説明

画像形成装置

【課題】 本発明の画像形成装置は、トナー残量検出機構の検出誤差によりトナーの残量が十分でも印刷を停止してトナーカートリッジを交換することを防止できる画像形成装置の提供を目的とする。
【解決手段】 本発明の画像形成装置は、現像剤収納器内の現像剤の量を積算処理ドット数で記憶する記憶素子と、上位装置から受信した印刷データの印刷処理ドット数を計測する計測部と、前記現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤収容部の内部に回転可能に設けられた攪拌部材と、前記攪拌部材の回転周期を測定するセンサー部材と、前記記憶素子、前記センサー部材、及び前記計測部を一定の条件で制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記センサー部材により前記現像剤が一定値以下であることを検知して、前記積算処理ドット数及び前記印刷処理ドット数に基づき前記現像剤が閾値以下になると、前記現像剤収納器の交換を促す報知を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 上位装置等から入力された画像データに基づいて潜像担持体に形成された静電潜像を現像することにより可視化して記録媒体に印刷して出力する画像形成装置に使用される現像剤収納器であるトナーカートリッジの交換制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、及び電子写真カラー記録装置等の画像形成装置においては、帯電部材により均一に帯電された潜像担持体の表面を露光源により露光して静電潜像を形成し、トナー供給部材から現像剤であるトナーを供給された現像部材により静電潜像を現像することによりトナー画像を形成した後、 トナー画像を記録媒体に転写し定着する。
【0003】
ここで、画像形成装置内の現像ユニットにはトナーカートリッジが装着され現像ユニット内にトナーが補給される。また、現像ユニット内部のトナー保持空間におけるトナー残量が一定値以下になると画像品質を維持することができなくなるため、 現像ユニット内に設けられたトナーを攪拌しながらトナーの残量を計測する攪拌部材の回転周期によってトナー残量を検知する画像形成装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2006-23537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の構成では、トナーの粉体特性に依存する点が大きく、装置内に収容されたトナーの残量が同じであっても、 例えば、トナー流動性のばらつきに起因して、トナーを攪拌しながらトナーの残量を計測する攪拌部材の回転周期が変化することから、 トナー残量検出の誤差が大きくなる問題が有った。
【0006】
そこで、本発明は前述の技術的な課題に鑑み、トナー残量検出機構の検出誤差により装置内のトナーの残量が十分にもかかわらず印刷を停止してしまう問題を解決し、且つ、トナーカートリッジにトナーが残量した状態でトナーカートリッジを交換することを防止できる画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決すべく、本発明に係る画像形成装置は、現像剤収納器に収納された現像剤の量を積算処理ドット数で記憶する記憶素子と、上位装置から受信した印刷データの印刷処理ドット数を計測する計測部と、前記現像剤収納器から供給された前記現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤収容部の内部に回転可能に設けられた攪拌部材と、前記攪拌部材の回転周期を測定するセンサー部材と、前記記憶素子、前記センサー部材、及び前記計測部を一定の条件で制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記センサー部材により前記現像剤収容部の内部の前記現像剤が一定値以下であることを検知すると、前記積算処理ドット数及び前記印刷処理ドット数に基づき前記現像剤収納器に収納された前記現像剤が閾値以下になると、前記現像剤収納器の交換を促す報知を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る画像形成装置によれば、ハード的な構成部材から成るトナー量検出機構に加え、トナー充填量に基づくドット充填量をトナーカートリッジの交換時期の判断基準として設けることにより、印刷においてトナーが過不足する不具合を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の画像形成装置に係る好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の画像形成装置は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。
【0010】
[第1の実施形態]
まず、本実施形態の画像形成装置1について説明する。図1に画像形成装置1の構成図を示す。画像形成装置1は、画像情報に基づいて記録媒体3に画像を印刷する。
【0011】
画像形成装置1は、給紙カセット11から記録媒体3を取り出して転写部30内に設けられた転写ローラ31に記録媒体3を搬送する給紙部10、上位装置100から受信した画像情報に基づいてトナー画像を形成する現像ユニット20、現像ユニット20で形成されたトナー画像を記録媒体3に転写する転写部30、転写部30で記録媒体3に転写されたトナー画像を融解及び加圧して定着させる定着部40、及び定着部40から排出された記録媒体3をスタッカ55に排出する排出部50から構成される。なお、画像形成装置1内には、トナーカートリッジ24の交換に係る制御等を行う制御基板60が設けられている。また、用紙搬送経路2は、給紙部10、現像ユニット20、転写部30、定着部40、及び排出部50内において記録媒体3が搬送される略S字状の経路である。以下、用紙搬送経路2に配設された各構成部材について図1及び図2を参照しながら具体的に説明する。
【0012】
給紙部10は、給紙カセット11から記録媒体3を取り出して転写部30内に設けられた転写ローラ31に記録媒体3を搬送する。また、給紙部10は、ホッピングローラ12、プレッシャローラ13、及びレジストローラ14から構成される。以下、給紙部10を構成する各構成部材について具体的に説明する。記録媒体3は、モノクロ又はカラーの画像情報を現像させるための所定寸法の記録用紙であり、一般的には、再生紙、光沢紙、及び上質紙のような紙、若しくはOHPフィルムからなる。また、給紙カセット11は、複数枚の記録媒体3を積層して収納しておき、印刷が開始されると記録媒体3を画像形成装置1内に供給する。なお、給紙カセット11は、画像形成装置1から脱着可能なように構成されている。また、ホッピングローラ12は、給紙カセット11に積層して収納した記録媒体3に対して圧接した状態で回転することにより給紙カセット11から1枚ずつ取り出した記録媒体3を、後述するプレッシャローラ13及びレジストローラ14に供給する。また、プレッシャローラ13及びレジストローラ14は、搬送されてきた記録媒体3を挟むように対向して配設され、レジストローラ14で加圧したプレッシャローラ13を回転させることで、記録媒体3の斜行取り等を行いながら後述する転写部30内に設けられた転写ローラ31に記録媒体3を搬送する。
【0013】
現像ユニット20は、上位装置100から受信した画像情報に基づいてトナー画像を形成する。図2に、現像ユニット20の構成図を示す。現像ユニット20は、画像情報に基づく静電潜像を担持する感光体ドラム21と、感光体ドラム21の表面に電荷を蓄えさせる帯電部材22と、画像情報に対応した光を感光体ドラム21の表面に照射する画像形成装置1本体に設けられたLEDヘッド23と、現像剤であるトナーを収容する現像剤収納器であるトナーカートリッジ24と、トナーを現像部材26に供給するトナー供給部材25と、感光体ドラム21表面の静電潜像をトナーにより現像する現像部材26と、現像部材26に担持されたトナーの厚みが均一となるように規制する現像ブレード27と、及び感光体ドラム21に残留したトナーを除去するクリーニング部材28から構成される。なお、現像ユニット20は画像形成装置1に対して着脱可能に配設されている。
【0014】
また、現像ユニット20は、本発明に係るトナー残量検出機構として、現像剤収容部であるトナー保持空間29内のトナーを攪拌して残量を検出するための攪拌部材70と、攪拌部材70に連結されたギア71と、同様に攪拌部材70に連結された軸受け72と、トナー保持空間29内のトナーの残量を検出するためのセンサー73と、同様にトナーの残量を検出するためのフォトカプラ74と、積算処理ドット数を記憶するための図5及び図6等を参照しながら後述する記憶素子90と、制御基板60と記憶素子90を接続する各部材からなる構成部材を有する。以下、現像ユニット20を構成する構成部材について、まず、画像情報に基づいてトナー画像を形成する各構成部材について図1に加えて図2を参照しながら具体的に説明する。その後、本発明に係るトナー残量検出機構を構成する各構成部材について図1に加えて、図2乃至図9を適宜参照しながら具体的に説明する。
【0015】
画像情報に基づいてトナー画像を形成する構成部材である、現像ユニット20内の感光体ドラム21は、現像剤像が形成される潜像担持体であり、画像情報に基づく静電潜像を担持するために表面に電荷を蓄えることが可能なように構成されている。なお、感光体ドラム21は、円筒形状部から成り、回転可能なように設けられている。また、感光体ドラム21は、感光体ドラム21の片側に図示しないギヤを有し、画像形成装置1内の図示せぬ回転駆動部から回動ギヤを介することにより回転駆動される。 この様な感光体ドラム21は、アルミニウム等から成る導電性基層に光導電層と電荷輸送層からなる感光層を形成している。また、帯電部材22は、図示せぬ電源を用いて感光体ドラム21の表面に所定の正電圧又は負電圧を印加することにより、感光体ドラム21の表面に対して一様に電荷を蓄えさせるためのものである。なお、帯電部材22は、一定の圧力で感光体ドラム21の表面に接触しながら回転可能なように設けられている。この様な帯電部材22は、導電性の金属シャフトにシリコーン等の半導電性ゴムを被覆することで構成されている。また、LEDヘッド23は、画像情報に対応した光を感光体ドラム21の表面に照射して感光体ドラム21の表面に静電潜像を形成することが可能なように構成されており、感光体ドラム21の上方に位置するように画像形成装置1本体に設けられる。この様なLEDヘッド23は、複数のLED素子、レンズアレイ、及びLED駆動素子を組み合わせたものから構成されている。
【0016】
また、画像情報に基づいてトナー画像を形成する構成部材である、現像ユニット20内のトナーカートリッジ24は、現像剤であるトナーを収納する現像剤収納器であり、トナー供給部材25の上方に装着される。また、トナーカートリッジ24は、例えば側面部が略円形状で記録媒体3Aの搬送方向と垂直方向に長い矩形状部から形成される。また、トナーカートリッジ24は、印刷によりトナーが消耗した時に交換するために着脱自在に構成されている。なお、トナーカートリッジ24は、トナーカートリッジ24の内にトナー貯蔵空間24Dを有する。トナーカートリッジ24を現像ユニット20に装着した後、トナーカートリッジ24に設けられた後述するレバー24Cを所定の方向に回動させると、トナーカートリッジ24内に配設された図示せぬシャッターが開口する。トナー貯蔵空間24Dに貯蔵されているトナーは、開口したシャッターを通過して現像ユニット20内の現像剤収容部であるトナー保持空間29に供給される。また、トナー供給部材25は、回転しながら現像部材26に当接することで、現像部材26にトナーを供給できるように設けられている。また、トナー供給部材25は、トナー供給部材25のシャフトに固定された図示せぬアイドルギヤを介して後述する現像部材26に配設されたギヤから駆動を受けて従動することにより回転駆動される。この様なトナー供給部材25は、例えば導電性を有する金属シャフトに発泡剤が添加されたゴムを被覆することで構成されている。また、現像部材26は、現像部材26のシャフトに固定された図示せぬギヤを介して感光体ドラム21に配設されたギヤから駆動を受けて従動することにより回転駆動される。なお、現像部材26は、回転しながらトナーを感光体ドラム21に搬送し、感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像をトナーによって現像する。
【0017】
また、現像部材26は、現像部材26のシャフトに固定された図示しないギヤを介して感光体ドラム21に配設されたギヤから駆動を受けて従動することにより回転駆動される。この様な現像部材26は、円筒形状部から成り、導電性を有する金属シャフトに半導電ウレタンゴム材等を被覆することで構成されている。また、現像ブレード27は、その先端部が現像部材26の表面に当接するように設けられ、トナー供給部材25から現像部材26の表面に供給された内、一定量を越えたトナーを掻き取ることで、現像部材26の表面に形成されるトナーの厚みを常に均一となるように規制する。この様な現像ブレード27は、ステンレス等の板状弾性部材で形成されている。また、クリーニング部材28は、ゴム材等から成る円筒形状部から形成され、感光体ドラム21上に形成されたトナー画像を記録媒体3Aに転写した後に感光体ドラム21に残留したトナーを除去するために、回転しながら感光体ドラム21の表面に当接するように配設されている。
【0018】
次に、本発明に係るトナー残量検出機構の構成部材である、現像ユニット20内の攪拌部材70、センサー部材であるセンサー73及びフォトカプラ74等について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2に現像ユニット20の構成図を、図3に攪拌部材70の斜視図を示す。攪拌部材70は、現像ユニット20内に設けられたトナー保持空間29内の下部であって、トナー供給部材25に隣接した位置に配設されている。なお、攪拌部材70は、トナー保持空間29内のトナーを攪拌するためのトナー攪拌部材であり、且つ、トナー保持空間29内のトナーの残量を検出するトナー残量検出部材である。このため、まず、トナー保持空間29内のトナーを攪拌するトナー攪拌に係る構造について説明し、次に、トナー保持空間29内のトナーの残量を検出するトナー残量検出に係る構造について説明する。
【0019】
まず、トナー保持空間29内のトナーを攪拌するトナー攪拌に係る構造について説明する。攪拌部材70は、棒状の鉄系素材から成り、コの字型形状から形成される。この様な攪拌部材70は、コの字型形状の両端に設けられた回転中心部70Aを中心軸として回転駆動させることで、コの字型形状の先端に設けられた攪拌部70Bによりトナー保持空間29内のトナーを攪拌させる。また、攪拌部材70の両端の回転中心部70Aには、それぞれギア71と軸受け72が連結されている。なお、攪拌部材70は、攪拌部材70の一端に連結されたギア71を介してトナー供給部材25に配設されたギヤから駆動を受けて従動することにより回転駆動される。また、攪拌部材70の他端に連結された軸受け72はギア71の回転に従動する。
【0020】
次に、トナー保持空間29内のトナーの残量を検出するトナー残量検出に係る構造について説明する。ギヤ71は、損拌部材27に当接して回転駆動させる駆動伝達面71Aを有する。なお、駆動伝達面71Aには、攪拌部材70に係る回転動作の一部において重量による自由落下が可能となる切り欠きが設けられている。また、トナー保持空間29の下方であって攪拌部材70に近接する位置に、トナー残量検出に係る部材である略棒状から成るセンサー73が配設されている。この様なセンサー73は、回転中心部73Aを中心軸として一定の範囲内において回動駆動に設けられ、センサー73の一端部である一定の磁力を帯びた応答部73Bとセンサー73の他端部である検出部73Cを有する。また、センサー73の下方に、トナー残量検出に係る部材であるフォトカプラ74が配設されている。このようなフォトカプラ74は、一端から信号光が出射され対面する他端に配設された検出器により信号光を受光する構造となっている。
【0021】
上述した構成において、攪拌部材70が回転中心部70Aを中心軸として回転すると、攪拌部材70の先端部である攪拌部70Bに、センサー73の一端部である応答部73Bが引き付けられる。具体的には、攪拌部材70の回転動作に伴い、攪拌部材70の攪拌部70Bの回転軌道において、攪拌部70Bがセンサー73の応答部73Bに対して一定範囲以内に近接すると、センサー73が回転中心部73Aを中心に回動することにより、センサー73の応答部73Bが攪拌部材70の攪拌部70Bに引き付けられる。また、攪拌部材70の回転動作に伴い、攪拌部材70の攪拌部70Bの回転軌道において、センサー73の応答部73Bと攪拌部材70の攪拌部70B間の距離が一定間隔以上に離れると、センサー73が回転中心部73Aを中心に回動することにより、応答部73Bは自重により元の位置に戻る。なお、センサー73の他端部である検出部73Cは、センサー73の応答部73Bが攪拌部材70の攪拌部70Bに引き付けられている間は、検出部73Cがフォトカプラ74内から離脱することにより、フォトカプラ74の信号光は遮光されない状態になる。同様に、センサー73の他端部である検出部73Cは、センサー73の応答部73Bが攪拌部材70の攪拌部70Bに引き付けられていない間は、検出部73Cがフォトカプラ74内に進入することにより、フォトカプラ74の信号光は遮光された状態になる。当該信号光は図示せぬ配線により制御基板60に入力される。また、フォトカプラ74の信号光が検出部73Cにより遮光されない状態では、図示せぬ配線により制御基板60にLOW出力時間として入力される。なお、制御基板60において、フォトカプラ74からのLOW出力時間が、一定時間内に閾値以上の出力が所定回数以上継続的に検出されると、トナーが少なくなったと認識され後述する制御処理を開始する。
【0022】
具体的に、トナー保持空間29内のトナーの残量を検出するトナー残量検出に係る構造について、トナー保持空間29内のトナーの残量が少ない場合と、トナー保持空間29内のトナーの残量が多い場合に、場合分けして説明する。まず、トナー保持空間29内のトナーの残量が少ない場合について説明する。トナー保持空間29内の攪拌部材70は、図2で示す時計回りに一定速度で回転駆動するギア71に付勢されることにより、回転中心部70Aを中心軸として回転する。しかし、攪拌部材70の攪拌部70Bが、時計で示す0時の角度を超えてギア71から付勢されると、ギア71の駆動伝達面71Aから攪拌部材70の回転中心部70Aが離脱することにより、攪拌部材70は回転中心部70Aを中心としてトナーがある位置まで回転しながら自由落下する。なお、攪拌部材70が回転しながら自由落下した後の一定領域においてのみ、センサー73の応答部73Bが攪拌部材70の攪拌部70Bに引き付けられて、検出部73Cがフォトカプラ74内から離脱することにより、フォトカプラ74の信号光は遮光されない。従って、トナー保持空間29内のトナーの残量が少ない程、攪拌部材70の攪拌部70Bが回転しながら自由落下した後に一定領域に滞在する時間が増えることから、フォトカプラ74で信号光が遮光されない時間が長くなる。次に、トナー保持空間29内のトナーの残量が多い場合について説明する。トナー保持空間29内のトナーの残量が多い程、攪拌部材70の攪拌部70Bが回転しながら自由落下した後に一定領域に滞在する時間が減少することから、フォトカプラ74で信号光が遮光される時間が長くなる。上述した通り、フォトカプラ74で遮光されない信号光のLOW出力時間に変換して制御基板60で検出することにより、トナー保持空間29内のトナーの残量を計測することができる。
【0023】
次に、本発明に係るトナー残量検出機構の構成部材である、現像ユニット20内のトナーカーリッジ24、及び、トナーカートリッジ24に設けられた記憶素子90等について、図4乃至図9を適宜参照しながら説明する。
【0024】
トナーカートリッジ24の斜視図を図4に示す。また、トナーカートリッジ24に設けられた記憶素子90を接合した基板92の上面図を図5に、同様に側面図を図6に、同様に底面図を図7に示す。また、現像ユニット20にトナーカートリッジ24を着脱する状態の斜視図を図8に、現像ユニット20の裏面の斜視図を図9に示す。トナーカートリッジ24の長手方向端面部には、ポケット部24Aがトナーカートリッジ24に一体成形されている。当該ポケット部24Aには、記憶素子90、及び、記憶素子90と導通を有する後述するコンタクト91を有する基板92が実装される。同様に、トナーカートリッジ24の長手方向端面部には、規制リブ24Bがトナーカートリッジ24に一体成形されている。当該規制リブ24Bは、トナーカートリッジ24を現像ユニット20に装着した時に、現像ユニット20の筐体に一体形成されたリブ80と係合する。同様に、トナーカートリッジ24のポケット部24Aが形成された他端部にはレバー24Cが配設されている。トナーカートリッジ24を現像ユニット20に装着した後、当該レバー24Cを所定の方向に回動させると、トナーカートリッジ24内に配設された図示せぬシャッターが開口し、トナーカートリッジ24内のトナーが現像ユニット20に供給され、且つ、トナーカートリッジ24が現像ユニット20に固定される。この様に、規制リブ24Bとリブ80が係合した状態でレバー24Cを所定の方向に回動させることにより、トナーカートリッジ24が上方に持ち上がりトナーカートリッジ24が現像ユニット20から離脱することを規制する。
【0025】
また、記憶素子90は、基板92に実装されて基板92に設けられたスルーホールにより基板92の裏面側に設けられたコンタクト91と導通している。なお、現像ユニット20には、トナーカートリッジ24に実装された基板92に設けられたコンタクト91に対応する、コネクタ93である93A及び93Bが設けられている。コネクタ93A及び93Bは、図示しない基板及び線材により図2に示すコンタクト95にそれぞれ接続されてる。また、コンタクト95は、コンタクト95に対応した位置に配設された図2に示すコネクタ96により、図示しない線材により制御基板60に接続されている。現像ユニット20に設けられたコネクタ93は図示しない基板及び線材を介して、コンタクト95に接続される。記憶素子90の構造については後述する。
【0026】
次に、画像形成装置1に設けられた転写部30について説明する。転写部30は、現像ユニット20で形成されたトナー画像を記録媒体3に転写する。また、転写部30は、転写ローラ31から構成される。転写ローラ31は、感光体ドラム21の下方に位置し、転写ローラ31と感光体ドラム21により記録媒体3を挟むように当接した状態で回転可能に設けられている。この様な転写ローラ31には、トナーの帯電とは逆極性のバイアス電圧が供給され、感光体ドラム21の表面に形成されたトナー画像を記録媒体3に転写する。
【0027】
定着部40は、転写部30で記録媒体3に転写されたトナー画像を融解及び加圧して定着させる。また、定着部40は、定着ローラ41及び加圧ローラ42から構成される。以下、定着部40を構成する各構成部材について具体的に説明する。定着ローラ41と加圧ローラ42は、転写ローラ31から搬送されてきた記録媒体3を挟むように対向して配設され、記録媒体3に転写されたトナー画像を定着させる。具体的には、定着ローラ41及び加圧ローラ42は表面が弾性体で円筒形状部から形成され、円筒形状部の内部にそれぞれハロゲンランプ等のヒータが配設されている。このような定着ローラ41及び加圧ローラ42は記録媒体3上に弱い静電気力だけで付着しているトナー画像を融解した上で、加圧ローラ42の加圧力によりトナー画像を記録媒体3に定着させる。なお、加圧ローラ42は、定着ローラ41の回転に付勢されることで従動する。
【0028】
排出部50は、定着部40から排出された記録媒体3をスタッカ55に排出する。また、排出部50は、搬送ローラ51、搬送コロ52、排出ローラ53、排出コロ54、及びスタッカ55から構成される。以下、排出部50を構成する各構成部材について説明する。搬送ローラ51及び搬送コロ52は、定着部40から搬送されてきた記録媒体3を挟むように対向して配設され、搬送ローラ51の回転に従動させて搬送コロ52を回転させることにより、記録媒体3を排出ローラ53及び排出コロ54に搬送する。また、排出ローラ53及び排出コロ54は、搬送ローラ51及び搬送コロ52から搬送されてきた記録媒体3を挟むように対向して配設され、排出ローラ53の回転に従動させて排出コロ54を回転させることにより記録媒体3をスタッカ55に排出する。また、スタッカ55は、画像情報が印刷された記録媒体3Bを積載して収容する収納スペースである。
【0029】
次に、画像形成装置1の制御について説明する。図10に画像形成装置1の構成を示すブロック図を示す。以下、図10を参照しながら具体的に説明する。
【0030】
画像形成装置1は、マイクロプロセッサ、比較部110A、判断部110B、及び入出力ポート等から構成される制御部110を設けており、制御部110から画像形成装置1に指令を出すことにより画像情報を記録媒体3に印刷し、且つ、トナーカートリッジ24の交換時期を報知する一連のプロセスを制御する。また、制御部110は、I/F部111、表示パネル112、モータ113、電圧設定部114、計測部であるカウント部115、タイマ116、記憶素子90、LEDヘッド23、及びフォトカプラ74と相互に接続している。以下、制御部110と相互に接続している各構成部材について具体的に説明する。但し、図1乃至図10を参照しながら前述した各構成部材については説明を省く。
【0031】
制御部110内に設けられた比較部110Aは、後述するカウント値及びフォトカプラ74のLOW出力時間と閾値とを比較する。また、制御部110内に設けられた判断部110Bは、カウント値、LOW出力時間、及び閾値との比較結果等に基づき、トナーカートリッジ24に係る交換準備、交換表示、及び印刷の停止の可否などの判断を行う。また、画像形成装置1の制御に関し、I/F部(インターフェイス部)111は、ホストコンピュータ等の上位装置100から印刷データ及び制御コマンド等を受信する。また、表示パネル112は、画像形成装置1に設けられた図示せぬ表示部であって、制御部110からの指令に基づいて、画像形成装置1に係る印刷状態、印刷条件、トナーカートリッジ24の交換、及びエラーに係る警告等を、画像形成装置1のユーザに表示することにより報知する。また、モータ113は、制御部110からの指令に基づいて、給紙部10、現像ユニット20、転写部30、定着部40、及び排出部50内の各駆動部材及び各搬送部材を回転駆動させる。
【0032】
制御部110と接続した電圧設定部114は、制御部110からの指令に基づいて、各駆動部材及び各搬送部材に印加する電圧値を設定する。また、カウント部115は、計測部であり、制御部110からの指令に基づいて、ホストコンピュータ等の上位装置100から受信した印刷用データからLEDヘッド23で露光するドット数をカウントした後に、制御部110にて後述する積算処理ドット数D1、積算処理ドット数D2、積算処理ドット数D3として積算し、当該処理ドット数値と各閾値との比較、及び、記憶素子90への各積算処理ドット数の格納を行う。また、タイマ116は、制御部110からの指令に基づいて、画像形成装置1内の各構成部材を制御するタイミングを制御する。また、記憶素子90は、制御部110からの指令に基づいて、前述した閾値、積算処理ドット数D1、積算処理ドット数D2、及び積算処理ドット数D3を格納する。
【0033】
次に、本実施形態の画像形成装置1に係る印刷動作について説明する。図11に画像形成装置1に係る印刷動作の流れを示すフローチャートを示す。
【0034】
ホストコンピュータ等の上位装置100から印刷データを受信した制御部110は、画像生成装置1を駆動して印刷を開始することで、印刷動作に係るシーケンスを開始する。次に、印刷処理を実施すると、カウント部115は、制御部110からの指令に基づいて、上位装置100から受信した印刷用データからLEDヘッド23で露光する印刷処理ドット数をカウントした後に、積算処理ドット数D1に加算する。なお、画像形成装置1に設けられた制御基板60には、トナーカートリッジ24が現像ユニット20に装着された時点で読み込まれて記憶素子90に記憶されたトナーカートリッジ24が装着されてからの積算処理ドット数D1が格納されている(S1)。次に、カウント部115は、当該積算処理ドット数D1をトナーカートリッジ24に実装された記憶素子90に書き込む。なお、積算処理ドット数D1は、 記憶素子90に書き込まれた識別情報が新しくなった場合に、記憶素子90に書き込まれた積算処理ドット数を読み込むことにより置き換えられ、識別情報が従来と同一の場合には、印刷処理に従ってドット数が順次積算される。(S2)。
【0035】
制御部110から制御基板60に指令を出して、現像ユニット20内に設けられたフォトカプラ74で検出したLOW出力時間を確認し、閾値である300msec/パルス以上の場合(Yes)には手順5に進み、300msec/パルス未満の場合(No)には手順4に進む(S3)。次に、手順4に進んだ場合、カウント部115では、積算処理ドット数D2は加算せずに、シーケンスを終了して、次の印刷が実行されるまで待機する(S4)。次に、手順5に進んだ場合、カウント部115は、積算処理ドット数D2に1を加算して当該ドット数を記憶素子90に書き込む(S5)。次に、カウント部115は、積算処理ドット数D2を確認し、積算処理ドット数D2が10以上の場合(Yes)には手順7に進み、積算処理ドット数D2が10未満の場合(No)にはシーケンスを終了して、次の印刷が実行されるまで待機する(S6)。次に、手順7に進んだ場合、カウント部115は、トナー保持空間29に収容されているトナー量が少ないと認識し、積算処理ドット数D2の計数を開始する。具体的には、上位装置100から受信した印刷用データからLEDヘッド23で露光する印刷処理ドット数をカウントした後に、積算処理ドット数D2に加算する(S7)。次に、カウント部115は、積算処理ドット数D2と閾値T1を比較し、積算処理ドット数D2が閾値T1以上の場合(Yes)には手順10に進み、積算処理ドット数D2が閾値T1未満の場合(No)には手順9に進む。なお、閾値T1は予め任意に設定しておく(S8)。
【0036】
手順9に進んだ場合、カウント部115では、積算処理ドット数D3は加算せずに、シーケンスを終了して、次の印刷が実行されるまで待機する。すなわち、積算処理ドット数D2が閾値T1未満の場合には、トナーカートリッジ24の交換準備を知らせるメッセージを表示せず、 印刷を継続し、且つ、フォトカプラ74に係るLOW出力時間に基づくトナー残量の監視を続けることにより、トナー残量の検出精度を向上させる(S9)。次に、手順10に進んだ場合、制御部110からの指令に基づいて、画像形成装置1のユーザに対して、図示せぬLCD等の表示パネル112にトナーカートリッジ24の交換準備を知らせるメッセージを表示する(S10)。次に、カウント部115は、積算処理ドット数D3の計数を開始する。具体的には、上位装置100から受信した印刷用データからLEDヘッド23で露光する印刷処理ドット数をカウントした後に、積算処理ドット数D3に加算する(S11)。次に、カウント部115は、積算処理ドット数D3と交換準備期間として予め定めた一定の閾値T2を比較し、積算処理ドット数D3が閾値T2以上の場合(Yes)には手順13に進み、積算処理ドット数D3が閾値T2未満の場合(No) にはシーケンスを終了して、次の印刷が実行されるまで待機する。なお、閾値T2は予め任意に設定しておく(S12)。
【0037】
カウント部115は、前期交換準備期間として予め定めた一定の印刷処理を完了した時点で、制御基板60内のメモリに記憶された積算処理ドット数D1とドット充填量を比較し、積算処理ドット数D1がドット充填量以上の場合(Yes)には手順14に進み、積算処理ドット数D1がドット充填量未満の場合(No) にはシーケンスを終了して、次の印刷が実行されるまで待機する。なお、ドット充填量は、トナーカートリッジ24に充填されているトナー量により規定され、印刷データに係る印刷が可能なドット数のことである。具体的には、ISOで定義された印刷パターンを3000枚印刷できる仕様のトナーカートリッジ24に係るドット充填量は、ISOに基づくパターン3000枚分のドット数が書き込まれている。また、画像形成装置1に設けられた制御基板60には、トナーカートリッジ24が現像ユニット20に装着された時点で読み込まれた、記憶素子90に記憶されたトナーカートリッジ24に係るドット充填量が格納されている(S13)。次に、カウント部115は、トナーカートリッジ24に実装された記憶素子90にトナーが空である旨の情報フラグを書き込む(S14)。次に、制御部110からの指令に基づいて、画像形成装置1の印刷を停止し、画像形成装置1のユーザに対して図示せぬLCD等の表示パネル112にトナーカートリッジ24の交換を促すメッセージを表示した後、印刷動作に係るシーケンスを終了する(S15)。
【0038】
次に、図11を参照しながら説明した本発明に係る画像形成装置1に係る印刷動作の具体例として、積算処理ドット数D1によるトナー消費量の見積値よりもフォトカプラ74で検出するトナー消費量の見積値が多いと判断された場合、及び、積算処理ドット数D1によるトナー消費量の見積値よりもフォトカプラ74で検出するトナー消費量の見積値が少ないと判断された場合における、印刷動作に係る時間に対するトナー量について、具体的に説明する。
【0039】
まず、積算処理ドット数D1によるトナー消費量の見積値よりもフォトカプラ74で検出するトナー消費量の見積値が多いと判断された場合における、時間に対するトナー量を、図12を参照しながら説明する。なお、表1に、図12中に記載した各記号の説明を示す。
【0040】
【表1】

【0041】
は、LaとLbとの間に位置すると解される。また、Lbで、闘値が10回以上継続した場合、αにて積算処理ドット数D2の計数が開始される。また、Lb'は、閾値が10回以上継続した後でも、フォトカプラ74でトナー量を検出する場合の参考線である。本発明では、Lcが閾値であるTaに達すると、時刻t12にてトナーカートリッジ24の交換準備を促すメッセージを表示パネル112に表示する。また、Ta以降では、積算処理ドット数D3に基づくトナー消費量の見積値Ldが計数され、積算処理ドット数D1及び積算処理ドット数D3がそれぞれ閾値以上となるトナー量Taeの場合に、時刻teにて印刷が停止される。例えば、Lb'にて閾値であるTaeに達すると判断した場合、印刷が停止されるトナー量Taeに連する時刻teに対して、時刻t12よりも早い時刻t11にてトナーカートリッジ24の交換準備を促すメッセージを表示パネル112に表示する。上述した条件では、真のトナー消費量L0で検討した場合において、Lb'にてトナーカートリッジ24の交換準備を促すと、トナー残量がより多い状態でトナーカートリッジ24の交換準備を促すメッセージを表示パネル112に表示することになるため、ユーザに対する報知時期が早過ぎてしまう。
【0042】
次に、積算処理ドット数D1によるトナー消費量の見積値よりもフォトカプラ74で検出するトナー消費量の見積値が少ないと判断された場合における、時間に対するトナー量を、図13を参照しながら説明する。なお、表2に、図13中に記載した各記号の説明を示す。
【0043】
【表2】

【0044】
Lbにて、闘値が10回以上継続した場合、αにて積算処理ドット数D2の計数が開始される。ここで、Lb'とLcとを比較すると、真のトナー消費量Lに対して、トナーカートリッジ24の交換を促すための閾値であるTbに達する時刻はLcの方が近い。また、トナー量Tbeに達する時刻についてLdとLb'とを比較すると、Lb'に係る時刻te'はteよりもLから遠い。したがって、 トナーが無くなりトナーカートリッジ24の交換が必要であっても印刷が停止されず、且つ、トナーカートリッジ24の交換準備を促すメッセージが表示パネル112に表示されないことからユーザに対して報知されない。また、t21とt22とを比較すると、t22はt21よりも遅い。したがって、真のトナー消費量Lに応じて、トナー量が少ないことに起因して記録媒体3に生じる印字かすれなどの不具合が発生する直前に、トナーカートリッジ24の交換準備を促すメッセージが表示パネル112に表示されることから、ユーザがトナーカートリッジ24の交換準備に必要な時間が十分に確保することができない。
【0045】
以上、第1の実施形態によれば、攪拌部材70、センサー73、及びフォトカプラ74等の所謂ハード部材から成るトナー量検出機構に加え、トナー充填量に基づくドット充填量をトナーカートリッジ24の交換時期の判断基準として設けているため、印刷においてトナーが過不足する不具合が発生せず、且つ、トナーカートリッジ24に係る印刷可能枚数の公称値以上は印刷を行うことができる。すなわち、トナーのロット間における製造バラツキ等に起因して流動性が高いトナーを用いた場合、印刷密度が高い印刷をより多く実行することにより現像ユニット20内でトナーの流動性が想定値よりも低下しなかった場合、又は、画像形成装置1の使用環境等によりトナーの流動性が高くなることによりトナー量が少ないと検出してしまう場合等において、現像ユニット20内にトナーが十分に残っているにもかかわらず印刷を停止して、ユーザにトナーカートリッジ24の交換を促すことを防止できる。
【0046】
また、第1の実施形態によれば、トナーカートリッジ24に実装された記憶素子90に記憶されたドット充填量のみに基づいてトナー残量を判断して印刷を停止する場合においても、現像ユニット20に係る現像部材26の製造ばらつき等に起因した印刷濃度ばらつきによりトナー消費量が相対的に少ない現像ユニット20を使用している場合や、ユーザーがトナーを補充することによりトナーが多く残った状態で印刷を停止してしまう場合等においても、印刷中にトナーが過不足する不具合が発生しない。さらに、トナーカートリッジ24の交換準備表示はトナー量検出機構の検出時を基準に行われ、例えばユーザが新しいトナーカートリッジ24を購入する等により予め予め定めた交換準備期間よりも長くなることはあるが、短くなることはないことから、新しいトナーカートリッジ24を準備することができず印刷を行うことができなくなることを防止できる。
【0047】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、第2の実施形態においては、トナー供給部材25及び現像部材26に印加する電圧値を変更することによりトナーの消費量を調整することが可能であることに特徴を有し、それ以外の画像形成装置に係る構成は、第1の実施形態で述べた画像形成装置1の構成と同様である。そこで、本実施形態では、第1の実施形態と異なる構成を中心にして具体的に説明する。
【0048】
第2の実施形態に係る画像形成装置について、第1の実施形態において前述した画像形成装置1と比較しながら、具体的に説明する。第1の実施形態において前述した画像形成装置1では、特に現像部材26の製造ばらつきに起因してトナー濃度が濃くなる場合、すなわち、トナーをより多く消費する現像ユニット20を使用する場合には、トナー量が実際に少なくなっていても、記憶素子90から読み込んだドット充填量に到達していない場合には、トナーカートリッジ24の交換準備を必要とする旨のメッセージは表示パネル112に表示されるが、印刷は停止されないことから、現像ユニット20内のトナーが不足する可能性が有る。通常は、印字かすれが発生するトナー残量に対して、一定のマージン量を付加した状態でトナー残量少を検出するようトナー量検出機構は構成されているものの、マージン量以上にトナーを消費すれば印字かすれが発生する。そこで、第2の実施形態においては、トナー量検出機構がトナー少を検出し、その後の印刷によりトナー少が確定され、次に積算ドット処理数とドット充填量を比較する処理において、ドット充填量と積算ドット処理数の差分が、予め設定した一定値以上となる場合に、トナーの消費が多いため印字かすれ発生する可能性が有ると判断して、 その後の印刷時にトナー供給部材25又は現像部材26に印加するバイアス値の設定を変更することにより、トナー消費に係る調整を行うことに特徴を有する。
【0049】
次に、本実施形態の画像形成装置に係る印刷動作について説明する。図14に画像形成装置に係る印刷動作の流れを示すフローチャートを示す。
【0050】
ホストコンピュータ等の上位装置100から印刷データを受信した制御部110は、画像生成装置1を駆動して印刷を開始することで、印刷動作に係るシーケンスを開始する。なお、第2の実施形態における画像形成装置の印刷動作に係る手順21乃至手順32は、図11を参照しながら前述した第1の実施形態における画像形成装置1の印刷動作に係る手順1乃至手順12とそれぞれ同様である。次に、手順32から手順33に進んだ場合、カウント部115は、ドット充填量から積算処理ドット数D1を引いた値と予め定めた後述する閾値Aとを比較し、ドット充填量から積算処理ドット数D1を引いた値が閾値A以下の場合(Yes)には手順36に進み、閾値Aを越えている場合(No)には手順34に進む(S33)。次に、手順34に進んだ場合、カウント部115は、積算処理ドット数D2と予め定めた閾値T3とを比較し、積算処理ドット数D2が閾値T3以上の場合(Yes)には手順38に進み、閾値T3未満の場合(No)には手順35に進む(S34)。
【0051】
手順35に進んだ場合、トナー供給部材25及び現像部材26に印加するバイアス値を変更して、その後の印刷を継続する。SBはトナー供給部材25に対して印刷時に印加するバイアス値、DBは現像部材26に対して印刷時に印加するバイアス値である。通常の印刷を実行する場合には、SB=−500V及びDB=−300Vであるが、SB=−400V及びDB=−250Vに変更する。なお、通常は、潜像を書き込まれた部分の感光体ドラム21に帯電している−30Vから−50V程度の表面電位とDBの差分が大きい程、現像部材26に担持されたトナーは、潜像が書き込まれた感光体ドラム21に移動しやすくなるため、感光体ドラム21に付着するトナーの量が多くなる。また、DBとSBの差分が大きい程、トナー供給部材25から現像部材26にトナーが移動しやすくなるため、現像部材26に付着するトナーの量が多くなる。すなわち、上述したバイアス値の差分が小さくなるように設定を変更することにより、感光体ドラム21上に担持されて現像されるトナー量が減少することでトナー消費が抑制される。なお、バイアス値の設定変更によりトナーの消費量がどの程度変わるかについては、トナーを含む現像ユニット20を構成する各部材の特性によって決まることから、上述した各設定の変更値は一例である(S35)。
【0052】
手順33から手順36に進んだ場合、カウント部115は、積算処理ドット数D2と予め設定した閾値T4を比較し、積算処理ドット数D2が閾値T4以下の場合(Yes)には手順37に進み、閾値T4を越えている場合(No)にはシーケンスを終了して、次の印刷が実行されるまで待機する(S36)。なお、第2の実施形態における画像形成装置の印刷動作に係る手順37乃至手順39は、図11を参照しながら前述した第1の実施形態における画像形成装置1の印刷動作に係る手順13乃至手順15とそれぞれ同様である。
【0053】
上述したシーケンスの内、第2の実施形態に特有の部分について、具体例を用いて説明する。トナーカートリッジ24の交換準備期間として予め定めた印刷処理中に想定されるトナーの消費量を5gとして、トナー量が少ないことを検出した時に現像ユニット20に残留しているトナー量からトナーカートリッジ24の交換準備中に消費するトナー量を引いた印刷停止時における想定トナー残量と印字かすれ限界トナー残量との差分、所謂マージントナー量を10gとする。この場合、10g消費分の想定処理ドット数とすると、例えばドット充填量と積算処理ドット数の差分が9g相当分のドット差分であった場合は、そのままバイアス設定変更は行わず印刷を継続し、結果としてマージントナー量を4g程度又は少し上回った分のトナーを消費し、トナー交換のため印刷を停止する。この場合、まだ印字かすれ限界トナー残量には至っていないことから印字かすれは発生しない。また、上記差分が10g相当以上であった場合は、トナー供給部材25又は現像部材26に印加するバイアス値の変更を実施することにより、トナー消費量を抑えた上で印刷を継続する。但し、積算処理ドット数D2、所謂トナー少を確定してからの積算処理ドット数が、上記交換準備分5gとマージン分10gの和である15gを越えるような場合には、印字かすれが発生する可能性が大きいと判断して、 記憶素子90へ空フラグを書き込み、且つ、印刷の停止処理を行う。ドット充填量と積算処理ドット数D1の差分が10g相当分未満となった場合においても、 積算処理ドット数D2が前記交換準備分5gとマージン分10gの和15gを越えるような場合は印字かすれが発生する可能性が大きいと判断して、記憶素子90に空フラグ書き込み、且つ、印刷の停止処理を行う。
【0054】
以上、第2の実施形態によれば、トナー量検出機構がトナー少を検出し、その後の印刷によりトナー少が確定され、次に積算ドット処理数とドット充填量を比較する処理において、ドット充填量と積算ドット処理数の差分が、予め設定した一定値以上となる場合に、トナーの消費が多いため印字かすれ発生する可能性が有ると判断して、 その後の印刷時にトナー供給部材25又は現像部材26に印加するバイアス値の設定を変更することにより、トナー消費に係る調整を行う。従って、現像ユニット20内にトナーが残留しているにもかかわらず印刷を停止し、ユーザーにトナーカートリッジ24の交換を促す報知を行うことを防止することができ、且つ、現像ユニット20内のトナーが不足することにより印字かすれが発生することを防止できる。
【0055】
なお、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態においては、画像形成装置をそれぞれ電子写真式のモノクロプリンタとして説明したが、本実施形態の画像形成装置を、カラープリンタ、インクジェットプリンタ、ドットマトリクスプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、MFP装置などに設けても良い。また、本発明においては、現像ユニット20に対してトナーカートリッジ24を着脱することが可能な構成として説明したが、トナーカートリッジ24を現像ユニット20内に一体化する構成としても良い。また、本発明に係る画像形成装置をカラープリンタとして構成する場合には、ブラック色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の4色に対応する画像情報を現像する4つの現像ユニット20K、20Y、20M、及び20Cを画像形成装置内にそれぞれ配設するが、ブラック色を除いた3色に対応する3つの現像ユニット20Y、20M、及び20Cを画像形成装置内にそれぞれ配設しても良い。同様に、それぞれブラック色に対応する画像情報を現像する2つの現像ユニット20Kを画像形成装置内にそれぞれ配設しても良い。このように、現像ユニット20の個数、現像ユニット20の色の組み合わせ、配設位置等は限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。なお、複数の現像ユニット20を画像形成装置に配設する場合には、現像ユニット20の下部に記録媒体3を搬送するための転写ベルトを設ける構成とする。また、本発明においては、EEPROM等の接触通信を行う画像形成装置として説明したが、RFID等の非接触通信を行う画像形成装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施形態の画像形成装置を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の画像形成装置内に設けられた現像ユニットを示す構成図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の現像ユニット内に設けられた攪拌部材を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のトナーカートリッジを示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態のトナーカートリッジに設けられた記憶素子を接合した基板を示す上面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態のトナーカートリッジに設けられた記憶素子を接合した基板を示す側面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態のトナーカートリッジに設けられた記憶素子を接合した基板を示す底面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の現像ユニットにトナーカートリッジを着脱する状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施形態の現像ユニットの裏面を示す斜視図である。
【図10】本発明の第1の実施形態の画像形成装置の制御を示すブロック図である。
【図11】本発明の第1の実施形態の画像形成装置に係る印刷動作の流れを示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1の実施形態の画像形成装置に係る印刷動作において積算処理ドット数D1によるトナー消費量の見積値よりもフォトカプラで検出するトナー消費量の見積値が多い場合における時間に対するトナー量を示す模式図である。
【図13】本発明の第1の実施形態の画像形成装置に係る印刷動作において積算処理ドット数D1によるトナー消費量の見積値よりもフォトカプラで検出するトナー消費量の見積値が少ない場合における時間に対するトナー量を示す模式図である。
【図14】本発明の第2の実施形態の画像形成装置に係る印刷動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成装置
2 用紙搬送経路
3,3A,3B 記録媒体
10 給紙部
11 給紙カセット
12 ホッピングローラ
13 プレッシャローラ
14 レジストローラ
20,20K,20Y,20M,20C 現像ユニット
21 感光体ドラム
22 帯電部材
23 LEDヘッド
24 トナーカートリッジ
24A ポケット部
24B 規制リブ
24C レバー
24D トナー貯蔵空間
25 トナー供給部材
26 現像部材
27 現像ブレード
28 クリーニング部材
29 トナー保持空間
30 転写部
31 転写ローラ
40 定着部
41 定着ローラ
42 加圧ローラ
50 排出部
51 搬送ローラ
52 搬送コロ
53 排出ローラ
54 排出コロ
55 スタッカ
60 制御基板
70 攪拌部材
70A 回転中心部
70B 攪拌部
71 ギア
71A 駆動伝達面
72 軸受け
73 センサー
73A 回転中心部
73B 応答部
73C 検出部
74 フォトカプラ
80 リブ
90 記憶素子
91 コンタクト
92 基板
93 コネクタ
94 基板
95 コンタクト
96 コネクタ
100 上位装置
110 制御部
110A 比較部
110B 判断部
111 I/F部
112 表示パネル
113 モータ
114 電圧設定部
115 カウント部
116 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤収納器に収納された現像剤の量を積算処理ドット数で記憶する記憶素子と、
上位装置から受信した印刷データの印刷処理ドット数を計測する計測部と、
前記現像剤収納器から供給された前記現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記現像剤収容部の内部に回転可能に設けられた攪拌部材と、
前記攪拌部材の回転周期を測定するセンサー部材と、
前記記憶素子、前記センサー部材、及び前記計測部を一定の条件で制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記センサー部材により前記現像剤収容部の内部の前記現像剤が一定値以下であることを検知すると、前記積算処理ドット数及び前記印刷処理ドット数に基づき前記現像剤収納器に収納された前記現像剤が閾値以下になると、前記現像剤収納器の交換を促す報知を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記センサー部材により前記現像剤収容部の内部の前記現像剤が一定値以下であることを検知すると、前記積算処理ドット数及び前記印刷処理ドット数に基づき前記現像剤収納器に収納された前記現像剤が閾値以下になると、前記現像剤収納器の印刷動作を停止することを報知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記センサー部材により前記現像剤収容部の内部の前記現像剤が一定値以下であることを検知すると、前記積算処理ドット数及び前記印刷処理ドット数に基づき前記現像剤収納器に収納された前記現像剤が閾値以下になると、前記現像剤収納器の印刷動作を停止することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記センサー部材により前記現像剤収容部の内部の前記現像剤が一定値以下であることを検知すると、初期の積算処理ドット数、前記積算処理ドット数、及び前記印刷処理ドット数に基づいて印刷動作を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
現像剤像が形成される潜像担持体と、
現像剤により前記潜像担持体に静電潜像を現像する現像部材と、
前記現像部材に前記現像剤を供給する現像剤供給部材と、
前記現像部材及び前記現像剤供給部材に電圧を供給する電圧設定部とを更に有し、
前記制御部は、前記センサー部材により前記現像剤収容部の内部の前記現像剤が一定値以下であることを検知すると、前記積算処理ドット数及び前記印刷処理ドット数に基づき前記現像剤収納器に収納された前記現像剤が閾値以下になると、前記現像部材に印加する電圧値を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記センサー部材により前記現像剤収容部の内部の前記現像剤が一定値以下であることを検知すると、前記積算処理ドット数及び前記印刷処理ドット数に基づき前記現像剤収納器に収納された前記現像剤が閾値以下になると、前記現像剤供給部材に印加する電圧値を変更することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記憶素子は、前記現像剤収納器に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2010−44265(P2010−44265A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208996(P2008−208996)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】