説明

経路情報通知装置、経路情報提示装置、経路情報通知方法

【課題】歩行者ナビゲーションシステムなどにおいて、ネットワーク全体を流れるパケットデータ量を軽減する。
【解決手段】到着点までの代表的な経路である代表経路Dを示す代表経路情報を同報送信し、利用者の現在地点から代表経路情報によって示される経路の途中に至るまでの経路である補完経路Hを示す補完経路情報をユニキャスト送信する。これら送信された代表経路情報と補完経路情報との連係点に関する連係情報を送信する。これらの情報を用いて、現在地点から到着点までの経路を利用者に提示する。代表経路情報を同報送信することにより、ネットワーク全体を流れるパケットデータ量を軽減し、輻輳の発生を防止でき、かつ補完経路情報をユニキャスト送信することにより、各利用者に個別の経路情報を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は経路情報通知装置、経路情報提示装置、経路情報通知方法に関し、特に歩行者ナビゲーションシステムやカーナビゲーションシステムに用いる経路情報通知装置、経路情報提示装置、経路情報通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行者ナビゲーションやカーナビゲーションを実現する場合、到着点までの経路情報には、不特定利用者を対象とするもの(以下、代表経路と略記)と、特定利用者を対象とするもの(以下、個別経路と略記)とがある。代表経路は主要な道路や目印となる建物を利用して到着点までの経路を表現する。そのため、利用者は当該主要な道路や目印となる建物までは経路案内なしに辿り着かなければならない。代表経路は特定利用者を対象とした情報ではないため、不特定多数の利用者にとって有効な情報である。個別経路は利用者の現在位置から到着点までの経路を表すため、個別情報に従えば到着点まで辿り着くことができる。ただし、利用者を特定した情報であるため、利用者ごとに個別に情報を作成する必要がある。
【0003】
複数の利用者に対して到着点までの経路情報の配信を実施する場合、代表経路を用いた方法は前述した通りの不都合が生じる問題がある。また、個別経路を用いた方法は生成される個別情報の量が膨大となり、ネットワーク上の通信コストがかかる問題がある。
ここで、ネットワーク上で大量のデータを効率的に配信する技術としてマルチキャストが知られている。このマルチキャストはグループという概念に基づいて配信され、マルチキャストグループに登録されたクライアントのみがそのグループ宛のデータパケットを受信するようになるため、同じ情報を複数回にわたって配信されるユニキャストと比べて回線上を流れるデータパケット数を減らすことができる。結果として、ネットワークの帯域幅の節約や配信サーバの負荷を低減できるといった利点がある(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0004】
前述した代表経路の情報は不特定多数の利用者にとって有効な情報であるため、マルチキャストもしくはブロードキャストを用いた配信に適した情報であると考えられる。また、一度に多数の利用者へ情報を通知する手段としては放送波を利用した方法がある。
なお、地図情報と動画による広告情報とを組み合わせて表示する技術が特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2002−40931号公報
【非特許文献1】Thomas Maufer著、楠本博之訳、「IPマルチキャスト入門」、初版、共立出版株式会社、2001年11月
【非特許文献2】Dave Kosiur著、苅田幸雄訳、「マスタリングTCP/IPマルチキャスト編」、第1版、第2刷、2000年11月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カーナビゲーションや歩行者ナビゲーションなどの現在位置を基点とした経路案内では、利用者の要求に応じた個別情報を生成して通知するため、ネットワーク上を流れるデータパケットが膨大になる問題がある。また、当該個別情報はユニキャストで送信するため、ネットワークや送信サーバに対しても大きな負荷がかかる。
なお、特許文献1に記載されている技術は、地図情報及びその地図上の目的地などに関する情報を提示するにすぎず、経路を案内するものではない。
本発明は上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的はネットワーク全体を流れるパケットデータ量を軽減することのできる経路情報通知装置、経路情報提示装置、経路情報通知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1による経路情報通知装置は、到着点までの代表的な経路である代表経路に至る、利用者の現在地点からの経路である補完経路と該代表経路との連係点に関する連係情報を送信する連係情報送信手段(例えば、図4中の連係情報生成部304及びデータ送受信インタフェース301に対応)を含むことを特徴とする。こうすることにより、利用者の現在地点から到着点までの直接の経路を、各利用者に個別に送信するよりも、ネットワーク全体を流れるパケットデータ量を軽減することができる。
【0007】
本発明の請求項2による経路情報通知装置は、請求項1において、前記代表経路に関する代表経路情報を同報送信する代表経路情報送信手段(例えば、図4中の同報送信部306及びデータ送受信インタフェース301に対応)を更に含むことを特徴とする。代表経路情報を同報送信することにより、ネットワーク全体を流れるパケットデータ量を軽減し、輻輳の発生を防止できる。
【0008】
本発明の請求項3による経路情報通知装置は、請求項1又は2において、前記補完経路に関する補完経路情報をユニキャスト送信する補完経路情報送信手段(例えば、図4中のユニキャスト送信部305及びデータ送受信インタフェース301に対応)を更に含むことを特徴とする。補完経路情報をユニキャスト送信することにより、各利用者に個別の経路情報を提供できる。
【0009】
本発明の請求項4による経路情報通知装置は、請求項1から請求項3までのいずれか1項において、前記連係情報送信手段は、前記代表経路の道路幅情報、前記代表経路付近の危険地帯に関する危険地帯情報、及び、前記補完経路の右左折回数、の少なくとも1つに応じて、前記連係点を決定した連係情報を、少なくとも1つ送信することを特徴とする。このように決定した連係情報を送信することにより、利用者のニーズに合致した経路情報を提供できる。
【0010】
本発明の請求項5による経路情報提示装置は、到着点までの代表的な経路である代表経路を示す代表経路情報を取得する手段(例えば、図5中のデータ送受信インタフェース401に対応)と、利用者の現在地点から前記代表経路情報によって示される経路の途中に至るまでの経路である補完経路を示す補完経路情報を取得する手段(例えば、図5中のデータ送受信インタフェース401に対応)と、前記代表経路情報と前記補完経路情報との連係点に関する連係情報を取得する手段(例えば、図5中のデータ送受信インタフェース401及び連係情報解釈部403に対応)と、前記代表経路情報と前記補完経路情報と前記連係情報とを用いて前記現在地点から前記到着点までの経路を前記利用者に提示する手段(例えば、図5中の補完経路情報表示部402、代表経路情報表示部404に対応)とを含むことを特徴とする。このような経路情報提示装置を利用することにより、ネットワーク全体を流れるパケットデータ量を軽減しつつ、到着点までの経路情報を得ることができる。
【0011】
本発明の請求項6による経路情報通知方法は、到着点までの代表的な経路である代表経路を示す代表経路情報を同報送信する代表経路情報送信ステップ(例えば、図8中のステップS106に対応)と、利用者の現在地点から前記代表経路情報によって示される経路の途中に至るまでの経路である補完経路を示す補完経路情報をユニキャスト送信する補完経路情報送信ステップ(例えば、図8中のステップS107に対応)とを含むことを特徴とする。このように同報送信とユニキャスト送信とを組み合わせることにより、利用者の現在地点から到着点までの直接の経路を、各利用者に個別に送信するよりも、ネットワーク全体を流れるパケットデータ量を軽減することができる。
【0012】
本発明の請求項7による経路情報通知方法は、到着点までの代表的な経路である代表経路を示す代表経路情報を同報送信する代表経路情報送信ステップ(例えば、図8中のステップS106に対応)と、利用者の現在地点から前記代表経路情報によって示される経路の途中に至るまでの経路である補完経路を示す補完経路情報をユニキャスト送信する補完経路情報送信ステップ(例えば、図8中のステップS107に対応)と、前記代表経路情報送信ステップにおいて送信された代表経路情報と前記補完経路情報送信ステップにおいて送信された補完経路情報との連係点に関する連係情報を送信する連係情報送信ステップ(例えば、図8中のステップS108に対応)と、前記代表経路情報と前記補完経路情報と前記連係情報とを用いて前記現在地点から前記到着点までの経路を前記利用者に提示するステップ(例えば、図8中のステップS109に対応)とを含むことを特徴とする。代表経路情報を同報送信することにより、ネットワーク全体を流れるパケットデータ量を軽減し、輻輳の発生を防止でき、かつ補完経路情報をユニキャスト送信することにより、各利用者に個別の経路情報を提供できる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明は、複数の利用者に対して利用者の現在位置から到着点までの経路情報を通知する場合に、代表経路とそこへ至る補完経路を用いることとし、代表経路情報をマルチキャストもしくはブロードキャストを用いて送信し、補完経路情報をユニキャストを用いて送信することによって、ネットワークを流れるデータパケットの量やネットワークの通信帯域の使用量や経路情報通知装置の処理負荷を低減できるという効果がある。また、代表経路と補完経路の接続箇所である連係情報を通知することによって、補完経路から代表経路への提示の切り替えをスムーズに行えるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示されている。
(代表経路情報と補完経路情報)
図1は、本実施形態による経路情報通知装置から送信し、経路情報提示装置において提示する経路情報の内容を示す概念図である。同図において、本実施形態では、到着点までの代表的な経路である代表経路Dと、利用者の現在地点から代表経路までの経路である補完経路Hとを用いて、利用者を到着点まで案内する。つまり、利用者の現在地点である出発点から代表経路までは補完経路を提示し、補完経路と代表経路との接続点である連係点から到着点までは代表経路を提示する。このように、代表経路Dと補完経路Hとを提示することによって、利用者に対して出発点から連係点を経由して到着点までの経路案内を行うことができる。代表経路Dと補完経路Hとを提示するため、代表経路情報を記憶保持しておく代表経路情報DB(Data Base)10と、代表経路に至る補完経路情報を記憶保持しておく補完経路情報DB20とを用意する。なお、代表経路情報、補完経路情報は、共に動画情報でも良いし、いずれか一方が地図情報などの静止画情報であっても良い。
【0015】
ここで、仮に、図2に示されているように、利用者の現在地点から到着点までの個別経路Kを提示する場合、異なる地点にいる多数の利用者が同時に経路案内を要求すると、パケットデータ通信量が増大しネットワークが輻輳することがある。特に、個別経路Kを動画表示によって提示すると、パケットデータ通信量が膨大になり、ネットワークが輻輳する可能性が高い。また、個別経路情報を記憶保持しておく個別経路情報DB30に必要な記憶容量が増大する。
【0016】
また、個別経路を提示せずに代表経路Dのみを提示する場合、同じ代表経路情報を多数の利用者に同報通信できるので、データ通信路量は少なくなる。しかしながら、その場合、利用者は代表経路Dまでは経路案内無しで移動しなければならない。これでは、経路案内として不十分である。
このようなデータ通信量の問題、及び、経路案内の利便性を考慮し、本システムでは、代表経路及びその代表経路に至る、利用者の現在地点からの経路である補完経路とを提示する。そして、代表経路情報を同報送信すると共に、補完経路情報をユニキャスト送信するので、ネットワーク全体を流れるデータパケット量を削減できると共に、十分な経路案内を利用者に提供できる。なお、代表経路情報、補完経路情報は、共に動画情報でも良いし、いずれか一方が地図情報などの静止画情報であっても良い。
【0017】
(経路情報通知システムの全体構成)
図3は本実施形態による経路情報通知装置、及び、経路情報提示装置を含む、経路情報通知システムの全体構成例を示す図である。同図に示されているように、本システムは、経路情報を通知する経路情報通知装置201と、通知された経路情報を利用者に提示する経路情報提示装置202a〜202cとを含んで構成されている。経路情報通知装置201と経路情報提示装置202a〜202cとは、ネットワーク203を介して接続される。経路情報提示装置202a〜202cには、例えば、携帯電話機などの端末装置を用いることができる。
【0018】
代表経路情報の送信には、同報通信すなわちマルチキャストもしくはブロードキャストを使用する。このため、経路情報通知装置201からは全経路情報提示装置202a〜202cに対して情報を装置数に対応する回数送信するのではなく、情報を1回だけ送信する。
一方、補完経路情報の送信には、ユニキャストを使用する。このため、経路情報通知装置201は経路情報提示装置202a〜202cそれぞれに対して個別に情報を送信する。
【0019】
(経路情報通知装置の構成例)
図4は本実施形態における経路情報通知装置の構成例を示す機能ブロック図である。同図に示されているように、経路情報通知装置201は、データ送受信を行うデータ送受信インタフェース301と、補完経路情報を蓄積する補完経路情報蓄積部302と、代表経路情報を蓄積する代表経路情報蓄積部303と、補完経路情報及び代表経路情報から連係情報を生成する連係情報生成部304と、ユニキャストを使用し特定利用者に対して情報を送信するユニキャスト送信部305と、マルチキャストあるいはブロードキャストを使用し不特定利用者に対して情報を送信する同報送信部306とを含んで構成されている。
【0020】
データ送受信インタフェース301は、ネットワークを介して他装置に対する情報の送受信を行う。補完経路情報蓄積部302は補完経路情報を蓄積し、他の部分に対して補完経路情報の提供を行う。この補完経路情報蓄積部302は、図1中の補完経路情報DB20をそのまま利用しても良いし、そのDB20内に蓄積されている情報の一部分を抽出して利用しても良い。
【0021】
代表経路情報蓄積部303は代表経路情報を蓄積し、他の部分に対して代表経路情報の提供を行う。この代表経路情報蓄積部303は、図1中の代表経路情報DB10をそのまま利用しても良いし、そのDB10内に蓄積されている情報の一部分を抽出して利用しても良い。
連係情報生成部304は、補完経路情報蓄積部302、代表経路情報蓄積部303から補完経路情報、代表経路情報を受け取り、それらを元に連係情報を生成する。
【0022】
ユニキャスト送信部305は、連係情報生成部304から連係情報を、補完経路情報蓄積部302から補完経路情報をそれぞれ読み出し、データ送受信インタフェース301を使用して特定利用者の経路情報提示装置に対してユニキャスト送信を行う。
同報送信部306は、代表経路情報蓄積部303から代表経路情報を読み出し、データ送受信インタフェース301を使用して不特定利用者の端末装置に対してマルチキャストあるいはブロードキャスト送信を行う。
なお、経路情報通知装置201には、CPU、ROM、RAMおよびインタフェース等をバス接続した一般的なコンピュータを利用することができ、これらによって上記各部の機能を実現できる。
【0023】
(連係情報の生成及び通知)
連係情報生成部304が補完経路情報、代表経路情報を元に連係情報を生成する場合、例えば、代表経路の道路幅情報、代表経路付近の危険地帯に関する危険地帯情報、補完経路の右左折回数などに応じて連係点を決定する。すなわち、代表経路において、できるだけ道路幅の広い位置を連係点として決定したり、代表経路付近の危険地帯を避けた補完経路になるように連係点を決定したり、できるだけ右左折回数の少ない補完経路になるように連係点を設定したりすることができる。
このように決定した複数種類の連係点データのうち、適切な連係データを選択して経路情報提示装置に通知する。もっとも、それら複数種類の連係点データ全てを通知しておき、経路情報提示装置側において提示するものの候補を利用者に選択させても良い。
【0024】
(経路情報提示装置の構成例)
図5は本実施形態における経路情報提示装置の構成例を示す機能ブロック図である。同図に示されているように、経路情報提示装置202aは、データ送受信を行って各種情報を取得するデータ送受信インタフェース401と、補完経路情報を表示して利用者に提示する補完経路情報表示部402と、連係情報の解釈を行う連係情報解釈部403と、連係情報を使用して代表経路から連係点以降の情報だけを表示して利用者に提示する代表経路情報表示部404とを含んで構成されている。なお、経路情報提示装置202b、202cも同様の構成になっている。
【0025】
データ送受信インタフェース401は、ネットワークを介して他装置に対する情報の送受信を行い、代表経路情報、補完経路情報を取得する。
補完経路情報表示部402は、データ送受信インタフェース401を使用して受信した補完経路情報を表示する。連係情報解釈部403は、データ送受信インタフェース401を使用して取得した連係情報の解釈を行う。
代表経路情報表示部404は、データ送受信インタフェース401を使用して代表経路情報の受信を行う。また、連係情報解釈部403から連係情報を受取って、代表経路情報の中から連係点データが示す連係点から到着点までの部分のみを表示する。
なお、経路情報提示装置202a〜202cは、CPU、ROM、RAMおよびインタフェース等が備えられており、これらによって上記各部の機能を実現できる。
【0026】
(経路情報通知装置の処理フロー例)
図6は、本実施形態における経路情報通知装置の処理フローの例を示すフローチャートである。
同図において、同報送信部は、代表経路情報蓄積部から代表経路情報を読み出して(ステップ501)、不特定利用者に対してマルチキャストあるいはブロードキャストによる送信(すなわち同報送信)を行う(ステップ502)。送信は、データ送受信インタフェースを使用して行われる。
連係情報生成部は、代表経路情報蓄積部から代表経路情報を、補完経路情報蓄積部から補完経路情報を読み出して、それらを元に連係情報を生成する(ステップ503)。ユニキャスト送信部は連係情報生成部からステップ503において生成された補完経路情報を受取り(ステップ504)、連係情報蓄積部から読み出した連係情報と共に特定利用者に対してユニキャストによる送信を行う(ステップ505)。
【0027】
(経路情報提示装置の処理フロー例)
図7は実施形態における経路情報提示装置の処理フローの例を示すフローチャートである。
同図において、補完経路情報表示部は、データ送受信インタフェースを使用して受信した補完経路情報を、経路情報提示装置上に表示する(ステップ601)。これで経路情報提示装置上に、出発点から到着点までの情報を表示できる。
【0028】
連係情報表示部は、データ送受信インタフェースを使用して連係情報を受信し、その解釈を行う(ステップ602)。代表経路情報表示部は、データ送受信インタフェースを使用して代表経路情報を受信する(ステップ603)。ついで、連係情報解釈部からステップ602において解釈された連係データを受取り、代表経路データの中から“連係点〜到着点”部分のみの表示を行う(ステップ604)。これによりステップ601における表示内容と合わせることで、出発点から連係点を経由して到着点までの情報表示を行うことができる。
なお、代表経路の表示方法としては、前述した連係点から到着点までだけでなく、代表経路の全体を表示する方法も考えられる。
【0029】
(システム全体の動作例)
図8は、本システム全体の動作例を示すシーケンス図である。同図には、経路情報提示装置202aの動作例、及び、経路情報通知装置201の動作例が示されている。
同図において、経路情報提示装置202aにおいて、利用者の現在位置である出発点と到着点とが指定される(ステップS101)。この指定された内容は、経路情報通知装置201に送信される(ステップS102)。
【0030】
経路情報通知装置201では、指定された到着点までの代表経路を示す代表経路情報を生成する(ステップS103)。次に、経路情報通知装置201は、代表経路内の連係点に関する連係情報を生成する(ステップS104)。そして、経路情報通知装置201は、出発点から連係点までの補完経路を示す補完経路情報を生成する(ステップS105)。
【0031】
経路情報通知装置201は、生成した代表経路を示す代表経路情報を同報送信する(ステップS106)。次に、経路情報通知装置201は、生成した補完経路を示す補完経路情報をユニキャスト送信する(ステップS107)。そして、経路情報通知装置201は、生成した連係点に関する連係情報を送信する(ステップS108)。
代表経路情報、補完経路情報、連係情報を経路情報通知装置201から取得した経路情報提示装置202aは、それらの情報を用いて、現在地点から到着点までの経路を利用者に提示する。
【0032】
以上の動作例においては、代表経路情報、補完経路情報、連係情報を経路情報通知装置201において生成し、それらを送信しているが、これらの情報の一部を他の装置において生成し、それを送信しても良い。特に、代表経路については、店舗などの広告情報と共に別の装置から配信される場合もあり、その場合は経路情報通知装置201において上記ステップS103及びS106は行われない。
【0033】
(各情報のフォーマット例)
図9は本システムにおいて送受信される代表経路情報の構造例を示すフォーマット図である。本例の代表経路情報は、代表経路情報を識別するための代表経路情報ID11と、代表経路を示す代表経路データ12とを含んで構成されている。代表経路データ12は、先述した図1中の代表経路Dを提示するためのデータである。
図10は本システムにおいて送受信される補完経路情報の構造例を示すフォーマット図である。本例の補完経路情報は、補完経路情報を識別するための補完経路情報ID21と、補完経路を示す補完経路データ22とを含んで構成されている。補完経路データ22は、先述した図1中の補完経路Hを提示するためのデータである。
【0034】
図11は本システムにおいて送受信される連係情報の構造例を示すフォーマット図である。本例の連係情報は、どの代表経路情報と補完経路情報とを組み合わせるかを表す代表経路情報ID31及び補完経路情報ID32と、代表経路情報が示す代表経路において連係点となるべき位置を示す情報である連係点データ33とを含んで構成されている。
【0035】
連係点データ33は、上記の代表経路データ12の構成によっていろいろ考えられる。例えば、代表経路データ12がストリーム型のデータ列であれば、連係点データ33は、タイムスタンプやシーケンス番号で記述される。また、代表経路データ12が単位長のブロックデータで管理される場合には、連係点データ33はブロック番号で記述される。また、代表経路データ12が緯度/経度等の位置情報との連係した形式で管理される場合には、連係点データ33は緯度/経度等を使って記述される。
【0036】
図9〜図11に示されている各情報は、経路情報通知装置から経路情報提示装置へ、別々に送受信されても良いし、まとめて送受信されても良い。例えば、図11の連係情報は、図10の補完経路情報の送信とは独立に経路情報通知装置から経路情報提示装置へ送信されても良いし、補完経路情報と一緒に送信しても良い。補完経路情報と一緒に送信する場合には、同図中の補完経路情報ID32は必ずしも必要ない。
【0037】
(適用例)
以下、本システムのより具体的な適用例について説明する。
(1)店舗などからの広告情報配信
利用者が広告情報の配信について予め登録操作などを行った場合、配信する広告情報に店舗やイベント会場などへの代表経路である代表経路情報を含めて同報送信する。このようにすれば、各利用者には代表経路に至る補完経路情報のみユニキャスト送信することになるので、データパケット量を低減でき、輻輳する可能性を低くすることができる。
【0038】
(2)観光情報配信
観光客である利用者が観光地など特定の地域に入った時、その地域の観光案内情報に、観光ルートを代表経路として同報送信する。例えば、代表的な見所を巡れるお勧めルート、マニアな人にお勧めのルート、混雑していないルート、起伏が少なく、歩きやすいルート、階段や段差の無いルート、景色の良いルートなどを代表経路として同報送信する。そして、代表経路に至る補完経路情報のみユニキャスト送信することになるので、データパケット量を低減でき、輻輳する可能性を低くすることができる。
【0039】
(3)避難情報配信
災害発生時に、避難所までの代表経路を代表経路情報として同報送信する。この場合、災害情報専用チャネルなどを利用して送信するのが望ましい。代表経路までの補完経路については、上記と同様に各利用者が取得する。いずれの経路についても安全な経路を選択して送信する。
災害発生時に避難所までの個別経路を送信するとネットワークが輻輳する可能性が高いが、代表経路情報を同報送信し、かつ、代表経路に至る補完経路情報のみユニキャスト送信することになるので、データパケット量を低減できるため輻輳する可能性を低くすることができる。
【0040】
(経路情報通知方法)
上述した経路情報通知システムにおいては、以下のような経路情報通知方法が実現されている。すなわち、到着点までの代表的な経路である代表経路を示す代表経路情報を同報送信する代表経路情報送信ステップと、利用者の現在地点から上記代表経路情報によって示される経路の途中に至るまでの経路である補完経路を示す補完経路情報をユニキャスト送信する補完経路情報送信ステップとを含む経路情報通知方法が実現されている。このように同報送信とユニキャスト送信とを組み合わせる経路情報通知方法を採用すれば、利用者の現在地点から到着点までの直接の経路を、各利用者に個別に送信するよりも、ネットワーク全体を流れるパケットデータ量を軽減することができる。
【0041】
また、上述した経路情報通知システムにおいては、以下のような経路情報通知方法が実現されている。すなわち、到着点までの代表的な経路である代表経路を示す代表経路情報を同報送信する代表経路情報送信ステップと、利用者の現在地点から上記代表経路情報によって示される経路の途中に至るまでの経路である補完経路を示す補完経路情報をユニキャスト送信する補完経路情報送信ステップと、上記代表経路情報送信ステップにおいて送信された代表経路情報と上記補完経路情報送信ステップにおいて送信された補完経路情報との連係点に関する連係情報を送信する連係情報送信ステップと、上記代表経路情報と上記補完経路情報と上記連係情報とを用いて上記現在地点から上記到着点までの経路を上記利用者に提示するステップとを含む経路情報通知方法が実現されている。代表経路情報を同報送信することにより、ネットワーク全体を流れるパケットデータ量を軽減し、輻輳の発生を防止でき、かつ補完経路情報をユニキャスト送信することにより、各利用者に個別の経路情報を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、歩行者ナビゲーションシステムやカーナビゲーションシステムに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】経路情報通知装置から送信し、経路情報提示装置において提示する経路情報の内容を示す概念図である。
【図2】利用者の現在地点から到着点までの個別経路を提示する場合の経路情報の内容を示す概念図である。
【図3】本発明の実施形態による経路情報通知装置、及び、経路情報提示装置を含む、経路情報通知システムの全体構成例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態における経路情報通知装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施形態における経路情報提示装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図6】本発明の実施形態における経路情報通知装置の処理フローの例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態における経路情報提示装置の処理フローの例を示すフローチャートである。
【図8】経路情報通知システム全体の動作例を示すシーケンス図である。
【図9】経路情報通知システムにおいて送受信される代表経路情報の構造例を示すフォーマット図である。
【図10】経路情報通知システムにおいて送受信される補完経路情報の構造例を示すフォーマット図である。
【図11】経路情報通知システムにおいて送受信される連係情報の構造例を示すフォーマット図である。
【符号の説明】
【0044】
10 代表経路情報DB
11 代表経路情報ID
12 代表経路データ
20 補完経路情報DB
21 補完経路情報ID
22 補完経路データ
30 個別経路情報DB
31 代表経路情報ID
32 補完経路情報ID
33 連係点データ
201 経路情報通知装置
202a〜202c 経路情報提示装置
203 ネットワーク
301 データ送受信インタフェース
302 補完経路情報蓄積部
303 代表経路情報蓄積部
304 連係情報生成部
305 ユニキャスト送信部
306 同報送信部
401 データ送受信インタフェース
402 補完経路情報表示部
403 連係情報解釈部
404 代表経路情報表示部
D 代表経路
H 補完経路
K 個別経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
到着点までの代表的な経路である代表経路に至る、利用者の現在地点からの経路である補完経路と該代表経路との連係点に関する連係情報を送信する連係情報送信手段を含むことを特徴とする経路情報通知装置。
【請求項2】
前記代表経路に関する代表経路情報を同報送信する代表経路情報送信手段を更に含むことを特徴とする請求項1記載の経路情報通知装置。
【請求項3】
前記補完経路に関する補完経路情報をユニキャスト送信する補完経路情報送信手段を更に含むことを特徴とする請求項1又は2記載の経路情報通知装置。
【請求項4】
前記連係情報送信手段は、前記代表経路の道路幅情報、前記代表経路付近の危険地帯に関する危険地帯情報、及び、前記補完経路の右左折回数、の少なくとも1つに応じて、前記連係点を決定した連係情報を、少なくとも1つ送信することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の経路情報通知装置。
【請求項5】
到着点までの代表的な経路である代表経路を示す代表経路情報を取得する手段と、利用者の現在地点から前記代表経路情報によって示される経路の途中に至るまでの経路である補完経路を示す補完経路情報を取得する手段と、前記代表経路情報と前記補完経路情報との連係点に関する連係情報を取得する手段と、前記代表経路情報と前記補完経路情報と前記連係情報とを用いて前記現在地点から前記到着点までの経路を前記利用者に提示する手段とを含むことを特徴とする経路情報提示装置。
【請求項6】
到着点までの代表的な経路である代表経路を示す代表経路情報を同報送信する代表経路情報送信ステップと、利用者の現在地点から前記代表経路情報によって示される経路の途中に至るまでの経路である補完経路を示す補完経路情報をユニキャスト送信する補完経路情報送信ステップとを含むことを特徴とする経路情報通知方法。
【請求項7】
到着点までの代表的な経路である代表経路を示す代表経路情報を同報送信する代表経路情報送信ステップと、利用者の現在地点から前記代表経路情報によって示される経路の途中に至るまでの経路である補完経路を示す補完経路情報をユニキャスト送信する補完経路情報送信ステップと、前記代表経路情報送信ステップにおいて送信された代表経路情報と前記補完経路情報送信ステップにおいて送信された補完経路情報との連係点に関する連係情報を送信する連係情報送信ステップと、前記代表経路情報と前記補完経路情報と前記連係情報とを用いて前記現在地点から前記到着点までの経路を前記利用者に提示するステップとを含むことを特徴とする経路情報通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−33175(P2007−33175A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215567(P2005−215567)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【出願人】(000153454)株式会社日立インフォメーションテクノロジー (41)
【Fターム(参考)】