説明

老化−関連及び糖尿病性血管性合併症のための複素環式化合物

【課題】糖尿病及び関連疾患の治療及び/又は予防に有用な新規な5員複素環化合物の提供。
【解決手段】一般式(1)


により示される化合物及びその塩;これらの化合物の製造法;老化関連及び糖尿病性血管性合併症の処置におけるそれらの治療的及び化粧品学的適用;AGE破壊剤、AGE阻害剤及びラジカル掃去剤;これらの化合物を含む製薬学的及び化粧品学的組成物;並びに体細胞におけるAGE及び/又はラジカルの堆積により引き起こされる疾患の処置の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5員複素環式環化合物の新規な種類の化合物ならびに糖尿病及び関連疾患の
処置におけるそれらの使用に関する。さらに特定的に、本発明はこの系列の化合物、それ
らの製造法、これらの化合物を含有する医薬組成物ならびに真性糖尿病の合併症の処置に
おけるそれらの使用に関する。この系列の化合物はAGE破壊及び阻害活性を示し、それ
は腎臓病、神経損傷、アテローム性動脈硬化症、網膜症、炎症性障害、免疫学的障害、酸
化的ストレスならびに皮膚科学的及び化粧品学的適応症を含む糖尿病性及び老化−関連血
管性及び神経血管性合併症の処置に必須である。
【0002】
本発明は、有効量のこれらの化合物を投与して、前生成の進行したグリコシル化架橋(
advanced glycosylation crosslinks)を後退させる
ことにより、口腔内の非酵素性褐色着色から生ずる歯の変色を後退させる方法にも拡張さ
れる。
【0003】
これらの化合物はラジカル掃去活性も示し、従ってそれらの化粧品学的用途の他に、ラ
ジカルにより引き起こされる疾患の処置において有用である。
【0004】
これらの化合物のラジカル掃去剤、AGE破壊剤及びAGE阻害剤の三重の機能を化粧
品学的組成物中で有効に用いることができ、それは皮膚タンパク質上における進行したグ
リケーション最終産物(AGEs)の堆積の増加から生ずる皮膚老化のプロセス及びラジ
カル作用を介する光損傷を阻止し且つ後退させることができる。本発明はさらに、体細胞
からラジカルを掃去するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0005】
1912年にMaillardは、グルコース及びリボースのような還元糖がタンパク
質と反応して褐色色素を生成することを見出した。さらなる研究は、これが不可逆的非−
酵素性反応であり、それは保存食品を含むいくつかの自然の系において起ることを示した
。Maillard反応は初期の段階及び進行した段階の2段階で起る。最初にタンパク
質がグルコースと反応して安定なAmadori産物を生成し、それが続いて架橋されて
進行したグリケーション最終産物(AGE)を生成する。ほとんどの場合、AGEの生成
はタンパク質の褐色着色及び蛍光の増加も伴う。
【0006】
血液グルコースレベルが正常より有意に高い糖尿病では、グルコースとヘモグロビン、
水晶体及びコラーゲンのようないくつかのタンパク質との反応がAGEを生成させ、それ
が今度はネフロパシー、細小血管症、内皮機能不全及び他の臓器機能不全のような糖尿病
に伴う合併症を担う。さらに、基本的(basic)線維芽細胞成長因子のようないくつ
かの成長因子の活性も損なわれる。AGE産物は、組織中の普通のタンパク質と異なり、
比較的遅いターンオーバー及び補充の速度を有している。AGE産物は実際に、RAGE
(進行したグリケーション最終産物のためのレセプター)レセプターを含む複雑な免疫学
的反応及びいくつかの不完全に定義されている免疫学的プロセスの活性化を引き出すこと
ができると報告されている。細小血管症及び大血管症(macroangiopathy
)の証拠を有する糖尿病は酸化的ストレス(oxidative stress)の証拠
も示すことが実証されており、その機構は明らかにされていない。
【0007】
リボース又はグルコースのような還元糖をウシ血清アルブミンと一緒にインキュベーシ
ョンすることにより、試験管内AGE生成を実験室で研究することができる。蛍光の増加
又は抗−AGE抗体との交差反応性の増加により、AGE生成を検出することができる。
蛍光の増加はAGE特異的抗原性エピトープの生成に先行すると思われる。この蛍光の増
加を用い、試験管内におけるAGE生成の増加を監視する(非特許文献1)。蛍光の増加
の他に、試験管内AGE生成の最も重要な特徴の1つは、AGEに特異的であり、本来の
タンパク質に特異的でない抗原性エピトープの生成である。従って、1つのタンパク質の
進行したグリケーション最終産物に対する抗体を生ぜしめ、他のタンパク質におけるAG
E生成の検出にそれらを用いることができる。これはAGE研究における重要な分析道具
として役立ってきた。
【0008】
AGE生成の臨床的重要性のために、多くの方法が体におけるAGE生成の診断、予防
又は後退のために用いられている。標的タンパク質とグルコースの間の最初の反応から生
ずる初期のグリコシル化産物と反応させることにより、AGEの生成を阻害することがで
きた。阻害は阻害剤と初期のグリコシル化産物の間の反応として起ると思われ、続いてグ
リコシル化されたタンパク質とさらなるタンパク質材料が反応して架橋された後期段階の
産物を生成するのをさえぎるようであった。アミノグアニジンのような化合物は、そのよ
うな機構によりAGE生成を阻害するように働く。
【0009】
長命のタンパク質(long−lived proteins)上におけるAGEの生
成は、これらのタンパク質の架橋も伴う。AGE誘導タンパク質架橋はN−フェナシルチ
アゾリウムブロミド(PTB)のような化合物により開裂することが示され、それはAG
E誘導のタンパク質共有結合架橋と反応し且つ開裂させる(非特許文献2、特許文献1)
。組織中におけるAGE含有量の減少の機構は、まさにその作用の機構の性質によってゆ
っくり作用するアミノグアニジンと対照的に、比較的急速に起ると思われる。
【0010】
AGE破壊剤又はAGE阻害剤である化合物は、以下に言及するような治療的用途にお
いて主に重要なものである。
【0011】
AGE破壊剤:
堆積したAGEを破壊できる化合物を、AGEの堆積により引き起こされる糖尿病性合
併症及び老化−関連疾患の処置における薬剤として用いることができる。
【0012】
AGEの破壊によりAGEの堆積を妨げることができる化合物を、AGEの堆積により
引き起こされる糖尿病及び老化関連合併症のような疾患の悪化を阻止するための薬剤とし
て用いることができる。
【0013】
AGE阻害剤:
AGEの生成を妨げることによりAGEの堆積を妨げることができる化合物を、AGE
の堆積により引き起こされる糖尿病及び老化関連合併症のような疾患のための薬剤におい
て用いることができる。
【0014】
糖尿病関連疾患におけるような、生体内におけるAGEの抑制されない生成は重大な生
理学的障害に導き得る。例えば糖尿病性ニューロパシー及び網膜症において、それぞれ毛
管壁障壁及び内部血網膜障壁(inner blood retinal barrie
r)の機能的完全性は、基底膜への内皮の異常な付着により証明される通り、不足してい
る。この不足は、グリケーションによる構造タンパク質の架橋の直接の結果である。糖尿
病性神経血管性障害ならびに免疫学的障害の病因はAGEの生成である。現在、AGE生
成の妨害又は存在するAGEの破壊は、ネフロパシー、ニューロパシー、アテローム性動
脈硬化症及び皮膚科学的障害を含む多様な疾患において有益であると思われている。
【0015】
実験的糖尿病状態において加速される状態である老化に関連する心臓血管性合併症につ
いての研究におけるように、AGEを破壊する薬剤の正の効果が研究により示されている
(Wolffenbuttel et al.,1998)。
【0016】
組織,特にAGEがすでに準−臨床的又は臨床的病理学を担うレベルまで堆積している
組織においてAGEのレベルを制御する他の薬理学的方法において、AGEを後退させる
か、又は破壊する薬剤の投与が成功することが証明されている。特許文献2及び特許文献
3に記載されている通り、試験管内及び生体内でAGE生成を後退させる(又は開裂させ
るか又は分解する)薬剤及び方法が開示されている。
【0017】
生体内でのAGEの堆積の妨害(blocking)に基づくいくつかの成功できる治
療法も達成されている。特許文献4に例証されている1つの方法は、アミノグアニジン及
び関連化合物のような薬剤の投与により、AGEの前駆体からのその生成を妨げることに
関する。
【0018】
上記で引用した参照文献に示されている通り、AGE生成を妨害するか、又はAGEを
破壊する化合物は論理的に、AGE−関連障害、例えば糖尿病性ネフロパシー、ニューロ
パシー、網膜症及びアテローム性動脈硬化症、皮膚科学的障害、口腔の非−酵素性褐色着
色、内皮もしくは他の臓器機能不全及び成長障害の処置に関連している。
【0019】
AGEの攻撃と種々の疾患の関連も、下記に議論するように、種々の文献に記載されて
いる。
【0020】
進行したグリケーション最終産物(AGE)の生成とネフロパシーの間の関連は、いく
つかの研究公開論文(research publication)により十分に確立さ
れている。Beisswenger(1995)は、人間の糖尿病患者におけるAGE濃
度が腎性疾患の初期の発現と関連することを示した。Makita et al(199
1)は、AGEペプチドの増加が腎臓機能不全の重度と平行することを示した。上記の引
証は、AGEが糖尿病性ネフロパシーの主な原因であることを明白に示している。Yam
auchi(1997)は、アミノグアニジンによるAGE生成の妨害が糖尿病性ネフロ
パシーの発現を妨げることを示した。アミノグアニジン投与は、糖尿病のラットの糸球体
基底膜が厚くなるのを改善することも示されている(Ellis 1991)。アミノグ
アニジンは、実験的糖尿病のラットにおいてタンパク尿の増加を減じることも示されてい
る(Soulis−Liparota,1991)。
【0021】
AGEは、網膜ミュラー細胞における血管内皮成長因子の発現を誘導することも示され
ており(Hirata,1997,Murata,1997)、従って糖尿病性網膜症に
おける眼内新生血管形成を促進し得る。アミノグアニジン処置は、ラットモデルにおいて
糖尿病性網膜症の進行を遅らせることが示されている(Hammes,1991,Ham
mes,1994,Roufail,1998)。
【0022】
アミノグアニジン処置は、糖尿病ラットにおいて神経伝導速度を向上させることも示さ
れている(Kihara,1991,Miyauchi,1996及びYagihash
i,1992)。
【0023】
Bucala(1996)は、アテローム性動脈硬化症の発現の種々の側面を広範囲に
考察しており、AGEの堆積が1系列の細胞現象、例えば細胞酸化的ストレス、接着分子
(adhesion molecules)の発現、単球の内皮移行などを開始させるこ
とができ、これらの現象がアテローム性動脈硬化症に導き得ると記載している。Kirs
tein(1990)は、(i)試験管内及び生体内で生成するAGEタンパク質はヒト
血液単球に関して化学走性であり、(ii)内皮下AGEは無損傷の内皮を横切る単球の
移行を誘導することができ、そして(iii)単球とAGE含有マトリックスとの相互作
用は、血小板由来成長因子の誘導を生ずることを示した。
【0024】
かくしてAGEは、そのレセプターRAGEを介して内皮細胞と相互作用すると、核因
子Kappa Bを活性化し、接着分子を発現する種々の遺伝子を誘導すると結論するこ
とができる。AGE−内皮相互作用はまた、酸化的ストレスを増加させ、単球移行を開始
させ、内皮酸化窒素を妨害し、脈管形成を刺激する。これらの状態のすべてはアテローム
性動脈硬化症のような状態を生ずる。
【0025】
より低い組織AGE負荷量を要求する他の機能不全には高血圧、再狭窄、腹膜透析にお
ける異常な組織妨害、勃起機能不全及びアルツハイマー病が含まれる。他方、同様に、構
造タンパク質、例えばコラーゲンの非−酵素性架橋は動脈の堅さを増加させ、動脈のコン
プライアンス及び膨張性を低下させる。事実、AGE−破壊剤ALT−711の処置は、
糖尿病誘導の動脈堅さの増加を後退させ、動脈のコンプライアンスを向上させることが示
されている(Wolffenbutel 1998)。Aronson et al(1
996)は炎症細胞漸増及び平滑筋増殖の促進におけるAGEの役割を考察し、それがお
そらく糖尿病患者におけるより大きな再狭窄、腹膜透析速度における異常な組織妨害に関
する理由であると示唆した。
【0026】
Seftel(1997)は、非−糖尿病と比較して糖尿病患者の陰茎組織中のペント
シジンの有意な増加(elevation)を示した。彼らは陰茎組織中の誘導酸化窒素
のアップレギュレーション及び内皮酸化窒素のダウンレギュレーションを介するAGE媒
介勃起機能不全に関する機構を推測した。
【0027】
Vitek et al(1994)は、ベータアミロイドペプチド(βAP)が正常
な生理学的条件下ではゆっくり凝集するが、AGE改変(βAP)はそれよりずっと急速
な凝集を示すことを報告している。ADにおいて、プラーク数はニューロン変性及び認識
減退に伴って増加する。凝集しているがモノマー性ではないβAPは活発に神経毒性であ
る。従ってAGE生成がβAP凝集を強化するプロセスを妨げること又はAGE生成の妨
害又はAGE破壊剤治療は、アルツハイマー病に伴う病態生理学的変化を減少させるため
の新しい治療の機会を与えるであろう。
【0028】
従って、AGE阻害剤/破壊剤は、βAPの凝集を減少させ、アルツハイマー病の予防
/処置に導くのに有益であろう。
【0029】
Li et al(1996)は、ラットの心臓血管及び腎臓の衰弱における2つの重
要な生理学的老化の発現と、進行性組織損傷及び臓器不全に寄与すると考えられている進
行したグリケーションと呼ばれる自然の年令に伴う生化学的プロセスの間の相互関係に関
する証拠を与えている。彼らの研究で、アミノグアニジン(AGE阻害剤)はAGE生成
の妨害の結果として組織損傷を有意に予防することが見出された。アミノグアニジン投与
の結果としてのラットにおけるより低い組織AGE負荷量は、年令及び体重が一致した未
処置の標準と比較して、アミノグアニジンで処置された老ラットの全身的により健康な外
観により証明される通り、心臓血管及び腎臓機能の総じてより満足できるレベルを保持す
ることが見出された。従ってAGE阻害剤を老化関連障害の予防のために用いることがで
きるはずである。
【0030】
口腔内で起こる非酵素性褐色着色反応は歯の変色を生ずる。クロルヘキシジン(chl
orhexidine)のような抗−プラーク剤は、非−酵素性褐色着色反応及びさらに
歯の染色を加速することが報告されている。(非特許文献3)。Nordboはクロルヘ
キシジンが2つの方法で:第1により多くのアミノ基を含有するペリクル(pelicl
e)の生成を増加させることにより、そして第2に着色生成物を生ずるMaillard
反応の触媒により、歯の染色を生ずると報告している。
【0031】
非−酵素性褐色着色反応の阻害剤が、歯の表面上で起こるもののような表面上のタンパ
ク質の変色を妨げる能力は、特許文献5及び特許文献6において試験管内実験を用いて示
されている。
【0032】
AGEを阻害するか、又は後退させる能力を有する化合物は、口腔における非−酵素性
褐色着色から生ずる歯の変色を妨げるか、又は後退させるのに有用であるとして特許請求
されている(特許文献6;特許文献7)。
【0033】
これらの証拠はすべて、糖尿病に伴う病態生理学的状態に関する共通の基礎となる機構
を指し示しており、それは進行したグリケーション最終産物の生成である。AGEの全組
織負荷量が増加すると共に、病理学的症状の重度も向上する。他方、アミノグアニジンの
ような化合物によりAGEの量が抑制されると、疾患の進行も遅れる。本発明で、進行し
たグリケーション最終産物の阻害を記載する。
【0034】
腎性疾患は糖尿病における死亡及びディアビリティー(diability)の主な原
因である。長期の透析及び腎臓移植は、糖尿病の故の腎不全を有する患者においては全く
日常的である。腹膜透析(PD)は血液透析と同じ原理で働くが、血液は機械を介してで
はなくて体内にある間に清浄化される。血液透析と比較される腹膜透析調剤における主な
相違は、浸透剤として用いられるより高いグルコース濃度の量である(1.5,2.5又
は4.25g/dL)。ヒトにおける高いグルコース生成は、臓器機能を損なう進行した
グリコシル化最終−産物(AGE’s)の進行性の生成を伴う。AGE’sは異常な線維
組織の発現に寄与し、腹膜が液を濾過する能力を減退させ、PD法の失敗に導く。
【0035】
組織のAGE含有量を変えることができる化合物をこのプロセス及びAGE’sの生成
から生ずる他の医学的合併症の予防に用いることができるはずである。透析液中でAGE
破壊剤又は阻害剤を用いることは、異常な線維組織の生成を妨げ、それにより腹膜透析法
を容易にするであろう。従って、本発明の化合物を糖尿病患者の腹膜透析用の透析液の調
製のために用いることができる。
【0036】
AGEの組織負荷量の減少はこれらの状態を後退させることが期待されるが、限界的量
までの堆積を予防することは、該状態が起こるのを妨げることができるはずである。これ
らの状態を下記に挙げる:
a.血管及び神経−血管性合併症
b.腎臓病学的障害、
c.神経学的障害、
d.アテローム性動脈硬化症、
e.網膜性障害、
f.皮膚科学的障害、
g.口腔の非−酵素性褐色着色、
h.内皮又は他の臓器機能不全、
i.成長障害、
j.炎症性障害、
k.免疫学的障害、
l.酸化的ストレス、
m.老化及び糖尿病性合併症、
n.アルツハイマー病、
o.再狭窄、腹膜透析における異常な組織妨害、
p.腹膜透析における異常な組織妨害、及び
q.勃起機能不全。
【0037】
AGEの破壊/阻害に向かう活性を示す化合物は、それらの化粧品学的用途のためにも
有用であり得る。
【0038】
皮膚の健康、弾力及び若さの外観は、中でもいくつかの重要な種類の生物学的分子に依
存する。重要な皮膚分子はコラーゲン及びエラスチンである。コラーゲンは他の皮膚構造
を保持する構造的格子を形成するタンパク質である。それは皮膚にその強さ及び持久力を
与える。他のいずれのタンパク質とも同様に、コラーゲンはアミノ酸から成る。しかしな
がらそれは通常いくつかの特定のアミノ酸;プロリン、ヒドロキシプロリン、リシン及び
グリシンが豊富である。エラスチンもタンパク質であり、コラーゲンより伸縮性であり、
皮膚の弾力及び伸縮性を保持するのを助ける。それは2種の特定のアミノ酸:デスモシン
及びイソデスモシンを含有する。エラスチン及びコラーゲンの両方が不足し、且つ損なわ
れると、皮膚は伸ばされるか、又は折りたたまれた後にその形を失い、しわ及び顔のたる
みを生じ、それは老化のプロセスの間に起こる。
【0039】
老化のほとんどの近代的理論は、老化−関連の劣化が主に細胞構成成分の構造的及び機
能的改変の故であるという概念の周囲に集中してきた。現在普及している仮定は、老化の
ラジカル、グリケーション又はMaillard理論である。第1の仮定は、老化−関連
効果が細胞の構成成分を損なうラジカル反応の故であることを提案している。「ラジカル
」は、外部軌道中に不対もしくは奇(odd)電子を有する不安定な分子を指し、それは
他の分子と無差別に反応して脂質、DNA及びタンパク質損傷を生ずる。後者の仮定は、
老化の主な原因が、進行したグリコシル化最終−産物(AGEs)を生成する非−酵素性
グリケーション及びMaillard反応により誘導される巨大分子の改変から生ずる細
胞損傷であると提案している。非−酵素性グリケーションはタンパク質への糖の化学的結
合であり、それは結局タンパク質の不可逆的な架橋を引き起こす。これらの仮定は独立し
て系統的に述べられたが、それはラジカル、グリケーション及びMaillard反応が
実際には1つのより複雑な生化学的経路の部分的に相互作用する要素となり得ることなら
びに老化−関連の劣化が3つのすべての仮定により誘導される損傷を合わせたものにより
、及びそれらの相互作用により生ずることを示唆している。
【0040】
高度に分化し且つ複雑に構造形成された器官である皮膚は、UV線に露出されると特に
ラジカル損傷の害を受け易く、皮膚上におけるAGEsの堆積の増加ならびにコラーゲン
及びエラスチンのような重要な皮膚分子を損なう一重項酸素及びスーパーオキシドラジカ
ルの生産の増加を生ずる。そのような状況下で、ラジカル掃去を介する抗−酸化的状態は
、皮膚が損傷に対し、その正常な弾力及び完全性を保持することを確かに可能にするであ
ろう。
【0041】
従って本発明は、そのAGE破壊及びラジカルクエンチング作用を介してAGE架橋を
後退させ、皮膚において抗−酸化的環境を作り、それにより老化の発現を有意に遅くする
ことができる活性な分子の化粧品学的適用を目的とする。
【0042】
皮膚は体における最大の器官であり、体重の約15%を構成する。化学的組成の点では
、皮膚は約70%が水、25%がタンパク質及び2%が脂質である。残りには微量ミネラ
ル、核酸、グリコソアミノグリカン類、プロテオグリカン類及び多数の他の化学物質が含
まれる。
【0043】
皮膚は3つの主な層:表皮、真皮、皮下組織から成る。表皮は我々と外界の間の最初の
障壁である。この層は3つの型の細胞;ケラチノサイト、メラノサイト及びランガーハン
ス細胞から成る。真皮は皮膚の真中の層であり、皮膚の層の中で最も厚く、コラーゲン(
I及びIII−型)の堅いがんじょうなメッシュならびにエラスチン繊維を含み、それら
は非常に重要な皮膚タンパク質である。真皮は線維芽細胞、毛管、リンパ節、皮脂腺、汗
腺及び毛包も含む。皮下組織は主に脂肪細胞を含む皮膚の最内層であり、ショックアブソ
ーバー及び断熱体として働き、下の組織を寒さ及び外傷から保護する。
【0044】
老化はしわ及び皮膚のたるみにより象徴される生物学的現象である。人間が年をとると
、皮膚細胞はよりゆっくり分裂し、内部の皮膚又は真皮は薄くなり始める。真皮の下の脂
肪細胞は萎縮し始め、表面層のための足場を与える下のエラスチン及びコラーゲン繊維の
網目がゆるみ、ほどかれる。皮膚はその伸縮性を失い;圧されるとそれはもはやその最初
の位置にはねかえらずにたるみ、深いしわを形成する。皮膚が水分を保持する能力は減退
し;汗−及び油−分泌腺は萎縮し、皮膚からその保護的な水−脂質エマルションが奪われ
る。結果として皮膚は乾燥し、うろこ状になる。さらに、皮膚がそれ自身を修復する能力
は年令と共に減退し、従って傷は治るのがより遅くなる。渋面線(frown line
)(まゆの間のもの)及びカラスの足跡(目尻から放射線状に出る線)は、永続的な小さ
い筋肉収縮のために発現するようである。習慣的な顔の表情も特徴的な線を形成し、重力
が状況を悪化させ、のどの肉の形成及びまぶたの垂れ下がりに寄与する。皮膚は老化が最
も目に見える器官の代表なので、しわ、弾力線維症及び老人性乾皮症の生理学及び後退に
興味が増している。皮膚の老化は遺伝的に決定される内因的及び外因的老化因子から成る
複雑な現象である(非特許文献4)。
【0045】
主に同時に起こる2つの生物学的に独立した老化プロセスがあり、それが時間を経て皮
膚で見られる主な変化を説明している。
【0046】
1.外因的老化又は光老化/外部因子及び
2.先天的もしくは内因的老化/外部因子。
【0047】
皮膚が紫外(UV)線、化学汚染物、アレルゲン、機械的損傷などのような要素にさら
された時に生ずる外因的老化又は光老化。外因的老化は主に太陽の紫外線により引き起こ
される。
【0048】
内因的老化は、組織の遅い不可逆的な変性により皮膚に影響する。内因的老化を引き起
こす因子は遺伝的、神経的(ストレス)、免疫、ホルモン障害及び他である。内因的老化
は、太陽の紫外線から保護された皮膚を含む体の表面全体に及んで観察され得る。上記で
議論したグリケーションの現象は内因的老化において重大な役割を演ずる。真皮からのタ
ンパク質、エラスチン及びコラーゲンが体内の糖類、特にグルコースと反応し、コラーゲ
ン繊維の集まった結合及びラジカルの合成を生ずる。これは皮膚の構造を改変させ、それ
にその柔軟性を失わせ、それをより剛くする。かくして顔の皮膚の上の最も顕著な変化は
内因的及び外因的老化プロセスの組み合わせから生ずる。
【0049】
基本的に2つの因子−ラジカル及びAGE生成が皮膚のしわの顕著な加速因子である。
皮膚の老化のMaillard理論は、グルコース及びリボースのような還元糖がタンパ
ク質と反応して褐色色素を生成することをMaillardが見出した1912年にさか
のぼる。Maillard反応は、還元糖とタンパク質のアミノ基との相互作用を介して
タンパク質を架橋して安定なAmadori産物を生成させ、それが続いて架橋されて進
行したグリケーション最終産物(AGE)を生成する1系列の複雑な反応である。重要な
生物学的有意性の他の性質は、Amadori産物が遊離のグルコースの不在下でも架橋
し且つ重合し続けるという観察である。タンパク質架橋は、それが真皮における深いしわ
の形成を担うので、重要である。AGE架橋の形成は老化及びタンパク質の老化が重大な
損害であるすべてのプロセスの自然の部分でもある。老化プロセスの間に、還元糖はエラ
スチン及びコラーゲンのような皮膚の支持タンパク質に化学的に結合し、それらを徐々に
剛くし、それらの再生を遅くする。この非−特異的且つ非−酵素的な糖のコラーゲン及び
エラスチンへの結合は、遊離のグルコースの不在下でも架橋し且つ重合し続けるAGEの
生成に導く。老化するコラーゲンにおけるAGEsの役割についての走査力顕微鏡(sc
anning force microscope)を用いる研究は、増加した濃度のA
GEsの存在下で、老ラットのコラーゲン原線維において有意な構造的改変が観察された
ことを明らかにしている(非特許文献5)。この老化プロセスの結果として、コラーゲン
はその伸縮性を失い、皮膚はしわを発現する。
【0050】
タンパク質のアミノ基へのグルコースの共有結合は、単独ではコラーゲンおいて観察さ
れる構造的変化を説明するのに十分でない。グルコース酸化及びグリケーションされたタ
ンパク質の酸化の間に生成する酸素ラジカルがAGEsの生成及びコラーゲン架橋中に直
接含まれ得る。試験管内研究は、進行したグリケーション及びコラーゲンの架橋に酸素の
存在が欠かせないことを示している。抗酸化的状態及びラジカル掃去剤はAGEsの生成
及びコラーゲンの架橋を妨げるか、又は遅くすることが証明されている。ラジカル掃去剤
が、環境的及び内因的因子の両方により生成するラジカルによる損傷から表皮を保護する
のに必須であることも知られている(非特許文献6)。
【0051】
高度に分化し且つ確かに複雑な組織的構造を有する皮膚は、酸素及び他の環境的刺激と
のその接触の故に、特にラジカル損傷を受け易い(非特許文献7)。研究により、UV線
がコラーゲン、エラスチン及び他の皮膚タンパク質上のAGEsの生成を増加させること
が証明されている。それは皮膚上のAGEsの堆積を増加させることにより、ならびに皮
膚タンパク質を損なう一重項酸素及びスーパーオキシドラジカルの生産の増加により、悪
いサイクルを形成する。
【0052】
最近の数年で、光老化の基礎となる機構の解明に実質的な進歩が成された。アクチベー
タータンパク質(AP)−1及び核因子(NF)−kB活性化ならびにミトコンドリアD
NAの突然変異の結果としてのマトリックスメタロプロテイナーゼの誘導が近年同定され
た(非特許文献8)。グリケーションの初期の段階に、タンパク質のアミノ基とのグルコ
ースのような還元糖の縮合がUVA光生成一重項酸素ラジカルを生成させる。AGEがO
、H及び−OHを含む活性酸素種の生成を介する皮膚の光老化の促進のための
重要な因子であることが報告されている(非特許文献9)。試験管内線維芽細胞研究に基
づき、UVA照射下でAGEsはO、H及びOHを含む活性酸素種を生成する
が、OH種が有害な役割を細胞損傷の促進においている可能な機構が提案されている(非
特許文献10)。これらの基は皮膚細胞を刺激してメタロプロテイナーゼを合成させるこ
とにより、皮膚の自然のバランスを崩壊させる。メタロプロテイナーゼ酵素は、正常な生
物学的応答である皮膚タンパク質分解を抑制する抗−メタロプロテイナーゼの合成なしで
、コラーゲンを分解する。一重項酸素ラジカルにより誘導される、抗−メタロプロテイナ
ーゼを超えるメタロプロテイナーゼの釣り合わない生産は、皮膚のコラーゲン及びエラス
チンの分解に導く。これに損なわれたコラーゲン性マトリックスの不完全な傷の修復及び
伸縮性材料(elastotic material)の堆積、結局皮膚のたるみ及びし
わが続く。
【0053】
UVA線へのAGEsの露出の故に、スーパーオキシドアニオンの生成は強化される。
これはUVA−AGEsエネルギーが基底状態の酸素上への電子の通過を強化する細胞電
子伝達連鎖を介して成される。これはアデノシン三リン酸(ATP)合成の間のスーパー
オキシドアニオンの生成を増強させる。酵素スーパーオキシドジスムターゼは、スーパー
オキシドアニオンを過酸化水素と酸素に転換する。最後に鉄及び銅の触媒作用が過酸化水
素を毒性のヒドロキシルラジカルに変換し、皮膚コラーゲン及びエラスチンを分解させ、
それに不完全な傷の治癒及び皮膚を光老化させる太陽の跡の発現が続く。
【0054】
化粧品市場の棚は外因的老化を処置する製品で満ちているが、皮膚の支持タンパク質に
おけるAGEの阻害により内因的老化を標的とする製品にはまだ空白がある。
【0055】
進行したグリケーション最終産物の生成を妨げる能力(コラーゲンのような皮膚の支持
タンパク質における)は、AGE破壊剤活性及びラジカル掃去活性とともに、皮膚の老化
及びしわなどの処置において有意な意味を持っている。
【0056】
かくしてAGEの存在を変えることができる分子を用いて、皮膚の老化及びしわの形成
などの兆候を予防することが可能であり、それらを化粧品的用途にために用いることがで
きる。
【0057】
皮膚の老化及びしわの形成が良好なスキンケアにかかわらずに起こることが経験により
示されている。従ってAGEの生成により引き起こされる皮膚の老化を予防もしくは処置
するための薬剤の開発が必要である。本発明の化合物は非−ペプチドであり、コラーゲン
及びエラスチンにおけるAGE架橋、生成を改変することができる。本発明の化合物を他
の薬剤と一緒に化粧品学的調製物に調製することができる。
【0058】
皮膚のしわを予防するか、又は遅らせるために、AGEの生成を妨げ、すでに生成した
AGEを後退させることならびに酸化防止剤またはラジカル掃去剤により酸化的ストレス
を下げることが重要である。本質的に、AGEを阻害し;AGEを破壊し、AGEの生成
を遅らせ且つコラーゲン分解を予防する分子は、化粧品(cosmeceuticals
)として理想的な候補であろう。本発明の分子は、AGE阻害剤及び有力なAGE破壊剤
ならびにラジカル掃去剤である性質を示し、それはそれらを化粧品学的用途に最も適した
ものとする。
【0059】
ラジカルはそれらの原子構造中に1個もしくはそれより多い不対電子を有する原子又は
分子であり、非常に反応性である。ラジカル−反応性酸素種(ROS)−は、哺乳類の系
において正常な代謝プロセスの結果として絶えず生産されている。ROSの外因性の供給
源には運動、汚染(特に喫煙及び自動車排気)、アルコール、日光及び薬物(麻酔薬のよ
うな)が含まれる。ラジカルは正常な生理学的機構において重要な役割を有するが、RO
Sの過剰な生産は酸化的ストレス−タンパク質、脂質及び核酸のような生物学的に重要な
分子への酸化的な損傷の結果に通常適用される用語−を生ずる。タンパク質はずっと以前
から、ROSによる酸化を受け易いことが知られていた。シスチンのような芳香族アミノ
酸及びジスルフィド結合は特に害をこうむり易い。すべての生物物質は多様なポリ不飽和
脂肪酸を含有し、それは主に膜脂質中に位置する。それらは高度にROSによる損傷を受
け易い。
【0060】
酸化防止剤(「ラジカル掃去剤」とも呼ばれる)として既知の化合物の群は、酸化的ス
トレスに対する主な防御である。これらの化合物は膜及び細胞質成分をROSからの損傷
に対して保護するように機能する。新しいラジカル種の生成を妨げる一次的な酸化防止剤
にはスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)及びグルタチオンペルオキシダーゼ(GS
H Px)のような酵素系が含まれる。二次的酸化防止剤はラジカル種を捕獲し、かくし
て連鎖反応を妨げ、それにはビタミンE、ビタミンC、タウリン及びβ−カロテンのよう
な栄養素が含まれる。酸化防止剤防御の最後の線は酵素メチオニンスルホキシドレダクタ
ーゼのような修復系により与えられ、それは酸化されたタンパク質中にメチオニン残基を
再生させ、機能を復活させる。
【0061】
細胞成分、主にタンパク質、脂質及びDNAへの内因性酸化的損傷は、多数の慢性疾患
の病因に寄与すると考えられる。危うくなった酸化防止剤の状態(compromise
d antioxidant status)、酸化的損傷の指標(indices)及
び真性糖尿病、喘息、慢性腎不全、肝炎、大腸炎、アトピー性皮膚炎、関節炎及び種々の
変性障害のような臨床的状態の間の関連は現在、十分に実証されている。酵素及び非酵素
性掃去剤を含む酸化防止剤の減少した状態を酸化的損傷の増加及び疾患の重度に結びつけ
る有意な情況証拠がある。
【0062】
酸化防止剤活性を有する他にタンパク質架橋を破壊/阻害する能力を有する分子が必要
であり、酸化的ストレスが病因に極めて重要な役割を果たすいくつかの疾患の状態におい
てそれらを用いる他に、下記に挙げる化粧品学的用途にそれらを有効に用いることができ
る:
a)しわの後退及び予防、
b)細かいしわの後退及び予防、
c)表皮成長の促進、
d)皮膚の光保護、
e)皮膚の変色の後退及び予防、
f)しみの後退及び予防、
g)乾燥点のコンディショニング及び予防、
h)ストレッチマークの後退及び予防、
i)傷の後退及び予防、
j)スキンケア及びスキンコンディショニング、
k)老人性乾皮症の後退及び予防、
l)日焼けのコンディショニング及び予防、
m)コラーゲンの喪失の予防及び後退、
n)皮膚のきめの改善、
o)皮膚のはりの改善、
p)皮膚の厚さの増強、
q)毛穴の縮小、
r)皮膚の艶の回復、
s)疲労の兆候の最小化、
t)ニキビの減少、
u)毛細血管拡張症の処置及び
v)毛髪及び爪の美観の改善。
【0063】
分子のラジカル掃去(酸化防止)性の製薬学的用途
化合物のAGE−破壊/AGE阻害及びラジカル掃去活性に基づく化粧品学的用途のた
めの化合物の使用と別に、これらの化合物のそのような活性を下記で議論する状態の有効
な処置のための酸化的ストレスの抑制を目的とする戦略において用いることができる:
アルツハイマー病(A.D.)、パーキンソン病(P.D.)、ハンティングトン病(
H.D.)、運動ニューロン疾患(M.N.D.)、プリオン病(Prion dise
ase)のような神経−変性障害
【0064】
人が年をとるとともに彼らの酸化防止レベルは減退し、これらの低いレベルはアルツハ
イマー病及びパーキンソン病のような老化と関連する多くの疾患に直接結びつく。主な仮
定の1つは、反応性酸素種(ROS)により誘導される酸化的ストレスがニューロンの必
須の成分を損ない、結局ニューロンの死を生ずるという仮定である。酸化的ストレスは、
膜の剛性の向上、DNA鎖の破壊及びグルコース吸収の損傷を含むニューロン損傷に導く
種々の多様な事象に含まれる。種々の神経変性障害における酸化的ストレスの源であり得
るもののいくつかは十分に同定されている[Munch G,et al.1998]。
【0065】
A.D.においては、ミトコンドリア機能不全、アミロイドベータ媒介プロセス;遷移
金属堆積及び遺伝的因子がレドックス不均衡を担っている[Smith MA,et a
l 2000]。
【0066】
スーパーオキシドジスムターゼ酵素における点突然変異は、家族性の形態のMNDにお
いて既知である。
【0067】
ニューロンエネルギー代謝の障害はH.D.に関する病因的機構として関係があるとさ
れてきた。
【0068】
糖尿病及び糖尿病性血管性合併症(DVCs)
糖尿病における酸化的ストレスの原因はまだ完全に理解されてはいないが、ミトコンド
リア機能不全、高血糖症による直接の酵素阻害、グルコースの自己−酸化及びニコチンア
ミド−アデニンジヌクレオチドホスフェート(NADPH)−オキシダーゼの活性化の故
であると考えられる。糖尿病における酸化的ストレスは、内因性酸化防止剤の減少による
弱まった防御の故にも増加する。酸化的ストレスは脂質過酸化産物の濃度の上昇、赤血球
脆弱性及び酸化防止剤酵素系(CAT、GSH Px、SOD)の減少として現れる。最
近の研究は、血液グルコース濃度と酸化剤−誘導リンパ球DNA損傷の間の正の関連性も
示した[非特許文献11]。
【0069】
ROSはグルコース酸化及び進行したグリコシル化最終産物(AGE)の形成の間に生
成する。ROSの生成がDVCsの発現において重要な役割を果たすことを示す証拠が蓄
積されている。高血糖症と関連する多くの生化学的経路、例えば進行したグリコシル化、
グルコース自己酸化及びポリオール経路はラジカルの生産を増加させ得る。糖尿病患者に
おける高血糖症はグルコースの過剰な自己−酸化を生じ、それにより分子状酸素を還元し
、スーパーオキシドイオン(O)、ヒドロキシルラジカル(・OH)及び過酸化水素
(H)のような酸化性中間体を生ずる。グリコシル化及びグルコース自己酸化の間
に起こるフラグメント化及びコンホーメーション的変化がラジカルに依存性であることが
示されているので、ラジカルは進行したグリコシル化最終産物(AGE)の生成を加速す
る。AGEsは、今度は自分がより多くのラジカルを供給する;このプロセスは酸化的グ
リコシル化又はグリコキシデーション(glycoxidation)と呼ばれる。これ
らのラジカルは酸化窒素(NO)を不活性化又はクエンチングすることにより血管の弛緩
を損ない、内皮機能に悪影響も及ぼす。Maillard反応が老化及び糖尿病における
酸化的損傷の増幅因子として作用することも、証拠により示されている[D.Guigl
iano et al,1996]。
【0070】
腸疾患
酸化的ストレスは、炎症及び虚血において起こる組織損傷の重要な原因である。腸虚血
、放射線腸炎(radiation enteritis)、炎症性腸疾患ならびに胃及
び結腸直腸ガンの発ガン補助作用は、酸化的ストレスが病因に含まれる胃腸状態のいくつ
かである。
【0071】
肝臓疾患
アルコール性肝臓疾患−エタノールはROSを強化するか、又は内因性酸化防止剤の量
を減少させることにより、脂質の過酸化を増加させる。エタノールはまた、ミクロソーム
中の多様なシトクロム P450酵素及び細胞質ゾル中のキサンチンオキシダーゼを誘導
する。酸化的ストレスの発生におけるこれらの酵素の役割は種々の研究において十分に確
立されている[Ishii H,et al.1997]。
【0072】
慢性C型肝炎−強化された酸化的ストレスは慢性C型肝炎を有する患者の肝臓において
線維形成カスケードを開始させる。慢性C型肝炎における活性な線維形成に導く酸化的ス
トレス経路を支持する証拠が現れている。重症の慢性C型肝炎に特徴的なこの線維形成カ
スケード(例えば酸化的ストレス、c−mybの誘導、星細胞の活性化及びコラーゲン遺
伝子発現)はROSにより刺激される。
【0073】
ガン
DNAへの酸化的損傷はDNAとROS、特にヒドロキシルラジカルとの相互作用の結
果である。ヒドロキシルラジカルはDNAにおいて複数の改変を生ずる。OHラジカルに
よるデオキシリボース部分への酸化的攻撃はDNAからの遊離の塩基の放出を生じ、種々
の糖改変及び単純な非塩基(abasic)(AP)部位を用いて鎖切断を生ずる。
【0074】
ROSは細胞タンパク質、脂質及びDNAとも相互作用し、且つそれらを改変させ、そ
れは変更された標的細胞機能を生ずる。酸化的損傷の蓄積は、ガンの形成における可能な
関与を含む急性及び慢性細胞損傷の両方に関係があるとされてきた。急性酸化的損傷は選
択的細胞死及び代償的な細胞増殖における増加を生じ得る。この刺激は新しくイニシエー
ションされた前新生物的細胞の形成を生ずるか、及び/又は潜在的なイニシエーションさ
れた前新生物的細胞の選択的なクローン的拡大を増強させ得る。同様に致死以下の急性酸
化的損傷は修復されないDNA損傷を生じ得、新しい突然変異及びおそらく新しいイニシ
エーションされた細胞の形成を生ずる。従ってROSは発ガン物質活性化を媒介し、DN
A損傷を引き起こし、DNA損傷の修復を妨害することにより、発ガンのイニシエーショ
ン段階に複数の影響を有し得る。
【0075】
以下のガンの予防又は処置における種々の酸化防止剤の利益が広範囲に研究されてきた

1)肺ガン
2)結腸直腸ガン
3)頸ガン
4)乳ガン
5)悪性黒色腫。
【0076】
心臓病における酸化的ストレス
終生の(lifelong)多量の酸化防止的栄養素は心臓病の発現に対して保護する
と思われる。急性の心臓発作に続く月間における酸化防止剤の多量の投薬は、死亡の数な
らびに致命的でない場合の心臓損傷の程度を有意に低下させることが示されている。
【0077】
現在、酸化的ストレスの増加は、高コレステロール血症、高血圧及び喫煙を含む複数の
心臓血管系リスク因子に伴う内皮機能不全の病態生理学に含まれると考えられている。そ
れはアテローム性動脈硬化症及び心不全のような臨床的状態の発生においても重要な役割
を果たす。酸化的ストレスはレドックス−感受性キナーゼカスケードならびにNFB及
びAP−1のような転写因子を活性化することができ、炎症的応答及び細胞増殖と関連す
る因子の発現を増加させる。血管壁において反応性酸素種を生ずる3つの酵素系:NAD
H/NADPHオキシダーゼ、キサンチンオキシドレダクターゼ及び内皮酸化窒素シンタ
ーゼがある(Zalba G.et.al,2000、Rosenfeld ME,19
98)。
【0078】
アテローム発生は複数の刺激の間の相互作用の結果とみなされている。内皮機能不全は
アテローム性動脈硬化症の発現において重要な役割を果たす。ホモシステイン濃度の向上
は内皮機能不全の急速な開始と関連し、それは酸化的ストレスの増加がアテローム性動脈
硬化症に寄与する別の機構である。低−密度リポタンパク質の酸化はアテローム発生にお
けるいくつかの段階で重要な役割を果たす。酸化的ストレスはNFBも活性化し、それ
はサイトカイン発現を制御する遺伝子の発現及び血管壁への白血球接着を誘導する(Ma
xwell,et al.1997)。
【0079】
動物研究は、ラジカルが血栓症を促進し、血管細胞及び他の組織を直接損ない、血管運
動調節を妨害し、心筋梗塞及び虚血性発作の臨床的後遺症を伴い得ることを示唆すること
により、証拠を提供してきた。
【0080】
心筋虚血におけるように、虚血に続いて酸素供給が消耗され尽くしてしまう組織におい
て、酵素キサンチンオキシダーゼは酸素をスーパーオキシドに還元する可能性を有する形
態に変化する。例えば再灌流により酸素が入ると、ラジカル生成がどっと起こる。ROS
は虚血−後心筋層において加速された速度で生成する。かくしてラジカルの故の生化学的
損傷は虚血性損傷に寄与する。
【0081】
酸化的ストレスは、膜欠陥を生じ、細胞内カルシウム過剰負荷及び気絶した(stun
ned)心筋層における心臓収縮機能不全を生じ得る機構の1つとも思われる。
【0082】
黄斑変性及び白内障
年をとった目のレンズへの酸化的損傷は、白内障形成に主に寄与する。黄斑変性も酸化
的損傷の結果であると認識されている。
【0083】
HIV疾患
酸化防止剤防御システムの動揺はHIV患者で種々の組織において観察されてきた。酸
化的ストレスがウィルス複製、炎症的応答及び免疫細胞増殖の減少、免疫機能の喪失、ア
ポプトシス、慢性の体重減少のようなHIV疾患の病因のいくつかの側面に寄与している
かもしれない。酸化防止剤はHIV患者に有望な処置を与えることができる。
【0084】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
肺胞及びグルタチオンの肺代謝における変更は、COPDを含む多くの炎症性肺疾患の
中心的な特徴として広く認識されている。これらの変化は、グルタチオン合成における律
速的酵素であるガンマ−グルタミルシスチンシンターゼ(Gamma−GCS)の遺伝子
発現における変更の結果である。酸化的ストレスはCOPDの病因に関係があるとされ、
それはアンチプロイナーゼの不活性化、気室上皮損傷、粘液過分泌、肺中への好中球の流
入の増加、転写因子活性化及び前−炎症媒介物の遺伝子発現をそれが生ずるからである[
MacNee W,et al.2001]。
【0085】
腎性疾患
ROSは腎性疾患の種々の形態、主に実験的に誘導される糸球体腎炎の発生のみでなく
、急性腎不全の種々の形態にも関係があるとされてきた。
【0086】
喘息
喘息の病因は十分に限定されていないが、典型的な特徴は肺中の炎症細胞の数の増加で
ある。そのような細胞はROSを生成し、それは気道平滑筋収縮、気道反応性の増加及び
血管浸透性の向上を含む喘息の病態生理学に含まれる。
【0087】
免疫機能への酸化防止剤の状態の影響
免疫系は酸化的ストレスに特に敏感であり、主にそれは、免疫細胞が有効に働くために
細胞から細胞への伝達に重度に頼っているからである。細胞膜の過酸化は膜の一体性を危
うくし、細胞内シグナリングを崩壊させる。
【0088】
白内障
年をとった目のレンズへの酸化的損傷は、白内障形成に主に寄与する。
【0089】
かくして、ラジカルの掃去により以下の疾患を処置することができる。
1)神経変性障害
(a)アルツハイマー病
(b)パーキンソン病
(c)ハンティングトン病
(d)運動ニューロン疾患
(e)プリオン病
2)糖尿病及び糖尿病性血管性合併症
3)腸疾患
(a)腸虚血
(b)放射線腸炎
(c)炎症性腸疾患
(d)胃及び結腸直腸ガン
4)肝臓疾患
(a)アルコール性肝臓疾患
(b)慢性C型肝炎
5)ガン
(a)肺ガン
(b)結腸直腸ガン
(c)頸ガン
(d)乳ガン
(e)悪性黒色腫。
6)心臓病
(a)アテローム性動脈硬化症
(b)心筋梗塞
(c)虚血性発作
(d)内皮機能不全
7)眼性障害
(a)白内障形成
(b)黄斑変性
8)HIV疾患
9)呼吸器疾患
(a)慢性閉塞性肺疾患(COPD)
(b)喘息
10)腎性疾患
(a)糸球体腎炎
(b)急性腎不全
【0090】
【特許文献1】米国特許第5,853,703号明細書,特許の日付:1998年12月29日
【特許文献2】米国特許第5,656,261号明細書
【特許文献3】米国特許第5,853,703号明細書
【特許文献4】米国特許第4,758,583号明細書
【特許文献5】米国特許第5,137,916号明細書
【特許文献6】米国特許第5,272,176号明細書
【特許文献7】米国特許第5,853,703号明細書
【非特許文献1】Brownlee M et al著,Science 1986年,232:p.1629−1632
【非特許文献2】Vasan et al著,Nature,1996年,382:p.275−278
【非特許文献3】Nordbo著,J.Dent.Res.,58,1979年,p.1429
【非特許文献4】Boni R,Burg G著,Schweiz Med Wochenschr,2000年,Step 9;130(36):p.1272−8
【非特許文献5】Odetti P,Aragno I,et al.著,Gerontology,1998年,44(4);p.187−91
【非特許文献6】Pugliese PT著,Dermatol.Nurs,1998年12月,10(6):p.401−16;quiz 417−18
【非特許文献7】Calabress V,Scapagnini G et.al.著,Drug Exp.Clin.Res.,1999年;25(6):p.281−7
【非特許文献8】Berneburg M,et.al.著,Photodermatol Photoimmunol.Photomed,2000年12月:16(6):p.238−44
【非特許文献9】Masaki H.et.al.,Biochem Biophys.Res.Commun,1997年1月18日:p.235
【非特許文献10】Hitoshi Masaki et.al.著,Biochemica et Biophysica Acta 1428,1999年,p.45−56
【非特許文献11】E.J.Harper著,The 24th Annual WALTHAMR/OSU SYMPOSIUM
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0091】
本発明の第1の目的は、糖尿病及び老化関連血管性合併症の処置のために、そして特に
真性糖尿病の合併症及び他の老化関連状態、例えば腎臓疾患、神経損傷、アテローム性動
脈硬化症、網膜症、炎症性障害、免疫学的障害、酸化的ストレスを含む血管性及び神経血
管性合併症ならびに皮膚科学的及び化粧品学的適応症の処置において有用な新規な種類の
5員複素環式環化合物を提供することである。本発明は口腔における非酵素性褐色着色か
ら生ずる歯の変色を後退させる方法にも拡大され、その方法は前生成の進行したグリコシ
ル化架橋を後退させるのに有効な量の投与を含む。
【0092】
本発明の第2の目的は、AGE破壊及び阻害活性を示す5員複素環式環化合物の化合物
を提供することである。
【0093】
本発明の第3の目的は、AGE破壊及び阻害活性を示す5員複素環式環化合物の化合物
の製造法を提供することである。
【0094】
本発明の第4の目的は、本発明に従う5員複素環式環化合物の新規な種類の化合物及び
それらの製薬学的に許容され得る塩を、適した担体、溶媒、賦形剤、希釈剤及び医薬組成
物の調製に通常用いられる他の媒体と組み合わせて有する医薬組成物を提供することであ
る。
【0095】
本発明の第5の目的は、本発明の化合物又はそれらの製薬学的に許容され得る塩を単独
で、又は抗−糖尿病治療のための薬剤と組み合わせて、必要な投薬量で、製薬学的に許容
され得る希釈剤、溶媒、賦形剤、担体又は目的に適してい得る他の媒体との混合物におい
て投与することによる、糖尿病患者の処置の方法を提供することである。
【0096】
本発明の第6の目的は、a)ラジカル掃去剤活性、b)AGE破壊剤活性及びc)AG
E阻害剤活性を同じ分子中に有する新規な種類の化合物を提供することである。
【0097】
本発明の第7の目的は、活性成分としてこれらの化合物を含む化粧品学的組成物を提供
することである。
【0098】
本発明の第8の目的は、化粧品学的組成物の調製法を提供することである。
【0099】
本発明の第9の目的は、本発明の化粧品学的組成物を適用することによる化粧品学的適
用のための方法を提供することである。
【0100】
本発明の第10の目的は、体細胞からラジカルを掃去するために有用な医薬組成物を提
供することである。
【0101】
本発明の第11の目的は、哺乳類の体細胞からラジカルを掃去するための方法を提供す
ることである。
【0102】
本発明の第12の目的は、哺乳類の体細胞中におけるラジカルの堆積により引き起こさ
れる疾患の処置の方法を提供することである。
【0103】
本発明の第13の目的は、AGEの阻害のための方法ならびにまた哺乳類においてAG
Eを阻害するための組成物を提供することである。
【0104】
本発明の他の目的は、糖尿病患者の腹膜透析に有用な透析液を提供することである。
【0105】
本発明は、上記の組成物を適用することによる、化粧品学的処置の方法も提供する。本
発明はさらに、上記で定義した化合物又はその製薬学的に許容され得る塩を製薬学的に許
容され得る担体、希釈剤、賦形剤又は溶媒との混合物において含む、哺乳類の体細胞から
ラジカルを掃去するのに有用な医薬組成物も提供する。
【0106】
本発明はさらに、上記の医薬組成物を投与することにより哺乳類の体細胞からラジカル
を掃去する方法又は該組成物の投与によりラジカルの堆積によって引き起こされる疾患を
処置する方法を提供する。
【0107】
本発明はさらに、本発明の化合物の使用によりAGEを阻害するための方法ならびにA
GEの阻害のための組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0108】
本発明は式I
【0109】
【化1】

【0110】
[式中、
はアルキル又はアリール基であり;
Yは硫黄、酸素、窒素又はアルキルより成る群から選ばれ;
A及びBは独立して窒素、硫黄、酸素又は炭素より成る群から選ばれてヘテロ芳香環系を
形成し;
、R及びRは独立してF、Cl、Br、I、OR、NO、アルキル、ヘテロ
アリールを含むアリール、ホルミル、アシル、C(O)NR、C(O)OR、N
、N=C(R)(R)、SR、SONH、SOアルキル、SO
リールより成る群から選ばれ;R、R及びRは場合により一緒になって環系を形成
することができ;
は四級化されている場合、独立してアルキル及びアリールより成る群から選ばれ;四
級化されていない場合、Rはなしであり且つXはなしであり、
は独立してH、アルキル及びヘテロアリールを含むアリールより成る群から選ばれ、
但しRは同じ化合物中でR、R及びRに関して異なることができ;
は独立してH、アルキル及びヘテロアリールを含むアリールより成る群から選ばれ、
それぞれ場合により置換基Rと異なることができ、但しRは同じ化合物中でR、R
及びRに関して異なることができ、
四級化されている場合、Xはハライドイオン、酢酸イオン、過塩素酸イオン、スルホン酸
イオン、シュウ酸イオン、クエン酸イオン、トシレートイオン、マレイン酸イオン、メシ
レートイオン、炭酸イオン、亜硫酸イオン、リン酸水素イオン、ホスホン酸イオン、リン
酸イオン、BF及びPFより成る群から選ばれ、
但し2個のアルキル基が同じ炭素又は窒素上に存在する場合、それらは場合により結合し
て環状構造を形成することができる]
の新規な種類のAGE−破壊剤を提供する。
【0111】
本明細書で用いられる場合、「アルキル」は、炭素−炭素単結合により結合し且つ結合
した1〜8個の炭素原子を有する場合により置換されていることができる炭化水素基を示
す。アルキル炭化水素基は直鎖状、分枝鎖状もしくは環状、飽和もしくは不飽和であるこ
とができる。置換基はF、Cl、Br、I、N、S、O及びアリールから選ばれる。好ま
しくは3個以下の置換基が存在する。
【0112】
本明細書で用いられる場合、「アリール」は、共役パイ−電子系を有し、最高で2個の
共役もしくは縮合環系を含有する少なくとも1個の環を有する、場合により置換されてい
ることができる芳香族基を指す。アリールは炭素環式アリール、複素環式アリール及びビ
アリール基を含み、それらのすべては場合により置換されていることができる。置換基は
F、Cl、Br、I、N、S、O及び直鎖状もしくは分枝鎖状C−C炭化水素から選
ばれる。
【0113】
好ましい態様において、本発明は式(1)の新規な種類のAGE破壊剤、AGE阻害剤
及びラジカル掃去剤ならびにそれらの製薬学的又は化粧品学的に許容され得る塩を提供し、
【0114】
【化2】

【0115】
式中、
は水素であるか、あるいは直鎖状もしくは分枝鎖状(C−C12)アルキル、(C
−C12)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケ
ニル、ビシクロアルキル、ビシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラ
ルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルから選ばれ、ここで1個もしくはそれより多
いヘテロ原子は、存在する場合、独立してO、N又はSから選ばれ且つ場合により置換さ
れていることができ、ここで置換基はハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、
オキソ及びオキシムより成る第1の群から、あるいは直鎖状もしくは分枝鎖状(C−C
)アルキル、(C−C)シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、ペルハロアル
キル、ペルハロシクロアルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール、アルキルヘ
テロアリール、アラルコキシルアルキル、ペルハロアリール、アルキルヘテロシクロアル
キル、へテロシクリロアルキル、ペルハロヘテロシクリロアルキル、ヘテロアリール、ヘ
テロアラルキル、アルキルアリール、ペルハロヘテロアリール、アシル、アルコキシアル
キル、チオアルキル及び
【0116】
チオアリールより成る第2の群から選ばれ、ここで該第2の群からの置換基は場合によりR10で置換されていることができ、そして場合により且つ独立して−(CO)O−、−(CO)NH−、−NH−、−NR−、−O−、−S−、−(SO)−、−(SO)、−(SO)NH−又は−NH(CO)−で架橋されていることができ;
Yはなし(null)、(C−C12)アルキル−Z又は(C−C12)アルキルより成る群から選ばれ、ここでZは硫黄、酸素又は窒素から選ばれ;
A及びBは独立してNH、NR、硫黄、酸素又は炭素から選ばれてヘテロ芳香環系を形成し;
、R及びRは独立して水素、ハロゲン、NO、N=C(R)(R)、−NR、−OR、ペルハロアルキル、−(CO)NR、−(CO)R、−(CO)OR、−O(CO)R、−NH(CO)Rより成る第1の群から、あるいは直鎖状もしくは分枝鎖状(C1−C12)アルキル、(C2−C12)アルケニル、(C3−C7)シクロアルキル、(C5−C7)シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ビシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルより成る第2の群から選ばれ、ここで該第2の群の1個もしくはそれより多いメンバーは、存在する場合、場合によりR10で置換されていることができ且つここで1個もしくはそれより多いヘテロ原子は、存在する場合、独立してO、N又はSから選ばれ;
はなしであるか、あるいは直鎖状もしくは分枝鎖状(C−C12)アルキル、(C−C12)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルケニル、ビシクロアルキル;場合によりR10で置換されていることができるCH(CO)R、CH(CO)NHR、CH(CO)NR及びCH(CO)ORより成る群から選ばれ;
及びRは独立して直鎖状もしくは分枝鎖状(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、ペルハロアルキル、ペルハロシクロアルキル、アリール、アラルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アラルコキシルアルキル、ペルハロアリール、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクリロアルキル、ペルハロヘテロシクリロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アルキルアリール、ペルハロヘテロアリール、アシル、ベンゾイル、アルコキシアルキル、チオアルキル及びチオアリールより成る群から選ばれ、ここで該群のメンバーは場合によりR10で置換されていることができ;
及びRは独立して直鎖状もしくは分枝鎖状(C−C12)アルキル、アルコキシアリール、アルコキシアルキル、アルコキシシクロアルキル、アルコキシアリール、ペルハロアルキル、(C−C12)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、ペルハロシクロアルキル、ハロヘテロシクロアルキル、シアノヘテロシクロアルキル、ペルハロヘテロシクロアルキル、(C−C)シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ビシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ペルハロアリール、ペルハロヘテロアリールより成る群から選ばれ、
【0117】
12)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、ペルハロシクロアルキル、ハロヘ
テロシクロアルキル、シアノヘテロシクロアルキル、ペルハロヘテロシクロアルキル、(
−C)シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ビシクロアルケニル、ヘテロシクロ
アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ペルハロアリー
ル、ペルハロヘテロアリールより成る群から選ばれ、ここで該群の置換基は場合によりR
10で置換されていることができ;
10はハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、オキソ、ペルハロアルキル(
−C)又はオキシムから選ばれ;
Xはハライドイオン、酢酸イオン、過塩素酸イオン、スルホン酸イオン、シュウ酸イオン
、クエン酸イオン、トシレートイオン、マレイン酸イオン、メシレートイオン、炭酸イオ
ン、亜硫酸イオン、リン酸水素イオン、ホスホン酸イオン、リン酸イオン、BF及び
PFより成る群から選ばれ、
但し、基/置換基が同じもしくは隣接する炭素もしくは窒素原子上に存在する場合、それ
らは場合により一緒になって、場合により1個もしくはそれより多い二重結合を含有して
いることができ且つ場合によりO、N又はSから選ばれる1個もしくはそれより多いヘテ
ロ原子を含有していることができる5もしくは6もしくは7員環を形成することができる

【0118】
上記で定義した式(1)の化合物は、それらの類似体、それらの互変異性体、それらの
立体異性体、それらの多形相、それらの製薬学的に許容され得る溶媒和物及びそれらの化
粧品学的に許容され得る溶媒和物を含むと理解される。
【0119】
本発明の化合物の製薬学的/化粧品学的に許容され得る塩の制限ではない例にはカルボ
ン酸部分の塩、例えばLi、Na及びK塩のようなアルカリ金属塩;Ca及びMg塩のよ
うなアルカリ土類金属塩;有機塩基、例えばリシン、アルギニン、グアニジン、ジエタノ
ールアミン、コリンなどの塩;アンモニウムもしくは置換アンモニウム塩及びアルミニウ
ム塩が含まれるがこれらに限られず;塩は酸付加塩、例えば硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、
過塩素酸塩、ホウ酸塩、ハロゲン化水素塩、酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸
塩、コハク酸塩、パルモエート(palmoates)、メタンスルホン酸塩、安息香酸
塩、サリチル酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、アスコルビン酸塩
、グリセロリン酸塩、ケトグルタル酸塩などであることができる。
【0120】
以下の新規な化合物は上記で定義した一般式Iの代表的な化合物の例としてのみ示され
、本発明を全く制限するものではない。
a)1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[(3−フェニルメチル
)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムブロミド(化合物1);
b)1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[(3−フェニルメチル
)オキサゾール−5−イルピリジニウムブロミド(化合物2);
c)1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[3−{1−(2−チエ
ン−2’−イル)−2−オキソエチルピリジニウム−4−チオ}メチル−ピラゾール−5
−イル]ピリジニウムジブロミド(化合物3);
d)1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[3−{1−(3,5−
ジメチルピラゾール−1−イル)メチル}ピラゾール−5−イル]ピリジニウムブロミド
(化合物4);
e)1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[{3−フェニルメチル
}−1−{2−ピリジル}−ピラゾール−5−イル]−ピリジニウムブロミド(化合物5
);
f)1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[3{(3,5−ジメチ
ルピラゾール−1−イル)メチル−1−ピリジル}ピラゾール−5−イル]ピリジニウム
ブロミド(化合物6);
g)1−[2−(シクロプロピルアミノ)−2−オキソエチル] 3−[3−{(3,5
−ジメチルピラゾール−1−イル)メチル}−ピラゾール−5−イル]−ピリジニウムブ
ロミド(化合物7);
h)1−{2−(4−ニトロ−2−チエニル)−2−オキソエチル}−3−[3{(3,
5−ジメチルピラゾール−1−イル)メチル}−ピラゾール−5−イル]−ピリジニウム
ブロミド(化合物8);
i)1−(2−シクロプロピルアミノ−2−オキソエチル)−3−[(3−フェニルメチ
ル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物9);
j)3,5−ビス−[1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−ピリジニウ
ム−3−イル]−ピラゾールジブロミド(化合物10);
【0121】
k)1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[(1−フェニル−3−
フェニルメチル)ピラゾール−5−イル]−ピリジニウムクロリド(化合物11);
l)1−(2−(5’−メチル−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[(3−フ
ェニルメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物12);
m)1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル) 3−[1−フェニル,3−{
(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)メチル)}ピラゾール−5−イル]−ピリジ
ニウムクロリド(化合物13);
n)1−(2−フェニル−2−オキソエチル)−3−[(3−フェニルメチル)ピラゾー
ル−5−イル]−ピリジニウムブロミド(化合物14);
o)1−(2−シクロプロピルアミノ−2−オキソエチル) 3−[(1−フェニル−3
−フェニルメチル)ピラゾール−5−イル]−ピリジニウムクロリド(化合物15);
p)1−(2−(4−ベンジル−1−ピペリジニル)−2−オキソエチル) 3−[(3
−フェノキシメチル)ピラゾール−5−イル]−ピリジニウムブロミド(化合物16);
q)1−(2−フェニル−2−オキソエチル)−3−[(3−(3,5−ジメチルピラゾ
ール−1−イル)メチル)ピラゾール−5−イル]−ピリジニウムクロリド(化合物17
);
r)1−(2−(5−メチル−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[(3,−(
3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)メチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウム
クロリド(化合物18);
s)1−(2−フェニル−2−オキソエチル)−3−[(1−フェニル−3−フェニルメ
チル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物19);
t)1−(2−(5−メチル−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[(3(2−
シクロヘキシルエチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物20);
【0122】
u)1−(2−シクロプロピルアミノ−2−オキソエチル)−3−[(3−(2−シクロ
ヘキシルエチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物21);
v)1−(2−フェニル−2−オキソエチル)−3−[(3−(2−シクロヘキシルエチ
ル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物22);
w)1−(2−シクロプロピルアミノ−2−オキソエチル)−3−[(1−シクロヘキシ
ル−3−フェニルメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物23)

x)1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[(3−フェノキシメチ
ル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物24);
y)1−[2−(1−アダマンチルアミノ)−2−オキソエチル]−3−[(3−フェニ
ルメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物25);
z)1−(2−フェニル−2−オキソエチル)−3−[{3−(3,5−ジメチルピラゾ
ール−1−イル)メチル)}1−フェニル−ピラゾール−5−イル]ピリジニウムブロミ
ド(化合物26);
aa)1−(2−(4−ニトロ−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[(1−シ
クロヘキシル−3−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)−メチル)ピラゾール−
5−イル]ピリジニウムブロミド(化合物27);
bb)1−(2−(4−ニトロ−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3[(3−(2
−シクロヘキシルエチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムブロミド(化合物28)

cc)1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[(1−フェニル−3
−フェノキシメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物29);
dd)1−(2−(4−ニトロ−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[(1−フ
ェニル−3−フェニルメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムブロミド(化合物3
0);
【0123】
ee)ピラゾール 1−(2−シクロプロピルアミノ−2−オキソエチル)−3−[(3
−フェノキシメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物31);
ff)1−(2−シクロプロピルアミノ−2−オキソエチル)−3−[(1−シクロヘキ
シル−3−(3,5−ジメチルピラゾール)−1−イル)−5−イル]ピリジニウムクロ
リド(化合物32);
gg)1−(2−(5−クロロ−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[(3−フ
ェノキシメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムブロミド(化合物33);
hh)1−(2−フェニル−2−オキソエチル)−3−[(1−フェニル−3−フェノキ
シメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物34);
ii)1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[(1−シクロヘキシ
ル−3−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル−メチル)ピラゾール−5−イル]ピ
リジニウムクロリド(化合物35);
jj)1−(2−シクロプロピルアミノ−2−オキソエチル)−3−[(1−フェニル−
3−フェノキシメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムブロミド(化合物36);
kk)1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[(1−フェニル−3
−(2−シクロヘキシルエチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムブロミド(化合物
37);
ll)1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[(1−シクロヘキシ
ル−3−フェノキシメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物38
);
mm)3−[(3−フェニルメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジン塩酸塩(化合物3
9);
nn)3−[(3−フェノキシメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジン塩酸塩(化合物
40);
【0124】
oo)3−[(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル−メチル)ピラゾール−5−イル
]ピリジン(化合物41);
pp)3−[3−(2−シクロヘキシル−エチル)−ピラゾール−5−イル]ピリジン(
化合物42);
qq)1−(2−ナフチル−2−オキソエチル)−3[(3−フェノキシメチル)ピラゾ
ール−5−イル]ピリジニウムブロミド(化合物43);
rr)1−(フェニルメチル)−3[(3−フェニルメチル)ピラゾール−5−イル]ピ
リジニウムクロリド(化合物44);
ss)1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3[(3(−1−ナフチル
)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物45);
tt)1−(2−フェニル−2オキソエチル)−3[3(チエニル−2−イル−メチル)
ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物46);
uu)1−(2−(5−メチル−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[3(2−
フェニルエチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物47);
vv)1−(2−(5−メチル2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[3−(3−
フェノキシプロピル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物48);
ww)1−(イソプロピル)−3[(3−フェニルメチル)ピラゾール−5−イル]ピリ
ジニウムブロミド(化合物49);
xx)1−(2−(5−メチル−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[(3−チ
オフェニルメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物50);
【0125】
yy)1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3[(3−(N−メチル−
インドール−3−イルメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物5
1);
zz)1−(2−ナフチル−2−オキソ−エチル)−3[(3−メチル)ピラゾール−5
−イル]ピリジニウムブロミド(化合物52);
aaa)1−(2−(1,4ベンゾジオキサン−6−イル−アミノ−2−オキソエチル)
−3[(3−フェニルメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド(化合物5
3);
bbb)1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3[(3−フェニル)ピ
ラゾール−5−イル]−5ブロモピリジニウムクロリド(化合物54);
ccc)1−(2−チエン−2’−イル)−2−オキソエチル)−3[(3−フェニル)
ピラゾール−5−イル]キノリニウムクロリド(化合物55)及び
ddd)3−[(3−フェニル)ピラゾール−5−イル)]キノリン(化合物56)。
【0126】
上記で定義されている化合物の一般的構造式(I)に関連する上記の化合物の置換基の
化合物様式のリストを下記に表で示す:
【0127】
【表1−1】

【0128】
【表1−2】

【0129】
【表1−3】

【0130】
【表1−4】

【0131】
【表1−5】

【0132】
【表1−6】

*塩酸塩の形態で単離

【0133】
【化3】

【0134】
本発明の態様に従うと、本化合物は糖尿病性合併症ならびに腎臓疾患、神経損傷、アテ
ローム性動脈硬化症、網膜症、炎症性障害、免疫学的障害、酸化的ストレス、皮膚科学的
及び化粧品学的適応症及び前生成AGEのより高い量の故に起こる歯の変色を含む老化関
連血管性及び神経血管性合併症の処置のために用いられる。本発明で挙げられている化合
物を用いてAGE産物を破壊/阻害することにより、前生成AGEの量の増加を制御下に
置くことができる。
【0135】
一般式Iの本発明の新規な化合物を合成することができる。化合物の製造のための1つ
の方法は、α−置換/非置換アセチルピリジンを適した塩基の存在下でアルキル/アリ−
ルエステルと反応させることによる。さらに、種々の合成法によりそれを環化することが
できる。必要なら、適した試薬を用い、メタノール、エタノール、プロパノールなどのよ
うなアルコール性溶媒及びトルエン、キシレン又はDMFのような高沸点溶媒中で6〜4
8時間還流させることにより四級化を行い、所望の化合物を得ることができる。
【0136】
本発明の特定の化合物の製造のために用いられ得る置換ピリジン誘導体の例を下記に示
す:
1.N,N’−ビス(ニコチニル)ヒドラジン
2.3−[(2−ピリジル)ヒドラジノカルボニル]ピリジン
3.3−[2−メタンスルホニル)ヒドラジノカルボニル]ピリジン
4.3−[(2−ベンゾイルオキシ)エチルアミノカルボニル]ピリジン
5.3−[(2−フェニルスルホニル)ヒドラジノカルボニル]ピリジン
6.3−[(2−アセトキシ)エチルオキシカルボニル]ピリジン
7.3−[(2−ベンゾイルオキシ)エチルオキシカルボニル]ピリジン
8.3−[(2−メトキシ)エチルオキシカルボニル]ピリジン
9.3−[(2−フェニルアミノカルボニル)ヒドラジノカルボニル]ピリジン
10.3−[(2−アセトキシ)エチルアミノカルボニル]ピリジン
11.3−[(2−(4−メチルフェニルスルホニルヒドラジノカルボニル))]ピリ
ジン
12.3−[(2−ベンゾイル)−ヒドラジノカルボニル]ピリジン
13.3−[(2−フェニルメタンスルホニル)ヒドラジノカルボニル]ピリジン
14.3−[(2−(3−シクロヘキシルプロパノイル)ヒドラジノカルボニル]ピリ
ジン
15.3−[(2−メトキシ)エチルアミノカルボニル]ピリジン
16.3−[1−オキソ−1−(2−メトキシカルボニル)ピリジル]ヒドラジノピリ
ジン。
【0137】
反応において用いられ得る四級化剤の例を下記に示す:
1.2−ブロモアセチルチオフェン
2.2−クロロアセチルチオフェン
3.フェナシルブロミド
4.フェナシルクロリド
5.2,4−ジクロロフェナシルブロミド
6.N−フェニルクロロアセトアミド
7.N−シクロプロピルクロロアセトアミド
8.エチルブロモアセテート
9.ブロモアセチルフラン
10.N−イソプロピルクロロアセトアミド
11.N−クロロアセチル−2−ピロリジノン
12.クロロ酢酸。
【実施例1】
【0138】
(実施例1A)
AGE−破壊活性に関する試験管内スクリーニング
還元糖グルコースをタンパク質ウシ血清アルブミンと一緒にインキュベーションするこ
とにより実験室で研究された試験管内AGE生成は溶液の褐色着色を生じ、蛍光を増加さ
せた。増加したAGE生成を監視するための基準として蛍光を用いた。
【0139】
材料:
ウシ血清アルブミン(画分V)(BSA)
グルコース、分析用
リン酸塩緩衝食塩水(PBS)
装置:
ミクロプレートELISAリーダー−Spectramax Plus(Molecul
ar Devices,USA)
ミクロプレート洗浄器、(Bio−Tec Instruments,USA)
pHメーター
実験法:Elisa(酵素結合イムノソルベント検定法(Enzyme Linked
Immunosorbent Assay))
【0140】
160mg/mlのタンパク質、ウシ血清アルブミン、BSA及び1.6Mのグルコー
ス糖をリン酸塩緩衝食塩水、PBS中に溶解した。アジ化ナトリウムを0.02%の濃度
で防腐剤として加えた。0.22 Mフィルターを介して溶液を無菌濾過し、37℃で1
6週間熟成のために保存した。16週間後、溶液をPBSに対して透析し、分け(ali
quoted)、−20℃で保存した。
【0141】
AGE破壊活性を決定するために、10 g/mlの16週間AGE−BSAを種々の
濃度の試験化合物と一緒に37℃で24時間インキュベーションし、ELISAによる試
験化合物のAGE破壊活性を決定した。
【0142】
ELISAは以下の通りに行なわれた:
1.種々の濃度の16週間AGE−BSAを標準としてミクロタイタープレート上にコー
ティングした。各濃度を三重にコーティングする。
2.試験試料をウェル当たり5ng〜20ngの濃度で三重にミクロタイタープレート上
にコーティングした。
3.プレートを37℃で1時間インキュベーションした。
4.インキュベーションした後、プレートをPBST(0.05%のTween 20を
含むPBS)で洗浄した。
5.37℃においてPBS中の5%スキムミルクを用いる1時間の遮断を行なった。
6.プレートをPBSTで洗浄した。
7.AGE−BSAに対する一次抗体を加え、プレートを37℃で1時間インキュベーシ
ョンした。
8.プレートをPBSTで洗浄した。
9.二次抗体、抗ウサギHRPO(ホース−ラディッシュペルオキシダーゼ)共役体を加
え、プレートを37℃で1時間インキュベーションした。
10.プレートをPBSTで洗浄した。
11.OPD(オルトフェニレンジアミンジヒドロクロリド)及び過酸化水素を用いる発
色を行なった。
12.37℃で15分間インキュベーションした後、ミクロプレートELISAリーダー
を用い、(450nmリーディング〜620nmリーディング)におけるOD(光学濃度
)を測定した。
【0143】
次式により化合物の破壊剤活性を決定した:
%破壊剤活性=OD450−620標準−OD450−620試験
―――――――――――――――――――――――x100
OD450−620標準
OD450−620標準=試験化合物なしで37℃において24時間インキュベーション
した後の20ngのAGE−BSAの吸光度
OD450−620試験=必要な濃度の試験化合物と一緒に37℃において24時間イン
キュベーションした後の20ngのAGE−BSAの吸光度。
【0144】
(実施例1B)
ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく方法
ゲル浸透クロマトグラフィーに基づく方法を用いて化合物のAGE破壊活性を決定した

【0145】
原理:
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による分離は試料中のタンパク質の寸法、さら
に正確には流体力学的体積における差に依存する。比較的大きな分子はカラム粒子の細孔
に入らず、カラムの空隙率(V)において溶離する。カラム粒子の細孔は比較的小さい
分子にとって、それらの寸法に依存して区別的に入り得る。カラムのこの体積は(V
と呼ばれる。合計の入り得る体積(V)は粒子の外部の体積(V)と粒子の内部の入
り得る体積(V)の合計である:
=V+V
【0146】
従って、典型的なゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)実験では、高分子量分子がよ
り短い保持時間で溶離するが、より低分子量の分子はより長い時間保持される。定量の目
的のためには、それぞれの分子に関する曲線の下の面積を記録する。本発明の分子の試験
管内スクリーニングにおいて、同じ原理が適用された。ウシ血清アルブミン(BSA)を
グルコースと一緒に16週間インキュベーションすることにより、高度に架橋した進行し
たグリコシル化最終産物(AGE)を試験管内で調製した。BSAとAGE−BSAの分
子量はGPCカラム上で有意に異なり、従って2つの間には非常に優れた分離度が存在す
る。標準AGE BSA(AGE破壊剤の不在下でインキュベーション)の面積と比較さ
れる時の、AGE破壊剤の存在下でインキュベーションされたAGE−BSAの面積の減
少は、薬剤のAGE破壊剤活性の見積もり値を与える。分子の非−特異的活性を調べるた
めに、類似の実験をBSAを用いても繰り返した。
【0147】
方法論:
既知の濃度の16−週間AGE−BSAをあらかじめ決められた濃度の薬剤と一緒に、
及びそれなしで、37℃において24時間、清浄な透明ガラス試験管中でインキュベーシ
ョンした。薬剤なしの溶液は標準として働き、薬剤を含有する溶液を試験試料として処理
した。
【0148】
等しい体積の標準AGE−BSA調製物及び薬剤で処理されたAGE−BSAの溶液に
ついて、ゲル浸透クロマトグラフィーを行なった。2つのクロマトグラムの平均面積を計
算した。
【0149】
標準及び処理AGE−BSA試料のクロマトグラムにおいて2つの主なピークが観察さ
れた:
ピークI=高分子量ピーク
ピークII=低分子量ピーク
ピークI+ピークII=合計AGE−BSA
【0150】
計算:
(処理試料におけるピークIの平均面積)
ピークIにおける%破壊=100― ―――――――――――――――――――X100
(標準試料におけるピークIの平均面積)

(処理試料におけるピークIIの平均面積)
ピークIIにおける%破壊=100― ――――――――――――――――――X100
(標準試料におけるピークIIの平均面積)

合計%破壊=
(処理試料におけるピークI+ピークIIの平均面積)
100− ―――――――――――――――――――――――――X100
(標準試料におけるピークI+ピークIIの平均面積)
【0151】
代表的な化合物を用いて%AGE破壊活性を計算し、結果を下記に示す表2に記録した

【0152】
【表2】

【0153】
かくして化合物7、8、11〜19、21〜25、27、34、35、37及び40は
非常に優れたAGE破壊活性を示し、その中で化合物8、11〜13、15、16、19
、21、22、24、25、27、34及び37の力価は有意に高度のものである。
【0154】
化合物のAGE阻害活性
さらに、今回発見された阻害作用によりAGE生成の開始を妨げる本発明の化合物の能
力を見ると、AGEにより引き起こされる病理学的状態の発現を予防するか、又は減少さ
せることができるはずである。AGE破壊剤として及びまたAGE阻害剤としての化合物
の二重の活性は、それらを老化に関連する疾患及び糖尿病性合併症、腎臓疾患、神経損傷
、網膜症、ニューロパシー、内皮機能不全、アテローム性動脈硬化症、細小血管症、歯の
褐色着色のような口腔内で起こる褐色着色、アルツハイマー、動脈コンプライアンス(a
rtirial compliance)及び伸展性、再狭窄、腹膜透析における異常な
組織妨害、勃起機能不全及び細胞へのAGEの負荷が非常に決定的である他の機能不全の
ためにさらにもっと有用なものとする。実際に、(a)AGE破壊剤、(b)AGE阻害
剤、(c)ラジカル掃去剤の化合物の三重の作用を、いくつかの病理学的状態の後退又は
予防ならびに老化の化粧品学的側面の後退及び予防のために有効に用いることができる。
【0155】
(実施例1C)
AGE阻害活性に関する試験
以下の方法を用い、試験化合物の阻害効果を決定した。
【0156】
以下の方法を用い、試験管内におけるMaillard反応への試験化合物の阻害効果
を決定した。米国特許第5,514,676号明細書及び欧州特許第0339496A2号明細書からこの方法を採択する。
【0157】
ウシ血清アルブミン(BSA)、リボース及び試験化合物の溶液を、それぞれ10mg
/ml及び500mMのBSA及びリボースの最終的濃度を有するように、リン酸塩緩衝
食塩水(PBS、pH7.4)中で調製した。無菌条件において化合物の添加を行なった
。微生物成長を妨げるためにアジ化ナトリウム(0.02%)もこの溶液中に加えた。B
SA、リボース及びアジ化ナトリウムを同じ濃度で、ならびに上記の緩衝液を含有するが
、試験化合物を含有しない別の管も正の標準としてインキュベーションした。37℃で7
日間インキュベーションした後、各管から40個のミクロタイター試料を取り出し、1m
g/mlにおけるBSAの最終的濃度を得るようにPBSで希釈した。f−MAX蛍光計
(Molecular Device,USA)を用い、355nMの励起極大及び46
0nMの発光極大においてすべての試料の蛍光を測定した。蛍光への試験化合物の効果を
調べるために、新しく調製された化合物溶液を前にインキュベーションされた正の標準(
すなわちBSA+リボース)と混合し、試験試料の濃度と同じすべての成分の濃度を得た

【0158】
試験化合物のパーセント阻害を以下の通りに測定した:
F4−F3
%阻害 = ―――――――― X 100
F4
ここでF3=BSA+リボース+化合物の蛍光
F4はインキュベーションされた(BSA+リボース)+新しく加えられた試験化合物の
蛍光である。
【0159】
一般式(I)の代表的な化合物をAGE阻害剤としての活性に関して調べ、結果を下記
に示す表3に記録する:
【0160】
【表3】

【0161】
AGE破壊剤:
表2に示されている通り、本発明の化合物はAGEを破壊するために有用である。従っ
て本発明の化合物をAGEの堆積により引き起こされる糖尿病性合併症及び老化−関連疾
患の処置における薬剤として用いることができる。また、これらの化合物はAGEの破壊
により、AGEの堆積を妨げることができ、それらをAGEの堆積により引き起こされる
糖尿病及び老化関連合併症のような疾患状態の悪化を抑制し、且つ減少させるための薬剤
として用いることができる。
【0162】
いずれかの与えられる組織におけるAGEの負荷量の増加はおそらく病理学的状態を生
じ、その後種々の機構により種々の疾患状態に導き得る。かくしてAGEの組織負荷量を
減少させ、本発明の化合物はこれらの状態を後退させることができ、限界的量までのAG
E堆積を予防することは、最初の場所で該状態が起こるのを妨げることができる。事実、
慢性糖尿病及び老齢においては、何年かをかけてAGEが徐々に堆積する(Yong M
ing Li et al.,1996;Brownlee,1995)。AGEの組織
負荷量が時間をかけて増加するとともに、そのような哺乳類に伴う合併症が起こる。新し
く診断される患者において、十分に初期にAGE破壊剤又は阻害剤化合物を投与すること
により、時間を経たAGEの組織負荷量の増加を妨げることができるはずである。この方
法はこれらの患者における上記で挙げた合併症の発現を予防するか、及び/又は遅らせる
であろう。
【0163】
AGE阻害剤:
表3に示される通り、本発明の化合物はAGEの阻害にも有用である。
【0164】
かくしてAGEの堆積により引き起こされる糖尿病性合併症及び老化−関連疾患の処置
における薬剤として用いることができ、それはこれらの化合物がAGEの生成を妨げるこ
とができるからである。さらに、該化合物はAGEの生成を妨げることによりAGEの堆
積を妨げることができ、それらをAGEの堆積により引き起こされる糖尿病及び老化関連
合併症のような疾患の予防のための薬剤として用いることができる。
【0165】
従って、AGEの生成の故に起こる下記に挙げる状態を2つの理由で:第1にそれらの
AGE破壊活性の故及び第2にそれらのAGE阻害活性の故に、一般式(I)の化合物に
より予防もしくは処置することができる。事実、両生物学的活性は以下の疾患状態の抑制
に寄与する:
1.血管性及び神経−血管性合併症
2.腎臓病学的障害、
3.神経学的障害、
4.アテローム性動脈硬化症、
5.網膜性障害、
6.皮膚科学的障害、
7.口腔の非−酵素性褐色着色、
8.内皮又は他の臓器機能不全、
9.成長障害、
10.炎症性障害、
11.免疫学的障害、
12.酸化的ストレス、
13.老化及び糖尿病性合併症、
14.アルツハイマー病、
15.再狭窄、腹膜透析における異常な組織妨害、
16.腹膜透析における異常な組織妨害、及び
17.勃起機能不全。
【0166】
(実施例1D)
ラジカル掃去活性:
この方法は、標準的量の標準又はラジカル掃去剤酸化防止剤と比較して、ラジカル掃去
性物質がABTS・、すなわち2,2−アジノ−ビス−(3−エチルベンゾチアゾリン
−6−スルホネート)ラジカルカチオンを掃去する相対的能力を測定する。ABTSをペ
ルオキシダーゼ(メトミオグロビン)及び過酸化水素と一緒にインキュベーションすると
ラジカルカチオンABTS・を生成する。この種は青−緑色であり、730nmにおい
て検出され得る。加えられる試料中の酸化防止剤又はラジカル掃去剤は、それらの濃度に
比例する程度まで色を抑制する。
【0167】
案:
緩衝溶液の調製:
a.リン酸塩クエン酸塩緩衝液(pH5.0):48.5mlの0.1Mクエン酸及び1
00mlを作るのに十分な0.2Mリン酸水素二ナトリウム。
b.リン酸塩緩衝食塩水(PBS):40.0gのNaCl、1.0gのKCl、1.0
gのKHPO及び3.05gのNaHPOを1リットルのミリ−Q水(mill
i−Q water)中に溶解する。200mlの上記の溶液をミリ−Q水を用いて1リ
ットルに希釈する(pH7.4〜7.6)。
ABTS倍液の調製(2mM):
1個の錠剤(10mg)をリン酸塩クエン酸塩緩衝液(pH5.0)に溶解し、2mM溶
液を得た。
【0168】
ホースラディッシュペルオキシダーゼ実用溶液(working solution)の
調製:
0.1mgを10mlのリン酸塩緩衝食塩水中に溶解し、この溶液の1mlをPBSで1
00mlに希釈した。
【0169】
過酸化水素(1.08mM)溶液の調製:
12μlの過酸化水素(30%w/v)をPBSで100mlに希釈した。
【0170】
薬剤溶液の調製:
0.1mMの薬剤の倍液を調製し、それをPBS中で系列的に希釈し、0.05mM、0
.025mM及び0.0125mM溶液を得た。
【0171】
ABTSラジカル倍液の調製:
2mlのABTS倍液に1mlのホースラディッシュペルオキシダーゼ実用溶液を加えた

【0172】
上記の溶液に2mlの過酸化水素溶液を加えたらすぐにABTSラジカルの青−緑色が現
れた。この溶液を30℃で30分間インキュベーションし、確実に完全に反応させた。P
BSを用いて体積を10mlに補足した。
【0173】
標準溶液の調製:
900μlのABTSラジカル倍液をエッペンドルフ管に加えた。それに100μlのP
BS溶液を加えた。
【0174】
試験溶液の調製:
900μlのABTSラジカル倍液を種々のエッペンドルフ管に加えた。それに種々の濃
度の薬剤溶液の100μlを加えた。
【0175】
吸光度(O.D)の測定:
標準及び試験試料の吸光度をすぐに730nmにおいて、PBSをブランクとして用いて
記録した。
【0176】
計算:
式:
%酸化防止活性=100−[試験試料のO.D/標準のO.Dx100]
に従ってパーセント酸化防止活性を計算した。
【0177】
結果を下記の表4において表で示す。
【0178】
【表4】

【0179】
かくして上記で定義されている一般式(I)の化合物は、AGEの阻害及びAGE破壊
剤活性と別に、ラジカルを掃去できることが見出された。
【0180】
ラジカル掃去活性についての試験結果の議論:
(i)化粧品学的用途用
本発明の化合物のAGE破壊及びラジカル掃去活性と別に、AGEを阻害するそれらの
可能性は、それらを上記で議論したような種々の化粧品学的用途のために理想的なものと
する。
【0181】
かくして本発明の化合物は、タンパク質中で形成されるAGE架橋を破壊する能力を示
した。化合物は、タンパク質、核酸などに不可逆的な損傷を引き起こし得るラジカルをク
エンチングする能力も示した。進行したグリケーション最終産物の生成(コラーゲンのよ
うな皮膚の支持タンパク質及びケラチンのような毛髪タンパク質における)を後退させる
能力は、ラジカルクエンチングと一緒になって、化粧品学的用途における有意な関連性を
伴い、その用途においてそれらを有用なものとする。
【0182】
本発明の化合物は、1つより多い決定的な段階において皮膚の合併症を阻止することに
より、皮膚の美観を向上させる。それは、皮膚の支持タンパク質において形成される、前
生成の進行したグリケーション最終産物(AGE)を破壊し、内因的な老化を遅らせる(
C.Jeanmaire et.al.,British Journal of De
rmatology 2001:145:10〜18)。本発明の化合物は、UV露出、
汚染物などにより皮膚において生成するラジカルもクエンチングし、それにより外因的も
しくは光老化を妨げる。ラジカルクエンチングは、タンパク質及び核酸に引き起こされる
不可逆的な損傷も妨げるであろう。さらに、ラジカルクエンチングのおかげで、これらの
化合物は前生成AGE’sにより生成するラジカルの負荷量を減少させるであろう。酸化
的ストレスの減少は今度はAmadori産物生成に含まれる反応性中間体の生成を減少
させるであろう。
【0183】
タンパク質のグリケーションは皮膚のレベルで周知の普遍的な現象である。しかしなが
らこの現象は爪又は毛髪のような他の関連する部分においても、特にケラチンにおいても
起こり得る(欧州特許第1068864 A1号明細書及び欧州特許第1110539A
1号明細書)。
【0184】
皮膚タンパク質、特にコラーゲンのグリケーションは不利な化粧品学的影響、例えば皮
膚を損なう結果を生じ、同じ結果が皮膚に関連する部分、例えば爪及び/又は毛髪ならび
にすべてのタンパク質系中のタンパク質のグリケーションの結果として予測され得る。
【0185】
本発明はタンパク質の架橋を破壊する能力を有する分子を開示する。さらにこれらの分
子はラジカル掃去(酸化防止)活性を有し、かくして上記で議論したようなそれらの化粧
品学的用途の他に、酸化的ストレスが病因において重大な役割を果たすいくつかの疾患状
態において有用であることが示された。
【0186】
かくして本発明の化合物は以下の用途の少なくとも1つのために有効である;
a)しわの後退及び予防、
b)細かいしわの後退及び予防、
c)表皮成長の促進、
d)皮膚の光保護、
e)皮膚の変色の後退及び予防、
f)しみの後退及び予防、
g)乾燥点のコンディショニング及び予防、
h)ストレッチマークの後退及び予防、
i)傷の後退及び予防、
j)スキンケア及びコンディショニング、
k)老人性乾皮症の後退及び予防、
l)日焼けのコンディショニング及び予防、
m)コラーゲンの喪失の予防及び後退、
n)皮膚のきめの改善、
o)皮膚のはりの改善、
p)皮膚の厚さの増強、
q)毛穴の縮小、
r)皮膚の艶の回復、
s)疲労の兆候の最小化、
t)ニキビの減少、
u)毛細血管拡張症の処置及び
v)毛髪及び爪の美観の改善。
i)非−化粧品学的用途用
【0187】
一般式(I)の化合物の、それらのAGE−破壊/AGE阻害及びラジカル掃去活性に
基づく化粧品学的用途のための使用と別に、これらの化合物の後者の活性を、状態の有効
な処置のための酸化的ストレスの抑制に用いることができる。
【0188】
上記の表に挙げた試験化合物は試験管内ラジカル掃去(酸化防止)活性を示す。ラジカ
ル反応性酸化的種(ROS)の過剰な生産は酸化的ストレスを生ずる。従ってこれらの分
子は、ROSを捕獲するそれらの能力により、酸化的ストレスの減少において非常に有効
であろう。酸化防止剤(ラジカル掃去剤)は:
1)神経変性障害
(a)アルツハイマー病
(b)パーキンソン病
(c)ハンティングトン病
(d)運動ニューロン疾患
(e)プリオン病
2)糖尿病及び糖尿病性血管性合併症
3)腸疾患
(a)腸虚血
(b)放射線腸炎
(c)炎症性腸疾患
(d)胃及び結腸直腸ガン
4)肝臓疾患
(a)アルコール性肝臓疾患
(b)慢性C型肝炎
5)ガン
(a)肺ガン
(b)結腸直腸ガン
(c)頸ガン
(d)乳ガン
(e)悪性黒色腫。
6)心臓病
(a)アテローム性動脈硬化症
(b)心筋梗塞
(c)虚血性発作
(d)内皮機能不全
7)眼性障害
(a)白内障形成
(b)黄斑変性
8)HIV疾患
9)呼吸器疾患
(a)慢性閉塞性肺疾患(COPD)
(b)喘息
10)腎性疾患
(a)糸球体腎炎
(b)急性腎不全
より成る群から選ばれる酸化的ストレスと結びついた種々の疾患の処置において有効であ
ることが報告されている。
【0189】
本発明の化合物の製造
本発明の化合物の製造のための、制限ではない1つの可能な方法を下記に示す:
以下の段階に従って、本発明の化合物を製造することができる。
段階−1:1,3ジケト化合物の形成
段階−2:環化反応
段階−3:四級化反応。
【0190】
以下の実施例は、上記の表1に挙げられている本発明に従う特定の化合物の製造法を示
す。
【0191】
段階−1:1,3−ジケト化合物の形成
方法1
非置換/置換アセチルピリジンを適した塩基中でアルキル/アリールエステルと反応させ
ることにより、1,3−ジケト化合物を製造することができる。
【0192】
4−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−1−ピリジン−3−イル−ブタン−
1,3−ジオン
乾燥THF、すなわちテトラヒドロフラン(150ml)中のカリウム第3級ブトキシ
ド(16.5グラム、0.147モル)の懸濁液に、THF(100ml)中で希釈され
た3−アセチルピリジン(18グラム、0.148モル)及びエチル−3,5−ジメチル
ピラゾリルアセテートの混合物を5〜10℃において窒素雰囲気下で加えた。次いで反応
混合物を室温(30℃)で6時間攪拌した。次いで反応混合物を氷冷水中に注ぎ、酢酸を
用いてpHを〜4.0に調節し、酢酸エチルで抽出した(4x250ml)。合わせた有
機層を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、最後に有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上
で乾燥した。酢酸エチルを真空下に50℃で濃縮し、粗生成物を得た。ジエチルエーテル
中でスパチュラを用いるさらなる磨砕(tiluration)は固体生成物を与える。
分離する固体を濾過し、乾燥して必要な生成物を得た。
【0193】
収量:12.0gm
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:8.95(1H,s),8.75−8.73(1H,d),8.11−8.08(1H,m),7.42−7.39(1H,m),5.95(1H,s),5.78(1H,s),4.89(2H,s),2.28(3H,s),2.19(3H,s).
質量分析(m/z):258,259
IR(KBrcm−1):2924,1621,1557,1455
【0194】
方法2
あるいはまた、非置換/置換アリールエステルを適した塩基中で非置換/置換アリール
メチルケトンと反応させることにより、1,3ジケト化合物を製造することができる。
1−フェニル−3−キノリン−3−イル−プロパン−1,3−ジオンの製造
【0195】
エチル−3−キノリネート(0.50グラム、0.0025モル)及びアセトフェノン
(0.30グラム、0.0025モル)の溶液をTHF(5.0ml)中のカリウム第3
級ブトキシドの氷−冷懸濁液に加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、希酢酸(10
%)を用いて酸性化した。得られる固体を濾過し、空気乾燥し、沸騰酢酸エチルから再結
晶し、所望の生成物を淡黄色の固体として得た。
【0196】
収量:0.20gm.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.58(1H,s),9.23(1H,s),8.25−8.13(4H,m),7.94(1H,t),7.77−7.62(5H,m)
質量分析(m/z):272
【0197】
段階−2:環化反応
3−[3{(3,5−ジメチルピラゾール−1−イルメチル)−1−フェニル}ピラゾー
ル−5−イル]ピリジン
メタノール(30ml)中の4−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−1−
ピリジン−3−イル−ブタン−1,3−ジオン(0.8グラム、0.003モル)の攪拌
冷溶液に、メタノール(10ml)中のフェニルヒドラジン(0.6グラム、0.005
モル)をゆっくり加えた。反応混合物を室温(30℃)で3時間攪拌し、これを減圧下で
濃縮し、油性の粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム上で、溶離剤として酢酸エ
チル:ヘキサン(1:1)を用いて精製し、必要な生成物を黄色の固体として得た。
【0198】
収量:0.6gm.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:8.52−8.50(1H,d),8.42(1H,s),7.59−7.56(1H,m),7.45−7.34(4H,m),7.28−7.26(2H,m),6.57(1H,s),5.83(1H,s),5.23(2H,s),2.31(3H,s),2.09(3H,s).
質量分析(m/z):330,331,332
【0199】
3−[3−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル−メチル)ピラゾール−5−イル
]ピリジン
メタノール(70ml)中の4−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−1−
ピリジン−3−イル−ブタン−1,3−ジオン(2.5グラム、0.0097モル)の攪
拌冷溶液に、ヒドラジン水和物(3.0ml、0.06モル)をゆっくり加えた。反応混
合物を室温(30℃)で3時間攪拌し、減圧下で濃縮し、油性の材料を得た。冷却された
水を加え、反応混合物をスパチュラで引っ掻き、固体を得た。分離する固体を濾過し、メ
タノールを用いて再結晶し、所望の生成物を得た。
【0200】
収量:1.35gm.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:8.98−8.95(1H,d),8.50−8.48(1H,d),8.11(1H,s),7.45−7.40(1H,d),6.66−6.61(1H,d),5.81(1H,s),5.21−5.14(2H,d),2.28(3H,s),2.07(3H,s).
質量分析(m/z):254,255
【0201】
3−[3−{(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イルメチル)−1−シクロヘキシル
}ピラゾール−5−イル]ピリジン
トリフルオロ酢酸(22.2グラム、0.20モル)の冷溶液に1−(t−ブトキシカ
ルボニル)シクロヘキシルヒドラジン(5.0グラム、0.0236モル)を加え、室温
(30℃)で30分間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、油性の粗生成物を得た。
粗生成物に水(10ml)を加え、重炭酸ナトリウムの飽和溶液を用いて中和した。中和
された溶液を酢酸エチルで抽出した(3x75ml)。合わせた有機層を硫酸ナトリウム
上で乾燥し、真空下で濃縮して油性の粗生成物(2.50グラム)を得た。
【0202】
さらにメタノール(10ml)中に溶解された油性の生成物(2.50グラム、0.0
22モル)をメタノール(20ml)中の4−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イ
ル)−1−ピリジン−3−イル−ブタン−1,3−ジオン(2.0グラム、0.0078
モル)の溶液にゆっくり加えた。反応混合物を室温(30℃)で7時間攪拌し、その後減
圧下で濃縮して褐色の油性生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー上でヘキ
サン中の25%酢酸エチルを溶離剤として用い、粗生成物の精製を行い、必要な生成物を
白色の固体として得た。
【0203】
収量:0.96gm.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:8.65−8.63(1H,m),7.85−7.82(1H,m),7.54−7.51(1H,m),6.15(1H,s),5.8(1H,s),5.13(2H,s),3.98(1H,m),2.27(3H,s),2.07(3H,s),1.91−1.85(4H,m),1.78−1.75(2H,m),1.62−1.559(1H,m),1.27−1.16(3H,m)
質量分析(m/z):336,337,338
【0204】
3−[3−(フェニルメチル)−イソオキサゾール−5−イル]−ピリジンの合成
フェニルニコチノイルアセトン0.500g(0.0021モル)、イソプロピルアル
コール(5ml)及びヒドロキシルアミン遊離塩基の混合物(7mlのメタノール中)を
室温で3日間(72時間)攪拌した。反応混合物を濃縮乾固し、カラムクロマトグラフィ
ーにより酢酸エチル及びヘキサンの混合物(3:1)を用いて精製した。精製された化合
物(オキシム)をIPA(10ml)中に溶解し、それに2N HCl(4滴)を加えた
。反応混合物を8時間還流させた。最後に反応混合物を濃縮乾固し、所望の化合物を淡黄
色の固体として得た。
【0205】
収量:0.216gm.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.01(1H,s),8.69(1H,d),8.20(1H,d),7.56(m,1H),7.36−7.30(m,5H),6.46(1H,s),4.11(2H,s)
質量分析(m/z):237(M+1)
【0206】
段階−3:四級化反応
必要なら、アルコール性溶媒及び/又は高沸点溶媒中で四級化試薬を用い、還流下に6
〜48時間、置換ピリジンの四級化を行い、所望の化合物を得ることができる。
【実施例2】
【0207】
1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[3−{1−(3,5−ジメ
チルピラゾール−1−イル)メチル}ピラゾール−5−イル]ピリジニウムブロミド(化
合物4)
IPA(35ml)中の3−[3−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル−メチ
ル)ピラゾール−5−イル]ピリジン(0.5グラム、0.002モル)の懸濁液に、α
−ブロモ2−アセチルチオフェン(0.46グラム、0.0026モル)を加えた。反応
混合物を6時間還流させた。さらに室温(30℃)に冷却した。分離する固体を濾過し、
メタノール及び酢酸エチル混合物を用いて再結晶し、必要な化合物を白色の固体として得
た。
【0208】
収量:0.51gm.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.66(1H,s),9.49(1H,s),9.03−9.01(1H,d),8.89−8.88(1H,d),8.26−8.21(3H,m),7.43−7.41(1H,t),6.77(1H,s),6.39(2H,s),5.84(1H,s),5.27(2H,s),2.27(3H,s),2.08(3H,s),
質量分析(m/z):378,379,380
IR(KBr,cm−1):1676,1638,1591
【0209】
下記の実施例3〜57で示す、それらの物理化学的データにより同定される本発明の化
合物を上記の合成法に従って製造した。
【実施例3】
【0210】
1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[(3−フェニルメチル)ピ
ラゾール−5−イル]ピリジニウムブロミド。
(化合物1)
【0211】
収率:51%
IR(KBr,cm−1):1656,1637,1572
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.44(1H,s),9.46(1H,s),8.98(1H,d),8.86(1H,d),8.24(3H,m),7.41(1H,t),7.34−7.30(5H,m),6.69(1H,s),6.38(2H,s),4.06(2H,s)
質量分析(m/z):360,361,362,363
【実施例4】
【0212】
1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[(5−フェニルメチル)オ
キサゾール−3−イルピリジニウムブロミド
(化合物2)
【0213】
収率:36%
IR(KBr,cm):1747,1671,1456
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.65(1H,s),9.12−9.08(2H,m)8.39(1H,t)8.26−8.23(2H,m),7.42(1H,m)7.38−7.33(5H,m),7.23(1H,s)6.40(2H,s),4.15(2H,s)
質量分析(m/z):361,362,363
【実施例5】
【0214】
1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[3−{1−(2−チエン−
2’−イル)−2−オキソエチルピリジニウム−4−チオ}メチル−ピラゾール−5−イ
ル]ピリジニウムジブロミド。
(化合物3)
【0215】
収率:71%
IR(KBr,cm−1)1666,1500,1451
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.81(1H,s),9.54(1H,s),9.03−9.01(1H,d),8.93−8.91(1H,d),8.71−8.69(2H,d),8.30−8.13(7H,m),7.44−7.39(2H,m),7.09(1H,s),6.42(2H,s),6.21(2H,s),4.84(2H,s)
質量分析(m/z):517,518,519,520
【実施例6】
【0216】
1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[{3−フェニルメチル}−
1−{2−ピリジル}−ピラゾール−5−イル]−ピリジニウムブロミド。
(化合物5)
【0217】
収率:22%
IR(KBr,cm−1):1671,1585,1550
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.24(1H,s),8.96−8.95(1H,d),8.24−8.21(2H,m),8.19−8.18(1H,d),8.15−8.14(1H,d),8.07−8.02(1H,m),7.97−7.95(1H,d),7.41−7.31(6H,m),7.25−7.22(1H,m),6.76(1H,s),6.32(2H,s),4.08(2H,s)
質量分析(m/z):437,438,440
【実施例7】
【0218】
1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[3{(3,5−ジメチルピ
ラゾール−1−イル)メチル−1−(2−ピリジル)}ピラゾール−5−イル]ピリジニ
ウムブロミド。
(化合物6)
【0219】
収率:31%
IR(KBr,cm−1):3418,3069,2929,1670,1507,1470
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.25(1H,s),8.97−8.95(1H,d),8.61−8.59(1H,d),8.24−8.16(4H,m),8.09−8.05(1H,m),7.94−7.92(1H,d),7.42−7.39(2H,m),6.72(1H,s),6.33(2H,s),5.85(1H,s),5.31(2H,s),2.33(3H,s),2.08(3H,s)
質量分析(m/z):455,456,457,458
【実施例8】
【0220】
1−[2−(シクロプロピルアミノ)−2−オキソエチル] 3−[3−{(3,5−ジ
メチルピラゾール−1−イル)メチル}−ピラゾール−5−イル]−ピリジニウムブロミ
ド。(化合物7)
【0221】
収率:59%
IR(KBr,cm−1):3373,3064,1667,1577
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.69(1H,s),9.41(1H,s),8.95(1H,d),8.55(1H,d),8.54(1H,d),8.16(1H,t),6.80(1H,s),5.84(1H,s),5.39(2H,s),5.26(2H,s),3.89−3.82(1H,m),2.27(3H,s),2.08(3H,s),1.12(4H,d)
質量分析(m/z):353,354,355
【実施例9】
【0222】
1−{2−(4−ニトロ−2−チエニル)−2−オキソエチル}−3−[3{(3,5−
ジメチルピラゾール−1−イル)メチル}−ピラゾール−5−イル]−ピリジニウムブロ
ミド。
(化合物8)
【0223】
収率:24%
IR(KBr,cm−1):
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.70(1H,s),9.47(1H,s),9.30(1H,s),9.03(1H,d),8.87−8.85(2H,m),8.26(1H,t),6.77(1H,s),6.42(2H,s),5.84(1H,s),5.27(2H,s),2.27(3H,s),2.07(3H,s)
【実施例10】
【0224】
1−(2−シクロプロピルアミノ−2−オキソエチル)−3−[(3−フェニルメチル)
ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド。
(化合物9)
【0225】
収率:36%
IR(KBr,cm−1):3653,3436,3061,1674,1567,1479
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.46(1H,s),9.37(1H,s),8.93(1H,d),8.82(1H,d),8.72−8.71(1H,d),8.19−8.14(1H,t),7.36−7.23(5H,m),6.72(1H,s),5.38(2H,s),4.06(2H,s),2.71−2.66(1H,m),0.70−0.66(2H,m),0.50−0.46(2H,m)
質量分析(m/z):333,334,335
【実施例11】
【0226】
3,5−ビス−[1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−ピリジニウム−
3−イル]−ピラゾールジブロミド。
(化合物10)
【0227】
収率:34%
IR(KBr,cm−1):3425,3088,2927,1673,1505,1407.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.66(2H,s),9.09−9.02(4H,m),8.41(2H,bs),8.27−8.26(4H,m),7.66(1H,s),7.45−7.43(2H,t),6.47(4H,s)
質量分析(m/z):471,472,473,474
【実施例12】
【0228】
1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[(1−フェニル−3−フェ
ニルメチル)ピラゾール−5−イル]−ピリジニウムクロリド。
(化合物11)
【0229】
収率:42%
IR(KBr,cm−1):3302,3029,1672,1503.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.20(1H,s),8.94−8.93(1H,d),8.24−8.20(3H,m),8.16−8.13(1H,m),7.50−7.31(10H,m),7.25−7.23(1H,m),6.73(1H,s),6.32(2H,s),4.06(2H,s)
質量分析(m/z):436,437,438,439,440
【実施例13】
【0230】
1−(2−(5−メチル−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[(3−フェニル
メチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド。
(化合物12)
【0231】
収率:44%
IR(KBr,cm−1):3745,1654,1518,1455.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.52(1H,s),9.48(1H,s),8.99−8.97(1H,d),8.90−8.88(1H,d),8.24−8.21(1H,t),8.04−8.03(1H,d),7.35−7.22(5H,m),7.14−7.13(1H,d),6.70(1H,s),6.36(2H,s),4.07(2H,s),2.59(3H,s)
質量分析(m/z):374,375,376,377
【実施例14】
【0232】
1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[1−フェニル,3−{(3
,5−ジメチルピラゾール−1−イル)メチル)}ピラゾール−5−イル]−ピリジニウ
ムクロリド
(化合物13)
【0233】
収率:27%
IR(KBr,cm−1):
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.22(1H,s),8.95−8.93(1H,d),8.25−8.21(3H,m),8.16−8.12(1H,m),7.64−7.60(1H,m),7.50−7.46(2H,m),7.42−7.36(3H,m),6.71(1H,s),6.33(2H,s),5.84(1H,s),5.28(2H,s),2.29(3H,s),2.08(3H,s)
質量分析(m/z):454,455,456,457,458.
【実施例15】
【0234】
1−(2−フェニル−2−オキソエチル)−3−[(3−フェニルメチル)ピラゾール−
5−イル]−ピリジニウムブロミド。
(化合物14)
【0235】
収率:14%
IR(KBr,cm−1):3746,3099,1691,1518.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.44(1H,s),9.45(1H,s),9.01−8.99(1H,d),8.85−8.84(1H,d),8.26−8.23(1H,t),8.07−8.06(2H,d),7.82−7.78(1H,t),7.69−7.65(2H,t),7.36−7.21(5H,m),6.68(1H,s),6.45(2H,s),4.07(2H,s)
質量分析(m/z):354,355
【実施例16】
【0236】
1−(2−シクロプロピルアミノ−2−オキソエチル) 3−[(1−フェニル−3−フ
ェニルメチル)ピラゾール−5−イル]−ピリジニウムクロリド。
(化合物15)
【0237】
収率:7%
IR(KBr,cm−1):3395,3026,1689,1503.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.15(1H,s),8.86(1H,s),8.71(1H,s),8.14−8.05(2H,m),7.44−7.23(10H,m),6.74(1H,s),5.31(2H,s),4.05(2H,s),2.66(1H,s),0.68−0.67(2H,s),0.46(2H,s).
質量分析(m/z):409,410,411,412
【実施例17】
【0238】
1−(2−(4−ベンジル−1−ピペリジニル)−2−オキソエチル) 3−[(3−フ
ェノキシメチル)ピラゾール−5−イル]−ピリジニウムブロミド。
(化合物16)
【0239】
収率:
IR(KBr,cm−1):3060,1656,1594
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.84(1H,s),9.45(1H,s),8.98(1H,d),8.83(1H,d),8.21(1H,t),7.35−7.27(4H,m),7.23−7.19(3H,m),7.09−7.04(3H,m),6.98(1H,t),5.83−5.73(2H,m),5.21(2H,s),4.29(1H,d),3.75(1H,d),3.17−3.0(1H,m),2.69−2.63(1H,m),2.56(2H,d),1.99−1.84(1H,m),1.72−1.60(2H,m),1.36−1.28(1H,m),1.10−1.04(1H,m)
質量分析(m/z):467,468,469
【実施例18】
【0240】
1−(2−フェニル−2−オキソエチル)−3−[(3−(3,5−ジメチルピラゾール
−1−イル)メチル)ピラゾール−5−イル]−ピリジニウムクロリド。
(化合物17)
【0241】
収率:24%
IR(KBr,cm−1):3049,2994,1692,1552.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.76(1H,s),9.50(1H,s),9.03−9.02(1H,d),8.90−8.88(1H,d),8.26(1H,bs),8.08−8.06(2H,d),7.81−7.78(1H,m),7.68−7.65(2H,m),6.75(1H,s),6.49(2H,s),5.83(1H,s),5.26(2H,s),2.26(3H,s),2.06(3H,s).
質量分析(m/z):372,373,374.
【実施例19】
【0242】
1−(2−(5−メチル−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[(3,−(3,
5−ジメチルピラゾール−1−イル)メチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロ
リド。
(化合物18)
【0243】
収率:34%
IR(KBr,cm−1):3322,2923,1659,1552.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.71(1H,s),9.48(1H,s),9.01−8.99(1H,d),8.89−8.87(1H,d),8.23(1H,bs),8.04−8.03(1H,d),7.13(1H,s),6.76(1H,s),6.33(2H,s),5.83(1H,s),5.26(2H,s),2.58(3H,s),2.26(3H,s),2.07(3H,s)
質量分析(m/z):392,393,394,395
【実施例20】
【0244】
1−(2−フェニル−2−オキソエチル)−3−[(1−フェニル−3−フェニルメチル
)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド。
(化合物19)
【0245】
収率:63%
IR(KBr,cm−1):3351,3235,3030,1694,1504.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.17(1H,s),8.93−8.91(1H,d),8.25−8.23(1H,d),8.17−8.14(1H,t),8.06−8.04(2H,d),7.81−7.78(1H,t),7.68−7.64(2H,t),7.49−7.44(3H,m),7.38−7.30(6H,m),7.24−7.20(1H,m),6.72(1H,s),6.40(2H,s),4.05(2H,s).
質量分析(m/z):430,431,432
【実施例21】
【0246】
1−(2−(5−メチル−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[(3(2−シク
ロヘキシルエチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド。
(化合物20)
【0247】
収率:30%
IR(KBr,cm−1):3072,2920,1658,1519,1450.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.33(1H,s),9.52(1H,s),8.99−8.97(1H,d),8.92−8.90(1H,d),8.26−8.22(1H,t),8.06−8.05(1H,d),7.14(1H,s),6.76(1H,s),6.40(2H,s),2.71−2.67(2H,t),2.59(3H,s),1.75−1.63(5H,m),1.57−1.52(2H,q),1.24−1.16(4H,m),0.95−0.90(2H,m).
質量分析(m/z):394,395,396
【実施例22】
【0248】
1−(2−シクロプロピルアミノ−2−オキソエチル)−3−[(3−(2−シクロヘキ
シルエチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド。
(化合物21)
【0249】
収率:39%
IR(KBr,cm−1):3174,2923,1682,1548.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.25(1H,s),9.40(1H,s),8.94−8.91(1H,d),8.85−8.84(1H,d),8.60−8.58(1H,d),8.18−8.15(1H,m),6.79(1H,s),5.43(2H,s),3.90−3.85(1H,m),2.71−2.67(2H,t),1.75−1.63(5H,m),1.58−1.52(2H,q),1.24−1.12(8H,m),0.96−0.88(2H,m)
質量分析(m/z):355,356,357.
【実施例23】
【0250】
1−(2−フェニル−2−オキソエチル)−3−[(3−(2−シクロヘキシルエチル)
ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド。
(化合物22)
【0251】
収率:65%
IR(KBr,cm−1):3059,2924,1698,1519.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.26(1H,s),9.49(1H,s),9.00−8.98(1H,d),8.88−8.86(1H,d),8.28−8.24(1H,m),8.09−8.07(2H,d),7.83−7.79(1H,t),7.70−7.66(2H,t),6.75(1H,s),6.50(2H,s),2.69(2H,t),1.75−1.61(5H,m),1.58−1.52(2H,q),1.27−1.08(4H,m),0.96−0.88(2H,m).
質量分析(m/z):374,375,376
【実施例24】
【0252】
1−(2−シクロプロピルアミノ−2−オキソエチル)−3−[(1−シクロヘキシル−
3−フェニルメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド。
(化合物23)
【0253】
収率:9%
IR(KBr,cm−1):3165,2994,1662,1500,1452.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.11(1H,s),9.01−9.00(1H,d),8.69−8.67(1H,d),8.60−8.58(1H,d),8.27−8.24(1H,m),7.33−7.29(4H,m),7.22−7.19(1H,m),6.38(1H,s),5.42(2H,s),4.08−4.02(1H,m),3.96(2H,s),3.91−3.85(1H,m),1.89(4H,bs),1.78−1.75(2H,d),1.64−1.61(1H,d),1.41(2H,bs),1.21−1.16(1H,m),1.13−1.12(4H,d)
質量分析(m/z):417,418,419
【実施例25】
【0254】
1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[(3−フェノキシメチル)
ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド。
(化合物24)
【0255】
収率:18%
IR(KBr,cm−1):3060,2957,1665,1595,1491.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.82(1H,s),9.55(1H,s),9.06−9.04(1H,d),8.93−8.91(1H,d),8.30−8.22(3H,m),7.44−7.43(1H,m),7.35−7.31(2H,m),7.08−7.05(3H,m),7.01−6.97(1H,m),6.43(2H,s),5.22(2H,s)
質量分析(m/z):376,377,378
【実施例26】
【0256】
1−{2−(1−アダマンチルアミノ−2−オキソエチル)}−3−[(3−フェニルメ
チル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド。
(化合物25)
【0257】
収率:27%
IR(KBr,cm−1):3060,2908,1679,1554.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.45(1H,s),9.35(1H,s),8.91(1H,d),8.80(1H,d),8.20(1H,s),8.14(1H,t),7.35−7.31(5H,m),6.74(1H,s),5.36(2H,s),4.07(2H,s),2.02−1.95(9H,m),1.62(6H,s)
質量分析(m/z):427,428,429
【実施例27】
【0258】
1−(2−フェニル−2−オキソエチル)−3−[{3−(3,5−ジメチルピラゾール
−1−イル)メチル)}1−フェニル−ピラゾール−5−イル]ピリジニウムブロミド。
(化合物26)
【0259】
収率:47%
IR(KBr,cm−1):3410,3035,2943,1693,1500.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.19(1H,s),8.93−8.91(1H,d),8.25−8.23(1H,d),8.18−8.14(1H,m),8.07−8.05(2H,m),7.82−7.79(1H,m),7.69−7.64(2H,m),7.53−7.47(3H,m),7.40−7.37(2H,m),6.71(1H,s),6.40(2H,s),5.84−5.83(1H,s),5.28(2H,s),2.29(3H,s),2.08(3H,s)
質量分析(m/z):448,449
【実施例28】
【0260】
1−(2−(4−ニトロ−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[(1−シクロヘ
キシル−3−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)−メチル)ピラゾール−5−イ
ル]ピリジニウムブロミド。
(化合物27)
【0261】
収率:56%
IR(KBr,cm−1):3421,3032,2935,1688,1541.
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.30(1H,d),9.14(1H,s),9.04−9.02(1H,d),8.87−8.86(1H,d),8.79−8.77(1H,d),8.38−8.35(1H,m),6.46(2H,s),6.36(1H,s),5.82(1H,s),5.18(2H,s),4.15−4.10(1H,m),2.25(3H,s),2.07(3H,s),1.90−1.84(4H,m),1.81−1.77(2H,d),1.66−1.63(1H,d),1.38−1.19(3H,m).
質量分析(m/z):505,506,507
【実施例29】
【0262】
1−(2−(4−ニトロ−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3[(3−(2−シク
ロヘキシルエチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムブロミド。
(化合物28)
【0263】
収率:48%
IR(KBr,cm−1):3078,3005,1695,1541,1339
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.24(1H,s),9.48(1H,s),9.30(1H,s),9.0(1H,d),8.87−8.84(2H,m),8.27(1H,t),6.76(1H,s),6.46(2H,s),2.69(2H,t),1.99−1.61(5H,m),1.58−1.52(2H,q),1.26−1.12(4H,m),0.96−0.87(2H,m)
質量分析(m/z):425
【実施例30】
【0264】
1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[(1−フェニル−3−フェ
ノキシメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド。
(化合物29)
【0265】
収率:16%
IR(KBr,cm−1):3347,3022,2906,1682,1503
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.3(1H,s),9.0(1H,s),8.29−8.24(4H,m),7.6−7.3(8H,m),7.0(3H,s),6.97(1H,s),6.38(2H,s),5.2(2H,s)
質量分析(m/z):452,453,454
【実施例31】
【0266】
1−(2−(4−ニトロ−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[(1−フェニル
−3−フェニルメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムブロミド
(化合物30)
【0267】
収率:23%
IR(KBr,cm−1):3092,3003,2932,1687,1509
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.298(1H,s),9.16(1H,s),8.917(1H,d),8.85−8.84(1H,m),8.54(1H,d),8.17−8.14(1H,m),7.50−7.45(3H,m),7.39−7.31(6H,m),7.25−7.22(1H,m),6.7(1H,s),6.357(2H,s),4.0(2H,s)
質量分析(m/z):481,482
【実施例32】
【0268】
1−(2−シクロプロピルアミノ−2−オキソエチル)−3−[(3−フェノキシメチル
)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド。
(化合物31)
【0269】
収率:34%
IR(KBr,cm−1):3647,3420,3227,2958,1675
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.82(1H,s),9.46(1H,s),8.98(1H,s),8.87(1H,d),8.77(1H,m)(1H,d),8.207(1H,t),7.33(2H,t),7.1(1H,s),7.059(2H,d),6.98(1H,t),5.4(2H,s),5.21(2H,s),2.7−2.68(1H,m),0.715−0.685(2H,m),0.55−0.50(2H,m)
質量分析(m/z):349,350,351
【実施例33】
【0270】
1−(2−シクロプロピルアミノ−2−オキソエチル)−3−[(1−シクロヘキシル−
3−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)メチル)ピラゾール−5−イル]ピリジ
ニウムクロリド
(化合物32)
【0271】
収率:41%
IR(KBr,cm−1):3425,3174,2938,1658,1500
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.1(1H,s),9.02(1H,d),8.88(1H,d),8.86(1H,d),8.273(1H,t),6.36−6.34(1H,s),5.8(1H,s),5.4(2H,s),5.18(2H,s),4.13−4.079(1H,m),2.7−2.68(1H,m),2.26(3H,s),2.074(3H,s),1.99−1.75(6H,m),1.64−1.61(1H,m),1.34−1.31(2H,m),1.24−1.17(1H,m),0.70−0.69(2H,m),0.50−0.49(2H,m)
質量分析(m/z):433,434,435
【実施例34】
【0272】
1−(2−(5−クロロ−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[(3−フェノキ
シメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムブロミド。
(化合物33)
【0273】
収率:74%
IR(KBr,cm−1):2853,2682,1674,1594
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.8(1H,s),9.53(1H,s),9.03(1H,d),8.89(1H,d),8.3−8.26(1H,m),8.16(1H,d),7.5(1H,d),7.33(2H,t),7.08(3H,t),6.98(1H,t),6.38(2H,s),5.2(2H,s)
質量分析(m/z):410,412,413
【実施例35】
【0274】
1−(2−フェニル−2−オキソエチル)−3−[(1−フェニル−3−フェノキシメチ
ル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド
(化合物34)
【0275】
収率:25%
IR(KBr,cm−1):3020,2905.1701.1634.1595
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.23(1H,s),8.96(1H,d),8.33(1H,d),8.21(1H,t),8.07(2H,d),7.81(1H,t),7.68(2H,t),7.51−7.50(3H,m),7.41(2H,d),7.32(2H,t),7.08−7.06(3H,m),6.97(1H,t),6.42(2H,s),5.21(2H,s)
質量分析(m/z):446,447
【実施例36】
【0276】
1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[(1−シクロヘキシル−3
−(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル)メチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニ
ウムクロリド。
(化合物35)
【0277】
収率:26%
IR(KBr,cm−1):3422,2937,1678,1505,1251
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.17(1H,s),9.05(1H,d),8.76(1H,d),8.35(1H,t),8.25−8.24(2H,m),7.42(1H,t),6.41(2H,s),6.36(1H,s),5.85(1H,s),5.18(2H,s),4.13−4.10(1H,m),2.25(3H,s),2.06(3H,s),1.99−1.86(4H,m),1.83−1.76(2H,m),1.66−1.63(1H,m),1.35−1.25(2H,m),1.22−1.16(1H,m)
質量分析(m/z):460,461,462
【実施例37】
【0278】
1−(2−シクロプロピルアミノ−2−オキソエチル)−3−[(1−フェニル−3−フ
ェノキシメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムブロミド。
(化合物36)
【0279】
収率:9%
IR(KBr,cm−1):3200,1682,1595
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.29(1H,s),9.06(1H,s),8.97(1H,d),8.21(1H,d),8.10(1H,t),7.48(3H,s),7.39−7.18(5H,m),7.14−7.07(2H,m),6.97(1H,t),5.43(2H,s),5.20(2H,s),2.68−2.62(1H,m),0.70−0.62(2H,m),0.50−0.44(2H,m).
質量分析(m/z):425,426,427
【実施例38】
【0280】
1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[(1−フェニル−3−(2
−シクロヘキシルエチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムブロミド。
(化合物37)
【0281】
収率:31%
IR(KBr,cm−1):3423,3324,2922,1674,1506
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.25(1H,s),8.90(1H,d),8.27−8.23(3H,m),8.19−8.15(1H,m),7.49−7.41(4H,m),7.35(2H,d),6.8(1H,s),6.37(2H,s),2.69(2H,t),1.77(2H,d),1.69−1.55(5H,m),1.32(1H,m),1.26−1.12(3H,m),0.97−0.89(2H,m).
質量分析(m/z):456,457,458
【実施例39】
【0282】
1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3−[(1−シクロヘキシル−3
−フェノキシメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド。
(化合物38)
【0283】
収率:18%
IR(KBr,cm−1):3396,2934,1670,1638,1594
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.25(1H,s),9.10(1H,d),8.82(1H,d),8.39(1H,t),8.26−8.25(2H,m),7.43(1H,t),7.30(2H,t),7.04(2H,d),6.95(1H,t),6.75(1H,s),6.46(2H,s),5.09(2H,s),4.20−4.15(1H,m),1.93−1.77(6H,m),1.67(1H,d),1.
361.20(3H,m).
質量分析(m/z):458,459,460
【実施例40】
【0284】
3−[(3−フェニルメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジン塩酸塩。
(化合物39)
【0285】
収率:73%
IR(KBr,cm−1):3056,1611,1559
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.18(1H,s),8.73(2H,d),7.93(1H,t),7.35−7.22(5H,m),6.77(1H,s),4.04(2H,s)
質量分析(m/z):236,237
【実施例41】
【0286】
3−[(3−フェノキシメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジン塩酸塩。
(化合物40)
【0287】
収率:65%
IR(KBr,cm−1):3035,1601,1562
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.25(1H,s),8.77(2H,s),7.97(1H,t),7.32(2H,t),7.12(1H,s),7.05(2H,d),6.97(1H,t),5.17(2H,s)
質量分析(m/z):252,253,254
【実施例42】
【0288】
3−[(3,5−ジメチルピラゾール−1−イル−メチル)ピラゾール−5−イル]ピリ
ジン。
(化合物41)
【0289】
収率:93%
IR(KBr,cm−1):3080,1559
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.30(1H,bs),8.96(1H,s),8.49(1H,s),8.11(1H,d),7.43(1H,bs),6.63(1H,s),5.81(1H,s),5.17(2H,s),2.28(3H,s),2.07(3H,s)
質量分析(m/z):254,255,256
【実施例43】
【0290】
3−[3−(2−シクロヘキシルエチル)−ピラゾール−5−イル]ピリジン。
(化合物42)
【0291】
収率:76%
IR(KBr,cm−1):
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:12.73(1H,s),8.98(1H,s),8.46(1H,s),8.11(1H,d),7.46−7.38(1H,d),6.57(1H,s),2.63(2H,t),1.75−1.60(5H,m),1.56−1.50(2H,m),1.25−1.08(4H,m),0.95−0.87(2H,m).
質量分析(m/z):256,257,258.
【実施例44】
【0292】
1−(2−ナフチル−2−オキソエチル)−3[(3−フェノキシメチル)ピラゾール−
5−イル]ピリジニウムブロミド
(化合物43)
【0293】
収率:30%
IR(KBr,cm−1):3417,2340,1638,1536,1144
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.8(1H,s),9.58(1H,s),9.08−9.06(1H,d),8.95−8.93(1H,d),8.85(1H,s),8.32(1H,t),8.25−8.23(1H,d),8.18−8.16(1H,d),8.10−8.05(2H,m),7.79−7.70(2H,m),7.33(2H,t),7.10(1H,s),7.06−7.04(2H,d),6.98(1H,t),6.63(2H,s),5.23(2H,s)
質量分析(m/z):420,421
【実施例45】
【0294】
1−(フェニルメチル)−3[(3−フェニルメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニ
ウムクロリド
(化合物44)
【0295】
収率:31%
IR(KBr,cm−1):3051,1523,1466
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.48(1H,s),9.63(1H,s),9.05−9.03(1H,d),8.91−8.90(1H,d)8.15(1H,t)7.55(2H,m),7.45−7.43(3H,m),7.34−7.25(5H,m)6.79(1H,s),5.88(2H,s),4.06(2H,s)
質量分析(m/z):326,327,328
【実施例46】
【0296】
1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3[(3(−1−ナフチル)ピラ
ゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド
(化合物45)
【0297】
収率:22%
IR(KBr,cm−1):3057,1671,1517
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.60(1H,s),9.40(1H,s)8.97−8.95(1H,d),8.86−8.85(1H,d),8.23−8.18(3H,m),8.10−8.08(1H,d),7.87−7.86(1H,d),7.55−7.44(4H,m),7.40(1H,t),6.55−6.52(1H,s),6.40(2H,s),4.54(2H,s)
質量分析(m/z):410,411,412
【実施例47】
【0298】
1−(2−フェニル−2オキソエチル)−3[3(チエニル−2−イル−メチル)ピラゾ
ール−5−イル]ピリジニウムクロリド
(化合物46)
【0299】
収率:22%
IR(KBrcm−1):3068,1691,1519
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.55(1H,s),9.50(1H,s),9.01(1H,d),8.87(1H,d),8.26(1H,t)8.07(2H,m),7.81(1H,d),7.68(3H,t),7.40(2H,m),6.78(1H,s),6.49(2H,s)4.30(2H,s)
質量分析(m/z):360,361
【実施例48】
【0300】
1−(2−(5−メチル−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[3(2−フェニ
ルエチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド
(化合物47)
【0301】
収率:24%
IR(KBr,cm−1):3068,1661,1450
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.33(1H,s),9.47(1H,s),8.97−8.95(1H,d),8.87−8.86(1H,d),8.26−8.22(1H,t),8.05−8.04(1H,d),7.31−7.14(6H,m),6.78(1H,s),6.34(2H,s),2.98(4H,s),2.59(3H,s)
質量分析(m/z):388,389,390
【実施例49】
【0302】
1−(2−(5−メチル2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[3−(3−フェノ
キシプロピル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド
(化合物48)
【0303】
収率:30%
IR(KBrcm−1):3057,1665,1452
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.34(1H,s),9.48(1H,s),8.99−8.97(1H,d),8.23(1H,t),8.05−8.04(1H,d),7.28(1H,t),7.15−7.14(1H,d),6.94−6.92(3H,d)6.83(1H,s),6.35(2H,s),4.02(2H,t),2.86(2H,t),2.27(2H,t)
質量分析(m/z):418,419,420
【実施例50】
【0304】
1−(イソプロピル)−3[(3−フェニルメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウ
ムブロミド
(化合物49)
【0305】
収率:15%
IR(KBr,cm−1):3418,2364,1648
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.43(1H,s),9.09−9.07(1H,d),8.88−8.86(1H,d),8.16−8.13(1H,m),7.36−7.14(5H,m),6.84(1H,s),4.06(2H,s),1.65−1.63(6H,d)
質量分析(m/z):278,279,280
【実施例51】
【0306】
1−(2−(5−メチル−2−チエニル)−2−オキソエチル)−3−[(3−フェニル
チオメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド
(化合物50)
【0307】
収率:31%
IR(KBrcm−1):3365,1650,1452
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.58(1H,s),9.46(1H,s),8.98−8.96(1H,d),8.87−8.85(1H,d),8.25−8.21(1H,m),8.04−8.03(1H,d),7.37−7.30(5H,m),7.15−7.14(1H,d),6.88(1H,s),6.32(2H,s),4.36(2H,s),2.59(3H,s)
質量分析(m/z):406,407,408,409
【実施例52】
【0308】
1−(2−チエン−2’−イル−2−オキソエチル)−3[(3−(N−メチル−インド
ール−3−イルメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド
(化合物51)
【0309】
収率:20%
IR(KBrcm−1):3070,1669,1410
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.32−9.30(1H,m),9.00−8.92(2H,m),8.77−8.76(1H,d),8.19−8.15(2H,m),8.10−8.07(1H,m),7.47−7.45(1H,d),7.39−7.35(3H,m)7.19−7.10(2H,m)7.037.00(1H,t),6.34(2H,s),4.22(1H,s),3.79(3H,s)
質量分析(m/z):413
【実施例53】
【0310】
1−(2−ナフチル−2−オキソ−エチル)−3[(3−メチル)ピラゾール−5−イル
]ピリジニウムブロミド
(化合物52)
【0311】
収率:38%
IR(KBr,cm−1):3066,1675,1518
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.25(1H,s),9.53(1H,s)9.02−9.0(1H,d),8.92−8.91(1H,d),8.84(1H,s),8.32−8.04(5H,m),7.79−7.70(2H,m),6.75(1H,s),6.63(2H,s),2.33(3H,s)
質量分析(m/z):328,329,330
【実施例54】
【0312】
1−(2−(1,4ベンゾジオキサン−6−イル−アミノ−2−オキソエチル)−3[(
3−フェニルメチル)ピラゾール−5−イル]ピリジニウムクロリド
(化合物53)
【0313】
収率:32%
IR(KBr,cm−1):3445,3068,1678
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:13.45(1H,s),10.61(1H,s),9.47(1H,s),8.97−8.95(1H,d),8.91−8.89(1H,d),8.2(1H,t),7.34−7.19(6H,m),6.99−6.97(1H,d),6.84−6.82(1H,d),6.72(1H,s),5.61(2H,s),4.21(4H,s),4.06(2H,s)
質量分析(m/z):427,428,429
【実施例55】
【0314】
1−(2−チエン−2−イル−2−オキソエチル)−3[(3−フェニル)ピラゾール−
5−イル]−5−ブロモピリジニウムクロリド
(化合物54)
【0315】
収率:31%
IR(KBr,cm−1
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.63(1H,s),9.36(1H,s),9.33(1H,s),8.27−8.24(2H,m),7.81−7.79(2H,d),7.57−7.52(3H,m),7.46−7.42(2H,m),6.40(2H,s)
質量分析(m/z):426,427,428
【実施例56】
【0316】
1−(2−チエン−2−イル)−2−オキソエチル)−3[(3−フェニル)ピラゾール
−5−イル]キノリニウムクロリド
(化合物55)
【0317】
収率:26%
IR(KBr,cm−1
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:10.18(1H,s),9.81(1H,s)8.45−8.40(3H,m),8.29−8.28(1H,d),8.21(1H,t),8.08(1H,t)7.87−7.85(2H,d),7.57−7.55(3H,m),7.50−7.45(2H,m),6.96(2H,s)
質量分析(m/z):396,397,398
【実施例57】
【0318】
3−[(3−フェニル)ピラゾール−5−イル)]キノリン
(化合物56)
【0319】
収率:70%
H−NMR(DMSO−d,400MHz)δ:9.45(1H,bs),8.75(1H,s),8.05(2H,d),7.87(2H,bs),7.77(1H,t),7.65(1H,t),7.55−7.45(3H,m),7.39(1H,bs)
質量分析(m/z):272(M+1)
【0320】
化粧品学的調製物
化粧品学的用途において用いるための調製物は、1種もしくはそれより多い濃度の化合
物を化粧品学的に許容され得るビヒクル中に含有することができる。本発明の化合物の量
は、好ましくは0.005〜50質量%(他にことわらなければすべての分量(frac
tion amount)は質量パーセントで表される)、より好ましくは0.20%〜
5.0%w/wの範囲である。組成物は冒された領域に必要に基づいて適用されるべきで
ある。
【0321】
本発明の新規な化合物の保存及び/又は送達に適したビヒクル又は担体は、ローション
、液体、軟膏、ジェル、クリーム、スプレー、あん法薬又は他の形態において与えられる
ことができ、好ましくは親油性、親水性又は両親媒性を有する。適した担体にはペトロラ
タム、トリグリセリド類、種々のエステル類、脂肪アルコール類、脂肪酸、アルキレング
リコール類及びエタノールが含まれ、その中でポリエチレングリコール及びポリプロピレ
ングリコールが最も好ましい;必要ならこれらのビヒクルの適合性組み合わせも適してい
る。
【0322】
所望の送達系のために必要な場合には、なおその上にビヒクルが存在する。ビヒクル又
は担体は、通常の慣習に従う追加の薬剤も有することができる。例えば最終的組成物は種
々の皮膚緩和薬、乳化剤、アルコール類、着色剤、芳香剤、増粘剤(キサンタンゴムのよ
うな)、防腐剤、保湿剤、界面活性剤(単独の、もしくは組み合わされたアニオン性、カ
チオン性、非イオン性、両性)、皮膚の分化及び/又は増殖及び/又は色素沈着を改変す
る薬剤、抗寄生虫薬、分散剤、不透明剤、ゲル化剤、水和剤、追加の酸化防止剤、典型的
な植物抽出物、例えばアロエ、柑橘果実、まんさく、カモミールなどに由来するもの、例
えば収れん、防腐、サンスクリーン又はサンタン効果を有するもの、皮膚トナー(ski
n toners)、シリコーン類、剥離剤、角質溶解剤、レチノイド類、皮膚浸透強化
剤、ビタミン、血栓溶解剤、抗血餅形成薬、毛管保護薬、ホルモン類、抗バクテリア剤、
抗ウィルス薬、ステロイド性抗−炎症薬、麻酔薬、抗−脂漏薬、抗−ふけ剤、抗−ニキビ
薬、抗−ラジカル剤、鎮痛薬、親油性化合物、抗ヒスタミン薬、昆虫忌避剤、皮膚冷却化
合物、滑沢剤、抗−菌・カビ剤又はそれらの混合物を含有することができる。組成物は同
様に浸透強化剤、例えばこれらに限られないがオレイン酸、DMSO(ジメチルスルホキ
シド)、アルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルイソソルビドを含むことができる
。それは1種もしくはそれより多い追加の活性成分、例えば抗−炎症薬、抗生物質、収れ
ん薬、成長因子、トコフェロール、レチノール、ラジカル掃去剤を含むこともできる。
【0323】
以下の制限ではない実施例は、本発明に従う化粧品学的組成物のためのものである。
【実施例58】
【0324】
本発明の化合物.....0.3%w/w
オレイン酸.....10.0%w/w
プロピレングリコール.....70.0%w/w
Tween 80.....0.1%w/w
無水エタノール.....100.0%w/wとなる量
【実施例59】
【0325】
本発明の化合物.....0.3%w/w
オレイン酸.....10.0%w/w
コロイド性二酸化ケイ素.....6.0%w/w
Tween 80.....0.1%w/w
カプリルカプリントリグリセリド.....100.0%w/wとなる量
【0326】
場合により化粧品学的に許容され得る有機脂肪酸が組成物中に独立して、0.1%〜1
0.0%の量で、好ましくは生物活性的に有効な量で存在することができ;脂肪酸の添加
は好ましい成分である。
【0327】
本発明の化合物の効果は、保湿剤、皮膚緩和薬、追加の酸化防止剤又は抗−炎症薬と組
み合わされると、相乗的に向上する。
【実施例60】
【0328】
本発明の化合物.....0.4%w/w
脂肪酸.....4.0%w/w
鉱油.....5.0%w/w
ステアリン酸イソセチル.....1.0%w/w
酸化防止剤.....0.05%w/w
キサンタンゴム.....0.2%w/w
グリセロール.....50.0%w/w
ジアゾリジニルウレア.....0.2%w/w
レモンピール抽出物.....0.02%w/w
アルコール.....2.0%w/w
精製水.....100.0%w/w
【0329】
酸化防止性組成物への保湿剤及び皮膚緩和薬の添加は、考慮されている皮膚の再水和及
び水和の保持を助けることが期待される。皮膚の水和の向上は、皮膚によるラジカル掃去
剤の吸収を増加させ、且つ活性部位へのラジカル掃去剤の送達を助けると思われる。
【0330】
用いられ得る皮膚緩和薬の例は:鉱油、ペトロラタム、パラフィン、セレシン、オゾケ
ライト、微結晶性ワックス、ペルヒドロスクワレンジメチルポリシロキサン、メチルフェ
ニルポリシロキサン、シリコーン、シリコーン−グリコールコポリマー、トリグリセリド
エステル、アセチル化モノグリセリド、エトキシル化グリセリド、脂肪酸のアルキルエス
テル、脂肪酸及びアルコール、ラノリン及びラノリン誘導体、多価アルコールエステル、
ステロール、ビースワックス誘導体、多価アルコール及びポリエーテルならびに脂肪酸の
アミドである。当該技術分野において既知の種々の皮膚緩和薬が本発明において有用であ
るが、好ましい皮膚緩和薬はシリコーンである。
【0331】
局所的に適用されると皮膚の水和を向上させることが当該技術分野において既知の保湿
剤、例えば多価アルコールが適している。適した保湿剤の例は:グリセリン、プロピレン
グリコール、ブチレングリコール、ジグリセロール又はそれらのエステル誘導体である。
しかしながら、好ましい保湿剤はグリセリンである。
【0332】
本発明の局所用調製物は、本発明の化合物と別に1種の酸化防止剤又は酸化防止剤の組
み合わせ、かくして酸化防止剤ブレンドを含有することができる。本明細書で用いられる
場合、「酸化防止剤」という用語は、1種の酸化防止剤ならびに酸化防止剤ブレンドの両
方を包含することが意図されている。局所的適用を容易にするために、酸化防止剤を種々
のビヒクル中に導入することもできる。
【0333】
クリーム、エマルション、ローション又はジェルの形態における見事な局所用組成物を
得るために、そのような組成物は約0.001質量%〜約50質量%の酸化防止剤を含む
ことができる。
【0334】
本発明の局所用組成物をローション及びクリームとして作ることができる。
【0335】
ローション、クリーム及び他の適した局所用ビヒクルを作るために用いられるほとんど
の乳化剤とラジカル掃去剤を合わせることができる。乳化剤はカチオン性、アニオン性、
非イオン性、両性又はそれらの組み合わせであることができる。非イオン性乳化剤が好ま
しい。代表的な非イオン性乳化剤は、商業的に入手可能なソルビタン、アルコキシル化脂
肪アルコール及びアルキルポリグリコシドである。アニオン性乳化剤には石鹸、アルキル
サルフェート、モノアルキル及びジアルキルホスフェート、アルキルスルホネート及びア
シルイソチオナートが含まれ得、用いられ得る両性乳化剤はラクタミドプロピルトリモニ
ウムクロリドである。
【0336】
本発明の組成物のために適したビヒクルは、増粘剤も含有することができる。適した増
粘剤の例にはセルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロ
ピルセルロースならびにポリアクリル酸ポリマーが含まれる。
【0337】
組成物の場合に用いるのに適した防腐剤の例にはアルカノール類、特にエタノール及び
ベンジルアルコール;パラベン類;ソルベート類;ウレア誘導体;及びイソチアゾリノン
類が含まれる。
【0338】
当該技術分野における熟練者に既知の通常の均一化法を用いて、本発明に従うローショ
ン又はクリームを作ることができる。そのようなクリーム及びローションの水相及び油相
を高圧ホモジナイザーにおいて共−混合することを含む微小流動化(microflui
dization)の方法を用いることもでき、それは高圧を適用せずに調製されるクリ
ーム及びローションにおいて、エマルション粒度を約数ミクロンの粒度に劇的に減少させ
る。微小流動化は、従来の乳化剤及び界面活性剤を用いずに、有効量の化合物を含有する
見事で安定なクリーム及びローションを調製することを可能にする。
【0339】
本発明の局所用組成物をミクロ−エマルションとして調製することもでき、それはエマ
ルションのサブカテゴリーであり、用いられ得る油は鉱油及びシリコーン油である。用い
られ得るアルコールの例はセチルアルコール、イソステアリルアルコール、ステアリルア
ルコール、ドデカノール及びドデセノールである。非イオン性界面活性剤は脂肪エステル
、脂肪アルコールのエステル又はエトキシル化アルコールであることができる。非イオン
性界面活性剤の例はポリエチレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、イソオクタデ
カン酸セチル、ポリプロピレングリコール、ソルビタン及びオレイン酸イソプロピルであ
る。
【実施例61】
【0340】
本発明の化合物.....0.2%w/w
脂肪酸.....1.5%w/w
界面活性剤.....3.0%w/w
補助溶媒.....70.0%w/w
精製水.....100.0%w/w(となる量)
【0341】
本発明の局所用組成物を水中油型又は油中水型エマルションとして調製することができ
る。組成物は多相エマルション、例えば水中油中水型エマルションの形態にあることもで
きる。
【0342】
本発明の組成物をリポソーム性調製物として作ることもできる。そのような組成物にお
いては、化合物溶液をリポソーム小胞の内部に閉じ込めることができ、リポソームの殻は
リン脂質又は他の適した脂質(例えば皮膚脂質)である。局所用組成物の形成のために、
局所用リポソームの製造様式、使用及び組成に従って、リポソームを次いで上記のいずれ
かの担体系に加えることができる。
【実施例62】
【0343】
本発明の化合物.....0.4%w/w
リン脂質.....6.0%w/w
酸化防止剤.....05%w/w
エタノール.....15.0%w/w
親水性媒体.....100.0%w/w(とする量)
【0344】
適したポリマー性材料、例えばゼラチン、架橋ゼラチン、ポリアミド、ポリアクリレー
トなどから成る殻を有するポリマー性小胞中に化合物及び酸化防止剤の溶液を閉じ込め、
次いで局所用組成物中に導入される小胞を形成することもできる。
【0345】
本発明に従う組成物を以下の化粧品学的用途、すなわちa)しわの後退及び予防、b)
細かいしわの後退及び予防、c)表皮成長の促進、d)光保護、e)皮膚の変色の後退及
び予防、f)しみの後退及び予防、g)乾燥のコンディショニング及び予防、h)ストレ
ッチマークの後退及び予防、i)傷の後退及び予防、j)スキンケア/スキンコンディシ
ョニング、k)老人性乾皮症の後退及び予防、l)日焼けのコンディショニング及び予防
、m)コラーゲンの喪失の予防及び後退、n)皮膚のきめの改善、o)皮膚のはりの改善
、p)皮膚の厚さの増強、q)毛穴の縮小、r)皮膚の艶の回復、s)疲労の兆候の最小
化、t)ニキビの減少、u)毛細血管拡張症の処置及びv)毛髪及び爪の美観の改善の1
つもしくはそれより多くのために用いることができる。
【0346】
医薬組成物
ラジカルの掃去及び/又はAGEの阻害のために有効な医薬組成物を、個別の、もしく
は組み合わされた製薬学的に有効な量の一般式Iの化合物を用いて調製することができる
。本発明の化合物の量は好ましくは0.00001〜90質量%の範囲である。示されて
いる以下の製薬学的調剤は、単に例としてであり、全く本発明の範囲を制限するものでは
ない。
【0347】
経口用調剤
経口用調剤は、固体投薬形態、例えばペレット、散剤、サッシェ又は錠剤もしくはカプ
セルなどのような分離された単位として投与することができる。経口的に投与される他の
製薬学的調製物には、調製済み形態又は再構築に適した形態における単相及び二相液体投
薬形態、例えば混合物、シロップ、懸濁剤又は乳剤が含まれる。調製物はさらに希釈剤、
分散剤、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、界面活性剤、防腐剤、キレート剤及び/又は用いら
れる他の製薬学的添加剤を含有することができる。水性もしくは非水性ビヒクル又はそれ
らの組み合わせを用いることができ、必要なら適した甘味料、風味料又は類似の物質を含
有することができる。懸濁剤又は乳剤の場合、適した増粘剤又は懸濁剤又は乳化剤がさら
に存在することができる。あるいはまた、化合物をそのまま、他の添加剤を伴わずにそれ
らの純粋な形態で、例えばカプセル又はサッシェとして投与することができる。ビヒクル
を用いてそれを投与することもできる。製薬学的調製物は、活性成分の遅い、遅らされた
、又は制御された放出を有することができ、それはマトリックスもしくは拡散制御系によ
り与えられる。
【0348】
本発明又はその塩又は適した錯体が錠剤のような分離された単位投薬形態として存在す
る場合、それはさらに当該技術分野において用いられる医学的に不活性な賦形剤を含有す
ることができる。希釈剤、例えば澱粉、ラクトース、リン酸二カルシウム、タルク、ステ
アリン酸マグネシウム、メチルセルロースのようなポリマー性物質、脂肪酸及び誘導体、
ナトリウム澱粉グリコレートなどを用いることもできる。
【実施例63】
【0349】
経口的投薬形態の調製
典型的な錠剤は以下の組成を有することができる。
【0350】
一般式Iの活性成分 有効量
ラクトース 100mg
微結晶性セルロース 51mg
澱粉 60mg
ポリビニルピロリドン(k−30) 2mg
タルク 1.5mg
ステアリン酸マグネシウム 1.0mg
OR
一般式Iの活性成分 有効量
ラクトース 130mg
澱粉 75mg
ポリビニルピロリドン(k−30) 2mg
タルク 1.5mg
ステアリン酸マグネシウム 1.0mg
【0351】
非経口用調剤
非経口的投与のために、化合物又はそれらの塩又は適したそれらの錯体は無菌のビヒク
ル中に存在することができ、それは水性もしくは非水性ビヒクル又はそれらの組み合わせ
であることができる。ビヒクルの例は水、オレイン酸エチル、油及びポリオールの誘導体
、グリコール類及びそれらの誘導体である。それは安定剤、可溶化剤、pH改変剤、緩衝
剤、酸化防止剤、補助溶媒、錯体化剤、張度改変剤などのような、注射可能な調製物にお
ける普通の添加剤を含有することができる。
【0352】
いくつかの適した添加剤は、例えば酒石酸塩、クエン酸塩又は類似の緩衝剤、アルコー
ル、塩化ナトリウム、デキストロース及び高分子量ポリマーである。別の代替物(alt
ernative)は無菌粉末再構築である。化合物を1回より多い毎日の投与のための
注射の形態で、あるいは静脈内輸液/点滴又は適したデポ調製物の形態で投与することが
できる。
【実施例64】
【0353】
非経口的投与のための調製物:
一般式Iの活性成分 有効量
ポリエチレングリコール(400) 20%w/v
メタ重亜硫酸ナトリウム 0.01%w/v
等張食塩水/WFI 100%とする量
【0354】
他の調剤
皮膚科学的用途及び歯の変色のために、勧められる調剤は適した量の一般式Iの化合物
を含有するローション、オーラルリンス及び練り歯磨きである。
【0355】
上記の実施例は単に例示として与えられ、全く本発明の範囲を制限するものではない。


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【公開番号】特開2010−100640(P2010−100640A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295336(P2009−295336)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【分割の表示】特願2002−583424(P2002−583424)の分割
【原出願日】平成14年4月2日(2002.4.2)
【出願人】(500533097)トレント・ファーマシューティカルズ・リミテッド (5)
【Fターム(参考)】