説明

粉末状イオン性水溶性高分子およびその用途

【課題】 輸送コストや環境負荷の小さいイオン性の水溶性高分子とその製造法を提供することであり、凝集剤用途さらに詳しくは汚泥の脱水処理用途、製紙スラッジの脱水処理用途と製紙原料に添加して抄紙する方法に対して優れた機能を発揮するイオン性の水溶性高分子を提供する。
【解決手段】 水に非混和性有機液体を連続相、カチオン性単量体および多官能性単量体を必須として含む単量体混合物水溶液を分散相となるよう界面活性剤により乳化し重合した後、得られる油中水滴型エマルジョン状液体を乾燥し造粒した水溶性高分子であって、特定のイオン性を発現する粉末からなる水溶性高分子と、分散重合によって得た粒状物あるいは水性ゲル状物を乾燥し粒状化した粉末品などとを混合したイオン性水溶性高分子を提供することで本課題を解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状イオン性水溶性高分子とその製造方法および用途に関するものであり、さらに詳しくは、特定の異なったイオン性を発現する水溶性高分子を有する粉末およびその用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、イオン性の水溶性高分子は水分散性スラリーや水溶液の増粘剤、分散剤、紙力増強剤、汚泥脱水剤、製紙原料の歩留向上剤、抄紙時の濾水性向上剤などさまざまな分野で使用されており、その形態は、粉末、ペースト状水溶液、油中水型エマルジョンあるいは水性分散液など様々である。
【0003】
汚泥の脱水処理の分野においては、汚泥の発生量の増加、汚泥性状の悪化による難脱水化が進んでおり、汚泥脱水性の改善、脱水ケーキの含水率の低下が強く求められており、製紙工業の分野では、古紙配合量の増加による原料事情の悪化、抄紙速度の増大による生産性の向上などが求められている。
【0004】
このような要望に対し、イオン性の水溶性高分子は様々な改良が進められてきた。
【0005】
特許文献1には、架橋されたカチオン性の油中重合性分散体の汚泥への適用が例示されている。
【0006】
特許文献2には、電荷内包率35%以上のイオン性水溶性高分子と、電荷内包率5以上35%未満のイオン性水溶性高分子を組み合わせた汚泥脱水剤としての適用が例示されている。
【0007】
特許文献3には、架橋された水溶性カチオン性の単量体重合物の油中水型エマルジョンを歩留向上剤および濾水性向上剤として抄紙工程に適用する方法が例示されている。
【0008】
上記に例示される改良方法は、いずれも高分子そのものを自由に設計できるといった特徴がある、油中水型エマルジョン状の重合物液体である。
【0009】
一方で粉末状のイオン性水溶性高分子は、高濃度で重合反応を行うことが常であり、重合物の固化、ゲル化を防止するために高分子そのものを自由に設計し、立体構造を制御することは困難である。
【0010】
しかしながら、油中水型エマルジョン状のイオン性水溶性高分子と比較し疎水性溶媒、水あるいは分散剤といった不純物が少ない特徴があり、輸送コストや環境負荷の面で優位性があるが、改良の柔軟性が小さいといった欠点がある。
【0011】
この欠点を克服するために、特許文献4には、カチオン性水溶性高分子の噴霧乾燥物について記載されており、特許文献5には、噴霧乾燥により得られた架橋されたカチオン性水溶性高分子と凝集剤としての適用が例示されている。
【0012】
これらの噴霧乾燥で得られる粉末状のカチオン性水溶性高分子について電荷内包率についての記載は無く、考慮の範疇外であることが明白である。
【0013】
このように、様々なイオン性水溶性高分子に求められる要求を満たし、さらには使用量を削減し、環境負荷および使用コストを削減といった側面からも、要望にこたえることのできるイオン性の水溶性高分子はいまだかつて提示された例はない。
【特許文献1】特公平08−164号公報
【特許文献2】特開2005−144346号公報
【特許文献3】特開平10−140496号公報
【特許文献4】米国特許 第4035317号公報
【特許文献5】特表2001−516773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、輸送コストや環境負荷が小さく、使用量が削減可能な粉末からなるイオン性の水溶性高分子とその製造法を提供することであり、凝集剤用途さらに詳しくは汚泥の脱水処理用途、製紙スラッジの脱水処理用途と製紙原料に添加して抄紙する方法に対して優れた機能を発揮する粉末からなるイオン性の水溶性高分子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは鋭意検討の結果、驚くべきことに以下請求項1に記載される発明に到達した。すなわち請求項1の発明は、水に非混和性の有機液体を連続相、カチオン性単量体および多官能性単量体を含む単量体水溶液混合物を分散相となるよう界面活性剤により乳化し重合した後、得られる油中水滴型エマルジョン状液体を乾燥したイオン性高分子の粉末であって、イオン性高分子の電荷内包率が35%以上90%以下である水溶性高分子粉末(A)と、前記油中水滴型エマルジョン状液体を乾燥し造粒する製法以外のカチオン性基を有する電荷内包率が35%未満、3%以上の水溶性高分子の粉末から選択される一種以上である水溶性高分子粉末(B)の混合物からなる粉末状イオン性水溶性高分子である。
【0016】
請求項2の発明は、前記水溶性高分子粉末(A)が、下記一般式(1)及び/または(2)であらわされる単量体4.9999〜100mol%、下記一般式(3)であらわされる単量体0〜50mol%、水溶性の非イオン性単量体0〜95mol%および多官能性単量体0.0001〜0.1mol%の共重合物であり、前記水溶性高分子粉末(B)が、下記一般式(1)及び/または(2)であらわされる単量体5〜100mol%、下記一般式(3)であらわされる単量体0〜50mol%および水溶性の非イオン性単量体0〜95mol%の共重合物であることを特徴とする請求項1に記載の粉末状イオン性水溶性高分子である。
【化1】

一般式(1)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。AはOまたはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、Xは陰イオンをそれぞれ表す。
【化2】

一般式(2)
、Rは水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、Xは陰イオンをそれぞれ表す。
【化3】

一般式(3)
は水素またはCHCOOY、R10は水素、メチル基またはCOOY、QはSO、CSO、CONHC(CHCHSO、CCOOあるいはCOOであり、Y、Yは水素または陽イオンをそれぞれ表す。
【0017】
請求項3の発明は、前記水溶性高分子粉末(B)が、下記一般式(4)及び/または又は一般式(5)であらわされる構造を有することを特徴とする請求項1に記載の粉末状イオン性水溶性高分子である。
【化4】

一般式(4)
12、13は水素またはメチル基、Hは無機酸および/または有機酸を表し、未中和時H=0である。
【化5】

一般式(5)
12、13は水素またはメチル基、Hは無機酸および/または有機酸を表し、未中和時H=0である。
【0018】
請求項4の発明は、前記水溶性高分子粉末(B)が、(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリロニトリルの共重合物をホフマン反応後、変性して得られたものであることを特徴とする請求項3に記載の粉末状イオン性水溶性高分子である。
【0019】
請求項5の発明は、前記粉末状イオン性水溶性高分子が、前記一般式(1)及び/または(2)であらわされる単量体4.9999〜100mol%、前記一般式(3)であらわされる単量体0〜50mol%、水溶性の非イオン性単量体0〜95mol%および多官能性単量体0.0001〜0.1mol%の共重合物である前記水溶性高分子粉末(A)、前記一般式(4)又は一般式(5)であらわされる構造を有する水溶性高分子粉末(B)、前記一般式(1)または(2)であらわされる単量体5〜95mol%および水溶性の非イオン性単量体0〜90mol%、前記一般式(3)であらわされる単量体5〜50mol%の共重合物である水溶性高分子粉末(B)および酸の混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粉末状イオン性水溶性高分子である。
【0020】
請求項6の発明は、前記粉末状イオン性水溶性高分子が、前記一般式(1)及び/または(2)であらわされる単量体4.9999〜100mol%、前記一般式(3)であらわされる単量体0〜50mol%、水溶性の非イオン性単量体0〜95mol%および多官能性単量体0.0001〜0.1mol%の共重合物である水溶性高分子粉末(A)、前記一般式(1)または(2)であらわされる単量体5〜100mol%、および水溶性の非イオン性単量体0〜95mol%の共重合物である水溶性高分子粉末(B)、前記一般式(1)または(2)であらわされる単量体5〜95mol%、前記一般式(3)であらわされる単量体5〜50mol%および水溶性の非イオン性単量体0〜90mol%の共重合物である水溶性高分子粉末(B)および酸の混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粉末状イオン性水溶性高分子である。
【0021】
請求項の発明は、7前記水溶性高分子粉末(A)が、油中水滴型エマルジョン状液体を噴霧乾燥したものであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の粉末状イオン性水溶性高分子である。
【0022】
請求項8の発明は、前記水溶性高分子粉末(A)が、油中水滴型エマルジョン状液体を乾燥機にて、エマルジョン状液体のまま直接乾燥したものであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の粉末状イオン性水溶性高分子である。
【0023】
請求項9の発明は、前記水溶性高分子粉末(B)が、塩水中あるいは水に非混和性有機液体中にて分散重合した分散液を乾燥したカチオン性基を有する水溶性高分子の粉末から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1、3あるいは4のいずれかに記載の粉末状イオン性水溶性高分子。
【0024】
請求項10の発明は、前記水溶性高分子粉末(B)が、水溶液重合による粘性液体あるいは水性ゲル状物を乾燥したカチオン性基を有する水溶性高分子の粉末から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1、3あるいは4のいずれかに記載の粉末状イオン性水溶性高分子である。
【0025】
請求項11の発明は、前記油中水滴型エマルジョン状液体にHLB値が10以上の界面活性剤を含まないことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の粉末状イオン性水溶性高分子である。
【0026】
請求項12の発明は、請求項1〜11に記載の粉末状イオン性水溶性高分子を水に溶解した後、汚泥に添加し凝集させ脱水機により脱水することを特徴とした汚泥の脱水方法である。
【0027】
請求項13の発明は、請求項1〜11に記載の粉末状イオン性水溶性高分子を水に溶解した後、製紙スラッジに添加し凝集させ脱水機により脱水することを特徴とした製紙スラッジの脱水方法である。
【0028】
請求項14の発明は、請求項1〜11に記載の粉末状イオン性水溶性高分子を水に溶解した後、抄紙前の製紙原料中に添加し使用することを特徴とした製紙方法である。
【0029】
請求項15の発明は、無機及び/または有機のアニオン性物質と組み合わせて使うことを特徴とした請求項14に記載の製紙方法である。
【0030】
請求項16の発明は、前記アニオン性物質がコロイダルシリカあるいはベントナイトであることを特徴とする請求項15に記載の製紙方法である。
【0031】
請求項17の発明は、前記アニオン性物質が、下記一般式(3)で表される単量体3〜100mol%と水溶性の非イオン性単量体の重合物であることを特徴とする請求項15に記載の製紙方法である。
【化3】

一般式(3)
は水素またはCHCOOY、R10は水素、メチル基またはCOOY、QはSO、CSO、CONHC(CHCHSO、CCOOあるいはCOOであり、Y、Yは水素または陽イオンをそれぞれ表す。
【発明の効果】
【0032】
本発明の粉末からなるイオン性水溶性高分子は、電荷内包率35%以上、90%以下のイオン性水溶性高分子と35%未満、3%以上のイオン性水溶性高分子を組み合わせてなるイオン性水溶性高分子であることから、凝集剤用途、詳しくは汚泥の脱水処理用途、製紙スラッジの脱水処理用途と製紙原料に添加して抄紙する方法に対して特に優れた機能を発揮し、添加量の削減を図ることが可能となるだけでなく、不純物の少ない粉末状の水溶性高分子であるため、輸送コスト、輸送で生じる二酸化炭素の排出、さらには油中水型エマルジョン状の水溶性高分子と比較し疎水性分散媒や界面活性剤の環境への排出量を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明のイオン性水溶性高分子は、電荷内包率が35%以上、90%以下であるイオン性の水溶性高分子と電荷内包率35%未満、5%以上であるイオン性の水溶性高分子を組み合わせてなるイオン性水溶性高分子である。
【0034】
ここで、カチオン性単量体および多官能性単量体を含む単量体水溶液を共重合して得られる、カチオン性水溶性高分子および両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体のモル濃度の差が正であるイオン性水溶性高分子では、電荷内包率とは以下のように計算される。
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αは酢酸にてpH4.0に調整したカチオン性水溶性高分子0.01%水溶液をミューテック社製PCD滴定装置(Muetek PCD 03、Muetek PCD−Two Titrator Version2)により、滴下液:1/1000N ポリビニルスルホン酸カリウム水溶液、滴下速度:0.05ml/10秒、終点判定:0mvにて滴定し、求めた滴定量である。βは酢酸にてpH4.0に調整したカチオン性水溶性高分子0.01%水溶液に1/400N ポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を電荷の中和を行うに十分な量加え、十分に攪拌し、同様にPCD滴定装置により、滴下液:1/1000N ジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液、滴下速度:0.05ml/10秒、終点判定:0mvにて滴定し、ブランク値とこの滴定量との差である。ブランク値とは酢酸にてpH4.0に調整した前記1/400N ポリビニルスルホン酸カリウム水溶液と同量のポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を、同様にPCD滴定装置により滴下液:1/1000N ジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液、滴下速度:0.05ml/10秒、終点判定:0mvにて滴定し、求めた滴定量である。
【0035】
本発明において、カチオン性単量体および多官能性単量体を含む単量体水溶液を共重合して得られる、両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体のモル濃度の差が負であるイオン性水溶性高分子では、電荷内包率とは以下のように計算される。
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αはアンモニアにてpH10.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子0.01%水溶液をミューテック社製PCD滴定装置(Muetek PCD 03、Muetek PCD−Two Titrator Version2)により、滴下液:1/1000N
ジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液、滴下速度:0.05ml/10sec、終点判定:0mvにて 滴定し、求めた滴定量である。βはアンモニアにてpH10.0に調整した架橋性水溶性イオン性高分子0.01%水溶液に1/400N
ジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液を電荷の中和を行うに十分な量加え、十分に攪拌し、同様にPCD滴定装置により、滴下液:1/1000N ポリビニルスルホン酸カリウム水溶液、滴下速度:0.05ml/10sec、終点判定:0mvにて滴定し、この滴定量をブランク値から差し引いた値とする。ブランク値とはアンモニアにてpH10.0に調整した前記サンプルと同濃度のジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液を同様にPCD滴定装置により、滴下液:1/1000N ポリビニルスルホン酸カリウム水溶液、滴下速度:0.05ml/10sec、終点判定:0mvにて滴定し、求めた滴定量である。
【0036】
本発明におけるイオン性水溶性高分子の電荷内包率は、イオン性の発現効率に関するパラメーターであり、カチオン性物質の正滴定と逆滴定との間に大きな差が生じることが汚泥、製紙スラッジおよび製紙原料に単独で添加した場合、効果との間に明確な相関が生じるものである。
【0037】
電荷内包率35%未満、3%以上のイオン性水溶性高分子を汚泥、製紙スラッジあるいは製紙原料などの凝集性物質に添加した場合、低い添加量で凝集し含水率は低下するが、添加量の増大とともに凝集性物質が再分散し、粘性を帯び、汚泥含水率が増大する。
【0038】
電荷内包率35%以上90%以下のものを添加した場合、幅広い添加量範囲で添加の増大とともに巨大で強固なフロックを形成し、著しく凝集性物質の含水率を低下させる。
【0039】
また、電荷内包率が90%より大きいものを添加した場合は、それ以外のものの数倍以上の薬品を添加せねば、凝集性物質の凝集挙動にほとんど寄与しない。
【0040】
電荷内包率35%未満、3%以上のイオン性水溶性高分子および電荷内包率35%以上90%以下のイオン性水溶性高分子を混合してなる粉末状イオン性水溶性高分子は、凝集性物質に添加した場合、低い添加量で凝集し含水率は低下するだけでなく、添加量の増大とともに巨大で強固なフロックを形成し、著しく凝集性物質の含水率を低下させる。
【0041】
本発明における粉末状イオン性水溶性高分子は、二つの異なる製法によって製造した粉末を配合する。すなわち水溶性高分子粉末(A)は、水に非混和性の有機液体を連続相、カチオン性単量体および多官能性単量体を含む単量体水溶液混合物を分散相となるよう界面活性剤により乳化し重合した後、得られる油中水滴型エマルジョン状液体を乾燥し造粒したイオン性高分子の粉末であって、イオン性高分子の電荷内包率が35%以上90%以下である。具体的な乾燥方法としては、噴霧乾燥機中に油中水滴型エマルジョン状液体を噴霧し、乾燥する方法がある。これは操作が簡便であり容易であるが、粒径が細かくなり、更に粒径調節の加工が必要である。また油中水滴型エマルジョン状液体を直接乾燥機に入れ、一定時間乾燥し、塊状物を粉砕する方法もある。この方法は、乾燥温度や乾燥時間の管理に注意する必要がある。
【0042】
一方、水溶性高分子粉末(B)は、塩水中あるいは水に非混和性有機液体中にて分散重合した分散液、および水溶液重合による粘性液体、あるいは流動性のない水性ゲル状物を乾燥し造粒したカチオン性基を有する電荷内包率が35%未満、5%以上の水溶性高分子の粉末から選択される一種以上である。すなわち塩水中にて分散重合した分散液の場合は、直接乾燥機に入れ、一定時間乾燥し、塊状物を粉砕する方法がある。また水に非混和性有機液体中にて分散重合した分散液の場合は、非混和性有機液体を分離し、湿潤な重合粒子を乾燥機にて乾燥し粉末状とする。水溶液重合により生成した粘性液体は、水混和性有機液体により重合物を析出させ、それを乾燥し粉砕する。単量体を高濃度で水溶液重合した流動性のない水性ゲル状物の場合は、ミートチョッパーなどでゲル状物をミンチ化し、それを乾燥後、粉砕し粉末とする方法を採る。以上のようにして水溶性高分子粉末(A)と水溶性高分子粉末(B)を混合し、本発明の粉末からなるイオン性水溶性高分子を製造する。
【0043】
電荷内包率が35%以上90%以下である水溶性高分子粉末(A)と、電荷内包率が35%未満、3%以上である水溶性高分子粉末(B)の混合割合は特に制限は無く、目的とする凝集性や対象となる凝集性物質の性状によって異なるが、電荷内包率が35%以上90%以下であるイオン性水溶性高分子が全イオン性水溶性高分子に対して30〜95質量%の範囲であり、電荷内包率が35%未満、5%以上のイオン性高分子は5〜70質量%の範囲であり、好ましくは、イオン性水溶性高分子が全イオン性水溶性高分子に対して50〜95質量%の範囲であり、電荷内包率が35%未満のイオン性高分子は5〜50質量%の範囲であり、さらには電荷内包率が35%未満、3%以上のイオン性高分子として10〜50質量%の範囲でアミジン構造を有するイオン性水溶性高分子を組み合わせることも好適である。
【0044】
具体的な混合例は、請求項2の電荷内包率が35%以上90%以下である水溶性高分子粉末(A)と、前記一般式(1)及び/または(2)であらわされる単量体5〜100mol%、下記一般式(3)であらわされる単量体0〜50mol%および水溶性の非イオン性単量体0〜95mol%の共重合物の混合物、または電荷内包率が35%以上90%以下である水溶性高分子粉末(A)と、請求項3の前記一般式(4)及び/または又は一般式(5)であらわされる構造を有する水溶性高分子、すなわちポリアミジン系水溶性高分子あるいはポリビニルアミン系水溶性高分子との混合物、または請求項5の電荷内包率が35%以上90%以下である水溶性高分子粉末(A)と、前記一般式(4)及び/または又は一般式(5)であらわされる構造を有する水溶性高分子、すなわちポリアミジン系水溶性高分子あるいはポリビニルアミン系水溶性高分子といわゆる(メタ)アクリル系両性水溶性高分子と酸の混合物、あるいは請求項6の電荷内包率が35%以上90%以下である水溶性高分子粉末(A)と、(メタ)アクリル系カチオン性水溶性高分子と(メタ)アクリル系両性水溶性高分子と酸の混合物などがある。
【0045】
電荷内包率が35%以上90%以下である水溶性高分子粉末(A)を重合する場合の多官能性単量体の添加量としては、全単量体のうち0.0001〜0.1mol%を添加し、好ましくは0.0005〜0.005mol%を添加する。この理由として0.0001mol%未満では架橋性高分子の性能が発現し難く、0.1mol%より高いと架橋が進みすぎて性能が低下する。また多官能性単量体の例としては、複数のビニル基を有する単量体が好ましい。すなわちN,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリアリルアミン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸―1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、N−ビニル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアリルアクリルアミド、アクリル酸グリシジル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどである。
【0046】
本発明の粉末状イオン水溶性高分子において、一般式(1)で表されるカチオン性単量体の例としては、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドやこれらのハロゲン化水素、硫酸、硝酸、有機酸等による中和塩、ハロゲン化アルキル、ベンジルハライド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等による四級化物、一般式(2)で表されるカチオン性単量体の例としては、ジメチルジ(メタ)アリルアンモニウム塩化物、ジ(メタ)アリルメチルベンジルアンモニウム塩化物等が挙げられ、単独で使用することも複数を同時に使用することも可能である。カチオン性単量体の量としては、重合後の水溶性高分子がカチオン性を有する範囲であれば特に制限は無いが、前記多官能性単量体を除く全単量体に対してカチオン性単量体の量が5〜95mol%の範囲であることが好ましい。
【0047】
前記多官能性単量体は複数の不飽和二重結合を複数有していれば特に制限はないが、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリアリルアミン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N−ビニル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。多官能性単量体の量としては、多官能性単量体を除く全単量体質量に対して1〜100質量%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、5〜50質量%の範囲である。
【0048】
本発明における単量体混合物水溶液は、上記単量体のほかに共重合可能なアニオン性単量体および/または水溶性の非イオン性単量体を含むことが出来る。一般式(3)で表されるアニオン性単量体の例としては、ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸あるいはp−カルボキシスチレンなどが挙げられる。アニオン性単量体の量としては、前記多官能性単量体を除く全単量体に対して0〜50mol%の範囲であることが好ましい。
【0049】
水溶性の非イオン性単量体の例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン、アクリロイルピペラジンなどが挙げられ、その量としては前記多官能性単量体を除く全単量体に対して0〜95mol%の範囲であることが好ましい。
【0050】
単量体水溶液混合物には前記単量体の他に、連鎖移動性を有する化合物を含むことが出来る。連鎖移動性を有する化合物の例としては、2−プパノール、2−メルカプトエタノール、メタリルスルホン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムなどが上げられ、目的とする重合物の組成、重合速度および分子量に応じて適宜添加する。
【0051】
水溶性高分子粉末(A)の下記一般式(1)及び/または(2)であらわされる単量体の共重合率は、4.9999〜100mol%であり、好ましくは9.9999〜100mol%であり、更に好ましくは19.9999〜100mol%である。下記一般式(3)であらわされる単量体の共重合率は、0〜50mol%であり、好ましくは0〜30mol%であり、更に好ましくは0〜20mol%である。これ以外の範囲では、カチオン性が低い場合は汚泥脱水性能などが低下し、あるいは両性の場合は、アニオン性が高すぎて泥脱水性能などに悪影響を与える。また多官能性単量体0.0001〜0.1mol%であり、好ましくは0.0005〜0.01mol%であり、更に好ましくは0.001〜0.01mol%である。これ以外の範囲では、消化汚泥など繊維分が少ない汚泥に対し凝集性能が低下し、多すぎる場合は水溶性高分子が水不溶化することがあり好ましくない。
【0052】
水溶性高分子粉末(B)の下記一般式(1)及び/または(2)であらわされる単量体の共重合率は、5〜100mol%であり、好ましくは10〜100mol%であり、更に好ましくは20〜100mol%である。また下記一般式(3)であらわされる単量体、および水溶性の非イオン性単量体の共重合率はそれぞれ0〜50mol%および0〜50mol%であり、好ましくは0〜30mol%および0〜70mol%であり、更に好ましくは0〜20mol%および0〜80mol%である。これ以外の範囲では、カチオン性が低い場合は汚泥脱水性能などが低下し、あるいは両性の場合は、アニオン性が高すぎて泥脱水性能などに悪影響を与える。
【0053】
連続相を形成する水に非混和性有機液体としては、水と混合した際相分離を生じ、界面活性剤により乳化可能な有機液体であれば特に制限はないが、パラフィン類あるいは灯油、軽油、中油などの鉱油、あるいはこれらと実質的に同じ範囲の沸点や粘度などの特性を有する炭化水素系合成油、あるいはこれらの混合物があげられる。含有量としては、油中水型エマルジョン全量に対して20質量%〜50質量%の範囲であることが好ましい。
【0054】
乳化に必要な界面活性剤の例としては、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤の例としては、HLB3〜10のノニオン性界面活性剤であり、その具体例としては、ソルビタンモノオレ−ト、ソルビタンジオレ−ト、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノステアレ−ト、ソルビタンジステアレ−ト、ソルビタンモノラウレ−ト、ソルビタンジラウレ−ト、ソルビタンモノパルミテ−ト、ソルビタンジパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンステアリルエ−テル、ポリオキシエチレンラウリルエ−テル、ポリオキシエチレンセチルエ−テル、ポリオキシエチレントリデシルエ−テル、ポリオキシエチレンオレイルエ−テル、高分子非イオン性界面活性剤類などがあげられる。これら界面活性剤の添加量としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10質量%であり、好ましくは1〜5質量%の範囲である。
【0055】
重合条件は通常、使用する単量体や共重合モル%によって適宜決めていき、温度としては0〜100℃の範囲で行う。特に油中水型エマルジョン重合法を適用する場合は、20〜80℃、好ましくは20〜60℃の範囲で行う。重合開始はラジカル重合開始剤を使用する。これら開始剤は油溶性あるいは水溶性のどちらでも良く、アゾ系、過酸化物系、レドックス系いずれでも重合することが可能である。油溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、1、1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオネ−ト)、4、4−アゾビス(4−メトキシ−2、4ジメチル)バレロニトリルなどがあげられる。
【0056】
水溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などがあげられる。またレドックス系の例としては、ペルオクソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンなどとの組み合わせがあげられる。さらに過酸化物の例としては、ペルオクソ二硫酸アンモニウムあるいはカリウム、過酸化水素,ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t-ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエ−トなどをあげることができる。
【0057】
単量体の重合濃度は、乳化液質量に対して、20〜50質量%の範囲であり、好ましくは25〜40質量%の範囲であり、単量体の組成、重合法、開始剤の選択によって適宜重合の濃度と温度を設定する。これらの単量体を重合して得られる水溶性高分子の分子量は、好ましくは300万〜2000万の範囲である。
【0058】
一般的な、カチオン性水溶性高分子の油中水滴型エマルジョンを、凝集剤用途として水に溶解して使用する場合、親水性の強い両親媒性共重合物や親水性界面活性剤を添加して油の膜で被われたエマルジョン粒子が水になじみ易くし、中の水溶性高分子が溶解しやすくする処理を行い、水で希釈しそれぞれの用途に用いる。本発明における、油中水滴型エマルジョンにおいても、両親媒性共重合物および親水性界面活性剤を含有することも可能であるが、噴霧乾燥して得られる粉末に不純物が含まれることおよび、噴霧乾燥して得られる粉末を水に溶解して使用する場合、特にHLB値が10以上の親水性界面活性剤を含有する場合、理由は明らかではないがおそらくは界面活性剤とカチオン性高分子が複合体を形成するために溶解速度が遅くなるので、含まない物のほうが好ましい。
【0059】
本発明におけるカチオン性基を有するイオン性高分子の電荷内包率が35%未満、5%以上の水溶性高分子粉末(B)は、ビニルアミン構造単位やアミジン構造を有するイオン性水溶性高分子を用いることもできる。
【0060】
電荷内包率35%未満、3%以上の粉末からなる水溶性高分子粉末(B)としてビニルアミン構造単位を有するイオン性水溶性高分子を用いることもできる。
【0061】
ビニルアミン構造単位を有するイオン性水溶性高分子は、N−ビニルホルムアミドやN−ビニルアセトアミドの加水分解物や、ポリアクリルアミドのホフマン変性物が例示できる。
【0062】
電荷内包率35%未満、3%以上の水溶性高分子粉末(B)としてアミジン構造を有するイオン性水溶性高分子を用いることもできる。
【0063】
アミジン構造を有するイオン性水溶性高分子は、N−ビニルホルムアミドないしN−ビニルアセトアミドとアクリロニトリル共重合物の加水分解物を変性したものや、(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリロニトリルの共重合物をホフマン分解後変性して得ることができる。
【0064】
また電荷内包率35%未満、3%以上の水溶性高分子粉末(B)は、これらを組み合わせて使用することも可能である。
【0065】
本発明の汚泥の脱水方法は、請求項1〜7に記載の粉末状イオン性水溶性高分子を水に溶解した後、汚泥に添加し凝集させ脱水機により脱水する方法である。汚泥の種類としては特に制限はなく、製紙排水、化学工業排水、食品工業排水などの生物処理したときに発生する余剰汚泥、あるいは都市下水の生汚泥、混合生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥などの有機汚泥に使用することができる。
【0066】
本発明の粉末状イオン性水溶性高分子は、水に溶解した後、汚泥脱水および製紙スラッジに添加し凝集させ脱水機により脱水する方法である。汚泥脱水および製紙スラッジの脱水に用いる脱水機の種類としては特に制限はなく、ベルトプレス、スクリュープレス、ロータリープレス、フィルタープレスなどの圧搾脱水装置、または遠心分離機、真空濾過機などの圧力脱水装置が例として挙げられる。
【0067】
本発明の汚泥の脱水方法および製紙スラッジの脱水方法において、特に好適に使用できる脱水機としては、請求項1〜7に記載の粉末状イオン性水溶性高分子の電荷内包率と脱水効果の挙動を考慮すると、電荷内包率が35%以上90%以下の範囲では、添加量の増大とともに巨大で強固なフロックを形成する特徴があり、それに伴って脱水の初期濾水量が増大することから、強固なフロックや初期脱水性能が要求されるスクリュープレス脱水機およびロータリープレス脱水機が挙げられる。
【0068】
本発明の汚泥の脱水方法および製紙スラッジの脱水方法は、請求項1〜7に記載の粉末状イオン性水溶性高分子の他に有機もしくは無機の凝結剤を併用することが可能である。有機凝結剤の例としてはとしてはカチオン性を有する高分子が挙げられ(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドといった、(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウムハライド類やジアリルジメチルアンモニウムクロリドといったジアリルアミン化合物などが挙げられ、無機凝結剤の例としては、ポリ塩化アルミニウムや塩化第二鉄、硫酸第二鉄といった金属塩が挙げられる。
【0069】
本発明の製紙方法は、請求項1〜7に記載の粉末状イオン性水溶性高分子を水に溶解した後、抄紙前の製紙原料中に添加し使用する方法である。製紙原料の種類に特に制限はなく、クラフトパルプ、BKP、TMP、DIPなどのパルプを用いることができ、電荷内包率が35%以上90%以下のイオン性水溶性高分子に対して、DIPなどの短繊維分を多いパルプ、TMPなどのアニオン性物質を多く含有するパルプ、あるいはパルプの他に填料を多く含む原料を用いる場合、特に好適である。
【0070】
填料の種類は特に制限は無く、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、酸化チタンなどが挙げられる。また、抄紙時のpHにも制限はなく酸性、中性条件での抄紙も可能である。本発明のイオン性水溶性高分子を用いる場合、特に炭酸カルシウムを多く使用する中性抄紙条件での填料歩留率の向上に用いることが好適である。
【0071】
本発明の粉末状イオン性水溶性高分子水溶液をパルプスラリーに添加して抄造し、紙を製造することができるが、添加場所は特に制限されないが、種箱、マシンチェスト、スクリーンの入り口あるいは出口等が想定される。イオン性水溶性高分子をパルプ重量に対し10〜500ppm添加して使用することが好ましい。
【0072】
本発明の粉末状イオン性水溶性高分子を用いた製紙方法は、無機及び有機のアニオン性物質から選択される一種以上と組み合わせて使うことが可能である。無機のアニオン性物質の例としては、コロイダルシリカあるいはベントナイトが例示され、有機のアニオン性物質としては、前記一般式(3)で表せるアニオン性単量体3〜100mol%と水溶性の非イオン性単量体の共重合物が例示できる。
【0073】
前記一般式(3)で表されるアニオン性単量体3〜100mol%と水溶性の非イオン性単量体の共重合物の形態に特に制限は無く、ペースト状水溶液、油中水滴型エマルジョン、水性分散液等が挙げられ、いずれも水に溶解した水溶液として添加できる。添加場所については特に制限はなく、イオン性水溶性高分子の添加前あるいは添加後あるいは同時に添加することが可能であるし、両者の水溶液もしくは分散液を混合して用いることも可能である。
【0074】
アニオン性物質の添加場所には特に制限はないが、種箱、マシンチェスト、スクリーンの入り口あるいは出口が例示され、カチオン性ポリマーの添加前、添加後あるいは同時に添加することも可能である。
【0075】
アニオン性物質の添加量は特に制限はないが、10パルプ重量に対し10〜10000ppmの範囲で添加して使用することが好ましい。
【0076】
(実施例)以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
【実施例1】
【0077】
(電荷内包率35%未満、3%以上の粉末状イオン性水溶性高分子製造例1)十字攪拌ペラを取り付けた攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管および冷却装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに50重量%アクリルアミド水溶液29.74g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液12.66gおよびイオン交換水206.85gを仕込み、フラスコ内部を十分に窒素置換した後、1質量%2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド水溶液0.75gを仕込み、35℃の条件下15時間反応を行った。このものを、厚さ0.07mmのポリエチレンフィルム上に、厚さが10mm以下になるよう塗布し、80℃の送風乾燥機内で20時間静置乾燥した後、得られたシート状共重合物を、破断粉砕し粉末状イオン性水溶性高分子を得た。このものを製造例1とし物性を表1に示す。
【0078】
(製造例2)50質量%アクリルアミド水溶液9.83g、80重量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液25.11g、イオン交換水213.56gおよび1質量%2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド水溶液1.50gとしたこと以外は製造例1と同様な方法で粉末状イオン性水溶性高分子を得た。このものを製造例2とし物性を表1に示す。
【0079】
(製造例3)50質量%アクリルアミド水溶液4.20g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液19.90g、60質量%アクリル酸1.81g、イオン交換水208.33gおよび1質量%2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド水溶液3.75gとしたこと以外は製造例1と同様な方法で粉末状イオン性水溶性高分子を得た。このものを製造例3とし物性を表1に示す。
【0080】
(製造例4)92質量%N−ビニルホルムアミド水溶液49.4g、アクリロニトリル(関東化学株式会社、特級試薬)35.3g、イオン交換水179.3gを仕込んだ水溶液混合物に、ソルビタンモノオレート4.00gおよび沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン132.00gからなる混合物を加え、モノジナイザーにて1000rpmの回転数のもとで15分間強攪拌しモノマー乳化液を得た。このものを、十字攪拌ペラを取り付けた攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管および冷却装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに仕込み、十字攪拌ペラで400prmの攪拌条件下窒素置換を行った。窒素置換が完了した後、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.40g加え窒素雰囲気下30℃で20時間保持し重合を行い、イオン性水溶性高分子の油中水型エマルジョンを得た。この油中水型エマルジョンを造粒乾燥装置内に噴霧し、造粒した粉末の水分が5質量%以下になるまで乾燥造粒し、粉末状のイオン性水溶性高分子を得た。このものを製造例4とし物性を表1に示す。
【0081】
(製造例5)十字攪拌ペラを取り付けた攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管および冷却装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに50質量%アクリルアミド水溶液を80.1g、アクリロニトリル(関東化学株式会社、特級試薬)を19.9g、イオン交換水200.0gを仕込み、十字攪拌ペラで120prmの攪拌条件下窒素置換を行った。窒素置換が完了した後、10質量%2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド水溶液1.20gを加え窒素雰囲気下35℃で20時間保持し重合を行った。このものを50.0g採取し、イオン交換水150gを加えた後5℃以下に冷却し、次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素12%)79.3g及び48質量%水酸化ナトリウム水溶液20.0gの混合溶液を加え、15℃以下で1時間ホフマン反応を行った。このものに35質量%塩酸水溶液を55.0g加え中和し、分離した沈殿物を、厚さ0.07mmのポリエチレンフィルム上に、厚さが10mm以下になるよう塗布し、80℃の送風乾燥機内で20時間静置乾燥した後、得られたシート状共重合物を、破断粉砕し粉末状のイオン性水溶性高分子を得た。このものを製造例5とし物性を表1に示す。
【0082】
(電荷内包率35%以上90%以下の粉末からなるイオン性水溶性高分子製造例)(製造例6)十字攪拌ペラを取り付けた攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管および冷却装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに50重量%アクリルアミド水溶液59.48g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液25.32g、0.1%N,N'−メチレンビスアクリルアミド水溶液を1.388g、ソルビタンモノオレート3.73gおよび沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン35.0g、2−プロパノールを0.555gからなる混合物を加え、モノジナイザーにて1000rpmの回転数のもとで15分間強攪拌しモノマー乳化液を得た。1質量%2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド水溶液0.50gを仕込み、35℃の条件下15時間反応を行った。この油中水型エマルジョンを造粒乾燥装置内に噴霧し、造粒した粉末の水分が5質量%以下になるまで乾燥造粒し、粉末状のイオン性水溶性高分子を得た。このものを製造例6とし物性を表1に示す。
【0083】
(製造例7)
2−プロパノールを0.555gとし0.1%N,N'−メチレンビスアクリルアミド水溶液を2.775g加え、製造例5と同様な操作により粉末状のイオン性水溶性高分子を得た。このものを製造例7とし物性を表1に示す。
【0084】
(製造例8)十字攪拌ペラを取り付けた攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管および冷却装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに50重量%アクリルアミド水溶液19.66g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液50.22g、0.1%N,N'−メチレンビスアクリルアミド水溶液を1.388g、ソルビタンモノオレート3.73gおよび沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン35.0g、2−プロパノールを0.555gからなる混合物を加え、モノジナイザーにて1000rpmの回転数のもとで15分間強攪拌しモノマー乳化液を得た。1質量%2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド水溶液0.50gを仕込み、35℃の条件下15時間反応を行った。この油中水型エマルジョンを浅い容器内に厚さ1cmになるように流し込み、水分が5質量%以下になるまで乾燥し、その後粉砕、造粒し粉末状のイオン性水溶性高分子を得た。このものを製造例8とし物性を表1に示す。
【0085】
(製造例9)
十字攪拌ペラを取り付けた攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管および冷却装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに50重量%アクリルアミド水溶液19.66g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液50.22g、0.1%N,N'−メチレンビスアクリルアミド水溶液を2.775g、ソルビタンモノオレート3.73gおよび沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン35.0g、2−プロパノールを0.555gからなる混合物を加え、モノジナイザーにて1000rpmの回転数のもとで15分間強攪拌しモノマー乳化液を得た。1質量%2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド水溶液0.50gを仕込み、35℃の条件下15時間反応を行った。この油中水型エマルジョンを浅い容器内に厚さ1cmになるように流し込み、水分が5質量%以下になるまで乾燥し、その後粉砕、造粒し、粉末状のイオン性水溶性高分子を得た。このものを製造例9とし物性を表1に示す。
【0086】
(製造例10)
十字攪拌ペラを取り付けた攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管および冷却装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに50重量%アクリルアミド水溶液8.40g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液39.8g、60質量%アクリル酸3.62g、0.1%N,N'−メチレンビスアクリルアミド水溶液を2.775g、ソルビタンモノオレート3.73gおよび沸点190℃ないし230℃のイソパラフィン35.0g、2−プロパノールを0.555gからなる混合物を加え、モノジナイザーにて1000rpmの回転数のもとで15分間強攪拌しモノマー乳化液を得た。1質量%2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド水溶液0.50gを仕込み、35℃の条件下15時間反応を行った。この油中水型エマルジョン浅い容器内に厚さ1cmになるように流し込み、水分が5質量%以下になるまで乾燥し、その後、粉砕造粒し粉末状のイオン性水溶性高分子を得た。このものを製造例10とし物性を表1に示す。
【0087】
(比較製造例1)十字攪拌ペラを取り付けた攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管および冷却装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに50重量%アクリルアミド水溶液29.74g、80質量%アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド水溶液12.66g、0.1質量%N,N’−メチレンビスアクリルアミド水溶液を0.025gおよびイオン交換水206.83gを仕込み、フラスコ内部を十分に窒素置換した後、1質量%2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド水溶液0.75gを仕込み、35℃の条件下15時間反応を行った。このものを、厚さ0.07mmのポリエチレンフィルム上に、厚さが10mm以下になるよう塗布し、80℃の送風乾燥機内で20時間静置乾燥した後、得られたシート状共重合物を、破断粉砕し粉末状イオン性水溶性高分子を得た。このものを比較製造例1とし物性を表1に示す。
【0088】
(比較製造例2)イオン交換水を213.19gとし、0.1質量%N,N’−メチレンビスアクリルアミド水溶液を0.375g加えたこと以外は、比較製造例1と同様な方法で単量体共重合物を得た。このものを比較製造例2とし物性を表1に示す。
【0089】
(比較製造例3)イオン交換水を212.93gとし、0.1質量%N,N’−メチレンビスアクリルアミド水溶液を0.500g加えたこと以外は、比較製造例1と同様な方法で単量体共重合物を得た。このものを比較製造例3とし物性を表1に示す。
【0090】
以上の製造例1〜10、比較製造例1〜3における試作品の固有粘度は、1N食塩水中で測定した(25℃)。カチオン当量値は、コロイド滴定法により、1/400Nのポリビニルスルホン酸カリウムによる滴定値である。水溶液粘度は、0.2質量%水溶液になるようマグネチックスターラーにより60分攪拌、し溶解後、B型粘度計により2号ローター、30rpmの条件で測定した場合(25℃)の粘度である。
【0091】
(表1)



【0092】
(電荷内包率35%未満の粉末からなるイオン性水溶性高分子(a)あるいは三種の場合は(c)とし、電荷内包率35%以上90%以下の粉末(b)を組み合わせてなるイオン性水溶性高分子試作例)
(製造例11)製造例1および製造例6で製造した、粉末状のイオン性水溶性高分子を質量比で製造例1:製造例6=2:8となるよう均一になるまで混合した。このものを製造例11とし、結果を表2に示す。
【0093】
(製造例12)製造例2と製造例7で製造した粉末状のイオン性水溶性高分子を質量比で製造例2:製造例7=2:8となるよう均一になるまで混合し、このものを製造例12とした。結果を表2に示す。
【0094】
(製造例13)製造例3と製造例8とし、およびこれらイオン性水溶性高分子に対し6.5質量%のスルファミン酸を添加した事以外は製造例12と同様な方法で、粉末状のイオン性水溶性高分子を得た。このものを製造例13とし、結果を表2に示す。
【0095】
(製造例14)製造例4と製造例7で製造した粉末からなるイオン性水溶性高分子を重量比で製造例4:製造例7=2:8となるよう、均一になるまで混合し、粉末からなるイオン性水溶性高分子を製造した。このものを製造例14とし、結果を表2に示す。
【0096】
(製造例15)製造例5と製造例7で製造した粉末からなるイオン性水溶性高分子を質量比で製造例5:製造例7=2:8となるよう、均一になるまで混合し、粉末からなるイオン性水溶性高分子を製造した。このものを製造例15とし、結果を表2に示す。
【0097】
(製造例16)製造例2と製造例10で製造した粉末からなるイオン性水溶性高分子を質量比で製造例2:製造例10=2:8となるよう、およびこれらイオン性水溶性高分子に対し6.5質量%のスルファミン酸を添加し均一になるまで混合し、均一になるまで混合し、粉末からなるイオン性水溶性高分子を製造した。このものを製造例16とし、結果を表2に示す。
【0098】
(製造例17)製造例3と製造例9で製造した粉末からなるイオン性水溶性高分子を質量比で製造例9:製造例3=2:8となるよう、およびこれらイオン性水溶性高分子に対し6.5質量%のスルファミン酸を添加し均一になるまで混合し、粉末からなるイオン性水溶性高分子を製造した。このものを製造例17とし、結果を表2に示す。
【0099】
(製造例18)製造例3と製造例10で製造した粉末からなるイオン性水溶性高分子を質量比で製造例3:製造例10=2:8となるよう、およびこれらイオン性水溶性高分子に対し6.5質量%のスルファミン酸を添加し均一になるまで混合し、粉末からなるイオン性水溶性高分子を製造した。このものを製造例18とし、結果を表2に示す。
【0100】
(製造例19)製造例4と製造例9で製造した粉末からなるイオン性水溶性高分子を質量比で製造例4:製造例9=2:8となるよう、均一になるまで混合し、粉末からなるイオン性水溶性高分子を製造した。このものを製造例19とし、結果を表2に示す。
【0101】
(製造例20)製造例3、製造例4および製造例9で製造した粉末からなるイオン性水溶性高分子を質量比で製造例3:製造例9:製造例4:=2:5:3、およびこれらイオン性水溶性高分子に対し6.5質量%のスルファミン酸を添加し均一になるまで混合し、粉末からなるイオン性水溶性高分子を製造した。このものを製造例20とし、結果を表2に示す。
【0102】
(製造例21)製造例3、製造例9および製造例2で製造した粉末からなるイオン性水溶性高分子を質量比で製造例3:製造例9:製造例2=2:5:3、およびこれらイオン性水溶性高分子に対し6.5質量%のスルファミン酸を添加し均一になるまで混合し、粉末からなるイオン性水溶性高分子を製造した。このものを製造例21とし、結果を表2に示す。
【0103】
(製造例22)製造例1と製造例9で製造した粉末からなるイオン性水溶性高分子を質量比で製造例1:製造例9=2:8となるよう、均一になるまで混合し、粉末からなるイオン性水溶性高分子を製造した。このものを製造例22とし、結果を表2に示す。
【0104】
(製造例23)製造例2と製造例8で製造した粉末からなるイオン性水溶性高分子を質量比で製造例2:製造例8=2:8となるよう、均一になるまで混合し、粉末からなるイオン性水溶性高分子を製造した。このものを製造例23とし、結果を表2に示す。
【0105】
(表2)

【実施例2】
【0106】
(汚泥脱水試験1)製造例12、16、17、20および21で製造した粉末からなるイオン性水溶性高分子を水で溶解し0.2重量%の水溶液を調製し汚泥の脱水試験を行った。し尿余剰汚泥(pH7.06、全ss分46,250mg/L)を200mLポリビーカーに採取し、前記粉末からなるイオン性水溶性高分子の溶解液を汚泥重量に対して370ppm、400ppmおよび430ppm添加し、それぞれビーカー移し変え攪拌20回行った後、T−1178Lのナイロン濾布で濾過し、45秒後の濾液量を測定した。また濾過した汚泥のケーキ支持性(脱水ケーキの硬さ)を観察した後、プレス圧2kg/mで1分間脱水し濾布剥離性を確認し、ケーキ含水率(105℃、20時間乾燥)を測定した。結果を表3に示す。
【0107】
(比較汚泥脱水試験1) 粉末状イオン性水溶性高分子をそれぞれ製造例2、3、4、5および7としたこと以外は、汚泥脱水試験1と同様な方法で汚泥の脱水試験を行った。結果を表3に示す。
【0108】
(表3)

ケーキ支持性および濾布剥離性は、製造例10において添加量400ppmの場合を「○」とし、それより良好の場合を「◎」、劣る場合を「△」とした。
【0109】
表3の結果において電荷内包率35%未満のものと35%以上90%以下のものを組み合わせた粉末からなるイオン性水溶性高分子は、脱水試験の結果ケーキ支持性、濾布剥離性に関して明らかに有効であり、濾液量の増加に伴う初期濾水性の向上および脱水ケーキの含水率の低下が明らかである。
【0110】
製造例8および製造例10について、ビニルアミン構造およびアミジン構造を有する粉末からなるイオン性水溶性高分子に関しても、汚泥含水率の著しい低下が確認できるが、電荷内包率35%以上90%以下のイオン性水溶性高分子との組み合わせにより更なる汚泥含水率低減効果の向上が確認できる。
【実施例3】
【0111】
(汚泥脱水試験2)製造例13、18、19、22および23で製造した粉末からなる水溶性高分子を水で溶解し0.2重量%の水溶液を調製し汚泥の脱水試験を行った。食肉余剰汚泥(pH6.64、全ss分24,000mg/L)を200mLポリビーカーに採取し、前記の粉末からなるイオン性水溶性高分子の溶解液を汚泥に対する高分子の重量で400ppm、500ppmおよび600ppm添加し、それぞれCST1000rpmで30秒間攪拌混合を行った後#202のナイロン濾布で濾過し、45秒後の濾液量を測定した。また濾過した汚泥のケーキ支持性(脱水ケーキの硬さ)を観察した後、プレス圧3kg/mで30秒間脱水し濾布剥離性を確認し、ケーキ含水率(105℃、20時間乾燥)を測定した。結果を表4に示す。
【0112】
(比較汚泥脱水試験2) 粉末からなるイオン性水溶性高分子をそれぞれ製造例1、3および8としたこと以外は、汚泥脱水試験2と同様な方法で汚泥の脱水試験を行った。結果を表4に示す。

















【0113】
(表4)

ケーキ支持性および濾布剥離性は、製造例10において添加量400ppmの場合を「○」とし、それより良好の場合を「◎」、劣る場合を「△」とした。
【0114】
表4の結果にから明白なように、電荷内包率35%未満のものと35%以上90%以下のものを組み合わせた粉末からなるイオン性水溶性高分子は、脱水試験の結果ケーキ支持性、濾布剥離性に関して有効であり、濾液量の増加に伴う初期濾水性の向上および脱水ケーキの含水率の低下が明らかである。
【実施例4】
【0115】
(製紙スラッジ脱水試験)製造例12、16および17で製造した粉末からなるイオン性水溶性高分子を水で溶解し0.2重量%の水溶液を調製し製紙スラッジの脱水試験を行った。製紙スラッジ(pH6.90、全ss分11,750mg/L)を200mLポリビーカーに採取し、アニオン性高分子凝集剤(ハイモロックV−320)の0.1重量%水溶液を汚泥に対して高分子の重量で5ppm、10ppmおよび20ppm添加した後、前記の粉末からなるイオン性水溶性高分子の溶解液を汚泥に対する高分子の重量でそれぞれ10ppm、20ppm、40ppm添加し、それぞれスパチュラで50回攪拌しさらにビーカー移し変え6回行った後#202のナイロン濾布で濾過し、45秒後の濾液量を測定した。また濾過した汚泥のケーキ支持性(脱水ケーキの硬さ)を観察した後、プレス圧4kg/mで60秒間脱水し濾布剥離性を確認し、ケーキ含水率(105℃、20時間乾燥)を測定した。結果を表5に示す。
【0116】
(比較製紙スラッジ脱水試験) 粉末からなるイオン性水溶性高分子をそれぞれ製造例2、3および4としたこと以外は、製紙スラッジ脱水試験と同様な方法で脱水試験を行った。結果を表5に示す。
【0117】
(表5)

ケーキ支持性および濾布剥離性は、製造例14において添加量アニオン性高分子/カチオン性高分子=5/10の場合を「○」とし、それより良好の場合を「◎」、劣る場合を「△」とした。
【0118】
表5の結果にから明白なように、電荷内包率35%未満のものと35%以上90%以下のものを組み合わせた粉末からなるイオン性水溶性高分子は、脱水試験の結果ケーキ支持性、濾布剥離性に関して有効であり、濾液量の増加に伴う初期濾水性の向上および脱水ケーキの含水率の低下が明らかである。
【実施例5】
【0119】
(製紙試験1)製造例10、14および15で製造した粉末からなるイオン性水溶性高分子を水で溶解し0.2重量%の水溶液を調製し、カナディアンスタンダードフリーネス400mlに叩解したLBKPを用いて抄紙試験およびブリット式ダイナミックジャーテスターによる歩留試験を行った。LBKPを1.0%濃度とした後、市販の炭酸カルシウムをパルプ重量に対して20%、硫酸アルミニウム(Al分として8.0%)を対パルプ重量1.2%添加して硫酸でpH7.5に調整した。この製紙原料に前記の粉末からなるイオン性水溶性高分子溶解液をパルプ重量に対して高分子の重量で200ppmになるように添加した後30秒攪拌した。その後、タッピスタンダードシートマシンで坪量80g/mとなるように抄紙し、得られた湿紙を4Kg/cmで5分間プレス後、105℃回転式ドライヤーで3分間乾燥し手抄き紙を得た。この手抄き紙を20℃、65% HRの条件下に24時間調湿した後、成紙の地合いの様子、不透明度およびISO白色度を評価した。結果を表6に示す。
【0120】
LBKPを0.5%濃度とした後、市販の炭酸カルシウムをパルプ重量に対して20%、硫酸アルミニウム(Al2O3分として8.0%)を対パルプ重量1.2%添加して硫酸でpH7.5に調整した。この製紙原料をブリット式ダイナミックジャーテスターに投入し、前記製造例12、15および16の粉末からなるイオン性水溶性高分子溶解液をパルプ重量に対して高分子の重量で200ppmになるように添加した。2000rpmで30秒攪拌した後、攪拌回転数を800rpmに落とし白水を10秒間排出し、その後、30秒間白水を回収した。回収した白水のSS濃度および525℃で2時間灰化して得られた灰分量から、製紙原料の総歩留率および灰分歩留率を求めた。結果を表6に示す。
【0121】
(比較製紙試験1) 粉末からなるイオン性水溶性高分子をそれぞれ製造例1、4および6としたこと以外は、実施例5と同様な方法で抄紙試験および歩留試験を行い、成紙の地合いの様子、不透明度、ISO白色度、製紙原料の総歩留率および灰分歩留率を求めた。結果を表6に示す。
【0122】
(表6)

地合評価:製造例9と比較し悪いものは△、差がないものは○
紙の不透明度測定法:JIS−P1849:2000
紙のISO白色度測定法:JIS−P1848:2001
【0123】
表6で示したように、電荷内包率35%未満のものと35%以上90%以下のものを組み合わせた粉末からなるイオン性水溶性高分子は、総歩留率、灰分歩留率を大きく向上する効果が得られることが明白である。特に、灰分の歩留向上効果が高い。
【実施例6】
【0124】
(製紙試験2)イオン交換水で2.0重量%に調整したベントナイト分散液および製造例11、12および15で合成した粉末からなるイオン性水溶性高分子を水で溶解し0.2重量%とした水溶液を調製し、カナディアンスタンダードフリーネス400mlに叩解したLBKPを用いて抄紙試験およびブリット式ダイナミックジャーテスターによる歩留試験を行った。LBKPを1.0%濃度とした後、市販の炭酸カルシウムをパルプ重量に対して20%、硫酸アルミニウム(Al分として8.0%)を対パルプ重量1.2%添加して硫酸でpH7.5に調整した。この製紙原料に前記ベントナイト分散液をパルプ重量に対してベントナイト1000ppmとなるように添加した後15秒攪拌し、次に製造例18、25および26の粉末からなるイオン性水溶性高分子溶解液をパルプ重量に対して高分子の重量でそれぞれ100ppmおよび200ppmになるように添加した後さらに2000rpmで30秒攪拌した。その後、タッピスタンダードシートマシンで坪量80g/mとなるように抄紙し、得られた湿紙を4Kg/cmで5分間プレス後、105℃回転式ドライヤーで3分間乾燥し手抄き紙を得た。この手抄き紙を20℃、65% HRの条件下に24時間調湿した後、成紙の地合いの様子、不透明度およびISO白色度を評価した。結果を表7に示す。
【0125】
LBKPを0.5%濃度とした後、市販の炭酸カルシウムをパルプ重量に対して20%、硫酸アルミニウム(Al2O3分として8.0%)を対パルプ重量1.2%添加して硫酸でpH7.5に調整した。この製紙原料をブリット式ダイナミックジャーテスターに投入し、前記ベントナイト分散液をパルプ重量に対してベントナイト1000ppmとなるように添加した後2000rpmで15秒攪拌し、次に製造例18、25および26の粉末からなるイオン性水溶性高分子溶解液をパルプ重量に対して高分子の重量でそれぞれ100ppmおよび200ppmになるように添加した。次に、2000rpmで30秒攪拌した後、攪拌回転数を800rpmに落とし白水を10秒間排出し、その後、30秒間白水を回収した。回収した白水のSS濃度および525℃で2時間灰化して得られた灰分量から、製紙原料の総歩留率および灰分歩留率を求めた。結果を表7に示す。
【0126】
(比較製紙試験2) 製造例2、3および6に関し実施例6と同様な方法で抄紙試験および歩留試験を行い、成紙の地合いの様子、不透明度、ISO白色度、製紙原料の総歩留率および灰分歩留率を求めた。結果を表7に示す。
【0127】
(表7)

地合評価:製造例9ベントナイト/カチオン性高分子=1000/100と比較し悪いものは△、差がないものは○
紙の不透明度測定法:JIS−P1849:2000
紙のISO白色度測定法:JIS−P1848:2001
【0128】
表7で示したように、ベントナイトを使用することにより総歩留率と灰分歩留率、不透明度およびISO白色度は良好になる一方で、成紙の地合いが良好になるといった効果が確認できる。
【実施例7】
【0129】
(製紙試験3)イオン交換水で0.2重量%に調整したアニオン性高分子(アクリル酸ナトリウム20mol%−アクリルアミド80mol%共重合物、0.5重量%食塩水溶液粘度120.0(mPa・s)(食塩濃度4重量%、B型粘度計2号ローター、60rpm、25℃測定))および、製造例18、21および23で合成した粉末からなるイオン性水溶性高分子を水で溶解し0.2重量%とした水溶液を調製し、カナディアンスタンダードフリーネス400mlに叩解したLBKPを用いて抄紙試験およびブリット式ダイナミックジャーテスターによる歩留試験を行った。LBKPを1.0%濃度とした後、市販の炭酸カルシウムをパルプ重量に対して20%、硫酸アルミニウム(Al分として8.0%)を対パルプ重量1.2%添加して硫酸でpH7.5に調整した。この製紙原料に前記アニオン性高分子水溶液をパルプ重量に対してアニオン性高分子100ppmとなるように添加した後15秒攪拌し、次に製造例16の粉末からなるイオン性水溶性高分子溶解液をパルプ重量に対して高分子の重量でそれぞれ100ppmおよび200ppmになるように添加した後さらに2000rpmで30秒攪拌した。その後、タッピスタンダードシートマシンで坪量80g/mとなるように抄紙し、得られた湿紙を4Kg/cmで5分間プレス後、105℃回転式ドライヤーで3分間乾燥し手抄き紙を得た。この手抄き紙を20℃、65% HRの条件下に24時間調湿した後、成紙の地合いの様子、不透明度およびISO白色度を評価した。結果を表8に示す。
【0130】
LBKPを0.5%濃度とした後、市販の炭酸カルシウムをパルプ重量に対して20%、硫酸アルミニウム(Al2O3分として8.0%)を対パルプ重量1.2%添加して硫酸でpH7.5に調整した。この製紙原料をブリット式ダイナミックジャーテスターに投入し、前記アニオン性高分子溶解液をパルプ重量に対してアニオン性高分子を重量で100ppmとなるように添加した後2000rpmで15秒攪拌し、次に製造例16、23および24の粉末からなるイオン性水溶性高分子溶解液をパルプ重量に対して高分子の重量でそれぞれ100ppmおよび200ppmになるように添加した。次に、2000rpmで30秒攪拌した後、攪拌回転数を800rpmに落とし白水を10秒間排出し、その後、30秒間白水を回収した。回収した白水のSS濃度および525℃で2時間灰化して得られた灰分量から、製紙原料の総歩留率および灰分歩留率を求めた。結果を表8に示す。
【0131】
(比較製紙試験3) 製造例2、3および9に関し実施例7と同様な方法で抄紙試験および歩留試験を行い、成紙の地合いの様子、不透明度、ISO白色度、製紙原料の総歩留率および灰分歩留率を求めた。結果を表8に示す。
【0132】
(表8)

地合評価:製造例7ベントナイト/カチオン性高分子=1000/100と比較し悪いものは△、差がないものは○
紙の不透明度測定法:JIS−P1849:2000
紙のISO白色度測定法:JIS−P1848:2001
【0133】
表8で示したように、アニオン性高分子を使用することにより総歩留率と灰分歩留率、不透明度およびISO白色度は良好になる一方で、成紙の地合いが良好になるといった効果が確認できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に非混和性の有機液体を連続相、カチオン性単量体および多官能性単量体を含む単量体水溶液混合物を分散相となるよう界面活性剤により乳化し重合した後、得られる油中水滴型エマルジョン状液体を乾燥したイオン性高分子の粉末であって、イオン性高分子の電荷内包率が35%以上90%以下である水溶性高分子粉末(A)と、前記油中水滴型エマルジョン状液体を乾燥し造粒する製法以外のカチオン性基を有する電荷内包率が35%未満、3%以上の水溶性高分子の粉末から選択される一種以上の水溶性高分子粉末(B)の混合物からなる粉末状イオン性水溶性高分子。
【請求項2】
前記水溶性高分子粉末(A)が、下記一般式(1)及び/または(2)であらわされる単量体4.9999〜100mol%、下記一般式(3)であらわされる単量体0〜50mol%、水溶性の非イオン性単量体0〜95mol%および多官能性単量体0.0001〜0.1mol%の共重合物であり、前記水溶性高分子粉末(B)が、下記一般式(1)及び/または(2)であらわされる単量体5〜100mol%、下記一般式(3)であらわされる単量体0〜50mol%および水溶性の非イオン性単量体0〜95mol%の共重合物であることを特徴とする請求項1に記載の粉末状イオン性水溶性高分子。
【化1】

一般式(1)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。AはOまたはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、Xは陰イオンをそれぞれ表す。
【化2】

一般式(2)
、Rは水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、Xは陰イオンをそれぞれ表す。
【化3】

一般式(3)
は水素またはCHCOOY、R10は水素、メチル基またはCOOY、QはSO、CSO、CONHC(CHCHSO、CCOOあるいはCOOであり、Y、Yは水素または陽イオンをそれぞれ表す。
【請求項3】
前記水溶性高分子粉末(B)が、下記一般式(4)及び/または又は一般式(5)であらわされる構造を有することを特徴とする請求項1に記載の粉末状イオン性水溶性高分子。
【化4】

一般式(4)
12、13は水素またはメチル基、Hは無機酸および/または有機酸を表し、未中和時H=0である。
【化5】

一般式(5)
12、13は水素またはメチル基、Hは無機酸および/または有機酸を表し、未中和時H=0である。
【請求項4】
前記水溶性高分子粉末(B)が、(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリロニトリルの共重合物をホフマン反応後、変性して得られたものであることを特徴とする請求項3に記載の粉末状イオン性水溶性高分子。
【請求項5】
前記粉末状イオン性水溶性高分子が、前記一般式(1)及び/または(2)であらわされる単量体4.9999〜100mol%、前記一般式(3)であらわされる単量体0〜50mol%、水溶性の非イオン性単量体0〜95mol%および多官能性単量体0.0001〜0.1mol%の共重合物である前記水溶性高分子粉末(A)、前記一般式(4)又は一般式(5)であらわされる構造を有する水溶性高分子粉末(B)、前記一般式(1)または(2)であらわされる単量体5〜95mol%および水溶性の非イオン性単量体0〜90mol%、前記一般式(3)であらわされる単量体5〜50mol%の共重合物からなる水溶性高分子粉末(B)および酸の混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粉末状イオン性水溶性高分子。
【請求項6】
前記粉末状イオン性水溶性高分子が、前記一般式(1)及び/または(2)であらわされる単量体4.9999〜100mol%、前記一般式(3)であらわされる単量体0〜50mol%、水溶性の非イオン性単量体0〜95mol%および多官能性単量体0.0001〜0.1mol%の共重合物からなる水溶性高分子粉末(A)、前記一般式(1)または(2)であらわされる単量体5〜100mol%、および水溶性の非イオン性単量体0〜95mol%の共重合物である水溶性高分子粉末(B)、前記一般式(1)または(2)であらわされる単量体5〜95mol%、前記一般式(3)であらわされる単量体5〜50mol%および水溶性の非イオン性単量体0〜90mol%の共重合物である水溶性高分子粉末(B)および酸の混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粉末状イオン性水溶性高分子。
【請求項7】
前記水溶性高分子粉末(A)が、油中水滴型エマルジョン状液体を噴霧乾燥したものであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の粉末状イオン性水溶性高分子。
【請求項8】
前記水溶性高分子粉末(A)が、油中水滴型エマルジョン状液体を乾燥機にて、エマルジョン状液体のまま直接乾燥したものであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の粉末状イオン性水溶性高分子。
【請求項9】
前記水溶性高分子粉末(B)が、塩水中あるいは水に非混和性有機液体中にて分散重合した分散液を乾燥したカチオン性基を有する水溶性高分子の粉末から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1、3あるいは4のいずれかに記載の粉末状イオン性水溶性高分子。
【請求項10】
前記水溶性高分子粉末(B)が、水溶液重合による粘性液体あるいは流動性のない水性ゲル状物を乾燥したカチオン性基を有する水溶性高分子の粉末から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1、3あるいは4のいずれかに記載の粉末状イオン性水溶性高分子。
【請求項11】
前記油中水滴型エマルジョン状液体にHLB値が10以上の界面活性剤を含まないことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の粉末状イオン性水溶性高分子。
【請求項12】
請求項1〜11に記載の粉末状イオン性水溶性高分子を水に溶解した後、汚泥に添加し凝集させ脱水機により脱水することを特徴とした汚泥の脱水方法。
【請求項13】
請求項1〜11に記載の粉末状イオン性水溶性高分子を水に溶解した後、製紙スラッジに添加し凝集させ脱水機により脱水することを特徴とした製紙スラッジの脱水方法。
【請求項14】
請求項1〜11に記載の粉末状イオン性水溶性高分子を水に溶解した後、抄紙前の製紙原料中に添加し使用することを特徴とした製紙方法。
【請求項15】
無機及び/または有機のアニオン性物質と組み合わせて使うことを特徴とした請求項14に記載の製紙方法。
【請求項16】
前記アニオン性物質がコロイダルシリカあるいはベントナイトであることを特徴とする請求項15に記載の製紙方法。
【請求項17】
前記アニオン性物質が、下記一般式(3)で表される単量体3〜100mol%と水溶性の非イオン性単量体の重合物であることを特徴とする請求項15に記載の製紙方法。
【化3】

一般式(3)
は水素またはCHCOOY、R10は水素、メチル基またはCOOY、QはSO、CSO、CONHC(CHCHSO、CCOOあるいはCOOであり、Y、Yは水素または陽イオンをそれぞれ表す。

【公開番号】特開2010−159387(P2010−159387A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62253(P2009−62253)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000142148)ハイモ株式会社 (151)
【Fターム(参考)】