説明

窒素を有する単座配位子ホスフィンおよび触媒中でのその使用

本発明は、式(I)の新規の窒素を有する単座配位子ホスファンリガンドおよび触媒反応における、特にハロゲン化芳香族化合物の改善におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遷移金属のための新規のリガンド、その製造および触媒反応における、特にハロゲン化芳香族化合物を改善するためのその使用に関する。
【0002】
特に塩化芳香族化合物を含むハロゲン化芳香族化合物は、化学工業で種々に使用することができる中間体であり、かつ農業用中間体、医薬、染料、材料などの製造のための前駆生成物として使用される。ハロゲン化ビニルもまたポリマーのための原料として、および上記の製品の製造において使用される重要な中間体である。
【0003】
ハロゲン化芳香族化合物またはハロゲン化ビニルを芳香族オレフィンまたはジエン(ヘック反応、シュティレ反応)、ビアリール(スズキ反応)、アルキン(ソノガシラ反応)、カルボン酸誘導体(ヘックカルボニル化)、アミン(ブーフヴァルト−ハルトヴィヒ反応)へと官能化するために頻繁に使用される触媒は、パラジウム触媒およびニッケル触媒である。パラジウム触媒は一般に、場合によっては良好な触媒活性を有するカップリング基質の広い適用性に基づいて有利であるが、その一方でニッケル触媒は塩化芳香族化合物および塩化ビニルの反応の分野で利点を有する。さらにニッケルはパラジウムより容易に入手可能である。
【0004】
ハロゲン化芳香族化合物の活性化およびさらなる改善の範囲内で使用されるパラジウムおよびニッケル触媒は、パラジウム(0)およびニッケル(0)化合物が反応の実際の触媒であることが公知ではあるが、いずれもパラジウム(II)および/またはニッケル(II)錯体ならびにパラジウム(0)および/またはニッケル(0)錯体である。特に文献中の情報によればホスファンのようなドナーリガンドにより安定化された、配位不飽和の14−および16−電子パラジウム(0)およびニッケル(0)錯体は活性種である。
【0005】
ヨウ化物をカップリング反応の原料として使用する場合、ホスファンリガンドを省略することも可能である。しかしヨウ化アリールおよびヨウ化ビニルは入手が難く、従ってきわめて高価な原料であり、その反応はさらに、化学量論的な量のヨウ素塩の廃棄物を生じる。その他の原料、たとえば臭化アリールまたは塩化アリールをヘック反応で使用する場合、安定化および活性化リガンドの添加は、原料の触媒効果のある反応が可能であるためには必要である。
【0006】
オレフィン化、アルキニル化、カルボニル化、アリール化、アミノ化および類似の反応のために記載される触媒系はしばしば不経済的な原料、たとえばヨウ化芳香族化合物および活性化された臭化芳香族化合物を用いる場合にのみ、十分な触媒交換回数(TON)を有する。さもなければ、失活した臭化芳香族化合物の場合および、特に塩化芳香族化合物の場合、大量の触媒(通常は1モル%以上)を一般に添加して工業的に使用可能な収率(>90%)を達成しなくてはならない。さらに、反応混合物の複雑さに基づいて、触媒の単純なリサイクルは不可能であるため、触媒の回復は高いコストの上昇を生じ、このことは一般に工業的な実現を妨げる。さらに、大量の触媒を用いて作業することは、特に活性成分または活性成分のために前駆生成物を製造する場合には、望ましくない。というのも、この場合、触媒残留物が別の方法で生成物中に残るからである。
【0007】
比較的最近の活性触媒系はシクロパラジウム酸ホスファン(W.A.Herrmann、C.Brossmer、K.Oefele、C.−P.Reisinger、T.Priermeier、M.Beller、H.Fischer、Angew.Chem.1995、107、1989;Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1995、34、1844)または立体障害アリールホスファンの混合物(J.P.Wolfe、S.L.Buchwald、Angew.Chem.1999、111、2570;Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1999、38、2413)またはトリ−t−ブチルホスファン(A.F.Littke、G.C.Fu、Angew.Chem.1998、110、3586;Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1998、37、3387)をベースとし、パラジウム塩またはパラジウム錯体を含有する。
【0008】
しかし、塩化芳香族化合物は一般に、これらの触媒を使用しても工業的に満足のいく方法で活性化することができない。従って高い収率を達成するために、比較的大量の触媒を使用しなくてはならない。従って近年、触媒を製造するためになされたすべてのさらなる発展にもかかわらず、塩化芳香族化合物のアリール化、カルボニル化、オレフィン化などの工業的な反応はこれまで、ごく少数が知られているにすぎない。
【0009】
前記の理由により本発明の課題は、新規のリガンドおよび大規模な適用のために適切であり、入手が容易で、かつ塩化および臭化芳香族化合物ならびに相応するビニル化合物を高い収率および高い純度でそれぞれのカップリング生成物へと変換する触媒を高い触媒生産率で提供することである。
【0010】
前記課題は本発明により、式(I)
【0011】
【化1】

[式中、
Xは、Yと無関係に窒素原子またはC−R基を表し、かつ
Yは、Xと無関係に窒素原子またはC−R基を表し、
は2つのRのそれぞれに関して、他方と無関係に、C〜C24−アルキル、C〜C20−シクロアルキル(これは特に単環式およびまた二環式および三環式のシクロアルキル基を含む)、C〜C14−アリール(これは特にフェニル、ナフチル、フルオレニル基を含む)、C〜C13−ヘテロアリール(この場合、N、O、Sの群から選択されるヘテロ原子の数は、1〜2であってよい)の群から選択される基を表し、その際、2つの基Rは相互に結合していてもよく、その際有利には4〜8員の飽和、不飽和または芳香族環が形成されている]の新規のホスファンリガンドにより解決される。
【0012】
上記の基Rは自体それぞれ、モノ置換もしくはポリ置換されていてもよい。これらの置換基は相互に無関係に、水素、C〜C20−アルキル、C〜C20−アルケニル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−ヘテロアルキル、C〜C10−アリール、C〜C−ヘテロアリール(この場合、特にN、O、Sの群からのヘテロ原子の数は1〜4であってよい)、C〜C20−アルコキシ、有利にはC1〜C10−アルコキシ、特に有利にはOMe、C〜C10−ハロゲンアルキル、有利にはトリフルオロメチル、ヒドロキシ、NH−(C〜C20−アルキル)、NH−(C〜C10−アリール)、N(C〜C20−アルキル)、N(C〜C20−アルキル)(C〜C10−アリール)、N(C〜C10−アリール)、N(C〜C20−アルキル/C〜C10−アリール、NH−CO−C〜C20−アルキル、NH−CO−C〜C10−アリールの形の第二、第三アミノ基、COOHおよびCOOQ(この場合、Qは一価のカチオンまたはC〜C−アルキルのいずれかを表す)の形のカルボキシラト、C〜C−アシルオキシ、スルフィナト、SOHおよびSOQ(この場合、Qは一価のカチオン、C〜C20−アルキルまたはC〜C10−アリールのいずれかを表す)の形のスルホナト、トリ−C〜C−アルキルシリル、特にSiMeであってよく、その際、上記の置換基の2つが相互に架橋していてもよく、その際、有利には4〜8員の環が形成されており、該環はさらに有利に線状もしくは分枝鎖状のC〜C10−アルキル、C−アリール、ベンジル、C〜C10−アルコキシ、ヒドロキシまたはベンジルオキシ基により置換されていてもよい。
【0013】
〜Rは、水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、芳香族もしくはヘテロ芳香族アリール、O−アルキル、NH−アルキル、N−(アルキル)、O−(アリール)、NH−(アリール)、N−(アルキル)(アリール)、O−CO−アルキル、O−CO−アリール、F、Si(アルキル)、CF、CN、COH、COH、SOH、CONH、CONH(アルキル)、CON(アルキル)、SO(アルキル)、SO(アルキル)、SO(アリール)、SO(アリール)、SO(アルキル)、SO(アリール)、S−アルキル、S−アリール、NH−CO(アルキル)、CO(アルキル)、CONH、CO(アルキル)、NHCOH、NHCO(アルキル)、CO(アリール)、CO(アリール)基を表し、
その際、2以上の隣接する基は、相互に無関係に、相互に結合して縮合環構造が存在していてもよく、かつ
その際、R〜Rにおいて、
アルキルは、1〜20の炭素原子を有し、そのつど線状もしくは分枝鎖状であってよい炭化水素基を表し、アルケニルは、2〜20の炭素原子を有し、そのつど線状もしくは分枝鎖状であってよいモノ不飽和もしくはポリ不飽和の炭化水素基を表し、かつシクロアルキルは、3〜20の炭素原子を有する炭化水素を表し、その際、アルキル基、アルケニル基およびシクロアルキル基はRに関して定義したような別の置換基を有していてもよい。この関係で有利な置換基はBr、Cl、F、(C〜C12)−アルキル、O−(C〜C12)−アルキル、フェニル、O−フェニル、NH((C〜C12)−アルキル)、N((C〜C12)−アルキル)の群から選択され、かつ
アリールは、5〜14員の芳香族基を表し、この場合、1〜4の炭素原子は窒素、酸素および硫黄の群からのヘテロ原子により置換されて5〜14員のヘテロ芳香族基が存在していてもよく、かつその際、アリール基またはヘテロアリール基は、Rに関して定義したような別の置換基、有利にはBr、Cl、F、(C〜C12)−アルキル、O−(C〜C12)−アルキル、フェニル、O−フェニル、NH、NH((C〜C12)−アルキル)、N((C〜C12)−アルキル)の群から選択された置換基を有していてもよい。
【0014】
上記のアルキル基は有利には1〜10、特に有利には1〜5の炭素原子を有する。アルケニル基は有利には2〜10、特に有利には2〜5の炭素原子を有する。シクロアルキル基は有利には3〜8の炭素原子を有する。アリール基は有利には6〜10の炭素原子を有し、ヘテロアリール基は4〜9の炭素原子を有する。
【0015】
XがCRであり、かつYがCRであるリガンドが有利であり、この場合、式(II)
【0016】
【化2】

[式中、基R〜Rは上記のものを表す]の化合物が生じる。さらに有利な実施態様では、Xは窒素であり、かつYはCR基である。
【0017】
式(I)または(II)の有利なリガンドは、フェニル、C〜C10−アルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、5H−ジベンゾホスホリル、9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナニル、9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナニル基からなる群から選択される、少なくとも1の基Rを有する。有利なC〜C10−アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチル−プロピル、1,1−ジメチルエチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチル−プロピル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、特に有利にはイソプロピル基およびt−ブチル基である。
【0018】
有利な基R〜Rは、水素、C〜C10−アルキル、C〜C10−アルケニル、C〜C10−ハロゲンアルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C10−アリール(これは特にフェニル、ナフチル、フルオレニルを含む)およびC〜C−ヘテロアリールの群から選択され、その際、1〜3の窒素原子または酸素もしくは硫黄原子はヘテロ原子として存在していてもよく、かつその際、2つの隣接している基R〜Rは相互に架橋していてもよく、その際有利には4〜8員の、有利には芳香族環が形成される。
【0019】
本発明によるリガンドは相応するフェニルピロール誘導体を強塩基、たとえばアルキルリチウム化合物の存在下に反応させ、かつ引き続き、例としてあげられている以下の図式に従ってハロゲン化ホスファンを添加することにより製造することができる。
【0020】
【化3】

【0021】
本発明によれば、新規のホスファンリガンドは元素の周期律表のVIII副族、たとえばパラジウム、ニッケル、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、コバルトの遷移金属錯体または遷移金属塩と組み合わせた触媒として使用される。本発明によるリガンドは一般に相応する遷移金属前駆物質へインサイチューで添加することができ、かつ従って触媒の適用のために使用される。しかし場合により上記の遷移金属の特定のモノ−、ジ−、トリ−またはテトラ−ホスファン錯体のためには最初に製造し、かつ引き続き触媒反応のために使用することが有利な場合がある。従って触媒活性はさらにいくつかの触媒系では増大することができる。
【0022】
遷移金属化合物として有利にはパラジウムまたはニッケル化合物および特に有利にはパラジウム化合物を使用する。
【0023】
本発明によるリガンドは一般にインサイチューで有利にニッケル(II)またはパラジウム(II)塩またはニッケル(II)、パラジウム(II)またはニッケル(0)またはパラジウム(0)錯体に添加する。有利なパラジウム錯体はたとえば酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、四塩化パラジウム(II)リチウム、アセチルアセトン酸パラジウム(II)、パラジウム(0)−ジベンジリデン−アセトン錯体、パラジウム(0)テトラキス(トリフェニル−ホスファン)、パラジウム(0)ビス(トリ−o−トリルホスファン)、プロピオン酸パラジウム(II)、パラジウム(II)ビス(トリフェニルホスファン)ジクロリド、パラジウム(0)ジアリルエーテル錯体、硝酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)ビス(アセトニトリル)、塩化パラジウム(II)ビス(ベンゾニトリル)である。
【0024】
触媒の適用ではホスファンリガンドを一般に遷移金属に対して過剰で使用する。遷移金属対リガンドの比は有利には1:1〜1:1000である。1:1〜1:100の遷移金属対リガンドの比は特に有利である。使用すべき正確な遷移金属/リガンド比は具体的な適用に依存するが、しかし、使用される触媒の量にも依存する。従って一般には低い遷移金属/リガンド比を、遷移金属0.5〜0.01モル%の遷移金属濃度よりもきわめて低い遷移金属濃度(<0.01モル%)で使用することが通常である。
【0025】
触媒は有利には20〜200℃の温度で使用される。多くの場合、30〜180℃、有利には40〜160℃の温度で作業することが有利であることが判明した。リガンドはまた加圧下で反応中に活性を失うことなく使用することができ、その際、反応は通常、わずか100バールまでの圧力で、しかし有利には標準圧力から60バールまでの圧力で実施される。
【0026】
式(I)のリガンドを使用して触媒反応を実施する場合、低い触媒濃度で高い交換回数(TON)を達成することができる。遷移金属は基質に対して有利には5モル%〜0.001モル%、特に有利には0.5モル%〜0.01モル%の比で使用する。
【0027】
本発明により製造されるホスファンリガンドは特にアリール化されたオレフィン(ヘック反応)、ビアリール(スズキ反応)、α−アリールケトンおよびアミンをハロゲン化アリールまたはハロゲン化ビニルから触媒反応により製造するためのリガンド成分として適切であることが判明した。しかし当業者にとっては新規の触媒系はその他の遷移金属触媒による反応、たとえば二重結合またはカルボニル化合物のメタセシスまたは水素化のような触媒反応にも、しかし特にパラジウムおよびニッケル触媒によるハロゲン化アリールのカルボニル化、アルキンを使用するアルキニル化(ソノガシラカップリング)、有機金属試薬、たとえば亜鉛試薬またはスズ試薬を使用するクロスカップリングのために使用することができる。
【0028】
本発明によるリガンドの特別な利点は、容易に得ることができるが、しかし不活性な塩化芳香族化合物の活性化におけるリガンドにより誘発される活性の高い度合いである。記載の触媒およびリガンド系は従って大規模な目的のために使用することができる。
【0029】
本発明により製造されるホスファンはアリールオレフィン、ジエン、ジアリール、安息香酸誘導体、アクリル酸誘導体、アリールアルカン、アルキン、アミンの製造において使用することができる。このようにして製造した化合物はたとえばUV吸収剤として、医薬および農薬のための中間体として、メタロセン触媒のためのリガンド前駆物質として、香料として、生物学的な活性を有する活性成分として、およびポリマーのための構造単位として使用される。
【0030】
実施例:
一般
空気に対して敏感な化合物の反応は、アルゴンを充填したグローブ・ボックス中で、または標準的なシュレンク管中で実施する。溶剤テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテルおよびジクロロメタンを脱ガスし、かつ溶剤乾燥装置(Innovative Technologies)を使用して活性化された酸化アルミニウムで充填されたカラムに通して濾過することにより無水にする。トルエンおよびペンタンからさらに銅触媒を充填したカラムを使用して酸素を除去する。
【0031】
以下の例は本発明を制限することなく詳細に説明するためのものである。
【0032】
リガンド1〜3(L1〜L3)の製造:
フェニルピロール10ミリモルをアルゴン下で無水ヘキサン20ml中に溶解する。TMEDA10ミリモルおよびn−BuLi(ヘキサン中1.6M)10ミリモルを室温で添加する。還流下で3時間加熱した後に黄色の懸濁液が得られる。これを室温に冷却し、かつCl−PR 10ミリモルをここへゆっくり添加する。還流下で1時間反応させた後、脱ガスした水15mlを使用して室温で加水分解を実施する。アルゴン下にカニューレを使用して有機相を分離漏斗へ移す。水相をそのつどヘキサン15mlを使用して2回抽出する。ヘキサンフラクションを同様に分離漏斗へ移す。合した有機相を脱ガスした水15mlで洗浄し、かつ脱ガスした硫酸ナトリウムにより乾燥させる。溶剤を留去し、かつ粘性の残留物を加熱しながらメタノール中に溶解する。室温で1日後、該混合物を0℃で4時間冷却する。得られる白色の固体を濾別し、かつ真空下で乾燥させた(純度90〜95%)。
【0033】
収率:
PR=PCy 72%(31P−NMR:−28.0ppm)(L1;N−PHOS−Cy)、
PR=PPh 64%(31P−NMR:−29.8ppm)(L2;N−PHOS−Ph)、
PR=PBu 40%(31P−NMR:3.6ppm)(L3;N−PHOS−Bu。
【0034】
触媒例1〜32:スズキカップリング
フェニル硼酸1.25ミリモルおよび塩基2.00ミリモルを2.5mlのガラス瓶中に秤量する。これらの瓶をアルゴンでパージし、かつ密閉する。すべての他の原液をアルゴン下で製造する。
【0035】
溶液S−1:2−クロロトルエン147ミリモル、テトラデカン58ミリモル、無水トルエン155ml、
溶液S−2:4−クロロアニソール150ミリモル、テトラデカン57ミリモル、無水トルエン154ml、
溶液M−1:酢酸パラジウム(II)0.073ミリモルPd、無水トルエン49ml、
溶液M−2:トリス−(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウム(0)0.065ミリモルPd、無水トルエン49ml、
溶液L−1:N−PHOS−Cy(L1)0.04ミリモル、無水トルエン10、
溶液L−2:N−PHOS−tBu(L3)0.08ミリモル、無水トルエン21。
【0036】
以下の溶液をAr下で混合し、かつ室温で約1時間攪拌する(金属前駆物質とリガンドとの反応):
【0037】
【表1】

【0038】
得られた溶液の以下の量をVantageバイアルへピペットで移すためにVantage合成装置を使用する:
1.S−1(No.1〜8)、(No.17〜24)1.25ml、
S−2(No.9〜16)、(No.25〜32)1.25ml、
2.M−L−1(No.1〜16)1.25mlまたはM−L−2(No.17〜32)1.25ml。
【0039】
Vantage混合/加熱ユニットを使用して、このようにして充填したVantageバイアルを110℃(Vantage設定)で振とうしながら(1000rpm)4.0時間加熱する(加熱段階0.5h/内部温度約120℃)。
【0040】
反応後、それぞれの反応溶液1.0mlをシリカゲルを介して濾過する。こうして得られた溶液をGCにより分析する。それぞれの反応の収率は第1表にまとめられている。
【0041】
【表2】

【0042】
触媒例33〜59:
塩化アリールとフェニルホウ酸/−ピロリルホスファンとのスズキ反応
R−Ar−Cl + PhB(OH) → R−Ar−Ph
反応試薬:ArCl 3ミリモル、PhB(OH) 4.5ミリモル、KPO、Pd(OAc) 6ミリモル、Pd/L=1:2、トルエン6ml、20時間。反応を保護ガス下でワンポット反応として実施する。後処理をそのつど塩化メチレンおよび1Nの水酸化ナトリウム10mlを用いて実施する。反応をGCにより監視する。内部GC標準:ヘキサデカン。
【0043】
使用される出発材料および変換の結果は第2表にまとめられている。
【0044】
【表3】

【0045】
a)未知の(GCで見ることができない)分解生成物。原料および生成物のいずれも基本的な後処理で損なわれなかった。分解(>60%)しかし生成物は60℃の反応温度であってもほとんど観察されない(<10%)。
【0046】
例60〜64:リガンドの合成の例
例60:N−フェニル−2−(ジ−1−アダマンチル−ホスフィノ)ピロールの合成
【0047】
【化4】

【0048】
TMEDA1.6ml(15ミリモル)を、ヘキサン30ml中のN−フェニルピロール1.43g(10ミリモル)の懸濁液に添加する。1.6モルのn−ブチルリチウム溶液6.25ml(10ミリモル)を室温で添加する。次いで混合物を環流温度で2.5時間加熱する(溶液1)。別のフラスコ中で、ジ−1−アダマンチルクロロホスファン3.36g(10ミリモル)をヘキサン40mlと共に加熱し、かつ76℃に加熱する(溶液2)。次いで沸騰する溶液1を、カニューレによりゆっくり76℃の溶液2へ移す。次いで混合物をさらに2時間、環流で沸騰させ、該溶液を冷却し、かつ水20mlをここへ添加する。有機相を硫酸マグネシウムにより濾別する。該溶液を真空中で濃縮し、トルエン15mlをここへ添加し、かつ混合物を60℃に加熱し、かつ次いで冷却する。室温で1日後、生成物を濾別する。収率:3.3g(75%)。
31P NMR(161MHz、CDCl):δ=−4.5。
H NMR(400MHz、CDCl):δ=1.7(bs、16H)、1.7〜2.0(m、22H)、6.4(dd、J=8.6、12.8、J=3.5、1H)、6.75(dd、J=3.5、J=1、1H)、6.9〜7.0(m、1H)、7.25〜7.3(m、2H)、7.35〜7.45(m、3H)。
13C NMR(100.6MHz、CDCl):δ=28.6(d、JPC=11.5)、37、37.5(d、JPC=17.2)、41.6(d、JPC=11.5)、108.2、119.5(d、JPC=4.7)、125.8、126(d、JPC=10.8)、127.3、128.2、128.3(d、JPC=3.8)、141.6(d、JPC=1.9)。
MS:m/z(%):443(68)、308(13)、172(14)、135(100)、107(7)、93(19)、79(17)。
HRMS:C3038NP:計算値443.2742;検出値443.26775。
【0049】
例61:1−メシチル−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)イミダゾールの合成
【0050】
【化5】

【0051】
TMEDA1.6ml(15ミリモル)を、ヘキサン30ml中のN−メシチルイミダゾール1.86g(10ミリモル)の懸濁液に添加する。1.6モルのn−ブチルリチウム溶液6.25ml(10ミリモル)を室温で添加する。次いで混合物を環流温度で2.5時間加熱する(溶液1)。別のフラスコ中で、ジシクロヘキシルクロロホスファン2.2ml(10ミリモル)をヘキサン20mlと混合し、かつ60℃に加熱する(溶液2)。次いで沸騰する溶液1を、カニューレによりゆっくり60℃の溶液2へ移す。次いで混合物をさらに1時間、環流下に沸騰させ、該溶液を冷却し、かつ脱ガスした水20mlをここへ添加する。有機相を硫酸マグネシウムを介して濾別する。該溶液を真空中で濃縮し、ペンタン30mlをここへ添加し、かつ混合物を環流で1時間沸騰させる。生成物は−30℃で結晶質の形で沈殿し、これを冷却しながら濾別する。収率:2.48g(65%)。
31P NMR(161MHz、CDCl):δ=−18.9。
H NMR(400MHz、CDCl):δ=0.9〜1.2(m、11H)、1.5〜1.7(m、11H)、1.9(s、6H)、1.9〜2.0(m、2H)、2.2(s、3H)、6.8〜6.9(m、3H)、7.3(s、1H)。
13C NMR(100.6MHz、CDCl):δ=18.5、20.9、26.9、27.5、27.7(d、J=9.5)、30.4(d、J=14.3)、30.9(d、J=10.5)、34.6(d、J=9.5)、122.7、129.2、131.5、134.9、135.5、138.2、147.5(d、J=16.2)。
MS:m/z(%):382(11)、299(100)、217(24)、202(7)、185(27)、83(7)、55(21)。
【0052】
例62:N−(2−メトキシフェニル)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ピロールの合成
a)N−(2−メトキシフェニル)ピロールの合成
【0053】
【化6】

【0054】
文献:Faigl、F.;Fogassy、K.;Thuner、A.;Toke、L.;Tetrahedron 1997、53、4883。
【0055】
1を10.95g(83ミリモル)および2を4.7g(38ミリモル)、氷酢酸10ml中で2時間環流させる。溶液の色は黄色から赤色を通過して黒色へと変化する。次いで混合物を蒸留水75mlで希釈し、かつCHCl 100mlで2回抽出する。
NaCOを黒色の有機溶液に添加する。濾過および濃縮(20ミリバール、50℃)の後で、黒色の油状物が得られ、これを真空下で蒸留する。収率:4.45g(25.7ミリモル;75%)。
H NMR(25℃、CDCl):δ(ppm)=3.8(s、3H)、6.3(t、J=2.2Hz、2H)、7.0(m、4H)、7.3(m、2H)。
【0056】
b)N−(2−メトキシフェニル)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ピロールの合成
【0057】
【化7】

【0058】
N,N,N′,N′,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDTA)3.14ml(15ミリモル)を、ヘキサン30ml中の1の1.73g(10ミリモル)の溶液に添加する。n−BuLiの溶液(ヘキサン中1.6M)(6.25ml、10ミリモル)を滴加する。還流下(75℃)で3時間後、溶液の色は黄色から黒色へ変化した。この混合物を冷却しないで、ヘキサン20ml中に溶解したクロロジシクロヘキシルホスファン2.2ml(10ミリモル)を滴加する。環流をさらに1時間実施する。溶液の色はオレンジ色へと明るくなり、かつ白色の沈殿物が形成される。室温に冷却した後、水30mlを該混合物に添加する。オレンジ色の有機相をそのつどヘキサン20mlを使用して3回抽出する。合した有機相を水10mlで洗浄し、かつNaSOに通して濾過する。真空下で溶剤を除去する(45℃)。粘性のオレンジ色の残留物をMeOH30ml中で30分間環流させる。室温に冷却し、生成物が沈殿し、かつこれを濾別する(1.1g、30%)。
H NMR(25℃、C):δ(ppm)=1.1〜1.9(m、22H)、3.2(s、3H)、7.0(m、4H)、6.5〜7.2(m、3H)。
13C NMR(25℃、C):δ(ppm)=27.2、27.7、27.8、29.6、30.9、34.9、55.1、109.8、111.8、116.5、116.6、120.2、123.6、129.3、130.9、136.3、156.0。
31P NMR(25℃、C):δ(ppm)=−26.8。
【0059】
例63:N−フェニル−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)インドールの合成
a)N−フェニルインドールの合成
【0060】
【化8】

【0061】
文献:合成:Klapars、A.;Antilla、J.;Huang、X.;Buchwald、S.J.Am.Chem.Soc.2001、123、7727。分析:(a)Nishio、T.J.Org.Chem.1988、53、1323。(b)Beller、M.;Breindl、C.;Riermeier、T.;Tillack、A.J.Org.Chem.2001、66、1403。
【0062】
CuI 0.19g(0.1ミリモル)、1を2.34g(20ミリモル)、KPO 8.82g(42ミリモル)、1,2−ジアミノシクロヘキサン0.48ml(4ミリモル)および2を3.16ml(30ミリモル)を無水ジオキサン20ml中、110℃で24時間攪拌する。次いで該混合物を酢酸エチル50mlで希釈する。紫色の沈殿物をシリカゲルを介して濾別し、黄色の溶液が得られ、これを真空下で濃縮する(20ミリバール、50℃)。残留するオレンジ色の油状物をカラムクロマトグラフィーにより精製する(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル98/2)。収率:3.0g(15.5ミリモル、75%)。
H NMR(25℃、CDCl):δ(ppm)=6.45(m、1H)、6.9〜7.5(m、10H)。
13C NMR(25℃、CDCl):δ(ppm)=104.1、111.1、120.9、121.7、122.9、124.9、126.9、128.5、129.9、130.1、130.6、132.1、136.4、140.3。
【0063】
b)N−フェニル−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)インドールの合成
【0064】
【化9】

【0065】
TMEDA1.6ml(15ミリモル)をヘキサン30ml中の1の1.93g(10ミリモル)に添加する。n−BuLiの溶液(ヘキサン中1.6M)(6.25ml、10ミリモル)を滴加する。3時間の環流(75℃)後、色は黄色からオレンジ色へと深まった。冷却しないで、ヘキサン20ml中のクロロジシクロヘキシルホスファン2.2ml(10ミリモル)の溶液を滴加する。環流をさらに1時間実施し、混合物の色は再び明るくなり、かつ白色の固体が沈殿する。冷却後、水30mlを該混合物に添加する。水相をそのつどヘキサン20mlを使用して3回抽出する。合した有機相を水10mlで洗浄し、NaSOにより乾燥させ、かつ真空下(45℃)で濃縮する。黄色の残留物をMeOH30ml中で30分間沸騰させる。室温に冷却後、得られる生成物を濾別する(660mg、17%)。
31P NMR(25℃、C):δ(ppm)=−24.8。
【0066】
例64:N−(ナフチル)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ピロールの合成
a)N−ナフチルピロールの合成
【0067】
【化10】

【0068】
文献:分析:(a)Paredes、E.;Biolatto、B.;Kneeteman、M.;Mancini、P.Tetrahedron Lett.2000、41、8079。(b)Gross、H.Chem.Ber.1962、95、2270。
【0069】
氷酢酸10ml中の2の5.44g(38ミリモル)の紫色の溶液に1を10.95g(83ミリモル)添加する。得られる褐色の溶液をアルゴン下(120℃)で3時間環流させ、その際、色は黒色に変色する。該溶液を真空下で半分の体積まで濃縮し(20ミリバール、50℃)、次いで水20mlを用いて加水分解する。有機相をCHClにより抽出し(3×30ml)、NaSOにより乾燥させ、かつ濃縮し(20ミリバール、50℃)、その際、黒色の油状物が得られ、これをカラムクロマトグラフィーにより精製する(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル85/15)。収率:赤色の油状物3.53g(18.3ミリモル)、これは−25℃で結晶化する(ピンク色の結晶)。
H NMR(25℃、CDCl):δ(ppm)=6.3(t、J=2.2Hz、2H)、6.7(t、J=2.2Hz、2H)、6.9〜7.2(m、4H)、7.3(d、8.1Hz、1H)、7.4(d、8.1Hz、1H)、7.7(d、8.1Hz、1H)。
13C NMR(25、CDCl):δ(ppm)=110.0、123.6、123.8、123.9、125.7、126.9、127.4、128.2、130.7、134.9、139.0。
元素分析:検出値(%)C86.7(理論値:87.0)、H5.89(5.70)、N7.29(7.30)。
【0070】
b)N−(ナフチル)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−ピロールの合成
【0071】
【化11】

【0072】
TMEDA1.6ml(15ミリモル)をヘキサン30ml中の1の1.93gの溶液(10ミリモル)に添加する。n−BuLiの溶液(ヘキサン中1.6M)(6.25ml、10ミリモル)を滴加する。3時間の環流(75℃)後、色はオレンジ色から緑色を経由して黒色へと変化した。冷却しないで、ヘキサン20ml中のクロロジシクロヘキシルホスファン2.2ml(10ミリモル)の溶液を滴加し、かつ環流をさらに1時間実施する。溶液の色は黄色へと変化し、かつ白色の沈殿物が形成される。室温に冷却後、水30mlを該混合物に添加する。水相をそのつどヘキサン20mlを使用して3回抽出する。合した有機相を水10mlで洗浄し、NaSOにより乾燥させ、かつ真空下(45℃)で濃縮する。残留するオレンジ色の油状物をMeOH30ml中で30分間沸騰させる(60℃)。−25℃に冷却し、生成物は黄色の固体の形で沈殿し、これを濾別する(0.9g、24%)。
31P NMR(25℃、C):δ(ppm)=−23.3。
【0073】
例65:リガンド:
【0074】
【化12】

【0075】
一般的な手順
環流冷却器を備えた三口の100mlの丸底フラスコ中でN−アリールピロール(またはN−アリールインドールまたはN−アリールイミダゾール)(10ミリモル)をアルゴン下で新鮮に蒸留したn−ヘキサン20ml中に溶解した。TMEDA(15ミリモル)を添加し、次いでn−BuLi(10ミリモル、ヘキサン中1.6M)を室温で添加する。反応混合物を3時間環流させる。相応するクロロホスフィンの溶液(ヘキサン5ml中10ミリモル)をシリンジによりゆっくり添加する。混合物をさらに1時間環流させる。室温に冷却後、脱ガスした水(15ml)を添加し、かつ混合物を攪拌して清澄な溶液が得られる。水相をヘキサン(2×15ml)により抽出し、かつ合した有機相を脱ガスした水(15ml)で洗浄した。溶液をNaSOにより乾燥させ、かつ45℃で濃縮して粘性の液体が得られ、これをメタノールまたはトルエンから再結晶させた。
【0076】
例66:塩化アリールの触媒反応によるアミノ化
30mLの圧力管にPd(OAc)(0.025ミリモル)、リガンド(0.050ミリモル)、NaOtBu(6.0ミリモル)を装入し、かつアルゴンで30分間パージした。次いで連続的にアルゴン下でトルエン(5mL)、塩化アリール(5ミリモル)およびアミン(6ミリモル)を添加した。混合物をアルゴン下に120℃で20時間攪拌した。反応後、ジエチルエーテル(15mL)により希釈し、かつ水(10mL)で洗浄した。抽出後、有機相をMgSOにより乾燥させ、真空下で濃縮し、かつ最終生成物をカラムクロマトグラフィーにより単離した(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル90/10)。代替的にジエチレングリコール−ジ−n−ブチルエーテルまたはヘキサデカンを内部標準として添加し、かつ定量分析をガスクロマトグラフィーにより行った。
【0077】
【表4】

【0078】
【表5】

【0079】
【表6】

【0080】
【表7】

【0081】
【表8】

【0082】
【表9】

【0083】
【表10】

【0084】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
Xは、Yと無関係に窒素原子またはC−R基を表し、かつ
Yは、Xと無関係に窒素原子またはC−R基を表し、
は2つのR基のそれぞれに関して、他方と無関係に、C〜C24−アルキル、C〜C20−シクロアルキル(これは特に単環式およびまた二環式および三環式のシクロアルキル基を含む)、C〜C14−アリール(これは特にフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基を含む)、C〜C13−ヘテロアリール(この場合、N、O、Sの群から選択されるヘテロ原子の数は1〜2であってよい)の群から選択される基を表し、その際、2つの基Rは相互に結合していてもよく、かつその際、上記の基Rは自体それぞれ、水素、C〜C20−アルキル、C〜C20−アルケニル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−ヘテロアルキル、C〜C10−アリール、C〜C−ヘテロアリール(この場合、N、O、Sの群からのヘテロ原子の数は1〜4であってよい)、C〜C20−アルコキシ、C〜C10−ハロゲンアルキル、ヒドロキシ、NH−(C〜C20−アルキル)、NH−(C〜C10−アリール)、N(C〜C20−アルキル)、N(C〜C20−アルキル)(C〜C10−アリール)、N(C〜C10−アリール)、N(C〜C20−アルキル/C〜C10−アリール、NH−CO−C〜C20−アルキル、NH−CO−C〜C10−アリールの形のアミノ、COOHおよびCOOQ(この場合、Qは一価のカチオンまたはC〜C−アルキルのいずれかを表す)の形のカルボキシラト、C〜C−アシルオキシ、スルフィナト、SOHおよびSOQ(この場合、Qは一価のカチオン、C〜C20−アルキルまたはC〜C10−アリールのいずれかを表す)の形のスルホナト、トリ−C〜C−アルキルシリルの群から選択される置換基により相互に無関係にモノ置換もしくはポリ置換されていてもよく、その際、上記の置換基の2つが相互に架橋していてもよく、
〜Rは、水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、芳香族もしくはヘテロ芳香族アリール、O−アルキル、NH−アルキル、N−(アルキル)、O−(アリール)、NH−(アリール)、N−(アルキル)(アリール)、O−CO−アルキル、O−CO−アリール、F、Si(アルキル)、CF、CN、COH、COH、SOH、CONH、CONH(アルキル)、CON(アルキル)、SO(アルキル)、SO(アルキル)、SO(アリール)、SO(アリール)、SO(アルキル)、SO(アリール)、S−アルキル、S−アリール、NH−CO(アルキル)、CO(アルキル)、CONH、CO(アルキル)、NHCOH、NHCO(アルキル)、CO(アリール)、CO(アリール)基を表し、
その際、2以上の隣接する基は、相互に無関係に、相互に結合して縮合環構造が存在していてもよく、かつ
その際、R〜Rにおいて、
アルキルは、1〜20の炭素原子を有し、そのつど線状もしくは分枝鎖状であってよい炭化水素基を表し、アルケニルは、2〜20の炭素原子を有し、そのつど線状もしくは分枝鎖状であってよいモノ不飽和もしくはポリ不飽和の炭化水素基を表し、シクロアルキルは、3〜20の炭素原子を有する炭化水素を表し、アリールは、5〜14員の芳香族基を表し、この場合、アリール基中の1〜4の炭素原子は窒素、酸素および硫黄の群からのヘテロ原子により置換されて5〜14員のヘテロ芳香族基が存在していてもよく、その際、基R〜Rは、Rに関して定義したような別の置換基を有していてもよい]のホスファンリガンド。
【請求項2】
XはCR基を表し、かつYはCR基を表すことを特徴とする、請求項1記載のリガンド。
【請求項3】
Xは窒素であり、かつYはCR基を表すことを特徴とする、請求項1記載のリガンド。
【請求項4】
リガンドは、フェニル、C〜C10−アルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、5H−ジベンゾホスホリル、9−ホスファビシクロ[3.3.1]ノナニル、9−ホスファビシクロ[4.2.1]ノナニル基からなる群から選択された、少なくとも1の基Rを有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のリガンド。
【請求項5】
リガンド基R〜Rは、水素、C〜C10−アルキル、C〜C10−アルケニル、C〜C10−ハロゲンアルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C10−アリール、C〜C−ヘテロアリール(この場合、1〜3の窒素原子または酸素もしくは硫黄原子はヘテロ原子として存在していてもよい)の群から選択され、かつその際、2つの隣接する基R〜Rは相互に架橋していてもよいことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のリガンド。
【請求項6】
VIII副族の金属を少なくとも1種および請求項1から5までのいずれか1項記載のホスファンリガンドを少なくとも1種含有する触媒。
【請求項7】
遷移金属として少なくとも1のパラジウム、ニッケル、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウムおよびコバルトの原子または鉄を含有することを特徴とする、請求項6記載の触媒。
【請求項8】
触媒は、遷移金属のモノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラ−ホスファン錯体であることを特徴とする、請求項6または7記載の触媒。
【請求項9】
ジエンまたはアリール化されたオレフィン(ヘック反応)、ビアリール(スズキ反応)、α−アリールケトンまたはアミンをハロゲン化アリールまたはハロゲン化ビニルから触媒反応により製造する際の、請求項1から5までのいずれか1項記載のリガンドまたは請求項6から8までのいずれか1項記載の触媒の使用。
【請求項10】
ハロゲン化アリールの触媒反応によるカルボニル化、アルキンを使用するアルキニル化(ソノガシラ・カップリング)および有機金属試薬を使用するクロスカップリングにおける請求項1から5までのいずれか1項記載のリガンドまたは請求項6から8までのいずれか1項記載の触媒の使用。
【請求項11】
アリールオレフィン、ジエン、ジアリール、安息香酸誘導体、アクリル酸誘導体、アリールアルカン、アルキンまたはアミンの触媒反応による製造における、請求項1から5までのいずれか1項記載のリガンドまたは請求項6から8までのいずれか1項記載の触媒の使用。
【請求項12】
触媒反応によりハロゲン化アリールまたはハロゲン化ビニルからアリールオレフィン、ジエン、ジアリール、安息香酸誘導体、アクリル酸誘導体、アリールアルカン、アルキン、アリールケトン、カルボニル化合物またはアミンを製造する方法において、請求項6から8までのいずれか1項記載の触媒を使用し、その際、触媒を錯化合物の形で反応混合物に供給するか、または請求項1から5までのいずれか1項記載のリガンド少なくとも1種と、VIII副族の金属の遷移金属塩または遷移金属錯体少なくとも1種とを混合することによりインサイチューで製造することを特徴とする、触媒反応によるアリールオレフィン、ジエン、ジアリール、安息香酸誘導体、アクリル酸誘導体、アリールアルカン、アルキン、アリールケトン、カルボニル化合物またはアミンの製造方法。
【請求項13】
反応を20〜200℃の温度で実施することを特徴とする、請求項12記載の方法。
【請求項14】
ホスファンリガンドを、1:1〜1:1000の遷移金属対リガンドの比で、遷移金属に対して過剰で使用することを特徴とする、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
遷移金属対リガンドの比が1:1〜1:100であることを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項16】
遷移金属を、基質に対して5モル%〜0.001モル%の比で使用する、請求項12から15までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2007−505945(P2007−505945A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529728(P2006−529728)
【出願日】平成16年5月3日(2004.5.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004644
【国際公開番号】WO2004/101581
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(501073862)デグサ アクチエンゲゼルシャフト (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa AG
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】