説明

画像形成装置

【課題】 同一の画像信号に基づいて複数の用紙上に形成される同一画像どうしの色変動を抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 画像形成部20で形成された画像の投影波形に基づいて抽出した各特徴点の搬送方向の位置の、各基準位置からのずれ量を求めることにより、画像の搬送方向各部分の伸縮の倍率を第1の計測部51_1で計測するとともに、用紙搬送速度計測部60による用紙の走行速度計測結果に基づいて画像の搬送方向各部分の伸縮の倍率を第2の計測部51_2で計測し、これにより得られた画像の搬送方向各部分の伸縮の倍率を読取位置・部分倍率補正部52で補正して色変動検出部53で色変動を検出し、その色変動に基づいて色変動抑制処理部30にキャリブレーションの実行をキャリブレーション指示部54で指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像の形成を受けた用紙上の画像を読み取る画像読取部を備えた、例えば電子写真方式やインクジェット方式などといった画像形成装置が知られている。このような画像形成装置では、例えば、画像読取部で読み取られた画像の色が意図した色になっているか否かの判定が行われ、必要に応じて補正が行なわれている。
【0003】
ここで、基準印刷物の印刷面をセンサカメラで走査して得られた画像を複数の領域に分割して各領域毎に基準濃度レベルを求めておき、被検査印刷物に対して基準印刷物と同様にして各領域毎に被検査濃度レベルを求め、これら基準濃度レベルと被検査濃度レベルとを各領域毎に比較して色の濃度差を検出する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、輪転機で印刷される新聞の紙面の表面及び裏面のインキ塗布面積の情報に基づいて印刷濃度の検出を行なう技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、ロータリー・エンコーダのタイミングパルスに基づいて画像を各領域に分割し、各領域毎に濃度監視を行なう技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
尚、後の参考のため、特許文献4を挙げておく。
【特許文献1】特開平05―077409号公報
【特許文献2】特開平06−115050号公報
【特許文献3】特開2002―310799号公報
【特許文献4】特開2004―199548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、同一の画像信号に基づいて複数の用紙上に形成される同一画像どうしの色変動を抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の画像形成装置は、
用紙を搬送する用紙搬送手段と、
上記用紙搬送手段により用紙が搬送される用紙搬送経路上に設けられ、搬送されてきた用紙上に画像を形成する画像形成部と、
上記画像形成部により形成される画像の色変動を抑制するための色変動抑制動作を実行させる色変動抑制処理部と、
上記用紙搬送経路上の、上記画像形成部よりも下流側に配置され、その画像形成部において画像の形成を受けた用紙上の画像を読み取る画像読取部と、
上記画像読取部での読取りにより得られた画像データを処理することにより色変動を検出して上記色変動抑制処理部に色変動の抑制を指示する画像処理部とを備え、
上記画像読取部が、上記用紙の搬送方向に交わる幅方向に並ぶ複数の単位センサからなり、その用紙がその画像読取部を通過する間にその用紙上の画像を繰り返し読み取るラインセンサを有し、
上記画像処理部が、
上記ラインセンサで得られた画像データに基づいて、上記搬送方向について複数の特徴点を抽出して各特徴点のその搬送方向についての画像上の位置を求め、各特徴点のその搬送方向の位置の、各基準位置からのずれ量を求めることにより、その画像のその搬送方向各部分の伸縮の倍率を計測する第1の計測部と、
上記第1の計測部で計測された、上記画像データにより表わされる画像の上記搬送方向各部分の伸縮の倍率に基づいてその画像のその搬送方向各部分の伸縮を補正することにより、その画像について抽出された複数の特徴点のその搬送方向の位置を各基準位置に合わせた補正画像を表わす補正画像データを生成する補正部と、
上記補正画像を代表する代表色の、基準色からの色変動を検出する検出部と、
上記検出部で検出された色変動に基づいて上記色変動抑制処理部に上記色変動抑制動作の実行を指示する色変動抑制動作指示部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の画像形成装置は、請求項1の画像形成装置において、上記色変動抑制動作指示部が、
上記検出部で検出された色変動に基づいて、上記色変動抑制動作の実行の要否を判定する要否判定部と、
上記要否判定部で上記色変動抑制動作の実行が必要であるとの判定を受けて、上記色変動に基づいて、色変動抑制動作の種別を決定して上記色変動抑制処理部に決定した種別の色変動抑制動作の実行を指示する種別決定部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の画像形成装置は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記第1の計測部が、上記ラインセンサで得られた画像データに基づいて、その画像データにより表わされる画像のうちの上記幅方向に並ぶ画素の画素値の累積値を上記搬送方向について複数求めることにより投影波形を求め、その投影波形に基づいて上記複数の特徴点を抽出するものであることを特徴とする。
【0011】
請求項4の画像形成装置は、請求項1から3のうちいずれか1つの画像形成装置において、上記画像処理部が、同一の画像信号に基づく同一画像を複数の用紙上に順次形成する際の1枚目の用紙に形成された画像を読み取って得た画像データに基づいて、上記搬送方向について複数の特徴点を抽出して各特徴点のその搬送方向についての画像上の位置を求め、各特徴点のその搬送方向の位置を上記各基準位置とするものであることを特徴とする。
【0012】
請求項5の画像形成装置は、請求項1から3のうちいずれか1つの画像形成装置において、上記画像処理部が、同一の画像信号に基づく同一画像を複数の用紙上に順次形成する際の、上記ラインセンサで先に読み取られた画像データそれぞれから求めた、互いに対応する特徴点の上記搬送方向の重み付け平均位置を求め、その重み付け平均位置をその特徴点に対応する上記基準位置とするものであることを特徴とする。
【0013】
請求項6の画像形成装置は、請求項1から5のうちいずれか1つの画像形成装置において、上記画像読取部による、用紙上の画像の読取りの際のその用紙の走行速度を、その用紙の少なくとも一部分について計測する速度計測手段を備え、
上記速度計測手段による用紙の走行速度計測結果に基づいて、その用紙上の画像を読み取って得られた画像データにより表わされる画像の、上記搬送方向各部分の伸縮の倍率を計測する第2の計測部を備え、
上記第1の計測部と上記第2の計測部が、用紙上の画像を読み取って得られた画像データにより表わされる画像の上記搬送方向各部分の伸縮の倍率をその画像内で協同又は分担して算出し、
上記補正部は、上記第1の計測部および上記第2の計測部が協同又は分担して算出した、上記画像データにより表わされる画像の上記搬送方向各部分の伸縮の倍率に基づいて、その画像のその搬送方向各部分の伸縮を補正することにより、その画像について抽出された複数の特徴点のその搬送方向の位置を各基準位置に合わせた補正画像を表わす補正画像データを生成するものであることを特徴とする
請求項7の画像形成装置は、請求項6の画像形成装置において、上記第1の計測部により計測された部分倍率と上記第2の計測部により計測された部分倍率とを比較し閾値以上の差異があるときに警告を出力する警告出力部をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の画像形成装置では、同一の画像信号に基づいて複数の用紙上に形成される同一画像どうしの色変動を抑制することができる。
【0015】
請求項2の画像形成装置では、画像の色変動を抑制するための色変動抑制動作の実行が必要であるとの判定を受けて、色変動抑制動作の種別に応じた実行の指示を行なうことができる。
【0016】
請求項3の画像形成装置では、画像の特徴を表わす特徴点を抽出することができる。
【0017】
請求項4の画像形成装置では、基準位置を簡単に得ることができる。
【0018】
請求項5の画像形成装置では、請求項5に係る発明を採用しない場合と比較し、基準位置を高い精度で得ることができる。
【0019】
請求項6の画像形成装置では、画像上の特徴点を抽出して特徴点から画像の搬送方向各部分の伸縮の倍率を計測する手段のみを有する場合と較べて、高精度に計測することができる。
【0020】
請求項7の画像形成装置では、画像の色変動が予め定められた範囲を超えたことをユーザに知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
先ず、本発明の一実施形態である画像形成装置を含む画像形成システムについて説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態である画像形成装置を含む画像形成システム構成例を示したブロック図である。
【0024】
図1に示すように、この画像形成システムには、画像形成装置1と、情報処理装置2と、画像読取装置3とが備えられている。
【0025】
先ず、情報処理装置2から説明する。情報処理装置2は、後述する画像形成装置1に画像データ送信することで、この画像データに基づく印刷を画像形成装置1に指示したり、画像形成装置1から通知される情報を出力したりする装置である。この情報処理装置2は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)により実現される。
【0026】
画像読取装置3は、用紙等の記録媒体に記録された画像を光学的に読み取り、画像データとして画像形成装置1に出力することで、この画像データに基づく印刷を画像形成装置1に指示する装置である。この画像読取装置3は、例えばスキャナにより実現される。
【0027】
画像形成装置1は、例えば電子写真方式を採用したプリンタであり、この画像形成装置1には、用紙を搬送する用紙搬送部10が備えられている。
【0028】
また、画像形成装置1には、用紙搬送部10により用紙が搬送される用紙搬送経路上に設けられ、搬送されてきた用紙上に画像を形成する画像形成部20が備えられている。この画像形成部20の構成については後述する。
【0029】
さらに、画像形成装置1には、画像形成部20により形成される画像の色変動を抑制するための、本発明にいう色変動抑制動作の一例に相当するキャリブレーションを実行させる色変動抑制処理部30が備えられている。画像の色変動の抑制にあたっては、例えばレーザの光量やトナーの帯電量などのハードウエア的な調整を行なってもよく、あるいは、画像信号の階調値を変更してもよく、あるいは、それらの双方を併用してもよい。
【0030】
また、画像形成装置1には、用紙搬送経路上の、画像形成部20よりも下流側に配置され、画像形成部20において画像の形成を受けた用紙上の画像を読み取る画像読取部40が備えられている。
【0031】
さらに、画像形成装置1には、画像読取部40での読取りにより行なわれた画像データを処理することにより色変動を検出して色変動抑制処理部30に色変動の抑制を指示する画像処理部50が備えられている。この画像処理部50は、同一の画像信号に基づく同一画像を複数の用紙上に順次形成する際の1枚目の用紙に形成された画像を読み取って得た画像データに基づいて、搬送方向について複数の特徴点を抽出して各特徴点の搬送方向についての画像上の位置を求め、各特徴点の搬送方向の位置を各基準位置とするものである。
【0032】
また、画像処理部50には、第1の計測部51_1が備えられている。第1の計測部51_1は、ラインセンサで得られた画像データに基づいて、搬送方向について複数の特徴点を抽出して各特徴点の搬送方向についての画像上の位置を求める。さらに、各特徴点の搬送方向の位置の、各基準位置からのずれ量を求めることにより、その画像の搬送方向各部分の伸縮の倍率を計測する。また、第1の計測部51_1は、ラインセンサで得られた画像データに基づいて、その画像データにより表わされる画像の、幅方向に並ぶ画素の画素値の累積値を、搬送方向について複数求めることにより投影波形を求め、その投影波形に基づいて複数の特徴点を抽出する。
【0033】
また、画像処理部50には、本発明にいう補正部の一例である読取位置・部分倍率補正部52が備えられている。この読取位置・部分倍率補正部52は、第1の計測部51_1で計測された、画像データにより表わされる画像の搬送方向各部分の伸縮の倍率に基づいて画像の搬送方向各部分の伸縮を補正することにより、その画像について抽出された複数の特徴点の搬送方向の位置を各基準位置に合わせた補正画像を表わす補正画像データを生成する。
【0034】
さらに、画像処理部50には、本発明の検出部の一例に相当する色変動検出部53が備えられている。この色変動検出部53は、上記補正画像を代表する代表色の、基準色からの色変動を検出する。ここでは、代表色,基準色として、平均RGBの例で説明するが、他の例として、平均CMYKや平均Lなどを採用することができる。
【0035】
また、画像処理部50には、色変動検出部53で検出された色変動に基づいて色変動抑制処理部30に色変動抑制動作であるキャリブレーションの実行を指示する、本発明の色変動抑制動作指示部の一例に相当するキャリブレーション指示部54が備えられている。このキャリブレーション指示部54には、本発明の要否判定部の一例に相当するキャリブレーション要否判定部54_1と、本発明の種別決定部の一例に相当するキャリブレーション種別決定部54_2が備えられている。
【0036】
キャリブレーション要否判定部54_1は、色変動検出部53で検出された色変動に基づいたキャリブレーション実行の要否を判定する。また、キャリブレーション種別決定部54_2は、キャリブレーション要否判定部54_1でキャリブレーションの実行が必要であるとの判定を受けて、上記色変動に基づいて、キャリブレーションの種別を決定して色変動抑制処理部30に決定した種別のキャリブレーションの実行を指示する。尚、キャリブレーションの種別としては、レーザの光量の変更、トナーの帯電量の変更、画像信号の階調値の変更、あるいはこれらの併用等がある。
【0037】
また、画像形成装置1には、本発明の速度計測手段の一例である用紙搬送速度計測部60が備えられている。この用紙搬送速度計測部60は、例えばロータリーエンコーダにより実現される。用紙搬送速度計測部60は、画像読取部40による、用紙上の画像の読取りの際の用紙の走行速度を、用紙の後端部分を除く部分について計測する。
【0038】
また、画像読取部40には、第2の計測部51_2が備えられている。この第2の計測部51_2は、用紙搬送速度計測部60による用紙の走行速度計測結果に基づいて用紙上の画像を読み取って得られた画像データにより表わされる画像の搬送方向各部分の伸縮の倍率を計測する。この第2の計測部51_2と前述した第1の計測部51_1とが、用紙上の画像を読み取って得られた画像データにより表わされる画像の搬送方向各部分の伸縮の倍率を画像内で協同して算出する。さらに、読取位置・部分倍率補正部52は、第1の計測部51_1および第2の計測部51_2が協同して算出した、画像データにより表わされる画像の搬送方向各部分の伸縮の倍率に基づいて、その画像の搬送方向各部分の伸縮を補正することにより、その画像について抽出された複数の特徴点の搬送方向の位置を各基準位置に合わせた補正画像を表わす補正画像データを生成する。
【0039】
さらに、画像形成装置1には、警告出力部70と記憶部80が備えられている。
【0040】
警告出力部70は、第1の計測部51_1により計測された部分倍率と第2の計測部51_2により計測された部分倍率とを比較し閾値以上の差異があるときに警告を出力する。また、記憶部80は、画像処理部50で処理される画像データを一時的に格納する作業領域等として用いられる。
【0041】
次に、画像形成装置1のうち、色変動抑制処理部30と画像処理部50と警告出力部70と記憶部80とを実現する部分のハードウェア構成について説明する。
【0042】
図2は、図1に示す画像形成装置を構成する色変動抑制処理部と画像処理部と警告出力部と記憶部とを実現する部分のハードウェア構成例を示したブロック図である。
【0043】
図2に示すように、画像形成装置1には、CPU(Central Processing Unit)101と、RAM(Random Access Memory)102と、ROM(Read Only Memory)103と、HDD(Hard Disk Drive)104と、UI(User Interface)部105と、通信部106とが備えられている。
【0044】
CPU101は、制御プログラムに記述された手順に従って上記各部を制御する演算手段である。
【0045】
RAM102は、例えば半導体メモリにより実現され、CPU101が演算処理を実行するための作業用の領域を提供する。
【0046】
ROM103は、例えば半導体メモリにより実現され、CPU101が実行する各種制御プログラムを記憶する。
【0047】
HDD104は、例えば磁気ディスク装置により実現され、各種データを記憶する。
【0048】
UI部105は、上述した警告出力部70に加えて、例えばタッチパネルや各種ボタンを備え、ユーザからの操作を受け付けるとともに、画像や音声により情報をユーザに通知する。
【0049】
通信部106は、ネットワークを介して通信を行うためのインターフエース装置である。例えばLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して情報処理装置2や画像読取装置3等の外部装置から画像データを受信する。
【0050】
ここで、図1に示す色変動抑制処理部30と画像処理部50は、図2に示すCPU101がROM103に記憶されたプログラムをRAM102に読み込んで実行することにより実現される。また、警告出力部70はUI部105により実現されるとともに、記憶部80はRAM102やHDD104により実現される。
【0051】
続いて、画像形成装置1のうち、用紙搬送部10と画像形成部20と画像読取部40と用紙搬送速度計測部60との構成について説明する。
【0052】
図3は、図1に示す画像形成装置における用紙搬送部と画像形成部と画像読取部と用紙搬送速度計測部とを含む部分の構成を示した図である。
【0053】
図3には、用紙搬送部10と画像形成部20と画像読取部40と用紙搬送速度計測部60とが示されている。また、この図3には、色変動抑制処理部30と画像処理部50も示されている。さらに、用紙Pを収容する用紙収容部90も示されている。
【0054】
画像形成部20には、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色に対応する各画像形成ユニット21Y、21M、21C、21Kと、中間転写体22と、二次転写部24と、定着器25とが備えられている。尚、ここでは、図面の煩雑化を避けるために、画像形成ユニット21Yを構成する構成要素のみに符号を付して説明するが、残りの画像形成ユニット21M、21C、21Kの構成についても、この画像形成ユニット21Yの構成と同じである。また、用紙搬送速度計測部60は、定着器25よりも下流側に設けられており、さらに画像読取部40は、用紙搬送速度計測部60よりも下流側に設けられている。
【0055】
以下、画像形成部20の各部の構成について詳細に説明する。
【0056】
画像形成ユニット21Yは、電子写真方式によりトナー像を形成する。この画像形成ユニット21Yは、感光体211、帯電部212、露光部213、現像部214、および一次転写部215等を有する。この画像形成ユニット21Yおよび画像形成ユニット21M、21C、21Kは、中間転写体22上にY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を転写(一次転写)する。
【0057】
感光体211は、軸を中心にして矢印A方向に予め定めた速度で回転するドラム状の部材である。帯電部212は、感光体211の表面を所定の電位に帯電させる。露光部213は、帯電した感光体211にビーム(図中の符号Bm)を照射して静電潜像を形成する。現像部214は、感光体211に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。一次転写部215は、感光体211に形成されたトナー像を中間転写体22に転写する。この一次転写部215には、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加されるようになっており、これにより感光体211上のトナー像が中間転写体22に順次静電吸引され、中間転写体22上に各色のトナー像が重ねられたカラーのトナー像が形成される。
【0058】
中間転写体22は、各種ロールによって図に示す矢印B方向に回転可能に構成されたベルト状の部材である。ここで、各種ロールとして、図示しないモータにより駆動されて中間転写体22を回転させる駆動ロール221、中間転写体22に対して一定の張力を与えると共に中間転写体22の蛇行を防止する機能を備えたテンションロール222、中間転写体22を支持するアイドルロール223、およびバックアップロール242が備えられている。
【0059】
用紙搬送部10には、用紙収容部90に収容された用紙Pを予め定めたタイミングで取り出して搬送するピックアップロール11、ピックアップロール11により繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール12、搬送ロール12により搬送されてきた用紙Pを二次転写部24による二次転写位置へと送り込む搬送シュート234、および二次転写後の用紙Pを定着器25へと搬送する搬送ベルト235が備えられている。
【0060】
二次転写部24には、中間転写体22のトナー像保持面側に圧接配置される二次転写ロール241と、中間転写体22の裏面側に配置されて二次転写ロール241の対向電極をなすバックアップロール242が備えられている。二次転写ロール241には、この二次転写ロール241に付着した汚れを除去するブラシロール244が接触して配置されている。また、バックアップロール242には、二次転写バイアスが印加される金属製の給電ロール243が接触して配置されている。
【0061】
また、二次転写ロール241の下流側には二次転写後の中間転写体22の表面をクリーニングするベルトクリーナ224が設けられている。一方、二次転写ロール241の上流側には、画質調整を行なうための画像濃度センサ225が配設されている。
【0062】
さらに、画像形成ユニット21Yの上流側には、各画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)226が配置されている。この基準センサ226は、中間転写体22の裏側に設けられた予め定められたマークを認識して基準信号を発生し、この基準信号の認識に基づく色変動抑制処理部30からの指示により、各画像形成ユニット21Y,21M,21C,21Kが画像形成を開始するように構成されている。
【0063】
定着器25には、用紙Pを加熱及び加圧するためのロール部材が備えられており、用紙Pに転写されたトナー像を定着させる。
【0064】
次に、画像読取部40の構成について説明する。画像読取部40には、図3に示すように、光源41と、結像レンズ42と、イメージセンサ43とが備えられている。
【0065】
光源41は、搬送される用紙Pの所定の位置に光を照射する。
【0066】
結像レンズ42は、用紙Pからの反射光をイメージセンサ43の位置に結像する。
【0067】
イメージセンサ43は、用紙Pの搬送方向に交わる幅方向に並ぶ複数の単位センサからなり、用紙Pが画像読取部40を通過する間に用紙P上の画像を繰り返し読み取るラインセンサである。このイメージセンサ43は、結像レンズ42により結像された光を受光し、その受光量に応じた画像データを生成して出力する。出力された画像データは、記憶部80(図1参照)に記憶される。
【0068】
図4は、図1に示す画像形成装置の動作例を示したフローチャートである。
【0069】
この動作例は、1ページ分の原稿画像データに基づく原稿画像を予め定めた枚数分だけ印刷する場合の例である。尚、ここでは、キャリブレーション処理として、画像形成部20における画像形成条件を自動的に修正するフィードバック処理を行なうものとする。
【0070】
情報処理装置2もしくは画像読取装置3から画像形成装置1に原稿画像データが入力されると、この画像形成装置1が動作を開始する。先ず、ステップS1において、画像処理部50および色変動抑制処理部30が、原稿画像データの色空間を画像形成部20の色空間に変換する。ここで、情報処理装置2もしくは画像読取装置3から入力される原稿画像データの色空間としては、ユーザの利便性に応じて、色表現方式の1つである(C,M,Y,K)の色空間又は色表現方式の他の1つである(R,G,B)の色空間が用いられる。画像処理部50は、この原稿画像データの色空間を、(C,M,Y,K)の色空間や(R,G,B)の色空間から、画像形成部20で用いる色材の(C,M,Y,K)の色空間へ色変換する。この色変換は、例えば、色変換マトリクスやDLUT(Direct Look Up Table)等を用いて実行される。尚、この場合、(C,M,Y,K)の色空間で入力されているにも関わらず、(C,M,Y,K)の色空間へ色変換する理由は、ユーザが想定している原稿画像データの色材の(C,M,Y,K)の色空間と、画像形成装置1の色材の(C,M,Y,K)の色空間とが異なる場合を考慮しているためである。例えば、(C,M,Y,K)の色空間がオフセット印刷用インクを前提としている場合、画像形成装置1のトナーと色再現特性が異なるため、(C,M,Y,K)の色空間に変換する必要がある。
【0071】
次に、ステップS2において、色変動抑制処理部30が画像形成部20に対し、ステップS1において色変換がなされた原稿画像データに基づく原稿画像の印刷を指示し、これにより画像形成部20は、原稿画像を用紙P上に印刷する。
【0072】
その後、原稿画像が印刷された用紙Pは画像形成装置1の外部へ排出されることになるが、排出される前にステップS3において画像読取部40が用紙Pに印刷された画像を読み取る。
【0073】
さらに、ステップS4において、用紙搬送速度計測部60で用紙Pの走行速度を計測して用紙搬送速度データを得る。
【0074】
次いで、ステップS5に進む。ステップS5では、ステップS3で読み取った読取画像の投影波形を画像処理部50で作成する。ここで、図5を参照して投影波形の作成の一例について説明する。
【0075】
図5は、投影波形の作成の一例の説明図である。
【0076】
用紙Pの搬送方向の投影波形は、画像の搬送方向への座標に対する黒画素の分布状況を画素数で表わしたものである。即ち、搬送方向への座標値の画素を幅方向に走査した時の黒画素の計数値を、搬送方向への座標毎に求めて並べたものである。多値画像の場合、画素数の代わりに、各画素の階調値を累算して投影波形を作成してもよい。再び図4を参照して説明を続ける。
【0077】
ステップS6では、1部目の印刷(1枚目の用紙Pに形成された画像)か否かが判定される。1部目の印刷であると判定された場合は、ステップS7に進む。ステップS7では、用紙搬送速度データと投影波形とを、基準の用紙搬送速度データと基準の投影波形として記憶部80に記憶する。
【0078】
次いで、ステップS8において、基準の用紙搬送速度データと基準の投影波形を表わす画像を任意の色空間に変換する。具体的には、その画像を色表現方式の1つであるRGBの色空間に変換する。尚、ここでは、RGBの色空間の例で説明するが、色表現方式の他の1つであるLの色空間でもよい。さらに、ステップS9において、RGBの色空間での平均値を求めて記憶部80に記憶し、ステップS2に戻る。
【0079】
一方、ステップS6において、1部目の印刷ではないと判定された場合はステップS10に進む。ステップS10では、1部目とn部目の投影波形の比較および1部目とn部目の用紙搬送速度データの比較から、伸縮の倍率を計測する。以下、詳細に説明する。
【0080】
先ず、第1の計測部51_1で1部目とn部目の投影波形それぞれに基づいて、搬送方向について複数の特徴点を抽出して各特徴点の搬送方向について、それら複数の特徴点における複数のデータを順次作成する。
【0081】
図6は、特徴点抽出処理の一例の説明図である。
【0082】
抽出する特徴点は任意であり、投影波形のピーク(山、谷、山と谷)でも良いし、微分フィルタ等を用いて投影波形から取り出したエッジでも良いし、任意の周波数成分でも良いし、任意の勾配でも良い。図6に示した例では、特徴点の一例として投影波形のピークを示しており、山(白丸で図示)と谷(黒丸で図示)を図示している。ここでは、投影波形のピーク(山:白丸で図示)を特徴点とし、ピークがある投影波形上の位置を特徴点におけるデータ(以下、特徴量データと称する)とする。これにより、1部目の画像(基準画像と称する)の搬送方向の特徴量データと、2部目以降の画像(検査画像と称する)の搬送方向の特徴量データを作成する。
【0083】
次に、基準画像の特徴量データと検査画像の特徴量データとの対応付けを行う。対応付けの手法としては、例えばDPマッチングが用いられる。
【0084】
図7は、DPマッチングによる特徴量データの対応付けの一例の説明図である。
【0085】
図7の横軸は、基準画像の特徴量データを示す。また、縦軸は、検査画像の特徴量データを示す。
【0086】
この図7では、具体例として、基準画像の特徴量データが{10,20,30,40,50,60,70,80,90}、検査画像の特徴量データが{3,13,21,34,44,46,49,58,74,81,95,100}であった場合を示している。ここで、検査画像の特徴量データ{3,46,100}は、印刷物の汚れにより発生した偽ピーク、すなわち画像ノイズであり、基準画像のピーク・データと対応付けすべき要素は{13,21,34,44,49,58,74,81,95}である。DPマッチングを用いれば、図7のように偽ピークの影響を受けずに正しく対応付けされる。DPマッチングは一般的なものであり、以下に簡単に説明する。
【0087】
図8は、一般的なDPマッチングを説明するための格子グラフである。
【0088】
ここで、基準画像の特徴量データを
P=p,p,…,p,…,p
検査画像の特徴量データを
Q=q,q,…,q,…,q
とすると、類似度(または、距離)D(P、Q)は
D(P、Q)=mink(j)[Σj=1h(j,k)]
と表わされる。また、k(j)の条件を以下の通りとする。
【0089】
1.k(j)は、jの連続関数
2.k(j)は、jの単調増加関数
3.k(1)=1、k(J)=K
PQ平面上の位置(j、k)での部分的な類似度(または、距離)h(j,k)は、次の通りとなる。
【0090】
h(j,k)=min[h(j−1,k−1)+2d(j,k),h(j−1,k)+d(j,k),h(j,k−1)+d(j,k)]
ただし、d(j,k)=||p−q||
このD(P,Q)を与える経路を求めることで、基準画像の特徴量データP=p,p,…,p,…,pと、検査画像の特徴量データQ=q,q,…,q,…,qを対応付けることができる。このようにして求めた経路の一例を図8に示している。尚、図8に示す例は一般的な例であり、上述の基準画像の特徴量データ及び検査画像の特徴量データの具体例から求めた経路を図7に示している。
【0091】
図9は、特徴量データの対応付け結果の具体例の説明図である。
【0092】
上述のようにしてDPマッチングによって基準画像の特徴量データと検査画像の特徴量データを対応付けることによって、図9に示すような対応付けの結果を得ることができる。上述のように、基準画像の特徴量データ{10,20,30,40,50,60,70,80,90}に対し、検査画像の特徴量データ{13,21,34,44,49,58,74,81,95}が対応付けられている。再び図4に戻って説明を続ける。
【0093】
ステップS10では、このようにして、第1の計測部51_1で1部目とn部目の投影波形それぞれに基づいて、搬送方向について複数の特徴点を抽出して各特徴点の搬送方向についての画像上の位置を求める。さらに、各特徴点の搬送方向の位置の、各基準位置からのずれ量を求めて、画像の搬送方向各部分の伸縮の倍率を計測する。
【0094】
また、ステップS10では、第2の計測部51_2で、用紙搬送速度計測部60による1部目とn部目の用紙Pの走行速度計測結果に基づいて、それら用紙P上の画像を読み取って得られた画像データにより表わされる1部目とn部目の画像の、搬送方向各部分の伸縮の倍率を計測する。さらに、第1の計測部51_1と第2の計測部51_2が協同して、1部目とn部目の画像の搬送方向各部分の伸縮の倍率を算出する。このようにして、図4に示すステップS10を実行する。
【0095】
次に、ステップS11において、読取画像の伸縮を補正する。即ち、読取位置・部分倍率補正部52が、ステップS10で算出した搬送方向各部分の伸縮の倍率に基づいて、n部目の画像の搬送方向各部分の伸縮を補正することにより、n部目の画像について抽出された複数の特徴点の搬送方向の位置を各基準位置に合わせた補正画像を表わす補正画像データを生成する。
【0096】
さらに、ステップS12において、補正画像を任意の色空間であるRGBの色空間に変換し、ステップS13においてその色空間での平均値を求める。即ち、色変動検出部53で、上記補正画像を代表する代表色の、基準色からの平均値の色変動(色差)を検出する。
【0097】
次いで、ステップS14において、平均値の色変動(色差)が予め定めた値以下か否かを判定する。即ち、キャリブレーション要否判定部54_1で、色変動検出部53で検出された色変動に基づいたキャリブレーション実行の要否を判定する。平均値の色変動(色差)が予め定めた値を超えている場合は、ステップS15に進む。
【0098】
ステップS15では色差の大きさに応じてキャリブレーション方式の選択を行ない、さらにステップS16においてキャリブレーションの実行を実行する。即ち、キャリブレーション種別決定部54_2で、色差の大きさに応じてキャリブレーションの種別(例えば、レーザの光量の変更、あるいはトナーの帯電量の変更、あるいは画像信号の階調値の変更、あるいはこれらの併用等)を決定して色変動抑制処理部30に決定した種別のキャリブレーションの実行を指示することにより、画像形成条件を修正する。さらに、ステップS17において、画像形成条件を修正してステップS2に戻る。このようにして、1部目の印刷により得られた画像とn部目の印刷により得られた画像とに基づいて色変動を抑制する。
【0099】
上述した画像処理部50は、同一の画像信号に基づく同一画像を複数の用紙上に順次形成する際の1枚目の用紙に形成された画像を読み取って得た画像データに基づいて、搬送方向について複数の特徴点を抽出して各特徴点の搬送方向についての画像上の位置を求め、各特徴点の搬送方向の位置を各基準位置とするものである。ただし、画像処理部は、以下のものであってもよい。即ち、この画像処理部は、同一の画像信号に基づく同一画像を複数の用紙上に順次形成する際の、ラインセンサで先に読み取られた画像データそれぞれから求めた、互いに対応する特徴点の搬送方向の重み付け平均位置を求め、その重み付け平均位置を特徴点に対応する基準位置とするものであってもよい。例えば、1部目の画像の投影波形における特徴点の搬送方向の重み付けを最も大きくし、2部目以降の複数部の画像それぞれの投影波形における特徴点の重み付けを順次に小さくして、互いに対応する特徴点の搬送方向の重み付け平均位置を求める。このようにして求めた重み付け平均位置を、その特徴点に対応する基準位置とするものであってもよい。
【0100】
尚、本発明にいう画像形成装置は、電子写真方式を採用したプリンタはもとより、電子写真方式を採用した複写機やフクシミリ等であってもよく、さらに、例えば、印画紙上をレーザ光で露光してその印画紙を現像することにより印画紙上に画像を記録する写真プリンタ、インクジェット方式で用紙上に画像を記録するプリンタ、輪転機を回して多量の印刷物を作成する印刷機等であってもよい。
【0101】
また、本実施形態では、第1の計測部51_1と第2の計測部51_2と用紙搬送速度計測部60とを備え、画像の搬送方向各部分の伸縮の倍率を算出する例で説明したが、本発明は、これに限られるものではなく、第1の計測部がラインセンサで得られた画像データに基づいて画像の搬送方向各部分の伸縮の倍率を計測するものであればよい。
【0102】
さらに、上記実施形態では、用紙の幅方向に投影した投影波形(図5、図6参照)から特徴点を求めて、搬送方向の伸縮による画像の歪みを補正しているが、用紙の蛇行も問題になる搬送系の場合、用紙の幅方向に投影した投影波形のほか、用紙搬送方向に投影した投影波形も求めて、双方の投影波形から特徴点を求め、用紙搬送方向と幅方向のそれぞれについてDPマッチングの手法を適用して画像の二次元的な歪みを補正してもよい。この歪みの補正方法については、特許文献4に記述されている。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の一実施形態である画像形成装置を含む画像形成システム構成例を示したブロック図である。
【図2】図1に示す画像形成装置を構成する色変動抑制処理部と画像処理部と警告出力部と記憶部とを実現する部分のハードウェア構成例を示したブロック図である。
【図3】図1に示す画像形成装置における用紙搬送部と画像形成部と画像読取部と用紙搬送速度計測部とを含む部分の構成を示した図である。
【図4】図1に示す画像形成装置の動作例を示したフローチャートである。
【図5】投影波形の作成の一例の説明図である。
【図6】特徴点抽出処理の一例の説明図である。
【図7】DPマッチングによる特徴量データの対応付けの一例の説明図である。
【図8】一般的なDPマッチングを説明するための格子グラフである。
【図9】特徴量データの対応付け結果の具体例の説明図である。
【符号の説明】
【0104】
1画像形成装置
2 情報処理装置
3 画像読取装置
10 用紙搬送部
11 ピックアップロール
12 搬送ロール
20 画像形成部
21Y、21M、21C、21K 画像形成ユニット
22 中間転写体
24 二次転写部
25 定着器
30 色変動抑制処理部
40 画像読取部
41 光源
42 結像レンズ
43 イメージセンサ
50 画像処理部
51_1 第1の計測部
51_2 第2の計測部
52 読取位置・部分倍率補正部
53 色変動検出部
54 キャリブレーション指示部
54_1 キャリブレーション要否判定部
54_2 キャリブレーション種別決定部
60 用紙搬送速度計測部
70 警告出力部
80 記憶部
90 用紙収容部
101 CPU
102 RAM
103 ROM
104 HDD
105 UI部
106 通信部
211 感光体
212 帯電部
213 露光部
214 現像部
215 一次転写部
221 駆動ロール
222 テンションロール
223 アイドルロール
224 ベルトクリーナ
225 画像濃度センサ
226 基準センサ(ホームポジションセンサ)
234 搬送シュート
235 搬送ベルト
241 二次転写ロール
242 バックアップロール
243 給電ロール
244 ブラシロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する用紙搬送手段と、
前記用紙搬送手段により用紙が搬送される用紙搬送経路上に設けられ、搬送されてきた用紙上に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により形成される画像の色変動を抑制するための色変動抑制動作を実行させる色変動抑制処理部と、
前記用紙搬送経路上の、前記画像形成部よりも下流側に配置され、該画像形成部において画像の形成を受けた用紙上の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部での読取りにより得られた画像データを処理することにより色変動を検出して前記色変動抑制処理部に色変動の抑制を指示する画像処理部とを備え、
前記画像読取部が、前記用紙の搬送方向に交わる幅方向に並ぶ複数の単位センサからなり、該用紙が該画像読取部を通過する間に該用紙上の画像を繰り返し読み取るラインセンサを有し、
前記画像処理部が、
前記ラインセンサで得られた画像データに基づいて、前記搬送方向について複数の特徴点を抽出して各特徴点の該搬送方向についての画像上の位置を求め、各特徴点の該搬送方向の位置の、各基準位置からのずれ量を求めることにより、該画像の該搬送方向各部分の伸縮の倍率を計測する第1の計測部と、
前記第1の計測部で計測された、前記画像データにより表わされる画像の前記搬送方向各部分の伸縮の倍率に基づいて該画像の該搬送方向各部分の伸縮を補正することにより、該画像について抽出された複数の特徴点の該搬送方向の位置を各基準位置に合わせた補正画像を表わす補正画像データを生成する補正部と、
前記補正画像を代表する代表色の、基準色からの色変動を検出する検出部と、
前記検出部で検出された色変動に基づいて前記色変動抑制処理部に前記色変動抑制動作の実行を指示する色変動抑制動作指示部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記色変動抑制動作指示部が、
前記検出部で検出された色変動に基づいて、前記色変動抑制動作の実行の要否を判定する要否判定部と、
前記要否判定部で前記色変動抑制動作の実行が必要であるとの判定を受けて、前記色変動に基づいて、色変動抑制動作の種別を決定して前記色変動抑制処理部に決定した種別の色変動抑制動作の実行を指示する種別決定部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の計測部が、前記ラインセンサで得られた画像データに基づいて、該画像データにより表わされる画像のうちの前記幅方向に並ぶ画素の画素値の累積値を前記搬送方向について複数求めることにより投影波形を求め、該投影波形に基づいて前記複数の特徴点を抽出するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、同一の画像信号に基づく同一画像を複数の用紙上に順次形成する際の1枚目の用紙に形成された画像を読み取って得た画像データに基づいて、前記搬送方向について複数の特徴点を抽出して各特徴点の該搬送方向についての画像上の位置を求め、各特徴点の該搬送方向の位置を前記各基準位置とするものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、同一の画像信号に基づく同一画像を複数の用紙上に順次形成する際の、前記ラインセンサで先に読み取られた画像データそれぞれから求めた、互いに対応する特徴点の前記搬送方向の重み付け平均位置を求め、該重み付け平均位置を該特徴点に対応する前記基準位置とするものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像読取部による、用紙上の画像の読取りの際の該用紙の走行速度を、該用紙の少なくとも一部分について計測する速度計測手段を備え、
前記速度計測手段による用紙の走行速度計測結果に基づいて、該用紙上の画像を読み取って得られた画像データにより表わされる画像の、前記搬送方向各部分の伸縮の倍率を計測する第2の計測部を備え、
前記第1の計測部と前記第2の計測部が、用紙上の画像を読み取って得られた画像データにより表わされる画像の前記搬送方向各部分の伸縮の倍率を該画像内で協同又は分担して算出し、
前記補正部は、前記第1の計測部および前記第2の計測部が協同又は分担して算出した、前記画像データにより表わされる画像の前記搬送方向各部分の伸縮の倍率に基づいて、該画像の該搬送方向各部分の伸縮を補正することにより、該画像について抽出された複数の特徴点の該搬送方向の位置を各基準位置に合わせた補正画像を表わす補正画像データを生成するものであることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の計測部により計測された部分倍率と前記第2の計測部により計測された部分倍率とを比較し閾値以上の差異があるときに警告を出力する警告出力部をさらに備えたことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−85860(P2010−85860A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256740(P2008−256740)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】