画像読取装置
【課題】高価な認証システムを設けなくても安全性の高いセキュリティ機能を実現し、そのセキュリティレベルを簡単に設定変更可能にする。
【解決手段】読取部で読み取った画像を外部に出力又は保存する機能を有するとともに、この機能の有効無効を設定可能としている画像読取装置において、読取部で読み取った画像の中から選択された少なくとも一つの画像をパスワード画像として登録し、読取部で再度読み取った画像とパスワード画像とを照合して画像を外部に出力又は保存する機能を有効又は無効にする。
【解決手段】読取部で読み取った画像を外部に出力又は保存する機能を有するとともに、この機能の有効無効を設定可能としている画像読取装置において、読取部で読み取った画像の中から選択された少なくとも一つの画像をパスワード画像として登録し、読取部で再度読み取った画像とパスワード画像とを照合して画像を外部に出力又は保存する機能を有効又は無効にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取部で読み取った画像を外部に出力又は保存する機能を有する画像読取装置に係り、前記機能を有効又は無効に設定可能としている画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、原稿画像を読み取るための画像読取装置は、読取部で読み取った画像を装置内の画像メモリに保持しておき、プリンタなどの外部機器に出力したり、メモリカードなどの外部メディアに保存したりする機能を有している。ところが、このような画像読取装置では、上述した外部出力又は保存機能の全部又は一部を制限している場合がある。例えば下記特許文献1に開示される携帯型の画像読取装置などは次のような理由により外部出力又は保存機能を無効に設定する必要がある。
【0003】
下記特許文献1の画像読取装置は、携帯可能な利便性から外出先などで使用することができるが、外部出力又は保存機能が常に有効であれば、装置を紛失した場合、装置を発見した第三者が装置内の画像を取り出して入手することができてしまう。また、第三者に、遠隔地にある画像を入手するように依頼した場合、その第三者は画像を帰還途中に勝手に外部機器に出力したり、外部メディアに保存したりすることができてしまう。これら二つの場合とも、画像が第三者に入手されてはならない重要なもの(機密情報や個人情報など)であれば問題となる。したがって、本来の使用者は、第三者が画像を不正入手することができないようにしたい。
【0004】
そこで、第三者による画像の不正入手を防止するために、例えばカード認証システムやパス入力用のキーボードシステムなどの専用の認証システム(ハードウェア含む)を画像読取装置に設けることが考えられる。
【特許文献1】特開2007−143109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したようなカード認証システムやパス入力用のキーボードシステムなどの認証システムを画像読取装置に設けるためには、装置内に認証システム(ハードウェア)を設置するためのスペースを確保する必要がある。また、装置内で配線なども接続しなければならない。これでは、コスト高となることは勿論、装置が大型且つ複雑化してしまい、携帯性に不利な条件となってしまう。さらに、画像読取装置が、認証システムに対応する機能を備えていなければならないことで、更にコスト高となってしまう。
【0006】
そこで本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、読取部で読み取った画像の中からパスワード画像を選択して登録し、このパスワード画像と照合して特定の機能を有効又は無効にすることで、高価な認証システムを設けなくても安全性の高いセキュリティ機能を実現するとともに、そのセキュリティレベルを簡単に設定変更可能にする画像読取装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の画像読取装置は、読取部16で読み取った画像を外部に出力又は保存する機能を有するとともに該機能の有効無効を設定可能としている画像読取装置1において、
前記読取部16で読み取った画像の中から選択された少なくとも一つの画像をパスワード画像30として登録し、前記読取部16で再度読み取った画像と前記パスワード画像30とを照合して前記機能を有効又は無効にすることを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の画像読取装置は、前記パスワード画像として登録した画像30を既存の画像メモリ13の一部に記録することを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の画像読取装置は、前記パスワード画像30(30B)の指定された認証領域に応じてセキュリティレベルを設定変更可能とすることを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の画像読取装置は、前記パスワード画像30として、前記読取部16で読み取った画像の中から選択された任意の順位の画像を一つ又は複数登録することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明による画像読取装置によれば、読取部で読み取った画像の中から選択されたパスワード画像を読取部で再度読み取ることで、外部出力又は保存機能が有効となり、画像読取装置内の画像を外部に出力又は保存することができるようになる。また、読取部で再度読み取った画像とパスワード画像とが異なるときは、外部出力又は保存機能は無効のままとなり、画像読取装置内の画像を外部出力又は保存することはできない。したがって、高価な認証システムを設けなくても既存の読取部などを利用してセキュリティ機能を実現することができる。この結果、コストを抑えることができるとともに、装置の大型化や複雑化を抑えることができる。
【0012】
また、パスワード画像を既存の画像メモリに記録することで、パスワード画像を記録するための画像メモリを増設する必要がなくなる。これにより、更にコストを抑えることができ、装置の大型化や複雑化を抑えることができる。
【0013】
さらに、読取部で読み取った画像の中からパスワード画像を登録するときに、パスワード画像の認証領域を小さく指定して登録することで、セキュリティレベルを低く設定することができる。また、認証領域を大きく指定するとセキュリティレベルは高くなり、画像全体を認証領域として指定することでセキュリティレベルが最大となる。つまり、パスワード画像の認証領域を指定するだけでセキュリティレベルを設定変更可能とすることができるようになる。そのため、パスワード画像作成が容易となる。
【0014】
また、読取部で読み取った画像の中から任意の順位の画像をパスワード画像として登録することで、使用者の指定した順位の画像をパスワード画像とすることができる。例えば、原稿画像が五枚ある場合に、三枚目に読み取った画像をパスワード画像として登録することなどが可能となり、また、三枚目と五枚目などのように、パスワード画像を複数選択して登録することなども可能となる。この結果、セキュリティレベルが更に向上するようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1(a)は本発明による画像読取装置の一実施の形態の斜視図、(b)は同実施の形態の内部構成を示す説明図である。
【0016】
まず、画像読取装置の外観構成及び周辺機器との関係について説明する。
図1(a)に示すように、画像読取装置1は、例えば、紙やプラスチックシートなどの媒体(原稿)に描かれた画像を後述する読取部16で光学的に読み取り、読み取った画像情報をデジタルデータ(画像データ)に変換する装置である。また、画像読取装置1は、上下の面が透明板3により形成された扁平な筐体2を備えており、この筐体2を原稿上に設置して画像を読み取ることができる。このような画像読取装置1によれば、使用者は画像を読み取るときに透明板3を通して外方から画像を見ることができる。
【0017】
さらに、画像読取装置1の上面には、使用者が画像読取装置1の動作を指示、又は選択するための操作パネル4などを設けている。この画像読取装置1の寸法は、葉書サイズの原稿が読取可能な寸法であるが、B5,A4などのその他の用紙サイズの原稿が読取可能な寸法であってもよい。
【0018】
図1(a)に示すように、画像読取装置1は、パソコンなどを介することなくプリンタなどの印刷装置5に直接接続することができる。印刷装置5は、所定の通信規格に対応したものであり、画像データを受信すると、印刷装置5内の設定又は画像読取装置1が送信した設定にしたがって、印刷用紙に画像を印刷する。画像読取装置1と印刷装置5との間の通信規格は、本実施の形態では、例えば、デジタルカメラを印刷装置などに直接接続して写真を印刷するために提案された「PictBridge」を採用している。また、図1(a)では、画像読取装置1と印刷装置5との間の信号の送受信は、ケーブル6を介した有線通信(USBなど)であるが、赤外線などの無線通信でもよい。さらに、画像読取装置1には、メモリカード7などの外部メディアに画像データを保存する手段を設けており、印刷装置5がメモリカード7に保存した画像データを印刷する機能を有していれば、メモリカード7を介して画像データを授受することができる。
【0019】
次に、画像読取装置の内部構成について説明する。
図1(b)に示すように、画像読取装置1内には、制御手段(CPU)10と、プログラムメモリ11と、ワークメモリ12と、画像メモリ13と、操作パネル14と、画像出力部(USB制御部)15と、前述した読取部16とを備えている。そして、これら各部を双方向コモンバス17によって接続している。CPU10は、プログラムメモリ11に記録されたシステムプログラムに基づいて、ワークメモリ12及びその他のメモリを用いて画像読取装置1の動作を制御する。
【0020】
さらに、図1(b)に示すように、読取部16は、原稿画像に光を照射してその反射光を検出するイメージセンサ18と、イメージセンサ18を駆動するためのモータ19及びモータ制御部20を備えている。また、CPU10は、イメージセンサ18の光源位置をコモンバス17により接続したI/O部21を介して制御し、イメージセンサ18が検出したアナログ画像信号をA/D変換部22でデジタル化して画像メモリ13に記録する。
【0021】
なお、読取部16で読み取った画像は、シェーディング補正、色補正、ガンマ補正などの態様にて補正してもよい。図1(b)では、イメージセンサ18の特性を補填するための情報をシェーディングメモリ23に格納している。
【0022】
操作パネル14(図1(a)における符号4)は、操作ボタンやディスプレイを備えるパネルである(図1(a)参照)。そして、使用者は、操作パネル14を介して装置1に指示を与えたり、装置1の動作モードなどの設定を確認することができる。また、操作パネル14では、後述するセキュリティモードを設定することができる。
【0023】
画像読取装置1は、上述したように、所定の通信規格に対応した印刷装置5に接続することで、印刷装置5に画像データを直接送信して、画像を印刷することができる。そして、印刷を行うために、画像読取装置1においては、CPU10の制御下、画像データから所定の通信規格に適合するように印刷制御コードを生成し、印刷制御コードを更にUSB制御部15がUSB制御コードに変換して送信する。なお、USB制御部15は、所定の通信規格にしたがって印刷装置5にて印刷用紙のサイズや種類、画質、解像度などの制御コードを送信する。また、この装置1は、印刷装置5と無線通信を行うために、図示しない信号出力部を備えており、さらに、メモリカードによって印刷装置5に画像データを送るために、このメモリカード7が着脱可能なドライブ24を備えている。
【0024】
さらに、画像読取装置1によれば、読取部16で読み取ってデジタル化した画像データは、補正用画像データ(基準画像データを画像出力部15から送信して印刷装置5にて印刷用紙に印刷した基準画像の印刷画像を読取部16によって読み取って得た画像データ)を利用して、所望の大きさや所望のレイアウトで印刷するように補正することができる。図1(b)に示すように、コモンバス17に、更にパラメータメモリ25を接続することで、画像データや補正用画像データを補正するために必要なパラメータ(補正用パラメータ)又はその他の印刷装置5の設定に関する情報を記録することができる。また、コモンバス17に、基準画像をあらわす基準画像データを記録した基準画像データメモリ26を接続することで、CPU10の制御下、基準画像データを適宜利用することができる。
【0025】
また、上述した画像読取装置1は、読取部16で読み取った画像を、印刷装置5に出力したり、メモリカード7に保存したりする機能を有効無効に設定可能としている。ここから、画像読取装置1における上記機能の設定について説明する。
【0026】
図2、3は読取部で読み取った画像の中から選択したパスワード画像の説明図である。
図2(a),(b)のパスワード画像30Aは、読取部16で読み取った画像(パスワード画像30Aとして選択した画像)のある特定領域を認証用として設定している。この認証領域には、(a)のようにサインが描かれているもの、(b)のように画像中の図柄のものなどがある。また、(b)には、画像全体を認証領域とする例と、画像の一部を認証領域とする例を示している。
【0027】
図3(a),(b)のパスワード画像30Bは、読取部16で読み取った画像(パスワード画像30Bとして選択した画像)のある特定領域を認証用として設定している。また、図3のパスワード画像30Bでは、認証領域に応じてセキュリティレベルを変更可能としている。つまり、パスワード画像30Bの認証領域が小さいほどセキュリティレベルは低く、認証領域が大きいほどセキュリティレベルは高い。本実施の形態では、セキュリティレベルは、レベル1〜レベル4(最大)の4段階を設定している。なお、(a)のパスワード画像は図柄が描かれているものであり、(b)のパスワード画像は単に数値を記入しているものである。
【0028】
そして、画像読取装置1は、上述したパスワード画像30A,30Bの認証領域が、読取部16で読み取った画像(の読取領域)と一致することで、装置1の外部出力又は保存機能を有効に設定するようになる。
【0029】
次に、図4,5を参照して通常画像登録時のCPUの制御による処理手順について説明する。
図4は通常画像登録の説明図、図5は通常画像登録の処理手順を示すフローチャートである。
【0030】
図5に示すように、まず、原稿をセットし、操作パネル14から読取操作開始を入力することで、CPUの制御下、画像を読み取る処理を行う(ST1)。次いで、読取部16で読み取った画像を暗号化システム(図4参照)で暗号化して、画像メモリ13に記録する処理を行う(ST2)。なお、図4に示すように、画像は画像メモリ13の通常画像領域に記録している。以上の手順によって通常画像登録が完了する。
【0031】
次に、図6,7を参照してパスワード画像登録時のCPUの制御による処理手順について説明する。
図6はパスワード画像登録の説明図、図7はパスワード画像登録の処理手順を示すフローチャートである。
【0032】
図7に示すように、まず、操作パネル14からパスワード画像の登録開始操作を入力するとともに、操作パネル14をセキュリティモードにして、セキュリティレベルを設定入力する(ST11)。なお、セキュリティモードでは、上述したように、例えばテンキーや上下キーなどによってセキュリティレベル(レベル1〜レベル4)を入力することができる。次いで、(パスワード画像の)原稿をセットし、操作パネル14から読取操作開始を入力することで、CPUの制御下、画像を読み取る処理を行う(ST12)。次いで、今回読み取った画像がパスワード画像であることと、セキュリティレベルを暗号化システム(図6参照)で暗号化して、画像メモリ13に記録する処理を行う(ST13)。なお、図7に示すように、パスワード画像は画像メモリ13のパスワード画像領域に記録しており、そのセキュリティレベルはセキュリティレベル登録領域に記録している。これにより、セキュリティONになる(ST14)。以上の手順によってパスワード画像登録が完了する。
【0033】
次に、図8,9を参照してパスワード画像呼出時のCPUの制御による処理手順について説明する。
図8はパスワード画像呼出の説明図、図9はパスワード画像呼出の処理手順を示すフローチャートである。
【0034】
図9に示すように、まず、操作パネル14からパスワード画像の照合開始操作を入力する(ST21)。次いで、(パスワード画像の)原稿をセットし、操作パネル14から読取操作開始を入力することで、CPUの制御下、画像を読み取る処理を行う(ST22)次いで、今回読み取った画像と、画像メモリ13から読み出したパスワード画像とを照合する処理を行う(ST23)。このとき、図8に示すように、画像メモリ13から読み出したパスワード画像は暗号化システムで暗号化を解除する。次いで、二つの画像を照合する処理を行うととも、パスワード画像のセキュリティレベルを確認する処理を行う(ST24)。二つの画像がセキュリティレベルに応じて一致すれば、セキュリティOFFになる(ST25)。これと同時に、画像メモリに記録しているセキュリティレベルの登録を抹消する。以上の手順によってパスワード画像呼出が完了し、画像メモリ13の画像を出力可能となる。なお、ST24において、二つの画像が不一致であれば、セキュリティONの状態を継続することになる。なお、ST25でセキュリティOFF時、セキュリティ用に登録した画像を抹消するか、又は通常画像として残すかは別途設定できるようにしてもよい。
【0035】
上述した実施の形態によれば、読取部16で読み取った画像の中から選択されたパスワード画像を読取部16で再度読み取ることで、外部出力又は保存機能が有効となり、画像読取装置1内の画像を印刷装置5に出力又はメモリカード7に保存することができるようになる。また、読取部16で再度読み取った画像とパスワード画像とが異なるときは、外部出力又は保存機能は無効のままとなり、画像読取装置1内の画像を外部出力したり、保存したりすることはできない。したがって、高価な認証システムを設けなくても装置1が備える既存の読取部16などを利用してセキュリティ機能を実現することができる。この結果、コストを抑えることができるとともに、装置1の大型化や複雑化を抑えることができる。
【0036】
また、パスワード画像を既存の画像メモリ13に記録することで、パスワード画像を記録するための画像メモリを増設する必要がなくなる。これにより、更にコストを抑えることができ、装置1の大型化や複雑化を抑えることができる。
【0037】
さらに、読取部16で読み取った画像の中からパスワード画像を登録するときに、パスワード画像の認証領域を小さく指定して登録することで、セキュリティレベルを低く設定することができる。また、認証領域を大きく指定するとセキュリティレベルは高くなり、画像全体を認証領域として指定することでセキュリティレベルが最大となる。つまり、パスワード画像の認証領域を指定するだけでセキュリティレベルを設定変更可能とすることができるようになる。そのため、パスワード画像作成が容易となる。(例えば、解像度を変えてセキュリティレベルを設定変更するようなパスワード画像は精緻なものであるため、画像作成が面倒である。)
【0038】
なお、上述した実施の形態では、図3に示すように、パスワード画像30Bのセキュリティレベルを4段階に設定しているが、パスワード画像の認証領域の大小を調整することによって、セキュリティレベルを2段階又は3段階に設定することも可能であり、5段階以上に設定することも可能である。
【0039】
また、上述した実施の形態は、読取部16で読み取った画像の中から一つをパスワード画像として登録しているが、パスワード画像を複数登録することも可能である。ここでは、図10〜12を参照して二つのパスワード画像登録及び呼出時のCPUの制御による処理手順について説明する。
図10は複数のパスワード画像登録の説明図、図11は複数のパスワード画像登録の処理手順を示すフローチャートである。
【0040】
図11に示すように、まず、操作パネル14から通常画像とパスワード画像の登録開始操作を入力する(ST31)。また、このとき、操作パネル14から、読取部16で読み取った画像の何枚目をパスワード画像にするのかと、そのセキュリティレベルを設定入力する。次いで、原稿をセットし、操作パネルから読取操作開始を入力することで、CPUの制御下、画像を読み取る処理を行う(ST32)。次いで、何枚目の画像かを確認する処理を行う(ST33)。このとき、パスワード画像に指定した枚数目の画像であれば、画像を暗号化システム(図10参照)で暗号化して、画像メモリ13に記録する処理を行う(ST34)。また、パスワード画像に指定していない枚数目の画像であれば、通常画像として暗号化し、画像メモリに記録する処理を行う(ST35)。次いで、パスワード画像に設定した枚数分の画像登録したか否かを判断する処理を行う(ST36)。このとき、所定の枚数分を登録していれば、セキュリティONになり(ST37)、画像読取終了操作をしたか否かを判断する処理を行う(ST38)。そして、画像読取終了していれば、パスワード画像を全て登録したか否かを判断する処理を行う(ST39)。ここで、登録していれば、パスワード画像登録が完了する。しかし、登録していなければ、パスワード画像の登録をキャンセルする処理を行って(ST40)から終了する。このとき、これまでの処理で画像メモリ13に記録しているセキュリティレベルの登録も抹消する。なお、ST36において、所定の枚数分のパスワード画像を登録していなければ、ST38で画像読取終了操作をしていないと判断する処理を行い、原稿セットまで戻るようにする。なお、ST40でセキュリティOFF時、セキュリティ用に登録した画像を抹消するか、又は通常画像として残すかは別途設定できるようにしてもよい。
【0041】
また、図12は複数のパスワード画像呼出の処理手順を示すフローチャートである。
図12に示すように、まず、操作パネル14からパスワード画像の照合開始操作を入力する(ST41)。次いで、(パスワード画像の)原稿をセットし、操作パネル14から読取操作開始を入力することで、CPUの制御下、画像を読み取る処理を行う(ST42)次いで、今回読み取った画像と、画像メモリ13から読み出したパスワード画像とを照合する処理を行う(ST43)。このとき、図10に示すように、画像メモリ13から読み出したパスワード画像は暗号化システムで暗号化を解除する。次いで、二つの画像を照合する処理を行うととも、パスワード画像のセキュリティレベルを確認する処理を行う(ST44)。二つの画像がセキュリティレベルに応じて一致すれば、他にもパスワード画像の登録あるか否かを判断する処理を行う(ST45)。他にもパスワード画像があれば、操作パネル14に次のパスワード画像が必要であることを表示し(ST46)、原稿セットまで戻るようにする。他にパスワード画像がなければ、セキュリティOFFになり、同時に、画像メモリに記録しているセキュリティレベルの登録を抹消する(ST47)。なお、ST44において、二つの画像が不一致であれば、セキュリティONの状態を継続することになる。なお、ST47でセキュリティOFF時、セキュリティ用に登録した画像を抹消するか、又は通常画像として残すかは別途設定できるようにしてもよい。
【0042】
上述した構成によれば、読取部16で読み取った画像の中から任意の順位の画像をパスワード画像として登録することで、使用者の指定した順位の画像をパスワード画像とすることができる。これにより、複数選択されたパスワード画像を登録することが可能となり、セキュリティレベルが更に向上するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(a)本発明による画像読取装置の一実施の形態を示す斜視図である。 (b)同実施の形態の内部構成を示す説明図である。
【図2】(a)パスワード画像の説明図である。 (b)パスワード画像の説明図である。
【図3】(a)パスワード画像の説明図である。 (b)パスワード画像の説明図である。
【図4】通常画像登録の説明図である。
【図5】通常画像登録の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】パスワード画像登録の説明図である。
【図7】パスワード画像登録の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】パスワード画像呼出の説明図である。
【図9】パスワード画像呼出の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】複数のパスワード画像登録の説明図である。
【図11】複数のパスワード画像登録の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】複数のパスワード画像呼出の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1…画像読取装置
13…画像メモリ
16…読取部
30,30B…パスワード画像
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取部で読み取った画像を外部に出力又は保存する機能を有する画像読取装置に係り、前記機能を有効又は無効に設定可能としている画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、原稿画像を読み取るための画像読取装置は、読取部で読み取った画像を装置内の画像メモリに保持しておき、プリンタなどの外部機器に出力したり、メモリカードなどの外部メディアに保存したりする機能を有している。ところが、このような画像読取装置では、上述した外部出力又は保存機能の全部又は一部を制限している場合がある。例えば下記特許文献1に開示される携帯型の画像読取装置などは次のような理由により外部出力又は保存機能を無効に設定する必要がある。
【0003】
下記特許文献1の画像読取装置は、携帯可能な利便性から外出先などで使用することができるが、外部出力又は保存機能が常に有効であれば、装置を紛失した場合、装置を発見した第三者が装置内の画像を取り出して入手することができてしまう。また、第三者に、遠隔地にある画像を入手するように依頼した場合、その第三者は画像を帰還途中に勝手に外部機器に出力したり、外部メディアに保存したりすることができてしまう。これら二つの場合とも、画像が第三者に入手されてはならない重要なもの(機密情報や個人情報など)であれば問題となる。したがって、本来の使用者は、第三者が画像を不正入手することができないようにしたい。
【0004】
そこで、第三者による画像の不正入手を防止するために、例えばカード認証システムやパス入力用のキーボードシステムなどの専用の認証システム(ハードウェア含む)を画像読取装置に設けることが考えられる。
【特許文献1】特開2007−143109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したようなカード認証システムやパス入力用のキーボードシステムなどの認証システムを画像読取装置に設けるためには、装置内に認証システム(ハードウェア)を設置するためのスペースを確保する必要がある。また、装置内で配線なども接続しなければならない。これでは、コスト高となることは勿論、装置が大型且つ複雑化してしまい、携帯性に不利な条件となってしまう。さらに、画像読取装置が、認証システムに対応する機能を備えていなければならないことで、更にコスト高となってしまう。
【0006】
そこで本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、読取部で読み取った画像の中からパスワード画像を選択して登録し、このパスワード画像と照合して特定の機能を有効又は無効にすることで、高価な認証システムを設けなくても安全性の高いセキュリティ機能を実現するとともに、そのセキュリティレベルを簡単に設定変更可能にする画像読取装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の画像読取装置は、読取部16で読み取った画像を外部に出力又は保存する機能を有するとともに該機能の有効無効を設定可能としている画像読取装置1において、
前記読取部16で読み取った画像の中から選択された少なくとも一つの画像をパスワード画像30として登録し、前記読取部16で再度読み取った画像と前記パスワード画像30とを照合して前記機能を有効又は無効にすることを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の画像読取装置は、前記パスワード画像として登録した画像30を既存の画像メモリ13の一部に記録することを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の画像読取装置は、前記パスワード画像30(30B)の指定された認証領域に応じてセキュリティレベルを設定変更可能とすることを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の画像読取装置は、前記パスワード画像30として、前記読取部16で読み取った画像の中から選択された任意の順位の画像を一つ又は複数登録することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明による画像読取装置によれば、読取部で読み取った画像の中から選択されたパスワード画像を読取部で再度読み取ることで、外部出力又は保存機能が有効となり、画像読取装置内の画像を外部に出力又は保存することができるようになる。また、読取部で再度読み取った画像とパスワード画像とが異なるときは、外部出力又は保存機能は無効のままとなり、画像読取装置内の画像を外部出力又は保存することはできない。したがって、高価な認証システムを設けなくても既存の読取部などを利用してセキュリティ機能を実現することができる。この結果、コストを抑えることができるとともに、装置の大型化や複雑化を抑えることができる。
【0012】
また、パスワード画像を既存の画像メモリに記録することで、パスワード画像を記録するための画像メモリを増設する必要がなくなる。これにより、更にコストを抑えることができ、装置の大型化や複雑化を抑えることができる。
【0013】
さらに、読取部で読み取った画像の中からパスワード画像を登録するときに、パスワード画像の認証領域を小さく指定して登録することで、セキュリティレベルを低く設定することができる。また、認証領域を大きく指定するとセキュリティレベルは高くなり、画像全体を認証領域として指定することでセキュリティレベルが最大となる。つまり、パスワード画像の認証領域を指定するだけでセキュリティレベルを設定変更可能とすることができるようになる。そのため、パスワード画像作成が容易となる。
【0014】
また、読取部で読み取った画像の中から任意の順位の画像をパスワード画像として登録することで、使用者の指定した順位の画像をパスワード画像とすることができる。例えば、原稿画像が五枚ある場合に、三枚目に読み取った画像をパスワード画像として登録することなどが可能となり、また、三枚目と五枚目などのように、パスワード画像を複数選択して登録することなども可能となる。この結果、セキュリティレベルが更に向上するようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1(a)は本発明による画像読取装置の一実施の形態の斜視図、(b)は同実施の形態の内部構成を示す説明図である。
【0016】
まず、画像読取装置の外観構成及び周辺機器との関係について説明する。
図1(a)に示すように、画像読取装置1は、例えば、紙やプラスチックシートなどの媒体(原稿)に描かれた画像を後述する読取部16で光学的に読み取り、読み取った画像情報をデジタルデータ(画像データ)に変換する装置である。また、画像読取装置1は、上下の面が透明板3により形成された扁平な筐体2を備えており、この筐体2を原稿上に設置して画像を読み取ることができる。このような画像読取装置1によれば、使用者は画像を読み取るときに透明板3を通して外方から画像を見ることができる。
【0017】
さらに、画像読取装置1の上面には、使用者が画像読取装置1の動作を指示、又は選択するための操作パネル4などを設けている。この画像読取装置1の寸法は、葉書サイズの原稿が読取可能な寸法であるが、B5,A4などのその他の用紙サイズの原稿が読取可能な寸法であってもよい。
【0018】
図1(a)に示すように、画像読取装置1は、パソコンなどを介することなくプリンタなどの印刷装置5に直接接続することができる。印刷装置5は、所定の通信規格に対応したものであり、画像データを受信すると、印刷装置5内の設定又は画像読取装置1が送信した設定にしたがって、印刷用紙に画像を印刷する。画像読取装置1と印刷装置5との間の通信規格は、本実施の形態では、例えば、デジタルカメラを印刷装置などに直接接続して写真を印刷するために提案された「PictBridge」を採用している。また、図1(a)では、画像読取装置1と印刷装置5との間の信号の送受信は、ケーブル6を介した有線通信(USBなど)であるが、赤外線などの無線通信でもよい。さらに、画像読取装置1には、メモリカード7などの外部メディアに画像データを保存する手段を設けており、印刷装置5がメモリカード7に保存した画像データを印刷する機能を有していれば、メモリカード7を介して画像データを授受することができる。
【0019】
次に、画像読取装置の内部構成について説明する。
図1(b)に示すように、画像読取装置1内には、制御手段(CPU)10と、プログラムメモリ11と、ワークメモリ12と、画像メモリ13と、操作パネル14と、画像出力部(USB制御部)15と、前述した読取部16とを備えている。そして、これら各部を双方向コモンバス17によって接続している。CPU10は、プログラムメモリ11に記録されたシステムプログラムに基づいて、ワークメモリ12及びその他のメモリを用いて画像読取装置1の動作を制御する。
【0020】
さらに、図1(b)に示すように、読取部16は、原稿画像に光を照射してその反射光を検出するイメージセンサ18と、イメージセンサ18を駆動するためのモータ19及びモータ制御部20を備えている。また、CPU10は、イメージセンサ18の光源位置をコモンバス17により接続したI/O部21を介して制御し、イメージセンサ18が検出したアナログ画像信号をA/D変換部22でデジタル化して画像メモリ13に記録する。
【0021】
なお、読取部16で読み取った画像は、シェーディング補正、色補正、ガンマ補正などの態様にて補正してもよい。図1(b)では、イメージセンサ18の特性を補填するための情報をシェーディングメモリ23に格納している。
【0022】
操作パネル14(図1(a)における符号4)は、操作ボタンやディスプレイを備えるパネルである(図1(a)参照)。そして、使用者は、操作パネル14を介して装置1に指示を与えたり、装置1の動作モードなどの設定を確認することができる。また、操作パネル14では、後述するセキュリティモードを設定することができる。
【0023】
画像読取装置1は、上述したように、所定の通信規格に対応した印刷装置5に接続することで、印刷装置5に画像データを直接送信して、画像を印刷することができる。そして、印刷を行うために、画像読取装置1においては、CPU10の制御下、画像データから所定の通信規格に適合するように印刷制御コードを生成し、印刷制御コードを更にUSB制御部15がUSB制御コードに変換して送信する。なお、USB制御部15は、所定の通信規格にしたがって印刷装置5にて印刷用紙のサイズや種類、画質、解像度などの制御コードを送信する。また、この装置1は、印刷装置5と無線通信を行うために、図示しない信号出力部を備えており、さらに、メモリカードによって印刷装置5に画像データを送るために、このメモリカード7が着脱可能なドライブ24を備えている。
【0024】
さらに、画像読取装置1によれば、読取部16で読み取ってデジタル化した画像データは、補正用画像データ(基準画像データを画像出力部15から送信して印刷装置5にて印刷用紙に印刷した基準画像の印刷画像を読取部16によって読み取って得た画像データ)を利用して、所望の大きさや所望のレイアウトで印刷するように補正することができる。図1(b)に示すように、コモンバス17に、更にパラメータメモリ25を接続することで、画像データや補正用画像データを補正するために必要なパラメータ(補正用パラメータ)又はその他の印刷装置5の設定に関する情報を記録することができる。また、コモンバス17に、基準画像をあらわす基準画像データを記録した基準画像データメモリ26を接続することで、CPU10の制御下、基準画像データを適宜利用することができる。
【0025】
また、上述した画像読取装置1は、読取部16で読み取った画像を、印刷装置5に出力したり、メモリカード7に保存したりする機能を有効無効に設定可能としている。ここから、画像読取装置1における上記機能の設定について説明する。
【0026】
図2、3は読取部で読み取った画像の中から選択したパスワード画像の説明図である。
図2(a),(b)のパスワード画像30Aは、読取部16で読み取った画像(パスワード画像30Aとして選択した画像)のある特定領域を認証用として設定している。この認証領域には、(a)のようにサインが描かれているもの、(b)のように画像中の図柄のものなどがある。また、(b)には、画像全体を認証領域とする例と、画像の一部を認証領域とする例を示している。
【0027】
図3(a),(b)のパスワード画像30Bは、読取部16で読み取った画像(パスワード画像30Bとして選択した画像)のある特定領域を認証用として設定している。また、図3のパスワード画像30Bでは、認証領域に応じてセキュリティレベルを変更可能としている。つまり、パスワード画像30Bの認証領域が小さいほどセキュリティレベルは低く、認証領域が大きいほどセキュリティレベルは高い。本実施の形態では、セキュリティレベルは、レベル1〜レベル4(最大)の4段階を設定している。なお、(a)のパスワード画像は図柄が描かれているものであり、(b)のパスワード画像は単に数値を記入しているものである。
【0028】
そして、画像読取装置1は、上述したパスワード画像30A,30Bの認証領域が、読取部16で読み取った画像(の読取領域)と一致することで、装置1の外部出力又は保存機能を有効に設定するようになる。
【0029】
次に、図4,5を参照して通常画像登録時のCPUの制御による処理手順について説明する。
図4は通常画像登録の説明図、図5は通常画像登録の処理手順を示すフローチャートである。
【0030】
図5に示すように、まず、原稿をセットし、操作パネル14から読取操作開始を入力することで、CPUの制御下、画像を読み取る処理を行う(ST1)。次いで、読取部16で読み取った画像を暗号化システム(図4参照)で暗号化して、画像メモリ13に記録する処理を行う(ST2)。なお、図4に示すように、画像は画像メモリ13の通常画像領域に記録している。以上の手順によって通常画像登録が完了する。
【0031】
次に、図6,7を参照してパスワード画像登録時のCPUの制御による処理手順について説明する。
図6はパスワード画像登録の説明図、図7はパスワード画像登録の処理手順を示すフローチャートである。
【0032】
図7に示すように、まず、操作パネル14からパスワード画像の登録開始操作を入力するとともに、操作パネル14をセキュリティモードにして、セキュリティレベルを設定入力する(ST11)。なお、セキュリティモードでは、上述したように、例えばテンキーや上下キーなどによってセキュリティレベル(レベル1〜レベル4)を入力することができる。次いで、(パスワード画像の)原稿をセットし、操作パネル14から読取操作開始を入力することで、CPUの制御下、画像を読み取る処理を行う(ST12)。次いで、今回読み取った画像がパスワード画像であることと、セキュリティレベルを暗号化システム(図6参照)で暗号化して、画像メモリ13に記録する処理を行う(ST13)。なお、図7に示すように、パスワード画像は画像メモリ13のパスワード画像領域に記録しており、そのセキュリティレベルはセキュリティレベル登録領域に記録している。これにより、セキュリティONになる(ST14)。以上の手順によってパスワード画像登録が完了する。
【0033】
次に、図8,9を参照してパスワード画像呼出時のCPUの制御による処理手順について説明する。
図8はパスワード画像呼出の説明図、図9はパスワード画像呼出の処理手順を示すフローチャートである。
【0034】
図9に示すように、まず、操作パネル14からパスワード画像の照合開始操作を入力する(ST21)。次いで、(パスワード画像の)原稿をセットし、操作パネル14から読取操作開始を入力することで、CPUの制御下、画像を読み取る処理を行う(ST22)次いで、今回読み取った画像と、画像メモリ13から読み出したパスワード画像とを照合する処理を行う(ST23)。このとき、図8に示すように、画像メモリ13から読み出したパスワード画像は暗号化システムで暗号化を解除する。次いで、二つの画像を照合する処理を行うととも、パスワード画像のセキュリティレベルを確認する処理を行う(ST24)。二つの画像がセキュリティレベルに応じて一致すれば、セキュリティOFFになる(ST25)。これと同時に、画像メモリに記録しているセキュリティレベルの登録を抹消する。以上の手順によってパスワード画像呼出が完了し、画像メモリ13の画像を出力可能となる。なお、ST24において、二つの画像が不一致であれば、セキュリティONの状態を継続することになる。なお、ST25でセキュリティOFF時、セキュリティ用に登録した画像を抹消するか、又は通常画像として残すかは別途設定できるようにしてもよい。
【0035】
上述した実施の形態によれば、読取部16で読み取った画像の中から選択されたパスワード画像を読取部16で再度読み取ることで、外部出力又は保存機能が有効となり、画像読取装置1内の画像を印刷装置5に出力又はメモリカード7に保存することができるようになる。また、読取部16で再度読み取った画像とパスワード画像とが異なるときは、外部出力又は保存機能は無効のままとなり、画像読取装置1内の画像を外部出力したり、保存したりすることはできない。したがって、高価な認証システムを設けなくても装置1が備える既存の読取部16などを利用してセキュリティ機能を実現することができる。この結果、コストを抑えることができるとともに、装置1の大型化や複雑化を抑えることができる。
【0036】
また、パスワード画像を既存の画像メモリ13に記録することで、パスワード画像を記録するための画像メモリを増設する必要がなくなる。これにより、更にコストを抑えることができ、装置1の大型化や複雑化を抑えることができる。
【0037】
さらに、読取部16で読み取った画像の中からパスワード画像を登録するときに、パスワード画像の認証領域を小さく指定して登録することで、セキュリティレベルを低く設定することができる。また、認証領域を大きく指定するとセキュリティレベルは高くなり、画像全体を認証領域として指定することでセキュリティレベルが最大となる。つまり、パスワード画像の認証領域を指定するだけでセキュリティレベルを設定変更可能とすることができるようになる。そのため、パスワード画像作成が容易となる。(例えば、解像度を変えてセキュリティレベルを設定変更するようなパスワード画像は精緻なものであるため、画像作成が面倒である。)
【0038】
なお、上述した実施の形態では、図3に示すように、パスワード画像30Bのセキュリティレベルを4段階に設定しているが、パスワード画像の認証領域の大小を調整することによって、セキュリティレベルを2段階又は3段階に設定することも可能であり、5段階以上に設定することも可能である。
【0039】
また、上述した実施の形態は、読取部16で読み取った画像の中から一つをパスワード画像として登録しているが、パスワード画像を複数登録することも可能である。ここでは、図10〜12を参照して二つのパスワード画像登録及び呼出時のCPUの制御による処理手順について説明する。
図10は複数のパスワード画像登録の説明図、図11は複数のパスワード画像登録の処理手順を示すフローチャートである。
【0040】
図11に示すように、まず、操作パネル14から通常画像とパスワード画像の登録開始操作を入力する(ST31)。また、このとき、操作パネル14から、読取部16で読み取った画像の何枚目をパスワード画像にするのかと、そのセキュリティレベルを設定入力する。次いで、原稿をセットし、操作パネルから読取操作開始を入力することで、CPUの制御下、画像を読み取る処理を行う(ST32)。次いで、何枚目の画像かを確認する処理を行う(ST33)。このとき、パスワード画像に指定した枚数目の画像であれば、画像を暗号化システム(図10参照)で暗号化して、画像メモリ13に記録する処理を行う(ST34)。また、パスワード画像に指定していない枚数目の画像であれば、通常画像として暗号化し、画像メモリに記録する処理を行う(ST35)。次いで、パスワード画像に設定した枚数分の画像登録したか否かを判断する処理を行う(ST36)。このとき、所定の枚数分を登録していれば、セキュリティONになり(ST37)、画像読取終了操作をしたか否かを判断する処理を行う(ST38)。そして、画像読取終了していれば、パスワード画像を全て登録したか否かを判断する処理を行う(ST39)。ここで、登録していれば、パスワード画像登録が完了する。しかし、登録していなければ、パスワード画像の登録をキャンセルする処理を行って(ST40)から終了する。このとき、これまでの処理で画像メモリ13に記録しているセキュリティレベルの登録も抹消する。なお、ST36において、所定の枚数分のパスワード画像を登録していなければ、ST38で画像読取終了操作をしていないと判断する処理を行い、原稿セットまで戻るようにする。なお、ST40でセキュリティOFF時、セキュリティ用に登録した画像を抹消するか、又は通常画像として残すかは別途設定できるようにしてもよい。
【0041】
また、図12は複数のパスワード画像呼出の処理手順を示すフローチャートである。
図12に示すように、まず、操作パネル14からパスワード画像の照合開始操作を入力する(ST41)。次いで、(パスワード画像の)原稿をセットし、操作パネル14から読取操作開始を入力することで、CPUの制御下、画像を読み取る処理を行う(ST42)次いで、今回読み取った画像と、画像メモリ13から読み出したパスワード画像とを照合する処理を行う(ST43)。このとき、図10に示すように、画像メモリ13から読み出したパスワード画像は暗号化システムで暗号化を解除する。次いで、二つの画像を照合する処理を行うととも、パスワード画像のセキュリティレベルを確認する処理を行う(ST44)。二つの画像がセキュリティレベルに応じて一致すれば、他にもパスワード画像の登録あるか否かを判断する処理を行う(ST45)。他にもパスワード画像があれば、操作パネル14に次のパスワード画像が必要であることを表示し(ST46)、原稿セットまで戻るようにする。他にパスワード画像がなければ、セキュリティOFFになり、同時に、画像メモリに記録しているセキュリティレベルの登録を抹消する(ST47)。なお、ST44において、二つの画像が不一致であれば、セキュリティONの状態を継続することになる。なお、ST47でセキュリティOFF時、セキュリティ用に登録した画像を抹消するか、又は通常画像として残すかは別途設定できるようにしてもよい。
【0042】
上述した構成によれば、読取部16で読み取った画像の中から任意の順位の画像をパスワード画像として登録することで、使用者の指定した順位の画像をパスワード画像とすることができる。これにより、複数選択されたパスワード画像を登録することが可能となり、セキュリティレベルが更に向上するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(a)本発明による画像読取装置の一実施の形態を示す斜視図である。 (b)同実施の形態の内部構成を示す説明図である。
【図2】(a)パスワード画像の説明図である。 (b)パスワード画像の説明図である。
【図3】(a)パスワード画像の説明図である。 (b)パスワード画像の説明図である。
【図4】通常画像登録の説明図である。
【図5】通常画像登録の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】パスワード画像登録の説明図である。
【図7】パスワード画像登録の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】パスワード画像呼出の説明図である。
【図9】パスワード画像呼出の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】複数のパスワード画像登録の説明図である。
【図11】複数のパスワード画像登録の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】複数のパスワード画像呼出の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1…画像読取装置
13…画像メモリ
16…読取部
30,30B…パスワード画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取部で読み取った画像を外部に出力又は保存する機能を有するとともに該機能の有効無効を設定可能としている画像読取装置において、
前記読取部で読み取った画像の中から選択された少なくとも一つの画像をパスワード画像として登録し、前記読取部で再度読み取った画像と前記パスワード画像とを照合して前記機能を有効又は無効にすることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記パスワード画像として登録した画像を既存の画像メモリの一部に記録することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記パスワード画像の指定された認証領域に応じてセキュリティレベルを設定変更可能とすることを特徴とする請求項1又は2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記パスワード画像として、前記読取部で読み取った画像の中から選択された任意の順位の画像を一つ又は複数登録することを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の画像読取装置。
【請求項1】
読取部で読み取った画像を外部に出力又は保存する機能を有するとともに該機能の有効無効を設定可能としている画像読取装置において、
前記読取部で読み取った画像の中から選択された少なくとも一つの画像をパスワード画像として登録し、前記読取部で再度読み取った画像と前記パスワード画像とを照合して前記機能を有効又は無効にすることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記パスワード画像として登録した画像を既存の画像メモリの一部に記録することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記パスワード画像の指定された認証領域に応じてセキュリティレベルを設定変更可能とすることを特徴とする請求項1又は2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記パスワード画像として、前記読取部で読み取った画像の中から選択された任意の順位の画像を一つ又は複数登録することを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−200932(P2009−200932A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41679(P2008−41679)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】
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