説明

繊維芽細胞増殖因子レセプター−1阻害物質及びその治療方法

本発明は、繊維芽細胞増殖因子レセプター(FGFR)-1(IIIb), FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4(IIIc)に特異的な抗体、又はその断片に関連する。そしてまた、本明細書中、これら抗体をコードする核酸を含んで成るベクター及び宿主細胞が供されている。本発明は更に、肥満症、糖尿病、及び/又はそれに関連する症状に関する治療、食物摂取又は総体重を下げることなど、FGFR-1及び/又はFGFR-4を拮抗させること及び中和させる方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維芽細胞増殖因子レセプター(FGFR)-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4(IIIc)に特異的である抗体、又はその断片に関連する。本発明は更に、食物摂取又は総体重を下げることを含む、肥満症、糖尿病、及び/又はそれらに関連する症状に関する治療としてFGFR-1及び/又はFGFR-4を拮抗させる方法及び中和する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
維芽細胞増殖因子(FGF)経路は一般に、多くの生理学的プロセス、例えば、発生の間の形態形成並びに既存の血管に由来する抹消内皮細胞の増殖、移動、及び組織浸潤を伴う新たな血管を伸ばす方法である血管形成に関連する。FGFは、形質転換増殖因子(TGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、及び血小板由来の増殖因子(PDGF)に伴う血管形成の考えられる調節物質として関係するある種の因子である。FGF経路は、ニューロン生存及び創傷治癒にも関連する。それらはまた、多くの病理過程において重要であるとも考えられている。
【0003】
特に、FGFR-1は、ガン及び関節炎などの疾患にも関わると示唆されている。代謝の例えば、摂食行動及び脂肪組織増殖におけるFGF経路の関与が示唆されているが、これらの発見は、代謝を制御する基本的メカニズムを引き起こすかどうかは明らかではない。例えば、マウスで行われた最近の研究は、基底膜タンパク質との組み合わせにおいて、FGF-2の注射は、当該注射の部位における脂肪組織の増殖を誘導することができる。このことは、局所的に生産されたFGFは実際、傍分泌態様において脂肪生成に影響を与え、それによって体内の脂肪組織の地域的分布に影響を与えることが示唆されており、そしてどちらも2型の糖尿病及び心臓病に深く関わる脂肪組織とインスリン耐性の関係は十分に立証されている。
【0004】
繊維芽細胞増殖因子レセプター(FGFR)は、共通する構造的特徴を有し且つ2又は3個のIg-様ループ及び独特の酸領域を含む細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン並びに細胞質領域からなりそれはチロシンキナーゼ触媒領域及びキナーゼ挿入領域を含む。FGFRは、レセプターチロシンキナーゼファミリーのタンパク質のサブクラスIVに属する。これらのレセプターは、FGFに対して重複するパターンで結合する。22のFGFは5つのFGFRに対してFGFリガンド傍分泌相互作用において作用することが確認されている。
【0005】
FGFR-1は、IIIb及びIIIcと命名されたレセプターの細胞外構造の第三のIgG様ドメインのアミノ酸置換によって互いに異なる2つの代替的なスプライシング形態を有し、FGFR-4は一つの形態を有する。これらの置換は、レセプターの結合ドメインの一部であると考えられており、それ故、個別のリガンド特異性を有するよう2つのスプライシング形態を生じる可能性が大いにある。2つの形態は、示差的に発現することも示されており、それはFGFR-1が介在する複合機能の絶妙なコントロールメカニズムの一部でありうる。
【0006】
リガンド結合は、ヘパリン硫酸塩の存在によって増強され、FGFRのダイマー化を生じさせ且つ特異的細胞内シグナル伝達経路 (Bellotら 1991)を活性化する。レセプターは、自己リン酸化され、従って下流細胞内経路を活性化することができる。様々な細胞内反応のなかでも、増殖の刺激又は分化の誘導は、FGFR-1介在シグナル伝達について共通に確認されている。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本発明は、繊維芽細胞増殖因子レセプター(FGFR)-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4(IIIc)に特異的な抗体、又はその断片並びにこれらの抗体又はその断片をコードする核酸に関連する。かかる核酸を含んで成るベクター及び宿主細胞は、これらの抗体を生産するためにも提供されている。
【0008】
本発明は、肥満症(又は肥満症に関連した症状)、糖尿病(又は糖尿病に関連した症状)を治療する方法並びに/又は、FGFR-1及び/もしくはFGFR-4アンタゴニストを必要とする哺乳動物へ治療上有効な量投与することによって、食物摂取を減らす方法をも供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、繊維芽細胞増殖因子レセプター(FGFR)-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、又はFGFR- 4(IIIc)に特異的な精製された抗体、又はその断片を提供する。FGFR-1(IIIb)及び/もしくはFGFR-1(IIIc)、及び/もしくはFGFR-4(IIIc)に特異的な抗体の例は、FR1-H7(図1)である。FR1-H7に関する本明細書中の記載は、FGFR-1(IIIb)及び/又はFGFR-1(IIIc)に特異的な全ての抗体に当てはまるものと理解されるべきである。FR1-A1は、FGFR-1(IIIc)及び/又はFGFR-4(IIIc)(図2)に特異的な抗体の例である。FR1-H7に類似して、FR1-A1に関する本明細書中全ての記載は、FGFR-1(IIIc)及び/又はFGFR-4(IIIc)に特異的な全ての抗体にあてはまる。FR1-4Hは、少なくともFGFR(IIIb)(図28)に対して特異的な本発明の抗体の例である。好適に、本発明の抗体、又はその断片は、FGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、又はFGFR-4(IIIc)の細胞外ドメインに結合し、そしてレセプターの活性化を中和する。一層好適に、本発明の抗体、又はその断片は、FGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)又はFGFR-4(IIIc)のリガンドのそのレセプターへの結合を阻害する。
【0010】
天然に生じる抗体は典型的に2つの同一の重鎖及び2つの同一の軽鎖を有し、そして各軽鎖は重鎖へ鎖間ジスルフィド結合及び更に2つの重鎖を他へ結合させる多数のジスルフィド結合によって互いに結合する。個々の鎖は、類似のサイズ(110〜125アミノ酸)及び構造を有するが、機能は異なるドメインへと折りたたむことができる。軽鎖は、1つの可変領域(VL)及び/又は1つの定常領域(CL)を含んで成ることができる。重鎖は、1つの可変領域(VH)及び/又は、抗体のクラス又はイソタイプに依存して、3又は4個の定常領域(CH1、CH2、CH3及びCH4)を含んで成る。ヒトにおいて、イソタイプはIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMであり、そしてIgA及びIgGは更に、サブクラス又はサブタイプ(IgA1-2及びIgG1-4)に分けられる。
【0011】
一般に、可変領域は、抗体ごとに、特に抗原結合部位の位置において相当のアミノ酸配列の可変性を示す。これらの、超可変領域又は相補性決定領域(CDR)とよばれる領域は、フレームワーク可変領域と呼ばれる可変性が少ない領域によって支えられている各VL及びVHにおいて発見される。
【0012】
VL及びVHドメインからなる抗体の部分は、Fv(可変断片)と命名され且つ抗原結合部位を構築する。単鎖Fv(scFv)は、ポリペプチド鎖上にVLドメイン及びVHドメインを含む抗体断片であり、ここで1つのドメインのN末端及び他のドメインのC末端は柔軟性のあるリンカーによって結合されている(例えば、U.S.特許No.4,946,778号(Ladnerら);WO88/09344(Hustonら)を参照のこと)。WO92/01047(McCaffertyら)は、バクテリオファージなど、可溶性組換え遺伝子ディスプレーパッケージの表層上のscFv断片のディスプレーを示す。
【0013】
単鎖抗体を生産するための使用されたペプチドリンカーは、VL及びVHドメインの適切な3次元折りたたみが確実に生じるように選択された柔軟性のあるペプチドでありうる。リンカーは、一般に10〜50アミノ酸残基である。好適に、リンカーは、10〜30アミノ酸残基である。一層好適に、リンカーは、12〜30アミノ酸残基である。15〜25アミノ酸残基のリンカーが最も好適である。かかるリンカーペプチドの例は、4つのグリシンのあとにセリンが続くリピートを含む。
【0014】
単鎖抗体は、全体抗体(そこからそれらが誘導された)の定常領域の全部又は一部を欠く。従って、それらは、全体抗体を使用することに関連したいくつかの問題を解消することができる。例えば、単鎖抗体は、重鎖定常領域と他の生物分子の間での所定の不都合な相互作用がない傾向がある。更に、単鎖抗体は、全体抗体よりも非常に小さく且つ全体抗体よりも大きな透過性を有し、単鎖抗体が局在化して一層効率的に標的抗原結合部位へ結合することを可能にする。更に、比較的小さいサイズの単鎖抗体は、全体抗体よりも、受容者における不都合な免疫反応を誘発する可能性を少なくする。
【0015】
多数の単鎖抗体(各単鎖が第一のペプチドリンカーによって共有結合した1個のVH及び1個のVLドメインを有する)は、単一特異的又は多特異的でありうる、多価単鎖抗体を形成するために、少なくとも1又は数個のペプチドリンカーによって共有結合させられて良い。多価単鎖抗体の各鎖は可変軽鎖断片及び可変重鎖断片を含み、そして少なくとも1つの他の鎖にペプチドリンカーによって結合させられている。ペプチドリンカーは、少なくとも15個のアミノ酸残基からなる。アミノ酸残基の最大数は約100である。
【0016】
2個の単鎖抗体は、二価ダイマーとしても知られている、ジアボディ(ジアボディ)を形成するために組み合わされて良い。ジアボディは、2個の鎖と2個の結合部位を有し、そして単一特異性又は二重特異性でありうる。ジアボディの各鎖は、VLドメインに連結したVH ドメインをともなう。このドメインは、同じ鎖上のドメイン間でのペアリングを予防するために十分短く、従って、異なる鎖上のドメイン間でのペアリングを駆動し2つの抗原結合部位を再度生み出す。
【0017】
3つの単鎖抗体は、3価抗体としてもしられるトリアボディー(triabodies)を形成するように組かされて良い。トリアボディーは、VL又はVHドメインのカルボキシル末端に直接、即ちリンカー配列を何ら伴わずに、融合したVL又はVHドメインのアミノ酸末端を伴い構築されている。トリアボディーは、環状に、頭〜尾の態様で配列されたポリペプチドを有する3つのFvヘッドを有する。トリアボディーの考えられる構造は、互いに120度の角度で平面的に位置した3つの結合部位と平面的である。トリアボディーは単一特異性、二重特異性又は三重特異性である。
【0018】
Fab(断片、抗原結合)とは、VLCLVHCH1ドメインからなる抗体の断片を意味する。ペプシン消化の後に生じたものは単に、Fabに言及され且つ重鎖ヒンジ領域を維持しない。ペプシン消化の後、重鎖ヒンジ領域を維持する様々なFabが生じる。完全な鎖間ジスルフィド結合を有する断片は、F(ab')2に言及され、一方で、単鎖Fab'は、ジスルフィド結合が維持されないときに生じる。F(ab')2断片は、単一特異的Fab断片よりも抗原に対するより高い親和性を有する。
【0019】
Fc(断片結晶化)とは、ペアになった重鎖定常ドメインを含んで成る抗体の断片又は部分の名称である。IgG抗体において、例えば、Fcは、CH2及びCH3ドメインを含んで成る。IgA又はIgM抗体のFcは更にCH4ドメインを含んで成る。Fcは、Fcレセプター結合、補体介在細胞傷害性及び抗体-依存性細胞傷害性(ADCC)の活性化に関連する。多数のIgG様タンパク質の複合体である、抗体の例えば、IgA及びIgMについて、複合体形成にはFc定常ドメインが必要となる。
【0020】
最後に、ヒンジ領域は、抗体のFab及びFc部分を分離し、 Fabの互いに対する、そしてFcに対する移動性を提供し、並びに2つの重鎖の共有結合のための多数のジスルフィド結合を伴う。
【0021】
従って、本発明の抗体は、限定されないが、 天然に生ずる抗体、二価断片の例えば、(Fab')2、一価断片の例えば、Fab、単鎖抗体、単鎖Fv (scFv)、単一ドメイン抗体、多価単鎖抗体、ジアボディ、トリアボディーなど抗原と特異的に結合する抗体が挙げられる。抗体断片には、本発明の抗体の可変領域又は超可変領域のアミノ酸配列に実質上類似するアミノ酸配列を伴うポリペプチドをも含む。実質上、同じアミノ酸配列とは、本明細書中、70%以上、好適に約80%以上、そして一層好適に約90%以上の相同性を比較したアミノ酸配列に対して、Pearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci USA85,2444-2448 (1988)によるFASTA調査法によって決定した場合に有し且つFGFR-1及び/又はFGFR-2に結合するアミノ酸配列として規定されている。
【0022】
本発明の抗体、又はその断片は、FGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4(IIIc)に対して特異的である。抗体の特異性とは、抗原の特定のエピトープに対する抗体の選択的認識を意味する。例えば、本発明の抗体、又はその断片は、単一特異性又は二重特異性である。二重特異性抗体(BsAb)とは、2つの異なる抗原-結合特異性又は部位を有する抗体である。抗体が複数の特異性を有する場合、認識されるエピトープは単一の抗原又は複数の抗原と結合できうる。従って、本発明は、2つの異なる抗原を結合し、そしてFGFR-1(IIIb), FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4(IIIc)に対する特異性を少なくとも1つ有する二重特異性抗体、又はその断片を提供する。
【0023】
本発明の抗体、又はその断片のFGFRに対する特異性は、親和性及び/又は結合力に基づき決定されて良い。抗原と抗体(Kd)の解離に関する平衡定数によって表される親和性は、抗原性決定基と抗体-結合部位との間の結合強度を測定する。結合力は、抗体とその抗原との間での結合の強度を測定する。結合力は、エピトープとその抗体上の抗原決定部位の間の親和性、及び抗体のバランスの両方に関連し、それは特定のエピトープの抗原結合部位の数に言及される。抗体は、典型的に、解離定数(Kd)10-5〜10-11 L/mol(例えばKD<100nM)をもって結合する。10-4L/mol未満のKdは全て、一般に非特異的結合を示すと考えられる。Kdの値がより小さくなれば、抗原決定基と抗体結合部位の間の結合強度はより強くなる。
【0024】
本発明は、FGFR-1(IIIb)及び/もしくはFGFR-1(IIIc)、及び/もしくはFGFR-4(IIIc)に対して特異的な精製抗体、又はその断片を提供し、ここで当該抗体は、FGFR1-(IIIb)及び/もしくはFGFR1-(IIIc)及び/もしくはFGFR-4(IIIc)の細胞外ドメインへ結合し且つレセプターの活性化を中和する。本発明はまた、FGFR-1(IIIc)及び/もしくはFGFR-4(IIIc)(FR1-A1)に対して特異的な精製抗体又はその断片を提供し、ここで当該抗体はFGFR-1(IIIc)及び/もしくはFGFR-4(IIIc)の細胞外ドメインへ結合し且つレセプターの活性化を中和する。本発明はまた、FGFR-1(IIIb)(FR1-4H)に対して特異的な精製抗体又はその断片を提供し、ここで当該抗体は、少なくともFGFR-1(IIIb)の細胞外ドメインへ結合し且つレセプターの活性化を中和する。本明細書中、レセプターを中和するとは、シグナルを伝達するレセプターに対して本来備わっているキナーゼの活性を不活性化することである。FGFR-1又はFGFR-4中和のための信頼できるアッセイは、レセプターリン酸化反応の阻害である。本発明は、FGFR 中和の特定のメカニズムに限定されない。いくつかの考えられるメカニズムとしては、FGFリガンドがFGFレセプターの細胞外結合ドメインに結合することを予防すること、レセプターの内在化を誘導すること、及びレセプターのダイマー化又はオリゴマー化を阻害することが含まれる。
【0025】
FGFR-1又はFGFR-4のFGF活性化の中和は、任意の適当な方法によって特定されて良い。例えば、内皮細胞又は非内皮細胞、例えば、脂肪組織又は腫瘍細胞のサンプルにおけるFGFRのFGF活性化の中和は、in vitro又はin vivoで行われて良い。FGFR-1又はFGFR-4発現細胞のサンプルにおけるかかる中和は、細胞と本発明の抗体を接触させることを伴う。In vitroで、細胞は、FGFを当該細胞サンプルに加える前、同時又は後に抗体と接触させられる。
【0026】
更に、本発明は、FGFR1-(IIIb)及び/もしくはFGFR1-(IIIc)もしくはFGFR1-(IIIc)及び/もしくはFGFR4のリガンドがそのレセプターに結合することを阻害する本発明の抗体を提供することである。抗体は、リガンド結合機能を含む代替的スプライシング形態のものであって良い。FGFR1- (IIb)のリガンドのいくつかの例としては、タンパク質繊維芽細胞増殖因子(FGF)-1、-2、-3及び-10が挙げられる。FGFR1-(IIIc)のリガンドのいくつかの例としては、FGF-1、-2、-4、-5、及び-6が挙げられる。FGFR4-(IIIa)のリガンドのいくつかの例としては、FGF-1、-2、-4、-6、-8b、-8e、-8f、-9、-16、-17b、及び-19である(例えば、Endocrine-Related Cancer (2000) 7 165-197 at 165-169, "Fibroblast growth factor, their receptor's and signaling"C. J. Powers, S. W.McLeskey and A. Wellsteinを参照のこと)。
【0027】
好適な実施態様において、本発明の抗体の1、2、3、4、5、又は全6個の相補性-決定領域(CDR)は、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、及び配列番号:6(即ち、FR1-H7のCDRのいずれか1つ)からなる群から選択される。代替的に好適な実施態様において、本発明の抗体の1、2、3、4、5、又は全6個の相補性決定領域(CDR)が、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、及び配列番号:14 (即ち、FR1-A1のCDRのいずれか1つ)を有する。代替的に好適な実施態様において、本発明の抗体の1、2、3、4、5、又は全6個の相補性-決定領域(CDR)が、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、及び配列番号:22からなる群から選択される(即ち、FR1-4HのCDRのいずれか1つ)。
【0028】
本発明の抗体は、他の好適な実施態様において、配列番号:7の重鎖可変配列(即ち、FR1-H7の重鎖可変領域)及び/又は配列番号:8の軽鎖可変配列(即ち、FR1-H7の軽鎖可変領域)を有する。代替的に、本発明の抗体は、好適に、配列番号:15の重鎖可変領域配列(即ち、FR1-A1の重鎖可変領域)又は配列番号:16の軽鎖可変領域配列(即ち、FR1-A1の軽鎖可変領域)を有する。代替的に、本発明の抗体は好適に、配列番号:23の重鎖可変領域配列(即ち、FR1-4Hの重鎖可変領域)又は配列番号:24の軽鎖可変領域配列(即ち、FR1-4Hの軽鎖可変領域)を有する。
【0029】
抗体のCDR及び可変重鎖及び軽鎖の核酸及びアミノ酸配列は配列番号:1〜48に列挙された配列に記載されている。そしてまた、本発明は、本発明の抗体をコードする単離された核酸、抗体同等物又はその断片(配列番号:25〜48)を提供する。本発明の抗体及びそれらの同等物の重鎖及び軽鎖をコードする核酸は、標準的な分子生物技術によって獲得される。本発明の核酸分子は、配列番号:25〜48に対してストリンジェント条件下で結合し且つFGFR-1(IIIb)、FGFR-(IIIc)及び/又はFGFR-4(IIIc)に結合することができる機能的に同等なポリペチド抗体サブユニットをコードするものを含む。ストリンジェント条件とは、ハイブリダイゼーションのための条件、例えば、0.5MのNaHP04、7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mMのEDTA中、65℃でのフィルター-DNA結合に対するハイブリダイゼーション、並びに68℃で0.1×SSC/0.1% SDSにおける洗浄(Ausubel F. M. ら, 著, 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Vol.I, Green Publishing Associates,Inc., and John Wiley & sons,Inc., New York, p. 2.20. 3)又は穏和なストリンジェント条件、42℃で0.2SSC/0. 1%SDSにおける洗浄(Ausubelら, 1989 supra)を意味する。
【0030】
本発明のモノクローナル抗体、例えば、FR1-H7、FRl-A1及びFR1-4Hは、当業者に公知の方法によって生産されて良い。これらの方法としては、Kohleer及びMilsteinによるNature 256,495-497 (1975)及びCampbellの"モノクローナル抗体 Technology, The Production and Characterization of Rodent and human Hybridomas"、Burdonら著, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Volume 13, Elsevier Science Publishers, Amsterdam (1985)による免疫学的方法;並びにHuseらによるScience 246,1275-1281 (1989)に記載の組換えDNAによる方法が挙げられる。
【0031】
本発明の抗体は、哺乳動物を可溶性FGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、又はFGFR-4(IIIc)で免疫化することにより調製されて良い。可溶性レセプターは、それら自身免疫原として使用されて良い、又は担体タンパク質もしくは他の対象物、例えば、ビーズに、即ち、セファロースビーズに結合させられることにより使用されて良い。哺乳動物が抗体を生産した後、抗体生産細胞の例えば脾臓細胞の混合物が単離される。モノクローナル抗体は、個々の抗体生産細胞を混合物から単離することによって及びそれらを腫瘍細胞の例えば、骨髄腫細胞と融合させることにより不死化することによって生産されて良い。生ずるハイブリドーマは、培養物中で維持され、そしてモノクローナル抗体を発現し、それは当該培養培地から収穫される。
【0032】
抗体は、FGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、又はFGFR-4(IIIc)を発現する細胞の表層へ結合した、FGFR-1 (IIIb)、FGFR-1(IIIc)、又はFGFR-4(IIIc)から調製されても良い。これらのレセプターが結合しうる細胞は、好適に個々のレセプターを発現することが知られているものであって良く、例えば、ヒトFGFR-1(IIIb)は細胞の例えば、繊維芽細胞、内皮細胞、所定の上皮細胞、flg-1、cek-1、血管平滑筋細胞、リンパ球上で発現されており、ヒトFGFR-1(IIIc)は例えば、マクロファージ細胞、造血系前駆細胞、及び多くの腫瘍細胞上で発現されており、そしてヒトFGFR-4(IIIc)は、胚性肝細胞及び多分化能肝細胞などの細胞上で発現されて良い(R & D Systems, Cytokine Mini-Review, 2001"FGFR expression"を参照のこと)。代替的に、レセプターが結合している細胞は、FGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、又はFGFR-4(IIIc)をコードするDNAがトランスフェクションされていて良い。
【0033】
FGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、又はFGFR-4(IIIc)は、本発明の抗体を生じさせるために免疫原として使用されて良い。レセプターペプチドは、天然の源の例えば、上記レセプターを発現する細胞から獲得されうる。そしてまた、合成レセプターペプチドは、商業上入手可能な機械及び対応するアミノ酸配列を使用することで獲得されて良い(Endcrine-Related Cancer (2000)7 165-197のp.174を参照のこと)。更に代替的に、FGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、又はFGFR-4(IIIc)をコードする核酸の例えば、cDNA又はその断片は、クローニングされて発現され、そして生ずるポリペプチドは回収され、そして本発明の抗体を生じさせるために免疫源として使用されて良い。レセプターであって、それに対して抗体が生産される上記レセプターを調製するために、FGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、又はFGFR-4(IIIc)をコードする核酸分子、又はその部分、特にその細胞外部分は、標準的な組換えDNA技術を使用することで宿主細胞中での発現のための公知のベクターに挿入されて良い。かかる核酸分子の適切な源には、FGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、又はFGFR-4(IIIc)を発現する細胞が含まれる。
【0034】
本発明は、本発明の抗体、その断片をコードするコントロール配列に作用可能式に連結した核酸を含む発現ベクター、並びにかかる発現ベクターを含む宿主細胞をも提供する。これらの宿主細胞は、本発明の抗体、その断片の発現を可能にし、次いで当該抗体が当該宿主細胞から精製できうる特異的条件下で培養されて良い。
【0035】
重ねて、標準的な組換え技術及び公知の発現ベクターが本発明の抗体を発現させるために使用されて良い。タンパク質を細菌、特に、大腸菌(E.Coli)中で発現させるためのベクターが公知である。かかるベクターとしては、DieckmannとTzagoloff in J. Biol. Chem. 260,1513-1520 (1985)によって記載されたPATHベクターが挙げられる。これらのベクターは、カルボキシル末端におけるポリリンカーが続くアントラニル酸塩シンセターゼ(TrpE)のコードするDNA配列を含む。他の発現ベクター系は、β-ガラクトシダーゼ(pEX);λPL;マルトース結合タンパク質(pMAL);及びグルタチオンS-トランスフェラーゼ(pGST)が挙げられる(Gene 67,31 (1988) ペプチド Research 3,167 (1990)を参照のこと)。
【0036】
酵母において有用なベクターが入手可能である。適切な例は、2μプラスミドである。哺乳類細胞における発現のために適したベクターも公知である。かかるベクターには、周知のSV-40の誘導体、アデノウィルス、レトロウィルス誘導DNA配列及び上記の機能的哺乳類ベクターの組合せから誘導されたシャトルベクター、機能的プラスミド及びファージDNAが含まれる。
【0037】
更なる真核発現ベクターは当業者に公知である(例えば、P. J. SouthernとP. Berg, J. Mol. Appl. Genet.1, 327-341 (1982); S.Subramani ら., Mol. Cell. Biol. 1, 854-864 (1981); R. J.KaufinannとP. A. Sharp, "Amplification And Expression Of Sequence Cotransfected with A Modular Dihydrofolate Reductase Complementary DNA Gene, "J. Mol. Biol. 159,601-621 (1982); R. J.KaufmannとP. A. Sharp, "Amplification And Expression Of Sequence Cotransfected with A Modular Dihydrofolate Reductase Complementary DNA Gene, "J. Mol. Biol. 159,601-664(1982) ; S. I. Scahill ら., "Expression And Characterization Of the Product Of A Human Immune Interferon DNA Gene In Chinese Hamster OvaryCells,"Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80,4654-4659 (1983); G. Urlaub and L. A. Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77,4216-4220, (1980) )を参照のこと。
【0038】
本発明において有用な発現ベクターは、発現されるDNA配列又は断片に作用可能式に結合した少なくとも1つの発現コントロール配列を含む。コントロール配列は、クローニングされたDNA配列の発現をコントロールして調節するためにベクター中に挿入されて良い。有用な発現コントロール配列の例は、lac系、trp系、tac系、trc系、ファージλの主要なオペレーター及びプロモーター領域、fdコートタンパク質のコントロール領域、酵母の糖分解プロモーター、例えば、 3-ホスホグリセリン酸塩キナーゼのためのプロモーター、酵母酸フォスファターゼのプロモーター、例えば、Pho5、酵母α交雑因子のプロモーター、並びにポリオーマ、アデノウィルス、レトロウィルス、及びシマンウィルスに由来するプロモーター、例えば、早期及び晩期プロモーター又はSV40、並びに他の原核又は真核細胞の遺伝子の発現をコントロールすることが知られている他の配列及びそれらのウィルス又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
コントロールシグナル及び発現されるDNAを含むベクター、例えば、本発明の抗体、その同等物、又はFGFR-1 (IIIb)、FGFR-1 (IIIc)、又はFGFR-4をコードするDNAを含むベクターも発現のために宿主細胞中に挿入されて良い。いくつかの有用な発現ベクターには、周知の原核及び真核細胞が含まれる。いくつかの適切な原核宿主には、例えば、E. coliの例えば、E. coli SG-936、E. coli HB101、E. coli W3110、E.coli X1776、E.coli X2282、E.coli DHI、及びE.coli MRC1、シュードモナス(Pseudomonas)、バチルス(Bacillus)の例えば、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、及びストレプトミセス(Streptomyces)が挙げられる。適切な真核細胞としては、酵母及び他の真菌、昆虫、動物細胞、例えば、COS細胞及びCHO細胞、組織培養におけるヒト細胞及び植物細胞が挙げられる。
【0040】
抗体を生産する方法は、本発明の抗体をコードする核酸配列を含んで成るベクターを含んで成る宿主細胞を当該抗体の発現を可能にする条件下で培養することを含んで成る。適切な培地中で維持された宿主細胞の発現に続き、ポリペプチド又は発現されるペプチド、例えば、本発明の抗体、その同等又はFGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、もしくはFGFR-4 (IIIc)をコードするものが、培地から単離され、そして当業者に公知の方法によって精製されて良い。もし、ポリペプチド又はペプチドが培養培地中に分泌されれば、宿主細胞は単離及び精製前に溶解されて良い。
【0041】
本発明は更に、本発明の抗体及びその断片及び医薬的に許容できるその担体を含んで成る医薬組成物を提供する。
【0042】
本明細書中で使用された担体としては、医薬的に許容できる担体、賦形剤、又は安定化剤が含まれ、それらは、細胞又は哺乳動物に使用される所定の濃度及び投与量で曝されるそれらに無毒性である。往々にして、薬理学的に許容できる担体は水性pHバッファー溶液である。薬理学的に許容できる担体の例としては、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸;抗酸化物質の例えば、アスコルビン酸;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマーの例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸の例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリジン;単糖類、二糖類、及び他の炭水化物の例えば、グルコース、マンノース、又はデキストリン;キレート剤の例えば、EDTA;糖アルコールの例えば、マンニトール又はソルビトール;塩形成対イオンの例えば、ナトリウム; 及び/又は非イオン界面活性剤の例えば、TWEENY(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICSO(登録商標)が挙げられる。
【0043】
活性成分は、マイクロ粒子(例えば、界面重合によって調製された、例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)、コロイド状薬物デリバリーシステム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ粒子、及びナノカプセル)、又はマクロエマルション中に封入されて良い。in vivo投与のために使用される製剤は、滅菌されなければならない。これは、滅菌ろ過膜を介するろ過により容易に達成されて良い。持続放出製剤が調製されて良い。持続放出製剤の適切な例には、抗体を含む固体状疎水性ポリマーの半透過性マトリクスが含まれ、そのマトリクスは形の決まった粒子、例えば、フィルム、又はマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリクスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(U.S.特許No. 3,773, 919)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタミン酸塩のコポリマー、非分解性エチレン-ビニル酢酸、分解性乳酸-グリコール酸コポリマーの例えば、DUPRON DEPOT(登録商標)(乳酸クリコール酸コポリマーと酢酸ロイプロリドからなる注射可能ミクロスフィア)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。ポリマーの例えば、エチレンビニル酢酸及び乳酸グリコール酸は100日に渡り分子の放出を可能にする一方で、所定のヒドロゲルはタンパク質を所定のより短い時間に渡り放出する。
【0044】
封入された抗体が体内に長期に渡り残った場合、37℃において湿気に曝した結果:それらは変性又は凝集し、生物活性の低下及び免疫原性の考えられる低下がもたらされる。合理的な戦略が、関連するメカニズムに依存して安定化のために設計されて良い。例えば、もし凝集メカニズムが、チオジスルフィド交換による分子間S-S結合であると発見されれば、安定化は、スルフヒドリル残基を修飾すること、酸性溶液から凍結乾燥すること、含水率を調節すること、適切な添加剤を使用すること、及び特異的なポリマーマトリクス組成物を開発することによって達成されて良い。
【0045】
FR1-H7、FRl-A1もしくFR1-4Hもしくはその断片を同定する方法は、抗体断片のライブラリーを提供すること、FGFR1-IIIb及び/もしくはFGFR1-IIIcもしくはFGFR1-(IIIc)及び/もしくはFGFR-4 (IIIc)のに特異的である抗体のライブラリーをスクリーニングすること、並びにFGFR1-IIIb及び/もしくはFGFR1-IIIcもしくはFGFR1-(IIIc)及び/もしくはFGFR-4(IIIc)に特異的である抗体のライブラリーを精製することを伴うことができる。従って、本発明は、繊維芽細胞増殖因子レセプター(FGFR)-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、又はFGFR-4(IIIc)特異的抗体、又はその断片を同定するための方法を供し、それは次の通りである: (i)抗体断片のライブラリーを提供し(ii) FGFR-1(IIIb)及び/もしくはFGFR-1(IIIc)に特定である抗体又は FGFR-1(IIIc)及び/もしくはFGFR-4に特異的である抗体のライブラリーをスクリーニングし、そして(iii)FGFR-1(IIIb)及び/もしくはFGFR-1(IIIc)に特異的である抗体又はFGFR-1(IIIc)及び/もしくはFGFR-4に特異的である抗体を精製することである。ライブラリーのスクリーニングには(i)固体支持体に結合したFGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4を有するアフィニティーマトリクスを提供し、(ii)当該アフィニティーマトリクスと抗体断片のライブラリーを接触させ、そして(iii)当該アフィニティーマトリクスに結合する抗体断片を、アフィニティーマトリクスに結合しない抗体断片から分離することを伴いうる。これらの方法は、抗体を同定するために使用することができうる。
【0046】
ヒト抗体は、ファージディスプレーライブラリー[HoogenboomとWinter, J. Mol. Biol. , 227: 381 (1991); Marks ら , J. Mol. Biol. , 222: 581 (1991) ]など当業者に公知の様々な技術を使用することで生産されてもよい。Coleら及びBoemerらの技術もヒトモノクローナル抗体の調製のために使用可能である(Coleら, monoclonal antibody及びCancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985) 及びBoemerら, J. Immunol., 147 (1) : 86-95 (1991)]。類似して、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン座をトランスジェニック動物の例えば、マウスに導入することによって調製されて良く、ここでこのマウスの免疫グロブリン遺伝子は部分的に又は完全に不活性化されている。チャレンジにより、ヒト抗体 生産が確認され、それは全ての観点において、例えば、遺伝子再配置、集合、及び抗体のレパートリーにおいてヒトにおいて確認されることに非常に似ている。この方法は、例えば、U. S.特許No.5,545,807;5,545,806;5,569,825;5,625,126;5,633,425;5,661,016及び以下の科学刊行物に記載されている:Marksら, Bio/Technology 10, 779-783 (1992);Lonbergら, Nature 368856-859 (1994); Morrison, Nature 368, 812-13 (1994);Fishwildら, Nature Biotechnology 14,845-51 (1996);Neuberger, Nature Biotechnology 14,826 (1996);LonbergとHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13 65-93 (1995).
【0047】
精製された抗体は、その天然の環境の成分から同定され且つ分離されそして/又は回収されてきたものである。抗体の治療使用又は診断使用と干渉するだろうその天然の環境の混入成分、物質には、酵素、ホルモン及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶解物が含まれて良く、一般に除去される。
【0048】
本発明のモノクローナル抗体は、常用の免疫グロブリン精製方法の例えば、タンパク質A-セファロース、ヒドロリルアパタイト(hydrolyapatite)クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィーなどによって培養培地もしくは腹水症(ascites)から単離もしくは精製されて良い。
【0049】
本発明は更にFR1-H7及び/もしくはFR1-A1及び/もしくはFR1-4Hを同定及び単離する方法を供し、ここでライブラリーをスクリーニングすることは、FGFR1-(IIIb)、FGFR1-(IIIc)、FGFR-4(IIIc)を有するアフィニティーマトリクス及び/又は代替的に、固体支持体に結合したリガンド基(rigand binding function)を含むスプライシング形態を提供し、当該アフィニティーマトリクスと抗体断片のライブラリーを接触させ、そして当該アフィニティーマトリクスを結合しない抗体断片に由来する当該アフィニティーマトリクスへ結合する抗体断片から分離することを含んで成る。
【0050】
固体支持体とは、FGFR-1(IIIb)、FGFR-1 (IIIc)、又はFGFR-4(IIIc)が接着することができる非水性マトリクスを意味する。固体支持体の例は、本明細書中、部分的又は全体的に、ガラス(例えば、決まった孔経のガラス)、多糖類(例えば、アガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール及びシリコンから形成されたものを含む。所定の実施態様において、背景に依存して、固体相はアッセイプレートの壁を含んで成り; 他には、それは精製カラム(例えば、アフィニティークロマトグラフィーカラム)である。この用語は、U.S.特許第4,275,149に記載されたような粒子が個別の不連続な固体相をも含む。
【0051】
治療上有効な量のFGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4アンタゴニストを必要とする哺乳動物へ投与することを伴う治療の方法も本発明によって供されている。これらの方法が有用である症状としては、肥満症又は肥満症関連した症状、及び糖尿病又は糖尿病関連した症状が挙げられる。特異的な症状としては、限定はされないが、高血圧、心臓病、及び血管形成が挙げられる。この方法はまた、食物摂取、体格指数を下げること、又はエネルギー代謝を変えるために有効である。更に、これらの方法は、血清トリグリセリド及びレプチン量を調節することにおいて有効でありうる。
【0052】
肥満症に関連した症状とは、肥満症により悪化される又は肥満症の結果である症状に言及され、例えば、限定はされないが、皮膚疾患の例えば、感染症、静脈瘤、黒色表皮症、及び湿疹、運動不耐性、糖尿病(2型)、インスリン不耐性、高血圧、高コレステロール血症、胆石症、整形外科傷害、血栓塞栓症、ガン、及び冠状動脈(又は心臓血管)心臓病、特に個体における高トリグリセリド及び遊離酸に関連した心臓血管症状のもの、関節炎、日中の眠気、末期腎臓病、胆嚢疾患、痛風、心臓疾患、免疫欠損、呼吸機能不全、創傷後感染症、不妊症、肝臓疾患、より下の背部痛、産科学及び婦人科学合併症、疼痛、膵炎、動悸、外科的合併症、緊張性尿失禁である。
【0053】
治療とは、動物における任意の治療を意味し且つ:(1)予め疾患にかかっていて良いがまだ当該疾患の症状を経験していない又は示していない哺乳動物において生ずる疾患から守る;例えば、臨床症状の発生を予防すること;(2)疾患を阻害する、例えば、その発生を抑制すること;又は(3)疾患を緩和する、例えば、疾患の症状を退化させることを含む。
【0054】
疾患の治療のために有効な量とは、それを必要とする哺乳動物へ投与された場合、上記のように、当該疾患を治療するために十分な量を意味する。
【0055】
そしてまた、本発明は、糖尿病(2型)又は糖尿病(2型)に関連した症状を治療するための方法であって、哺乳動物へ治療上有効な量のFGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、FGFR-4(IIIc)及び/又はリガンド結合機能を含むアンタゴニストを含む代替スプライシング形態を投与することを含んで成る方法を供する。
【0056】
糖尿病に関連した症状とは、糖尿病の結果又はそれによって悪化した症状に言及され、例えば、限定されないが、心臓及び血管疾患、心臓発作、動悸、脚及び足の血液循環不足、高血圧(high blood pressure)、高血圧(hypertension)、盲目又は視覚障害、腎不全又は感染症、膀胱感染症、神経障害、緩慢に治癒する創傷、足の感染症、又はガム感染症が挙げられる。
【0057】
そしてまた、本発明は、食物摂取を減らす方法であって、必要とする哺乳動物に治療上有効な量のアンタゴニストFGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、FGFR-4(IIIc)及び/又はリガンド結合機能アンタゴニスト有する代替スプライシング形態を投与することを含んで成る方法を供する。
【0058】
治療を必要とする哺乳動物の同定は、当業者の能力及び知識の範囲内である。例えば、臨床上有意な肥満症及び糖尿病、例えば、高血圧症、心臓疾患、血液グルコース量、体重、血清トリグリセリド量、血管形成、及び/又はエネルギー代謝(又は他の関連した疾患)を患う者又は本発明のアンタゴニストを投与するために適切である臨床上かかる有意な疾患を発症する危険性がある者である。臨床医は、もし個体がかかる疾患を有する患者であれば、例えば、臨床試験、生理学的検査及び臨床/家族の履歴を使用することによって容易に特定できる。
【0059】
更に、本発明は、肥満症及び糖尿病に関連した有害な症状の例えば、高血圧症、心臓疾患、血液グルコース量、体重、血清トリグリセリド量、血管形成、及び/又はエネルギー代謝を治療する方法を供する。
【0060】
血管形成とは、予め存在する血管からの抹消内皮細胞の増殖、移動及び組織浸潤を伴い新たな血管を形成するプロセスである。
【0061】
本発明の方法の背景において、アンタゴニストは、FGFR-1 (IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4シグナルに伝達を遮断する生物分子又は小分子であって良い。好適な生物分子は、本明細書中に記載の、抗体及びその断片を含む、抗体又はその断片である。本発明の方法において適切な小分子は、内部的にFGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4を結合し、FGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4リン酸化反応を阻害する。加えて、小分子FGFR-1アンタゴニストは、 ATPがFGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4へ結合することを阻害し、それはFGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)及び/又はFGFR-4に対するATPと競合することを伴いうる。最後に、FGFR-1 (IIIb)、FGFR-1 (IIIc)、及び/又はFGFR-4のこれら小分子アンタゴニストは、チロシンキナーゼ活性を阻害する。好適な小分子としては、SU-6668、PD-173074、SU-5402、CHIR-258、PD-166285又はピリジノ-ピリジンの誘導体A又はBを図30に記載のように含む。
【0062】
本発明は、アンタゴニストがFGFR-1又はFGFR-4シグナル伝達を遮断する小分子である、治療の方法をも供する。FGFR-1又はFGFR-4シグナル伝達は、FGFR-1及び/又はFGFR-4アンタゴニストが内部的にFGFR-1及び/又はFGFR-4を結合し、FGFR-1及び/又はFGFR-4 リン酸化反応を阻害し、ATPがFGFR-1及び/又はFGFR-4に結合することを阻害し、FGFR-1及び/又はFGFR-4に対するATPと競合し、そして/又はFGFR-1及び/又はFGFR-4チロシンキナーゼ活性を阻害することによって遮断される。
【0063】
更に、本発明は、小分子がピリミド-ピリジン、キノリン、インドリンの例えば、図30に記載のもの、並びにSU-6668(3-[2,4-ジメチル-5-(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-インドール-3-イリデンメチル)-1H-ピロール-3-イル]-プロピオン酸)、PD-173074(1-tert-ブチル-3-{6-(3,5-ジメトキシ-フェニル)-2-[4-(エチル-メチル-アミノ)-ブチルアミノ]-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル}-ウレア)、SU-5402(3-[4-メチル-2- (2-オキソ-1,2-ジヒドロ-インドール-3-イリデンメチル)-1H-ピロール-3-イル]-プロピオン酸)、CHIR-258(4-アミノ-5-フルオロ-3-[6-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル]-1H-キノリン-2-オン)、PD-166285 (3-(2,6-ジクロロ-フェニル)-7-[4-(2-ジエチルアミノ-エトキシ)-フェニルアミノ]-1-メチル-1H-キノリン-2-オン)、Sugen Inc. 6,569,868、6,599,902、6,486,185、6,514,981、6,573,293; Institut Pasteur 6,559,126; Agouron Pharmaceuticals, Inc. 6,534,524、6,462,060、6,620,828、6,531,491; Pharmacia & Upjohn Company 6,451,838; Ariad Pharmaceuticals, Inc. 6,576,766、6,482,852、6,573,295; Bridgesら6,602,863; Warner-Lambert Company 6,602,863; Pharmacia & Upjohn Co. 6,451,838.からなる群から選択される治療の方法を供する。
【0064】
本明細書中に記載の方法は、任意の適切な哺乳動物、好適には当該哺乳動物がヒトである、を治療するために使用されて良い。
【0065】
本明細書中に引用された全ての特許及び刊行物は本明細書中それらの全体を参照によって組み込まれている。
【実施例】
【0066】
以下の例は、例示の目的のみであり、本発明の範囲をいかなる場合も限定することを目的としてはいない。この例は、常用の方法の詳細な説明を含まず、例えば、ベクター及びプラスミドの構築、ポリペプチドをコードする遺伝子のかかるベクター及びプラスミドへの挿入、又はプラスミドの宿主細胞への導入において使用されるものを含まない。かかる方法は、当業界で周知のものであり且つ多くの刊行物、例えば、Sambrook, J., Fritsch, E.F.及びManiatis, T.(1989) Molecular Cloning: A laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press.に記載されている。
【0067】
実施例1-アッセイ
ELISAスクリーニングアッセイ
組換えFGF(R & D Systems, Minneapolis, MN)を0.5〜2μg/ml濃度で2時間に渡りImmulon(登録商標)2Bマイクロタイタープレート(ThermoLab Systems, Flanklin MA)上にコーティングした。次いで、このプレートを0.2%のTween20/PBSで洗浄し、そして5%ミルク/PBSで使用前、2時間に渡りブロッキングした。ファージ又は抗体を、5μg/mlヘパリン(Sigma, St Louis, MO)、5%乳、PBSで系列的に希釈した。次いで、組換えFGFR-1(R & D Systems)を加えて最終濃度1μg/mlにした。この混合物を室温で1時間に渡り、FGF-2コーティングしたプレートへ移す前にインキュベートし、そして更に2時間に渡り室温でインキュベートした。次いで、プレートを3回0.2%Tween 20/PBSで洗浄した。結合したレセプターを、供給者の説明に従ってHPR(Pierce Biotechnology Inc.,Rockford, IL)溶液と組み合わせた抗ヒトFcモノクローナル抗体溶液を使用することで洗浄した。データを、コントロールのリガンド-レセプター結合の%阻害として示した。
【0068】
結合アッセイ
PBS中1μg/mlの濃度における組換えFGF(R & D Systems)を室温で2時間に渡り96ウェルプレートにコーティングした。このプレートを3回、0.2%のTween20/PBSで洗浄し、そして5%乳/PBSで使用前に2時間に渡りブロッキングした。FR1-H7又はFR1-A1をこのプレートに加えて、0.2%Tween20/PBSで系列的に希釈した。このプレートを使用前2時間に渡り室温でインキュベートした。捕捉抗体、供給者の説明に従ってHPR(Pierce Biotechnology Inc.,Rockford, IL)溶液と結合させた抗ヒト軽鎖モノクローナル抗体を使用することで検出した。FGFR-1に対する抗体の結合動力学を、製造者により提案された標準的なプロトコールに従いBiaCore(登録商標)3000バイオセンサー(BiaCore Inc.,Piscataway, NJ)を使用することで測定した。BiaCore バイオセンサーを使用することで測定したFR1-H7の結合動態(Kd)は以下の通りである:
FGFR-1b:60 pM
FGFR-1c:40 pM
FGFR-2b:>1 μM
FGFR-2c:>1 μM
FGFR-3b:>1 μM
FGFR-3c:>1 μM
FGFR-4:0.2 μM
【0069】
細胞ベースのブロッキングアッセイ
FGFR-1(IIIc)発現細胞系統をピューロマイシン耐性遺伝子を有するpBABE ベクター(Invitrogen)を使用することでレトロウィルストランスフェクション性L6(ATCC, Manassas, VA)を構築した。トランスフェクションした細胞を10%FBS、DMEM (Invitrogen)中、6-ウェル組織培養プレートにおいてコンフルエントになるまで培養し、ブロッキング実験の前に、細胞を0.1%FBS及び5μg/mlのヘパリンを含むDMEM培地中に37℃で8〜24時間に渡り血清飢餓状態にした。プレートを任意の試薬の添加前に、レセプター内在化を最小化するために、氷上に1時間に渡り置いた。結合実験のために、ヨウ化した組換えFGF-2を様々な濃度でプレートのウェルへ加えた。ブロッキング実験のために、連続希釈したFR1-H7 抗体を加えて細胞と共に、氷上1時間に渡り、各ウェルへヨウ化した組換えFGF-2を加える前に、インキュベート最終濃度15ng/mlになるようにした。結合を0〜4℃で1時間に渡り、その時間の後、溶液を吸引してプレートを氷冷PBSで5回洗浄した。細胞を0.5ml氷冷細胞溶解バッファーで30分に渡り溶解させた。細胞溶解物の放射性をWizard(登録商標)1470自動γ線カウンター (Turku, Finland)で検出した。非特異的相互作用を結合実験で測定し、その実験ではヨウ化FGF-2を200倍過剰の冷リガンドの存在下でインキュベートした。
【0070】
リン酸化反応アッセイ
FGFR-1発現L6細胞を、コンフルエントになるまで、10%FBS、DMEM中、24-ウェル組織培養プレートにおいて培養した。細胞は、5μg/mlへパリン、0.1%FBS、DMEM中で8〜24時間に渡り血清飢餓であった。FR1-H7又はFR1-A1を培地に加えそして細胞表層レセプターと37℃で1時間に渡り結合せしめた。次いで、細胞を20ng/mlのFGFにより37℃で10分に渡り、それらを、氷冷溶解バッファを使用することで、30分に渡り溶解させる前に、刺激した。細胞溶解物をSDS-PAGEに委ね、しかる後にウェスタンブロットに委ねた。膜を、抗-フォスフォ-チロシン抗体(Cell signaling Technology, Inc. , Beverly, MA)で、FGFR-1レセプタターの検出のために、供給者の説明に従って標識した。
【0071】
増殖アッセイ
ヒト臍帯部血管内皮細胞(HUVEC)を96-ウェル組織培養プレートに5×104細胞/mlで播いた。接着の後、細胞を、EGF、VEGF及びFGF-2欠損EMG-2培地(Cambrex, East Rutherford, NJ)中で24時間に渡り静止させた。ウェル中の静止培地を吸引して上記増殖因子を全て含んだEMG-2と置き換えた。抗体を系列的に希釈して、ウェルへ加えた。細胞を37℃で5%CO2を伴い、Muaire(登録商標)DH オートフローインキュベーター(Cryostar Industries,Inc., White Hall, PA) で48〜72時間に渡りインキュベートした。細胞増殖を、1450 Micorbeta液体シンチレーションカウンター(Perkin Elmer, Gaithersburg, MD)を使用することで、3Hチミジンの取り込みをモニタリングすることによって測定した。
【0072】
2週齢(分化を誘導した後)等級2ヒト脂肪細胞を、Zen-Bio Inc. (Research Triangle, NC)から獲得し、そして96-ウェル組織培養プレートにおいて輸送培地中で維持した。FGF-2の脂肪細胞の増殖に対する効果を調べるために、組換えFGF-2(R&Dシステム)を系列的に希釈して、プレートのウェルへ加えた。細胞をインキュベーター中、3Hチミジン取り込みのレベルを測定する前に60時間に渡り増殖させた。FR1-H7の脂肪細胞の増殖に対する効果を評価するために、抗体を系列的に希釈して、当該細胞へ、組換えFGF-2を加える前に、最終濃度15ng/mlになるよう加えた。3H-チミジンの取り込みをインキュベーションの60時間後に測定した。
【0073】
有糸分裂誘導アッセイ
ヒト星状細胞腫G18細胞を96-ウェル組織培養プレート中、5×104細胞/mlの濃度で播いた。細胞を、接着後に、0.1%FBS及び5mg/mlヘパリンを含むRPMI培地(Invitrogen)中で24時間に渡り静置させた。抗体を、連続的に希釈し、ウェルへ加え、そして37℃で1時間に渡り、細胞と共にインキュベートした。次いで、組換えFGF-2を最終濃度5 ng/mlになるよう加えた。細胞をインキュベーター中、37℃で5%CO2を伴い加えた。細胞増殖を、先に記載のように、3H-チミジンの取り込みをモニタリングすることによって24時間後に測定した。
【0074】
動物研究−食物消費、挙動、及び血清グルコース
メス無胸腺ヌードマウス(Crl:NU/NU-nuBR, Charles River Laboratories, Wilmington, MA)を4〜5匹/ケージで収容した。マウスにはオートクレーブにかけた食物(Lab Diet &num;5001, PMI Feeds Inc., St. Louis, MO)及び水を適宜加えた。この研究において使用する全ての動物を、承認された制度上の動物ケア及び使用プロトコール、及びNIHガイドライン(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals, NIH publication no. 86-23,1985)に従って、行った。
【0075】
一つのアッセイにおいて、マウスにFR1-H7を0.19、1.9、及び19mg/kg 体重(n=5/集団)で、腹腔内(i.p.)に注射した。他のアッセイにおいて、マウスに抗体を0.4、4、及び40mg/kg体重で皮下(s.c.)に注射した。コントロールアームにおいて、マウスを生理食塩水i.p.又はs.cで処理した。加えて、マウスの1集団を未処理のままにした(n=4)。全ての処理を生理食塩水中10μl/g体重で与えた。処理を水曜日(0日)に開始し、そして更なる処理を以下、金曜、月曜、及び金曜に行った。この9日処理期間の後、マウスには更なる処理を与えなかった。
【0076】
代替的に、メス無胸腺ヌードマウスには、生理食塩水を、2mg/kg、又は20mg/kgでFR1-A1月曜日(0日)及び水曜日に注射 (i.p.)した。体重を最初の注射、2日目及び5日目の前に測定した。食物摂取/集団を最初の注射の2日後に測定した。
【0077】
全ての動物の体重を3回/週測定した。食物消費、挙動、及び血清グルコースを以下の通り評価した。食物摂取測定:処理前、2日目に、マウスを新たなケージに入れてそして当該ケージの上部における食物容器の重量を測定した。処理前、5日において、食物容器の重量を再度測定した。2日〜5日目の食物容器重量における差をケージあたりのマウスの数及び測定間の日数で割り、食物摂取/マウス/24時間を獲得した。活性測定:最終的な処理の12,3日後、マウスを個別に新たなケージに入れて後脚立ち(rearings)の数を1分の期間に渡り計測した。血液グルコース測定:最終処理の16,7日後に、非絶食血液グルコースを、Ascensia Elite XL 血液グルコースメーター(グルコースオキシダーゼ法, Bayer, Pittsburg, PA)を使用することで尾の先端から回収した血液において測定した。
【0078】
動物研究-エネルギー消費及び体重消費
エネルギーホメオスタシスの概念は、体重減とは、食物消費が減少した、エネルギー消費が増加した又はその両方の組み合わせの結果であることを示唆する。FGFRアンタゴニスト抗体によって誘導された体重減のメカニズムを解明するために、FR1-H7の、マウスのエネルギー消費及び体組成に対する効果を研究した。FR1-H7で処理したマウスは、コントロールのマウスに比べて、体重、食物摂取、筋及び脂肪質量、エネルギー消費及び呼吸変換率(RER)の減少を示した(図26)。ペア-食物供給実験(pained-feeding experiment)も行い、その実験はコントロール抗体処理動物の食物消費を、FR1-H7処理動物のそれへ確実に抑制した(図27)。2つの処理群に由来する動物は、5日の期間において同一の重量減軌跡を示した。更に、2集団において測定した体消費(1日及び5日)及びエネルギー消費は最も区別がつかなかった。これらの結果は、FR1-H7処理によって誘導された体重減は、食物摂取の減少に最も寄与しうるということである。確かに、食物摂取の不足を補うことについて、実験のより後の日におけるRER値のより一層顕著な減少が、より大きく内部エネルギー源に依存すること(即ち、脂質代謝)を示唆する。
【0079】
この研究は、2つの段階からなる。第一段階において、メスC57ブラックマウス(Charles River Laboratories,Wilmington, MA)を2つの集団にランダムに分け(n=16)、そして個々に代謝ケージに収容した。マウスの両方の集団に高炭水化物含有食及び水を適宜与えた。マウスの2つの集団を2日目及び4日目にFR1-H7及びコントロールヒトIgG(10mg/kg体重、腹腔内)で処理した。体重消費を、1日目及び5日目にNMRを使用することで測定した。体重及び食物消費を日々測定した。エネルギー消費、歩行活性、及び酸素消費を連続的にモニタリングした。RERをエネルギー消費及び酸素消費に基づいて計算した。
【0080】
第二段階において、マウスの両方の集団に水を適宜与え、しかし僅か1日あたり2gの高炭化水素含有食のみを各マウスに与えた。与えた食物の量は、FR1-H7 (10 mg/kg体重、腹腔内)で処理した後一日における動物が消費する平均化された日々の食物であることが第一段階実験で測定された。マウスの2つの集団を処理して上記第一段階実験において記載したのと同じ方法でモニタリングした。
【0081】
実験2-モノクローナル抗体(FR1-H7)の単離
Dyax Corp. (Cambridge, MA)に由来するファージディスプレーヒトFabライブラリーを抗-FGFR-1(IIIb) モノクローナル抗体(Fab)クローンについて評価した。ポリスチレンMaxi-ソープ管(75×12mm, Nalge Nunc International, Rochester, NY)を50μgのFGFR-1(IIIb)(R & D Systems, Minneapolis,MN)で一晩コーティングし、そして3%乳/PBSで37℃、2時間に渡りブロッキングした。0.8mlのファージライブラリー(>1013cfu/ml)、200μlの2mg/ml IMC-1C11(ImClone Systems Incorporated, New York, NY)、及び200μlのゲル18%乳/PBSを加えて、2時間に渡り室温において前記管中でインキュベートした。IMC-1C11抗体は、組換えレセプターのFc標識のみと反応性であるFaBクローンの維持を遮断する働きをした。管を0.1% tween-20/PBS (PBST)で15回、しかる後にPBSで15回洗浄した。結合したFab-ファージを、室温で10分に渡り、管を新に調製したトリエチルアミン(SIGMA, St Louis, MO)を伴いインキュベートすることによって溶出させた。この溶出物を、0.5 mlの1Mトリス-HClバッファー、pH7.5が入っている50mlのFalcon管へ移した。ファージを、12.5ml及び1mlの新鮮大腸菌TG1細胞(OD600nm 0. 5〜0.8)を溶出物及びパニング(panning)管へそれぞれ加えることによってレスキューした。大腸菌細胞を振らずに37℃で1時間に渡りインキュベートし、次いで、100rpmで振りながら更に30分に渡りインキュベートした。感染TG1細胞を組み合わせて2×YT(Bio 101(登録商標)systems, Carlsbad, CA)/Amp/グルコース(2×YTAG)中30℃で一晩増殖させ、そして収穫して将来使用するために-80℃で保存した。
【0082】
ファージを、25mlの感染細胞を1mlのM13KO7ヘルパーファージ (Invitrogen, Carlsbad, CA)の存在下で培養することによって増殖させた。この培養物を37℃で振らずに30分に渡り培養し、そして更なる30分に渡り振りながら(225rpm)培養した。細胞培養物を50mlのFalcon(登録商標)管(Becton Dickinson, Franklin lakes, NJ)に移し、そして1,500×gで10分に渡り遠心した。細胞ペレットを次いで25mlの2×YT/Amp/Kan(2×YTAK)培地中で再懸濁させ、新鮮250mlフラスコへ移し、そして30℃で一晩振りながら(225rpm)増殖させた。次いで、培養物を遠心管へ移して7,000×gで10分に渡り遠心した。上清を新鮮遠心管へ慎重に移し、そしてPEG/NaCl溶液(6:1、v:v)と混合した。この混合物を氷上1時間に渡り、そして20,000×gで30分に渡り遠心した。ファージペレットを1ml PBS中で再懸濁させた。
【0083】
パニングを複数回、10μgのFGFR-1(IIIb)をコーティングした管で繰り返した。感染細胞の単一コロニーを、2×YTAGを100μl/ウェル含む96ウェルプレートに植え、そしてファージを10μlのM13KO7ヘルパーファージ(5×1010pfu/ml)の存在下で増殖させた。プレートを37℃で振ることなく30分に渡り、しかる後に30分振りながら(100rpm)インキュベートした。細胞ペレットを2,500rpmで10分に渡る遠心によって調製し、200μlの2×YTAK中で再懸濁し、そして30℃で撹拌(100rpm)しながら一晩インキュベートした。次いで、細胞ペレットを2,500rpmで10分に渡り遠心した。上清を新鮮プレート上に移して6×ブロッキングバッファー(18%乳/PBS)と1時間に渡り混合した。ファージクローンを、下記のように、ELISAブロッキングアッセイにおいてスクリーニングした。ブロッキングクローンを選定しそして可溶性ファージを、ELISAブロッキングアッセイを使用することで、スクリーニングの他の回のために調製した。確認されたブロッカーをフルサイズ抗体へと組み込んだ。
【0084】
実施例3−血清レベルの修飾
FR1-H7抗体の、インスリン、レプチン、グルコース、及びトリグリセリドの血清量に対する短期効果を、4mg/kgの抗体又はコントロールビヒクルをメス無胸腺ヌードマウスに注射することによって検査した。サンプルを回収し、そして処理前並びに処理の6、24及び48時間後に評価した。アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、クレアチン(CPK)、血液尿素窒素(BUN)、総血清タンパク質、及び血清アルブミンレベルを、処理の48時間後に採取した血清サンプルを使用することで測定した。マウスを犠牲にしてそれらの子宮近傍の脂肪体、左前頸骨筋、左腋下腺肝葉の重量を測定し、及び脾臓をも採取した。
【0085】
実施例4-食物摂取の調節
他のマウスの系統、C57ブラックマウス及びdb/dbマウスに対する抗体の重量減少効果を試験した(The Jackson Laboratory, Bar Harbor, Maine)。C57マウスに0.8mg/kg、4mg/kg、及び40mg/kgの抗体及び生理食塩水を、月曜日、水曜日、金曜日に与え、そして次に来る月曜のローテションスケジュール及び9日に体重を各注射前に測定した。
【0086】
db/db7週齢マウスへ皮下に4 mg/kg抗体を、月曜日、水曜、及び金曜のスケジュールで注射し、そして体重を各注射前及び7日に測定した。食物摂取をまた1、2、3、4、及び7日にモニタリングした。db/db動物を7日に犠牲にし、そしてそれらの肩甲骨内褐色脂肪、精巣白色脂肪組織、及び鼠径部白色脂肪組織をサンプリングして重量を測定した。
【0087】
実施例5-InVitro活性(FR1-H7)
ELISA及び免疫沈降を抗体FR1-H7を使用することで行った。Fabをそれらの、FGFがFGFR-1へ結合することを阻害する能力に従いスクリーニングした。抗体の結合特異性を、ELISA結合アッセイを使用することで検証し、そしてその結果を図3に示している。FR1-H7は強力な親和性によりFGFR-1(IIIb)及びFGFR-1(IIIc)と結合するが、他のFGFRのいずれも認識しない。動態分析の結果は、抗体がFGFR-1b及びFGFR-1cへ等しく十分結合することを示した。相互作用のKDは、両方のレセプターについて約50 pMであると測定された。
【0088】
実施例6-リガンド-レセプター結合の阻害(FR1-H7)
図4A及び4Bは、ELISAブロッキングアッセイにおいて測定されたように、FR1-H7のリガンド-レセプター結合に対する阻害効果を示す。2つのFGFR1-結合リガンド、FGF-1(図4A)及びFGF-2(図4B)を、ブロッキングアッセイにおいて試験した。FR1-H7は、組換えFGFR-1(IIIb)及びFGFR-1(IIIc)を十分に、それらがFGF-1に結合することを、約5nMのIC50を伴い阻害することが発見された。この抗体はまた、レセプターがFGF-2に結合することを、2〜5nMの範囲のIC50を伴い阻害するが、それは僅かにFGFR-1(IIIc)よりもFGFR-1(IIIb)を阻害することにおいて一層わずかに有力である。完全に活性のある、天然のFGFR-1レセプターに対する遮断活性を細胞ベースのブロッキングアッセイにおいて測定した。図5Aに示すように、FGFR-1-発現細胞に対するFGF-2の総結合は2つの要素:非特異的結合、及び特異的結合を有する。後者は、総結合の大部分の説明となる。図5Bは、FR1-H7が、125I-FGF-2の細胞への特異的結合を阻害し、そしてこの遮断は200nMの濃度においてほぼ完全であることを示す。IC50は5nMよりも低いと見積もられた。
【0089】
実施例7- In Vitroリガンド介在FGFR-1シグナル伝達、細胞増殖 (FR1-H7)
通常の条件下で、FGFRの活性化はリガンド-依存性である。リガンド結合のFR1-H7による遮断は、最終的にレセプターの自己リン酸化反応の阻害をもたらす。これは、図6で証明されており、ここにおいてウェスタンブロットを抗-フォスフォ-チロシン抗体で活性化されたレセプターのために標識した。即ち上方のブロットは、抗-フォスフォ-チロシン抗体で標識され、そして下方のブロットは、相対ゲルローディングを見積もるための細胞溶解物におけるコントロールタンパク質のバンドを示した。結果は、FR1-H7はそれ自身、レセプターを活性化することなく、そして有意にFGF-2介在レセプターリン酸化反応を阻害することを示す。
【0090】
HUVECは、細胞表層上でFGFR-1(IIIb)を発現することが知られている(Ferning and Gallagher, 1994)。FGFは、内皮細胞の増殖を刺激することが示されており、従ってこれら主要な前血管形成因子であると考えられている。図7は、FR1-H7がHUVECの増殖をin vitroにおいて用量依存態様で阻害したことを示す。これらの結果は、FR1-H7が抗血管形成治療剤として所定の疾患において使用されて良いことを示す。
【0091】
脂肪細胞のin vitroでの増殖に対するFGF経路の効果を、図8に示した。FGF-2は、脂肪細胞の増殖に対して強力な刺激効果を有する。チミジンの取り込みのレベルは、FGF-2の存在下で10倍増加させることができた(図8A)。FR1-H7は、用量依存態様において脂肪細胞のFGF-2-刺激増殖を阻害した(図8B)。
【0092】
実施例8-抗体活性(FR1-H7)
FR1-H7は、用量依存性態様において可逆的重量減をもたらす。FR1-H7のs.c.及びi.p.投与はどちらも、動物の用量依存性体重減少を生じた(図9)。2種類の最低用量、0.19及び0.4mg/kgにおいて、マウスは、未処理動物又はビヒクル処理した動物と同じである僅かな体重増加を有した。1.9mg/kgの用量において、最初の3回の処理以内で総体重の約20%の急激な減少が生じ、次いで、動物の重量は安定化の傾向を示した。穏和な重量減(約0.5g)が、処理を停止した後1週間続いた。これには、体重の急速な回復が続いた。完全な回復は、処理の停止後25日に至り、そしてこの集団の平均重量は、コントロールのものと同じだった。4mg/kgよりも高い用量において、抗体は、用量に依存する同程度の重量減を与えた。急速な重量減は、最初の3回の処理の間に生じ、しかる後に体重の漸新的な安定化が生じた。最大体重減は、コントロールの平均体重の1/3であった。処理の停止後の重量回復は、用量依存態様であるようだ。処理を停止した後の最初の重量増加のラグタイムは、4mg/kg s. c.、40mg/kg s. c.、及び19mg/kg i.p.の抗体処理それぞれについて、14日、19日、及び24日であった。総重量の約50%の異常な減少により安楽死させた19mg/kg集団における1匹の動物を除いて、抗体処理群の全てのマウスは最終的にそれらの体重を完全に回復した。
【0093】
実施例9-食物摂取及び典型的な挙動
第二及び第三処理の間の期間に渡り測定した非絶食食物摂取は、体重を減らしたマウスの集団は約35%まで減らしたが、体重減が生じなかった低用量集団においてはそうではなかった(図10-nu/nuメスマウスにおける食物摂取に対するFR1-H7の効果)。新規環境における分あたりの後脚立ちの数として測定した、マウスの典型的挙動は、抗体処理によって有意に変化していなかった(図11FR1-H7の新規環境における後脚立ち挙動に対する効果;平均+/-SEM)。このことは、劇的な重量減にもかかわらず、マウスが瀕死の状態ではなかったという外観観察と一致する。
【0094】
実施例10-グルコースレベルの調節
非絶食血液グルコースレベルを抗体処理の最後の一週間後に測定した。抗体は見掛上用量依存態様で血液グルコースを減らす(図12A-FR1-H7の非絶食血液グルコースに対する効果;平均+/-SEM)。非常な減少が19mg/kg i.p.及び40mg/kg s.c.集団で生じ、それは、正常なグルコースレベルの1/3の量であった。最終処理後の64、52日に、非絶食血液グルコースを再度測定した。しかし、血清グルコースレベルが正常な範囲に、動物がそれらの体重を完全に回復した64日後に回復した(図12B-重量が完全に回復した後のFR1-H7の絶食血液グルコースに対する効果;平均+/-SEM)。
【0095】
実施例11-脂肪組織、血清トリグリセリド、インスリン、及びレプチンの減少
FR1-H7の短期効果を研究するために、ヌードマウスを、4mg/kgFR1-H7s.c.の単回投与で処理し、そして効果を48時間後にモニタリングした。図13は、(FR1-H7処理後のnu/nuマウスの体重減のグラフである(平均+/-SEM, n=4))、抗体処理が48時間以内で有意な体重減少を生じたことを示す。抗体-処理した集団の平均重量は、コントロール集団に比べて約6%減少していた。この減少の源を調査するために、代表的な組織サンプルの重量測定を行った。図14に示すように(FR1-H7処理の単一投与後の組織重量に対する効果; 各棒は、100×総重量に対する組織重量の比として計算した値を示し;エラー棒は、標準偏差である)、約60%の重量減少が子宮近傍脂肪体で確認され、一方で、筋肉、肝臓、及び脾臓の重量は見かけ上正常であった。
【0096】
図15A〜Dは、FR1-H7が処理後48時間血清グルコースレベルに影響を及ぼさなかったことを示す。しかし、血清トリグリセリド、インスリン、及びレプチンレベルは有意に減少し、FR1-H7は体系的に、動物のエネルギー代謝に影響を及ぼすことを示す。これらは、抗体処理した集団とコントロール集団の間で、ALT、CPK、BUN、総血清タンパク質、及び血清アルブミンのレベルにおいて有意な違いがなく、処理した動物における正常な肝臓、筋肉及び腎機能を示唆する。
【0097】
実施例12-重量減の誘導
図16は、FR1-H7処理によりC57ブラックマウスの用量依存体重減少が生じたが、この効果は、ヌードマウスにおけるよりも劇的ではなかったことを示す。4種の処理後、出発重量に比較しての重量減少は、0.8mg/kg、4mg/kg及び40mg/kg処理集団について、それぞれ約5%、16%及び16%であった。db/dbマウスにおいて、重量減少は、ヌードマウスに比較して一層穏和でさえあった(図17)。7日の期間において、重量減少は次第に生じ、そして7日目に総重量の約10%に到達した。このことは、食物摂取における漸進的減少を伴う(図18)。様々な脂肪組織の分析により、有意な減少が、肩甲骨内褐色脂肪組織で生じたが、精巣白色組織及び鼠径部皮下白色脂肪組織の重量は殆ど変化しなかった(図19)。FR1-H7db/dbマウスによって生じた一層穏和な重量減少は、レプチン経路欠損に寄与しうる、又は単にこれらの動物の脂肪組織の豊富さが理由である。
【0098】
実施例13-抗体の単離(FR1-A1)
実施例2に記載の方法を使用することで(DyaxのファージディスプレーしたヒトFabライブラリーを抗-FGFR-1(IIIc)Fabクローンのためにパン(panned)させたこと以外は)抗-FGFR-1(IIIc)に特異的な抗体を同定した。同定した抗体をFR1-A1と命名した。
【0099】
実施例14-In Vitro活性(FR1-A1)
FR1-A1はFGFR-1(IIc)へ強力な結合親和性を示し、そしてFGFR-4へは穏和な親和性を示す。他のレセプター全てに対しては結合を殆ど示さなかった(図20)。これらのレセプターに対するKDは動態的分析から以下のように決定された:
FGFR-1b: >10μM
FGFR-1c: 0.7 nM
FGFR-2b: >10μM
FGFR-2c: >10μM
FGFR-3b: >10μM
FGFR-3c: >10μM
FGFR-4: 90nM
【0100】
図21は、ELISAブロッキングアッセイにおいて測定されたようにリガンド-レセプター結合に対するFR1-A1の阻害効果を示す。2つのFGFR-1(IIIc)結合リガンド、FGF-1及びFGF-2をブロッキングアッセイにおいて試験した。FR1-A1は、FGFR-1(IIIc)がFGF-1及びFGF-2へ結合することをそれぞれ約5及び10nMのIC50を伴い遮断した。
【0101】
実施例15-リガンド-介在FGER-1(IIIc)シグナル伝達の阻害、及びIn Vitro細胞増殖(FR1-A1)
FR1-A1によるリガンド結合の阻害は、最終的に、レセプターの自己リン酸化反応(auto-phosphrylation)の阻害をもたらす。このことは、図22に示されており、ここで細胞溶解物のウェスタンブロットは、活性化されたFGFR-1(IIIc)レセプターのための抗-フォスフォ-チロシンで標識されている。この結果は、FR1-A1はそれ自身レセプターを活性化しないが、リガンド誘導レセプターリン酸化反応を有意に阻害することを示す。
【0102】
FGFR-1レセプターの自己リン酸化反応は、細胞質中、往々にして、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)カスケードを介する細胞の有糸分裂反応をもたらす。従って、FR1-A1によるレセプターリン酸化反応の阻害は、細胞有糸分裂の阻害につながる。フローサイトメトリー分析を使用することで、G18細胞は細胞表層上でFGFR-1(IIIc)レセプターを発現することが発見された。図23は、20ng/mlのFGF-2を加えることで、コントロールと比べて、DNA合成量が約5倍増加し、そして抗体はこの刺激を用量依存性態様で減らしたことを示す。
【0103】
実施例16-重量減の誘導(FR1-A1)
FR1-H7抗体で確認されたことに類似して、FR1-A1は、メス無胸腺ヌードマウスに対する重量減を生じた。図24に示されるように、5日目、2種類の処理後、2mg/kg用量集団のマウスにおいて、コントロールに比較して、平均約9%の体重が減った。20mg/kg集団は23%減少した。第一及び第二処理期間に渡り測定した非絶食食物摂取は、2mg/kg及び20 mg/kg集団において、それぞれ、約14%及び約44%減らした(図25)。
【0104】
実施例17-モノクローナル抗体の単離(FR1-4H)
FR1-A1及びFR1-H7に加え、更に他のFGFR-1特異的抗体FR1-4H(Fig.28)をクローニングした。BiaCore(登録商標)分析を通じて、この抗体の、FGFR-1(IIIb)に対するKDaは1.1nMであると特定された。比較して、FGFR-1(IIIc)に対するKDaは、10μM超であった。従って、FR1-4Hは、FGFR-1のb-スプライシング形態に対してのみ特異的であると考えられた。FR1-A1及びFR1-H7のように、FR1-4Hは中和抗体であり、それはレセプターがリガンドへ結合するのを遮断する(図29)。従って、FR1-4Hは、先に記載のように、他の2つのFGFR-1抗体によって示された多くの類似する効果を与えるだろう。
【0105】
FR1-A1及びFR1-H7は、FGFR-1に対して高い親和性結合を示し、そしてFGFR-4に対して低い親和性結合を示す。両方の抗体は、FGFR-1のリガンド誘導活性化を有効に阻害することができうる。動物において、2種類の抗体は、有意な食物摂取減少を伴って、ほぼ同一の重量減少現象を示した。これら2種類の抗体の共通性から、他のFGFRアンタゴニストは、拒食症効果に関連するFGFR-1又はFGFR-4経路を介する重量減少を誘導することができるといえる。
【0106】
FR1-4Hを単離及びクローニングする手順は、実施例2及び12に記載したように、スクリーニングプロセスの間のファージキャンディデートを、FGFR-1(IIIc)の代わりにFGFR-1(IIIb)への特異的結合のために選択したこと以外は、実施例2及び12で記載した様な、FR1-A1及びFR1-H7のものと同一である。
【0107】
実施例18-FR1-4Hに関する ELISAブロッキングアッセイ
この実験は、全ての状況でFGFR-1(IIIc)の代わりにFGFR-1(IIIb)組換えタンパク質を使用したこと以外は、全体を通して実施例6及び14に全体的に記載されている。FR1-4Hは、FGFリガンドへFGER-(IIIb)が結合することを阻害した(図29)。%結合を、実施例6及び14に記載のELISAブロッキングアッセイを使用することで決定した。%ブロッキングは、FR1-4Hによる処理によって統計上コントロールより1nM超減少した。
【0108】
実施例19-FGFR小分子阻害物質
多くの小分子は、FGFRキナーゼ活性を阻害する;少数の例を図30に与えている。2種類のピリミド-ピリジン誘導体を試験した。
【0109】
ポリE-Yペプチド(Sigma, St. Louis, Missouri)を、50μl/ウェルの溶液(PBS中5μg/ml)を12時間に渡り4℃でインキュベートすることによって、96-ウェルImmulon(登録商標) 2Bマイクロタイタープレート(ThermoLab Systems, Franklin, MA)へコーティングした。次いで、この溶液を捨て、そしてプレートを2回200μlの洗浄バッファー(PBS、0.1%Tween- 20)で洗浄した。次いで、以下の溶液を各ウェルで混合した:25μlの反応バッファー(100mM Hepes、10mMのMgCl2、10mMのMnCl2及び1mMのDTT, pH7.5)、2μlの化合物溶液(DMSO中様々な濃度)及び20μlのFGFRキナーゼドメイン組換えタンパク質溶液(100ng/μl)。5分のインキュベーション後、4.5μl/ウェルのATP溶液(40μM)を加え、そして反応を28℃で20分に渡り進めた。反応を、プレート3回洗浄バッファーにより洗浄することによりとめた。次いでこのプレートをPBS中、3%のBSAで1時間に渡りブロッキングした。ポリE-Yペプチドのリン酸化反応を、抗体の製造者によって記載されたように、PY-20-HRP抗体(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, California)を使用することで検出した。生のデータを、各化合物のIC50値を生じさせるために特別に作成した計算を使用することで加工した。
【0110】
両方のピリミドピリジン誘導体は、酵素アッセイにおいて全てのFGFRのキナーゼ活性を阻害した(表1)。細胞ベースのアッセイにおいて、これら2つの化合物は、FGFR-1cレセプターのリガンド誘導リン酸化反応を潜在的に阻害することが発見された(図31)。これらの化合物がFGFR-1に対するアンタゴニスト活性を示し、そしてより低い程度でFGFR-4へアンタゴニスト活性を示すので、それらはFR1-A1及びFR1-H7抗体を伴う動物において同じ重量減少誘導特性を共有するべきである。
【0111】
【表1】

【0112】
実施例20-小分子阻害物質に関するリン酸化反応アッセイ
小分子に関するリン酸化反応アッセイは、全ての場合において小分子化合物をFGFR-1抗体の代わりに使用したこと以外は、本質的に実施例7及び15に記載のリン酸化反応アッセイと同じである。FGFR小分子阻害物質は、細胞ベースのリン酸化反応アッセイにおいてFGFR-1(IIIc)の自己リン酸化を阻害した(図31)。等しい量の細胞溶解物を各サンプルレーンに適用した。レセプター自己リン酸化を、原特許に記載のように抗フォスフォ-チロシン抗体を使用することで標識した。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1A】FR1-H7のCDRの可変領域のアミノ酸及び核酸配列を示す。FR1-H7の重鎖の可変領域のアミノ酸及びDNA配列(配列番号S:7及び31)を示す。
【図1B】FR1-H7の軽鎖の可変領域のアミノ酸配列及びDNA配列(配列番号:8及び32)を示す。
【図1C】FR1-H7の重鎖の可変領域及び軽鎖の可変領域のCDRの核酸配列を示す(配列番号:25〜30)。
【図1D】FR1-H7の重鎖の可変領域及び軽鎖の可変領域のCDRのアミノ酸配列を示す(配列番号:1〜6)。
【図2A】FR1-A1の可変領域のアミノ酸及び核酸配列を示す。FR1-A1の重鎖の可変領域のアミノ酸及びDNA配列(配列番号:15及び39)を示す。
【図2B】FR1-A1の軽鎖の可変領域のアミノ酸及びDNA配列(配列番号:16及び40)を示す。
【図2C】FR1-A1の重鎖の可変領域及び軽鎖の可変領域のCDRの核酸配列(配列番号: 33〜38)を示す。
【図2D】FR1-A1の重鎖の可変領域及び軽鎖の可変領域のCDRのアミノ酸配列(配列番号: 9〜14)を示す。
【図3】ELISA結合アッセイを使用することで測定したFR1-H7抗体のFGFRへの結合を示す。各データ点は、二重の平均でありそしてエラー棒は標準偏差である。
【図4】ELISAブロッキングアッセイを使用することで測定した組換えFGFR-1のFGFリガンドに対する結合を示す。図4Aは、固定化されたFGF-1に対する結合を示す。図4Bは、固定化されたFGF-2に対する結合を示す。各データ点は、二重の平均でありそしてエラー棒は標準偏差である。
【図5】125I-FGF-2の細胞表層FGFR-1への結合を示す。図5Aにおいて、125I-FGF-2の細胞への結合は、2つの異なる成分:非特異的結合及び特異的結合を有した。図5Bにおいて、細胞への125I-FGF-2結合は、 FR1-H7抗体の存在によって阻害された。各データ点は、二重の平均でありそしてエラー棒は標準偏差である。
【図6】FGFR-1リン酸化反応のウェスタンブロットを示す。上方のブロットは、抗-ホスホ-チロシン抗体で標識されておりそして下方のブロットは相対ゲルローディングの見積もりのための細胞溶解物におけるコントロールタンパク質バンドを示す。
【図7】図7は、抗体の存在下、in vitroでのヒト臍血管内皮細胞(HUVEC)の増殖を示す。各データ点は、二重の平均でありそしてエラー棒は標準偏差である。
【図8】脂肪細胞in vitroでの脂肪細胞の増殖を示す。図8Aは、脂肪細胞増殖に対するFGF-2の効果を示し、そして図8Bは、FGF-2-刺激脂肪細胞増殖に対するFR1-H7の効果を示す。各データ点は三重の平均であり、そしてエラー棒は標準偏差である。
【図9】nu/nu メスマウスにおける体重に対するFR1-H7の効果(平均+/-SEM)を示す。
【図10】nu/nuメスマウスにおける食物摂取に対するFR1-H7の効果を示す。
【図11】図11は、新規環境における生育挙動に対するFR1-H7の効果(平均+/-SEM)を示す。
【図12】血液グルコースに対するFR1-H7の効果を示す。図12Aは非絶食血液グルコースに対するFR1-H7の効果(平均+/-SEM)を示す。図12Bは、重量が完全に回復した後の、非絶食血液グルコースに対するFR1-H7の効果 (平均+/-SEM)を示す。
【図13】FR1-H7の単回投与量処理後のnu/nuマウスの重量減(平均+/-SEM, n=4)を示す。
【図14】FR1-H7処理の単回投与後の組織重量に対する効果を示す。各棒は、総体重に対する組織重量の比×100として計算された値を示す。エラーバーは、標準偏差である。
【図15】FR1-H7の単回投与処理の後の血清化学に対する効果を示す。図15Aにおいて血清グルコースレベル(平均+/-SEM)決定した。図15Bにおいて、血清トリグリセリド(平均+/-SEM)を決定している。図15Cにおいて血清インスリンレベルを決定している。図15Dにおいて、血清レプチンレベルを決定している。全ての個々の測定が示されている。同じ時点て採取したデータは、確認の目的で、処理群に従い分離した。
【図16】C57ブラックマウスの体重に対するFR1-H7の効果(平均+/-SEM)を示す。
【図17】db/dbマウスの体重に対するFR1-H7の効果(平均+/-SEM)を示す。
【図18】db/db マウスの食物摂取に対するFR1-H7の効果(平均+/-SEM)を示す。
【図19】脂肪組織のサイズに対するFR1-H7の効果(平均+/- SEM)を示す。
【図20】ELISA結合アッセイを使用することで測定したFGFRに対するFR1-A1抗体の結合を示す。
【図21】ELISAブロッキングアッセイを使用することで測定した組換えFGFR-1のFGFリガンドへの結合を示す。
【図22】FGFR-1リン酸化反応のウェスタンブロットを示す。
【図23】G18細胞のin vitroでの抗体の存在下における有糸分裂を示す。各データ点は、三重の平均である。エラー棒は標準偏差である。
【図24】nu/nuメスマウスの体重に対するFR1-A1の効果(平均+/-SEM)を示す。
【図25】メスマウスの食物摂取に対するFR1-A1のnu/nu効果を示す。
【図26A】C57ブラックマウスのFR1-H7による処理を示し、それは体重、食物摂取、筋及び脂肪質量、エネルギー消費歩行活動及び呼吸変換率(RER)の減少をコントロールに比べて生じた。コントロールと比べて、FR1-H7処理による日々体重の減少を示す。
【図26B】コントロールと比較したFR1-H7処理による日々の食物摂取の減少を示す。
【図26C】コントロールと比較したFR1-H7処理による脂肪及び筋重量の減少を示す。
【図26D】コントロールと比較したFR1-H7処理によるエネルギー消費及び歩行活動の減少を示す。
【図26E】コントロールと比較した酸素消費の減少及びFR1-H7処理によるRERの減少を示す。
【図27A】FR1-H7のペア供給(pair-feeding)及びコントロール処理した動物は、体重、筋肉及び脂肪質量、並びにエネルギー消費において、両集団間で同一の減少をもたらすことを示す。両方の集団は歩行活動及びPERにおいて類似の減少を示した。FR1-H7処理及びコントロール動物両方の日々の体重における減少を示す。
【図27B】FR1-H7処理した動物及びコントロール動物の両方における脂肪及び筋重量の減少を示す。
【図27C】FR1-H7処理した動物及びコントロール動物の両方におけるエネルギー消費及び歩行活動を示す。
【図27D】FR-1-H7 処理及びコントロール動物の両方の酸素消費における減少を示す。
【図28A】FR1-4Hの可変領域及び可変領域CDRのアミノ酸及び核酸配列を示す。FR1-4Hの重鎖の可変領域及びFR1-4Hの軽鎖の可変領域のアミノ酸及び核酸配列(配列番号:23-24及び47-48)を示す。
【図28B】FR1-4Hの重鎖及び軽鎖の可変領域のCDRのアミノ酸及び核酸配列(配列番号: 7-22及び41-46)を示す。
【図29】FR1-4HがFGFR-1(IIIb)のFGFリガンドへの結合を阻害したことを示す。%結合をELISA ブロッキングアッセイを使用することで測定した。各データ点は二重の平均である。エラーバーは、標準偏差である。
【図30】FGFR小分子阻害物質としては、インドリノン誘導体、キノリノン誘導体及びピリミド-ピリミジン誘導体が含まれる。
【図31】FGFR小分子阻害物質は、細胞ベースのリン酸化反応アッセイにおいてFGFR-1(IIIc)の自己リン酸化反応を阻害した。等しい量の細胞溶解物を各サンプルレーンに適用した。レセプター自己リン酸化反応は、実施例20に記載のように抗ホスホチロシン抗体を使用することで標識した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製抗体、又はその断片であって、繊維芽細胞増殖因子レセプター(FGFR)-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、又はFGFR-4(IIIc)へ特異的に結合する精製抗体又はその断片。
【請求項2】
前記抗体、又はその断片が繊維芽細胞増殖因子レセプターFGFR-1(IIIb)、FGFR-1 (IIIc)、又はFGFR-4(IIIc)の細胞外ドメインへ結合し、そしてレセプターの活性化を中和する請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体又はその断片が、FGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、又はFGFR-4(IIIc)のリガンドがそのレセプターへ結合することを阻害する、請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体又はその断片の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)が、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、及び配列番号:6からなる群から選択された配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体、又はその断片の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)が、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、及び配列番号:6と70%以上の相同性を有する配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体又はその断片の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)が、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、及び配列番号:6と約80%以上の相同性を有する配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体又はその断片の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)が、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、及び配列番号:6と約90%以上の相同性を有する配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)が、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、及び配列番号:13、及び配列番号22からなる群から選択された配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項9】
前記抗体、又はその断片の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)が、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、及び配列番号:13、及び配列番号14からなる群から選択された配列と約70%以上の相同性を有する配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項10】
前記抗体、又はその断片の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)が配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、及び配列番号:13、及び配列番号14と約80%以上の相同性を有する配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項11】
前記抗体、又はその断片の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)が配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、及び配列番号:13、及び配列番号14と約90%以上の相同性を有する配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項12】
前記抗体の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)が配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、及び配列番号:22、からなる群から選択された配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項13】
前記抗体、又はその断片の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)が配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、及び配列番号:21、及び配列番号22と約70%以上の相同性を有する配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項14】
前記抗体、又はその断片の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)が配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、及び配列番号:21、及び配列番号22と約80%以上の相同性を有する配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項15】
前記抗体、又はその断片の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)が配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、及び配列番号:21、及び配列番号22と約90%以上の相同性を有する配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項16】
前記抗体が少なくとも1つの配列番号:7の重鎖可変領域配列又は配列番号:8の軽鎖可変領域配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項17】
前記抗体が少なくとも1つ配列番号:7と約70%以上の相同性を有する重鎖可変領域配列又は配列番号:8と約70%以上の相同性を有する軽鎖可変領域配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項18】
前記抗体が少なくとも1つ配列番号:7と約80%以上の相同性を有する重鎖可変領域配列又は配列番号:8と約80%以上の相同性を有する軽鎖可変領域配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項19】
前記抗体が少なくとも1つ配列番号:7と約90%以上の相同性を有する重鎖可変領域配列又は配列番号:8と約90%以上の相同性を有する軽鎖可変領域配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項20】
前記抗体が少なくとも1つの配列番号:15の重鎖可変領域配列又は配列番号:16の軽鎖可変領域配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項21】
前記抗体が少なくとも1つ配列番号:15と約70%以上の相同性を有する重鎖可変領域配列又は配列番号:16と約70%以上の相同性を有する軽鎖可変領域配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項22】
前記抗体が少なくとも1つ配列番号:15と約80%以上の相同性を有する重鎖可変領域配列又は配列番号:16と約80%以上の相同性を有する軽鎖可変領域配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項23】
前記抗体が少なくとも1つ配列番号:15と約90%以上の相同性を有する重鎖可変領域配列又は配列番号:16と約90%以上の相同性を有する軽鎖可変領域配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項24】
前記抗体が少なくとも1つの配列番号:23の重鎖可変領域配列又は配列番号:24の軽鎖可変領域配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項25】
前記抗体が少なくとも1つ配列番号:23と約70%以上の相同性を有する重鎖可変領域配列又は配列番号:24と約70%以上の相同性を有する軽鎖可変領域配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項26】
前記抗体が少なくとも1つ配列番号:23と約80%以上の相同性を有する重鎖可変領域配列又は配列番号:24と約80%以上の相同性を有する軽鎖可変領域配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項27】
前記抗体が少なくとも1つ配列番号:23と約90%以上の相同性を有する重鎖可変領域配列又は配列番号:24と約90%以上の相同性を有する軽鎖可変領域配列を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項28】
請求項4〜27のいずれか1項に記載の抗体をコードする単離された核酸。
【請求項29】
コントロール配列へ作用可能式に結合した請求項28に記載の核酸を含んで成る発現ベクター。
【請求項30】
請求項29に記載の発現ベクターを含んで成る宿主細胞。
【請求項31】
前記抗体の発現を可能にする条件下で請求項30に記載の前記宿主細胞を培養することを含んで成る抗体を生産する方法。
【請求項32】
前記方法が更に抗体を精製することを含んで成る、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
請求項1〜27のいずれか1項に記載の抗体及び医薬的に許容できる担体を含んで成る医薬組成物。
【請求項34】
繊維芽細胞増殖因子レセプター(FGFR)-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、又はFGFR-4(IIIc)特異的抗体、又はその断片を同定する方法であって:抗体断片のライブラリーを提供し、FGFR-1(IIIb)及び/又はFGFR-1(IIIc)に特異的である抗体又はFGFR-1(IIIc)及び/又はFGFR-4に特異的な抗体のライブラリーをスクリーニングし、そしてFGFR-1(IIIb)及び/又はFGFR-1(IIIc)に特異的である抗体又はFGFR-1(IIIc)及び/又はFGFR-4に特異な抗体を精製することを含んで成る方法。
【請求項35】
前記ライブラリーのスクリーニングが、固体支持体に結合したFGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4を有するアフィニティーマトリクスを提供し、当該アフィニティーマトリクスと抗体断片のライブラリーを接触せしめ、そしてアフィニティーマトリクスへ結合しない抗体断片から当該アフィニティーマトリクスへ結合する抗体断片を分離することを含んで成る方法。
【請求項36】
請求項34又は35に記載の方法を使用することで同定された抗体。
【請求項37】
哺乳動物へFGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4アンタゴニストを治療上有効な量で投与することを含んで成る肥満症又は肥満症に関連した症状を治療する方法。
【請求項38】
哺乳動物へFGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4アンタゴニストを治療上有効な量で投与することを含んで成る糖尿病 又は糖尿病に関連した症状を治療する方法。
【請求項39】
FGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4アンタゴニストを必要とする哺乳動物へ治療上有効な量で投与することを含んで成る食物摂取又は食物摂取を減らすことによって影響を受けた症状を減らす方法。
【請求項40】
前記症状が高血圧である、請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記症状が心臓血管疾患である、請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記方法により体重が減る、請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記方法が血清トリグリセリドを減らす、請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記方法がレプチンレベルを変える請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記方法が血管形成を阻害する、請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記方法がエネルギー代謝を変える、請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記方法が呼吸交換比を変化させる、請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記方法がFGFR-1又はFGFR-4経路に関係した食欲抑制効果を有する請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記アンタゴニストが生物分子である、請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記生物分子が抗体又はその断片である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記抗体が請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗体である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記アンタゴニストがFGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4シグナル伝達を遮断する小分子である、請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記FGFR-1アンタゴニストがFGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4を内的に結合する、請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記FGFR-1アンタゴニストがFGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4 リン酸化反応を阻害する、請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記FGFR-1アンタゴニストが、FGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4へのATPの結合を阻害する、請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記FGFR-1アンタゴニストがFGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4のためのATPと競合する、請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記FGFR-1アンタゴニストがFGFR-1(IIIb)、FGFR-1(IIIc)、及び/又はFGFR-4チロシンキナーゼ活性を阻害する、請求項37〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記小分子がピリミド-ピリジン誘導体A又はB、SU-6668、PD-173074、SU-5402、CHIR-258、又はPD-166285を含んで成る、請求項52〜57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記哺乳動物がヒトである、請求項37〜58のいずれか1項に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図26D】
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【図26E】
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【図27A】
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【図27B】
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【図27C】
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【図27D】
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【図28A】
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【図28B】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公表番号】特表2008−501302(P2008−501302A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535458(P2006−535458)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/034970
【国際公開番号】WO2005/037235
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(500581021)イムクローン システムズ インコーポレイティド (7)
【Fターム(参考)】