説明

画像形成装置

【課題】 地球環境保全に貢献する。具体的には、画像形成装置ユーザに、CO排出量を削減する機器使用ガイダンスを提供する。
【解決手段】 材質が異なる複数種の用紙を装備し、指定があった種類の用紙に顕像剤画像を形成する画像形成装置であって、ユーザが、前記複数種の中の一種の用紙を画像形成に選択する入力手段112,PC1;選択された種類の用紙を画像形成して消費した場合の地球環境影響値COが前記複数種の中の他の種類の用紙を画像形成して消費した場合の地球環境影響値より大きい場合に該他の種類の用紙の選択を勧誘する報知手段112,PC1;および、該報知手段の勧誘に応じて前記入力手段によりユーザが該他の種類の用紙を選択するとそれを画像形成に指定する手段111;を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙上に画像を形成する画像形成装置に関し、特に、CO排出量削減ガイダンス機能を持つ画像形成装置に関する。本発明は例えば、感光体上に静電潜像を形成しこれをトナー像に現像して直接に又は中間転写体を介して間接に用紙に転写する電子写真方式のプリンタ,複写機,これらの画像形成機能に加えて更に電子通信により外部端末(例えばパソコンPC,サーバ,携帯通信機,他の複合機能機)と書画情報をやり取りする通信機能を備える複合機能機に実施できる。
【背景技術】
【0002】
複写機,複合機能機,プリンタ,ファクシミリ等の画像形成装置は、その機能が高等になればなるほど、その利用者がその機器を正しく効率的にしかも易しく使用できるための技術が重要となってきている。これらに対する発明は従来技術にも多く見られる。例えば特許文献1は、電子機器におけるユーザ操作時に入力エラーが発生した場合、その誤入力を訂正するために最適なガイダンス出力を実行し、ユーザの誤入力の訂正を支援する電子機器,プログラムおよび記憶媒体を記載している。特許文献1〜3に記載の発明は、細かな点での相違はあるものの構成要素と目的は類似しており、操作時における論理的/機能的なミスを指摘し、正しい操作方法を報知するガイダンス機能に関すものである。
【0003】
しかし、1997年に地球温暖化防止会議で先進国から排出される温室効果ガスの具体的な削減数値目標が定められた所謂「京都議定書」が合意され、2005年に発効して以来、国や地方公共団体のみならず事業者や個人までもが自主的に温室効果ガスの排出量削減計画を立案実施し、その成果を把握し評価することが必要不可欠となってきた。
【0004】
特許文献4は、例えばパソコンPC,プリンタ,複写機,ファクシミリといったOA機器の、個別あるいは集合体(システム)としての、製造にかかわる環境負荷値の算出を目的として、ユーザが製品使用を始めるまでの製造,販売,搬送の各工程別の環境負荷値を格納したデータベースを構築し、これを用いて製造販売の環境負荷値を算出する、環境負荷値算出支援方法及び装置を提示している。
【0005】
ところで、用紙に画像を形成する画像形成機器の場合、ユーザの機器使用態様によって、推定されるCO排出量が変動するので、ユーザの機器使用において、CO排出を削減するための機器使用ガイダンスが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、地球環境保全に貢献することを目的とし、より具体的には、画像形成装置ユーザに、地球環境影響値例えばCO排出量、を削減する機器使用ガイダンスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)材質が異なる複数種の用紙を装備し、指定があった種類の用紙に顕像剤画像を形成する画像形成装置であって、
ユーザが、前記複数種の中の一種の用紙を画像形成に選択する入力手段(112);
選択された種類の用紙を画像形成して消費した場合の地球環境影響値(CO2)が前記複数種の中の他の種類の用紙を画像形成して消費した場合の地球環境影響値より大きい場合に該他の種類の用紙の選択を勧誘(図5の302)する報知手段(111,112);および、
該報知手段の勧誘に応じて前記入力手段によりユーザが該他の種類の用紙を選択するとそれを画像形成に指定する手段(112,111);を備えることを特徴とする画像形成装置(MF1)。
【0008】
なお、理解を容易にするためにカッコ内には、図面に示し後述する実施例の対応要素の符号又は対応事項を、例示として参考までに付記した。以下も同様である。
【発明の効果】
【0009】
ユーザは、報知手段(111,112)の勧誘にしたがって用紙種を選択することにより、地球環境影響値(CO2)が少ない画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例である複合機能プリンタMF1を接続したLANシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】複合機能プリンタMF1の機内構成の概要を示すブロック図である。
【図3】図2に示すシステム制御111による操作表示制御およびCO排出量算出処理の概要を示すフローチャートである。
【図4】図2に示すフロントパネル操作表示部112に表示される、CO排出量算出のための初期設定画面および実績表示画面を示す平面図である。
【図5】ユーザの印刷指示に対応して、CO排出量を低減するためのガイダンスおよび印刷結果に対応するCO排出量算出値を表示する画面を示す平面図である。
【図6】図1に示すパソコンPC1の、MF1を使用するアプリケーションソフト(複合機使用ソフト)の機能概要を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施例のシステム制御111による操作表示制御およびCO排出量算出処理の概要を示すフローチャートである。
【図8】第2実施例においてフロントパネル操作表示部112に表示される、印刷結果に対応するCO排出量算出値および一台の複合機能プリンタMF1のCO排出量算出値の積算値を表示する画面の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(2)前記画像形成装置(MF1)は、片面記録機能および両面記録機能、ならびに、ユーザが片面記録機能と両面記録機能の一方を画像形成に選択する入力手段(112)、を備え;
前記報知手段(111,112)は、片面記録機能が選択された場合に、両面記録機能の選択を勧誘し(図5の301);
前記画像形成装置は更に、該勧誘に応じて前記入力手段によりユーザが両面記録機能を選択するとそれを画像形成に指定する手段(112,111)を備える;上記(1)に記載の画像形成装置。
【0012】
ユーザは、報知手段の勧誘(図5の301)にしたがって両面記録を選択することにより、地球環境影響値が少ない画像形成を行うことができる。
【0013】
(3)前記報知手段(111,112)は、前記他の種類の用紙の選択勧誘および前記両面記録機能の選択勧誘を含む複数の選択勧誘を段階的に行う(図5);上記(2)に記載の画像形成装置。
【0014】
これによれば、地球環境影響値削減のために設けた勧誘報知の内容は、一度にすべてを表示するのではなく、段階的に行い、例えばユーザに対してその都度選択形式の画面を用意し、画像形成装置からの提案内容に対してユーザが応答する。これは、画像形成装置の基本機能実現のための装置内リソースを有効に活用して、かつ、勧誘表示の内容を容易に理解させる効果があり、大きなコストアップとはならず実用的である。
【0015】
(4)前記報知手段(111,112)は、指定があった種類の用紙に画像形成したとき該用紙の前記地球環境影響値を報知する(図5の304);上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0016】
ユーザは、用紙に画像形成し用紙を消費することによる地球環境への影響値を認識できる。
【0017】
(5)前記報知手段(111,112)は、指定があった種類の用紙に画像形成したときの前記地球環境影響値を積算し、積算値を報知する(図8の304);上記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0018】
ユーザは、画像形成装置の繰り返しの使用によって累積した地球環境影響値を認識できる。
【0019】
(6)前記画像形成装置は、前記画像形成で消費する電力量を地球環境影響値に変換する換算係数および前記各種用紙の消費により生ずる地球環境影響値を格納するメモリ手段(114)、ならびに、画像形成で消費する電力量を計測する計測手段(102)、を備え;
前記報知手段(111,112)は、前記計測手段が計測した電力量を、前記メモリ手段の換算係数を用いて地球環境影響値(CO2)に変換し、該地球環境影響値と、画像形成に指定された用紙種類に宛てられた、前記メモリ手段の、前記用紙の消費により生ずる地球環境影響値とを用いて、前記指定があった種類の用紙に画像形成したときの前記地球環境影響値を求める;上記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0020】
(7)前記画像形成装置(MF1)には、モノクロ印刷モードおよびカラー印刷モードの画像形成機能があり;前記メモリ手段は各画像形機能宛の消費電力を格納し;前記報知手段は、各モードの消費電力を報知する(図4の203);上記(6)に記載の画像形成装置。これによれば、ユーザは、身近な単位(電力)を用いて、地球環境影響効果を確認できる。
【0021】
(8)前記報知手段(111,112)は、選択された種類の用紙を画像形成して消費した場合の地球環境影響値を、前記メモリ手段の、ユーザが選択した印刷モード宛の消費電力および前記換算係数に基づいて算出する;上記(7)に記載の画像形成装置。
【0022】
これによれば、上記(1)による、選択勧誘のための地球環境影響予測値を容易に算出し、しかも、上記(6)による使用電力実測値を用いて地球環境影響値を算出する。よって、最終的には比較的に正確な地球環境影響値を算出できる効果がある。
【0023】
(9)前記メモリ手段は単位期間当りの地球環境影響値の目標値も格納し;前記報知手段(111,112)は、前記単位期間の間の前記指定があった種類の用紙に画像形成したときの前記地球環境影響値を積算し、前記目標値とともに積算値を報知する(図5の304);上記(6)乃至(8)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0024】
画像形成装置に地球環境劣化防止のための目標値を予め設定し、使用するたびに目標値とともに発生した地球環境影響値を報知するので、ユーザは画像形成装置使用によって発生した地球環境影響値が妥当か評価することができる。一部の管理者のみが地球環境劣化防止のための地球環境影響値の削減を意識するのではなく、画像形成装置のユーザ全員が自然と削減に対しての計画性を持ち、その成果を把握し評価できるという効果もある。
【0025】
(10)前記報知手段(111,112)は更に、前記目標値に対する前記積算値の差値も報知する(図5の304);上記(9)に記載の画像形成装置。
【0026】
ユーザは、差値に着目して、画像形成装置使用によって発生した地球環境影響値が妥当か、容易に評価することができる。
【0027】
(11)前記用紙種類は、古紙使用配合率が異なる再生紙を含み;
前記用紙を画像形成して消費した場合の地球環境影響値は、該用紙の製造時および焼却時の温室効果ガス排出値、および、画像形成に要する電力量の消費によって生ずる温室効果ガス排出値、を含む(図4の201,202);上記(1)乃至(10)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0028】
これによれば、画像形成装置に用いられる各トレイの用紙が再生紙の場合に、その古紙使用配合率および必要に応じて白色度、に対応する温室効果ガス排出値を画像形成装置内の記憶装置に保存する事によって、各種用紙の使用モードにおける温室効果ガス排出量を比較的に正確に算出できる。また、温室効果ガス排出量が報知されるので、トレイの用紙情報と温室効果ガス排出量の関係をユーザがより正確に認識できる効果がある。
【0029】
(12)前記画像形成装置(MF1)はさらに、該画像形成装置を使用するアプリケーションプログラムをインストールした、前記入力手段(112)の機能と前記報知のための表示の機能を持つ外部端末(PC1)、と通信する通信手段(109,110)を備え;前記報知手段(111,112)は、前記勧誘の報知を前記外部端末(PC1)に報知する;上記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0030】
これによれば、画像形成装置(MF1)の操作パネル同等のガイダンス表示を行う、プリンタドライバ等の存在するパーソナルコンピュータ(パソコン)等の外部端末(PC1)で、画像形成装置(MF1)を使用し、しかも、地球環境影響値低減のための勧誘を報知することができる。
【0031】
(13)前記画像形成装置(MF1)はさらに、該画像形成装置を使用するアプリケーションプログラムをインストールした、前記入力手段の機能と前記報知のための表示の機能を持つ外部端末(PC1)、と通信する通信手段(109,110)を備え;前記報知手段(111,112)は、前記勧誘の報知ならびに前記指定があった種類の用紙に画像形成したときの前記地球環境影響値を前記外部端末(PC1)に報知する;上記(6)乃至(11)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0032】
これによれば、画像形成装置(MF1)の操作パネル同等のガイダンス表示を行う、プリンタドライバ等の存在するパソコン等の外部端末(PC1)で、画像形成装置(MF1)を使用し、しかも、地球環境影響値低減のための勧誘を報知することができ、さらに、画像形成装置使用による地球環境影響値を報知することができる。
【0033】
(14)前記画像形成装置(MF1)はさらに、前記外部端末(PC1)が与えるデータに、前記メモリ手段(114)の格納データを更新するメモリ制御手段(111)を備える;上記(13)に記載の画像形成装置。
【0034】
これによれば、画像形成装置(MF1)の機能の増強,変更に対応して、あるいはメモリ手段(114)に格納すべきデータのバージョンアップに対応して、容易にメモリ手段(114)のデータを更新することができる。複数の画像形成装置(MF1〜MF3)の各メモリ手段のデータを一元管理することができる。
【0035】
(15)前記画像形成装置(MF1)は、ユーザ認証機能を有し;前記報知手段(111,112)は、認証用ID毎に前記指定があった種類の用紙に画像形成したときの前記地球環境影響値を積算して前記メモリ手段(114)に保存し、報知する(図8の305);上記(6)乃至(14)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0036】
(16)前記画像形成装置(MF1)は、ユーザ認証機能を有し;前記報知手段(111,112)は、認証用ID毎に、最初にユーザが指定した印刷条件による地球環境影響値と実際に印刷を行って算出した地球環境影響値との差値を積算して前記メモリ手段に保存し、報知する(図8の305);上記(6)乃至(14)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0037】
(17)前記メモリ制御手段(111)は、前記外部端末(PC1)の要求に応じて、前記メモリ手段(114)の認証用ID毎の差値の積算値を該外部端末(PC)に送信する;上記(16)に記載の画像形成装置。
【0038】
(18)前記画像形成装置(MF1)は、ユーザ認証機能を有し;前記報知手段(111,112)は、認証用ID毎に、最初にユーザが指定した印刷条件による地球環境影響値の積算値すなわち予測積算値と実際に印刷を行って算出した地球環境影響値の積算値すなわち実績積算値を前記メモリ手段(114)に保存し、報知する(図8の305);上記(6)乃至(14)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0039】
(19)前記報知手段(111,112)は、前記予測積算値に対する実績積算値の比を報知する(図8の305);上記(18)に記載の画像形成装置。
【0040】
(20)前記メモリ制御手段(111)は、前記外部端末(PC1)の要求に応じて、前記メモリ手段(114)の認証用ID毎の前記比を該外部端末(PC1)に送信する(図8の205);上記(19)に記載の画像形成装置。
【0041】
以上のように、画像形成装置(MF1)のユーザ全員が自然と地球環境影響値を認識することができるので、地球環境影響値の削減を期待できる。
【0042】
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
【実施例1】
【0043】
図1に、本発明の第1実施例の複合機能プリンタMF1を接続したネットワークを示す。複合機能プリンタMF1はLAN(Local Area Network)に接続されている。該LANには、ユーザ端末であるパソコンPC1〜PC3ならびに他の複合機能プリンタMF2,MF3も接続されている。複合機能プリンタMF2,MF3の機能は、MF1と同一もしくは類似である。LANはルータを介してインターネットに接続しているので、LAN接続の各機器PC1〜PC3,MF1〜MF3は相互に通信して制御情報および書画情報をやり取りすることができるばかりでなく、インターネットを介して、LANネットワーク外の、他の機器やサーバと通信して制御情報および書画情報をやり取りすることができる。
【0044】
パソコンPC1〜PC3には、複合機能プリンタMF1〜MF3を使用するアプリケーションソフト(プログラム)およびプリンタドライバがインストールされており、パソコンPC1〜PC3は、複合機能プリンタMF1〜MF3のフロントパネル操作表示部112(図2)と同様な入出力手段として、複合機能プリンタMF1〜MF3の、画像読取り,画像蓄積,印刷,複写およびファクシミリ等の画像処理機能を使用することができる。
【0045】
各機器PC1〜PC3,MF1〜MF3は、IPアドレスを持ち、複合機能プリンタMF1〜3は、URLを持つサイト(サーバ)でもあって、ネットワーク(LAN又はインターネット)を介してアクセスがあると複合機能を遠隔で使用するためのメニュー画面であるトップページ(ホームページ)を返送する。たとえばPC1がMF1にアクセスすると、MF1がトップページをPC1に送信し、PC1がそれに接続したディスプレイ(ユーザディスプレイ)に該トップページを表示する。トップページには、メニュー項目の他に、ユーザ(PC1ユーザ)IDおよびパスワードを入力するブロックがあり、そこにユーザが、MF1に登録したIDおよびパスワードを入力してキーボードのEnterキーを操作すると、或いはトップページ上のログインボタンをクリックすると、PC1が該操作を表わす情報をMF1に送信する。これに応答して、MF1がトップページのメニュー項目を選択可にする表示制御情報をPC1に送信し、これによりトップページのメニュー項目がアクティブ(入力受け入れ可)になる。
【0046】
このように図1に示すシステムでは、例えば、MF1がPC1に表示情報を提示(送信)し、PC1がユーザディスプレイに該表示情報を表示し、表示画面に対するユーザ入力をPC1がMF1に送信し、これに応答してMF1が次のタスクを決定する。例えば表示画面を変更する情報をPC1に送信する。すなわち、MF1がユーザデイスプレイの表示を変更し、表示画面に対するユーザ入力に応じてタスクを決定する。
【0047】
図2に、図1に示す複合機能プリンタMF1の構成の概要を示す。説明を容易にするために、図2は、本発明の実施に必要な構成を簡略化した概要を示す。この複合機能プリンタMF1は、地球環境影響値である温室効果ガス、代表的な一例はCO、の排出に関係する物理量を使用電力量と使用用紙量に限定し、削減対象の温室効果ガスをCOとして、それを低減するためのガイダンス機能をもたせたものである。
【0048】
まず、101はこの複合機能プリンタMF1に入力される交流電源を表し、ここから入力されるエネルギーすなわち電力は、消費電力/消費電力量計測部102にて計測し、数値化する。電源部103は、この交流電力から複合機能プリンタMF1のすべての機器,電気回路に必要な、直流出力と交流出力に変換する。
【0049】
エンジン制御部106は、複合機能プリンタMF1の本来の機能である画像形成の基本プロセスを制御する。これは、この複合機能プリンタMF1に用いられるセンサー等の入力部であるエンジン制御入力部105と、印字用紙の搬送等に用いられるモータ,ソレノイド等の出力部であるエンジン制御出力部107の、各要素のすべてを制御する。メモリ104は、これらのエンジン制御に使用されるプログラムやその途中経過の記憶や、初期設定値等を記憶する。消費電力/消費電力量計測部102にて数値化されたデジタル量すなわち消費電力量データは、このエンジン制御部106に入力され、必要に応じてメモリ104に記憶される。
【0050】
システム制御111は、複合機能プリンタMF1の画像処理やフロントパネル操作制御を含むシステム全体をコントロールする。これはスキャナ等の画像入力部108で読み取られたイメージデータや、USB等の汎用インターフェースである外部インターフェース109からの送受信コマンドやデータあるいはLAN等のネットワークインターフェース110を通じて得られる各種送受信コマンドやデータの解析等を行うと共に、最終的な画像形成に必要なイメージデータの展開処理等を行う。また、同時にユーザとのマン/マシンインターフェースとなるフロントパネル操作表示部112の制御も行う。
【0051】
このフロントパネル操作表示部112は、この複合機能プリンタMF1の主機能の操作/表示に必要な一般表示領域,キー入力部および地球温暖化防止ガイダンス表示領域で構成される。
【0052】
記憶装置114は、システム制御111が直接に読み書き制御を行う。この記憶装置114には、システム制御に使用するプログラムが格納された制御プログラム部114a、その処理途中のデータを一時的に保存するRAM114b、および、電源部103がOFF状態でもデータを記憶保持するHDD(Hard Disk Drive)114cと不揮発性メモリ114d、がある。これらのHDDと不揮発性メモリには、CO排出原単位設定値,各トレイ用紙仕様設定値,各印字モードにおける消費電力と消費電力量あたりの電気料金設定値,単位期間あたりのCO排出目標値,各使用モード変更指示設定値およびユーザ許可フラグ等が記憶されている。
【0053】
ビデオインターフェース115が、エンジン制御部106と画像処理/操作パネル/システム制御111の両者間でのデータ/コマンド等送受信のコミュニケーションを行う。発振器/タイマ113は、複合機能プリンタMF1すべての制御の同期に必要なクロックを発生させるための発振器とCO排出量の具体的な削減数値目標等の時間管理に使用される。
【0054】
図3に、システム制御111による、印刷又は複写の制御の中の、主にCO排出量削減のための勧誘報知、すなわちガイダンス、の処理を示す。尚、印刷および複写のいずれにおいても用紙に画像を形成するので、本書においては、「印刷」との表現には「複写」も含む。また、該「印刷」を、「プリント」,「画像形成」あるいは「作像」と表現することもある。
【0055】
システム制御111は、それに動作電圧が印加されると起動して、まず、プリンタMF1の各部を、待機状態(レディ)とする初期設定を行い、そして操作表示部112又はPC1(もしくはPC2又はPC3)からのユーザ入力を待つ(S101)。操作表示部112又はPC1からのユーザ入力による初期設定の中に、CO排出量削減のための勧誘報知すなわちガイダンス、のためのガイダンス初期設定がある。ユーザが操作表示部112又はPC1からガイダンス初期設定を指定すると、システム制御111は、操作表示部112又はPC1の、表示パネル又はユーザディスプレイに、ガイダンス初期設定メニューを表示し、該メニュー上の設定項目を個別に指定すると、システム制御111は、該項目の設定画面又は実績画面のデータを記憶装置114から読み出して表示パネル112又はユーザディスプレイに表示する。
【0056】
図4に、該設定画面および実績画面の表示例を示す。図4上の表示例201は、CO排出量原単位初期設定の表示例である。本実施例においては、単位電力量あたりのCO排出量と各トレイの用紙製造単位重量(ここではトン「t」としている)あたりのCO排出量係数の、現在の設定値を示す。最初の値Aは、用紙一枚あたりの印字に必要な予想電力量や実測された電力量をCO排出量に換算する時の係数として用いられる値である。この初期設定値は、環境省やプリンタMF1に電力を供給する電力会社等から得られる値をもとに算出されたものである。一般には、各地域の電力会社がどのような形態の発電方式(火力、水力、原子力等)をどのような割合で使用しているかによって異なる値をとるが、環境省等のガイドラインによって、標準値も決められている。どの値を採用するかは、プリンタMF1の設置形態やCO排出量を管理する規模で異なるが、予め方針を決定して各プリンタに統一した値を採用している。
【0057】
次の値B,Cは、各トレイに供給されている用紙の製造に際しての単位重量あたりのCO排出量換算係数として用いられる値である。これは、各用紙の製造メーカからの情報等をもとに算出した値である。これらは、用紙メーカとそのタイプ等の組み合わせで決定される一意の値として、各プリンタに対して統一した値を採用している。
【0058】
図4上の表示例202は、複合機能プリンタMF1の各トレイとそこに使用される用紙仕様に関する初期設定画面である。ここでは、用紙種類(普通紙であるか再生紙であるか等)とそれが再生紙である場合は、古紙配合率と白色度を表示する画面である。これらのパラメータは、用紙製造時や焼却時のCO排出量算出に用いる。また、この内容が印刷実行時に操作パネル112又はPCのディスプレイの、地球温暖化防止ガイダンス領域に表示されることにより、実使用用紙と設定値をユーザが容易に比較できる事によって、再生紙の仕様とそれに関連するCO排出量削減の意識をユーザに持たせる効果もある。D〜Iは各設定値を示す。
【0059】
図4上の表示例203は、プリンタMF1の主機能に搭載される各印字機能モードにおける消費電力と消費電力量あたりの電気料金の初期設定画面例である。この印字機能モードは、プリンタの機能等によって異なるが、プリンタMF1には、白黒コピー出力モード,フルカラーコピー出力モードおよび省エネ白黒コピー出力モードがある。表示値J,K,Lは、地球温暖化防止ガイダンス領域に表示されるガイダンスを表示するために予め用紙一枚印字あたりの消費電力量を予想するために用いられる値である。システム制御111は、これらの値と、上記にて設定された他の初期設定値を利用して、ユーザが設定した使用モード(紙種,複写枚数,両面/片面,モノクロ/カラー等)におけるCO排出量を算出し、地球温暖化防止の立場から、よりよい使用モード設定値の候補を決定する。
【0060】
設定値MとNは、プリンタMF1に電力を供給する電力会社との契約内容に伴う単位電力量あたりの電気料金であり、その契約形態によっては時間帯別に設定する必要がある。
【0061】
図4上の表示例204は、京都議定書を意識し、画像形成装置を使用する事業者または個人が自主的に温室効果ガスの排出量削減計画を立案実施し、その成果を把握・評価することを可能にするために設けられたCO排出量目標値と、現状値およびその差異を示す表示画面例である。まず目標単位期間(この例で月)あたりの目標値Zを設定し、測定開始日時R〜Vの各値を設定し確定する事で、その時点からの画像形成装置使用に伴うCO排出量の現状値Pとその差値Q(PとQは、プリンタMF1が印刷の都度算出し表示する値)が表示される。これにより、管理者のみならずユーザ各個人が任意の時点での温室効果ガスの排出量削減計画に対する成果を把握し、その時点での評価が可能となる。
【0062】
上述の各表示例で表示する値は、各表示画面に対応付けて不揮発性メモリ114dに設定している各テーブルに書き込まれている。
【0063】
図3を再度参照する。ユーザが印刷のため、操作表示部112又はPC1から、印刷条件を入力し複写の場合にはプリンタMF1にコピー原稿をセットし、スタート指示を入力すると(S102)、システム制御111は、入力があった印刷条件に対する印刷一枚当たりの消費電力量を、不揮発性メモリ114dに設定されている各テーブル値を用いて算出する。(S103)。次に、その消費電力量に対するCO排出量を同様にテーブル値を用いて算出する(S104)。同様に用紙消費に対するCO排出量も算出する(S105)。このように、ユーザの使用モード(印刷条件)に対する各設定値とそれに伴いシステム制御111が算出した値をRAM114bに記憶する(S106)。
【0064】
次に、システム制御111は、ユーザが入力した印刷条件とは全画像出力情報量が等価であって別使用モードでの設定の可能性を検索する(S107)。もし可能性のある場合は、これらすべての設定内容(印刷条件)およびその時の消費電力量とCO排出量を算出し、結果をRAM114bに記憶するという上記同様の処理を繰り返す(S103〜S107)。
【0065】
すべての可能性とその結果をRAM114bに保存した後、システム制御111は、RAM114b上のすべての使用モードのCO排出量の算出結果を比較する(S108)。ここで、あらゆる使用モードの可能性候補の中で、ユーザが最初に入力したものがCO排出量が最小であると判断された場合は、S114へ進み、処理実行前の最終確認を行う。もし、そうでない場合は、操作表示部112又はPC1のディスプレイのガイダンス表示領域に別の候補を表示し(S110)、その候補の内容に対してユーザが許可するか否かの判定結果を待つ(S111)。
【0066】
もし、この使用モード候補に対してユーザが使用を許可したならば、この内容に対しての許可フラグをONとしてRAM114bに保存し(S112)、許可しない場合はフラグをOFFのままとする。次に、システム制御111は、別の候補があるか否かを前段に記憶した候補結果内容から判断し(S113)、ある場合は上記同様の処理(S110〜S113)を行う。
【0067】
結果として、すべての候補に対しての許可フラグを含む処理結果から、最終的に選択された使用モードが明らかとなる最終確認画面を表示する(S114)。この状態で、システム制御111は、この最終内容での印刷実行をユーザが許可するか否かの待機状態となる(S115)。もし、ユーザがこの使用モードに納得せずに、NOのボタンを押下した場合は、内部処理の初期段階S102に戻り、ユーザの使用モードが再び設定されるまで待機する。
【0068】
ユーザがこの最終確認内容の印刷実行を許可し、YESボタンを押下した場合は、システム制御111は、このモードに対するすべての機能を実行すると共に、その時の全消費電力量を、計測部102を用いて実測する(S116)。
【0069】
最後に、システム制御111は、上述の印刷ジョブの消費電力量および用紙消費量に対するCO排出量算出結果とその目標値及びその目標値に対する差値を、ガイダンス画面に表示し、ユーザの要求ジョブに対するすべての内部処理は終了する。
【0070】
図5に、ユーザ入力があった、プリンタMF1の操作表示部112又はパソコンCP1のディスプレイの、ガイダンス表示領域に表示する地球温暖化防止ガイダンスの表示画面例を示す。まず、図5上の表示例301は、ユーザがトレイ1(普通紙のA4サイズが入っており、予め初期設定値として登録されている)での片面印刷を選択し、実行ボタンを押した直後に地球温暖化防止ガイダンス領域に表示される画面例である。この場合、システム制御111は、ユーザ設定を変更して両面印刷にした場合には、このジョブ一枚あたりにY1 g−CO(Y1はシステム制御111が算出した値)の削減効果があるので、使用モードを変更した方がよいとのアドバイスすなわち勧誘、を表示すなわち報知している例である。ここで、ユーザがこの内容に同意するには、画面に表示されているYESのボタンを、同意しない場合はNOのボタンを押下する。ここでYESを押した場合の次の画面例を図5上の表示例302に示す。
【0071】
表示例302は、ユーザが指定したトレイ1(普通紙A4サイズ)からトレイ3(再生紙のA4サイズが入っており、予め初期設定値として登録されている)に変更した場合は、この印刷ジョブ一枚あたりY2 g−CO(Y2はシステム制御111が算出した値)の削減効果があるので、使用モードを変更した方が良いとのアドバイスを表示している例である。ここで、ユーザがこれに同意した場合(YESのボタンを押下した場合)、次に表示される画面例を図5上の表示例303に示す。
【0072】
表示例303は、上記過程S102〜S113によって、システム制御111が初期のユーザの使用モード設定に対して全画像出力情報量が等価であって別使用モードでの設定の可能性を判断しながらユーザに対する設定変更依頼をガイダンスし、それに対するユーザの応答結果をもとに、地球温暖化防止の立場から最適な設定値としてシステム制御111が出した最終結果の表示画面例である。ここでは、最終の使用モード決定内容とユーザの初期使用モード設定値に対する印刷ジョブ一枚あたりのCO削減値が表示される。この例では、初期段階の設定に対して、最終設定ではこのジョブ一枚あたりY3 g−CO(Y3はシステム制御111が計算した値)の削減となる事を示した例である。
【0073】
ユーザはこの最終の使用モードとその効果を確認した後、実際の印刷を実行する場合は画面上のYESボタンを、最初からやり直す場合はNOボタンを押下する。ここで、YESと回答すると、システム制御111は、印刷を開始し、すべての印刷ジョブを実行し、それに伴う全消費電力量を実測する。そして、全消費電力量を、不揮発性メモリ114d上のテーブルの変換係数Aを用いてCO排出量に換算して、最終結果として表示する。この印刷ジョブを完了したときの画面例を、図5上の表示例304に示す。
【0074】
この表示例304では、全ジョブのCO削減効果はY4 g−CO(Y4はシステム制御111が算出した値)であり、今回のジョブ全体で使用した総CO排出量はY g−CO(Yはシステム制御111が算出した値)であり、月あたりCO使用総量目標値Z kg−CO(Zは予めユーザが設定した値:表示例204参照)に対して残りW kg−CO(Wはシステム制御111が算出した値)であることを示したものである。このように、管理者のみならずユーザ各個人が、印刷ジョブ終了時に、温室効果ガスの排出量削減計画に対する成果を把握し、その時点での評価が可能となる。
【0075】
図1に示すパソコンPC1〜PC3には、複合機能プリンタMF1〜MF3を使用するアプリケーションソフト(プログラム)およびプリンタドライバがインストールされており、パソコンPC1〜PC3は、複合機能プリンタMF1〜MF3のフロントパネル操作表示部112(図2)と同様な入出力手段として、複合機能プリンタMF1〜MF3の、画像読取り,画像蓄積,印刷,複写およびファクシミリ等の画像処理機能を使用することができる。該アプリケーションソフトにはさらに、複合機能プリンタMF1〜MF3の管理機能がある。
【0076】
図6に、パソコンPC1〜PC3の、複合機能プリンタMF1〜MF3を使用するプリンタアプリケーションソフトの機能概要を示す。該アプリケーションのメニュー(選択項目)には、「MF使用」MFU,「CO削減ガイダンス」CTRおよび「MF管理」MFMがある。「MF使用」MFUは、MFUプリンタMF1の操作表示部112の機能の中の、「CO削減ガイダンス」に関連する部分を除く、主に、画像読取り,蓄積,印刷,複写,ファクシミリ送受信などの画像処理機能の実施に関する入出力を行う部分と同等の機能であり、「CO削減ガイダンス」CTRは、操作表示部112の機能の中の、「CO削減ガイダンス」の初期設定および実績出力(実績表示,実績印刷)の実施に関する入出力を行う部分と同等の機能である。「MF管理」MFMは、操作表示部112の機能にはない機能であって、各プリンタMF1〜MF3に使用権限がある部門および又はユーザを割り当て、それらの使用機能,使用量を制限し、各プリンタMF1〜MF3の使用実績を集計する機能である。
【0077】
たとえばPC1ユーザが、アプリケーションメニューの「MF使用」MFUをクリック(選択)し、プリンタMF1を指定すると、プリンタMF1の操作表示部112の盤面と同様な操作盤画面を該アプリケーションがPC1のディスプレイに表示し、PC1ユーザは、操作盤画面に表示されたボタンを、キーボード操作および又はマウス操作によってクリックすることにより、操作表示部112を使用するときと同様に、プリンタMF1に対する入出力を行うことができる。すなわち、PC1上で、プリンタMF1に対して、画像読取り,蓄積,印刷,複写,ファクシミリ送受信などの画像処理を指示することができる。この指示に応答してプリンタMF1のシステム制御111は、操作表示部112に対して行うのと同様に、PC1に対して入出力応答を行う。
【0078】
PC1ユーザが、アプリケーションメニューの「CO削減ガイダンス」CTRを選択すると、該アプリケーションは、ガイダンスメニューをディスプレイに表示する。該メニューには、「ガイダンス設定値の更新」と、「実績値出力」とがあり、「ガイダンス設定値の更新」をクリックすると、「PC上係数テーブルの更新」PCCにより、PC上係数テーブルの更新入力画面がディスプレイ上に表示される。ユーザは該画面に対する入力により、「CO削減ガイダンス」において参照する係数等を最新値に更新する。すなわちPC上係数テーブルを更新する。更新した係数等に、プリンタMF1〜MF3上のテーブルを更新する場合は、ディスプレイ上のツールバー「プリンタ上テーブルの更新」をクリックする。するとアプリケーションは、「各MFの係数テーブルを更新」MFCに進み、そこでユーザは、各プリンタを指定して、該プリンタの「CO削減ガイダンス」に関連するテーブルのデータを、PC上の、更新したテーブルのデータに更新する。すなわち、プリンタ上のテーブルファイルの更新を行う。
【0079】
以上のように、図1に示すシステムでは、パソコンPC1〜PC3からも複合機能プリンタMF1〜MF3にアクセスして、プリンタの操作表示部112を使用する場合と同様に、プリンタを使用し、管理することができる。
【実施例2】
【0080】
図7に、本発明の第2実施例の複合機能プリンタMF1の、システム制御111による、印刷制御の中の、主にCO排出量削減のための勧誘報知すなわちガイダンスの処理を示す。第2実施例の複合機能プリンタMF1は、ユーザID照合により、使用者を限定するものであり、ユーザは、使用しようとするとき、IDカードを複合機能プリンタMF1のカードリーダに装着しなければならない。あるいは、PC1にユーザIDを入力して複合機能プリンタMF1に送信しなければならない。プリンタMF1のシステム制御111は、カードリーダが適正な(使用許可が登録された)ユーザIDを読取ると、あるいはPC1から適正なユーザIDが送信されると、ユーザの印刷条件入力を受け入れる(S102a,102b)。そしてCO削減のためのガイダンス制御および印刷制御を、第1実施例と同様に実行する(S103〜S116)。
【0081】
しかし第2実施例のシステム制御111は、今回の印刷ジョブに関してCO量cを算出すると、現在までの実績積算値に算出値を加算した値に、実積積算値Σcを更新し、また、ユーザが最初に入力した印刷条件で印刷を行なった場合の仮想のCO量bを算出して現在までの仮想積算値に加算して、仮想積算値Σbを更新する。さらに、削減値(削減積算値)「Σb−Σc」および削減比「Σc/Σb」を算出して、これらの値を、図8の表示例305のように、ユーザIDとともに表示し、しかも不揮発性メモリ114dに、ユーザID宛に更新記憶する(S117a,S118)。
【0082】
第2実施例の、パソコンPC1〜PC3にインストールするプリンタアプリケーションは、第1実施例のものと大要では同様であるが、「MF実績値出力」MFO(図6)では、プリンタを指定して、該プリンタに実績値転送を指示し、実績値を図8の表示例205のように、PCのディスプレイに表示する。図8上の表示例305,205の表示画面上の「評価」や「対策」は、削減比の各値に対応付けて、プリンタアプリケーションの出力情報テーブルに格納されている情報であり、表示している削減比に対応するものが、該テーブルから読み出されて表示画面上に表示されたものである。第2実施例のハードウエアおよびその他の機能は、上述の第1実施例と同様である。
【符号の説明】
【0083】
MF1〜MF3:複合機能プリンタ
PC1〜PC3:パソコン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【特許文献1】特開2006−343842号公報
【特許文献2】特開平4−348414号公報
【特許文献3】特開平6−59846号公報
【特許文献4】特開2004−13308号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材質が異なる複数種の用紙を装備し、指定があった種類の用紙に顕像剤画像を形成する画像形成装置であって、
ユーザが、前記複数種の中の一種の用紙を画像形成に選択する入力手段;
選択された種類の用紙を画像形成して消費した場合の地球環境影響値が前記複数種の中の他の種類の用紙を画像形成して消費した場合の地球環境影響値より大きい場合に該他の種類の用紙の選択を勧誘する報知手段;および、
該報知手段の勧誘に応じて前記入力手段によりユーザが該他の種類の用紙を選択するとそれを画像形成に指定する手段;を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、片面記録機能および両面記録機能、ならびに、ユーザが片面記録機能と両面記録機能の一方を画像形成に選択する入力手段、を備え;
前記報知手段は、片面記録機能が選択された場合に、両面記録機能の選択を勧誘し;
前記画像形成装置は更に、該勧誘に応じて前記入力手段によりユーザが両面記録機能を選択するとそれを画像形成に指定する手段を備える;請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記報知手段は、前記他の種類の用紙の選択勧誘および前記両面記録機能の選択勧誘を含む複数の選択勧誘を段階的に行う;請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記報知手段は、指定があった種類の用紙に画像形成したとき該用紙の前記地球環境影響値を報知する;請求項1乃至3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記報知手段は、指定があった種類の用紙に画像形成したときの前記地球環境影響値を積算し、積算値を報知する;請求項1乃至4のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置は、前記画像形成で消費する電力量を地球環境影響値に変換する換算係数および前記各種用紙の消費により生ずる地球環境影響値を格納するメモリ手段、ならびに、画像形成で消費する電力量を計測する計測手段、を備え;
前記報知手段は、前記計測手段が計測した電力量を、前記メモリ手段の換算係数を用いて地球環境影響値に変換し、該地球環境影響値と、画像形成に指定された用紙種類に宛てられた、前記メモリ手段の、前記用紙の消費により生ずる地球環境影響値とを用いて、前記指定があった種類の用紙に画像形成したときの前記地球環境影響値を求める;請求項1乃至5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置には、モノクロ印刷モードおよびカラー印刷モードの画像形成機能があり;前記メモリ手段は各画像形機能宛の消費電力を格納し;前記報知手段は、各モードの消費電力を報知する;請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記報知手段は、選択された種類の用紙を画像形成して消費した場合の地球環境影響値を、前記メモリ手段の、ユーザが選択した印刷モード宛の消費電力および前記換算係数に基づいて算出する;請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記メモリ手段は単位期間当りの地球環境影響値の目標値も格納し;前記報知手段は、前記単位期間の間の前記指定があった種類の用紙に画像形成したときの前記地球環境影響値を積算し、前記目標値とともに積算値を報知する;請求項6乃至8のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記報知手段は更に、前記目標値に対する前記積算値の差値も報知する;請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記用紙種類は、古紙使用配合率が異なる再生紙を含み;
前記用紙を画像形成して消費した場合の地球環境影響値は、該用紙の製造時および焼却時の温室効果ガス排出値、および、画像形成に要する電力量の消費によって生ずる温室効果ガス排出値、を含む;請求項1乃至10のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成装置はさらに、該画像形成装置を使用するアプリケーションプログラムをインストールした、前記入力手段の機能と前記報知のための表示の機能を持つ外部端末、と通信する通信手段を備え;前記報知手段は、前記勧誘の報知を前記外部端末に報知する;請求項1乃至5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記画像形成装置はさらに、該画像形成装置を使用するアプリケーションプログラムをインストールした、前記入力手段の機能と前記報知のための表示の機能を持つ外部端末、と通信する通信手段を備え;前記報知手段は、前記勧誘の報知ならびに前記指定があった種類の用紙に画像形成したときの前記地球環境影響値を前記外部端末に報知する;請求項6乃至11のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記画像形成装置はさらに、前記外部端末が与えるデータに、前記メモリ手段の格納データを更新するメモリ制御手段を備える;請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記画像形成装置は、ユーザ認証機能を有し;前記報知手段は、認証用ID毎に前記指定があった種類の用紙に画像形成したときの前記地球環境影響値を積算して前記メモリ手段に保存し、報知する;請求項6乃至14のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記画像形成装置は、ユーザ認証機能を有し;前記報知手段は、認証用ID毎に、最初にユーザが指定した印刷条件による地球環境影響値と実際に印刷を行って算出した地球環境影響値との差値を積算して前記メモリ手段に保存し、報知する;請求項6乃至14のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記メモリ制御手段は、前記外部端末の要求に応じて、前記メモリ手段の認証用ID毎の差値の積算値を該外部端末に送信する;請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記画像形成装置は、ユーザ認証機能を有し;前記報知手段は、認証用ID毎に、最初にユーザが指定した印刷条件による地球環境影響値の積算値すなわち予測積算値と実際に印刷をおこなって算出した地球環境影響値の積算値すなわち実績積算値を前記メモリ手段に保存し、報知する;請求項6乃至14のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記報知手段は、前記予測積算値に対する実績積算値の比を報知する;請求項18に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記メモリ制御手段は、前記外部端末の要求に応じて、前記メモリ手段の認証用ID毎の前記比を該外部端末に送信する;請求項19に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−167577(P2010−167577A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9748(P2009−9748)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】