説明

画像形成装置

【課題】画像の転写対象となる記録材を搬送するための構成の簡易化を図るとともに、搬送される記録材の姿勢の安定化を図る。
【解決手段】画像形成装置1は、トナー像の形成を行う画像形成部10と、画像形成部10で形成されたトナー像を用紙Sに転写する第1転写部20と、第1転写部20によって用紙Sに転写されたトナー像を用紙Sに定着する定着部40と、第1転写部20に対しトナー像を転写するための用紙Sを供給する用紙供給部50とを備える。用紙供給部50は、取り付け位置が変更可能な供給調整部53を備えており、この供給調整部53は、画像形成装置1に第1転写部20が取り付けられた際に、第1転写部20を構成する転写ドラム用フレーム26の突出部26aが突き当たることによって位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公報記載の従来技術として、画像が形成される感光体ドラムと、用紙を把持するグリッパを備えた転写ドラムとの対向部を通過する用紙に、複数色の画像を順次転写しあるいは単色の画像を転写するようにした画像形成装置において、単色画像形成時と多色画像形成時とで転写ドラムに対する給紙位置を変えるために、ゲートを用いて2つの搬送経路を切り換え、且つ、転写ドラムに給紙を行う供給ロールを異ならせるものが存在する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−29859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像の転写対象となる記録材を搬送するための構成の簡易化を図るとともに、搬送される記録材の姿勢の安定化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、画像を形成する画像形成部と、回転可能に設けられ、前記画像形成部によって形成された画像を保持する像保持体と、前記像保持体に対向して回転可能に設けられ、当該像保持体に形成された画像を、当該像保持体と対向する転写位置において当該像保持体との間に挟み込んだ記録材に転写する転写部材と、前記記録材を挟み込んで搬送するとともに、前記転写部材の外周面に向けて当該記録材を供給する供給部材とを含み、前記転写部材が、外周面に前記記録材を保持する機能を有する第1転写部材と、外周面に当該記録材を保持する機能を有しない第2転写部材とに交換可能であって、前記転写部材として前記第1転写部材を用いる場合に、前記供給部材を第1の位置に設定し、当該転写部材として前記第2転写部材を用いる場合に、当該供給部材から送り出される前記記録材の向きが当該第1の位置とは異なる第2の位置に設定する設定手段をさらに含むことを特徴とする画像形成装置である。
請求項2記載の発明は、前記設定手段は、前記転写部材として前記第1転写部材を含む第1転写ユニットが取り付けられたことに連動して、前記供給部材を前記第1の位置に位置決めすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3記載の発明は、前記設定手段は、前記転写部材として前記第2転写部材を含む第2転写ユニットが取り付けられたことに連動して、前記供給部材を前記第2の位置に位置決めすることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。
請求項4記載の発明は、前記画像形成部が、前記像保持体に複数色の画像を色毎に順次形成する第1画像形成部と当該像保持体に単色の画像を形成する第2画像形成部とに交換可能であって、前記転写部材として前記第1転写部材を用いる場合には、前記画像形成部として前記第1画像形成部を用い、前記転写部材として前記第2転写部材を用いる場合には、前記画像形成部として前記第2画像形成部を用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置である。
請求項5記載の発明は、前記供給部材は、前記記録材を挟んで搬送する一対の回転部材で構成され、前記一対の回転部材が、当該一対の回転部材のうちの一方の回転部材を中心として回転可能に設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置である。
請求項6記載の発明は、前記第1転写部材の径が前記像保持体の径よりも大きく、且つ、前記第2転写部材の径が当該像保持体の径よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【0006】
請求項7記載の発明は、単色の画像を形成しまたは複数色の画像を色毎に順次形成する画像形成手段と、回転可能に設けられ、前記画像形成手段によって形成された画像を保持する像保持体と、外周面に記録材を把持する機能を有するとともに前記像保持体に対向して回転可能に設けられ、当該像保持体に形成された画像を、当該像保持体と対向する転写位置において当該像保持体との間に挟み込んだ記録材に転写する転写部材と、前記記録材を挟み込んで搬送するとともに、前記転写部材の外周面に向けて当該記録材を供給する供給部材と、前記画像形成手段が複数の色の画像を色毎に順次形成する多色モードと、当該画像形成手段が単色の画像を形成する単色モードとで、前記転写部材に対する前記記録材の到達位置が変わるように、前記供給部材の位置を変更する変更手段とを含む画像形成装置である。
請求項8記載の発明は、前記変更手段は、前記多色モードでの前記到達位置から前記転写位置に至る距離が、前記単色モードでの当該到達位置から当該転写位置に至る距離よりも長くなるように、当該多色モードおよび当該単色モードのそれぞれにおける前記供給部材の位置を設定することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置である。
請求項9記載の発明は、前記供給部材は、前記記録材を挟んで搬送する一対の回転部材で構成され、前記一対の回転部材が、当該一対の回転部材のうちの一方の回転部材を中心として回転可能に設けられることを特徴とする請求項7または8記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、画像の転写対象となる記録材を搬送するための構成の簡易化を図るとともに、搬送される記録材の姿勢の安定化を図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、第1転写部材が取り付けられた場合における供給部材の位置決めを、より簡易に行うことができる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、第2転写部材が取り付けられた場合における供給部材の位置決めを、より簡易に行うことができる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、多色画像を形成することが可能な構成と、単色画像のみを形成することが可能な構成とを、選択的に実現することができる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、より簡易な構成で、供給部材の位置を変えることができる。
請求項6記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、第1転写部材を用いた場合に、より装置を小型化することが可能になる。
請求項7記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、画像の転写対象となる記録材を搬送するための構成の簡易化を図るとともに、搬送される記録材の姿勢の安定化を図ることができる。
請求項8記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、例えば多色モードにおいて、転写位置に記録材が到達する前に、記録材を転写部材に把持させることが容易になる。
請求項9記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、より簡易な構成で、供給部材の位置を変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1に係る画像形成装置の第1態様(単色/多色兼用機)の一例を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る画像形成装置の第2態様(単色専用機)の一例を示す図である。
【図3】第1態様の画像形成装置においてフルカラー画像を形成する『多色モード』における画像形成動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】第1態様の画像形成装置においてモノクロ画像を形成する『単色モード』における画像形成動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】第2態様の画像形成装置においてモノクロ画像を形成する『単色動作』における画像形成動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】実施の形態2に係る画像形成装置の第1状態の一例を示す図である。
【図7】実施の形態2に係る画像形成装置の第2状態の一例を示す図である。
【図8】実施の形態2の供給調整部における位置決め機構の構成の一例を示す図である。
【図9】実施の形態2においてフルカラー画像を形成する『多色モード』における画像形成動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】実施の形態2においてモノクロ画像を形成する『単色モード』における画像形成動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置1における第1態様の一例を示す図であり、図2は、この画像形成装置1における第2態様の一例を示す図である。この画像形成装置1は、画像形成装置1に取り付けられている複数のユニットの一部を、例えばサービスマンやユーザ等にて交換することで、単色画像に加えて多色画像を形成可能な単色/多色兼用機(図1に示す第1態様)となり、また、単色画像のみを形成可能な単色専用機(図2に示す第2態様)となる。なお、第1態様と第2態様との変換において、どのユニットを交換するのかについては後述する。
【0010】
ではまず、図1を参照しつつ、第1態様すなわち単色/多色兼用機に設定された場合における画像形成装置1の構成を説明する。
第1態様に設定された画像形成装置1は、トナー像の形成を行う画像形成部10と、画像形成部10で形成されたトナー像を用紙Sに転写する第1転写部20と、第1転写部20によって用紙Sに転写されたトナー像を用紙Sに定着する定着部40と、第1転写部20に対しトナー像を転写するための用紙Sを供給する用紙供給部50とを備えている。また、この画像形成装置1は、第1態様において、画像形成部10、第1転写部20、定着部40および用紙供給部50等の動作を制御する制御部100をさらに備えている。ここで、画像形成装置1を構成する各部は、筐体2の内部に収容されており、この筐体2の上部には、定着部40から排出された用紙Sを積載する排紙積載部3が設けられている。また、筐体2には、図1に示す左上方側において筐体2に対して開閉可能に設けられる上部開閉カバー2aと、図1に示す右側において筐体2に対し開閉可能に設けられる側部開閉カバー2bとが設けられている。
【0011】
第1態様において、画像形成部10は、感光体ドラム11と、この感光体ドラム11を帯電する帯電装置12と、帯電された感光体ドラム11を露光する露光装置13と、帯電および露光によって感光体ドラム11に形成された静電潜像をトナーによって現像するロータリ現像装置14と、現像されたトナー像を転写した後に感光体ドラム11上に残ったトナー等を清掃する清掃装置15とを備えている。
【0012】
像保持体の一例としての感光体ドラム11は、その表面に感光層(図示せず)が形成されるとともに回転軸11aを中心に矢印A方向に回転駆動される。そして、帯電装置12、露光装置13、ロータリ現像装置14および清掃装置15は、感光体ドラム11の周囲に、矢印A方向に沿ってこの順番に配置される。ここで、感光体ドラム11の外径は、例えば30mmとなっている。
【0013】
帯電装置12は、本実施の形態においては接触ローラ型の放電装置で構成されており、感光体ドラム11とともに回転しながら感光体ドラム11を帯電する。
露光装置13は、帯電された感光体ドラム11の表面に選択的に光照射を行うことで、静電潜像を形成する。なお、本実施の形態の露光装置13は、感光体ドラム11の軸方向に沿って複数の発光素子(例えばLED)を配列した構成を有している。
【0014】
第1画像形成部の一例としてのロータリ現像装置14は、感光体ドラム11の回転軸11aの軸方向に沿って延びる回転軸14aと、回転軸14aの周囲に配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各現像器14Y、14M、14C、14Kとを備えている。また、ロータリ現像装置14は、回転軸14aを中心として矢印C方向に回転するように構成されており、感光体ドラム11と対向する位置(以下の説明では現像位置という)に、いずれかの現像器が停止するようになっている。そして、ロータリ現像装置14は、露光装置13によって感光体ドラム11上に形成された静電潜像を、現像位置に停止した現像器のトナーを用いて現像する。この例において、画像形成動作を開始する前のロータリ現像装置14は、図1に示したように、黒の現像器14Kを現像位置に配置した状態で静止している。なお、ロータリ現像装置14の外径は、例えば100mmとなっている。
【0015】
清掃装置15は、感光体ドラム11の表面に残ったトナーやトナー以外の付着物を除去する。本実施の形態の清掃装置15は、ブレード式のクリーナで構成されている。
【0016】
また、第1転写部20は、感光体ドラム11に対向し且つ感光体ドラム11の回転軸11aの軸方向に沿って伸びる回転軸21aを中心に回転可能に配置される転写ドラム21と、転写ドラム21の外周面にて記録材の一例としての用紙Sの搬送方向先端側を把持する先端グリッパ22と、同じく転写ドラム21の外周面にて用紙Sの搬送方向後端側を把持する後端グリッパ23と、回転する転写ドラム21の位相を測定する位相センサ25とを備えている。ここで、転写ドラム21は、感光体ドラム11との対向位置において、感光体ドラム11の回転方向(矢印A方向)と同じ向きとなる矢印B方向に回転駆動される。なお、転写ドラム21の外径は、例えば120mmとなっている。このように、本実施の形態では、転写ドラム21の外径が、感光体ドラム11の外径よりも大きく設定されている。
【0017】
これらのうち、転写部材および第1転写部材の一例としての転写ドラム21は、円筒形状を有し且つ回転軸21aが取り付けられる基部21Aと、この基部21Aの外周面に設けられた弾性層21Bとを備えている。ここで、弾性層21Bは、基部21Aの外周面のうち、基部21Aの軸方向に沿う一部領域を除く部位を覆うようになっている。すなわち、弾性層21Bは、C字状の断面を有している。これにより、転写ドラム21における基部21Aの外周面のうち、弾性層21Bによって覆われない部位は、基部21Aが露出した露出部21Cとなっている。また、弾性層21Bの周方向の長さは、第1態様に設定された画像形成装置1で使用することが可能な最大サイズの用紙Sの長さよりも大きくなるように設定されている。
【0018】
本実施の形態における基部21Aは導電性を有する中空管で構成され、例えば金属が用いられている。一方、弾性層21Bは半導電性を有し且つ発泡層を含む弾性部材で構成され、例えば導電性物質を含有させたポリウレタン等の樹脂が用いられている。また、基部21Aには、高圧電源(図示せず)により、トナーとは逆極性の転写バイアスが印加されるようになっている。一方、感光体ドラム11は接地されている。
なお、以下の説明においては、感光体ドラム11と、転写ドラム21とが対向する位置を、転写位置Trと称する。第1態様において、転写位置Trでは、感光体ドラム11に設けられた感光層と転写ドラム21に設けられた弾性層21Bとが接触することにより、転写ニップ部が構成される。
【0019】
また、先端グリッパ22は、転写ドラム21の外周面上のうち、露出部21Cと弾性層21Bの回転方向先端側とに跨る位置に、転写ドラム21の回転軸21aに沿って設けられている。そして、先端グリッパ22は、転写ドラム21に対して取り付けられており、転写ドラム21の回転に伴って先端グリッパ22も回転するようになっている。
【0020】
ここで、先端グリッパ22は、転写ドラム21にその回転軸21aに沿って設けられた軸(図示せず)を中心に回転する挟み部材を備えている。そして、この挟み部材が、軸を中心に正転および逆転することで、転写ドラム21との間に用紙Sの進行方向先端側の端部(以下では用紙先端と称する)を把持し、また、その把持を解除するように構成されている。なお、以下の説明においては、転写ドラム21に用紙Sを把持するときの先端グリッパ22の状態を「閉」状態にあるといい、また、転写ドラム21に用紙Sを把持しないときの先端グリッパ22の状態を「開」状態にあるという。
【0021】
一方、後端グリッパ23は、転写ドラム21の外周面上に、転写ドラム21の回転軸21aに沿って設けられている。そして、後端グリッパ23は、転写ドラム21の回転軸21aに対して回転可能に取り付けられており、転写ドラム21に対して独立して回転および停止することができるようになっている。これにより、本実施の形態では、転写ドラム21の外周面上での先端グリッパ22と後端グリッパ23との位置関係(距離)が変えられるようになっている。
【0022】
ここで、後端グリッパ23は、転写ドラム21の外周面に対し回転軸21aの軸方向に沿って伸びる帯状の押さえ部材を備えている。そして、この押さえ部材が、転写ドラム21の外周面に対して進退することで、転写ドラム21との間に用紙Sの進行方向後端側の端部(以下では用紙後端と称する)を把持し、また、その把持を解除するように構成されている。なお、以下の説明においては、転写ドラム21に用紙Sを把持するときの後端グリッパ23の状態を「閉」状態にあるといい、また、転写ドラム21に用紙Sを把持しないときの後端グリッパ23の状態を「開」状態にあるという。
【0023】
さらに、位相センサ25は、転写ドラム21の外周面に対向して配置されており、転写ドラム21の外周面に設けられたマーク(図示せず)を検知することで、回転する転写ドラム21の位相を測定するようになっている。
【0024】
さらにまた、第1転写部20は、上述した転写ドラム21、先端グリッパ22、後端グリッパ23および位相センサ25を保持する転写ドラム用フレーム26を有している。そして、第1転写部20は、転写ドラム用フレーム26により一体化したユニット(第1転写ユニットに対応)を構成している。なお、転写ドラム用フレーム26の図中右下側には、図中右下方向に向かって突出する突出部26aが設けられている。
【0025】
また、定着部40は、加熱源(図示せず)を有し回転可能に設置される加熱ロール41と、この加熱ロール41に接触配置されて加熱ロール41とともに定着ニップ部を形成する加圧ロール42とを備えている。
【0026】
さらに、用紙供給部50は、転写ドラム21の下方に配置されるとともに内部に用紙Sを収容する用紙収容部51と、用紙収容部51から用紙Sを取り出す取り出しロール52と、取り出しロール52によって取り出された用紙Sを、タイミングを合わせて下流側に供給する供給調整部53とを備えている。
【0027】
供給部材の一例としての供給調整部53は、外部から回転駆動される第1供給ロール53aと、第1供給ロール53aに接触して搬送ニップを形成するとともに第1供給ロール53aの回転に伴って回転する第2供給ロール53bと、これら第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bを回転可能に支持する供給フレーム53cとを有している。ここで、本実施の形態では、供給フレーム53cが、第1供給ロール53aの回転軸を中心として、回転方向に移動できるように構成されている。その結果、本実施の形態では、第1供給ロール53aに対する第2供給ロール53bの位置が変更できるようになっている。なお、以下の説明においては、供給調整部53における第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bの対向部位を供給ニップ部Nと称する。なお、本実施の形態では、第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bが、一対の回転部材として機能している。
【0028】
また、供給調整部53に設けられた供給フレーム53cのうち、第2供給ロール53bの下側となる部位には、下方に向かう圧縮バネ70の一端が取り付けられている。そして、この圧縮バネ70の他端は、供給調整部53の下方において筐体2内に固定されたバネ支持部2cに取り付けられている。これにより、供給調整部53には、圧縮バネ70により、第1供給ロール53aの回転軸を中心とし図中時計回り方向に向かう力がかかるようになっている。
【0029】
これに対し、図1に示す第1態様においては、筐体2内に取り付けられた第1転写部20の転写ドラム用フレーム26に設けられた突出部26aが、供給調整部53に設けられた供給フレーム53cのうち、第2供給ロール53bの上側となる部位に接触している。これにより、第1態様では、供給調整部53が図1に示す状態で静止している。なお、以下の説明においては、図1に示す第1態様における供給調整部53の停止位置を、第1供給位置Pa(第1の位置に対応)と称する。
【0030】
そして、図1に示す第1態様においては、供給調整部53が第1供給位置Paに配置されることにより、供給調整部53から送られる用紙Sが、転写ドラム21の外周面上の第1給紙位置P1に供給されるようになっている。なお、以下の説明では、第1態様において、用紙収容部51から、第1供給位置Paに配置された供給調整部53を介して、転写ドラム21の第1給紙位置P1に向かう用紙Sの搬送経路を第1給紙経路61と称し、転写ドラム21の外周面における用紙Sの搬送経路を回転経路63と称し、転写位置Trから定着部40を介して排紙積載部3に向かう用紙Sの搬送経路を排紙経路64と称する。
【0031】
また、第1態様において、画像形成動作を開始する前の後端グリッパ23は、図1に示したように、転写ドラム21の回転方向(矢印B方向)に対し、転写位置Trよりも上流側且つ第1給紙位置P1よりも下流側となる部位(待機位置)にて静止している。
【0032】
さらに、本実施の形態では、画像形成装置1の筐体2に設けられた上部開閉カバー2aを開状態に設定した場合に、画像形成装置1に対し第1転写部20を着脱することが可能となっており、また、画像形成装置1の筐体2に設けられた側部開閉カバー2bを開状態に設定した場合に、画像形成装置1に対しロータリ現像装置14を着脱することが可能となっている。そして、第1転写部20を第2転写部30(詳細は後述する)に交換し、且つ、ロータリ現像装置14を単色現像器16(詳細は後述する)に交換することで、図1に示す第1態様に設定された画像形成装置1は、図2に示す第2態様に設定された画像形成装置1となる。
【0033】
続いて、図2を参照しつつ、第2態様すなわち単色専用機に設定された場合における画像形成装置1の構成を説明する。
第2態様に設定された画像形成装置1は、画像形成部10、定着部40および用紙供給部50の構成については第1態様からの変更がない一方で、第1態様において設けられていたロータリ現像装置14に代わる単色現像器16と、第1態様において設けられていた第1転写部20に代わる第2転写部30とを備えている。したがって、第2態様における画像形成部10は、感光体ドラム11と、帯電装置12と、露光装置13と、単色現像器16と、清掃装置15とを備えていることになる。また、第2態様において、制御部100は、画像形成部10、第2転写部30、定着部40および用紙供給部50等の動作を制御することになる。
【0034】
第2画像形成部の一例としての単色現像器16は、上述したロータリ現像装置14とは異なり、感光体ドラム11と対向する現像位置に固定されている。そして、単色現像器16は、露光装置13によって感光体ドラム11上に形成された静電潜像を、内蔵するトナーを用いて現像する。なお、単色現像器16に内蔵されるトナーの色について特に決まりはないが、通常は黒である。
【0035】
また、第2転写部30は、感光体ドラム11に対向し且つ感光体ドラム11の回転軸11aの軸方向に沿って伸びる回転軸31aを中心に回転可能に配置される転写ロール31を備える。ここで、転写部材および第2転写部材の一例としての転写ロール31は、感光体ドラム11との対向位置において、転写ドラム21と同様に、感光体ドラム11の回転方向(矢印A方向)と同じ向きとなる矢印B方向に回転する。ただし、転写ロール31は、上述した転写ドラム21とは異なり、独自の駆動源をもたず、感光体ドラム11からの駆動力を受けて従動回転するようになっている。なお、転写ロール31の外径は、例えば15mmとなっている。このように、本実施の形態では、転写ロール31の外径が、転写ドラム21の外径よりも小さく、しかも、感光体ドラム11の外径よりも小さく設定されている。そして、転写ロール31の周長は、第2態様に設定された画像形成装置1で使用することが可能な最大サイズの用紙Sの長さよりも小さくなるように設定されている。
【0036】
本実施の形態において、転写ロール31としては、例えばカーボンを分散した発泡ウレタンゴムロールの表面にフッ素コートを施したものが用いられており、その体積抵抗率は103〜1010Ω・cmの範囲内に設定される。ここで、転写ロール31は、転写ドラム21とは異なり、外周面がすべて覆われることにより、円形状の断面を有している。この転写ロール31には、上述した転写ドラム21と同様、高圧電源(図示せず)により、トナーとは逆極性の転写バイアスが印加されるようになっている。
また、転写ロール31は、上述した転写ドラム21の場合と同じ転写位置Trにて感光体ドラム11に対向するように配置されている。第2態様において、転写位置Trでは、感光体ドラム11に設けられた感光層と転写ロール31とが接触することにより、転写ニップ部が構成される。
【0037】
さらに、第2転写部30は、上述した転写ロール31を保持する転写ロール用フレーム32を有している。そして、第2転写部30は、転写ロール用フレーム32により一体化したユニット(第2転写ユニットに対応)を構成している。なお、第2転写部30は、上述した第1転写部20とは異なり、転写ロール31に用紙Sを把持させるための機構(先端グリッパ22や後端グリッパ23に対応するもの)を備えていない。
【0038】
ここで、図2に示す第2態様においては、筐体2内に取り付けられた第2転写部30の転写ロール用フレーム32が、供給調整部53に設けられた供給フレーム53cに接触しない。これにより、第2態様では、供給フレーム53cが、圧縮バネ70から受ける力により、図1に示す第1供給位置Paから図中時計回り方向に回転し、筐体2に設けられた規制部材(図示せず)に接触する。これにより、第2態様では、供給調整部53が図2に示す状態で静止している。なお、以下の説明においては、図2に示す第2態様における供給調整部53の停止位置を、第2供給位置Pb(第2の位置に対応)と称する。そして、本実施の形態では、第1転写部20、第2転写部30、供給調整部53および圧縮バネ70、図示しない規制部材等が、設定手段として機能している。
【0039】
そして、図2に示す第2態様においては、供給調整部53が第2供給位置Pbに配置されることにより、供給調整部53から送られる用紙Sが、転写ロール31の外周面上の第2給紙位置P2に供給されるようになっている。なお、以下の説明では、第2態様において、用紙収容部51から、第2供給位置Pbに配置された供給調整部53を介して、転写ロール31の第2給紙位置P2(および転写位置Tr)に向かう用紙Sの搬送経路を第2給紙経路62と称する。また、第2態様において、転写位置Trから定着部40を介して排紙積載部3に向かう搬送経路は、上述した第1態様と同じく、排紙経路64となる。
【0040】
ここで、図1に示す第1態様に設定された画像形成装置1と、図2に示す第2態様に設定された画像形成装置1とを比較すると、第1態様において第1給紙位置P1から転写位置Trに至る用紙Sの搬送経路は、第2態様において第2給紙位置P2から転写位置Trに至る用紙Sの搬送経路よりも、距離が長くなっている。したがって、転写位置Trを基準として転写位置Trよりも用紙搬送方向上流側となる用紙Sの搬送経路をみたとき、第1態様における第1給紙位置P1は、第2態様における第2給紙位置P2に比べて、より遠い位置となっている。
【0041】
本実施の形態では、画像形成装置1に第1転写部20が装着された場合に、供給調整部53が第1供給位置Paに位置決めされ、また、画像形成装置1に第2転写部30が装着された場合に、供給調整部53が第2供給位置Pbに位置決めされる。ここで、本実施の形態では、画像形成装置1に対する第1転写部20の装着に伴って、供給調整部53に第1転写部20が突き当たる一方、また、画像形成装置1に対する第2転写部30の装着に伴って、供給調整部53に第2転写部30が突き当たらないことを利用して、供給調整部53の位置決めを行うようにした。ただし、供給調整部53の位置決め手法については、これに限られるものでなく、例えば図示しないリンク機構等を用いて、画像形成装置1に第1転写部20が装着されたときと第2転写部30が装着されたときとで、供給調整部53の取り付け位置(取り付け角度)を変更するものであってもよい。また、例えば図示しないセンサ等を用いて、画像形成装置1に第1転写部20が装着されたのかあるいは第2転写部30が装着されたのかを検出し、この検出結果に基づいて、供給調整部53の取り付け位置(取り付け角度)を変更するようにしてもかまわない。すなわち、画像形成装置1に対する第1転写部20あるいは第2転写部30の装着に連動して、供給調整部53の位置決めを行うものであればよい。
【0042】
では次に、本実施の形態の画像形成装置1による画像形成動作について説明を行う。なお、図1に示す第1態様に設定された画像形成装置1では、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒のうち、2色乃至4色のトナーを用いて1枚の用紙Sに多色画像を形成する動作と、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒のうち、1色のトナーを用いて1枚の用紙Sに単色画像を形成する動作とが実行可能である。以下では、前者を『多色モード』と呼び、後者を『単色モード』と呼ぶ。そして、ここでは、『多色モード』のうち、4色のトナーを用いて1枚の用紙Sにフルカラー画像を形成する場合を例とし、また、『単色モード』のうち、黒のトナーを用いて1枚の用紙Sにモノクロ画像を形成する場合を例とする。一方、図2に示す第2態様に設定された画像形成装置1では、1色のトナーを用いて1枚の用紙Sに単色画像を形成する動作のみが実行可能である。以下では、これを『単色動作』と呼ぶ。そして、ここでは『単色動作』のうち、黒のトナーを用いて1枚の用紙Sにモノクロ画像を形成する場合を例とする。
【0043】
以下、第1態様に設定された画像形成装置1における『多色モード』および『単色モード』、そして、第2態様に設定された画像形成装置1における『単色動作』、のそれぞれについて具体的に説明する。なお、以下に説明する各例では、画像の形成対象となる用紙Sの大きさおよび向きが、すべて同じであるものとする。
【0044】
ここで、『多色モード』、『単色モード』および『単色動作』のすべてにおいて、矢印A方向に回転する感光体ドラム11の周速度を感光体周速度Vpと呼び、回転する一対の供給ロール(第1供給ロール53a、第2供給ロール53b)の周速度を供給周速度Vsと呼ぶ。また、『多色モード』および『単色モード』の両者において、矢印B方向に回転する転写ドラム21の周速度、そして、『単色動作』において、矢印B方向に回転する転写ロール31の周速度を、ともに転写周速度Vtと呼ぶ。なお、『多色モード』および『単色モード』の両者においては、転写周速度Vtが感光体周速度Vpよりも1%未満程度だけ高速に設定され、供給周速度Vsが転写周速度Vtよりも1%未満程度だけ高速に設定される。したがって、『多色モード』および『単色モード』の両者においては、Vp<Vt<Vsの関係が成立する。一方、『単色動作』においては、転写ロール31が感光体ドラム11に従動して回転し、供給周速度Vsが感光体周速度Vpよりも1%未満程度だけ高速に設定される。したがって、『単色動作』においては、Vp≒Vt<Vsの関係が成立する。
【0045】
[多色モード]
図3は、図1に示す第1態様にセットされた単色/多色兼用機としての画像形成装置1を用い、1枚の用紙S上にイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の4色を含むフルカラー画像を形成する、『多色モード』におけるタイミングチャートの一例を示している。
【0046】
ここで、図3は、時間の経過と、(a)感光体ドラム11の駆動(ON/OFF)と、(b)現像位置に配置される現像器と、(c)供給調整部53の位置(第1供給位置Pa/第2供給位置Pb)と、(d)転写ドラム21の駆動(ON/OFF)と、(e)転写ドラム21に対する転写バイアスの印加(ON/OFF)と、(f)先端グリッパ22の状態(開/閉)と、(g)後端グリッパ23の状態(開/閉)と、(h)後端グリッパ23の駆動(ON/OFF)と、(i)供給ロール(第1供給ロール53a)の駆動(ON/OFF)と、(j)供給ニップ部Nを通過する用紙Sと、(k)第1給紙位置P1を通過する用紙Sと、(m)転写位置Trを通過する用紙Sと、(n)転写位置Trを通過する感光体ドラム11上の画像との関係を示している。
【0047】
また、図3において、「Y」、「M」、「C」、「K」は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、黒に対応している。さらに、図3において、「1st」、「2nd」、「3rd」、「4th」は、同一の用紙Sが、転写ドラム21の外周面における第1給紙位置P1および転写位置Trを通過する回数を示している。したがって、例えば図3(m)に示す「転写位置通過用紙」における「S(2nd)」は、一度転写位置Trを通過した用紙Sが、再び(2度目に)転写位置Trを通過していることを意味するものとなっている。
【0048】
さらに、多色モードによるフルカラーの画像形成動作が開始される前の初期状態では、感光体ドラム11、転写ドラム21、そして第1供給ロール53aの駆動が、すべてOFFになっている。また、初期状態では、転写ドラム21に対する転写バイアスの供給もOFFになっている。さらに、初期状態では、先端グリッパ22および後端グリッパ23が、ともに開状態に設定されている。さらにまた、第1態様ではロータリ現像装置14が取り付けられており、初期状態では黒の現像器14Kが現像位置に配置された状態で停止している(図1参照)。また、第1態様における初期状態では、後端グリッパ23が待機位置に配置された状態で停止している(図1参照)。そして、第1態様では第1転写部20が取り付けられていることにより、供給調整部53が第1供給位置Paに配置された状態で停止している(図1参照)。
【0049】
多色モードでの画像形成動作の開始に伴い、制御部100は、感光体ドラム11および転写ドラム21の駆動をOFFからONに切り替えることで、感光体ドラム11を感光体周速度Vpで、また、転写ドラム21を転写周速度Vtで、それぞれ回転させる。このとき、感光体ドラム11および転写ドラム21は、互いに接触した状態で転写位置Trにおいて同じ方向に回転する。
【0050】
次に、制御部100は、ロータリ現像装置14を回転させ、現像位置にイエローの現像器14Yを配置させる。そして、制御部100は、帯電装置12、露光装置13および現像位置にある現像器(ここではイエローの現像器14Y)を駆動させる。これに伴い、回転する感光体ドラム11の感光層が帯電装置12によって帯電された後、露光装置13による露光が行われることにより、感光体ドラム11には静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム11上に形成された静電潜像がイエローの現像器14Yによって現像され、感光体ドラム11上には静電潜像に対応したイエローのトナー像が形成される。その後、感光体ドラム11上に形成されたイエローのトナー像は、感光体ドラム11の更なる回転に伴い、転写位置Trに向かって移動していく。
【0051】
一方、多色モードでの画像形成動作の開始に対応して、制御部100は用紙供給部50から用紙Sの供給を行わせる。より具体的に説明すると、制御部100は、用紙収容部51に収容された用紙Sを、取り出しロール52によって取り出すことで第1給紙経路61内に進入させる。このとき、制御部100は、第1供給ロール53aの駆動をOFFのままとしており、第1給紙経路61内に進入してきた用紙Sの用紙先端は、第1供給位置Paにセットされた供給調整部53における供給ニップ部Nの入口側に突き当たった状態で停止し、この用紙Sの斜行補正がなされる。そして、制御部100は、回転する転写ドラム21に取り付けられた先端グリッパ22が第1給紙位置P1に到達する際に、この用紙Sの用紙先端が第1給紙位置P1に到達するように、第1供給ロール53aの駆動をOFFからONに切り替えることで、第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bを供給周速度Vsで回転させる。これに伴い、用紙Sの供給が再開され、用紙Sは供給ニップ部Nを通過しつつ、第1給紙経路61を介して第1給紙位置P1に到達する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が第1給紙位置P1に到達するのに合わせて、先端グリッパ22を開状態から閉状態へと移行させる。これにより、用紙Sの用紙先端は、転写ドラム21に機械的に把持される。このとき、用紙Sの用紙先端側は、転写ドラム21の弾性層21Bに巻き付いた状態で回転経路63に沿って搬送され、この用紙Sの用紙後端側は、第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bによる供給ニップ部Nにてニップされた状態で、第1給紙経路61に沿って搬送されることになる。
【0052】
次に、先端グリッパ22によって転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端は、第1給紙位置P1を通過し且つ待機位置にて停止状態を維持する後端グリッパ23をくぐり抜けた後、転写位置Trに到達する(1回目)。このとき、制御部100は、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上のイエローのトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13の制御を行っている。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをOFFからONに切り替える。これにより、転写位置Trでは、用紙Sに対するイエローのトナー像の転写(1色目)が開始される。
【0053】
また、この例では、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達した後、この用紙Sの用紙後端が供給ニップ部Nを通過し、さらに第1給紙位置P1も通過する。このとき、制御部100は、用紙Sの用紙後端が供給ニップ部Nを通過した後に、第1供給ロール53aの駆動をONからOFFに切り替えることで、第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bの回転を停止させる。そして、制御部100は、この用紙Sの用紙後端が、待機位置で停止している後端グリッパ23との対向部に到達するのに合わせて、後端グリッパ23を開状態から閉状態へと移行させ、且つ、後端グリッパ23を、転写ドラム21と同じ方向に同じ転写周速度Vtで回転させる。これにより、用紙Sの用紙後端は、転写ドラム21に機械的に把持される。これに伴い、この用紙Sは、その用紙先端が先端グリッパ22によって、また、その用紙後端が後端グリッパ23によって、それぞれ把持されることになる。その結果、用紙Sの全体が、転写ドラム21の弾性層21Bに巻き付いた状態で、回転経路63に沿って搬送されることになる。
【0054】
さらに、この例では、用紙Sの用紙後端が第1給紙位置P1に到達した後、この用紙Sに対応するイエローのトナー像の現像が終了する。また、これに続いて、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをONからOFFに切り替える。これにより、用紙Sに対するイエローのトナー像の転写を終了する。また、この例では、用紙Sに対するイエローのトナー像の転写が終了するのに伴って、制御部100がロータリ現像装置14を駆動させ、現像位置に配置された現像器の切り替え(イエローの現像器14Yからマゼンタの現像器14Mへの切り替え)を行う。そして、制御部100は、感光体ドラム11に対するマゼンタのトナー像の形成を開始させる。
【0055】
ここで、転写ドラム21に転写バイアスが印加されている期間において、転写位置Trを、感光体ドラム11に形成されたイエローの画像(図3(n)に示すY)が通過することになり、また、用紙Sが1回目の通過を行う(図3(m)に示すS(1st))ことになる。
【0056】
転写ドラム21の回転に伴って転写ドラム21の露出部21Cが転写位置Trを通過した後、転写ドラム21に把持されることで回転経路63内を移動する用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達する(2回目)。このとき、制御部100は、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上のマゼンタのトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13およびロータリ現像装置14の制御を行っている。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをOFFからONに切り替える。これにより、転写位置Trでは、用紙Sに対するマゼンタのトナー像の転写(2色目)が開始される。
【0057】
また、この例では、用紙Sの用紙後端が第1給紙位置P1に到達した後、この用紙Sに対応するマゼンタのトナー像の現像が終了する。また、これに続いて、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをONからOFFに切り替える。これにより、用紙Sに対するマゼンタのトナー像の転写を終了する。また、この例では、用紙Sに対するマゼンタのトナー像の転写が終了するのに伴って、制御部100がロータリ現像装置14を駆動させ、現像位置に配置された現像器の切り替え(マゼンタの現像器14Mからシアンの現像器14Cへの切り替え)を行う。そして、制御部100は、感光体ドラム11に対するシアンのトナー像の形成を開始させる。
【0058】
ここで、転写ドラム21に転写バイアスが印加されている期間において、転写位置Trを、感光体ドラム11に形成されたマゼンタの画像(図3(n)に示すM)が通過することになり、また、用紙Sが2回目の通過を行う(図3(m)に示すS(2nd))ことになる。
【0059】
転写ドラム21の回転に伴って転写ドラム21の露出部21Cが転写位置Trを通過した後、転写ドラム21に把持されることで回転経路63内を移動する用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達する(3回目)。このとき、制御部100は、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上のシアンのトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13およびロータリ現像装置14の制御を行っている。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをOFFからONに切り替える。これにより、転写位置Trでは、用紙Sに対するシアンのトナー像の転写(3色目)が開始される。
【0060】
また、この例では、用紙Sの用紙後端が第1給紙位置P1に到達した後、この用紙Sに対応するシアンのトナー像の現像が終了する。また、これに続いて、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをONからOFFに切り替える。これにより、用紙Sに対するシアンのトナー像の転写を終了する。また、この例では、用紙Sに対するシアンのトナー像の転写が終了するのに伴って、制御部100がロータリ現像装置14を駆動させ、現像位置に配置された現像器の切り替え(シアンの現像器14Cから黒の現像器14Kへの切り替え)を行う。そして、制御部100は、感光体ドラム11に対する黒のトナー像の形成を開始させる。
【0061】
ここで、転写ドラム21に転写バイアスが印加されている期間において、転写位置Trを、感光体ドラム11に形成されたシアンの画像(図3(n)に示すC)が通過することになり、また、用紙Sが3回目の通過を行う(図3(m)に示すS(3rd))ことになる。
【0062】
転写ドラム21の回転に伴って転写ドラム21の露出部21Cが転写位置Trを通過した後、転写ドラム21に把持されることで回転経路63内を移動する用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達する(4回目)。このとき、制御部100は、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上の黒のトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13およびロータリ現像装置14の制御を行っている。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをOFFからONに切り替える。これにより、転写位置Trでは、用紙Sに対する黒のトナー像の転写(4色目)が開始される。
【0063】
また、この例では、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、制御部100が、先端グリッパ22を閉状態から開状態へと移行させる。これにより、用紙Sの用紙先端の把持が解除されることとなり、転写位置Trを通過した用紙Sは回転経路63から離れ、排紙経路64に沿って定着部40に向けて移動していく。この用紙Sが定着部40の定着ニップ部を通過していくことにより、用紙Sに重ね転写されたフルカラートナー像は、用紙Sに定着される。
【0064】
そして、この例では、用紙Sの用紙後端が第1給紙位置P1に到達した後、この用紙Sに対応する黒のトナー像の現像が終了する。また、これに続いて、用紙Sの用紙後端が待機位置に到達するのに合わせて、制御部100は、後端グリッパ23を閉状態から開状態へと移行させ、且つ、後端グリッパ23の回転を停止させる。これにより、用紙Sの用紙後端の把持が解除され、後端グリッパ23は再び待機位置で停止することになる。そして、制御部100は、用紙Sの用紙後端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをONからOFFに切り替える。これにより、用紙Sに対する黒のトナー像の転写を終了する。
その後、用紙Sは、定着部40を通過し、排紙経路64を介して排紙積載部3に積載される。
【0065】
ここで、転写ドラム21に転写バイアスが印加されている期間において、転写位置Trを、感光体ドラム11に形成された黒の画像(図3(n)に示すK)が通過することになり、また、第2用紙S2が4回目の通過を行う(図3(m)に示すS(4th))ことになる。
【0066】
[単色モード]
図4は、図1に示す第1態様にセットされた単色/多色兼用機としての画像形成装置1を用い、1枚の用紙S上に黒のモノクロ画像を形成する、『単色モード』におけるタイミングチャートの一例を示している。なお、図4に示す各符号、各構成要素の前提条件および初期状態は、図3を用いて説明した『多色モード』と同じである。
【0067】
単色モードでの画像形成動作の開始に伴い、制御部100は、感光体ドラム11および転写ドラム21の駆動をOFFからONに切り替えることで、感光体ドラム11を感光体周速度Vpで、また、転写ドラム21を転写周速度Vtで、それぞれ回転させる。このとき、感光体ドラム11および転写ドラム21は、互いに接触した状態で転写位置Trにおいて同じ方向に回転する。
【0068】
また、単色モードにおいて黒の画像を形成する場合、制御部100は、現像位置に黒の現像器14Kが停止しているロータリ現像装置14を回転させることなく、帯電装置12、露光装置13および現像位置にある現像器(ここでは黒の現像器14K)を駆動させる。これに伴い、回転する感光体ドラム11の感光層が帯電装置12によって帯電された後、露光装置13による露光が行われることにより、感光体ドラム11には静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム11上に形成された静電潜像が黒の現像器14Kによって現像され、感光体ドラム11上には静電潜像に対応した黒のトナー像が形成される。その後、感光体ドラム11上に形成された黒のトナー像は、感光体ドラム11の更なる回転に伴い、転写位置Trに向かって移動していく。
【0069】
一方、単色モードでの画像形成動作の開始に対応して、制御部100は用紙供給部50から用紙Sの供給を行わせる。より具体的に説明すると、制御部100は、第1供給ロール53aの駆動をOFFのままとしており、第1給紙経路61内に進入してきた用紙Sの用紙先端は、第1供給位置Paにセットされた供給調整部53における供給ニップ部Nの入口側に突き当たった状態で停止し、この用紙Sの斜行補正がなされる。そして、制御部100は、回転する転写ドラム21に取り付けられた先端グリッパ22が第1給紙位置P1に到達する際に、この用紙Sの用紙先端が第1給紙位置P1に到達するように、第1供給ロール53aの駆動をOFFからONに切り替えることで、第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bを供給周速度Vsで回転させる。これに伴い、用紙Sの供給が再開され、用紙Sは供給ニップ部Nを通過しつつ、第1給紙経路61を介して第1給紙位置P1に到達する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が第1給紙位置P1に到達するのに合わせて、先端グリッパ22を開状態から閉状態へと移行させる。これにより、用紙Sの用紙先端は、転写ドラム21に機械的に把持される。このとき、用紙Sの用紙先端側は、転写ドラム21の弾性層21Bに巻き付いた状態で回転経路63に沿って搬送され、この用紙Sの用紙後端側は、第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bによる供給ニップ部Nにてニップされた状態で、第1給紙経路61に沿って搬送されることになる。
【0070】
次に、先端グリッパ22によって転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端は、第1給紙位置P1を通過し且つ待機位置にて停止状態を維持する後端グリッパ23をくぐり抜けた後、転写位置Trに到達する(1回目)。このとき、制御部100は、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上の黒のトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13の制御を行っている。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをOFFからONに切り替える。これにより、転写位置Trでは、用紙Sに対する黒のトナー像の転写(1色目)が開始される。
【0071】
また、この例では、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、制御部100が、先端グリッパ22を閉状態から開状態へと移行させる。これにより、用紙Sの用紙先端の把持が解除されることとなり、転写位置Trを通過した用紙Sは回転経路63から離れ、排紙経路64に沿って定着部40に向けて移動していく。この用紙Sが定着部40の定着ニップ部を通過していくことにより、用紙Sに転写された黒のトナー像は、用紙Sに定着される。
【0072】
さらに、この例では、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達した後、この用紙Sの用紙後端が供給ニップ部Nを通過し、さらに第1給紙位置P1も通過する。このとき、制御部100は、用紙Sの用紙後端が供給ニップ部Nを通過した後に、第1供給ロール53aの駆動をONからOFFに切り替えることで、第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bの回転を停止させる。その後、用紙Sの後端は、待機位置で停止している後端グリッパ23との対向部を通過するが、単色モードにおいて、制御部100は、後端グリッパ23を開状態のままに維持させる。
【0073】
さらにまた、この例では、用紙Sの用紙後端が第1給紙位置P1に到達した後、この用紙Sに対応する黒のトナー像の現像が終了する。また、これに続いて、用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをONからOFFに切り替える。これにより、用紙Sに対する黒のトナー像の転写を終了する。また、この例では、用紙Sに対する黒のトナー像の転写が終了しても、制御部100は、現像位置に黒の現像器14Kを停止させたままとする。
その後、用紙Sは、定着部40を通過し、排紙経路64を介して排紙積載部3に積載される。
【0074】
ここで、転写ドラム21に転写バイアスが印加されている期間において、転写位置Trを、感光体ドラム11に形成された黒の画像(図4(n)に示すK)が通過することになり、また、用紙Sが1回目の通過を行う(図4(m)に示すS(1st))ことになる。
【0075】
このように、単色モードでは、多色モードとは異なり、ロータリ現像装置14の回転による現像器の交換、後端グリッパ23による用紙Sの把持および後端グリッパ23の回転駆動を行わない。
【0076】
[単色動作]
図5は、図2に示す第2態様にセットされた単色専用機としての画像形成装置1を用い、1枚の用紙S上に黒のモノクロ画像を形成する『単色動作』におけるタイミングチャートの一例を示している。
【0077】
ここで、図5は、時間の経過と、(a)感光体ドラム11の駆動(ON/OFF)と、(b)現像位置に配置される現像器と、(c)供給調整部53の位置(第1供給位置Pa/第2供給位置Pb)と、(e)転写ロール31に対する転写バイアスの印加(ON/OFF)と、(i)供給ロール(第1供給ロール53a)の駆動(ON/OFF)と、(j)供給ニップ部Nを通過する用紙Sと、(l)第2給紙位置P2を通過する用紙Sと、(m)転写位置Trを通過する用紙Sと、(n)転写位置Trを通過する感光体ドラム11上の画像との関係を示している。なお、図3および図4に対する図5の相違点は、転写ドラム21に代えて転写ロール31が設けられているために、(d)転写ドラム21の駆動、(f)先端グリッパ22の状態、(g)後端グリッパ23の状態、(h)後端グリッパ23の駆動が存在しないこと、(e)転写バイアスが、転写ドラム21ではなく転写ロール31に供給されるものであること、そして、(k)第1給紙位置P1を通過する用紙Sに代えて、(l)第2給紙位置P2を通過する用紙Sを記載したこと、である。
【0078】
また、単色によるモノクロの画像形成動作が開始される前の初期状態では、感光体ドラム11および第1供給ロール53aの駆動がOFFになっている。また、初期状態では、転写ロール31に対する転写バイアスの供給もOFFになっている。さらに、第2態様では、黒のトナーを内蔵する単色現像器16が常に現像位置に配置される(図2参照)。そして、第2態様では、第2転写部30が取り付けられていることにより、供給調整部53が第2供給位置Pbに配置された状態で停止している(図2参照)。
【0079】
画像形成動作の開始に伴い、制御部100は、感光体ドラム11の駆動をOFFからONに切り替えることで、感光体ドラム11を感光体周速度Vpで回転させる。また、感光体ドラム11が回転を開始するのに伴い、転写ロール31は転写位置Trにて感光体ドラム11から受ける駆動力により転写周速度Vt(≒感光体周速度Vp)で回転を開始する。このとき、感光体ドラム11および転写ロール31は、互いに接触した状態で転写位置Trにおいて同じ方向に回転する。
【0080】
次に、制御部100は、帯電装置12、露光装置13および単色現像器16を駆動させる。これに伴い、回転する感光体ドラム11の感光層が帯電装置12によって帯電された後、露光装置13による露光が行われることにより、感光体ドラム11には静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム11上に形成された静電潜像が単色現像器16によって現像され、感光体ドラム11上には静電潜像に対応した単色(ここでは黒)のトナー像が形成される。その後、感光体ドラム11上に形成された黒のトナー像は、感光体ドラム11の更なる回転に伴い、転写位置Trに向かって移動していく。
【0081】
一方、画像形成動作の開始に対応して、制御部100は用紙供給部50から用紙Sの供給を行わせる。より具体的に説明すると、制御部100は、用紙収容部51に収容された用紙Sを、取り出しロール52によって取り出すことで第2給紙経路62内に進入させる。このとき、制御部100は、第1供給ロール53aの駆動をOFFのままとしており、第2給紙経路62内に侵入してきた用紙Sの用紙先端は、第2供給位置Pbにセットされた供給調整部53における供給ニップ部Nの入口側に突き当たった状態で停止し、この用紙Sの斜行補正がなされる。そして、制御部100は、用紙Sの斜行補正がなされた状態で、第1供給ロール53aの駆動をOFFからONに切り替えることで、第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bを供給周速度Vsで回転させる。これに伴い、用紙Sの供給が再開され、用紙Sは供給ニップ部Nを通過しつつ、第2給紙経路62を介して第2給紙位置P2に到達する。
【0082】
次に、第2給紙位置P2を通過した用紙Sの用紙先端は、転写位置Trに到達する(1回目)。このとき、制御部100は、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上の黒のトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、露光装置13および第1供給ロール53aの制御を行っている。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ロール31に印加する転写バイアスをOFFからONに切り替える。これにより、転写位置Trでは、用紙Sに対する黒のトナー像の転写(1色目)が開始される。また、転写位置Trを通過した用紙Sは、排紙経路64に沿って定着部40に向けて移動する。この用紙Sが定着ニップ部を通過していくことにより、用紙Sに転写された黒のトナー像は、用紙Sに定着される。
【0083】
さらに、この例では、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達した後、この用紙Sの用紙後端が供給ニップ部Nを通過し、さらに第2給紙位置P2を通過する。このとき、制御部100は、用紙Sの用紙後端が供給ニップ部Nを通過した後に、第1供給ロール53aの駆動をONからOFFに切り替えることで、第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bの回転を停止させる。
【0084】
さらにまた、この例では、用紙Sの用紙後端が供給ニップ部Nを通過した後、この用紙Sに対する黒のトナー像の現像が終了する。また、これに続いて、用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過するのに合わせて、転写ロール31に印加する転写バイアスをONからOFFに切り替える。これにより、用紙Sに対する黒のトナー像の転写を終了する。
その後、用紙Sは、定着部40を通過し、排紙経路64を介して排紙積載部3に積載される。
【0085】
ここで、転写ロール31に転写バイアスが印加されている期間において、転写位置Trを、感光体ドラム11に形成された黒の画像(図5(n)に示すK)が通過することになり、また、用紙Sが1回目の通過を行う(図5(m)に示すS(1st))ことになる。
【0086】
<実施の形態2>
図6は、実施の形態2に係る画像形成装置1における第1状態の一例を示す図であり、図7は、この画像形成装置1における第2状態の一例を示す図である。本実施の形態の画像形成装置1の基本構成は、実施の形態1の画像形成装置1における第1態様(図1参照)とほぼ同様であるが、転写ドラム21と転写ロール31との交換、および、ロータリ現像装置14と単色現像器16との交換を想定していない点で、実施の形態1とは異なる。また、本実施の形態の画像形成装置1は、転写ドラム21を用いた画像形成装置1において、第1状態(多色モードの実行時)と第2状態(単色モードの実行時)とで、転写ドラム21に対する用紙Sの給紙位置を異ならせている点で、実施の形態1における第1態様とは異なる。さらに、本実施の形態の画像形成装置1は、供給調整部53の位置が、転写ドラム21を含む第1転写部20によって規制されないようになっている点で実施の形態1における第1態様とは異なる。なお、本実施の形態では、画像形成部10が画像形成手段として、感光体ドラム11が像保持体として、転写ドラム21が転写部材として、それぞれ機能している。
【0087】
供給部材の一例としての供給調整部53は、実施の形態1と同じく、第1供給ロール53aの回転軸を中心として、回転方向に移動できるように構成されている。また、供給調整部53において、供給フレーム53cのうち第2供給ロール53bの下方には、下側に向かい且つ用紙収容部51側に向かって湾曲する供給案内部材53dが取り付けられている。この供給案内部材53dも、供給調整部53の回転方向への移動に伴って移動するようになっている。そして、本実施の形態では、第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bが、一対の回転部材として機能している。なお、供給調整部53の位置を変更する機構については後述する。
【0088】
ここで、第1の状態では、供給調整部53が矢印D方向(図中反時計回り方向)に移動し、図6に示す位置で静止している。なお、本実施の形態では、図6に示す第1状態における供給調整部53の停止位置を、第1供給位置Paと称する。
【0089】
そして、図6に示す第1状態においては、供給調整部53が第1供給位置Paに配置されることにより、供給調整部53から送られる用紙Sが、転写ドラム21の外周面上の第1給紙位置P1に供給されるようになっている。したがって、第1状態では、用紙収容部51から、第1供給位置Paに配置された供給調整部53を介して、転写ドラム21の第1給紙位置P1に向かう用紙Sの搬送経路が、第1給紙経路61となる。なお、このとき、供給調整部53が第1供給位置Paに配置されることに伴い、供給調整部53に設けられた供給案内部材53dは、用紙収容部51から搬送されてくる用紙Sを供給ニップ部Nに導くガイドとして機能する。
【0090】
一方、第2の状態において、供給調整部53が図6に示す第1供給位置Paから矢印Dとは反対の方向(図中時計回り方向)に回転して移動し、図7に示す位置で静止している。なお、本実施の形態では、図7に示す第2状態における供給調整部53の停止位置を、第2供給位置Pbと称する。
【0091】
そして、図7に示す第2状態においては、供給調整部53が第2供給位置Pbに配置されることにより、供給調整部53から送られる用紙Sが、転写ドラム21の外周面上の第2給紙位置P2に供給されるようになっている。したがって、第2状態では、用紙収容部51から、第2供給位置Pbに配置された供給調整部53を介して、転写ドラム21の第2給紙位置P2に向かう用紙Sの搬送経路が、第2給紙経路62となる。なお、このとき、供給調整部53が第2供給位置Pbに配置されることに伴い、供給調整部53に設けられた供給案内部材53dは、用紙収容部51から搬送されてくる用紙Sを供給ニップ部Nに導くガイドとして機能する。そして、これら第1給紙位置P1および第2給紙位置P2が、転写部材に対する記録材の到達位置に対応している。
なお、供給案内部材53dについては、実施の形態1で説明した画像形成装置1の供給調整部53に取り付けてもかまわない。
【0092】
ここで、図6に示す第1状態に設定された画像形成装置1と、図7に示す第2状態に設定された画像形成装置1とを比較すると、第1状態において第1給紙位置P1から転写位置Trに至る用紙Sの搬送経路は、第2状態において第2給紙位置P2から転写位置Trに至る用紙Sの搬送経路よりも、距離が長くなっている。そして、第1状態においては、第1給紙位置P1に到達した用紙Sが、第2給紙位置P2を経由して転写位置Trに到達するようになっている。したがって、転写位置Trを基準として転写位置Trよりも用紙搬送方向上流側となる用紙Sの搬送経路をみたとき、第1状態における第1給紙位置P1は、第2状態における第2給紙位置P2に比べて、より遠い位置となっている。
【0093】
図8は、本実施の形態において供給調整部53を位置決めする位置決め機構80の構成の一例を示す図である。ここで、図8(a)は第1供給位置Paに供給調整部53を位置決めした状態を、また、図8(b)は第2供給位置Pbに供給調整部53を位置決めした状態を、それぞれ例示している。
【0094】
この位置決め機構80は、第1供給ロール53aの回転軸を中心として回転可能に設けられた供給フレーム53cの自由端側にその一端側が取り付けられ、その他端側が供給調整部53の下方に位置する筐体2に取り付けられた圧縮バネ81と、供給フレーム53cの自由端側における下方に、カム軸82aを中心として回転可能に設けられたカム82とを有している。供給調整部53には、圧縮バネ81によって図中反時計回り方向に回転させようとする力がかかり、且つ、カム82によって図中反時計回りに回転させようとする力をせき止める力がかかることにより、カム82のカム面に接触した状態で静止する。そして、本実施の形態では、カム軸82aを中心としてカム82を図中時計回り方向(あるいは反時計回り方向)に180°ずつ回転させ且つ停止させることで、供給調整部53を、第1供給位置Paあるいは第2供給位置Pbにて位置決めするようになっている。ここで、本実施の形態では、圧縮バネ81、カム82およびカム82を駆動する駆動源(図示せず)が、変更手段として機能している。なお、この例において、画像形成動作を開始する前の供給調整部53は、第2状態(図7および図8(b)参照)に設定されている。
【0095】
では次に、本実施の形態の画像形成装置1による画像形成動作について説明を行う。なお、図6に示す第1状態に設定された画像形成装置1では、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒のうち、2色乃至4色のトナーを用いて1枚の用紙Sに多色画像を形成する動作が実行可能である。また、図7に示す第2状態に設定された画像形成装置1では、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒のうち、1色のトナーを用いて1枚の用紙Sに単色画像を形成する動作が実行可能である。以下では、前者を『多色モード』と呼び、後者を『単色モード』と呼ぶ。そして、ここでは、『多色モード』のうち、4色のトナーを用いて1枚の用紙Sにフルカラー画像を形成する場合を例とし、また、『単色モード』のうち、黒のトナーを用いて1枚の用紙Sにモノクロ画像を形成する場合を例とする。
【0096】
以下、本実施の形態の画像形成装置1における『多色モード』および『単色モード』のそれぞれについて、具体的に説明する。なお、以下に説明する各例では、画像の形成対象となる用紙Sの大きさおよび向きが、ともに同じであるものとする。
【0097】
ここで、『多色モード』および『単色モード』において、矢印A方向に回転する感光体ドラム11の周速度を感光体周速度Vpと呼び、矢印B方向に回転する転写ドラム21の周速度を転写周速度Vtと呼び、第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bの周速度を供給周速度Vsと呼ぶ。なお、これら感光体周速度Vp、転写周速度Vtおよび供給周速度Vsの大小関係は、実施の形態1における第1態様の場合と同じ(Vp<Vt<Vs)である。
【0098】
[多色モード]
図9は、本実施の形態の画像形成装置1を用い、1枚の用紙S上にイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の4色を含むフルカラー画像を形成する、『多色モード』におけるタイミングチャートの一例を示している。
【0099】
ここで、図9は、時間の経過と、(a)感光体ドラム11の駆動(ON/OFF)と、(b)現像位置に配置される現像器と、(c)供給調整部53の位置(第1供給位置Pa/第2供給位置Pb)と、(d)転写ドラム21の駆動(ON/OFF)と、(e)転写ドラム21に対する転写バイアスの印加(ON/OFF)と、(f)先端グリッパ22の状態(開/閉)と、(g)後端グリッパ23の状態(開/閉)と、(h)後端グリッパ23の駆動(ON/OFF)と、(i)供給ロール(第1供給ロール53a)の駆動(ON/OFF)と、(j)供給ニップ部Nを通過する用紙Sと、(k)第1給紙位置P1を通過する用紙Sと、(l)第2給紙位置P2を通過する用紙Sと、(m)転写位置Trを通過する用紙Sと、(n)転写位置Trを通過する感光体ドラム11上の画像との関係を示している。
【0100】
さらに、多色モードによるフルカラーの画像形成動作が開始される前の初期状態では、感光体ドラム11、転写ドラム21、そして第1供給ロール53aの駆動が、すべてOFFになっている。また、初期状態では、転写ドラム21に対する転写バイアスの供給もOFFになっている。さらに、初期状態では、先端グリッパ22および後端グリッパ23が、ともに開状態に設定されている。さらにまた、初期状態では黒の現像器14Kが現像位置に配置された状態で停止し、後端グリッパ23が待機位置に配置された状態で停止している。そして、供給調整部53は、第2供給位置Pbに配置された状態で停止している(図7および図8(b)参照)。
【0101】
多色モードでの画像形成動作の開始に伴い、制御部100は、感光体ドラム11および転写ドラム21の駆動をOFFからONに切り替えることで、感光体ドラム11を感光体周速度Vpで、また、転写ドラム21を転写周速度Vtで、それぞれ回転させる。このとき、感光体ドラム11および転写ドラム21は、互いに接触した状態で転写位置Trにおいて同じ方向に回転する。
【0102】
また、多色モードでの画像形成動作の開始に伴い、制御部100は、カム82を駆動して、第2供給位置Pbにセットされた供給調整部53を、第1供給位置Paにセットさせる。
【0103】
次に、制御部100は、ロータリ現像装置14を回転させ、現像位置にイエローの現像器14Yを配置させる。そして、制御部100は、帯電装置12、露光装置13および現像位置にある現像器(ここではイエローの現像器14Y)を駆動させる。これに伴い、回転する感光体ドラム11の感光層が帯電装置12によって帯電された後、露光装置13による露光が行われることにより、感光体ドラム11には静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム11上に形成された静電潜像がイエローの現像器14Yによって現像され、感光体ドラム11上には静電潜像に対応したイエローのトナー像が形成される。その後、感光体ドラム11上に形成されたイエローのトナー像は、感光体ドラム11の更なる回転に伴い、転写位置Trに向かって移動していく。
【0104】
一方、多色モードでの画像形成動作の開始に対応して、制御部100は用紙供給部50から用紙Sの供給を行わせる。より具体的に説明すると、制御部100は、用紙収容部51に収容された用紙Sを、取り出しロール52によって取り出すことで第1給紙経路61内に進入させる。このとき、制御部100は、第1供給ロール53aの駆動をOFFのままとしており、第1給紙経路61内に進入してきた用紙Sの用紙先端は、第1供給位置Paにセットされた供給調整部53における供給ニップ部Nの入口側に突き当たった状態で停止し、この用紙Sの斜行補正がなされる。そして、制御部100は、回転する転写ドラム21に取り付けられた先端グリッパ22が第1給紙位置P1に到達する際に、この用紙Sの用紙先端が第1給紙位置P1に到達するように、第1供給ロール53aの駆動をOFFからONに切り替えることで、第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bを供給周速度Vsで回転させる。これに伴い、用紙Sの供給が再開され、用紙Sは供給ニップ部Nを通過しつつ、第1給紙経路61を介して第1給紙位置P1に到達する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が第1給紙位置P1に到達するのに合わせて、先端グリッパ22を開状態から閉状態へと移行させる。これにより、用紙Sの用紙先端は、転写ドラム21に機械的に把持される。このとき、用紙Sの用紙先端側は、転写ドラム21の弾性層21Bに巻き付いた状態で回転経路63に沿って搬送され、この用紙Sの用紙後端側は、第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bによる供給ニップ部Nにてニップされた状態で、第1給紙経路61に沿って搬送されることになる。
【0105】
次に、先端グリッパ22によって転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端は、第1給紙位置P1を通過し且つ待機位置にて停止状態を維持する後端グリッパ23をくぐり抜けた後、さらに第2給紙位置P2を通過して転写位置Trに到達する(1回目)。このとき、制御部100は、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上のイエローのトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13の制御を行っている。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをOFFからONに切り替える。これにより、転写位置Trでは、用紙Sに対するイエローのトナー像の転写(1色目)が開始される。
【0106】
また、この例では、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達した後、この用紙Sの用紙後端が供給ニップ部Nを通過し、さらに第1給紙位置P1も通過する。このとき、制御部100は、用紙Sの用紙後端が供給ニップ部Nを通過した後に、第1供給ロール53aの駆動をONからOFFに切り替えることで、第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bの回転を停止させる。そして、制御部100は、この用紙Sの用紙後端が、待機位置で停止している後端グリッパ23との対向部に到達するのに合わせて、後端グリッパ23を開状態から閉状態へと移行させ、且つ、後端グリッパ23を、転写ドラム21と同じ方向に同じ転写周速度Vtで回転させる。これにより、用紙Sの用紙後端は、転写ドラム21に機械的に把持される。これに伴い、この用紙Sは、その用紙先端が先端グリッパ22によって、また、その用紙後端が後端グリッパ23によって、それぞれ把持されることになる。その結果、用紙Sの全体が、転写ドラム21の弾性層21Bに巻き付いた状態で、回転経路63に沿って搬送されることになる。
【0107】
さらに、この例では、用紙Sの用紙後端が第1給紙位置P1に到達した後、この用紙Sに対応するイエローのトナー像の現像が終了する。また、これに続いて、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをONからOFFに切り替える。これにより、用紙Sに対するイエローのトナー像の転写を終了する。また、この例では、用紙Sに対するイエローのトナー像の転写が終了するのに伴って、制御部100がロータリ現像装置14を駆動させ、現像位置に配置された現像器の切り替え(イエローの現像器14Yからマゼンタの現像器14Mへの切り替え)を行う。そして、制御部100は、感光体ドラム11に対するマゼンタのトナー像の形成を開始させる。
【0108】
ここで、転写ドラム21に転写バイアスが印加されている期間において、転写位置Trを、感光体ドラム11に形成されたイエローの画像(図9(n)に示すY)が通過することになり、また、用紙Sが1回目の通過を行う(図9(m)に示すS(1st))ことになる。
【0109】
転写ドラム21の回転に伴って転写ドラム21の露出部21Cが転写位置Trを通過した後、転写ドラム21に把持されることで回転経路63内を移動する用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達する(2回目)。このとき、制御部100は、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上のマゼンタのトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13およびロータリ現像装置14の制御を行っている。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをOFFからONに切り替える。これにより、転写位置Trでは、用紙Sに対するマゼンタのトナー像の転写(2色目)が開始される。
【0110】
また、この例では、用紙Sの用紙後端が第1給紙位置P1に到達した後、この用紙Sに対応するマゼンタのトナー像の現像が終了する。また、これに続いて、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをONからOFFに切り替える。これにより、用紙Sに対するマゼンタのトナー像の転写を終了する。また、この例では、用紙Sに対するマゼンタのトナー像の転写が終了するのに伴って、制御部100がロータリ現像装置14を駆動させ、現像位置に配置された現像器の切り替え(マゼンタの現像器14Mからシアンの現像器14Cへの切り替え)を行う。そして、制御部100は、感光体ドラム11に対するシアンのトナー像の形成を開始させる。
【0111】
ここで、転写ドラム21に転写バイアスが印加されている期間において、転写位置Trを、感光体ドラム11に形成されたマゼンタの画像(図9(n)に示すM)が通過することになり、また、用紙Sが2回目の通過を行う(図9(m)に示すS(2nd))ことになる。
【0112】
転写ドラム21の回転に伴って転写ドラム21の露出部21Cが転写位置Trを通過した後、転写ドラム21に把持されることで回転経路63内を移動する用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達する(3回目)。このとき、制御部100は、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上のシアンのトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13およびロータリ現像装置14の制御を行っている。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをOFFからONに切り替える。これにより、転写位置Trでは、用紙Sに対するシアンのトナー像の転写(3色目)が開始される。
【0113】
また、この例では、用紙Sの用紙後端が第1給紙位置P1に到達した後、この用紙Sに対応するシアンのトナー像の現像が終了する。また、これに続いて、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをONからOFFに切り替える。これにより、用紙Sに対するシアンのトナー像の転写を終了する。また、この例では、用紙Sに対するシアンのトナー像の転写が終了するのに伴って、制御部100がロータリ現像装置14を駆動させ、現像位置に配置された現像器の切り替え(シアンの現像器14Cから黒の現像器14Kへの切り替え)を行う。そして、制御部100は、感光体ドラム11に対する黒のトナー像の形成を開始させる。
【0114】
ここで、転写ドラム21に転写バイアスが印加されている期間において、転写位置Trを、感光体ドラム11に形成されたシアンの画像(図9(n)に示すC)が通過することになり、また、用紙Sが3回目の通過を行う(図9(m)に示すS(3rd))ことになる。
【0115】
転写ドラム21の回転に伴って転写ドラム21の露出部21Cが転写位置Trを通過した後、転写ドラム21に把持されることで回転経路63内を移動する用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達する(4回目)。このとき、制御部100は、転写ドラム21に把持された用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上の黒のトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13およびロータリ現像装置14の制御を行っている。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをOFFからONに切り替える。これにより、転写位置Trでは、用紙Sに対する黒のトナー像の転写(4色目)が開始される。
【0116】
また、この例では、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、制御部100が、先端グリッパ22を閉状態から開状態へと移行させる。これにより、用紙Sの用紙先端の把持が解除されることとなり、転写位置Trを通過した用紙Sは回転経路63から離れ、排紙経路64に沿って定着部40に向けて移動していく。この用紙Sが定着部40の定着ニップ部を通過していくことにより、用紙Sに重ね転写されたフルカラートナー像は、用紙Sに定着される。
【0117】
そして、この例では、用紙Sの用紙後端が第1給紙位置P1に到達した後、この用紙Sに対応する黒のトナー像の現像が終了する。また、これに続いて、用紙Sの用紙後端が待機位置に到達するのに合わせて、制御部100は、後端グリッパ23を閉状態から開状態へと移行させ、且つ、後端グリッパ23の回転を停止させる。これにより、用紙Sの用紙後端の把持が解除され、後端グリッパ23は再び待機位置で停止することになる。そして、制御部100は、用紙Sの用紙後端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをONからOFFに切り替える。これにより、用紙Sに対する黒のトナー像の転写を終了する。
その後、用紙Sは、定着部40を通過し、排紙経路64を介して排紙積載部3に積載される。
【0118】
ここで、転写ドラム21に転写バイアスが印加されている期間において、転写位置Trを、感光体ドラム11に形成された黒の画像(図9(n)に示すK)が通過することになり、また、第2用紙S2が4回目の通過を行う(図9(m)に示すS(4th))ことになる。
【0119】
[単色モード]
図10は、本実施の形態の画像形成装置1を用い、1枚の用紙S上に黒のモノクロ画像を形成する、『単色モード』におけるタイミングチャートの一例を示している。なお、図10に示す各符号、各構成要素の前提条件および初期状態は、図9を用いて説明した『多色モード』と同じである。
【0120】
単色モードでの画像形成動作の開始に伴い、制御部100は、感光体ドラム11および転写ドラム21の駆動をOFFからONに切り替えることで、感光体ドラム11を感光体周速度Vpで、また、転写ドラム21を転写周速度Vtで、それぞれ回転させる。このとき、感光体ドラム11および転写ドラム21は、互いに接触した状態で転写位置Trにおいて同じ方向に回転する。
【0121】
また、制御部100は、単色モードではカム82の駆動を行わず、第2供給位置Pbに供給調整部53をセットさせたままとする。
【0122】
さらに、単色モードにおいて黒の画像を形成する場合、制御部100は、現像位置に黒の現像器14Kが停止しているロータリ現像装置14を回転させることなく、帯電装置12、露光装置13および現像位置にある現像器(ここでは黒の現像器14K)を駆動させる。これに伴い、回転する感光体ドラム11の感光層が帯電装置12によって帯電された後、露光装置13による露光が行われることにより、感光体ドラム11には静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム11上に形成された静電潜像が黒の現像器14Kによって現像され、感光体ドラム11上には静電潜像に対応した黒のトナー像が形成される。その後、感光体ドラム11上に形成された黒のトナー像は、感光体ドラム11の更なる回転に伴い、転写位置Trに向かって移動していく。
【0123】
一方、単色モードでの画像形成動作の開始に対応して、制御部100は用紙供給部50から用紙Sの供給を行わせる。より具体的に説明すると、制御部100は、用紙収容部51に収容された用紙Sを、取り出しロール52によって取り出すことで第2給紙経路62内に進入させる。このとき、制御部100は、第1供給ロール53aの駆動をOFFのままとしており、第2給紙経路62内に進入してきた用紙Sの用紙先端は、第2供給位置Pbにセットされた供給調整部53における供給ニップ部Nの入口側に突き当たった状態で停止し、この用紙Sの斜行補正がなされる。そして、制御部100は、回転する転写ドラム21に取り付けられた先端グリッパ22が第2給紙位置P2に到達する際に、この用紙Sの用紙先端が第2給紙位置P2に到達するように、第1供給ロール53aの駆動をOFFからONに切り替えることで、第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bを供給周速度Vsで回転させる。これに伴い、用紙Sの供給が再開され、用紙Sは供給ニップ部Nを通過しつつ、第2給紙経路62を介して第2給紙位置P2に到達する。このとき、制御部100は、用紙Sの用紙先端が第2給紙位置P2に到達しても、先端グリッパ22を開状態のままとさせる。これにより、用紙Sの用紙先端側は、転写ドラム21に機械的に把持されない状態で回転経路63に沿って搬送され、この用紙Sの用紙後端側は、第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bによる供給ニップ部Nにてニップされた状態で、第1給紙経路61に沿って搬送されることになる。
【0124】
次に、第2給紙位置P2を通過した用紙Sの用紙先端は、待機位置にて停止状態を維持する後端グリッパ23をくぐり抜けることなく転写位置Trに到達する(1回目)。このとき、制御部100は、この用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上の黒のトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13の制御を行っている。そして、制御部100は、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをOFFからONに切り替える。これにより、転写位置Trでは、用紙Sに対する黒のトナー像の転写(1色目)が開始される。また、転写位置Trを通過した用紙Sは、排紙経路64に沿って定着部40に向けて移動する。この用紙Sが定着ニップ部を通過していくことにより、用紙Sに転写された黒のトナー像は、用紙Sに定着される。
【0125】
さらに、この例では、用紙Sの用紙先端が転写位置Trに到達した後、この用紙Sの用紙後端が供給ニップ部Nを通過し、さらに第2給紙位置P2を通過する。このとき、制御部100は、用紙Sの用紙後端が供給ニップ部Nを通過した後に、第1供給ロール53aの駆動をONからOFFに切り替えることで、第1供給ロール53aおよび第2供給ロール53bの回転を停止させる。
【0126】
さらにまた、この例では、用紙Sの用紙後端が供給ニップ部Nを通過した後、この用紙Sに対する黒のトナー像の現像が終了する。また、これに続いて、用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過する。そして、制御部100は、用紙Sの用紙後端が転写位置Trを通過するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをONからOFFに切り替える。これにより、用紙Sに対する黒のトナー像の転写を終了する。
その後、用紙Sは、定着部40を通過し、排紙経路64を介して排紙積載部3に積載される。
【0127】
ここで、転写ドラム21に転写バイアスが印加されている期間において、転写位置Trを、感光体ドラム11に形成された黒の画像(図10(n)に示すK)が通過することになり、また、用紙Sが1回目の通過を行う(図10(m)に示すS(1st))ことになる。
【0128】
このように、単色モードでは、多色モードとは異なり、先端グリッパ22、後端グリッパ23を用いた用紙Sの把持、および、後端グリッパ23の回転駆動を行わない。ただし、転写ドラム21に露出部21Cが設けられていることから、転写ドラム21の第2給紙位置P2に対する用紙Sの供給は、先端グリッパ22が第2給紙位置P2に到達するタイミングを基準として行う。この理由は、転写位置Trを用紙Sが通過するタイミングと、転写位置Trを転写ドラム21の露出部21Cが通過するタイミングとが重ならないようにするためである。
【符号の説明】
【0129】
1…画像形成装置、2…筐体、10…画像形成部、11…感光体ドラム、12…帯電装置、13…露光装置、14…ロータリ現像装置、15…清掃装置、16…単色現像器、20…第1転写部、21…転写ドラム、22…先端グリッパ、23…後端グリッパ、25…位相センサ、26…転写ドラム用フレーム、30…第2転写部、31…転写ロール、32…転写ロール用フレーム、40…定着部、50…用紙供給部、51…用紙収容部、52…取り出しロール、53…供給調整部、61…第1給紙経路、62…第2給紙経路、63…回転経路、64…排紙経路、70…圧縮バネ、80…位置決め機構、81…圧縮バネ、82…カム、82a…カム軸、100…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成部と、
回転可能に設けられ、前記画像形成部によって形成された画像を保持する像保持体と、
前記像保持体に対向して回転可能に設けられ、当該像保持体に形成された画像を、当該像保持体と対向する転写位置において当該像保持体との間に挟み込んだ記録材に転写する転写部材と、
前記記録材を挟み込んで搬送するとともに、前記転写部材の外周面に向けて当該記録材を供給する供給部材とを含み、
前記転写部材が、外周面に前記記録材を保持する機能を有する第1転写部材と、外周面に当該記録材を保持する機能を有しない第2転写部材とに交換可能であって、
前記転写部材として前記第1転写部材を用いる場合に、前記供給部材を第1の位置に設定し、当該転写部材として前記第2転写部材を用いる場合に、当該供給部材から送り出される前記記録材の向きが当該第1の位置とは異なる第2の位置に設定する設定手段をさらに含むこと
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記転写部材として前記第1転写部材を含む第1転写ユニットが取り付けられたことに連動して、前記供給部材を前記第1の位置に位置決めすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記転写部材として前記第2転写部材を含む第2転写ユニットが取り付けられたことに連動して、前記供給部材を前記第2の位置に位置決めすることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部が、前記像保持体に複数色の画像を色毎に順次形成する第1画像形成部と当該像保持体に単色の画像を形成する第2画像形成部とに交換可能であって、
前記転写部材として前記第1転写部材を用いる場合には、前記画像形成部として前記第1画像形成部を用い、
前記転写部材として前記第2転写部材を用いる場合には、前記画像形成部として前記第2画像形成部を用いること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記供給部材は、前記記録材を挟んで搬送する一対の回転部材で構成され、
前記一対の回転部材が、当該一対の回転部材のうちの一方の回転部材を中心として回転可能に設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1転写部材の径が前記像保持体の径よりも大きく、且つ、前記第2転写部材の径が当該像保持体の径よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項7】
単色の画像を形成しまたは複数色の画像を色毎に順次形成する画像形成手段と、
回転可能に設けられ、前記画像形成手段によって形成された画像を保持する像保持体と、
外周面に記録材を把持する機能を有するとともに前記像保持体に対向して回転可能に設けられ、当該像保持体に形成された画像を、当該像保持体と対向する転写位置において当該像保持体との間に挟み込んだ記録材に転写する転写部材と、
前記記録材を挟み込んで搬送するとともに、前記転写部材の外周面に向けて当該記録材を供給する供給部材と、
前記画像形成手段が複数の色の画像を色毎に順次形成する多色モードと、当該画像形成手段が単色の画像を形成する単色モードとで、前記転写部材に対する前記記録材の到達位置が変わるように、前記供給部材の位置を変更する変更手段と
を含む画像形成装置。
【請求項8】
前記変更手段は、前記多色モードでの前記到達位置から前記転写位置に至る距離が、前記単色モードでの当該到達位置から当該転写位置に至る距離よりも長くなるように、当該多色モードおよび当該単色モードのそれぞれにおける前記供給部材の位置を設定することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記供給部材は、前記記録材を挟んで搬送する一対の回転部材で構成され、
前記一対の回転部材が、当該一対の回転部材のうちの一方の回転部材を中心として回転可能に設けられることを特徴とする請求項7または8記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−185305(P2012−185305A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48115(P2011−48115)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】