説明

画像記録装置及び画像記録装置の駆動方法

【課題】 記録前に、設定中の記録モードで画像を記録した場合の再生画像の画質を予め確認できる画質確認機能を有し、かつ、画質確認機能の付加による回路規模の増大や画質確認機能の実行による消費電力の増加が抑制された画像記録装置および画像記録装置の駆動方法を提供する。
【解決手段】 ユーザインターフェイス3の画質確認開始操作キーが操作されると、制御部4は、符号器5のうち、データ圧縮部51の少なくとも一部とローカルデコーダとを駆動状態に制御する。また、読み出し/表示制御部7は、フレームメモリ27に格納された画像を読み出して、表示部8に表示する。ユーザインターフェイス3の画質調整ボタンの操作に応じて、符号器5で用いられる符号化パラメータが変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像記録装置及び画像記録装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在普及しているカムコーダなどの画像記録装置は、一般的に、ユーザによって選択された記録モードで記録が行われるようになっている。記録モードの違いは、デジタル画像データの圧縮率の違いであり、低い圧縮率で記録されたときほど、その再生画像は高画質になる。一方で、圧縮率を高くするほどデータ量は少なくなるために、より長時間の動画を一つの記録媒体に記録できることになる。よって、ユーザは、記録する画像の種類や重要度や記録時間を考慮して記録モードを選択すればよい。
【0003】
ところで、現存する画像記録装置には、選択された記録モードで記録した場合に再生画像の画質がどのようになるかを事前に確認できる機能を有するものはなく、画質を確認するためには、「撮影して記録する」「記録されたデータを特定する」「特定したデータを再生する」といった一連の操作を行わなければない。このような操作の煩雑さからユーザは、画質を確認せずに撮影し、後に鑑賞して初めて、想定していたよりも画質が悪いと感じることが珍しくなかった。
【0004】
このような問題点に着目した技術として、特許文献1に、画質確認機能を有する画像記録装置(デジタルVTR)が開示されている。この文献に記載の画像記録装置では、画質確認時に記録媒体には記録をしない撮影を行って、記録媒体以外のメモリに画像データを一旦格納する。そして、その画像データを所定単位で読み出して、順次、符号化・復号化処理して1フレーム分の画像データを取得し、表示部に表示するようになっている。
【特許文献1】特開2003−52016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、圧縮方式にMPEG(Moving Picture Experts Group)を採用した画像記録装置では、小型化や低コスト化を図るために、符号器のローカルデコーダを復号器の一部として用いることが一般的になっている。このように、符号器と復号器とでその構成の一部が共用されている場合には、符号化処理と復号化処理とを並行して行えないために、符号化処理後のデータを一旦記録媒体等に格納して、読み出して復号化処理することになり、符号化・復号化処理時間が長くなる。また、この処理を行うための制御も煩雑になる。データ処理時間が長くなると、カメラで撮影されてから画像が表示部に表示されるまでの遅延時間が長くなるため好ましくない。
【0006】
この遅延時間を短縮するためには、符号器と復号器とを個別に設けることが考えられる。この場合には、符号器と復号器とを同時に動作させられるために処理速度が向上するだけでなく、「符号化処理で得られたデータを記録媒体に一旦格納して、復号化のために読み出す」というメモリアクセスが不要になるため、これによっても処理時間を短縮できる。しかしながら、符号器と復号器とを個別に設けると、符号器と復号器の構成を共用することで得られていた効果(回路規模の縮小等)が得られなくなる。また、画質確認を行うことによる消費電力量は可能な限り抑制する必要があるが、符号器と復号器とを同時に動作させるようにした場合には、画質確認時の消費電力量が大幅に増大してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって本発明は、記録前に、設定中の記録モードで記録した場合の再生画像の画質を確認できる画質確認機能を有し、かつ、画質確認機能の付加による回路規模の増大や画質確認機能の実行による消費電力量の増加が抑制された画像記録装置および画像記録装置の駆動方法を提供することを目的としている。
【0008】
本発明に係る画像記録装置は、撮像部が取得した画像のデータ量を圧縮して記録する画像記録装置であって、撮像部と、表示部と、撮像部が出力した画像データを圧縮する圧縮部と、圧縮部内の分岐部から出力された一方のデータを伸張するローカルデコーダと、圧縮部およびローカルデコーダで参照する画像を格納するフレームメモリとを含む符号器と、画質確認モード実行開始キーと、圧縮部のデータ圧縮率を調整するための圧縮率調整キーを含むユーザ操作部と、圧縮率調整キーの操作に応じて、符号器で用いる符号化パラメータを設定する符号化パラメータ設定部と、画質確認モード実行開始キーの操作に応じて、符号器のうち、少なくとも分岐部の前段部とローカルデコーダとを駆動状態に制御する駆動状態制御部と、画質確認モード実行開始キーの操作に応じて、フレームメモリが格納する画像を読み出して表示部に表示する読み出し表示制御部とを備える。
【0009】
圧縮部は、分岐部の前段部に、離散コサイン変換処理および量子化処理を行うDCT/量子化部を有し、分岐部の後段部に、可変長符号化処理を行うVLC部を有し、ローカルデコーダは、DCT/量子化部で行われた処理の逆処理を行う逆量子化/IDCT部を含んでいてもよい。
【0010】
駆動状態制御部は、記録時以外の画質確認モード実行中に、符号器のうち、分岐部の後段部以外の各部を記録中と同じ動作状態に制御するようになっていてもよい。このときに読み出し表示制御部が読み出す画像は、フレーム内符号化画像とフレーム間予測画像とでなるローカルデコード画像である。
【0011】
制御部は、記録時以外の前記画質確認モード実行中に、前記符号器のうち分岐部の前段部と前記ローカルデコーダのみを駆動状態に制御するようになっていてもてよい。このときに読み出し表示制御部が読み出す画像はフレーム内符号化画像である。
【0012】
ユーザ操作部は、表示方法切り替えキーを有し、読み出し表示制御部は、画質確認モード実行中の表示方法切り替えキーの操作に応じて、フレームメモリから読み出した画像のみ、または、フレームメモリから読み出した画像と撮像部が出力した画像とを用いて、表示部に表示する画像を生成するようになっていてもよい。
【0013】
画質確認モード実行開始キーの操作に応じて、所定時間まで経過時間を計測するタイマを備え、読み出し表示制御部は、タイマが計測を終了するまでの間、フレームメモリが格納する画像を読み出して表示部に表示するようになっていてもよい。
【0014】
本発明に係る画像記録装置の駆動方法は、撮像部が取得した画像データを圧縮する圧縮部と圧縮部内の分岐部から出力された一方のデータを伸張するローカルデコーダと圧縮部およびローカルデコーダで参照する画像を一時的に格納するフレームメモリとを含む符号器と、画質確認モード実行開始キーを備えたユーザ操作部とを備え、撮像部が取得した画像のデータ量を圧縮して記録する画像記録装置の駆動方法であって、画質確認モード実行開始キーの操作に応じて、圧縮部のうち少なくとも分岐部の前段部とローカルデコーダとを駆動状態に制御するステップと、画質確認モード実行開始キーの操作に応じて、フレームメモリから画像を読み出すステップと、フレームメモリから読み出した画像を表示部に表示するステップとを備える。
【発明の効果】
【0015】
画質確認モード実行中には、フレームメモリから画像が読み出されて表示部に表示される。よって、ユーザは、表示部に表示された、設定中の記録モードで記録した場合の再生画像に相当する画像を見て画質を確認し、調整することができる。本発明の画像記録装置は、既存の画像記録装置の構成をそのまま利用できるために、画質確認機能の付加によって回路規模が増大することはない。
【0016】
また、非記録時に画質確認モードを実行する場合には、符号器のうち、圧縮部の一部とローカルデコーダの一部のみを駆動させればよいために、画質確認モードの実行による消費電力量は少ない。また、記録時に画質確認モードを実行する場合には、FM画像を読み出して表示部に表示する処理が増えるだけなので、画質確認モードの実行による消費電力量の増加も少ない。
【0017】
フレームメモリは、動き検出および動き補償で使用される参照画像(前方/後方予測用の画像)が一時的に格納されるメモリである。記録媒体等に画像を記録してそれを再生する場合には、同じ場面のカメラ画像と再生画像とを同時に表示することはできないが、本発明に係る画像記録装置では、フレームメモリに格納された画像(例えば前方予測用の画像)を読み出して表示するので、カメラ画像と再生画像に相当する画像とをほぼ同時に表示することができる。よって、ユーザは、カメラ画像の画質を基準にして比較しながら、画質を調整することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る画像記録装置1のブロック図である。また、図2は、画像記録装置1がカムコーダである場合の、外観図の一例を示している。図1に示す画像記録装置1は、ユーザインターフェイス(UI)3、制御部4、カメラ部6、符号器5、読み出し/表示制御部7および表示部8を備えている。符号器5は、MPEGに代表される動画圧縮方式で符号化処理を行うブロックであって、データ圧縮部51とローカルデコーダ52とフレームメモリ(FM)27を備えている。記録時には、カメラ部6が取得した画像データがデータ圧縮部51で圧縮されて記録媒体10に格納される。ローカルデコーダ52は、データ圧縮部51の分岐部から出力された一方のデータを伸張して出力する。フレームメモリ27は、データ圧縮部51およびローカルデコーダ52で参照する画像(参照画像)を一時的に格納するメモリである。
【0019】
図1に示すユーザインターフェイス3には、図2に示す電源ボタン31、画質調整ボタン32、記録ボタン33、表示切り替えボタン34等の操作キーが設けられている。図2に示すカメラレンズ36および表示画面38は、それぞれ、図1に示すカメラ部6および表示部8に含まれる。ユーザインターフェイス3の操作キーが操作されると、操作に応じた信号が制御部4に入力される。制御部4は、入力信号と現在の各部(カメラ部6、符号器5および読み出し/表示制御部7)の動作状態とに基づいて、各部5〜7を制御する。
【0020】
画像記録装置1は、特有の機能モードとして、画質確認モードを有している。画質確認モード実行中には、記録媒体10に記録して再生した画像に相当する画質で、カメラ部6が撮影した画像が表示部8に表示される。ユーザは、画質を確認しながら画質調整ボタン32を操作して、許容できる画質になるよう符号器5のデータ圧縮率を設定し直すことができる。なお、圧縮率が高いほど、データ量が低減される代わりに、再生画像の画質は低下する。
【0021】
図3は、図1に示す画像記録装置1のうち、ユーザインターフェイス3および符号器5の構成をより具体的に示したブロック図である。符号器5は、データ伝送経路を選択するセレクタ11〜17、差分器21、離散コサイン変換(DCT;Discrete Cosine Transform)/量子化部22、可変長符号化(VLC:Variable Length Coding)部23、逆量子化/逆離散コサイン変換(IDCT;Inverse Discrete Cosine Transform)部24、加算器28、フレームメモリ27、動き検出(ME;Motion Estimation)部25および、動き補償(MC;Motion Compensation)部26を備えている。
【0022】
これらのうち、差分器21、DCT/量子化部22、VLC部23および動き検出部25は、図1に示すデータ圧縮部51に含まれる。さらに詳しくは、データ圧縮部51中の分岐部の前段部には、差分器21およびDCT/量子化部22が含まれ、後段部にはVLC部が含まれる。逆量子化/IDCT部24、加算器28および動き補償部26は、ローカルデコーダ52に含まれる。
【0023】
DCT/量子化部22は、入力データを8×8画素単位で2次元DCT処理した後に、符号化パラメータを用いて量子化処理を行い、その結果を出力する。逆量子化/IDCT部24は、DCT/量子化部22で行われる処理の逆処理を実行する。即ち、入力データを8×8画素単位で逆量子化処理した後に、2次元IDCT処理を行い、その結果を出力する。VLC部23は、入力データを可変長符号化処理して出力する。符号器5で用いられる符号化パラメータは、画質調整ボタン32の操作に応じて制御部4が出力する符号化パラメータ設定信号Spによって設定される。
【0024】
動き検出部25は、カメラ部6が出力した画像(以下、カメラ画像という)と、フレームメモリ27の所定領域に格納されている画像(以下、FM画像という)とを比較してフレーム間の動き検出を行い、動きベクトルを出力する。動き補償部26は、FM画像と、動き補償部26が出力した動きベクトルとに基づいて予測フレーム画像を生成し、出力する。差分器21は、カメラ画像と予測フレーム画像の差分を求めて出力する。また、加算器28は、予測フレーム画像と、逆量子化/IDCT部24の出力との和(1フレーム分の画像)を求めて出力する。
【0025】
制御部4は、現在の画像記録装置1の動作状態判断機能と、各部5〜7の駆動制御機能とを備えている。具体的には、ユーザインターフェイス3が信号を出力すると、制御部4は、記録中であるか否か、画質確認モード実行中か否か等、現在の動作状態を判断する。そして、例えば符号器5には、制御信号Ss0〜Ss2を出力する。この制御信号Ss0〜Ss2応じて、セレクタ11〜17が操作されて(データ伝送経路が切り替えられて)、符号器5内の各部22〜26の駆動状態が変化する。
【0026】
以下では、図4〜図11を参照しながら、(1)非記録中・画質確認モード非実行時、(2)非記録中・画質確認モード実行時、(3)記録中・画質確認モード非実行時、(4)記録中・画質確認モード実行時における各部の動作および画像データの伝送経路の具体例を説明する。
【0027】
(1)非記録中・画質確認モード非実行時
図4には、非記録中・画質確認モード非実行時の画像データの伝送経路を太線で示している。電源がONされると、制御部4は、カメラ部6に撮影信号Scを、符号器5に制御信号Ss0を、読み出し/表示制御部7に表示信号Sd0(カメラ画像表示信号)を出力する。これによって、カメラ部6で撮影が開始される。また、制御部4のセレクタ11は、符号器5にカメラ画像が入力されないように制御され、各部22〜26は非駆動状態に制御される。読み出し/表示制御部7は、カメラ部6が出力したカメラ画像を表示部8に出力する。
【0028】
(2)非記録中・画質確認モード実行時
図5および図6には、非記録中・画質確認モード実行時の画像データの伝送経路を太線で示している。図4に示す状態のとき(非記録中・画質確認モード非実行時)に、画質調整ボタン32が操作されると、制御部4は、符号器5に制御信号Ss1(非記録中画質確認モード実行時制御信号)を、また、読み出し/表示制御部7に表示信号Sd1(FM画像表示信号)を出力する。これにより、非記録中における画質確認モードの実行が開始される。
【0029】
記録前など、非記録中の画質確認モード実行時には、符号器5のうちVLC部23以外が、記録時と同じ駆動状態に制御される。即ち、フレーム内符号化画像(Iピクチャ)生成時には、図5に示すように、DCT/量子化部22および逆量子化/IDCT部24が駆動状態に、動き補償部26、動き検出部25および、VLC部23が非駆動状態になるように、また、差分器21および加算器28が実質的に機能しないように、各部22〜26およびセレクタ11〜17が制御される。また、フレーム間予測画像(Pピクチャ)および双方向予測画像(Bピクチャ)生成時には、図6に示すように、DCT/量子化部22および逆量子化/IDCT部24、動き補償部26および動き検出部25が駆動状態に、VLC部23が非駆動状態になるように、また、差分器21および加算器28が実質的に機能するように、各部22〜27およびセレクタ11〜17が制御される。
【0030】
なお、差分器21および加算器28を実質的に機能させないときには、図5に示すように差分器21および加算器28にデータが入力されないようにセレクタ12〜16を操作してもよいし、差分器21および加算器28にデータが入力されて、0が減算および加算されるようにしてもよい。
【0031】
画質確認モード実行中には、読み出し/表示制御部7は、フレームメモリ27に格納されている画像(FM画像)を、符号器5におけるピクチャ生成タイミングに合わせて読み出して、表示部8に出力する。符号器5のうち、分岐部の後段部(VLC部23)以外が記録時と同様に制御されているときには、表示部8に表示される画像は、フレーム内符号化画像とフレーム間予測画像とでなるローカルデコード画像である。
【0032】
図7(a)〜(d)には、画質確認モード実行中の表示方法の例を示している。画質確認モードの実行中には、少なくともFM画像が表示部8に表示されるようになっていればよいが、同時にカメラ画像も表示されるようにしてもよい。複数の表示方法の中から表示方法を選択できるようにする場合には、表示切り替えボタン34の総操作回数に応じて、表示部8が、異なる表示信号Sd1〜4を出力し、これに応じて読み出し/表示制御部7における画像処理方法が変更されるようにしておけばよい。
【0033】
より具体的には、例えば、画質確認モード開始操作を含めて表示切り替えボタン34が4n−3,4n−2,4n−1および4n(nは自然数)回目に操作されたときに、制御部4は、図7(a),図7(b),図7(c)および図7(d)に対応する表示信号Sd1,Sd2,Sd3およびSd4を出力するようにしておけばよい。
【0034】
画質確認モード実行中には、画質調整ボタン32の操作による符号化パラメータの調整が有効になり、ユーザは、表示部8に表示された画像の画質を見ながら、画質調整ボタン32を操作して画質を調整できる。制御部4は、画質調整ボタン32の操作に応じた符号化パラメータ設定信号Spを出力し、これにより、符号器5で用いられる符号化パラメータが変更される。符号化パラメータが変更されると、符号器5における圧縮率が変化する。なお、符号化パラメータには、量子化処理時の量子化ステップ・サイズを決める量子化パラメータ等が含まれる。
【0035】
このように、画質確認装置1によれば、記録前に予め、設定中の記録モード(圧縮率)で記録したときの再生画像の画質を確認することができる。なお、画像を記録媒体10に記録して再生する場合には、VLC,VLD(Variable Length Decoding)処理も施されるが、FM画像はこれらの処理が施されていない画像である。ただし、VLC処理は可逆的圧縮処理であるために、VLC,VLD処理を施した場合と施していない場合とで画質が変化することはない。また、VLC,VLD処理時の消費電力量は大きいために、これらの処理を行わないことによる消費電力量の低減効果は大きい。
【0036】
なお、双方向予測画像(Bピクチャ)も生成して記録する画像記録装置の場合には、画質確認モード実行中に表示されるFM画像(ローカルデコード画像)のフレームレートが、実際に録画した画像を再生した場合よりも低くなってしまう。つまり、表示部8には、双方向予測画像がコマ落ちした画像が表示される。よって、表示される画像の動きの滑らかさは、記録した画像を再生した場合よりも多少劣る可能性もある。ただし、画像記録装置1では、画質を決める要素のうち、フレームレートによらないもの(解像度等)を確認して調整することができる。
【0037】
なお、非記録中・画質確認モード実行時には、常時、図5に示すように各部が制御されるようにしてもよい。この場合には、フレームレートの低下は無く、表示部8にフレーム内符号化画像(Iピクチャ)のみを並べてなる動画が表示される。この場合も、記録媒体10に記録した画像を再生した画像と完全に一致する訳ではないが、記録媒体10に記録した画像を再生した画像と著しく異なることもない。よって、この画像を画質確認用の画像として用いることは十分に可能である。その場合には、VLC部23、動き補償部26および動き検出部25を駆動させないために、消費電力量をさらに低減することができる。非記録中・画質確認モード実行時の画質確認方法は、ユーザインターフェイス3のボタン操作で切り替えられるようにしておいてもよい。
【0038】
また、非記録中・画質確認モード実行時には、双方向予測画像(Bピクチャ)が生成されないように、つまり、フレーム内符号化画像(Iピクチャ)およびフレーム間予測画像(Pピクチャ)のみが生成されるように符号器5を制御すれば、フレーム内符号化画像(Iピクチャ)のみを生成する場合よりも、より記録画像の画質に近いFM画像を得ることができる。
【0039】
(3)記録中・画質確認モード非実行時
図8および図9には、記録中・画質確認モード非実行時の画像データの伝送経路を太線で示している。電源ON時に、記録ボタンがONされると、制御部4は、符号器5に制御信号Ss2(記録中制御信号)を、また、読み出し/表示制御部7に表示信号S0(カメラ画像表示信号)を出力する。これにより記録が開始される。
【0040】
具体的には、図8に示すフレーム内符号化画像(Iピクチャ)生成時には、DCT/量子化部22、VLC部23および逆量子化/IDCT部24が駆動状態に、また、動き補償部26および動き検出部25が非駆動状態になるように、そして、差分器21および加算器28が実質的に機能しないように、各部22〜26およびセレクタ11〜17が制御される。
【0041】
また、図9に示すフレーム間予測画像(Pピクチャ)および双方向予測画像(Bピクチャ)生成時には、DCT/量子化部22、VLC部23および逆量子化/IDCT部24、動き補償部26および動き検出部25が駆動状態になるように、そして、差分器21および加算器28が実質的に機能するように、各部22〜27およびセレクタ11〜17が制御される。いずれの場合にも、VLC部23には、DCT/量子化部22の出力が入力され、VLC部23が出力するビットストリームは、最終的に記録媒体10に格納される。記録中・画質確認モード非実行時には、FM画像の読み出しは行われず、表示部8にはカメラ画像が表示される。
【0042】
(4)録画中・画質確認モード実行時
図9および図10には、記録中・画質確認モード実行時の画像データの伝送経路を太線で示している。記録中または記録の開始と同時に画質調整ボタン32が操作されると、制御部4は、符号器5に制御信号Ss2(記録中制御信号)を、読み出し/表示制御部7に表示信号S1(FM画像表示信号)を出力する。これにより、記録中における画質確認モードの実行が開始される。画質確認モード実行中には、読み出し/表示制御部7は、フレームメモリ27に格納されている画像を読み出して、表示部8に出力する。このときに、符号器5は、上述した記録中・画質確認モード非実行時と同様に制御される。また、記録中の画質確認モード実行時にも、非記録画質確認モード実行時と同様に、画質調整ボタン32および表示切り替えボタンの操作が有効になる。
【0043】
なお、画質確認モードは、記録ボタン33の操作によって記録が開始されることと連動して実行されるようにしておいてもよい。また、記録開始前に画質確認モードが実行されなかったときだけ、記録の開始と連動して画質確認モードが実行されるようにしておいてもよい。
【0044】
なお、画質調整ボタン32や記録ボタン33の操作から所定時間が経過すれば画質確認モードが終了するようにしておけば、画質確認終了のためのユーザの操作を減らすことができ、また、ユーザの操作を待たずに符号器5の駆動を停止できるために、消費電力の抑制効果も得られる。その場合には、画質調整ボタン32の操作(画質確認の開始操作または画質調整のための操作)または、記録ボタン33の操作が行われると、制御部4が画質確認モード実効状態に各部を制御すると共に、タイマで時間計測を開始し、所定時間に達すると、画質確認モード実行前と同じ状態に各部を制御するようにすればよい。
【0045】
図12は、画像記録装置1の操作とその制御についてのフローチャートである。電源がONされると、表示部8にカメラ画像が表示されて(ステップS1)、指示待ち状態になる。そして、電源がOFFされるまでの間には、ユーザインターフェイス3の操作があれば(ステップS2のYES)、それに応じた制御がなされる。
【0046】
具体的には、画質確認モード実行開始ボタンが操作されたときには(ステップS3のYES)、画質確認モードが実行される。画質確認モード実行中には、符号器5が所定の駆動状態に制御されると共に、フレームメモリ27からFM画像が読み出され、FM画像を含む画像が表示部8に表示される(ステップS10)。なお、ここでいう画質確認モード実行開始ボタンは、個別に設けられたボタンでなくてもよく、画質調整ボタン32や記録ボタン33であってもよい。また、画質確認モード実行終了ボタン(図示せず)が操作されるか、若しくは、画質確認開始などの操作から所定時間が経過すると、画質確認モード実行終了となって(ステップS4のYES)、表示部8にカメラ画像が表示される。
【0047】
また、画質調整ボタン32が操作されると(ステップS5のYES)、符号化パラメータが変更されて符号器5における圧縮率が変わり(ステップS12)、表示部8に表示される画質が変化する。
【0048】
また、画質確認中に画質確認方法変更ボタンが操作されたときには(ステップS6)、符号器5の制御方法が切り替えられる。例えば、変更前にFM画像としてローカルデコード画像が表示されていたときには、例えばフレーム内符号化画像が表示されるように、符号器5の制御方法が変更される。
【0049】
また、表示切り替えボタン34が操作されると(ステップS7のYES)、表示部8には、現在の表示方法とは異なる表示方法でFM画像を含む画像が表示される(ステップS14)。また、記録開始ボタン(記録ボタン33)が操作されると(ステップS8のYES)、符号器5の各部が記録時駆動状態に制御されて、記録媒体10への記録が開始される。記録終了ボタン(記録ボタン33)が操作されると(ステップS9のYES)、符号器5の各部が非駆動状態に制御されて、記録が終了する(ステップS16)。そして、電源ボタン31が操作されると(ステップS9のNO)、電源がOFFされる。
【0050】
以上説明したように、画質確認モード実行時には、フレームメモリ27から画像が読み出されて表示部8に表示される。よって、ユーザは、表示部8に表示された、設定中の記録モードで記録した場合の再生画像に相当する画像を見て画質を確認し、調整することができる。画像記録装置1は、既存の画像記録装置の構成をそのまま利用できるために、画質確認機能の付加によって回路規模が増大することはない。
【0051】
また、非記録時に画質確認モードを実行する場合には、符号器5のうち、データ圧縮部51の一部とローカルデコーダ52の一部のみを駆動させればよいために、画質確認モードの実行による消費電力量は少ない。また、記録時に画質確認モードを実行する場合には、FM画像を読み出して表示部8に表示する処理が増えるだけなので、画質確認モードの実行による消費電力の増加は少ない。
【0052】
記録媒体等に画像を記録してそれを再生する場合には、同じ場面のカメラ画像と再生画像とを同時に表示することはできないが、画像記録装置1では、フレームメモリに格納された画像(例えば前方予測用の画像)を読み出して表示するので、カメラ画像と再生画像に相当する画像とをほぼ同時に表示することができる。よって、ユーザは、カメラ画像の画質を基準にして比較しながら、画質を調整することもできる。
【0053】
なお、以上の説明では復号器について触れていないが、本発明に係る画像記録装置1は、記録媒体10に格納された符号化された画像データを復号化する復号器を備えていてもよい。符号器5の逆量子化/IDCT部24は復号器で共用するように設計することが可能である。なお、以上に説明した、制御部4、符号器5、読み出し画像処理部で行われる処理は、ハードウェア処理であっても、ソフトウェア処理であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、カムコーダなど、撮影した画像データを圧縮して記録する画像記録装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る画像記録装置のブロック図
【図2】図1に示す画像記録装置の外観図の一例を示した図
【図3】図1に示す画像記録装置の構成の例をさらに詳細に示したブロック図
【図4】非記録中・画質確認モード非実行時のデータ経路を説明する図
【図5】非記録中・画質確認モード実行時のデータ経路を説明する図
【図6】非記録中・画質確認モード実行時の別なデータ経路を説明する図
【図7】画質確認モード実行中の表示例を示した図
【図8】記録中・画質確認モード非実行時のデータ経路を説明する図
【図9】記録中・画質確認モード非実行時の別なデータ経路を説明する図
【図10】記録中・画質確認モード実行時のデータ経路を説明する図
【図11】記録中・画質確認モード実行時の別なデータ経路を説明する図
【図12】本発明に係る画像記録装置の駆動方法を示したフローチャート
【符号の説明】
【0056】
1 画像記録装置
3 ユーザインターフェイス
4 制御部
5 符号器
6 カメラ部
10 記録媒体
7 読み出し/表示制御部
8 表示部
11〜17 セレクタ
21 差分器
22 DCT/量子化部
23 可変長符号化部(VLC部)
24 逆量子化/IDCT部
25 動き検出部
26 動き補償部
27 フレームメモリ
28 加算器
51 データ圧縮部
52 ローカルデコーダ
Ss0〜2 制御信号
Sd0,Sd1 表示信号


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部が取得した画像のデータ量を圧縮して記録する画像記録装置であって、
撮像部と、
表示部と、
前記撮像部が出力した画像データを圧縮する圧縮部と、当該圧縮部内の分岐部から出力された一方のデータを伸張するローカルデコーダと、前記圧縮部および前記ローカルデコーダで参照する画像を格納するフレームメモリとを含む符号器と、
画質確認モード実行開始キーと、前記圧縮部のデータ圧縮率を調整するための圧縮率調整キーを含むユーザ操作部と、
前記圧縮率調整キーの操作に応じて、前記符号器で用いる符号化パラメータを設定する符号化パラメータ設定部と、
前記画質確認モード実行開始キーの操作に応じて、前記符号器のうち、少なくとも前記分岐部の前段部と前記ローカルデコーダの一部を駆動状態に制御する駆動状態制御部と、
前記画質確認モード実行開始キーの操作に応じて、前記フレームメモリが格納する画像を読み出して前記表示部に表示する読み出し表示制御部とを備えた画像記録装置。
【請求項2】
前記圧縮部は、
前記分岐部の前段部に、離散コサイン変換処理および量子化処理を行うDCT/量子化部を有し、
前記分岐部の後段部に、可変長符号化処理を行うVLC部を有し、
前記ローカルデコーダは、
前記DCT/量子化部で行われた処理の逆処理を行う逆量子化/IDCT部を含む、請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記駆動状態制御部は、記録時以外の画質確認モード実行中に、前記符号器のうち、前記分岐部の後段部以外の各部を記録中と同じ動作状態に制御することを特徴とする、請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項4】
記録時以外の画質確認モード実行中に前記読み出し表示制御部が読み出す画像は、フレーム内符号化画像とフレーム間予測画像とでなるローカルデコード画像であることを特徴とする、請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、記録時以外の前記画質確認モード実行中に、前記符号器のうち分岐部の前段部と前記ローカルデコーダのみを駆動状態に制御することを特徴とする、請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記読み出し表示制御部が読み出す画像はフレーム内符号化画像であることを特徴とする、請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記ユーザ操作部は、表示方法切り替えキーを有し、
前記読み出し表示制御部は、前記画質確認モード実行中の前記表示方法切り替えキーの操作に応じて、前記フレームメモリから読み出した画像のみ、または、前記フレームメモリから読み出した画像と前記撮像部が出力した画像とを用いて、前記表示部に表示する画像を生成することを特徴とする、請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記画質確認モード実行開始キーの操作に応じて、所定時間まで経過時間を計測するタイマを備え、
前記読み出し表示制御部は、前記タイマが計測を終了するまでの間、前記フレームメモリが格納する画像を読み出して前記表示部に表示することを特徴とする、請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項9】
撮像部が取得した画像データを圧縮する圧縮部と当該圧縮部内の分岐部から出力された一方のデータを伸張するローカルデコーダと前記圧縮部および前記ローカルデコーダで参照する画像を一時的に格納するフレームメモリとを含む符号器と、画質確認モード実行開始キーを備えたユーザ操作部とを備え、前記撮像部が取得した画像のデータ量を圧縮して記録する画像記録装置の駆動方法であって、
前記画質確認モード実行開始キーの操作に応じて、前記圧縮部のうち少なくとも分岐部の前段部と前記ローカルデコーダとを駆動状態に制御するステップと、
前記画質確認モード実行開始キーの操作に応じて、前記フレームメモリから画像を読み出すステップと、
前記フレームメモリから読み出した画像を表示部に表示するステップとを備えた、画像記録装置の駆動方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−311366(P2006−311366A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−133382(P2005−133382)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】