説明

緊急連絡通報装置

【課題】より確実に緊急連絡を伝えることができる緊急連絡通報装置を提供する。
【解決手段】緊急連絡通報装置は、電話機能、FAXイメージ送受信機能および電子メール送受信機能を持ち、複数の電話番号、FAX番号および電子メールアドレスを緊急連絡先として、通報の優先順位とともに記憶する。操作者により通報の指示を受けると、緊急連絡通報装置は、優先順位に従って、順次、緊急連絡先に通報する。緊急連絡通報装置は、通報としてFAXイメージ送信または電子メール送信をした場合には、次の優先順位の緊急連絡先を決定し通報を続ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者による通報指示を受けると、通報に対し応答されるまで優先順位に従って順次緊急連絡先に通報する緊急連絡通報装置、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、緊急連絡先として複数の電話番号を優先順位とともに登録でき、操作者が通報ボタンを押すと、応答されるまで優先順位に従って順次通報する緊急連絡通報装置が知られている。
【特許文献1】特開平5−304573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来における緊急連絡通報装置は、応答した人物が緊急性を理解できずにすぐ切ってしまった場合や、誰も電話に応答しなかった場合、緊急連絡を全く伝えることができなかった。
【0004】
本発明は、このような問題に鑑み、より確実に緊急連絡を伝えることができる緊急連絡通報装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、請求項1に記載の緊急連絡通報装置は、操作者による通報指示を受けると、通報に対し応答されるまで優先順位に従って順次緊急連絡先に通報する緊急連絡通報装置において、複数の緊急連絡先として、音声により通報する場合の聴覚メッセージ連絡先と画像または文章により通報する場合の視覚メッセージ連絡先とを記憶する第一の記憶手段であって、当該聴覚メッセージ連絡先および当該視覚メッセージ連絡先と通報の順位を示す優先順位とを対応付けて記憶する第一の記憶手段と、前記優先順位に従って、通報する緊急連絡先を決定する緊急連絡先決定手段と、前記緊急連絡先決定手段により決定された通報する緊急連絡先が、前記聴覚メッセージ連絡先または前記視覚メッセージ連絡先のどちらであるかを判断する緊急連絡先判断手段と、前記緊急連絡先判断手段により通報する緊急連絡先が前記聴覚メッセージ連絡先であると判断されたことを条件として前記聴覚メッセージ連絡先に発呼し、前記緊急連絡先判断手段により通報する緊急連絡先が前記視覚メッセージ連絡先であると判断されたことを条件として前記視覚メッセージ連絡先に画像または文章を送信する通報手段と、を備え、前記緊急連絡先決定手段は、前記通報手段により前記視覚メッセージ連絡先に画像または文章を送信したことを条件として、次の優先順位の緊急連絡先を決定し、前記通報手段は、前記緊急連絡先判断手段により次の優先順位の緊急連絡先についてなされた判断に基づいて、前記聴覚メッセージ連絡先に発呼または前記視覚メッセージ連絡先に画像あるいは文章を送信することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の緊急連絡通報装置は、請求項1に記載の緊急連絡通報装置に加え、前記通報手段により前記聴覚メッセージ連絡先に発呼されたことを条件として、発呼されてから通話可能な状態になるまでの時間を計測する第一の計測手段を備え、前記緊急連絡先決定手段は、前記第一の計測手段により計測された発呼されてから通話可能な状態になるまでの時間が、第一の設定時間を越えたことを条件として、次の優先順位の緊急連絡先を決定し、前記通報手段は、前記緊急連絡先判断手段により次の優先順位の緊急連絡先についてなされた判断に基づいて、前記聴覚メッセージ連絡先に発呼または前記視覚メッセージ連絡先に画像あるいは文章を送信することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に記載の緊急連絡通報装置は、請求項1または請求項2に記載の緊急連絡通報装置に加え、緊急連絡先に通知する緊急連絡音声メッセージを記憶する第二の記憶手段と、前記通報手段により前記聴覚メッセージ連絡先に発呼された場合であって、通話可能な状態になったことを条件として、前記緊急連絡音声メッセージの再生を開始する緊急連絡音声メッセージ再生手段と、前記緊急連絡音声メッセージ再生手段により前記緊急連絡音声メッセージの再生が開始されたことを条件として、前記緊急連絡音声メッセージの再生が中断されたかを判断する緊急連絡音声メッセージ判断手段と、を備え、前記緊急連絡先決定手段は、前記緊急連絡音声メッセージ判断手段により前記緊急連絡音声メッセージの再生が中断されたと判断されたことを条件として、次の優先順位の緊急連絡先を決定し、前記通報手段は、前記緊急連絡先判断手段により次の優先順位の緊急連絡先についてなされた判断に基づいて、前記聴覚メッセージ連絡先に発呼または前記視覚メッセージ連絡先に画像あるいは文章を送信することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に記載の緊急連絡通報装置は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の緊急連絡通報装置に加え、前記通報手段により前記聴覚メッセージ連絡先に発呼されたことを条件として、通話可能な状態になってから通話可能な状態が終了するまでの通話可能状態時間を計測する第二の計測手段を備え、前記緊急連絡先決定手段は、前記第二の計測手段により計測された通話可能状態時間が、第二の設定時間に比べ短いことを条件として、次の優先順位の緊急連絡先を決定し、前記通報手段は、前記緊急連絡先判断手段により次の優先順位の緊急連絡先についてなされた判断に基づいて前記聴覚メッセージ連絡先に発呼または前記視覚メッセージ連絡先に画像あるいは文章を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の緊急連絡通報装置によれば、音声に加え、画像または文章によっても通報が可能である。従って、音声による通報の場合において、誰も発呼に応答しないときであっても、画像または文章を送信することで、より確実に緊急連絡を伝えることができる。また、画像または文章によって通報した場合、緊急連絡先の装置付近に誰も居ないなどの理由で、緊急連絡が十分に緊急連絡先の相手に伝わっていない可能性がある。そのため、画像または文章によって通報した場合、次の優先順位の緊急連絡先に通報することにより、より確実に緊急連絡を伝えることができる。
【0010】
また、請求項2記載の緊急連絡通報装置によれば、音声による通報の場合において、発呼されてから通話可能な状態になるまでの時間が第一の設定時間を越えたとき、次の優先順位の緊急連絡先に通報する。従って、音声による通報の場合において、誰も発呼に応答しないときであっても、次の優先順位の緊急連絡先に通報することにより、より確実に緊急連絡を伝えることができる。
【0011】
また、請求項3に記載の緊急連絡通報装置によれば、音声による通報の場合において、緊急連絡先の相手が発呼に応答し、通話可能な状態になり、緊急連絡音声メッセージの再生が開始されたが、その再生が中断されたとき、次の優先順位の緊急連絡先に通報する。従って、緊急連絡音声メッセージの再生が中断され、緊急連絡が十分に緊急連絡先の相手に伝わっていない可能性がある場合であっても、より確実に緊急連絡を伝えることができる。
【0012】
また、請求項4に記載の緊急連絡通報装置によれば、音声による通報の場合において、緊急連絡先の相手が発呼に応答し、通話が開始されたが通話時間が第二の設定時間に比べ短いとき、次の優先順位の緊急連絡先に通報する。従って、通話時間が第二の設定時間に比べ短く、緊急連絡が十分に緊急連絡先の相手に伝わっていない可能性がある場合であっても、より確実に緊急連絡を伝えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
(本実施形態の概要)
本実施形態の概要について、図1を用いて説明する。
【0015】
図1は本実施例の概略を示す説明図である。
【0016】
なお、本実施形態では、緊急連絡通報装置として、電話機を例に説明する。
【0017】
電話機1は、電話機能、FAXイメージ送受信機能および電子メール送受信機能を持つ。さらに、電話機1は、通報機能を持つ。この電話機1には複数の連絡先の登録機能がある。操作者は複数の電話番号、FAX番号および電子メールアドレスを登録できる。操作者はこれらの登録した連絡先を緊急連絡先に設定することができ、さらに通報の優先順位をつけることができる。また、電話機1は、緊急事態の発生を伝える旨など緊急連絡のメッセージとして、緊急連絡音声メッセージ、緊急連絡FAXイメージおよび緊急連絡電子メールテキストを記憶する。
【0018】
例えば、図1では、緊急連絡先に、携帯電話機5の電話番号、固定電話機7の電話番号、FAX装置9のFAX番号、PC11の電子メールアドレスおよび固定電話機13の電話番号が優先順位を付けられて登録されている。この優先順位は、優先順位が高い緊急連絡先から順に、携帯電話機5、固定電話機7、FAX装置9、PC11、固定電話機13の順で登録されている。電話機1は、緊急連絡ボタン3を備える。
【0019】
操作者が緊急連絡ボタン3を押すと、電話機1は、通報処理を開始する。操作者が緊急連絡ボタン3を押す行為は、操作者の通報指示に該当する。電話機1は、通報処理を開始すると、登録済の緊急連絡先を調べ、優先順位に従って、順次連絡をとる。電話機1は、電話通報のときは緊急連絡音声メッセージを、FAX通報のときは緊急連絡FAXイメージを、電子メール通報のときは緊急連絡電子メールテキストを送信する。電話機1は、電話通報に対し応答されるまで、順次連絡をとる。また、電話機1は、通報としてFAX通報または電子メール通報をしたときは、必ず次の優先順位の緊急連絡先に通報する。
【0020】
即ち、図1において、電話機1はまず、携帯電話機5に発呼する。携帯電話機5から応答がなければ、電話機1は次に固定電話機7に発呼する。固定電話機7から応答がなければ、電話機1は次にFAX装置9に緊急連絡FAXイメージを送信する。電話機1は、緊急連絡FAXイメージを送信後、PC11に緊急連絡電子メールテキストを送信する。電話機1は、緊急連絡電子メールテキストを送信後、固定電話機13に発呼する。
【0021】
(電話機の構成)
次に本実施形態における電話機1の構成について、図2および図3を用いて説明する。
【0022】
図2は本実施形態における電話機1の構成図であり、図3は記憶装置37が電話帳記憶部39に記憶する連絡先情報レコード49を示す説明図である。
【0023】
本実施形態の電話機1は、図2に示すように、ネットワークI/F21、電話装置23、FAX装置25、操作装置27、表示装置29、電子メール送受信装置31、タイマー装置33、電話回線I/F35、記憶装置37、制御部47を備えている。
【0024】
電話機1はネットワークI/F21を介して他の通信装置と通信を行う。本実施形態において、電話機1はネットワークI/F21を介して電子メールの送信を行う。
【0025】
電話装置23は電話回線I/F35を介して他の電話機と音声メッセージの送受信を行う。FAX装置25は電話回線I/F35を介して他のFAX装置とFAXイメージの送受信を行う。操作装置27は、この電話機を操作するためのもので、緊急連絡ボタン3を備えている。
【0026】
表示装置29は操作装置27により操作された操作内容等を表示する。電子メール送受信装置31は他の電子メール送受信機能を有する通信装置との間で電子メールの送受信を行う。タイマー装置33は、操作者が設定した時間を計測する。
【0027】
電話回線I/F35は、電話機1が他の電話機またはFAX装置との間で音声メッセージまたはFAXイメージを送受信するためのものである。
【0028】
記憶装置37は、電話帳を記憶する電話帳記憶部39、緊急連絡音声メッセージを記憶する緊急連絡音声メッセージ記憶部41、緊急連絡FAXイメージを記憶する緊急連絡FAXイメージ記憶部43および緊急連絡電子メールテキストを記憶する緊急連絡電子メールテキスト記憶部45の4つの記憶部を備える。操作者は、予め、緊急連絡音声メッセージとして緊急事態発生のメッセージ等を登録しておく。また、緊急連絡FAXイメージとして同様な旨のイメージを登録しておく。また、緊急連絡電子メールテキストとして、同様な旨のテキストを登録しておく。
【0029】
制御部47は、電話機1が電話通報、FAX通報または電子メール通報する際の制御を行う。
【0030】
また、電話帳記憶部39は、複数の連絡先情報レコード49を記憶する。図3に示すように、連絡先情報レコード49は、電話番号またはFAX番号または電子メールアドレスを表す連絡先文字列51と、連絡先文字列に対応する連絡先が電話またはFAXまたは電子メールのいずれであるかを区別するための電話/FAX/電子メールフラグ53と、連絡先文字列の登録名55と、通報の優先順位を示す緊急連絡先順位57とから構成される。緊急連絡先順位には0以上の数を付けることができ、緊急連絡先順位が0の連絡先情報レコード49は、緊急連絡先となることはない。即ち、連絡先情報レコードは、電話機1の通報機能における連絡先情報はもちろん、通常の電話機能、FAXイメージ送受信機能および電子メール送受信機能における連絡先情報をも表す。例えば、通常の電話機能における電話発呼の際には、連絡先情報の読み出し操作を行うと、緊急連絡先順位が0である連絡先情報レコードを含む全ての連絡先情報レコードから連絡先情報が読み出される。
【0031】
(緊急連絡先順位設定処理)
次に、緊急連絡先順位設定処理について、図4および図5を用いて説明する。
【0032】
図4は、電話帳登録時の表示装置の画面を示す説明図であり、図5は緊急連絡先順位設定時の表示装置の画面を示す説明図である。
【0033】
電話帳登録時において、表示装置29の画面69には、登録名59、連絡先61および種別63の入力欄が表示される。操作者は、操作装置27を操作することで、各入力欄に情報を入力できる。操作者が情報を入力し、設定ボタン67を押すと、新たな連絡先情報レコード49が生成される。登録名59は連絡先情報レコード49の登録名55として、連絡先61は連絡先情報レコード49の連絡先文字列51として、記憶される。種別63は、その種別に対応するフラグが、連絡先情報レコード49の電話/FAX/電子メールフラグ53として、記憶される。また、画面69には、緊急連絡先指定チェックボックス65がある。操作者は、緊急連絡先指定チェックボックス65にチェックをせずに設定ボタン67を押すと、連絡先情報レコード49の緊急連絡先順位57には0が入力される。一方、操作者が、緊急連絡先指定チェックボックス65にチェックをして設定ボタン67を押すと、連絡先情報レコード49の緊急連絡先順位57には、他の連絡先情報レコード49の緊急連絡先順位57のうち、最も大きい値の次の値が入力される。
【0034】
操作者が緊急連絡先指定チェックボックス65にチェックをして設定ボタン67を押すと、画面69は、図5の緊急連絡先順位設定時の表示装置の画面77に切り替わる。画面77には、緊急連絡先が緊急連絡先順位について降順に表示される。画面69において緊急連絡先指定した連絡先は、画面77に表示される緊急連絡先一覧の一番下欄に表示される。なお、操作者は矢印ボタン71によりハイライトを移動させ、選択/解除ボタン79で入れ替えたい緊急連絡先を選び、矢印ボタン71で表示された緊急連絡先一覧の並び方を入れ替え、設定ボタン75を押すことで、緊急連絡先連絡順を変更することができる。また、操作者は、削除ボタン73により、緊急連絡先を緊急連絡先一覧から削除し、設定ボタン75を押すことで、削除後の緊急連絡先連絡順に設定することも可能である。
【0035】
(通報処理)
次に本実施形態における電話機1が実行する通報処理について、図6から図8を用いて説明する。
【0036】
図6は本実施形態における電話機1が実行する通報処理を示すフローチャートである。
【0037】
緊急連絡ボタン3が押されると、電話機1は、通報処理を開始する。ここで、操作者が電話機1の図示しない受話機を上げることにより、または、電話機1がハンズフリー機能を持つことにより、操作者は緊急連絡先の相手と通話可能になる。通報処理が開始されると、まず、電話機1は、緊急連絡先順位が0以外の連絡先情報レコードがあるか否かを判断する(S110)。即ち、緊急連絡先として登録された連絡先情報レコードがあるかを判断する。ここで、緊急連絡先順位が0以外の連絡先情報レコードがあると判断された場合(S110:Yes)、電話機1は、連絡先情報レコード49に記憶された緊急連絡先順位から読み出す順位を1に設定する(S113)。そして、S119へ移行する。
【0038】
一方、S110の処理において、緊急連絡先順位が0以外の連絡先情報レコードがなしと判断された場合(S110:No)、電話機1は表示装置29に「連絡先が登録されていません」と表示する(S115)。そして、電話機1はエラー音声を出力し(S117)、本処理を終了する。
【0039】
S119では、電話機1は読み出し順位と一致する緊急連絡先順位の連絡先情報レコードがあるか否かを判断する(S119)。ここで、読み出し順位と一致する緊急連絡先順位の連絡先情報レコードがあると判断された場合(S119:Yes)、S120へ移行する。処理が初めてこのS119へ移行したときは、S113において読み出す順位が1に設定され、読み出し順位と一致する緊急連絡先順位の連絡先情報レコードがないと判断されることはあり得ないので、読み出し順位と一致する緊急連絡先順位の連絡先情報レコードがあると判断されて(S119:Yes)、処理はS120へ移行する。
【0040】
一方、S119の処理において、読み出し順位と一致する緊急連絡先順位の連絡先情報レコードがないと判断された場合(S119:No)、電話機1は表示装置に「連絡が終了しました」と表示する(S121)。そして、本処理を終了する。なお、S119の処理において、読み出し順位と一致する緊急連絡先順位の連絡先情報レコードがないと判断された場合(S119:No)とは、電話機1が、緊急連絡先順位が最下位の緊急連絡先までのすべての緊急連絡先に通報した場合である。
【0041】
S120では、電話機1は、読み出された緊急連絡先順位の連絡先が電話か否かを判断する(S120)。この判断は、連絡先情報レコード49に記憶された電話/FAX/電子メールフラグ53により判断を行う。例えば、電話フラグが0、FAXフラグが1、電子メールフラグが2に設定されている場合、S120では読み出された緊急連絡先順位の連絡先情報レコードのフラグが0であれば連絡先は電話であると判断される(S120:Yes)。また、読み出された緊急連絡先順位の連絡先情報レコードのフラグが0でなければ連絡先は電話でないと判断される(S120:No)。
【0042】
ここで、読み出された緊急連絡先順位の連絡先が電話であると判断された場合(S120:Yes)、図7のS210へ移行する。S210以降の処理については後述する。
【0043】
一方、S120の処理において、読み出された緊急連絡先順位の連絡先が電話ではないと判断された場合(S120:No)、電話機1は読み出された緊急連絡先順位の連絡先がFAXか否かを判断する(S123)。S123についてもS120と同様に、連絡先情報レコード49に記憶された電話/FAX/電子メールフラグ53により判断を行う。電話フラグが0、FAXフラグが1、電子メールフラグが2に設定されている場合、S123では読み出された緊急連絡先順位の連絡先情報レコードのフラグが1であれば連絡先はFAXであると判断される(S123:Yes)。また、読み出された緊急連絡先順位の連絡先情報レコードのフラグが1でなければ連絡先はFAXでないと判断される(S120:No)。
【0044】
ここで、読み出された緊急連絡先順位の連絡先がFAXであると判断された場合(S123:Yes)、図8のS310へ移行する。S310以降の処理については後述する。
【0045】
一方、S123の処理において、読み出された緊急連絡先順位の連絡先がFAXではないと判断された場合(S123:No)、電話機1は緊急連絡電子メール送信をする(S125)。即ち、電話機1は、S119の処理において判断された、読み出し順位と一致する緊急連絡先順位の緊急連絡先情報レコードの連絡先文字列を宛先に設定し、緊急連絡電子メールテキスト記憶部45に記憶された緊急連絡電子メールテキストを本文とした緊急連絡電子メールを作成し送信する。その後、読み出し順位を1増加させる(S127)。そして、読み出し順位を1増加させたら、S119の処理へと戻り、再びS119以降の処理を繰り返す。
【0046】
これにより、電子メール通報先の相手が、緊急連絡電子メールを見なかったなどの理由で緊急連絡が十分に伝わらなかった場合であっても、より確実に緊急連絡を伝えることができる。なお、電子メール通報先は、視覚メッセージ連絡先に相当する。
【0047】
なお、本実施形態において、緊急連絡先判断手段として、緊急連絡先が電話であるか(S120)、または、FAXであるか(S123)が判断されているが、これに限らない。即ち、例えば、S123の処理の代わりに、緊急連絡先が電子メールアドレスであるかの判断を行ってもよい。また、S120の処理の後にS123の処理をしているが、これに限らず、先にS123の処理をしてもよい。
【0048】
次に、S120で緊急連絡先が電話であると判断された場合の処理について図7を用いて説明する。
【0049】
図7は本実施形態において、緊急連絡先が電話番号であると判断された場合に電話機1が実行する処理を示すフローチャートである。
【0050】
電話機1は、まず、S119の処理において判断された、読み出し順位と一致する緊急連絡先順位の連絡先情報レコードの連絡先文字列で示される緊急連絡先の電話番号に電話をかける(S210)。S210の処理において電話機1が電話をかけた緊急連絡先(以下、電話通報先とよぶ)は、聴覚メッセージ連絡先に相当する。そして、電話機1は、タイマーをリセットし(S213)、30秒経過したか否かを判断する(S215)。
【0051】
S215の処理において、電話機1は、30秒経過したか否かを判断することにより、電話通報に応答がされるか否かを判断している。即ち、電話機1は、S215の処理において、30秒経過したと判断された場合(S215:Yes)、電話通報に応答がされないと判断する。
【0052】
なお、本実施例では計測時間を30秒としているが、これに限らず、例えば、この時間は操作者が自由に設定可能としてもよいし、60秒や120秒といった所定の値を選択可能としてもよい。また、この計測時間は第一の設定時間に相当し、通話可能な状態になるまでの時間とは、電話通報に応答がされるまでの時間である。
【0053】
ここで、30秒経過したと判断された場合(S215:Yes)、電話機1は電話を切る(S217)。電話を切るとは、繋がっている電話回線を切断状態にすることである。そして、図6のS127の処理へ戻る。S127の処理を終了すると、再びS119以降の処理を繰り返す。即ち、次の緊急連絡先順位へと順次連絡をとる。これにより、操作者は、いつまでも応答されない緊急連絡先に捕われることなく、次の緊急連絡先の相手により確実に緊急連絡を伝えることができる。
【0054】
一方、S215の処理において、30秒経過していないと判断された場合(S215:No)、電話機1は、電話通報先の電話機と通話が開始されたか否かを判断する(S219)。通話が開始されていないと判断された場合(S219:No)、S215に戻り、通話が開始されるまでS215、およびS219の処理を繰り返す。
【0055】
一方、S219の処理において、通話が開始されたと判断された場合(S219:Yes)、電話機1はタイマーをリセットする(S220)。そして、電話機1は、通話が開始された電話通報先の電話機に緊急連絡音声メッセージの再生を開始する。(S223)。これにより、操作者は、言葉を発することができない状況にあってもより確実に緊急連絡を伝えることができる。
【0056】
S223の処理において緊急連絡音声メッセージの再生を開始すると、電話機1は、電話が切られたか否かを判断する(S225)。ここで、電話が切られたと判断された場合(S225:Yes)、図6のS127の処理に戻る。S127の処理を終了すると、再びS119以降の処理を繰り返す。これにより、緊急連絡音声メッセージの再生が中断され、緊急連絡が十分に緊急連絡先の相手に伝わっていない可能性がある場合であっても、より確実に緊急連絡を伝えることができる。
【0057】
一方、S225の処理において、電話が切られていないと判断された場合(S225:No)、電話機1は電話通報先の電話機との通話状態となる。(S227)。この通話状態とは、緊急連絡音声メッセージの再生が終了し、受話器やマイクを通して互いに通話が可能な状態である。
【0058】
通話状態となると、電話機1は、再び、電話が切られたか否かを判断する(S229)。ここで、電話が切られていないと判断された場合(S229:No)、S227の処理へ戻り、電話機1は電話通報先の電話機との通話状態となる。即ち、通報相手に電話を切られるまでS227およびS229の処理を繰り返す。
【0059】
一方、S229の処理において、電話が切られたと判断された場合(S229:Yes)、S220でリセットしたタイマーの計測時間が30秒以上経過したか否かを判断する(S231)。
【0060】
30秒以上経過していないと判断された場合(S231:No)、図6のS127の処理に戻る。S127の処理を終了すると、再びS119以降の処理を繰り返す。これにより、通話時間が短く、緊急連絡が十分に緊急連絡先の相手に伝わっていない可能性がある場合であっても、より確実に緊急連絡を伝えることができる。
【0061】
一方、S231の処理において、30秒以上経過したと判断された場合(S231:Yes)、電話機1は本処理を終了する。
【0062】
S231の処理において、電話機1は、30秒以上経過したか否かにより、緊急連絡が十分に緊急連絡先の相手に伝わったか否か判断している。即ち、電話機1は、S231の処理において、30秒経過したと判断された場合(S231:Yes)、緊急連絡が十分に緊急連絡先の相手に伝わったと判断する。
【0063】
なお、本実施例では、S220の処理によりタイマーリセットされてから30秒経過したか否かを判断しているが、S227の処理により、電話機1が電話通報先の電話機との通話状態となった後、タイマーリセットし計測を始めてもよい。また、本実施例では、計測時間を30秒としているが、これに限らず、例えば、この時間は操作者が自由に設定可能としてもよいし、60秒や120秒といった所定の値を選択可能としてもよい。また、この計測時間は、第二の設定時間に相当し、通話可能状態時間とは、相手に電話を切られるまでの時間である。
【0064】
次に、S123で緊急連絡先がFAX番号であると判断された場合の処理について、図8を用いて説明する。
【0065】
図8は本実施形態において、緊急連絡先がFAX番号であると判断された場合に電話機1が実行する処理を示すフローチャートである。
【0066】
電話機1は、まず、S119の処理において判断された、読み出し順位と一致する緊急連絡先順位の連絡先情報レコードの連絡先文字列で示される緊急連絡先の電話番号に電話をかける(S310)。S310の処理において電話機1が電話をかけた緊急連絡先(以下、FAX通報先とよぶ)は、視覚メッセージ連絡先に相当する。そして、電話機1は、タイマーをリセットし(S313)、30秒経過したか否かを判断する(S315)。
【0067】
S315の処理において、電話機1は、30秒経過したか否かを判断することにより、緊急連絡先のFAX装置との回線が繋がるか否かを判断している。即ち、電話機1は、S315の処理において、30秒経過したと判断した場合(S315:Yes)、緊急連絡先のFAX装置との回線が繋がらないと判断する。
【0068】
なお、本実施例では、計測時間を30秒としているが、これに限らず、例えば、この時間は操作者が自由に設定可能としてもよいし、60秒や120秒といった所定の値を選択可能としてもよい。
【0069】
ここで、30秒経過したと判断された場合(S315:Yes)、電話機1は電話を切る(S317)。そして図6のS127の処理へ戻る。S127の処理を終了すると、再びS119以降の処理を繰り返す。これにより、操作者は、いつまでも回線が繋がらない緊急連絡先に捕われることなく、次の緊急連絡先の相手により確実に緊急連絡を伝えることができる。
【0070】
一方、S315の処理において、30秒経過していないと判断された場合(S315:No)、電話機1は、FAX通報先のFAX装置との回線が繋がったか否かを判断する(S319)。FAX通報先のFAX装置との回線が繋がっていないと判断された場合(S319:No)、S315に戻り、通話が開始されるまでS315およびS319の処理を繰り返す。
【0071】
一方、S319の処理において、FAX通報先のFAX装置との回線が繋がったと判断された場合(S319:Yes)、電話機1は、緊急連絡FAXイメージ記憶部43に記憶された緊急連絡FAXイメージ送信をする(S321)。S321の処理を終了すると、電話機1は、電話を切り(S317)、図6のS127の処理へ戻る。S127の処理を終了すると、再びS119以降の処理を繰り返す。
【0072】
これにより、FAX通報先の相手が、FAX装置付近に居ないなどの理由で、緊急連絡FAXイメージを見ることできず、緊急連絡が十分に伝わらなかった場合であっても、より確実に緊急連絡を伝えることができる。
【0073】
なお、本実施例において、電話帳記憶部39は第一の記憶手段に、制御部47により実行されるS110、S113およびS127における処理は緊急連絡先決定手段に、制御部47により実行されるS120およびS123における処理は緊急連絡先判断手段に、制御部47により実行されるS125、S210およびS310における処理は通報手段に、タイマー装置33は第一の計測手段および第二の計測手段に、緊急連絡音声メッセージ記憶部41は第二の記憶手段に、S223における処理は緊急連絡音声メッセージ再生手段に、S225における処理は緊急連絡音声メッセージ判断手段に、それぞれ相当する。
【0074】
なお、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて、種々の態様を採ることができる。
【0075】
例えば、本実施形態では、電話機能、FAXイメージ送受信機能および電子メール送受信機能を有する電話機を例に説明したが、FAXイメージ送受信機能および電子メール送受信機能については、どちらか一方のみを有する電話機であってもよい。
【0076】
また、連絡先情報レコードは、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、連絡先が電話番号またはFAX番号である連絡先情報電話レコードと電子メールアドレスである連絡先情報電子メールレコードとの2種類の情報から構成されてもよい。この場合、連絡先情報電話レコードは、電話番号またはFAX番号を表す連絡先文字列、電話/FAXフラグ、登録名および緊急連絡先順位から構成される。連絡先情報電子メールレコードは、電子メールを表す連絡先文字列、登録名および緊急連絡先順位から構成される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本実施形態の概略を示す説明図である。
【図2】本実施形態における電話機1の構成図である。
【図3】本実施形態における電話機1の記憶装置37が電話帳記憶部39に記憶する連絡先情報レコード49を示す説明図である。
【図4】本実施形態における電話機1の電話帳登録時の表示装置の画面を示す説明図である。
【図5】本実施形態における電話機1の緊急連絡先順位設定時の表示装置の画面を示す説明図である。
【図6】本実施形態における電話機1が実行する通報処理を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態において、緊急連絡先が電話番号であると判断された場合に電話機1が実行する処理を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態において、緊急連絡先がFAX番号であると判断された場合に電話機1が実行する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1 電話機
33 タイマー装置
39 電話帳記憶部
41 緊急連絡音声メッセージ記憶部
47 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者による通報指示を受けると、通報に対し応答されるまで優先順位に従って順次緊急連絡先に通報する緊急連絡通報装置において、
複数の緊急連絡先として、音声により通報する場合の聴覚メッセージ連絡先と画像または文章により通報する場合の視覚メッセージ連絡先とを記憶する第一の記憶手段であって、当該聴覚メッセージ連絡先および当該視覚メッセージ連絡先と通報の順位を示す優先順位とを対応付けて記憶する第一の記憶手段と、
前記優先順位に従って、通報する緊急連絡先を決定する緊急連絡先決定手段と、
前記緊急連絡先決定手段により決定された通報する緊急連絡先が、前記聴覚メッセージ連絡先または前記視覚メッセージ連絡先のどちらであるかを判断する緊急連絡先判断手段と、
前記緊急連絡先判断手段により通報する緊急連絡先が前記聴覚メッセージ連絡先であると判断されたことを条件として前記聴覚メッセージ連絡先に発呼し、前記緊急連絡先判断手段により通報する緊急連絡先が前記視覚メッセージ連絡先であると判断されたことを条件として前記視覚メッセージ連絡先に画像または文章を送信する通報手段と、
を備え、
前記緊急連絡先決定手段は、前記通報手段により前記視覚メッセージ連絡先に画像または文章を送信したことを条件として、次の優先順位の緊急連絡先を決定し、
前記通報手段は、前記緊急連絡先判断手段により次の優先順位の緊急連絡先についてなされた判断に基づいて、前記聴覚メッセージ連絡先に発呼または前記視覚メッセージ連絡先に画像あるいは文章を送信することを特徴とする緊急連絡通報装置。
【請求項2】
前記通報手段により前記聴覚メッセージ連絡先に発呼されたことを条件として、発呼されてから通話可能な状態になるまでの時間を計測する第一の計測手段を備え、
前記緊急連絡先決定手段は、前記第一の計測手段により計測された発呼されてから通話可能な状態になるまでの時間が、第一の設定時間を越えたことを条件として、次の優先順位の緊急連絡先を決定し、
前記通報手段は、前記緊急連絡先判断手段により次の優先順位の緊急連絡先についてなされた判断に基づいて、前記聴覚メッセージ連絡先に発呼または前記視覚メッセージ連絡先に画像あるいは文章を送信することを特徴とする請求項1に記載の緊急連絡通報装置。
【請求項3】
緊急連絡先に通知する緊急連絡音声メッセージを記憶する第二の記憶手段と、
前記通報手段により前記聴覚メッセージ連絡先に発呼された場合であって、通話可能な状態になったことを条件として、前記緊急連絡音声メッセージの再生を開始する緊急連絡音声メッセージ再生手段と、
前記緊急連絡音声メッセージ再生手段により前記緊急連絡音声メッセージの再生が開始されたことを条件として、前記緊急連絡音声メッセージの再生が中断されたかを判断する緊急連絡音声メッセージ判断手段と、
を備え、
前記緊急連絡先決定手段は、前記緊急連絡音声メッセージ判断手段により前記緊急連絡音声メッセージの再生が中断されたと判断されたことを条件として、次の優先順位の緊急連絡先を決定し、
前記通報手段は、前記緊急連絡先判断手段により次の優先順位の緊急連絡先についてなされた判断に基づいて、前記聴覚メッセージ連絡先に発呼または前記視覚メッセージ連絡先に画像あるいは文章を送信することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の緊急連絡通報装置。
【請求項4】
前記通報手段により前記聴覚メッセージ連絡先に発呼されたことを条件として、通話可能な状態になってから通話可能な状態が終了するまでの通話可能状態時間を計測する第二の計測手段を備え、
前記緊急連絡先決定手段は、前記第二の計測手段により計測された通話可能状態時間が、第二の設定時間に比べ短いことを条件として、次の優先順位の緊急連絡先を決定し、
前記通報手段は、前記緊急連絡先判断手段により次の優先順位の緊急連絡先についてなされた判断に基づいて前記聴覚メッセージ連絡先に発呼または前記視覚メッセージ連絡先に画像あるいは文章を送信、することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の緊急連絡通報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−154181(P2010−154181A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329593(P2008−329593)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】