説明

経路探索装置

【課題】燃料消費量の少ない経路探索を行うことができる経路探索装置を提供する。
【解決手段】出発地から目的地までの経路中の路面勾配の情報である路面勾配情報を取得する路面勾配情報取得手段24と、路面勾配情報に基づいて経路中で路面勾配が大きい箇所ほど通過速度を高く設定して出発地から目的地までの経路探索を行う経路探索手段25とを備えることを特徴とするので、経路を探索する領域を拡大することができ、より燃料消費量の少ない最適な経路探索を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索装置に関し、特に、出発地から目的地までの経路に対して、燃料消費量が少ない経路を探索する経路探索装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS(全地球測位システム)や自律航法を利用して車両の現在地を出発地として特定し、地図情報に照会して目的地への最適経路を探索する経路探索装置が知られている。このような従来の経路探索装置として、例えば、特許文献1に記載されている経路探索装置は、地図情報と燃費情報とを記憶する手段と、現況の交通情報を配信するセンタから交通情報を入手する情報入手手段と、情報入手手段で入手した現況の交通情報と地図情報と燃費情報とを用いてリンクコストを求めるリンクコスト算出手段と、リンクコスト算出手段により算出されたリンクコストを用いて経路を探索する経路探索手段とを備える。そして、この経路探索装置は、地図情報が道路勾配を示す情報を含み、燃費情報が道路勾配と走行速度に対する燃費を示す情報であり、リンクコスト算出手段が地図情報から各リンクの道路勾配を求め、情報入手手段で入手した現況の交通情報から各リンクの推定走行速度を求め、燃費情報を用いて各リンクの道路勾配と推定走行速度とに対応する燃料消費量を求め、燃料消費量が少ない経路が探索されるようにリンクコストを算出することで、燃料消費量の少ない経路を探索している。
【0003】
【特許文献1】特開2006−098174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている経路探索装置では、交通情報などから走行速度を推定した後にこの推定した推定走行速度に基づいて燃料消費量や所要時間の計算を行って、経路探索を行っていることから、例えば、経路探索の探索領域が推定走行速度で走行して希望時間内に目的地に到着できる範囲内に限られ、この結果、経路探索の探索領域の自由度が制限されることでさらなる燃料消費量の少ない経路の探索が阻害されていた。したがって、より燃料消費量の少ない経路探索が望まれていた。
【0005】
そこで本発明は、燃料消費量の少ない経路探索を行うことができる経路探索装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明による経路探索装置は、出発地から目的地までの経路中の路面勾配の情報である路面勾配情報を取得する路面勾配情報取得手段と、前記路面勾配情報に基づいて前記経路中で前記路面勾配が大きい箇所ほど通過速度を高く設定して前記出発地から前記目的地までの経路探索を行う経路探索手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明による経路探索装置では、前記経路探索手段は、ドライバの希望到着時間に応じて前記経路探索を行うと共に、前記経路中において予め設定される所定勾配以上の路面勾配での前記通過速度を高く設定することで短縮される所要時間に応じて前記所定勾配未満の路面勾配での前記通過速度を低く設定して前記経路探索を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明による経路探索装置では、前記経路探索手段は、ドライバの希望到着時間に応じて前記経路探索を行うと共に、前記経路中において予め設定される所定勾配以上の路面勾配での前記通過速度を高く設定することで短縮される所要時間に応じて該所定勾配以上の路面勾配の箇所を通過する前記出発地から前記目的地までの経路を再探索することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明による経路探索装置では、前記経路探索手段が探索した経路と共に前記通過速度をドライバに提示する提示手段を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明による経路探索装置では、前記経路探索手段は、前記経路の現在の道路交通情報に基づいて推定される範囲内で前記通過速度を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る経路探索装置によれば、出発地から目的地までの経路中の路面勾配の情報である路面勾配情報を取得する路面勾配情報取得手段と、路面勾配情報に基づいて経路中で路面勾配が大きい箇所ほど通過速度を高く設定して出発地から目的地までの経路探索を行う経路探索手段とを備え、経路探索手段が路面勾配情報に基づいて経路中で路面勾配が相対的に大きく通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が相対的に小さい路面を通過する際の通過速度を相対的に高く設定して経路探索を行なうことで、燃料消費量の増加を抑制しつつ当該箇所を通過するのに要する所要時間を短縮することができ、これによって、例えば、経路を探索する領域を拡大することができ、より燃料消費量の少ない最適な経路探索を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明に係る経路探索装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
図1に概略構成を示す本発明の経路探索装置1は、乗用車、トラックなどの車両に搭載され、出発地から目的地までの経路探索を行うものである。本発明の実施形態に係る経路探索装置1は、出発地から目的地までの経路中の路面勾配が大きくなるほどその箇所を通過する際の通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が小さくなり速度依存性が低くなることを利用して、より燃料消費量が少ない最適な案内経路を探索するものである。
【0014】
図2は、路面勾配に対する通過速度と燃料消費量との対応関係の一例(ハイブリッド車両での例)を表すグラフであり、横軸を速度(velocity[km/h])、縦軸を燃料消費量に相当する値として燃料1リットル当たりの走行距離(FC−rate[km/l])としている。例えば、路面勾配が0%の場合と路面勾配が3%の場合との通過速度に対する燃料消費量を比較すると、路面勾配が3%の路面を60km/hで通過する場合の燃料消費量と80km/hで通過する場合の燃料消費量との差は、路面勾配が0%の路面を60km/hで通過する場合の燃料消費量と80km/hで通過する場合の燃料消費量との差よりも小さくなる。つまり、路面勾配が0%の路面において80km/hで通過する場合の燃料消費量は、60km/hで通過する場合の燃料消費量に対して比較的大きく増加(FC−rateが大きく低下)するのに対して、路面勾配が3%の路面において80km/hで通過する場合の燃料消費量は、60km/hで通過する場合の燃料消費量に対してほぼ変わらない(FC−rateがほぼ一定)。すなわち、路面勾配が大きくなるほどその箇所を通過する際の通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が小さくなり、言い換えれば、路面勾配が大きくなるほどその箇所を通過する際の通過速度に対する燃料消費量の速度依存性が低くなる。
【0015】
そこで、この経路探索装置1は、経路探索の際に、路面勾配が相対的に大きく通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が相対的に小さい路面、例えば、路面勾配が3%の路面を通過する際の通過速度を相対的に高く設定することで、燃料消費量の増加を抑制しつつ路面勾配が3%の路面を通過するのに要する所要時間を短縮し、この短縮された所要時間を用いることで、他の箇所で所要時間が長くなっても、より燃料消費量を抑制することができる経路探索を実行する余地が生まれ、結果的に、案内経路全体での合計の燃料消費量を低減できるような最適な経路探索を行うことができる。すなわち、この経路探索装置1は、この短縮された所要時間を利用して、路面勾配が相対的に小さく通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が相対的に大きい路面(速度依存性が高い路面)、例えば、路面勾配が0%の路面を通過する際の通過速度を相対的に低く設定することにより当該路面を通過する際の所要時間が長くなっても燃料消費量を大幅に抑制することができる経路を探索したり、所要時間が多少長くなっても燃料消費量を抑制することができる別の経路を探索したりすることで、経路探索の探索領域を拡大することができ、この結果、より燃料消費量が少ない最適な案内経路を探索することができる。
【0016】
すなわち、本発明の実施形態に係る経路探索装置1は、図1に示すように、出発地から目的地までの経路中の路面勾配の情報である路面勾配情報を取得する路面勾配情報取得手段としての路面勾配取得部24と、路面勾配情報に基づいて経路中で路面勾配が大きい箇所ほど通過速度を高く設定して出発地から目的地までの経路探索を行う経路探索手段としての経路探索部25とを備える。そして、経路探索装置1は、経路探索部25が路面勾配情報に基づいて経路中で路面勾配が相対的に大きく通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が相対的に小さい路面を通過する際の通過速度を相対的に高く設定して経路探索を行なうことで、燃料消費量の増加を抑制しつつ当該箇所を通過するのに要する所要時間を短縮することができ、この短縮された所要時間を経路探索領域拡大に利用することで、結果的に、他の箇所で所要時間が長くなっても燃料消費量を抑制することができる経路をも含んだより燃料消費量の少ない最適な経路探索を行うことができる。なお、ここでいう経路探索装置1による経路探索とは、燃料消費量が少なくなるような出発地から目的地までの経路と、その経路を通過する際の通過速度とを探索するものである。
【0017】
(実施形態1)
以下、図1乃至図4を参照して本発明の実施形態1に係る経路探索装置1の概略構成を説明する。この経路探索装置1は、経路探索演算等を行い、車両に搭載された、例えば、ナビゲーションシステムやECU等の制御装置として構成される。
【0018】
図1は、本発明の実施形態1に係る経路探索装置を表す概略構成図、図2は、本発明の実施形態1に係る経路探索装置の路面勾配に対する通過速度と燃料消費量との対応関係を表すグラフ、図3は、本発明の実施形態1に係る経路探索装置の路面勾配に応じた経路探索処理を説明するフローチャート、図4は、本発明の実施形態1に係る経路探索装置の路面勾配に応じた通過速度判定処理を説明するフローチャートである。
【0019】
図1に示すように、経路探索装置1は、制御部2と、記憶部3と、入出力部4と、データリンクコントローラ5と、位置検出装置6と、入力装置7と、情報提示装置8とを備える。
【0020】
すなわち、経路探索装置1は、マイクロコンピュータを中心として構成され制御部2、記憶部3及び入出力部4を有し、これらは互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能になっている。入出力部4には経路探索装置1の各部を駆動する不図示の駆動回路や各種センサが接続されており、この入出力部4は、これらのセンサ等との間で信号の入出力を行なう。また、記憶部3には、経路探索装置1の各部を制御するコンピュータプログラムが格納されている。この記憶部3は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、またはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。制御部2は、不図示のメモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されている。経路探索装置1で実行される経路探索処理などの各種処理は、制御部2が前記コンピュータプログラムを当該制御部2に組み込まれたメモリに読み込んで演算し、演算の結果に応じて制御信号を送ることにより実行される。その際に制御部2は、適宜記憶部3へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を実行する。
【0021】
データリンクコントローラ5は、経路探索装置1とネットワーク(例えば、無線LANやインターネット等)又は通信装置との間における通信制御を行う。すなわち、データリンクコントローラ5は、センタ9等に有線または無線等で接続され、センタ9等と、有線または無線等の通信回線を介して、直接または間接にデータを通信する機能を有する。データリンクコントローラ5は、例えば、センタ9などから提供される渋滞情報や事故情報、あるいは、経路中の通過速度の制限速度(法定速度)の情報である制限速度情報などを含む道路交通情報を受信する。
【0022】
ここで、センタ9は、ネットワークを介して経路探索装置1と相互に接続され、種々の情報に関する外部データベースや外部プログラム等を提供する機能を有する。このセンタ9は、例えば、WEBサーバやASPサーバ等として構成していてもよく、そのハードウェア構成は、一般に市販されるワークステーション、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置およびその付属装置により構成していてもよい。また、センタ9の各機能は、センタ9のハードウェア構成中のCPU、ディスク装置、メモリ装置、入力装置、出力装置、通信制御装置等およびそれらを制御するプログラム等により実現される。
【0023】
位置検出装置6は、GPS(Global Positioning System)受信機61と、ジャイロスコープ62と、車速センサ63とを有しており、車両の現在地を検出するためのものである。GPS受信機61は、車両の現在地を検出するための電波を衛星から受信するとともに、車両の位置を座標データとして検出して出力する。ジャイロスコープ62は、車両の進行方位を検出するための車両の旋回速度を検出して出力する。車速センサ63は、車両の走行速度を検出して出力する。そして、これらGPS受信機61、ジャイロスコープ62、車速センサ63から出力された各検出値が制御部2に供給されることにより、制御部2は、車両の現在地を検出することができる。
【0024】
入力装置7は、操作スイッチ群71と、音声認識ユニット72とを含んで構成され、ドライバ等から経路探索装置1への指示を入力するものである。操作スイッチ群71は、制御部2に対して、ドライバ等による各種指示(例えば、ドライバが希望する目的地や希望到着時間などの入力)を外部から与えるもので、例えば、後述の表示装置81の周辺に設けた複数の操作スイッチと、表示装置81の液晶表示器と一体的に構成されたタッチスイッチとを含む。このタッチスイッチは、液晶表示器の裏側に設けられて、ドライバ等による液晶表示器へのタッチ操作位置を検出するために設けられている。音声認識ユニット72は、操作スイッチ群71に代えて用いることができるもので、例えば、マイクロフォンを内蔵しており、ドライバ等の音声による指示を認識して、同指示内容を制御部2に与えるものである。
【0025】
提示手段としての情報提示装置8は、表示装置81と、スピーカ82とを含んで構成され、ドライバ等に対して各種の情報を提示(出力)するものである。表示装置81は、液晶表示器などによって構成され、道路地図、車両の現在地、経路探索された案内経路や当該案内経路の通過速度、各種操作指示ボタンなどを表示する。スピーカ82は、ドライバに対して、探索された案内経路や通過速度の案内を音声によって提供するものである。
【0026】
上述の制御部2は、機能概念的に、例えば、現在地取得部21と、目的地設定部22と、希望到着時間設定部23と、路面勾配情報取得手段としての路面勾配取得部24と、経路探索手段としての経路探索部25とを含んで構成され、車両の現在地の検出、車両の現在地から目的地までの経路の探索、探索した経路に従った経路案内などの処理を実行する。
【0027】
現在地取得部21は、位置検出装置6から出力された検出値に基づいて車両の現在地を取得し、取得した現在地を表す現在地情報(例えば、座標データ)を記憶部3に一時的に記憶する。ここでは、この現在地取得部21が取得する現在地が経路探索における出発地に相当する。
【0028】
目的地設定部22は、ドライバにより入力装置7に入力された入力値に基づいて、後述する記憶部3の地図データベース31に格納された地図情報からドライバが希望する目的地を設定し、設定した現在地を表す目的地情報(例えば、座標データ)を記憶部3に一時的に記憶する。
【0029】
希望到着時間設定部23は、ドライバにより入力装置7に入力された入力値に基づいて、出発地としての現在地から目的地までのドライバの希望到着時間(希望到着時刻)を設定し、設定した希望到着時間を表す希望到着時間情報を記憶部3に一時的に記憶する。
【0030】
路面勾配取得部24は、例えば、後述する記憶部3の地図データベース31に格納された地図情報などから出発地から目的地までの経路中の路面勾配の情報である路面勾配情報を取得する。
【0031】
経路探索部25は、現在地取得部21が取得した現在地、目的地設定部22が設定した目的地、希望到着時間設定部23が設定した希望到着時間などに基づいて、後述する地図データベース31に格納されている地図情報を参照して経路探索を行う。ここで、経路探索部25は、探索される経路を通過する際の通過速度を指定した上で現在地から目的地までの燃料消費量が最小となる経路の経路探索を行う。つまり、経路探索部25による経路探索とは、上述したように、燃料消費量が少なくなるような出発地から目的地までの経路と、その経路を通過する際の通過速度とを探索するものである。そして、この経路探索部25は、路面勾配情報に基づいて経路中で路面勾配が相対的に大きくなる箇所で通過速度を相対的に高く設定して出発地から目的地までの経路探索を行う。
【0032】
上述の記憶部3は、機能概念的に、例えば、地図データベース31と、道路交通情報ファイル32と、路面勾配ファイル33と、速度−燃料消費量ファイル34と、通過速度ファイル35と、経路ファイル36とを含んで構成され、各種のデータベース、テーブル、マップ、ファイルなどを格納する。
【0033】
地図データベース31は、経路探索部25による経路探索に用いられる地図情報を記憶する地図情報記憶手段として機能する。なお、地図情報は、記憶部3とは別構成の地図DB(データベース)に格納されて構成されていてもよく、また、センタ9に外部データベースとして格納されていてもよい。地図情報は、予め地図データベース31に記憶されるようにしても良いし、センタ9よりダウンロードされ利用されるようにしてもよい。
【0034】
ここで、この地図情報は、複数の道路データや、山、海などの背景に関する背景データを含んで構成されている。道路データは、それぞれの複数のリンクデータ1,2,…の集合からなり、各リンクデータは、道路地図上の2つのノード間を結ぶリンクをそれぞれ表すリンクデータ名、道路種別(有料道路、国道、県道など)を表す道路種別データおよびノードの位置を表すノードデータを含む。ノードは、道路が交差する位置、有料道路のインターチェンジやジャンクション、道路が曲がっている位置、道路幅が変化する位置、道路種別が変化する位置、渋滞の程度が変化する位置などに、予め決められている。そしてここでは、地図情報は、道路データに対応して道路の路面勾配の情報である路面勾配情報を含んで構成される。
【0035】
道路交通情報ファイル32は、データリンクコントローラ5が受信した渋滞情報、事故情報、制限速度情報などを含む道路交通情報を記憶する道路交通情報記憶手段として機能する。
【0036】
路面勾配ファイル33は、路面勾配取得部24により地図情報などから取得された路面勾配情報を記憶する路面勾配情報記憶手段として機能する。
【0037】
速度−燃料消費量ファイル34は、上述の図2で示したような路面勾配に対する通過速度と燃料消費量との対応関係を表す速度−燃料消費量マップを記憶する速度−燃料消費量マップ記憶手段として機能する。この速度−燃料消費量マップは、例えば、試験等によって予め作成しておけばよい。
【0038】
通過速度ファイル35は、経路探索部25により経路探索された経路の通過速度を表す通過速度情報を記憶する路面勾配情報記憶手段として機能する。
【0039】
経路ファイル36は、経路探索部25により経路探索された経路を表す経路情報を記憶する経路情報記憶手段として機能する。ここで、経路情報は、探索した経路に関する情報であり、経路を構成するリンクデータやノードデータなどを含む。
【0040】
次に、図3を参照して本発明の実施形態1に係る経路探索装置1の路面勾配に応じた経路探索処理を説明する。
【0041】
まず、経路探索装置1は、現在地取得部21が位置検出装置6から車両の現在地を取得し、目的地設定部22がドライバによる入力装置7への入力に応じて地図情報から目的地を設定し、希望到着時間設定部23が出発地としての現在地から目的地までのドライバの希望到着時間を設定する。そして、経路探索部25は、現在地取得部21が取得した現在地、目的地設定部22が設定した目的地、希望到着時間設定部23が設定した希望到着時間に基づいて地図データベース31に格納されている地図情報を参照して経路探索を行う(S100)。
【0042】
ここでの経路探索部25による経路探索の手法は、特に限定されず、種々の公知の手法を用いることができる。ここでは、経路探索部25は、例えば、地図データベース31に格納されている地図情報の道路データ(リンクデータ、ノードデータ)を考慮しつつ、データリンクコントローラ5が受信し道路交通情報ファイル32に記憶されている渋滞情報、事故情報、制限速度情報などを含む道路交通情報や車両の燃費特性などにも基づいて、各リンクに対応した道路の候補通過速度を設定した上で、現在地から目的地までの燃料消費量が最小となりうる候補経路を1つ探索し、候補経路の経路情報を経路ファイル36に、候補通過速度の通過速度情報を通過速度ファイル35に記憶する。
【0043】
次に、経路探索装置1は、路面勾配取得部24がS100にて探索された候補経路中の出発地から目的地までの路面勾配情報を地図データベース31に格納された地図情報などから取得し、路面勾配ファイル33に記憶する(S102)。
【0044】
そして、経路探索部25は、路面勾配取得部24により取得され路面勾配ファイル33に記憶された路面勾配情報に基づいて、S100にて探索された候補経路の各リンクに対応した道路の路面勾配に応じた最適な通過速度判定処理を実行し(S104)、候補経路の路面勾配に対する最適な通過速度を判定する。この路面勾配に応じた通過速度判定処理については、次の図4で詳細に説明する。
【0045】
そして、経路探索部25は、S104の通過速度判定処理の判定結果に応じて、燃料消費量が少なくなる最適な案内経路と、その経路を通過する際の最適な通過速度とを決定し、情報提示装置8は、経路探索部25により経路ファイル36に記憶された経路情報と通過速度ファイル35に記憶された通過速度情報とに基づいて、経路探索部25が探索した最適な案内経路と共に、最適な通過速度をドライバに提示して(S106)、この路面勾配に応じた経路探索処理を終了する。
【0046】
次に、図4を参照して本発明の実施形態1に係る経路探索装置1の路面勾配に応じた通過速度判定処理を説明する。
【0047】
まず、経路探索部25は、図3のS100にて検索された候補経路と、S102にて路面勾配ファイル33に記憶された路面勾配情報とに基づいて、速度−燃料消費量ファイル34に記憶されている路面勾配に対する通過速度と燃料消費量との対応関係を表す速度−燃料消費量マップ(図2参照)から路面勾配に応じた通過速度を設定する(S150)。すなわち、経路探索部25は、路面勾配情報に基づいて候補経路中で路面勾配が相対的に大きくなる箇所で通過速度を相対的に高く設定する。さらに具体的には、経路探索部25は、例えば、候補経路中において予め設定される所定勾配以上の路面勾配、言い換えれば、通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が所定値以下である路面勾配での通過速度を候補通過速度より高く設定すると共に、通過速度を候補通過速度より高く設定することで短縮される所要時間に応じて、候補経路中において所定勾配未満の路面勾配、言い換えれば、通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が所定値より大きい路面勾配での通過速度を候補通過速度より低く設定する。
【0048】
例えば、経路探索部25は、路面勾配が相対的に大きく通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が相対的に小さい路面、例えば、路面勾配が3%の路面を通過する際の燃料消費量の増加を抑制しつつ当該路面を通過するのに要する所要時間が短縮されるように、当該路面を通過する際の通過速度を速度−燃料消費量マップに基づいて相対的に高く設定する。そして、経路探索部25は、路面勾配が相対的に小さく通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が相対的に大きい路面、例えば、路面勾配が0%の路面を通過する際の所要時間が長くなる分の時間を上記短縮された所要時間により補うことができる範囲で、当該路面を通過する際の燃料消費量が低減するように、当該路面を通過する際の通過速度を相対的に低く設定する。なお、このような経路探索部25による路面勾配に応じた通過速度の設定は、演算能力が許容する範囲で多くの箇所で行えばよい。
【0049】
なお、経路探索部25は、S150にて、道路交通情報ファイル32に記憶される候補経路中の現在の渋滞情報、事故情報、制限速度情報などを含む道路交通情報に基づいて推定される通過速度の範囲内で路面勾配に応じた通過速度を設定するようにするとよい。これにより、渋滞、事故、制限速度などにより実際には出すことのできない通過速度が設定されてしまうことを防止することができる。
【0050】
次に、経路探索部25は、S150にて設定された路面勾配に応じた通過速度により候補経路を通過した場合の経路全体での合計燃料消費量を算出する(S152)。そして、経路探索部25は、図3のS100にて設定された候補通過速度により候補経路を通過した場合の経路全体での合計燃料消費量を算出し、この候補通過速度で通過した場合の合計燃料消費量と、S152で算出した路面勾配に応じた通過速度で通過した場合の合計燃料消費量とを比較し(S154)、最適であるか否かを判定する(S156)。
【0051】
経路探索部25は、例えば、S152で算出した路面勾配に応じた通過速度で通過した場合の合計燃料消費量が候補通過速度で通過した場合の合計燃料消費量より低下していれば、S150にて設定された路面勾配に応じた通過速度が最適であると判定して(S156:Yes)、路面勾配に応じた通過速度判定処理を終了する。経路探索部25は、例えば、S152で算出した路面勾配に応じた通過速度で通過した場合の合計燃料消費量が候補通過速度で通過した場合の合計燃料消費量より低下していなければ、S150にて設定された路面勾配に応じた通過速度が最適ではないと判定して(S156:No)、S150に戻って、例えば、候補経路中において予め設定される所定勾配以上の路面勾配、言い換えれば、通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が所定値以下である路面勾配での通過速度をさらに高く設定するなどして、路面勾配に対する通過速度を再設定して以下の処理を繰り返し実行する。
【0052】
以上で説明した本発明の実施形態に係る経路探索装置1によれば、出発地から目的地までの経路中の路面勾配の情報である路面勾配情報を取得する路面勾配取得部24と、路面勾配情報に基づいて経路中で路面勾配が大きい箇所ほど通過速度を高く設定して出発地から目的地までの経路探索を行う経路探索部25とを備える。
【0053】
したがって、経路探索装置1は、経路探索部25が路面勾配情報に基づいて経路中で路面勾配が相対的に大きく通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が相対的に小さい路面を通過する際の通過速度を相対的に高く設定して経路探索を行なうことで、燃料消費量の増加を抑制しつつ当該箇所を通過するのに要する所要時間を短縮することができ、この短縮された所要時間を経路探索領域拡大に利用することで、結果的に、他の箇所で所要時間が長くなっても燃料消費量を抑制することができる経路(箇所)をも含んだより燃料消費量の少ない最適な経路探索を行うことができる。
【0054】
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係る経路探索装置1によれば、経路探索部25が探索した経路と共に通過速度をドライバに提示する情報提示装置8を備える。したがって、ドライバは、経路探索部25により経路探索され情報提示装置8に提示される最適な案内経路と最適な通過速度とに基づいて、より燃料消費量の少ない最適な運転を実現することができる。
【0055】
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係る経路探索装置1によれば、経路探索部25は、経路の現在の道路交通情報に基づいて推定される範囲内で路面勾配に応じた通過速度を設定する。したがって、例えば、渋滞、事故、制限速度などにより実際には出すことのできない通過速度が設定されてしまうことを防止することができる。
【0056】
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係る経路探索装置1によれば、経路探索部25は、ドライバの希望到着時間に応じて経路探索を行うと共に、経路中において予め設定される所定勾配以上の路面勾配での通過速度を高く設定することで短縮される所要時間に応じて所定勾配未満の路面勾配での通過速度を低く設定して経路探索を行う。したがって、経路探索の際に、路面勾配が相対的に大きく通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が相対的に小さい路面を通過する際の通過速度を相対的に高く設定することで、燃料消費量の増加を抑制しつつ当該路面を通過するのに要する所要時間を短縮し、この短縮された所要時間を利用して、路面勾配が相対的に小さく通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が相対的に大きい路面を通過する際の通過速度を相対的に低く設定することにより当該路面を通過する際の所要時間が長くなっても燃料消費量を大幅に抑制することができる経路をも探索することができ、この結果、経路探索領域を拡大することができる。
【0057】
なお、上述した本発明の実施形態に係る経路探索装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0058】
以上の説明では、経路探索部25は、S100にて、現在地から目的地までの燃料消費量が最小となりうる候補経路を1つ探索するものとして説明したが、これに限らず、複数の候補経路を探索してもよい。すなわち、経路探索部25は、S100にて、例えば、現在地から目的地までの距離が短い順に複数の候補経路を探索してもよいし、最短距離との距離の差が所定未満の複数の候補経路を探索するようにしてもよい。そして、この場合、経路探索部25は、S104にて、複数の候補経路に対してそれぞれ路面勾配に対する最適な通過速度を判定する処理を実行し、最適な通過速度により各候補経路を通過した際に現在地から目的地までの合計の燃料消費量が最も少ない候補経路を最適な案内経路として選択するようにすればよい。
【0059】
また、S150にて、経路探索部25が路面勾配に応じた通過速度を設定する方法は、以上で説明した方法には限られない。経路探索部25は、例えば、以下で説明するような方法により路面勾配に応じた通過速度を設定するようにしてもよい。すなわち、経路探索部25は、例えば、路面勾配の角度と車重Mと重力gとを掛け合わせることで路面勾配に応じた抵抗Fwを算出すると共に、加速度aと車重Mを掛け合わせることで候補通過速度によりこの路面勾配を通過する際の力Fを算出する。そして、通過速度による影響度判定値として予め設定される閾値をXとすると、経路探索部25は、[Fw−F>X]となる場合に路面勾配が大きいと判定し、候補通過速度を所定速度増加することで路面勾配に応じた通過速度を設定するようにしてもよい。
【0060】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2に係る経路探索装置の路面勾配に応じた経路探索処理を説明するフローチャートである。本発明の実施形態2に係る経路探索装置は、実施形態1に係る経路探索装置と略同様の構成であることから、上述した実施形態1と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。また、主要部分の構成については図1、図2を参照する。
【0061】
本発明の実施形態2に係る経路探索装置1は、図5に示すように、経路探索部25が経路中において予め設定される所定勾配以上の路面勾配での通過速度を高く設定することで短縮される所要時間に応じて該所定勾配以上の路面勾配の箇所を通過する出発地から目的地までの経路を再探索する点で、実施形態1に係る経路探索装置1とは異なる。
【0062】
次に、図5を参照して本発明の実施形態2に係る経路探索装置1の路面勾配に応じた経路探索処理を説明する。
【0063】
まず、経路探索装置1は、経路探索部25が現在地、目的地、希望到着時間に基づいて地図データベース31に格納されている地図情報を参照して経路探索を行う(S200)。経路探索部25は、各リンクに対応した道路の候補通過速度を設定した上で、現在地から目的地までの燃料消費量が最小となりうる候補経路を1つ探索し、候補経路の経路情報を経路ファイル36に、候補通過速度の通過速度情報を通過速度ファイル35に記憶する。
【0064】
次に、経路探索装置1は、路面勾配取得部24がS200にて探索された候補経路中の出発地から目的地までの路面勾配情報を地図データベース31に格納された地図情報などから取得し、路面勾配ファイル33に記憶する(S202)。
【0065】
そして、経路探索部25は、路面勾配ファイル33に記憶された路面勾配情報に基づいて、S200にて探索された候補経路中において予め設定される所定勾配以上の路面勾配、言い換えれば、通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が所定値以下である路面勾配(例えば、路面勾配が3%の路面)の箇所を抜き出し、この所定勾配以上の路面勾配の箇所における当該路面勾配に応じた通過速度判定処理を実行する(S204)。経路探索部25は、抜き出された所定勾配以上の路面勾配の箇所と、S202にて路面勾配ファイル33に記憶された路面勾配情報とに基づいて、速度−燃料消費量ファイル34に記憶されている路面勾配に対する通過速度と燃料消費量との対応関係を表す速度−燃料消費量マップ(図2参照)からこの抜き出された箇所の路面勾配に応じた通過速度を設定する。すなわち、経路探索部25は、この所定勾配以上の路面勾配の箇所、言い換えれば、通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が所定値以下である路面勾配の箇所での通過速度を候補通過速度に対して相対的に高く設定する。経路探索部25は、路面勾配が所定勾配以上であり通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が相対的に小さい箇所、例えば、路面勾配が3%の箇所を通過する際の燃料消費量の増加を抑制しつつ当該路面を通過するのに要する所要時間が短縮されるように、当該箇所を通過する際の通過速度を速度−燃料消費量マップに基づいて相対的に高く設定する。このとき、経路探索部25は、道路交通情報ファイル32に記憶される候補経路中の現在の渋滞情報、事故情報、制限速度情報などを含む道路交通情報に基づいて推定される通過速度の範囲内で路面勾配に応じた通過速度を設定するようにするとよい。
【0066】
そして、この経路探索装置1は、この短縮された所要時間を利用して、S206にて、所要時間が多少長くなっても燃料消費量を抑制することができるような候補経路、ここでは、少なくとも所定勾配以上の路面勾配の箇所を最適な通過速度で通過する経路であってS200で探索した候補経路とは別の候補経路を再探索する(S206)。
【0067】
すなわち、経路探索部25は、S204の通過速度判定処理の判定結果に応じて、少なくとも所定勾配以上の路面勾配の箇所をS204で設定した通過速度で通過するような候補経路を再探索し(S206)、例えば、S206にて再探索された候補経路において少なくとも所定勾配以上の路面勾配の箇所をS204で設定した通過速度で通過した場合の合計燃料消費量と、S200にて探索された候補経路を候補通過速度で通過した場合での合計燃料消費量とを比較して、再探索された候補経路が最適であるか否かを判定する(S208)。
【0068】
経路探索部25は、例えば、S206にて再探索された候補経路において少なくとも所定勾配以上の路面勾配の箇所をS204で設定した通過速度で通過した場合の合計燃料消費量がS200にて探索された候補経路を候補通過速度で通過した場合での合計燃料消費量より低下してれば、S206にて再探索された候補経路が最適であると判定して(S208:Yes)、S206にて再探索された候補経路を燃料消費量が少なくなる最適な案内経路と決定し、その案内経路を通過する際の最適な通過速度を決定する。情報提示装置8は、経路探索部25により経路ファイル36に記憶された経路情報と通過速度ファイル35に記憶された通過速度情報とに基づいて、経路探索部25が探索した最適な案内経路と共に、最適な通過速度をドライバに提示して(S210)、この路面勾配に応じた経路探索処理を終了する。経路探索部25は、例えば、S206にて再探索された候補経路において少なくとも所定勾配以上の路面勾配の箇所を最適な通過速度で通過した場合の合計燃料消費量がS200にて探索された候補経路を候補通過速度で通過した場合での合計燃料消費量より低下していなければ、S206にて再探索された候補経路が最適ではないと判定して(S208:N0)、S204に戻って、例えば、S204にて抜き出された所定勾配以上の路面勾配の箇所の通過速度をさらに高く設定しS206にて候補経路を再探索するなどして、以下の処理を繰り返し実行する。
【0069】
以上で説明した本発明の実施形態に係る経路探索装置1によれば、経路探索部25が路面勾配情報に基づいて経路中で路面勾配が相対的に大きく通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が相対的に小さい路面を通過する際の通過速度を相対的に高く設定して経路探索を行なうことで、燃料消費量の増加を抑制しつつ当該箇所を通過するのに要する所要時間を短縮することができ、この短縮された所要時間を経路探索領域拡大に利用することで、結果的に、他の箇所で所要時間が長くなっても燃料消費量を抑制することができる経路をも含んだより燃料消費量の少ない最適な経路探索を行うことができる。
【0070】
さらに、以上で説明した本発明の実施形態に係る経路探索装置1によれば、経路探索部25は、ドライバの希望到着時間に応じて経路探索を行うと共に、経路中において予め設定される所定勾配以上の路面勾配での通過速度を高く設定することで短縮される所要時間に応じて該所定勾配以上の路面勾配の箇所を通過する出発地から前記目的地までの経路を再探索する。したがって、経路探索の際に、路面勾配が相対的に大きく通過速度に対する燃料消費量の絶対値差が相対的に小さい路面を通過する際の通過速度を相対的に高く設定することで、燃料消費量の増加を抑制しつつ当該路面を通過するのに要する所要時間を短縮し、この短縮された所要時間を利用して、他の箇所で所要時間が多少長くなっても燃料消費量を抑制することができる別の経路を探索することができ、この結果、経路探索領域を拡大することができる。
【0071】
なお、上述した本発明の実施形態に係る経路探索装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本発明の経路探索装置は、例えば、実施形態1と実施形態2とを組み合わせたものであってもよい。
【0072】
以上の説明では、経路探索装置が車両に搭載された形態で処理を行う場合を例示して説明したが、これに限られず、例えば、経路探索装置をセンタ9として構成し、車両からのネットワーク経由の要求に応じて処理を行い、その処理結果を当該車両に返却するように構成してもよい。
【0073】
また、以上に説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。また、以上に説明した経路探索装置は、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0074】
例えば、経路探索装置が備える処理機能、特に制御部2にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現することができ、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現することも可能である。なお、プログラムは、後述する記録媒体に記録されており、必要に応じて経路探索装置に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDなどの記憶部3などは、OS(Operating System)として協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0075】
また、このコンピュータプログラムは、経路探索装置に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0076】
また、本発明に係るプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD等の任意の「可搬用の物理媒体」、あるいは、LAN、WAN、インターネットに代表されるネットワークを介してプログラムを送信する場合の通信回線や搬送波のように、短期にプログラムを保持する「通信媒体」を含むものとする。
【0077】
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0078】
記憶部3に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラムやテーブルやデータベースやファイル等を格納する。
【0079】
また、経路探索装置は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理装置を接続し、該情報処理装置に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0080】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷等に応じた任意の単位で、機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上のように、本発明に係る経路探索装置は、燃料消費量の少ない経路探索を行うことができるものであり、出発地から目的地までの経路に対して燃料消費量が少ない経路を探索する種々の車両用の経路探索装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施形態1に係る経路探索装置を表す概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る経路探索装置の路面勾配に対する通過速度と燃料消費量との対応関係を表すグラフである。
【図3】本発明の実施形態1に係る経路探索装置の路面勾配に応じた経路探索処理を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態1に係る経路探索装置の路面勾配に応じた通過速度判定処理を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態2に係る経路探索装置の路面勾配に応じた経路探索処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
1 経路探索装置
2 制御部
3 記憶部
4 入出力部
5 データリンクコントローラ
6 位置検出装置
7 入力装置
8 情報提示装置(提示手段)
9 センタ
21 現在地取得部
22 目的地設定部
23 希望到着時間設定部
24 路面勾配取得部(路面勾配情報取得手段)
25 経路探索部(経路探索手段)
31 地図データベース
32 道路交通情報ファイル
33 路面勾配ファイル
34 速度−燃料消費量ファイル
35 通過速度ファイル
36 経路ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地までの経路中の路面勾配の情報である路面勾配情報を取得する路面勾配情報取得手段と、
前記路面勾配情報に基づいて前記経路中で前記路面勾配が大きい箇所ほど通過速度を高く設定して前記出発地から前記目的地までの経路探索を行う経路探索手段とを備えることを特徴とする、
経路探索装置。
【請求項2】
前記経路探索手段は、ドライバの希望到着時間に応じて前記経路探索を行うと共に、前記経路中において予め設定される所定勾配以上の路面勾配での前記通過速度を高く設定することで短縮される所要時間に応じて前記所定勾配未満の路面勾配での前記通過速度を低く設定して前記経路探索を行うことを特徴とする、
請求項1に記載の経路探索装置。
【請求項3】
前記経路探索手段は、ドライバの希望到着時間に応じて前記経路探索を行うと共に、前記経路中において予め設定される所定勾配以上の路面勾配での前記通過速度を高く設定することで短縮される所要時間に応じて該所定勾配以上の路面勾配の箇所を通過する前記出発地から前記目的地までの経路を再探索することを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載の経路探索装置。
【請求項4】
前記経路探索手段が探索した経路と共に前記通過速度をドライバに提示する提示手段を備えることを特徴とする、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の経路探索装置。
【請求項5】
前記経路探索手段は、前記経路の現在の道路交通情報に基づいて推定される範囲内で前記通過速度を設定することを特徴とする、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の経路探索装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−198293(P2009−198293A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39841(P2008−39841)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】