非画像領域にトナーが付着するのを防止するようにしている。
【0042】
図7は本発明の第1の実施の形態おけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【0043】
この場合、本実施の形態においては、差電圧Vaを変更する必要性を表す指標として制御値Pが使用される。
【0044】
まず、制御部71(図1)の図示されない初期設定処理手段は、初期設定処理を行い、前回の印刷が終了したときから計時部78によって計時された前記放置時間を読み込み、該放置時間が十分に長く、放置時間閾値(本実施の形態においては、3時間)以上であるかどうかを判断する。前記放置時間が放置時間閾値以上である場合、制御値Pを零(0)にする。また、前記放置時間が放置時間閾値より短い場合、前記制御値Pは前回の値のままにされる。そして、前記初期設定処理手段は、制御値Pを記憶部76に記録する。
【0045】
なお、本実施の形態においては、放置時間が十分に長いかどうかを、該放置時間が放置時間閾値以上であるかどうかによって判断するようになっているが、定着ユニット35(図2)の温度、すなわち、定着温度τf、及びプリンタの周辺の温度、すなわち、周辺温度τeに基づいて判断することもできる。
【0046】
その場合、温度・湿度検出部75は、前記周辺温度τeを検出するために、装置本体10の筐体、例えば、アッパフレーム40に図示されない周辺温度検出用センサを、前記定着温度τfを検出するために、定着ユニット35の近傍に図示されない定着温度検出用センサを備える。
【0047】
そして、前記初期設定処理手段は、温度・湿度検出部75によって検出された周辺温度τe、及び定着温度検出用センサによって検出された定着温度τfを読み込み、前記周辺温度τeと定着温度τfとの温度差Δτを算出し、該温度差Δτが温度差閾値(本実施の形態においては、50〔℃〕)以下であるかどうかを判断する。そして、温度差Δτが温度差閾値以下である場合、定着ユニット35が十分に冷却されることによって、定着温度τfが周辺温度τeに十分に近づいたと判断することができ、放置時間が十分に長いと判断することができる。このとき、前記初期設定処理手段は、制御値Pを零にする。なお、前記放置時間、及び温度差Δτによって初期設定用のプリンタの使用状況が表される。
【0048】
続いて、前記制御部71の図示されない単位時間経過判断処理手段は、単位時間経過判断処理を行い、比較部79に指示を送り、初期設定処理が行われた後、あらかじめ設定された所定の時間、すなわち、単位時間が経過したかどうかを判断する。そのために、記憶部76に単位時間が記録され、前記比較部79は、計時部78によって計時された時間を読み込み、記憶部76から単位時間を読み出し、計時された時間と単位時間とを比較する。計時された時間が単位時間より長い場合、単位時間が経過したと判断される。本実施の形態において、単位時間は、例えば、30〔分〕に設定される。
【0049】
そして、単位時間が経過すると、前記制御部71の図示されない使用状況判定指標取得処理手段は、使用状況判定指標取得処理を行い、計算部77によって、プリンタの第1の使用状況である前記単位時間当たりの平均湿度Haを算出する。そのために、使用状況判定指標取得処理手段は、温度・湿度検出部75によって検出され、記憶部76に記録されたプリンタの周辺の湿度を読み込む。なお、温度・湿度検出部75は、前記湿度を検出するために、装置本体10の筐体、例えば、アッパフレーム40に図示されない湿度検出用センサを備える。次に、前記使用状況判定指標取得処理手段は、前記単位時間内における所定の読取周期ごとに記憶部76から湿度を読み出し、計算部77によって、前記湿度に基づいて平均湿度Haを算出する。本実施の形態において、読取周期は、例えば、5〔分〕に設定される。
【0050】
続いて、前記制御部71の図示されない使用状況判定処理手段は、使用状況判定処理を行い、印刷が開始された後のプリンタの使用状況を判定する。そのために、使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第1の条件が成立したかどうかを、平均湿度Haがあらかじめ設定された閾値、すなわち、湿度閾値Hs以下であるかどうかによって判定する。そのために、記憶部76に湿度閾値Hsが記録され、前記比較部79は、平均湿度Haを読み込み、記憶部76から湿度閾値Hsを読み出し、平均湿度Haと湿度閾値Hsとを比較する。平均湿度Haが湿度閾値Hs以下である場合、第1の条件が成立する。本実施の形態において、湿度閾値Hsは、例えば、40〔%〕に設定される。
【0051】
次に、平均湿度Haが湿度閾値Hs以下(平均湿度Haが0〔%〕である場合も含む。)であり、第1の条件が成立すると、前記使用状況判定処理手段は、計算部77に指示を送り、プリンタの第2の使用状況である前記単位時間内における印刷動作頻度Saを算出し、記憶部76に記録する。そのために、計算部77は、記憶部76に記録された前記単位時間内の感光体ドラム11の回転数Nrを読み出し、該回転数Nrを、前記単位時間内に連続して印刷を行うことができる感光体ドラム11の最大の回転数Nmaxによって除算して、前記印刷動作頻度Sa
Sa=Nr/Nmax
を算出する。
【0052】
そして、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第2の条件が成立したかどうかを、前記印刷動作頻度Saが、あらかじめ設定された閾値、すなわち、印刷動作頻度閾値Ss以上であるかどうかによって判定する。本実施の形態において、印刷動作頻度閾値Ssは、例えば、0.7に設定される。
【0053】
次に、印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ss以上であり、第2の条件が成立すると、前記使用状況判定処理手段は、計算部77に指示を送り、プリンタの第3の使用状況である前記単位時間内における印刷ドット比率Daを算出し、記憶部76に記録する。
【0054】
ところで、所定の用紙に対して印刷を行ったときに、トナーの最大の使用量を表す最大印刷ドット数をDmaxとすると、該最大印刷ドット数Dmaxは、例えば、1枚のレター紙に対して100〔%〕のデューティで印刷を行ったときの画像ドット数Dpを、1枚のレター紙に対して印刷を行うのに必要な感光体ドラム11の回転数Npで除算することによって表すことができ、
Dmax=Dp/Np
になる。
【0055】
そこで、計算部77は、記憶部76に記録された、実際に印刷を行ったときの前記単位時間内の画像ドット数Dr、及び感光体ドラム11の回転数Nrを読み出し、単位時間が経過したときの画像ドット数Drの増加量ΔDrを回転数Nrの増加量ΔNrで除算することによって、実際に印刷を行ったときのトナーの使用量を表す印刷ドット数De
De=ΔDr/ΔNr
を算出する。続いて、前記計算部77は、前記レター紙に対して印刷を行ったときのトナーの最大の使用量に対する実際に印刷を行ったときのトナーの使用量の割合(トナーの使用の度合い)を、印刷ドット比率Daとして、計算部77は、印刷ドット比率Da
Da=(De/Dmax)×100〔%〕
を算出する。
【0056】
そして、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第3の条件が成立したかどうかを、前記印刷ドット比率Daが、あらかじめ設定された閾値、すなわち、印刷ドット比率閾値Ds以下であるかどうかによって判定する。本実施の形態において、印刷ドット比率閾値Dsは、例えば、30〔%〕に設定される。
【0057】
次に、制御部71の図示されない制御値設定処理手段は、制御値設定処理を行い、使用状況判定処理手段による判定結果に基づいて制御値Pを設定する。すなわち、印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以下であり、第3の条件が成立すると、前記制御値設定処理手段は、制御値Pに所定の調整値ΔPiを加算する。本実施の形態において、該調整値ΔPiは、例えば、+1に設定される。
【0058】
続いて、前記制御値設定処理手段は、制御値Pがあらかじめ設定された制御値Pの上限値Psより大きいかどうかを判断する。制御値Pが上限値Psより大きい場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pを上限値Psの値にし、制御部71の図示されない補正処理手段は、補正処理を行い、差電圧Vaを変更する。制御値Pが上限値Ps以下である場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pを変更せず、補正処理手段は差電圧Vaを変更する。本実施の形態において、上限値Psは、例えば、+4に設定される。
【0059】
また、第1〜第3の条件が成立しない場合、差電圧Vaを変更する必要がないので、前記制御値設定処理手段は、制御値Pに所定の調整値ΔPdを加算する。本実施の形態において、該調整値ΔPdは、例えば、−1に設定される。
【0060】
続いて、前記制御値設定処理手段は、制御値Pがあらかじめ設定された制御値Pの下限値Peより小さいかどうかを判断する。制御値Pが下限値Peより小さい場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pを下限値Peの値にし、制御値Pが下限値Pe以上である場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pを変更しない。本実施の形態において、下限値Peは、例えば、0に設定される。
【0061】
次に、前記補正処理について説明する。
【0062】
この場合、前述されたように、前記補正処理手段によって、差電圧Vaが変更されるようになっている。そのために、例えば、前記記憶部76に印加電圧補正テーブルが設定され、該印加電圧補正テーブルに、制御値Pと対応させて差電圧Vaの補正値Vgが記録される。したがって、前記補正処理手段は、制御値Pを読み込み、印加電圧補正テーブルを参照して制御値Pに対応する補正値Vgを読み出し、あらかじめ設定された標準の差電圧Vasに補正値Vgを加算して、差電圧Vaを、
Va=Vas+Vg
にする。
【0063】
例えば、設定された制御値Pが+1である場合、補正値Vgは+5〔V〕にされ、制御値Pが+2である場合、補正値Vgは+10〔V〕にされ、制御値Pが+3である場合、補正値Vgは+15〔V〕にされ、制御値Pが+4である場合、補正値Vgは+20〔V〕にされる。したがって、あらかじめ設定された標準のトナー供給ローラ印加電圧Vstを−200〔V〕とすると、前記補正処理手段は、制御値Pが+1である場合、トナー供給ローラ印加電圧Vsは−195〔V〕にされ、差電圧Vaが5〔V〕小さくされ、制御値Pが+2である場合、トナー供給ローラ印加電圧Vsを−190〔V〕にし、差電圧Vaを10〔V〕小さくし、制御値Pが+3である場合、トナー供給ローラ印加電圧Vsを185〔V〕にし、差電圧Vaを15〔V〕小さくし、制御値Pが+4である場合、トナー供給ローラ印加電圧Vsを−180〔V〕にし、差電圧Vaを20〔V〕小さくする。このように、制御値Pが1大きくなるごとに、トナー供給ローラ印加電圧Vsが、絶対値で5〔V〕小さくなるので、差電圧Vaを5〔V〕小さくすることができる。
【0064】
なお、本実施の形態においては、印加電圧補正テーブルを参照して制御値Pに対応する補正値Vgを読み出し、差電圧Vaを算出するようにしているが、制御値Pに基づいて演算によって差電圧Vaを算出することができる。
【0065】
この場合、差電圧Vaは、制御値P及び制御値Pが1だけ変化するごとに設定された単位補正値ΔVg(本実施の形態においては、+5〔V〕とする。)に基づいて、
Va=Vas+P・ΔVg
のように算出することができる。
【0066】
このようにして、制御値設定処理及び補正処理が行われると、再び計時部78による計時が開始され、単位時間が経過するのが待機される。
【0067】
このように、本実施の形態においては、単位時間が経過するたびに、単位時間当たりの平均湿度Ha、印刷動作頻度Sa、印刷ドット比率Da等のプリンタの使用状況に基づいて制御値Pが設定され、必要に応じて差電圧Vaが変更されるので、現像ローラ16上のトナーのトナー電位が高くなるのを防止することができる。したがって、帯電量の高いトナーが感光体ドラム11の表面に付着することがなくなり、用紙の非画像領域にトナーが付着するのを防止することができる。その結果、画像に汚れが発生するのを防止することができ、画像品位を向上させることができる。
【0068】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 制御値Pを零にする。
ステップS2 単位時間が経過するのを待機する。単位時間が経過した場合はステップS3に進む。
ステップS3 単位時間内の平均湿度Haを算出する。
ステップS4 平均湿度Haが湿度閾値Hs以下であるかどうかを判断する。平均湿度Haが湿度閾値Hs以下である場合はステップS5に、平均湿度Haが湿度閾値Hsより高い場合はステップS13に進む。
ステップS5 単位時間内の印刷動作頻度Saを算出する。
ステップS6 印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ss以上であるかどうかを判断する。印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ss以上である場合はステップS7に、印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ssより低い場合はステップS13に進む。
ステップS7 単位時間内の印刷ドット比率Daを算出する。
ステップS8 印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以下であるかどうかを判断する。印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以下である場合はステップS9に、印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Dsより大きい場合はステップS13に進む。
ステップS9 制御値Pに1を加算する。
ステップS10 制御値Pが上限値Psより大きいかどうかを判断する。制御値Pが上限値Psより大きい場合はステップS11に、制御値Pが上限値Ps以下である場合はステップS12に進む。
ステップS11 制御値Pを上限値Psの値にする。
ステップS12 補正処理を行い、リターンする。
ステップS13 制御値Pから1を減算する。
ステップS14 制御値Pが零より小さいかどうかを判断する。制御値Pが零より小さい場合はステップS15に進み、制御値Pが零以上である場合はリターンする。
ステップS15 制御値Pを零にし、ステップS2に戻る。
【0069】
ところで、本実施の形態においては、単位時間当たりの平均湿度Ha、印刷動作頻度Sa、印刷ドット比率Da等のプリンタの使用状況に基づいて制御値Pが設定され、差電圧Vaが変更されるようになっているが、平均湿度Haが湿度閾値Hs以下である場合に、一律に差電圧Vaを変更すると、補正値Vgが大きくなりすぎて、画像にかすれ、かぶり等が発生し、画像品位が低くなってしまうことがある。
【0070】
図8は相対湿度とトナー電位との関係を示す図である。なお、図8において、横軸に相対湿度を、縦軸にトナー電位を採ってある。
【0071】
図においては、差電圧Vaが60〔V〕に設定され、印刷ドット比率が3〔%〕に設定され、2000枚の連続印刷が行われた場合の相対湿度と現像ローラ16上のトナー電位との関係が示される。
【0072】
この場合、相対湿度が前記湿度閾値Hs以下であっても、相対湿度の値によってトナー電位が異なることが分かる。したがって、第1の実施の形態のように、平均湿度Haが湿度閾値Hs以下である場合に、一律に差電圧Vaを変更すると、トナー電位が高くない状態で差電圧Vaが小さくされることがあり、その場合、現像ローラ16にトナーを十分に供給することができず、画像にかすれが発生してしまう。また、トナー電位が高いにもかかわらず、差電圧Vaが大きくされないこともあり、その場合、現像ローラ16にトナーが過剰に供給されてしまい、画像にかぶりが発生してしまう。
【0073】
そこで、平均湿度Haが湿度閾値Hs以下である場合に、平均湿度Haの値に応じて差電圧Vaの補正値を調整するようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。また、印刷動作については、第1の実施の形態と同様である。
【0074】
図9は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第1のフローチャート、図10は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第2のフローチャートである。
【0075】
この場合、前記湿度閾値Hs以下の第1〜第3の閾値Hsa、Hsb及びHscが、
Hs:Hsa<Hsb<Hsc
になるように設定される。また、平均湿度Haの値に応じて、制御値Pの上限値Psが第1〜第3の値Pa、Pb、Pc
Pa>Pb>Pc
になるように設定される。
【0076】
そして、前記初期設定処理手段は、前回の印刷が終了したときから計時部78(図1)によって計時された放置時間を読み込み、該放置時間が放置時間閾値(本実施の形態においては、3時間)以上であるかどうかを判断し、前記放置時間が放置時間閾値以上である場合、制御値Pを零にする。また、前記放置時間が放置時間閾値より短い場合、前記制御値Pは前回の値のままにされる。そして、前記初期設定処理手段は、制御値Pを記憶部76に記録する。
【0077】
なお、前記周辺温度τeと定着温度τfとの温度差Δτを算出し、該温度差Δτが温度差閾値(本実施の形態においては、50〔℃〕)以下であるかどうかによって、放置時間が十分に長いかどうかを判断することができる。
【0078】
続いて、前記単位時間経過判断処理手段は、比較部79に指示を送り、初期設定処理が行われた後、あらかじめ設定された単位時間が経過したかどうかを判断する。そのために、記憶部76に前記単位時間が記録され、前記比較部79は、計時部78によって計時された時間を読み込み、記憶部76から単位時間を読み出し、計時された時間と単位時間とを比較する。計時された時間が単位時間より長い場合、単位時間が経過したと判断される。本実施の形態において、単位時間は、例えば、30〔分〕に設定される。
【0079】
そして、単位時間が経過すると、前記使用状況判定指標取得処理手段は、平均湿度Haを算出する。そのために、使用状況判定指標取得処理手段は、前記温度・湿度検出部75によって検出され、記憶部76に記録されたプリンタの周辺の湿度を読み込む。次に、前記使用状況判定指標取得処理手段は、前記単位時間内における所定の読取周期ごとに記憶部76から湿度を読み出し、該湿度に基づいて平均湿度Haを算出する。本実施の形態において、読取周期は、例えば、5〔分〕に設定される。
【0080】
続いて、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第1の条件が成立したかどうかを、平均湿度Haがあらかじめ設定された閾値、すなわち、第3の閾値Hsc以下であるかどうかによって判定する。そのために、記憶部76に前記第1〜第3の閾値Hsa、Hsb、Hscが記録され、前記比較部79は、平均湿度Haを読み込み、記憶部76から第3の閾値Hscを読み出し、平均湿度Haと第3の閾値Hscとを比較する。平均湿度Haが第3の閾値Hsc以下である場合、第1の条件が成立する。本実施の形態において、第3の閾値Hscは、例えば、40〔%〕に設定される。
【0081】
次に、平均湿度Haが第3の閾値Hsc以下(平均湿度Haが0〔%〕である場合も含む。)であり、第1の条件が成立すると、前記使用状況判定処理手段は、計算部77に指示を送り、プリンタの第2の使用状況である前記単位時間内における像担持体としての感光体ドラム11の使用量の割合を表す印刷動作頻度Saを算出し、記憶部76に記録する。
【0082】
そして、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第2の条件が成立したかどうかを、前記印刷動作頻度Saが、あらかじめ設定された印刷動作頻度閾値Ss以上であるかどうかによって判定する。本実施の形態において、印刷動作頻度閾値Ssは、例えば、0.7に設定される。
【0083】
次に、印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ss以上であり、第2の条件が成立すると、前記使用状況判定処理手段は、計算部77に指示を送り、プリンタの第3の使用状況である前記単位時間内においてトナーの使用量を表す印刷ドット比率Daを算出し、記憶部76に記録する。
【0084】
そして、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第3の条件が成立したかどうかを、前記印刷ドット比率Daが、あらかじめ設定された印刷ドット比率閾値Ds以下であるかどうかによって判定する。本実施の形態において、印刷ドット比率閾値Dsは、例えば、30〔%〕に設定される。
【0085】
次に、印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以下であり、第3の条件が成立すると、前記制御値設定処理手段は、制御値Pに所定の調整値ΔPを加算する。本実施の形態において、調整値ΔPは、例えば、+1に設定される。
【0086】
続いて、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、平均湿度Haが第1の閾値Hsa以下であるかどうかを判断する。そのために、前記比較部79は、平均湿度Haを読み込み、記憶部76から第1の閾値Hsaを読み出し、平均湿度Haと第1の閾値Hsaとを比較する。
【0087】
平均湿度Haが第1の閾値Hsa以下である場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pの上限値Psを第1の値Paにする。また、平均湿度Haが第1の閾値Hsaより高い場合、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、平均湿度Haが第2の閾値Hsb以下であるかどうかを判断する。そのために、前記比較部79は、平均湿度Haを読み込み、記憶部76から第2の閾値Hsbを読み出し、平均湿度Haと第2の閾値Hsbとを比較する。
【0088】
平均湿度Haが第2の閾値Hsb以下である場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pの上限値Psを第2の値Paにする。また、平均湿度Haが第2の閾値Hsbより高い場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pを上限値Psの値にし、前記補正処理手段は差電圧Vaを変更する。制御値Pが上限値Ps以下である場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pを変更せず、補正処理手段は差電圧Vaを変更する。
【0089】
また、第1〜第3の条件が成立しない場合、差電圧Vaを変更する必要がないので、前記制御値設定処理手段は、制御値Pに所定の調整値ΔPを加算する。本実施の形態において、調整値ΔPは、例えば、−1に設定される。
【0090】
続いて、前記制御値設定処理手段は、制御値Pがあらかじめ設定された制御値Pの下限値Peより小さいかどうかを判断する。制御値Pが下限値Peより小さい場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pを下限値Peの値にし、制御値Pが下限値Pe以上である場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Pを変更しない。本実施の形態において、下限値Peは、例えば、0に設定される。
【0091】
このように、本実施の形態においては、平均湿度Haが湿度閾値Hs以下である場合に、平均湿度Haと第1〜第3の閾値Hsa、Hsb、Hscとが比較され、平均湿度Haが低いほど、差電圧Vaを変更するための制御値Pが大きく、平均湿度Haが高いほど、差電圧Vaを変更するための制御値Pが小さく設定される。
【0092】
したがって、平均湿度Haが高く、現像剤としてのトナーのトナー電位が低い場合に、差電圧Vaを小さくすることができるので、現像剤担持体としての現像ローラ16にトナーを十分に供給することができ、画像にかすれが発生するのを防止することができる。また、平均湿度Haが低く、トナー電位が高い場合に、差電圧Vaを大きくすることができるので、現像ローラ16にトナーが過剰に供給されるのを防止することができ、画像にかぶりが発生するのを防止することができる。
【0093】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 制御値Pを零にする。
ステップS22 単位時間が経過するのを待機する。単位時間が経過した場合はステップS3に進む。
ステップS23 単位時間内の平均湿度Haを算出する。
ステップS24 平均湿度Haが第3の閾値Hsc以下であるかどうかを判断する。平均湿度Haが第3の閾値Hsc以下である場合はステップS25に、平均湿度Haが第3の閾値Hscより高い場合はステップS38に進む。
ステップS25 単位時間内の印刷動作頻度Saを算出する。
ステップS26 印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ss以上であるかどうかを判断する。印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ss以上である場合はステップS27に、印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ssより低い場合はステップS38に進む。
ステップS27 単位時間内の印刷ドット比率Daを算出する。
ステップS28 印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以下であるかどうかを判断する。印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以下である場合はステップS29に、印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Dsより大きい場合はステップS38に進む。
ステップS29 制御値Pに1を加算する。
ステップS30 平均湿度Haが第1の閾値Hsa以下であるかどうかを判断する。平均湿度Haが第1の閾値Hsa以下である場合はステップS31に、平均湿度Haが第1の閾値Hsaより高い場合はステップS32に進む。
ステップS31 上限値Psを第1の値Paにし、ステップS35に進む。
ステップS32 平均湿度Haが第2の閾値Hsb以下であるかどうかを判断する。平均湿度Haが第2の閾値Hsb以下である場合はステップS33に、平均湿度Haが第2の閾値Hsbより高い場合はステップS34に進む。
ステップS33 上限値Psを第2の値Pbにし、ステップS35に進む。
ステップS34 上限値Psを第3の値Pcにし、ステップS35に進む。
ステップS35 制御値Pが上限値Ps以下であるかどうかを判断する。制御値Pが上限値Ps以下である場合はステップS37に、制御値Pが上限値Psより大きい場合はステップS36に進む。
ステップS36 制御値Pを上限値Psの値にする。
ステップS37 補正処理を行い、ステップS22に戻る。
ステップS38 制御値Pから1を減算する。
ステップS39 制御値Pが零より小さいかどうかを判断する。制御値Pが零より小さい場合はステップS40に進み、制御値Pが零以上である場合はステップS22に戻る。
ステップS40 制御値Pを零にし、ステップS22に戻る。
【0094】
ところで、前記第1、第2の実施の形態において、仮に、母粒子に対して逆極性の外添剤が添加されたトナーを使用する場合、前記差電圧Vaが小さくなると、外添剤が感光体ドラム11に付着しやすくなる。トナーの使用量が少ない場合は、感光体ドラム11に付着する外添剤の量は少ないが、印刷ドット比率Daが高くなるに従って、トナーの使用量が多くなると、感光体ドラム11に付着する外添剤の量も増える。そして、感光体ドラム11に付着する外添剤の量が多くなり、外添剤が核になり、トナーに添加されているワックスが感光体ドラム11上に固着し、斑点状の模様、すなわち、フィルミングを発生させてしまう。
【0095】
その場合、フィルミングが発生した部分には、トナーを付着させることができなくなるので、画像に白抜けが発生してしまう。
【0096】
図11は差電圧と感光体ドラムに発生するフィルミングとの関係を示す図である。なお、図において、横軸に印刷枚数を、縦軸にフィルミングのレベルを採ってある。
【0097】
この場合、プリンタの印字速度を30〔PPM〕とし、印刷ドット比率5〔%〕で連続印刷を行い、印刷枚数が0〔枚〕、1000〔枚〕、2000〔枚〕、3000〔枚〕、4000〔枚〕、5000〔枚〕及び6000〔枚〕であるときに、印刷ドット比率100〔%〕で1枚の印刷を行い、印刷結果を目視することによってフィルミングが発生したかどうかの判断を行った。
【0098】
フィルミングが発生するレベルは、レベル1〜5に分けられ、レベル1においては、直径が2〔mm〕より大きい白抜けが発生し、レベル2においては、直径が0.5〔mm〕より大きく、かつ、2〔mm〕以下の白抜けが発生し、レベル3においては、直径が0.5〔mm〕以下の白抜けが画像の50〔%〕以上の領域で発生し、レベル3においては、直径が0.5〔mm〕以下の白抜けが部分的に発生した。
【0099】
図に示されるように、差電圧Vaが高いほど、連続印刷の枚数が多くなってもレベルを高く維持することができるが、差電圧Vaが低いほど、連続印刷の枚数が多くなるのに伴って、レベルが低くなる。
【0100】
そこで、画像に白抜けが発生することがないようにした本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。また、本実施の形態においては、現像剤として、母粒子に対して逆極性の外添剤が添加された現像剤としてのトナーが使用される。
【0101】
図12は本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【0102】
この場合、本実施の形態においては、差電圧Vaを変更する必要性を表す指標として制御値Rが使用される。
【0103】
そして、前記初期設定処理手段は、前回の印刷が終了したときから計時部78(図1)によって計時された放置時間を読み込み、該放置時間が放置時間閾値(本実施の形態においては、3時間)以上であるかどうかを判断し、前記放置時間が放置時間閾値以上である場合、制御値Pを零にする。また、前記放置時間が放置時間閾値より短い場合、前記制御値Pは前回の値のままにされる。そして、前記初期設定処理手段は、制御値Pを記憶部76に記録する。
【0104】
なお、前記周辺温度τeと定着温度τfとの温度差Δτを算出し、該温度差Δτが温度差閾値(本実施の形態においては、50〔℃〕)以下であるかどうかによって、放置時間が十分に長いかどうかを判断することができる。
【0105】
続いて、前記単位時間経過判断処理手段は、比較部79に指示を送り、初期設定処理が行われた後、あらかじめ設定された単位時間が経過したかどうかを判断する。そのために、記憶部76に前記単位時間が記録され、比較部79は、計時部78によって計時された時間を読み込み、記憶部76から単位時間を読み出し、計時された時間と単位時間とを比較する。計時された時間が単位時間より長い場合、単位時間が経過したと判断される。本実施の形態において、単位時間は、例えば、30〔分〕に設定される。
【0106】
そして、単位時間が経過すると、前記使用状況判定指標取得処理手段は、プリンタの第1の使用状況である前記単位時間当たりの平均湿度Haを算出する。そのために、使用状況判定指標取得処理手段は、温度・湿度検出部75によって検出され、記憶部76に記録されたプリンタの周辺の湿度を読み込む。なお、温度・湿度検出部75は、前記湿度を検出するために、装置本体10の筐体、例えば、アッパフレーム40に図示されない湿度検出用センサを備える。次に、前記使用状況判定指標取得処理手段は、前記単位時間内における所定の読取周期ごとに記憶部76から湿度を読み出し、該湿度に基づいて平均湿度Haを算出する。本実施の形態において、読取周期は、例えば、5〔分〕に設定される。
【0107】
続いて、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第1の条件が成立したかどうかを、平均湿度Haがあらかじめ設定された閾値、すなわち、湿度閾値Hs以下であるかどうかによって判定する。そのために、記憶部76に湿度閾値Hsが記録され、前記比較部79は、平均湿度Haを読み込み、記憶部76から湿度閾値Hsを読み出し、平均湿度Haと湿度閾値Hsとを比較する。平均湿度Haが湿度閾値Hs以下である場合、第1の条件が成立する。本実施の形態において、湿度閾値Hsは、例えば、40〔%〕に設定される。
【0108】
次に、平均湿度Haが湿度閾値Hs以下(平均湿度Haが0〔%〕である場合も含む。)であり、第1の条件が成立すると、前記使用状況判定処理手段は、計算部77に指示を送り、プリンタの第2の使用状況である前記単位時間内における像担持体としての感光体ドラム11の使用量の割合を表す印刷動作頻度Saを算出し、記憶部76に記録する。
【0109】
そして、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第2の条件が成立したかどうかを、前記印刷動作頻度Saが、あらかじめ設定された印刷動作頻度閾値Ss以上であるかどうかによって判定する。本実施の形態において、印刷動作頻度閾値Ssは、例えば、0.7に設定される。
【0110】
次に、印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ss以上であり、第2の条件が成立すると、前記使用状況判定処理手段は、計算部77に指示を送り、プリンタの第3の使用状況である前記単位時間内においてトナーの使用量を表す印刷ドット比率Daを算出し、記憶部76に記録する。
【0111】
そして、前記使用状況判定処理手段は、比較部79に指示を送り、第3の条件が成立したかどうかを、前記印刷ドット比率Daが、あらかじめ設定された印刷ドット比率閾値Ds以下であるかどうかによって判定する。本実施の形態において、印刷ドット比率閾値Dsは、例えば、50〔%〕に設定される。
【0112】
次に、印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以下であり、第3の条件が成立すると、前記制御値設定処理手段は、制御値Rに所定の調整値ΔRiを加算する。本実施の形態において、調整値ΔRiは、例えば、+1に設定される。
【0113】
続いて、前記制御値設定処理手段は、制御値Rがあらかじめ設定された制御値Rの上限値Rsより大きいかどうかを判断する。制御値Rが上限値Rsより大きい場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Rを上限値Rsの値にし、制御部71の図示されない補正処理手段は、補正処理を行い、差電圧Vaを変更する。制御値Rが上限値Rs以下である場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Rを変更せず、補正処理手段は差電圧Vaを変更する。本実施の形態において、上限値Rsは、例えば、+4に設定される。
【0114】
また、第1〜第3の条件が成立しない場合、差電圧Vaを変更する必要がないので、前記制御値設定処理手段は、制御値Rに所定の調整値ΔRdを加算する。本実施の形態において、調整値ΔRdは、例えば、−1に設定される。
【0115】
続いて、前記制御値設定処理手段は、制御値Rがあらかじめ設定された制御値Rの下限値Reより小さいかどうかを判断する。制御値Rが下限値Reより小さい場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Rを下限値Reの値にし、制御値Rが下限値Re以上である場合、前記制御値設定処理手段は、制御値Rを変更しない。本実施の形態において、下限値Reは、例えば、0に設定される。
【0116】
次に、前記補正処理について説明する。
【0117】
この場合、前述されたように、補正処理手段によって、差電圧Vaが変更されるようになっている。そのために、前記記憶部76に印加電圧補正テーブルが設定され、該印加電圧補正テーブルに、制御値Rと対応させて差電圧Vaの補正値Vgが記録される。したがって、前記補正処理手段は、制御値Rを読み込み、印加電圧補正テーブルを参照して制御値Rに対応する補正値Vgを読み出し、あらかじめ設定された標準の差電圧Vasに補正値Vgを加算して、差電圧Vaを、
Va=Vas+Vg
にする。
【0118】
例えば、設定された制御値Rが+1である場合、補正値Vgは−10〔V〕にされ、制御値Rが+2である場合、補正値Vgは−20〔V〕にされ、制御値Rが+3である場合、補正値Vgは−30〔V〕にされ、制御値Rが+4である場合、補正値Vgは−40〔V〕にされる。したがって、あらかじめ設定された標準のトナー供給ローラ印加電圧Vstを−200〔V〕とすると、前記補正処理手段は、制御値Rが+1である場合、トナー供給ローラ印加電圧Vsを−210〔V〕にし、差電圧Vaを10〔V〕高くし、制御値Rが+2である場合、トナー供給ローラ印加電圧Vsを−220〔V〕にし、差電圧Vaを20〔V〕高くし、制御値Rが+3である場合、トナー供給ローラ印加電圧Vsを230〔V〕にし、差電圧Vaを30〔V〕高くし、制御値Rが+4である場合、トナー供給ローラ印加電圧Vsを−240〔V〕にし、差電圧Vaを40〔V〕高くする。このように、制御値Rが1大きくなるごとに、トナー供給ローラ印加電圧Vsが、絶対値で10〔V〕高くなるので、差電圧Vaを10〔V〕高くすることができる。
【0119】
なお、本実施の形態においては、印加電圧補正テーブルを参照して制御値Rに対応する補正値Vgを読み出し、差電圧Vaを算出するようにしているが、制御値Rに基づいて演算によって差電圧Vaを算出することができる。
【0120】
この場合、差電圧Vaは、制御値R及び制御値Rが1だけ変化するごとに設定された単位補正値ΔVg(本実施の形態においては、−10〔V〕とする。)に基づいて、
Va=Vas+R・ΔVg
のように算出することができる。
【0121】
このようにして、制御値設定処理及び補正処理が行われると、再び計時部78による計時が開始され、単位時間が経過するのが待機される。
【0122】
このように、本実施の形態においては、単位時間が経過するたびに、単位時間当たりの平均湿度Ha、印刷動作頻度Sa、印刷ドット比率Da等のプリンタの使用状況に基づいて制御値Rが設定され、必要に応じて差電圧Vaが変更されるので、印刷ドット比率Daが高くなるに従って、トナーの使用量が多くなっても、外添剤が核になってトナーに添加されているワックスが感光体ドラム11上に固着することがなくなり、フィルミングが発生するのを防止することができる。
【0123】
その結果、画像に白抜けが発生するのを防止することができ、画像品位を向上させることができる。
【0124】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS41 制御値Rを零にする。
ステップS42 単位時間が経過するのを待機する。単位時間が経過した場合はステップS43に進む。
ステップS43 制御値Rが零であるかどうかを判断する。制御値Rが零である場合はステップS44に進み、制御値Rが零でない場合はステップS41に戻る。
ステップS44 単位時間内の印刷動作頻度Saを算出する。
ステップS45 印刷動作頻度Saが印刷動作頻度閾値Ss以上であるかどうかを判断する。印刷動作頻度Saが印刷動作頻度Ss以上である場合はステップS46に、印刷動作頻度Saが印刷動作頻度Ssより低い場合はステップS52に進む。
ステップS46 単位時間内の印刷ドット比率Daを算出する。
ステップS47 印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以上であるかどうかを判断する。印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Ds以上である場合はステップS48に、印刷ドット比率Daが印刷ドット比率閾値Dsより小さい場合はステップS52に進む。
ステップS48 制御値Rに1を加算する。
ステップS49 制御値Rが上限値Rs以下であるかどうかを判断する。制御値Rが上限値Rs以下である場合はステップS50に、制御値Rが上限値Rsより大きい場合はステップS51に進む。
ステップS50 制御値Rを上限値Rsの値にする。
ステップS51 補正処理を行い、リターンする。
ステップS52 制御値Rから1を減算する。
ステップS53 制御値Rが零より小さいかどうかを判断する。制御値Rが零より小さい場合はステップS54に進み、制御値Rが零以上である場合はステップS42に戻る。
ステップS54 制御値Rを零にし、リターンする。
【0125】
なお、前記第3の実施の形態の技術を第1、第2の実施の形態に適用することができる。その場合、制御値Pに基づいて優先的に差電圧Vaを変更し、続いて、制御値Rに基づいて差電圧Vaを変更するのが好ましい。
【0126】
前記各実施の形態においては、画像形成装置としてのプリンタについて説明しているが、本発明を、複写機、ファクシミリ装置、複合機等に適用することができる。
【0127】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの電源系を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における差電圧と現像ローラ上のトナー電位との関係を示す第1の図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における差電圧と現像ローラ上のトナー電位との関係を示す第2の図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における差電圧と現像ローラ上のトナー電位との関係を示す第3の図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態おけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態における相対湿度とトナー電位との関係を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第1のフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第2のフローチャートである。
【図11】差電圧と感光体ドラムに発生するフィルミングとの関係を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0129】
11 感光体ドラム
16 現像ローラ
18 トナー供給ローラ
56 現像ローラ用電源
57 トナー供給ローラ用電源
Va 差電圧
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)像担持体と、
(b)該像担持体上に形成された潜像に、所定の極性に帯電させた現像剤を付着させて現像剤像を形成する現像剤担持体と、
(c)該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と、
(d)前記現像剤担持体に現像用の電圧を印加する現像用の電圧印加部と、
(e)前記現像剤供給部材に現像剤供給用の電圧を印加する現像剤供給用の電圧印加部と、
(f)画像の形成が開始された後に、所定の単位時間が経過するたびに、画像形成装置の使用状況を判定する使用状況判定処理手段と、
(g)該使用状況判定処理手段による判定結果に基づいて、前記現像用の電圧と現像剤供給用の電圧との差電圧を変更する補正処理手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記使用状況判定処理手段は、前記単位時間内における画像形成装置の平均湿度、像担持体の使用頻度を表す画像形成動作頻度、及び現像剤の使用量を表す画像形成ドット比率のうちの少なくとも一つに基づいて画像形成装置の使用状況を判定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記使用状況判定処理手段による判定結果に基づいて、差電圧を変更するための制御値を設定する制御値設定処理手段を有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像剤に、母粒子及び該母粒子に対して逆極性の外添剤が含まれる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項1】
(a)像担持体と、
(b)該像担持体上に形成された潜像に、所定の極性に帯電させた現像剤を付着させて現像剤像を形成する現像剤担持体と、
(c)該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と、
(d)前記現像剤担持体に現像用の電圧を印加する現像用の電圧印加部と、
(e)前記現像剤供給部材に現像剤供給用の電圧を印加する現像剤供給用の電圧印加部と、
(f)画像の形成が開始された後に、所定の単位時間が経過するたびに、画像形成装置の使用状況を判定する使用状況判定処理手段と、
(g)該使用状況判定処理手段による判定結果に基づいて、前記現像用の電圧と現像剤供給用の電圧との差電圧を変更する補正処理手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記使用状況判定処理手段は、前記単位時間内における画像形成装置の平均湿度、像担持体の使用頻度を表す画像形成動作頻度、及び現像剤の使用量を表す画像形成ドット比率のうちの少なくとも一つに基づいて画像形成装置の使用状況を判定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記使用状況判定処理手段による判定結果に基づいて、差電圧を変更するための制御値を設定する制御値設定処理手段を有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像剤に、母粒子及び該母粒子に対して逆極性の外添剤が含まれる請求項1に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−265315(P2009−265315A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113851(P2008−113851)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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