説明

空燃比検出装置

【課題】排気経路における触媒の設置位置よりも下流側における排気ガスの空燃比を検出する空燃比検出装置において、より精度良く空燃比が検出されることの可能な空燃比検出装置を提供すること。
【解決手段】排気経路11における触媒12の設置位置よりも下流側における排気ガス中のメタンの濃度を検出または推定するメタン濃度検出推定手段(13、20)と、前記排気経路における前記触媒の設置位置よりも下流側における排気ガスの空燃比を検出する下流側空燃比検出手段14とを備え、前記メタン濃度検出推定手段により検出または推定された前記メタンの濃度に基づいて、前記下流側空燃比検出手段により検出された前記下流側における排気ガスの空燃比が補正される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空燃比検出装置に関し、特に、排気経路における触媒の設置位置よりも下流側の空燃比を検出する空燃比検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空燃比を検出する空燃比検出装置により、排気経路における触媒の設置位置よりも下流側の空燃比が検出されることがある。この場合、触媒下流側には、空燃比を検出するために下流側空燃比検出手段が設けられる。この場合に、触媒下流側の排気ガス中のメタンの影響により、上記下流側空燃比検出手段の出力値が実際の空燃比に対応する真の値よりもリッチ側にずれる(リッチずれする)ことがある。この場合、空燃比が実際よりもリッチであると誤って認識されてしまうこととなる。
【0003】
上記下流側空燃比検出手段としては、例えば排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサが用いられる。図10は、酸素センサの出力特性の一例を示す図である。図11は、触媒下流側の排気ガス中のメタンの影響により上記酸素センサの出力値がリッチずれした場合の出力特性を示す図である。
【0004】
図10において、符号301は、酸素センサの出力特性を示す。酸素センサの出力特性301に示すように、酸素センサの出力値は、理論空燃比を境にして、空燃比がリッチ側であるかリーン側であるかで大きく値が変化する。このような酸素センサの特性を利用して、空燃比が理論空燃比に対してリッチであるかリーンであるかの検出が行われる。
【0005】
図11において、符号401は、リッチずれした場合の酸素センサの出力特性を示す。符号301は、上記酸素センサの本来の出力特性(実際の空燃比に対応する真の値)を示す。
【0006】
図11の例では、符号301及び401に示すように、符号402で示す矢印の空燃比の範囲において、リッチずれした場合の酸素センサの出力値は、実際の空燃比に対応する真の値よりもリッチ側の(大きな)値となっている。
【0007】
上記のように下流側空燃比検出手段(例えば酸素センサ)の出力値がリッチずれした場合には、空燃比が実際よりもリッチであると誤って認識される。このため、例えば、内燃機関の燃料噴射量が上記下流側空燃比検出手段の検出結果に基づいて制御された場合に、燃料噴射量の制御指令値は、空燃比が正しく検出された場合に比べてリーン側の値に設定されてしまう。その結果、空燃比を正しく制御することができなくなるので、触媒の浄化効率が低下して、排気エミッションが悪化(有害物質の排出量が増加)する虞がある。
【0008】
【特許文献1】特開2000−314344号公報
【特許文献2】特開平10−82335号公報
【特許文献3】特開平8−4573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
排気経路における触媒の設置位置よりも下流側における排気ガスの空燃比を検出する空燃比検出装置において、より精度良く空燃比が検出できることが望まれている。
【0010】
本発明の目的は、排気経路における触媒の設置位置よりも下流側における排気ガスの空燃比を検出する空燃比検出装置において、より精度良く空燃比が検出されることの可能な空燃比検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の空燃比検出装置は、排気経路における触媒の設置位置よりも下流側における排気ガス中のメタンの濃度を検出または推定するメタン濃度検出推定手段と、前記排気経路における前記触媒の設置位置よりも下流側における排気ガスの空燃比を検出する下流側空燃比検出手段とを備え、前記メタン濃度検出推定手段により検出または推定された前記メタンの濃度に基づいて、前記下流側空燃比検出手段により検出された前記下流側における排気ガスの空燃比が補正されることを特徴としている。
【0012】
本発明の空燃比検出装置において、前記メタン濃度検出推定手段は、前記排気経路における前記触媒の設置位置よりも上流側における排気ガスの空燃比を検出する上流側空燃比検出手段と、前記触媒の劣化の程度を検出または推定する触媒劣化検出推定手段とを含み、前記触媒劣化検出推定手段により検出または推定された前記触媒の劣化の程度及び前記上流側空燃比検出手段により検出された前記上流側における排気ガスの空燃比に基づいて前記メタンの濃度を推定することを特徴としている。
【0013】
本発明の空燃比検出装置は、排気経路における触媒の設置位置よりも下流側における排気ガスの空燃比を検出する下流側空燃比検出手段と、前記排気経路における前記触媒の設置位置よりも上流側における排気ガスの空燃比を検出する上流側空燃比検出手段と、前記触媒の劣化の程度を検出または推定する触媒劣化検出推定手段とを備え、前記触媒劣化検出推定手段により検出または推定された前記触媒の劣化の程度及び前記上流側空燃比検出手段により検出された前記上流側における排気ガスの空燃比に基づいて、前記下流側空燃比検出手段により検出された前記下流側における排気ガスの空燃比が補正されることを特徴としている。
【0014】
本発明の空燃比検出装置において、前記触媒劣化検出推定手段により検出または推定された前記触媒の劣化の程度及び前記上流側空燃比検出手段により検出された前記上流側における排気ガスの空燃比と前記下流側空燃比検出手段の出力値との関係を定めたマップを備え、前記マップが参照されて前記下流側空燃比検出手段により検出された前記下流側における排気ガスの空燃比が補正されることを特徴としている。
【0015】
本発明の空燃比検出装置は、排気経路における触媒の設置位置よりも上流側における排気ガスの空燃比を検出する上流側空燃比検出手段と、前記上流側における排気ガスの空燃比と、前記触媒の劣化が実質的にない場合の前記排気経路における前記触媒の設置位置よりも下流側における排気ガスの空燃比との対応関係を示すデータを記憶する記憶手段とを備え、前記上流側空燃比検出手段により検出された前記上流側における排気ガスの空燃比に基づいて、前記記憶手段に記憶された前記データが参照されて、前記下流側における排気ガスの空燃比が求められることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の空燃比検出装置によれば、排気経路における触媒の設置位置よりも下流側における排気ガスの空燃比がより精度良く検出されることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の空燃比検出装置の一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1から図6、及び図10から図12−3を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、排気経路における触媒の設置位置よりも下流側における排気ガスの空燃比を検出する空燃比検出装置に関する。本例では、空燃比検出装置は内燃機関の排気経路の空燃比を検出する。空燃比検出装置の検出結果に基づいて内燃機関の燃料噴射量が制御(フィードバック制御)される。
【0019】
第1実施形態では、排気経路における触媒の設置位置よりも上流側に設けられた上流側空燃比検出手段(A/Fセンサ)によって検出される排気ガスの空燃比(以下、上流側空燃比とする)に基づいて、上流側空燃比が目標値(以下、目標空燃比とする)となるように燃料の噴射量がフィードバック制御(排気ガスコントロール制御)される。排気ガスコントロール制御(メインフィードバック制御)では、上流側空燃比の目標空燃比からの偏差に基づいて燃料の噴射量に対する補正量(排気ガスコントロール燃料補正量)が設定される。
【0020】
さらに、上記排気ガスコントロール制御と共に、上記排気経路における触媒の設置位置よりも下流側に設けられた下流側空燃比検出手段(O2センサ)によって検出される空燃比(以下、下流側空燃比とする)に基づいて、上記燃料の噴射量がフィードバック制御(触媒コントロール制御)される。触媒コントロール制御(サブフィードバック制御)では、下流側空燃比の理論空燃比からの偏差に基づいて燃料の噴射量に対する補正量(触媒コントロール燃料補正量)が設定される。触媒コントロール制御は、触媒が排気ガスの浄化能力を十分に発揮して、効率的に排気ガスを浄化できるようにするために行われる。
【0021】
上記触媒コントロール制御において、触媒下流側の排気ガス中のメタンの影響により上記O2センサの出力値が実際の空燃比に対応する真の値よりもリッチ側の値にずれることがある。この場合、触媒コントロール燃料補正量は、実際の空燃比が正しく検出された場合に設定される値よりもリーン側の値に設定される。このため、燃料の噴射量の制御指令値は、空燃比が正しく検出された場合に比べてリーン側の値に設定されることとなる。その結果、空燃比の制御が正しく行われなくなり、排気エミッションが悪化(有害物質の排出量が増加)することがある。
【0022】
これに対して、本実施形態では、上記O2センサの出力値が触媒下流側の排気ガス中のメタンの濃度に応じて補正される。これにより、以下に詳しく説明するように、触媒下流側の排気ガス中のメタンの影響により上記O2センサの出力値が実際の空燃比に対応する真の値からずれることが抑制される。よって、燃料の噴射量の制御指令値は、空燃比が正しく検出された場合の値からずれることが抑制される。その結果、排気エミッションが悪化することが抑制される。
【0023】
図1は、本実施形態に係る装置の概略構成図である。図1において、符号1は、エンジン(内燃機関)を示す。エンジン1には、吸気マニホルド2が接続されている。吸気マニホルド2には、吸気管3が接続されている。吸気管3には、エアクリーナ4が設けられている。吸気管3におけるエアクリーナ4の設置位置よりも下流側には、スロットル弁5が設けられている。吸気管3には、スロットル弁5の開度を検出するスロットルセンサ6が設けられている。また、吸気管3には、エンジン1に供給される空気量を検出するエアフローメータ7が設けられている。
【0024】
エンジン1には、排気マニホルド10が接続されている。排気マニホルド10には、排気管(排気経路)11が接続されている。排気管11には、排気ガスを浄化する触媒12が設けられている。触媒12は、炭化水素(HC)と、一酸化炭素(CO)と、窒素酸化物(NOx)の3つの物質を酸化・還元反応によって同時に除去するいわゆる三元触媒であることができる。
【0025】
排気管11における触媒12の設置位置よりも排気ガスの流れの上流側には、酸素センサ(A/Fセンサ)13が設けられている。A/Fセンサ13は、空燃比に対してリニアな出力特性を示す酸素センサである。A/Fセンサ13により、上流側空燃比が検出される。
【0026】
排気管11における触媒12の設置位置よりも排気ガスの流れの下流側には、酸素センサ(O2センサ)14が設けられている。O2センサ14により、下流側空燃比が検出される。本実施形態のO2センサ14の出力特性の一例としては、上記従来技術として図10を参照して説明した内容と同様であることができる。
【0027】
図10において、符号F4に示す空燃比よりもリーン側の領域においては、O2センサ14の出力値は、リーン側の所定の値(例えば0V)となる。一方、符号F6に示す空燃比よりもリッチ側の領域においては、O2センサ14の出力値は、リッチ側の所定の値(例えば1V)となる。また、符号F4に示す空燃比から符号F6に示す空燃比までの間の領域においては、空燃比がリッチ側へ向かうに連れて、O2センサ14の出力値はリーン側の所定の値からリッチ側の所定の値へ向けて増加する。符号V0は、検出対象の空燃比が理論空燃比である場合のO2センサ14の出力値を示す。
【0028】
エンジン1が搭載される車両(図示せず)には、車両各部を制御するECU(Electronic Control Unit)を有する車両制御部20が設けられている。スロットルセンサ6、エアフローメータ7、A/Fセンサ13及びO2センサ14は、車両制御部20に接続されており、それぞれの検出結果が車両制御部20に入力される。エンジン1は、車両制御部20に接続されている。車両制御部20により、燃料噴射量、点火時期等のエンジン1の動作が制御される。
【0029】
車両制御部20は、A/Fセンサ13及びO2センサ14のそれぞれから入力される情報に基づいて、エンジン1に供給される混合気の空燃比を制御する。具体的には、A/Fセンサ13により検出される上流側空燃比に基づいて、燃料の噴射量がフィードバック制御(排気ガスコントロール制御)される。A/Fセンサ13により検出される上流側空燃比の目標空燃比からの偏差に基づいて、混合気の空燃比を目標空燃比とするような排気ガスコントロール燃料補正量が設定される。
【0030】
また、排気ガスコントロール制御と合わせて、O2センサ14により検出される下流側空燃比に基づいて、上記燃料の噴射量に対するフィードバック制御(触媒コントロール制御)が行われる。O2センサ14により検出される下流側空燃比に基づいて、下流側空燃比を理論空燃比に近づけるような触媒コントロール燃料補正量が設定される。
【0031】
触媒コントロール制御は、触媒12において排気ガスがより効率的に浄化されるために行われる。触媒12は、触媒12に吸蔵される酸素の量(以下、酸素吸蔵量とする)が中立に近い状態の場合に効率的に排気ガスを浄化できる。即ち、触媒12の酸素吸蔵量が枯渇状態(リッチ側に大きく偏った状態)と飽和状態(リーン側に大きく偏った状態)との間の中立の状態である場合に、触媒12の浄化能力が十分に発揮される。
【0032】
下流側空燃比は、触媒12の酸素吸蔵量に対応している。触媒12の酸素吸蔵量が中立に近い場合には、下流側空燃比が概ね理論空燃比となる。触媒12の酸素吸蔵量が中立の状態よりもリーン側に偏った場合には、下流側空燃比がリーンとなる。一方、触媒12の酸素吸蔵量が中立の状態よりもリッチ側に偏った場合には、下流側空燃比がリッチとなる。触媒コントロール制御では、触媒12の酸素吸蔵量が中立に近い状態とされるために、下流側空燃比を理論空燃比に近づけるような触媒コントロール燃料補正量が設定される。
【0033】
上記のように行われる触媒コントロール制御において、上記従来技術において図11を参照して説明したように、触媒12の下流側の排気ガスに含まれるメタンの影響により、O2センサ14の出力値(符号401)が、実際の空燃比に対応する真の値(符号301)よりもリッチ側にずれる(リッチずれする)ことがある。
【0034】
このようにリッチずれが生じるのは、以下のような理由によると考えられる。
【0035】
高温の排気ガスに接触することでO2センサ14の温度が上昇して、O2センサ14の検出部の温度がメタンと酸素とが反応し始める温度よりも高温となった場合には、O2センサ14の検出部付近においてメタンが酸素と反応して酸素が消費される。この場合、O2センサ14の検出部付近の酸素濃度が低下するので、O2センサ14において検出される酸素濃度は、実際の排気ガス中の酸素濃度よりも小さくなる。その結果、O2センサ14の出力値は、実際の空燃比に対応する真の値よりもリッチ側の値となる。
【0036】
上記のように生じるO2センサ14の出力値におけるリッチずれにより、実際の空燃比がリーンであるにもかかわらず、O2センサ14の出力値がリッチとなる状況が生じる。例えば、実際の空燃比が図11において符号F4で示す空燃比である場合を例に説明すると、符号F4で示す空燃比は理論空燃比よりもリーンであるから、符号301に示すように、実際の空燃比に対応する真の値は、リーン側の所定の値(0V)である。しかしながら、リッチずれが生じた場合には、符号401に示すように、リッチ側の所定の値(1V)が出力されてしまう。この場合、リッチとなったO2センサ14の出力値に基づいて触媒コントロール燃料補正量が生成される。その結果、燃料の噴射量の制御指令値は、空燃比が正しく検出された場合に比べてリーン側の値に設定される。これにより、空燃比の制御が正しく行われなくなるので排気エミッションが悪化する。
【0037】
2センサ14の出力値におけるリッチずれは、触媒12の下流側における排気ガス中のメタンの濃度(以下、下流側メタン濃度とする)が高くなるほど顕著となる。即ち、下流側メタン濃度が高いほど、O2センサ14の出力値における実際の空燃比に対応する真の値からのずれは大きくなる。
【0038】
以下に図12−1から図12−3を参照して詳しく説明するように、上流側空燃比が同じであっても、触媒12の劣化の程度が大きいほど下流側メタン濃度が高くなる。このため、触媒12の劣化の程度が大きいほど、O2センサ14の出力値における真の値からのずれは大きくなる。また、触媒12の劣化の程度が大きいほど、理論空燃比に対してよりリーン側の空燃比の領域においてもメタンの濃度が高まることでO2センサ14の出力値のリッチずれが生じる。即ち、触媒12の劣化の程度が大きいほど、図11に符号402で示す空燃比の範囲がリーン側へ広がる。これにより、触媒12の劣化の程度が大きいほど、より広い空燃比の領域においてO2センサ14の出力値のリッチずれが生じて排気エミッションが悪化する。
【0039】
図12−1は、上流側空燃比とA/Fセンサ13の出力値との関係を示す図である。図12−2は、上流側空燃比及び触媒12の劣化の程度と下流側メタン濃度との関係を示す図である。図12−3は、下流側メタン濃度に対応するO2センサ14の出力特性を示す図である。
【0040】
図12−1において、符号501は、上流側空燃比、即ち触媒12に流入する排気ガスの空燃比に対応するA/Fセンサ13の出力値を示す。図12−2において、符号502及び符号503は、下流側メタン濃度を示す。符号502は、触媒12の劣化の程度が大きい場合の下流側メタン濃度を示す。符号503は、触媒12の劣化の程度が小さい場合の下流側メタン濃度を示す。
【0041】
符号502及び503に示すように、下流側メタン濃度は、上流側空燃比がリッチであるほど、大きな値となる。これは、次の理由による。
【0042】
炭化水素は、触媒12により浄化されてCO2とH2Oに変化する際に、酸素を必要とする。上流側空燃比がリッチであるほど、排気ガス中の炭化水素が増えると共に酸素が少なくなるため、触媒12において炭化水素が浄化されにくくなる。炭化水素が浄化されにくいために、炭化水素が浄化される際の途中生成物であるメタンが触媒12から流出しやすくなる。この結果、上流側空燃比がリッチであるほど下流側メタン濃度は高くなる。
【0043】
また、符号502及び503に示すように、下流側メタン濃度は、触媒12の劣化の程度が大きい方が、大きな値となる。
【0044】
これは、触媒12の劣化の程度が大きいほど、触媒12が炭化水素を浄化する能力が低下するので、炭化水素が浄化される際の途中生成物であるメタンが触媒12から流出しやすくなるためである。
【0045】
次に、下流側メタン濃度とO2センサ14の出力特性との関係について説明する。図12−3において、符号504及び符号505は、それぞれリッチずれが生じた場合のO2センサ14の出力特性(出力値)を示す。符号504は、触媒12の劣化の程度が大きい場合のO2センサ14の出力特性(出力値)を示す。符号505は、触媒12の劣化の程度が小さい場合のO2センサ14の出力特性(出力値)を示す。また、符号301は、O2センサ14の本来の出力特性(実際の空燃比に対応する真の値)を示す。実際の空燃比に対応する真の値301は、例えば、触媒12の劣化が実質的にない条件下におけるO2センサ14の検出結果として、実験により求められることができる。図12−3において、横軸は、図12−1及び図12−2と同様に上流側空燃比を示す。
【0046】
まず、触媒12の劣化の程度が大きい場合を例に、下流側メタン濃度502(図12−2)とO2センサ14の出力特性504との関係について説明する。図12−2において、下流側メタン濃度502は、上流側空燃比がリッチになるほど大きな値となる。
【0047】
これにより、図12−3に示すように、符号F1で示す空燃比においてO2センサ14の出力値504は実際の空燃比に対応する真の値301に比べてリッチ側にずれ始める。符号F1で示す空燃比よりもリッチとなるに連れて、触媒12の劣化の程度が大きい場合のO2センサ14の出力値504は、実際の空燃比に対応する真の値301に比べて徐々に大きな値に(リッチ側の値に)ずれていく。
【0048】
符号F3で示す空燃比において、触媒12の劣化の程度が大きい場合のO2センサ14の出力値504は、O2センサ14のリッチ側を示す値の上限値(1V)に達する。符号F3で示す空燃比よりもリッチ側の空燃比においては、触媒12の劣化の程度が大きい場合のO2センサ14の出力値504は、上記リッチ側を示す値の上限値となる。
【0049】
次に、触媒12の劣化の程度が小さい場合について説明する。触媒12の劣化の程度が小さい場合は、触媒12の劣化の程度が大きい場合に比べて、O2センサ14の出力値505は、相対的にリッチ側の空燃比において真の値301からずれ始める。即ち、図12−3に示すように、触媒12の劣化の程度が小さい場合には、触媒12の劣化の程度が大きい場合のずれ初め点(F1点)よりもリッチ側のF2点においてO2センサ14の出力値505が真の値301からずれ始める。F2点よりもリッチ側へ向かうに連れて、触媒12の劣化の程度が小さい場合のO2センサ14の出力値505は、実際の空燃比に対応する真の値301に比べて徐々に大きな値に(リッチ側の値に)ずれていき、符号F5で示す空燃比において上記リッチ側を示す値の上限値に達する。
【0050】
なお、図12−3に示すように、符号F6で示す点よりもリッチ側の空燃比の領域510においては、リッチずれした場合のO2センサ14の出力値(504、505)は、それぞれ実際の空燃比に対応する真の値301と同様の値となる。従って、符号F6で示す点よりもリッチ側の空燃比の領域510においては、O2センサ14の出力値(504、505)に対する補正は行われる必要がない。
【0051】
以上説明したように、触媒12の下流側の排気ガスに含まれるメタンの影響により、O2センサ14の出力値(504、505)が、実際の空燃比に対応する真の値301よりもリッチ側の値となる。このため、触媒コントロール制御において、下流側空燃比が実際よりもリッチであると誤って認識される。これにより、触媒コントロール燃料補正量が、下流側空燃比が正しく検出された場合に設定される値よりもリーン側の値となる。その結果、実際の空燃比が目標空燃比よりもリーン側にずれる。
【0052】
このように実際の空燃比が目標空燃比よりもリーン側にずれると、触媒12の酸素吸蔵量が中立状態からリーン側(酸素が飽和する側)へ偏るため、触媒12の浄化能力が低下し、排気エミッションが悪化する。特に、窒素酸化物(NOx)の浄化能力が低下するので、窒素酸化物の排出量が増加する虞がある。
【0053】
そこで、本実施形態では、O2センサ14の出力値(504、505)が補正される。上記のように、O2センサ14の出力値(504、505)において真の値301からのずれが生じる場合に、そのずれの大きさ及びずれが生じる空燃比の範囲は、下流側メタン濃度(図12−2の502、503)に応じて変化する。本実施形態では、まず下流側メタン濃度(502、503)が推定され、推定された下流側メタン濃度(502、503)に基づいてO2センサ14の出力値(504、505)が補正される。上記のように下流側メタン濃度(502、503)は上流側空燃比及び触媒12の劣化の程度により変化する。このため、下流側メタン濃度(502、503)は、上流側空燃比及び触媒12の劣化の程度に基づいて推定される。以下にO2センサ14の出力値(504、505)の補正内容について説明する。
【0054】
図2は、図12−3に示すようにO2センサ14の出力値(504、505)にリッチずれが生じた場合におけるO2センサ14の出力値(504、505)に対する補正量について説明するための図である。図2において、図12−3と同様の部分には、図12−3と同じ符号が付してある。図2において、符号100は、O2センサ14の出力値(504、505)に対する補正量を示す。図2の例では、触媒12の劣化の程度が大きく、O2センサ14の出力特性が符号504で示すような出力特性となった場合のO2センサ14の出力値に対する補正量100が示されている。
【0055】
2センサ14の出力値に対する補正量100は、触媒12の下流側の排気ガス中のメタンの影響でリッチずれが生じたO2センサ14の出力特性504を、実際の空燃比に対応するO2センサ14の本来の出力特性301に補正するための補正量である。
【0056】
触媒12の劣化の程度と下流側メタン濃度(502、503)との間には、図12−2に示すような対応関係があるので、触媒12の劣化の程度及び上流側空燃比に基づいて、下流側メタン濃度(502、503)の値が推定されることができる。
【0057】
さらに、下流側メタン濃度(502、503)とO2センサ14の出力特性(504、505)との間には、図12−2及び図12−3に示すような対応関係があるので、推定された下流側メタン濃度(図12−2の502、503)の値に基づいて、リッチずれした場合のO2センサ14の出力値(図12−3の504、505)における真の値(301)からのずれの大きさが推定されることができる。推定された上記真の値301からのずれの大きさに基づいて、O2センサ14の出力値(504、505)に対する補正量100が決定されることができる。
【0058】
図3は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。
【0059】
ステップS10においてエンジン1が始動されると、次に、ステップS20において、触媒12の劣化の程度が取り込まれる。
【0060】
触媒12の劣化の程度は、エンジン1の始動後に、触媒12の劣化の程度を検出するための周知の方法によって予め検出される。ステップS20では、予め検出された触媒12の劣化の程度を示す値が取り込まれる。本例では、触媒12の劣化の程度が大きい場合を例に以下の動作を説明する。
【0061】
次に、ステップS30において、A/Fセンサ13により検出された上流側空燃比が、予め定められた所定の空燃比よりも大きい値である(リーン側である)か否かが判定される。
【0062】
ステップS30における判定は、O2センサ14の出力値504を補正する必要があるか否かを判定するために行われる。
【0063】
上記所定の空燃比は、例えば、図2及び図12−3において符号F6で示される空燃比に設定される。図12−3に示すように、F6点よりもリッチ側の空燃比の領域510においては、O2センサ14の出力値(504、505)は、下流側メタン濃度に係らず実際の空燃比に対応する真の値301と同様の値となる。従って、上流側空燃比が符号F6で示す空燃比以下(リッチ側)である場合には、O2センサ14の出力値(504、505)を補正する必要がないので、O2センサ14の出力値(504、505)を補正する手順(後述のステップS40、S50)は省略される。
【0064】
ステップS30の判定の結果、上流側空燃比が上記所定の空燃比よりも大きい値であると判定された(ステップS30肯定)場合には、ステップS40において、上流側空燃比及び触媒12の劣化の程度に基づいて、下流側メタン濃度(図12−2の符号502)の値が推定される。
【0065】
下流側メタン濃度が推定される際には、例えば図4に示すマップが参照される。図4は、触媒12の劣化の程度及び上流側空燃比の組合せと下流側メタン濃度との対応関係を示すものである。図4に示すように、下流側メタン濃度は、触媒12の劣化の程度が大きいほど、かつ上流側空燃比がリッチであるほど大きい値となる。上記マップは、例えば、実験の結果に基づいて設定される。
【0066】
次に、ステップS50において、上流側空燃比及びステップS40で推定された下流側メタン濃度502の値に基づいて、O2センサ14の出力値504が補正される。O2センサ14の出力値に対する補正量100(図2)が決定される際には、例えば、図5に示すマップが参照される。図5に示すように、O2センサ14の出力値に対する補正量100は、下流側メタン濃度が大きいほど、値が大きく設定される。図5に示すマップは、上流側空燃比の値に応じてそれぞれ個別のマップとして設定されている。図5に示すマップは、例えば、実験の結果に基づいて設定される。
【0067】
なお、ステップS30の判定の結果、上流側空燃比が上記所定の空燃比以下であると判定された(ステップS30否定)場合には、本制御フローは終了される。
【0068】
本実施形態によれば、下流側メタン濃度の推定値(ステップS40)に基づいて、O2センサ14の出力値(504、505)が補正される(ステップS50)。これにより、O2センサ14の出力値(504、505)が触媒12の下流側の排気ガス中のメタンの影響によりリッチ側にずれた場合に、その出力値(504、505)が真の値301に近づけられる。その結果、実際の空燃比が正しく検出された場合と同様に燃料の噴射量のフィードバック制御が行われるので、触媒12の浄化能力が低下することが抑制されて、排気エミッションの悪化が抑制される。
【0069】
2センサ14の出力値(504、505)が、実際の空燃比に対応する真の値301よりもリッチ側にずれることが抑制される結果、実際の空燃比が目標空燃比よりもリーン側にずれることが抑制される。このため、触媒12において窒素酸化物を浄化する能力が低下することが抑制されるので、特に窒素酸化物の排出量が増加することが効果的に抑制される。
【0070】
本実施形態では、まず上流側空燃比及び触媒12の劣化の程度に基づいて下流側メタン濃度(図12−2の502、503)が推定され、次に推定された下流側メタン濃度(502、503)に基づいてO2センサ14の出力値に対する補正量100が決定されたが、これに代えて、下流側メタン濃度(502、503)の推定を行うことなく、上流側空燃比及び触媒12の劣化の程度に基づいて直接O2センサ14の出力値に対する補正量100が決定されることができる。図12−3に示すように、触媒12の劣化の程度に応じて、O2センサ14の出力特性(符号504、505)がそれぞれ推定されることができる。
【0071】
よって、上流側空燃比及び触媒12の劣化の程度に基づいて、O2センサ14の出力値(504、505)において、実際の空燃比に対応する真の値301からのずれの大きさが推定されることができる。上記ずれの大きさに基づいてO2センサ14の出力値に対する補正量100が決定される。なお、O2センサ14の出力値に対する補正量100が決定される際には、例えば、図6に示すマップが参照される。図6には、上流側空燃比(横軸)及び触媒12の劣化の程度(縦軸)の組合せとO2センサ14の出力値に対する補正量100の値との対応関係が示されている。
【0072】
図6に示すように、触媒12の劣化の程度が大きくなる(図中下方)ほど、広い空燃比の範囲でO2センサ14の出力値(504、505)に対する補正が行われる。これは、図12−3に示すように、触媒12の劣化の程度が大きいほど、より広い空燃比の範囲でO2センサ14の出力値(504、505)のリッチずれが生じるのに対応している。また、図6における所定の空燃比において、O2センサ14の出力値に対する補正量100の値は、ゼロに設定されている。ここで、上記所定の空燃比は、例えば、図2及び図12−3に符号F6で示す空燃比であることができる。上述したように、符号F6で示す空燃比よりもリッチ側の空燃比の領域510においては、O2センサ14により概ね実際の空燃比に対応する真の値301が出力される。このため、O2センサ14の出力値に対する補正量100の値は、上記所定の空燃比においてゼロに設定される。
【0073】
本実施形態では、上流側空燃比及び触媒12の劣化の程度に基づいてO2センサ14の出力値に対する補正量100(図2参照)が求められ、求められたO2センサ14の出力値に対する補正量100に基づいてO2センサ14の出力値(504、505)が補正されたが、これに代えて、O2センサ14の出力値に対する補正量100を求めることなく、O2センサ14の出力値(504、505)の代わりに、上流側空燃比に基づいて、予め定められた設定値301が触媒コントロール制御に用いられることができる。
【0074】
上記設定値301は、O2センサ14においてメタンの影響によるリッチずれが実質的に生じていない場合に検出される空燃比の値であり、実際の空燃比に対応する真の値301に相当する。O2センサ14においてメタンの影響によるリッチずれが実質的に生じていない場合とは、例えば、触媒12の劣化が実質的にない場合である。上流側空燃比と上記設定値301との対応関係は、例えば、以下の手順により予め求められる。まず、実質的に劣化していない触媒12の上流側における空燃比(上流側空燃比)と下流側における空燃比(下流側空燃比)との対応関係が実験等により求められる。この場合、上流側空燃比の値が様々に振られ、それぞれの上流側空燃比の設定値と実際に得られた下流側空燃比との対応関係が求められる。次に、上記実際に得られた下流側空燃比が、上記設定値301の値として設定される。
【0075】
上流側空燃比と上記設定値301との対応関係は、マップとして予め車両制御部(記憶手段)20に記憶されることができる。触媒コントロール制御が行われる際には、上流側空燃比に基づいて、例えば、上記マップが参照されて、O2センサ14の出力値(504、505)の代わりに、上記設定値301が制御に用いられる。以上に説明した方法によれば、触媒12の劣化の程度を検出することなく、上記設定値301が用いられて触媒コントロール制御が行われることが可能となる。
【0076】
なお、本実施形態では触媒12の設置位置よりも下流側における排気ガス中のメタンの濃度が推定されたが、これに代えて、触媒12の設置位置よりも下流側における排気ガス中のメタンの濃度がセンサ等により検出されることができる。
【0077】
(第1実施形態の変形例)
上記第1実施形態においては、図10に示すような、空燃比がリーンであるかリッチであるかで出力値が大きく変化する出力特性を有するO2センサ14の出力値が補正されたが、O2センサ14の出力特性はこれには限定されない。本変形例では、A/Fセンサ13と同様に空燃比に対してリニアな出力特性を示す酸素センサにおいて、触媒下流側の排気ガス中のメタンの濃度の推定値に基づいて出力値が補正される。
【0078】
図7は、本変形例に係る装置の概略構成図である。第1実施形態(図1)のO2センサ14に代えて、下流側A/Fセンサ16が設けられている。下流側A/Fセンサ16は、図8に示すように空燃比に対してリニアな出力特性を示す酸素センサである。第1実施形態のA/Fセンサ13に代えて、上流側A/Fセンサ15が設けられている。上流側A/Fセンサ15は、A/Fセンサ13と同様に空燃比に対してリニアな出力特性を有する酸素センサである。また、車両制御部20に代えて、車両制御部30が設けられている。
【0079】
本変形例では、上記第1実施形態と同様に、下流側A/Fセンサ16の出力値に基づいて、触媒コントロール制御が行われる。
【0080】
図13−1は、上流側空燃比及び触媒12の劣化の程度と下流側メタン濃度との関係を示す。図13−2は、下流側メタン濃度に対応する下流側A/Fセンサ16の出力特性を示す図である。図13−1において、符号202は、触媒12の劣化の程度が大きい場合の下流側メタン濃度を示す。符号203は、触媒12の劣化の程度が小さい場合の下流側メタン濃度を示す。
【0081】
図13−2において、符号204は、A/Fセンサ16の本来の出力特性(実際の空燃比に対応する真の値)を示す。符号205は、触媒12の劣化の程度が小さい場合の下流側A/Fセンサ16の出力特性(出力値)を示す。符号206は、触媒12の劣化の程度が大きい場合の下流側A/Fセンサ16の出力特性(出力値)を示す。
【0082】
図13−1に示すように、触媒12の劣化の程度が小さい場合の下流側メタン濃度203は、リッチ側へ向かうに連れて濃度が高くなる。これにより、図13−2に示すように、F11点において、触媒12の劣化の程度が小さい場合の下流側A/Fセンサ16の出力値205は、実際の空燃比に対応する真の値204に比べてリッチ側にずれ始める。
【0083】
触媒12の劣化の程度が大きい場合についても同様であり、図13−2に示すように、F10点において、触媒12の劣化の程度が大きい場合の下流側A/Fセンサ16の出力値206は、実際の空燃比に対応する真の値204に比べてリッチ側にずれ始める。
【0084】
上記第1実施形態と同様に触媒12の劣化の程度が大きいほど下流側メタン濃度が高くなるので、図13−2に示すように、触媒12の劣化の程度が大きい場合の下流側A/Fセンサ16の出力値206は、触媒12の劣化の程度が小さい場合の下流側A/Fセンサ16の出力値205に比べてリッチ側の値となる。
【0085】
上記のように下流側A/Fセンサ16の出力値(205、206)が、実際の空燃比に対応した真の値204に対してリッチ側にずれてしまうため、第1実施形態と同様に、触媒コントロール燃料補正量は、実際の下流側空燃比が正しく検出された場合に比べてリーン側の値となる。その結果、実際の空燃比が目標空燃比よりもリーン側にずれて、排気エミッションが悪化する。
【0086】
これに対して、本変形例では、図9に示すように、下流側A/Fセンサ16の出力値(205、206)が補正される。図9において、図13−2と同様の部分には図13−2と同じ符号が付してある。
【0087】
図9において、符号210は、下流側A/Fセンサ16の出力値(205、206)に対する補正量を示す。図9の例では、触媒12の劣化の程度が大きく、下流側A/Fセンサ16の出力特性が符号206で示す出力特性に変化した場合の下流側A/Fセンサ16の出力値に対する補正量210が示されている。
【0088】
下流側A/Fセンサ16の出力値(205、206)を補正する手順は、上記第1実施形態と同様である。触媒12の劣化の程度が大きい場合について説明すると、まず、触媒12の劣化の程度及び上流側空燃比に基づいて、触媒12の劣化の程度が大きい場合の下流側メタン濃度202の値が推定される。次に、推定された触媒12の劣化の程度が大きい場合の下流側メタン濃度202の値及び上流側空燃比に基づいて、触媒12の劣化の程度が大きい場合の下流側A/Fセンサ16の出力値に対する補正量210が決定される。
【0089】
なお、上記第1実施形態と同様に、触媒12の劣化の程度及び上流側空燃比に基づいて直接下流側A/Fセンサ16の出力値に対する補正量210が決定されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の空燃比検出装置の第1実施形態に係る装置の概略構成図である。
【図2】本発明の空燃比検出装置の第1実施形態における酸素センサの出力値の補正方法を説明するための図である。
【図3】本発明の空燃比検出装置の第1実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図4】上流側空燃比及び触媒の劣化の程度と下流側メタン濃度との対応関係を示すマップである。
【図5】下流側メタン濃度とO2センサの出力値に対する補正量との対応関係を示すマップである。
【図6】上流側空燃比及び触媒の劣化の程度とO2センサの出力値に対する補正量との対応関係を示すマップである。
【図7】本発明の空燃比検出装置の第1実施形態の変形例に係る装置の概略構成図である。
【図8】酸素センサの出力特性の図である。
【図9】本発明の空燃比検出装置の第1実施形態の変形例における酸素センサの出力値の補正方法を説明するための図である。
【図10】酸素センサの出力特性の図である。
【図11】酸素センサの出力値のリッチずれを説明するための図である。
【図12−1】空燃比に対する酸素センサの出力値を示す図である。
【図12−2】空燃比及び触媒の劣化の程度とメタンの濃度の関係を示す図である。
【図12−3】メタンの濃度と酸素センサの出力値のリッチずれの関係を説明するための図である。
【図13−1】空燃比及び触媒の劣化の程度とメタンの濃度の関係を示す図である。
【図13−2】メタンの濃度と酸素センサの出力値のリッチずれの関係を説明するための図である。
【符号の説明】
【0091】
1 エンジン
2 吸気マニホルド
3 吸気管
4 エアクリーナ
5 スロットル弁
6 スロットルセンサ
7 エアフローメータ
10 排気マニホルド
11 排気管
12 触媒
13 A/Fセンサ
14 O2センサ
15 上流側A/Fセンサ
16 下流側A/Fセンサ
20 車両制御部
30 車両制御部
100 酸素センサの出力値に対する補正量
202 触媒の劣化の程度が大きい場合のメタン濃度
203 触媒の劣化の程度が小さい場合のメタン濃度
204 酸素センサの正しい出力特性
205 触媒の劣化の程度が小さい場合の酸素センサの出力特性
206 触媒の劣化の程度が大きい場合の酸素センサの出力特性
210 酸素センサの出力値に対する補正量
301 酸素センサの正しい出力特性(真の値)
401 リッチずれした場合の酸素センサの出力特性
402 空燃比の範囲
501 酸素センサの出力値
502 触媒の劣化の程度が大きい場合のメタン濃度
503 触媒の劣化の程度が小さい場合のメタン濃度
504 触媒の劣化の程度が大きい場合の酸素センサの出力特性
505 触媒の劣化の程度が小さい場合の酸素センサの出力特性
510 空燃比の領域
F1 リッチずれが生じる空燃比
F2 リッチずれが生じる空燃比
F3 酸素センサの出力値がリッチ側の所定の値となる空燃比
F4 酸素センサの出力値がリーン側の所定の値となる空燃比
F5 酸素センサの出力値がリッチ側の所定の値となる空燃比
F6 酸素センサの出力値がリッチ側の所定の値となる空燃比
F10 リッチずれが生じる空燃比
F11 リッチずれが生じる空燃比

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気経路における触媒の設置位置よりも下流側における排気ガス中のメタンの濃度を検出または推定するメタン濃度検出推定手段と、
前記排気経路における前記触媒の設置位置よりも下流側における排気ガスの空燃比を検出する下流側空燃比検出手段とを備え、
前記メタン濃度検出推定手段により検出または推定された前記メタンの濃度に基づいて、前記下流側空燃比検出手段により検出された前記下流側における排気ガスの空燃比が補正される
ことを特徴とする空燃比検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の空燃比検出装置において、
前記メタン濃度検出推定手段は、
前記排気経路における前記触媒の設置位置よりも上流側における排気ガスの空燃比を検出する上流側空燃比検出手段と、
前記触媒の劣化の程度を検出または推定する触媒劣化検出推定手段とを含み、
前記触媒劣化検出推定手段により検出または推定された前記触媒の劣化の程度及び前記上流側空燃比検出手段により検出された前記上流側における排気ガスの空燃比に基づいて前記メタンの濃度を推定する
ことを特徴とする空燃比検出装置。
【請求項3】
排気経路における触媒の設置位置よりも下流側における排気ガスの空燃比を検出する下流側空燃比検出手段と、
前記排気経路における前記触媒の設置位置よりも上流側における排気ガスの空燃比を検出する上流側空燃比検出手段と、
前記触媒の劣化の程度を検出または推定する触媒劣化検出推定手段とを備え、
前記触媒劣化検出推定手段により検出または推定された前記触媒の劣化の程度及び前記上流側空燃比検出手段により検出された前記上流側における排気ガスの空燃比に基づいて、前記下流側空燃比検出手段により検出された前記下流側における排気ガスの空燃比が補正される
ことを特徴とする空燃比検出装置。
【請求項4】
請求項3記載の空燃比検出装置において、
前記触媒劣化検出推定手段により検出または推定された前記触媒の劣化の程度及び前記上流側空燃比検出手段により検出された前記上流側における排気ガスの空燃比と前記下流側空燃比検出手段の出力値との関係を定めたマップを備え、
前記マップが参照されて前記下流側空燃比検出手段により検出された前記下流側における排気ガスの空燃比が補正される
ことを特徴とする空燃比検出装置。
【請求項5】
排気経路における触媒の設置位置よりも上流側における排気ガスの空燃比を検出する上流側空燃比検出手段と、
前記上流側における排気ガスの空燃比と、前記触媒の劣化が実質的にない場合の前記排気経路における前記触媒の設置位置よりも下流側における排気ガスの空燃比との対応関係を示すデータを記憶する記憶手段とを備え、
前記上流側空燃比検出手段により検出された前記上流側における排気ガスの空燃比に基づいて、前記記憶手段に記憶された前記データが参照されて、前記下流側における排気ガスの空燃比が求められる
ことを特徴とする空燃比検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図12−3】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【公開番号】特開2008−128012(P2008−128012A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310726(P2006−310726)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】