説明

画面遷移システムを管理するシステム及び画面の置換方法

【課題】 システムでエラーが発生したときに、そのエラーへの対処方法をユーザへ告知するための技術を提供する。
【解決手段】
サービス提供システム10は、ユーザからの入力に基づいて画面を遷移させるとともに、各プロセスに所定の処理を実行させることにより、ユーザへサービスを提供する、画面遷移を伴うシステムである。サービス提供システム10を管理する監視システム20は、複数のプロセスのうちでエラーが発生したプロセスを検出する運用監視サーバ4と、画面遷移において、エラーの発生が検出されたエラープロセスを実行するよりも前に表示される画面を特定し、特定された画面を、エラーへの対処方法を通知するためのメッセージまたは前記エラーの発生を告知するためのメッセージまたは前記エラーを迂回するためのメッセージが含まれる画面に置換するメッセージ制御サーバ5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面を遷移させながら所定のプロセスを実行してサービスを提供するシステムにおいて、エラー発生時にユーザへその旨を知らせるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット上のオンラインサービスのように、画面遷移を伴いながら所定のサービスを提供する対話型システムがある。このようなシステムでは、従来何らかのエラーが発生したときは、「当サービスは利用できません」「システムが障害中です」のような固定したメッセージが表示される。例えば、Apache HTTPサーバでは、様々な障害について単一のメッセージを全ユーザに提供している(例えば、非特許文献1)。
【非特許文献1】http://httpd.apache.org./docs-2.0/mod/core.html#errordocument
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のようなエラー発生を通知するだけのエラーメッセージでは、ユーザはエラーが発生したということを知ることができるだけであり、どのように対処すればよいかはわからない。従って、例えばエラー発生を通知されたユーザが多数、エラーサービスの復旧状況を探るために当該サービスに集中的にアクセスし、それが原因で他のサービスにまで連鎖的にエラーが発生するということもある。
【0004】
また、従来の手法では、全ユーザに対して同じメッセージが提供される。従って、従来は、重要ユーザと一般ユーザとで区別されることもないし、ほとんど影響を受けなかったユーザと、大きな影響を受けたユーザとでも区別なく、同じメッセージが提供されていた。さらには、エラーが起こった処理を利用するユーザに対してだけメッセージを提示すれば足りるのに、全ユーザに提示していた。つまり、それぞれのユーザ別にきめ細かい対応がされていなかった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、システムでエラーが発生したときに、そのエラーへの対処方法をユーザへ告知するための技術を提供することである。
【0006】
さらに、本発明の別の目的は、システムでエラーが発生したときに、それぞれのユーザに応じたメッセージを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様に従うシステムは、複数の画面と複数のプロセスとを備え、ユーザからの入力に基づいて画面を遷移させるとともに、各プロセスに所定の処理を実行させることにより、前記ユーザへサービスを提供する画面遷移システムの管理を行うシステムであって、前記複数のプロセスのうちでエラーが発生したプロセスを検出するエラー検出手段と、前記画面遷移において、前記エラーの発生が検出されたエラープロセスを実行するよりも前に表示される画面を特定する画面特定手段と、前記特定された画面を、前記エラーへの対処方法を通知するためのメッセージまたは前記エラーの発生を告知するためのメッセージまたは前記エラーを迂回するためのメッセージが含まれる画面に置換する画面置換手段とを備える。
【0008】
好適な実施形態では、前記画面特定手段は、前記エラープロセスの直前に表示される画面を特定するようにしてもよい。
【0009】
好適な実施形態では、前記メッセージは、前記エラー検出手段が検出したエラーの種類に応じて異なるようにしてもよい。
【0010】
好適な実施形態では、メッセージの入力を受け付ける受付手段をさらに備える。そして、前記画面置換手段は、予め用意されているメッセージを含む第1の画面に置換した後、前記受付手段が入力を受け付けたメッセージを含む第2の画面に再度置換するようにしてもよい。
【0011】
好適な実施形態では、前記複数のプロセスは複数のサーバのいずれかで動作していて、前記複数のプロセスには、互いに異なるサーバで動作する同一種類の複数のプロセスを含む。そして、前記メッセージは、前記同一種類の複数のプロセスのうちの動作しているプロセスの数に応じて異なるようにしてもよい。
【0012】
好適な実施形態では、前記画面置換手段は、ユーザの種類 (特定のランクのユーザや、特定の支店のユーザなど) ごとに、それぞれ異なる前記メッセージが含まれている複数のユーザ種類別画面に置換し、前記ユーザから前記特定された画面に対するアクセス要求があったときは、前記ユーザの種類に対応するユーザ種類別画面を表示させるようにしてもよい。
【0013】
好適な実施形態では、前記エラー検出手段が前記エラーの発生を検出してから前記画面置換手段による画面の置換が行われるまでの間に、前記特定された画面にアクセスしたユーザを抽出するユーザ抽出手段と、前記抽出されたユーザの識別情報 (システム上のユーザIDのほか、ユーザの口座番号や氏名などでもよい) を出力する手段とを、さらに備えるようにしてもよい。
【0014】
本発明の一実施態様に従うシステムは、複数の画面と複数のプロセスとを備え、ユーザからの入力に基づいて画面を遷移させるとともに、各プロセスに所定の処理を実行させることにより、前記ユーザへサービスを提供する画面遷移システムの管理を行うシステムである。そして、前記システムは、前記複数のプロセスのうちでエラーが発生したプロセスを検出するエラー検出手段と、前記エラー検出手段が前記エラーの発生を検出してからエラーが復旧するまでの間に、前記エラーの影響を受けたユーザを抽出するユーザ抽出手段と、前記抽出されたユーザの識別情報を出力する手段とを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係るネットワークシステムについて、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るネットワークシステムの全体構成を示す図である。本実施形態に係るシステムは、ユーザ端末8からネットワーク9を介してアクセスを受けてユーザに対して所定のサービスを提供するサービス提供システム10と、サービス提供システム10の監視を行う監視システム20とを含む。サービス提供システム10では、例えば、ユーザ端末8からのアクセスに対して、ユーザ端末8に所定の画面を表示させ、その画面に対するユーザの操作に応じて、所定のプロセスを実行し、画面遷移を生じさせる。
【0016】
サービス提供システム10は、図1に示すように、フロントサーバ1と、バックサーバ2と、DBサーバ3とを備え、ユーザに対して所定のサービスを提供する。監視システム20は、運用監視サーバ4と、メッセージ制御サーバ5と、管理者端末6と、を備える。そして、フロントサーバ1は、1または2以上のユーザ端末8とネットワーク9を介して接続されている。
【0017】
フロントサーバ1、バックサーバ2、DBサーバ3、運用監視サーバ4、メッセージ制御サーバ5、管理者端末6およびユーザ端末8は、いずれも例えば汎用的なコンピュータシステムにより構成され、以下に説明する各サーバ等1,2,3,4,5,6,8内の個々の構成要素または機能は、例えば、コンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0018】
フロントサーバ1は、ネットワーク9を介してユーザ端末8からのリクエストを受け付けて、ユーザ端末8に対して種々の画面を提供する。ユーザ端末8からリクエストされたサービスに関する主な処理はバックサーバ2及びDBサーバ3が行い、フロントサーバ1は、主に、ユーザに対するビューに関する処理を行う。
【0019】
例えば、フロントサーバ1は、画面データ記憶部11と、表示制御部12とを備える。そして、表示制御部12は、ユーザ端末8からのリクエストまたはバックサーバ2からの指示に従って、画像データ記憶部11に格納されている画像データを取得して所定の画面をユーザ端末8に表示させる。ここで、ユーザが本システムにログインすると、ユーザごとのセッションが形成される。このセッションには各ユーザの属性であるユーザランクが付されている。画像データ記憶部11にユーザランク別に異なる画面が用意されているときは、表示制御部12は、セッションに付されているユーザランクと対応する画面を取得して、ユーザ端末8に表示させるようにしてもよい。なお、図1では、フロントサーバ1として1台のみを示すが、2台以上のフロントサーバ1で処理を分散してもよい。
【0020】
各バックサーバ2は、それぞれ所定の処理を実行するための複数のプロセス21を備える。「プロセスC」のように、同一種類のプロセスが複数のバックサーバ2で動作していてもよい。
【0021】
各プロセス21は、フロントサーバ1がユーザに対して表示した画面からの指示により起動されるか、あるいは他のプロセス21により起動される。そして、各プロセス21がそれぞれ関連して動作することにより、ユーザに対して所定のサービスが提供される。
【0022】
DBサーバ3は、種々のデータが格納されたDB31を備え、バックサーバ2からのリクエストに応じてDB31の更新、参照などの処理を実行する。
【0023】
運用監視サーバ4は、フロントサーバ1、バックサーバ2、およびDBサーバ3を監視する。運用監視サーバ4は、例えば、運用ログ、アクセスログ、エラーログ(図4参照)をとって、システムに生じた障害を検出する。検出された障害に関する情報は、メッセージ制御サーバ5へ通知される。
【0024】
メッセージ制御サーバ5は、フロントサーバ1がユーザに対して表示する画面を、運用監視サーバ4の監視結果、または管理者による入力に応じて変更する。例えば、運用監視サーバ4から障害が発生したプロセスの通知を受けると、メッセージ制御サーバ5は、その障害が発生したプロセスを直接または間接に呼び出す画面を特定する。そして、その画面を、障害発生をユーザに告知し、その障害への対処法を指示するためのメッセージを表示した画面に変更する。この画面変更手順の詳細については後述する。
【0025】
管理者端末6は、メッセージ制御サーバ5と接続され、サービス提供システム10でのエラー状況、及びエラーによる影響を受けたユーザの一覧表などを出力する。また、管理者端末6は、管理者からのメッセージの入力を受け付ける。
【0026】
次に、上記のような構成を備えるネットワークシステムで生じる画面遷移の一例を図2に示す。同図の例では、「画面1」がユーザ端末8に表示されているときに、ユーザから所定の入力を受けると、バックサーバ2上の「プロセス1」が起動される。そして、「プロセス1」が所定の処理を実行した後、「画面2」を呼び出す。このとき、ユーザ端末8では「画面1」から「画面2」へ遷移する。「画面2」も「画面1」と同様に、ユーザから所定の入力を受けると、「プロセス2」を起動する。「プロセス2」は、さらに「プロセス3」を起動し、「プロセス3」の処理結果に応じて「画面3」または「画面4」へ遷移する。なお、上記の画面遷移における各画面と、その画面から呼び出されるプロセスとの対応関係は後述するプロセス/画面対応表56(図8参照)に、プロセス同士の呼び出し関係はプロセス関連表55(図7参照)により予め定められている。
【0027】
このような画面遷移を生じさせるシステムにおいて、例えば、「プロセス3」でエラーが発生し、「プロセス3」が停止したとする。この場合、ユーザ端末8では、「画面2」が表示されたままの状態となり、見かけ上システムの動作が停止する。このため、ユーザには何が起きたかわからない。
【0028】
ここで、上記の画面遷移において、エラーが発生したプロセスを実行する直前に表示される画面を対象画面と呼ぶ。図2の場合は、対象画面である「画面2」が、「プロセス2」を介して間接に、エラーを起こした「プロセス3」を起動している。
【0029】
また、「プロセス3」のエラーが復旧しない限り、上記の画面遷移では「画面3」または「画面4」へ進むことはできない。従って、このエラー状態が続いているときに他のユーザが同じ経路を辿ったときは、「画面2」で停止してしまい、これよりは先へ進めないことになる。このときも、ユーザには何が起きているかわからないし、どう対処していいかもわからない。
【0030】
そこで、本システムでは、このような事態を回避するために、後続の他のユーザに対しては、「画面2」へ到達したときにエラーが発生していること及びそれへの対処法を告知する。そのために、本システムでは、あるプロセスでエラーが発生すると、このエラーを検出して対象画面を特定する。そして、対象画面を告知用の画面と置換する。これにより、ユーザに対してシステム障害及びこれへの対処法を速やかに告知できる。さらに、エラーが生じているプロセスが繰り返し起動されることも回避できる。
【0031】
以下、対象画面の特定及び画面置換を行うための詳細な構成及び処理について説明する。
【0032】
運用監視サーバ4の詳細な構成を図3に示す。運用監視サーバ4は、エラープロセス抽出部41と、記憶装置40とを備えている。
【0033】
記憶装置40には、以下に示すような各種ログ及びテーブルが格納されている。すなわち、記憶装置40には、エラーログ45と、運用ログ46と、プロセス稼働状況表47と、アクセスログ48とが記憶されている。運用監視サーバ4は、監視対象のサービス提供システム10の各サーバ及びプロセスを監視して、記憶装置40内の各ログ及びテーブルを随時更新する。
【0034】
エラーログ45は、例えば、図4(a)に示すように、各プロセスが出力するエラー情報が蓄積されている。例えば、このエラーログ45に格納されている各レコードには、エラーが生じたプロセスのプロセスID451と、エラーコード452と、そのときに本システムにアクセスしていたユーザのユーザID453とが含まれている。
【0035】
運用ログ46には、例えば、図4(b)に示すように、各サーバの起動(アップ)及びダウンされた時刻が記録されている。
【0036】
アクセスログ48は、例えば、図4(c)に示すように、各画面へのアクセス記録が格納されている。このアクセス記録には、ユーザIDと画面IDと時刻とが含まれる。
【0037】
プロセス状況稼働表47は、バックサーバ2で動作するプロセス21の稼働状況を示す表である。例えば、図5に示すように、プロセスID471と、そのプロセスが動作しているバックサーバ2のサーバ名472と、稼働中かまたは停止しているかを示す稼働状況473とを対応付けて記憶する。プロセスID471及びサーバ名472は予め登録されている。稼働状況473は、エラーログ45及び運用ログ46に基づいて、運用監視サーバ4が判定する。プロセス稼働状況表47によれば、各バックサーバ2でのプロセスの稼働状況を把握できる。
【0038】
エラープロセス抽出部41は、プロセス稼働状況表47を参照して、プロセス別に稼働しているサーバの台数をカウントする。そして、処理が停止(稼働サーバ台数が0)しているプロセス及び処理能力が低下しているプロセスを、エラープロセスとして特定する。そして、このエラープロセスのプロセスID及びエラーコードがメッセージ制御サーバ5へ通知される。
【0039】
ここで、エラーコードは以下のようにして特定する。例えば、エラープロセスの稼動サーバ台数が0(1台のバックサーバ2でしか動作していないプロセスでエラーが発生しているか、あるいは、複数のプロセスのすべてが停止している)であるときは、エラープロセス抽出部41は、エラーログ45を参照してそのエラープロセスのプロセスIDに基づいて、エラーコード453を取得する。また、エラープロセスの稼働サーバ台数が、予め定められている台数以上減少しているような場合、エラープロセス抽出部41は、エラーコードに処理能力低下を示すコードを割り当てる。
【0040】
次に、メッセージ制御サーバ5の詳細な構成を図6に示す。メッセージ制御サーバ5は、同図に示すように、画面生成部51と、影響ユーザ抽出部52と、エラー状況表生成部53と、記憶装置50とを備える。画面生成部51は、記憶装置50に格納されている情報に基づいて新たな画面を生成し、ここで生成した画面のデータをフロントサーバ1の画面データ記憶部11へ送信する。
【0041】
記憶装置50には、以下に示すような各種テーブルが格納されている。すなわち、記憶装置50には、プロセス関連表55、プロセス/画面対応表56、プロセスレベル表57、エラーレベル表58及び出力メッセージ表59が登録されている。
【0042】
プロセス関連表55は、それぞれのバックサーバ2上で動作しているプロセス21同士の関連が登録されている。例えば、図7に示すように、プロセスID551と、そのプロセスを呼び出す呼び出し元のプロセスID552とが対応付けて登録されている。つまり、プロセスID551のプロセスは、呼び出し元プロセスID552のプロセスによって呼び出されて、所定の処理を実行する。なお、画面から直接呼び出されるプロセスについては、呼び出し元プロセスは登録されていない。
【0043】
プロセス/画面対応表56は、フロントサーバ1がユーザに対して提供する各画面と、その画面が直接起動するプロセスとを対応付けて記憶する。例えば、図8に示すように、プロセスID561と、そのプロセスを起動する画面の画面ID562とが対応付けて記憶されている。つまり、画面ID562の画面がユーザから所定の入力を受けると、プロセスID561に示すプロセスが起動される。
【0044】
プロセスレベル表57は、本システムにおける各プロセスの重要度が登録されている。プロセスレベル表57は、例えば、図9に示すように、プロセスID571と、プロセス名572と、プロセス重要度573とが対応付けて登録されている。プロセス重要度573としては、例えば、重要、通常、オプションなどの区分がある。
【0045】
エラーレベル表58は、エラーログに含まれるエラーコードについて、それぞれのエラーレベルを示す。例えば、図10に示すように、エラーレベル表58は、エラーコード581と、そのエラーコードが示すエラー内容582と、そのエラーの深刻度を示すエラーレベル583とが対応付けて登録されている。エラーレベル583としては、例えば、長時間エラー、短時間エラー、性能劣化などがある。
【0046】
出力メッセージ表59は、画面生成部51が生成する画面に表示させるメッセージを特定するための表である。例えば、出力メッセージ表59は、図11に示すように、ユーザの種類を表すユーザランク591と、プロセス重要度592と、エラーの種類を表すエラーレベル593と、エラーメッセージ594と、連絡先メッセージ595とを項目として備える。エラーメッセージ594は、エラー状況や復旧の見込みなどを告知するためのメッセージであり、連絡先メッセージ595は、エラー状態が続いているときに連絡を受け付ける電話番号など、それぞれの場合の対処法やエラーを迂回するための方法などを知らせるためのメッセージである。
【0047】
画面生成部51は、運用監視サーバ4からプロセスID及びエラーコードを含むエラー通知を受けると、エラー通知に含まれているプロセスIDに基づいて、プロセス関連表55及びプロセス/画面対応表56を用いて、上述の置換対象となる画面を特定する(対象画面の特定)。すなわち、プロセス関連表55で呼び出し元のプロセス552を特定し、プロセス/画面対応表56で呼び出し元のプロセスを起動した画面(対象画面)を特定する。
【0048】
さらに、画面生成部51は、プロセスレベル表57を参照し、エラー通知に含まれているエラープロセスのIDに基づいて、エラーが発生したプロセスのプロセス重要度573を特定する。
【0049】
画面生成部51は、また、エラーレベル表58を参照し、運用監視サーバ4から通知を受けたエラーコードに基づいて、エラーレベル583を特定する。
【0050】
そして、画面生成部51は、出力メッセージ表59を参照し、上記処理で特定されたプロセス重要度及びエラーレベルに基づいて、エラーメッセージ594と、連絡メッセージ595とを特定し、これらのメッセージを含む告知画面を生成する。また、このときに、ユーザランク591別に、それぞれ異なるメッセージを含む異なる告知画面を複数生成してもよい。
【0051】
画面生成部51は、ここで生成された告知画面と対象画面とを置換するために、告知画面をフロントサーバ1へ送信し、画面データ記憶部11に格納して、置換する。
【0052】
影響ユーザ抽出部52は、運用監視サーバ4のアクセスログ48を参照し、エラーが発生してから復旧するまでの間に、対象画面または告知画面にアクセスし直接影響を受けた影響ユーザを抽出する。これは、例えば、対象画面及び告知画面の画面IDと、エラー検出から復旧までの時刻とに基づいて、影響ユーザのIDを特定する。
【0053】
影響ユーザの特定を行う理由は以下の通りである。すなわち、エラーが発生してから告知画面に置換するまでの間は、対象画面にアクセス可能であるが、対象画面から先へ進むことはできない。従って、この間に対象画面にアクセスしたユーザを抽出し、このユーザに対して特別のケアをするためである。さらに、告知画面に置換した後といえども、所望のサービスを利用できなかったユーザを抽出し、個別にケアするためである。抽出された影響ユーザのユーザIDは、管理者端末6へ通知され、管理者端末6で、図12に示すような影響ユーザ一覧61として表示画面に出力される。このとき、対象画面にアクセスしたユーザと、告知画面にアクセスしたユーザとを区別できるように、異なる表示態様で表示するようにしてもよい。
【0054】
また、影響ユーザ抽出部52による影響ユーザの抽出として、エラーログ45を参照して、エラーによって影響を受けたユーザを抽出してもよい。この場合、例えば、エラーログ45に格納されているレコードに含まれているユーザID453を抽出してもよい。
【0055】
エラー状況表生成部53は、サービス提供システム10で発生しているエラーに関するエラー状況表を生成する。例えば、運用監視サーバ4から通知されたプロセスIDに基づいてプロセスレベル表57を参照して、プロセス名572を特定する。さらに、同じく運用監視サーバ4から通知されたエラーコードに基づいて、エラーレベル表58を参照し、エラー内容582を特定する。ここで特定されたプロセス名及びエラー内容は、それぞれ対応付けられて管理者端末6へ通知され、管理者端末6で図13に示すようなエラー状況表62として出力される。
【0056】
次に、図14に示すシーケンスチャートに従って、本システムにおいてプロセスのエラーが発生したときの処理手順を説明する。
【0057】
運用監視サーバ4がサービス提供システム10を監視しているときに、いずれかのプロセス21でエラーが発生すると、運用監視サーバ4はこれを検出する(S1)。運用監視サーバ4は、エラーが発生したプロセスのIDとエラーコードとを含むエラー通知をメッセージ制御サーバ5へ通知する(S2)。
【0058】
メッセージ制御サーバ5は、運用監視サーバ4からエラー通知を受けると、画面生成部51が、エラープロセスのプロセスIDに基づいて対象画面を特定する(S3)。
【0059】
さらに、画面生成部51は、エラー通知に含まれるプロセスID及びエラーコードに基づいて、プロセス重要度及びエラーレベルを特定する。さらに、出力メッセージ表59を参照してエラーメッセージ594及び連絡先メッセージ595を特定し、これらのメッセージを含む告知画面を生成する(S4)。
【0060】
メッセージ制御サーバ5は、ここで生成された告知画面を、フロントサーバ1の画面データ記憶部11に、対象画面と置換するように格納して、画面の置換を行う(S5)。これにより、図2に示すように、プロセスでのエラーが検出されると、画面遷移においてそのプロセスより前に表示される対象画面が告知画面へ置換される。従って、この置換以降は、対象画面に対してアクセスしようとするユーザに対してだけ、告知画面が提示される。
【0061】
図14の説明に戻ると、メッセージ制御サーバ5では、さらに、影響ユーザ抽出部52が直接影響を受けた影響ユーザを特定する。また、エラー状況表生成部53が、ここで発生しているエラーの状況を示すエラー状況表62を生成する(S6)。そして、この影響ユーザ一覧表61及びエラー状況表62が管理者端末6に通知され、それぞれ表示される(S7)。
【0062】
管理者端末6に影響ユーザ一覧表61が表示されると、この直接影響を受けたユーザを特定できるので、管理者はこのユーザに対して個別のケアをすることができる。
【0063】
また、管理者端末6にエラー状況表62が表示されると、どのようなサービスでどのようなエラーが生じているのかがわかる。この結果、管理者はサービスレベルでのエラー状況を把握でき、サービスの観点から対応を検討することができる。
【0064】
さらに、管理者は、影響ユーザ一覧表61及びエラー状況表62を参照して、告知画面に表示するための任意のメッセージを、管理者端末6に対して入力することができる(S8)。ここで入力されたメッセージは、メッセージ制御サーバ5へ通知される。そして、画面生成部51がこの管理者入力メッセージを含む告知画面を生成する(S9)。この管理者が入力したメッセージを含む告知画面を、定型メッセージが含まれている告知メッセージと再度置換することができる(S10)。
【0065】
これにより、管理者が状況に応じて自由に編集したメッセージを告知画面として表示することができ、エラーなどの個別の状況に応じて柔軟に対応することができる。
【0066】
さらに、エラーが検出されると、定型メッセージを含む告知画面が自動生成されて速やかに置換され、その後、それぞれのエラー状況に基づいた個別のメッセージを含む告知画面に再度置換することができる。
【0067】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【0068】
例えば、上記実施形態では、対象画面としてエラーが発生したプロセスを実行する直前に表示される画面としたが、2画面以上前に表示される画面であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態に係るネットワークシステムの全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態における画面遷移の一例を示す図である。
【図3】運用監視サーバ4の詳細な構成を示す図である。
【図4】ログに蓄積されるデータの一例を示す図である。
【図5】プロセス稼働状況表47の一例を示す図である。
【図6】メッセージ制御サーバ5の詳細な構成を示す図である。
【図7】プロセス関連表55の一例を示す図である。
【図8】プロセス/画面対応表56の一例を示す図である。
【図9】プロセスレベル表57の一例を示す図である。
【図10】エラーレベル表58の一例を示す図である。
【図11】出力メッセージ表59の一例を示す図である。
【図12】影響ユーザ一覧表61の一例を示す図である。
【図13】エラー状況表62の一例を示す図である。
【図14】プロセスのエラーが発生したときの処理手順を示すシーケンスチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1…フロントサーバ、2…バックサーバ、3…DBサーバ、4…運用監視サーバ、5…メッセージ制御サーバ、6…管理者端末、8…ユーザ端末、10…サービス提供システム、20…監視システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画面と複数のプロセスとを備え、ユーザからの入力に基づいて画面を遷移させるとともに、各プロセスに所定の処理を実行させることにより、前記ユーザへサービスを提供する画面遷移システムの管理を行うシステムであって、
前記複数のプロセスのうちでエラーが発生したプロセスを検出するエラー検出手段と、
前記画面遷移において、前記エラーの発生が検出されたエラープロセスを実行するよりも前に表示される画面を特定する画面特定手段と、
前記特定された画面を、前記エラーへの対処方法を通知するためのメッセージまたは前記エラーの発生を告知するためのメッセージまたは前記エラーを迂回するためのメッセージが含まれる画面に置換する画面置換手段とを備えるシステム。
【請求項2】
前記画面特定手段は、前記エラープロセスの直前に表示される画面を特定することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記メッセージは、前記エラー検出手段が検出したエラーの種類に応じて異なることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
メッセージの入力を受け付ける受付手段をさらに備え、
前記画面置換手段は、
予め用意されているメッセージを含む第1の画面に置換した後、前記受付手段が入力を受け付けたメッセージを含む第2の画面に再度置換することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数のプロセスは複数のサーバのいずれかで動作していて、
前記複数のプロセスには、互いに異なるサーバで動作する同一種類の複数のプロセスを含み、
前記メッセージは、前記同一種類の複数のプロセスのうちの動作しているプロセスの数に応じて異なることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記画面置換手段は、ユーザの種類別に、それぞれ異なる前記メッセージが含まれている複数のユーザ種類別画面に置換し、
前記ユーザから前記特定された画面に対するアクセス要求があったときは、前記ユーザの種類に対応するユーザ種類別画面を表示させることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記エラー検出手段が前記エラーの発生を検出してから前記画面置換手段による画面の置換が行われるまでの間に、前記特定された画面にアクセスしたユーザを抽出するユーザ抽出手段と、
前記抽出されたユーザの識別情報を出力する手段とを、さらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
複数の画面と複数のプロセスとを備え、ユーザからの入力に基づいて画面を遷移させるとともに、各プロセスに所定の処理を実行させることにより、前記ユーザへサービスを提供する画面遷移システムの画面の置換方法であって、
前記複数のプロセスのうちでエラーが発生したプロセスを検出するステップと、
前記画面遷移において、前記エラーの発生が検出されたエラープロセスを実行するよりも前に表示される画面を特定するステップと、
前記特定された画面を、前記エラーへの対処方法を通知するためのメッセージまたは前記エラーの発生を告知するためのメッセージまたは前記エラーを迂回するためのメッセージが含まれる画面に置換するステップとを備える方法。
【請求項9】
複数の画面と複数のプロセスとを備え、ユーザからの入力に基づいて画面を遷移させるとともに、各プロセスに所定の処理を実行させることにより、前記ユーザへサービスを提供する画面遷移システムの管理を行うシステムであって、
前記複数のプロセスのうちでエラーが発生したプロセスを検出するエラー検出手段と、
前記エラー検出手段が前記エラーの発生を検出してからエラーが復旧するまでの間に、前記エラーの影響を受けたユーザを抽出するユーザ抽出手段と、
前記抽出されたユーザの識別情報を出力する手段とを備えるシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−99628(P2006−99628A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287414(P2004−287414)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】