説明

白線検出装置

【課題】低負荷かつ高精度に道路面上の白線を検出する白線検出装置を提供することを課題とする。
【解決手段】道路面に描かれた白線を検出する白線検出装置1であって、電磁波を送信し、当該送信した電磁波の反射波を受信する電磁波送受信手段2と、その電磁波の送信及び受信に基づいて検出点までの距離を算出する距離算出手段2と、検出点までの距離に基づいて道路面を推定する道路面推定手段6と、道路面と推定された各検出点に対する電磁波の送信強度と受信強度に基づいて白線を検出する白線検出手段6とを備えることを特徴とし、同一の検出点に対する電磁波の送信強度と受信強度及び距離に基づいて当該検出点での反射率を算出する反射率算出手段6を備え、白線検出手段6は、道路面と推定された各検出点での反射率に基づいて白線を検出すると好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路面に描かれた白線を検出する白線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーンキープや駐車支援などを行う場合、車線や駐車区画などを構成するために道路面に描かれた白線を検出することが重要となる。白線を検出する場合、道路面以外のガードレールや車両側面などに映った白線を誤検出することを防止する必要がある。そこで、特許文献1に記載の装置では、視点の異なる複数のカメラで撮影された各画像上で境界線モデルをそれぞれ検出し、複数の画像における境界線モデル間で境界線モデル同士の対応を取ることによって同一の境界線候補を表す境界線モデルのペアを選択し、この境界線モデルのペアの各画像上での位置の違いから境界線モデルの道路面からの高さを推定し、この道路面からの高さを用いて正しい道路面内の境界線(白線)を決定する。
【特許文献1】特開2003−281552号公報
【特許文献2】特開2001−116512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の白線の検出では、左右の対応点の対応探索を左右の画像間の全ての画素点の組み合わせで行っているため、対応探索処理が高負荷であり、処理時間を要する。さらに、左右の対応点の探索を単なる輝度差で行うステレオ方式のため、左右の対応点の対応で誤対応が発生し易く、検出精度が低下する。検出精度を向上させるために、カメラによる画像情報の他にレーダによる距離情報を検出し、画像情報と距離情報を統合することも考えられるが、この2つの情報を対応付ける処理も高負荷である。
【0004】
そこで、本発明は、低負荷かつ高精度に道路面上の白線を検出する白線検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る白線検出装置は、道路面に描かれた白線を検出する白線検出装置であって、電磁波を送信し、当該送信した電磁波の反射波を受信する電磁波送受信手段と、電磁波送受信手段による電磁波の送信及び受信に基づいて検出点までの距離を算出する距離算出手段と、距離算出手段で算出した距離に基づいて道路面を推定する道路面推定手段と、道路面推定手段で道路面と推定された各検出点に対する電磁波送受信手段での電磁波の送信強度と受信強度に基づいて白線を検出する白線検出手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
この白線検出装置では、電磁波送受信手段により電磁波を送信するとともに物体に当たって反射してきた電磁波を受信し、その電磁波の送信強度と受信強度(すなわち、反射強度)を取得する。そして、白線検出装置では、その電磁波の送受信による検出点毎に、距離算出手段により電磁波の送信及び受信に基づいて検出点までの距離を算出する。さらに、白線検出装置では、道路面推定手段により各検出点の距離に基づいて道路面を推定する。ここで、道路面(白線を含む)で反射した検出点が判る。そして、白線検出装置では、白線検出手段により道路面と推定された各検出点に対する電磁波の送信強度と受信強度に基づいて白線を検出する。このように、この白線検出装置では、電磁波の送受信情報から各検出点についての距離と送信強度及び受信強度を取得することにより、道路面上の白線を高精度に検出することができる。また、白線検出装置では、各検出点についての距離と送信強度及び受信強度を用いて道路上の白線で反射した検出点を見つけるだけなので、対応探索などを行う必要がなく、低負荷である。
【0007】
なお、道路面には、車両が走行する道路の面以外にも駐車場の面などの車両が走行可能な様々な面も含むものとする。また、この面は、平面以外にも曲面も含むものとする。検出対象の白線には、白線以外にも道路面に描かれる黄線などの他の色の線も含むものとする。
【0008】
本発明の上記白線検出装置では、同一の検出点に対する電磁波送受信手段での電磁波の送信強度と受信強度及び距離算出手段で算出した距離に基づいて当該検出点での反射率を算出する反射率算出手段を備え、白線検出手段は、道路面推定手段で道路面と推定された各検出点での反射率に基づいて白線を検出すると好適である。
【0009】
この白線検出装置では、反射率算出手段により同一の検出点に対する電磁波の送信強度と受信強度及び距離に基づいて当該検出点での反射率を算出する。道路面上に描かれた白線での反射率は道路面での反射率より明らかに高いので、反射率によって白線と道路面とを分離できる。そこで、白線検出装置では、白線検出手段により道路面と推定された各検出点での反射率に基づいて白線を検出する。このように、この白線検出装置では、電磁波の送受信情報から各検出点についての距離と反射率を取得することにより、道路面上の白線をより高精度に検出することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、電磁波の送受信情報から各検出点についての距離と送信強度及び受信強度を取得することにより、低負荷かつ高精度に道路面上の白線を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係る白線検出装置の実施の形態を説明する。
【0012】
本実施の形態では、本発明に係る白線検出装置を、車両に搭載される駐車区画検出装置に適用する。本実施の形態に係る駐車区画検出装置は、駐車場内の路面に描かれた白線からなる駐車区画を検出し、その検出した駐車区画情報を駐車支援装置に提供する。
【0013】
図1〜図5を参照して、本実施の形態に係る駐車区画検出装置1について説明する。図1は、本実施の形態に係る駐車区間検出装置の構成図である。図2は、図1の3次元距離画像センサの2次元スキャンの一例である。図3は、駐車場での自車移動軌跡と2次元スキャンエリアの一例である。図4は、推定路面と検出点の一例である。図5は、推定路面の検出点の反射係数の頻度分布の一例である。
【0014】
駐車区画検出装置1は、レーザ光を利用し、車両が低速で駐車区画近傍を通過するときのレーザ光の送受信情報に基づいて白線(駐車区画)を検出する。特に、駐車区画検出装置1では、レーザ光に用いて2次元にスキャンしながら各検出点での距離と反射係数を同時に取得し、この各検出点での距離に基づいて路面を推定するとともに反射係数に基づいて推定した路面上の白線を検出する。そのために、駐車区画検出装置1は、3次元距離画像センサ2、舵角センサ3、車輪速センサ4、シフトポジションセンサ5及びECU[Electronic Control Unit]6を備えている。
【0015】
なお、本実施の形態では、3次元距離画像センサ2が特許請求の範囲に記載する電磁波送受信手段及び距離算出手段に相当し、ECU6における各処理が特許請求の範囲に記載する道路面推定手段、反射率算出手段及び白線検出手段に相当する。
【0016】
3次元距離画像センサ2は、レーザ光を利用して2次元スキャンし、2次元スキャンエリア内の各検出点の距離や反射強度を検出するアクティブセンサである。3次元距離画像センサ2は、車両の左右の各側面の前方の所定の箇所(例えば、図2に示すようにヘッドライト内)に配設され、車両の側方の下方に向かってレーザ光を照射するように(路面にレーザ光が当たるように)取り付けられる。3次元距離画像センサ2では、ECU6からの起動信号に応じて起動し、ECU6からの停止信号に応じて停止する。起動すると、3次元距離画像センサ2では、一定時間毎に、2次元スキャンを行う。なお、3次元距離画像センサ2は、常時、作動していてもよい。
【0017】
具体的には、3次元距離画像センサ2では、上下方向(車両高さ方向)の所定角度毎及び左右方向(車両前後方向)の所定角度毎に、レーザ光のスキャン方向を順次変える。そして、3次元距離画像センサ2では、所定の左右方向のスキャン角度Xと上下方向スキャン角度Yでレーザ光を一定の送信パワーPSt(w)で順次送信し、反射してきたレーザ光を順次受信する。この上下方向の所定角度毎と左右方向の所定角度毎のレーザ光の送受信により、車両の側方での2次元スキャンとなる。図2に示すように、2次元スキャンエリアA内には車両幅方向と車両前後方向に沿って整列された多数の検出点P,・・・が存在する。例えば、各方向に100づつの検出点とすると、1回の2次元スキャンで100×100点の検出点が得られる。
【0018】
この左右方向スキャン角度X、上下方向スキャン角度Yでのレーザ光の送受信毎に、3次元距離画像センサ2では、受信したレーザ光の受信パワーPSr(w)(反射強度)を検出するとともに、レーザ光を送信してから受信するまでの時間を計測する。さらに、3次元距離画像センサ2では、レーザ光を送信してから受信するまでの時間とレーザ光の速度に基づいて検出点まので距離Lを算出する。そして、3次元距離画像センサ2では、検出点毎に、左右方向のスキャン角度X、上下方向スキャン角度Y、距離L、受信パワーPSrをバッファリングする。
【0019】
1回の2次元スキャンが終了すると、3次元距離画像センサ2では、2次元スキャンの全ての検出点についての左右方向のスキャン角度X、上下方向スキャン角度Y、距離L、受信パワーPSrを2次元スキャン信号としてECU6に送信する。
【0020】
舵角センサ3は、車両の舵角(ハンドル角又はタイヤ角)を検出するセンサである。舵角センサ3では、舵角を検出し、その舵角を舵角信号としてECU6に送信する。
【0021】
車輪速センサ4は、車両の四輪にそれぞれ設けられ、車輪の回転速度(車輪の回転に応じたパルス数)を検出するセンサである。車輪速センサ4では、所定時間毎の車輪の回転パルス数を検出し、その検出した車輪回転パルス数を車輪速信号としてECU6に送信する。ECU6では、各車輪の回転速度から車輪速をそれぞれ算出し、各輪の車輪速から車体速(車速)を算出する。
【0022】
シフトポジションセンサ5は、運転者によって選択されているシフトレバーのポジション(P(パーキング)レンジ、R(リバース)レンジ、N(ニュートラル)レンジ、D(ドライブ)レンジなど)を検出するセンサである。シフトポジションセンサ5では、検出したシフトポジションをシフトポジション信号としてECU6に送信する。
【0023】
ECU6は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[ReadOnly Memory]、RAM[Random Access Memory]などからなり、駐車区画検出装置1を統括制御する電子制御ユニットである。ECU6では、一定時間毎に、各車輪速センサ4からの車輪速信号を受信し、各車輪速信号に基づいて車速を算出し、車速が閾値以下になったか否かを判定する。閾値は、車両が駐車するために低速になったか否かを判定するための車速であり、実験などによって予め設定される。そして、ECU6では、車速が閾値以下になると、3次元距離画像センサ2に起動信号を送信するとともに駐車区間検出処理を開始する。
【0024】
駐車区間検出処理の開始時に、ECU6では、駐車場内での路面座標の原点(例えば、車速が閾値以下になったときの3次元距離画像センサ2の位置)を決定し、路面座標を生成する。この路面座標上において、駐車区間の白線の位置が規定される。
【0025】
駐車区画検出処理中、ECU6では、一定時間毎に、3次元距離画像センサ2からの2次元スキャン信号、舵角センサ3からの舵角信号、各車輪速センサ4からの車輪速信号を受信する。ECU6では、舵角と車輪速に基づいて、前回の2次元スキャン信号を受信したときの位置(初期位置は車速が閾値以下となったときの位置)から今回の2次元スキャン信号を受信したときの位置までの自車の移動軌跡(相対軌跡)を算出する。さらに、EUU6では、算出した移動軌跡に基づいて路面座標上での移動量(平行移動量、回転移動量)を算出する。ここでは、原点からの移動量を求めてもよいし、あるいは、前回の位置からの移動量を求めてもよい。そして、ECU6では、この路面座標上での移動量に基づいて、今回の2次元スキャン信号に含まれる全ての検出点の位置を路面座標上の座標位置に座標変換する。
【0026】
図3に示す例の場合、自車が始点Sの位置で車速が閾値以下となり、この始点Sの位置が初期位置であり、駐車区画検出処理が開始する。その後、点P1、点P2、点P3、点P4の各位置で2次元スキャンが行われ、ECU6で2次元スキャン信号を受信する。そして、自車が終点Eの位置でシフトポジションがRレンジに変わり、駐車区画検出処理が終了する。したがって、ECU6では、始点Sから点P1までの移動軌跡M1、点P1から点P2までの移動軌跡M2、点P2から点P3までの移動軌跡M3、点P3から点P4までの移動軌跡M4をそれぞれ算出する。この各点P1,P2,P3,P4ではそれぞれ異なる位置、異なる角度で2次元スキャンを行ったときの2次元スキャンエリアA1,A2,A3,A4となっているので、ECU6では、2次元スキャンエリアA1,A2,A3,A4毎に、初期位置からの各移動量(平行移動量、回転移動量)に基づいて検出点を路面座標上での座標位置に変換する。
【0027】
検出点を座標変換すると、ECU6では、全ての検出点を用いて、各検出点までの距離を平面(曲面でもよい)に当てはめる。この平面に当てはめる方法としては、従来の方法を適用し、例えば、最小二乗法、RANSAC[RANdom SAmple Consensus]を用いる。ここで、当てはめられた平面が、路面に相当する。路面を推定すると、ECU6では、全ての検出点の中から、この推定された路面で反射された検出点だけを抽出する。ここでは、センサ誤差などを考慮し、路面上の検出点の他にその路面から一定距離以内の検出点も抽出する。例えば、路面に対して各検出点の距離の±1%以内の検出点も抽出する。図4に示す例の場合、推定された路面R上の検出点P4,P6,P10,P12の他に、路面Rから一定距離D以内の検出点P1,P5,P7,P9,P11,P13,P14も路面Rで反射した検出点として抽出される。ちなみに、検出点P4,P5,P6と検出点P10,P11,P12は、白線W1と白線W2でそれぞれ反射した検出点である。
【0028】
路面で反射した検出点を抽出すると、ECU6では、その抽出した各検出点について反射係数(反射率)を算出する。レーザ光は、距離の二乗で減衰する。したがって、各検出点で反射してきたレーザ光の受信パワーPSrは、3次元距離画像センサ2でのレーザ光の送信パワーPStと3次元距離画像センサ2と各検出点間の距離Lを用いて、式(1)により算出することができる。ここで、Kは、各検出点での反射係数(0〜1の値)である。
【0029】
【数1】

【0030】
式(1)を、反射係数を求める式に変換すると式(2)になる。そこで、ECU6では、その抽出した各検出点について、送信パワーPSt、受信パワーPSr、距離Lを用いて、式(2)により反射係数Kを算出する。
【0031】
【数2】

【0032】
各検出点の反射係数Kを算出すると、ECU6では、各検出点の反射係数に基づいて、全ての検出点の中から白線候補となる検出点を抽出する。路面と白線との反射係数を比較した場合、白線の方が明らかに反射係数が大きい。そこで、ECU6では、各検出点について反射係数Kが白線検出用係数以上か否かを判定し、白線検出用閾値以上の検出点を白線候補の検出点とする。白線検出用係数は、路面と白線とを判別するための反射係数(路面の反射係数より大きくかつ白線の反射係数より小さい値)であり、実験などによって予め設定される。
【0033】
図5に示すように、横軸に反射係数、縦軸に各反射係数を有する検出点の頻度とした場合、多くの検出点からなる反射係数の小さいグループG1と少ない検出点からなる反射係数の大きいグループG2に分離できる。このグループG1とグループG2とを分離できる白線検出用係数を設定することにより、白線と白線以外の路面とを分離することができる。
【0034】
白線候補の検出点を抽出すると、ECU6では、この白線候補の全ての検出点を用いて、各検出点の路面座標上での座標位置を直線に当てはめる。直線に当てはめる方法としては、従来の方法を適用し、例えば、HOUGH変換を用いる。当てはめられた直線を全て白線としてもよいが、さらに、ECU6では、当てはめられた直線から細長い直線でありかつ自車の進行方向に略平行な直線と略垂直な直線だけを抽出し、その直線を白線としてもよい。
【0035】
駐車区間検出処理中、ECU6では、一定時間毎に、シフトポジションセンサ5からのシフトポジション信号を受信し、シフトポジションがRレンジに変わった否かを判定する。シフトポジションがRレンジに変わると、ECU6では、各2次元スキャンの検出点から求められた路面座標上での各白線(直線)を合成し、駐車区画とする。図3に示す例の場合、4つの2次元スキャンエリアA1,A2,A3,A4における各検出点からそれぞれ白線が検出されるので、この4つの2次元スキャンエリアA1,A2,A3,A4の白線を合成して1つの駐車区画を生成する。そして、ECU6では、3次元距離画像センサ2に停止信号を送信するとともに駐車区間検出処理を終了する。
【0036】
駐車区間を検出すると、ECU6では、路面座標上での駐車区間の情報を駐車区画信号として駐車支援装置に送信する。
【0037】
図1〜図5を参照して、駐車区画検出装置1における動作について説明する。特に、ECU6における処理については図6のフローチャートに沿って説明する。図6は、図1のECUの処理の流れを示すフローチャートである。
【0038】
一定時間毎に、舵角センサ3では、舵角を検出し、舵角信号をECU6に送信している。各車輪速センサ4では、所定時間毎の車輪の回転パルス数を検出し、車輪速信号をECU6に送信している。シフトポジションセンサ5では、シフトポジションを検出し、シフトポジション信号をECU6に送信している。
【0039】
ECU6では、各センサ3,4,5からの信号を受信する。ECU6では、車輪速信号に基づいて車速を算出する。そして、ECU6では、一定時間毎に、車速が閾値以下か否かを判定する(S1)。S1にて車速が閾値より高いと判定した場合、ECU6では、駐車区画検出処理を行わず、S1の判定に戻る。S1にて車速が閾値以下と判定した場合、ECU6では、起動信号を3次元距離画像センサ2に送信するとともに、駐車区画検出処理を開始する(S2)。
【0040】
起動信号を受信すると、3次元距離画像センサ2では、一定時間毎に、2次元スキャンを行う。そして、3次元距離画像センサ2では、各2次元スキャンでの全ての検出点についての左右方向のスキャン角度X、上下方向スキャン角度Y、距離L、受信パワーPSrを2次元スキャン信号としてECU6に送信する。ECU6では、2次元スキャン信号を受信し、2次元スキャンの全ての検出点についての情報を取得する(S3)。
【0041】
ECU6では、舵角と車輪速に基づいて、前回の2次元スキャンの位置から今回の2次元スキャンの位置までの自車の移動軌跡を算出する(S4)。さらに、EUU6では、その移動軌跡に基づいて路面座標上での移動量(平行移動量、回転移動量)を算出する(S5)。そして、ECU6では、この移動量に基づいて、今回の2次元スキャンでの全ての検出点の位置を路面座標上の座標位置に座標変換する(S6)。
【0042】
ECU6では、今回の2次元スキャンの全ての検出点の各距離情報に基づいて路面を推定する(S7)。そして、ECU6では、推定した路面に対する各検出点について、送信パワーPSt、受信パワーPSr、距離Lを用いて、式(2)により反射係数Kを算出する(S8)。さらに、ECU6では、推定した路面に対する全ての検出点の中から反射係数Kが白線検出用閾値以上の白線候補の検出点を抽出する(S8)。そして、ECU6では、この白線候補の検出点に基づいて路面座標上での白線を検出する(S8)。
【0043】
ECU6では、一定時間毎に、シフトポジションがリバースレンジに変わったか否かを判定する(S9)。S9にてリバースレンジに変わっていないと判定した場合、ECU6では、一定時間後に、S3に戻って、次回の2次元スキャンを用いた処理を行う。
【0044】
S9にてリバースレンジに変わったと判定した場合、ECU6では、各2次元スキャンの検出点からそれぞれ検出した路面座標上での各白線を合成し、駐車区画を検出する(S10)。そして、ECU6では、その駐車区間の情報を駐車区画信号として駐車支援装置に送信する。また、ECU6では、3次元距離画像センサ2に停止信号を送信する。この停止信号を受信すると、3次元距離画像センサ2では、作動停止する。
【0045】
この駐車区画検出装置1によれば、2次元スキャンによる各検出点での距離と反射係数(反射率)を取得することにより、白線(ひいては、駐車区間)を高精度に検出することができる。特に、駐車区画検出装置1では、各検出点までの距離を利用して路面を高精度に推定できるとともに、各検出点での反射係数を利用して白線と白線以外とを高精度に分離することができる。また、駐車区画検出装置1では、2次元スキャンの各検出点に対する処理を行うだけなので、処理負荷が軽く、処理時間が短い。
【0046】
また、駐車区画検出装置1によれば、3次元距離画像センサ2を用いることにより、所定の2次元エリアを一度に2次元スキャンできるとともに、距離情報と反射強度(ひいては、反射係数)を取得することができる。
【0047】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0048】
例えば、本実施の形態では駐車場の区画線を検出する駐車区画検出装置に適用したが、車線などの他の白線を検出する装置にも適用可能である。また、駐車支援装置、レーンキープ装置などの装置内に組み込む構成としてもよい。
【0049】
また、本実施の形態では電磁波送受信手段としてレーダ光を利用した2次元スキャンの3次元距離画像センサを用いたが、他の光や電波(ミリ波など)を利用した他の電磁波送受信手段でもよいし、また、1次元スキャンの電磁波送受信手段によって1次元のデータを所定時間毎に収集し、その1次元のデータを車両の走行軌跡に基づいて2次元のデータに変換する構成としてもよい。この1次元スキャンの電磁波送受信手段を用いた方法は、車載の車線検出装置において車線を構成する白線を検出する場合などに用いられる。
【0050】
また、本実施の形態では反射係数(反射率)の大小関係に基づいて白線と白線以外の検出点とを判別する構成としたが、他の方法で白線を検出してもよく、例えば、反射率が所定値以上変化する検出点(エッジ)から白線を検出する構成としてもよい。また、反射強度を直接用いて、反射強度が変化する検出点(エッジ)あるいは反射強度の大きい検出点などから白線を検出する構成としてもよい。
【0051】
また、本実施の形態では数回の2次元スキャンでの各検出点からそれぞれ白線を検出し、各2次元スキャンでの白線を合成して駐車区画を検出する構成としたが、センサが駐車区画全体を1回で2次元スキャンできるものであれば、その1回の2次元スキャンのデータから白線(ひいては、駐車区画)を検出する構成としてもよいし、また、数回の2次元スキャンを全て終了後に数回の2次元スキャンの全ての検出点を路面座標上に配置し、全ての検出点から白線(すなわち、駐車区画)を検出する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施の形態に係る駐車区間検出装置の構成図である。
【図2】図1の3次元距離画像センサの2次元スキャンの一例である。
【図3】駐車場での自車移動軌跡と2次元スキャンエリアの一例である。
【図4】推定路面と検出点の一例である。
【図5】推定路面の検出点の反射係数の頻度分布の一例である。
【図6】図1のECUの処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1…駐車区画検出装置、2…3次元距離画像センサ、3…舵角センサ、4…車輪速センサ、5…シフトポジションセンサ、6…ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路面に描かれた白線を検出する白線検出装置であって、
電磁波を送信し、当該送信した電磁波の反射波を受信する電磁波送受信手段と、
前記電磁波送受信手段による電磁波の送信及び受信に基づいて検出点までの距離を算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段で算出した距離に基づいて道路面を推定する道路面推定手段と、
前記道路面推定手段で道路面と推定された各検出点に対する前記電磁波送受信手段での電磁波の送信強度と受信強度に基づいて白線を検出する白線検出手段と
を備えることを特徴とする白線検出装置。
【請求項2】
同一の検出点に対する前記電磁波送受信手段での電磁波の送信強度と受信強度及び前記距離算出手段で算出した距離に基づいて当該検出点での反射率を算出する反射率算出手段を備え、
前記白線検出手段は、前記道路面推定手段で道路面と推定された各検出点での反射率に基づいて白線を検出することを特徴とする請求項1に記載する白線検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−140175(P2009−140175A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315000(P2007−315000)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】