画像復号装置
【課題】 復号化と同時に輝度色差フォーマットを変換する。
【解決手段】
ハフマン復号手段100は、入力される符号化データを8×8のブロック毎にハフマン復号し、逆量子化手段101がブロック毎に逆量子化処理を施す。逆量子化手段101の出力信号のうちの輝度信号に関しては、逆直交変換手段102が8×8画素から8×8画素に通常の逆直交変換処理を行い、フレームバッファ104に出力する。逆量子化手段101の出力信号のうちの色差信号に対しては、位相ずれ逆直交変換手段103が、8×8画素から8×16画素に位相をずらした逆直交変換処理を行う。
【解決手段】
ハフマン復号手段100は、入力される符号化データを8×8のブロック毎にハフマン復号し、逆量子化手段101がブロック毎に逆量子化処理を施す。逆量子化手段101の出力信号のうちの輝度信号に関しては、逆直交変換手段102が8×8画素から8×8画素に通常の逆直交変換処理を行い、フレームバッファ104に出力する。逆量子化手段101の出力信号のうちの色差信号に対しては、位相ずれ逆直交変換手段103が、8×8画素から8×16画素に位相をずらした逆直交変換処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像復号装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データのフォーマットの一つである輝度色差フォーマットには、4:2:0、4:2:2及び4:4:4等の輝度信号と色差信号の成分の割合と、一致型配置及び中心型配置等の輝度信号と色差信号の位置関係とによって様々なフォーマットが存在する。
【0003】
また、数多くの画像符号化方式が考案・運用されており、画像データの表示又は画像合成の際には、輝度色差フォーマットで符号化された符号データを復号し、異なる輝度色差フォーマットに変換する状況が頻繁に起こる。
【0004】
輝度色差フォーマット変換は、一般に線形補間により実現される。例えば、4:2:0の一致型配置の輝度指色差フォーマットを4:2:2の一致型配置の輝度色差フォーマットに変換する場合、図15に示すように、上下画素の平均値を補間値として算出する。
【0005】
また、4:2:0の一致型配置の輝度色差フォーマットを4:2:0の中心型配置の輝度色差フォーマットに変換する場合、図16に示すように、隣接する4画素への距離に比例した係数を用いて補間値を算出する。
【0006】
以下、輝度色差フォーマット変換を伴う従来の復号処理方法の一例を説明する。図12は、輝度色差フォーマット変換を伴う従来の画像復号装置の概略構成ブロック図を示す。画像復号手段500は、入力される符号化データを復号し、復号された1フレーム分の画像データをフレームバッファ501に出力する。その後、線形補間手段502が、フレームバッファ501の画像データを入力として色差信号に対して線形補間することで所望の輝度色差フォーマットに変換し、フレームバッファ503に1フレーム分の画像データを出力する。
【0007】
以上のような構成では、1フレーム分の遅延が発生するだけでなく、メモリアクセス回数や演算量が多くなる。ハードウエアで実現する場合は回路規模が大きくなり、ソフトウエアで実現する場合は処理負荷が大きいという問題があった。
【0008】
これに対して、以下に説明するような構成が提案された(特許文献1参照)。
【0009】
図13は、輝度色差フォーマット変換を伴うJPEG復号装置の概略構成ブロック図を示す。ハフマン復号手段600は、入力符号化データを8×8のブロック毎にハフマン復号し、逆量子化手段601はブロック毎に逆量子化処理を施し、逆直交変換602はブロック毎に逆直交変換処理を施す。その後、線形補間手段603が、入力された色差信号ブロックに対して新たに必要な隣接画素のみをフレームバッファ604から参照し、線形補間する。これにより、復号された画像データは、所望の輝度色差フォーマットに変換される。線形補間手段603は必要な画素にデータを補間した画像データをフレームバッファ604に出力する。この一連の処理を1フレーム分行って、画像データを出力する。
【0010】
図14は、輝度色差フォーマット変換を伴うMPEG復号装置の概略構成ブロック図を示す。ハフマン復号手段700は、入力符号化データを8×8のブロック毎にハフマン復号し、逆量子化手段701がブロック毎に逆量子化処理を施し、逆直交変換装置702がブロック毎に逆直交変換処理を施す。その後、線形補間手段703が、入力された色差信号ブロックに対して新たに必要な隣接画素のみをフレームバッファ705から参照し、線形補間する。動き補償処理装置704は、輝度色差フォーマット変換された画像データのノンイントラブロックに対してフレームバッファ705からの参照データを用いて動き補償処理を施し、フレームバッファ705に出力する。この一連の処理を1フレーム分行って、画像データを出力する。これにより、復号された画像データは、所望の輝度色差フォーマットで出力される。
【特許文献1】特開2001−320708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
最初の従来例では、前述したように、1フレーム分の遅延が発生するだけでなく、メモリアクセス回数や演算量が多く、ハードウエアで実現する場合は回路規模が大きくなり、ソフトウエアで実現する場合は処理負荷が大きい問題がある。
【0012】
第2及び第3の従来例では、ブロック単位で処理することにより、メモリアクセス回数が減り、特にキャッシュを用いてソフトウエアで実現する場合に効果が上がり、処理負荷を低減できる。
【0013】
しかし、線形補間に必要な隣接画素についてはメモリアクセスを伴うので、メモリアクセス回数を十分に低減できなかったり、又は、専用のバッファを必要とし、メモリ量が増大するという問題がある。
【0014】
また、復号処理と線形補間処理の演算量自体は第1の従来例と同等であるので、処理負荷の低減が十分でない。
【0015】
本発明は、このような不都合を解消した画像復号装置を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る画像復号装置は、直交変換を有する画像圧縮方式で圧縮された第1の輝度色差フォーマットの画像データを復号し、当該第1の輝度色差フォーマットとは異なる第2の輝度色差フォーマットで出力する画像復号装置であって、当該第1の輝度色差フォーマットの直交変換された輝度データを逆直交変換し、当該第2の輝度色差フォーマットの輝度データを出力する輝度データ用逆直交変換手段と、当該第1の輝度色差フォーマットの直交変換された色差データを逆直交変換し、当該第2の輝度色差フォーマットの色差データを出力する色差データ用逆直交変換手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、復号処理内に存在する逆直交変換処理において大きさと位置を加味した逆直交変換処理を行うことで、線形補間することなく、演算量を大幅に低減できる。また、ブロック毎に処理し、かつ隣接画素も参照しないため、メモリアクセス回数を大幅に低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
静止画圧縮手法として多用されるJPEG符号化データを復号する場合に、4:2:0の一致型配置の輝度色差フォーマットを4:2:2の一致型配置の輝度色差フォーマットに変換する実施例を説明する。図1は、本発明のその実施例の概略構成ブロック図を示す。
【0020】
ハフマン復号手段100は、入力される符号化データを8×8のブロック毎にハフマン復号し、逆量子化手段101がブロック毎に逆量子化処理を施す。逆量子化手段101の出力信号のうちの輝度信号に関しては、逆直交変換手段102が8×8画素から8×8画素に通常の逆直交変換処理を行い、フレームバッファ104に出力する。逆量子化手段101の出力信号のうちの色差信号に対しては、位相ずれ逆直交変換手段103が、8×8画素から8×16画素に位相をずらした逆直交変換処理を行うことで、所望の輝度色差フォーマットになるような逆直交変換処理を施し、フレームバッファ104に出力する。この一連の処理が1フレーム分行われると、輝度色差フォーマットを変換された1フレームの画像データを得ることが出来る。
【0021】
図2乃至図6を参照して、逆直交変換と輝度色差フォーマット変換を同時に行う様子を説明する。
【0022】
逆直交変換時の画像の拡大方法として、一般に、高周波領域へのゼロ挿入という方法がある。これは、周波数領域の係数の高周波成分にゼロを挿入し、本来のタップ数とは異なるタップ数で逆直交変換を行うことにより、拡大画像を得る方法である。例えば、垂直方向に2倍に拡大する場合、図2に示す式で表現される通常の逆直交変換に対し、図3に示す式で表現される処理を用いる。本実施例の場合、これを4:2:0の一致型配置の色差信号に適用すると、輝度信号と色差信号の位置関係は図5に示すようになり、4:2:2の一致型配置の輝度色差フォーマットにはならない。
【0023】
そこでさらに、逆直交変換のインデックスを変更して、画像の位置を所望の位置に変更する方法を用いる。これは、インデックスを変更することで逆直交変換における位相をずらし、逆直交変換後の画像の位置を変更する方法である。本実施例では、図3に示す式のインデクックスを図4に示す式に変更することで、図6に示すように、4:2:0の一致型配置から4:2:2の一致型配置の色差信号用の逆直交変換を実現する。
【0024】
以上のように、色差信号に対し通常の逆直交変換のインデックスを変形させ、タップ数と位相の異なる逆直交変換を適用することにより、所望の輝度色差フォーマットを得ることができる。
【0025】
このように、本実施例では、輝度信号に対する逆直交変換手段102の8×8画素から8×8画素への通常の逆直交変換では、図2に示す式で表現される処理を行い、色差信号を対象とした位相ずれ逆直交変換手段103では、図4に示す式で表現される処理を行うことで、4:2:2の一致型配置の輝度色差フォーマットを得ることができる。
【0026】
また、本実施例では、逆直交変換時の画像の拡大方法として、高周波領域にゼロを挿入する方法を用いたが、高周波領域に有意係数を付加して逆直交変換する方法を用いてもよい。
【実施例2】
【0027】
次に、動画圧縮手法として多用されるMPEG符号化データを復号し、4:2:0の一致型配置の輝度指色差フォーマットを4:4:4の一致型配置の輝度指色差フォーマットに変換する実施例を説明する。図7は、第2実施例である画像復号装置の概略構成ブロック図を示す。
【0028】
ハフマン復号手段300は、入力符号化データを8×8画素のブロック毎にハフマン復号し、逆量子化手段301は、ブロック毎に逆量子化処理を施す。逆量子化手段301の出力信号のうちの輝度信号に関して、逆直交変換手段302が、8×8画素から8×8画素への通常の逆直交変換処理を施す。逆量子化手段301の出力信号のうちの色差信号に関して、位相ずれ逆直交変換手段303が、8×8画素から16×16画素への位相をずらした逆直交変換処理を行う。このような処理により、所望の輝度色差フォーマットに変換できる。動き補償処理手段304が、ノンイントラブロックに対してフレームバッファ305からの参照データを用いて動き補償処理を施し、フレームバッファ305に出力する。この一連の処理が1フレーム分行われると、輝度色差フォーマットを変換された1フレームの画像データを得ることが出来る。
【0029】
図8乃至図11を参照して、逆直交変換と輝度色差フォーマット変換を同時に行う様子を説明する。
【0030】
逆直交変換時の画像の拡大方法として、先に説明したように、高周波領域へのゼロ挿入という方法がある。これは、周波数領域の係数の高周波成分にゼロを挿入し、本来のタップ数とは異なるタップ数で逆直交変換を行うことにより、拡大画像を得る方法である。水平・垂直方向に2倍に拡大する場合、図2に示す式で表現される通常の逆直交変換に対し、図8に示す式で表現される処理を用いることになる。本実施例の場合、これを4:2:0の一致型配置の色差信号に適用すると、輝度信号と色差信号の位置関係は、図10に示すようになり、4:4:4の一致型配置の輝度色差フォーマットにはならない。
【0031】
そこでさらに、逆直交変換のインデックスを変更することにより画像の位置を所望の位置に変更する方法を用いる。これは、インデクスを変更することで、逆直交変換における位相をずらし、逆直交変換後の画像の位置を変更する方法である。本実施例では、図8に示す式のインデクッスを図9に示す式に変更することで、図11に示すように4:2:0の一致型配置から4:4:4の一致型配置への色差信号用の逆直交変換となる。
【0032】
以上のように、色差信号に対し通常の逆直交変換のインデックスを変形させ、タップ数と位相の異なる逆直交変換を適用することにより、所望の輝度色差フォーマットを得ることができる。
【0033】
本実施例では、輝度信号を対象とした逆直交変換手段302のような通常の逆直交変換では、図2に示す式で表現される処理を行い、色差信号を対象とした位相ずれ逆直交変換手段103では、図9に示す式で表現される処理を行うことで、4:4:4の一致型配置の輝度色差フォーマットを得ることができる。
【0034】
また、本実施例では、逆直交変換時の画像の拡大方法として、高周波領域にゼロを挿入する方法を説明したが、高周波領域に有意係数を付加して逆直交変換する方法を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施例の概略構成ブロック図である。
【図2】通常の逆直交変換式である。
【図3】垂直方向に2倍する場合の、色差信号に適用する逆直交変換式である。
【図4】第1実施例で色差信号に適用する逆直交変換式である。
【図5】第1実施例の動作説明図である。
【図6】第1実施例の別の動作説明図である。
【図7】本発明の第2実施例の概略構成ブロック図である。
【図8】垂直方向に2倍する場合の、色差信号に適用する逆直交変換式である。
【図9】第2実施例で色差信号に適用する逆直交変換式である。
【図10】第2の実施例の動作説明図である。
【図11】第2実施例の別の動作説明図である。
【図12】第1の従来例の概略構成ブロック図である。
【図13】第2の従来例の概略構成ブロック図である。
【図14】第3の従来例の概略構成ブロック図である。
【図15】従来例の動作説明図1である。
【図16】従来例の動作説明図2である。
【符号の説明】
【0036】
100,300,600,700:ハフマン復号手段
500:復号手段
101,301,601,701:逆量子化手段
102,302,602,702:逆直交変換手段
103,303:位相ずれ逆直交変換手段
502, 603,703:線形補間手段
104,305,501, 503, 604,705:フレームバッファ
304,704:動き補償手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像復号装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データのフォーマットの一つである輝度色差フォーマットには、4:2:0、4:2:2及び4:4:4等の輝度信号と色差信号の成分の割合と、一致型配置及び中心型配置等の輝度信号と色差信号の位置関係とによって様々なフォーマットが存在する。
【0003】
また、数多くの画像符号化方式が考案・運用されており、画像データの表示又は画像合成の際には、輝度色差フォーマットで符号化された符号データを復号し、異なる輝度色差フォーマットに変換する状況が頻繁に起こる。
【0004】
輝度色差フォーマット変換は、一般に線形補間により実現される。例えば、4:2:0の一致型配置の輝度指色差フォーマットを4:2:2の一致型配置の輝度色差フォーマットに変換する場合、図15に示すように、上下画素の平均値を補間値として算出する。
【0005】
また、4:2:0の一致型配置の輝度色差フォーマットを4:2:0の中心型配置の輝度色差フォーマットに変換する場合、図16に示すように、隣接する4画素への距離に比例した係数を用いて補間値を算出する。
【0006】
以下、輝度色差フォーマット変換を伴う従来の復号処理方法の一例を説明する。図12は、輝度色差フォーマット変換を伴う従来の画像復号装置の概略構成ブロック図を示す。画像復号手段500は、入力される符号化データを復号し、復号された1フレーム分の画像データをフレームバッファ501に出力する。その後、線形補間手段502が、フレームバッファ501の画像データを入力として色差信号に対して線形補間することで所望の輝度色差フォーマットに変換し、フレームバッファ503に1フレーム分の画像データを出力する。
【0007】
以上のような構成では、1フレーム分の遅延が発生するだけでなく、メモリアクセス回数や演算量が多くなる。ハードウエアで実現する場合は回路規模が大きくなり、ソフトウエアで実現する場合は処理負荷が大きいという問題があった。
【0008】
これに対して、以下に説明するような構成が提案された(特許文献1参照)。
【0009】
図13は、輝度色差フォーマット変換を伴うJPEG復号装置の概略構成ブロック図を示す。ハフマン復号手段600は、入力符号化データを8×8のブロック毎にハフマン復号し、逆量子化手段601はブロック毎に逆量子化処理を施し、逆直交変換602はブロック毎に逆直交変換処理を施す。その後、線形補間手段603が、入力された色差信号ブロックに対して新たに必要な隣接画素のみをフレームバッファ604から参照し、線形補間する。これにより、復号された画像データは、所望の輝度色差フォーマットに変換される。線形補間手段603は必要な画素にデータを補間した画像データをフレームバッファ604に出力する。この一連の処理を1フレーム分行って、画像データを出力する。
【0010】
図14は、輝度色差フォーマット変換を伴うMPEG復号装置の概略構成ブロック図を示す。ハフマン復号手段700は、入力符号化データを8×8のブロック毎にハフマン復号し、逆量子化手段701がブロック毎に逆量子化処理を施し、逆直交変換装置702がブロック毎に逆直交変換処理を施す。その後、線形補間手段703が、入力された色差信号ブロックに対して新たに必要な隣接画素のみをフレームバッファ705から参照し、線形補間する。動き補償処理装置704は、輝度色差フォーマット変換された画像データのノンイントラブロックに対してフレームバッファ705からの参照データを用いて動き補償処理を施し、フレームバッファ705に出力する。この一連の処理を1フレーム分行って、画像データを出力する。これにより、復号された画像データは、所望の輝度色差フォーマットで出力される。
【特許文献1】特開2001−320708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
最初の従来例では、前述したように、1フレーム分の遅延が発生するだけでなく、メモリアクセス回数や演算量が多く、ハードウエアで実現する場合は回路規模が大きくなり、ソフトウエアで実現する場合は処理負荷が大きい問題がある。
【0012】
第2及び第3の従来例では、ブロック単位で処理することにより、メモリアクセス回数が減り、特にキャッシュを用いてソフトウエアで実現する場合に効果が上がり、処理負荷を低減できる。
【0013】
しかし、線形補間に必要な隣接画素についてはメモリアクセスを伴うので、メモリアクセス回数を十分に低減できなかったり、又は、専用のバッファを必要とし、メモリ量が増大するという問題がある。
【0014】
また、復号処理と線形補間処理の演算量自体は第1の従来例と同等であるので、処理負荷の低減が十分でない。
【0015】
本発明は、このような不都合を解消した画像復号装置を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る画像復号装置は、直交変換を有する画像圧縮方式で圧縮された第1の輝度色差フォーマットの画像データを復号し、当該第1の輝度色差フォーマットとは異なる第2の輝度色差フォーマットで出力する画像復号装置であって、当該第1の輝度色差フォーマットの直交変換された輝度データを逆直交変換し、当該第2の輝度色差フォーマットの輝度データを出力する輝度データ用逆直交変換手段と、当該第1の輝度色差フォーマットの直交変換された色差データを逆直交変換し、当該第2の輝度色差フォーマットの色差データを出力する色差データ用逆直交変換手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、復号処理内に存在する逆直交変換処理において大きさと位置を加味した逆直交変換処理を行うことで、線形補間することなく、演算量を大幅に低減できる。また、ブロック毎に処理し、かつ隣接画素も参照しないため、メモリアクセス回数を大幅に低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
静止画圧縮手法として多用されるJPEG符号化データを復号する場合に、4:2:0の一致型配置の輝度色差フォーマットを4:2:2の一致型配置の輝度色差フォーマットに変換する実施例を説明する。図1は、本発明のその実施例の概略構成ブロック図を示す。
【0020】
ハフマン復号手段100は、入力される符号化データを8×8のブロック毎にハフマン復号し、逆量子化手段101がブロック毎に逆量子化処理を施す。逆量子化手段101の出力信号のうちの輝度信号に関しては、逆直交変換手段102が8×8画素から8×8画素に通常の逆直交変換処理を行い、フレームバッファ104に出力する。逆量子化手段101の出力信号のうちの色差信号に対しては、位相ずれ逆直交変換手段103が、8×8画素から8×16画素に位相をずらした逆直交変換処理を行うことで、所望の輝度色差フォーマットになるような逆直交変換処理を施し、フレームバッファ104に出力する。この一連の処理が1フレーム分行われると、輝度色差フォーマットを変換された1フレームの画像データを得ることが出来る。
【0021】
図2乃至図6を参照して、逆直交変換と輝度色差フォーマット変換を同時に行う様子を説明する。
【0022】
逆直交変換時の画像の拡大方法として、一般に、高周波領域へのゼロ挿入という方法がある。これは、周波数領域の係数の高周波成分にゼロを挿入し、本来のタップ数とは異なるタップ数で逆直交変換を行うことにより、拡大画像を得る方法である。例えば、垂直方向に2倍に拡大する場合、図2に示す式で表現される通常の逆直交変換に対し、図3に示す式で表現される処理を用いる。本実施例の場合、これを4:2:0の一致型配置の色差信号に適用すると、輝度信号と色差信号の位置関係は図5に示すようになり、4:2:2の一致型配置の輝度色差フォーマットにはならない。
【0023】
そこでさらに、逆直交変換のインデックスを変更して、画像の位置を所望の位置に変更する方法を用いる。これは、インデックスを変更することで逆直交変換における位相をずらし、逆直交変換後の画像の位置を変更する方法である。本実施例では、図3に示す式のインデクックスを図4に示す式に変更することで、図6に示すように、4:2:0の一致型配置から4:2:2の一致型配置の色差信号用の逆直交変換を実現する。
【0024】
以上のように、色差信号に対し通常の逆直交変換のインデックスを変形させ、タップ数と位相の異なる逆直交変換を適用することにより、所望の輝度色差フォーマットを得ることができる。
【0025】
このように、本実施例では、輝度信号に対する逆直交変換手段102の8×8画素から8×8画素への通常の逆直交変換では、図2に示す式で表現される処理を行い、色差信号を対象とした位相ずれ逆直交変換手段103では、図4に示す式で表現される処理を行うことで、4:2:2の一致型配置の輝度色差フォーマットを得ることができる。
【0026】
また、本実施例では、逆直交変換時の画像の拡大方法として、高周波領域にゼロを挿入する方法を用いたが、高周波領域に有意係数を付加して逆直交変換する方法を用いてもよい。
【実施例2】
【0027】
次に、動画圧縮手法として多用されるMPEG符号化データを復号し、4:2:0の一致型配置の輝度指色差フォーマットを4:4:4の一致型配置の輝度指色差フォーマットに変換する実施例を説明する。図7は、第2実施例である画像復号装置の概略構成ブロック図を示す。
【0028】
ハフマン復号手段300は、入力符号化データを8×8画素のブロック毎にハフマン復号し、逆量子化手段301は、ブロック毎に逆量子化処理を施す。逆量子化手段301の出力信号のうちの輝度信号に関して、逆直交変換手段302が、8×8画素から8×8画素への通常の逆直交変換処理を施す。逆量子化手段301の出力信号のうちの色差信号に関して、位相ずれ逆直交変換手段303が、8×8画素から16×16画素への位相をずらした逆直交変換処理を行う。このような処理により、所望の輝度色差フォーマットに変換できる。動き補償処理手段304が、ノンイントラブロックに対してフレームバッファ305からの参照データを用いて動き補償処理を施し、フレームバッファ305に出力する。この一連の処理が1フレーム分行われると、輝度色差フォーマットを変換された1フレームの画像データを得ることが出来る。
【0029】
図8乃至図11を参照して、逆直交変換と輝度色差フォーマット変換を同時に行う様子を説明する。
【0030】
逆直交変換時の画像の拡大方法として、先に説明したように、高周波領域へのゼロ挿入という方法がある。これは、周波数領域の係数の高周波成分にゼロを挿入し、本来のタップ数とは異なるタップ数で逆直交変換を行うことにより、拡大画像を得る方法である。水平・垂直方向に2倍に拡大する場合、図2に示す式で表現される通常の逆直交変換に対し、図8に示す式で表現される処理を用いることになる。本実施例の場合、これを4:2:0の一致型配置の色差信号に適用すると、輝度信号と色差信号の位置関係は、図10に示すようになり、4:4:4の一致型配置の輝度色差フォーマットにはならない。
【0031】
そこでさらに、逆直交変換のインデックスを変更することにより画像の位置を所望の位置に変更する方法を用いる。これは、インデクスを変更することで、逆直交変換における位相をずらし、逆直交変換後の画像の位置を変更する方法である。本実施例では、図8に示す式のインデクッスを図9に示す式に変更することで、図11に示すように4:2:0の一致型配置から4:4:4の一致型配置への色差信号用の逆直交変換となる。
【0032】
以上のように、色差信号に対し通常の逆直交変換のインデックスを変形させ、タップ数と位相の異なる逆直交変換を適用することにより、所望の輝度色差フォーマットを得ることができる。
【0033】
本実施例では、輝度信号を対象とした逆直交変換手段302のような通常の逆直交変換では、図2に示す式で表現される処理を行い、色差信号を対象とした位相ずれ逆直交変換手段103では、図9に示す式で表現される処理を行うことで、4:4:4の一致型配置の輝度色差フォーマットを得ることができる。
【0034】
また、本実施例では、逆直交変換時の画像の拡大方法として、高周波領域にゼロを挿入する方法を説明したが、高周波領域に有意係数を付加して逆直交変換する方法を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施例の概略構成ブロック図である。
【図2】通常の逆直交変換式である。
【図3】垂直方向に2倍する場合の、色差信号に適用する逆直交変換式である。
【図4】第1実施例で色差信号に適用する逆直交変換式である。
【図5】第1実施例の動作説明図である。
【図6】第1実施例の別の動作説明図である。
【図7】本発明の第2実施例の概略構成ブロック図である。
【図8】垂直方向に2倍する場合の、色差信号に適用する逆直交変換式である。
【図9】第2実施例で色差信号に適用する逆直交変換式である。
【図10】第2の実施例の動作説明図である。
【図11】第2実施例の別の動作説明図である。
【図12】第1の従来例の概略構成ブロック図である。
【図13】第2の従来例の概略構成ブロック図である。
【図14】第3の従来例の概略構成ブロック図である。
【図15】従来例の動作説明図1である。
【図16】従来例の動作説明図2である。
【符号の説明】
【0036】
100,300,600,700:ハフマン復号手段
500:復号手段
101,301,601,701:逆量子化手段
102,302,602,702:逆直交変換手段
103,303:位相ずれ逆直交変換手段
502, 603,703:線形補間手段
104,305,501, 503, 604,705:フレームバッファ
304,704:動き補償手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交変換を有する画像圧縮方式で圧縮された第1の輝度色差フォーマットの画像データを復号し、当該第1の輝度色差フォーマットとは異なる第2の輝度色差フォーマットで出力する画像復号装置であって、
当該第1の輝度色差フォーマットの直交変換された輝度データを逆直交変換し、当該第2の輝度色差フォーマットの輝度データを出力する輝度データ用逆直交変換手段と、
当該第1の輝度色差フォーマットの直交変換された色差データを逆直交変換し、当該第2の輝度色差フォーマットの色差データを出力する色差データ用逆直交変換手段
とを具備することを特徴とする画像復号装置。
【請求項2】
前記色差データ用逆直交変換手段が、ゼロ挿入による逆直交変換を利用することを特徴とする請求項1に記載の輝度色差フォーマット変換を伴う画像復号装置。
【請求項3】
前記色差データ用逆直交変換手段が、画素位置を変更する逆直交変換を利用することを特徴とする請求項1又は2に記載の輝度色差フォーマット変換を伴う画像復号装置。
【請求項4】
更に、ハフマン復号化手段と、当該ハフマン復号化手段の出力を逆量子化する逆量子化手段とを具備し、
当該逆量子化手段の出力の内の輝度成分が当該輝度データ用逆直交変換手段に印加され、当該逆量子化手段の出力の内の色差成分が当該色差データ用逆直交変換手段に印加されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像復号装置。
【請求項1】
直交変換を有する画像圧縮方式で圧縮された第1の輝度色差フォーマットの画像データを復号し、当該第1の輝度色差フォーマットとは異なる第2の輝度色差フォーマットで出力する画像復号装置であって、
当該第1の輝度色差フォーマットの直交変換された輝度データを逆直交変換し、当該第2の輝度色差フォーマットの輝度データを出力する輝度データ用逆直交変換手段と、
当該第1の輝度色差フォーマットの直交変換された色差データを逆直交変換し、当該第2の輝度色差フォーマットの色差データを出力する色差データ用逆直交変換手段
とを具備することを特徴とする画像復号装置。
【請求項2】
前記色差データ用逆直交変換手段が、ゼロ挿入による逆直交変換を利用することを特徴とする請求項1に記載の輝度色差フォーマット変換を伴う画像復号装置。
【請求項3】
前記色差データ用逆直交変換手段が、画素位置を変更する逆直交変換を利用することを特徴とする請求項1又は2に記載の輝度色差フォーマット変換を伴う画像復号装置。
【請求項4】
更に、ハフマン復号化手段と、当該ハフマン復号化手段の出力を逆量子化する逆量子化手段とを具備し、
当該逆量子化手段の出力の内の輝度成分が当該輝度データ用逆直交変換手段に印加され、当該逆量子化手段の出力の内の色差成分が当該色差データ用逆直交変換手段に印加されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像復号装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−203279(P2006−203279A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9781(P2005−9781)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]