説明

神経変性疾患を予防及び治療する方法

【課題】治療を必要とする患者に対し、1以上の神経変性疾患を治療する方法であって、請求項1に定義されるようなグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、その互変異性体、その立体異性体、その化合物の混合物、又は、その塩を、必要とする患者に対し投与することを含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)の化合物(その互変異性体、その立体異性体、その混合物、及び、その塩を含む)を含む医薬組成物を投与することによって、予防及び治療を必要とする患者に対し、神経変性疾患を予防及び治療する方法に関し、式中基R1からR6及びR7a、R7b、R7cは下記で定義する。更に本発明は、神経変性疾患を予防及び治療するための医薬組成物を調製するための本発明の一般式(I)の化合物の使用に関する。
【0002】
【化1】

【背景技術】
【0003】
発明の背景
グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体(SGLT)、特にSGLT2を阻害する。腎臓の上皮細胞を通じてろ過されたグルコースの再取り込みは、ナトリウム勾配に従って、近位尿細管における刷子縁膜に位置するナトリウム依存グルコース共輸送体(SGLT)によって生じる(1)。発現パターン及び物理化学的性質が異なる少なくとも3個のSGLTアイソフォームが存在する(2)。SGLT2は、もっぱら腎臓において発現する(3)。正常血糖下で、グルコースは、腎臓でSGLTによって完全に再吸収される一方で、腎臓の再取り込み能力が10mMより高いグルコース濃度で飽和すると、糖尿(真性糖尿病)となる。この限界濃度は、SGLT2阻害剤で減らすことができる。腎臓ろ過及びグルコースの再取り込みは、他のメカニズムの間で、血漿グルコース濃度の定常状態の一因となり、従って、抗糖尿病性の標的となり得る。従って、グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体は、尿糖排出の誘導因子及び糖尿病の治療用医薬として提案されている。
(1) Wright, E.M. (2001) Am. J. Renal Physiol. 280, F10-F18
(2) Wright, E.M.ら (2004) Pflugers Arch. 447(5):510-8
(3) You, G.ら (1995) J. Biol. Chem. 270 (49) 29365-29371
【0004】
アルツハイマー病(AD)は、進行性の神経変性疾患であり、多様な認知障害、例えば記憶力、判断力及び理解力の低下、及び、全体機能の低下を特徴とする。疾患進行に伴って、多様な認知機能の全体機能障害が生じるまで、運動機能、感覚能力及び言語能力も侵される。これらの認知欠陥は、徐々に生じるが、一般的には、4から12年の間で重度の障害をもたらし、最終的に死にいたらしめる。現在の治療法は、全ての患者に効果的ではない。
従って、更に改善された安全性プロフィールを表すと同時に、認知症、特にアルツハイマー型の認知症のような神経変性疾患を治療、予防、又は、その進行の緩除、遅延、若しくは緩解することに関して非常に有効な薬剤に対して、いまだ満たされていない医療ニーズがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の目的
本発明の目的は、神経変性疾患の、特に認知症の新しい治療方法を見出すことである。
本発明の他の目的は、神経変性疾患の、特に認知症の予防、又は、その進行を緩除、遅延、若しくは緩解する新しい方法を見出すことである。
本発明の更なる目的は、グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体の新しい治療的使用法を見出すことである。
本発明の更なる目的は、神経変性疾患の、特に認知症の治療に適した新しい医薬組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、上記の又は下記の記載から直接的に当業者に明らかになるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の対象
第一の局面において、本発明は、治療を必要とする患者に対し、1以上の神経変性疾患を治療する方法であって、一般式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、その互変異性体、その立体異性体、一般式(I)の化合物の混合物、又は、その塩を、必要とする患者に対し投与することを含む方法に関する。
【0007】
【化2】

【0008】
式中、
R1が、
水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ若しくはニトロ、又は、
C1-4-アルキル、1から3個のフッ素原子によって置換されたメチル基、1から5個のフッ素原子で置換されたエチル基、ヒドロキシ若しくはC1-3-アルコキシ基で置換されたC1-4-アルキル基、又は、
C2-6-アルケン-1-イル、C2-4-アルケニル-C1-4-アルキル、C2-6-アルキン-1-イル、C2-4-アルキニル-C1-4-アルキル、又は、
C2-4-アルケニル-C1-4-アルコキシ、C2-4-アルキニル-C1-4-アルコキシ、又は、
C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキル、C5-7-シクロアルケニル、C5-7-シクロアルケニル-C1-4-アルキル、又は、
ヒドロキシ、C1-4-アルコキシ、1から3個のフッ素原子によって置換されたメトキシ基、1から5個のフッ素原子によって置換されたエトキシ基、ヒドロキシ若しくはC1-3-アルコキシ基によって置換されたC2-4-アルコキシ基、又は、
C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルコキシ、又は、
C1-4-アルキルカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イルカルボニル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イルカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、又は、
アミノ、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-オン-1-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-オン-1-イル、モルホリン-4-イル、モルホリン-3-オン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-3-アルキル)ピペラジン-1-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、又は、
C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルフィニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルフィニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニル、又は、
アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、アリール-C1-3-アルコキシカルボニル、ヘテロアリール-C1-3-アルコキシカルボニル、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルファニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロアリールスルホニル、
を表し、
更に、上記のシクロアルキル環及びシクロアルケニル環の中で、1又は2個のメチレン基が、O、S、CO、SO、SO2若しくはNRNによって互いに独立して置換されてもよく、そして、
更に、上記のアルキニル基及びアルケニル基が、フッ素によって一置換若しくは多置換されてもよく、そして、
上記のアルキニル基及びアルケニル基が、同一若しくは異なる基L1によって一置換若しくは二置換されてもよく、そして、
上記の互いに独立してシクロアルキル環及びシクロアルケニル環が、フッ素及びC1-3-アルキルから選択される置換基によって一置換若しくは二置換されてもよく、そして、
R2が、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、C1-4-アルキルスルファニルを表し、前記アルキル基若しくはアルコキシ基がフッ素によって一置換若しくは多置換されてもよく;そして
R3が、
水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、
C1-6-アルキル、1から3個のフッ素原子によって置換されたメチル基若しくはメトキシ基、1から5個のフッ素原子によって置換されたC2-4-アルキル基若しくはC2-4-アルコキシ基、シアノ基によって置換されたC1-4-アルキル基、ヒドロキシ若しくはC1-3-アルキルオキシ基によって置換されたC1-4-アルキル基、トリ-(C1-4-アルキル)シリル-C1-6-アルキル、
C2-6-アルケン-1-イル、C2-4-アルケニル-C1-4-アルキル、
C2-6-アルキン-1-イル、C2-4-アルキニル-C1-4-アルキル、
C2-4-アルケニル-C1-4-アルコキシ、C2-4-アルキニル-C1-4-アルコキシ、
C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキル、C5-7-シクロアルケニル、C5-7-シクロアルケニル-C1-4-アルキル、C3-6-シクロアルキリデンメチル、
ヒドロキシ、C1-6-アルコキシ、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルコキシ、C3-10-シクロアルキルオキシ、C5-10-シクロアルケニルオキシ、又は、
C3-7-シクロアルキルエチニル、テトラヒドロフラニルエチニル、テトラヒドロピラニルエチニル、C3-7-シクロアルキルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ, テトラヒドロピラニルオキシ若しくはシクロアルカノイルで、それら全てが1から4個の置換基L2で置換されてもよく、又は、
カルボキシ、C1-3-アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、(C1-3-アルキルアミノ)カルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イル-カルボニル、4-(C1-3-アルキル)-ピペラジン-1-イルカルボニル、又は、
アミノ、C1-3-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-オン-1-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-オン-1-イル、モルホリン-4-イル、モルホリン-3-オン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-3-アルキル)ピペラジン-1-イル、(C1-4-アルキル)カルボニルアミノ、C1-4-アルキルスルホニルアミノ、又は、
C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-10-シクロアルキルスルファニル、C3-10-シクロアルキルスルフィニル、C3-10-シクロアルキルスルホニル、C5-10-シクロアルケニルスルファニル、C5-10-シクロアルケニルスルフィニル、C5-10-シクロアルケニルスルホニル、又は、
アリール、アリール-C1-3-アルキル、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1-3-アルキル、アリールオキシ、アリール-C1-3-アルキル-オキシ、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルファニル若しくはヘテロアリールスルフィニル、アリールスルホニルアミノ、アリール-C1-3-アルキルスルホニルアミノ若しくはアリールスルホニル、又は、
アリールエチニル基、又は、5-若しくは6-員環の単環ヘテロアリールエチニル基、又は、5-若しくは6-員環の単環ヘテロアリールオキシ基を表し;
ここで、ヘテロアリール基が、N、O及びSからなる群から独立して選択される1から4個のヘテロ原子を有し;そして、
ここで、ヘテロアリール基が、単環芳香族環系の一部として1又は2個のカルボニル基を有してもよく;そして、
ここで、ヘテロアリール環系のN原子が、酸化されて対応するNオキシドを形成してもよく;そして、
ここで、アリール基及びヘテロアリール基における1個以上のメチン基が、置換基L1で互いに独立して置換されてもよく;そして、
その中でヘテロアリール基における1個以上のイミノ基が置換基RNで互いに独立して置換されてもよく;
更に、上記のアルキニル基及びアルケニル基が、フッ素によって一置換若しくは多置換されてもよく、そして、
上記のアルキニル基及びアルケニル基が、同一若しくは異なる基L1によって一置換若しくは二置換されてもよく;そして、
更に、上記のシクロアルキル環及びシクロアルケニル環が、フッ素及びC1-3-アルキルから選択される置換基によって互いに独立して一置換若しくは二置換されてもよく、そして
上記のシクロアルキル環及びシクロアルケニル環において、1又は2個のメチレン基が、O、S、CO、SO、SO2又はNRNによって互いに独立して置換されてもよく、
R4、R5が、
互いに独立して水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、C1-3-アルキル、C1-3-アルコキシ、1から3個のフッ素原子によって置換されたメチル若しくはメトキシ、アミノ、C1-3-アルキル-アミノ、又はジ(C1-3-アルキル)-アミノを表し;そして
RNが、
H、C1-4-アルキル、C1-4-アルキルカルボニル又はC1-4-アルキルスルホニルを表し、
L1が、
互いに独立して、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、C3-7-シクロアルキル、C1-4-アルキルカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、及び、C1-4-アルキルオキシから選択され;そして
L2が、
互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-3-アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3-アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びシアノから選択され;そして
R6、R7a、R7b、R7cが、
互いに独立して、水素、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルから選択される意味を有し、
更に、上記基の定義中、アリール基とは、同一若しくは異なる基L2によって互いに独立して一置換若しくは二置換されてもよいフェニル基若しくはナフチル基を意味し;そして、
上記基の定義中、ヘテロアリール基とは、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピリジル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、キノリニル基、イソキノリニル基若しくはテトラゾリル基を意味し、
又は、1又は2個のメチン基が窒素原子によって置換されたピロリル基、フラニル基、チエニル基若しくはピリジル基を意味し、
又は、1から3個のメチン基が窒素原子によって置換されたインドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、キノリニル基若しくはイソキノリニル基を意味し、
更に、上記のヘテロアリール基が互いに独立して同一若しくは異なる基L2によって一置換若しくは二置換されてもよく;
更に、特に明記しない限り、上記のアルキル基は、直鎖又は分岐鎖でもよい。
【0009】
更なる局面において、本発明は、それを必要とする患者に対し、1以上の神経変性疾患を予防、又は、その進行を緩除、遅延、若しくは緩解する方法であって、一般式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、その互変異性体、その立体異性体、その混合物、又は、その塩を、必要とする患者に対し投与することを含む上記及び下記に定義した方法に関する。
本発明の別の局面は、1以上の神経変性疾患を治療するための医薬を製造するための上記及び下記の一般式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、その互変異性体、その立体異性体、その混合物、又は、その塩の使用に関する。
本発明の別の局面は、1以上の神経変性疾患を予防、又は、その進行を緩除、遅延、若しくは緩解するための医薬を製造するための上記及び下記に定義した一般式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、その互変異性体、その立体異性体、その混合物、又は、その塩の使用に関する。
【0010】
本発明の別の局面は、上記及び下記に定義した一般式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、その互変異性体、その立体異性体、その混合物、又は、その塩を含む、1以上の神経変性疾患を治療するための医薬組成物に関する。
本発明の別の局面は、上記及び下記に定義した一般式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、その互変異性体、その立体異性体、その混合物、又は、その塩を含む、1以上の神経変性疾患を予防、又は、その進行を緩除、遅延、若しくは緩解するための医薬組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
特に明記しない限り、基、残基、及び置換基、特にR1からR6及びR7a、R7b、R7cは、上記及び下記に定義したとおりである。
残基、置換基、又は基が化合物中に数回現れる場合に、それらは、同じ又は異なる意味を有することができる。
基R1は、好適には、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アミノ、ニトロ若しくはシアノ、ヒドロキシ、C1-4-アルキル、1から3個のフッ素原子によって置換されたメチル、1から5個のフッ素原子によって置換されたエチル、ヒドロキシ基若しくはC1-3-アルコキシ基によって置換されたC1-4-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C1-4-アルコキシ、1から3個のフッ素原子によって置換されたメトキシ、1から5個のフッ素原子によって置換されたエトキシ、ヒドロキシ基若しくはC1-3-アルコキシ基によって置換されたC2-4-アルコキシ、C2-4-アルケニル-C1-4-アルコキシ、C2-4-アルキニル-C1-4-アルコキシ、C3-6-シクロアルキル、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C3-7-シクロアルキルオキシ、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルコキシ又はC5-7-シクロアルケニルオキシを表し、更に、C5-6-シクロアルキル基の中でメチレン基がOによって置換されてもよい。
更に好適な基R1は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、メチル、エチル、イソプロピル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、エチニル、プロパ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-1-イル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又はテトラヒドロピラン-4-イル-オキシを表す。
基R1の最も好適な意味は、メチル、塩素、シアノ、及びシクロプロピルである。
【0012】
基R2は、好適には、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、メチル、1から3個のフッ素原子によって置換されたメチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、トリフルオロ-メトキシ、イソプロポキシ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシを表す。
第一の好適な態様において、基R1がシアノを表し、かつ、R2が水素を表す。
第二の好適な態様において、基R1がシアノを表し、かつ、R2が上記で定義されたものであるがR2が水素を示さない。
【0013】
基R3は、好適には、水素、フッ素、塩素、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、エチニル、1-プロピニル、トリメチルシリルエチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、シクロペンチルオキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、テトラヒドロフラン-2-オン-3-イルオキシ、メチルスルファニル、エチルスルファニル、イソプロピルスルファニル、シクロプロピリデンメチル、フェニル、フルオロフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリメチルシリルエチル、エチニル、1-プロピン-1-イル、1-ブチン-1-イル、tert-ブチルエチニル、2-ヒドロキシプロパ-2-イルエチニル、2-メトキシプロパ-2-イルエチニル、3-ヒドロキシ-1-プロピン-1-イル、3-メトキシ-1-プロピン-1-イル、エテニル、1-プロペニル、1-ブテニル、tert-ブチルエテニル、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロチオフェニルオキシ、1,1-ジオキソテトラヒドロチオフェニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、テトラヒドロチオピラニルオキシ、1,1-ジオキソテトラヒドロチオピラニルオキシ、テトラヒドロフラノニルオキシ、ピペリジニルオキシ、ピペリジノニルオキシ、ピロリジン-3-イルオキシ、ピロリジノン-3-イルオキシ、テトラヒドロフラニル-スルファニル、シクロプロピルスルファニル、シクロブチルスルファニル、シクロペンチルスルファニル、及びシクロヘキシルスルファニルを表し、更に、ピペリジニル環、ピペリジノニル環、ピロリジニル環、又は、ピロリジノニル環における-NH基が、RN、特にC1-3-アルキル若しくはアセチルによって置換されてもよく;又は、
1-ヒドロキシ-シクロプロピルエチニル、1-ヒドロキシ-シクロブチルエチニル、1-ヒドロキシ-シクロペンチルエチニル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルエチニル、テトラヒドロフラン-2-イルエチニル、テトラヒドロフラン-3-イルエチニル、テトラ-ヒドロピラン-4-イルエチニル、4-ヒドロキシ-テトラヒドロピラン-4-イルエチニル、1-メトキシ-シクロプロピルエチニル、1-メトキシ-シクロブチルエチニル、1-メトキシ-シクロペンチルエチニル、1-メトキシ-シクロヘキシルエチニル、4-メトキシ-テトラヒドロピラン-4-イルエチニル、1-ヒドロキシメチル-シクロプロピルエチニル、1-ヒドロキシメチル-シクロブチルエチニル、1-ヒドロキシメチル-シクロペンチルエチニル、1-ヒドロキシメチル-シクロヘキシルエチニル、4-ヒドロキシメチル-テトラヒドロピラン-4-イルエチニルを表し、これら全ては、付加基L2で置換されてもよく;又は、
2-ヒドロキシ-シクロプロピルオキシ、2-ヒドロキシ-シクロブチルオキシ、3-ヒドロキシ-シクロブチルオキシ、2-ヒドロキシ-シクロペンチルオキシ、3-ヒドロキシ-シクロペンチルオキシ、2-ヒドロキシ-シクロヘキシルオキシ、3-ヒドロキシ-シクロヘキシルオキシ、4-ヒドロキシ-シクロヘキシルオキシ、2-メトキシ-シクロプロピルオキシ、2-メトキシ-シクロブチルオキシ、3-メトキシ-シクロブチルオキシ、2-メトキシ-シクロペンチルオキシ、3-メトキシ-シクロペンチルオキシ、2-メトキシ-シクロヘキシルオキシ、3-メトキシ-シクロヘキシルオキシ、4-メトキシ-シクロヘキシルオキシ、1-ヒドロキシメチル-シクロペンチルオキシ、1-ヒドロキシメチル-シクロヘキシルオキシ、1-メトキシメチル-シクロペンチルオキシ、1-メトキシメチル-シクロヘキシルオキシ、4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、4-メトキシ-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、3-ヒドロキシ-テトラヒドロピラン-4-イルオキシ、及び、4-ヒドロキシ-テトラヒドロピラン-3-イルオキシを表し、これら全てが付加基L2で置換されてもよく;又は、
2-オキソ-シクロペンチル及び2-オキソ-シクロヘキシルを表し、これらは、付加置換基L2で置換されてもよく;又は、
フェニルエチニル、ピリジルエチニル、ピリダジニルエチニル、ピラジニルエチニル、ピリミジニルエチニル、チエニルエチニル、チアゾリルエチニル、オキサゾリルエチニル、イソオキサゾリルエチニル、[1,2,4]オキサジアゾリルエチニル、[1H-[1,2,4]トリアゾリル]エチニル、[2H-テトラゾリル]エチニル、[1,2-ジヒドロ-2-オキソ-ピリジニル]エチニル、又は、[1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-ピリミジニル]エチニルを表し、その中で、前記フェニル若しくはヘテロアリール基における1以上のメチン基が置換基L1で互いに独立して置換されてもよく;そして、
ピリジルオキシ、ピリダジニルオキシ、ピラジニルオキシ、ピリミジニルオキシ、ピラゾリルオキシ、イミダゾリルオキシ、トリアジニルオキシ、チエニルオキシ、チアゾリルオキシ、オキサゾリルオキシ、イソオキサゾリルオキシ、[1,2,4]オキサジアゾリルオキシ、[1H-[1,2,4]トリアゾリル]オキシ、又は、[2H-テトラゾリル]オキシを表し、
その中で前記ヘテロアリール基における1以上のメチン基が置換基L1で互いに独立して置換されてもよく;そして、
その中で、前記へテロアリール基における1以上のイミノ基が置換基RNで互いに独立して置換されてもよい。
【0014】
更に好適には、基R3は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブタ-1-イル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピリデンメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシ-プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、メチルオキシ、エチルオキシ、イソプロピルオキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、ペンタフルオレトキシ(pentafluorethoxy)、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、テトラヒドロピラン-4-イルオキシ、テトラヒドロフラン-2-オン-3-イルオキシ、1-アセチル-ピペリジン-4-イルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、エチルスルファニル、イソプロピルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル(methlysulfonyl)、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル、トリメチルシリルエチル、エチニル、2-ヒドロキシプロパ-2-イルエチニル、2-メトキシプロパ-2-イルエチニル、3-ヒドロキシ-1-プロピン-1-イル、3-メトキシ-1-プロピン-1-イル、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラン-3-イルオキシ、テトラヒドロピラン-4-イルオキシ、ピペリジン-4-イルオキシ、N-メチルピペリジン-4-イルオキシ、又は、N-アセチルピペリジン-4-イルオキシを表す。
【0015】
基R4、R5が好適には、互いに独立して水素、フッ素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、又はメチルを表し、特に、水素又はメチルを表す。
好適な態様において、R4及びR5はHを表す。
他の好適な態様において、R4はHを表し、かつ、R5はFを表す。
他の好適な態様において、R4はFを表し、かつ、R5はHを表す。
他の好適な態様において、R4及びR5はFを表す。
基L1は、好適には、フッ素、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、C1-4-アルコキシ-C1-4-アルキル、C1-4-アルキル、トリフルオロメチル、C1-4-アルキル-カルボニルアミノ、ヒドロキシカルボニル、又はC1-4-アルコキシカルボニルを表し;特にフッ素、水素、ヒドロキシメチル、メトキシ、又はメチルを表す。
基L2は、好適には、フッ素、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、C1-4-アルコキシ-C1-4-アルキル、C1-4-アルキル、トリフルオロメチル、C1-4-アルキル-カルボニルアミノ、ヒドロキシカルボニル、又は、C1-4-アルコキシカルボニルを表し;特にヒドロキシ、ヒドロキシメチル、メトキシ、又は、メチルを表す。
基RNは、好適には、C1-3-アルキル又はアセチルを表し、特にメチルを表す。
【0016】
基R6は、好適には、本発明において、水素、(C1-8-アルキル)オキシカルボニル、C1-8-アルキルカルボニル又はベンゾイルを表し、特に水素、又は(C1-6-アルキル)オキシカルボニル又はC1-6-アルキルカルボニルを表し、特に好適には、水素、メチルカルボニル、メトキシカルボニル又はエトキシカルボニルを表し、最も特に好適には水素を表す。
置換基R7a、R7b、R7cは、好適には、互いに独立して水素、(C1-8-アルキル)オキシカルボニル、(C1-18-アルキル)カルボニル又はベンゾイルを表し、特に、水素、(C1-6-アルキル)オキシカルボニル又は(C1-8-アルキル)カルボニルを表し、特に好適には水素、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メチルカルボニル又はエチルカルボニルを表す。最も特に好適には、R7a、R7b及びR7cが水素を表す。
本発明における方法、使用、及び医薬組成物において、式(Ia)及び(Ib)の化合物が好適である。
【0017】
【化3】

【0018】
【化4】

【0019】
式中R1からR6は上記で定義された通りである。
本発明における方法、使用、及び医薬組成物で、以下の化合物(1)から(382)が特に好ましい:
本発明における好適な化合物は、以下の表から選択される:
【0020】
【表1】

【0021】
【表2】

【0022】
【表3】

【0023】
【表4】

【0024】
【表5】

【0025】
【表6】

【0026】
【表7】

【0027】
【表8】

【0028】
【表9】

【0029】
【表10】

【0030】
【表11】

【0031】
【表12】

【0032】
【表13】

【0033】
【表14】

【0034】
【表15】

【0035】
【表16】

【0036】
【表17】

【0037】
【表18】

【0038】
【表19】

【0039】
【表20】

【0040】
【表21】

【0041】
【表22】

【0042】
【表23】

【0043】
【表24】

【0044】
【表25】

【0045】
【表26】

【0046】
【表27】

【0047】
【表28】

【0048】
【表29】

【0049】
【表30】

【0050】
【表31】

【0051】
【表32】

【0052】
【表33】

【0053】
【表34】

【0054】
【表35】

【0055】
【表36】

【0056】
【表37】

【0057】
【表38】

【0058】
本発明における化合物を説明するために上記及び下記で用いられるいくつかの用語を、より詳細にこれから定義する。
用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br及びIからなる群から選択される原子を表す。
用語「C1-n-アルキル」は、nが2から18の値をとることができ、1からn個のC原子を有する飽和した、分岐又は非分岐の炭化水素基を表す。このような基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオ-ペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシル、イソ-ヘキシルなどが挙げられる。
用語「C2-n-アルキニル」は、nが3から6の値をとることができ、2からn個のC原子、及び、C-C間の三重結合を有する分岐又は非分岐の炭化水素基を表す。このような基の例には、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニルなどが挙げられる。特に明記しない限り、アルキニル基は、分子の残部に1位のC原子によって結合している。従って、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニルなどの用語は、用語1-プロピン-1-イル、2-プロピン-1-イル、1-ブチン-1-イルなどと同等である。このことは、C2-n-アルケニルにも同様に適用される。
【0059】
用語「C1-n-アルコキシ」は、C1-n-アルキル-O基を表し、その中でC1-n-アルキルは上記で定義したとおりである。このような基の例には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソ-ペントキシ、ネオ-ペントキシ、tert-ペントキシ、n-ヘキソキシ、イソ-ヘキソキシなどが挙げられる。
用語「C1-n-アルキルカルボニル」は、C1-n-アルキル-C(=O)基を表し、その中でC1-n-アルキルは、上記で定義したとおりである。このような基の例には、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n-プロピルカルボニル、イソ-プロピルカルボニル、n-ブチルカルボニル、イソ-ブチルカルボニル、sec-ブチルカルボニル、tert-ブチルカルボニル、n-ペンチルカルボニル、イソ-ペンチルカルボニル、ネオ-ペンチルカルボニル、tert-ペンチルカルボニル、n-ヘキシルカルボニル、イソ-ヘキシルカルボニルなどが挙げられる。
用語「C3-n-シクロアルキル」は、3からn個のC原子を有する飽和したモノ-、ジ-、トリ-又はスピロカルボ環式(spirocarbocyclic)基を表す。このような基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、デカリニル、ビシクロ[3.2.1.]オクチル、スピロ[4.5]デシル、ノルピニル、ノルボニル、ノルカリル、アダマンチルなどが挙げられる。好適には、用語「C3-n-シクロアルキル」は、飽和した単環基を表す。
【0060】
用語「C5-n-シクロアルケニル」は、上記で定義され、かつ、更に少なくとも1個の不飽和C=C二重結合を有するC5-n-シクロアルキル基を表す。
用語「C3-n-シクロアルキルカルボニル」は、C3-n-シクロアルキル-C(=O)基を表し、その中で、C3-nシクロアルキルは、上記で定義したとおりである。
用語「トリ-(C1-4-アルキル)シリル」は、同一又は2個か3個の異なるアルキル基を有するシリル基を含む。
用語「ジ-(C1-3-アルキル)アミノ」は、同一又は2個の異なるC1-3-アルキル基を有するアミノ基を含む。
用語「アリール」は、好適にはナフチル又はフェニル、更に好適にはフェニルを表す。
用語「へテロアリール」は、N、O及びSを含む基から選択される1個から4個の同一又は異なるヘテロ原子を有する5-又は6-員環の単環芳香族環を表す。ヘテロアリールは、好適には、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピリジル基、若しくは、テトラゾリル基を表し、又は、それぞれの場合、1〜2個のメチン基が窒素原子によって、置換されているピロリル基、フラニル基、チエニル基、若しくは、ピリジル基を表す。
上記及び下記に用いられる構造式における命名法は、環状基の置換基の結合、例えばフェニル環の結合において、環状基の中心に向かって示され、特に明記されない限り、この置換基がH原子を有する環状基のいずれかの自由位置で結合することができる。
【0061】
本発明における化合物は、原則として、公知の合成方法を用いて得ることができる。好適には、化合物は、例えば、WO 05/092877、WO 06/064033、WO 2006/120208、WO 06/089872、WO 06/108842、及びこの中で引用される文献に説明された方法によって得ることができる。
すでに記載したように、本発明における一般式Iの化合物及びそれらの生理学的に許容される塩は、有益な薬理学的特性を有し、特に、ナトリウム依存グルコース共輸送体SGLTへの、好適にはSGLT2への阻害効果を有する。更に、一般式Iの本発明における化合物及びそれらの生理学的に許容される塩は、神経変性疾患、特に認知症の治療及び/又は予防に効力ある治療薬である。
認知症は、多様な認知障害及び記憶障害の進行に特徴付けられる。そのような認知障害は、1以上の失語症、失行症、失認症、及び実行機能障害を含みうる(例えば"Diagnostic and statistical manual of mental disorders", 4th edition, American Psychiatric Association, 2000参照)。
本発明における化合物は、必要とする患者に対する、1以上の神経変性疾患の治療、及び、1以上の神経変性疾患の予防、又は、その進行の緩除、遅延、若しくは緩解する上で潜在的に有益である。
【0062】
本発明における治療又は予防される疾病又は病状の患者は、哺乳類で、特に、ヒトである。好適には、用語「「患者」は、神経変性疾患、特に認知症、とりわけアルツハイマー型の認知症を有する患者を含む。用語「「患者」は、神経変性疾患、特に認知症、とりわけアルツハイマー型の認知症が進行する危険性が高くなっている患者も含む。
本発明との関連において、用語「神経変性疾患」は、特に認知症を表す。用語「認知症」は、アルツハイマー型の認知症、血管性認知症、パーキンソン認知症、及び他の全身病状に起因した認知症を含む。他の病状に起因する認知症は、ハンチントン無踏病、筋失調症、退行性運動失調、エイズ関連の認知症、クロイツフェルト-ヤコブ症候群、牛海綿状脳症、プリオン関連感染症、ミトコンドリア機能障害を伴う疾患、ダウン症候群、肝性脳症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、オリーブ橋小脳萎縮症、術後認知障害、軽度認知障害、低酸素症、心不全に起因する虚血、脳卒中、神経膠腫及び他の腫瘍、注意疾患過活動障害、自閉症、けいれん、てんかん、コルサコフ症候群、うつ病及び統合失調症を含む。
【0063】
アルツハイマー型の認知症の進行は、緩やかな発病、及び、継続する認識衰退に特徴付けられる。
本発明における化合物は、特に上記で定義した患者において、認知能力及び記憶を好転することができる。従って、本発明における患者への化合物の投与によって、認識衰退又は記憶障害が軽減され、緩除され、遅延され、若しくは緩解される。
認知能力、学習記憶能力に関する本発明における化合物の影響は、文献に説明され、かつ、当業者に公知である方法によって試験できる。そのような試験の実施例は以下に説明する:
認知能力、特に学習記憶能力に関連するそれは、モリス水迷路で試験することができる。モリス水迷路は、げっ歯類動物における空間学習記憶能力を詳細に調べる装置である。それは、不透明な水で満たされており、小さな避難台がその水面下に沈んでいる、大きな円状プールからなる。何度も訓練試験するうちに、実験室内に収容された異なる別の迷路の手がかりを利用して、動物は避難台を見つけプールから避難することを学ぶ。詳細は、D'Hooge R. and De Deyn P.P. (2001) "Applications of the Morris water maze in the study of learning and memory.", Brain Research Reviews 36, 60-90に記載されている。
認知能力を試験する別の方法は、文脈的(contextual)恐怖条件付けに基づく。古典的恐怖条件付けは、恐怖記憶を詳しく調べる作業課題に関する。それは、動物が弱い電気刺激を受けるオペラントチャンバで評価する。実験チャンバと刺激との間に連想することを、訓練が起こった(状況)のチャンバに24時間後に動物を戻して、それら動物の凍結挙動、いわゆる静止した防衛状態で留まる動物の性向を評価することで検証する。詳細は、Kim J.J. and Jung M.W. (2006) "Neural circuits and mechanisms involved in Pavlovian fear conditioning: A critical review.", Neuroscience and Biobehavioral Reviews 30, 188-202に記載されている。
【0064】
認知能力の更なる試験は、新規の目標物に対する認識に関する。該試験は、なじみの対象物と新規の対象物の差異による探査行動に基づく。最初の試行(T1)において、動物を2つの同一の対象物(サンプル)に触れさせ、第二の試行(T2)において、2つの同一でない対象物として、なじみのもの(サンプル)及び新規のものに触れさせる。新規の対象物の探査行動が増えることが、認識記憶の評価基準である。このような試験は、Prickaerts J. et al. (2004) "Phosphodiesterase type 5 inhibition improves early memory consolidation of object information", Neurochemistry International 45, 915-928に記載されている。
認識能力の上述した試験は、アルツハイマー病動物モデル、例えばTg2576マウスのようなトランスジェニックマウスモデルでも行われうる。
治療及び予防のための対応する活性を獲得するために必要な用量は、通常、投与される化合物、患者、疾病又は状態の性質及び重大さ、及び投与の方法と頻度によって決まり、そして、患者の医者が決定する。手法として、用量は静脈内注射においては0.1から100mg、好適には0.1から30mg、経口投与では、0.1から500mg、好適には0.5から100mgで、それぞれの場合、一日に1から4回投与される。この目的において、本発明において調製される式Iの化合物は、他の活性物質と合わせて、1以上の不活性な従来の担体及び/又は賦形剤と合わせて、例えば、トウモロコシデンプン、ラクトース、グルコース、微晶質のセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース、又は、ハードファット(hard fat)のような脂肪性物質、又は、それらの好適な混合物と、素錠又はコーティングされた錠剤、カプセル、粉末、懸濁液、又は、座薬のような従来の生薬(galenic)の製剤を製造するために、調合してもよい。
【実施例】
【0065】
製剤の例
以下の製剤の例は、本分野で公知の方法と同様にして得ることができ、これらの実施例の内容に制限されること無く、より十分に本発明を説明するのに十分である。
用語"活性物質"は、本発明におけるグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体を表す。
<実施例1>:10ml当たり75mgの活性物質を含む乾燥アンプル
組成物:
活性物質 75.0mg
マンニトール 50.0mg
注射用蒸留水 10.0mlにする
調製:
活性物質及びマンニトールを水に溶解した。パッケージングした後、溶液を凍結乾燥した。使える状態の溶液をつくるために、生成物を注射用に水に溶解した。
<実施例2>:2ml当たり35mgの活性物質を含む乾燥アンプル
組成物:
活性物質 35.0mg
マンニトール 100.0mg
注射用蒸留水 2.0mlにする
調製:
活性物質及びマンニトールを水に溶解した。パッケージングした後、溶液を凍結乾燥した。使える状態の溶液をつくるために、生成物を注射用に水に溶解した。
【0066】
<実施例3>:50mgの活性物質を含む錠剤
組成物:
(1)活性物質 50.0mg
(2)ラクトース 98.0mg
(3)トウモロコシデンプン 50.0mg
(4)ポリビニルピロリドン 15.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
215.0mg
調製:
(1)、(2)及び(3)を一緒に混合し、(4)の水溶液で粒状にした。(5)を乾燥した粒状化材料に添加した。この混合物を圧縮し、両側面を持ち、一側面に分割用のV字型の刻み目を有する二平面の錠剤とした。
錠剤の直径:9mm
<実施例4>:350mgの活性物質を含む錠剤
調製:
(1)活性物質 350.0mg
(2)ラクトース 136.0mg
(3)トウモロコシデンプン 80.0mg
(4)ポリビニルピロリドン 30.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 4.0mg
600.0mg
(1)、(2)及び(3)を一緒に混合し、(4)の水溶液で粒状にした。(5)を乾燥した粒状化材料に添加した。この混合物を圧縮し、両側面を持ち、一側面に分割用のV字型の刻み目を有する二平面の錠剤とした。
錠剤の直径:12mm
<実施例5>:50mgの活性物質を含むカプセル
組成物:
(1)活性物質 50.0mg
(2)乾燥トウモロコシデンプン 58.0mg
(3)粉末ラクトース 50.0mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
160.0mg
調製:
(1)を(3)と一緒に粉砕した。この粉砕物を激しく混合しながら(2)及び(4)の混合物に添加した。この粉末混合物をカプセル充填機で、サイズ3ハードゼラチンカプセルに封入した。
【0067】
<実施例6>:350mgの活性物質を含むカプセル
組成物:
(1)活性物質 350.0mg
(2)乾燥トウモロコシデンプン 46.0mg
(3)粉末ラクトース 30.0mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 4.0mg
430.0mg
調製:
(1)を(3)と一緒に粉砕した。この粉砕物を激しく混合しながら(2)及び(4)の混合物に添加した。この粉末混合物をカプセル充填機で、サイズ0ハードゼラチンカプセルに封入した。
<実施例7>:100mgの活性物質を含む座薬
組成物:
活性物質 100.0mg
ポリエチレングリコール(M.W.1500) 600.0mg
ポリエチレングリコール(M.W.6000) 460.0mg
ポリエチレンソルビタンモノステアレート 840.0mg
2,000.0mg

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする患者に対し、1以上の神経変性疾患を治療する方法であって、
一般式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、その互変異性体、その立体異性体、一般式(I)の化合物の混合物、又は、その塩を、必要とする患者に対し投与することを含む方法。
【化1】

(式中、
R1が、
水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ若しくはニトロ、又は、
C1-4-アルキル、1から3個のフッ素原子によって置換されたメチル基、1から5個のフッ素原子で置換されたエチル基、ヒドロキシ若しくはC1-3-アルコキシ基で置換されたC1-4-アルキル基、又は、
C2-6-アルケン-1-イル、C2-4-アルケニル-C1-4-アルキル、C2-6-アルキン-1-イル、C2-4-アルキニル-C1-4-アルキル、又は、
C2-4-アルケニル-C1-4-アルコキシ、C2-4-アルキニル-C1-4-アルコキシ、又は、
C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキル、C5-7-シクロアルケニル、C5-7-シクロアルケニル-C1-4-アルキル、又は、
ヒドロキシ、C1-4-アルコキシ、1から3個のフッ素原子によって置換されたメトキシ基、1から5個のフッ素原子によって置換されたエトキシ基、ヒドロキシ若しくはC1-3-アルコキシ基によって置換されたC2-4-アルコキシ基、又は、
C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルコキシ、又は、
C1-4-アルキルカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イルカルボニル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イルカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、又は、
アミノ、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-オン-1-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-オン-1-イル、モルホリン-4-イル、モルホリン-3-オン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-3-アルキル)ピペラジン-1-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、又は、
C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルフィニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルフィニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニル、又は、
アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、アリール-C1-3-アルコキシカルボニル、ヘテロアリール-C1-3-アルコキシカルボニル、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルファニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロアリールスルホニル、
を表し、
更に、上記のシクロアルキル環及びシクロアルケニル環の中で、1又は2個のメチレン基が、O、S、CO、SO、SO2若しくはNRNによって互いに独立して置換されてもよく、そして、
更に、上記のアルキニル基及びアルケニル基が、フッ素によって一置換若しくは多置換されてもよく、そして、
上記のアルキニル基及びアルケニル基が、同一若しくは異なる基L1によって一置換若しくは二置換されてもよく、そして、
上記の互いに独立してシクロアルキル環及びシクロアルケニル環が、フッ素及びC1-3-アルキルから選択される置換基によって一置換若しくは二置換されてもよく、そして、

R2が、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、C1-4-アルキルスルファニルを表し、前記アルキル基若しくはアルコキシ基がフッ素によって一置換若しくは多置換されてもよく;そして

R3が、
水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、
C1-6-アルキル、1から3個のフッ素原子によって置換されたメチル基若しくはメトキシ基、1から5個のフッ素原子によって置換されたC2-4-アルキル基若しくはC2-4-アルコキシ基、シアノ基によって置換されたC1-4-アルキル基、ヒドロキシ若しくはC1-3-アルキルオキシ基によって置換されたC1-4-アルキル基、トリ-(C1-4-アルキル)シリル-C1-6-アルキル、
C2-6-アルケン-1-イル、C2-4-アルケニル-C1-4-アルキル、
C2-6-アルキン-1-イル、C2-4-アルキニル-C1-4-アルキル、
C2-4-アルケニル-C1-4-アルコキシ、C2-4-アルキニル-C1-4-アルコキシ、
C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキル、C5-7-シクロアルケニル、C5-7-シクロアルケニル-C1-4-アルキル、C3-6-シクロアルキリデンメチル、
ヒドロキシ、C1-6-アルコキシ、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルコキシ、C3-10-シクロアルキルオキシ、C5-10-シクロアルケニルオキシ、又は、
C3-7-シクロアルキルエチニル、テトラヒドロフラニルエチニル、テトラヒドロピラニルエチニル、C3-7-シクロアルキルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ, テトラヒドロピラニルオキシ若しくはシクロアルカノイルで、それら全てが1から4個の置換基L2で置換されてもよく、又は、
カルボキシ、C1-3-アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、(C1-3-アルキルアミノ)カルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イル-カルボニル、4-(C1-3-アルキル)-ピペラジン-1-イルカルボニル、又は、
アミノ、C1-3-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-オン-1-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-オン-1-イル、モルホリン-4-イル、モルホリン-3-オン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-3-アルキル)ピペラジン-1-イル、(C1-4-アルキル)カルボニルアミノ、C1-4-アルキルスルホニルアミノ、又は、
C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-10-シクロアルキルスルファニル、C3-10-シクロアルキルスルフィニル、C3-10-シクロアルキルスルホニル、C5-10-シクロアルケニルスルファニル、C5-10-シクロアルケニルスルフィニル、C5-10-シクロアルケニルスルホニル、又は、
アリール、アリール-C1-3-アルキル、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアリール、ヘテロアリール-C1-3-アルキル、アリールオキシ、アリール-C1-3-アルキル-オキシ、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルファニル若しくはヘテロアリールスルフィニル、アリールスルホニルアミノ、アリール-C1-3-アルキルスルホニルアミノ若しくはアリールスルホニル、又は、
アリールエチニル基、又は、5-若しくは6-員環の単環ヘテロアリールエチニル基、又は、5-若しくは6-員環の単環ヘテロアリールオキシ基を表し;
ここで、ヘテロアリール基が、N、O及びSからなる群から独立して選択される1から4個のヘテロ原子を有し;そして、
ここで、ヘテロアリール基が、単環芳香族環系の一部として1又は2個のカルボニル基を有してもよく;そして、
ここで、ヘテロアリール環系のN原子が、酸化されて対応するNオキシドを形成してもよく;そして、
ここで、アリール基及びヘテロアリール基における1個以上のメチン基が、置換基L1で互いに独立して置換されてもよく;そして、
ここで、ヘテロアリール基における1個以上のイミノ基が置換基RNで互いに独立して置換されてもよく;
更に、上記のアルキニル基及びアルケニル基が、フッ素によって一置換若しくは多置換されてもよく、そして、
上記のアルキニル基及びアルケニル基が、同一若しくは異なる基L1によって一置換若しくは二置換されてもよく;そして、
更に、上記のシクロアルキル環及びシクロアルケニル環が、フッ素及びC1-3-アルキルから選択される置換基によって互いに独立して一置換若しくは二置換されてもよく、そして
上記のシクロアルキル環及びシクロアルケニル環において、1又は2個のメチレン基が、O、S、CO、SO、SO2又はNRNによって互いに独立して置換されてもよく、

R4、R5が、
互いに独立して水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、C1-3-アルキル、C1-3-アルコキシ、1から3個のフッ素原子によって置換されたメチル若しくはメトキシ、アミノ、C1-3-アルキル-アミノ、又はジ(C1-3-アルキル)-アミノを表し;そして

RNが、
H、C1-4-アルキル、C1-4-アルキルカルボニル又はC1-4-アルキルスルホニルを表し、

L1が、
互いに独立して、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、C3-7-シクロアルキル、C1-4-アルキルカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、及び、C1-4-アルキルオキシから選択され;そして

L2が、
互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-3-アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3-アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びシアノから選択され;そして

R6、R7a、R7b、R7cが、
互いに独立して、水素、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルから選択される意味を有し、

更に、上記基の定義中、アリール基とは、同一若しくは異なる基L2によって互いに独立して一置換若しくは二置換されてもよいフェニル基若しくはナフチル基を意味し;そして、
上記基の定義中、ヘテロアリール基とは、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピリジル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、キノリニル基、イソキノリニル基若しくはテトラゾリル基を意味し、
又は、1又は2個のメチン基が窒素原子によって置換されたピロリル基、フラニル基、チエニル基若しくはピリジル基を意味し、
又は、1から3個のメチン基が窒素原子によって置換されたインドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、キノリニル基若しくはイソキノリニル基を意味し、
更に、上記のヘテロアリール基が互いに独立して同一若しくは異なる基L2によって一置換若しくは二置換されてもよく;
更に、特に明記しない限り、上記のアルキル基は、直鎖又は分岐鎖でもよい。)
【請求項2】
それを必要とする患者に対し、1以上の神経変性疾患を予防、又は、その進行を緩除、遅延、若しくは緩解する方法であって、
請求項1に記載の一般式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、その互変異性体、その立体異性体、一般式(I)の化合物の混合物、又は、その塩を、必要とする患者に対し投与することを含む方法。
【請求項3】
神経変性疾患が、認知症である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
神経変性疾患が、アルツハイマー型の認知症、血管性認知症、パーキンソン認知症、及び、他の全身病状に起因した認知症からなる群から選択される請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
1以上の神経変性疾患を治療するための医薬を製造するための請求項1に記載された一般式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、その互変異性体、その立体異性体、その混合物、又は、その塩の使用。
【請求項6】
1以上の神経変性疾患を予防、又は、その進行を緩除、遅延、若しくは緩解するための医薬を製造するための請求項1に記載された一般式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、その互変異性体、その立体異性体、その混合物、又は、その塩の使用
【請求項7】
神経変性疾患が、認知症である請求項5又は6に記載の使用。
【請求項8】
神経変性疾患が、アルツハイマー型の認知症、血管性認知症、パーキンソン認知症、及び、他の全身病状に起因した認知症からなる群から選択される請求項5又は6に記載の使用。
【請求項9】
請求項1に記載の一般式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、その互変異性体、その立体異性体、その混合物、又は、その塩を含む、
1以上の神経変性疾患を治療するための医薬組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の一般式(I)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、その互変異性体、その立体異性体、その混合物、又は、その塩を含む、
1以上の神経変性疾患を予防、又は、その進行を緩除、遅延、若しくは緩解するための医薬組成物。

【公表番号】特表2010−516742(P2010−516742A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546761(P2009−546761)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050851
【国際公開番号】WO2008/090210
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】