説明

自動変速機の制御装置

【課題】前進用ポジションから後進用ポジションへのシフト操作に対しても後進段の形成を迅速に行なう。
【解決手段】ブレーキB2とクラッチC3との係合により後進段を形成するものにおいて、シフトレバーがDポジションの場合(S210)、車速Vが所定車速Vref未満のときには車速Vが低いほど高くなるよう油圧指令PB2*を設定し(S250)、設定した油圧指令PB2*でリニアソレノイドバルブSL3を駆動制御する(S260)。これにより、運転者に対して減速による違和感を与えることなく、Dポジションの状態でブレーキB2をできる限り高い待機圧で待機させておくことができる。この結果、クラッチC3の係合を開始するまでの待ち時間を少なくすることができ、後進段を迅速に形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機を備える車両に搭載され、シフトポジションが後進用ポジションの場合に第1の摩擦係合要素と第2の摩擦係合要素とを所定の係合圧をもって係合し、シフトポジションが前記後進用ポジション以外の前進用ポジションを含む所定ポジションの場合には第1の摩擦係合要素を前記係合圧よりも低い待機圧で待機させる自動変速機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動変速機の制御装置としては、複数の摩擦要素を締結(係合)することにより後進段を達成するものにおいて、シフトレバーがパーキング(駐車用)ポジションかニュートラル(中立用)ポジションかのいずれかに位置している場合に、後進段用の複数の摩擦係合要素のうちの1つを係合するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、パーキングポジションやニュートラポジションの状態で予め後進段用の複数の摩擦係合要素のうちの1つを係合しておくことにより、リバース(後進用)ポジションに切り替えられたときには残りの摩擦係合要素を係合するだけでよいため、後進段の達成を素早く行なうことができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−106435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の装置では、ドライブ(前進用)ポジションからニュートラルポジションを経由して素早くリバースポジションにシフト操作された場合を考えると、ニュートラルポジションで摩擦係合要素を係合するための十分な時間がとれないため、リバースポジションに切り替えられた状態で必要な複数の摩擦係合要素のすべてを係合しなければならない。このため、複数の摩擦係合要素の係合に必要な油量が不足し、後進段の形成に遅れが生じる場合がある。
【0005】
本発明の自動変速機の制御装置は、前進用ポジションから後進用ポジションへのシフト操作に対しても後進段の形成を迅速に行なうことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動変速機の制御装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の自動変速機の制御装置は、
原動機を備える車両に搭載され、シフトポジションが後進用ポジションの場合に第1の摩擦係合要素と第2の摩擦係合要素とを所定の係合圧をもって係合する自動変速機の制御装置であって、
シフトポジションが前記後進用ポジション以外の前進用ポジションを含む所定ポジションの場合に、前記係合圧よりも低く且つ車速が低いほど高くなる傾向に待機圧を設定すると共に該設定した待機圧をもって前記第1の摩擦係合要素を待機させる
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明の自動変速機の制御装置では、シフトポジションが後進用ポジションの場合に第1の摩擦係合要素と第2の摩擦係合要素とを所定の係合圧をもって係合するものにおいて、シフトポジションが後進用ポジション以外の前進用ポジションを含む所定ポジションの場合に、係合圧よりも低く且つ車速が低いほど高くなる傾向に待機圧を設定すると共に設定した待機圧をもって第1の摩擦係合要素を待機させる。これにより、前進用ポジションから後進用ポジションへのシフト操作に対しても後進段の形成を迅速に行なうことができる。また、車速が低いほど高くなる傾向に待機圧を設定するから、比較的低い車速時には後進段の形成をさらに素早く行なうことができ、比較的高い車速時には摩擦係合要素の引き摺りを低減して、摩擦係合要素の引き摺りによるショックの発生の抑制、ならびに、摩擦係合要素の引き摺りによる発熱の抑制をすることができる。
【0009】
こうした本発明の自動変速機の制御装置において、車速が所定車速未満のときには該車速が低いほど高くなる傾向に前記待機圧を設定し、車速が前記所定車速以上のときには前記待機圧として値0を設定するものとすることもできる。こうすれば、所定車速以上のときの摩擦係合要素の引き摺りを完全に防止し、摩擦係合要素の引き摺りによるショックの発生の抑制、ならびに、摩擦係合要素の引き摺りによる発熱の抑制をすることができる。
【0010】
また、本発明の自動変速機の制御装置において、前記待機圧は、前記第1の摩擦係合要素がトルク容量を持つ圧力が下限圧として設定されるものとすることもできる。こうすれば、第1の摩擦係合要素に作用させる油圧やストロークエンド圧に若干のバラツキが生じても、第1の摩擦係合要素を少なくともストロークエンド圧付近の待機圧で待機させることができ、前進用ポジションから後進用ポジションへのシフト操作に対して後進段の形成を迅速に行なうことができる。
【0011】
自動変速機として、前記原動機からの動力により作動してポンプ用油路に作動油を圧送するポンプと、前記ポンプ用油路の油圧を入力し調圧して調圧用油路に出力する調圧器と、シフト操作に連動し前記後進用ポジション以外のポジションにシフト操作されている場合には前記ポンプ用油路と後進用油路との連通を遮断し前記後進用ポジションにシフト操作されている場合には前記ポンプ用油路と前記後進用油路とを連通する第1の切替器と、前記後進用油路と前記調圧用油路と前記第1の摩擦係合要素の油室に連通する第1の係合用油路と前記第2の摩擦係合要素の油室に連通する第2の係合用油路とに接続され前記後進用ポジション以外のポジションにシフト操作されている場合には前記後進用油路と前記第1の係合用油路との連通を遮断すると共に前記調圧用油路と該第1の係合用油路とを連通し前記後進用ポジションにシフト操作されている場合には前記後進用油路と前記第1の係合用油路とを連通すると共に前記調圧用油路と前記第2の係合用油路とを連通する第2の切替器と、を備える上述した各態様のいずれかの本発明の自動変速機の制御装置において、シフトポジションが前記後進用ポジション以外のポジションのときには前記第1の摩擦係合要素が前記待機圧で待機するよう前記調圧器を駆動制御し、前記後進用ポジション以外のポジションから該後進用ポジションにシフト操作されたときには前記第1の摩擦係合要素が係合されるのを待ってから前記第2の摩擦係合要素の係合が開始されるよう前記調圧器を駆動制御するものとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例としての自動変速機の制御装置を搭載する自動車10の構成の概略を示す構成図である。
【図2】自動変速機20の構成の概略を示す構成図である。
【図3】変速機構26の作動表を示す説明図である。
【図4】変速機構26の各回転要素の回転速度の関係を示す速度線図である。
【図5】油圧回路40の構成の概略を示す構成図である。
【図6】ATECU28により実行されるリバースシフト時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図7】ATECU28により実行されるB2低圧待機制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図8】油圧指令設定用マップの一例を示す説明図である。
【図9】油圧指令設定用マップの一例を示す説明図である。
【図10】Dポジションで前進走行中にシフトレバー81がDポジションからRポジションに操作された際の車速VとB2油圧指令PB2*とC3油圧指令の時間変化の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0014】
図1は本発明の一実施例としての自動変速機の制御装置を搭載する自動車10の構成の概略を示す構成図であり、図2は自動変速機20の構成の概略を示す構成図であり、図3は変速機構26の作動表を示す説明図であり、図4は変速機構26の各回転要素の回転速度の関係を示す速度線図である。
【0015】
実施例の自動車10は、図1に示すように、ガソリンや軽油などの炭化水素系の燃料の爆発燃焼により動力を出力する内燃機関としてのエンジン12と、エンジン12を運転制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)16と、エンジン12のクランクシャフト14(図2参照)に接続されると共に左右の車輪19a,19bの車軸18a,18bに接続されてエンジン12からの動力を変速して車軸18a,18bに伝達する自動変速機20と、自動変速機20を制御する変速機用電子制御ユニット(以下、ATECUという)29と、車両全体をコントロールするメイン用電子制御ユニット(以下、メインECUという)70と、を備える。なお、メインECU70は、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPやアクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込みを検出するブレーキスイッチ86からのブレーキスイッチ信号BSW,車速センサ88からの車速Vなどが入力されている。実施例では、シフトレバー81のシフトポジションとして、駐車時に用いる駐車ポジション(Pポジション)、後進走行用のリバースポジション(Rポジション)、中立のニュートラルポジション(Nポジション)、前進走行用の通常のドライブポジション(Dポジション)、アクセルオフ時にエンジンブレーキを作用させるローポジション(Lポジション)などが用意されている。また、メインECU70は、エンジンECU16やATECU29と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU16やATECU29と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0016】
自動変速機20は、図2に示すように、エンジン12からの動力を車軸18a,18bに伝達するトランスアクスル装置として構成されており、エンジン12のクランクシャフト14に接続された入力側のポンプインペラ24aと出力側のタービンランナ24bとからなるロックアップクラッチ付きのトルクコンバータ24と、トルクコンバータ24のタービンランナ24bに接続された入力軸21と車軸18a,18bにギヤ機構27とデファレンシャルギヤ28とを介して接続された出力軸22とを有し入力軸21に入力された動力を変速して出力軸22に出力する有段の変速機構26と、変速機構26を駆動制御する油圧回路40(図1参照)と、を備える。
【0017】
変速機構26は、6段変速の有段変速機として構成されており、シングルピニオン式の遊星歯車機構30とラビニヨ式の遊星歯車機構35と3つのクラッチC1,C2,C3と2つのブレーキB1,B2とワンウェイクラッチF1と、を備える。シングルピニオン式の遊星歯車機構30は、外歯歯車としてのサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車としてのリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31は自動変速機20のケースに固定されており、リングギヤ32は入力軸21に接続されている。ラビニヨ式の遊星歯車機構35は、外歯歯車の2つのサンギヤ36a,36bと、内歯歯車のリングギヤ37と、サンギヤ36aに噛合する複数のショートピニオンギヤ38aと、サンギヤ36bおよび複数のショートピニオンギヤ38aに噛合すると共にリングギヤ37に噛合する複数のロングピニオンギヤ38bと、複数のショートピニオンギヤ38aおよび複数のロングピニオンギヤ38bとを連結して自転かつ公転自在に保持するキャリア39とを備え、サンギヤ36aはクラッチC1を介してシングルピニオン式の遊星歯車機構30のキャリア34に接続され、サンギヤ36bはクラッチC3を介してキャリア34に接続されると共にブレーキB1を介して自動変速機20のケースに接続され、リングギヤ37は出力軸22に接続され、キャリア39はクラッチC2を介して入力軸21に接続されている。また、キャリア39は、ワンウェイクラッチF1を介して自動変速機20のケースに接続されてその回転が一方向に規制されると共にワンウェイクラッチF1に対して並列的に設けられたブレーキB2を介して自動変速機20のケースに接続されている。
【0018】
変速機構26は、図3の作動表に示すように、クラッチC1〜C3のオンオフ(係合,開放)とブレーキB1,B2のオンオフにより前進1速段〜6速段と後進段とニュートラルとを切り替えることができるようになっている。後進段は、クラッチC3とブレーキB2とをオンとすると共にクラッチC1,C2とブレーキB1とをオフとすることにより形成することができる。また、前進1速段は、クラッチC1をオンとすると共にクラッチC2,C3とブレーキB1,B2とをオフとすることにより形成することができる。この前進1速段は、エンジンブレーキ時には、ブレーキB2がオンとされる。前進2速段は、クラッチC1とブレーキB1とをオンとすると共にクラッチC2,C3とブレーキB2とをオフとすることにより形成することができる。前進3速段は、クラッチC1,C3をオンとすると共にクラッチC2とブレーキB1,B2とをオフとすることにより形成することができる。前進4速段は、クラッチC1,C2をオンとすると共にクラッチC3とブレーキB1,B2とをオフとすることにより形成することができる。前進5速段は、クラッチC2,C3をオンとすると共にクラッチC1とブレーキB1,B2とをオフとすることにより形成することができる。前進6速段は、クラッチC2とブレーキB1とをオンとすると共にクラッチC1,C3とブレーキB2とをオフとすることにより形成することができる。また、ニュートラルは、ブレーキB2をオンとすると共にクラッチC1〜C3とブレーキB1とをオフとすることにより形成したり、クラッチC1〜C3とブレーキB1,B2をすべてオフとすることにより形成することができる。実施例では、前者の係合パターンによりニュートラルを形成するものとしている。
【0019】
また、変速機構26は、図4の速度線図に示すように、後進段では、入力軸21からリングギヤ32に入力される動力がケースに固定されたサンギヤ31で反力を受け持つことにより減速されてキャリア34に出力されると共にキャリア34からクラッチC3を介してサンギヤ36bに入力される動力がブレーキB2が接続されたキャリア39で反力を受け持つことにより逆回転させてリングギヤ37すなわち出力軸22に出力される。前進1速段では、入力軸21からリングギヤ32に入力される動力がケースに固定されたサンギヤ31で反力を受け持つことにより減速されてキャリア34に出力されると共にキャリア34からクラッチC1を介してサンギヤ36aに入力される動力がワンウェイクラッチF1が接続されたキャリア39で反力を受け持つことにより減速されてリングギヤ37すなわち出力軸22に出力される。前進2速段では、入力軸21からリングギヤ32に入力される動力がケースに固定されたサンギヤ31で反力を受け持つことにより減速されてキャリア34に出力されると共にキャリア34からクラッチC1を介してサンギヤ36aに入力される動力がブレーキB1が接続されたサンギヤ36bで反力を受け持つことにより減速されてリングギヤ37すなわち出力軸22に出力される。前進3速段では、入力軸21からリングギヤ32に入力される動力がケースに固定されたサンギヤ31で反力を受け持つことにより減速されてキャリア34に出力されると共にキャリア34からクラッチC1とクラッチC3とを介してそれぞれサンギヤ36aとサンギヤ36bとに出力される動力がサンギヤ36a,36bとリングギヤ37とキャリア39の一体回転により等速でリングギヤ37すなわち出力軸22に出力される。前進4速段では、入力軸21からリングギヤ32に入力される動力がケースに固定されたサンギヤ31で反力を受け持つことにより減速されてキャリア34に出力されると共にキャリア34からクラッチC1を介してサンギヤ36aに出力される動力とリングギヤ32からクラッチC2を介して等速でキャリア39に出力される動力とによりリングギヤ37すなわち出力軸22に動力が出力される。前進5速段では、入力軸21からリングギヤ32に入力される動力がケースに固定されたサンギヤ31で反力を受け持つことにより減速されてキャリア34に出力されると共にキャリア34からクラッチC3を介してサンギヤ36bに出力される動力とリングギヤ32からクラッチC2を介して等速でキャリア39に出力される動力とによりリングギヤ37すなわち出力軸22に動力が出力される。前進6速段では、入力軸21からリングギヤ32に出力される動力がクラッチC2を介してキャリア39に出力されると共にキャリア39からの動力がブレーキB1が接続されたサンギヤ36bで反力を受け持つことにより増速してリングギヤ32すなわち出力軸22に出力される。
【0020】
変速機構26におけるクラッチC1〜C3のオンオフとブレーキB1,B2のオンオフは、油圧回路40により行なわれる。図5に、油圧回路40の構成の概略を示す。油圧回路40は、図5に示すように、エンジン12からの動力により作動しストレーナ42を介して作動油を吸入してライン圧用油路51に圧送する機械式オイルポンプ44と、ライン圧用油路51に圧送された作動油を調圧してライン圧PLを生成するレギュレータバルブ46と、ライン圧PLから図示しないモジュレータバルブを介して生成されるモジュレータ圧PMODを調圧して信号圧として出力することによりレギュレータバルブ46を駆動するリニアソレノイドバルブSLTと、ライン圧用油路51に接続された入力ポート48aとドライブ圧用油路52に接続されたDポジション用出力ポート48bとリバース圧用油路53に接続されたRポジション用出力ポート48cなどが形成されシフトレバー81がDポジションに操作されているときには入力ポート48aとDポジション用出力ポート48bとを連通すると共に入力ポート48aとRポジション用出力ポート48cとの連通を遮断しRポジションに操作されているときには入力ポート48aとDポジション用出力ポート48bとの連通を遮断すると共に入力ポート48aとRポジション用出力ポート48cとを連通しNポジションに操作されているときには入力ポート48aとDポジション用出力ポート48bおよびRポジション用出力ポート48cとの連通を遮断するマニュアルバルブ48と、Dポジション用出力ポート48bからの出力圧であるドライブ圧を入力し調圧してクラッチC1の油室に出力するリニアソレノイドバルブSL1と、ドライブ圧を入力し調圧してクラッチC2の油室に出力するリニアソレノイドバルブSL2と、ライン圧PLを入力し調圧してSL3圧用油路54に出力するリニアソレノイドバルブSL3と、ドライブ圧を入力し調圧してブレーキB1の油室に出力するリニアソレノイドバルブSL4と、リニアソレノイドバルブSL3の出力圧であるSL3圧のクラッチC3への供給とブレーキB2への供給とを選択的に行なうと共にRポジション用出力ポート48cからの出力圧であるリバース圧のブレーキB2への供給と遮断とを選択的に行なう切替バルブ60と、切替バルブ60を駆動するための信号圧を出力するオンオフソレノイドバルブS1と、を備える。なお、オンオフソレノイドバルブS1は、シフトレバー81がRポジションのときに信号圧の出力を停止し、Rポジション以外のポジションのときに信号圧を出力するよう駆動制御される。
【0021】
切替バルブ60は、各種ポートが形成されたスリーブ62と、対応するポート間の連通と遮断とを行なうスプール64と、スプール64を付勢するスプリング66とを備えるスプールバルブとして構成されている。スリーブ62には、各種ポートとして、オンオフソレノイドバルブS1からスプリング66の付勢力と対向する向きにスプール64を押圧する信号圧を入力する信号圧用入力ポート62aと、リバース圧用油路53に接続された入力ポート62bと、SL3圧用油路54に接続された入力ポート62cと、クラッチC3の油室に連通するC3用油路55に接続された出力ポート62dと、ブレーキB2の油室に連通するB2用油路56に接続された出力ポート62eとが形成されている。この切替バルブ60では、オンオフソレノイドバルブS1から信号圧用入力ポート62aに信号圧が入力されているときには、スプリング66の付勢力に打ち勝つ押圧力によりスプール64が押圧されてスプリング66が収縮する方向にスプール64が移動し、入力ポート62cと出力ポート62dとの連通を遮断すると共に入力ポート62cと出力ポート62eとを連通し、入力ポート62bと出力ポート62eとの連通を遮断する。これにより、リニアソレノイドバルブSL3からのSL3圧を、SL3圧用油路54,切替バルブ60(入力ポート62bおよび出力ポート62e),B2用油路56を介してブレーキB2の油室に供給することができる。一方、信号圧用入力ポート62aに信号圧が入力されていないときには、スプリング66が伸張する方向にスプール64が移動し、入力ポート62cと出力ポート62dとを連通すると共に入力ポート62cと出力ポート62eとの連通を遮断し、入力ポート62bと出力ポート62eとを連通する。これにより、リニアソレノイドバルブSL3からのSL3圧を、SL3圧用油路54,切替バルブ60(入力ポート62cおよび出力ポート62d),C3用油路55を介してクラッチC3の油室に供給することができると共に、マニュアルバルブ48からのリバース圧を、リバース圧用油路53,切替バルブ60(入力ポート62bおよび出力ポート62e),B2用油路56を介してブレーキB2の油室に供給することができる。
【0022】
こうして構成された実施例の自動車10の動作、特に、Rポジション以外の他のポジション(例えば、PポジションやNポジション,Dポジションなど)からRポジションにシフト操作された際の動作について説明する。図6は、ATECU29により実行されるリバースシフト時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、シフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPがRポジション以外の他のポジションからRポジションに切り替わったときに実行される。
【0023】
リバースシフト時制御ルーチンが実行されると、ATECU29のCPUは、まず、ブレーキB2の係合が完了するまで待つ(ステップS100)。いま、シフトレバー81が他のポジションからRポジションに切り替わったときを考えているから、マニュアルバルブ48は入力ポート48aとRポジション用出力ポート48cとを連通し、切替バルブ60は入力ポート62bと出力ポート62eとを連通する。このため、ライン圧用油路51の作動油はマニュアルバルブ48(入力ポート48aおよびRポジション用出力ポート48c),リバース圧用油路53,切替バルブ60(入力ポート62bおよび出力ポート62e),B2用油路56を順に介してブレーキB2の油室に導入され、ブレーキB2が自動係合されることになる。ステップS100の判定は、例えば、油圧センサなどを用いてブレーキB2の油室に作用している油圧を検出することにより行なったり、シフトレバー81からRポジションに切り替わってからの経過時間に基づいて行なうことができる。ブレーキB2の係合完了が判定されると、次に、作動油がクラッチC3に急速充填されるよう比較的高い油圧指令を設定してリニアソレノイドバルブSL3を駆動制御するファストフィルを実行する(ステップS110)。前述したように、シフトレバー81がRポジションにあるときには、切替バルブ60は入力ポート62cと出力ポート62dとを連通するから、リニアソレノイドバルブSL3を駆動制御することにより、クラッチC3の油室に作動油を供給することができる。ファストフィルを実行すると、比較的低い油圧指令を維持して待機(低圧待機)するようリニアソレノイドバルブSL3を駆動制御する(ステップS120)。そして、入力軸の回転変化を検出した後(すなわち、クラッチC3の係合開始を判断した後)、クラッチC3の油室に作用させる油圧が徐々に高くなるようリニアソレノイドバルブSL3を駆動制御するスィープアプライ制御を実行し(ステップS130)、クラッチC3の係合、すなわち、クラッチC3が完全に係合して十分にトルク容量を持つことを待って(ステップS140)、クラッチC3の油室に供給する油圧を最大として(ステップS150)、本ルーチンを終了する。
【0024】
次に、シフトレバー81がRポジション以外の他のポジションにあるときのブレーキB2の低圧待機動作について説明する。図7は、ATECU29により実行されるB2低圧待機制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
【0025】
B2低圧待機制御ルーチンが実行されると、ATECU29のCPUは、まず、車速VやシフトポジションSP,エンジン回転速度Ne,油温Toilなどのデータを入力する処理を実行する(ステップS200)。ここで、車速Vは、車速センサ88により検出されたものをメインECU70から通信により入力するものとした。また、シフトポジションSPは、シフトポジションセンサ82により検出されたものをメインECU70から通信により入力するものとした。エンジン回転速度Neは、クランクシャフト14に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサにより検出されて演算されたものをエンジンECU16から通信により入力するものとした。油温Toilは、油圧回路40の油路に取り付けられた図示しない温度センサにより検出されたものを入力するものとした。
【0026】
こうしてデータを入力すると、入力したシフトポジションSPがRポジション以外の他のポジション、即ち実施例ではPポジションかNポジションかDポジションかのいずれかであるか否かを判定する(ステップS210)。この判定は、実施例では、Dポジションの場合には前進1速段か前進2速段のいずれかのときに肯定的な判定を行なうものとし、前進3段速〜6段速のときには否定的な判定を行なうものとした。シフトポジションSPがRポジションであるかDポジションであっても前進3速段〜6速段のときには、そのまま本ルーチンを終了する。一方、シフトポジションSPがPポジションかNポジションかDポジションの前進1速段または前進2速段のいずれかのときには、入力した油温Toilが安定したピストンストロークが可能な適正温度範囲の下限である所定温度Tref以上か否か(ステップS220)、入力した車速Vが係合ショックの少ない車速範囲の上限である所定車速Vref未満か否か(ステップS230)、入力したエンジン回転速度Neがエンジン22が安定した運転する回転速度範囲の下限である所定回転速度Nref以上か否か(ステップS240)、をそれぞれ判定する。上述した判定のいずれかが否定的な判定の場合には、そのまま本ルーチンを終了する。一方、上述した判定のいずれもが肯定的な判定の場合には、車速Vに基づいて油圧指令PB2*を設定し(ステップS250)、設定した油圧指令PB2*に基づいてリニアソレノイドバルブSL3を駆動制御して(ステップS260)、本ルーチンを終了する。ここで、油圧指令PB2*は、実施例では、シフトポジションSP毎に車速Vと油圧指令PB2*との関係を予め求めてマップとしてROMに記憶しておき、シフトポジションSPと車速Vとが与えられると、油圧指令設定用マップから対応する油圧指令PB2*を導出して設定するものとした。シフトポジションSPがDポジションのときの油圧指令設定用マップの一例を図8および図9に示す。なお、図8は前進1速段のときのマップであり、図9は前進2速段のときのマップである。油圧指令PB2*は、図示するように、車速Vが所定車速Vref未満のときには車速Vが低いほど線形的に高くなり、且つ、車速Vが所定車速Vrefのときの下限圧がブレーキB2がトルク容量をもつ所定圧P1(ピストンストロークエンド圧よりも高い圧力)となるよう設定される。いま、シフトレバー81がDポジションで前進1速段で走行している場合を考える。この場合、ブレーキB2を係合すると、エンジン12から駆動トルクを出力しているときには、図4に示すように、ブレーキB2は駆動トルクを出力軸22に伝達するための反力要素となるだけであるが、エンジン12から駆動トルクを出力していない状態でブレーキB2を係合すると、エンジン12の回転抵抗がブレーキB2を介して出力軸22に伝達されるから、その程度によっては運転者に減速による違和感(減速感)を与えてしまう。こうした現象は車速Vが高いほど強く現われることから、車速Vが低いほど高くすることにより、運転者に対して減速感を与えることなく、ブレーキB2をできる限り高い待機圧で待機することができる。したがって、この状態(Dポジション)からRポジションに素早くシフト操作されたときであっても、ブレーキB2を素早く完全係合させることができるから、図6のリバースシフト時制御ルーチンのステップS100におけるブレーキB2の係合待ち時間を少なくすることができ、迅速に後進段を形成することができる。なお、シフトポジションSPがDポジションで前進2速段が形成されているときには、前進1速段が形成されているときに比して、キャリア39の回転数が高くなる傾向にあり(図4参照)、ブレーキB2に引き摺りが生じると、減速感が強く現われることから、実施例では、図9に示すように、ブレーキB2の待機係合を禁止する所定車速Vrefを前進1速段に比して低く設定するものとした。また、シフトポジションSPがNポジションやPポジションのときには、エンジン22のクランクシャフト14が切り離されるから、ブレーキB2の待機圧はDポジションに比して高く設定するものとしてもよい。
【0027】
図10は、Dポジションで前進走行中にシフトレバー81がDポジションからRポジションに操作された際の車速VとB2油圧指令とC3油圧指令の時間変化の様子を示す説明図である。時刻t1に車速Vが所定車速Vref未満となると、ストロークエンド圧を超える油圧指令PB2*を設定し、油圧指令PB2*に基づいてリニアソレノイドバルブSL3を駆動制御してブレーキB2の油室へ油圧供給を開始する。油圧指令PB2*は車速Vが低いほど高く設定されるため、運転者に対して減速感を与えることなく、ブレーキB2をできる限り高い待機圧で待機させることができる。そして、時刻t2にシフトレバー81がDポジションからRポジションに切り替えられると、リニアソレノイドバルブSL3に代えてマニュアルバルブ48からリバース圧がブレーキB2の油室に作用し、時刻t3にブレーキB2が完全係合されると、直ちにクラッチC3の係合が開始され、後進段が迅速に形成される。
【0028】
以上説明した実施例の自動変速機の制御装置によれば、シフトレバー81がDポジションの場合、車速Vが所定車速Vref未満のときには車速Vが低いほど高くなるよう油圧指令PB2*を設定し、設定した油圧指令PB2*でリニアソレノイドバルブSL3を駆動制御するから、運転者に対して減速による違和感を与えることなく、Dポジションの状態でブレーキB2をできる限り高い待機圧で待機させておくことができる。この結果、クラッチC3の係合を開始するまでの待ち時間を少なくすることができ、後進段を迅速に形成することができる。しかも、車速Vが所定車速Vref以上のときには油圧指令PB2*を値0に設定、即ち、ブレーキB2に油圧を作用させないから、運転者に対して減速感を与えるのをより確実に防止することができる。また、ブレーキB2の待機圧としてストロークエンド圧を超える圧力P1を下限としているから、ブレーキB2の油室に供給する油圧やストロークエンド圧に若干のバラツキが生じても、ブレーキB2を少なくともストロークエンド圧付近の待機圧で待機させることができ、DポジションからRポジションへのシフト操作に対して後進段の形成を迅速に行なうことができる。
【0029】
実施例では、図8に示すように、車速Vが所定車速Vref未満のときには、車速Vが低くなるに従って油圧指令PB2*が線形的に高くなるよう車速Vと油圧指令PB2*との関係(マップ)を設定するものとしたが、これに限られず、車速Vが低くなるに従って油圧指令PB2*が非線形的に高くなるよう車速Vと油圧指令PB2*との関係(マップ)を設定するものとしてもよいし、車速Vが低くなるに従って油圧指令PB2*が階段状に高くなるよう車速Vと油圧指令PB2*との関係を設定するものとしてもよい。後者の場合、油圧指令PB2*の段数は何段であっても構わない。
【0030】
実施例では、車速Vが所定車速Vref以上のときにはブレーキB2の油圧指令PB2*を値0に設定したが、必ずしも値0とする必要はなく、値0よりも高く且つ所定圧P1よりも低い圧力に設定するものとしてもよい。
【0031】
実施例では、シフトポジションSPがRポジション以外のポジションで且つ車速Vが所定車速Vref未満であっても、油温Toilが所定温度Tref未満のときにはブレーキB2の低圧待機制御を行なわないものとしたが、油温Toilに拘わらずブレーキB2の低圧待機制御を行なうものとしてもよい。
【0032】
実施例では、前進1速段〜6速段の6段変速の自動変速機20に適用して説明したが、これに限定されるものではなく、4段変速や5段変速,8段変速など、如何なる段数の自動変速機に適用するものとしてもよい。
【0033】
実施例では、シフトレバー82がDポジションで前進1速段か前進2速段が形成されているときに後進段の形成に必要なブレーキB2を待機係合するものとしたが、前進1速段が形成されているときのみにブレーキB2を待機係合し、前進2速段が形成されているときにはブレーキB2に油圧を作用させないものとしてもよい。また、変速機構の構成によっては前進3速段以上の変速段が形成されているときでもブレーキB2を待機係合するものとしても構わない。
【0034】
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「原動機」に相当し、ブレーキB2が「第1の摩擦係合要素」に相当し、クラッチC3が「第2の摩擦係合要素」に相当する。また、機械式オイルポンプ42が「ポンプ」に相当し、リニアソレノイドバルブSL3が「調圧器」に相当し、マニュアルバルブ48が「第1の切替器」に相当し、切替バルブ60が「第2の切替器」に相当する。ここで、「原動機」としては、炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなどの他のタイプの内燃機関としても構わないし、内燃機関以外の電動機としても構わない。「調圧器」としては、ライン圧PLから最適なクラッチ圧を生成してクラッチやブレーキをダイレクトに制御するダイレクト制御用のリニアソレノイドバルブとして構成するものに限定されるものではなく、リニアソレノイドをパイロット制御用のリニアソレノイドとして用いて別途コントロールバルブを駆動することによりこのコントロールバルブによりクラッチ圧を生成してクラッチやブレーキを制御するものとしても構わない。「第2の切替器」としては、単一の切替バルブ60によりSL3圧のクラッチC3への供給とブレーキB2への供給の切り替えとリバース圧のブレーキB2への供給と遮断の切り替えとを行なうに限定されるものではなく、前者の切り替えと後者の切り替えとを別々の切替バルブを用いるものとしても構わない。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである
【0035】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、自動車産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
10 自動車、12 エンジン、14 クランクシャフト、16 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、18a,18b 車軸、19a,19b 車輪、20 自動変速機、21 入力軸、22 出力軸、24 トルクコンバータ、24a ポンプインペラ、24b タービンランナ、26 変速機構、27 ギヤ機構、28 デファレンシャルギヤ、29 変速機用電子制御ユニット(ATECU)、30 シングルピニオン式の遊星歯車機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 ラビニヨ式の遊星歯車機構、36a,36b サンギヤ、37 リングギヤ、38a ショートピニオンギヤ、38b ロングピニオンギヤ、39 キャリア、40 油圧回路、42 ストレーナ、44 機械式オイルポンプ、46 レギュレータバルブ、48 マニュアルバルブ、48a 入力ポート、48b Dポジション用出力ポート、48c Rポジション用出力ポート、51 ライン圧用油路、52 ドライブ圧用油路、53 リバース圧用油路、54 SL3圧用油路、55 C3用油路、56 B2用油路、60 切替バルブ、62 スリーブ、62a 信号圧用入力ポート、62b,62c 入力ポート、62d,62e 出力ポート、64 スプール、66 スプリング、70 メイン電子制御ユニット(メインECU)、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキスイッチ、88 車速センサ、C1〜C3 クラッチ、B1,B2 ブレーキ、SL1〜SL4,SLT リニアソレノイドバルブ、S1 オンオフソレノイドバルブ、F1 ワンウェイクラッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機を備える車両に搭載され、シフトポジションが後進用ポジションの場合に第1の摩擦係合要素と第2の摩擦係合要素とを所定の係合圧をもって係合する自動変速機の制御装置であって、
シフトポジションが前記後進用ポジション以外の前進用ポジションを含む所定ポジションの場合に、前記係合圧よりも低く且つ車速が低いほど高くなる傾向に待機圧を設定すると共に該設定した待機圧をもって前記第1の摩擦係合要素を待機させる
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動変速機の制御装置であって、
車速が所定車速未満のときには該車速が低いほど高くなる傾向に前記待機圧を設定し、車速が前記所定車速以上のときには前記待機圧として値0を設定する
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の自動変速機の制御装置であって、
前記待機圧は、前記第1の摩擦係合要素がトルク容量を持つ圧力が下限圧として設定される
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項4】
自動変速機として、前記原動機からの動力により作動してポンプ用油路に作動油を圧送するポンプと、前記ポンプ用油路の油圧を入力し調圧して調圧用油路に出力する調圧器と、シフト操作に連動し前記後進用ポジション以外のポジションにシフト操作されている場合には前記ポンプ用油路と後進用油路との連通を遮断し前記後進用ポジションにシフト操作されている場合には前記ポンプ用油路と前記後進用油路とを連通する第1の切替器と、前記後進用油路と前記調圧用油路と前記第1の摩擦係合要素の油室に連通する第1の係合用油路と前記第2の摩擦係合要素の油室に連通する第2の係合用油路とに接続され前記後進用ポジション以外のポジションにシフト操作されている場合には前記後進用油路と前記第1の係合用油路との連通を遮断すると共に前記調圧用油路と該第1の係合用油路とを連通し前記後進用ポジションにシフト操作されている場合には前記後進用油路と前記第1の係合用油路とを連通すると共に前記調圧用油路と前記第2の係合用油路とを連通する第2の切替器と、を備える請求項1ないし3いずれか1項に記載の自動変速機の制御装置であって、
シフトポジションが前記後進用ポジション以外のポジションのときには前記第1の摩擦係合要素が前記待機圧で待機するよう前記調圧器を駆動制御し、前記後進用ポジション以外のポジションから該後進用ポジションにシフト操作されたときには前記第1の摩擦係合要素が係合されるのを待ってから前記第2の摩擦係合要素の係合が開始されるよう前記調圧器を駆動制御する
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−87826(P2013−87826A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227405(P2011−227405)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】